マニピュレータ
【課題】アクチュエータ部と作業部とを装着する際に、作業部の個体情報の誤認識を防止することができるマニピュレータを提供する。
【解決手段】マニピュレータ10は、アクチュエータブロック30と、アクチュエータブロック30に対して着脱自在な作業部16と、作業部16の動作を制御するコントローラ514とを備える。前記アクチュエータブロック30には係合凹部41a〜41cが設けられ、前記作業部16には係合凸部51a〜51cが設けられ、係合凸部51a〜51cは作業部16の種類に応じて異なる角度に設定されると共に、係合凹部41a〜41cと係合凸部51a〜51cとは、互いに所定の係合角度に設定されている場合にのみ係合可能に構成される。
【解決手段】マニピュレータ10は、アクチュエータブロック30と、アクチュエータブロック30に対して着脱自在な作業部16と、作業部16の動作を制御するコントローラ514とを備える。前記アクチュエータブロック30には係合凹部41a〜41cが設けられ、前記作業部16には係合凸部51a〜51cが設けられ、係合凸部51a〜51cは作業部16の種類に応じて異なる角度に設定されると共に、係合凹部41a〜41cと係合凸部51a〜51cとは、互いに所定の係合角度に設定されている場合にのみ係合可能に構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータを備えるアクチュエータ部と、前記アクチュエータ部に対して着脱自在で、シャフトの先端に前記アクチュエータにより動作される先端動作部を備える作業部とを有するマニピュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡下外科手術(又は腹腔鏡下手術とも呼ばれる。)においては、患者の腹部等に複数の孔を開け、器具の通過ポートとしてトラカール(筒状の器具)を挿入した後、シャフトを有する鉗子の先端部をトラカールを通じて体腔内に挿入して患部の手術を行っている。鉗子の先端部には、作業部として、生体組織を把持するためのグリッパや、鋏、電気メスのブレード等が取り付けられている。
【0003】
鉗子による内視鏡下外科手術は、作業空間である体腔内が狭くしかもトラカールを支点として鉗子を操作するため、一定のトレーニングが必要となる。また、従来使用されている鉗子では先端の作業部に関節が無いため、自由度が小さく、先端作業部はシャフトの延長線上での動作しか行うことができない。従って、通常のトレーニングで実施可能な症例には限度があり、他の様々な症例に対して適用するためには相当に高度なトレーニング及び習熟が必要になる。
【0004】
このような観点から、従来の鉗子を改良し、作業部に複数の関節を有する鉗子の開発が行われている(例えば、引用文献1参照)。特許文献1に記載のマニピュレータは、人手によって操作される操作部と、操作部に対して交換自在に着脱される作業部とから構成される。このようなマニピュレータでは、従来の鉗子のような制約や不自由がなく、手技が容易となり、適用可能な症例が多くなり、また、作業部の種類を交換することにより種々の手技に対応することができる。
【0005】
一方、このようなマニピュレータをロボットアームにより駆動する医療用ロボットシステムが提案されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に記載の医療用ロボットシステムでは、マニピュレータの着脱について、先端のマニピュレータにIDを取得するためのメモリを有していて制御装置がその情報を取得して制御することが記載されている。メモリはROM又はフラッシュメモリ等であり、電気的接点を介してIDが伝達される。
【0006】
【特許文献1】特開2004−105451号公報
【特許文献2】米国特許第6331181号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、外科手術が行われる際には、外科医が患者の内部を直接見ながら手術ができるように大きな切開が施された。大きな切開は、患者の回復を遅らせたりするものであった。近年、多くの外科医は内視鏡下での低侵襲の外科手術を行い、切開を著しく小さくすることができている。
【0008】
ロボット外科器具は低侵襲外科手術をさらに発展させてきている。それらの外科器具は高度に専門的になっている。それらの外科器具は外科医の最小化された動きに追随しなければならない。外科医は臓器に対して切断、剥離そして縫合等の多くの異なったことを行う。異なったそれぞれの外科器具はそれぞれの機能を要求される。それぞれの機能のために異なった医療器具が作られる。しかし、単にコントロールユニットに接続された外科器具を機能ごとに代える方が経済的である。外科器具のコントロールを正確に行うためには、取り付けられるそれぞれの外科器具を認識しなければならない。
【0009】
つまり、アクチュエータ部に対して種々の作業部が装着可能である場合、制御部では作業部の種類に応じた制御を行う必要があり、作業部の個体情報が必要となる。また、先端動作部の姿勢は、例えば原点位置を基準として算出されることから、手術の途中で作業部を交換する場合には、次の作業に備えて該作業部は正確に原点に一致した軸位置としてから取り外すことが望ましい。原点位置に一致していない状態で取り外されたときには、所定の警報を発してその作業部を再装着するように促すとよいが、このとき別の作業部を装着されることがないように作業部を識別することが必要になる。
【0010】
そこで、アクチュエータ部に装着された作業部を識別するため、作業部側のIDをアクチュエータ部側の認識部で認識する必要がある。例えば、前記の特許文献2ではROMからツールの個体情報を読み取ることができ、該個体情報に応じて作業部の種類に応じた制御が可能となる。
【0011】
通常、アクチュエータ部に作業部を装着するに当たっては、装着動作が完了した後、認識部によって作業部固有の個体情報を記録したIDを認識する処理が行われる。ところが、作業部側の前記IDが、例えば異なる種類のものを誤って表示していた場合等には、装着された作業部の種類(例えば、グリッパ)と異なる他の種類(例えば、電気メス)であるとアクチュエータ部側では認識され、該電気メス用の制御手法でグリッパが駆動制御され、正確な操作を行うことができない可能性がある。
【0012】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、アクチュエータ部と作業部とを装着する際に、作業部の個体情報の誤認識を防止することができるマニピュレータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係るマニピュレータは、アクチュエータを備えるアクチュエータ部と、前記アクチュエータ部に対して着脱自在で、シャフトの先端に前記アクチュエータにより動作される先端動作部を備える作業部と、前記アクチュエータ部に設けられ、前記アクチュエータに連動して回転駆動される駆動側係合部と、前記作業部に設けられ、前記駆動側係合部に係合して従動的に回転駆動される従動側係合部を備えることで、前記アクチュエータからの駆動力を受けて前記先端動作部を動作させる機構部とを有し、前記駆動側係合部と前記従動側係合部とがそれぞれ所定の係合角度に設定されている場合にのみ、該駆動側係合部と該従動側係合部とは互いに係合可能であることを特徴とする。
【0014】
このような構成によれば、作業部側の従動側係合部とアクチュエータ部側の駆動側係合部とが互いに所定の係合角度、例えば、作業部の先端動作部の種類に応じた原点角度に設定されている場合にのみ、作業部とアクチュエータ部との装着を行うことができ、換言すれば、従動側係合部と駆動側係合部とが互いに所定の係合角度にない場合には作業部とアクチュエータ部とは構造的に接続不能に構成される。このため、装着時の作業部の個体情報を誤って認識し、これに対応してアクチュエータ部を駆動制御することを有効に防止することができる。
【0015】
この場合、前記作業部は複数種類を前記アクチュエータ部に交換可能であると共に、各作業部の種類に応じて前記駆動側係合部の原点角度が異なるように構成され、前記従動側係合部が、各作業部の前記駆動側係合部の原点角度にそれぞれ対応した角度に設定された場合にのみ、各作業部の前記駆動側係合部と前記従動側係合部とは係合可能であると、例えば、手技中に作業部の種類を交換する場合において、操作者は、従動側係合部と駆動側係合部とのマッチング関係をほとんど意識することなく、装着作業を行うことができる。
【0016】
また、前記駆動側係合部及び前記従動側係合部は、一方に凹部が形成され、他方に前記凹部に係合可能な凸部が形成されていると、アクチュエータの駆動力を機構部側に簡便に伝達でき、しかも駆動側係合部と従動側係合部とを簡便に係合可能に構成することができる。
【0017】
なお、前記駆動側係合部及び前記従動側係合部は、十字型であると、一層簡便に駆動側係合部と従動側係合部とを係合することができる。
【0018】
また、本発明に係るマニピュレータは、アクチュエータを備えるアクチュエータ部と、前記アクチュエータ部に対して着脱自在で、シャフトの先端に前記アクチュエータにより動作される先端動作部を備える作業部と、前記アクチュエータ部に設けられ、前記アクチュエータに連動して回転駆動される駆動側係合部と、前記作業部に設けられ、前記駆動側係合部に係合して従動的に回転駆動される従動側係合部を備えることで、前記アクチュエータからの駆動力を受けて前記先端動作部を動作させる機構部と、前記作業部の動作を制御する制御部と、前記作業部に設けられ、個体識別用の個体信号を保持するID保持部と、前記アクチュエータ部に設けられ、前記ID保持部に対して非接触で前記個体信号を認識し前記制御部へ供給するID認識部とを有し、前記作業部は複数種類を前記アクチュエータ部に交換可能であると共に、各作業部の種類に応じて前記駆動側係合部の原点角度が異なるように構成され、前記アクチュエータ部に前記作業部が装着される際、前記制御部は、前記ID認識部で認識した前記作業部の種類に応じた前記従動側係合部に係合可能な状態に、前記駆動側係合部を回転させることを特徴とする。
【0019】
このような構成によれば、作業部の個体信号をID認識部により認識し、これに応じた設定に駆動側係合部を簡便に変更することができる。このため、例えば、作業部の種類を交換する場合であっても、駆動側係合部の設定を、交換される作業部の従動側係合部の原点設定に簡便に対応させることができる。従って、作業部とアクチュエータ部とを簡便に装着可能でありながら、装着時の作業部の個体情報を誤って認識し、これに対応してアクチュエータ部を駆動制御することを有効に防止することができる。
【0020】
この場合、前記駆動側係合部及び前記従動側係合部は、一方に凹部が形成され、他方に凸部が形成され、前記従動側係合部の前記凹部又は前記凸部の原点角度は、各作業部の種類毎に異なるように設定され、前記制御部は、前記ID認識部で認識した前記作業部の種類に応じた前記従動側係合部に対応する角度に、前記駆動側係合部の凸部又は凹部の角度を変更するように構成すると、アクチュエータの駆動力を機構部側に簡便に伝達でき、しかも駆動側係合部と従動側係合部とを簡便に係合可能に構成することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、先端動作部を備える作業部とアクチュエータ部とを装着する際に、該作業部の個体情報を誤って認識し、これに対応してアクチュエータ部を駆動制御することを有効に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明に係るマニピュレータについて実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
【0023】
図1に示すように、本実施の形態に係るマニピュレータ10は、先端動作部12に生体の一部又は湾曲針等を把持して所定の処置を行うための医療用であり、通常、把持鉗子やニードルドライバ(持針器)等とも呼ばれる。
【0024】
マニピュレータ10は、人手によって把持及び操作される操作部14と、該操作部14に対して着脱自在な作業部16とを備え、操作部14に対しコネクタ520を介して着脱自在なコントローラ(制御部)514を有するマニピュレータシステムとして構成されている。
【0025】
マニピュレータ10は、基本構成として操作部14と作業部16とを有しており、コントローラ514は当該マニピュレータ10の電気的な制御をするものであって、グリップハンドル26の下端部から延在するケーブル61に対しコネクタ520を介して接続されている。制御部であるコントローラ514の機能の一部又は全部を、例えば操作部14に一体的に搭載することもできる。
【0026】
コントローラ514は、マニピュレータ10を独立的に3台同時に制御することができる。コントローラ514のうち、第1、第2及び第3のマニピュレータ10を制御する部分を総括的に第1ポート515a、第2ポート515b及び第3ポート515cとも呼ぶ。
【0027】
図2に示すように、マニピュレータ10及び該マニピュレータ10を含むシステムは、選択的に種々の構成を採りうる。すなわち、操作部14はバリエーションとして、例えば操作部14a〜14dが用意され、作業部16はバリエーションとして、例えば作業部16a〜16dが用意されている。
【0028】
コントローラ514には、操作部14(14a)に代えて操作部14b、14c及び14dを装着することができる。また、各操作部14a〜14dに対し、作業部16(16a)に代えて作業部16b、16c及び16dを装着することができる。すなわち、術者は手技の種類や慣れ等に応じて操作部14a〜14d及び作業部16a〜16dを選択的に組み合わせて構成することができる。
【0029】
例えば、図1及び図5に示すように、作業部16a(16)は先端動作部12がグリッパ59となっている。作業部16bは先端動作部12がはさみとなっている。作業部16cは先端動作部12がブレード型電気メスとなっている。作業部16dは先端動作部12がフック型電気メスとなっている。各作業部16a〜16dは、接続部15内のプーリ50a、50b及び50c等(図1参照)は共通の構成となっている。
【0030】
上記したように、コントローラ514は、3台のマニピュレータ10を同時に制御可能であることから、操作部14a〜14dのうちいずれか3つを第1ポート515a、第2ポート515b及び第3ポート515cに接続が可能である。
【0031】
図1に示すように、コントローラ514には、図示しないLANを介して使用履歴管理手段であるホストコンピュータ602が接続されている。ホストコンピュータ602は、内部の図示しない記録手段に使用履歴テーブルを記録しており、コントローラ514又は前記LANにより接続された複数台のコントローラに対して要求された個体番号に応じた使用履歴データを送受信し、管理する。ホストコンピュータ602は、コントローラ514から独立的な構成に限らず、コントローラ514にその機能を設けてもよい。
【0032】
次に、操作部14及び作業部16について説明する。
【0033】
以下の説明では、図1における幅方向をX方向、高さ方向をY方向、及び、連結シャフト48の延在方向をZ方向と規定する。また、右方をX1方向、左方をX2方向、上方向をY1方向、下方向をY2方向、前方をZ1方向、後方をZ2方向と規定する。さらに、特に断りのない限り、これらの方向の記載はマニピュレータ10が基準姿勢(中立姿勢)である場合を基準として表すものとする。これらの方向は説明の便宜上のものであり、マニピュレータ10は任意の向きで(例えば、上下を反転させて)使用可能であることはもちろんである。
【0034】
作業部16は、作業を行う先端動作部12と、操作部14のアクチュエータブロック(アクチュエータ部)30に対して接続される接続部15と、これらの先端動作部12と接続部15とを連接する長尺で中空の連結シャフト(シャフト)48とを有する。作業部16は、アクチュエータブロック30における所定の操作によって操作部14から離脱可能であって、洗浄、滅菌及びメンテナンス等を行うことができる。ここで、アクチュエータブロック30は作業部16が装着される箇所を意味するものであり、モータ(アクチュエータ)40a、40b及び40cを格納する場所に限定されず、ブリッジ28との接続面30a(図4参照)を含む。
【0035】
先端動作部12及び連結シャフト48は細径に構成されており、患者の腹部等に設けられた円筒形状のトラカール20から体腔22内に挿入可能であり、操作部14の操作により体腔22内において患部切除、把持、縫合及び結紮等の様々な手技を行うことができる。
【0036】
操作部14は、人手によって把持されるグリップハンドル26と、該グリップハンドル26の上部から延在するブリッジ28と、該ブリッジ28の先端に接続されたアクチュエータブロック30とを有する。
【0037】
図4に示すように、グリップハンドル26は、ブリッジ28の端部からY2方向に向かって延在しており、人手によって把持されるのに適した長さであり、該グリップハンドル26の近傍には先端動作部12の動作等に供される入力手段が設けられている。すなわち、このような入力手段として、グリップハンドル26に近接したZ1方向にトリガーレバー32及びスイッチ36が設けられ、Y1方向に複合入力部34及び作動スイッチ35が設けられている。
【0038】
作動スイッチ35のZ1方向でブリッジ28の上面における視認しやすい箇所にはLED29が設けられている。LED29は、マニピュレータ10の制御状態を示すインジケータであり、操作者が容易に認識可能な大きさであり、かつ操作に支障がない程度に十分に小型軽量である。
【0039】
グリップハンドル26の下端には、コントローラ514に接続されるケーブル61が設けられている。グリップハンドル26とケーブル62とはコネクタにより接続されていてもよい。
【0040】
次に、先端動作部12を動作させるために操作部14に設けられる入力手段について説明する。
【0041】
作動スイッチ35は、マニピュレータ10の動作状態の有効又は無効を設定するための入力手段である。LED29は、マニピュレータ10の制御状態を示すインジケータであり、操作者が容易に認識可能な大きさであり、且つ操作に支障がない程度に十分に小型軽量である。LED29は、ブリッジ28の上面における略中央部で、視認性のよい位置に設けられており、作動スイッチ35と並んで配置されていることから、例えば、作動スイッチ35によるON操作に同期して点灯等をするため、操作者は作動スイッチ35の操作をしながらその入力状態をLED29により確実に認識することができる。
【0042】
この場合、コントローラ514は、作動スイッチ35の状態を読み込み、オン状態であるときに動作モードとし、オン状態からオフ状態に切り換わったときに自動原点復帰動作としてモータ40a〜40cを原点(原点角度、初期位相)に戻し、原点に戻った後に停止モードとする。動作モードは、操作部14の操作指令を有効にしてモータ40a〜40cを駆動するモードである。停止モードは、操作部14の操作指令の有無に関わらずモータ40a〜40cを停止させるモードである。これらのモード及び動作はコントローラ514によって区別されて制御され、LED29及び所定のランプの点灯状態が切り換えられる。
【0043】
複合入力部34は、先端動作部12に対してロール方向(軸回転方向)及びヨー方向(左右方向)の回転指令を与える複合的な入力手段であり、例えば軸回転に動作する第1入力手段によってロール方向指示を行い、横方向に動作する第2入力手段によってヨー方向指示を行うことができる。トリガーレバー32は、先端動作部12のグリッパ59(図1及び図5参照)に開閉指令を与える入力手段である。
【0044】
図3に示すように、複合入力部34、トリガーレバー32には、それぞれ動作量を検出する入力センサ39a、39b、39cが設けられており、検出した動作信号(例えばアナログ信号)をコントローラ514に供給し、これにより、モータ40a〜40c及びプーリ50a〜50cが駆動され、ワイヤ54a〜54c(図5参照)が駆動されることにより先端動作部12を動作させることができる。
【0045】
図3及び図4に示すように、トリガーレバー32は、ブリッジ28のやや下方でZ1方向にやや突出したレバーであり、人差し指による操作が容易な位置に設けられている。
【0046】
トリガーレバー32は、グリップハンドル26に対してアーム98により接続されており、該グリップハンドル26に対して進退するように構成されている。アーム98はグリップハンドル26内で入力センサ39cに接続されており、トリガーレバー32の進退量が該入力センサ39cによって計測されてコントローラ514に供給される。トリガーレバー32は、指を当て、グリップハンドル26の方向(つまり、Z2方向)に向かって引き込む操作と、グリップハンドル26からZ1方向に押し出す操作とが可能に構成され、これにより、グリッパ59へと開閉指令を与えることができる。
【0047】
なお、トリガーレバー32のY2方向に設けられたスイッチ36は、オルタネート式であって、該スイッチ36を操作することによりトリガーレバー32により所定の開閉状態とされたグリッパ59の状態、例えば、閉じ状態を保持しておくことができる。
【0048】
次に、作業部16と操作部14の着脱の構成について説明する。
【0049】
作業部16の接続部15は、樹脂のカバー37に覆われており、モータ40a、40b及び40cの駆動軸に接続されて従動回転されるプーリ50a、50b及び50cをそれぞれ回転自在に保持している。プーリ50a、50b及び50cには、それぞれワイヤ54a、54b及び54c(図5参照)が巻き掛けられており、連結シャフト48の中空部分を通って先端動作部12まで延在している。ワイヤ54a〜54cは同種、同径のものを用いることができる。プーリ50a〜50cにはそれぞれカップリングが設けられている。
【0050】
図5に示すように、連結シャフト48内を挿通したワイヤ54a、54b及び54cは、グリッパ59を備えた先端動作部12の対応するプーリ57a、57b及び57cにそれぞれ巻き掛けられている。なお、図5は、グリッパ59を備える先端動作部12は、プーリ50a〜50cが原点角度にある場合の状態を示している。
【0051】
従って、プーリ50aとプーリ57aとの間にワイヤ54aが巻き掛けられた状態で当該プーリ50aがモータ40aによって回転駆動されると、その回転駆動力がワイヤ54aを介してプーリ57aへと伝達され、該プーリ57aを回転させる。そうすると、プーリ57aの回転が、例えば歯車55、歯車リング64及び歯車66へと順次伝達され、グリッパ59を開閉させることができる。マニピュレータ10では、このようなプーリ50a〜50c、ワイヤ54a〜54c及びプーリ57a〜57cを備えた動力伝達機構により、先端動作部12をロール方向(軸回転方向)、ヨー方向(左右方向)及びグリッパ開閉からなる3自由度の機構として構成している。
【0052】
図3及び図6に示すように、接続部15は、左右側面の係合片200と、上下面に開口する3つの嵌合孔202a、202b及び202cとを有する。3つの嵌合孔202a〜202cは、Z1方向及びZ2方向の端部近傍に設けられており、Y方向に延在する孔である。なお、図6や図7等では、接続部15の構造が理解しやすいように、カバー37(図1参照)の一部又は全部を取り外した状態で示す。
【0053】
図3及び図4に示すように、アクチュエータブロック30には、先端動作部12が有する3自由度の機構に対応してアクチュエータであるモータ40a、40b及びモータ40cが連結シャフト48の延在方向に沿って並列して設けられている。これらのモータ40a〜40cは小型・細径であって、アクチュエータブロック30はコンパクトな扁平形状に構成されている。アクチュエータブロック30は、操作部14のZ1方向端部の下方に設けられている。また、モータ40a〜40cは、操作部14の操作に基づき、コントローラ514の作用下に回転をする。
【0054】
モータ40a、40b及び40cには、回転角度を検出することのできる角度センサ43a、43b及び43cが設けられており、検出した角度信号はコントローラ514に供給される。角度センサ43a〜43cとしては、例えばロータリエンコーダが用いられる。
【0055】
図4、図6、図10A及び図10Bに示すように、接続部15を構成するプーリ50a、50b及び50cのY2方向下端には、十字の一本が短く形成された短尺部49を有した十字状突起からなる係合凸部(従動側係合部)51a、51b及び51cが設けられている。一方、アクチュエータブロック30を構成するモータ40a、40b及び40cの回転軸には、係合凸部51a、51b及び51cと同様に十字の一本が短く形成された短尺部47を有した十字状溝からなる係合凹部(駆動側係合部)41a、41b及び41cが設けられている。
【0056】
係合凸部51a〜51cと係合凹部41a〜41cとは互いに係合可能であり、これにより、アクチュエータブロック30に接続部15が装着された状態で、モータ40a〜40cの回転駆動力がプーリ50a〜50cに対して確実に伝達される。もちろん、接続部15側に係合凹部を設け、アクチュエータブロック30側に係合凸部を設けるようにしてもよい。
【0057】
図10Aに示すように、接続部15の係合凸部51a〜51cは、プーリ50a〜50cと共に中心軸CL11を中心として回転可能であり、同様に図10Bに示すように、アクチュエータブロック30の係合凹部41a〜41cは、モータ40a〜40cと共に中心軸CL12を中心として回転可能である。この場合、係合凸部51a〜51c及び係合凹部41a〜41cは、それぞれ十字の一本が短い短尺部49を持ち、中心軸CL11、CL12に対して非対称な形状であり、換言すれば、これら係合凸部51a〜51c及び係合凹部41a〜41cはそれぞれ3個1組とした場合に、その中心(係合凸部51b及び係合凹部41bの中心軸CL11、CL12)に対して非対称な形状である。このため、係合凸部51a〜51c及び係合凹部41a〜41cは、図10A及び図10Bに示す原点に設定された場合にのみ互いに係合可能であり、それ以外の角度(位置)では構造的に係合不能である。
【0058】
図4及び図6に示すように、アクチュエータブロック30には、さらに作業部16の接続部15を保持する2つの独立した係合部210と、該接続部15の位置決め機能及び保持機構を有する3本のアライメントピン212a、212b及び212cとが設けられる。
【0059】
2つの係合部210は、アクチュエータブロック30の左右側面(X1及びX2側面)で対称位置に設けられており、操作面204と、該操作面204からY1方向に延在するレバー206とを有する。レバー206はアクチュエータブロック30の上面よりもY1方向に向かってやや突出しており、先端内側がテーパ形状になっている。係合部210は、図示しない弾性部材によってレバー206が内側に向かう方向に弾性付勢されている。
【0060】
アライメントピン212a〜212cは、嵌合孔202a〜202cに対向する位置で、アクチュエータブロック30の上面におけるZ1方向端の近傍に2本、Z2方向端の近傍に1本設けられ、それぞれY1方向に延在している。Z1方向端の近傍に2本のアライメントピン212a、212bがX方向に並んで設けられている。
【0061】
このように、アライメントピン212a〜212cは3本設けられていることから、接続部15は3点で支持され、簡便且つ確実に位置決めを行うことができる。また、3本のアライメントピン212a〜212cは直線状配列ではないため、いずれの方向のねじれに対しても、接続部15を安定して保持することができる。アライメントピン212a〜212cは、このうち2本以上設けられていれば、接続部15は確実に位置決めがなされて、安定して保持される。この場合、Z方向に離間した2本を選択すると一層安定する。
【0062】
また、図3に示すように、アライメントピン212a〜212cの高さH1は、嵌合孔202a〜202cを備える接続部15を構成するプーリ収納体(機構部)300の高さH2よりも大きく、アライメントピン212a〜212cはプーリ収納体300を適度に貫通する。
【0063】
次に、接続部15及びアクチュエータブロック30の構成について詳細に説明する。
【0064】
図6〜図8に示すように、接続部15は、プーリ50a〜50cを収納するプーリ収納体300と、該プーリ収納体300の上面(Y1側)に固定されたベースプレート302と、該ベースプレート302の上部(Y1側)に設けられたロッキングプレート304とを有する。ベースプレート302(プーリ収納体300)の上面には軸部材305が突設されている。軸部材305は、ロッキングプレート304の孔部319を通過してY1方向に突出するように一対設けられ、ロッキングプレート304をベースプレート302方向(Y2方向)に付勢する一対のコイルスプリング306を支持すると共に、ロッキングプレート304のY方向の移動をガイドする。
【0065】
プーリ50a〜50cは、上記の通りプーリ収納体300におけるZ方向に並列しており、各上端はプーリ収納体300の上面からやや突出した板形状部308a、308b、308cとなっている。板形状部308a〜308cは、同形状であり、プーリ50a〜50cの上端の直径に相当する箇所に設けられて、Y1方向にやや伸びている。板形状部308a〜308cは、各プーリ50a〜50cが原点であるときに平面視でX方向を指向する。
【0066】
ロッキングプレート304はZ方向に長尺であり、中央部は幅が広く、Z1方向には幅狭部310を介してT字形状の第1端部312を有すると共に、Z2方向にはプーリ収納体300の嵌合孔202cに対応する平面視で略三角形状の第2端部314を有する。
【0067】
図6、図7及び図11に示すように、ロッキングプレート304の下面(Y2側)においてアライメントピン212a〜212cが当接する部位には、それぞれ円板状の絶縁部材311が設けられている。さらに、プーリ収納体300の嵌合孔202a〜202cについては、その内周面に筒状の絶縁部材323が設けられ、上面(Y1側)縁部に円筒テーパ状の絶縁部材301が設けられ、下面(Y2側)縁部に円環状の絶縁部材315が設けられている。これら絶縁部材301、311、315、323は、例えば、樹脂やゴム、セラミック等から構成される。これにより、アライメントピン211a〜212cと接続部15との間が絶縁され、すなわち、操作部14と作業部16との間が絶縁される。従って、電気メス等の高電圧を生じる器具を作業部16として用いた場合にも、この高電圧が操作部14側に漏れることが有効に防止され、当該操作部14側に設けられるモータ40a〜40c等の電気部品を保護することができる。絶縁部材311等に代えて、アライメントピン212a〜212c自体を絶縁材料によって構成することも可能である。
【0068】
ロッキングプレート304の中央部には、X方向を指向する3つのスリット316a、316b及び316cがZ方向に並列されており、順にプーリ50a、50b及び50cに対応する位置に設けられている。各スリット316a〜316cのZ方向の幅は、板形状部308a〜308cの板厚よりやや広く、X方向の長さは、板形状部308a〜308cよりやや長い。これにより、各プーリ50a〜50cが原点にあるときに、板形状部308a〜308cをスリット316a〜316cに対して挿脱可能である。
【0069】
ロッキングプレート304の上面で、スリット316aとスリット316bとの間、及びスリット316bとスリット316cとの間には、浅い丸溝320が設けられ、各丸溝320の中央に孔部319が形成されている。各丸溝320はコイルスプリング306より僅かに大径であり、該コイルスプリング306の下端(Y2側)の取付座となっている。各孔部319は、軸部材305より僅かに大径であり、該軸部材305の挿通孔となっている。
【0070】
図6〜図8に示すように、コイルスプリング306は、孔部319に挿通され、ロッキングプレート304のY1側に突出した軸部材305の周囲に設けられると共に、各軸部材305の上端近傍に形成された環状溝321に固着される固定具322と丸溝320の底部との間に挟まれることで保持されている。すなわち、固定具322は、コイルスプリング306の上端(Y1側)の取付座であり、例えば、コイルスプリング306よりやや大径のEリング等から構成される。
【0071】
従って、図8及び図11に示すように、作業部16が操作部14から分離された状態では、ロッキングプレート304がコイルスプリング306の付勢力によって、Y2方向に押し下げられ、プーリ収納体300(ベースプレート302)の上面に当接する。なお、コイルスプリング306は、図11及び図12に示されるような圧縮ばねには限られず、例えば引張ばねとすることもできる。
【0072】
この際、プーリ収納体300の上面には絶縁部材301がやや突出し、ロッキングプレート304の下面には絶縁部材311がやや突出している。そこで、ベースプレート302をスペーサとして機能させ、プーリ収納体300の上面の高さを絶縁部材301、311の厚み分(図11中の距離H11)に合わせて調整し、ロッキングプレート304がコイルスプリング306の付勢により安定してプーリ収納体300(ベースプレート302)に当接できるように構成している。もちろん、ベースプレート302を省略し、その分の調整をプーリ収納体300やロッキングプレート304の形状を調整することで対応することもでき、また、絶縁部材311等を使用しない構成の場合には、ベースプレート302も省略可能である。
【0073】
一方、図9及び図12に示すように、作業部16が操作部14に装着された状態では、第1端部312の下面左右の絶縁部材311にアライメントピン212a、212bが当接し、第2端部314の下面の絶縁部材311にアライメントピン212cが当接し、これにより、ロッキングプレート304がコイルスプリング306に抗して相対的にY1方向に押し出され、プーリ収納体300(ベースプレート302)の上面と離間する(図12中の距離H12)。
【0074】
図7及び図8に示すように、接続部15においてロッキングプレート304のZ2側端部(第2端部314の基端側部)には、第2端部314を跨いでY1方向に延びた支持プレート313がねじ317により固定される。支持プレート313のZ2側、つまりアクチュエータブロック30の接続面30a側の面には、二次元状のバーコード(ID保持部)104が設けられている。バーコード104は、例えば略正方形のマトリックス形状であり、桝目に従って白及び黒が印刷されている。
【0075】
バーコード104は、XY平面を構成する支持プレート313に貼り付けられ、カバー37の後端部から適度な距離Pだけ前方(Z1方向)にずれた位置に設けられている。バーコード104には、作業部16の個体情報、仕様、タイムスタンプ(製造日等)やシリアルナンバー、使用回数上限等の情報が含まれている。バーコード104の保持する個体情報は、作業部毎に識別が可能なように異なる値が付与されている。
【0076】
バーコード104は1枚に限らず、複数枚からなる構成であってもよい。バーコード104が2枚からなる場合、一枚は個体情報、製造日、シリアルナンバー等の個体特有の情報を示し、もう一枚は仕様、使用回数上限等の型式毎に共通的な情報を示すようにしてもよい。バーコード104は二次元データに限らず、一次元形状であってもよい。バーコード104における枡目の色は白及び黒に限らず、赤外線吸収色及び赤外線反射色であってもよく、又は3色以上の色の区別により情報を示すようにしてもよい。
【0077】
図4に示すように、アクチュエータブロック30におけるブリッジ28との接続面30aには、カメラ(ID認識部)106と、2つの白色LED105とが設けられている。接続面30aは、接続部15のカバー37の端面に当接する面であり、XY平面を構成する。
【0078】
カメラ106は、バーコード104を撮像するカメラであり、例えばCCD形式又はCMOS形式である。白色LED105は、光軸がバーコード104を照明する向きに設定されており、カメラ106はバーコード104を一層確実に認識することができる。白色LED105は、カメラ106を挟んで左右対称位置に設けられており、バーコード104をバランスよく照明することができる。白色LED105は、カメラ106を挟んで上下に設けられていてもよく、等間隔に3以上設けられていてもよい。白色LED105が十分な光量を有する場合には1つでもよい。このように、ID保持部であるバーコード104は、個体情報(個体信号)を画像情報として保持する表示手段であり、ID認識部であるカメラ106は、前記表示手段を撮像する撮像手段である。
【0079】
このように操作部14及びコントローラ514では、カメラ106を用いて作業部16の個体情報を認識することにより、マニピュレータ10を構成するモータ40a〜40c等を当該作業部16の種類(例えば、図2の作業部16a〜16d)や操作部14の種類(例えば、図2の操作部14a〜14d)に対応するように適切に且つ正確に駆動制御することができる。
【0080】
図4及び図8に示すように、接続部15が載置されるアクチュエータブロック30の上面30bにおいて、Z2方向の端部(接続面30a)近傍には、装着される接続部15の有無を検出する作業部検出手段107が設けられている。
【0081】
作業部検出手段107は、対向する位置に設けられた投光器107aと受光器107bとからなり、投光器107aと受光器107bとの間に接続部15の後端部の被検出片109が挿入されて遮光することにより該接続部15が装着されたことを検出できる。投光器107aと受光器107bは、X方向に対向する向きで且つ近接した位置に設けられている。投光器107aは例えばLEDであり、受光器107bは例えばフォトダイオードである。
【0082】
そこで、プーリ収納体300の後端面(Z2側)における下端には、上記した被検出片109が後方に向かって突出している。接続部15がアクチュエータブロック30に装着されると、被検出片109が投光器107aと受光器107bとの間に挿入されて受光器107bに対する投光器107aの光を遮光する。
【0083】
このとき、カバー37は、バーコード104及びカメラ106が略閉空間内となるようにこれらの箇所を覆う。これにより、バーコード104及びカメラ106の汚れを防止することができると共に、外乱光を遮蔽して安定した撮像が可能となる。また、閉空間となっても、白色LED105によりバーコード104が照明されることから、安定した撮像が可能である。バーコード104及びカメラ106を覆うカバー37は、アクチュエータブロック30に設けられていてもよい。バーコード104とカメラ106との相対的な位置及び向きが固定的であることから、カメラ106側では、バーコード104の位置及び向きを特定する必要がなく、これらを特定するためのコードが不要か又は少量で足り、その分、バーコード104における記録可能な情報量が多くなる。
【0084】
このように作業部検出手段107を備えることにより、コントローラ514において作業部16がアクチュエータブロック30に装着されているか否かを認識することができると共に、該作業部検出手段107による作業部16の検出を、カメラ106及び白色LED105を起動制御してバーコード104から個体信号を取得するためのトリガー信号とすることができる。
【0085】
すなわち、コントローラ514は、作業部16がアクチュエータブロック30に装着されたときにカメラ106及び白色LED105を制御してバーコード104から個体信号を取得する。コントローラ514では、少なくとも作業部16がアクチュエータブロック30に装着されたときに個体信号を取得すれば足り、それ以外のときにはカメラ106及び白色LED105の動作を停止しておくことができ、処理負荷が低減すると共に省電力化を図ることができる。
【0086】
カメラ106による撮像は、可視光に限らず、例えば赤外光を用いてもよい。赤外光を用いることにより、暗い場所でもバーコード104を明りょうに撮像することができる。赤外光を用いる場合には所定の赤外線LEDでバーコード104を照射してもよい。
【0087】
作業部検出手段107は、投光器107a及び受光器107bからなる構成に限らず、例えば被検出片109により操作されるリミットスイッチであってもよい。また、コントローラ514では、作業部16の個体情報を取得し、該個体情報に応じて作業部16の種類に応じた制御が可能となる。
【0088】
ところで、バーコード104は直接的な通電の必要がなく接続部15及び作業部16には電気的接点が存在せず、しかもバッテリ等の蓄電体もない。従って、操作部14から取り外した作業部16は洗浄、滅菌等を容易に行うことができる。つまり、モータやスイッチ、センサなどの電気機器をすべて操作部14側に配し、連結シャフト48及び先端動作部12からなる機械構成部品のみからなるものを作業部16側に配することで洗浄性を向上させている。作業部16と操作部14では汚れ具合、汚れ種類、洗浄方法が異なり、異なるメンテナンスが行われるため、離脱して洗浄することが好適である。
【0089】
次に、基本的には以上のように構成されるマニピュレータ10において、操作部14と作業部16とを装着する動作及びその作用について説明する。
【0090】
操作部14のアクチュエータブロック30に対して作業部16の接続部15を装着する際には、3本のアライメントピン212a〜212cがそれぞれ嵌合孔202a〜202cに嵌合するように合わせて、接続部15を下方(Y2方向)に押し下げる。これにより、レバー206は内面側の楔部206aが係合片200を乗り越える際に一旦外方に拡がり、その後原位置に戻ることにより係合片200に係合し、接続が完了する。
【0091】
すなわち、図8に示すように、先ず、嵌合孔202a〜202cに対応するアライメントピン212a〜212cを挿通させる。続いて、接続部15をアライメントピン212a〜212cに沿ってY2方向に移動させると、各アライメントピン212a〜212cの先端がロッキングプレート304の下面(絶縁部材311)に当接し、図11に示す状態となる。
【0092】
図11に示すように、マニピュレータ10では、各アライメントピン212a〜212cの先端がロッキングプレート304に当接した時点で、バーコード104の中心線CL1及びカメラ106の中心線CL2が一致する。すなわち、前記当接した時点で、カメラ106の中心線CL2とアクチュエータブロック30の上面30bとの間でのY方向の距離H10に対し、バーコード104の中心線CL1と上面30bとの間でのY方向の距離もH10として決定される。この際、バーコード104とカメラ106とはカメラ106の焦点距離Pだけ離れて対向している。
【0093】
なお、図11及び図12において、バーコード104のXY方向での中心線をCL1、カメラ106のXY方向での中心線をCL2とし、カメラ106はバーコード104に対する焦点距離Pにおいて、中心線CL1及びCL2が同軸上に一致する状態で一層正確な撮像を行うことができるものとする。換言すれば、接続部15とアクチュエータブロック30との装着に際し、一層迅速に中心線CL1及びCL2の位置を一致させることで、カメラ106によるバーコード104の撮像を一層迅速に且つ正確に行うことができる。
【0094】
ところで、図11から諒解されるように、各アライメントピン212a〜212cの先端がロッキングプレート304に当接した時点では、接続部15側の係合片200がアクチュエータブロック30側の係合部210に係合しておらず、接続部15とアクチュエータブロック30との係合動作は完了していない。
【0095】
つまり、図11に示すように、この時点(前記当接した時点)でのアクチュエータブロック30の上面30bとプーリ収納体300の上面との間でのY方向の距離をH13とし、図12に示すように、係合動作の完了時点での上面30bとプーリ収納体300の上面との間でのY方向の距離をH14とすると、レバー206の楔部206aが係合片200を乗り越えるためには、さらに距離H13から距離H14を引いた分(H13−H14)だけプーリ収納体300(楔部206a)を押し下げ、レバー206の楔部206aが係合片200を乗り越える必要がある。
【0096】
そこで、図12に示すように、接続部15をさらにY2方向へと押し下げる。これにより、レバー206が先端のテーパ形状によってやや外方向に押されながら変位して、係合片200に対して摺動する。この間、3本のアライメントピン212a〜212cの上端部は、嵌合孔202a〜202cを貫通してプーリ収納体300の上面から突出し(図9及び図12参照)、ロッキングプレート304の第1端部312及び第2端部314の下面(絶縁部材311)に当接し、コイルスプリング306を圧縮してロッキングプレート304を上面30bから距離H20の位置に保持したままプーリ収納体300を相対的に押し下げる。
【0097】
やがて、接続部15の下面がアクチュエータブロック30の上面30bに当接するか又はその直前で、係合片200がレバー206の楔部206aを乗り越え、該レバー206は弾性作用によって原位置に復帰し、テーパ形状の下端の楔部206aが係合片200に係合するため、接続部15とアクチュエータブロック30との装着動作が完了することになる。このような装着動作中に、作業部検出手段107によって作業部16が検出される。また、上記のように接続部15が装着され、レバー206が弾性的に原位置に復帰することにより、適度なクリック感及び装着音が発生し、操作者は装着が正常に完了したことを確認できる。
【0098】
図9及び図12から諒解されるように、操作部14と作業部16の装着が完了した状態では、コイルスプリング306の弾性作用により、軸部材305を介してプーリ収納体300が上方(Y1側)に引き上げられるように付勢され、係合片200と楔部206aとは互いに噛み合う方向に弾性支持される。これにより、係合片200と係合部210との間の係合状態を一層確実に保持することができると共に、作業部16を操作部14に対して一層安定して保持することができる。
【0099】
さらに、図11及び図12から諒解されるように、マニピュレータ10では、上記の操作部14と作業部16の装着動作に際し、カメラ106の中心線CL2とバーコード104の中心線CL1とは、アライメントピン212a〜212cの先端がロッキングプレート304に当接した時点で互いに一致した後(図11参照)、レバー206と係合片200との係合動作が完了するまでその一致した状態が保持される(図12参照)。
【0100】
従って、接続部15のアクチュエータブロック30への装着開始時、つまりアライメントピン212a〜212cの先端がロッキングプレート304に当接した時点でカメラ106とバーコード104との相対位置が早々に固定され、その後のレバー206と係合片200との係合動作、つまり接続部15のアクチュエータブロック30への装着が完了するまで、前記相対位置は保持される。換言すれば、アクチュエータブロック30に接続部15が装着される際、アライメントピン212a〜212cがロッキングプレート304に当接することでアクチュエータブロック30に対する支持プレート313及びバーコード104の位置が決定される。その後、ロッキングプレート304及びこれに固定された支持プレート313(バーコード104)を除く接続部15、例えばプーリ収納体300やカバー37がロッキングプレート304に対して相対的にアクチュエータブロック30側へと移動され、レバー206と係合片200とが係合される。
【0101】
このため、作業部16と操作部14との装着作業の開始から完了まで及び装着完了後、常時、バーコード104の位置をカメラ106による良好な撮像が可能な位置に保持しておくことができる。換言すれば、カメラ106は、接続部15のアクチュエータブロック30への装着開始時から、常にバーコード104を正確に撮像可能な状態に置かれることになる。
【0102】
そこで、例えば、アライメントピン212a〜212cの先端がロッキングプレート304に当接した後であって、レバー206の楔部206aと係合片200との係合動作が完了した時点又は該係合動作が完了する前において、作業部検出手段107によって作業部16が検出されることにより、該検出をトリガー信号として、コントローラ514ではカメラ106及び白色LED105を駆動制御して、バーコード104を正確に撮像することができる。
【0103】
仮に、バーコード104がプーリ収納体300等に設けられ、これと連動して移動するような構成では、カメラ106によるバーコード104の正確な撮像を行うためには、接続部15のアクチュエータブロック30への装着完了を待つように、カメラ106に待機時間を設定しておく必要があり、しかも該待機時間は余裕を持って相当長く設定しなければならないのに対して、本実施形態では、該待機時間が不要となる。従って、マニピュレータ10では、例えば手術中において、所定の操作部14に対して所定の作業部16を装着した際には、装着と略同時にカメラ106によるバーコード104の撮像及びコントローラ514による作業部16の識別をすることができ、次の手技に迅速に移行することができる。
【0104】
次に、一連の手技が終了し、又は作業部16を別の種類に交換する場合等において、操作部14と作業部16とを取り外す動作について説明する。
【0105】
この場合には、係合片200と係合部210との係合状態を解除する操作に先立ち、先ず、作動スイッチ35を操作して上記した停止モードとし、コントローラ514の作用下に各モータ40a〜40c及びプーリ50a〜50cを原点に自動的に復帰させておく。
【0106】
図12に示すように、操作部14と作業部16とが装着された状態では、プーリ50a〜50cの上端の板形状部308a〜308cがロッキングプレート304のスリット316a〜316cから離脱した状態にある。このため、板形状部308a〜308cを原点に復帰しておかないと、取り外し時にプーリ収納体300がコイルスプリング306の付勢力によってロッキングプレート304に当接する際、スリット316a〜316cに板形状部308a〜308cを正確に挿入させることができないからである。
【0107】
次いで、アクチュエータブロック30の両側面に設けられたレバー206の下方の操作面204を内側に押して、各レバー206をそれぞれ外方に開くように傾動させ、該レバー206の楔部206aを、接続部15の両側面に設けられた係合片200から解放する。これにより、3本のアライメントピン212a〜212cは、嵌合孔202a〜202cから下方に抜けることから、接続部15を操作部14から上方(Y1方向)に引き抜き、取り外しが可能となる。
【0108】
この際、アライメントピン212a〜212cが、第1端部312及び第2端部314から離間すると、ロッキングプレート304はコイルスプリング306の弾性力によって相対的に下方に押し下げられる。各モータ40a〜40cは、それぞれ原点に復帰していることから、連動するプーリ50a〜50cの板形状部308a〜308cは平面視でX方向を指向しており(図7参照)、ロッキングプレート304の3つのスリット316a〜316cに係合する(図11参照)。これにより、これ以後の各プーリ50a〜50cの回転が防止でき、先端動作部12が原点に保持されるため(図5参照)、次回に操作部14に装着するときには、プーリ50a〜50cをモータ40a〜40cに正しく装着することができる。
【0109】
つまり、再び操作部14と作業部16とを装着する際には、操作部14のモータ40a〜40cはそれぞれ原点となっている。また、接続部15でも、プーリ50a〜50cの板形状部308a〜308cが、コイルスプリング306によりY2側に付勢されたロッキングプレート304のスリット316a〜316cに挿入され、回転不能状態に保持されているため、プーリ50a〜50cがそれぞれ原点に位置している。
【0110】
すなわち、図10A及び図10Bに示すように、操作部14と作業部16との装着時、マニピュレータ10では、係合凸部51a〜51cと係合凹部41a〜41cとが全て所定の原点角度に保持されているため、これら係合凸部51a〜51cと係合凹部41a〜41cとを確実に係合させ、モータ40a〜40cの上端部をプーリ50a〜50cの下端部に適切に接続することができる。
【0111】
ところで、図2に示すように、マニピュレータ10では、操作部14(14a〜14d)と作業部16(16a〜16d)との組み合わせで選択的に種々の構成を採ることができる。そして、コントローラ514では、バーコード104をカメラ106で撮像することによって認識された作業部16の個体情報(種類)に対応するように適切且つ正確に駆動制御することができる。
【0112】
マニピュレータ10を正確に駆動制御するためには、装着された作業部16の種類をコントローラ514で正確に認識することが必要であり、例えば、先端動作部12がはさみの作業部16bに対して、先端動作部12が電気メスの作業部16c用のバーコード104が貼り付けられている場合のようなバーコード104の貼り違えや、バーコード104に傷や汚れ等を生じた場合のカメラ106による誤認識等を生じた場合には、先端動作部12を適切に動作させることが困難となる。
【0113】
そこで、本実施形態に係るマニピュレータ10では、係合凸部51a〜51cと係合凹部41a〜41cとの係合関係を利用することで、バーコード104の撮像によって認識した作業部16の種類と、実際に操作部14に装着される作業部16の種類とを一致させることを可能とし、これにより、先端動作部12を一層正確に動作させることを可能としている。
【0114】
すなわち、図14A〜図14Dに示すように、マニピュレータ10では、各作業部16a〜16dについて、係合凸部51a〜51cの原点角度をそれぞれ異なるように設定している。
【0115】
例えば、図14A(図10A)に示すように、先端動作部12がグリッパ59の作業部16a(16)は、各係合凸部51a〜51cの短尺部49が全てZ2側に設定されている。図14Bに示すように、先端動作部12がはさみの作業部16bは、係合凸部51a〜51cの短尺部49がそれぞれX2側、Z1側、X1側に設定されている。図14Cに示すように、先端動作部12が電気メスの作業部16cは、係合凸部51a〜51cの短尺部49がそれぞれZ1側、X1側、Z1側に設定されている。図14Dに示すように、先端動作部12がフック型電気メスの作業部16dは、係合凸部51a〜51cの短尺部49がそれぞれX1側、X2側、X2側に設定されている。もちろん、各作業部16a〜16dに係る各係合凸部51a〜51dの原点角度は一例であり、図14A〜図14Dに示す設定に限られない。例えば、3つの係合凸部51a〜51cのそれぞれに4通りの原点角度が設定可能であるため、係合凸部51a〜51cの全体では、4の3乗通り(64通り)の組み合わせに設定できる。
【0116】
図15A〜図15Cを参照して、例えば、先端動作部12がグリッパ59の作業部16a(16)を、先端動作部12が電気メスの作業部16c(図15A参照)に交換する場合について説明する。
【0117】
図15Bに示すように、交換(装着)開始時のアクチュエータブロック30の係合凹部41a〜41cの角度は、図14Aに示す作業部16aの係合凸部51a〜51cに対応した角度のままであり、各係合凹部41a〜41cの短尺部47が全てZ2側に設定されている。このため、図15Aに示す作業部16cを、図15Bに示す状態の操作部14に取り付けようとしても、係合凸部51a〜51cと係合凹部41a〜41cとが構造的に係合できず、図9や図12に示すようにプーリ収納体300を押し下げて係合片200と係合部210とを係合させて操作部14と作業部16cとを装着することはできなくなっている。
【0118】
そこで、本実施形態に係るマニピュレータ10では、アクチュエータブロック30に接続部15を装着している途中でバーコード104をカメラ106により撮像する。これにより、装着途中で作業部16の種類(例えば、作業部16cであること)を判断し、この判断結果に伴ってコントローラ514の制御下にモータ40a〜40cを駆動制御することができ、係合凹部41a〜41cの設定(回転角度)を装着される作業部16の種類に対応する原点へと変化させることができる。
【0119】
すなわち、図15Aに示される作業部16cの種類を認識した後、係合凹部41a〜41cの回転角度を、図15Bに示す状態から図15Cに示す状態へと迅速に変更(調整)する。これにより、図15Aに示される作業部16cの係合凸部51a〜51cの原点に、操作部14の係合凹部41a〜41cの角度を対応させることができるため(図15C参照)、作業部16cと操作部14とを簡便に装着することができる。
【0120】
この際、マニピュレータ10では、アライメントピン212a〜212cの先端がロッキングプレート304に当接した時点でカメラ106によりバーコード104の撮像を正確に行うことができるため、装着動作の完了前に一層簡便に操作部14の係合凹部41a〜41cの回転角度を変更することができる。従って、操作者は、作業部16の係合凸部51a〜51cと操作部14の係合凹部41a〜41cのマッチング関係を意識せず、例えば目視等による判断をせずに簡便に装着作業を行うことができる。
【0121】
なお、装着作業途中でカメラ106によるバーコード104の撮像を行わない場合には、操作者は、装着しようとする作業部16の種類を予めコントローラ514に入力し、係合凹部41a〜41cの設定を事前に変更しておけば、作業部16と操作部14とを簡便に装着することができる。
【0122】
ところで、仮に、全種類の作業部16の係合凸部51a〜51cの原点角度が同一に設定されている場合には、作業部16の種類に関わらず操作部14に装着可能である。従って、例えば、作業部16に誤った種類のバーコード104が貼り付けられている場合や、当該バーコード104に傷や汚れが生じていて他の種類のバーコード104として認識される状態にある場合には、装着後、コントローラ514では作業部16の種類を誤認識したまま先端動作部12の駆動制御を行うことになり、正確な操作が困難になる可能性がある。
【0123】
そこで、図16A〜図16Cを参照して、例えば、先端動作部12がグリッパ59の作業部16a(16)を、先端動作部12が電気メスの作業部16c(図16A参照)に交換する場合において、該作業部16cに設けられたバーコード104の種類(表示)が作業部16b(図14B参照)を示すものとされている場合について説明する。
【0124】
この場合にも、図16Bに示すように、装着開始時の操作部14側の係合凹部41a〜41cの角度は、作業部16aの係合凸部51a〜51c(図14A参照)に対応した角度とされており、各係合凹部41a〜41cの短尺部47が全てZ2側に設定されている。
【0125】
そこで、マニピュレータ10では、交換(装着)動作中に、作業部16の種類(例えば、作業部16cであること)を判断し、この判断結果に伴ってモータ40a〜40cを駆動制御し、係合凹部41a〜41cの設定(回転角度)を当該装着される作業部16の種類に対応する原点へと変化させることになるが、ここでは、バーコード104は実際の作業部16cを示すものではなく、異なる作業部16bを示すものとなっている。
【0126】
すなわち、図16Aに示される作業部16cに対し、コントローラ514は誤ったバーコード104の個体情報に基づき、係合凹部41a〜41cの角度を図16Bに示す状態から図16Cに示す作業部16bに対応する原点へと誤って変更する。このため、図16Aに示す作業部16cと、図16Cに示す操作部14とは、互いの係合凸部51a〜51cと係合凹部41a〜41cとが不一致となっていることから係合不能となっている。これにより、操作者は、バーコード104の誤設置を認識することができるため、装着後、コントローラ514による作業部16の誤った駆動制御を防止することができる。
【0127】
図17は、上記のような作業部16と操作部14の装着動作における各構成要素の動作状態の一例を示すタイミングチャートである。図17中のA線は、カメラ106によるバーコード104の撮像動作を示し、B線は、アクチュエータブロック30の係合凹部41a〜41cの原点設定動作を示し、C線は、作業部検出手段107による被検出片109の検出信号を示し、D線は、アクチュエータブロック30の上面30bとバーコード104の中心線CL1との間の距離を示し、E線は、アクチュエータブロック30の上面30bとプーリ収納体300の上面との間の距離を示す。
【0128】
図17に示すように、装着動作の開始時刻t0からアライメントピン212a〜212cの先端がロッキングプレート304に当接した時刻t1(図11参照)の間は、D線及びE線は同様に下降される。その後、時刻t1以降は、D線、つまりアクチュエータブロック30の上面30bとバーコード104との間は距離H10にて保持される一方(図11参照)、E線、つまり上面30bとプーリ収納体300の上面との間の距離は次第に小さくなり、装着動作が完了する時刻t7において距離H14となる(図12参照)。
【0129】
この間、時刻t1の後の時刻t2において、作業部検出手段107により接続部15を構成する被検出片109が検出されると共に、その検出信号をトリガーとして、時刻t3から時刻t4の間にカメラ106によるバーコード104の撮像動作が行われる。つまり、時刻t1以降、D線(アクチュエータブロック30の上面30bとバーコード104との間の距離)が、上面30bとカメラ106との間の距離H10と同一で一定に保持されることにより(図11及び図12参照)、装着完了時刻t7とは無関係にカメラ106によるバーコード104の撮像を行うことができる。これにより、例えば、接続部15とアクチュエータブロック30との装着動作を極めてゆっくりと行い、時刻t1〜t7が相当に長くなったとしても、バーコード104の撮像動作には影響がなく、迅速に撮像を行うことができる。なお、カメラ106の初期準備時間(時間t3−t2)を考慮して、作業部検出手段107による検出動作が、時刻t1と同時か又はそれより前に行われるように各部品を配置してもよい。
【0130】
また、時刻t4でバーコード104の認識が完了されると、その後の時刻t5から時刻t6の間に、認識された作業部16の種類に対応する原点角度へとアクチュエータブロック30の係合凹部41a〜41cを設定し直す。これにより、作業部16の種類によって係合凸部51a〜51cが異なる原点に設定されていても、それに対応するように操作部14側の係合凹部41a〜41cを設定変更し、装着動作を簡便に行うことができる。
【0131】
図12に示すように、マニピュレータ10では、一連の装着動作が完了した状態では、3本のアライメントピン212a〜212cの上端部が、嵌合孔202a〜202cを貫通してプーリ収納体300の上面から突出し、第1端部312及び第2端部314の下面に当接し、コイルスプリング306を圧縮してロッキングプレート304を上面30bから距離H20の位置に保持したままプーリ収納体300が相対的に押し下げられている。
【0132】
すなわち、ロッキングプレート304とプーリ収納体300との間のY方向の間隔は、図11に示す装着前の間隔H11から、図12に示す装着後の間隔H12へと拡大されるため、プーリ50a〜50cの上端の板形状部308a〜308cは、ロッキングプレート304のスリット316a〜316cから抜け、プーリ50a〜50cはモータ40a〜40cによって回転可能になる。
【0133】
そして、作業部16の装着後、コントローラ514では、作業部16の種類を確実に認識しており、しかも当該作業部16の種類に対応した原点角度にモータ40a〜40c及びプーリ50a〜50cが設定されていることから、原点を基準として角度の計算を行い先端動作部12を正しく制御することができる。すなわち、操作部14が装着された位置を原点(0°)として推定し、トリガーレバー32と及び複合入力部34のプラス方向及びマイナス方向の入力に対応して、先端動作部12をロール方向及びヨー方向の回転指令を与え、グリッパ59の開閉指令を与えることができる。
【0134】
以上のように、本実施形態に係るマニピュレータ10によれば、各作業部16の種類によって係合凸部51a〜51cの原点角度の設定を変えると共に、作業部16の接続部15と操作部14のアクチュエータブロック30とを装着する際には、カメラ106で撮像し認識した作業部16の種類に対応した原点角度へと係合凹部41a〜41cを設定する。
【0135】
従って、仮に、作業部16に設けられたバーコード104に貼付や表示の間違いがあった場合には、接続部15側の係合凸部51a〜51cとアクチュエータブロック30側の係合凹部41a〜41cとが構造的に係合しない。換言すれば、係合凸部51a〜51cと係合凹部41a〜41cとが、それぞれ所定の係合角度(原点)に設定された場合にのみ、これら係合凸部51a〜51cと係合凹部41a〜41cとを係合させ、作業部16と操作部14とを接続することができる。このため、操作者は、バーコード104の誤設置を認識することができるため、装着後、コントローラ514による作業部16の誤った駆動制御を防止することができ、作業部16の個体情報の誤認識を防止することが可能となる。
【0136】
しかも、マニピュレータ10では、アライメントピン212a〜212cの先端がロッキングプレート304に当接した時点でカメラ106によりバーコード104の撮像を正確に行うことができる。このため、装着動作の完了前に一層簡便に操作部14の係合凹部41a〜41cの角度を変更することができる。このため、操作者は、作業部16の係合凸部51a〜51cと操作部14の係合凹部41a〜41cのマッチング関係をほとんど意識することなく、装着作業を行うことができる。
【0137】
なお、上記実施形態では、バーコード104に代えたID保持部として、RFID(Radio Frequency Identification)を設け、カメラ106に代えたID認識部として、送受信器を設けることもできる。RFIDとは微小なICチップに製品の個別情報を格納し、無線を利用して情報の読み取りや更新などを行う無線認証システムのことであり、無線タグ、ICタグ又はミューチップとも呼ばれる。
【0138】
さらに、作業部16と操作部14との間の情報の伝達には、バーコード104(つまり画像情報)やRFID(つまり電波)以外にも、磁気、光(例えば赤外線通信)を用いると非接触で個体情報を伝達することができ、作業部16の清掃、洗浄が容易となる。
【0139】
また、係合凸部51a〜51cとこれに対応する係合凹部41a〜41cの形状は、上記した短尺部49を有する十字形状以外にも種々変更可能である。
【0140】
例えば、図18Aに示すように、作業部16の係合凸部51a〜51cは、例えば、1つだけ短尺部49を有する係合凸部51aとし、残りの2つには短尺部49を設けない十字形状の係合凸部100b、100cとした接続部15aとすることもでき、当然、2つに短尺部49を設けるような構成としてもよく、つまり3個の係合凸部の形状は必ずしも同一である必要はない。
【0141】
図18Bに示すように、それぞれ短尺部49を2つずつ設けた係合凸部102a〜102cを備える接続部15bとすることもできる。
【0142】
図18Cに示すように、十字形状ではなく、例えば、三角形状からなる係合凸部104a〜104cを有する接続部15cとすることもできる。
【0143】
上記実施形態は、例えば図19に示すような医療用ロボットシステム400に適用してもよい。
【0144】
医療用ロボットシステム400は、多関節型のロボットアーム402と、コンソール404とを有し、作業部406はロボットアーム402の先端に接続されている。ロボットアーム402の先端には前記のマニピュレータ10と同様な機構を有するマニピュレータ408が設けられている。ロボットアーム402は、作業部406を移動させる手段であればよく、据置型に限らず、例えば自律移動型でもよい。コンソール404は、テーブル型、制御盤型等の構成を採りうる。
【0145】
ロボットアーム402は、独立的な6以上の関節(回転軸やスライド軸等)を有すると、作業部406の位置及び向きを任意に設定できて好適である。先端のマニピュレータ408は、ロボットアーム402の先端部410と一体化している。マニピュレータ408は、前記のアクチュエータブロック30(図1参照)の代わりに、基端側が前記先端部410に連結されると共に、内部にモータ40a、40b及び40c(図19では図示せず)を収納したアクチュエータブロック412を有する。
【0146】
ロボットアーム402は、コンソール404の作用下に動作し、プログラムによる自動動作や、コンソール404に設けられたジョイスティック414に倣った操作、及びこれらの複合的な動作をする構成にしてもよい。コンソール404は、前記のコントローラ514(図1参照)の機能を含んでいる。作業部406には、前記の先端動作部12が設けられている。
【0147】
コンソール404には、操作指令部としての2つのジョイスティック414と、モニタ416が設けられている。図示を省略するが、2つのジョイスティック414により、2台のロボットアーム402を個別に操作が可能である。2つのジョイスティック414は、両手で操作しやすい位置に設けられている。モニタ416には、内視鏡による画像等の情報が表示される。
【0148】
ジョイスティック414は、上下動作、左右動作、捻り動作、及び傾動動作が可能であり、これらの動作に応じてロボットアーム402を動かすことができる。ジョイスティック414はマスターアームであってもよい。ロボットアーム402とコンソール404との間の通信手段は、有線、無線、ネットワーク又はこれらの組み合わせでよい。
【0149】
このような医療用ロボットシステム400においても、上記した係合凸部51a〜51c及び係合凹部41a〜41c等による係合構造を設けることにより、コンソール404側での作業部16の誤認識を有効に防止することができる。
【0150】
本発明に係るマニピュレータは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0151】
【図1】本実施の形態に係るマニピュレータの斜視図である。
【図2】本実施の形態に係るマニピュレータの構成の組み合わせに係る説明図である。
【図3】作業部と操作部とを分離したマニピュレータの側面図である。
【図4】操作部の斜視図である。
【図5】先端動作部の斜視図である。
【図6】作業部の接続部と操作部のアクチュエータブロックとを分離した状態を斜め下方から見た一部省略分解斜視図である。
【図7】接続部の一部省略分解斜視図である。
【図8】接続部とアクチュエータブロックの装着中の一部断面斜視図である。
【図9】接続部とアクチュエータブロックを装着した状態での一部断面斜視図である。
【図10】図10Aは、接続部の係合凸部の模式説明図であり、図10Bは、アクチュエータブロックの係合凹部の模式説明図である。
【図11】接続部とアクチュエータブロックの装着中の一部断面側面図である。
【図12】接続部とアクチュエータブロックを装着した状態での一部断面側面図である。
【図13】接続部をアクチュエータブロックから取り外す際に、2つの操作面を同時に押圧する状態のマニピュレータの正面図である。
【図14】図14Aは、先端動作部がグリッパの接続部の係合凸部の模式説明図であり、図14Bは、先端動作部がはさみの接続部の係合凸部の模式説明図であり、図14Cは、先端動作部が電気メスの接続部の係合凸部の模式説明図であり、図14Dは、先端動作部がフック型電気メスの接続部の係合凸部の模式説明図である。
【図15】図15Aは、交換対象に係る作業部の係合凸部の模式説明図であり、図15Bは、交換前の作業部に対応した状態のアクチュエータブロックの係合凹部の模式説明図であり、図15Cは、作業部の交換に対応して係合凹部の角度を変更した状態を示す模式説明図である。
【図16】図16Aは、交換対象に係る作業部の係合凸部の模式説明図であり、図16Bは、交換前の作業部に対応した状態のアクチュエータブロックの係合凹部の模式説明図であり、図16Cは、交換対象に係る作業部の個体情報を誤認識した場合に角度変更された係合凹部を示す模式説明図である。
【図17】作業部と操作部の装着動作における各構成要素の動作状態の一例を示すタイミングチャートである。
【図18】図18Aは、接続部の係合凸部の第1変形例を示す模式説明図であり、図18Bは、接続部の係合凸部の第2変形例を示す模式説明図であり、図18Cは、接続部の係合凸部の第3変形例を示す模式説明図である。
【図19】マニピュレータをロボットアームの先端に接続した医療用ロボットシステムの斜視図である。
【符号の説明】
【0152】
10、408…マニピュレータ 12…先端動作部
14、14a〜14d…操作部 15、15a〜15c…接続部
16、16a〜16d、406…作業部
30、412…アクチュエータブロック(アクチュエータ部)
40a〜40c…モータ(アクチュエータ)
41a〜41c…係合凹部(駆動側係合部) 47、49…短尺部
51a〜51d、100b、100c、102a〜102c、104a〜104c…係合凸部(従動側係合部)
50a〜50c、57a〜57c…プーリ 54a〜54c…ワイヤ
59…グリッパ 104…バーコード(ID保持部)
106…カメラ(ID認識部) 300…プーリ収納体(機構部)
304…ロッキングプレート 306…コイルスプリング
400…医療用ロボットシステム 514…コントローラ(制御部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータを備えるアクチュエータ部と、前記アクチュエータ部に対して着脱自在で、シャフトの先端に前記アクチュエータにより動作される先端動作部を備える作業部とを有するマニピュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡下外科手術(又は腹腔鏡下手術とも呼ばれる。)においては、患者の腹部等に複数の孔を開け、器具の通過ポートとしてトラカール(筒状の器具)を挿入した後、シャフトを有する鉗子の先端部をトラカールを通じて体腔内に挿入して患部の手術を行っている。鉗子の先端部には、作業部として、生体組織を把持するためのグリッパや、鋏、電気メスのブレード等が取り付けられている。
【0003】
鉗子による内視鏡下外科手術は、作業空間である体腔内が狭くしかもトラカールを支点として鉗子を操作するため、一定のトレーニングが必要となる。また、従来使用されている鉗子では先端の作業部に関節が無いため、自由度が小さく、先端作業部はシャフトの延長線上での動作しか行うことができない。従って、通常のトレーニングで実施可能な症例には限度があり、他の様々な症例に対して適用するためには相当に高度なトレーニング及び習熟が必要になる。
【0004】
このような観点から、従来の鉗子を改良し、作業部に複数の関節を有する鉗子の開発が行われている(例えば、引用文献1参照)。特許文献1に記載のマニピュレータは、人手によって操作される操作部と、操作部に対して交換自在に着脱される作業部とから構成される。このようなマニピュレータでは、従来の鉗子のような制約や不自由がなく、手技が容易となり、適用可能な症例が多くなり、また、作業部の種類を交換することにより種々の手技に対応することができる。
【0005】
一方、このようなマニピュレータをロボットアームにより駆動する医療用ロボットシステムが提案されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に記載の医療用ロボットシステムでは、マニピュレータの着脱について、先端のマニピュレータにIDを取得するためのメモリを有していて制御装置がその情報を取得して制御することが記載されている。メモリはROM又はフラッシュメモリ等であり、電気的接点を介してIDが伝達される。
【0006】
【特許文献1】特開2004−105451号公報
【特許文献2】米国特許第6331181号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、外科手術が行われる際には、外科医が患者の内部を直接見ながら手術ができるように大きな切開が施された。大きな切開は、患者の回復を遅らせたりするものであった。近年、多くの外科医は内視鏡下での低侵襲の外科手術を行い、切開を著しく小さくすることができている。
【0008】
ロボット外科器具は低侵襲外科手術をさらに発展させてきている。それらの外科器具は高度に専門的になっている。それらの外科器具は外科医の最小化された動きに追随しなければならない。外科医は臓器に対して切断、剥離そして縫合等の多くの異なったことを行う。異なったそれぞれの外科器具はそれぞれの機能を要求される。それぞれの機能のために異なった医療器具が作られる。しかし、単にコントロールユニットに接続された外科器具を機能ごとに代える方が経済的である。外科器具のコントロールを正確に行うためには、取り付けられるそれぞれの外科器具を認識しなければならない。
【0009】
つまり、アクチュエータ部に対して種々の作業部が装着可能である場合、制御部では作業部の種類に応じた制御を行う必要があり、作業部の個体情報が必要となる。また、先端動作部の姿勢は、例えば原点位置を基準として算出されることから、手術の途中で作業部を交換する場合には、次の作業に備えて該作業部は正確に原点に一致した軸位置としてから取り外すことが望ましい。原点位置に一致していない状態で取り外されたときには、所定の警報を発してその作業部を再装着するように促すとよいが、このとき別の作業部を装着されることがないように作業部を識別することが必要になる。
【0010】
そこで、アクチュエータ部に装着された作業部を識別するため、作業部側のIDをアクチュエータ部側の認識部で認識する必要がある。例えば、前記の特許文献2ではROMからツールの個体情報を読み取ることができ、該個体情報に応じて作業部の種類に応じた制御が可能となる。
【0011】
通常、アクチュエータ部に作業部を装着するに当たっては、装着動作が完了した後、認識部によって作業部固有の個体情報を記録したIDを認識する処理が行われる。ところが、作業部側の前記IDが、例えば異なる種類のものを誤って表示していた場合等には、装着された作業部の種類(例えば、グリッパ)と異なる他の種類(例えば、電気メス)であるとアクチュエータ部側では認識され、該電気メス用の制御手法でグリッパが駆動制御され、正確な操作を行うことができない可能性がある。
【0012】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、アクチュエータ部と作業部とを装着する際に、作業部の個体情報の誤認識を防止することができるマニピュレータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係るマニピュレータは、アクチュエータを備えるアクチュエータ部と、前記アクチュエータ部に対して着脱自在で、シャフトの先端に前記アクチュエータにより動作される先端動作部を備える作業部と、前記アクチュエータ部に設けられ、前記アクチュエータに連動して回転駆動される駆動側係合部と、前記作業部に設けられ、前記駆動側係合部に係合して従動的に回転駆動される従動側係合部を備えることで、前記アクチュエータからの駆動力を受けて前記先端動作部を動作させる機構部とを有し、前記駆動側係合部と前記従動側係合部とがそれぞれ所定の係合角度に設定されている場合にのみ、該駆動側係合部と該従動側係合部とは互いに係合可能であることを特徴とする。
【0014】
このような構成によれば、作業部側の従動側係合部とアクチュエータ部側の駆動側係合部とが互いに所定の係合角度、例えば、作業部の先端動作部の種類に応じた原点角度に設定されている場合にのみ、作業部とアクチュエータ部との装着を行うことができ、換言すれば、従動側係合部と駆動側係合部とが互いに所定の係合角度にない場合には作業部とアクチュエータ部とは構造的に接続不能に構成される。このため、装着時の作業部の個体情報を誤って認識し、これに対応してアクチュエータ部を駆動制御することを有効に防止することができる。
【0015】
この場合、前記作業部は複数種類を前記アクチュエータ部に交換可能であると共に、各作業部の種類に応じて前記駆動側係合部の原点角度が異なるように構成され、前記従動側係合部が、各作業部の前記駆動側係合部の原点角度にそれぞれ対応した角度に設定された場合にのみ、各作業部の前記駆動側係合部と前記従動側係合部とは係合可能であると、例えば、手技中に作業部の種類を交換する場合において、操作者は、従動側係合部と駆動側係合部とのマッチング関係をほとんど意識することなく、装着作業を行うことができる。
【0016】
また、前記駆動側係合部及び前記従動側係合部は、一方に凹部が形成され、他方に前記凹部に係合可能な凸部が形成されていると、アクチュエータの駆動力を機構部側に簡便に伝達でき、しかも駆動側係合部と従動側係合部とを簡便に係合可能に構成することができる。
【0017】
なお、前記駆動側係合部及び前記従動側係合部は、十字型であると、一層簡便に駆動側係合部と従動側係合部とを係合することができる。
【0018】
また、本発明に係るマニピュレータは、アクチュエータを備えるアクチュエータ部と、前記アクチュエータ部に対して着脱自在で、シャフトの先端に前記アクチュエータにより動作される先端動作部を備える作業部と、前記アクチュエータ部に設けられ、前記アクチュエータに連動して回転駆動される駆動側係合部と、前記作業部に設けられ、前記駆動側係合部に係合して従動的に回転駆動される従動側係合部を備えることで、前記アクチュエータからの駆動力を受けて前記先端動作部を動作させる機構部と、前記作業部の動作を制御する制御部と、前記作業部に設けられ、個体識別用の個体信号を保持するID保持部と、前記アクチュエータ部に設けられ、前記ID保持部に対して非接触で前記個体信号を認識し前記制御部へ供給するID認識部とを有し、前記作業部は複数種類を前記アクチュエータ部に交換可能であると共に、各作業部の種類に応じて前記駆動側係合部の原点角度が異なるように構成され、前記アクチュエータ部に前記作業部が装着される際、前記制御部は、前記ID認識部で認識した前記作業部の種類に応じた前記従動側係合部に係合可能な状態に、前記駆動側係合部を回転させることを特徴とする。
【0019】
このような構成によれば、作業部の個体信号をID認識部により認識し、これに応じた設定に駆動側係合部を簡便に変更することができる。このため、例えば、作業部の種類を交換する場合であっても、駆動側係合部の設定を、交換される作業部の従動側係合部の原点設定に簡便に対応させることができる。従って、作業部とアクチュエータ部とを簡便に装着可能でありながら、装着時の作業部の個体情報を誤って認識し、これに対応してアクチュエータ部を駆動制御することを有効に防止することができる。
【0020】
この場合、前記駆動側係合部及び前記従動側係合部は、一方に凹部が形成され、他方に凸部が形成され、前記従動側係合部の前記凹部又は前記凸部の原点角度は、各作業部の種類毎に異なるように設定され、前記制御部は、前記ID認識部で認識した前記作業部の種類に応じた前記従動側係合部に対応する角度に、前記駆動側係合部の凸部又は凹部の角度を変更するように構成すると、アクチュエータの駆動力を機構部側に簡便に伝達でき、しかも駆動側係合部と従動側係合部とを簡便に係合可能に構成することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、先端動作部を備える作業部とアクチュエータ部とを装着する際に、該作業部の個体情報を誤って認識し、これに対応してアクチュエータ部を駆動制御することを有効に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明に係るマニピュレータについて実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
【0023】
図1に示すように、本実施の形態に係るマニピュレータ10は、先端動作部12に生体の一部又は湾曲針等を把持して所定の処置を行うための医療用であり、通常、把持鉗子やニードルドライバ(持針器)等とも呼ばれる。
【0024】
マニピュレータ10は、人手によって把持及び操作される操作部14と、該操作部14に対して着脱自在な作業部16とを備え、操作部14に対しコネクタ520を介して着脱自在なコントローラ(制御部)514を有するマニピュレータシステムとして構成されている。
【0025】
マニピュレータ10は、基本構成として操作部14と作業部16とを有しており、コントローラ514は当該マニピュレータ10の電気的な制御をするものであって、グリップハンドル26の下端部から延在するケーブル61に対しコネクタ520を介して接続されている。制御部であるコントローラ514の機能の一部又は全部を、例えば操作部14に一体的に搭載することもできる。
【0026】
コントローラ514は、マニピュレータ10を独立的に3台同時に制御することができる。コントローラ514のうち、第1、第2及び第3のマニピュレータ10を制御する部分を総括的に第1ポート515a、第2ポート515b及び第3ポート515cとも呼ぶ。
【0027】
図2に示すように、マニピュレータ10及び該マニピュレータ10を含むシステムは、選択的に種々の構成を採りうる。すなわち、操作部14はバリエーションとして、例えば操作部14a〜14dが用意され、作業部16はバリエーションとして、例えば作業部16a〜16dが用意されている。
【0028】
コントローラ514には、操作部14(14a)に代えて操作部14b、14c及び14dを装着することができる。また、各操作部14a〜14dに対し、作業部16(16a)に代えて作業部16b、16c及び16dを装着することができる。すなわち、術者は手技の種類や慣れ等に応じて操作部14a〜14d及び作業部16a〜16dを選択的に組み合わせて構成することができる。
【0029】
例えば、図1及び図5に示すように、作業部16a(16)は先端動作部12がグリッパ59となっている。作業部16bは先端動作部12がはさみとなっている。作業部16cは先端動作部12がブレード型電気メスとなっている。作業部16dは先端動作部12がフック型電気メスとなっている。各作業部16a〜16dは、接続部15内のプーリ50a、50b及び50c等(図1参照)は共通の構成となっている。
【0030】
上記したように、コントローラ514は、3台のマニピュレータ10を同時に制御可能であることから、操作部14a〜14dのうちいずれか3つを第1ポート515a、第2ポート515b及び第3ポート515cに接続が可能である。
【0031】
図1に示すように、コントローラ514には、図示しないLANを介して使用履歴管理手段であるホストコンピュータ602が接続されている。ホストコンピュータ602は、内部の図示しない記録手段に使用履歴テーブルを記録しており、コントローラ514又は前記LANにより接続された複数台のコントローラに対して要求された個体番号に応じた使用履歴データを送受信し、管理する。ホストコンピュータ602は、コントローラ514から独立的な構成に限らず、コントローラ514にその機能を設けてもよい。
【0032】
次に、操作部14及び作業部16について説明する。
【0033】
以下の説明では、図1における幅方向をX方向、高さ方向をY方向、及び、連結シャフト48の延在方向をZ方向と規定する。また、右方をX1方向、左方をX2方向、上方向をY1方向、下方向をY2方向、前方をZ1方向、後方をZ2方向と規定する。さらに、特に断りのない限り、これらの方向の記載はマニピュレータ10が基準姿勢(中立姿勢)である場合を基準として表すものとする。これらの方向は説明の便宜上のものであり、マニピュレータ10は任意の向きで(例えば、上下を反転させて)使用可能であることはもちろんである。
【0034】
作業部16は、作業を行う先端動作部12と、操作部14のアクチュエータブロック(アクチュエータ部)30に対して接続される接続部15と、これらの先端動作部12と接続部15とを連接する長尺で中空の連結シャフト(シャフト)48とを有する。作業部16は、アクチュエータブロック30における所定の操作によって操作部14から離脱可能であって、洗浄、滅菌及びメンテナンス等を行うことができる。ここで、アクチュエータブロック30は作業部16が装着される箇所を意味するものであり、モータ(アクチュエータ)40a、40b及び40cを格納する場所に限定されず、ブリッジ28との接続面30a(図4参照)を含む。
【0035】
先端動作部12及び連結シャフト48は細径に構成されており、患者の腹部等に設けられた円筒形状のトラカール20から体腔22内に挿入可能であり、操作部14の操作により体腔22内において患部切除、把持、縫合及び結紮等の様々な手技を行うことができる。
【0036】
操作部14は、人手によって把持されるグリップハンドル26と、該グリップハンドル26の上部から延在するブリッジ28と、該ブリッジ28の先端に接続されたアクチュエータブロック30とを有する。
【0037】
図4に示すように、グリップハンドル26は、ブリッジ28の端部からY2方向に向かって延在しており、人手によって把持されるのに適した長さであり、該グリップハンドル26の近傍には先端動作部12の動作等に供される入力手段が設けられている。すなわち、このような入力手段として、グリップハンドル26に近接したZ1方向にトリガーレバー32及びスイッチ36が設けられ、Y1方向に複合入力部34及び作動スイッチ35が設けられている。
【0038】
作動スイッチ35のZ1方向でブリッジ28の上面における視認しやすい箇所にはLED29が設けられている。LED29は、マニピュレータ10の制御状態を示すインジケータであり、操作者が容易に認識可能な大きさであり、かつ操作に支障がない程度に十分に小型軽量である。
【0039】
グリップハンドル26の下端には、コントローラ514に接続されるケーブル61が設けられている。グリップハンドル26とケーブル62とはコネクタにより接続されていてもよい。
【0040】
次に、先端動作部12を動作させるために操作部14に設けられる入力手段について説明する。
【0041】
作動スイッチ35は、マニピュレータ10の動作状態の有効又は無効を設定するための入力手段である。LED29は、マニピュレータ10の制御状態を示すインジケータであり、操作者が容易に認識可能な大きさであり、且つ操作に支障がない程度に十分に小型軽量である。LED29は、ブリッジ28の上面における略中央部で、視認性のよい位置に設けられており、作動スイッチ35と並んで配置されていることから、例えば、作動スイッチ35によるON操作に同期して点灯等をするため、操作者は作動スイッチ35の操作をしながらその入力状態をLED29により確実に認識することができる。
【0042】
この場合、コントローラ514は、作動スイッチ35の状態を読み込み、オン状態であるときに動作モードとし、オン状態からオフ状態に切り換わったときに自動原点復帰動作としてモータ40a〜40cを原点(原点角度、初期位相)に戻し、原点に戻った後に停止モードとする。動作モードは、操作部14の操作指令を有効にしてモータ40a〜40cを駆動するモードである。停止モードは、操作部14の操作指令の有無に関わらずモータ40a〜40cを停止させるモードである。これらのモード及び動作はコントローラ514によって区別されて制御され、LED29及び所定のランプの点灯状態が切り換えられる。
【0043】
複合入力部34は、先端動作部12に対してロール方向(軸回転方向)及びヨー方向(左右方向)の回転指令を与える複合的な入力手段であり、例えば軸回転に動作する第1入力手段によってロール方向指示を行い、横方向に動作する第2入力手段によってヨー方向指示を行うことができる。トリガーレバー32は、先端動作部12のグリッパ59(図1及び図5参照)に開閉指令を与える入力手段である。
【0044】
図3に示すように、複合入力部34、トリガーレバー32には、それぞれ動作量を検出する入力センサ39a、39b、39cが設けられており、検出した動作信号(例えばアナログ信号)をコントローラ514に供給し、これにより、モータ40a〜40c及びプーリ50a〜50cが駆動され、ワイヤ54a〜54c(図5参照)が駆動されることにより先端動作部12を動作させることができる。
【0045】
図3及び図4に示すように、トリガーレバー32は、ブリッジ28のやや下方でZ1方向にやや突出したレバーであり、人差し指による操作が容易な位置に設けられている。
【0046】
トリガーレバー32は、グリップハンドル26に対してアーム98により接続されており、該グリップハンドル26に対して進退するように構成されている。アーム98はグリップハンドル26内で入力センサ39cに接続されており、トリガーレバー32の進退量が該入力センサ39cによって計測されてコントローラ514に供給される。トリガーレバー32は、指を当て、グリップハンドル26の方向(つまり、Z2方向)に向かって引き込む操作と、グリップハンドル26からZ1方向に押し出す操作とが可能に構成され、これにより、グリッパ59へと開閉指令を与えることができる。
【0047】
なお、トリガーレバー32のY2方向に設けられたスイッチ36は、オルタネート式であって、該スイッチ36を操作することによりトリガーレバー32により所定の開閉状態とされたグリッパ59の状態、例えば、閉じ状態を保持しておくことができる。
【0048】
次に、作業部16と操作部14の着脱の構成について説明する。
【0049】
作業部16の接続部15は、樹脂のカバー37に覆われており、モータ40a、40b及び40cの駆動軸に接続されて従動回転されるプーリ50a、50b及び50cをそれぞれ回転自在に保持している。プーリ50a、50b及び50cには、それぞれワイヤ54a、54b及び54c(図5参照)が巻き掛けられており、連結シャフト48の中空部分を通って先端動作部12まで延在している。ワイヤ54a〜54cは同種、同径のものを用いることができる。プーリ50a〜50cにはそれぞれカップリングが設けられている。
【0050】
図5に示すように、連結シャフト48内を挿通したワイヤ54a、54b及び54cは、グリッパ59を備えた先端動作部12の対応するプーリ57a、57b及び57cにそれぞれ巻き掛けられている。なお、図5は、グリッパ59を備える先端動作部12は、プーリ50a〜50cが原点角度にある場合の状態を示している。
【0051】
従って、プーリ50aとプーリ57aとの間にワイヤ54aが巻き掛けられた状態で当該プーリ50aがモータ40aによって回転駆動されると、その回転駆動力がワイヤ54aを介してプーリ57aへと伝達され、該プーリ57aを回転させる。そうすると、プーリ57aの回転が、例えば歯車55、歯車リング64及び歯車66へと順次伝達され、グリッパ59を開閉させることができる。マニピュレータ10では、このようなプーリ50a〜50c、ワイヤ54a〜54c及びプーリ57a〜57cを備えた動力伝達機構により、先端動作部12をロール方向(軸回転方向)、ヨー方向(左右方向)及びグリッパ開閉からなる3自由度の機構として構成している。
【0052】
図3及び図6に示すように、接続部15は、左右側面の係合片200と、上下面に開口する3つの嵌合孔202a、202b及び202cとを有する。3つの嵌合孔202a〜202cは、Z1方向及びZ2方向の端部近傍に設けられており、Y方向に延在する孔である。なお、図6や図7等では、接続部15の構造が理解しやすいように、カバー37(図1参照)の一部又は全部を取り外した状態で示す。
【0053】
図3及び図4に示すように、アクチュエータブロック30には、先端動作部12が有する3自由度の機構に対応してアクチュエータであるモータ40a、40b及びモータ40cが連結シャフト48の延在方向に沿って並列して設けられている。これらのモータ40a〜40cは小型・細径であって、アクチュエータブロック30はコンパクトな扁平形状に構成されている。アクチュエータブロック30は、操作部14のZ1方向端部の下方に設けられている。また、モータ40a〜40cは、操作部14の操作に基づき、コントローラ514の作用下に回転をする。
【0054】
モータ40a、40b及び40cには、回転角度を検出することのできる角度センサ43a、43b及び43cが設けられており、検出した角度信号はコントローラ514に供給される。角度センサ43a〜43cとしては、例えばロータリエンコーダが用いられる。
【0055】
図4、図6、図10A及び図10Bに示すように、接続部15を構成するプーリ50a、50b及び50cのY2方向下端には、十字の一本が短く形成された短尺部49を有した十字状突起からなる係合凸部(従動側係合部)51a、51b及び51cが設けられている。一方、アクチュエータブロック30を構成するモータ40a、40b及び40cの回転軸には、係合凸部51a、51b及び51cと同様に十字の一本が短く形成された短尺部47を有した十字状溝からなる係合凹部(駆動側係合部)41a、41b及び41cが設けられている。
【0056】
係合凸部51a〜51cと係合凹部41a〜41cとは互いに係合可能であり、これにより、アクチュエータブロック30に接続部15が装着された状態で、モータ40a〜40cの回転駆動力がプーリ50a〜50cに対して確実に伝達される。もちろん、接続部15側に係合凹部を設け、アクチュエータブロック30側に係合凸部を設けるようにしてもよい。
【0057】
図10Aに示すように、接続部15の係合凸部51a〜51cは、プーリ50a〜50cと共に中心軸CL11を中心として回転可能であり、同様に図10Bに示すように、アクチュエータブロック30の係合凹部41a〜41cは、モータ40a〜40cと共に中心軸CL12を中心として回転可能である。この場合、係合凸部51a〜51c及び係合凹部41a〜41cは、それぞれ十字の一本が短い短尺部49を持ち、中心軸CL11、CL12に対して非対称な形状であり、換言すれば、これら係合凸部51a〜51c及び係合凹部41a〜41cはそれぞれ3個1組とした場合に、その中心(係合凸部51b及び係合凹部41bの中心軸CL11、CL12)に対して非対称な形状である。このため、係合凸部51a〜51c及び係合凹部41a〜41cは、図10A及び図10Bに示す原点に設定された場合にのみ互いに係合可能であり、それ以外の角度(位置)では構造的に係合不能である。
【0058】
図4及び図6に示すように、アクチュエータブロック30には、さらに作業部16の接続部15を保持する2つの独立した係合部210と、該接続部15の位置決め機能及び保持機構を有する3本のアライメントピン212a、212b及び212cとが設けられる。
【0059】
2つの係合部210は、アクチュエータブロック30の左右側面(X1及びX2側面)で対称位置に設けられており、操作面204と、該操作面204からY1方向に延在するレバー206とを有する。レバー206はアクチュエータブロック30の上面よりもY1方向に向かってやや突出しており、先端内側がテーパ形状になっている。係合部210は、図示しない弾性部材によってレバー206が内側に向かう方向に弾性付勢されている。
【0060】
アライメントピン212a〜212cは、嵌合孔202a〜202cに対向する位置で、アクチュエータブロック30の上面におけるZ1方向端の近傍に2本、Z2方向端の近傍に1本設けられ、それぞれY1方向に延在している。Z1方向端の近傍に2本のアライメントピン212a、212bがX方向に並んで設けられている。
【0061】
このように、アライメントピン212a〜212cは3本設けられていることから、接続部15は3点で支持され、簡便且つ確実に位置決めを行うことができる。また、3本のアライメントピン212a〜212cは直線状配列ではないため、いずれの方向のねじれに対しても、接続部15を安定して保持することができる。アライメントピン212a〜212cは、このうち2本以上設けられていれば、接続部15は確実に位置決めがなされて、安定して保持される。この場合、Z方向に離間した2本を選択すると一層安定する。
【0062】
また、図3に示すように、アライメントピン212a〜212cの高さH1は、嵌合孔202a〜202cを備える接続部15を構成するプーリ収納体(機構部)300の高さH2よりも大きく、アライメントピン212a〜212cはプーリ収納体300を適度に貫通する。
【0063】
次に、接続部15及びアクチュエータブロック30の構成について詳細に説明する。
【0064】
図6〜図8に示すように、接続部15は、プーリ50a〜50cを収納するプーリ収納体300と、該プーリ収納体300の上面(Y1側)に固定されたベースプレート302と、該ベースプレート302の上部(Y1側)に設けられたロッキングプレート304とを有する。ベースプレート302(プーリ収納体300)の上面には軸部材305が突設されている。軸部材305は、ロッキングプレート304の孔部319を通過してY1方向に突出するように一対設けられ、ロッキングプレート304をベースプレート302方向(Y2方向)に付勢する一対のコイルスプリング306を支持すると共に、ロッキングプレート304のY方向の移動をガイドする。
【0065】
プーリ50a〜50cは、上記の通りプーリ収納体300におけるZ方向に並列しており、各上端はプーリ収納体300の上面からやや突出した板形状部308a、308b、308cとなっている。板形状部308a〜308cは、同形状であり、プーリ50a〜50cの上端の直径に相当する箇所に設けられて、Y1方向にやや伸びている。板形状部308a〜308cは、各プーリ50a〜50cが原点であるときに平面視でX方向を指向する。
【0066】
ロッキングプレート304はZ方向に長尺であり、中央部は幅が広く、Z1方向には幅狭部310を介してT字形状の第1端部312を有すると共に、Z2方向にはプーリ収納体300の嵌合孔202cに対応する平面視で略三角形状の第2端部314を有する。
【0067】
図6、図7及び図11に示すように、ロッキングプレート304の下面(Y2側)においてアライメントピン212a〜212cが当接する部位には、それぞれ円板状の絶縁部材311が設けられている。さらに、プーリ収納体300の嵌合孔202a〜202cについては、その内周面に筒状の絶縁部材323が設けられ、上面(Y1側)縁部に円筒テーパ状の絶縁部材301が設けられ、下面(Y2側)縁部に円環状の絶縁部材315が設けられている。これら絶縁部材301、311、315、323は、例えば、樹脂やゴム、セラミック等から構成される。これにより、アライメントピン211a〜212cと接続部15との間が絶縁され、すなわち、操作部14と作業部16との間が絶縁される。従って、電気メス等の高電圧を生じる器具を作業部16として用いた場合にも、この高電圧が操作部14側に漏れることが有効に防止され、当該操作部14側に設けられるモータ40a〜40c等の電気部品を保護することができる。絶縁部材311等に代えて、アライメントピン212a〜212c自体を絶縁材料によって構成することも可能である。
【0068】
ロッキングプレート304の中央部には、X方向を指向する3つのスリット316a、316b及び316cがZ方向に並列されており、順にプーリ50a、50b及び50cに対応する位置に設けられている。各スリット316a〜316cのZ方向の幅は、板形状部308a〜308cの板厚よりやや広く、X方向の長さは、板形状部308a〜308cよりやや長い。これにより、各プーリ50a〜50cが原点にあるときに、板形状部308a〜308cをスリット316a〜316cに対して挿脱可能である。
【0069】
ロッキングプレート304の上面で、スリット316aとスリット316bとの間、及びスリット316bとスリット316cとの間には、浅い丸溝320が設けられ、各丸溝320の中央に孔部319が形成されている。各丸溝320はコイルスプリング306より僅かに大径であり、該コイルスプリング306の下端(Y2側)の取付座となっている。各孔部319は、軸部材305より僅かに大径であり、該軸部材305の挿通孔となっている。
【0070】
図6〜図8に示すように、コイルスプリング306は、孔部319に挿通され、ロッキングプレート304のY1側に突出した軸部材305の周囲に設けられると共に、各軸部材305の上端近傍に形成された環状溝321に固着される固定具322と丸溝320の底部との間に挟まれることで保持されている。すなわち、固定具322は、コイルスプリング306の上端(Y1側)の取付座であり、例えば、コイルスプリング306よりやや大径のEリング等から構成される。
【0071】
従って、図8及び図11に示すように、作業部16が操作部14から分離された状態では、ロッキングプレート304がコイルスプリング306の付勢力によって、Y2方向に押し下げられ、プーリ収納体300(ベースプレート302)の上面に当接する。なお、コイルスプリング306は、図11及び図12に示されるような圧縮ばねには限られず、例えば引張ばねとすることもできる。
【0072】
この際、プーリ収納体300の上面には絶縁部材301がやや突出し、ロッキングプレート304の下面には絶縁部材311がやや突出している。そこで、ベースプレート302をスペーサとして機能させ、プーリ収納体300の上面の高さを絶縁部材301、311の厚み分(図11中の距離H11)に合わせて調整し、ロッキングプレート304がコイルスプリング306の付勢により安定してプーリ収納体300(ベースプレート302)に当接できるように構成している。もちろん、ベースプレート302を省略し、その分の調整をプーリ収納体300やロッキングプレート304の形状を調整することで対応することもでき、また、絶縁部材311等を使用しない構成の場合には、ベースプレート302も省略可能である。
【0073】
一方、図9及び図12に示すように、作業部16が操作部14に装着された状態では、第1端部312の下面左右の絶縁部材311にアライメントピン212a、212bが当接し、第2端部314の下面の絶縁部材311にアライメントピン212cが当接し、これにより、ロッキングプレート304がコイルスプリング306に抗して相対的にY1方向に押し出され、プーリ収納体300(ベースプレート302)の上面と離間する(図12中の距離H12)。
【0074】
図7及び図8に示すように、接続部15においてロッキングプレート304のZ2側端部(第2端部314の基端側部)には、第2端部314を跨いでY1方向に延びた支持プレート313がねじ317により固定される。支持プレート313のZ2側、つまりアクチュエータブロック30の接続面30a側の面には、二次元状のバーコード(ID保持部)104が設けられている。バーコード104は、例えば略正方形のマトリックス形状であり、桝目に従って白及び黒が印刷されている。
【0075】
バーコード104は、XY平面を構成する支持プレート313に貼り付けられ、カバー37の後端部から適度な距離Pだけ前方(Z1方向)にずれた位置に設けられている。バーコード104には、作業部16の個体情報、仕様、タイムスタンプ(製造日等)やシリアルナンバー、使用回数上限等の情報が含まれている。バーコード104の保持する個体情報は、作業部毎に識別が可能なように異なる値が付与されている。
【0076】
バーコード104は1枚に限らず、複数枚からなる構成であってもよい。バーコード104が2枚からなる場合、一枚は個体情報、製造日、シリアルナンバー等の個体特有の情報を示し、もう一枚は仕様、使用回数上限等の型式毎に共通的な情報を示すようにしてもよい。バーコード104は二次元データに限らず、一次元形状であってもよい。バーコード104における枡目の色は白及び黒に限らず、赤外線吸収色及び赤外線反射色であってもよく、又は3色以上の色の区別により情報を示すようにしてもよい。
【0077】
図4に示すように、アクチュエータブロック30におけるブリッジ28との接続面30aには、カメラ(ID認識部)106と、2つの白色LED105とが設けられている。接続面30aは、接続部15のカバー37の端面に当接する面であり、XY平面を構成する。
【0078】
カメラ106は、バーコード104を撮像するカメラであり、例えばCCD形式又はCMOS形式である。白色LED105は、光軸がバーコード104を照明する向きに設定されており、カメラ106はバーコード104を一層確実に認識することができる。白色LED105は、カメラ106を挟んで左右対称位置に設けられており、バーコード104をバランスよく照明することができる。白色LED105は、カメラ106を挟んで上下に設けられていてもよく、等間隔に3以上設けられていてもよい。白色LED105が十分な光量を有する場合には1つでもよい。このように、ID保持部であるバーコード104は、個体情報(個体信号)を画像情報として保持する表示手段であり、ID認識部であるカメラ106は、前記表示手段を撮像する撮像手段である。
【0079】
このように操作部14及びコントローラ514では、カメラ106を用いて作業部16の個体情報を認識することにより、マニピュレータ10を構成するモータ40a〜40c等を当該作業部16の種類(例えば、図2の作業部16a〜16d)や操作部14の種類(例えば、図2の操作部14a〜14d)に対応するように適切に且つ正確に駆動制御することができる。
【0080】
図4及び図8に示すように、接続部15が載置されるアクチュエータブロック30の上面30bにおいて、Z2方向の端部(接続面30a)近傍には、装着される接続部15の有無を検出する作業部検出手段107が設けられている。
【0081】
作業部検出手段107は、対向する位置に設けられた投光器107aと受光器107bとからなり、投光器107aと受光器107bとの間に接続部15の後端部の被検出片109が挿入されて遮光することにより該接続部15が装着されたことを検出できる。投光器107aと受光器107bは、X方向に対向する向きで且つ近接した位置に設けられている。投光器107aは例えばLEDであり、受光器107bは例えばフォトダイオードである。
【0082】
そこで、プーリ収納体300の後端面(Z2側)における下端には、上記した被検出片109が後方に向かって突出している。接続部15がアクチュエータブロック30に装着されると、被検出片109が投光器107aと受光器107bとの間に挿入されて受光器107bに対する投光器107aの光を遮光する。
【0083】
このとき、カバー37は、バーコード104及びカメラ106が略閉空間内となるようにこれらの箇所を覆う。これにより、バーコード104及びカメラ106の汚れを防止することができると共に、外乱光を遮蔽して安定した撮像が可能となる。また、閉空間となっても、白色LED105によりバーコード104が照明されることから、安定した撮像が可能である。バーコード104及びカメラ106を覆うカバー37は、アクチュエータブロック30に設けられていてもよい。バーコード104とカメラ106との相対的な位置及び向きが固定的であることから、カメラ106側では、バーコード104の位置及び向きを特定する必要がなく、これらを特定するためのコードが不要か又は少量で足り、その分、バーコード104における記録可能な情報量が多くなる。
【0084】
このように作業部検出手段107を備えることにより、コントローラ514において作業部16がアクチュエータブロック30に装着されているか否かを認識することができると共に、該作業部検出手段107による作業部16の検出を、カメラ106及び白色LED105を起動制御してバーコード104から個体信号を取得するためのトリガー信号とすることができる。
【0085】
すなわち、コントローラ514は、作業部16がアクチュエータブロック30に装着されたときにカメラ106及び白色LED105を制御してバーコード104から個体信号を取得する。コントローラ514では、少なくとも作業部16がアクチュエータブロック30に装着されたときに個体信号を取得すれば足り、それ以外のときにはカメラ106及び白色LED105の動作を停止しておくことができ、処理負荷が低減すると共に省電力化を図ることができる。
【0086】
カメラ106による撮像は、可視光に限らず、例えば赤外光を用いてもよい。赤外光を用いることにより、暗い場所でもバーコード104を明りょうに撮像することができる。赤外光を用いる場合には所定の赤外線LEDでバーコード104を照射してもよい。
【0087】
作業部検出手段107は、投光器107a及び受光器107bからなる構成に限らず、例えば被検出片109により操作されるリミットスイッチであってもよい。また、コントローラ514では、作業部16の個体情報を取得し、該個体情報に応じて作業部16の種類に応じた制御が可能となる。
【0088】
ところで、バーコード104は直接的な通電の必要がなく接続部15及び作業部16には電気的接点が存在せず、しかもバッテリ等の蓄電体もない。従って、操作部14から取り外した作業部16は洗浄、滅菌等を容易に行うことができる。つまり、モータやスイッチ、センサなどの電気機器をすべて操作部14側に配し、連結シャフト48及び先端動作部12からなる機械構成部品のみからなるものを作業部16側に配することで洗浄性を向上させている。作業部16と操作部14では汚れ具合、汚れ種類、洗浄方法が異なり、異なるメンテナンスが行われるため、離脱して洗浄することが好適である。
【0089】
次に、基本的には以上のように構成されるマニピュレータ10において、操作部14と作業部16とを装着する動作及びその作用について説明する。
【0090】
操作部14のアクチュエータブロック30に対して作業部16の接続部15を装着する際には、3本のアライメントピン212a〜212cがそれぞれ嵌合孔202a〜202cに嵌合するように合わせて、接続部15を下方(Y2方向)に押し下げる。これにより、レバー206は内面側の楔部206aが係合片200を乗り越える際に一旦外方に拡がり、その後原位置に戻ることにより係合片200に係合し、接続が完了する。
【0091】
すなわち、図8に示すように、先ず、嵌合孔202a〜202cに対応するアライメントピン212a〜212cを挿通させる。続いて、接続部15をアライメントピン212a〜212cに沿ってY2方向に移動させると、各アライメントピン212a〜212cの先端がロッキングプレート304の下面(絶縁部材311)に当接し、図11に示す状態となる。
【0092】
図11に示すように、マニピュレータ10では、各アライメントピン212a〜212cの先端がロッキングプレート304に当接した時点で、バーコード104の中心線CL1及びカメラ106の中心線CL2が一致する。すなわち、前記当接した時点で、カメラ106の中心線CL2とアクチュエータブロック30の上面30bとの間でのY方向の距離H10に対し、バーコード104の中心線CL1と上面30bとの間でのY方向の距離もH10として決定される。この際、バーコード104とカメラ106とはカメラ106の焦点距離Pだけ離れて対向している。
【0093】
なお、図11及び図12において、バーコード104のXY方向での中心線をCL1、カメラ106のXY方向での中心線をCL2とし、カメラ106はバーコード104に対する焦点距離Pにおいて、中心線CL1及びCL2が同軸上に一致する状態で一層正確な撮像を行うことができるものとする。換言すれば、接続部15とアクチュエータブロック30との装着に際し、一層迅速に中心線CL1及びCL2の位置を一致させることで、カメラ106によるバーコード104の撮像を一層迅速に且つ正確に行うことができる。
【0094】
ところで、図11から諒解されるように、各アライメントピン212a〜212cの先端がロッキングプレート304に当接した時点では、接続部15側の係合片200がアクチュエータブロック30側の係合部210に係合しておらず、接続部15とアクチュエータブロック30との係合動作は完了していない。
【0095】
つまり、図11に示すように、この時点(前記当接した時点)でのアクチュエータブロック30の上面30bとプーリ収納体300の上面との間でのY方向の距離をH13とし、図12に示すように、係合動作の完了時点での上面30bとプーリ収納体300の上面との間でのY方向の距離をH14とすると、レバー206の楔部206aが係合片200を乗り越えるためには、さらに距離H13から距離H14を引いた分(H13−H14)だけプーリ収納体300(楔部206a)を押し下げ、レバー206の楔部206aが係合片200を乗り越える必要がある。
【0096】
そこで、図12に示すように、接続部15をさらにY2方向へと押し下げる。これにより、レバー206が先端のテーパ形状によってやや外方向に押されながら変位して、係合片200に対して摺動する。この間、3本のアライメントピン212a〜212cの上端部は、嵌合孔202a〜202cを貫通してプーリ収納体300の上面から突出し(図9及び図12参照)、ロッキングプレート304の第1端部312及び第2端部314の下面(絶縁部材311)に当接し、コイルスプリング306を圧縮してロッキングプレート304を上面30bから距離H20の位置に保持したままプーリ収納体300を相対的に押し下げる。
【0097】
やがて、接続部15の下面がアクチュエータブロック30の上面30bに当接するか又はその直前で、係合片200がレバー206の楔部206aを乗り越え、該レバー206は弾性作用によって原位置に復帰し、テーパ形状の下端の楔部206aが係合片200に係合するため、接続部15とアクチュエータブロック30との装着動作が完了することになる。このような装着動作中に、作業部検出手段107によって作業部16が検出される。また、上記のように接続部15が装着され、レバー206が弾性的に原位置に復帰することにより、適度なクリック感及び装着音が発生し、操作者は装着が正常に完了したことを確認できる。
【0098】
図9及び図12から諒解されるように、操作部14と作業部16の装着が完了した状態では、コイルスプリング306の弾性作用により、軸部材305を介してプーリ収納体300が上方(Y1側)に引き上げられるように付勢され、係合片200と楔部206aとは互いに噛み合う方向に弾性支持される。これにより、係合片200と係合部210との間の係合状態を一層確実に保持することができると共に、作業部16を操作部14に対して一層安定して保持することができる。
【0099】
さらに、図11及び図12から諒解されるように、マニピュレータ10では、上記の操作部14と作業部16の装着動作に際し、カメラ106の中心線CL2とバーコード104の中心線CL1とは、アライメントピン212a〜212cの先端がロッキングプレート304に当接した時点で互いに一致した後(図11参照)、レバー206と係合片200との係合動作が完了するまでその一致した状態が保持される(図12参照)。
【0100】
従って、接続部15のアクチュエータブロック30への装着開始時、つまりアライメントピン212a〜212cの先端がロッキングプレート304に当接した時点でカメラ106とバーコード104との相対位置が早々に固定され、その後のレバー206と係合片200との係合動作、つまり接続部15のアクチュエータブロック30への装着が完了するまで、前記相対位置は保持される。換言すれば、アクチュエータブロック30に接続部15が装着される際、アライメントピン212a〜212cがロッキングプレート304に当接することでアクチュエータブロック30に対する支持プレート313及びバーコード104の位置が決定される。その後、ロッキングプレート304及びこれに固定された支持プレート313(バーコード104)を除く接続部15、例えばプーリ収納体300やカバー37がロッキングプレート304に対して相対的にアクチュエータブロック30側へと移動され、レバー206と係合片200とが係合される。
【0101】
このため、作業部16と操作部14との装着作業の開始から完了まで及び装着完了後、常時、バーコード104の位置をカメラ106による良好な撮像が可能な位置に保持しておくことができる。換言すれば、カメラ106は、接続部15のアクチュエータブロック30への装着開始時から、常にバーコード104を正確に撮像可能な状態に置かれることになる。
【0102】
そこで、例えば、アライメントピン212a〜212cの先端がロッキングプレート304に当接した後であって、レバー206の楔部206aと係合片200との係合動作が完了した時点又は該係合動作が完了する前において、作業部検出手段107によって作業部16が検出されることにより、該検出をトリガー信号として、コントローラ514ではカメラ106及び白色LED105を駆動制御して、バーコード104を正確に撮像することができる。
【0103】
仮に、バーコード104がプーリ収納体300等に設けられ、これと連動して移動するような構成では、カメラ106によるバーコード104の正確な撮像を行うためには、接続部15のアクチュエータブロック30への装着完了を待つように、カメラ106に待機時間を設定しておく必要があり、しかも該待機時間は余裕を持って相当長く設定しなければならないのに対して、本実施形態では、該待機時間が不要となる。従って、マニピュレータ10では、例えば手術中において、所定の操作部14に対して所定の作業部16を装着した際には、装着と略同時にカメラ106によるバーコード104の撮像及びコントローラ514による作業部16の識別をすることができ、次の手技に迅速に移行することができる。
【0104】
次に、一連の手技が終了し、又は作業部16を別の種類に交換する場合等において、操作部14と作業部16とを取り外す動作について説明する。
【0105】
この場合には、係合片200と係合部210との係合状態を解除する操作に先立ち、先ず、作動スイッチ35を操作して上記した停止モードとし、コントローラ514の作用下に各モータ40a〜40c及びプーリ50a〜50cを原点に自動的に復帰させておく。
【0106】
図12に示すように、操作部14と作業部16とが装着された状態では、プーリ50a〜50cの上端の板形状部308a〜308cがロッキングプレート304のスリット316a〜316cから離脱した状態にある。このため、板形状部308a〜308cを原点に復帰しておかないと、取り外し時にプーリ収納体300がコイルスプリング306の付勢力によってロッキングプレート304に当接する際、スリット316a〜316cに板形状部308a〜308cを正確に挿入させることができないからである。
【0107】
次いで、アクチュエータブロック30の両側面に設けられたレバー206の下方の操作面204を内側に押して、各レバー206をそれぞれ外方に開くように傾動させ、該レバー206の楔部206aを、接続部15の両側面に設けられた係合片200から解放する。これにより、3本のアライメントピン212a〜212cは、嵌合孔202a〜202cから下方に抜けることから、接続部15を操作部14から上方(Y1方向)に引き抜き、取り外しが可能となる。
【0108】
この際、アライメントピン212a〜212cが、第1端部312及び第2端部314から離間すると、ロッキングプレート304はコイルスプリング306の弾性力によって相対的に下方に押し下げられる。各モータ40a〜40cは、それぞれ原点に復帰していることから、連動するプーリ50a〜50cの板形状部308a〜308cは平面視でX方向を指向しており(図7参照)、ロッキングプレート304の3つのスリット316a〜316cに係合する(図11参照)。これにより、これ以後の各プーリ50a〜50cの回転が防止でき、先端動作部12が原点に保持されるため(図5参照)、次回に操作部14に装着するときには、プーリ50a〜50cをモータ40a〜40cに正しく装着することができる。
【0109】
つまり、再び操作部14と作業部16とを装着する際には、操作部14のモータ40a〜40cはそれぞれ原点となっている。また、接続部15でも、プーリ50a〜50cの板形状部308a〜308cが、コイルスプリング306によりY2側に付勢されたロッキングプレート304のスリット316a〜316cに挿入され、回転不能状態に保持されているため、プーリ50a〜50cがそれぞれ原点に位置している。
【0110】
すなわち、図10A及び図10Bに示すように、操作部14と作業部16との装着時、マニピュレータ10では、係合凸部51a〜51cと係合凹部41a〜41cとが全て所定の原点角度に保持されているため、これら係合凸部51a〜51cと係合凹部41a〜41cとを確実に係合させ、モータ40a〜40cの上端部をプーリ50a〜50cの下端部に適切に接続することができる。
【0111】
ところで、図2に示すように、マニピュレータ10では、操作部14(14a〜14d)と作業部16(16a〜16d)との組み合わせで選択的に種々の構成を採ることができる。そして、コントローラ514では、バーコード104をカメラ106で撮像することによって認識された作業部16の個体情報(種類)に対応するように適切且つ正確に駆動制御することができる。
【0112】
マニピュレータ10を正確に駆動制御するためには、装着された作業部16の種類をコントローラ514で正確に認識することが必要であり、例えば、先端動作部12がはさみの作業部16bに対して、先端動作部12が電気メスの作業部16c用のバーコード104が貼り付けられている場合のようなバーコード104の貼り違えや、バーコード104に傷や汚れ等を生じた場合のカメラ106による誤認識等を生じた場合には、先端動作部12を適切に動作させることが困難となる。
【0113】
そこで、本実施形態に係るマニピュレータ10では、係合凸部51a〜51cと係合凹部41a〜41cとの係合関係を利用することで、バーコード104の撮像によって認識した作業部16の種類と、実際に操作部14に装着される作業部16の種類とを一致させることを可能とし、これにより、先端動作部12を一層正確に動作させることを可能としている。
【0114】
すなわち、図14A〜図14Dに示すように、マニピュレータ10では、各作業部16a〜16dについて、係合凸部51a〜51cの原点角度をそれぞれ異なるように設定している。
【0115】
例えば、図14A(図10A)に示すように、先端動作部12がグリッパ59の作業部16a(16)は、各係合凸部51a〜51cの短尺部49が全てZ2側に設定されている。図14Bに示すように、先端動作部12がはさみの作業部16bは、係合凸部51a〜51cの短尺部49がそれぞれX2側、Z1側、X1側に設定されている。図14Cに示すように、先端動作部12が電気メスの作業部16cは、係合凸部51a〜51cの短尺部49がそれぞれZ1側、X1側、Z1側に設定されている。図14Dに示すように、先端動作部12がフック型電気メスの作業部16dは、係合凸部51a〜51cの短尺部49がそれぞれX1側、X2側、X2側に設定されている。もちろん、各作業部16a〜16dに係る各係合凸部51a〜51dの原点角度は一例であり、図14A〜図14Dに示す設定に限られない。例えば、3つの係合凸部51a〜51cのそれぞれに4通りの原点角度が設定可能であるため、係合凸部51a〜51cの全体では、4の3乗通り(64通り)の組み合わせに設定できる。
【0116】
図15A〜図15Cを参照して、例えば、先端動作部12がグリッパ59の作業部16a(16)を、先端動作部12が電気メスの作業部16c(図15A参照)に交換する場合について説明する。
【0117】
図15Bに示すように、交換(装着)開始時のアクチュエータブロック30の係合凹部41a〜41cの角度は、図14Aに示す作業部16aの係合凸部51a〜51cに対応した角度のままであり、各係合凹部41a〜41cの短尺部47が全てZ2側に設定されている。このため、図15Aに示す作業部16cを、図15Bに示す状態の操作部14に取り付けようとしても、係合凸部51a〜51cと係合凹部41a〜41cとが構造的に係合できず、図9や図12に示すようにプーリ収納体300を押し下げて係合片200と係合部210とを係合させて操作部14と作業部16cとを装着することはできなくなっている。
【0118】
そこで、本実施形態に係るマニピュレータ10では、アクチュエータブロック30に接続部15を装着している途中でバーコード104をカメラ106により撮像する。これにより、装着途中で作業部16の種類(例えば、作業部16cであること)を判断し、この判断結果に伴ってコントローラ514の制御下にモータ40a〜40cを駆動制御することができ、係合凹部41a〜41cの設定(回転角度)を装着される作業部16の種類に対応する原点へと変化させることができる。
【0119】
すなわち、図15Aに示される作業部16cの種類を認識した後、係合凹部41a〜41cの回転角度を、図15Bに示す状態から図15Cに示す状態へと迅速に変更(調整)する。これにより、図15Aに示される作業部16cの係合凸部51a〜51cの原点に、操作部14の係合凹部41a〜41cの角度を対応させることができるため(図15C参照)、作業部16cと操作部14とを簡便に装着することができる。
【0120】
この際、マニピュレータ10では、アライメントピン212a〜212cの先端がロッキングプレート304に当接した時点でカメラ106によりバーコード104の撮像を正確に行うことができるため、装着動作の完了前に一層簡便に操作部14の係合凹部41a〜41cの回転角度を変更することができる。従って、操作者は、作業部16の係合凸部51a〜51cと操作部14の係合凹部41a〜41cのマッチング関係を意識せず、例えば目視等による判断をせずに簡便に装着作業を行うことができる。
【0121】
なお、装着作業途中でカメラ106によるバーコード104の撮像を行わない場合には、操作者は、装着しようとする作業部16の種類を予めコントローラ514に入力し、係合凹部41a〜41cの設定を事前に変更しておけば、作業部16と操作部14とを簡便に装着することができる。
【0122】
ところで、仮に、全種類の作業部16の係合凸部51a〜51cの原点角度が同一に設定されている場合には、作業部16の種類に関わらず操作部14に装着可能である。従って、例えば、作業部16に誤った種類のバーコード104が貼り付けられている場合や、当該バーコード104に傷や汚れが生じていて他の種類のバーコード104として認識される状態にある場合には、装着後、コントローラ514では作業部16の種類を誤認識したまま先端動作部12の駆動制御を行うことになり、正確な操作が困難になる可能性がある。
【0123】
そこで、図16A〜図16Cを参照して、例えば、先端動作部12がグリッパ59の作業部16a(16)を、先端動作部12が電気メスの作業部16c(図16A参照)に交換する場合において、該作業部16cに設けられたバーコード104の種類(表示)が作業部16b(図14B参照)を示すものとされている場合について説明する。
【0124】
この場合にも、図16Bに示すように、装着開始時の操作部14側の係合凹部41a〜41cの角度は、作業部16aの係合凸部51a〜51c(図14A参照)に対応した角度とされており、各係合凹部41a〜41cの短尺部47が全てZ2側に設定されている。
【0125】
そこで、マニピュレータ10では、交換(装着)動作中に、作業部16の種類(例えば、作業部16cであること)を判断し、この判断結果に伴ってモータ40a〜40cを駆動制御し、係合凹部41a〜41cの設定(回転角度)を当該装着される作業部16の種類に対応する原点へと変化させることになるが、ここでは、バーコード104は実際の作業部16cを示すものではなく、異なる作業部16bを示すものとなっている。
【0126】
すなわち、図16Aに示される作業部16cに対し、コントローラ514は誤ったバーコード104の個体情報に基づき、係合凹部41a〜41cの角度を図16Bに示す状態から図16Cに示す作業部16bに対応する原点へと誤って変更する。このため、図16Aに示す作業部16cと、図16Cに示す操作部14とは、互いの係合凸部51a〜51cと係合凹部41a〜41cとが不一致となっていることから係合不能となっている。これにより、操作者は、バーコード104の誤設置を認識することができるため、装着後、コントローラ514による作業部16の誤った駆動制御を防止することができる。
【0127】
図17は、上記のような作業部16と操作部14の装着動作における各構成要素の動作状態の一例を示すタイミングチャートである。図17中のA線は、カメラ106によるバーコード104の撮像動作を示し、B線は、アクチュエータブロック30の係合凹部41a〜41cの原点設定動作を示し、C線は、作業部検出手段107による被検出片109の検出信号を示し、D線は、アクチュエータブロック30の上面30bとバーコード104の中心線CL1との間の距離を示し、E線は、アクチュエータブロック30の上面30bとプーリ収納体300の上面との間の距離を示す。
【0128】
図17に示すように、装着動作の開始時刻t0からアライメントピン212a〜212cの先端がロッキングプレート304に当接した時刻t1(図11参照)の間は、D線及びE線は同様に下降される。その後、時刻t1以降は、D線、つまりアクチュエータブロック30の上面30bとバーコード104との間は距離H10にて保持される一方(図11参照)、E線、つまり上面30bとプーリ収納体300の上面との間の距離は次第に小さくなり、装着動作が完了する時刻t7において距離H14となる(図12参照)。
【0129】
この間、時刻t1の後の時刻t2において、作業部検出手段107により接続部15を構成する被検出片109が検出されると共に、その検出信号をトリガーとして、時刻t3から時刻t4の間にカメラ106によるバーコード104の撮像動作が行われる。つまり、時刻t1以降、D線(アクチュエータブロック30の上面30bとバーコード104との間の距離)が、上面30bとカメラ106との間の距離H10と同一で一定に保持されることにより(図11及び図12参照)、装着完了時刻t7とは無関係にカメラ106によるバーコード104の撮像を行うことができる。これにより、例えば、接続部15とアクチュエータブロック30との装着動作を極めてゆっくりと行い、時刻t1〜t7が相当に長くなったとしても、バーコード104の撮像動作には影響がなく、迅速に撮像を行うことができる。なお、カメラ106の初期準備時間(時間t3−t2)を考慮して、作業部検出手段107による検出動作が、時刻t1と同時か又はそれより前に行われるように各部品を配置してもよい。
【0130】
また、時刻t4でバーコード104の認識が完了されると、その後の時刻t5から時刻t6の間に、認識された作業部16の種類に対応する原点角度へとアクチュエータブロック30の係合凹部41a〜41cを設定し直す。これにより、作業部16の種類によって係合凸部51a〜51cが異なる原点に設定されていても、それに対応するように操作部14側の係合凹部41a〜41cを設定変更し、装着動作を簡便に行うことができる。
【0131】
図12に示すように、マニピュレータ10では、一連の装着動作が完了した状態では、3本のアライメントピン212a〜212cの上端部が、嵌合孔202a〜202cを貫通してプーリ収納体300の上面から突出し、第1端部312及び第2端部314の下面に当接し、コイルスプリング306を圧縮してロッキングプレート304を上面30bから距離H20の位置に保持したままプーリ収納体300が相対的に押し下げられている。
【0132】
すなわち、ロッキングプレート304とプーリ収納体300との間のY方向の間隔は、図11に示す装着前の間隔H11から、図12に示す装着後の間隔H12へと拡大されるため、プーリ50a〜50cの上端の板形状部308a〜308cは、ロッキングプレート304のスリット316a〜316cから抜け、プーリ50a〜50cはモータ40a〜40cによって回転可能になる。
【0133】
そして、作業部16の装着後、コントローラ514では、作業部16の種類を確実に認識しており、しかも当該作業部16の種類に対応した原点角度にモータ40a〜40c及びプーリ50a〜50cが設定されていることから、原点を基準として角度の計算を行い先端動作部12を正しく制御することができる。すなわち、操作部14が装着された位置を原点(0°)として推定し、トリガーレバー32と及び複合入力部34のプラス方向及びマイナス方向の入力に対応して、先端動作部12をロール方向及びヨー方向の回転指令を与え、グリッパ59の開閉指令を与えることができる。
【0134】
以上のように、本実施形態に係るマニピュレータ10によれば、各作業部16の種類によって係合凸部51a〜51cの原点角度の設定を変えると共に、作業部16の接続部15と操作部14のアクチュエータブロック30とを装着する際には、カメラ106で撮像し認識した作業部16の種類に対応した原点角度へと係合凹部41a〜41cを設定する。
【0135】
従って、仮に、作業部16に設けられたバーコード104に貼付や表示の間違いがあった場合には、接続部15側の係合凸部51a〜51cとアクチュエータブロック30側の係合凹部41a〜41cとが構造的に係合しない。換言すれば、係合凸部51a〜51cと係合凹部41a〜41cとが、それぞれ所定の係合角度(原点)に設定された場合にのみ、これら係合凸部51a〜51cと係合凹部41a〜41cとを係合させ、作業部16と操作部14とを接続することができる。このため、操作者は、バーコード104の誤設置を認識することができるため、装着後、コントローラ514による作業部16の誤った駆動制御を防止することができ、作業部16の個体情報の誤認識を防止することが可能となる。
【0136】
しかも、マニピュレータ10では、アライメントピン212a〜212cの先端がロッキングプレート304に当接した時点でカメラ106によりバーコード104の撮像を正確に行うことができる。このため、装着動作の完了前に一層簡便に操作部14の係合凹部41a〜41cの角度を変更することができる。このため、操作者は、作業部16の係合凸部51a〜51cと操作部14の係合凹部41a〜41cのマッチング関係をほとんど意識することなく、装着作業を行うことができる。
【0137】
なお、上記実施形態では、バーコード104に代えたID保持部として、RFID(Radio Frequency Identification)を設け、カメラ106に代えたID認識部として、送受信器を設けることもできる。RFIDとは微小なICチップに製品の個別情報を格納し、無線を利用して情報の読み取りや更新などを行う無線認証システムのことであり、無線タグ、ICタグ又はミューチップとも呼ばれる。
【0138】
さらに、作業部16と操作部14との間の情報の伝達には、バーコード104(つまり画像情報)やRFID(つまり電波)以外にも、磁気、光(例えば赤外線通信)を用いると非接触で個体情報を伝達することができ、作業部16の清掃、洗浄が容易となる。
【0139】
また、係合凸部51a〜51cとこれに対応する係合凹部41a〜41cの形状は、上記した短尺部49を有する十字形状以外にも種々変更可能である。
【0140】
例えば、図18Aに示すように、作業部16の係合凸部51a〜51cは、例えば、1つだけ短尺部49を有する係合凸部51aとし、残りの2つには短尺部49を設けない十字形状の係合凸部100b、100cとした接続部15aとすることもでき、当然、2つに短尺部49を設けるような構成としてもよく、つまり3個の係合凸部の形状は必ずしも同一である必要はない。
【0141】
図18Bに示すように、それぞれ短尺部49を2つずつ設けた係合凸部102a〜102cを備える接続部15bとすることもできる。
【0142】
図18Cに示すように、十字形状ではなく、例えば、三角形状からなる係合凸部104a〜104cを有する接続部15cとすることもできる。
【0143】
上記実施形態は、例えば図19に示すような医療用ロボットシステム400に適用してもよい。
【0144】
医療用ロボットシステム400は、多関節型のロボットアーム402と、コンソール404とを有し、作業部406はロボットアーム402の先端に接続されている。ロボットアーム402の先端には前記のマニピュレータ10と同様な機構を有するマニピュレータ408が設けられている。ロボットアーム402は、作業部406を移動させる手段であればよく、据置型に限らず、例えば自律移動型でもよい。コンソール404は、テーブル型、制御盤型等の構成を採りうる。
【0145】
ロボットアーム402は、独立的な6以上の関節(回転軸やスライド軸等)を有すると、作業部406の位置及び向きを任意に設定できて好適である。先端のマニピュレータ408は、ロボットアーム402の先端部410と一体化している。マニピュレータ408は、前記のアクチュエータブロック30(図1参照)の代わりに、基端側が前記先端部410に連結されると共に、内部にモータ40a、40b及び40c(図19では図示せず)を収納したアクチュエータブロック412を有する。
【0146】
ロボットアーム402は、コンソール404の作用下に動作し、プログラムによる自動動作や、コンソール404に設けられたジョイスティック414に倣った操作、及びこれらの複合的な動作をする構成にしてもよい。コンソール404は、前記のコントローラ514(図1参照)の機能を含んでいる。作業部406には、前記の先端動作部12が設けられている。
【0147】
コンソール404には、操作指令部としての2つのジョイスティック414と、モニタ416が設けられている。図示を省略するが、2つのジョイスティック414により、2台のロボットアーム402を個別に操作が可能である。2つのジョイスティック414は、両手で操作しやすい位置に設けられている。モニタ416には、内視鏡による画像等の情報が表示される。
【0148】
ジョイスティック414は、上下動作、左右動作、捻り動作、及び傾動動作が可能であり、これらの動作に応じてロボットアーム402を動かすことができる。ジョイスティック414はマスターアームであってもよい。ロボットアーム402とコンソール404との間の通信手段は、有線、無線、ネットワーク又はこれらの組み合わせでよい。
【0149】
このような医療用ロボットシステム400においても、上記した係合凸部51a〜51c及び係合凹部41a〜41c等による係合構造を設けることにより、コンソール404側での作業部16の誤認識を有効に防止することができる。
【0150】
本発明に係るマニピュレータは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0151】
【図1】本実施の形態に係るマニピュレータの斜視図である。
【図2】本実施の形態に係るマニピュレータの構成の組み合わせに係る説明図である。
【図3】作業部と操作部とを分離したマニピュレータの側面図である。
【図4】操作部の斜視図である。
【図5】先端動作部の斜視図である。
【図6】作業部の接続部と操作部のアクチュエータブロックとを分離した状態を斜め下方から見た一部省略分解斜視図である。
【図7】接続部の一部省略分解斜視図である。
【図8】接続部とアクチュエータブロックの装着中の一部断面斜視図である。
【図9】接続部とアクチュエータブロックを装着した状態での一部断面斜視図である。
【図10】図10Aは、接続部の係合凸部の模式説明図であり、図10Bは、アクチュエータブロックの係合凹部の模式説明図である。
【図11】接続部とアクチュエータブロックの装着中の一部断面側面図である。
【図12】接続部とアクチュエータブロックを装着した状態での一部断面側面図である。
【図13】接続部をアクチュエータブロックから取り外す際に、2つの操作面を同時に押圧する状態のマニピュレータの正面図である。
【図14】図14Aは、先端動作部がグリッパの接続部の係合凸部の模式説明図であり、図14Bは、先端動作部がはさみの接続部の係合凸部の模式説明図であり、図14Cは、先端動作部が電気メスの接続部の係合凸部の模式説明図であり、図14Dは、先端動作部がフック型電気メスの接続部の係合凸部の模式説明図である。
【図15】図15Aは、交換対象に係る作業部の係合凸部の模式説明図であり、図15Bは、交換前の作業部に対応した状態のアクチュエータブロックの係合凹部の模式説明図であり、図15Cは、作業部の交換に対応して係合凹部の角度を変更した状態を示す模式説明図である。
【図16】図16Aは、交換対象に係る作業部の係合凸部の模式説明図であり、図16Bは、交換前の作業部に対応した状態のアクチュエータブロックの係合凹部の模式説明図であり、図16Cは、交換対象に係る作業部の個体情報を誤認識した場合に角度変更された係合凹部を示す模式説明図である。
【図17】作業部と操作部の装着動作における各構成要素の動作状態の一例を示すタイミングチャートである。
【図18】図18Aは、接続部の係合凸部の第1変形例を示す模式説明図であり、図18Bは、接続部の係合凸部の第2変形例を示す模式説明図であり、図18Cは、接続部の係合凸部の第3変形例を示す模式説明図である。
【図19】マニピュレータをロボットアームの先端に接続した医療用ロボットシステムの斜視図である。
【符号の説明】
【0152】
10、408…マニピュレータ 12…先端動作部
14、14a〜14d…操作部 15、15a〜15c…接続部
16、16a〜16d、406…作業部
30、412…アクチュエータブロック(アクチュエータ部)
40a〜40c…モータ(アクチュエータ)
41a〜41c…係合凹部(駆動側係合部) 47、49…短尺部
51a〜51d、100b、100c、102a〜102c、104a〜104c…係合凸部(従動側係合部)
50a〜50c、57a〜57c…プーリ 54a〜54c…ワイヤ
59…グリッパ 104…バーコード(ID保持部)
106…カメラ(ID認識部) 300…プーリ収納体(機構部)
304…ロッキングプレート 306…コイルスプリング
400…医療用ロボットシステム 514…コントローラ(制御部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータを備えるアクチュエータ部と、
前記アクチュエータ部に対して着脱自在で、シャフトの先端に前記アクチュエータにより動作される先端動作部を備える作業部と、
前記アクチュエータ部に設けられ、前記アクチュエータに連動して回転駆動される駆動側係合部と、
前記作業部に設けられ、前記駆動側係合部に係合して従動的に回転駆動される従動側係合部を備えることで、前記アクチュエータからの駆動力を受けて前記先端動作部を動作させる機構部と、
を有し、
前記駆動側係合部と前記従動側係合部とがそれぞれ所定の係合角度に設定されている場合にのみ、該駆動側係合部と該従動側係合部とは互いに係合可能であることを特徴とするマニピュレータ。
【請求項2】
請求項1記載のマニピュレータにおいて、
前記作業部は複数種類を前記アクチュエータ部に交換可能であると共に、各作業部の種類に応じて前記駆動側係合部の原点角度が異なるように構成され、
前記従動側係合部が、各作業部の前記駆動側係合部の原点角度にそれぞれ対応した角度に設定された場合にのみ、各作業部の前記駆動側係合部と前記従動側係合部とは係合可能であることを特徴とするマニピュレータ。
【請求項3】
請求項1又は2記載のマニピュレータにおいて、
前記駆動側係合部及び前記従動側係合部は、一方に凹部が形成され、他方に前記凹部に係合可能な凸部が形成されていることを特徴とするマニピュレータ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のマニピュレータにおいて、
前記駆動側係合部及び前記従動側係合部は、十字型であることを特徴とするマニピュレータ。
【請求項5】
アクチュエータを備えるアクチュエータ部と、
前記アクチュエータ部に対して着脱自在で、シャフトの先端に前記アクチュエータにより動作される先端動作部を備える作業部と、
前記アクチュエータ部に設けられ、前記アクチュエータに連動して回転駆動される駆動側係合部と、
前記作業部に設けられ、前記駆動側係合部に係合して従動的に回転駆動される従動側係合部を備えることで、前記アクチュエータからの駆動力を受けて前記先端動作部を動作させる機構部と、
前記作業部の動作を制御する制御部と、
前記作業部に設けられ、個体識別用の個体信号を保持するID保持部と、
前記アクチュエータ部に設けられ、前記ID保持部に対して非接触で前記個体信号を認識し前記制御部へ供給するID認識部と、
を有し、
前記作業部は複数種類を前記アクチュエータ部に交換可能であると共に、各作業部の種類に応じて前記駆動側係合部の原点角度が異なるように構成され、
前記アクチュエータ部に前記作業部が装着される際、前記制御部は、前記ID認識部で認識した前記作業部の種類に応じた前記従動側係合部に係合可能な状態に、前記駆動側係合部を回転させることを特徴とするマニピュレータ。
【請求項6】
請求項5記載のマニピュレータにおいて、
前記駆動側係合部及び前記従動側係合部は、一方に凹部が形成され、他方に凸部が形成され、
前記従動側係合部の前記凹部又は前記凸部の原点角度は、各作業部の種類毎に異なるように設定され、
前記制御部は、前記ID認識部で認識した前記作業部の種類に応じた前記従動側係合部に対応する角度に、前記駆動側係合部の凸部又は凹部の角度を変更することを特徴とするマニピュレータ。
【請求項1】
アクチュエータを備えるアクチュエータ部と、
前記アクチュエータ部に対して着脱自在で、シャフトの先端に前記アクチュエータにより動作される先端動作部を備える作業部と、
前記アクチュエータ部に設けられ、前記アクチュエータに連動して回転駆動される駆動側係合部と、
前記作業部に設けられ、前記駆動側係合部に係合して従動的に回転駆動される従動側係合部を備えることで、前記アクチュエータからの駆動力を受けて前記先端動作部を動作させる機構部と、
を有し、
前記駆動側係合部と前記従動側係合部とがそれぞれ所定の係合角度に設定されている場合にのみ、該駆動側係合部と該従動側係合部とは互いに係合可能であることを特徴とするマニピュレータ。
【請求項2】
請求項1記載のマニピュレータにおいて、
前記作業部は複数種類を前記アクチュエータ部に交換可能であると共に、各作業部の種類に応じて前記駆動側係合部の原点角度が異なるように構成され、
前記従動側係合部が、各作業部の前記駆動側係合部の原点角度にそれぞれ対応した角度に設定された場合にのみ、各作業部の前記駆動側係合部と前記従動側係合部とは係合可能であることを特徴とするマニピュレータ。
【請求項3】
請求項1又は2記載のマニピュレータにおいて、
前記駆動側係合部及び前記従動側係合部は、一方に凹部が形成され、他方に前記凹部に係合可能な凸部が形成されていることを特徴とするマニピュレータ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のマニピュレータにおいて、
前記駆動側係合部及び前記従動側係合部は、十字型であることを特徴とするマニピュレータ。
【請求項5】
アクチュエータを備えるアクチュエータ部と、
前記アクチュエータ部に対して着脱自在で、シャフトの先端に前記アクチュエータにより動作される先端動作部を備える作業部と、
前記アクチュエータ部に設けられ、前記アクチュエータに連動して回転駆動される駆動側係合部と、
前記作業部に設けられ、前記駆動側係合部に係合して従動的に回転駆動される従動側係合部を備えることで、前記アクチュエータからの駆動力を受けて前記先端動作部を動作させる機構部と、
前記作業部の動作を制御する制御部と、
前記作業部に設けられ、個体識別用の個体信号を保持するID保持部と、
前記アクチュエータ部に設けられ、前記ID保持部に対して非接触で前記個体信号を認識し前記制御部へ供給するID認識部と、
を有し、
前記作業部は複数種類を前記アクチュエータ部に交換可能であると共に、各作業部の種類に応じて前記駆動側係合部の原点角度が異なるように構成され、
前記アクチュエータ部に前記作業部が装着される際、前記制御部は、前記ID認識部で認識した前記作業部の種類に応じた前記従動側係合部に係合可能な状態に、前記駆動側係合部を回転させることを特徴とするマニピュレータ。
【請求項6】
請求項5記載のマニピュレータにおいて、
前記駆動側係合部及び前記従動側係合部は、一方に凹部が形成され、他方に凸部が形成され、
前記従動側係合部の前記凹部又は前記凸部の原点角度は、各作業部の種類毎に異なるように設定され、
前記制御部は、前記ID認識部で認識した前記作業部の種類に応じた前記従動側係合部に対応する角度に、前記駆動側係合部の凸部又は凹部の角度を変更することを特徴とするマニピュレータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
【図7】
【図8】
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【図11】
【図12】
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【図14】
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【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2009−226029(P2009−226029A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−75714(P2008−75714)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】
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