説明

マルチフィラメント糸を溶融紡糸し、延伸しかつ巻き上げる方法並びにこの方法を実施する装置

本発明は、マルチフィラメント糸を溶融紡糸し、延伸しかつ巻き上げてFDY糸を形成する方法、及びこの方法を実施する装置に関する。この場合初めに、熱可塑性の溶融物から多数のフィラメントを押し出し、押し出されたフィラメントを、熱可塑性材料のガラス固化温度を下回る温度に冷却し、準備処理液の供給なしにフィラメントをまとめてフィラメント束を形成する。次いで、フィラメント束を、1500m/分を上回る範囲の引出し速度で引き出し、フィラメント束を、熱可塑性材料のガラス固化温度を上回る温度に加熱し、フィラメント束を、4000m/分を上回る範囲の延伸速度で延伸する。次に、フィラメント束を準備処理液によって準備処理し、糸をスプールに巻き上げる。そのために本発明による装置では、準備処理装置が、延伸装置と巻上げ装置との間における糸走行ゾーンに配置されていて、該糸走行ゾーンにおいて糸が、4000m/分を上回る糸走行速度を有している。このようにして、本発明による方法及び本発明による装置は、FDY糸を製造するために、エネルギに関して最適化されたプロセスを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチフィラメント糸を溶融紡糸し、延伸しかつ巻き上げてFDY糸を形成する方法、並びに請求項9の上位概念部に記載した形式の、前記方法を実施する装置に関する。
【0002】
このような形式の、マルチフィラメント糸を溶融紡糸し、延伸しかつ巻き上げる方法並びにこの方法を実施する装置は、例えばDE3146054A1に基づいて公知である。
【0003】
合成糸を製造する場合、糸の内部におけるポリマ材料の分子連鎖の配向の程度に関連して、いわゆるPOY糸とFDY糸とが区別される。予備配向された糸(Pre Oriented Yarn)であるPOY糸は、まだ完全には延伸されていない、予備配向された構造を有している。このような糸は有利には、延伸テクスチャード過程においてさらに処理される。これに対して、完全に延伸された糸(Full Drawn Yarn)であるFDY糸は、完全に延伸された配向された構造を有している。このような糸は従って、さらなる処理なしに直に面状製品へと加工することができる。
【0004】
いわゆるFDY糸を単段過程において製造できるようにするために、押し出されたばかりのフィラメントは、1つの糸にまとめられた後で完全に延伸され、次いでスプールに巻き上げられる。このようなFDY糸を製造する方法は、例えばDE3146054A1に開示されている。最初に、例えばポリエステル又はポリアミドであるポリマ溶融物から、多数のフィラメントが押し出される。これらのフィラメントは次いで、ポリマ材料を硬化させるために冷却され、冷却後にまとめられて、準備処理液によって湿潤される。準備処理された糸は引き出されて、ゴデットの間において延伸される。この場合通常、糸は所定の延伸ポイントを解すために、延伸の前に加熱される。そのために、加熱されるゴデット周壁を備えた引出しゴデットが設けられており、このゴデット周壁の周囲において糸は簡単な巻掛けによって案内される。4000m/分を上回ることもある延伸速度に基づいて、引出しゴデットに糸が部分的に巻き掛けられている場合には、極めて短い接触長さしか生ぜず、延伸ポイントを引き起こす温度に糸を十分に加熱することができない。例えば加熱延伸は、糸材料のガラス固化温度が得られた場合に、達成することができる。これは例えばポリエステルのためには、約85℃の温度である。従ってゴデットへの部分巻掛け時に得られる、糸を加熱するための接触長さは、糸のすべてのフィラメントを完全にかつ均一に加熱するのには不十分である。
【0005】
公知の方法及び公知の装置は、糸において完全な加熱延伸を実施するためには、条件付きでしか適していない。
【0006】
明細書に択一的に提案されている方法、つまり糸を引出しゴデットに複数回巻き掛けて案内する方法によっても、加熱延伸は、引出しゴデット及び延伸ゴデットにおける大量のエネルギ及び材料の使用によってしか実現することができない。
【0007】
ゆえに本発明の課題は、冒頭に述べた形式の、マルチフィラメント糸を溶融紡糸し、延伸しかつ巻き上げる方法並びにこの方法を実施する装置を改良して、可能な限り僅かな消費エネルギで完全な延伸のために糸を加熱することができるようにすることである。
【0008】
本発明の別の課題は、冒頭に述べた形式の方法及び装置を改良して、互いに平行にもしくは並列的に紡糸された複数のフィラメント束を、可能な限りコンパクトな配置形式で製造できるようにすることである。
【0009】
上記課題を解決するために本発明の方法では、マルチフィラメント糸を溶融紡糸し、延伸しかつ巻き上げてFDY糸を形成する方法であって、次のステップ、すなわち、
1.1 熱可塑性の溶融物から多数のフィラメントを押し出し、
1.2 押し出されたフィラメントを、熱可塑性材料のガラス固化温度を下回る温度に冷却し、
1.3 流体の供給なしにフィラメントをまとめてフィラメント束を形成し、
1.4 フィラメント束を、1500m/分を上回る範囲の引出し速度で引き出し、
1.5 フィラメント束を、熱可塑性材料のガラス固化温度を上回る温度に加熱し、フィラメント束を、3500m/分を上回る範囲、有利には4000m/分を上回る範囲の延伸速度で延伸し、
1.6 フィラメント束を準備処理液によって準備処理し、
1.7 糸をスプールに巻き上げる、
というステップを有するようにした。
【0010】
また前記課題を解決するために本発明の装置では、上記方法を実施する装置であって、複数のフィラメントを押し出すための紡糸ノズルと、フィラメントを冷却するための冷却装置と、複数のフィラメントを1つのフィラメント束にまとめるための集合糸ガイドと、フィラメント束を引き出すための引出し手段と、フィラメント束を延伸するための延伸装置と、糸を巻き上げるための巻上げ装置と、フィラメント束を準備処理するための準備処理装置とが設けられている形式のものにおいて、準備処理装置が、延伸装置と巻上げ装置との間における糸走行ゾーンに配置されていて、該糸走行ゾーンにおいてフィラメント束が、3500m/分を上回る糸走行速度を有しているようにした。
【0011】
本発明による別の有利な構成は、特許請求の範囲の従属請求項に記載されている。
【0012】
本発明は、マルチフィラメント糸の加熱時には、糸材料と準備処理液とが均一に加熱されねばならない、という認識に基づいている。例えば準備処理された糸の加熱前に、初めに、準備処理液の水分が蒸発させられ、フィラメント複合体から解離される。
【0013】
解決策を見出す際には、初めに著しく大きな前提条件が存在していた。例えば一般的に公知であるように、複数のフィラメントからまとめられたフィラメント束は、表面との各接触時に静電荷され、このような静電荷によってフィラメント束はコントロールされずに拡開してしまう。さらに糸をさらに処理するためには、フィラメントを準備処理液によって湿らせることが強制的に必要である。しかもこの場合、フィラメント束の個々のフィラメントには準備処理液が均一に分配もしくは分布及び付着することが、保証されていなくてはならない。しかしながらこのような方法ステップは、糸速度が高い場合に、困難を伴ってしか実施することができない。
【0014】
多くの前提条件にもかかわらず、本発明は、糸の準備処理を延伸後に行うという、まったく新たな方法を選択している。そのために準備処理装置は、延伸装置と巻上げ装置との間における糸走行ゾーンに配置されており、この糸走行ゾーンにおいて糸は、4000m/分を上回る糸走行速度を有している。これによって、延伸されたばかりのフィラメント束を冷却後に、準備処理液の供給なしに乾燥状態において加熱し、かつ延伸することができる。
【0015】
本発明は、US3840633に基づいて公知の方法に基づいても推考されなかった。この公知の方法では、押し出されたばかりのフィラメント束が低い速度で引き出され、1200m/分の最大の延伸速度で延伸される。この場合フィラメント束は直接、ゴデットの周囲においてまとめられて引き出される。従ってこの公知の方法は、例えば1500m/分を上回る引出し速度においてフィラメント束を確実に案内するためには、まったく適していない。引出しゴデットへの走入時において既に、大きな拡開、ひいては処理における不均一性を回避することができない。そして開放された複合体に基づいて、フィラメントそれぞれにおいて摩擦が作用し、この摩擦によって、フィラメントの不良な導電率に基づいてフィラメントは電荷されることになる。このような効果もしくは現象は、フィラメントの引出し速度が高くなればなるほど、さらに激しくなる。さらに通常は、1つの引出しゴデットを用いて複数のフィラメント束が互いに平行に並んで、1つの紡糸ゾーンから引き出される。このことは公知の方法によってはしかしながらまた、不可能であると言わざるを得ない。それというのは、糸間隔が小さい場合には、個々のフィラメントの飛び跳ねを回避することができないからである。
【0016】
本発明による方法及び装置では、フィラメント束は冷却後にまとめられ、次いで既に束ねられた状態で引出し手段、有利には引出しゴデットによって、1200m/分、有利には1500m/分を上回る範囲の引出し速度で引き出され、その結果フィラメントの延伸のためには、3500m/分、有利には4000m/分を上回る範囲の延伸速度が必要である。
【0017】
3500m/分を上回る極めて高い糸速度でフィラメント束を延伸した後で、フィラメント束のフィラメントを集中的に湿らせるために、本発明の有利な方法では、フィラメント束を、駆動される2つのゴデットの間において緊張させられた糸部分において準備処理するようにした。このようにすると、糸の緊張もしくは応力を、フィラメント束の前記糸部分におけるゴデットの周速度の調節によって、準備処理のプロセスステップに合わせて調節することができる。
【0018】
フィラメント束のすべてのフィラメントに対して準備処理液を均一に分布もしくは分配できるようにするために、本発明の有利な方法では、フィラメント束を準備処理のために、微細な孔を有する孔付金属薄板の湾曲した接触面に沿って案内し、該孔付金属薄板の下側において連続的に準備処理液を供給するようにした。このようにすると、一方では湿し手段の接触面においてフィラメントを帯状に分配させることができ、かつ他方では、フィラメントと孔付金属薄板の湿った表面との間における接触面において十分な接触長さを実現することができ、その結果4000m/分を上回る極めて高い糸走行速度においても、フィラメントを十分にかつ集中的に湿らせることが可能になる。
【0019】
高い糸走行速度で乾燥したフィラメント束を引出しかつ延伸するために、本発明の別の有利な方法では、フィラメント束を、駆動されるゴデットの周囲に単純に巻き掛けて案内し、この際にフィラメント束を、少なくとも引出しゴデット1において環状のガイド溝内で案内するようにした。このようにすると、一方では、個々のフィラメントとゴデット表面との間における摩擦が最小になり、かつ他方では、フィラメント束におけるフィラメントのまとまりが改善される。この有利な方法の別の利点としては、1つのゴデットにおいて複数の糸を僅かな糸間隔をおいて並べて確実に案内できる、ということがある。
【0020】
熱間延伸を実施できるようにするために、本発明の別の方法では、フィラメント束を、加熱された表面との接触によって、及び/又は接触なしに熱放射によって、及び/又は対流によって加熱するようにした。通常の繊維の糸番手では、熱可塑性材料のガラス固化温度を上回る温度にフィラメント束を十分に加熱するためには、接触加熱の場合比較的長い加熱区間が必要である。フィラメント束はしかしながらまた有利には無接触式に輻射ヒータ、例えば赤外線ヒータを用いて、所望の温度に加熱することも可能である。この場合有利には、ゴデットの間における糸区間を、フィラメント束を加熱するために使用することができる。
【0021】
糸をさらに処理するためには、糸が十分な糸結合部を有していることが必要であり、このような糸結合部は通常、フィラメント束の交絡時に生じるいわゆる交絡結節部によって生ぜしめられる。特に先行するプロセスステップ及び後続のプロセスステップとは無関係に、交絡のために最適な糸緊張を糸において調節することができるようにするために、本発明の有利な方法では、糸を巻上げの前に、駆動される2つのゴデットの間において緊張させられた糸部分において交絡させ、この交絡によって、糸長さ1m当たり少なくとも10の交絡結節部を生ぜしめるようにした。これにより、両方のゴデットの間における速度差を調節することによって、交絡のために最適な糸緊張を調節することができる。そしてこの場合、例えば巻上げのような後続のプロセスステップは、前記糸緊張とは無関係な巻上げ緊張によって実施することができる。
【0022】
本発明による方法の特に有利な別の方法では、引出し及び延伸時におけるフィラメント束の案内を、例えばゴデットの滑らかな外周面において改善するために、フィラメント束にまとめた後で、まとめられたフィラメント束を引き出す前に、フィラメント束において撚りを生ぜしめるようにした。この場合には、フィラメント束において戻る撚りを、まとめる際に停止することが保証され、押出し後及び冷却時における糸の案内が、撚りの影響を受けることがなくなる。しかも糸走行において先行する撚りは、フィラメント束内におけるフィラメントのまとまりを改善するために役立つ。
【0023】
本発明による方法を実施するための本発明による装置は、準備処理装置が、延伸装置と巻上げ装置との間における糸走行ゾーンに配置されていて、該糸走行ゾーンにおいてフィラメント束が、3500m/分を上回る糸走行速度を有している、という特徴を有している。このように構成されていると、糸を延伸時に僅かな消費エネルギで、有利には糸材料のガラス固化温度を上回る延伸温度に、加熱することができる。
【0024】
準備処理装置は、最適な糸緊張を調節できるようにするために、糸走行ゾーンにおいてフィラメント束を案内する駆動される2つのゴデットの間に配置されている。そのために両ゴデットにはそれぞれ、互いに無関係に独立して制御可能な固有の駆動装置が配属されており、その結果、両ゴデットの速度差を0に調節することも、又は僅かにすることも可能である。
【0025】
準備処理液を連続的に供給してフィラメント束を適宜に湿らせるために、本発明の有利な構成では、準備処理装置がフィラメント束を湿すために、微細な孔を備えた孔付金属薄板を有しており、該孔付金属薄板がその下側において、準備処理液を供給するための圧力室と接続されていて、かつ上側には、湾曲した接触面を有している。この場合特に、例えば電鋳法もしくは電型法によって製造される極めて薄い孔付金属薄板が、特に適している。
【0026】
引出し及び延伸のために本発明による装置は有利には、駆動される複数のゴデットを有していて、これらのゴデットによってフィラメント束は単純な巻掛けによって案内可能であり、少なくとも1つの引出しゴデットが周囲に、フィラメント束を案内するための環状のガイド溝を有している。
【0027】
延伸温度へのフィラメント束の加熱は、本発明による装置では有利には、延伸装置に配属された加熱手段によって実施され、この加熱手段は、接触式ヒータ及び/又は輻射ヒータによって形成されている。しかしながらまた、例えば流体によって糸を加熱する、対流式ヒータも同様に使用することができる。
【0028】
糸の巻上げ前に糸結合部を形成するために、本発明による装置では交絡装置が設けられており、この交絡装置は、準備処理装置と巻上げ装置との間に配置されており、該交絡装置には、走入側と走出側とにそれぞれ1つの駆動されるゴデットが配属されている。このように構成されていると、ゴデットの個々の駆動装置を制御することによって所望の糸緊張を調節することができる。
【0029】
フィラメント束が撚りを有するような、方法を実施するためには、本発明による装置は、糸走行路において集合糸ガイドに後置された加撚機を有していて、この加撚機によってフィラメント束に撚りを生ぜしめることができる。加撚機としてはこの場合有利には空気ノズルが使用され、この場合フィラメント束において衝突する空気流がフィラメント束に撚りを生ぜしめる。
【0030】
次に図面を参照しながら、本発明による方法及びこの方法を実施する本発明による装置の実施例について詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明による方法を実施する本発明による装置の第1実施例を示す側面図である。
【図2】図1に示された実施例の正面図である。
【図3】本発明による方法を実施する本発明による装置の別の実施例を示す正面図である。
【図4】本発明による方法を実施する本発明による装置の別の実施例を示す側面図である。
【0032】
図1及び図2には、FDY糸を製造するための本発明による方法を実施する、本発明による装置の1実施例が示されている。図1にはこの実施例が側面図で示され、図2には正面図で示されている。両方の図のうちの一方を特に参照するという記載がない限り、以下における記載は、両方の図に対して言えることである。
【0033】
マルチフィラメント糸を溶融紡糸するためには、加熱可能な紡糸ヘッド1が設けられており、この紡糸ヘッド1はその下側に、多数のノズル開口を備えた紡糸ノズル3を有し、かつ上側に溶融物供給路2を有している。この溶融物供給路2は、図示されていない溶融物源、例えば押出し機と連結されている。紡糸ヘッド1の内部には、溶融物を案内しかつ溶融物を搬送する別の部材が配置されていてもよいが、これらの部材については、ここでは触れない。
【0034】
紡糸ヘッドはその下側に複数の紡糸ノズル3を有しており、これによって同時に複数の糸を互いに平行に並んで紡糸することができる。以下における装置及びユニットにおいてはしかしながら1つの糸の経過についてだけ詳しく説明する。基本的に、互いに平行に並んで生ぜしめられる全部で4つの糸は、それぞれ同じ処理を施され、図示の実施例における紡糸ノズル及び位置の数は、単に一例である。例えば、4つよりも多くの糸を、互いに平行に紡糸し、延伸し、かつ巻き上げることも可能である。
【0035】
紡糸ヘッド1の下には冷却装置6が設けられており、この冷却装置6は冷却ダクト8とブロー装置7とから形成されている。冷却ダクト8は紡糸ノズル3の下に配置されていて、紡糸ノズル3によって押し出された多数のフィラメントが冷却ダクト8を通過するようになっている。ブロー装置7は、冷却空気流を生ぜしめることができ、この冷却空気流は冷却ダクト8内に導入され、これにより、紡糸ノズル3によって押し出されたフィラメント4は均一に冷却される。
【0036】
冷却ダクト8の下には、多数のフィラメント4を1つのフィラメント束5にまとめるために、集合糸ガイド9が設けられている。この集合糸ガイド9はそのために紡糸ノズル3の真下に配置されており、これによってフィラメント4は集合糸ガイド9において均一にまとめられる。
【0037】
フィラメント束5を紡糸ゾーンから引き出し、次いで延伸するために、集合糸ガイド9の下には引出しゴデット10と、該引出しゴデット10と共働する延伸装置11とが配置されている。図示の実施例では引出しゴデット10は、駆動される加熱ドラム15.1によって形成されている。加熱ドラム15.1は加熱周壁21を有しており、この加熱周壁21は、その都度の糸材料のガラス固化温度よりも高い、80℃〜220℃の範囲の温度に加熱されている。
【0038】
図2から分かるように、加熱ドラム15.1の加熱周壁21にはフィラメント束5毎にそれぞれ1つのガイド溝22が設けられている。そしてフィラメント束5はガイド溝22内において、加熱ドラム15.1の周囲に部分的に巻き掛けられて案内される。この場合加熱ドラム15.1は駆動装置13.2によって、1200m/minよりも高い周速度、有利には1500m/minよりも高い周速度で駆動される。
【0039】
図1及び図2から分かるように、加熱ドラム15.1には走出ゴデット12.1が配属されている。この走出ゴデット12.1は、駆動装置13.2によって、加熱ドラム15.1とほぼ等しい周速度で駆動される。走出ゴデット12.1は加熱ドラム15.1の外周に対して、フィラメント束5が可能な限り大きな巻掛け角をもって、例えば300°の巻掛け角をもって加熱周壁21において案内されるように、対応配置されている。
【0040】
図1から分かるように、延伸装置11は第2の加熱ドラム15.2を有しており、この第2の加熱ドラム15.2は、第1の加熱ドラム15.1の側方に並んで配置されている。第2の加熱ドラム15.2も同様に駆動装置(図示せず)と連結されており、この駆動装置は加熱周壁21を、3500m/minよりも高い延伸速度、有利には4000m/minよりも高い延伸速度で駆動する。加熱ドラム15.2の加熱周壁21は、第1の加熱ドラム15.1の加熱周壁と同様に加熱されていて、フィラメント束において延伸後にリラクゼーション処理を施すことができる。従ってフィラメント束5の延伸は、加熱ドラム15.1と加熱ドラム15.2との間において行われる。
【0041】
加熱ドラム15.2にも同様に、駆動装置(図示せず)を介して駆動される走出ゴデット12.2が配属されている。この走出ゴデット12.2の周速度はこの場合、加熱ドラム15.2の周速度と同じである。ここでも走出ゴデット12.2は、フィラメント束5が可能な限り大きな巻掛け角をもって第2の加熱ドラム15.2の加熱周壁21に巻き掛けられて案内されている。
【0042】
加熱ドラム15.1,15.2と両走出ゴデット12.1,12.2は、ゴデットボックス14内に配置されている。そのためにフィラメント束5は、ゴデットボックス14の入口とゴデットボックス14の出口とを介して案内されている。
【0043】
延伸装置11の下には、該延伸装置11と後続の巻上げ装置23との間における糸走行ゾーンに、準備処理装置16が配置されている。この準備処理装置16はこの場合延伸装置11の走出側に直に保持されており、フィラメント束5の、準備処理装置16を通る糸部分は、走出ゴデット12.2と、準備処理装置16に後置されたガイドゴデット20.1との間において緊張させられている。ガイドゴデット20.1は駆動装置と連結されているので、走出ゴデット12.2とガイドゴデット20.1との間においては速度差を調節することができる。
【0044】
準備処理装置16は図示の実施例では、微細な孔を備えた孔付金属薄板17によって形成されており、この孔付金属薄板17はその下側において圧力室18と接続されていて、かつその上側もしくは表面に、湾曲した接触面を有しており、この接触面においてフィラメント束5は接触しながら案内されている。圧力室18は流体接続部19を介して圧力源と接続されており、この圧力源によって準備処理液が連続的に圧力室18に供給される。このような準備処理装置は例えばEP1590512に基づいて公知であるので、ここでは詳しい説明は省く。
【0045】
巻上げ装置23の上には、別のガイドゴデット20.2が設けられており、この別のガイドゴデット20.2は巻上げ装置23の端面に保持されている。この第2のガイドゴデット20.2もまた同様に駆動装置と連結されている。両ガイドゴデット20.1,20.2の間には、緊張させられた糸部分に交絡装置35が配置されており、これによって糸34において交絡結節部(Verflechtungsknote)の形成によって糸結合部(Fadenschluss)を生ぜしめることができる。この場合糸34を交絡させるための糸応力もしくは糸緊張は、有利には、ガイドゴデット20.1,20.2の間において調節される速度差によって規定することができる。
【0046】
ガイドゴデット20.1,20.2の下には、巻上げ装置23が配置されている。この巻上げ装置23は図示の実施例では、いわゆるスプールリボルバ機によって形成され、このスプールリボルバ機は、片持ち式に張り出した2つの巻管スピンドル27.1,27.2を備えた回転可能なスピンドル保持体29を有している。このスピンドル保持体29は機械フレーム30に支承されている。この場合巻管スピンドル27.1と27.2とは交互に、スプールを巻成するための運転領域と、スプールを交換するための交換領域とに案内されることができる。機械フレームには、糸34をスプール28に巻成するために、綾振り装置25と圧着ローラ26とが設けられている。この場合圧着ローラ26は、スプール28の表面に接触して位置している。綾振り装置25は糸毎に1つの綾振りユニットを有しており、各綾振りユニットにおいて糸は、チーズ(Kreuzspule)を形成するために往復案内される。綾振り装置25の上にはヘッド糸ガイド24が設けられており、このヘッド糸ガイド24を通して巻成箇所への糸の走入が案内されている。図示の実施例ではヘッド糸ガイド24は、自由回転可能な変向ローラによって形成され、これによってガイドゴデット20.2から進出する糸を、ほぼ水平な分配平面から巻成箇所に変向させることができる。これによって、糸は通常ゴデットにおいて狭い糸間隔をもって案内されているので、2つの巻成箇所への糸の拡開を回避することができる。
【0047】
FDY糸を製造するために、図1及び図2に示された実施例では、例えばポリエステル又はポリアミドから成るポリマ溶融物が紡糸ヘッド1に供給される。紡糸ノズル3の内部においてポリマ溶融物は、圧力下で、紡糸ノズル3の下側に形成されたノズル孔を通して押し出され、これによって多数のフィラメントを押し出すことができる。冷却ダクト8の内部においてフィラメントは、熱可塑性材料のガラス固化温度を下回る温度に冷却され、その結果フィラメントは硬化され、かつ予備配向(Vororientierung)される。フィラメント4の冷却後にフィラメント4は、フィラメント束5にまとめられるが、しかしながらその際には準備処理液は供給されないので、フィラメント束5のフィラメント4は、異物なしにまとめられる。次いでフィラメント束5はまとめられた後で、乾燥状態において1500m/分を上回る引出し速度で引き出され、延伸される。引出しゴデットは図示の実施例では加熱ドラム15.1によって形成され、この加熱ドラム15.1は加熱された加熱周壁21を有しており、これによりフィラメント4から成るフィラメント束5を、熱可塑性材料のガラス固化温度を上回る温度に加熱することができる。加熱周壁はそのために、80℃〜220℃の範囲の表面温度を有している。例えばポリエステルのガラス固化温度は80℃の範囲にある。フィラメント束5の完全な延伸、ひいてはフィラメント4における糸材料の分子構造の配向を得るために、フィラメント束5は4000m/分を上回る延伸速度で延伸される。この延伸速度は図示の実施例では第2の加熱ドラム15.2によって生ぜしめられ、この第2の加熱ドラム15.2においては同時に、フィラメント束5におけるリラクゼーションの後処理が実施される。
【0048】
フィラメント束5が完全に延伸された後で、フィラメント束5の糸結合部、ひいては糸34を形成するために、準備処理(Praeparierung)が行われる。そのためにフィラメント束5は、駆動される2つのゴデットの間に案内されて、準備処理される。この場合フィラメント束5は、微細な孔を有する孔付金属薄板の湾曲した接触面に部分的に巻き掛けられて案内され、この孔付金属薄板の表面においては連続的に準備処理液が流出する。このようにして、フィラメント束5の内部に準備処理液を均一に分配することができ、フィラメント束5はベルト状に接触面において案内される。これによりすべてのフィラメント4は同様に湿されることができる。
【0049】
しかしながらまた、準備処理剤を、フィラメント束5の付加的なブローによって均一化すること、又は完全に、他の手段、例えば準備処理ピンによって、フィラメント束にもたらすことも可能である。
【0050】
完全に延伸された糸34の巻上げの前に、糸結合部は交絡装置35によって固定され、この際に糸34には多数の交絡結節部が生ぜしめられる。例えばFDY糸では、走行する糸長さ1m当たり、少なくとも10の結節部が生ぜしめられる。
【0051】
本発明による方法及び本発明による装置は、特に、糸を延伸するために要する消費エネルギが僅かであることによって、傑出している。乾燥したフィラメント束を、6000m/分までのもしくはそれを上回る、通常の高い生産速度においても、短時間のうちにかつ僅かなエネルギで、延伸温度に加熱することができる。
【0052】
図3には、完全に延伸された糸をFDY糸に製造する本発明による方法を実施するための本発明による装置の別の実施例が示されている。この実施例は図3において正面図で示されており、この場合ただ1つの糸しか示されていない。この場合においても、複数の糸を互いに平行に並んで紡糸し、延伸し、かつ巻き上げることは、通常である。
【0053】
図3に示された全体装置は、主として延伸装置11において異なっている。フィラメントを溶融紡糸する装置及びマルチフィラメント糸を巻き上げる装置は、実質的に図1及び図2に示された実施例と同一であるので、以下においては単に相違点についてだけ述べる。
【0054】
フィラメント束5を引き出して延伸するために、冷却ダクト8の下には、複数のガイドゴデット10,20.1,20.2を備えたシステムが設けられている。延伸装置11のゴデット10,20.1,20.2は、冷却ダクト8の下におけるゴデットボックス14内に配置されている。延伸装置11はそのために引出しゴデット10を有しており、この引出しゴデット10は、フィラメント束5を紡糸ゾーンから引き出すために、集合糸ガイド9の直ぐ後ろに配置されている。引出しゴデット10には2つの別のガイドゴデット20.1,20.2が後置されている。両ガイドゴデット20.1,20.2はそれぞれ、両ガイドゴデットの間において速度差を調節できるようにするために、固有の駆動装置を有している。ゴデット10,20.1,20.2はフィラメント束5によってほぼ約180°の巻掛け角で巻き掛けられており、この場合引出しゴデット10とガイドゴデット20.1との間及びガイドゴデット20.2とガイドゴデット20.1との間には、それぞれ1つの加熱区間が形成されており、この加熱区間においてフィラメント束5が加熱可能である。そのために加熱区間には2つの輻射ヒータ32.1,32.2が配属されている。輻射ヒータ32.1,32.2は例えば、赤外線放射体によって形成されていることができ、フィラメント束5を接触なしに単に熱輻射によって、その都度の糸材料のガラス固化温度を上回る温度に加熱する。この場合フィラメント束5の延伸は、有利には引出しゴデット10とガイドゴデット20.1との間において行われる。しかしながらまた、フィラメント束5の延伸を2つのステップにおいて行うことも可能であり、この場合第1の部分延伸は引出しゴデット10とガイドゴデット20.1との間において行われ、第2の部分延伸はゴデット20.1とゴデット20.2との間において行われる。
【0055】
延伸後にフィラメント束5は、後続のガイドゴデット20.3,20.4を介して案内される。ガイドゴデット20.3〜20.5はそれぞれ駆動装置を有しているので、これらのゴデットの間において緊張させられる、フィラメント束5の糸部分は、その糸緊張が調節可能である。
【0056】
ガイドゴデット20.3とガイドゴデット20.4との間の糸部分には、準備処理装置16が配置されており、この準備処理装置16によってフィラメント束5は準備処理液によって湿される。この準備処理装置16は図1及び図2の実施例における同じであるので、準備処理装置16についての説明はここでは省く。
【0057】
ガイドゴデット20.4とガイドゴデット20.5との間において緊張される糸部分には、交絡装置35が設けられており、これによって糸34を交絡すること及びその際に交絡結節部による糸の結合部を改善することができる。次いで糸34はガイドゴデット20.5によって巻上げ装置23に案内され、この巻上げ装置23において糸34はスプール28に巻成される。図示の実施例において糸34は、鉛直方向の分配配置から個々の巻取り箇所に分配される。その限りでは、複数の糸が平行に案内される場合には、これらの糸はガイドゴデット20.5からの走出後に、巻上げ装置23の軸線方向において広げられて、個々の巻取り箇所に分配される。
【0058】
図3の実施例は従って、FDY糸を製造するための本発明による方法を実施するのに同様に適している。フィラメント束及び糸を引き出し、延伸しかつ案内するゴデットは、それぞれ部分的に巻き掛けられ、この場合特に延伸装置の引出しゴデット及びガイドゴデットは、フィラメント束を案内するための環状のガイド溝を有することができる。
【0059】
図4には、本発明による方法を実施するための本発明による装置のさらに別の実施例が側面図で示されている。図4に示された実施例は、図3に示された実施例とほぼ同一であるので、重複している部分の説明は省き、以下においては相違点についてだけ述べる。
【0060】
図4に示された実施例では、紡糸ヘッド1に保持された紡糸ノズルは、列状の配置形式で保持されており、これらの紡糸ノズルは、巻上げ装置23の巻管スピンドル27.1,27.2に対して平行に位置している。装置全体の可能な限りコンパクトな配置形式を得るために、フィラメント束5は押出し後に、紡糸ノズル3の側方に並んで配置された引出しゴデット10によって引き出される。集合糸ガイド9はこの場合変向ローラによって形成され、これらの変向ローラはその周囲に集合溝を有している。引出しゴデット10は有利には、加熱されるゴデット周壁をもって構成されているので、フィラメント束5の部分加熱が行われる。この実施例においても、引出しゴデット10の加熱されるゴデット周壁の周囲にはガイド溝が設けられており、このガイド溝にフィラメント束5は巻き掛けられる。
【0061】
集合糸ガイド9と引出しゴデット10との間において緊張させられた糸部分には、加撚機(Drallgeber)33が配置されており、これによってフィラメント束5において撚りを生ぜしめることができる。加撚機33は有利には空気ノズルによって形成され、この空気ノズルによって生ぜしめられた空気流は、フィラメント束5において撚りモーメントを生ぜしめる。
【0062】
この実施例では延伸装置11は引出しゴデット10に後置されている。延伸装置11はそのために複数のガイドゴデット20.1,20.2,20.3によって形成され、これらのガイドゴデットはゴデットボックス14内に配置されている。自由なガイド区間の間には、フィラメント束5を加熱するために、輻射ヒータ32.1,32.2,32.3が配置されている。延伸装置11の図4に示された実施例は従って、第1のガイドゴデット20.1と第2のガイドゴデット20.2との間において完全な延伸を実施するのに、特に適している。ガイドゴデット20.2と20.3との間において緊張させられた、フィラメント束5の糸部分には、リラクゼーションの後処理を実施することができる。
【0063】
延伸装置11には2つの別のガイドゴデット20.4,20.5が続いており、この場合ガイドゴデット20.4には準備処理装置16が前置されている。この準備処理装置16は既に述べた実施例と同じに形成されているので、フィラメント束5は延伸後に、通常はオイル・水エマルジョンから成る準備処理液によって準備処理される。
【0064】
糸結合部を改善するために、糸34には交絡装置35によって複数の交絡結節部が生ぜしめられる。次いで糸34はガイドゴデット20.5を介して巻上げ装置23に案内される。この巻上げ装置23は図1及び図2に示された実施例におけると同じであるので、ここでの説明は省く。
【0065】
図4に示された実施例は特に、本発明による方法を装置の極めてコンパクトな配置形式によって実施するために適している。
【符号の説明】
【0066】
1 紡糸ヘッド、 2 溶融物供給路、 3 紡糸ノズル、 4 フィラメント、 5 フィラメント束、 6 冷却装置、 7 ブロー装置、 8 冷却ダクト、 9 集合糸ガイド、 10 引出しゴデット、 11 延伸装置、 12 走出ゴデット、 13.1,13.2,13.3 駆動装置、 14 ゴデットボックス、 15.1,15.2 加熱ドラム、 16 準備処理装置、 17 孔付金属薄板、 18 圧力室、 19 流体接続部、 20.1,20.2,20.3,20.4,20.5 ガイドゴデット、 21 加熱周壁、 22 ガイド溝、 23 巻上げ装置、 24 ヘッド糸ガイド、 25 綾振り装置、 26 圧着ローラ、 27.1,27.2 巻管スピンドル、 28 スプール、 29 スピンドル保持体、 30 機械フレーム、 31 巻管、 32.1,32.2,32.3 輻射ヒータ、 33 加撚機、 34 糸、 35 交絡装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチフィラメント糸を溶融紡糸し、延伸しかつ巻き上げてFDY糸を形成する方法であって、次のステップ、すなわち、
1.1 熱可塑性の溶融物から多数のフィラメントを押し出し、
1.2 押し出されたフィラメントを、熱可塑性材料のガラス固化温度を下回る温度に冷却し、
1.3 流体の供給なしにフィラメントをまとめてフィラメント束を形成し、
1.4 フィラメント束を、1500m/分を上回る範囲の引出し速度で引き出し、
1.5 フィラメント束を、熱可塑性材料のガラス固化温度を上回る温度に加熱し、フィラメント束を、3500m/分を上回る範囲、有利には4000m/分を上回る範囲の延伸速度で延伸し、
1.6 フィラメント束を準備処理液によって準備処理し、
1.7 糸をスプールに巻き上げる、
というステップを有することを特徴とする、マルチフィラメント糸を溶融紡糸し、延伸しかつ巻き上げてFDY糸を形成する方法。
【請求項2】
フィラメント束を、駆動される2つのゴデットの間において緊張させられた糸部分において準備処理する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
フィラメント束を準備処理のために、微細な孔を有する孔付金属薄板の湾曲した接触面に沿って案内し、該孔付金属薄板の下側において連続的に準備処理液を供給する、請求項2記載の方法。
【請求項4】
引出し及び延伸のためにフィラメント束を、駆動されるゴデットの周囲に単純に巻き掛けて案内し、この際にフィラメント束を、少なくとも引出しゴデットにおいて環状のガイド溝内で案内する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
フィラメント束を、加熱された表面との接触によって、及び/又は接触なしに熱放射によって、及び/又は対流によって加熱する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
糸を巻上げの前に、駆動される2つのゴデットの間において緊張させられた糸部分において交絡させ、この交絡によって、糸長さ1m当たり少なくとも10の交絡結節部を生ぜしめる、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
交絡のために、糸の糸部分における糸緊張を、両方のゴデットの間における速度差の調節によって生ぜしめる、請求項6記載の方法。
【請求項8】
フィラメント束にまとめた後で、まとめられたフィラメント束を引き出す前に、フィラメント束において撚りを生ぜしめる、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項記載の方法を実施する装置であって、複数のフィラメント(4)を押し出すための紡糸ノズル(3)と、フィラメント(4)を冷却するための冷却装置(6)と、複数のフィラメント(4)を1つのフィラメント束(5)にまとめるための集合糸ガイド(9)と、フィラメント束(5)を引き出すための引出し手段(10)と、フィラメント束(5)を延伸するための延伸装置(11)と、糸(34)を巻き上げるための巻上げ装置(23)と、フィラメント束(5)を準備処理するための準備処理装置(16)とが設けられている形式のものにおいて、
準備処理装置(16)が、延伸装置(11)と巻上げ装置(23)との間における糸走行ゾーンに配置されていて、該糸走行ゾーンにおいてフィラメント束(5)が、3500m/分を上回る糸走行速度を有していることを特徴とする装置。
【請求項10】
準備処理装置(16)が、前記糸走行ゾーンにおいてフィラメント束(5)を案内する駆動される2つのゴデット(20.3,20.4)の間に配置されている、請求項9記載の装置。
【請求項11】
準備処理装置(16)がフィラメント束(5)を湿すために、微細な孔を備えた孔付金属薄板(17)を有しており、該孔付金属薄板(17)がその下側において、準備処理液を供給するための圧力室(18)と接続されていて、かつ上側には、湾曲した接触面を有している、請求項9又は10記載の装置。
【請求項12】
引出し手段(10)と延伸装置(11)とが、駆動されるゴデットによって形成されていて、該ゴデットによってフィラメント束(5)は単純な巻掛けによって案内可能であり、引出し手段(10)に配属された引出しゴデット(10)が周囲に、環状のガイド溝(22)を有している、請求項9から11までのいずれか1項記載の装置。
【請求項13】
延伸装置(11)が少なくとも1つの加熱手段(21,32.1,32.2)を有しており、該加熱手段(21,32.1,32.2)が接触式加熱装置(21)及び/又は輻射ヒータ(32.1)によって形成されている、請求項9から12までのいずれか1項記載の装置。
【請求項14】
準備処理装置(16)と巻上げ装置(23)との間における糸走行路に、交絡装置(35)が配置されており、該交絡装置(35)には、走入側と走出側とにそれぞれ1つの駆動されるゴデット(20.4,20.5)が配属されている、請求項9から13までのいずれか1項記載の装置。
【請求項15】
集合糸ガイド(9)には糸走行路において加撚機(33)が後置されていて、該加撚機(33)によってフィラメント束(5)には撚りが生ぜしめられる、請求項9から14までのいずれか1項記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−521120(P2011−521120A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−510957(P2011−510957)
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【国際出願番号】PCT/EP2009/056220
【国際公開番号】WO2009/141424
【国際公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(307031976)エーリコン テクスティル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (105)
【氏名又は名称原語表記】Oerlikon Textile GmbH & CO. KG
【住所又は居所原語表記】Leverkuser Strasse 65, D−42897 Remscheid, Germany
【Fターム(参考)】