説明

マルチファンクション装置、その制御方法およびプログラム

【課題】 複数の機能で使用される処理条件を容易に設定可能とするとともに、一時的に他の処理条件を設定可能とすること。
【解決手段】 複数の機能で共通に設定可能なエコ設定が設定された後、個別設定画面において印刷設定が変更された場合、その内容をRAMに記憶させる。その後、初期化のための条件が成立した場合、元のエコ設定に戻す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の機能を有するマルチファンクション装置、その制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外部装置から受信した画像データに基づく画像をプリントするプリンタ機能や、自身が有するスキャナからの読取画像をプリントするコピー機能など、複数の機能を有したマルチファンクション装置が知られている。
【0003】
このような装置において、複数の機能で共通に用いられる処理条件を一括で指定可能なものが知られている(特許文献1参照)。そして特許文献1記載の装置では特定の機能で用いる処理条件を個別に設定することも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−219214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の装置では、一括設定により設定された処理条件について、特定の機能で一時的に他の処理条件としたい場合、個別設定によって異なる処理条件に変更して処理を実行させてから再び個別設定で元の処理条件に戻す必要がある。そのため操作が煩雑であり、誤設定の原因となり得る。
【0006】
本発明は以上のような課題に鑑みてなされたものであり、複数の機能で使用される処理条件を容易に設定可能とするとともに、一時的に他の処理条件を設定可能なマルチファンクション装置、その制御方法およびプログラムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明のマルチファンクション装置は、複数の機能を有したマルチファンクション装置であって、複数の機能において共通に設定可能な処理条件を設定する設定手段と、前記設定手段において設定された処理条件を記憶する記憶手段と、前記複数の機能のいずれかの機能を指定し、前記設定手段により設定された処理条件を変更する変更手段と、所定の条件が成立した場合に前記変更手段により変更された処理条件を、前記記憶手段により記憶された処理条件に従って初期化する初期化手段とを有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の機能において共通に設定可能な処理条件を一時的に他の処理条件とした後、容易に元の処理条件に戻すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態の画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】表示部、操作部の構成例を示す図である。
【図3】実施形態による処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】エコ設定の処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】ホーム画面のアイコン切換えの処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】エコ設定の処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】個別設定の処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】個別設定時のアイコン切換えの処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】個別設定時の両面設定の表示の処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】個別設定時の両面設定の内容を特定する処理を示すフローチャートである。
【図11】印刷設定を初期化する処理を示すフローチャートである。
【図12】エコ設定の処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】印刷設定の処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】エコシンボルの表示処理の流れを示すフローチャートである。
【図15】ホーム画面の表示例を示す図である。
【図16】エコ設定画面の例を示す図である。
【図17】個別設定画面の例を示す図である。
【図18】コピー画面の例を示す図である。
【図19】品質設定画面の例を示す図である。
【図20】レイアウト版エコ設定に関わる画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明のマルチファンクション装置の一実施形態に関わる画像形成装置101の構成を示すブロック図である。画像形成装置101は、原稿上の画像を読み取ってその画像をシート上にプリントするコピー機能、外部装置から受信した画像をプリントするプリント機能などを実行可能なマルチファンクション装置である。画像形成装置101は、CPU102、RAM103、ROM104、EEPROM105、表示部106、操作部107、プリント・スキャン部108、外部インタフェース(I/F)部109を構成要素として備える。また、これらの構成要素はバス配線110を介して互いに接続され、通信可能である。CPU102は、画像形成装置101全体を制御する中央演算処理装置である。CPU102は、RAM103に記憶されている印刷属性の設定値に基づいて、プリント・スキャン部108の制御を行う。ROM104は、不揮発性メモリにより構成され、CPU102が実行する制御プログラムやオペレーティングシステム(OS)プログラム、そして画像形成装置101に搭載される機能ごとの印刷属性の初期値等を格納する。RAM103は、揮発性メモリにより構成され、プログラム制御変数や、画像形成装置101に搭載される機能ごとの印刷属性の設定値等を一時的に格納する領域を提供する。EEPROM105は、書き換え可能な不揮発性メモリにより構成され、後述する一括設定画面によって設定された機能ごとの印刷属性の設定値を格納する領域を有している。以下で示すフローチャートはROM104に記憶されている制御プログラムに基づくものである。CPU102は、ROM104に記憶されている制御プログラムをRAM103にロードし、それを実行することにより以下に示すフローチャート等に示す処理が実行される。表示部106は、液晶ディスプレイ等の表示出力装置により構成され、CPU102の指示に従って様々な情報を画面内に表示する。操作部107は、各種キースイッチから構成され、ユーザからの入力を受け付ける。プリント・スキャン部108は、プリントエンジン・スキャンエンジン等により構成され、CPU102の指示に従い、印刷・読取処理を制御する。外部I/F部109は画像形成装置に外部装置を接続する。外部装置としては画像形成装置101にプリントさせるためのファイルを記憶するメモリ装置、画像形成装置101にプリントさせるためのプリントデータを生成するプリンタドライバを備えたパーソナルコンピュータ(PC)等がある。
【0011】
図2は表示部106、操作部107の構成例を示した図である。表示部106は、液晶表示部201を有する。操作部107は、POWERキー202、OKキー203、左右キー204、205、上下キー206、207、ファンクションキー208、209、210を有する。また、STOPキー211、開始キー212、213、HOMEキー214を有する。液晶表示部201は、画像形成装置101の状態を表示する。POWERキー202は、この装置の電源をON/OFFするためのキーである。OKキー203は、液晶表示部201に表示されている状態を確定させるためのキーである。左右キー204、205、上下キー206、207は、表示されているカーソルの移動や、メニューの項目を選択したりするためのキーである。ファンクションキー208、209、210は、液晶表示部201に表示されている画面に対応した機能を実行するためのキーである。STOPキー211は、現在の動作を停止させるためのキーである。開始キー212、213は、プリントやスキャンを開始するためのキーである。HOMEキー214は、ホーム画面に遷移させるためのキーである。ホーム画面は画像形成装置101に電源を投入した場合、または待機状態で表示される基本画面である。ユーザはホーム画面から使用したい機能を選択して画面を適宜遷移させる。また、STOPキー211、HOMEキー214はそれぞれ、印刷属性を初期化するためのキーでもある。
【0012】
(一括設定画面)
図3のフローチャートを参照して、一括設定画面を用いたエコ設定について、ユーザによって行われる操作に対するCPU102の処理について説明する。なお、エコ設定は、プリント・スキャン部108を用いてプリントする際のデフォルト設定(初期設定)として両面設定を、一つの画面上で一括して、機能ごとに設定されるものである。両面設定とは、用紙の節約に寄与する印刷属性の一つである。なお、エコ設定において、機能ごとではなく一括して複数の機能に対するエコ設定を行ってもよい。エコ設定では複数の機能において共通に用いられる処理条件をまとめて設定可能とするものである。エコ設定では両面印刷以外、種々の設定も可能であるが、ここでは両面印刷について説明する。画像形成装置101は、両面設定の上記デフォルト設定として用紙の片面のみに印刷を行う片面印刷と、両面に印刷を行う両面印刷のいずれかを設定値として持つ。
【0013】
はじめに、ホーム画面が表示された状態からエコ設定を完了するまでの流れについて説明する。図15(a)はホーム画面の一例である。図に示すように、ホーム画面には機能を表すアイコンが3つ横並びしており、上下キー206、207を押下することによって、表示される機能が別の3つと入れ替わる。操作部107のファンクションキー208、209、210は3つのアイコンと位置関係どおりに対応付けられており、所望する機能を表すアイコンに対応するファンクションキーを押下することによって、所望の機能を選択することができる。図中、コピーはプリント・スキャン部108を用いてスキャンエンジンによって原稿上の画像を読み取って得た画像データをプリントエンジンでシート上にプリントする機能である。フォトは外部I/F部109を介して外部メモリから取得した画像データをプリント・スキャン部108のプリントエンジンでシート上にプリントする機能である。スキャンはプリント・スキャン部108のスキャンエンジンによって原稿上の画像を読み取って得た画像データを外部I/F部109を介して外部装置に出力する機能である。
【0014】
CPU102は、上述の操作方法によって、ユーザがエコ設定画面への遷移を指示したことを検知し(S3−1)、液晶表示部201にエコ設定画面を表示させる(S3−2)。図16(a)はエコ設定画面の一例である。図に示されたコピー、PDF文書印刷、定型フォーム印刷は画像形成装置101に搭載されている機能のなかで、印刷属性として両面設定を有するすべての機能であり、それぞれの機能について、用紙節約のため両面設定を設定することができる。ここでPDF文書印刷とは、外部I/F部109を介して外部メモリ等から取得したPDFファイルをプリント・スキャン部108のプリントエンジンによってシート上にプリントする機能である。定型フォーム印刷とは、ROM104に予め記憶されている定型フォームを読み出し、ユーザに指定された画像を合成させてプリント・スキャン部108のプリントエンジンを用いてシート上にプリントする機能である。
【0015】
エコ設定の設定方法は図12のフローチャートで示される。CPU102はユーザが操作キーを入力したことを検知する(S12−1)。入力されたキーが上下キー206、207であったと判断した場合は(S12−2)、上下キーに応じて液晶表示部201に表示されているカーソルを移動させる(S12−3)。入力されたキーが左右キー204、205であったと判断した場合は(S12−4)、左右キーに応じて液晶表示部201のカーソルに示される機能の設定を変更させる(S12−5)。入力されたキーがOKキー203であったと判断した場合は(S12−6)、エコ設定を完了する。
【0016】
CPU102は、上述の設定方法によって、ユーザの所望するエコ設定が設定されたことを検知する(S3−3)。次に、エコ設定が完了してから、エコ設定EEPROM記憶処理(S3−4)、ホーム画面アイコン切換制御(S3−5)、エコ設定RAM記憶処理(S3−6)を順に行う。
【0017】
エコ設定EEPROM記憶処理は図4のフローチャートで示される。CPU102は、EEPROM105のコピーの両面設定を記憶する領域に、ユーザによって設定されたエコ設定のコピーの両面設定を記憶する(S3−4−1)。つまり、エコ設定よりコピーの両面設定を両面印刷と設定した場合は、EEPROM105のコピーの両面設定を記憶する領域に両面印刷であることを記憶し、そうでない場合は片面印刷であることを記憶するように制御する。なお、S3−4−2ではPDF文書印刷について、S3−4−3では、定型フォーム印刷について、それぞれS3−4−1と同様の処理を行う。この処理によって、エコ設定画面の設定内容がEEPROM105に記憶される。これによりエコ設定で設定された内容が画像形成装置101の電源がOFFにされた後も記憶されたままとなる。
【0018】
ホーム画面アイコン切換制御は図5のフローチャートで示される。CPU102は、EEPROM105に記憶されたコピーの両面設定と、ROM104に記憶されたコピーの両面設定の初期値を比較する(S3−5−1)。比較した結果が異なる場合は、液晶表示部201のホーム画面のコピーアイコンにエコシンボルを付加させ(S3−5−2)、比較した結果が同じである場合は、エコシンボルを除去させる(S3−5−3)。本実施例において、ROM104に記憶されたコピー、PDF文書印刷、定型フォーム印刷の両面設定の初期値は片面印刷である。つまり、EEPROM105に記憶されたコピーの両面設定が両面印刷である場合は、ROM104に記憶されたコピーの両面設定の初期値と異なるので、コピーのエコ設定が有効であるとして液晶表示部201にエコシンボルを表示するということである。なお、S3−5−4からS3−5−6ではPDF文書印刷について、S3−5−7からS3−5−9では定型フォーム印刷について、それぞれS3−5−1からS3−5−3と同様の処理が行われる。この制御によって、エコ設定が有効である場合は、液晶表示部201にエコシンボルを表示することになる。図16(b)はエコシンボルの一例である。このエコシンボルはエコ設定において推奨されている設定(用紙を節約する設定)が設定された状態であることをユーザに通知するためのものである。ただし、当該設定がなされているかどうかが通知できればシンボル以外の識別情報によって設定されているか否かを表示するものとしてもよい。
【0019】
エコ設定RAM記憶処理は図6のフローチャートで示される。これは各機能において印刷処理を行う際の印刷属性のデフォルト設定を反映させるために行う処理である。CPU102は、RAM103のコピーの両面設定を記憶する領域に、EEPROM105のコピーの両面設定を記憶する領域に記憶された値を記憶する(S3−6−1)。つまり、EEPROM105に記憶されたコピーの両面設定が両面印刷である場合は、RAM103のコピーの両面設定を記憶する領域に両面印刷であることを記憶し、そうでない場合は、片面印刷であることを記憶する。なお、S3−6−2ではPDF文書印刷について、S3−6−3では、定型フォーム印刷について、それぞれS3−6−1と同様の処理を行う。この処理によって、エコ設定の設定内容がRAM103に記憶される。CPU102は、S3−4からS3−6までの処理が完了した後、液晶表示部201にホーム画面を表示させる(S3−7)。
【0020】
エコ設定より、両面設定を両面印刷に設定すると、S3−4からS3−6の処理によって、エコ設定の各機能の設定内容がEEPROM105とRAM103に記憶され、ホーム画面にエコシンボルが表示される。図15(b)はコピーのエコ設定が有効である場合の液晶表示部201に表示されるホーム画面の一例である。図に示すように、コピーのアイコンの右下にエコシンボルが付加されており、コピーのエコ設定が有効であることをホーム画面から一見して判別できるという効果がある。なお、エコ設定により設定できる印刷属性は両面設定ではなく、レイアウト設定であってもよい。レイアウト設定とは、用紙の節約に寄与する印刷属性の一つであり、原稿2枚分の内容を1枚に収める2in1と、原稿4枚分の内容を1枚に収める4in1と、原稿1枚分の内容をそのまま1枚に収める集約なし、を設定値として持つ。以下、レイアウト設定を設定内容として持つエコ設定をレイアウト版エコ設定と呼ぶ。図20(a)はレイアウト版エコ設定画面の一例である。レイアウト版エコ設定より、各機能のレイアウト設定を設定した場合の処理の流れは、S3−4からS3−6のフローチャートにおいて、両面設定をレイアウト設定に置き換えた場合に対応している。本実施例において、ROM104に記憶されたコピー、PDF文書印刷、定型フォーム印刷のレイアウト設定の初期値は集約なしであるため、エコ設定よりレイアウト設定が2in1もしくは4in1に設定された場合に、エコ設定が有効となる。
【0021】
(個別設定画面)
次に、図7のフローチャートを参照して、個別設定画面である印刷設定画面について、ユーザによって行われる操作に対するCPU102の処理について説明する。なお、印刷設定画面は機能ごとに存在し、印刷属性を機能ごとに個別に設定する画面である。個別設定画面では複数の機能のいずれかを指定し、その機能に対する処理条件を設定する。ここで行われた設定は一括設定画面で設定された処理条件を一時的に変更して処理を実行する際に用いることができる。ただし、ここで設定した処理条件を初期値に置き換えることも可能である。また、図7のフローチャートは図3のフローチャートの続きであるとする。
【0022】
はじめに、ホーム画面が表示された状態からコピーの印刷設定を完了するまでの流れについて説明する。CPU102は、ユーザがコピー画面への遷移を指示したことを検知し(S7−1)、コピー画面アイコン切換制御(S7−2)を行う。
【0023】
図17(a)はコピー画面の一例である。図に示すように、コピー画面にはコピーの印刷属性の一部である用紙サイズ、印刷倍率、印刷濃度の設定値が表示されている。アイコン表示領域701には、両面設定の設定値を表したアイコンが表示される。このアイコン表示領域701に表示するアイコンを決定するための制御がコピー画面アイコン切換制御である。
【0024】
個別設定に基づくコピー画面アイコン切換制御は図8のフローチャートで示される。はじめに、CPU102はS3−6によってRAM103のコピーの両面設定を記憶する領域に記憶された値を取得し、判断する(S7−2−1)。取得した値が両面印刷と判断した場合は、アイコン表示領域701に設定値が両面印刷であることを示すアイコンが表示させ(S7−2−2)、そうでない場合は、片面印刷であることを示すアイコンを表示させる(S7−2−3)。次に、CPU102はRAM103に記憶されたコピーの両面設定と、ROM104に記憶されたコピーの両面設定の初期値を比較する(S7−2−4)。比較した結果が異なる場合は、EEPROM105に記憶されたコピーの両面設定と、ROM104に記憶されたコピーの両面設定の初期値を比較する(S7−2−5)。比較した結果が異なる場合は、液晶表示部201のアイコン表示領域701に表示されるアイコンにエコシンボルを付加させる(S7−2−6)。S7−2−4とS7−2−5のどちらか一方でも、比較した結果が同じである場合は、液晶表示部201のアイコン表示領域701に表示されるアイコンのエコシンボルを除去させる(S7−2−7)。この制御によって、RAM103とEEPROM105に記憶されている両面設定が、ROM104に記憶されている両面設定と異なる場合は、液晶表示部201にエコシンボルが表示される。
【0025】
CPU102はS7−2によってアイコン表示領域701に表示されるアイコンが決定した後、液晶表示部201にコピー画面を表示させる(S7−3)。図17(b)はコピーのエコ設定が有効である場合のコピー画面の一例である。アイコン表示領域701に表示されているアイコンによって両面設定が両面印刷であることと、アイコンの右下にエコシンボルが表示されていることから、エコ設定が有効であることが、コピー画面から一見して判別できるという効果がある。なお、図20(b)はコピーのレイアウト版エコ設定が2in1に設定されている場合のコピー画面の一例である。
【0026】
コピー画面では、ユーザが印刷設定画面に対応するファンクションキー210を押下することによって、CPU102は、ユーザが印刷設定画面への遷移を指示したことを検知し(S7−4)、両面設定表示制御(S7−5)を行う。
【0027】
図18(a)は印刷設定画面の一例である。図に示すように、印刷設定画面にはコピーの印刷属性である印刷倍率、印刷濃度、用紙サイズ、用紙種類、印刷品質、両面設定、レイアウト設定、原稿向き等の印刷属性の項目と、その右欄に、それぞれの印刷属性の設定値が表示されている。この印刷属性の中で、両面設定の項目の右欄に表示される設定値を決定するための制御が両面設定表示制御である。
【0028】
両面設定表示制御は図9のフローチャートで示される。はじめに、CPU102はS3−6によってRAM103のコピーの両面設定を記憶する領域に記憶された値を取得し、判断する(S7−5−1)。液晶表示部201の印刷設定画面の両面設定の項目の右欄に両面印刷と表示させ(S7−5−2)、そうでない場合は、片面印刷と表示させる(S7−5−3)。次に、CPU102はRAM103に記憶されたコピーの両面設定と、ROM104に記憶されたコピーの両面設定の初期値を比較する(S7−2−4)。比較した結果が異なる場合は、EEPROM105に記憶されたコピーの両面設定と、ROM104に記憶されたコピーの両面設定の初期値を比較する(S7−2−5)。比較した結果が異なる場合は、液晶表示部201の印刷設定画面の両面設定の項目の右にエコシンボルを付加させる(S7−5−6)。S7−5−4とS7−5−5のどちらか一方でも、比較した結果が同じである場合は、液晶表示部201の印刷設定画面の両面設定の項目の右のエコシンボルを除去させる(S7−2−7)。この制御によって、RAM103とEEPROM105に記憶されている両面設定が、ROM104に記憶されている両面設定と異なる場合は、液晶表示部201にエコシンボルが表示される。
【0029】
S7−5によって、印刷設定画面の両面設定の項目の右欄に表示される設定値が決定した後、CPU102は液晶表示部201に印刷設定画面を表示させる(S7−6)。図18(b)はコピーのエコ設定が有効である場合の印刷設定画面の一例である。図に示すように、両面設定の項目の右にエコシンボルが表示されており、両面設定の設定値のほかに、エコ設定が有効であることを印刷設定画面から一見して判別できるという効果がある。なお、印刷設定画面では印刷属性ごとに設定値を変更することができる。
【0030】
印刷設定の設定方法は図13のフローチャートで示される。CPU102は、ユーザによって操作キーの入力が行われたことを検知する(S13−1)。入力されたキーが上下キー206、207であったと判断した場合は(S13−2)、上下キーに応じて液晶表示部201のカーソルを移動した後(S13−3)、後述のエコシンボル表示制御を行う(S13−4)。入力されたキーが左右キー204、205であったと判断した場合は(S13−5)、左右キーに応じて液晶表示部201のカーソルに示される印刷属性の設定を変更した後(S13−6)、後述のエコシンボル表示制御を行う(S13−7)。入力されたキーがOKキー203であったと判断した場合は(S13−8)、印刷設定を完了する。
【0031】
エコシンボル表示制御は図14のフローチャートで示される。はじめに、CPU102はEEPROM105に記憶されたコピーの両面設定と、ROM104に記憶されたコピーの両面設定の初期値を比較する(S13−4−1)。比較した結果が異なる場合は、印刷設定画面の両面設定の項目の右欄に表示されている設定内容を判断する(S13−4−2)。設定が両面印刷と判断した場合は、液晶表示部201の印刷設定画面の両面設定の項目の右にエコシンボルを付加させ(S13−4−3)、そうでない場合は、エコシンボルを除去させる(S13−4−4)。S13−4−1によって比較した結果が同じである場合も同様に、エコシンボルを除去させる(S13−4−4)。この制御によって、印刷設定画面より両面設定の変更に応じて、液晶表示部201のエコシンボルの表示/非表示が更新される。
【0032】
上述の設定方法によって、CPU102はユーザの所望する印刷設定が設定されたことを検知する(S7−7)。次に、CPU102は両面設定RAM記憶処理(S7−8)を行う。
【0033】
両面設定RAM記憶処理は図10のフローチャートで示される。CPU102は、RAM103のコピーの両面設定を記憶する領域に、ユーザによって設定された印刷設定の両面設定を記憶する(S7−8−1)。つまり、印刷設定より、両面設定を両面印刷に設定されたと判断した場合は、RAM103のコピーの両面設定を記憶する領域に両面印刷であることを記憶し、そうでない場合は片面印刷であることを記憶させる。この処理によって、印刷設定画面により設定された両面設定の設定内容がRAM103に記憶される。CPU102はS7−8の処理が完了した後、液晶表示部201にコピー画面を表示させる(S7−9)。このように設定された印刷設定に従い、一時的に初期値とは異なる処理条件に従って処理を実行させることができる。即ち、エコ設定により初期値が両面設定が両面印刷となっていても片面印刷に変更してコピーを行うことができる。
【0034】
(初期化処理)
次に、印刷設定の初期化処理について説明する。なお、本実施例における初期化とは、印刷設定画面より設定された設定値を一括設定画面によって設定された設定値に一括して戻すことを意味している。本実施例では、コピー画面上で、印刷設定の初期化させるための操作であるSTOPキー211、HOMEキー214のスイッチのいずれかが入力された場合を例に説明する。はじめに、CPU102は、操作キーが入力されたことを検知する(S7−10)。入力されたキーを判断し(S7−11)、STOPキー211と判断した場合は、後述の印刷設定初期化処理と(S7−12)、コピー画面アイコン切換制御(S7−13)を順に行う。入力されたキーをHOMEキー214と判断した場合は、後述の印刷設定初期化処理を行い(S7−14)、液晶表示部201にホーム画面を表示させる(S7−15)。
【0035】
印刷設定初期化処理は図11のフローチャートで示される。CPU102は、RAM103のコピーの両面設定を記憶する領域に、EEPROM105に記憶されたコピーの両面設定を記憶する領域に記憶された値を記憶する(S7−12−1)。つまり、EEPROM105のコピーの両面設定を記憶する領域に記憶されている値を両面印刷と判断した場合は、RAM103のコピーの両面設定を記憶する領域に両面印刷であることを記憶し、そうでない場合は、片面印刷であることを記憶する。この処理によって、印刷設定を一括設定画面によって設定された設定値に一括して戻すことが可能となる。
【0036】
即ち、一括設定画面で設定された初期値に対応する処理条件を、個別設定画面において特定の機能の利用に際して一時点に変更して処理を実行させた後、初期化のための操作によって容易に元の処理条件に戻すことができる。これにより、一括設定によって設定されたエコ設定による初期値を変更せずに、必要な場合に初期値以外の処理条件で処理を実行させることができる。
【0037】
なお、以上の説明はコピー機能における個別設定画面からの一時的な処理条件の変更について述べたが、他の機能についても機能の指定を行った後、個別設定画面で同様にして一時的に処理条件を変更させることができる。
【0038】
また、ユーザが印刷設定を初期化するタイミングは、S7−10のタイミングに限定されるものではなく、他のタイミングであってもよい。個別設定画面で変更された処理条件による処理(印刷)を1回行った後であったり、個別設定画面での設定を行った後、所定時間経過しても何も処理が開始されなかったり、操作されなかったりしたタイミング(アイドル時間が所定期間を越えた時)でもよい。また、印刷設定初期化の指示は、STOPキー211、HOMEキー214に限定されるものではない。例えば、POWERキー202の押下によって、画像形成装置101の再起動を行った場合は、RAM103に記憶された内容は消去され、印刷設定は、ROM104に記憶された初期設定値に一括して戻ることになる。いずれにしても、初期化するための条件が成立した(変更後の処理の実行、アイドル時間が所定期間を越えた、所定の操作を行った等)場合に、上記初期化処理を行えばよい。
【0039】
なお、上記例では、一括設定画面の例としてエコ設定について説明した。一括設定としてはこれに限らず、他の設定としてもよい。ここでは品質設定について述べる。
【0040】
品質設定は印刷品質を、一つの画面上で、すべての機能に対して一括で同一の設定値に設定する設定画面である。印刷品質とは、印刷物の品質もしくは印刷速度に寄与する印刷属性の一つであり、印刷物を高品質に印刷する「きれい」と、印刷物を高速に印刷する「はやい」と、これらの中間の「標準」を設定値として持つ。
【0041】
図19は品質設定画面の一例である。図に示すように、一つの画面内で、画像形成装置101に搭載された機能の中で、印刷属性として印刷品質を有する機能の印刷品質を、一括で設定することができる。なお、本実施例において、ROM104に記憶されたコピー、PDF文書印刷、定型フォーム印刷の印刷品質の初期値は標準であるため、品質設定より印刷品質が「きれい」、もしくは、「はやい」に設定された場合に、品質設定が有効であることを示す。図19(b)は品質設定より印刷品質がきれいに設定された場合の品質シンボルの一例であり、図19(c)は品質設定より印刷品質がはやいに設定された場合の品質シンボルの一例である。これら以外は上記エコ設定の場合と同様に処理を行う。
【0042】
以上のように本実施形態によれば、複数の機能で共通に設定可能な処理条件を容易に一括設定できるとともに、一時的にこの設定を解除した場合、容易に解除して他の処理条件での処理を実行させることができる。そして解除された処理条件は容易に元の一括設定による処理条件に戻すことができる。また、現在の処理条件が一括設定により設定された処理条件となっているかどうかを、シンボル等の識別情報によって表示するので、ユーザは誤って意図しない処理条件で処理を行わせることがなくなる。また、一括設定画面においては、エコや品質など、特定の目的を持って設定すべき共通設定に特化して設定を行わせるので、画面上の情報量も抑えることもできユーザは容易に設定のための操作を行わせることができる。
【0043】
なお、以上の例では印刷機能に関する共通設定を例に述べたが他の設定としてもよい。例えば、コピーのためのスキャンエンジンの動作設定(読取解像度など)と外部装置への出力のためのスキャンエンジンの動作設定としてもよい。また、マルチファンクション装置としては上述のものにも限らない。ファクシミリ機能とコピー機能とを有したものや、スキャンエンジンからの読取画像を装置内のメモリに記憶する機能と、外部装置に出力する機能とを有したものなど、種々のタイプのマルチファンクション装置としてもよい。
【0044】
また、本実施形態は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(CPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。また、プログラムは、1つのコンピュータで実行させても、複数のコンピュータを連動させて実行させるようにしてもよい。また、上記した処理の全てをソフトウェアで実現する必要はなく、一部または全部をハードウェアによって実現するようにしてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の機能を有したマルチファンクション装置であって、
複数の機能において共通に設定可能な処理条件を設定する設定手段と、
前記設定手段において設定された処理条件を記憶する記憶手段と、
前記複数の機能のいずれかの機能を指定し、前記設定手段により設定された処理条件を変更する変更手段と、
所定の条件が成立した場合に前記変更手段により変更された処理条件を、前記記憶手段により記憶された処理条件に従って初期化する初期化手段とを有することを特徴とするマルチファンクション装置。
【請求項2】
前記設定手段により所定の処理条件が設定されたことを識別するための識別情報を表示装置に表示させる表示制御手段を有することを特徴とする請求項1に記載のマルチファンクション装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記変更手段により変更された処理条件の内容に応じて前記識別情報を表示させるか否か切り替えることを特徴とする請求項2に記載のマルチファンクション装置。
【請求項4】
前記初期化手段は、ユーザによる所定の操作、所定の時間経過または前記変更手段により変更された処理条件による処理の実行に応じて初期化を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のマルチファンクション装置。
【請求項5】
前記設定手段により設定される共通に設定可能な処理条件は印刷に関わる設定であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のマルチファンクション装置。
【請求項6】
前記設定手段は、印刷に使用するシートを節約するための設定を行うことを特徴とする請求項5に記載のマルチファンクション装置。
【請求項7】
前記設定手段は、印刷品質に関する設定を行うことを特徴とする請求項5に記載のマルチファンクション装置。
【請求項8】
前記設定手段は、共通に設定可能な処理条件を前記複数の機能毎に設定することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のマルチファンクション装置。
【請求項9】
複数の機能を有したマルチファンクション装置の制御方法であって、
複数の機能において共通に設定可能な処理条件を設定し、
前記設定された処理条件をメモリに記憶し、
前記複数の機能のいずれかの機能を指定し、前記設定された処理条件を変更し、
所定の条件が成立した場合に前記変更された処理条件を、前記メモリに記憶された処理条件に従って初期化することを特徴とするマルチファンクション装置の制御方法。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のマルチファンクション装置の各手段をコンピュータにより実現することを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−26897(P2013−26897A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160912(P2011−160912)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】