説明

マルチコアファイバ

【課題】許容範囲内での曲げに起因したコア間におけるクロストークの増加を効果的に抑制するための構造を備えたマルチコアファイバを提供する。
【解決手段】マルチコアファイバ100Aは、光軸AXに沿ってそれぞれ伸びた複数種類のコア(110A1、110B1〜110B3,110C1〜110C3)と、クラッド領域120を備え、各コアの実効屈折率は、異なる種類のコア同士の全ての組み合わせについて、ある種類のコアの実効屈折率と別の種類のコアの実効屈折率との比屈折率差(Δeff)がコア同士のコア間隔(D)及び曲げ半径(R)で規定される条件を満たすよう設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、所定軸に沿ってそれぞれ伸びた複数のコアを有するマルチコアファイバに関するものである。
【背景技術】
【0002】
光伝送における大容量化を実現するため、複数のコアをクラッド領域により一体的に取り囲むよう構成されたマルチコアファイバが知られている。
【0003】
例えば非特許文献1に記載されたマルチコアファイバでは、コアの中心間間隔が30μmの場合、隣接するコア間の電力移行率は、クラッドに対するコアの比屈折率差Δ(以下、コアΔという)の隣接コア間での差をごく僅かに(例えば0.005%)変えれば、十分低いクロストークを実現できる。これにより、クラッド径が125μmであり、コアΔが異なる3種類のコアを有するマルチコアファイバが実現可能であるとしている。ただし、ファイバの曲げについての考慮はない。非特許文献1に基づきマルチコアファイバを試作した結果では、クロストークの理論値と実測値が大きく乖離していることが報告されており、コア径のサイズが設計からずれた影響とされていた。しかし、曲げの影響については考慮されていなかった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】IEICEElectronics Express, Vol.6, No.2, pp98-103
【非特許文献2】藪哲郎「光導波路解析入門」、pp.58-63,森北出版、2007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明者らは、マルチコアファイバにおけるクロストークの実測値と理論値が大きく乖離していることに対し、曲げの影響が大きく関係しているのではと考え、検討を行った。その結果、曲げの影響が大きいことが判明した。つまり、曲げを考慮せずに、すなわち、真っすぐな状態でクロストークが問題ないように設計されたマルチコアファイバであっても、曲げた場合には、クロストークが問題となる場合があることを発見した。通常、光ファイバはボビンに巻かれた状態で光学特性を測定し、品質の保証を行うが、曲げの影響を考慮せずに設計されたマルチコアファイバでは、ボビンに巻かれたことにより起こる曲げによって伝送上や各コアの光学特性の測定上問題になるレベルのクロストークが生じることを発見した。そこで発明者らは、従来のマルチコアファイバについて、曲げた場合でもクロストークが問題にならないようにするべきであるという結論に達した。
【0006】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、許容範囲内での曲げがマルチコアファイバに加えられた状態において、各コア間におけるクロストークの問題を抑制するための構造を備えたマルチコアファイバを提供することを目的としている。なお、ここで言う「許容範囲内での曲げた状態」とは、ボビン等に巻かれた状態をいい、部分的に光ファイバをどこまで曲げてもよいということではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するため、本発明に係るマルチコアファイバは、所定軸に沿ってそれぞれ伸びた、設計上実効屈折率が異なる複数種類のコアと、これら複数種類のコアを一体的に取り囲んだクラッド領域とを備える。
【0008】
一般に、所定の曲率で曲げられた導波路では、基準コアを中心に、曲げの外側に位置するコアでは光路長が長くなる一方、曲げの内側に位置するコアでは光路長が短くなる(物理的に距離が伸びる又は縮む)。そのため、直線導波路に換算した等価屈折率を考える必要がある。具体的には、曲げに起因した等価屈折率の変動を考慮した上で、コア同士についてその実効屈折率間の比屈折率差を設定する必要がある。なお、等価屈折率とは、上記非特許文献2などに詳述されているが、簡単に説明すると、光ファイバを直線導波路として扱うために、曲げによる実際の屈折率の変化はないと考えた上で、曲げにより生じる光路長差を屈折率の差として表した屈折率である。
【0009】
本発明に係るマルチコアファイバでは、同種コア間の最短コア間隔Dmin(コア同士の中心間隔)がクロストークの問題が生じない最短距離以上になるように各コアが配置される。また、当該マルチコアファイバは、コア間隔がDmin未満である異なる種類のコア同士の組み合わせを有する。特に、当該マルチコアファイバは、コア間隔がDmin未満の全ての組み合わせにおいて、所定軸に直交する当該マルチコアファイバの断面においてコア間隔をD、曲げ半径をRとするとき、ある種類のコアの実効屈折率と別の種類のコアの実効屈折率との比屈折率差Δeffが以下の式(1)を満たしている。
【数1】

【0010】
また、本発明に係るマルチコアファイバにおいて、異種コア間での実効屈折率の等価屈折率の差がクロストークの問題を生じる範囲内の場合、コア間隔がDmin未満のある種類のコアの実効屈折率と別の種類のコアの実効屈折率との比屈折率差Δeffは以下の式(2)を満たすのが好ましい。
【数2】

【0011】
本発明に係るマルチコアファイバは、半径Rの胴部を有するボビンに巻かれているのが好ましい。この場合、当該マルチコアファイバが出荷される際にボビンに巻かれていれば、それを受け入れる顧客がボビンに巻かれた状態で当該マルチコアファイバのクロストークや各コアの光学特性が問題ないかを検証できる。
【0012】
本発明に係るマルチコアファイバにおいて、ボビンの胴部半径Rは、200mm〜30mmであるのが好ましい。ボビンの胴部半径Rが200mm以下では等価屈折率Δeqによるクロストークが顕著になるため、本願発明に係るマルチコアファイバが有効である一方、該胴部半径Rが30mm以下では当該マルチコアファイバ自体の設計、製造が困難になる。ボビンの胴部半径Rは、150mm〜30mmであってもよい。ボビンの胴部半径Rは、100mm〜30mmであってもよい。より具体的には、ボビンの胴部半径Rは、76mm、85mm、115mm、140mmのいずれかであるのが好ましい。
【0013】
より具体的には、本願発明に係るマルチコアファイバは、少なくとも一部が200mm以下の半径Rで曲げられ、コア間隔がDmin未満の異なる種類のコア同士の全ての組み合わせにおいて、前記所定軸に直交する当該マルチコアファイバの断面においてコア間隔をDとするとき、ある種類のコアの実効屈折率と別の種類のコアの実効屈折率との比屈折率差Δeffが以下の式(3)を満たすのが好ましい。
【数3】

【0014】
なお、当該マルチコアファイバにおいて、曲げ半径Rが150mmのとき、コア間隔がDmin未満の異なる種類のコア同士の全ての組み合わせについて、ある種類のコアの実効屈折率と別の種類のコアの実効屈折率との比屈折率差Δeffは、以下の式(4)を満たすのが好ましい。
【数4】

【0015】
また、当該マルチコアファイバにおいて、曲げ半径Rが100mmのとき、コア間隔がDmin未満の異なる種類のコア同士の全ての組み合わせについて、ある種類のコアの実効屈折率と別の種類のコアの実効屈折率との比屈折率差Δeffは、以下の式(5)を満たすのが好ましい。
【数5】

【0016】
さらに、本願発明に係るマルチコアファイバは、少なくとも一部が200mm以下の半径Rで曲げられ、異種コア間での実効屈折率の等価実効屈折率の差がクロストークの問題を生じる範囲内の場合に、コア間隔がDmin未満の異なる種類のコア同士の全ての組み合わせにおいて、所定軸に直交する当該マルチコアファイバの断面においてコア間隔をDとするとき、ある種類のコアの実効屈折率と別の種類のコアの実効屈折率との比屈折率差Δeffが以下の式(6)を満たしてもよい。
【数6】

【0017】
なお、当該マルチコアファイバにおいて、曲げ半径Rが150mmのとき、コア間隔がDmin未満の異なる種類のコア同士の全ての組み合わせについて、ある種類のコアの実効屈折率と別の種類のコアの実効屈折率との比屈折率差Δeffは、以下の式(7)を満たすのが好ましい。
【数7】

【0018】
また、当該マルチコアファイバにおいて、曲げ半径Rが100mmのとき、コア間隔がDmin未満の異なる種類のコア同士の全ての組み合わせについて、ある種類のコアの実効屈折率と別の種類のコアの実効屈折率との比屈折率差Δeffは、以下の式(8)を満たすのが好ましい。
【数8】

【0019】
本発明に係るマルチコアファイバにおいて、コアは、クラッド領域内で捻回を受けた状態であるのが好ましい。「捻回」を受けた状態としては、光ファイバの線引き時に捻回が付与された状態や線引き後別途捻回が付与された状態であって、複数のコアがファイバ中心軸に対して周方向に捻回している状態を言う。特定方向への捻回でも、方向が反転する捻回でもよい。これにより、当該マルチコアファイバが曲げられた際に特定のコアの屈折率が集中的に上昇することがなく、分散される。その結果、クロストークの影響が緩和され、必要以上にコア間での屈折率差を設けなくともよい。
【0020】
本発明に係るマルチコアファイバにおいて、異なる種類のコア同士について、光学特性に大きな影響を与えることなく実効屈折率間の比屈折率差を大きくするためには、種々の構造が考えられる。
【0021】
例えば、ある種類のコアの周辺部分の屈折率と、別の種類のコアの周辺部分の屈折率とに差を与えることにより、異なる種類のコア間において上述のような実効屈折率間の比屈折率差Δeffが付与され得る(第1の構成)。また、複数種類のコアを、ステップインデックスコア、W型コア、二重型コアのうちの2種類乃至3種類で構成することにより、異なる種類のコア間において上述のような実効屈折率間の比屈折率差Δeffが付与され得る(第2の構成)。なお、第1及び第2の構成は、同時に採用されてもよい。
【0022】
さらに、第1及び/又は第2の構成を有する当該マルチコアファイバは、より小さなクロストークを実現するために、クラッド領域により一体的に取り囲まれたコアそれぞれの周辺にトレンチが付加されてもよい。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、マルチコアファイバに含まれ、コア間隔がDmin未満の異なる種類のコア同士の全ての組み合わせについて、ある種類のコアの実効屈折率と別の種類のコアの実効屈折率との比屈折率差Δeffが十分な差として与えられるため、許容範囲内での曲げに対して各コア間におけるクロストークの増加を効果的に抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係るマルチコアファイバの一実施形態の構造を示す斜視図である。
【図2】図1に示されたマルチコアファイバのI−I線に沿った断面構造を示す図である。
【図3】本発明に係るマルチコアファイバの他の実施形態の断面構造を示す図である。
【図4】曲げに関するパラメータx、Rが変化したときの、実際の屈折率と等価屈折率との比屈折率差である等価比屈折率差Δeqを示す表である。
【図5】図4(b)に示された表におけるパラメータxと比屈折率差Δeqとの関係、及びパラメータ(1/R)と等価比屈折率差Δeqとの関係を示す図である。
【図6】曲げが加えられたときのマルチコアファイバにおける各コアの実効屈折率と実効屈折率の等価屈折率を示す図である。
【図7】曲げが加えられたときのマルチコアファイバにおける2つのコア(実効屈折率が異なるコア1、コア2)の屈折率プロファイル及び等価屈折率プロファイルである。
【図8】異なる種類のコア間において実効屈折率に差を持たせるための構造を説明するための図である(その1)。
【図9】異なる種類のコア間において実効屈折率に差を持たせるための構造を説明するための図である(その2)。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係るマルチコアファイバの各実施形態を、図1〜図9を参照しながら詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0026】
まず、図1は、本発明に係るマルチコアファイバの一実施形態の構造を示す斜視図である。図2は、図1に示されたマルチコアファイバのI−I線に沿った断面構造を示す図である。
【0027】
図1に示すように、本実施形態に係るマルチコアファイバ100Aは、所定軸AXに沿ってそれぞれ伸びたコアであって3種類に分類される7本のコア110A1、110B1〜110B3、110C1〜110C3と、これら7本のコアを一体的に取り囲んだクラッド領域120を備える。本実施形態に係るマルチコアファイバ100Aにおいて、コア配置は、コア110A1を中心に配置し、このコア110A1を中心に、別の種類のコア110B1〜110B3、と更に別の種類のコア110C1〜110C3が、隣接するコア同士のコア間隔がDになるように交互に配置されている。
【0028】
なお、本発明に係るマルチコアファイバのコア配置は、上述の配置には限定されない。例えば、図3(a)に示された他の実施形態に係るマルチコアファイバ100Bのように、合計19本のコアであってそれぞれが3つの種類に分類されたコア110An(n=1〜7)、コア110Bn(n=1〜6)、コア110Cn(n=1〜6)が配置されてもよい。また、図3(b)に示された他の実施形態に係るマルチコアファイバ100Cのように、合計6本のコアであってそれぞれが2つの種類に分類されたコア110An(n=1〜3)、コア110Cn(n=1〜3)が配置されてもよい。さらに、図3(c)に示された他の実施形態に係るマルチコアファイバ100Dのように、合計12本のコアであってそれぞれが2つの種類に分類されたコア110An(n=1〜6)、コア110Cn(n=1〜6)が配置されてもよい。
【0029】
次に、本発明に係るマルチコアファイバにおける各コアの実効屈折率の設定方法について説明する。
【0030】
2つのコア間の電力移行率Fは、以下の式(9)で表される。
【数9】


ただし、κはコア間の結合係数で、βnはコアnの伝搬定数である。
【0031】
また、結合長L(1つのコアに入射したときに他方のコアのパワーが最大になる距離)は、以下の式(10)で表される。
【数10】

【0032】
ここで、上記非特許文献1によれば、Fを小さくする、又は、Lを大きくすることでクロストークが小さくできるが、クラッド径を125μmとし、コアΔが0.4%である一般的なコアが採用されたマルチコアファイバでは、Fを大きいままにLだけを十分長くし、多数のコアをクラッド内に納めることは難しい。
【0033】
そこで、Fを小さくする必要がある。Fを小さくためにはψを大きくすること、つまりコア間の伝搬定数差、言い換えればコア間の実効屈折率の差を大きくすることが必要となる。上記非特許文献1では、これについてシミュレーションを交えて考察している。それによれば、隣接するコア同士のコア間隔Dが30μm以上であり、かつ、この隣接するコア間においてコアΔが0.005%違っていれば十分クロストーク低減できるとしている。そのため、上記非特許文献1は、コアΔが、それぞれ0.38%、0.39%、0.40%の3種類のいずれかに属し、かつ、隣接するコア同士のコア間隔Dが40μmになるよう配置された7本のマルチコアファイバを提案している。
【0034】
しかしながら、上記非特許文献1の考察は、マルチコアファイバの曲げを考慮していない。そのため、マルチコアファイバの曲げ状態によって実際にはクロストークが非常に大きくなってしまう場合もかなり含まれている。
【0035】
マルチコアファイバを曲げると、当該マルチコアファイバ内の位置によって各コアの曲げ径が極僅かに異なる。そのため、各コアの光路差も異なってくる。このように曲げられたマルチコアファイバを直線導波路として扱う場合、光路長差に基づく屈折率として、等価屈折率を用いる必要がある。等価屈折率は、上記非特許文献2に記載されたように、実際の屈折率に、(1+x/R)を掛けることで求められる。ただし、Rは基準とするコア(基準コア)の曲げ半径、xは基準コアからの曲げ径方向の位置である(図4(a)参照)。どのコアを基準としてもよい。曲がったマルチコアファイバの実際の屈折率をn(x)、直線導波路換算の等価屈折率をn(x)とするとき、実際の屈折率と等価屈折率との比屈折率差である等価比屈折率差Δeqは、パラメータxとパラメータRを用いて、以下の式(11)で表される。
【数11】

【0036】
図4(b)は、曲げに関するパラメータx、パラメータRを変更したときに上記式(5)から導かれる等価比屈折率差Δeqを示す表である。なお、以下の説明では、特に言及がない場合、図1及び図2に示す中心コア110A1を基準コアとして考える。また、図5(a)は、図4(b)の表におけるパラメータxと等価比屈折率差Δeqとの関係を示し、図5(b)は、パラメータ(1/R)と等価比屈折率差Δeqとの関係を示す。
【0037】
なお、図5(a)において、グラフG511はR=140mmにおけるパラメータxとΔeqとの関係、グラフG512はR=60mmにおけるパラメータxとΔeqとの関係、グラフG513はR=30mmにおけるパラメータxとΔeqとの関係、グラフG514はR=10mmにおけるパラメータxとΔeqとの関係を示す。また、図5(b)において、グラフG521はパラメータx=40μmにおけるパラメータ(1/R)とΔeqとの関係、グラフG522はパラメータx=30μmにおけるパラメータ(1/R)とΔeqとの関係、グラフG523はパラメータx=20μmにおけるパラメータ(1/R)とΔeqとの関係、グラフG524はパラメータx=10μmにおけるパラメータ(1/R)とΔeqとの関係、グラフG525はパラメータx=0μmにおけるパラメータ(1/R)とΔeqとの関係、グラフG526はパラメータx=−10μmにおけるパラメータ(1/R)とΔeqとの関係、グラフG527はパラメータx=−20μmにおけるパラメータ(1/R)とΔeqとの関係、グラフG528はパラメータx=−30μmにおけるパラメータ(1/R)とΔeqとの関係、グラフG529はパラメータx=−40μmにおけるパラメータ(1/R)とΔeqとの関係を示す。
【0038】
ここで、パラメータx=40μmだと、パラメータR=140mmでも、Δeqは、±0.02%を超える。なお、上述の非特許文献1で提案されている比屈折率差Δが0.38%、0.39%、0.40%の3種類のコアで構成され、隣接するコア同士のコア間隔Dが40μmになるよう配置された7本のコアを含むマルチコアファイバでは、異なる種類のコア同士におけるコアΔの差は0.01%であるから、実効屈折率同士の比屈折率差Δeffは、0.01%以下である。このことから、上記非特許文献1のマルチコアファイバでは、パラメータR=140mmの曲げを加えただけで、Δeqが、Δeffと逆転してしまうことが分かる。すなわち、上記非特許文献1のマルチコアファイバでは、僅かな曲げでも、異なる種類のコア同士における実効屈折率の等価屈折率間の比屈折率差の絶対値が非常に小さくなることが生じるため、各コア間のクロストークが大きくなり得ることが分かる。
【0039】
マルチコアファイバをボビンに巻きつける場合を考えても、当該マルチコアファイバは製造時のバラツキや巻き取り時のバラツキによってどうしても回転してしまうので、長手にコア配置が回転してしまう。このとき基準コアから各コアへのコア間隔Dは長手方向に一定でも当該マルチコアファイバの長手方向に沿った位置によって上記パラメータxがコア間隔Dの範囲で変動し、異なる種類のコア同士における実効屈折率間の等価比屈折率の差が小さくなる箇所が当該マルチコアファイバの長手方向に沿って分布してしまう。このような状態を図6に示す。ただし、図6(b)は、長手方向に一様に曲げられた状態で、かつ、光ファイバ内でコアの位置が光ファイバ断面内で円周方向に等間隔に配列された状態で、円周方向のコア位置が長手方向に一定周期で回転している設定での等価屈折率の変動を示している。
【0040】
図6は、曲げが加えられたときのマルチコアファイバにおける各コアの実効屈折率と実効屈折率の等価屈折率を示す図であり、ボビンに巻かれた状態と同じようにマルチコアファイバが曲げられている場合の等価屈折率換算した実効屈折率の一例である。特に、図6では、図1及び図2に示すマルチコアファイバ100Aにおける各コアの実効屈折率と実効屈折率の等価屈折率を示す。図6(a)は、マルチコアファイバの長手位置と各コアの実効屈折率の関係を示し、グラフG611は、当該マルチコアファイバ100Aの光軸AX上に位置する中心コア(基準コア)110A1の実効屈折率、グラフG612は、基準コア110A1の周辺に位置する別の種類のコア110B1〜110B3の実効屈折率、グラフG613は、基準コア110A1の周辺に位置する更に別の種類のコア110C1〜110C3の実効屈折率を、それぞれ示す。また、図6(b)は、マルチコアファイバの長手位置と各コアにおける実効屈折率の等価屈折率を示し、グラフG621は、基準コア110A1の実効屈折率の等価屈折率、グラフG622は、基準コア110A1の周辺に位置する別の種類のコア110B1の実効屈折率の等価屈折率、グラフG623は、基準コア110A1の周辺に位置する別の種類のコア110B2の実効屈折率の等価屈折率、グラフG624は、基準コア110A1の周辺に位置する別の種類のコア110B3の実効屈折率の等価屈折率、グラフG625は、基準コア110A1の周辺に位置する更に別の種類のコア110C1の実効屈折率の等価屈折率、グラフG626は、基準コア110A1の周辺に位置する更に別の種類のコア110C2の実効屈折率の等価屈折率、グラフG627は、基準コア110A1の周辺に位置する更に別の種類のコア110C3の実効屈折率の等価屈折率を、それぞれ示す。なお、図6(b)中の領域Aは、中心コア110A1に対する異種コアとのクロストークが問題となる事例を示している。各コアの実効屈折率の等価屈折率が、領域Aにおいて交差している。具体的には、グラフG621に対してグラフG622、G623、G624、また、グラフG621に対してグラフG625、G626、G627が、それぞれ交差している。グラフG612、G613の実効屈折率を、グラフG621に対して更に離れた屈折率と設定することで、交差する問題(クロストークの問題)を回避することが必要であることが理解される。
【0041】
また、複数種類のコアで構成されるマルチコアファイバでは、同じ種類のコアが複数本存在する場合がある。このようなマルチコアファイバでは、同じ種類のコア同士は、クロストークが低くなるように十分なコア間隔Dが確保された状態で配置されている。したがって、同じ種類のコア同士の最短コア間隔をDminとすると、異なる種類のコア同士のコア間隔DがDmin以上のとき、これらコア同士における実効屈折率間の比屈折率差は考慮する必要がない(実効屈折率の等しい同じ種類コアでもクロストーク十分低いため)。ただし、コア間隔DがDmin未満となる異なる種類のコア同士の全組み合わせについては、少なくとも、以下の式(12)の条件を満たす必要がある。これは、コア間隔DがDminより短い異なる種類のコア同士の組み合わせにおいて、実効屈折率の等価屈折率が等しくならないために必要である。これにより、曲げ半径R以上の曲げが加えられてもコア間のクロストークを低く抑えることができる。
【数12】

【0042】
上述の考察に基づいて、基準コアからの曲げ径方向の位置xを、中心コアを基準コアとして中心コアから各コアの曲げ径方向の位置と考えていたものを、異なる種類のコア間に置き換えて考えると、当該マルチコアファイバの断面において異なる種類のコア同士のコア間隔をD、曲げ半径をRとするとき、コア間隔がDmin未満の異なる種類のコア同士の全ての対について、一の種類のコアにおける実際の実効屈折率(等価屈折率換算していない実際の実効屈折率)と別の種類のコアにおける実際の実効屈折率との比屈折率差Δeffが、少なくとも以下の式(13)の条件を満たす必要がある。
【数13】


ただし、上記式(13)中のαは、曲げを考慮せずに設計された当該マルチコアファイバにより十分低いクロストークが実現できる場合の、異なる種類のコア同士における実効屈折率間の比屈折率差である。また、上記式(13)は、Δeff>0となるように低い実効屈折率に対する高い実効屈折率の比屈折率差を取っており、Δeq>0となるように基準コアをとっている。なお、図7は、曲げが加えられたときのマルチコアファイバにおける2つのコア(実効屈折率が異なるコア1、コア2)の屈折率プロファイル及び等価屈折率プロファイルである。曲げを考慮しない場合は図7(a)の場合で考えればよく、Δeff≧αを満たせば十分であると考えてしまう。しかしながら、曲げを考慮すると図7(b)の等価屈折率を考慮する必要がある。この場合、Δeff−Δeq≧α、つまり、Δeff≧Δeq+αを満たす必要があることが分かる。
【0043】
なお、上記非特許文献1によれば、隣接するコア同士のコア間隔D=30μmであればコアΔの差は0.005%で十分であることから、上記パラメータαも、0.005%で十分であり、比屈折率差Δeffは、百分率表示で、以下の式(14)を満たせばよい。これにより、曲げ半径R以上の曲げが加えられてもコア間のクロストークを低く抑えることができる。
【数14】

【0044】
本実施形態に係るマルチコアファイバは、通常、半径Rの胴部を有するボビンに巻かれることを想定している。この場合、当該マルチコアファイバが出荷される際にボビンに巻かれていれば、それを受け入れる顧客がボビンに巻かれた状態で当該マルチコアファイバのクロストークが問題ないかを検証できる。
【0045】
ボビンの胴部半径Rは、200mm〜30mmである。ボビンの胴部半径Rが200mm以下では等価屈折率Δeqによるクロストークが顕著になるため、本願発明に係るマルチコアファイバが有効である一方、該胴部半径Rが30mm以下では当該マルチコアファイバ自体の設計、製造が困難になる。ボビンの胴部半径Rは、150mm〜30mmであってもよい。ボビンの胴部半径Rは、100mm〜30mmであってもよい。より具体的には、ボビンの胴部半径Rは、76mm、85mm、115mm、140mmのいずれかであるのが好ましい。
【0046】
より具体的には、本実施形態に係るマルチコアファイバは、少なくとも一部が200mm以下の半径Rで曲げられ、コア間隔がDmin未満の異なる種類のコア同士の全ての組み合わせにおいて、前記所定軸に直交する当該マルチコアファイバの断面においてコア間隔をDとするとき、ある種類のコアの実効屈折率と別の種類のコアの実効屈折率との比屈折率差Δeffが以下の式(15)を満たすのが好ましい。以下、各数式におけるパラメータDは、曲げ半径Rと同様に、mmの単位で表すものとする。
【数15】

【0047】
なお、実施形態に係るマルチコアファイバにおいて、曲げ半径Rが150mmのとき、コア間隔がDmin未満の異なる種類のコア同士の全ての組み合わせについて、ある種類のコアの実効屈折率と別の種類のコアの実効屈折率との比屈折率差Δeffは、以下の式(16)を満たしてもよい。
【数16】

【0048】
また、本実施形態に係るマルチコアファイバにおいて、曲げ半径Rが100mmのとき、コア間隔がDmin未満の異なる種類のコア同士の全ての組み合わせについて、ある種類のコアの実効屈折率と別の種類のコアの実効屈折率との比屈折率差Δeffは、以下の式(17)を満たしてもよい。
【数17】

【0049】
さらに、本実施形態に係るマルチコアファイバは、少なくとも一部が200mm以下の半径Rで曲げられ、異種コア間での実効屈折率の等価屈折率の差がクロストークの問題を生じる範囲内の場合に、コア間隔がDmin未満の異なる種類のコア同士の全ての組み合わせにおいて、所定軸に直交する当該マルチコアファイバの断面においてコア間隔をDとするとき、ある種類のコアの実効屈折率と別の種類のコアの実効屈折率との比屈折率差Δeffが以下の式(18)を満たしてもよい。
【数18】

【0050】
本実施形態に係るマルチコアファイバにおいて、曲げ半径Rが150mmのとき、コア間隔がDmin未満の異なる種類のコア同士の全ての組み合わせについて、ある種類のコアの実効屈折率と別の種類のコアの実効屈折率との比屈折率差Δeffは、以下の式(19)を満たすのが好ましい。
【数19】

【0051】
本実施形態に係るマルチコアファイバにおいて、曲げ半径Rが100mmのとき、コア間隔がDmin未満の異なる種類のコア同士の全ての組み合わせについて、ある種類のコアの実効屈折率と別の種類のコアの実効屈折率との比屈折率差Δeffは、以下の式(20)を満たしてもよい。
【数20】

【0052】
なお、上記式(14)を満たすためには、異なる種類のコア同士における実効屈折率間の比屈折率差がかなり大きくする必要がなる。例えば、パラメータR=30mmを許容する場合、コア間隔D=30μmであるコア同士における実効屈折率間の比屈折率差Δeffが0.105%以上を満たさなければならない。また、コア間隔D=40μmでは、Δeff≧0.138%を満たさなければならない。これをコアΔやコア径の差だけで実現しようとすると、各コアのモードフィールド径(MFD)など、様々な光学特性に大きな影響を及ぼしてしまう。
【0053】
そこで、本実施形態に係るマルチコアファイバでは、以下のような構造を採用することにより、異なる種類のコア同士において実効屈折率間の大きな比屈折率差を実現するのが望ましい。具体的には、本発明に係るマルチコアファイバの屈折率プロファイルとして、図8(b)、図8(c)に示すような屈折率プロファイルを採用することにより実現可能である。なお、図8(b)及び8(c)には、図8(a)に示す断面構造を有するマルチコアファイバ100Bの線Lに沿った屈折率プロファイルである。この図8(a)の断面構造は、実質的に図3(a)に示す他の実施形態に係るマルチコアファイバ100Bの断面構造に一致している。なお、図面上、3種類のコアが、半径方向に一直線上にのった形態の図になっているが、半径方向の距離及び位置が異なればよく、一直線上にのっていなくともよい。また、半径方向の距離が同じ円周上に、図示したような異なる複数種類のコアが存在しても良い。
【0054】
すなわち、図8(b)に示す屈折率プロファイル150Aは、図8(a)中の線Lに沿った各部の屈折率を示し、領域151Aは、コア110An(n=1〜7)の屈折率、領域151Cは、コア110Cn(n=1〜6)の屈折率、領域151Bは、コア110Bn(n=1〜6)の屈折率をそれぞれ示す。このような屈折率プロファイル150Aは、コア径及びコアΔの調整は、光学特性に大きな影響を及ぼさない範囲にとどめ、大きなΔeffは、異なる種類のコア間に位置するクラッド領域120の屈折率に段差を設けることで実現される。
【0055】
また、図8(c)に示す屈折率プロファイル160Aは、図8(a)中の線Lに沿った各部の屈折率を示し、領域161Aは、コア110An(n=1〜7)の屈折率、領域161Cは、コア110Cn(n=1〜6)の屈折率、領域161Bは、コア110Bn(n=1〜6)の屈折率をそれぞれ示す。このような屈折率プロファイル160Aは、コア110An(n=1〜7)を二重コアの内側コアとし、コア110Cn(n=1〜6)をステップインデックスコアとし、コア110Bn(n=1〜6)をW型コアとすることにより実現される。少なくとも、これら3種類のコア構造のうち2種以上のコア構造が採用されればよい。このような屈折率プロファイル160Aによっても、大きなΔeffが実現される。なお、コア110An、コア110Bn、コア110Cnそれぞれは、上述のコア構造に限定されるものではなく、二重コア、W型コア、ステップインデックスコアの何れであってもよい。
【0056】
ただし、図8(b)に示す屈折率プロファイル150Aは、クラッド屈折率の低いコアから、クラッド屈折率の高いコアに向けて光が漏れやすくなるため、曲げロスが大きくなる可能性があるの。そのため、図9(a)及び図9(b)に示すように、一部のコアの周辺あるいは全てのコアの周辺にトレンチが付加されてもよい。
【0057】
なお、図9(a)は、図8(a)と同様に、図3(a)のマルチコアファイバ100Bに一致したマルチコアファイバの一部断面構造を示すが、各コアの周辺にトレンチ200が設けられた点で、図8(a)に示す断面構造とは異なる。
【0058】
同様に、図9(b)に示す屈折率プロファイル150Bも、各コアの周辺にトレンチ200が設けられた点で、屈折率プロファイル150A(図8(b)参照)とは異なる。図9(c)に示す屈折率プロファイル160Bも、各コアの周辺にトレンチ200が設けられた点で、図8(c)に示す屈折率プロファイル160Aとはことなる。なお、屈折率プロファイル160Bにおいて、コア110An(n=1〜7)はW型コアであるため、このコア110An(n=1〜7)の周辺には、トレンチは形成されていない。
【符号の説明】
【0059】
100A〜100D…マルチコアファイバ、110A1、110An(n=12、…)…コア、110B1〜110B3、110Bn(n=1、2、…)…コア、110C1〜110C3、110Cn(n=1、2、…)…コア、120…クラッド領域、200…トレンチ。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定軸に沿ってそれぞれ伸びた、設計上実効屈折率が異なる複数種類のコアと、前記複数種類のコアを一体的に取り囲んだクラッド領域とを備え、同種コア間の最短コア間隔Dmin(コア同士の中心間隔)がクロストークの問題が生じない最短距離以上になるように各コアが配置されたマルチコアファイバであって、
前記コア間隔がDmin未満である異なる種類のコア同士の組み合わせを有し、
コア間隔がDmin未満の異なる種類のコア同士の全ての組み合わせにおいて、前記所定軸に直交する当該マルチコアファイバの断面においてコア間隔をD、曲げ半径をRとするとき、ある種類のコアの実効屈折率と別の種類のコアの実効屈折率との比屈折率差Δeff
【数1】


なる条件を満たすマルチコアファイバ。
【請求項2】
異種コア間での実効屈折率の等価屈折率の差がクロストークの問題を生じる範囲内の場合、ある種類のコアの実効屈折率と別の種類のコアの実効屈折率との比屈折率差Δeff
【数2】


なる条件を満たすことを特徴とする請求項1記載のマルチコアファイバ。
【請求項3】
前記マルチコアファイバは、半径Rの胴部を有するボビンに巻かれていることを特徴とする請求項1又は2記載のマルチコアファイバ。
【請求項4】
前記ボビンの胴部半径Rは、200mm〜30mmであることを特徴とする請求項3記載のマルチコアファイバ。
【請求項5】
前記ボビンの胴部半径Rは、150mm〜30mmであることを特徴とする請求項3記載のマルチコアファイバ。
【請求項6】
前記ボビンの胴部半径Rは、100mm〜30mmであることを特徴とする請求項3記載のマルチコアファイバ。
【請求項7】
前記ボビンの胴部半径Rは、76mm、85mm、115mm、140mmのいずれかであることを特徴とする請求項3記載のマルチコアファイバ。
【請求項8】
所定軸に沿ってそれぞれ伸びた、設計上実効屈折率が異なる複数種類のコアと、前記複数種類のコアを一体的に取り囲んだクラッド領域とを備え、同種コア間の最短コア間隔Dmin(コア同士の中心間隔)がクロストークの問題が生じない最短距離以上になるように各コアが配置されたマルチコアファイバであって、
前記コア間隔がDmin未満である異なる種類のコア同士の組み合わせを有し、
少なくとも一部が200mm以下の半径Rで曲げられ、コア間隔がDmin未満の異なる種類のコア同士の全ての組み合わせにおいて、前記所定軸に直交する当該マルチコアファイバの断面においてコア間隔をDとするとき、ある種類のコアの実効屈折率と別の種類のコアの実効屈折率との比屈折率差Δeff
【数3】


なる条件を満たすマルチコアファイバ。
【請求項9】
曲げ半径Rが150mmのとき、コア間隔がDmin未満の異なる種類のコア同士の全ての組み合わせについて、ある種類のコアの実効屈折率と別の種類のコアの実効屈折率との比屈折率差Δeffが、
【数4】


なる条件を満たすことを特徴とする請求項8記載のマルチコアファイバ。
【請求項10】
曲げ半径Rが100mmのとき、コア間隔がDmin未満の異なる種類のコア同士の全ての組み合わせについて、ある種類のコアの実効屈折率と別の種類のコアの実効屈折率との比屈折率差Δeffが、
【数5】


なる条件を満たすことを特徴とする請求項8記載のマルチコアファイバ。
【請求項11】
所定軸に沿ってそれぞれ伸びた、設計上実効屈折率が異なる複数種類のコアと、前記複数種類のコアを一体的に取り囲んだクラッド領域とを備え、同種コア間の最短コア間隔Dmin(コア同士の中心間隔)がクロストークの問題が生じない最短距離以上になるように各コアが配置されたマルチコアファイバであって、
前記コア間隔がDmin未満である異なる種類のコア同士の組み合わせを有し、
少なくとも一部が200mm以下の半径Rで曲げられ、異種コア間での実効屈折率の等価屈折率の差がクロストークの問題を生じる範囲内の場合に、前記所定軸に直交する当該マルチコアファイバの断面においてコア間隔をDとするとき、コア間隔がDmin未満のある種類のコアの実効屈折率と別の種類のコアの実効屈折率との比屈折率差Δeff
【数6】


なる条件を満たすマルチコアファイバ。
【請求項12】
曲げ半径Rが150mmのとき、コア間隔がDmin未満の異なる種類のコア同士の全ての組み合わせについて、ある種類のコアの実効屈折率と別の種類のコアの実効屈折率との比屈折率差Δeffが、
【数7】


なる条件を満たすことを特徴とする請求項11記載のマルチコアファイバ。
【請求項13】
曲げ半径Rが100mmのとき、コア間隔がDmin未満の異なる種類のコア同士の全ての組み合わせについて、ある種類のコアの実効屈折率と別の種類のコアの実効屈折率との比屈折率差Δeffが、
【数8】


なる条件を満たすことを特徴とする請求項11記載のマルチコアファイバ。
【請求項14】
前記コアが前記クラッド領域内で捻回を受けた状態であることを特徴とする請求項1又は2記載のマルチコアファイバ。
【請求項15】
前記ある種類のコアの周辺部分の屈折率と、前記別の種類のコアの周辺部分の屈折率とに差を与えることにより、異なる種類のコア同士について前記実効屈折率間の比屈折率差Δeffが付与されることを特徴とする請求項1又は2記載のマルチコアファイバ。
【請求項16】
前記複数種類のコアを、ステップインデックスコア、W型コア、二重型コアのうちの2種類乃至3種類で構成することにより、異なる種類のコア同士について前記実効屈折率間の比屈折率差Δeffが付与されることを特徴とする請求項1又は2記載のマルチコアファイバ。
【請求項17】
前記クラッド領域により一体的に取り囲まれたコアそれぞれの周辺にトレンチが付加されたことを特徴とする請求項15又は16記載のマルチコアファイバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−170336(P2011−170336A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8144(P2011−8144)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】