説明

マット型アンテナ、リーダライタ、個人識別システム、及び物品管理システム

【課題】 効率よくマット全体の磁界強度を高めることができるマット型アンテナを提供する。
【解決手段】 マット11の周縁部に沿って第1のループアンテナ12を配置すると共に、この第1のループアンテナ12の内側に第2のループアンテナ13を配置し、第2のループアンテナ13をリーダライタ100に接続してアクティブアンテナとし、第1のループアンテナ12をパッシブアンテナとなるように構成する。そして、第1のループアンテナ12は平行に対向し合う第1の対向エレメント12a、12bを有すると共に、前記第2のループアンテナ13は平行に対向し合う第2の対向エレメント13a、13bを有し、第1の対向エレメント12a、12bと第2の対向エレメント13a、13bの間隔は、それぞれ第1及び第2の対向エレメント間において発生する磁界を互いに強め合う関係に設定するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば出入り口などに配置されて通行人が踏んで通過するマットに内蔵されたマット型アンテナと、そのマット型アンテナを備えたリーダライタ、そのリーダライタを用いた個人識別システム、及び物品管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、セキュリティなどの問題から特定の建物や部屋への人間の出入りをチェックするために、入退室口などの床面に配置されるマットにアンテナを内蔵したマット型アンテナを利用したシステムが提案されている。
特許文献1には、病院等において患者の出入りをチェックするシステムとして、患者の足にIDタグを装着し、アンテナを備えたマットを敷いたドアに患者が近づいたときにIDタグの情報を受信して、個人を識別して出入り管理を行う個人識別システムが開示されている。
また特許文献2には、例えば盗難防止システムにおいて使用されるマット型アンテナとして、ループアンテナを樹脂により被うことにより平板状に形成し、店などの出入り口の床面に配置するようにしたものが知られている。
【特許文献1】特開平06−871195号公報
【特許文献2】実開平04−093388号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
図10は、従来のマット型アンテナの構成を示した図であり、この図10(a)に示すように、従来のマット型アンテナ100は、マット101にループアンテナ102が内蔵されている。しかしながら、このような従来のマット型アンテナ100は、図10(b)に示すように、ループアンテナ102が配置されているA、C点付近では比較的強い磁界103が得られるものの、ループアンテナ102から離れるにしたがって磁界103が弱くなる。この結果、マット101の中央付近(B点)で磁界103が最も弱くなり、中央付近においてRFタグを検出することができない場合があった。
このため、図10(a)に示した従来のマット型アンテナ100を入退室口に配置して、人間の出入りをチェックするような個人識別システムや物品管理システムを構成しても、人間の出入りを確実に管理することができないという欠点があった。このため、利用者の本人認証を行う場合はICカードをディスクトップ型のリーダライタにかざすようにしていた。
そこで、本発明は上記したような点を鑑みてなされたものであり、マット全体の磁界強度を高めることができるマット型アンテナと、そのマット型アンテナを備えたリーダライタ、そのリーダライタを用いた個人識別システム、及び物品管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、マットにループアンテナを内蔵したマット型アンテナにおいて、第1のループアンテナと、前記第1のループアンテナの内側に配置され、第1のループアンテナより小径の第2のループアンテナと、を備え、前記第1または前記第2のループアンテナの一方をアクティブアンテナとなるように構成し、他方をパッシブアンテナとなるように構成したことを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1に記載のマット型アンテナにおいて、前記第1のループアンテナは少なくとも平行に対向し合う第1の対向エレメントを有すると共に、前記第2のループアンテナは少なくとも平行に対向し合う第2の対向エレメントを有し、前記第1の対向エレメントと前記第2の対向エレメントの間隔は、前記第1及び第2の対向エレメント間において発生する磁界を互いに強め合う関係に設定されていることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1に記載のマット型アンテナにおいて、前記第2の対向エレメント間の間隔は、当該第2の対向エレメント間において発生する磁界が互いに強め合う関係に設定されていることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1に記載のマット型アンテナにおいて、前記第1のループアンテナと前記第2のループアンテナとが交互にアクティブアンテナとなるように構成されていることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1に記載のマット型アンテナにおいて、前記第2のループアンテナをアクティブアンテナにより構成し、前記第1のループアンテナを前記第2のループアンテナより小径とされる複数のパッシブアンテナにより構成したうえで、前記複数のパッシブアンテナを前記第2にループアンテナの外側にそれぞれ配置したことを特徴とする。
【0005】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載のマット型アンテナを備えて構成されるリーダライタを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項6に記載のリーダライタと、利用者が前記マット型アンテナを通過したときに、前記マット型アンテナに近接するように利用者に対して取り付けられているRFタグとから構成されることを特徴とする。
請求項8記載の発明は、請求項7に記載の個人識別システムにおいて、前記RFタグは利用者の靴の中敷きに取り付けるようにしたことを特徴とする。
請求項9記載の発明は、施開錠手段によって施開錠される扉を有して物品を保管する保管棚と、個人認証情報が記録されたRFタグと、該RFタグに対して前記個人認証情報の読み書きを行うリーダライタと、前記リーダライタにより前記RFタグから読み出した利用者の個人情報に基づいて利用者の認証を行い、認証の結果、当該保管棚を利用許可された利用者であると判定した場合に、前記保管棚の扉が開くように前記施開錠手段を制御する制御手段とを備えた物品管理システムであって、前記リーダライタのアンテナとして、請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載のマット型アンテナを接続したことを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の物品管理システムにおいて、前記マット型アンテナを前記保管棚から保管物を取り出し可能な位置に配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、第1又は第2のループアンテナの一方をアクティブアンテナ、他方をパッシブアンテナにより構成したことにより、アクティブアンテナに流れる電流によって発生した磁界により鎖交する他方のパッシブアンテナに電流が流れて磁界を発生させることができる。これにより、マット型アンテナの磁界強度を高めることができる。
また請求項2の発明によれば、第1の対向エレメントと第2の対向エレメントの間隔を、第1及び第2の対向エレメント間にて発生する磁界が互いに強め合う関係となるように設定したことにより、第1のループアンテナと第2のループアンテナ間の磁界強度をより高めることができる。
さらに請求項3の発明によれば、第2の対向エレメント間の間隔を当該第2の対向エレメント間にて発生する磁界が互いに強め合う関係となるように設定したことにより、マットの中央付近の磁界強度を高めることができるようになる。
また請求項4の発明によれば、第1のループアンテナと第2のループアンテナとが交互にアクティブアンテナとなるように構成したことにより、磁界強度を高めることができる。
また請求項5の発明によれば、第2のループアンテナをアクティブアンテナにより構成し、第1のループアンテナを第2のループアンテナより小径とされる複数のパッシブアンテナにより構成したうえで、前記複数のパッシブアンテナを前記第2にループアンテナの外側にそれぞれ配置したことにより、磁界強度を高めることができる。
請求項6の発明によれば、磁界強度が高く受信感度の良いマット型アンテナを備えたリーダライタを実現することができる。
請求項7、請求項8の発明によれば、磁界強度が高く受信感度の良いマット型アンテナを利用した個人識別システムを実現することができる。
また請求項9の発明によれば、利用者がマット型アンテナの上に乗るだけで、確実に利用者に取り付けられたRFタグから利用者の個人情報を読み取って利用者の本人認証を行うことが可能になるため、従来のように、利用者が本人認証のためにリーダライタに個人情報が記録されたIDカードをかざすといった煩わしさの無い物品管理システムを実現することができる。
また請求項10の発明によれば、マット型アンテナを保管棚の前面に配置することにより、利用者が保管棚の前面にいるときだけ、保管棚の鍵を開錠するといったことが可能になるため、それだけセキュリティ機能を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るリーダライタシステムの概略構成を示した図である。この図1に示す本実施の形態のリーダライタは、この図には示していないRFタグとの間で無線通信を行うマット型アンテナ10と、ケーブル14を介してマット型アンテナ10に接続され、RFタグに対して情報の読み書きを行うリーダライタ100と、リーダライタ100を制御するPC50とを備えて構成される。
この場合、リーダライタ100はケーブル14を介してマット型アンテナ10に内蔵されている第2のループアンテナ13に接続されている。
マット型アンテナ10は、マット11に第1のループアンテナ12と第2のループアンテナ13を内蔵した構成を備えている。なお、内蔵とは厳密な意味の内蔵ではなく、エレメントの一部がマットの外部に露出していても差し支えはない。
マット11は、玄関や出入り口などに配置され、履物などの泥を拭うための敷物である。なお、マット11の材質などは特に限定されるものでない。また、その寸法も利用者が普通の歩幅で歩いたときに確実に踏める大きさであればよいとされる。ただし、本実施の形態では、図1に示すようにマットの寸法(X×Y)を約750mm×900mmとして説明する。
第1のループアンテナ12は、マット11内の外周側に矩形環状に配置された大径のアンテナであり、第2のループアンテナ13は第1のループアンテナ12の内側に矩形環状に配置された小径のアンテナである。なお、これら第1及び第2のループアンテナ12、13には、アンテナ線材としてテープ状の銅箔シートを用いるようにしている。そして、このような銅箔シートを矩形環状に構成することでループを形成することができる。
なお、本実施の形態では、第1のループアンテナ12の寸法(X1×Y1)を約650mm×880mm、第2のループアンテナ13の寸法(X2×Y2)を約130mm×870mmとしている。また、各ループアンテナは線状のエレメントを環状に構成してあればよく、矩形環状でなくてもよい。
そして、上記のように構成されるマット型アンテナ10を備えたリーダライタ100においては、第2のループアンテナ13だけをケーブル14を介してリーダライタ100に接続するようにしている。つまり、第2のループアンテナ13をアクティブアンテナとして機能させ、第1のループアンテナ12をパッシブアンテナとして機能させるようにしている。
【0008】
図2は上記のように構成したマット型アンテナにおいて発生する磁界と、その磁界強度を示した図である。なお、この場合のリーダライタ100の送信電力は1Wとする。
図2(a)に示すようにマット型アンテナ10においては、第2のループアンテナ13をアクティブアンテナとして機能させ、第2のループアンテナ13に電流I2を流して磁界15を発生させる。すると、第2のループアンテナ13の対向し合う一対のエレメント(第2のエレメント)13a、13bに夫々発生する磁界15が、それぞれ鎖交する第1のループアンテナ12の対向し合う一対のエレメント(第1のエレメント)12a、12bに電流I1が流れ、第1のループアンテナ12の周りに新たな磁界16が発生することになる。
この場合、第2のループアンテナ13のエレメント13aと第1のループアンテナ12のエレメント12a間、及び第2のループアンテナ13のエレメント13bと第1のループアンテナ12のエレメント12b間では、それぞれ磁界15、16が強め合うように作用して、図2(b)に示すように、第1及び第2のループアンテナ12、13の磁界強度をほぼ均一に保つことができる。
また第2のループアンテナ13の対向するエレメント13a、13bは、その磁界15同士が強め合うように作用するので、図2(b)に示すように、第2のループアンテナ13間の磁界強度を高めることができる。特に、この場合は中央付近の磁界強度を高めることができるようになる。
なお、これまで説明したマット型アンテナ10のサイズ、例えばマット11や、第1及び第2のループアンテナ12、13のサイズはあくまでも一例である。例えば、第2のループアンテナ13のエレメント13a、13bの間隔(Y2の長さ)は、リーダライタ100からの送信電力にもよるが、マット11の中心付近で対向するエレメント13a、13bの磁界15同士が強め合うように作用する範囲内であれば任意に設定可能である。
また第1のループアンテナ12のエレメント12a、12bの間隔(Y1の長さ)は、各エレメント12a、12bの磁界16と第2のループアンテナ13の各エレメント13a、13bの磁界15が強め合うように作用する範囲であれば任意に設定可能である。
【0009】
また、図1及び図2に示したマットアンテナ10では、第1のループアンテナ12をパッシブアンテナ、第1のループアンテナより内側に配置される第2のループアンテナ13をアクティブアンテナとして説明したが、これはあくまでも一例であり、第1のループアンテナ12をアクティブアンテナ、第2のループアンテナ13をパッシブアンテナとなるように構成することももちろん可能である。
また、例えば図3に示すように第1のループアンテナ40と、第2のループアンテナ41とを交互に切り替えて、第1又は第2のループアンテナ40、41を交互にアクティブアンテナとして機能させるように構成することも考えらえる。このとき、第1または第2のループアンテナ40、41のうち、アクティブアンテナとして機能してないアンテナがパッシブアンテナとなるように構成すれば、図1及び図2に示したマットアンテナ10と同様の効果が得られる。
また、図1及び図2に示した本実施の形態のマットアンテナ10では、アクティブアンテナである第2のループアンテナ13の外周側に、この第2のループアンテナ13と同心状でパッシブアンテナである第1のループアンテナ12を構成するようにしているが、例えば図4に示すように第2のループアンテナ42をアクティブアンテナにより構成する。そして、第1のループアンテナ43を第2のループアンテナ42より小径とされる複数のパッシブアンテナ43a、43b、43c、41dにより構成したうえで、これら複数のパッシブアンテナ43a〜43dを第2にループアンテナ42の外側にそれぞれ配置することようにしてマットアンテナを構成することも考えられる。
【0010】
図5及び図6は、上記した本実施の形態のマット型アンテナを介してリーダライタと通信を行うRFタグの配置例を示した図である。
この図5に示すRFタグ200は、靴などの履物31の底部分に配置して、履物31を履いた利用者がマット型アンテナ10を通過したときにRFタグ200がマット型アンテナ10に近接してリーダライタ100とRFタグ200との間で通信を行うことができるようになっている。また、RFタグ200は履物31の中敷きに取り付けるようにしてもよい。
また図6はステッキ32の先端部分の近くにRFタグ200を配置しており、この場合もステッキ32を持った利用者がマット型アンテナ10を通過したときにステッキ32のRFタグ200がマット型アンテナ10に近接してリーダライタ100とRFタグ200との間で通信を行うことができるようになっている。
従って、本実施の形態のマット型アンテナ10を特定施設の出入り口などに配置すると共に、出入りする利用者が日常的に使用する履物31の靴底、あるいは靴の中敷き、又はステッキ32などにRFタグ200を取り付けるようにすれば、マット型アンテナ10を備えたリーダライタ100と、マット型アンテナ10を通過する利用者の履物31やステッキ32などに取り付けたRFタグ200との間で確実に情報の授受を行うことができる。つまり、実施形態のマット型アンテナを用いて利用者を識別する個人識別システムを構築すれば、識別精度の高いシステムを実現することができる。
また、RFタグ200を靴などの履物31の中敷きに取り付けるようにすると、靴の中に中敷きを収納するだけで靴にRFタグ200を取り付けることができるため、例えば靴を加工してその内部にRFタグを埋め込む場合に比べて簡単にRFタグ200を取り付けることができる。
なお、図5及び図6に示したRFタグ200の配置位置はあくまでも一例であり、利用者がマット型アンテナ10上で立ち止まる、または通過したときにマット型アンテナ10においてRFタグ200との間で通信を行うことができる範囲内であればいずれの位置でもよい。
【0011】
ここで、本実施の形態のリーダライタと非接触型のRFタグの構成例とその動作について説明しておく。
図7はリーダライタの構成を示したブロック図である。
この図7に示すリーダライタ100は、外部にありリーダライタ100に対してデータの授受を行ってシステム全体を制御するコンピュータ(PC)50と、外部のコンピュータ50とのデータの通信プロトコルを司る送受信装置1と、リーダライタ100全体の動作を制御する制御装置2と、制御装置2を動作させる手順を記録したファームウェアと読み取ったデータを格納するメモリ装置3と、制御装置2からのデータを搬送波に乗せて変調する変調器4と操作コマンドを入力する入力装置5と、制御装置2により制御された情報を表示する表示装置6と、変調器4からのコマンドを電力増幅する電力増幅器7と、ループアンテナ部9から受信した搬送波から2値化データに変換する検波復調器8と、この図には示していないRFタグ200との電力用搬送波とデータの授受をするループアンテナ部9(本実施の形態ではマットアンテナ10)を備えて構成されている。
次に、本構成によるリーダライタ100の動作を説明する前に、対を成すRFタグの構成を説明しておく。
図8は、RFタグの構成を示したブロック図である。
この図2に示すRFタグ200は、リーダライタ100からの電力搬送波によりデータの授受をするループアンテナ部20と、ループアンテナ部20からの電力搬送波を受け、それを整流して直流電力に変換する整流平滑回路22と、制御用ファームウェアとデータの記憶を司るメモリ装置23と、制御回路26からの送信コマンドに搬送波を乗せて変調する変調器24と、送受信回路21からの搬送波データから2値化データに変換する検波器25と、RFタグ200の全体の動作を制御する制御回路26とから構成されている。
なお、変調方式としては、振幅変調方式の一種であるASK(Amplitude Shift Keying)の他、PSK(Phase Shift Keying)方式、FSK(Frequency Shift Keying)方式などでもよい。
【0012】
次に、図7と図8を併せて参照してそれぞれ単独の動作について説明する。
リーダライタ100は、図示しない電源が入れられると制御装置2のイニシャル動作後、メモリ装置3に記憶されたプログラムに従い動作を開始する。先ず、初期化が行われる。次に制御装置2は、RFタグ200に電力を供給するために、コマンド送信時は変調器4で変調を行い、RFタグ200からのレスポンス受信時は無変調とした信号を電力増幅器7から送信する。その信号は、ループアンテナ部9から電磁波として外部に放射される。
次に、RFタグ200がリーダライタ100に近接すると、ループアンテナ部20が電力供給用信号を受信し、整流平滑回路22によりその搬送波を整流して直流電力に変換して、タグ内の全ての回路に供給する。電力を供給されて制御回路26が駆動すると、メモリ装置23に格納されたプログラムにしたがって制御を開始する。
次に、制御回路26は、先ず送受信回路21からコマンドを検波器25で復調して2値化信号に変換し、そのコマンドを解析する。その結果、自分が呼び出されていることを認識すると、レスポンスを変調器24により変調して送受信回路21を介してループアンテナ部20から送信する。このレスポンスをリーダライタ100がループアンテナ部9を受信して、検波復調器8で2値化コードに変換し、制御装置2により解析してRFタグ200が規格に合致したタグであると認識する。これにより、以後リーダライタ100とRFタグ200の間でデータ授受が行われる。
なお、本実施の形態において説明したリーダライタとRFタグの構成はあくまでも一例であり、本発明のマット型アンテナは上記以外構成のリーダライタなどにも適用することができる。
また本実施の形態では、本発明のマット型アンテナを利用して個人識別システムを構成する場合を例に挙げたが、本発明のマット型アンテナを利用して各種システムを実現することができる。
【0013】
図9は本発明の実施形態に係る物品管理システムの一例を示した構成図である。
なお、ここでは機密書類を管理する例について説明する。
この図9に示す物品管理システム60は、機密書類を保管する保管棚61と、個人認証情報が記録されたRFタグに対して個人認証情報の読み書きを行うリーダライタ62と、このリーダライタ62によりRFタグから読み出した利用者の個人情報に基づいて利用者の認証を行い、認証の結果、保管棚61を利用許可された利用者であると判定した場合に、保管棚61の扉が開くように保管棚61の扉に備えられた図示しない施開錠手段である鍵を制御するパーソナルコンピュータ(以下、PCと記す)63とを備えて構成される。そして、上記保管棚61の前面の床に、これまで説明したマット型アンテナ10を配置してリーダライタ62に対して接続するようにしている。
この場合、予め、各利用者の靴などに取り付けたRFタグのユーザIDと、その利用者の個人情報とをデータベース上で対応つけて管理するようにしておく。
データベースはPC63のハードディスクや、図示しないがLANなどのネットワークを介して接続したサーバ装置などに格納しておく。
【0014】
このように構成した本実施の形態の物品管理システムでは、利用者が機密書類を閲覧するために物品棚61に近づき、その前面に配置されたマット型アンテナ10の上を通過したり、乗ったりすると、マット型アンテナ10により利用者の靴などに取り付けられたRFタグ200から読み取られた個人識別情報がリーダライタ62を介してPC63に伝送され、PC63においてデータベースに登録されたデータとの間で個人認証を行う。その結果、利用者がその保管棚61の機密書類の閲覧を許可されたものであれば、PC63により保管棚61の鍵を開錠する。これにより、利用者は保管棚61の中から必要な書類を取り出し閲覧することができる。
また、この場合は、利用者が保管棚61から書類を取り出す位置に、保管棚61の前面に受信感度の高いマット型アンテナ10を配置するようにしているので、利用者がマット型アンテナ10に乗ったときにマット型アンテナ10により確実に利用者の靴などに取り付けたRFタグから個人情報を読み取ることができる。この結果、従来のように、利用者が認証のためにリーダライタに個人情報が記録されたIDカードをかざすといった煩わしい動作を行うこと無く、利用者の本人認証を行うことが可能になる。
また、本実施形態のように、マット型アンテナ10を保管棚61から書類などの保管物を取り出し可能な位置、例えばその前面側等に配置すると、マット型アンテナにより利用者のRFタグが認識されている期間だけ、つまり利用者が保管棚61の前面にいるときだけ、保管棚61の鍵を開錠して、それ以外は施錠するといったことが可能になるため、それだけセキュリティ機能を高めることができる。
また、例えば機密書類を管理する建物内に設けられた部屋の出入口に扉を設けると共に、その出入り口に本発明のリーダライタのマット型アンテナを配置することにより、IDの認証をリアルタイムに行って扉の開閉を行う物品管理システムを構築することも可能である。
なお、本実施の形態では本発明のマット型アンテナを利用して物品管理システムを構成する場合を例に挙げたが、これはあくまでも一例であり、本発明のマット型アンテナを利用した例えば盗難防止システムなどを実現することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態に係るリーダライタシステムの概略構成を示した図である。
【図2】本実施の形態に係るマット型アンテナの磁界と磁界強度の説明図である。
【図3】本実施の形態に係るマット型アンテナの他の構成例を示した図である。
【図4】本実施の形態に係るマット型アンテナの他の構成例を示した図である。
【図5】本実施の形態に係るリーダライタと通信を行うRFタグの配置例を示した図である。
【図6】本実施の形態に係るリーダライタと通信を行うRFタグの配置例を示した図である。
【図7】リーダライタの構成例を示したブロック図である。
【図8】RFタグの構成例を示したブロック図である。
【図9】本発明の実施形態に係る物品管理システムの一例を示した構成図である。
【図10】従来のマット型アンテナの構成と磁界強度の関係を示した図である。
【符号の説明】
【0016】
1 送受信装置、2 制御装置、3 メモリ装置、4 変調器、5 入力装置、6 表示装置、7 電力増幅器、8 検波復調器、9 リーダライタ用アンテナ、10 マット型アンテナ、11 マット、12、40、43 第1のループアンテナ、13、41、42 第2のループアンテナ、14 ケーブル、21 送受信回路、22 電力生成回路、23 メモリ装置、24 変調器、25 検波器、26 制御回路、31 履物、32 ステッキ、50、63、PC(制御手段)、60 物品管理システム、61 保管棚、62、100 リーダライタ、200 RFタグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マットにループアンテナを内蔵したマット型アンテナにおいて、
第1のループアンテナと、前記第1のループアンテナの内側に配置され、第1のループアンテナより小径の第2のループアンテナと、を備え、前記第1または前記第2のループアンテナの一方をアクティブアンテナとなるように構成し、他方をパッシブアンテナとなるように構成したことを特徴とするマット型アンテナ。
【請求項2】
前記第1のループアンテナは、少なくとも平行に対向し合う第1の対向エレメントを有すると共に、前記第2のループアンテナは、少なくとも平行に対向し合う第2の対向エレメントを有し、前記第1の対向エレメントと前記第2の対向エレメントの間隔は、前記第1及び第2の対向エレメント間において発生する磁界を互いに強め合う関係に設定されていることを特徴とする請求項1に記載のマット型アンテナ。
【請求項3】
前記第2の対向エレメント間の間隔は、当該第2の対向エレメント間において発生する磁界を互いに強め合う関係に設定されていることを特徴とする請求項2に記載のマット型アンテナ。
【請求項4】
前記第1のループアンテナと前記第2のループアンテナとが交互にアクティブアンテナとなるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のマット型アンテナ。
【請求項5】
前記第2のループアンテナをアクティブアンテナにより構成し、前記第1のループアンテナを前記第2のループアンテナより小径とされる複数のパッシブアンテナにより構成したうえで、前記複数のパッシブアンテナを前記第2にループアンテナの外側にそれぞれ配置したことを特徴とする請求項1に記載のマット型アンテナ。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載のマット型アンテナを備えて構成されることを特徴とするリーダライタ。
【請求項7】
請求項6に記載のリーダライタと、利用者が前記マット型アンテナを通過したときに、前記マット型アンテナに近接するように利用者に対して取り付けられているRFタグとから構成されることを特徴とする個人識別システム。
【請求項8】
請求項7に記載の個人識別システムにおいて、前記RFタグは利用者の靴の中敷きに取り付けるようにしたことを特徴とする個人識別システム。
【請求項9】
施開錠手段によって施開錠される扉を有して物品を保管する保管棚と、個人認証情報が記録されたRFタグと、該RFタグに対して前記個人認証情報の読み書きを行うリーダライタと、前記リーダライタにより前記RFタグから読み出した利用者の個人情報に基づいて利用者の認証を行い、認証の結果、当該保管棚を利用許可された利用者であると判定した場合に、前記保管棚の扉が開くように前記施開錠手段を制御する制御手段とを備えた物品管理システムであって、前記リーダライタのアンテナとして、請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載のマット型アンテナを接続したことを特徴とする物品管理システム。
【請求項10】
請求項9に記載の物品管理システムにおいて、前記マット型アンテナを前記保管棚から保管物を取り出し可能な位置に配置したことを特徴とする物品管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−81144(P2006−81144A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−31135(P2005−31135)
【出願日】平成17年2月7日(2005.2.7)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】