説明

マルチタップ

【課題】製造コストの低減を図ったマルチタップを提供する。
【解決手段】テーブルタップは、プラグが着脱自在にそれぞれ接続される複数の刃受けブロック20a,20b,20cと、外部から供給される電源を複数の刃受けブロック20a,20b,20cに供給するための導電板40a,40bとを具備している。刃受けブロック20a,20b,20cの各々は、プラグの栓刃にそれぞれ接続される複数の刃受け部材(刃受けばね42および刃受け部材45)と、複数の刃受け部材のうち少なくとも1つ(刃受け部材45)に設けられた固定接点49と、可動接点25を有し導電板40bに電気的に接続された可動接点板24と、押釦31の操作に応じて可動接点25と固定接点49とのオン/オフが切り替わるように可動接点板24を駆動する開閉機構26を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチタップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のマルチタップとして、スイッチ付きのテーブルタップが従来提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
図11(a)は従来のテーブルタップの斜視図、図11(b)はテーブルタップの内部に収納された刃受けブロックの斜視図である。
【0004】
テーブルタップの器体100は直方体状に形成されており、器体100の側面101には2個で1組のプラグ接続口103が3組設けられている。また、器体100の上面102には、各組のプラグ接続口103に対応して設けられた操作ハンドル120が、揺動自在に配置されている。
【0005】
器体100の内部には、各組のプラグ接続口103に対応して刃受けブロック110が収納されている。各刃受けブロック110は、対応するプラグ接続口103から挿入される栓刃(図示せず)にそれぞれ接続される刃受けばね111a,111bを備えている。また器体100の内部には2本のリード板130a,130bが収納されており、リード板130a,130bには、それぞれ、電源コード150の対応する芯線が結線されている。3個の刃受けブロック110は器体100の内部に並べて配置されており、2本のリード板130a,130bは各刃受けブロック110の器体を貫通するように設けられている。
【0006】
各刃受けブロック110が備える2個の刃受けばね111a,111bのうち、一方の刃受けばね111bは一方のリード板130bと一体に設けられている。また図11(c)に示すように、他方のリード板130bには、各刃受けブロック110の器体に挿入される位置に端子片131を備え、各端子片131には接点132が固着されている。また他方の刃受けばね111aには、操作ハンドル120の揺動操作に応じて回転する接極子が電気的に接続されている。そして、操作ハンドル120の揺動操作に応じて、接点132に接触するON位置と接点132から開離するOFF位置との間で接極子が揺動することにより、刃受けばね111aへの給電が入切されるのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−221035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した従来のテーブルタップでは、一方のリード板130aに複数個の接点132が固着されている。このような部品をプレス加工で形成する場合、板金にプレス加工を施した後、端子片131となる部位に接点の部品を供給して圧着するのであるが、複数箇所に接点部品を供給しなければならず、そのため順送金型の製造費用が高くなるという問題があった。
【0009】
本発明は上記課題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、製造コストの低減を図ったマルチタップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本願のマルチタップは、プラグが着脱自在にそれぞれ接続される複数の刃受けブロックと、外部から供給される電源を複数の刃受けブロックに供給するための導電板とを具備する。複数の刃受けブロックの各々は、プラグの栓刃にそれぞれ接続される複数の刃受け部材と、複数の刃受け部材のうち少なくとも1つに設けられた固定接点と、可動接点を有し導電板に電気的に接続された可動接触子と、操作部の操作に応じて可動接点及び固定接点のオン/オフが切り替わるように可動接触子を駆動する開閉機構とを備える。
【0011】
このマルチタップにおいて、固定接点が設けられた刃受け部材を各刃受けブロックの器体に位置決めするための位置決め構造を有することも好ましい。
【0012】
このマルチタップにおいて、位置決め構造が、固定接点が設けられた刃受け部材に形成されている凹部と、各刃受けブロックの器体に形成されて、凹部と係合する凸部とを含むことも好ましい。
【0013】
このマルチタップにおいて、位置決め構造が、各刃受けブロックの器体に形成された凹部と、固定接点が設けられた刃受け部材に形成されて、凹部と係合する凸部とを含むことも好ましい。
【0014】
このマルチタップにおいて、器体が、熱硬化性樹脂で形成され、固定接点及び可動接触子を収納するボディと、熱可塑性樹脂で形成され、開閉機構を収容するカバーとを含み、カバーに上記の位置決め構造が設けられることも好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、製造コストを従来に比べて低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態を構成する刃受けブロックの分解斜視図である。
【図2】同上の分解斜視図である。
【図3】同上を示し、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図4】同上の斜視図である。
【図5】同上に用いられる刃受け部材の斜視図である。
【図6】同上に用いられる刃受けブロックの分解斜視図である。
【図7】同上に用いられる刃受けブロックを示し、カバーを外した状態の上面図である。
【図8】同上に用いられる刃受けブロックの断面図である。
【図9】同上に用いられる別の刃受けブロックの分解斜視図である。
【図10】同上に用いられる別の刃受けブロックの断面図である。
【図11】(a)は従来のテーブルタップの斜視図、(b)は同上に用いられる刃受けブロックの斜視図、(c)は同上に用いられるリード板の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本願をテーブルタップに適用した実施形態を図1〜図10に基づいて説明する。尚、以下ではテーブルタップを例に説明するが、吊り下げて使用されるペンダント型のマルチタップや、電源コードの代わりに電源用刃が設けられた差込式マルチタップに本願を適用しても良いことは言うまでもない。また、以下の説明ではプラグが接続される刃受けブロックを3口備えているが、刃受けブロックの数は3個に限定されるものではなく、複数の刃受けブロックを備えていればよい。
【0018】
本実施形態のテーブルタップは例えば机や床に置いて使用されるものである。以下の説明では特に断りがないかぎり、使用状態における上下(すなわち図3(b)の上下)を上下方向とし、図3(b)における左右を左右方向とし、図3(b)の紙面に垂直な方向を前後方向とし、図3(a)の下側を前側として説明を行う。
【0019】
テーブルタップの器体1は、図2〜図4に示すように、細長の直方体状に形成されており、ボディ2と上カバー3と中カバー4とで構成される。
【0020】
ボディ2は合成樹脂成形品からなり、上面が開口した略矩形箱状に形成されている。上カバー3は合成樹脂成形品からなり、下面が開口した略矩形箱状に形成されている。中カバー4は合成樹脂成形品からなり、後面が開口した略矩形箱状に形成されている。中カバー4の前面には、前方から見た形状が略矩形状の突台5が左右及び中央の3箇所に設けられている。各突台5には、図示しないプラグの平行栓刃が挿入される栓刃挿入口6が2個ずつ形成されている。中カバー4は、ボディ2と上カバー3とで囲まれる空間に、突台5を前面側に向けた状態で収納されている。ボディ2の前側壁には、対応する突台5の下側部が挿入される凹溝7が3箇所に設けられている。同様に上カバー3の前側壁にも、対応する突台5の上側部が挿入される凹溝8が3箇所に設けられている。
【0021】
上カバー3の開口縁には、ボディ2に形成された溝9に係合する爪10が数カ所に設けられており、ボディ2の開口を塞ぐようにしてボディ2に上カバー3を被せると、爪10が溝9に係合することによって、上カバー3がボディ2に仮固定される。そして、ボディ2に設けられた貫通孔11に通されたネジ12を、上カバー3に設けられたネジ穴(図示せず)にねじ込むことによって、ボディ2と上カバー3とが結合される。
【0022】
この器体1の内部には、3個の刃受けブロック20a,20b,20cと、刃受けブロック20a,20b,20cに電源を供給するための導電板40a,40bとが収納されている。
【0023】
2本の導電板40a,40bは、それぞれ、導電性の良好な金属(例えば銅合金)により細長い板状に形成されており、長手方向の一端側(左側)にはかしめ片41a,41bが設けられている。器体1の左側面には、外部から電源コード50を導入するための丸孔状の貫通孔が形成されており、この貫通孔を通して内部に導入された電源コード50の芯線51が、それぞれ、かしめ片41a,41bにかしめ固定されている。したがって、電源コード50の他端側に設けられたプラグ(図示せず)を電源コンセントに接続すると、電源コード50を介して導電板40a,40bに電源が供給されるのである。尚、電源コード50において、器体1から外部に導出される部位は、弾性を有する合成樹脂により形成されたブッシング52で覆われており、電源コード50が断線しにくくなっている。
【0024】
次に、刃受けブロック20a,20b,20cについて説明する。刃受けブロック20a,20b,20cは同様の構成を有しているので、図1を参照して刃受けブロック20aの説明を行い、他の刃受けブロック20b,20cにおいて刃受けブロック20aと共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。尚、図1では図示を簡略化するため、刃受けブロック20aのみを図示している。
【0025】
刃受けブロック20aの器体21はボディ22とカバー23とで構成される。ボディ22は、耐熱性および耐トラッキング性に優れた熱硬化性樹脂(例えばユリア樹脂など)により上面が開口した略箱状に形成され、その内部は隔壁によって複数の空間に仕切られている。またカバー23は、耐衝撃性に優れた熱可塑性樹脂(例えばABS樹脂など)により形成され、上面が開口した筒状の収納部23aを有している。またカバー23の左右両側部からは下方に向かって組立片23bがそれぞれ突出しており、各組立片23bの穴23cをボディ22の側壁に設けた突起22hに係合させることで、ボディ22とカバー23とは結合される。
【0026】
カバー23には、中カバー4と対向する部位に、中カバー4に設けた穴と係合する位置決め用の突起23eが設けられている。またカバー23の底面には、刃受け部材45の取付片47に設けられた穴47aと係合する突起23gが設けられている。
【0027】
ボディ22の前後方向中央部には、後述の接点部(固定接点49及び可動接点25からなる)を収納する収納凹部22fが設けられている。ボディ22において収納凹部22fよりも前側には、上側及び左右両側に開口したスリット22aが形成されており、このスリット22aには導電板40aが挿入されている。ボディ22において収納凹部22fよりも後側には、上側及び左右両側に開口したスリット22bが形成されており、このスリット22bには導電板40bが挿入されている。
【0028】
ボディ22においてスリット22aよりも前側部には、それぞれ上側及び前側が開放された凹部22c,22dが設けられている。左側の凹部22cには、導電板40aの対応する部位に設けられた刃受けばね42が収納されている。右側の凹部22dには、刃受け部材45に設けられた刃受けばね46が収納されている。
【0029】
図5は刃受け部材45の斜視図であり、この刃受け部材45は、例えば銅合金からなる板金にプレス加工を施して形成される。この刃受け部材45は、一対のバネ片の間で栓刃を挟む刃受けばね46を備えている。刃受けばね46の後部からは矩形板状の取付片47が後方に延び、この取付片47はスリット22aと凹部22dとの間の隔壁22e上に載置される。取付片47の後部からは斜め下向きに固定端子片48が延びており、この固定端子片48には、かしめ固定或いはレーザ溶接などの方法で固定接点49が固着されている。この固定端子片48は収納凹部22fに挿入され、固定接点49は収納凹部22f内に配置される。導電板40bには、各刃受けブロック20a,20b,20cの収納凹部22fに対応する部位に、収納凹部22fの底部に配置されるL字形の基底片43が設けられている。
【0030】
収納凹部22f内には、導電板からなる可動接点板24が収納されている。この可動接点板24には、刃受け部材45の固定接点49に対応する位置に可動接点25が設けられている。可動接点板24は基底片43上に配置され、基底片43との当接部位を支点として前後に回転する。また可動接点板24の側縁に設けた突起24aが収納凹部22fの内壁に設けられたV溝22gに挿入されることで、可動接点板24の回転範囲が規制されている。
【0031】
この可動接点板24を駆動する開閉機構26は、コイルばね27と、駆動子28と、スライドカム29と、板ばね30と、押釦31とで構成され、この開閉機構26について図1、図6〜図8を参照して説明する。
【0032】
コイルばね27の一端側には、可動接点板24の上部に設けられたバネ受け用の突起24bが挿入される。コイルばね27の他端側は駆動子28に設けられた筒部28a内に挿入される。
【0033】
駆動子28は合成樹脂成形品からなり、下側に開口した筒部28aを備えている。駆動子28は、両側に設けられた三角形状の軸28bをカバー23の軸受け溝23dに嵌め込むことによって、カバー23に対して回転自在に取り付けられる。駆動子28の上部には、スライドカム29を押し動かす一対の突起28c,28dが設けられ、駆動子28の回転に応じて突起28c,28dのうちの一方が上側に、他方が下側に位置することになる。そして、上側に位置する突起28c又は突起28dがスライドカム29に押されて、駆動子28が反対側に回転するようになっている。
【0034】
押釦31は合成樹脂成形品からなり、平面視の形状が略矩形状の上板部31bと、上板部31bの全周から下方に突出する側部31cとを有し、カバー23の収納部23a内に上下動自在に配置されている。この押釦31の上板部31bは、上カバー3の上面に設けた窓穴14から外部に露出しており、窓穴14を通してユーザが上板部31bの押操作を行えるようになっている。従来のタンブラー型のハンドルを備えたテーブルタップに比べて、押釦31は上カバー3の上面と略同じ面高さとなっているので、押釦31が目立たず、意匠性の向上が図られている。
【0035】
上板部31bの裏面にはスライドカム29が取り付けられている。スライドカム29は合成樹脂により四角枠状に形成されている。スライドカム29の4辺のうち、駆動子28の回転方向において対向する2辺には、駆動子28の突起28c及び突起28dがそれぞれ係合するカム部29a及びカム部29bが設けられている。またスライドカム29の残りの2辺のうち、一方の辺からは、一対のバネ片29c,29dが、他方の辺に向かって突出しており、両バネ片29c,29dは先端にいくほど互いの距離が短くなるように斜めに突出している。両バネ片29c,29dの間には、上板部31bの裏面に設けられた突起が挿入されている。駆動子28が図8中の右回りに回転している状態で、押釦31の下降に伴ってスライドカム29が下降すると、上側に位置する突起28cを対応するカム部29aが押すことによって、スライドカム29は前方に移動する。このとき、後側のバネ片29cが上板部31b裏面の突起によって撓められることになり、バネ片29cのバネ力によってスライドカム29を中央位置に戻す復元力が発生する。また駆動子28が図8中の左回りに回転している状態で、押釦31の下降に伴ってスライドカム29が下降すると、上側に位置する突起28dを対応するカム部29bが押すことによって、スライドカム29は後方に移動する。このとき、前側のバネ片29dが上板部31b裏面の突起によって撓められることになり、バネ片29dのバネ力によってスライドカム29を中央位置に戻す復元力が発生する。
【0036】
収納部23aの底部と押釦31の間には板ばね30が配置され、この板ばね30によって押釦31は上向きの弾性力を常に受けている。押釦31の側部31cには、収納部23aの内壁に設けられた溝23fと係合する突起31dが左右に1個ずつ設けられており、突起31dと溝23fとが係合することで、押釦31が外れないようになっている。ここで、スライドカム29を上板部31bの下面に保持させた状態で、板ばね30は押釦31の下面側に圧入固定されており、板ばね30と上板部31bの間にスライドカム29が保持されるようになっている。
【0037】
また上板部31bの下面側には、刃受けばね42,46への給電状態を表示する表示体32がスライド移動自在に取り付けられており、上板部31bには表示体32の一部を露出させる表示窓31aが設けられている。尚、表示窓31aは透明な合成樹脂からなる蓋で閉塞されている。
【0038】
表示体32の上面は、スライド方向における片側の半分が給電状態を表示するON表示部32aとなり、反対側の半分が給電停止状態を表示するOFF表示部32bとなっている。表示体32は、表示窓31aにON表示部32aが臨むON位置と、表示窓31aにOFF表示部32bが臨むOFF位置との間でスライド移動自在となっている。表示体32は、コイルばね33によってOFF位置に移動する方向の弾性力を常時受けており、接点が開極した状態では、表示窓31aからOFF表示部32bが露出する。上述の駆動子28には、表示体32の下面に設けたテーパ面32cを押すL字形のアーム28eが一体に設けられている。図8に示すように、可動接点25と固定接点49とを接触させる向きに駆動子28が回転した状態では、アーム28eが表示体32を押して、表示体32をON位置に移動させるため、表示窓31aからON表示部32aが露出する。
【0039】
ここで、開閉機構26の動作について簡単に説明する。
【0040】
先ず、図8に示すように可動接点25が固定接点49に接触している状態で、ユーザが押釦31を押操作したときの動作について説明する。尚、接点が閉極している状態で押釦31を1回押す操作がオフ操作となる。押釦31が押されていない状態では、板ばね30によって押釦31が上側に移動した状態となっている。この状態からユーザが押釦31の上板部31bを下向きに押し込むと、板ばね30のバネ力に抗して押釦31が下側に押し下げられ、押釦31に保持されたスライドカム29も下側に移動する。スライドカム29が下降すると、図中左側のカム部29aが駆動子28の左側の突起28cに当たることで、駆動子28を図中左回りに回転させる。このように駆動子28が図中左回りに回転すると、可動接点板24が図中右回りに回転して、可動接点25が固定接点49から開離した状態となる。このとき、コイルばね27のバネ力によって、駆動子28は、突起28dに比べて突起28c側が下がった状態で保持され、可動接点板24は右側に倒れた状態で保持される。また、駆動子28の回転に応じてアーム28eが下側に移動するので、コイルバネ33のバネ力によって、表示体32はOFF位置へ移動し、OFF表示部32bが表示窓31aから露出する。またユーザが押釦31から手を離すと、板ばね30のバネ力で押釦31が上側に移動し、バネ片29cのバネ力を受けてスライドカム29は中央位置に復帰する。
【0041】
次に、可動接点25が固定接点49から離れている状態で、ユーザが押釦31を押操作したときの動作について説明する。尚、接点が開極している状態で押釦31を1回押す操作がオン操作となる。ユーザが押釦31の上板部31bを下向きに押し込むと、板ばね30のバネ力に抗して押釦31が下側に押し下げられ、押釦31に保持されたスライドカム29も下側に移動する。スライドカム29が下降すると、図中右側のカム部29bが駆動子28の右側の突起28dに当たることで、駆動子28を図中右回りに回転させる。このように駆動子28が図中右回りに回転すると、可動接点板24が図中左回りに回転して、可動接点25が固定接点49に接触した状態となる。このとき、コイルばね27のバネ力によって、駆動子28は、突起28cに比べて突起28d側が下がった状態で保持され、可動接点板24は左側に倒れた状態で保持される。また、駆動子28の回転に応じてアーム28eが上側に移動し、アーム28eによってコイルバネ33のバネ力に抗して表示体32がON位置側へ押され、表示体32がON位置まで移動するので、表示体32のON表示部32aが表示窓31aから露出する。またユーザが押釦31から手を離すと、板ばね30のバネ力で押釦31が上側に移動し、バネ片29cのバネ力を受けてスライドカム29は中央位置に復帰する。
【0042】
このように、ユーザが押釦31を1回押す毎に、開閉機構26によって接点(固定接点49及び可動接点25からなる)がオンしている状態とオフしている状態とが交互に切り替えられるのである。
【0043】
以上説明したように、本実施形態のマルチタップは、プラグが着脱自在にそれぞれ接続される複数の刃受けブロック20a,20b,20cと、複数の刃受けブロック20a,20b,20cに電源を供給するための導電板40a,40bとを具備している。複数の刃受けブロック(本実施形態では刃受けブロック20a,20b,20c)の各々は、プラグの栓刃にそれぞれ接続される複数の刃受け部材(刃受けばね42および刃受け部材45)と、複数の刃受け部材のうち少なくとも1つ(刃受け部材45)に設けられた固定接点49と、可動接点25を有し導電板(導電板40b)に電気的に接続された可動接触子(可動接点板24)と、操作部(押釦31)の操作に応じて可動接点25及び固定接点49のオン/オフが切り替わるように可動接触子を駆動する開閉機構26を備えている。
【0044】
これにより、1個の刃受け部材45に対して1個の固定接点49が設けられているから、従来例のように1つの部品に対して複数の接点を設ける場合に比べて順送金型の費用を低減でき、マルチタップの製造コストを従来に比べて低減することができる。
【0045】
また本実施形態では、固定接点49が設けられた刃受け部材45を各刃受けブロック20a,20b,20cの器体21に位置決めするための位置決め構造を備えている。
【0046】
これにより、刃受けブロックの器体21に対して刃受け部材45をより強固に位置決めでき、プラグの栓刃を刃受け部材45に接続する際に、刃受け部材45の位置が動きにくくなる。したがって、刃受け部材45に設けられた固定接点49の位置が安定し、固定接点49と可動接点25との電気的接続の信頼性が向上する。また刃受け部材の位置が安定するからプラグの接続作業がやりやすいという利点もある。
【0047】
また本実施形態では、上記の位置決め構造が、固定接点49が設けられた刃受け部材45に形成されている凹部(穴47a)と、各刃受けブロックの器体21に形成されて、凹部(穴47a)と係合する凸部(突起23g)とを含んでいる。
【0048】
これにより、刃受けブロックの器体21に対して刃受け部材45をより強固に位置決めでき、プラグの栓刃を刃受け部材45に接続する際に、刃受け部材45の位置が動きにくくなる。したがって、刃受け部材45に設けられた固定接点49の位置が安定し、固定接点49と可動接点25との電気的接続の信頼性が向上する。
【0049】
また本実施形態では、各刃受けブロックの器体21が、熱硬化性樹脂で形成され、固定接点及び可動接触子を収納するボディ22と、熱可塑性樹脂で形成され、開閉機構26を収容するカバー23とを含んでいる。そして、熱可塑性樹脂で形成されたカバー23に位置決め構造を構成する凸部(本実施形態では突起23g)が設けられている。
【0050】
このように、固定接点49及び可動接点板24を収納するボディ22は、開極時に高温のアークが発生するため、熱硬化性樹脂に比べて耐熱性および耐トラッキング性に優れた熱可塑性樹脂で形成されている。一方、カバー23は、熱可塑性樹脂に比べて耐衝撃性に優れた熱硬化性樹脂で形成されており、このカバー23に刃受け部材を位置決めするための凸部が形成されているので、凸部の強度を向上させることができる。したがって、刃受け部材をカバー23に対してより強固に位置決めでき、プラグ接続時に刃受け部材45の位置が動きにくくなるから、固定接点49と可動接点25との電気的接続の信頼性が向上する。
【0051】
ところで、本実施形態では固定接点49が設けられた刃受け部材45に凹部(穴47a)が設けられ、カバー23に突起23gが設けられているが、図9及び図10に示すように、カバー23の底面に凹部23hを、この凹部23hと係合する突起47bを刃受け部材45に設けてもよい。
【0052】
このように、上記の位置決め構造が、各刃受けブロックの器体21に形成された凹部(凹部23h)と、固定接点49が設けられた刃受け部材45に形成されて、凹部と係合する凸部(突起47b)とを含むことも好ましい。
【0053】
これにより、刃受け部材45の凸部を器体21の凹部に係合させることによって、刃受けブロックの器体21に対して刃受け部材45をより強固に位置決めできる。したがって、プラグの栓刃を刃受け部材45に接続する際に、刃受け部材45の位置が動きにくくなり、固定接点49と可動接点25との電気的接続の信頼性が向上する。
【0054】
またこの場合は、熱可塑性樹脂で形成されたカバー23に、位置決め構造を構成する凹部23hが設けられている。
【0055】
これにより、ボディ22を形成する熱可塑性樹脂に比べて耐衝撃性に優れた熱硬化性樹脂で形成されたカバー23に刃受け部材を位置決めするための凹部が形成されているので、凹部の周壁の強度を向上させることができる。したがって、刃受け部材をカバー23に対してより強固に位置決めでき、プラグ接続時に刃受け部材45の位置が動きにくくなるから、固定接点49と可動接点25との電気的接続の信頼性が向上する。
【0056】
また本実施形態では、表示体32によりオン/オフ表示を行っており、オン/オフ表示のためのランプを備えたものに比べて消費電力を低減できる。
【符号の説明】
【0057】
20a,20b,20c 刃受けブロック
25 可動接点
26 開閉機構
24 可動接点板
31 押釦
31b 操作部
40a,40b 導電板
42 刃受けばね(刃受け部材)
45 刃受け部材
49 固定接点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグが着脱自在にそれぞれ接続される複数の刃受けブロックと、外部から供給される電源を前記複数の刃受けブロックに供給するための導電板とを具備し、複数の前記刃受けブロックの各々は、前記プラグの栓刃にそれぞれ接続される複数の刃受け部材と、前記複数の刃受け部材のうち少なくとも1つに設けられた固定接点と、可動接点を有し前記導電板に電気的に接続された可動接触子と、操作部の操作に応じて前記可動接点及び前記固定接点のオン/オフが切り替わるように前記可動接触子を駆動する開閉機構とを備えたことを特徴とするマルチタップ。
【請求項2】
前記固定接点が設けられた前記刃受け部材を前記各刃受けブロックの器体に位置決めするための位置決め構造を有することを特徴とする請求項1記載のマルチタップ。
【請求項3】
前記位置決め構造が、前記固定接点が設けられた前記刃受け部材に形成されている凹部と、前記各刃受けブロックの器体に形成されて、前記凹部と係合する凸部とを含むことを特徴とする請求項2記載のマルチタップ。
【請求項4】
前記位置決め構造が、前記各刃受けブロックの器体に形成された凹部と、前記固定接点が設けられた前記刃受け部材に形成されて、前記凹部と係合する凸部とを含むことを特徴とする請求項2記載のマルチタップ。
【請求項5】
前記器体が、熱硬化性樹脂で形成され、前記固定接点及び前記可動接触子を収納するボディと、熱可塑性樹脂で形成され、前記開閉機構を収容するカバーとを含み、前記カバーに、前記位置決め構造が設けられたことを特徴とする請求項3又は4記載のマルチタップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−174501(P2012−174501A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35687(P2011−35687)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】