マット及びマット付き装置
不織布層と、その主表面上に第1の高分子層と、を含むマット。このマットは、例えば汚染防止装置の実装マット、並びに、汚染防止装置及び排気システムの断熱及び遮音に有用である。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ガソリンエンジン用の触媒コンバータ等の汚染防止装置は、30年間以上にわたり公知である。ここ数年間のディーゼル車に関するより厳格な規制によって、ディーゼル酸化触媒(DOC’s)、ディーゼル微粒子フィルタ(DPF’s)及び選択的触媒低減装置(SCR’s)を含む他の汚染防止装置の使用が急速に増加した。汚染防止装置は、一般に金属製ハウジング又はケーシングを含み、ケーシング内には汚染防止エレメントが弾力性かつ可撓性の実装マットにより堅固に実装されている。ディーゼル酸化コンバータを含む触媒コンバータは、モノリシック構造体に通常はコーティングされる触媒を含有する。金属モノリスも知られているが、モノリシック構造体は典型的にはセラミックである。ガソリンエンジン中の触媒は、一酸化炭素及び炭化水素を酸化させ、窒素酸化物を還元して、大気汚染を抑制する。ディーゼル酸化触媒は、すす粒子の可溶性有機成分及び存在する任意の一酸化炭素を酸化する。
【0002】
ディーゼル微粒子フィルタ又はトラップは典型的にウォールフロー型フィルタであり、典型的に多孔性結晶構造のセラミック材料から作製されるハニカム状のモノリシック構造を有する。ハニカム状構造の交互セルは、通常、排気ガスが1つのセルに入り、1つのセルの多孔質壁を強制的に通過させられ、隣接するセルを通って構造体から出て行くように埋め込まれる。この方法で、ディーゼル排気に存在する小さなすす粒子が回収される。時々、排気ガスの温度がすす粒子の焼却温度を超えて上昇し、そのためすす粒子が燃焼される。このプロセスは「再生」と称されている。
【0003】
選択的触媒還元装置は、構造及び機能において触媒コンバータと類似している(即ち、NOxを還元する)。気体又は液体還元剤(一般にアンモニア又は尿素)が選択的触媒還元装置モノリスに到達する前に、気体又は液体還元剤(一般にアンモニア又は尿素)が排気ガスに添加される。混合された気体は、NOx排出物とアンモニア又は尿素との間の反応を起こす。この反応は、NOx排出物を純粋な窒素及び酸素に変換する。
【0004】
汚染防止装置内で使用されるモノリス、特にセラミック汚染防止モノリスは脆く、振動又は衝撃による損傷及び破損を受け易い。セラミック汚染防止モノリスは、概して、それらを含有する金属製ハウジングより一桁低い熱膨張係数を有する。このことは、汚染防止装置が加熱されるにつれて、ハウジングの内側周辺壁とモノリスの外側壁との間の間隙が増大することを意味する。金属製ハウジングがマットの断熱効果によって、より小さい温度変化を経るにもかかわらず、金属製ハウジングの熱膨張係数がより高いことによって、ハウジングはセラミックモノリスの膨張よりも速く、より大きい周辺サイズに膨張する。そのような熱循環は、汚染防止装置の寿命及び使用中に何百回となく生じる。
【0005】
道路の衝撃及び振動によるセラミックモノリスへの損傷を避け、熱膨張の差を補い、モノリスと金属製ハウジングとの間を排気ガスが通過することを防ぐ(それにより触媒を迂回する)ために、セラミックモノリスと金属製ハウジングとの間に実装マットが配置される。これらのマットは所望の温度範囲にわたってモノリスを定位置に保持するのに十分な圧力を付与するが、セラミックモノリスを損傷させる程の圧力は付与しない。既知の汚染防止実装マットとしては、無機(例えば、セラミック)繊維、並びに有機及び/又は無機結合剤からなる膨張性及び非膨張性シート材料が挙げられる。
【0006】
自動車(例えば、内燃機関を有する自動車)の排気システムで用いる排気システムの部品の一部は、排気システムの部位である二重壁の間隙に断熱材を用いる。
【0007】
汚染防止装置は、典型的には、「点火」つまり一酸化炭素及び炭化水素の酸化を開始する前に、ある温度(例えば、250℃以上)に達していなくてはならない。したがって、それらはエンジンの近くに配置されるのが好ましい。加えて、断熱材は、典型的には汚染防止装置とコンバータのハウジングとの間に設けられ、一般には、熱損失を最小限にし、それにより「点火」が起こる時間を削減するために、エンジンと汚染防止装置との間の排気システムの部品を断熱することも好ましい。このことは、特に寒い気候において車のエンジンを最初にかける際に、ますます厳しくなる大気環境基準を満たすために特に重要である。
【0008】
したがって、断熱材は、典型的には触媒コンバータの末端円錐部領域に設置される。末端円錐部領域は、典型的には、外側金属円錐部及び内側金属円錐部を備え、2つの円錐部間に画定される間隙を備える二重壁構造を有する。断熱材は、内側及び外側金属ハウジング間の間隙に設置され得る。断熱材は、マットの形状、又は三次元形状であってもよい。排気システムの部品で使用するのに、様々な断熱材が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
可撓性が向上し、繊維の脱落が低減し、及び/又は有機含有量が比較的低いものなどを含む、更なる実装マット及び断熱材が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様では、通常は互いに対向する第1及び第2の主表面と、第1の高分子層と、を有する不織布層を含むマットが提供される。不織布層は無機繊維を含む。第1の高分子層は、第1の主表面を形成する無機繊維の少なくとも一部に接触するように付着する。第1の高分子層は、高分子層を貫いて形成された、少なくとも1つの真空成形された吸引孔、及び好ましくは複数の真空成形された吸引孔を含む。「吸引孔」は、高分子層を貫いて形成された孔を指し、高分子層が軟化点及び/又は融点まで加熱されると、真空により高分子フィルムを貫いた吸引孔を形成させる。
【0011】
第1の例示的な実施形態では、本開示は、
通常対向する第1及び第2の主表面を有する不織布層であって、無機繊維を含む不織布層と、
かかる第1の主表面に付着する第1の三次元高分子層と、を含むマットと、
かかるマットを包囲する耐火クロスと、を含む物品について説明する。
【0012】
一部の実施形態では、無機繊維層は、800g/m2〜8500g/m2の範囲の坪量を有する。典型的には、マットは、不織布層の総重量に基づき、7(6、5、4、3、2、1、又は更にはゼロ)重量パーセント以下の有機含有量を有する。典型的には、第1の高分子層の平均厚さは、最大35マイクロメートルである(一部の実施形態では、最大30、25、20、15、又は更には最大10マイクロメートルであり、一部の実施形態では、10マイクロメートル〜25マイクロメートルの範囲である)。
【0013】
第2の例示的な実施形態では、本開示は、
通常対向する第1及び第2の主表面を有する不織布層であって、無機繊維を含む不織布層と、
かかる第1の主表面に付着する第1の三次元高分子層と、
通常対向する第1及び第2の主表面を有する膨張性層と、を含むマットであって、かかる膨張性層の第1の主表面が不織布層の第1の主表面に付着するマットについて記載する。典型的には、不織布層は、マットの総重量に基づき、7(6、5、4、3、2、1、又は更にはゼロ)重量パーセント以下の有機含有量を有する。一部の実施形態では、無機繊維層は、800g/m2〜8500g/m2の範囲の坪量を有する。典型的には、第1の高分子層の平均厚さは、最大35マイクロメートルである(一部の実施形態では、最大30、25、20、15、又は更には最大10マイクロメートルであり、一部の実施形態では、10マイクロメートル〜25マイクロメートルの範囲である)。
【0014】
第3の例示的な実施形態では、本開示は、
無機繊維と、
膨張性材料と、を含む、通常対向する第1及び第2の主表面を有する不織布膨張性層と、
かかる第1の主表面に付着する第1の三次元高分子層と、を含むマットについて記載する。一部の実施形態では、無機繊維層は、800g/m2〜8500g/m2の範囲の坪量を有する。典型的には、不織布層は、不織布層の総重量に基づき、7(6、5、4、3、2、1、又は更にはゼロ)重量パーセント以下の有機含有量を有する。典型的には、第1の高分子層の平均厚さは、最大35マイクロメートルである(一部の実施形態では、最大30、25、20、15、又は更には最大10マイクロメートルであり、一部の実施形態では、10マイクロメートル〜25マイクロメートルの範囲である)。
【0015】
第4の例示的な実施形態では、本開示は、
通常対向する第1及び第2の主表面を有する不織布層であって、無機繊維を含む不織布層と、
かかる第1の主表面に付着する第1の三次元高分子層と、を含むマットであって、
少なくとも1つのレーザーカット縁部を有するマットについて記載する。典型的には、マットは、不織布層の総重量に基づき、7(6、5、4、3、2、1、又は更にはゼロ)重量パーセント以下の有機含有量を有する。典型的には、第1の高分子層の平均厚さは、最大35マイクロメートルである(一部の実施形態では、最大30、25、20、15、又は更には最大10マイクロメートルであり、一部の実施形態では、10マイクロメートル〜25マイクロメートルの範囲である)。一部の実施形態では、無機繊維層は、800g/m2〜8500g/m2の範囲の坪量を有する。
【0016】
マット及び本明細書に記載のマットを含む物品は、例えば、汚染防止装置及び断熱用途(例えば、排気システム(例えば、排気パイプ、汚染防止装置の吸気口若しくは出口端円錐部、又は内燃機関エンジンの排気マニフォルド)の様々な部品を断熱するため)において有用である。例示的な汚染防止装置は、本明細書に記載する不織布マットと共にケーシング内に実装される汚染防止エレメント(例えば、触媒コンバータ、ディーゼル微粒子フィルタ又は選択的触媒低減エレメント)を含む。例示的な排気システムは、二重壁排気部品と、マット又は本明細書に記載のマットを含む物品と、を含み、ここで物品又はマットは、二重壁排気部品の壁間の間隙に配置されている。
【0017】
別の実施形態では、本開示は、二重壁排気部品と、二重壁排気部品の壁間の間隙に配置されるマットと、を含む排気システムについて記載し、かかるマットは、
通常対向する第1及び第2の主表面を有する不織布層であって、無機繊維を含む不織布層と、
かかる第1の主表面に付着する第1の三次元高分子層と、を含む。典型的には、不織布層は、不織布層の総重量に基づき、7(6、5、4、3、2、1、又は更にはゼロ)重量パーセント以下の有機含有量を有する。典型的には、第1の高分子層の平均厚さは、最大35マイクロメートルである(一部の実施形態では、最大30、25、20、15、又は更には最大10マイクロメートルであり、一部の実施形態では、10マイクロメートル〜25マイクロメートルの範囲である)。一部の実施形態では、無機繊維層は、800g/m2〜8500g/m2の範囲の坪量を有する。
【0018】
別の実施形態では、本開示は、
通常対向する第1及び第2の主表面を有する不織布層であって、通常対向する第1及び第2の主表面を有する無機繊維を含む不織布層と、
かかる第1の主表面に付着する第1の三次元高分子層と、を含むマットを伴うケーシング内に実装される汚染防止エレメントを含む、汚染防止装置について記載する。典型的には、不織布層は、不織布層の総重量に基づき、7(6、5、4、3、2、1、又は更にはゼロ)重量パーセント以下の有機含有量を有する。典型的には、第1の高分子層の平均厚さは、最大35マイクロメートルである(一部の実施形態では、最大30、25、20、15、又は更には最大10マイクロメートルであり、一部の実施形態では、10マイクロメートル〜25マイクロメートルの範囲である)。一部の実施形態では、無機繊維層は、800g/m2〜8500g/m2の範囲の坪量を有する。
【0019】
別の実施形態では、本開示は、
半径rを有する物体(例えば、汚染防止エレメント)と、
物理的に重複することなく(典型的には、2πrの95パーセント以内であり、一部の実施形態では、2πrの96、97、98、又は更には99パーセント以内)、実質的に物体半径の周囲に巻かれるマット(例えば、本明細書に記載のマット)と、
通常対向する第1及び第2の主表面を有する不織布層であって、無機繊維を含む不織布層と、
かかる第1の主表面に付着する第1の三次元高分子層と、を含む物品について記載する。
【0020】
本明細書に記載の不織布マット及び物品の典型的な実施形態の利点としては、高分子層の存在による繊維の脱落の低減が挙げられる。本明細書に記載の不織布マット及び物品に伴う高分子層は、その中の繊維層と比べて、不織布マット及び物品の表面への更に良好な付着表面を任意に提供でき、更に、例えば直径7.5cmのロッド周囲に巻くとき、不織布層の亀裂又は破断を防ぐ場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本明細書に記載の例示的なマットの断面図。
【図2】本明細書に記載の例示的なマットの断面図。
【図3】本明細書に記載の例示的なマットの断面図。
【図4】本明細書に記載の例示的な汚染防止装置の斜視図。
【図5】本明細書に記載の例示的な汚染防止装置の斜視図。
【図6】本明細書に記載の例示的な排気パイプの長手方向断面図。
【図7】実施例1のマットの高分子層の、走査型電子顕微鏡による倍率がそれぞれ50倍及び200倍のデジタル画像。
【図8】実施例1のマットの高分子層の、走査型電子顕微鏡による倍率がそれぞれ50倍及び200倍のデジタル画像。
【図9】実施例1のマットのダイカット縁部の、走査型電子顕微鏡による倍率200倍のデジタル画像。
【図10】実施例1のマットのレーザーカット縁部の、走査型電子顕微鏡による倍率200倍のデジタル画像。
【図11】高分子層中に真空成形された吸引孔を有する、本発明によるマットの製造プロセスの1つの実施形態のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1を参照すると、本明細書に記載の例示的なマット10は、不織布無機層11、第1の高分子層12、任意の第2の高分子層13、任意の接着剤14、及び任意の剥離ライナー15を有する。
【0023】
図2を参照すると、本明細書に記載の例示的なマット20は、不織布無機層21、第1の高分子層22、任意の膨張性層26、及び任意の第2の高分子層23を有する。
【0024】
図3を参照すると、本明細書に記載の例示的なマット30は、不織布無機膨張性層31、第1の高分子層32、及び任意の第2の高分子層33を有する。
【0025】
図4を参照すると、汚染防止装置110は、概ね切頭円錐型の吸気口112と出口端113とをそれぞれ有する金属製ケーシング111を含む。ケーシング111内には、本開示によるマット130で包囲された汚染防止エレメント120が配置されている。実装マットは、ケーシング111内のモノリシックエレメント120をきつくであるが、弾性的に支持及び保持する働きをし、汚染防止エレメントケーシング111の間の間隙を封止して、排気ガスが汚染防止エレメント120を迂回するのを防止する又は低減する(好ましくは最小限に抑える)。
【0026】
図5を参照すると、汚染防止装置210は、概ね切頭円錐型の吸気口212と出口端213とをそれぞれ有する金属製ケーシング211、及び遮熱材216を備える。ケーシング211内には、本開示による第1のマット230で包囲された汚染防止エレメント220が配置されている。実装マットは、ケーシング211内のモノリシックエレメント220をきつくであるが、弾性的に支持及び保持する働きをし、汚染防止エレメントケーシング211の間の間隙を封止して、排気ガスが汚染防止エレメント220を迂回するのを防止する又は低減する(好ましくは、最小限に抑える)。本開示による第2のマット240は、ケーシング211と遮熱材との間に配置される。マット240は、断熱を行う働きをする。
【0027】
図6を参照すると、排気パイプ119は、第1の外側金属壁122と第2の内側金属壁120とを有する二重壁を含む。本開示による不織布マット124は、外壁122と内壁120との間の間隙の中に配置されて、断熱を行う。排気パイプ119の二重壁は、排気パイプ119が自動車の排気システム内で使用される際に、内部を排気ガスが流れる内部空間126を包囲する。
【0028】
本明細書で使用されるとき「繊維」は、少なくとも5マイクロメートルの長さ、及び少なくとも3:1のアスペクト比(すなわち、直径に対する長さ)を有する。
【0029】
例示的な無機繊維として、様々な酸化物、例えばシリケート、アルミネート、アルミノ−シリカ化合物、ジルコン、生体溶解性組成物(例えば、ケイ酸カルシウムマグネシウム、及びケイ酸マグネシウム)、ガラス組成物(例えば、S−ガラス及びE−ガラス)、非晶質、結晶質、及び部分結晶質組成物、並びに鉱物繊維(玄武岩)、鉱物綿、並びに組み合わせ、加えて炭化物(例えば、炭化ケイ素及び炭化ケイ素)、窒化物(例えば、窒化ケイ素及び窒化ホウ素)、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0030】
一部の実施形態では、無機繊維層は、軟化点を有し、無機繊維の総重量に基づき、合計95重量パーセント以下のSiO2(存在する場合)及びAl2O3(存在する場合)を含む、ガラス(すなわち、非晶質材料)(すなわち、いかなる長周期結晶構造も持たない融解相及び/又は蒸気相から得た材料)を含み、ここでガラスは、ASTM C338−93(2008)(その開示が参照により本明細書に組み込まれる)により決定され、少なくとも400℃である軟化点を有する。例示的なガラス繊維として、例えば、ケイ酸アルミニウムマグネシウムガラス繊維が挙げられる。
【0031】
例示的なケイ酸アルミニウムマグネシウムガラス繊維には、E−ガラス繊維、S−ガラス繊維、S−2ガラス繊維、R−ガラス繊維、及びそれらの混合物が挙げられる。E−ガラス、S−ガラス及びS−2ガラスは、例えばAdvanced Glassfiber Yarns,LLC,Aiken,SCから市販されている。R−ガラスは、例えばSaint Gobain Vetrotex,Chambery,Franceから市販されている。
【0032】
一部の実施形態では、無機繊維層は、耐火セラミック繊維(例えば、アルミノケイ酸繊維(焼きなまされた非晶質アルミノケイ酸繊維など)、アルミナ繊維、シリカ繊維、及び玄武岩繊維)を含む。耐火セラミック繊維に関連して「耐火」とは、焼成カオリン粘土又はアルミナ及びシリカの混合物を融解し、吹き込み、又は紡糸することにより製造された非晶質人工無機材料を指す。他の酸化物、例えばジルコニア、チタニア、マグネシア、酸化鉄、酸化カルシウム、及びアルカリ類も存在してもよい。耐火性材料のSiO2含量は20重量パーセントを超え、Al2O3は20重量%を超え、SiO2及びAl2O3は、合計で少なくとも95%の無機材料を含む。任意に、熱処理により、耐火セラミック繊維を部分的に又は完全に結晶化してもよい。例示的なアルミノケイ酸非晶質耐火セラミック繊維には、ブローン又は紡糸非晶質耐火セラミック繊維(例えば、Thermal Ceramics(Augusta,GA)から商品名「KAOWOOL」及び「CERAFIBER」で市販、及びCorporation,Niagara Falls(NY)から商品名「FIBERFRAX」で市販)が挙げられる。
【0033】
一部の実施形態では、無機繊維層は、多結晶性セラミック繊維(例えば、Saffil Automotive(Chelsea,MI)から商品名「SAFFIL」で、及びMitsubishi Chemicals USA,Inc.(Chesapeake,VA)から商品名「MAFTEC」で市販されるものなど)を含む。
【0034】
一部の実施形態では、無機繊維層は、生体溶解性繊維(例えば、ケイ酸マグネシウム繊維又はケイ酸カルシウムマグネシウム繊維のうち少なくとも1つ)を含む。
【0035】
本明細書で使用する時、「生体溶解性無機繊維」は、生理学的媒質又はシミュレートした生理学的媒質内で分解性の無機繊維を指す。生理学的媒質は、動物又は人間の肺などの気道内に典型的に見出される体液を指すが、これらに限定されない。例示的な生体溶解性無機繊維として、ケイ素、マグネシウム、及びカルシウムの酸化物からなるもの(ケイ酸カルシウムマグネシウム繊維など)が挙げられる。これらのタイプの繊維は、典型的に、ケイ酸カルシウムマグネシウム繊維、及びケイ酸マグネシウムと呼ばれる。
【0036】
生体溶解性繊維は、例えばUnifrax Corporation(Niagara Falls,NY)から商品名「ISOFRAX」及び「INSULFRAX」で、Nutec Fiberatec,Monterrey(Mexico)から商品名「SUPERMAG 1200」で、及びThermal Ceramics(Augusta,GA)から商品名「SUPERWOOL」で市販されている。「SUPERWOOL 607」生体溶解性繊維は、例えば60〜70重量パーセントのSiO2、25〜35重量パーセントのCaO、4〜7重量パーセントのMgO、及び微量のAl2O3を含む。
【0037】
本明細書で使用されるとき、用語「熱処理シリカ繊維」は、少なくとも95重量パーセントのSiO2を含む無機繊維を指し、この繊維は、少なくとも5分間の熱処理時間中に少なくとも400℃の熱処理温度に暴露されている。
【0038】
例示的な熱処理高シリカ含量繊維は、例えば、Hitco Carbon Composites,Inc.(Gardena,CA)から商品名「REFRASIL」で市販されている。例えば「REFRASIL F100」繊維は、約96〜約99重量パーセントのSiO2を含有する。
【0039】
玄武岩繊維は、鉱物玄武岩から形成される。玄武岩は、殆どの国で見出すことができる硬く緻密な火山岩である。玄武岩を粉砕し、洗浄し、溶融し、白金−ロジウム押出ブッシングに供給して、連続フィラメントを形成する。繊維は鉱物に由来するため、繊維の組成物は変動し得るが、概して約45〜約55重量パーセントのSiO2、約2〜約6重量パーセントのアルカリ、約0.5〜約2重量パーセントのTiO2、約5〜約14重量パーセントのFeO、約5〜約12重量パーセントのMgO、少なくとも約14重量パーセントのAl2O3、及び多くの場合、ほぼ約10重量パーセントのCaOの組成物を有する。
【0040】
任意に、不織布層、又は膨張に必要な本明細書に記載のマットの別の層は、膨張性材料(例えば、バーミキュライト)を更に含む。一部の実施形態では、マットが非膨張性(すなわち、膨張性材料を含まない(例えば、バーミキュライトを含まない))ことが好ましい。膨張性材料は、不織布層中に、及び/又は1つ以上の別個の層として存在してもよい。本明細書で使用されるとき、「非膨張性」とは、同じ条件下で厚みに関して10%未満の自由膨張を示す材料を指す。一部の非膨張性材料は、加熱されると、8パーセント未満、6パーセント未満、4パーセント未満、2パーセント未満、又は1パーセント未満で膨張する。
【0041】
一部の実施形態では、本明細書に記載の不織布層は、不織布層の重量に基づき、最大7(又はそれ以上)重量パーセントの量の有機結合剤を更に含有する。不織布層を包含する多層マットが汚染防止装置内で典型的に遭遇するもの等の高温で使用されるとき、有機結合剤は、典型的には焼いて除去される。
【0042】
本明細書に記載の不織布層は、当該技術分野において公知の、例えば湿式(典型的にはウェットレイド)又は乾式(典型的にはドライレイド)プロセスを用いて製造されてもよい。任意に、本明細書に記載の不織布層を熱処理してもよい。
【0043】
一部の実施形態では、無機繊維はショットを含まないか、又は非常に少量(例えば、繊維の総重量に基づき、1重量%未満)のショットを含有し、一方、別の実施形態では、ショット含量は繊維の総重量に基づき、50重量%を超えてもよい。
【0044】
任意に、本明細書に記載の実装マットの一部の実施形態の少なくとも不織布層は、ニードルパンチされる(すなわち、例えば、有刺針によってマットを複数回完全に又は部分的に(一部の実施形態では、完全に)貫通させることによって繊維の物理的絡み合いがその部分に存在する)。不織布マットは、従来のニードルパンチング装置を用いてニードルパンチできる。
【0045】
任意に、本明細書に記載の実装マットの一部の実施形態は、従来の技術(例えば、米国特許第4,181,514号(Lefkowitzら)を参照、この開示は、不織布マットをステッチボンド法の教示について参照することによって本書に組み込まれる)を用いてステッチボンドされる。
【0046】
膨張性層は、少なくとも1つの種類の膨張性材料を含む。膨張性層としては、更に無機繊維、有機結合剤、可塑剤、湿潤剤、分散剤、消泡剤、ラテックス凝固剤、殺真菌剤、充填剤材料、無機結合剤、及び有機繊維を挙げることができる。
【0047】
例示的な膨張性材料としては、非膨張性バーミキュライト、ハイドロ黒雲母、米国特許第3,001,571号(Hatch)に記載されているような水膨潤性合成テトラケイ酸フッ素系雲母、米国特許第4,521,333号(Grahamら)に記載されているようなアルカリ金属ケイ酸塩顆粒、膨張性グラファイト、又はその組み合わせが挙げられる。アルカリ性金属シリケート顆粒は、例えば、3M Company(St.Paul,MN)から商品名「EXPANTROL 4BW」で市販されている。膨張性グラファイトは、例えば、UCAR Carbon Co.,Inc.(Cleveland,OH)から商品名「GRAFOIL GRADE 338−50」で市販されている。非膨張性バーミキュライトは、例えば、Cometals Inc.(New York,NY)から市販されている。用途によっては、膨張性材料は、非膨張性バーミキュライト、膨張性グラファイト又はそれらの組み合わせから選択される。バーミキュライトは、例えばニ水素リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、塩化カリウム又は当該技術分野において既知の他の可溶性塩等の塩で処理されてよい。
【0048】
膨張性層は、多くの場合、膨張性層の重量に基づき、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも40又は少なくとも60重量パーセントの膨張性材料を含有する。膨張性層によっては、層は、無機繊維がなくてもよい。他の膨張性層において、層は、無機繊維及び有機繊維がなくてもよい。更に他の膨張性層において、層は、膨張性層の重量に基づき、5〜約85重量パーセントの膨張性材料及び20重量パーセント未満の有機結合剤を含有する。無機繊維は、幾つかの膨張性層内に含まれる。
【0049】
例示的な膨張性層は、例えば、3M Company(St.Paul,MN)から商品名「INTERAM 100」、「INTERAM 200」、「INTERAM 550」、及び「INTERAM 2000 LT」で市販されている。これらの層は通常、約0.4〜約0.7g/cm3の嵩密度、及び約1050g/m2〜約8140g/m2の単位面積あたり重量を有する。別の例示的な膨張性層は、例えば、3M Companyから商品名「INPE 570」で市販されている。この層は通常、約1050g/m2〜約4070g/m2の単位面積あたりの重量を有し、欧州非分類繊維規制に適合する無機繊維を含有する。
【0050】
膨張性層を含む本明細書に記載のマットの一部の実施形態では、不織布層はガラス繊維を含有し、膨張性層はバーミキュライトを含有する。
【0051】
任意に、縁部保護材を本明細書に記載のマットに添加してもよい。縁部保護材は、例えば、米国特許第5,008,086号(Merry)(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるような、縁部周囲に巻かれたステンレス鋼線材であり得る。他の好適な縁部保護材として、例えば、米国特許第4,156,533号(Closeら)(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるような、編み組みされた、又はロープ様のガラス、セラミック、又は金属繊維が挙げられる。縁部保護材は、例えば、欧州特許639 701 A2号(Howorthら)、同639 702 A2号(Howorthら)、及び同639 700 A2号(Stroomら)(これらの全てが参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるような、ガラス粒子を有する組成物から形成されてもよい。
【0052】
マット中の特定の層の厚さは、特定の用途に応じて可変であり得る。一部の実施形態では、膨張性層(存在する場合)の厚さは、各不織布層の厚さ以下である。一部の用途では、膨張性層(存在する場合)の厚さは、不織布層の厚さの50パーセント以下、45パーセント以下、40パーセント以下、35パーセント以下、30パーセント以下、25パーセント以下、又は20パーセント以下である。
【0053】
一部の実施形態では、本明細書に記載の不織布層は、1mm〜35mmの範囲(一部の実施形態では、5mm〜25mm、5mm〜20mm、又は更には5mm〜15mmの範囲)の厚さを有する。一部の実施形態では、本明細書に記載の膨張性(不織布膨張性を含む)層は、1mm〜25mmの範囲(一部の実施形態では、1mm〜20mm、1mm〜15mm、又は更には1mm〜10mmの範囲)の厚さを有する。一部の実施形態では、本明細書に記載のマットは、3mm〜50mmの範囲(一部の実施形態では、5mm〜35mm、5mm〜20mm、又は更には5mm〜10mmの範囲)の厚さを有する。
【0054】
一部の実施形態では、本明細書に記載の不織布マット及び不織布層は、第2の主層に付着する第2の高分子層を更に含む。典型的には、第2の高分子層の厚さは、最大35マイクロメートルである(一部の実施形態では、最大30、25、20、15、又は更には最大10マイクロメートルであり、一部の実施形態では、10マイクロメートル〜25マイクロメートルの範囲である)。
【0055】
様々な熱可塑性及び/又は熱成形性ポリマーが、高分子層に有用である。例示的な高分子層は、ポリプロピレン及びポリエチレン(例えば、低密度ポリエチレン及び線状低密度ポリエチレン)、ポリウレタン、ポリアミド、ポリブタジエン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエステル、コポリマー類、及びこれらのブレンドを含む。高分子層は三次元であり(すなわち、高分子層は一般に、これらの繊維の外側表面にぴったり一致する)、ここで高分子材料は、高分子表面の「z」方向へのトポグラフィー変化が高分子フィルム層の平均厚さを超える全体的な三次元構造を有し、典型的には、適用される主表面内に少なくとも部分的にある(すなわち、主表面の層内を少なくとも部分的に貫通する)(例えば、図7及び8参照、それぞれ繊維81及び82を有する不織布層の主表面上の、それぞれ高分子層71及び81を示す)。三次元高分子層は、典型的には、それが接触する露出された主表面に露出した繊維と密に接触する。典型的には、三次元高分子フィルムと繊維層との間の結合力は、繊維層の結合力よりも大きい。
【0056】
高分子層を本明細書に記載のマットの製造に提供してもよく、それは例えば、
通常対向する第1及び第2の主表面を有する不織布層であって、無機繊維を含む不織布層を提供する工程と、
かかる不織布層の第2の主表面に真空を適用する工程と、
かかる第1の主表面に第1の高分子層を付着してマットを提供する工程と、を含む方法によるものである。任意に、この方法は、第1の主表面に付着された第1の高分子層に真空を適用する工程と、第2の主表面に第2の高分子層を付着して第2の高分子層を有するマットを提供する工程と、を更に含む。少なくとも第1の高分子層に存在する穿孔を有することが望ましい。このような穿孔は、真空プロセスによる不織布層に第2の高分子層を付着するプロセスを促進する。第1の高分子層に穿孔があることにより、空気が第1の高分子層を通って不織布層を引っ張ることができ、それにより不織布層中で真空を形成し、第2の主表面上に第2の高分子層を引っ張ることができる。
【0057】
例えば、高分子層を通して、少なくとも1つ及び好ましくは複数の真空成形された吸引孔を形成するため、本明細書に記載のマットで用いられる高分子層を穿孔することができる。第1の高分子層を通して形成された孔は、第2の高分子層を付着するとき、真空により第1の高分子層を通して引っ張ることができる。「吸引孔」は、高分子層が無機繊維を含む不織布層の主表面上に配置され、真空でその不織布層の主表面の反対側を引っ張る際に、高分子層を通して形成された孔を指すことができ、一方、高分子層が軟化点まで加熱され、真空により(a)不織布層中の無機繊維と接触する高分子層を引っ張ること、及び(b)高分子フィルムを通る1つ以上の吸引孔を形成することを可能にする。加熱工程は、高分子層中で局部的な融解を引き起こす可能性があり、真空が吸引孔を形成するのを促進する。
【0058】
高分子層を無機繊維に接触するように引っ張ることで、高分子層を三次元高分子層に形成する結果となる。吸引孔は、典型的には、不織布層の主表面における無機繊維間の空間全体に広がる、高分子層の領域内に形成される。例えば、図7及び8に見られる吸引孔(すなわち、黒点)を参照されたい。高分子層は一定の面積を有し、複数の真空成形された吸引孔を含むことができる。吸引孔は、典型的には高分子層の面積全体に不均一に分散される。各吸引孔は、典型的には異なる孔の形状を有する。各吸引孔は、多くの場合、図7及び8に示すもののように非対称形の孔である。
【0059】
図11を参照すると、このような真空成形された吸引孔の形成の1つのプロセスでは、不織布層又はマット材料であるロール状ウェブ41をほどくためのステーション44、高分子層又はシート材料であるロール状ウェブ42をほどくためのステーション46、不織布材料ウェブ41の上側主表面の上方に高分子材料ウェブを誘導し、配置するためのガイドローラー48、不織布材料ウェブ41の下部に配置される最大3ヶ所の真空ゾーン52a、52b、及び52cを有する真空箱、高分子材料ウェブ42の上方に配置される熱源54(例えば、電気的加熱エレメント)、及びマット材料である得られたウェブ50(すなわち、少なくとも高分子層42及び不織布層41の組み合わせ)をロール状に巻き取るためのステーション60を備える、装置40を利用する。ステーション60はマットウェブ50を引っ張り、それにより個々のウェブ41及び42は加熱ゾーン56を、続いて冷凍、又は冷却ゾーン58を通る。
【0060】
不織布ウェブ材料41は、十分に多孔質であり、不織布材料を通して真空を十分に生じさせることが可能で、高分子材料であるウェブが、不織布ウェブ42の上側主表面に対して引っ張り下げられる(すなわち、吸引される)。第1の真空ゾーン52aにより引かれる真空力により、ガイドローラー48を過ぎて運ばれる間、ウェブ41及び42はまとまっている。ウェブ41及び42が加熱ゾーン56を通って運ばれる間、高分子ウェブ42を少なくとも軟化、又は部分的に融解するように、熱源54からの熱が矢印55の方向に放射される。ゾーン56で高分子ウェブ42が軟化及び/又は融解するのと同時に、真空ゾーン52bで生じた真空を制御し、不織布材料の繊維に対して三次元形状に変形させるように、高分子ウェブ42を引っ張らせることができる。特にウェブ42が軟化又は融解される場合、ゾーン52bの真空により、高分子ウェブ42を貫通して吸引孔を形成させることもできる。いったん吸引孔が開口すると、熱源54により加熱された空気を、吸引孔を通って不織布ウェブ材料41に引き込むことができる。この加熱された空気(矢印55を参照)からの更なる熱は、ウェブ42の軟化及び/又は融解を促進でき、それにより、ウェブ42に形成された吸引孔の数量の増加、存在する吸引孔の寸法の拡大、高分子ウェブ42と不織布ウェブ41との間の結合を促進、又はこれらの任意の組み合わせを行う。冷却ゾーン58内の温度は、硬化及び/又は凝固のため、高分子材料ウェブ42を軟化及び/又は融解させるゾーン56のものより十分に低い。ゾーン52cに適用される真空により、ウェブ42の吸引孔を通して矢印59の方向に低温空気が引かれ、事前に加熱されたウェブ41及び42を冷却する。ゾーン52cの真空によりもたらされる冷却効果に加え、従来の冷凍装置又は空調装置の使用により、ゾーン58の冷却を任意に補助することもできる。
【0061】
高分子材料である第1のウェブ42内に真空成形された吸引孔は、第2の高分子層を不織布ウェブ41の別の主表面に結合できるようにする。第2の高分子層の適用には、ステーション60で巻き取られたマットウェブ50のロールをステーション44に配置でき、ウェブ50の向きを、穿孔された高分子ウェブ42が不織布ウェブ41の下方に置かれ、ウェブ41の別の主表面が露出し表向きになるようにする。次いで、上述と同様の方式で装置40を用いて、同一又は異なる高分子材料である別のウェブ42を、露出されたウェブ41の主表面に付着できる。第1のウェブ42内に事前に形成された吸引孔により、ゾーン52a、52b及び52cで生じた真空が、不織布ウェブ41内の真空を引っ張れるようにする。
【0062】
任意に、マットは1つ以上の膨張性層も含み、及び任意に、上述の方法を用いて高分子層を膨張性層の主表面に適用する。
【0063】
任意に、両面接着剤テープを、第1の高分子層の露出した外側主表面の少なくとも一部に貼付する。任意に、両面接着剤テープとして、剥離ライナーが挙げられる。
【0064】
好ましくは、無機繊維層は、少なくとも300g/m2、400g/m2、500g/m2、600g/m2、700g/m2、800g/m2、900g/m2、1300g/m2、2000g/m2、又は更には少なくとも3100g/m2(一部の実施形態では、300g/m2〜8500g/m2の範囲)の坪量を有する。
【0065】
本明細書に記載の不織布層及びマットは、500℃超で加熱する前の出来上がった状態では、状況に応じ、不織布又はマットの総重量に基づき、7(一部の実施形態では、6、5、4、3、2、1以下、又は更にはゼロ)重量パーセント以下の有機材料を含有する。
【0066】
本明細書に記載の不織布層及びマットは、典型的には、直径7.5cmのロッドに破断することなく巻き付けられるよう十分に可撓性がある。マットは、通常、破断又は亀裂することなく取扱われ、汚染防止装置の汚染防止エレメントに巻き付けることができる。汚染防止エレメントに巻き付けられるとき、多層マットの末端を様々な接合部で止めてもよい。
【0067】
本明細書に記載のマット及び不織布層を、例えばダイカット又はレーザーカット技術を用いて切断できる。出願人らは、ダイカット用器具を用いると、多くの場合、縁部に沿って高分子フィルムと不織布との間の接着品質が劣化することを観察しているため、レーザーカット縁部が好ましい。この部分的層剥離は、マット性能に影響し、性能を低下し得る(露出した縁部での繊維の脱落の増加、マット取り付けプロセスの干渉など)。レーザービームを用いて本明細書に記載のマットからパーツを切断すると、高分子層の層剥離を著しく制限できることが判明した。レーザービームが不織布に含まれる繊維周囲の高分子層を局部的に軟化及び/又は融解するため、レーザービームを用いてパーツを切断した後は、マットの主表面(高分子フィルムを含む)と副表面との間の交点、又は切断中に生じた縁部は封止される。レーザービームはまた、切断中に生じた副表面又は縁部も封止でき、更なる繊維の脱落を防ぐ。
【0068】
図9を参照すると、本明細書に記載の例示的なマット(実施例1)のダイカット縁部の走査型電子顕微鏡による倍率200倍のデジタル画像では、高分子層91、繊維92、及び高分子層91のダイカット縁部93を有するマットが示される。図10を参照すると、本明細書に記載の例示的なマット(実施例1)のレーザーカット縁部の走査型電子顕微鏡による倍率200倍のデジタル画像では、高分子層1001、繊維1002を有するマットが示され、及び高分子層1001のレーザーカット縁部1003が示される。
【0069】
本明細書で使用するとき、本明細書に記載のマットを包囲する布地における「耐火性」とは、450℃を超える軟化点(ASTM C338−93(2008)により決定され、その開示が参照により本明細書に組み込まれる)又は融点のうち少なくとも1つを有する材料を意味する。本明細書に記載のマットを包囲する例示的な耐火クロスとして、ガラス布及びシリカ布が挙げられる。本明細書に記載のマットを包囲する例示的な耐火クロスは、AVS Industries,LLC(New Castle,DE)から商品名「AVS FIBER GLASS FABRICS」、「FLXGLAS HT TREATED FIBERGLASS FABRICS」、及び「AVSIL PLAIN WEAVE SILICA FABRICS」で市販されている。
【0070】
金属ケーシングは、そのような使用に関して当技術分野にて公知の、ステンレス鋼を含む、材料から作製することができる。
【0071】
不織布マットは、例えば排気パイプ、汚染防止装置の入口若しくは出口末端円錐部、又は内燃機関エンジンの排気マニフォルドを含む、排気システムの様々な構成成分を断熱する断熱材料として使用することができる。本明細書に記載する不織布マットは、例えば汚染防止装置内にて有用である。汚染防止装置は、典型的には、本明細書に記載の不織布マットと共にケーシング内に実装される汚染防止エレメント(例えば、触媒コンバータ、ディーゼル微粒子フィルタ又は選択的触媒低減エレメント)を含む。二重壁排気部品(例えば、排気パイプ、末端円錐部の末端キャップ、若しくは汚染防止装置の別の部分、及び/又は排気マニフォルド)と、本明細書に記載の不織布マットと、を含む排気システムでは、不織布マットは、二重壁部品の第1の外壁と第2の内壁との間の間隙に実装されてもよい。例示的な実装密度は、約0.1g/cm2〜0.6g/cm2の範囲にある。
【0072】
本明細書に記載する実装マットで実装することができる例示的な汚染防止エレメントには、ガソリン汚染防止エレメント及びディーゼル汚染防止エレメントが挙げられる。汚染防止エレメントは、触媒コンバータ若しくは微粒子フィルタ、又はトラップであってもよい。触媒コンバータは、金属製ハウジング内に実装されるモノリシック構造体に通常はコーティングされる触媒を含有する。この触媒は、通常、温度要件で動作し、有効であるように適応される。例えば、ガソリンエンジンと共に使用するために、触媒コンバータは、典型的には、400℃〜950℃の範囲の温度で効果的であるべきであるが、ディーゼルエンジン用には、より低い温度(典型的には350℃以下)が一般的である。金属モノリスも時折使用されているが、モノリシック構造体は、典型的にはセラミックである。触媒は、大気汚染を抑制するために、排出ガス中の一酸化炭素及び炭化水素を酸化させ、窒素酸化物を還元する。ガソリンエンジンでは、これらの汚染物質の3つすべては、いわゆる「三元コンバータ」内で同時に反応することができるが、ほとんどのディーゼルエンジンは、ディーゼル酸化触媒コンバータしか備え付けられていない。今日ではその使用がディーゼルエンジンのみに限定される、窒素酸化物を低減する触媒コンバータは、一般に別個の触媒コンバータからなる。ガソリンエンジンで使用する汚染防止エレメントの例としては、例えばCorning Inc(コーニング、ニューヨーク)又はNGK Insulators,LTD.(名古屋、日本)から市販されている菫青石から形成されたもの、又は、例えばEmitec(Lohmar、ドイツ)から市販されている金属モノリスが挙げられる。
【0073】
好適な選択的触媒低減エレメントは、例えば、Corning,Inc.,Corning,NYから入手可能である。
【0074】
ディーゼル微粒子フィルタ又はトラップは典型的にウォールフロー型(wall flow)フィルタであり、典型的に多孔性結晶構造のセラミック材料から作製されるハニカム状のモノリシック構造を有する。ハニカム状構造の交互セルは、通常、排気ガスが1つのセルに入り、1つのセルの多孔質壁を強制的に通過させられ、隣接するセルを通って構造体から出て行くように埋め込まれる。この方法で、ディーゼル排気ガスに存在する小さなすす粒子が回収される。菫青石から形成されている好適なディーゼル微粒子フィルタは、例えばCorning Inc.及びNGK Insulators,Inc.から市販されている。炭化ケイ素から形成されているディーゼル微粒子フィルタは、例えばIbiden Co.Ltd.(Japan)から市販されており、例えば2002年2月12日公開のJP 2002047070A号に記載されている。
【0075】
本発明の利点及び実施形態は、以下の実施例により更に例示されるが、これらの実施例に列挙したその特定の材料及び量、並びに他の条件及び詳細は、本発明を過度に限定すると解釈されるべきではない。すべての部及び百分率は、特に記載されていない限り、重量に基づく。
【実施例】
【0076】
(実施例1)
1ロールの76cm(30インチ)幅、15マイクロメートル(0.006インチ)厚の透明低密度ポリエチレン線状フィルム(FlexSol Packaging(Chicago IL)から商品名「ALTEX」で入手)をほどき、2.54cm(1インチ)間隔で設置される1.3cm(0.5インチ)幅のスロットを8つ有する真空テーブルの上で、66cm(26インチ)幅、2000グラム/平方メートルのウェブである実装マット材料(3M Company(St.Paul,MN)から商品名「INTERAM(商標)MAT MOUNT 1220 NC」で販売される材料)上に積層した。ステンレス鋼のキャリアウェブを用い、フィルム及びマットを真空箱の上方へ移動した。2000ワットの赤外線ランプ(型番SRU 1615HT、Infratech(Gardenia,CA))を2つ用いてフィルムを加熱し、フィルム及びマットを共に積層した。第1のランプはウェブから3.2cm(1.25インチ)につるされており、及び第2のランプは第1のランプに隣接した位置にあり、フィルム表面からつるされている(3インチ(7.6cm))状態で、ランプを真空スロットの上方中央に来るように位置決めした。ラインスピードは2.1メートル/分(7フィート/分)とし、これは、織布層表面に密接するようにフィルムを引っ張り、ランプへの曝露及び室温まで冷却した後、マット表面とフィルムとの間にマットの結合力を超える結合を生じさせるのに十分な真空引き(典型的には約10.2〜20.3kPa(3〜6水銀柱インチ))を伴う。
【0077】
実施例1のマット(それぞれ繊維81及び82を有する不織布層の主表面上に、それぞれ高分子層71及び81を有する)を示す図7及び8は、それぞれ倍率が50倍及び200倍である。
【0078】
実施例1のマットを、従来の金属製ルールダイ、及びレーザー(381cm/分(150インチ/分)で2キロワット)の両方で切断し、ダイカット縁部及びレーザーカット縁部を得た。図9は、実施例1のマットのダイカット縁部の走査型電子顕微鏡による倍率200倍のデジタル画像であり、高分子層91、繊維92、及び高分子層91のダイカット縁部93を示している。図10は、実施例1のマットのレーザーカット縁部の走査型電子顕微鏡による倍率200倍のデジタル画像であり、高分子層1001、繊維1002、及び高分子層1001のレーザーカット縁部1003を示している。
【0079】
実施例1のマットは、直径7.6cm(3インチ)のロッドに破断することなく巻き付いた。
【0080】
(実施例2)
実施例2を、低密度ポリエチレン線状フィルム(「ALTEX」)の第2の層を下部表面上にも積層した(すなわち、実装マットの両主表面が低密度ポリエチレン線状フィルムで積層された)以外は、実施例1に記載の方法で調製した。更に、ラインスピードを1.8メートル/分(6フィート/分)に下げ、織布層表面に密接するようにフィルムを引っ張り、ランプへの曝露及び室温まで冷却した後、マット表面とフィルムとの間にマットの結合力を超える結合を生じさせるのに十分な真空引きを行った(典型的には約16.9〜37.3kPa(5〜11水銀柱インチ))。
【0081】
実施例2のマットは、直径7.6cm(3インチ)のロッドに破断することなく巻き付いた。
【0082】
(実施例3)
実施例3を、実装マット材料を5100グラム/平方メートル(3M Companyから商品名「INTERAM(商標)MAT MOUNT 700」で販売される材料)にした以外は、実施例1に記載の方法で調製し、ラインスピードを1.8メートル/分(6フィート/分)とし、織布層表面に密接するようにフィルムを引っ張り、ランプへの曝露及び室温まで冷却した後、マット表面とフィルムとの間にマットの結合力を超える結合を生じさせるのに十分な真空引きを行った(典型的には約16.9〜37.3kPa(5〜11水銀柱インチ))。
【0083】
実施例3のマットは、直径7.6cm(3インチ)のロッドに破断することなく巻き付いた。
【0084】
(実施例4)
実施例4を、実装マット材料を5800グラム/平方メートル(3M Companyから商品名「INTERAM(商標)MAT MOUNT 7220X」で販売される材料)にした以外は、実施例1に記載の方法で調製し、ラインスピードを1.8メートル/分(6フィート/分)とし、織布層表面に密接するようにフィルムを引っ張り、ランプへの曝露及び室温まで冷却した後、マット表面とフィルムとの間にマットの結合力を超える結合を生じさせるのに十分な真空引きを行った(典型的には約16.9〜37.3kPa(5〜11水銀柱インチ))。
【0085】
実施例4のマットは、直径3インチ(7.6cm)のロッドに破断することなく巻き付いた。
【0086】
(実施例5)
2000グラム/平方メートルを示すINTERAM(商標)Mounting Mat Material 1220NC(3M Company(St.Paul,MN))のウェブを、1.27cm(0.5インチ)幅の6つの真空スロット上方、中央部3.81cm(1.5インチ)上を3.66メートル/分(12フィート/分)で、金属メッシュベルト上を運ぶ。真空スロットによりマット全体で、約40水柱cm(1.16水銀柱インチ(3.93kPa))の圧力差を維持する。0.0015mm(0.0006インチ)厚の線状低密度ポリエチレンフィルム(FlexSol Packaging Corp.(Bunsville,MN))をマット表面上部でほどき、マット表面上方2.54cm(1.0インチ)につるされる31.8cm(15インチ)幅の加熱ランプ(WatLow(St.Louis,MO)のRaymax P1560AX019 0852(460ボルト1800ワット))を用いて、マットに熱接合する。Scotchtrak Heat Tracer非接触測定装置(#M Company(Austin,TX)のモデルIR−18EXL3)で測定するとき、ランプ表面温度を約427℃(800°F)に、ランプ直下の加熱エリアを出た際のマット表面温度を約149℃(300°F)に維持するように、十分なパワーを加熱ランプに供給する。
【0087】
例示的なマットの実施形態
1.
通常互いが対向する第1及び第2の主表面を有する不織布層であって、無機繊維を含む不織布層と、
第1の主表面を形成する無機繊維の少なくとも一部に接触するように付着する第1の高分子層であって、そこを貫いて形成された、少なくとも1つの真空成形された吸引孔を含む第1の高分子層と、を含むマット。かかる第1の高分子層は、好ましくは三次元高分子層である。
2.かかる第1の高分子層が一定の面積を有し、複数の真空成形された吸引孔を含み、かかる吸引孔が第1の高分子層の面積全体に不均一に分散される、実施形態1に記載のマット。
3.かかる吸引孔のそれぞれが異なる孔の形状を有する、実施形態2に記載のマット。
4.かかる吸引孔のそれぞれが非対称形の孔である、実施形態2又は3に記載のマット。
5.通常互いに対向する第1及び第2の主表面を有する膨張性層と、を更に含み、かかる膨張性層の第1の主表面が不織布層の第2の主表面に付着する、実施形態1〜4のいずれか1つに記載のマット。
6.かかる不織布層が膨張性材料を更に含む不織布膨張性層である、実施形態1〜4のいずれか1つに記載のマット。
7.かかる不織布層が、不織布層の総重量に基づき、7重量パーセント以下の有機含有量を有する、実施形態1〜6のいずれか1つに記載のマット。
8.かかる不織布層が、不織布層の総重量に基づき、1重量パーセント以下の有機含有量を有する、実施形態1〜6のいずれか1つに記載のマット。
9.かかる不織布層が、不織布層の総重量に基づき、ゼロ重量パーセントの有機含有量を有する、実施形態1〜6のいずれか1つに記載のマット。
10.かかる第1の高分子層が、最大35マイクロメートルの平均厚さを有する、実施形態1〜9のいずれか1つに記載のマット。
11.かかる第1の高分子層が、5マイクロメートル〜25マイクロメートルの範囲の平均厚さを有する、実施形態1〜9のいずれか1つに記載のマット。
12.かかる第1の高分子層が、10マイクロメートル〜25マイクロメートルの範囲の平均厚さを有する、実施形態1〜9のいずれか1つに記載のマット。
13.かかる第1の高分子層が、熱可塑性であるポリマー(例えば、ポリプロピレン又はポリエチレンのうち少なくとも1つ)を含む、実施形態1〜12のいずれか1つに記載のマット。
14.不織布層が第1の高分子層と第2の高分子層との間にあるように付着する第2の高分子層を更に含み、かかる第2の高分子層が、そこを貫いて形成された、少なくとも1つの真空成形された吸引孔を含む、実施形態1〜13のいずれか1つに記載のマット。かかる第2の高分子層は、好ましくは三次元高分子層である。
15.かかる第2の高分子層が一定の面積を有し、複数の真空成形された吸引孔を含み、かかる吸引孔が第2の高分子層の面積全体に不均一に分散される、実施形態14に記載のマット。
16.かかる吸引孔のそれぞれが異なる孔の形状を有する、実施形態14又は15に記載のマット。
17.かかる吸引孔のそれぞれが非対称形の孔である、実施形態14〜16のいずれか1つに記載のマット。
18.かかる第2の高分子層が、熱可塑性であるポリマーを含む、実施形態14〜17のいずれか1つに記載のマット。
19.かかる第2の高分子層が、最大25マイクロメートルの平均厚さを有する、実施形態14〜18のいずれか1つに記載のマット。
20.かかる第2の高分子層が、5マイクロメートル〜25マイクロメートルの範囲の平均厚さを有する、実施形態14〜18のいずれか1つに記載のマット。
21.かかる第2の高分子層が、10マイクロメートル〜25マイクロメートルの範囲の平均厚さを有する、実施形態14〜18のいずれか1つに記載のマット。
22.かかる無機繊維が、ガラス繊維の総重量に基づき、合計95重量パーセント以下のSiO2及びAl2O3を含むガラス繊維を含む、実施形態1〜21のいずれか1つに記載のマット。
23.かかる無機繊維が耐火セラミック繊維を含む、実施形態1〜22のいずれか1つに記載のマット。
24.かかる無機繊維が多結晶性セラミック繊維を含む、実施形態1〜23のいずれか1つに記載のマット。
25.かかる無機繊維が生体溶解性繊維を含む、実施形態1〜24のいずれか1つに記載のマット。
26.かかる不織布層が、少なくとも900g/m2の坪量を有する、実施形態1〜25のいずれか1つに記載のマット。
27.かかる不織布層が、800g/m2〜8500g/m2の範囲の坪量を有する、実施形態1〜25のいずれか1つに記載のマット。
28.かかる繊維が少なくとも5マイクロメートルの直径を有する、実施形態1〜27のいずれか1つに記載のマット。
29.かかる不織布層が、ニードルパンチ、ウェットレイドプロセスによる製造、及びドライレイドプロセスによる製造、の少なくとも1つ、又はこれらの任意の組み合わせを施される、実施形態1〜28のいずれか1つに記載のマット。
30.かかる不織布層が、500℃超で加熱する前の出来上がった状態では、マットの総重量に基づき、7重量パーセント以下の有機材料を含有する、実施形態1〜29のいずれか1つに記載のマット。
31.かかる不織布層が、0.05g/cm3〜0.3g/cm3の範囲の出来上がった状態の嵩密度を有する、実施形態1〜30のいずれか1つに記載のマット。
32.かかる不織布層が、3mm〜50mmの範囲の平均厚さを有する、実施形態1〜31のいずれか1つに記載のマット。
33.かかるマットが非膨張性である、実施形態1〜4及び7〜32のいずれか1つに記載のマット。
34.かかるマットがバーミキュライトを含まない、実施形態1〜4及び7〜32のいずれか1つに記載のマット。
35.かかる不織布マットが、直径7.5cmのロッドに破断することなく巻き付けられるよう十分に可撓性がある、実施形態1〜34のいずれか1つに記載のマット。
36.少なくとも1つのレーザーカット縁部を有する、実施形態1〜35のいずれか1つに記載のマット。
37.かかる不織布層の第2の主表面に付着する第1の膨張性層を更に含む、実施形態1〜4及び7〜36のいずれか1つに記載のマット。
38.かかる第1の高分子層が露出した外側主表面を有し、少なくともその一部上に貼付された両面接着剤テープを有する、実施形態1〜37のいずれか1つに記載のマット。
39.かかる両面接着剤テープが剥離ライナーを含む、実施形態38に記載のマット。
40.かかる不織布層が、800g/m2〜3000g/m2の範囲の坪量を有する、実施形態1〜39のいずれか1つに記載のマット。
41.マットを包囲する耐火クロスと組み合わせる、実施形態1〜40のいずれか1つに記載のマット。
【0088】
例示的な汚染防止装置の実施形態
1.マットの実施形態1〜41のいずれか1つに記載のマットと共にケーシング内に実装されている汚染防止エレメントを含む汚染防止装置。
2.汚染エレメントが、触媒コンバータ、ディーゼル微粒子フィルタ又は選択的触媒低減エレメントのうちの1つである、実施形態1に記載の汚染防止装置。
【0089】
例示的な排気システムの実施形態
1.二重壁排気部品と、実施形態1〜41のいずれか1つに記載のマットと、を含み、かかるマットが二重壁排気部品の壁間の間隙内に配置される、排気システム。
2.かかる二重壁排気部品が排気パイプである、実施形態1に記載の排気システム。
3.かかる二重壁排気部品が、汚染防止装置の末端円錐部である、実施形態1に記載の排気システム。
4.かかる二重壁排気部品が排気マニフォルドである、実施形態1に記載の排気システム。
【0090】
例示的な物品の実施形態
1.半径rを有する物体と、
物理的に重複することなく実質的に物体半径の周囲に巻かれる、マットの実施形態1〜41のいずれか1つに記載のマットと、を含む物品。
2.かかるマットが、2πrの99パーセント以内の巻き付け長さを有する、実施形態1に記載の物品。
3.かかるマットが、2πrの98パーセント以内の巻き付け長さを有する、実施形態1に記載の物品。
4.かかるマットが、2πrの95パーセント以内の巻き付け長さを有する、実施形態1に記載の物品。
【0091】
本発明の範囲及び趣旨から外れることなく、本発明の予測可能な修正及び変更が当業者には自明であろう。本発明は、例証の目的のために本出願において説明された実施形態に限定されるべきではない。
【背景技術】
【0001】
ガソリンエンジン用の触媒コンバータ等の汚染防止装置は、30年間以上にわたり公知である。ここ数年間のディーゼル車に関するより厳格な規制によって、ディーゼル酸化触媒(DOC’s)、ディーゼル微粒子フィルタ(DPF’s)及び選択的触媒低減装置(SCR’s)を含む他の汚染防止装置の使用が急速に増加した。汚染防止装置は、一般に金属製ハウジング又はケーシングを含み、ケーシング内には汚染防止エレメントが弾力性かつ可撓性の実装マットにより堅固に実装されている。ディーゼル酸化コンバータを含む触媒コンバータは、モノリシック構造体に通常はコーティングされる触媒を含有する。金属モノリスも知られているが、モノリシック構造体は典型的にはセラミックである。ガソリンエンジン中の触媒は、一酸化炭素及び炭化水素を酸化させ、窒素酸化物を還元して、大気汚染を抑制する。ディーゼル酸化触媒は、すす粒子の可溶性有機成分及び存在する任意の一酸化炭素を酸化する。
【0002】
ディーゼル微粒子フィルタ又はトラップは典型的にウォールフロー型フィルタであり、典型的に多孔性結晶構造のセラミック材料から作製されるハニカム状のモノリシック構造を有する。ハニカム状構造の交互セルは、通常、排気ガスが1つのセルに入り、1つのセルの多孔質壁を強制的に通過させられ、隣接するセルを通って構造体から出て行くように埋め込まれる。この方法で、ディーゼル排気に存在する小さなすす粒子が回収される。時々、排気ガスの温度がすす粒子の焼却温度を超えて上昇し、そのためすす粒子が燃焼される。このプロセスは「再生」と称されている。
【0003】
選択的触媒還元装置は、構造及び機能において触媒コンバータと類似している(即ち、NOxを還元する)。気体又は液体還元剤(一般にアンモニア又は尿素)が選択的触媒還元装置モノリスに到達する前に、気体又は液体還元剤(一般にアンモニア又は尿素)が排気ガスに添加される。混合された気体は、NOx排出物とアンモニア又は尿素との間の反応を起こす。この反応は、NOx排出物を純粋な窒素及び酸素に変換する。
【0004】
汚染防止装置内で使用されるモノリス、特にセラミック汚染防止モノリスは脆く、振動又は衝撃による損傷及び破損を受け易い。セラミック汚染防止モノリスは、概して、それらを含有する金属製ハウジングより一桁低い熱膨張係数を有する。このことは、汚染防止装置が加熱されるにつれて、ハウジングの内側周辺壁とモノリスの外側壁との間の間隙が増大することを意味する。金属製ハウジングがマットの断熱効果によって、より小さい温度変化を経るにもかかわらず、金属製ハウジングの熱膨張係数がより高いことによって、ハウジングはセラミックモノリスの膨張よりも速く、より大きい周辺サイズに膨張する。そのような熱循環は、汚染防止装置の寿命及び使用中に何百回となく生じる。
【0005】
道路の衝撃及び振動によるセラミックモノリスへの損傷を避け、熱膨張の差を補い、モノリスと金属製ハウジングとの間を排気ガスが通過することを防ぐ(それにより触媒を迂回する)ために、セラミックモノリスと金属製ハウジングとの間に実装マットが配置される。これらのマットは所望の温度範囲にわたってモノリスを定位置に保持するのに十分な圧力を付与するが、セラミックモノリスを損傷させる程の圧力は付与しない。既知の汚染防止実装マットとしては、無機(例えば、セラミック)繊維、並びに有機及び/又は無機結合剤からなる膨張性及び非膨張性シート材料が挙げられる。
【0006】
自動車(例えば、内燃機関を有する自動車)の排気システムで用いる排気システムの部品の一部は、排気システムの部位である二重壁の間隙に断熱材を用いる。
【0007】
汚染防止装置は、典型的には、「点火」つまり一酸化炭素及び炭化水素の酸化を開始する前に、ある温度(例えば、250℃以上)に達していなくてはならない。したがって、それらはエンジンの近くに配置されるのが好ましい。加えて、断熱材は、典型的には汚染防止装置とコンバータのハウジングとの間に設けられ、一般には、熱損失を最小限にし、それにより「点火」が起こる時間を削減するために、エンジンと汚染防止装置との間の排気システムの部品を断熱することも好ましい。このことは、特に寒い気候において車のエンジンを最初にかける際に、ますます厳しくなる大気環境基準を満たすために特に重要である。
【0008】
したがって、断熱材は、典型的には触媒コンバータの末端円錐部領域に設置される。末端円錐部領域は、典型的には、外側金属円錐部及び内側金属円錐部を備え、2つの円錐部間に画定される間隙を備える二重壁構造を有する。断熱材は、内側及び外側金属ハウジング間の間隙に設置され得る。断熱材は、マットの形状、又は三次元形状であってもよい。排気システムの部品で使用するのに、様々な断熱材が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
可撓性が向上し、繊維の脱落が低減し、及び/又は有機含有量が比較的低いものなどを含む、更なる実装マット及び断熱材が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様では、通常は互いに対向する第1及び第2の主表面と、第1の高分子層と、を有する不織布層を含むマットが提供される。不織布層は無機繊維を含む。第1の高分子層は、第1の主表面を形成する無機繊維の少なくとも一部に接触するように付着する。第1の高分子層は、高分子層を貫いて形成された、少なくとも1つの真空成形された吸引孔、及び好ましくは複数の真空成形された吸引孔を含む。「吸引孔」は、高分子層を貫いて形成された孔を指し、高分子層が軟化点及び/又は融点まで加熱されると、真空により高分子フィルムを貫いた吸引孔を形成させる。
【0011】
第1の例示的な実施形態では、本開示は、
通常対向する第1及び第2の主表面を有する不織布層であって、無機繊維を含む不織布層と、
かかる第1の主表面に付着する第1の三次元高分子層と、を含むマットと、
かかるマットを包囲する耐火クロスと、を含む物品について説明する。
【0012】
一部の実施形態では、無機繊維層は、800g/m2〜8500g/m2の範囲の坪量を有する。典型的には、マットは、不織布層の総重量に基づき、7(6、5、4、3、2、1、又は更にはゼロ)重量パーセント以下の有機含有量を有する。典型的には、第1の高分子層の平均厚さは、最大35マイクロメートルである(一部の実施形態では、最大30、25、20、15、又は更には最大10マイクロメートルであり、一部の実施形態では、10マイクロメートル〜25マイクロメートルの範囲である)。
【0013】
第2の例示的な実施形態では、本開示は、
通常対向する第1及び第2の主表面を有する不織布層であって、無機繊維を含む不織布層と、
かかる第1の主表面に付着する第1の三次元高分子層と、
通常対向する第1及び第2の主表面を有する膨張性層と、を含むマットであって、かかる膨張性層の第1の主表面が不織布層の第1の主表面に付着するマットについて記載する。典型的には、不織布層は、マットの総重量に基づき、7(6、5、4、3、2、1、又は更にはゼロ)重量パーセント以下の有機含有量を有する。一部の実施形態では、無機繊維層は、800g/m2〜8500g/m2の範囲の坪量を有する。典型的には、第1の高分子層の平均厚さは、最大35マイクロメートルである(一部の実施形態では、最大30、25、20、15、又は更には最大10マイクロメートルであり、一部の実施形態では、10マイクロメートル〜25マイクロメートルの範囲である)。
【0014】
第3の例示的な実施形態では、本開示は、
無機繊維と、
膨張性材料と、を含む、通常対向する第1及び第2の主表面を有する不織布膨張性層と、
かかる第1の主表面に付着する第1の三次元高分子層と、を含むマットについて記載する。一部の実施形態では、無機繊維層は、800g/m2〜8500g/m2の範囲の坪量を有する。典型的には、不織布層は、不織布層の総重量に基づき、7(6、5、4、3、2、1、又は更にはゼロ)重量パーセント以下の有機含有量を有する。典型的には、第1の高分子層の平均厚さは、最大35マイクロメートルである(一部の実施形態では、最大30、25、20、15、又は更には最大10マイクロメートルであり、一部の実施形態では、10マイクロメートル〜25マイクロメートルの範囲である)。
【0015】
第4の例示的な実施形態では、本開示は、
通常対向する第1及び第2の主表面を有する不織布層であって、無機繊維を含む不織布層と、
かかる第1の主表面に付着する第1の三次元高分子層と、を含むマットであって、
少なくとも1つのレーザーカット縁部を有するマットについて記載する。典型的には、マットは、不織布層の総重量に基づき、7(6、5、4、3、2、1、又は更にはゼロ)重量パーセント以下の有機含有量を有する。典型的には、第1の高分子層の平均厚さは、最大35マイクロメートルである(一部の実施形態では、最大30、25、20、15、又は更には最大10マイクロメートルであり、一部の実施形態では、10マイクロメートル〜25マイクロメートルの範囲である)。一部の実施形態では、無機繊維層は、800g/m2〜8500g/m2の範囲の坪量を有する。
【0016】
マット及び本明細書に記載のマットを含む物品は、例えば、汚染防止装置及び断熱用途(例えば、排気システム(例えば、排気パイプ、汚染防止装置の吸気口若しくは出口端円錐部、又は内燃機関エンジンの排気マニフォルド)の様々な部品を断熱するため)において有用である。例示的な汚染防止装置は、本明細書に記載する不織布マットと共にケーシング内に実装される汚染防止エレメント(例えば、触媒コンバータ、ディーゼル微粒子フィルタ又は選択的触媒低減エレメント)を含む。例示的な排気システムは、二重壁排気部品と、マット又は本明細書に記載のマットを含む物品と、を含み、ここで物品又はマットは、二重壁排気部品の壁間の間隙に配置されている。
【0017】
別の実施形態では、本開示は、二重壁排気部品と、二重壁排気部品の壁間の間隙に配置されるマットと、を含む排気システムについて記載し、かかるマットは、
通常対向する第1及び第2の主表面を有する不織布層であって、無機繊維を含む不織布層と、
かかる第1の主表面に付着する第1の三次元高分子層と、を含む。典型的には、不織布層は、不織布層の総重量に基づき、7(6、5、4、3、2、1、又は更にはゼロ)重量パーセント以下の有機含有量を有する。典型的には、第1の高分子層の平均厚さは、最大35マイクロメートルである(一部の実施形態では、最大30、25、20、15、又は更には最大10マイクロメートルであり、一部の実施形態では、10マイクロメートル〜25マイクロメートルの範囲である)。一部の実施形態では、無機繊維層は、800g/m2〜8500g/m2の範囲の坪量を有する。
【0018】
別の実施形態では、本開示は、
通常対向する第1及び第2の主表面を有する不織布層であって、通常対向する第1及び第2の主表面を有する無機繊維を含む不織布層と、
かかる第1の主表面に付着する第1の三次元高分子層と、を含むマットを伴うケーシング内に実装される汚染防止エレメントを含む、汚染防止装置について記載する。典型的には、不織布層は、不織布層の総重量に基づき、7(6、5、4、3、2、1、又は更にはゼロ)重量パーセント以下の有機含有量を有する。典型的には、第1の高分子層の平均厚さは、最大35マイクロメートルである(一部の実施形態では、最大30、25、20、15、又は更には最大10マイクロメートルであり、一部の実施形態では、10マイクロメートル〜25マイクロメートルの範囲である)。一部の実施形態では、無機繊維層は、800g/m2〜8500g/m2の範囲の坪量を有する。
【0019】
別の実施形態では、本開示は、
半径rを有する物体(例えば、汚染防止エレメント)と、
物理的に重複することなく(典型的には、2πrの95パーセント以内であり、一部の実施形態では、2πrの96、97、98、又は更には99パーセント以内)、実質的に物体半径の周囲に巻かれるマット(例えば、本明細書に記載のマット)と、
通常対向する第1及び第2の主表面を有する不織布層であって、無機繊維を含む不織布層と、
かかる第1の主表面に付着する第1の三次元高分子層と、を含む物品について記載する。
【0020】
本明細書に記載の不織布マット及び物品の典型的な実施形態の利点としては、高分子層の存在による繊維の脱落の低減が挙げられる。本明細書に記載の不織布マット及び物品に伴う高分子層は、その中の繊維層と比べて、不織布マット及び物品の表面への更に良好な付着表面を任意に提供でき、更に、例えば直径7.5cmのロッド周囲に巻くとき、不織布層の亀裂又は破断を防ぐ場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本明細書に記載の例示的なマットの断面図。
【図2】本明細書に記載の例示的なマットの断面図。
【図3】本明細書に記載の例示的なマットの断面図。
【図4】本明細書に記載の例示的な汚染防止装置の斜視図。
【図5】本明細書に記載の例示的な汚染防止装置の斜視図。
【図6】本明細書に記載の例示的な排気パイプの長手方向断面図。
【図7】実施例1のマットの高分子層の、走査型電子顕微鏡による倍率がそれぞれ50倍及び200倍のデジタル画像。
【図8】実施例1のマットの高分子層の、走査型電子顕微鏡による倍率がそれぞれ50倍及び200倍のデジタル画像。
【図9】実施例1のマットのダイカット縁部の、走査型電子顕微鏡による倍率200倍のデジタル画像。
【図10】実施例1のマットのレーザーカット縁部の、走査型電子顕微鏡による倍率200倍のデジタル画像。
【図11】高分子層中に真空成形された吸引孔を有する、本発明によるマットの製造プロセスの1つの実施形態のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1を参照すると、本明細書に記載の例示的なマット10は、不織布無機層11、第1の高分子層12、任意の第2の高分子層13、任意の接着剤14、及び任意の剥離ライナー15を有する。
【0023】
図2を参照すると、本明細書に記載の例示的なマット20は、不織布無機層21、第1の高分子層22、任意の膨張性層26、及び任意の第2の高分子層23を有する。
【0024】
図3を参照すると、本明細書に記載の例示的なマット30は、不織布無機膨張性層31、第1の高分子層32、及び任意の第2の高分子層33を有する。
【0025】
図4を参照すると、汚染防止装置110は、概ね切頭円錐型の吸気口112と出口端113とをそれぞれ有する金属製ケーシング111を含む。ケーシング111内には、本開示によるマット130で包囲された汚染防止エレメント120が配置されている。実装マットは、ケーシング111内のモノリシックエレメント120をきつくであるが、弾性的に支持及び保持する働きをし、汚染防止エレメントケーシング111の間の間隙を封止して、排気ガスが汚染防止エレメント120を迂回するのを防止する又は低減する(好ましくは最小限に抑える)。
【0026】
図5を参照すると、汚染防止装置210は、概ね切頭円錐型の吸気口212と出口端213とをそれぞれ有する金属製ケーシング211、及び遮熱材216を備える。ケーシング211内には、本開示による第1のマット230で包囲された汚染防止エレメント220が配置されている。実装マットは、ケーシング211内のモノリシックエレメント220をきつくであるが、弾性的に支持及び保持する働きをし、汚染防止エレメントケーシング211の間の間隙を封止して、排気ガスが汚染防止エレメント220を迂回するのを防止する又は低減する(好ましくは、最小限に抑える)。本開示による第2のマット240は、ケーシング211と遮熱材との間に配置される。マット240は、断熱を行う働きをする。
【0027】
図6を参照すると、排気パイプ119は、第1の外側金属壁122と第2の内側金属壁120とを有する二重壁を含む。本開示による不織布マット124は、外壁122と内壁120との間の間隙の中に配置されて、断熱を行う。排気パイプ119の二重壁は、排気パイプ119が自動車の排気システム内で使用される際に、内部を排気ガスが流れる内部空間126を包囲する。
【0028】
本明細書で使用されるとき「繊維」は、少なくとも5マイクロメートルの長さ、及び少なくとも3:1のアスペクト比(すなわち、直径に対する長さ)を有する。
【0029】
例示的な無機繊維として、様々な酸化物、例えばシリケート、アルミネート、アルミノ−シリカ化合物、ジルコン、生体溶解性組成物(例えば、ケイ酸カルシウムマグネシウム、及びケイ酸マグネシウム)、ガラス組成物(例えば、S−ガラス及びE−ガラス)、非晶質、結晶質、及び部分結晶質組成物、並びに鉱物繊維(玄武岩)、鉱物綿、並びに組み合わせ、加えて炭化物(例えば、炭化ケイ素及び炭化ケイ素)、窒化物(例えば、窒化ケイ素及び窒化ホウ素)、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0030】
一部の実施形態では、無機繊維層は、軟化点を有し、無機繊維の総重量に基づき、合計95重量パーセント以下のSiO2(存在する場合)及びAl2O3(存在する場合)を含む、ガラス(すなわち、非晶質材料)(すなわち、いかなる長周期結晶構造も持たない融解相及び/又は蒸気相から得た材料)を含み、ここでガラスは、ASTM C338−93(2008)(その開示が参照により本明細書に組み込まれる)により決定され、少なくとも400℃である軟化点を有する。例示的なガラス繊維として、例えば、ケイ酸アルミニウムマグネシウムガラス繊維が挙げられる。
【0031】
例示的なケイ酸アルミニウムマグネシウムガラス繊維には、E−ガラス繊維、S−ガラス繊維、S−2ガラス繊維、R−ガラス繊維、及びそれらの混合物が挙げられる。E−ガラス、S−ガラス及びS−2ガラスは、例えばAdvanced Glassfiber Yarns,LLC,Aiken,SCから市販されている。R−ガラスは、例えばSaint Gobain Vetrotex,Chambery,Franceから市販されている。
【0032】
一部の実施形態では、無機繊維層は、耐火セラミック繊維(例えば、アルミノケイ酸繊維(焼きなまされた非晶質アルミノケイ酸繊維など)、アルミナ繊維、シリカ繊維、及び玄武岩繊維)を含む。耐火セラミック繊維に関連して「耐火」とは、焼成カオリン粘土又はアルミナ及びシリカの混合物を融解し、吹き込み、又は紡糸することにより製造された非晶質人工無機材料を指す。他の酸化物、例えばジルコニア、チタニア、マグネシア、酸化鉄、酸化カルシウム、及びアルカリ類も存在してもよい。耐火性材料のSiO2含量は20重量パーセントを超え、Al2O3は20重量%を超え、SiO2及びAl2O3は、合計で少なくとも95%の無機材料を含む。任意に、熱処理により、耐火セラミック繊維を部分的に又は完全に結晶化してもよい。例示的なアルミノケイ酸非晶質耐火セラミック繊維には、ブローン又は紡糸非晶質耐火セラミック繊維(例えば、Thermal Ceramics(Augusta,GA)から商品名「KAOWOOL」及び「CERAFIBER」で市販、及びCorporation,Niagara Falls(NY)から商品名「FIBERFRAX」で市販)が挙げられる。
【0033】
一部の実施形態では、無機繊維層は、多結晶性セラミック繊維(例えば、Saffil Automotive(Chelsea,MI)から商品名「SAFFIL」で、及びMitsubishi Chemicals USA,Inc.(Chesapeake,VA)から商品名「MAFTEC」で市販されるものなど)を含む。
【0034】
一部の実施形態では、無機繊維層は、生体溶解性繊維(例えば、ケイ酸マグネシウム繊維又はケイ酸カルシウムマグネシウム繊維のうち少なくとも1つ)を含む。
【0035】
本明細書で使用する時、「生体溶解性無機繊維」は、生理学的媒質又はシミュレートした生理学的媒質内で分解性の無機繊維を指す。生理学的媒質は、動物又は人間の肺などの気道内に典型的に見出される体液を指すが、これらに限定されない。例示的な生体溶解性無機繊維として、ケイ素、マグネシウム、及びカルシウムの酸化物からなるもの(ケイ酸カルシウムマグネシウム繊維など)が挙げられる。これらのタイプの繊維は、典型的に、ケイ酸カルシウムマグネシウム繊維、及びケイ酸マグネシウムと呼ばれる。
【0036】
生体溶解性繊維は、例えばUnifrax Corporation(Niagara Falls,NY)から商品名「ISOFRAX」及び「INSULFRAX」で、Nutec Fiberatec,Monterrey(Mexico)から商品名「SUPERMAG 1200」で、及びThermal Ceramics(Augusta,GA)から商品名「SUPERWOOL」で市販されている。「SUPERWOOL 607」生体溶解性繊維は、例えば60〜70重量パーセントのSiO2、25〜35重量パーセントのCaO、4〜7重量パーセントのMgO、及び微量のAl2O3を含む。
【0037】
本明細書で使用されるとき、用語「熱処理シリカ繊維」は、少なくとも95重量パーセントのSiO2を含む無機繊維を指し、この繊維は、少なくとも5分間の熱処理時間中に少なくとも400℃の熱処理温度に暴露されている。
【0038】
例示的な熱処理高シリカ含量繊維は、例えば、Hitco Carbon Composites,Inc.(Gardena,CA)から商品名「REFRASIL」で市販されている。例えば「REFRASIL F100」繊維は、約96〜約99重量パーセントのSiO2を含有する。
【0039】
玄武岩繊維は、鉱物玄武岩から形成される。玄武岩は、殆どの国で見出すことができる硬く緻密な火山岩である。玄武岩を粉砕し、洗浄し、溶融し、白金−ロジウム押出ブッシングに供給して、連続フィラメントを形成する。繊維は鉱物に由来するため、繊維の組成物は変動し得るが、概して約45〜約55重量パーセントのSiO2、約2〜約6重量パーセントのアルカリ、約0.5〜約2重量パーセントのTiO2、約5〜約14重量パーセントのFeO、約5〜約12重量パーセントのMgO、少なくとも約14重量パーセントのAl2O3、及び多くの場合、ほぼ約10重量パーセントのCaOの組成物を有する。
【0040】
任意に、不織布層、又は膨張に必要な本明細書に記載のマットの別の層は、膨張性材料(例えば、バーミキュライト)を更に含む。一部の実施形態では、マットが非膨張性(すなわち、膨張性材料を含まない(例えば、バーミキュライトを含まない))ことが好ましい。膨張性材料は、不織布層中に、及び/又は1つ以上の別個の層として存在してもよい。本明細書で使用されるとき、「非膨張性」とは、同じ条件下で厚みに関して10%未満の自由膨張を示す材料を指す。一部の非膨張性材料は、加熱されると、8パーセント未満、6パーセント未満、4パーセント未満、2パーセント未満、又は1パーセント未満で膨張する。
【0041】
一部の実施形態では、本明細書に記載の不織布層は、不織布層の重量に基づき、最大7(又はそれ以上)重量パーセントの量の有機結合剤を更に含有する。不織布層を包含する多層マットが汚染防止装置内で典型的に遭遇するもの等の高温で使用されるとき、有機結合剤は、典型的には焼いて除去される。
【0042】
本明細書に記載の不織布層は、当該技術分野において公知の、例えば湿式(典型的にはウェットレイド)又は乾式(典型的にはドライレイド)プロセスを用いて製造されてもよい。任意に、本明細書に記載の不織布層を熱処理してもよい。
【0043】
一部の実施形態では、無機繊維はショットを含まないか、又は非常に少量(例えば、繊維の総重量に基づき、1重量%未満)のショットを含有し、一方、別の実施形態では、ショット含量は繊維の総重量に基づき、50重量%を超えてもよい。
【0044】
任意に、本明細書に記載の実装マットの一部の実施形態の少なくとも不織布層は、ニードルパンチされる(すなわち、例えば、有刺針によってマットを複数回完全に又は部分的に(一部の実施形態では、完全に)貫通させることによって繊維の物理的絡み合いがその部分に存在する)。不織布マットは、従来のニードルパンチング装置を用いてニードルパンチできる。
【0045】
任意に、本明細書に記載の実装マットの一部の実施形態は、従来の技術(例えば、米国特許第4,181,514号(Lefkowitzら)を参照、この開示は、不織布マットをステッチボンド法の教示について参照することによって本書に組み込まれる)を用いてステッチボンドされる。
【0046】
膨張性層は、少なくとも1つの種類の膨張性材料を含む。膨張性層としては、更に無機繊維、有機結合剤、可塑剤、湿潤剤、分散剤、消泡剤、ラテックス凝固剤、殺真菌剤、充填剤材料、無機結合剤、及び有機繊維を挙げることができる。
【0047】
例示的な膨張性材料としては、非膨張性バーミキュライト、ハイドロ黒雲母、米国特許第3,001,571号(Hatch)に記載されているような水膨潤性合成テトラケイ酸フッ素系雲母、米国特許第4,521,333号(Grahamら)に記載されているようなアルカリ金属ケイ酸塩顆粒、膨張性グラファイト、又はその組み合わせが挙げられる。アルカリ性金属シリケート顆粒は、例えば、3M Company(St.Paul,MN)から商品名「EXPANTROL 4BW」で市販されている。膨張性グラファイトは、例えば、UCAR Carbon Co.,Inc.(Cleveland,OH)から商品名「GRAFOIL GRADE 338−50」で市販されている。非膨張性バーミキュライトは、例えば、Cometals Inc.(New York,NY)から市販されている。用途によっては、膨張性材料は、非膨張性バーミキュライト、膨張性グラファイト又はそれらの組み合わせから選択される。バーミキュライトは、例えばニ水素リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、塩化カリウム又は当該技術分野において既知の他の可溶性塩等の塩で処理されてよい。
【0048】
膨張性層は、多くの場合、膨張性層の重量に基づき、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも40又は少なくとも60重量パーセントの膨張性材料を含有する。膨張性層によっては、層は、無機繊維がなくてもよい。他の膨張性層において、層は、無機繊維及び有機繊維がなくてもよい。更に他の膨張性層において、層は、膨張性層の重量に基づき、5〜約85重量パーセントの膨張性材料及び20重量パーセント未満の有機結合剤を含有する。無機繊維は、幾つかの膨張性層内に含まれる。
【0049】
例示的な膨張性層は、例えば、3M Company(St.Paul,MN)から商品名「INTERAM 100」、「INTERAM 200」、「INTERAM 550」、及び「INTERAM 2000 LT」で市販されている。これらの層は通常、約0.4〜約0.7g/cm3の嵩密度、及び約1050g/m2〜約8140g/m2の単位面積あたり重量を有する。別の例示的な膨張性層は、例えば、3M Companyから商品名「INPE 570」で市販されている。この層は通常、約1050g/m2〜約4070g/m2の単位面積あたりの重量を有し、欧州非分類繊維規制に適合する無機繊維を含有する。
【0050】
膨張性層を含む本明細書に記載のマットの一部の実施形態では、不織布層はガラス繊維を含有し、膨張性層はバーミキュライトを含有する。
【0051】
任意に、縁部保護材を本明細書に記載のマットに添加してもよい。縁部保護材は、例えば、米国特許第5,008,086号(Merry)(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるような、縁部周囲に巻かれたステンレス鋼線材であり得る。他の好適な縁部保護材として、例えば、米国特許第4,156,533号(Closeら)(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるような、編み組みされた、又はロープ様のガラス、セラミック、又は金属繊維が挙げられる。縁部保護材は、例えば、欧州特許639 701 A2号(Howorthら)、同639 702 A2号(Howorthら)、及び同639 700 A2号(Stroomら)(これらの全てが参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるような、ガラス粒子を有する組成物から形成されてもよい。
【0052】
マット中の特定の層の厚さは、特定の用途に応じて可変であり得る。一部の実施形態では、膨張性層(存在する場合)の厚さは、各不織布層の厚さ以下である。一部の用途では、膨張性層(存在する場合)の厚さは、不織布層の厚さの50パーセント以下、45パーセント以下、40パーセント以下、35パーセント以下、30パーセント以下、25パーセント以下、又は20パーセント以下である。
【0053】
一部の実施形態では、本明細書に記載の不織布層は、1mm〜35mmの範囲(一部の実施形態では、5mm〜25mm、5mm〜20mm、又は更には5mm〜15mmの範囲)の厚さを有する。一部の実施形態では、本明細書に記載の膨張性(不織布膨張性を含む)層は、1mm〜25mmの範囲(一部の実施形態では、1mm〜20mm、1mm〜15mm、又は更には1mm〜10mmの範囲)の厚さを有する。一部の実施形態では、本明細書に記載のマットは、3mm〜50mmの範囲(一部の実施形態では、5mm〜35mm、5mm〜20mm、又は更には5mm〜10mmの範囲)の厚さを有する。
【0054】
一部の実施形態では、本明細書に記載の不織布マット及び不織布層は、第2の主層に付着する第2の高分子層を更に含む。典型的には、第2の高分子層の厚さは、最大35マイクロメートルである(一部の実施形態では、最大30、25、20、15、又は更には最大10マイクロメートルであり、一部の実施形態では、10マイクロメートル〜25マイクロメートルの範囲である)。
【0055】
様々な熱可塑性及び/又は熱成形性ポリマーが、高分子層に有用である。例示的な高分子層は、ポリプロピレン及びポリエチレン(例えば、低密度ポリエチレン及び線状低密度ポリエチレン)、ポリウレタン、ポリアミド、ポリブタジエン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエステル、コポリマー類、及びこれらのブレンドを含む。高分子層は三次元であり(すなわち、高分子層は一般に、これらの繊維の外側表面にぴったり一致する)、ここで高分子材料は、高分子表面の「z」方向へのトポグラフィー変化が高分子フィルム層の平均厚さを超える全体的な三次元構造を有し、典型的には、適用される主表面内に少なくとも部分的にある(すなわち、主表面の層内を少なくとも部分的に貫通する)(例えば、図7及び8参照、それぞれ繊維81及び82を有する不織布層の主表面上の、それぞれ高分子層71及び81を示す)。三次元高分子層は、典型的には、それが接触する露出された主表面に露出した繊維と密に接触する。典型的には、三次元高分子フィルムと繊維層との間の結合力は、繊維層の結合力よりも大きい。
【0056】
高分子層を本明細書に記載のマットの製造に提供してもよく、それは例えば、
通常対向する第1及び第2の主表面を有する不織布層であって、無機繊維を含む不織布層を提供する工程と、
かかる不織布層の第2の主表面に真空を適用する工程と、
かかる第1の主表面に第1の高分子層を付着してマットを提供する工程と、を含む方法によるものである。任意に、この方法は、第1の主表面に付着された第1の高分子層に真空を適用する工程と、第2の主表面に第2の高分子層を付着して第2の高分子層を有するマットを提供する工程と、を更に含む。少なくとも第1の高分子層に存在する穿孔を有することが望ましい。このような穿孔は、真空プロセスによる不織布層に第2の高分子層を付着するプロセスを促進する。第1の高分子層に穿孔があることにより、空気が第1の高分子層を通って不織布層を引っ張ることができ、それにより不織布層中で真空を形成し、第2の主表面上に第2の高分子層を引っ張ることができる。
【0057】
例えば、高分子層を通して、少なくとも1つ及び好ましくは複数の真空成形された吸引孔を形成するため、本明細書に記載のマットで用いられる高分子層を穿孔することができる。第1の高分子層を通して形成された孔は、第2の高分子層を付着するとき、真空により第1の高分子層を通して引っ張ることができる。「吸引孔」は、高分子層が無機繊維を含む不織布層の主表面上に配置され、真空でその不織布層の主表面の反対側を引っ張る際に、高分子層を通して形成された孔を指すことができ、一方、高分子層が軟化点まで加熱され、真空により(a)不織布層中の無機繊維と接触する高分子層を引っ張ること、及び(b)高分子フィルムを通る1つ以上の吸引孔を形成することを可能にする。加熱工程は、高分子層中で局部的な融解を引き起こす可能性があり、真空が吸引孔を形成するのを促進する。
【0058】
高分子層を無機繊維に接触するように引っ張ることで、高分子層を三次元高分子層に形成する結果となる。吸引孔は、典型的には、不織布層の主表面における無機繊維間の空間全体に広がる、高分子層の領域内に形成される。例えば、図7及び8に見られる吸引孔(すなわち、黒点)を参照されたい。高分子層は一定の面積を有し、複数の真空成形された吸引孔を含むことができる。吸引孔は、典型的には高分子層の面積全体に不均一に分散される。各吸引孔は、典型的には異なる孔の形状を有する。各吸引孔は、多くの場合、図7及び8に示すもののように非対称形の孔である。
【0059】
図11を参照すると、このような真空成形された吸引孔の形成の1つのプロセスでは、不織布層又はマット材料であるロール状ウェブ41をほどくためのステーション44、高分子層又はシート材料であるロール状ウェブ42をほどくためのステーション46、不織布材料ウェブ41の上側主表面の上方に高分子材料ウェブを誘導し、配置するためのガイドローラー48、不織布材料ウェブ41の下部に配置される最大3ヶ所の真空ゾーン52a、52b、及び52cを有する真空箱、高分子材料ウェブ42の上方に配置される熱源54(例えば、電気的加熱エレメント)、及びマット材料である得られたウェブ50(すなわち、少なくとも高分子層42及び不織布層41の組み合わせ)をロール状に巻き取るためのステーション60を備える、装置40を利用する。ステーション60はマットウェブ50を引っ張り、それにより個々のウェブ41及び42は加熱ゾーン56を、続いて冷凍、又は冷却ゾーン58を通る。
【0060】
不織布ウェブ材料41は、十分に多孔質であり、不織布材料を通して真空を十分に生じさせることが可能で、高分子材料であるウェブが、不織布ウェブ42の上側主表面に対して引っ張り下げられる(すなわち、吸引される)。第1の真空ゾーン52aにより引かれる真空力により、ガイドローラー48を過ぎて運ばれる間、ウェブ41及び42はまとまっている。ウェブ41及び42が加熱ゾーン56を通って運ばれる間、高分子ウェブ42を少なくとも軟化、又は部分的に融解するように、熱源54からの熱が矢印55の方向に放射される。ゾーン56で高分子ウェブ42が軟化及び/又は融解するのと同時に、真空ゾーン52bで生じた真空を制御し、不織布材料の繊維に対して三次元形状に変形させるように、高分子ウェブ42を引っ張らせることができる。特にウェブ42が軟化又は融解される場合、ゾーン52bの真空により、高分子ウェブ42を貫通して吸引孔を形成させることもできる。いったん吸引孔が開口すると、熱源54により加熱された空気を、吸引孔を通って不織布ウェブ材料41に引き込むことができる。この加熱された空気(矢印55を参照)からの更なる熱は、ウェブ42の軟化及び/又は融解を促進でき、それにより、ウェブ42に形成された吸引孔の数量の増加、存在する吸引孔の寸法の拡大、高分子ウェブ42と不織布ウェブ41との間の結合を促進、又はこれらの任意の組み合わせを行う。冷却ゾーン58内の温度は、硬化及び/又は凝固のため、高分子材料ウェブ42を軟化及び/又は融解させるゾーン56のものより十分に低い。ゾーン52cに適用される真空により、ウェブ42の吸引孔を通して矢印59の方向に低温空気が引かれ、事前に加熱されたウェブ41及び42を冷却する。ゾーン52cの真空によりもたらされる冷却効果に加え、従来の冷凍装置又は空調装置の使用により、ゾーン58の冷却を任意に補助することもできる。
【0061】
高分子材料である第1のウェブ42内に真空成形された吸引孔は、第2の高分子層を不織布ウェブ41の別の主表面に結合できるようにする。第2の高分子層の適用には、ステーション60で巻き取られたマットウェブ50のロールをステーション44に配置でき、ウェブ50の向きを、穿孔された高分子ウェブ42が不織布ウェブ41の下方に置かれ、ウェブ41の別の主表面が露出し表向きになるようにする。次いで、上述と同様の方式で装置40を用いて、同一又は異なる高分子材料である別のウェブ42を、露出されたウェブ41の主表面に付着できる。第1のウェブ42内に事前に形成された吸引孔により、ゾーン52a、52b及び52cで生じた真空が、不織布ウェブ41内の真空を引っ張れるようにする。
【0062】
任意に、マットは1つ以上の膨張性層も含み、及び任意に、上述の方法を用いて高分子層を膨張性層の主表面に適用する。
【0063】
任意に、両面接着剤テープを、第1の高分子層の露出した外側主表面の少なくとも一部に貼付する。任意に、両面接着剤テープとして、剥離ライナーが挙げられる。
【0064】
好ましくは、無機繊維層は、少なくとも300g/m2、400g/m2、500g/m2、600g/m2、700g/m2、800g/m2、900g/m2、1300g/m2、2000g/m2、又は更には少なくとも3100g/m2(一部の実施形態では、300g/m2〜8500g/m2の範囲)の坪量を有する。
【0065】
本明細書に記載の不織布層及びマットは、500℃超で加熱する前の出来上がった状態では、状況に応じ、不織布又はマットの総重量に基づき、7(一部の実施形態では、6、5、4、3、2、1以下、又は更にはゼロ)重量パーセント以下の有機材料を含有する。
【0066】
本明細書に記載の不織布層及びマットは、典型的には、直径7.5cmのロッドに破断することなく巻き付けられるよう十分に可撓性がある。マットは、通常、破断又は亀裂することなく取扱われ、汚染防止装置の汚染防止エレメントに巻き付けることができる。汚染防止エレメントに巻き付けられるとき、多層マットの末端を様々な接合部で止めてもよい。
【0067】
本明細書に記載のマット及び不織布層を、例えばダイカット又はレーザーカット技術を用いて切断できる。出願人らは、ダイカット用器具を用いると、多くの場合、縁部に沿って高分子フィルムと不織布との間の接着品質が劣化することを観察しているため、レーザーカット縁部が好ましい。この部分的層剥離は、マット性能に影響し、性能を低下し得る(露出した縁部での繊維の脱落の増加、マット取り付けプロセスの干渉など)。レーザービームを用いて本明細書に記載のマットからパーツを切断すると、高分子層の層剥離を著しく制限できることが判明した。レーザービームが不織布に含まれる繊維周囲の高分子層を局部的に軟化及び/又は融解するため、レーザービームを用いてパーツを切断した後は、マットの主表面(高分子フィルムを含む)と副表面との間の交点、又は切断中に生じた縁部は封止される。レーザービームはまた、切断中に生じた副表面又は縁部も封止でき、更なる繊維の脱落を防ぐ。
【0068】
図9を参照すると、本明細書に記載の例示的なマット(実施例1)のダイカット縁部の走査型電子顕微鏡による倍率200倍のデジタル画像では、高分子層91、繊維92、及び高分子層91のダイカット縁部93を有するマットが示される。図10を参照すると、本明細書に記載の例示的なマット(実施例1)のレーザーカット縁部の走査型電子顕微鏡による倍率200倍のデジタル画像では、高分子層1001、繊維1002を有するマットが示され、及び高分子層1001のレーザーカット縁部1003が示される。
【0069】
本明細書で使用するとき、本明細書に記載のマットを包囲する布地における「耐火性」とは、450℃を超える軟化点(ASTM C338−93(2008)により決定され、その開示が参照により本明細書に組み込まれる)又は融点のうち少なくとも1つを有する材料を意味する。本明細書に記載のマットを包囲する例示的な耐火クロスとして、ガラス布及びシリカ布が挙げられる。本明細書に記載のマットを包囲する例示的な耐火クロスは、AVS Industries,LLC(New Castle,DE)から商品名「AVS FIBER GLASS FABRICS」、「FLXGLAS HT TREATED FIBERGLASS FABRICS」、及び「AVSIL PLAIN WEAVE SILICA FABRICS」で市販されている。
【0070】
金属ケーシングは、そのような使用に関して当技術分野にて公知の、ステンレス鋼を含む、材料から作製することができる。
【0071】
不織布マットは、例えば排気パイプ、汚染防止装置の入口若しくは出口末端円錐部、又は内燃機関エンジンの排気マニフォルドを含む、排気システムの様々な構成成分を断熱する断熱材料として使用することができる。本明細書に記載する不織布マットは、例えば汚染防止装置内にて有用である。汚染防止装置は、典型的には、本明細書に記載の不織布マットと共にケーシング内に実装される汚染防止エレメント(例えば、触媒コンバータ、ディーゼル微粒子フィルタ又は選択的触媒低減エレメント)を含む。二重壁排気部品(例えば、排気パイプ、末端円錐部の末端キャップ、若しくは汚染防止装置の別の部分、及び/又は排気マニフォルド)と、本明細書に記載の不織布マットと、を含む排気システムでは、不織布マットは、二重壁部品の第1の外壁と第2の内壁との間の間隙に実装されてもよい。例示的な実装密度は、約0.1g/cm2〜0.6g/cm2の範囲にある。
【0072】
本明細書に記載する実装マットで実装することができる例示的な汚染防止エレメントには、ガソリン汚染防止エレメント及びディーゼル汚染防止エレメントが挙げられる。汚染防止エレメントは、触媒コンバータ若しくは微粒子フィルタ、又はトラップであってもよい。触媒コンバータは、金属製ハウジング内に実装されるモノリシック構造体に通常はコーティングされる触媒を含有する。この触媒は、通常、温度要件で動作し、有効であるように適応される。例えば、ガソリンエンジンと共に使用するために、触媒コンバータは、典型的には、400℃〜950℃の範囲の温度で効果的であるべきであるが、ディーゼルエンジン用には、より低い温度(典型的には350℃以下)が一般的である。金属モノリスも時折使用されているが、モノリシック構造体は、典型的にはセラミックである。触媒は、大気汚染を抑制するために、排出ガス中の一酸化炭素及び炭化水素を酸化させ、窒素酸化物を還元する。ガソリンエンジンでは、これらの汚染物質の3つすべては、いわゆる「三元コンバータ」内で同時に反応することができるが、ほとんどのディーゼルエンジンは、ディーゼル酸化触媒コンバータしか備え付けられていない。今日ではその使用がディーゼルエンジンのみに限定される、窒素酸化物を低減する触媒コンバータは、一般に別個の触媒コンバータからなる。ガソリンエンジンで使用する汚染防止エレメントの例としては、例えばCorning Inc(コーニング、ニューヨーク)又はNGK Insulators,LTD.(名古屋、日本)から市販されている菫青石から形成されたもの、又は、例えばEmitec(Lohmar、ドイツ)から市販されている金属モノリスが挙げられる。
【0073】
好適な選択的触媒低減エレメントは、例えば、Corning,Inc.,Corning,NYから入手可能である。
【0074】
ディーゼル微粒子フィルタ又はトラップは典型的にウォールフロー型(wall flow)フィルタであり、典型的に多孔性結晶構造のセラミック材料から作製されるハニカム状のモノリシック構造を有する。ハニカム状構造の交互セルは、通常、排気ガスが1つのセルに入り、1つのセルの多孔質壁を強制的に通過させられ、隣接するセルを通って構造体から出て行くように埋め込まれる。この方法で、ディーゼル排気ガスに存在する小さなすす粒子が回収される。菫青石から形成されている好適なディーゼル微粒子フィルタは、例えばCorning Inc.及びNGK Insulators,Inc.から市販されている。炭化ケイ素から形成されているディーゼル微粒子フィルタは、例えばIbiden Co.Ltd.(Japan)から市販されており、例えば2002年2月12日公開のJP 2002047070A号に記載されている。
【0075】
本発明の利点及び実施形態は、以下の実施例により更に例示されるが、これらの実施例に列挙したその特定の材料及び量、並びに他の条件及び詳細は、本発明を過度に限定すると解釈されるべきではない。すべての部及び百分率は、特に記載されていない限り、重量に基づく。
【実施例】
【0076】
(実施例1)
1ロールの76cm(30インチ)幅、15マイクロメートル(0.006インチ)厚の透明低密度ポリエチレン線状フィルム(FlexSol Packaging(Chicago IL)から商品名「ALTEX」で入手)をほどき、2.54cm(1インチ)間隔で設置される1.3cm(0.5インチ)幅のスロットを8つ有する真空テーブルの上で、66cm(26インチ)幅、2000グラム/平方メートルのウェブである実装マット材料(3M Company(St.Paul,MN)から商品名「INTERAM(商標)MAT MOUNT 1220 NC」で販売される材料)上に積層した。ステンレス鋼のキャリアウェブを用い、フィルム及びマットを真空箱の上方へ移動した。2000ワットの赤外線ランプ(型番SRU 1615HT、Infratech(Gardenia,CA))を2つ用いてフィルムを加熱し、フィルム及びマットを共に積層した。第1のランプはウェブから3.2cm(1.25インチ)につるされており、及び第2のランプは第1のランプに隣接した位置にあり、フィルム表面からつるされている(3インチ(7.6cm))状態で、ランプを真空スロットの上方中央に来るように位置決めした。ラインスピードは2.1メートル/分(7フィート/分)とし、これは、織布層表面に密接するようにフィルムを引っ張り、ランプへの曝露及び室温まで冷却した後、マット表面とフィルムとの間にマットの結合力を超える結合を生じさせるのに十分な真空引き(典型的には約10.2〜20.3kPa(3〜6水銀柱インチ))を伴う。
【0077】
実施例1のマット(それぞれ繊維81及び82を有する不織布層の主表面上に、それぞれ高分子層71及び81を有する)を示す図7及び8は、それぞれ倍率が50倍及び200倍である。
【0078】
実施例1のマットを、従来の金属製ルールダイ、及びレーザー(381cm/分(150インチ/分)で2キロワット)の両方で切断し、ダイカット縁部及びレーザーカット縁部を得た。図9は、実施例1のマットのダイカット縁部の走査型電子顕微鏡による倍率200倍のデジタル画像であり、高分子層91、繊維92、及び高分子層91のダイカット縁部93を示している。図10は、実施例1のマットのレーザーカット縁部の走査型電子顕微鏡による倍率200倍のデジタル画像であり、高分子層1001、繊維1002、及び高分子層1001のレーザーカット縁部1003を示している。
【0079】
実施例1のマットは、直径7.6cm(3インチ)のロッドに破断することなく巻き付いた。
【0080】
(実施例2)
実施例2を、低密度ポリエチレン線状フィルム(「ALTEX」)の第2の層を下部表面上にも積層した(すなわち、実装マットの両主表面が低密度ポリエチレン線状フィルムで積層された)以外は、実施例1に記載の方法で調製した。更に、ラインスピードを1.8メートル/分(6フィート/分)に下げ、織布層表面に密接するようにフィルムを引っ張り、ランプへの曝露及び室温まで冷却した後、マット表面とフィルムとの間にマットの結合力を超える結合を生じさせるのに十分な真空引きを行った(典型的には約16.9〜37.3kPa(5〜11水銀柱インチ))。
【0081】
実施例2のマットは、直径7.6cm(3インチ)のロッドに破断することなく巻き付いた。
【0082】
(実施例3)
実施例3を、実装マット材料を5100グラム/平方メートル(3M Companyから商品名「INTERAM(商標)MAT MOUNT 700」で販売される材料)にした以外は、実施例1に記載の方法で調製し、ラインスピードを1.8メートル/分(6フィート/分)とし、織布層表面に密接するようにフィルムを引っ張り、ランプへの曝露及び室温まで冷却した後、マット表面とフィルムとの間にマットの結合力を超える結合を生じさせるのに十分な真空引きを行った(典型的には約16.9〜37.3kPa(5〜11水銀柱インチ))。
【0083】
実施例3のマットは、直径7.6cm(3インチ)のロッドに破断することなく巻き付いた。
【0084】
(実施例4)
実施例4を、実装マット材料を5800グラム/平方メートル(3M Companyから商品名「INTERAM(商標)MAT MOUNT 7220X」で販売される材料)にした以外は、実施例1に記載の方法で調製し、ラインスピードを1.8メートル/分(6フィート/分)とし、織布層表面に密接するようにフィルムを引っ張り、ランプへの曝露及び室温まで冷却した後、マット表面とフィルムとの間にマットの結合力を超える結合を生じさせるのに十分な真空引きを行った(典型的には約16.9〜37.3kPa(5〜11水銀柱インチ))。
【0085】
実施例4のマットは、直径3インチ(7.6cm)のロッドに破断することなく巻き付いた。
【0086】
(実施例5)
2000グラム/平方メートルを示すINTERAM(商標)Mounting Mat Material 1220NC(3M Company(St.Paul,MN))のウェブを、1.27cm(0.5インチ)幅の6つの真空スロット上方、中央部3.81cm(1.5インチ)上を3.66メートル/分(12フィート/分)で、金属メッシュベルト上を運ぶ。真空スロットによりマット全体で、約40水柱cm(1.16水銀柱インチ(3.93kPa))の圧力差を維持する。0.0015mm(0.0006インチ)厚の線状低密度ポリエチレンフィルム(FlexSol Packaging Corp.(Bunsville,MN))をマット表面上部でほどき、マット表面上方2.54cm(1.0インチ)につるされる31.8cm(15インチ)幅の加熱ランプ(WatLow(St.Louis,MO)のRaymax P1560AX019 0852(460ボルト1800ワット))を用いて、マットに熱接合する。Scotchtrak Heat Tracer非接触測定装置(#M Company(Austin,TX)のモデルIR−18EXL3)で測定するとき、ランプ表面温度を約427℃(800°F)に、ランプ直下の加熱エリアを出た際のマット表面温度を約149℃(300°F)に維持するように、十分なパワーを加熱ランプに供給する。
【0087】
例示的なマットの実施形態
1.
通常互いが対向する第1及び第2の主表面を有する不織布層であって、無機繊維を含む不織布層と、
第1の主表面を形成する無機繊維の少なくとも一部に接触するように付着する第1の高分子層であって、そこを貫いて形成された、少なくとも1つの真空成形された吸引孔を含む第1の高分子層と、を含むマット。かかる第1の高分子層は、好ましくは三次元高分子層である。
2.かかる第1の高分子層が一定の面積を有し、複数の真空成形された吸引孔を含み、かかる吸引孔が第1の高分子層の面積全体に不均一に分散される、実施形態1に記載のマット。
3.かかる吸引孔のそれぞれが異なる孔の形状を有する、実施形態2に記載のマット。
4.かかる吸引孔のそれぞれが非対称形の孔である、実施形態2又は3に記載のマット。
5.通常互いに対向する第1及び第2の主表面を有する膨張性層と、を更に含み、かかる膨張性層の第1の主表面が不織布層の第2の主表面に付着する、実施形態1〜4のいずれか1つに記載のマット。
6.かかる不織布層が膨張性材料を更に含む不織布膨張性層である、実施形態1〜4のいずれか1つに記載のマット。
7.かかる不織布層が、不織布層の総重量に基づき、7重量パーセント以下の有機含有量を有する、実施形態1〜6のいずれか1つに記載のマット。
8.かかる不織布層が、不織布層の総重量に基づき、1重量パーセント以下の有機含有量を有する、実施形態1〜6のいずれか1つに記載のマット。
9.かかる不織布層が、不織布層の総重量に基づき、ゼロ重量パーセントの有機含有量を有する、実施形態1〜6のいずれか1つに記載のマット。
10.かかる第1の高分子層が、最大35マイクロメートルの平均厚さを有する、実施形態1〜9のいずれか1つに記載のマット。
11.かかる第1の高分子層が、5マイクロメートル〜25マイクロメートルの範囲の平均厚さを有する、実施形態1〜9のいずれか1つに記載のマット。
12.かかる第1の高分子層が、10マイクロメートル〜25マイクロメートルの範囲の平均厚さを有する、実施形態1〜9のいずれか1つに記載のマット。
13.かかる第1の高分子層が、熱可塑性であるポリマー(例えば、ポリプロピレン又はポリエチレンのうち少なくとも1つ)を含む、実施形態1〜12のいずれか1つに記載のマット。
14.不織布層が第1の高分子層と第2の高分子層との間にあるように付着する第2の高分子層を更に含み、かかる第2の高分子層が、そこを貫いて形成された、少なくとも1つの真空成形された吸引孔を含む、実施形態1〜13のいずれか1つに記載のマット。かかる第2の高分子層は、好ましくは三次元高分子層である。
15.かかる第2の高分子層が一定の面積を有し、複数の真空成形された吸引孔を含み、かかる吸引孔が第2の高分子層の面積全体に不均一に分散される、実施形態14に記載のマット。
16.かかる吸引孔のそれぞれが異なる孔の形状を有する、実施形態14又は15に記載のマット。
17.かかる吸引孔のそれぞれが非対称形の孔である、実施形態14〜16のいずれか1つに記載のマット。
18.かかる第2の高分子層が、熱可塑性であるポリマーを含む、実施形態14〜17のいずれか1つに記載のマット。
19.かかる第2の高分子層が、最大25マイクロメートルの平均厚さを有する、実施形態14〜18のいずれか1つに記載のマット。
20.かかる第2の高分子層が、5マイクロメートル〜25マイクロメートルの範囲の平均厚さを有する、実施形態14〜18のいずれか1つに記載のマット。
21.かかる第2の高分子層が、10マイクロメートル〜25マイクロメートルの範囲の平均厚さを有する、実施形態14〜18のいずれか1つに記載のマット。
22.かかる無機繊維が、ガラス繊維の総重量に基づき、合計95重量パーセント以下のSiO2及びAl2O3を含むガラス繊維を含む、実施形態1〜21のいずれか1つに記載のマット。
23.かかる無機繊維が耐火セラミック繊維を含む、実施形態1〜22のいずれか1つに記載のマット。
24.かかる無機繊維が多結晶性セラミック繊維を含む、実施形態1〜23のいずれか1つに記載のマット。
25.かかる無機繊維が生体溶解性繊維を含む、実施形態1〜24のいずれか1つに記載のマット。
26.かかる不織布層が、少なくとも900g/m2の坪量を有する、実施形態1〜25のいずれか1つに記載のマット。
27.かかる不織布層が、800g/m2〜8500g/m2の範囲の坪量を有する、実施形態1〜25のいずれか1つに記載のマット。
28.かかる繊維が少なくとも5マイクロメートルの直径を有する、実施形態1〜27のいずれか1つに記載のマット。
29.かかる不織布層が、ニードルパンチ、ウェットレイドプロセスによる製造、及びドライレイドプロセスによる製造、の少なくとも1つ、又はこれらの任意の組み合わせを施される、実施形態1〜28のいずれか1つに記載のマット。
30.かかる不織布層が、500℃超で加熱する前の出来上がった状態では、マットの総重量に基づき、7重量パーセント以下の有機材料を含有する、実施形態1〜29のいずれか1つに記載のマット。
31.かかる不織布層が、0.05g/cm3〜0.3g/cm3の範囲の出来上がった状態の嵩密度を有する、実施形態1〜30のいずれか1つに記載のマット。
32.かかる不織布層が、3mm〜50mmの範囲の平均厚さを有する、実施形態1〜31のいずれか1つに記載のマット。
33.かかるマットが非膨張性である、実施形態1〜4及び7〜32のいずれか1つに記載のマット。
34.かかるマットがバーミキュライトを含まない、実施形態1〜4及び7〜32のいずれか1つに記載のマット。
35.かかる不織布マットが、直径7.5cmのロッドに破断することなく巻き付けられるよう十分に可撓性がある、実施形態1〜34のいずれか1つに記載のマット。
36.少なくとも1つのレーザーカット縁部を有する、実施形態1〜35のいずれか1つに記載のマット。
37.かかる不織布層の第2の主表面に付着する第1の膨張性層を更に含む、実施形態1〜4及び7〜36のいずれか1つに記載のマット。
38.かかる第1の高分子層が露出した外側主表面を有し、少なくともその一部上に貼付された両面接着剤テープを有する、実施形態1〜37のいずれか1つに記載のマット。
39.かかる両面接着剤テープが剥離ライナーを含む、実施形態38に記載のマット。
40.かかる不織布層が、800g/m2〜3000g/m2の範囲の坪量を有する、実施形態1〜39のいずれか1つに記載のマット。
41.マットを包囲する耐火クロスと組み合わせる、実施形態1〜40のいずれか1つに記載のマット。
【0088】
例示的な汚染防止装置の実施形態
1.マットの実施形態1〜41のいずれか1つに記載のマットと共にケーシング内に実装されている汚染防止エレメントを含む汚染防止装置。
2.汚染エレメントが、触媒コンバータ、ディーゼル微粒子フィルタ又は選択的触媒低減エレメントのうちの1つである、実施形態1に記載の汚染防止装置。
【0089】
例示的な排気システムの実施形態
1.二重壁排気部品と、実施形態1〜41のいずれか1つに記載のマットと、を含み、かかるマットが二重壁排気部品の壁間の間隙内に配置される、排気システム。
2.かかる二重壁排気部品が排気パイプである、実施形態1に記載の排気システム。
3.かかる二重壁排気部品が、汚染防止装置の末端円錐部である、実施形態1に記載の排気システム。
4.かかる二重壁排気部品が排気マニフォルドである、実施形態1に記載の排気システム。
【0090】
例示的な物品の実施形態
1.半径rを有する物体と、
物理的に重複することなく実質的に物体半径の周囲に巻かれる、マットの実施形態1〜41のいずれか1つに記載のマットと、を含む物品。
2.かかるマットが、2πrの99パーセント以内の巻き付け長さを有する、実施形態1に記載の物品。
3.かかるマットが、2πrの98パーセント以内の巻き付け長さを有する、実施形態1に記載の物品。
4.かかるマットが、2πrの95パーセント以内の巻き付け長さを有する、実施形態1に記載の物品。
【0091】
本発明の範囲及び趣旨から外れることなく、本発明の予測可能な修正及び変更が当業者には自明であろう。本発明は、例証の目的のために本出願において説明された実施形態に限定されるべきではない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常互いが対向する第1及び第2の主表面を有する不織布層であって、無機繊維を含む不織布層と、
前記第1の主表面を形成する無機繊維の少なくとも一部に接触するように付着する第1の高分子層であって、前記高分子層を貫いて形成された、少なくとも1つの真空成形された吸引孔を含む第1の高分子層と、を含むマット。
【請求項2】
前記第1の高分子層が一定の面積を有し、複数の真空成形された吸引孔を含み、前記吸引孔が前記第1の高分子層の面積全体に不均一に分散される、請求項1に記載のマット。
【請求項3】
前記吸引孔のそれぞれが異なる孔の形状を有する、請求項2に記載のマット。
【請求項4】
前記吸引孔のそれぞれが非対称形の孔である、請求項2又は3に記載のマット。
【請求項5】
前記不織布層が、前記不織布層の総重量に基づき、1重量パーセント以下の有機含有量を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のマット。
【請求項6】
前記不織布層が、前記不織布層の総重量に基づき、ゼロ重量パーセントの有機含有量を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のマット。
【請求項7】
前記マットが非膨張性である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のマット。
【請求項8】
通常互いに対向する第1及び第2の主表面を有する膨張性層を更に含み、前記膨張性層の第1の主表面が前記不織布層の第2の主表面に付着する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のマット。
【請求項9】
前記不織布層が膨張性材料を更に含む不織布膨張性層である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のマット。
【請求項10】
前記第1の高分子層が、最大25マイクロメートルの平均厚さを有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載のマット。
【請求項11】
前記第1の高分子層が熱可塑性であるポリマーを含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載のマット。
【請求項12】
前記不織布層が前記第1の高分子層と前記第2の高分子層との間にあるように付着する第2の高分子層を更に含み、前記第2の高分子層が、そこを貫いて形成された、少なくとも1つの真空成形された吸引孔を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載のマット。
【請求項13】
前記不織布マットが、直径7.5cmのロッドに破断することなく巻き付けられるように十分に可撓性がある、請求項1〜12のいずれか一項に記載のマット。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載のマットと共にケーシング内に実装される汚染防止エレメントを含む、汚染防止装置。
【請求項15】
二重壁排気部品と、請求項1〜13のいずれか一項に記載のマットと、を含み、前記マットが二重壁排気部品の壁間の間隙内に配置される、排気システム。
【請求項1】
通常互いが対向する第1及び第2の主表面を有する不織布層であって、無機繊維を含む不織布層と、
前記第1の主表面を形成する無機繊維の少なくとも一部に接触するように付着する第1の高分子層であって、前記高分子層を貫いて形成された、少なくとも1つの真空成形された吸引孔を含む第1の高分子層と、を含むマット。
【請求項2】
前記第1の高分子層が一定の面積を有し、複数の真空成形された吸引孔を含み、前記吸引孔が前記第1の高分子層の面積全体に不均一に分散される、請求項1に記載のマット。
【請求項3】
前記吸引孔のそれぞれが異なる孔の形状を有する、請求項2に記載のマット。
【請求項4】
前記吸引孔のそれぞれが非対称形の孔である、請求項2又は3に記載のマット。
【請求項5】
前記不織布層が、前記不織布層の総重量に基づき、1重量パーセント以下の有機含有量を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のマット。
【請求項6】
前記不織布層が、前記不織布層の総重量に基づき、ゼロ重量パーセントの有機含有量を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のマット。
【請求項7】
前記マットが非膨張性である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のマット。
【請求項8】
通常互いに対向する第1及び第2の主表面を有する膨張性層を更に含み、前記膨張性層の第1の主表面が前記不織布層の第2の主表面に付着する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のマット。
【請求項9】
前記不織布層が膨張性材料を更に含む不織布膨張性層である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のマット。
【請求項10】
前記第1の高分子層が、最大25マイクロメートルの平均厚さを有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載のマット。
【請求項11】
前記第1の高分子層が熱可塑性であるポリマーを含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載のマット。
【請求項12】
前記不織布層が前記第1の高分子層と前記第2の高分子層との間にあるように付着する第2の高分子層を更に含み、前記第2の高分子層が、そこを貫いて形成された、少なくとも1つの真空成形された吸引孔を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載のマット。
【請求項13】
前記不織布マットが、直径7.5cmのロッドに破断することなく巻き付けられるように十分に可撓性がある、請求項1〜12のいずれか一項に記載のマット。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載のマットと共にケーシング内に実装される汚染防止エレメントを含む、汚染防止装置。
【請求項15】
二重壁排気部品と、請求項1〜13のいずれか一項に記載のマットと、を含み、前記マットが二重壁排気部品の壁間の間隙内に配置される、排気システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2012−520399(P2012−520399A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−554171(P2011−554171)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際出願番号】PCT/US2010/026893
【国際公開番号】WO2010/105000
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際出願番号】PCT/US2010/026893
【国際公開番号】WO2010/105000
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
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