説明

マトリックス貯蔵および分配システム

【課題】大量の貯蔵配列から多数の選択される試薬に可変アクセスを提供し、ならびに迅速にそして正確に分配するシステムおよびプロセスを提供すること。
【解決手段】複数の試薬を貯蔵および分配するためのシステムであって、試薬分配装置のアドレス可能アレイ;各分配装置の下部出口領域のゲート機構であって、各ゲート機構が、(i)該出口領域を通るそれぞれの試薬の通過を可能にする開状態と、(ii)このような通過をブロックする閉状態との間で独立して作動可能である、ゲート機構;該アレイの下に配置される第1支持体;該第1支持体上に取り付けられる第2支持体であって、該第2支持体が、複数のレセプタクルを受容するための保持領域を有する、第2支持体、を備えるシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、物質の貯蔵および分配に関する。より詳細には、本発明は、複数の容器中に多数の試薬を連続分配するために、システム、および使用方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
化学研究所および生物学研究所において、供給源容器から標的レセプタクルへの試薬の移動は、基本的作業である。代表的には、技術者は、貯蔵位置から種々の試薬瓶を検索しなければならず、各試薬瓶は、近い将来その作業に関する物質を含む。次いでこの技術者は、各々の正確な量を適切な反応レセプタクル(例えば、複数ウェルプレートの選択したウェル)中に手でピペッティングする。混入を防ぐために、このピペットの先端は、各別々の試薬で接触した後に洗浄されなければならないか、または廃棄されそして新規なチップと取り替えられなければならない。
【0003】
あるいは、この技術者は、収集した試薬の各々をその貯蔵容器から所望の反応レセプタクルへと手で注ごうと試み得る。しかし、代表的に現代のプロトコルに要求される超少量の試薬を考慮すると、特に高価な試薬について、この技術は、非常に遅くかつ正確に実行し難い。さらに、注ぐという行為はしばしば、例えば、過剰な量が不注意で分配される場合に試薬の浪費をもたらし、そして特に高密度のレセプタクル形態(例えば、96ウェルを有するプレートまたはトレー)にて作業する場合に、レセプタクル間の交差汚染が生じ得る。
【0004】
従って、このような手による技術が、非常に少量の多数(例えば、数百または数千)の試薬が迅速かつ正確な様式で分配されなければならない、ほとんどの研究所の需要を満たしていないことは、驚くことではない。
【0005】
特定の局面の試薬の貯蔵、検索および/または分配を自動化するシステムが公知であるが、これらは特定の利点に非常に関連している。1つのこのようなシステムは、Saigan Inc.(Indianapolis、Indiana)から入手可能であり、試薬の選択および配置を自動化する。簡単には、試薬を「選択する」とは、その試薬を試薬ファイルから検索することであり、そして試薬を「配置する」とは、その試薬をその試薬ファイルに再ファイルし戻すことである。このSagianシステムは、試薬を操作者の領域から移動させるかまたは操作者の領域へと移動させるために、2つの産業ロボットを使用する。この第1のロボットは、標的試薬を保持する垂直ファイルへと移動し、次いでその試薬を含む適切な引き出しを引き出す、小型トリーブ(trieve)である。次いでこのロボットは、この引き出しを別の作業領域へと送達する。この作業領域において、CRS連接(articulated)ロボットが、その必要な試薬を取り出し、その試薬が正確な容器であることをバーコードスキャナーの前をその容器に通過させるさせることによって確認し、そしてその容器をその作業者により接近可能な一連のラックのうちの1つに配置する。次いでこの小型トリーブは、その引き出しをそのファイルのもとの位置へと戻す。労働の負担の多くおよび一般的に手による技術に関連する取り扱いの誤りを排除しているが、それにも拘らず手の介入が、試薬を分配するために必要である。さらに多くの努力の浪費を伴う。なぜなら、ロボットにより検索される引き出し各々は、近い将来の作業に関連しないさらなる数百の試薬を通常は含むからである。さらに、各試薬を検索する際に関与するロボットの動作、および検索される距離は、非常にかなりのものであり得る。漸増的に、この全体のプロセスは、特に、多数の試薬(例えば、数百または数千)が検索されなければならない状況において、非常に時間を消費し得る。
【0006】
別の自動システムは、商標名HAYSTACK(The Automation Partnership Group plc(Melbourn Science Park、Melbourn、Royston、Hertfordshire、UK)から入手可能)の下で販売されている。Sagianシステムと同様に、このHAYSTACKシステムは、垂直ファイルから試薬の引き出しを検索するために産業ロボットを利用する。このような選択および配置機能に加えて、The Automation Partnershipは、種々の分配工程を実行し得るモジュールを提供する。しかし、このような付加された能力は、このシステムの操作上の複雑性をかなり増加させ、そしてまた、大量の貴重な研究所の空間を消費し得る。
【0007】
従って、多数の選択した試薬の、価値ある(注文の)検索、ならびに迅速かつ正確な分配を提供する、比較的単純かつ小型の試薬貯蔵および分配システムの必要性が存在する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
その局面のうちの1つにおいて、本発明は、複数の試薬を貯蔵および分配するためのシステムを提供する。
【0009】
1つの実施形態に従って、このシステムは、位置付け可能なアレイの試薬分配装置を備え、この試薬分配装置の各々は、その低めの出口領域に配置された、ゲート機構を有する。このゲート機構は、(i)この出口領域を通る各試薬の通過を可能にする、開状態と、(ii)このような通過がブロックされる閉状態との間で、独立して操作可能である。第1の支持体が、その分配装置アレイの下に配置され、そして複数のレセプタクルを受けるための保持領域を有する第2の支持体が、この第1の支持体上に取り付けられる。この第1の支持体および第2の支持体は、例えば、独立して操作可能なxyステージであり得る。この第1の支持体は、その固定標的領域がこのアレイ中の分配装置のうちの選択した任意の1つの下に直接配置されることが可能になる様式で、可変に位置決め可能である。この第2の支持体は、この固定標的領域の上にこのレセプタクル保持領域の選択した任意の標的部位を直接配置することが可能になる様式で、可変に位置決め可能である。
【0010】
この分配装置の各々は、例えば、このゲート機構が閉状態である場合に、各試薬を受けそして保持するような形状の、長軸方向に伸長する通路を有する、伸長した容器であり得る。
【0011】
保持セルのアレイを有するラックが、この容器を保持し得る。1つの実施形態に従って、このラックは、少なくとも100個の保持セルを有し、そして好ましくは1,000個を超える保持セルを有する。例示的ラックは、例えば、5,000個、10,000個、50,000個、100,000個および500,000個の保持セルを備える。各保持セルは、実質的に垂直な様式でこれらの容器のうちの1つを取り外し可能に支持するような形状であり得る。この保持セルは、例えば、容器約2〜8個/cm2以上の間の平均密度で容器を保持するような形状であり得る。1つの実施形態において、この容器は、容器約3〜6個/cm2の間、そして好ましくは容器約4〜5個/cm2の間の平均密度でラック中に配置される。複数のラック(例えば、2個、3個、4個、5個以上)が、「アセンブリライン」型様式での使用のために直列に配置され得る。
【0012】
複数の異なる試薬が、この分配装置に配置され得る。1つの実施形態において、各分配装置は、そのアレイに独自の試薬を含む。
【0013】
ビーズが、これらの異なる試薬を保有するために使用され得る。本発明の1つの実施形態は、複数のビーズの群または「ロット」を提供し、各ロットは、異なる試薬のうちの各1つを保有する実質的に同様のビーズから構成される。このビーズは、比較的大きく(例えば、直径約1〜5mm)であってもよいし、または比較的小さく(例えば、各々約1mm未満の直径を有する)てもよい。1つの好ましい実施形態において、各ビーズは、約275〜325μm、そして好ましくは約300μmの直径を有する。
【0014】
1つの実施形態において、複数の試薬保有ビーズが、密封されたアンプル中に保持される。例示的構成において、このアンプルは、実質的に単一ファイル様式で、重力の下で分配装置通路を下方に移動するような大きさである。好ましくは、所定のアンプル中のビーズすべてが、同じかまたは実質的に類似した種類の試薬を保有する。さらに、この実施形態において、この分配装置アレイの各通路は、複数のこのようなアンプルを充填されている。
【0015】
本発明の1つの実施形態は、このアレイ中の分配装置のうちのいずれか1つから分配された試薬の通過を検出するように適合された、検出アセンブリを提供する。この目的のために、この検出アセンブリは、分配装置出口領域と第2の支持体との間に広がる視野を備えて提供される。
【0016】
1つの特定の実施形態によると、この検出アセンブリは、放射エミッター(例えば、ダイオードレーザー)および放射センサを備える。例示的構成において、この放射エミッタ−は、(a)第2の支持体の一方の側に沿った領域で第1の支持体上の取り付けられており、そして(b)第1の支持体の固定標的領域の上を通る経路に沿って実質的に直線状の放射ビームを発射する形状である。この放射センサは、(a)第2の支持体のもう一方の側に沿った領域で第1の支持体上に取り付けられており、そして(b)この放射ビームの経路内に配置されている。
【0017】
1つの実施形態において、このアレイの各ゲート機構は、通常はその機構を閉状態へと推進する、付勢力を受けており、それにより各出口領域を通る試薬の通過が防がれる。このゲート機構のうちのほぼ任意の1つを位置決めするように適合された、放出機構が、このゲート機構が開状態をとるように、通常の付勢力を無効にするために有効な大きさおよび方向の二次的力を適用するために作動可能である。
【0018】
1つの特定の実施形態において、各ゲート機構は、磁気ピンチバルブを備え、この磁気ピンチバルブは、各出口領域で対面関係で旋回するように取り付けられた、第1の永久磁石および第2の永久磁石を有する。この磁石は、その磁石を閉状態へと旋回させるように通常磁力によって互いに推進される、それぞれ下部の向かい合うN極領域及びS極領域を有する。さらに、この実施形態において、この放出機構は、第1の旋回磁石および第2の旋回磁石のN極下部領域およびS極下部領域をそれぞれ誘引するように配置されたN極部分およびS極部分を有する磁力を生成するように作動可能な電磁石であり得、その結果これらの部分が互いにスイングする(swing)(すなわち、開状態になる)ように、配置されている。
【0019】
別の特定の実施形態において、各ゲート機構は、各出口領域へと通常は伸長する突出部を有する、弾力的に傾け可能な(deflectable)レバーである。さらに、この実施形態において、この放出機構は、収縮した位置と伸長した位置との間の往復直線状動作に適合された、ロッドである。その伸長した位置への移動の際に、このロッドは、機械的にレバーと係合しそして傾き、その結果、この突出部は、少なくとも部分的に、出口領域から(すなわち、開状態へと)引き込まれる。
【0020】
本発明のシステムは、第1の支持体の固定標的領域の上に位置するガイド部材または漏斗部材を、分配装置アレイと第2の支持体との間にさらに備える。好ましい実施形態において、このガイド部材は、選択された任意の分配装置の下の位置にこの第1の支持体と移動するように配置されている。このガイド部材は、このような分配装置から第2の支持体の保持領域上の選択部位へと分配される試薬を運ぶ形状である。
【0021】
1つの特定の実施形態において、このガイド部材は、(i)上部開口部または上部入口(出口領域から分配される試薬を受けるためにその出口領域のうちのいずれか1つと整列可能である)および(ii)下部開口部または下部入口(ここを通って、分配される試薬が保持領域への経路上で外に出る)を備える。好ましくは、上部開口部は、下部開口部よりも大きい。円錐部分が、上部開口部と下部開口部との間に提供され得る。
【0022】
別のその局面において、本発明は、試薬分配装置アセンブリを提供する。
【0023】
1つの好ましい実施形態によると、この試薬分配装置アセンブリは、試薬を受けるように適合された容器、およびこの容器の下部出口領域に位置するゲート機構を備える。このゲート機構は、下部出口領域で向かい合う関係で旋回するように取り付けられた、第1および第2の永久磁石を備えて提供される。この旋回磁石は、それぞれ、下部の、向かい合うN極領域およびS極領域を有し、これらは、通常は、容器からの試薬の出現が実質的にブロックされる閉状態へとこれらの磁石をスイングするように、磁力により互いに向かって推進される。
【0024】
1つの実施形態において、電磁石が、そのゲート機構の下に配置される。この実施形態において、この電磁石は、それぞれ、第1および第2の磁石のN極力領域およびS極力領域を誘引するように配置された、S極部分およびN極部分を有する磁力を生じるように操作可能であり、その結果、これらの領域は、互いから開状態へとスイングする。この開状態において、容器からの試薬の出現が、可能である。
【0025】
別の実施形態は、アレイを規定する各位置で複数の容器を保持する、ラックを提供する。第1の移動可能な支持体が、このラックの下に配置され、このラックの上に、電磁石が取り付けられ得る。
【0026】
第2の移動可能な支持体が、この第1の移動可能な支持体上に、電磁石の下に、取り付けられ得る。この実施形態において、この第2の移動可能な支持体は、容器から分配された試薬を受けるための、複数ウェルプレートを受けそして保持する形状である。
【0027】
なお、本発明のさらなる局面は、1つ以上の試薬を複数のレセプタクルにロードするための方法を提供する。
【0028】
1つの実施形態によると、この方法は、以下の工程を包含する:
(i)試薬分配装置の位置付け可能なアレイの下の支持体にレセプタクルまたは支持体を配置する工程;
(ii)所望の試薬を分配するために備えられた分配装置、およびその所望の試薬を受けるためのレセプタクルを、選択する工程;
(iii)(a)選択した分配装置の下の位置にその支持体の固定標的領域を位置付けること、および(b)その支持体の固定標的領域の上の位置に直接その選択したレセプタクルを位置付けることを、同時にする工程;
(iv)その選択した分配装置からその選択したレセプタクルへと所望の試薬を分配する工程;
(v)所望の試薬がその選択した分配装置から分配されたときにその所望の試薬を検出する工程;および
(vi)試薬が少なくとも1つの他の分配装置から少なくとも1つの他のレセプタクルへと分配されるように、工程(ii)〜(v)を反復する工程。
【0029】
1つの実施形態において、これらのレセプタクルの各々は、複数ウェルトレーのウェルである。
【0030】
別の実施形態において、これらの分配装置の各々は、そのアレイに独自の検体特異的試薬を分配するために備えられている。
【0031】
さらなる実施形態において、少なくとも100個の異なる検体特異的試薬が、各分配装置から各レセプタクルへと分配される。他の実施形態は、少なくとも500個、1,000個および10,000個の異なる試薬を分配することを意図する。
【0032】
上記に加えて、本発明は以下を提供する:
(項目1) 複数の試薬を貯蔵および分配するためのシステムであって、以下:
試薬分配装置のアドレス可能アレイ;
各分配装置の下部出口領域のゲート機構であって、各ゲート機構が、(i)該出口領域を通るそれぞれの試薬の通過を可能にする開状態と、(ii)このような通過をブロックする閉状態との間で独立して作動可能である、ゲート機構;
該アレイの下に配置される第1支持体;
該第1支持体上に取り付けられる第2支持体であって、該第2支持体が、複数のレセプタクルを受容するための保持領域を有する、第2支持体、
を備える、システムであって、
ここで、(i)該第1支持体が、該アレイにおいて該分配装置の選択された任意の1つの真下にその固定化標的領域の配置が可能な様式にて、可変的に位置付け可能であり、そして(ii)該第2支持体が、該固定化標的領域の真上で該保持領域の任意の選択された標的部位の配置を可能にする様式に、可変的に位置付け可能である、システム。
(項目2) 項目1に記載のシステムであって、前記分配装置が、細長い容器であり、該分配装置の各々は、前記ゲート機構が、前記閉状態である場合、それぞれの試薬を受容し、そして保持するように構成される、長手に伸長する通路を有する、システム。
(項目3) 項目2に記載のシステムであって、該システムが、少なくとも約100個の保持セルのアレイを有するラックをさらに備え、各々の保持セルは、実質的に垂直な様式で前記容器の1つを取り外し可能に支持するように構成される、システム。
(項目4) 項目3に記載のシステムであって、前記保持セルが、少なくとも1cm2あたり約3個の保持セルの平均密度で配置される、システム。
(項目5) 項目4に記載のシステムであって、前記アレイが、少なくとも約500個の保持セルを含み;そしてここで、該保持セルが、1cm2あたり少なくとも約4個の保持セルの平均密度で配置される、システム。
(項目6) 項目5に記載のシステムであって、前記アレイが、少なくとも約1,000個の保持セルを含む、システム。
(項目7) 項目6に記載のシステムであって、前記アレイが、少なくとも約10,000個の保持セルを含む、システム。
(項目8) 項目7に記載のシステムであって、前記アレイが、少なくとも約100,000個の保持セルを含む、システム。
(項目9) 項目2に記載のシステムであって、該システムが、前記分配装置の通路に配置される複数の異なる試薬をさらに含む、システム。
(項目10) 項目9に記載のシステムであって、前記通路の各々が、該アレイに独特である試薬を含む、システム。
(項目11) 項目9に記載のシステムであって、該システムが、複数のビーズロットをさらに備え、複数の実質的に類似のビーズから構成される各々のロットが、前記異なる試薬のそれぞれの1つを運ぶ、システム。
(項目12) 項目11に記載のシステムであって、前記各々のビーズが、約1mm未満の直径を有する、システム。
(項目13) 項目12に記載のシステムであって、該システムが、実質的に一列縦列様式で、重力下で前記通路のうちいずれか1つを通して下向きに移動するように寸法決めされる複数のシールされたアンプルをさらに備え;ここで、アンプルの各々が、同じかまたは実質的に同一ロットからのビーズを含み、そしてここで通路の各々が複数のこのようなアンプルを装填される、システム。
(項目14) 項目1〜13のうちいずれか1項に記載のシステムであって、前記第1支持体および第2支持体は、独立して作動可能なxyステージである、システム。
(項目15) 項目1〜14のうちいずれか1項に記載のシステムであって、該システムが、前記分配装置の出口領域と前記第2支持体との間に広がる視野を有する検出アセンブリをさらに備え、そして該検出アセンブリが、該分配装置のいずれか1つから分配される試薬の通過を検出するように適合される、システム。
(項目16) 項目15に記載のシステムであって、前記検出アセンブリが以下:
(i)(a)前記第2支持体の1つの側面に沿った領域で、前記第1支持体上に取り付けられ、そして(b)該第1支持体の前記固定化標的領域の上を通過する経路に沿って実質的に直線の放射ビームを投影するように構成される、放射エミッター;および
(ii)該第2の支持体の反対の側面に沿った領域で、(a)該第1支持体上に取り付けられ、そして(b)該放射ビーム経路内に配置される、放射センサ
を備える、システム。
(項目17) 項目1〜16のうちいずれか1項に記載のシステムであって、各々のゲート機構が、閉位置に推進させる通常の付勢力に供され、それによってそれぞれの出口領域を通る試薬の通路を妨げる、システム。
(項目18) 項目17に記載のシステムであって、該システムが、放出機構を備え、該放出機構が前記ゲート機構のいずれか1つの近くに位置付け可能であり、そして該ゲート機構が、前記開状態をとるように、前記通常の付勢力を無効にするのに有効な大きさおよび方向の二次力を適用するように作動可能である、システム。
(項目19) 項目18に記載のシステムであって、各々のゲート機構が、(i)それぞれの出口領域で向き合う関係で旋回可能に取り付けられ、そして(ii)前記閉状態に磁石を旋回させるために磁力によって互いに向かって通常推進される、向かい合うN極およびS極の下部領域をそれぞれ有する、第1磁石および第2磁石を有する磁気ピンチバルブを含む、システム。
(項目20) 項目19に記載のシステムであって、前記放出機構が、前記放射ビーム経路に隣接して位置付けされる電磁石であって、該電磁石が、前記第1磁石および第2磁石のN極およびS極の下部領域をそれぞれ引きつけるために配置されるN極部分およびS極部分を有する磁力として前記二次力を生じるように作動可能であり、その結果、該下部領域が、互いからはなれて旋回する、システム。
(項目21) 項目18に記載のシステムであって、各々のゲート機構が、通常それぞれの出口領域へ伸長する突出部を有する弾性的に傾け可能なレバーである、システム。
(項目22) 項目21に記載のシステムであって、前記放出機構が、後退した位置から前記放射ビーム経路に隣接して伸長した位置への動作に適合されたロッドであって、該ロッドが、該伸張した位置へ動く場合、前記レバーを係合および傾けさせることによる機械的な力としての前記二次的な力を適用するために適合され、その結果、前記突出部が、少なくとも部分的に前記出口領域から引っ込む、システム。
(項目23) 項目1〜22のいずれか1項に記載のシステムであって、以下:
前記分配装置アレイと前記第2支持体との間の前記第1支持体の前記固定化標的領域の上に位置されるガイド部材、
をさらに備えるシステムであって、
該ガイド部材が、(i)任意の選択された分配装置の下の位置に該第1支持体とともに動作するために配置され、そして(ii)このような分配装置から前記第2支持体の前記保持領域上の選択される部位に分配される試薬を導くように構成される、システム。
(項目24) 項目23に記載のシステムであって、前記ガイド部材が、以下:
(i)上部開口部であって、ここから分配される試薬を受容するための前記出口領域のいずれか1つと整列可能である上部開口部;
(ii)該上部開口部より小さい下部開口部であって、この下部開口部を通して分配される試薬が前記保持領域への経路で排出し得る、下部開口部;および
(iii)該上部開口部と該下部開口部との間の円錐形部分、
を備える、システム。
(項目25) 試薬分配装置アセンブリであって、以下:
試薬を受容するために適合された容器;
該容器の下部出口領域に位置されるゲート機構、
を備える、試薬分配アセンブリであって、
該ゲート機構が、(i)該下部出口領域で向き合う関係で旋回可能に取り付けられ、そして(ii)それぞれ向かい合うN極およびS極の下部領域を有する第1および第2の永久磁石を含み、該第1および第2の永久磁石は、該磁石を閉状態に旋回させるために通常、磁力によって互いに推進され、そこで該容器からの試薬の排出を実質的にブロックする、試薬分配装置アセンブリ。
(項目26) 項目25に記載の試薬分配装置であって、以下:
前記ゲート機構の下に配置される電磁石であって、それぞれ前記第1磁石および第2磁石のN極下部領域およびS極下部領域を引き付けるように配置されるN極部分およびS極部分を有する磁力を生じるように作動可能であり、その結果、該下部領域が、互いから離れて、開位置に旋回し、前記容器からの試薬の排出を可能にする、電磁石、
をさらに備える、試薬分配装置。
(項目27) 項目26に記載の試薬分配装置であって、該試薬分配装置が、以下:
アレイを規定するそれぞれの位置で複数の該容器を保持するラック;および
該ラックの下に配置される第1移動可能支持体、
をさらに備え、
ここで前記電磁石が該移動可能支持体上に取り付けられる、試薬分配装置。
(項目28) 項目27に記載の試薬分配装置であって、以下:
前記電磁石の下で前記第1移動可能支持体上に取り付けられる第2移動可能支持体、をさらに備え、
該第2移動可能支持体が、前記容器から試薬を受容するためのマルチウェルプレートを受容し、かつ保持するように配置される、
試薬分配装置。
(項目29) 1つ以上の試薬とともに複数のレセプタクルを装填するための方法であって、該方法は、以下の工程:
(i)試薬分配装置のアドレス可能なアレイの下で支持体上に複数のレセプタクルを配置する工程;
(ii)所望の試薬を分配するために装備される分配装置、および所望の試薬を受容するためのレセプタクルを選択する工程;
(iii)同時に(a)選択された分配装置の下の位置で該支持体の固定化標的領域を位置付け、そして(b)該支持体の固定化標的領域の真上の位置で該選択されたレセプタクルを位置付ける工程;
(iv)該選択された分配装置から該選択されたレセプタクルに所望の試薬を分配する工程;
(v)該所望の試薬が、該選択された分配装置から分配される場合、該所望の試薬を検出する工程;および
(vi)試薬が少なくとも1つの他の分配装置から少なくとも1つの他のレセプタクルに分配されるように工程(ii)〜(v)を繰り返す工程、
を包含する、方法。
(項目30) 項目29に記載の方法であって、前記レセプタクルの各々が、マルチウェルトレイのウェルである、方法。
(項目31) 項目29に記載の方法であって、前記分配装置の各々が、前記アレイに独特である検体特異的試薬を分配するように装備される、方法。
(項目32) 項目29に記載の方法であって、少なくとも100個の異なる検体特異的試薬が、それぞれの分配装置からそれぞれのレセプタクルに分配される、方法。
(項目33) 項目32に記載の方法であって、少なくとも500個の
異なる検体特異的試薬が、それぞれの分配装置からそれぞれのレセプタクルに分配される、方法。
【0033】
本発明のこれらの特徴および利点ならびに他の特徴および利点は、以下の説明から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
(発明の詳細な説明)
本発明の好ましい実施形態の以下の説明は、それ自体は単なる例示である。従って、この議論は、いかなる様式でも、本発明の範囲を限定するようには意図されない。
【0035】
本発明の1つの局面は、複数の試薬を分配するためのシステムを提供する。図1〜3の実施形態を最初に参照すると、このシステムは、一般的に、移動可能なテーブルアセンブリまたは移動可能なプラットフォームアセンブリ(12として示される)を備え、このアセンブリは、試薬分配装置の位置付け可能なアレイ(16にあるような)の下に配置され、この分配装置は、複数の試薬を連続的に分配するために装置されている。本明細書中で使用される場合、用語「位置付け可能なアレイ」とは、このアレイ中の既知の位置(アドレス)と関連する既知の試薬を有するアレイをいう。
【0036】
プラットフォームアセンブリ12は、下部支持体26上に取り付けられた、上部支持体22を備える。下部支持体26は、固定(すなわち、一定の)標的またはその参照領域(例えば、図3の組立て分解図にて26aに示されるような)がアレイ16の選択された任意の分配装置の下に位置し得るように、移動可能である。上部支持体22は、そのレセプタクル保持領域の選択された(すなわち、変動可能な)任意の標的部位(図3の実施形態において縞の領域22aとして認識できる)が下部支持体26の固定標的領域の上に位置し得るように、移動可能である。
【0037】
簡単には、操作上、下部支持体の固定標的領域は、所望の試薬を保持する分配装置の下に位置する。同時に、この上部支持体のレセプタクル支持領域の選択された標的部位が、この下部支持体の固定標的領域の上に位置する。代表的には、このレセプタクル保持領域上の特定の位置に保持された特定のレセプタクル(例えば、複数ウェルプレート36のウェル)は、この選択された標的部位の上に位置する。次いで、分配された試薬が、この選択された標的部位へと落ちて、このレセプタクルに着陸する。この手順は、所望の試薬を他の選択されたレセプタクルにロードするために反復され得る。
【0038】
より詳細には、この上部支持体および下部支持体は、xyポジショナー(例えば、ステージ、テーブルまたは類似のデバイス)であり得、それぞれ、ほぼ水平な面に沿って、変動可能に位置付けするために適合され得る。このような位置付けは、自動手段(例えば、電動アセンブリ)を使用して行われ得るし、または手によっても行われ得る。1つの好ましい実施形態において、2つのxyステージの各々が、各ネジの配置を介して、コンピューター制御された各ステッパーモーターと機械的に連絡して配置される(示さず)。適切なxyステージおよび制御器は、例えば、日本のNSK Inc.から市販されている。
【0039】
制御コンピューター(示さず)は、LABVIEW(登録商標)またはLABWINDOWS(登録商標)(National Instruments Corp.、Austin、Texas)のような、イベントドリブン言語(event driven language)で書かれたプログラムを介して、このステージの操作を統合する。詳細には、このLABVIEWソフトウェアは、装置を制御するための高レベルのグラフィックプログラミング環境を提供する。米国特許第4,901,221号;同第4,914,568号;同第5,291,587号;同第5,301,301号;同第5,301,336号;および同第5,481,741号(各々本明細書中に参考として特に援用される)は、このLABVIEWグラフィックプログラミングおよび開発システムの種々の局面を開示する。これらの特許に開示されるグラフィックプログラミング環境によって、ユーザーが、ダイアグラムまたは「バーチャル装置」をブロックすることによって、プログラムまたはルーチンを規定することが可能である。これがなされた場合、提示された手順に対応する実行手順を特徴付ける、機械語の指示が自動的に構成される。
【0040】
モーター制御器とこのコンピューターを連絡するためのインターフェースカードもまた、例えば、National Instruments Corp.から市販されている。
【0041】
この上部支持体のレセプタクル保持領域は、この分配装置アレイからの各試薬を受けるための、複数のレセプタクルを取り外し可能に支持するように適合される。この保持領域に沿って、1つの位置から別の位置へとこの支持体が移動される間に、所望の位置に各レセプタクルを維持するための手段が、提供される。例えば、わずかに窪んだトラフ様領域が、この支持体の最も上部の表面の下に広がり得、このトラフ様領域の中に、レセプタクルが配置され得る。あるいは、またはさらに、機械的保持手段(例えば、クリップ、ブラケット、バンパー、フレーミング、VELCRO(登録商標)など)および/または磁気的保持手段(例えば、保持領域表面上の磁気ストリップおよびレセプタクル上に磁気により取り付け可能な下表面(undersurface)が、適所に容器を維持するために使用され得る。
【0042】
図1〜3の実施形態において、そのレセプタクルは、間隔の空いた受容ウェルのアレイ(例えば、トレーまたはプレート36に形成された、ウェル32)として提供される。ウェル32の各々は、その上端に開口部を有し、それにより、このウェルが上から分配された試薬を受けそして保持することが可能になる。保持領域22aの向かい合う側面上の支持体22の上側表面に取り付けられた、バネを装填したプレートホルダー(示さず)は、動かされたときに、プレート36が上部支持体22を横滑りするのを防ぐ。
【0043】
以前に示されたように、下部支持体26が、固定(一定の)参照領域または標的領域(例えば、図3にて認識される領域26a)を備えて提供される。この固定標的領域は、(i)分配アレイの任意の分配装置に下に配置可能であり、そして(ii)レセプタクル保持領域の選択された(変動可能な)任意の部位がその上に配置され得る、下部支持体の特定の部分である。代表的には、この固定標的領域の配置は、以下に議論される1つ以上の要素の存在によって決定され、その要素の各々は、下部支持体の上側表面の特定の領域の上に実質的に固定される動作の位置および/または操作範囲を有する。例えば、この固定標的領域は、放射ビーム(例えば、図1〜3中のビーム38)の下に存在し得、この放射ビームは、オーバーヘッド分配装置からレセプタクルへの試薬の通過を検出するために、レセプタクル保持領域の上を放射可能である。別の例として、この固定標的領域は、オーバーヘッド分配装置からレセプタクル保持領域上の選択した部位へと分配される試薬を導くための、ガイド部材または漏斗部材(図2〜3における40にあるような)の下に位置し得る。なおさらなる例として、この固定標的領域は、所望の試薬が選択された試薬分配装置に分配されるのを引き起こすための、放出機構またはアクチュエーター(図2〜3における44にあるような)の近くに位置し得る。上記の構成成分のうちの1つより多くが使用される場合、それらの構成成分は、代表的にはすべて、固定標的領域にある全体的領域または固定標的領域の上にある全体的領域に位置する。このような構成成分の詳細は、以下により完全に議論される。
【0044】
ここで、試薬分配装置アレイを考えると、各試薬分配装置は、細長い容器(例えば、図1においてアレイ16の上に釣り合わされて示される、円筒状または管状の容器42)の形態をとる。この容器は、例えば、プラスチック、ガラス、および/または金属、あるいは他の材料から形成され得る。1つの実施形態において、各容器は、反復使用が意図される、金属または金属合金(例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、またはステンレス鋼)から形成された硬質のシリンダーである。別の実施形態において、各容器は、その中身(試薬)を使い尽した後に容易に処分し得る比較的安価な材料(例えば、ガラスまたはプラスチック)から構成される。
【0045】
十分に狭い直径を有する各容器を構成することにより、高い密度のこのような容器が達成され得る。例えば、種々の実施形態は、1cm2当たり、平均で約2〜8個の容器、またはより多くを意図する。1つの好ましい実施形態は、1cm2当たり約3〜6個の間の平均密度;そして最も好ましくは1cm2当たり約4〜5個の間の平均密度を意図する。例示的な配置では、複数の実質的に類似の容器(各々1cmより小さい直径を有する)は、長手軸に実質的に平行で、そしてアレイを規定する接近して間隔を空けられた位置に配置される。特に好ましい1つの実施形態では、各々が約4mmの外径を有するような容器のアレイは、隣接する容器間の中心〜中心の間隔が約4.50mmで配置される。
【0046】
各容器は、それぞれの試薬を受容しかつ保持するように構成される通路を備える。図1の実施形態では、長手方向に延びる管腔(42aと示される)は、複数の試薬含有アンプル(例えば、50)を保持する。この通路は、任意の水平断面(例えば、円形、楕円形、多角形または他の断面)であり得る。必要に応じて、露出される通路の内部側壁は、実質的に不活性なライニング材料で覆われ得る。
【0047】
ラックまたはフレーム(概して46と示される)は、複数の保持セルを提供し、各々が1つの試薬容器をその中に保持するように構成される。例えば、図1において、容器42は、黒く塗られた矢印の方向に降下させることにより、フレーム46の保持セル52の1つ内に挿入され得る。ラックは、任意の数の保持セルを有し得る。1つの実施形態では、ラックにおいて保持される異なる試薬の数が、保持セルの数を決定する。すなわち、保持セルの数と異なる試薬の数との間には、1対1の対応が存在し得る。比較的大量の特定の試薬を必要とする状況のために、他の実施形態は、このような試薬を、アレイの2つ以上の保持セルに提供する。
【0048】
ラック46は、数十個、数百個、数千個、数万個、または数十万個の保持セルを有し得る。都合の良いことに、このような構成により、多くの異なる試薬の貯蔵および変化し得る選択が可能になる。1つの特定の好ましい実施形態では、ラックは、10,000個の保持セルで形成され、各々は、それぞれの試薬容器を、実質的に垂直な様式で、取り外し可能に支持する。この実施形態では、10,000種までの異なる試薬の任意の組合せが、多重ウェルトレイのウェル内に分配され得る。
【0049】
複数のこのようなラックが、例えば「アセンブリライン」型配置で利用され得るということが、さらに理解されるべきである。例えば、3つの10,000セルラックは、自動化システムに沿ってそれぞれの位置に配置され得、各々が10,000種までの異なる試薬を分配し得る。
【0050】
本発明の教示に従って貯蔵され、そして分配される各々の試薬の特定の形態は、貯蔵手段および分配手段に適合性である限りは、重要ではない。試薬は、単一の物質または異なる物質の集まりであり得、例えば、固体、液体、粉末、エマルジョン、懸濁液または実質的にそれらの任意の組合せとして提供され得る。1つの実施形態では、コーティング材料は、粒子、丸剤、ビーズまたは錠剤を形成するために試薬コアに適用される。このコーティングは、制御可能な条件下(例えば、特定の溶媒ヘの曝露)で試薬へのアクセスを可能にするために、可溶性または膨潤性であり得る。
【0051】
コーティングされたミクロ粒子(ビーズ)を調製するための指針が、例えば以下において提供される:[1]R.Pommersheim,H.Lowe,V.Hessel,W.Ehrfeld(1998),「Immobilation of living cells and enzymes by encapsulation」Institut fuer Mikrotechnik Mainz GmbH,IBC Global Conference Limited;[2]F.Lim A.Sun(1980),Science 210,908;[3]R.Pommersheim,J Schrezenmeir,W.Vogt(1994)、「Immobilization of enzymes and living cells by multilayer microcapsules」Macromol Chem.Phys 195,1557−1567;および[4]W.Ehrfeld,V.Hessel,H.Lehr,「Microreactors for Chemical Synthesis and Biotechnology−Current Developments and Future Applications」:Topics in Current Chemistry 194,A.Manz,H.Becker,Microsystem Technology in Chemistry and Life Science,Springer Verlag,Berlin Heidelberg(1998),233−252;各々が明白に本明細中に参考として援用される。
【0052】
別の実施形態では、複数のビーズ様粒子が、試薬のための固体支持体として作用する。例えば、試薬は、ビーズ上で合成され得るか、またはビーズに吸収され得る。なおさらなる実施形態では、試薬および結合剤を含むスラリーまたは分散が、複数のビーズ様粒子を形成するために使用され、個々のビーズは実質的に均一な粘稠度を有する。
【0053】
複数の異なる試薬は、試薬ビーズのそれぞれの集合または集まり(すなわち「ロット」)に形成され得る。例えば、10,000の異なる試薬は、10,000の異なるビーズロットに形成され得、各ロットは、試薬を運ぶ複数の実質的に類似のビーズを含む。次いで各ロットからのビーズは、分配装置アレイのそれぞれの分配装置に充填され得る。
【0054】
1つの実施形態では、複数のビーズロットが、形成され、ここで各ビーズは、コーティング材料(例えば、ゼラチン)でコーティングされる試薬コアを含み、十分に規定された物理的性質および化学的性質を有する。好ましくは、この実施形態において、全てのロットの全てのビーズは、実質的に同じ外部コーティング(すなわち「汎用的な」コーティング)を保有する。この配置は、試薬との接触に起因する装置汚染の危険性を低減するということが理解されるべきである。試薬がこのシステムを通って移動するときに残渣があとに残される場合、このような残渣は全て同じコーティング材料である。好ましくは、このコーティング材料はいずれの残渣もシステムに無害であるように選択される。
【0055】
さらに試薬輸送ビーズに関して、これらのビーズは、分配装置アレイの通路の1つの直径よりもわずかに小さい直径を有し、その結果これらのビーズは、重力送り分配のために、各容器中で互いに積み重なる(1つのビーズが他のビーズの上にある)。例えば、約3.50〜3.90mmの間、および好ましくは約3.70mmの直径を有するビーズは、約4mmの直径の通路を有する容器内に積まれ得る。
【0056】
あるいは、ビーズは比較的小さくあり得、例えば、各々約1mm未満の直径を有する。1つの好ましい実施形態では、各ビーズは約275〜325μmの間、および好ましくは約300μmの直径を有する。複数のこのようなビーズは、一単位として分配されるためにカプセルまたはアンプル内に入れられ得る。例えば、同じかまたは実質的に同一のロットからの数百または数千のビーズは、プラスチックアンプル内に詰められ得る。図4の例示的な配置は、弾丸形状アンプル50中に配置される試薬輸送ビーズ62を示す。分配装置アレイにおける種々の通路は、複数のこのようなアンプルで充填され得、各アンプルは各ロットからのビーズを含む。図4に最もよく示されるように、アンプルは、重力下で実質的に一列の様式で、通路を通って下向きに移動するように寸法決めされ得る。
【0057】
これらのアンプルは、アンプルの上部開口部を覆うカバー部材を備え得る。このカバー部材は、例えば、取り外し可能なキャップまたはアンプルの上部領域の周りにぴったりと嵌合するように構成される開放端を有するドームであり得る。あるいは、壊れやすいシート様フィルムまたは膜(例えば、図4の膜66)が、各アンプルの上部開口部を取り囲む上部リムまたはリップに適用され得る。例えば、膜カバーを取り外すかまたは破裂させることによりビーズヘのアクセスが達成され得る。
【0058】
1つの実施形態では、各アンプルを覆うカバーは、実質的に気密シールを形成し、周囲の大気からアンプルの試薬含有物を保護する。例えば、従来の接着剤を用いて、または加熱密封技術によりシールが達成され得る。シールされたアンプルは、不活性ガス(例えば窒素など)をさらに含み得る。
【0059】
実質的に任意の試薬が、本発明のシステムを使用して貯蔵および分配され得る。1つの好ましい実施形態に従って、例えば、PCT公開WO95/30139および米国特許出願第08/235,411号(これらの各々は、本明細書中に参考として援用される)に記載されるように、各分配装置中の試薬は、核酸増幅産物(例えば、PCR)の実時間蛍光ベース測定に有用な成分を含む。
【0060】
1つの実施形態において、各容器は、サンプル中に存在し得る選択された検体と反応するために有効な検体特異的試薬を保持する。例えば、ポリヌクレオチド検体については、検体特異的試薬は、選択されたポリヌクレオチド検体セグメントの相補鎖の反対の末端領域に、有効にハイブリダイズする配列を有する第1および第2のオリゴヌクレオチドプライマーを、プライマー開始ポリメラーゼ連鎖反応によりこのセグメントを増幅するために含み得る。検体特異的検出試薬は、検体がサンプル中に存在する場合に検出可能な蛍光シグナルを生成するために、プライマーの1つの下流領域の検体セグメントにハイブリダイズし得る、蛍光剤−消光剤(fluorescer−quencher)オリゴヌクレオチドをさらに含み得る。
【0061】
各容器上に受け入れ番号または追跡番号が、印刷され得、その中に含まれる試薬を同定する。試薬を保持するためにアンプルを使用する実施形態のために、各アンプルは、このような追跡番号を有し得る。後者に関して、容器は、アンプル上の追跡番号がそこを通して観察され得る窓領域を有して形成され得る。この窓領域は、透明な材料(例えば、ガラスまたはプラスチック)であり得、またはこれらは容器の側壁に形成される開口部またはノッチであり得る。
【0062】
好ましくは、各追跡番号は、機械で読み取り可能な形式(例えば、バーコード)で提供される。オペレーターは、手動でバーコードを走査し得るか、またはこれらバーコードは、ロボットを使用して自動化様式で走査され得る。1つの実施形態では、ロボットは試薬管のトレイから容器を拾い上げ、そして容器中に保持される試薬の正体を知り、そして/または確認するためにワンドでバーコードを読み取る。走査された情報を使用して、制御コンピューターは、ロボットにラックの指定された保持セルに管を置くように指示する。あるいは、またはさらに、アンプル上のバーコードは、容器から分配されるときにロボットを使用して走査され得、そして容器上のバーコードは、ラック46内の保持セル内に挿入されるかまたは保持セルから取り外されるときに、手動で走査され得る。
【0063】
制御可能な各試薬の分配は、各分配装置の下部出口領域に配置されるゲート機構により提供される。各ゲート機構は、(i)出口領域を通るそれぞれの試薬の通過を可能にする開状態、と(ii)このような通過がブロックされる閉状態との間で独立して操作可能である。試薬を分配するときまで各容器中に試薬を保持したままにし得るという条件でのみ、ゲート機構の特定の構成は重要ではない。さらに、各ゲート機構は、好ましくは個々で操作可能であり、その結果種々の試薬は、1度に1つずつ分配され得る。
【0064】
種々の型の試薬と組合せた使用のためのいくつかの例示的なゲート機構は、ここで記載される。
【0065】
1つの実施形態に従って、各ゲート機構は、各容器の出口領域に対向する関係で旋回するように取り付けられた、第1および第2の磁石を有する磁気ピンチバルブを備える。一般に、ピンチバルブ磁石は、下部で対向するN極およびS極領域を有し、これらは磁力により互いに向かって推進され、それにより通常ゲート機構を「閉」状態に配置する。さらなる構造が、旋回磁石のこのような通常位置付けを補うかまたは増強するために備えられ得る。
【0066】
図5および6は、試薬輸送ビーズを分配するために特に有用な磁気ピンチバルブの1つの特定の実施形態を示す。ここで支持インサートまたはプラグ(例えば170)が、ラック146の各保持セル152の下部領域に配置される。インサートの外部側壁と各保持セルの内部側壁との摩擦係合が、インサートを適所に保持し得る。接着剤または他の保持手段は、各インサートの長期の配置を確実にするために使用され得る。試薬ビーズ188を含む細長い容器142の下部端は、インサート170bの上部の内側にフランジの出た部分上にある。インサート170は、対向する内部側壁部分上に、旋回点(174および176で示される)を提供し、この内部側壁部分には、各永久磁石178、180がその中間領域で、例えば旋回ピンの方式で旋回するように装着される。図5(B)および6(B)に最もよく示されるように、各旋回磁石178、180は、水平断面で実質的にC字形である。旋回磁石178、180は、それらの上部端領域および下部端領域が、反対の極性であるように方向付けられる。第3の永久磁石(184で示される)は、旋回点174、176上のインサート170の側壁部分に沿って固定して位置付けられる。この固定磁石184の一方の端は、旋回磁石178または180の一方の上部領域に隣接して配置され;そして磁石184の他方の端は、他方の旋回磁石の上部領域に隣接して配置される。固定磁石184は、各々のこのような端の極性が、それらに隣接する旋回磁石の上部領域の極性と反対になるように方向付けられる。従って、通常の状態では、各旋回磁石178、180の上部領域は、側壁に取り付けられた磁石184の隣接部分に引き付けられ、そして同時に、旋回磁石の向かい側にあるN極およびS極領域は、互いに向かって引き付けられる。これに応じて、磁石178、180は、それらの下部N極およびS極領域が、互いに向かってスイングするように、各々の旋回点174、176の周りを旋回し;これによって、図5(A)および5(B)に示されるように、閉状態をとる。閉状態において、出口領域は、試薬ビーズ188が落下し得ないように、収縮される。
【0067】
試薬ビーズを放出するために、放出機構が選択された容器の出口領域の下の位置に移動される。この放出機構は、試薬ビーズが外に出るのを通常防止する閉鎖力を克服するように操作可能である。図5〜6の実施形態において、電磁石192は、放出機構として使用される。電磁石192は、旋回磁石178、180の対向するN極およびS極の下部領域を、それぞれ互いに離れる方向に引き付けるように配置される、間隔を空けられたS極部分およびN極部分を有する。電磁石192を活性化する際に生じる磁力は、上記の通常閉鎖力を克服するために十分であり、それによってビーズ188の1つがインサート170の底部における中心開口部170aを通って落下し得るように、旋回磁石178、180の下部領域と離してスイングさせる。図6(A)に最もよく示されるように、旋回磁石178、180の下部領域が離れてスイングする際に、上部領域は、互いに向かってスイングし、それによって任意のさらなるビーズ188の通過を遮断する。一旦ビーズが分配されると、電磁石192は不活化され得、図5(A)〜5(B)に示されるように、ゲート機構が閉位置に戻るのを可能にする。次いで電磁石192は、別の試薬の分配のための別の容器に移動され得る。この配置が制御可能な単一ビーズ分配を可能にするということは、理解されるべきである。
【0068】
図7および8は、流体試薬を分配するために特に有用なピンチバルブの実施形態を示す。この実施形態では、2つの実質的に平坦な永久磁石278、280が、それぞれの旋回接続274、276に関するスイング運動のために、その最上部端において支持部材270に装着している。図7(A)および8(A)に最もよく示されるように、旋回接続274、276は、細長い容器242の最下部開口部の対向する側面上に配置される。次いで支持部材270は、容器242の下部末端領域に固定される。これに関して、環状空洞287は、容器242の最下部リムまたはリップから上方へ延び、長手通路242aの周囲を巡る。支持部材270の頂部に形成される直立する円筒形のカラー270aは、空洞287内にぴったりと嵌合するように構成される。カラー270aは、摩擦力および/または接着剤による空洞287内に維持され得る。プレート272は、保持セル252の最下部末端に対して固定されて、その中に容器およびゲートアセンブリを支持するための下部土台を提供する。
【0069】
ガスケット部材279、281(図7(B)および図8(B))は、支持部材270の対向する内部側壁部分に貼り付けられる。ガスケット部材279、281は、実質的に液密で、旋回磁石278、280の側部の端面に接して滑るための対向した平面を提供する。ガスケット部材279、281の対向平面は、疎水性材料で形成され、および/または疎水性の性質を示すように処理され、液体試薬288の望ましくない漏出を阻止し得る。
【0070】
前の実施形態と同様に、旋回磁石278、280は、それらの下方端部領域が反対極性を有するように方向付けられる。そのように配置されると、旋回磁石278、280の下方末端は、通常、引き寄せ合い、その結果それらは互いに向かってスイングし、そして接触し、実質的に液密なシール(すなわち、「閉」位置)を確立する。この点に関して、磁石278、280の一方または両方は、液密なシールの形成を補助するために、接触領域に沿ってポリマーコーティング(示されない)を有し得る。
【0071】
液体試薬を放出するために、放出機構は、選択された容器の出口領域の下の位置まで移動される。ここで、図8A〜8Bを参照すると、電磁石292は、放出機構として用いられる。電磁石292は、間を空けて離れたS極部分およびN極部分を有し、旋回磁石278および280の対向するN極部分およびS極部分を、それぞれ互いから離れる方向に引き寄せるように配置される。電磁石292を作動させる際に生じる磁力は、前述した通常の閉鎖力を上回るに十分であり、それによって旋回磁石278、280の下方領域が離れるようにスイングさせ、その結果、液体試薬288のアリコートは、中心開口部272aを通ってプレート272に落下し得る。電磁石292の作動の時間は、分配される液体試薬の量を測定するために使用され得る。電磁石292がオフにされると、磁石278、280の対向する下方端部領域の間の通常の引力が、弁を閉位置へ戻す。
【0072】
別の実施形態において、各ゲート機構は、通常それぞれの出口領域へ延びる突出部を有する、弾性的に傾け可能な(deflectable)レバーである。図9(A)〜9(B)において示すような例示的な配置において、概して参照番号302によって示される細長いレバーは、容器の下方出口領域に近接して、容器342の外側側壁に沿って長軸方向に延びる。それぞれ302bおよび302cと表示される、上方ナブおよび下方ナブ、すなわち突出部分は、レバー302の片側から容器342に向かって外向きに突き出ている。一方、容器342には、レバー302に隣接した位置でこの容器の側壁を貫通して延びる、上方孔および下方孔(それぞれ342bおよび342cと示される)が提供される。より具体的には、孔342b、342cの各々は、突出部302b、302cのそれぞれ1つと整列して配置され、そしてこのような突出部をその中に移動可能に受容するように設定される。
【0073】
弾性バネ部材(例えば、リーフバネ351)は、その一方の端で、容器342の下方出口領域付近に固定されて位置する支持体構造353に固定される。リーフバネ351の他方の端は、レバー302の側面(容器342と対向する)に対して作用するように配置される。リーフバネ351は、方向「F」に沿って規定の付勢力を提供し、この力は、レバー302の下方端領域を容器342に対して押す。このような状況下で、下方突出部302cは、図9(A)に示されるように、容器の下方出口領域で下方孔342cを通り、そして通路342aへ延びる。この「閉」位置で、下方突出部302cは、任意の試薬保持アンプル388a〜388cが外に出ることを妨げる。一方、上方突出部302bは、通常の閉位置では、通路342aの外側に位置する。
【0074】
アンプルを放出するために、放出機構が、選択された容器の出口領域の下の位置まで移動される。放出機構は、通常アンプルが外に出ることを妨げる閉鎖力を上回るように作動可能である。図9(A)および図9(B)を参照すると、細長いロッド372が放出機構として用いられ得る。ロッド372は、(i)引っ込んだ位置(ここで、ロッド372は、選択されたレバー(例えば、図9(A)中のレバー302)の下に位置付けられ得る)と(ii)伸びた位置(ここで、ロッドの丸いヘッド部(372aと表示される)は、レバーの下方の外側に角をなしたカム表面に(例えば、図9(B)中の302aで)接し、かつその表面を押し得、それによってレバー302を容器342から離して傾ける)との間の往復線形運動に適合される。ロッド372のこのような動きは、例えば、従来のソレノイドアセンブリから伸びる移動可能なプランジャーの末端領域にロッドを提供することによってもたらされ得る。
【0075】
特に、たった今記載された様式でレバー302が傾けられる場合、下方突出部302cは、通路342aから引き出され、一番下の試薬保持アンプル388aを容器の下方出口領域から落下させる。また、このような傾けの間にも、上方突出部302bは、通路342a中に伸びるように上方孔342bに受容され、残った任意の試薬保持アンプル388b〜388cが外に出ることを妨げる。ロッド372を引っ込んだ位置に戻す際、レバー302は、図9(A)のように、その通常の閉鎖された位置を取り戻し、任意のアンプルの通過を妨げる。この配置が、制御可能な、単一アンプル分配を可能にすることが理解される。
【0076】
代替の実施形態において、たった今記載された実施形態と同様に、放出機構は、磁石の原理に従って作動する。例示的な配置において(示されない)、弾性的に傾け可能なレバーの下方端および往復移動可能なロッドの上方ヘッド部は、同じ極性を示す(例えば、両方とも「N」である)ように、磁気によって偏極されるか、または分極可能である。レバーは、ロッドをレバーの下方端の近位に移動することによって、同種の磁極部分が互いに反発するように傾けられ得る。特に、ロッドとレバーとの間の接触は、この実施形態において必要とされない。磁気斥力は、レバーを容器から離して傾けるに十分であり、それによって試薬保持アンプルを容器の下方出口領域から落下させる。
【0077】
上記の任意の放出機構は、下方xyステージの上部表面に取り付けることによって、分配アレイの下の概して水平な平面に沿った種々の配置に適合され得る。この点において、取り付けアセンブリ(例えば、図1〜3のブラケット51)が、放出機構を保持するために使用され得る。この実施形態において、ブラケット51の一方の端は、下方xyステージ26の上部表面に貼り付けられている。ブラケット51の他方の(自由)端は、プラットホームアセンブリ12と分配アレイ16との間の領域に延び、44で概略的に示されるように、ここで放出機構が支持されている。
【0078】
検出アセンブリが、選択されたオーバーヘッド分配装置からレセプタクル中への試薬の通過を検出するために提供され得る。図1〜3の例示的な配置において、レーザー37のような放射供給源またはエミッターと39のような放射センサとの間の領域は、検出ゾーンを規定する。この実施形態において、レーザー37および放射センサ39の両方は、下方xyステージ26の上部表面上の各位置(上方xyステージ22の対向する片側)に固定されて位置する。この構造は、検出ゾーンが、下方xyステージ26の移動と共に、分配装置アレイ16の下の概して水平な平面に沿って移動することを可能にする。従って、適切な様式でxyステージ26を移動させることによって、検出ゾーンは、アレイ16の任意の選択された分配装置の下に配置され得る。38で示される幅が狭いビームは、検出ゾーンに沿ってレーザー37から向けられ、そしてセンサ39によって検出され得る。ビーム38の中断は、検出ゾーンより上の分配装置からの試薬の通過を示す。
【0079】
本発明を実施する際の使用に適切なレーザーおよびセンサは、例えば、Edmund Scientific(Barrington,NJ)から市販されている。放射エミッターとしての使用に、特に好ましいダイオードレーザーは、Coherent,Inc.(Auburn,CA)によって作製される。
【0080】
試薬の通過を検出することに加えて、ビーム38はまた、分配された試薬の出所を確認するために使用され得る。例えば、ビーム38はバーコードスキャナとして「兼用になり」得る。1つの実施形態において、各試薬保持アンプルは、その中に保持する特定の型の試薬に固有のバーコードを有する。分配されたアンプルがビームを通過する際に、バーコードが読まれ、そしてその情報は制御コンピューター上に伝えられる。次いで、コンピューターは、分配された試薬を同定し、そして分配エラーの場合には適切な是正措置を取り得る。
【0081】
ガイド部材または漏斗部材が、オーバーヘッド分配装置から分配される試薬を上方xyステージのレセプタクル保持域上の選択された部位に導くために、分配装置アレイとプラットホームアセンブリとの間の領域に提供され得る。図1〜3の例示的な配置において、40で概略的に示される、このようなガイド部材は、取り付けブラケット51によって下方支持体の上部表面に対して固定されて位置する。この構造は、ガイド部材40が、下方xyステージ26の移動と共に、分配装置アレイ16の下の概して水平な平面に沿って移動することを可能にする。
【0082】
代表的に、作動中は、ガイド部材40はアレイ16の選択された分配装置の下に位置する。選択されたレセプタクル(例えば、マルチウェルプレート36の特定のウェル)は、上方xyステージ22を適切に移動させることによって、ガイド部材の下に位置する。ガイド部材およびレセプタクルのこのような位置決めは、好ましくは同時に生じる。次いで、分配された試薬は、選択された分配装置から選択されたレセプタクルへの途中にあるガイド部材40の、中央の垂直に延びるチャネルを通って落下する。
【0083】
図9(A)および図9(B)に示される1つの特定の実施形態において、340と表示されるガイド部材は、(i)上部開口部340a、(ii)上部開口部340aより小さい下部開口部340c、および(iii)上部開口部と下部開口部との間の円錐形または漏斗形の部分340bを備える。またこの実施形態において、ガイド部材340および往復移動可能なロッド372は、共通のハウジングに一緒に都合良く提供される。
【0084】
この点では、下方支持体の固定標的領域の重要性が十分理解され得る。固定標的領域は、本来、選択された分配装置の下に位置する場合、分配装置の下に1つ以上の追加構成要素の適切かつ同時の位置決めを容易にする基準点である。例えば、図1〜3の実施形態を参照すると、以下の要素の各々が、記載されるように、固定標的領域26aをこのような容器の下の位置へ移動する際、選択された容器に関して適切な位置に配置される:
(i)放射ビーム38は、選択された容器の下に配置され、その結果、容器から分配される任意の試薬がビームを遮断する;
(ii)ガイド部材または漏斗部材40は、選択された容器の下方出口領域と軸方向に整列した、その上方の大きな開口部と共に配置され、その結果、分配された試薬はその中に落下する;そして
(iii)放出機構44は、選択された容器の下方出口領域で、通常は閉鎖したゲート機構付近に位置決めされる。
【0085】
さらに、上方xyステージ22のレセプタクル保持域で支持されたマルチウェルプレート36の選択されたウェルは、固定標的領域を覆う位置へ移動され得、一方、固定標的領域は、たった今記載されたように選択されたレセプタクルの下に移動される。このように、レセプタクルも、分配された試薬を受容するように迅速かつ正確に位置決めされ得る。
【0086】
xyステージ22,26と同様に、上記の種々の構成要素およびサブアセンブリの操作は、National Instruments(Austin,Texas)からのソフトウエア:LABVIEW(登録商標)またはLABWINDOWS(登録商標)を使用して、当該分野で公知の技術によって制御され、そして組織化され得る。
【0087】
代表的な使用において、ラック46における保持セル52のアレイは、各々特定の試薬を保持する、それぞれの容器42と共に載せられる。データセットまたは表は、特定の固有試薬を有する保持セルマトリックスの各々の位置またはアドレスを同定する値を構成するように作製される。データセットは、制御コンピューターにアクセスし得るドライブユニットに格納される。試薬は、例えば、以下のように、分配されるまでラック46中で維持される。
【0088】
マルチウェルプレート36は、上方xyステージ22のレセプタクル保持域22a上に配置される。ラック46中に保存された複数の試薬は、プレート36の選ばれたウェル32中への分配のために選択され、そしてこの情報は、制御コンピューターに供給される。コンピューターは、どの容器が選択された試薬を保持するかを決定するために位置情報のデータセットにアクセスし、そして充填順序が作成されてメモリーに保持される。コンピューターは、下方xyステージ26を、固定標的領域26aが装填順序の第1容器の下で配置される位置に移動するように、モーターコントローラーに信号を送る。同時に、上方xyステージ22は、固定標的領域26aに対して、マルチウェルプレート36の選ばれたウェルの下にある、レセプタクル保持域22aの選択された標的領域を位置決めする。同時に、これらの工程は、放射ビーム38、ガイド部材40、および放出機構44を、容器の下方出口領域付近の適切なそれぞれの位置に位置決めするように働き、ならびにプレート36の選ばれたウェルを容器の下に位置決めするように働く。次いで、コンピューターは、放出機構44の作動を信号で伝え、ゲート機構を容器の下方出口領域で開放させ、そしてプレート36の選ばれたウェル中にそれぞれの試薬のアリコートを分配させる。正確に分配された物質は、放射ビーム38がセンサ39に到達するのを短時間妨げ、このことは成功した分配を表す。放射ビーム38が中断されない場合は、予想通りに分配でのエラーが記録され、次いで所望されるように、試薬を分配するさらなる試みがなされ得る。第1試薬が分配された後、充填順序の次の試薬が、同様の様式で分配され得る。
【0089】
1つの好ましい実施形態において、本発明の分配システムは、マイクロカード中の非常に小さなウェルのアレイにそれぞれの試薬を充填するための、より大きなシステムにおけるサブアセンブリとして利用される。図10の例示的な配置において、436として表示される384−ウェルプレートは、移動のために回転ラックアセンブリ449上で支持された、441のような標的384−ウェルマイクロカードを連続的に装填するための試薬の供給源として働く。プレートおよびマイクロカードの両方のウェルは、16×24のアレイに配置され、中心から中心まで約4.5mm間隔が空いている。しかし、プレートのウェルは、マイクロカードのウェルの直径よりも大きな直径を有する。例えば、プレートの各ウェルは、約3mmの直径で構成され得、一方、マイクロカードの各ウェルは、約1mmの直径で形成され得る。
【0090】
一般に、マルチウェルプレート436の各ウェルには、前記の詳細な記載に従って、それぞれの試薬保持アンプルが装填される。次いで、443のようなロボットが、アンプルが充填されたプレートを、黒塗りの矢印「P」の方向にピック・アンド・プレイスユニット445まで移動する。ピック・アンド・プレイスユニット445は、同時に、プレート中の各アンプルから試薬ビーズを取り出し、そしてプレートおよびマイクロカードのアレイに対応するアレイを規定する間隔を空けた位置でビーズを保持する。次いで、ピック・アンド・プレイスユニット445は、回転ラック上に支持されたマイクロカードのウェルに対して保持されたビーズを、そこに直に隣接した位置に位置決めするように、その中心軸に関して回転し、そこでビーズを放出する。447のようなビーズ分配装置は、ピック・アンド・プレイスユニット445と標的マイクロカードとの間に挿入され、各々放出されたビーズをその指定されたウェルへ別々に導く。次いで、装填されたマイクロカードウェルを使用して、所望のアッセイまたは反応(例えば、リアルタイムPCR)を実行し得る。
【0091】
マイクロカード装填システムのさらなる詳細は、1999年2月16日に出願された米国出願第09/250,697号、および同日に出願された米国出願:代理人整理番号0550−0076.30(これらの内容は、本明細書中で参考として特に援用される)に提供される。
【0092】
本発明の保存および分配システムによって提供された多くの恩恵が、ここで理解され得る。例えば、上方支持体および下方支持体(例えば、xyステージ)が同時に移動することは、種々のシステム構成要素の迅速かつ正確な位置決めを可能にする。さらに、一旦、所望の受容レセプタクルが、選択された分配装置の下に位置決めされると、放出機構および検出ビームが即座に作動して物質を分配し得る。結果として、非常に迅速な様式で、複数の物質の連続的な分配が達成され得る。
【0093】
当業者は、ここで、前記の記載から、本発明の広範な教示が種々の形態において実施され得ることを理解し得る。従って、本発明は、特定の実施形態およびその実施例と組み合わせて記載されたが、本発明の真の範囲はそのように制限されるべきではない。種々の変化および改変は、添付の請求の範囲によって規定されるような本発明の範囲から逸脱することなくなされ得る。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明の保存および分配システムによって提供された多くの恩恵により、例えば、上方支持体および下方支持体(例えば、xyステージ)が同時に移動し、種々のシステム構成要素の迅速かつ正確な位置決めを可能にする。さらに、一旦、所望の受容レセプタクルが、選択された分配装置の下に位置決めされると、放出機構および検出ビームが即座に作動して物質を分配し得る。結果として、非常に迅速な様式で、複数の物質の連続的な分配が達成され得る。
【0095】
本発明の構造および様式は、本発明のさらなる目的および利点とともに、添付の図面と組み合わせて、上記の説明を参照することによって、最もよく理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】図1は、本発明の1つの実施形態に従う、試薬貯蔵および分配システムの透視図であり、これは、支持体ラックの保持セルへの挿入のために釣り合わされた、分配装置を示す。
【図2】図2は、図1の試薬貯蔵および分配システムのさらなる詳細を示す、一部壊された、透視図である。
【図3】図3は、図1および図2の試薬貯蔵および分配システムのなおさらなる詳細を示す、分解組立て図である。
【図4】図4は、複数の試薬含有アンプルを保持する、本発明の分配装置の側方断面図である。
【図5A】図5(A)および図5(B)は、本発明の1つの実施形態に従う、分配装置からの試薬ビーズの通過をブロックする磁気ピンチバルブを示す、それぞれ、垂直断面図および水平断面図である。
【図5B】図5(A)および図5(B)は、本発明の1つの実施形態に従う、分配装置からの試薬ビーズの通過をブロックする磁気ピンチバルブを示す、それぞれ、垂直断面図および水平断面図である。
【図6A】図6(A)および図6(B)は、試薬ビーズの通過を可能にする、図5(A)および5(B)の磁気ピンチバルブを誘導する電磁石を示す、それぞれ、垂直断面図および水平断面図である。
【図6B】図6(A)および図6(B)は、試薬ビーズの通過を可能にする、図5(A)および5(B)の磁気ピンチバルブを誘導する電磁石を示す、それぞれ、垂直断面図および水平断面図である。
【図7A】図7(A)および図7(B)は、本発明のさらなる実施形態に従う、分配装置からの流体試薬の通過をブロックする磁気ピンチバルブを示す、それぞれ、垂直断面図および水平断面図である。
【図7B】図7(A)および図7(B)は、本発明のさらなる実施形態に従う、分配装置からの流体試薬の通過をブロックする磁気ピンチバルブを示す、それぞれ、垂直断面図および水平断面図である。
【図8A】図8(A)および図8(B)は、流体試薬のアリコートの通過を可能にする、図7(A)および7(B)の磁気ピンチバルブを誘導する電磁石を示す、それぞれ、垂直断面図および水平断面図である。
【図8B】図8(A)および図8(B)は、流体試薬のアリコートの通過を可能にする、図7(A)および7(B)の磁気ピンチバルブを誘導する電磁石を示す、それぞれ、垂直断面図および水平断面図である。
【図9A】図9Aは、本発明の1つの実施形態に従う、分配装置からの試薬含有アンプルの通過をブロックするバネ付勢レバーを示す、側方断面図である。
【図9B】図9Bは、図9(A)のバネ付勢レバーを傾け、その結果、単一の試薬含有アンプルが、分配装置から下にあるガイド部材または漏斗部材へと落ち得る、ロッド様アクチュエーターを示す、側方断面図である。
【図10】図10は、試薬含有ビーズをマイクロカードウェルにロードするための比較的大きなシステムの状況における、本発明の試薬貯蔵および分配システムの透視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
図1に記載の複数の試薬を貯蔵および分配するためのシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図9B】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2006−47320(P2006−47320A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−295743(P2005−295743)
【出願日】平成17年10月7日(2005.10.7)
【分割の表示】特願2000−599509(P2000−599509)の分割
【原出願日】平成12年2月15日(2000.2.15)
【出願人】(500069057)アプレラ コーポレイション (120)
【住所又は居所原語表記】850 Lincoln Centre Drive Foster City CALIFORNIA 94404 U.S.A.
【Fターム(参考)】