説明

マルチセルのプリコーディングの実現方法及び装置

本発明はマルチセルのプリコーディングの実現方法及び装置を開示し、いずれもエリアに応じてユーザーを中心ユーザーとエッジユーザーに分け、分けられる中心ユーザーとエッジユーザーを異なるプリコーディング方法で処理することができる。本発明の方法及び装置は、セルクラスタエッジと中心に位置するユーザーを個別に処理できることによって、マルチセルMIMOシステム全体のレートに大きな最適化とアップグレードをもたらし、且つターゲットユーザーがマルチセルエッジユーザーで受けられた干渉に明確な定義と測定方法を持たせる。前記特徴はともに異種ネットワークにおける通信干渉に対して有効な抑制の実現を保証する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信分野に関し、具体的にマルチセルのプリコーディングの実現方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マルチ入力マルチ出力(MIMO)技術はここ数年間の発展につれて、ポイントツーポイントの単一リンクからシングルセルのマルチユーザーまでいずれも大きな進展がありました。次世代の移動通信技術と標準の推進に伴って、MIMO技術はすでに実験室から実用的なアプリケーションに向いて利用され、且つMIMO技術の次世代の無線技術の検証システムを採用することによって強力的にMIMO技術による高いスペクトルの容量の利点が検証された。しかしながら、MIMO技術はマルチセルシステムの拡大においてマルチアンテナマルチセルの中の隣接セル間干渉(OCI)が存在している。シングルユーザMIMOとマルチユーザーMIMOの多くの干渉抑制技術はいずれもマルチセルシステムの中に拡大して研究することができ、その中、ある方法はシングルユーザMIMOとマルチユーザーMIMOの干渉抑制技術に基づくものであり、これらも現在のマルチセルMIMOにおいて用いられる最も多くの研究方法である。
【0003】
理論的には、MIMO技術を採用することには強い誘引力があるが、商業用のハニカムシステムにおいて、MIMO技術を引き入れたネットワークにおいてセル間の干渉もかなり複雑で、これもハニカムMIMOシステムに対して必然的に直面する1つの問題である。特にダウンリンクシステムにおいて、端末の処理能力が制限されるため、基地局側は直面する干渉抑制の圧力が非常に大きい。これによってマルチセル環境の中にMIMOによるシステム容量のゲイン大幅に削減される。従来のマルチセル干渉の排除方法(例えばソフト周波数再利用、セクタ化及びスペクトラム拡散方法)は方法の自身のある制限によってマルチセルMIMOシステムに対してともに非常に有効ではなく、通信干渉の抑制に不利であることが明らかである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのために、本発明は主に、異種ネットワークにおける通信干渉に対して効果的に抑制を実現することを保証するように、マルチセルのプリコーディングの実現方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明の技術方案は次のように実現される。
【0006】
マルチセルのプリコーディングの実現方法であって、該方法は、
エリアに応じてユーザーを中心ユーザーとエッジユーザーに分け、分けられる中心ユーザーとエッジユーザーを異なるプリコーディング方法で処理することを含む。
【0007】
選択的に、前記方法はさらに、
協同距離を引き入れ、マルチセルを含むセルグループは内側エッジから外側エッジまでの間隔を表すことと、
効用関数及びゲーム理論に基づいてナッシュ均衡点が存在し且つ唯一であることを証明し、これによって協同距離を取得し、ユーザーのスケジューリングを行うようにすることとを含む。
【0008】
選択的に、前記方法はさらに、マルチセルをクラスタリングすることに関する過程:
マルチセルをクラスタリングすることと、
クラスタ内におけるターゲットユーザーのチャンネル情報及びユーザーに干渉を引き起こすチャンネル情報を収集することと、
ターゲットユーザーのプリコーディングベクトルを取得することとを含む。
【0009】
選択的に、前記の分けられる中心ユーザーとエッジユーザーを異なるプリコーディング方法で処理するステップは、
電力制約(power constraint)に基づいてターゲットユーザーのプリコーディングベクトルを調整することと、
セルクラスタ内のすべてのユーザーのプリコーディングベクトルを解することと、
前記協同距離に応じてセルクラスタエッジのチャンネル干渉情報を取得することと、
セルクラスタのエッジユーザーのプリコーディングベクトルを解することとを含む。
【0010】
選択的に、前記分けられる中心ユーザーとエッジユーザーを異なるプリコーディング方法で処理するステップは、
前記中心ユーザーに対して、マルチセルマルチユーザーの対角化プリコーディング方法を採用し、前記エッジユーザーに対して、セルクラスタユーザーの協同プリコーディング方法を採用することとを含む。
【0011】
マルチセルのプリコーディングの実現装置であって、該装置はエリアユーザーメンテナンスユニットとエリアユーザープリコーディングユニットを含み、その中、
前記エリアユーザーメンテナンスユニットは、エリアに応じてユーザーを中心ユーザーとエッジユーザーに分けるように設置され、
前記エリアユーザープリコーディングユニットは、分けられる中心ユーザーとエッジユーザーを異なるプリコーディング方法で処理するように設置される。
【0012】
選択的に、前記エリアユーザーメンテナンスユニットはさらに、
協同距離を引き入れ、マルチセルを含むセルグループは内側エッジから外側エッジまでの間隔を表し、
効用関数及びゲーム理論に基づいてナッシュ均衡点が存在し且つ唯一であることを証明し、これによって協同距離を取得し、ユーザーのスケジューリングを行うようにするように設置される。
【0013】
選択的に、前記エリアユーザーメンテナンスユニットはさらに、マルチセルをクラスタリングすることに関する:
マルチセルをクラスタリングすることと、
クラスタ内におけるターゲットユーザーのチャンネル情報及びユーザーに干渉を引き起こすチャンネル情報を収集することと、
ターゲットユーザーのプリコーディングベクトルを取得することとを含む過程を実行するように設置される。
【0014】
選択的に、前記エリアユーザープリコーディングユニットは、
電力制約に基づいてターゲットユーザーのプリコーディングベクトルを調整し、
セルクラスタ内のすべてのユーザーのプリコーディングベクトルを解し、
前記協同距離に応じてセルクラスタエッジのチャンネル干渉情報を取得し、
セルクラスタのエッジユーザーのプリコーディングベクトルを解する方式で、分けられる中心ユーザーとエッジユーザーに対し異なるプリコーディング方法で処理するように設置される。
【0015】
選択的に、前記エリアユーザープリコーディングユニットは、前記中心ユーザーに対して、マルチセルマルチユーザーの対角化プリコーディング方法を採用し、前記エッジユーザーに対して、セルクラスタユーザーの協同プリコーディング方法を採用する方式で、分けられる中心ユーザーとエッジユーザーに対し異なるプリコーディング方法で処理するように設置される。
【0016】
前記方法と装置は、セルクラスタエッジと中心に位置するユーザーを個別に処理できることによって、マルチセルMIMOシステム全体のレートに大きな最適化とアップグレードをもたらし、且つターゲットユーザーがマルチセルエッジユーザーで受けられた干渉に明確な定義と測定方法を持たせる。前記特徴はともに異種ネットワークにおける通信干渉に対して有効な抑制の実現を保証する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態におけるクラスタリング構造に基づくマルチセル構造模式図である。
【図2】本発明の実施形態における協同距離の模式図である。
【図3】本発明の実施形態におけるマルチセルのコーディングを実現するフローダイヤグラムである。
【図4】本発明の実施形態におけるマルチセルのコーディングを実現する装置図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下で、図面を参照して本発明の実施例について詳細的に説明する。説明する必要なのは、衝突しない場合、本出願における実施例及び実施例における特徴は互いに任意に組み合わせることができる。
【0019】
実用的なアプリケーションにおいて、1つのハニカムネットワークにおいて合計N個のセルを有するのを仮定できる。容易に分析するために、ネットワークにおけるセルをグループ分けすることができ、仮にn個のグループに分けられると、各グループはN/n個のセルを有する。容易に分析するために、仮にあるハニカムネットワークには21個のセルが存在し、合計21個のセルを3個のセルグループに分け、各のグループには合計7個のセルを有し、3個のセルグループはそれぞれG1、G2、G3で表す。
【0020】
さらに分けると、それぞれのセルグループ内部において異なるエリアのユーザーを区別し、エッジユーザーと中心ユーザーに分けられ、セル中心に近接するユーザーを中心ユーザーに定義し、セルエッジに分布しているユーザーをエッジユーザーに定義する。上記セルクラスタリングのネットワーク構造に基づいて、異なるエリアに対して異なるプリコーディング方法を採用でき、例えば、各セルグループ内部に位置するユーザー(即ち中心ユーザー)に対して、マルチセルマルチユーザーの対角化プリコーディング方法を採用でき、各セルグループエッジに位置するユーザー(即ちエッジユーザー)に対して、セルクラスタユーザーの協同プリコーディング方法を採用できる。
【0021】
上記のセルクラスタリング思想に基づいて、シングルセルのプリコーディングアルゴリズムを拡大でき、上記構造についてマルチセルの統一ブロック対角化或いはマルチセルの協同ブロック対角処理を行う。容易に問題分析をするために、仮に説明中に基地局は端末からの完全なチャンネル情報を取得することができる。
【0022】
説明する必要なのは、セルグループ内部においても単一のセル内部においても、異なるエリアのユーザーを区別することは非常に大切である。
【0023】




【0024】
このように、システムがサポートできるユーザー数を減少させ、システムのスループットに影響を与えることが明らかである。干渉ユーザー数の減少がシステム容量への影響を平衡的に克服するため、この場合で最適化のシステム容量にも達するために、さらに図2に示す協同距離Dcの概念を引き入れ、Dcはセルグループの内側エッジから外側エッジまでの間隔を表す。
【0025】


【0026】
従来の技術を利用して、その中のナッシュ均衡点が存在し且つ唯一であることを証明でき、最終に合理的なDc値を検索し、これによって合理的なユーザーのスケジューリングを行う。
【0027】
具体的なアプリケーションにおいて、実行される操作ステップは以下のステップを含む。
【0028】
ステップ1:マルチセルを合理的にクラスタリングし、
合理的に群の区分を行うと効果的にアルゴリズムの性能を向上させ、クラスタ内のセル数とユーザー数の選択はリアルタイムチャンネルのシミュレーション結果に応じてもよく、経験値に基づいてもよい。
【0029】
ステップ2:クラスタ内のユーザーkのチャンネル情報及びユーザーに干渉を引き起こすチャンネル情報を収集し、下記式によってターゲットユーザーkが対応する干渉チャンネル情報を取得する。
【0030】


【0031】
ステップ8:セルクラスタのエッジユーザーのプリコーディングベクトルを解する。ステップ7の元で、ステップ3の方法に応じてセルクラスタエッジユーザーのプリコーディングベクトルを解する。
【0032】
以上の技術説明によれば、マルチセルのプリコーディングを実現する操作考えは図3に示す。図3を参照し、図3は本発明の実施例におけるマルチセルのプリコーディングを実現するフローダイヤグラムであり、該フローは以下のステップを含む。
【0033】
ステップ310:エリアに応じてユーザーを中心ユーザーとエッジユーザーに分ける。
【0034】
ステップ320:分けられる中心ユーザーとエッジユーザーを異なるプリコーディング方法で処理する。
【0035】
上記の技術説明をうまく実現させ、図4に示す設置を行うことができる。図4を参照し、図4は本発明の実施例におけるマルチセルのプリコーディングを実現する装置図であり、該装置は接続するエリアユーザーメンテナンスユニット、エリアユーザープリコーディングユニットを含む。
【0036】
実用的なアプリケーションにおいて、エリアユーザーメンテナンスユニットはエリアに応じてユーザーを中心ユーザーとエッジユーザーに分けることができ、エリアユーザープリコーディングユニットは分けられる中心ユーザーとエッジユーザーを異なるプリコーディング方法で処理する。
【0037】
本分野の普通な当業者にとっては、上記方法における全部或いは一部のステップはプログラムによって関連ハードウェアを指令して完成することができ、上記プログラムはコンピュータの読み取り可能な記憶媒体、例えば、読み取り専用メモリ、ディスク或いはCD等に記憶されることができることが分ることができる。選択的に、上記実施例における全部或いは一部のステップは、1つ或いは複数の集積回路を用いて実現することもできる。相応的に、上記実施例における各モジュール/ユニットはハードウェアの形式で実現でき、ソフトウェア機能モジュールの形式で実現しても良い。本発明はいずれかの特定形式のハードウェアとソフトウェアとの結合に限られない
以上は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を制限するものではなく、本分野の当業者にとっては、本発明に各種の変更や変化を加えることができる。本発明の精神と原則逸脱することなく、いかなる修正、同等替代、改善等はいずれも本発明の保護範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
上記実施形態におけるマルチセルのプリコーディングを実現する技術は、セルクラスタエッジと中心にあるユーザーを個別に処理できるため、マルチセルMIMOシステム全体のレートに大きな最適化とアップグレードをもたらし、且つターゲットユーザーがマルチセルエッジユーザーで受けた干渉に明確な定義と測定方法を有させる。上記の特点はいずれも異種ネットワークにおける通信干渉に対して有効な抑制の実現を保証する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチセルのプリコーディングの実現方法であって、該方法は、
エリアに応じてユーザーを中心ユーザーとエッジユーザーに分け、分けられる中心ユーザーとエッジユーザーを異なるプリコーディング方法で処理することを含むマルチセルのプリコーディングの実現方法。
【請求項2】
協同距離を引き入れ、前記協同距離はマルチセルを含むセルグループの内側エッジから外側エッジまでの間隔を表すことと、
効用関数及びゲーム理論に基づいてナッシュ均衡点が存在し且つ唯一であることを証明し、これによって協同距離を取得し、ユーザーのスケジューリングを行うようにすることとを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
マルチセルをクラスタリングすることと、
クラスタ内におけるターゲットユーザーのチャンネル情報及びユーザーに対し干渉を引き起こすチャンネル情報を収集することと、
ターゲットユーザーのプリコーディングベクトルを取得することとをさらに含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記分けられる中心ユーザーとエッジユーザーを異なるプリコーディング方法で処理するステップは、
電力制約に基づいてターゲットユーザーのプリコーディングベクトルを調整することと、
セルクラスタ内のすべてのユーザーのプリコーディングベクトルを解することと、
前記協同距離に応じてセルクラスタエッジのチャンネル干渉情報を取得することと、
セルクラスタエッジユーザーのプリコーディングベクトルを解することとを含む請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記分けられる中心ユーザーとエッジユーザーを異なるプリコーディング方法で処理するステップは、
前記中心ユーザーに対して、マルチセルマルチユーザーの対角化プリコーディング方法を採用し、前記エッジユーザーに対して、セルクラスタユーザーの協同プリコーディング方法を採用することを含む請求項1〜4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
マルチセルのプリコーディングの実現装置であって、該装置はエリアユーザーメンテナンスユニットとエリアユーザープリコーディングユニットを含み、その中、
前記エリアユーザーメンテナンスユニットは、エリアに応じてユーザーを中心ユーザーとエッジユーザーに分けるように設置され、
前記エリアユーザープリコーディングユニットは、分けられる中心ユーザーとエッジユーザーを異なるプリコーディング方法で処理するように設置されるマルチセルのプリコーディングの実現装置。
【請求項7】
前記エリアユーザーメンテナンスユニットはさらに、
協同距離を引き入れ、前記協同距離はマルチセルを含むセルグループの内側エッジから外側エッジまでの間隔を表し、
効用関数及びゲーム理論に基づいてナッシュ均衡点が存在し且つ唯一であることを証明し、これによって協同距離を取得し、ユーザーのスケジューリングを行うように設置される請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記エリアユーザーメンテナンスユニットはさらに、
マルチセルをクラスタリングし、
クラスタ内におけるターゲットユーザーのチャンネル情報及びユーザーに対し干渉を引き起こすチャンネル情報を収集し、
ターゲットユーザーのプリコーディングベクトルを取得するように設置される請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記エリアユーザープリコーディングユニットは、
電力制約に基づいてターゲットユーザーのプリコーディングベクトルを調整し、
セルクラスタ内のすべてのユーザーのプリコーディングベクトルを解し、
前記協同距離に応じてセルクラスタエッジのチャンネル干渉情報を取得し、
セルクラスタのエッジユーザーのプリコーディングベクトルを解する方式で、分けられた中心ユーザーとエッジユーザーに対し異なるプリコーディング方法で処理するように設置される請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記エリアユーザープリコーディングユニットは、
前記中心ユーザーに対して、マルチセルマルチユーザーの対角化プリコーディング方法を採用し、前記エッジユーザーに対して、セルクラスタユーザーの協同プリコーディング方法を採用する方式で、分けられた中心ユーザーとエッジユーザーに対し異なるプリコーディング方法で処理するように設置される請求項6〜9のいずれか一つに記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−519340(P2013−519340A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−557400(P2012−557400)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際出願番号】PCT/CN2011/078952
【国際公開番号】WO2012/109890
【国際公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【出願人】(509024525)ゼットティーイー コーポレーション (134)
【氏名又は名称原語表記】ZTE CORPORATION
【住所又は居所原語表記】ZTE Plaza,Keji Road South,Hi−Tech Industrial Park,Nanshan District,Shenzhen City,Guangdong Province 518057, P.R. China
【Fターム(参考)】