説明

マルチプレクス駆動方法、駆動装置、電気光学装置、及び電子機器

【課題】3D表示を行う場合に画質の劣化を防止することができるマルチプレクス駆動方法等を提供する。
【解決手段】1ソース出力を表示パネルの複数のソース線に分割して各ソース線を駆動するマルチプレクス駆動方法は、右目用画像及び左目用画像の各々の最初の水平走査期間における駆動順序を、2×n垂直走査期間毎に変更する駆動順序変更ステップと、駆動順序変更ステップにおいて変更された前記駆動順序に対応したマルチプレクス駆動により、右目用画像データ及び左目用画像に基づいて複数のソース線を駆動する駆動ステップとを含み、駆動ステップでは、各垂直走査期間において、駆動順序変更ステップにおいて変更された駆動順序から順番に1水平走査期間毎に直前の水平走査期間における駆動順序を変更して複数のソース線を駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチプレクス駆動方法、駆動装置、電気光学装置、及び電子機器等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶パネルを用いた液晶プロジェクターでは、投射映像の高精細化と共に投射映像の3D化に対する要求が高まり、画素数が多い液晶パネルを高速で駆動する必要性が高まっている。そのため、液晶パネルを駆動する駆動装置では、液晶パネルのゲート線を走査しながら、1ソース出力を複数のソース線に分割して各ソース線を駆動するマルチプレクス駆動により、右目用画像と左目用画像とを交互に表示駆動することが行われている。
【0003】
ところが、このマルチプレクス駆動では、ソース線の駆動順序により、リークや、その他の容量カップリング等の影響により、縞模様が見えてしまうことがある。そこで、従来から、マルチプレクス駆動におけるソース線の駆動順序を変更することにより、上記の縞模様等に起因した画質の劣化を低減させるローテーション機能が用いられている。このローテーション機能では、それぞれのソース線に接続される画素がなるべく均一に見えるように駆動順序を変化させている。駆動順序は、駆動装置内でローテーションパターンにより規定される。
【0004】
このようなローテーション機能を用いたマルチプレクス駆動については、例えば特許文献1〜特許文献5に開示されている。特許文献1には、駆動装置のソース出力と液晶パネルのソース線との接続順序を変更する技術が開示されている。特許文献2には、ローテーションパターンを用いてマルチプレクス駆動の駆動順序を変更する技術が開示されている。特許文献3には、マルチプレクス駆動においてソース線の画素に書き込まれるソース電圧に生ずる、画素の駆動順序によって異なるオフセットに起因した輝度ムラ等を補正する技術が開示されている。特許文献4には、マルチプレクス駆動においてソース線の画素に書き込まれるソース電圧に生ずる、画素の位置によって異なるオフセットに起因した輝度ムラ等を補正する技術が開示されている。特許文献5には、マルチプレクス駆動において、垂直同期信号、水平同期信号に対応してローテーションパターンを変更する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−210653号公報
【特許文献2】特開2010−181516号公報
【特許文献3】特開2010−181506号公報
【特許文献4】特開2010−181503号公報
【特許文献5】特開2009−122157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1〜特許文献5に開示された技術は、3D表示を考慮していない。そのため、例えば、いわゆるアクティブシャッター方式の3D表示を行う場合、従来の2D表示と同様にローテーション機能を用いると、ローテーションパターンが右目及び左目で偏り、均一に見えないという問題がある。また、3D表示を行う場合には、右目用画像が左目に見えないように、左目用画像が右目に見えないように、片目毎に2画面以上画像の書き込み及び表示を連続して行う。この際、特許文献1〜特許文献5に開示された技術では、右目及び左目でローテーションパターンが固定されてしまい、縞模様が十分に拡散されなくなる現象が発生するという問題がある。
【0007】
本発明は、以上のような技術的課題に鑑みてなされたものである。本発明の幾つかの態様によれば、3D表示を行う場合に画質の劣化を防止することができるマルチプレクス駆動方法、駆動装置、電気光学装置、及び電子機器等を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の第1の態様は、連続する右目用画像及び左目用画像にそれぞれ対応した右目用画像データ及び左目用画像データに基づいて、1ソース出力を表示パネルの複数のソース線に分割して各ソース線を駆動するマルチプレクス駆動方法が、前記右目用画像及び前記左目用画像の各々の最初の水平走査期間における駆動順序を、2×n(nは自然数)垂直走査期間毎に変更する駆動順序変更ステップと、前記駆動順序変更ステップにおいて変更された前記駆動順序に対応したマルチプレクス駆動により、前記右目用画像データに基づいて前記複数のソース線を駆動する右目用駆動ステップと、前記駆動順序変更ステップにおいて変更された前記駆動順序に対応したマルチプレクス駆動により、前記左目用画像データに基づいて前記複数のソース線を駆動する左目用駆動ステップとを含み、前記右目用駆動ステップ及び前記左目用駆動ステップの各々では、各垂直走査期間において、前記駆動順序変更ステップにおいて変更された前記駆動順序から順番に1水平走査期間毎に直前の水平走査期間における駆動順序を変更して前記複数のソース線を駆動する。
【0009】
本態様においては、2×n垂直走査期間毎に、右目用画像及び左目用画像の各々の最初の水平走査期間におけるマルチプレクス駆動の駆動順序を変更するようにしている。右目用画像及び左目用画像の各垂直走査期間では、変更された駆動順序から順番に1水平走査期間毎に直前の水平走査期間における駆動順序を変更して複数のソース線が駆動される。これにより、右目及び左目それぞれのローテーションパターンが固定されることなく、縞模様が十分に拡散させることができるようになり、3D表示を行う場合に画質の劣化を防止することができるようになる。
【0010】
(2)本発明の第2の態様に係るマルチプレクス駆動方法では、第1の態様において、前記左目用画像の最初の水平走査期間の駆動順序が、前記右目用画像の最初の水平走査期間の駆動順序を基準にシフトしている。
【0011】
本態様によれば、右目及び左目それぞれのローテーションパターンが固定されることなく、縞模様が十分に拡散させることができるようになり、3D表示を行う場合に画質の劣化を防止することができるようになる。
【0012】
(3)本発明の第3の態様に係るマルチプレクス駆動方法は、第2の態様において、前記右目用画像の最初の水平走査期間の駆動順序を基準として、前記左目用画像の最初の水平走査期間の駆動順序のシフト数に対応したオフセットを設定するオフセット設定ステップを含み、前記左目用駆動ステップでは、前記左目用画像の最初の水平走査期間において、前記右目用駆動ステップにおける最初の水平走査期間の駆動順序を基準に前記オフセットに対応したシフト数分だけシフトした駆動順序で、前記複数のソース線を駆動する。
【0013】
本態様によれば、右目用画像及び左目用画像に応じてオフセットを設定することができる。そのため、画像の種類に依存することなく、右目及び左目それぞれのローテーションパターンが固定されることなく、縞模様が十分に拡散させることができるようになり、3D表示を行う場合に画質の劣化を防止することができるようになる。
【0014】
(4)本発明の第4の態様に係るマルチプレクス駆動方法は、第1の態様乃至第3の態様のいずれかにおいて、前記右目用駆動ステップ及び前記左目用駆動ステップの各々では、前記表示パネルのソース線の駆動モードに応じて前記駆動順序を変更する。
【0015】
本態様によれば、駆動モードにかかわらず、右目及び左目それぞれのローテーションパターンが固定されることなく、縞模様が十分に拡散させることができるようになり、3D表示を行う場合に画質の劣化を防止することができるようになる。
【0016】
(5)本発明の第5の態様に係るマルチプレクス駆動方法は、第1の態様乃至第4の態様のいずれかにおいて、前記右目用画像の最初の水平走査期間の駆動順序を設定する右目用駆動順序設定ステップと、前記左目用画像の最初の水平走査期間の駆動順序を設定する左目用駆動順序設定ステップとを含み、前記右目用駆動ステップでは、各垂直走査期間において、前記右目用駆動順序設定ステップにおいて設定された駆動順序から順番に1水平走査期間毎に駆動順序をシフトしたマルチプレクス駆動により、前記右目用画像データに基づいて前記複数のソース線を駆動し、前記左目用駆動ステップでは、各垂直走査期間において、前記左目用駆動順序設定ステップにおいて設定された駆動順序から順番に1水平走査期間毎に駆動順序をシフトしたマルチプレクス駆動により、前記左目用画像データに基づいて前記複数のソース線を駆動する。
【0017】
本態様においては、右目用及び左目用それぞれに駆動順序を変更することができるようにしている。これにより、より一層柔軟に、右目及び左目それぞれのローテーションパターンが固定されることなく、縞模様が十分に拡散させることができるようになり、3D表示を行う場合に画質の劣化を防止することができるようになる。
【0018】
(6)本発明の第6の態様は、連続する右目用画像及び左目用画像にそれぞれ対応した右目用画像データ及び左目用画像データに基づいて、1ソース出力を表示パネルの複数のソース線に分割して各ソース線を駆動する駆動装置が、2×n(nは自然数)垂直走査期間毎にカウント値を更新する第1のカウンターと、垂直同期信号により初期化され、1水平走査期間毎にカウント値を更新する第2のカウンターと、水平同期信号により初期化され、1水平走査期間内のマルチプレクス駆動タイミングに対応したカウント値を更新する第3のカウンターと、前記第1のカウンターのカウント値と、前記第2のカウンターのカウント値と、前記第3のカウンターのカウント値とに基づいて、マルチプレクス制御信号を生成するマルチプレクスデコーダーと、前記マルチプレクス制御信号に基づいて、マルチプレクス駆動により前記複数のソース線のいずれかに供給するソース線駆動部とを含む。
【0019】
本態様においては、2×n垂直走査期間毎に、右目用画像及び左目用画像の各々の最初の水平走査期間におけるマルチプレクス駆動の駆動順序を変更するようにしている。右目用画像及び左目用画像の各垂直走査期間では、駆動装置は、変更された駆動順序から順番に1水平走査期間毎に直前の水平走査期間における駆動順序を変更して複数のソース線を駆動する。これにより、右目及び左目それぞれのローテーションパターンが固定されることなく、縞模様が十分に拡散させることができるようになり、3D表示を行う場合に画質の劣化を防止する駆動装置を提供することができるようになる。
【0020】
(7)本発明の第7の態様に係る駆動装置は、第6の態様において、前記右目用画像における最初の水平走査期間の駆動順序を基準として、前記左目用画像の最初の水平走査期間の駆動順序のシフト数に対応したオフセットが設定されるオフセットレジスターを含み、前記マルチプレクスデコーダーは、前記第1のカウンターのカウント値と、前記第2のカウンターのカウント値と、前記第3のカウンターのカウント値と、前記オフセットに基づいて、前記マルチプレクス制御信号を生成する。
【0021】
本態様によれば、右目用画像及び左目用画像に応じてオフセットを設定することができる。そのため、画像の種類に依存することなく、右目及び左目それぞれのローテーションパターンが固定されることなく、縞模様が十分に拡散させることができるようになり、3D表示を行う場合に画質の劣化を防止することができるようになる。
【0022】
(8)本発明の第8の態様に係る駆動装置は、第6の態様又は第7の態様において、前記右目用画像の最初の水平走査期間の駆動順序に対応したパターンが設定される第1のパターンレジスターと、前記左目用画像の最初の水平走査期間の駆動順序に対応したパターンが設定される第2のパターンレジスターとを含み、前記マルチプレクスデコーダーは、前記第1のパターンレジスターに設定されたパターンに基づいて右目用のマルチプレクス制御信号を生成し、前記第2のパターンレジスターに設定されたパターンに基づいて左目用のマルチプレクス制御信号を生成する。
【0023】
本態様によれば、右目用画像及び左目用画像に応じて駆動順序を設定することができる。そのため、画像の種類に依存することなく、右目及び左目それぞれのローテーションパターンが固定されることなく、縞模様が十分に拡散させることができるようになり、3D表示を行う場合に画質の劣化を防止することができるようになる。
【0024】
(9)本発明の第9の態様に係る駆動装置は、第6の態様乃至第8の態様のいずれかにおいて、駆動モードに応じて前記第1のカウンターに供給する垂直同期信号を異ならせる垂直同期信号選択回路を含む。
【0025】
本態様によれば、駆動モードにかかわらず、右目及び左目それぞれのローテーションパターンが固定されることなく、縞模様が十分に拡散させることができるようになり、3D表示を行う場合に画質の劣化を防止することができるようになる。
【0026】
(10)本発明の第10の態様に係る駆動装置は、第6の態様乃至第9の態様のいずれかにおいて、前記第1のカウンターは、右目用画像における垂直走査期間毎にカウント値を更新する第4のカウンターと、左目用画像における垂直走査期間毎にカウント値を更新する第5のカウンターとを含み、前記マルチプレクスデコーダーは、前記右目用画像に対して、前記第4のカウンターのカウント値を用いて前記マルチプレクス制御信号を生成し、前記左目用画像に対して、前記第5のカウンターのカウント値を用いて前記マルチプレクス制御信号を生成する。
【0027】
本態様によれば、右目及び左目それぞれのローテーションパターンが固定されることなく、縞模様が十分に拡散させることができるようになり、3D表示を行う場合に画質の劣化を防止する駆動装置を提供することができるようになる。
【0028】
(11)本発明の第11の態様は、電気光学装置が、前記表示パネルと、前記表示パネルのソース線を駆動する第6の態様乃至第10の態様のいずれか記載の駆動装置とを含む。
【0029】
本態様によれば、3D表示を行う場合に画質の劣化を防止する電気光学装置を提供することができるようになる。
【0030】
(12)本発明の第12の態様は、電子機器が、第6の態様乃至第10の態様のいずれか記載の駆動装置を含む。
【0031】
本態様によれば、3D表示を行う場合に画質の劣化を防止する駆動装置が適用される電子機器を提供することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置の構成の概要を示す図。
【図2】図1のソースドライバーの構成例のブロック図。
【図3】図2の多重化回路の動作説明図。
【図4】デマルチプレクサーの動作説明図。
【図5】第1の実施形態の比較例におけるマルチプレクス制御信号生成部の構成例を示す図。
【図6】図5のマルチプレクスデコーダーの動作説明図。
【図7】図5の構成による第1の駆動例の説明図。
【図8】図8(A)、図8(B)は図7において右目及び左目に見えるローテーションパターンの説明図。
【図9】図5の構成による第2の駆動例の説明図。
【図10】図10(A)、図10(B)は図9において右目及び左目に見えるローテーションパターンの説明図。
【図11】図5の構成による第3の駆動例の説明図。
【図12】図12(A)、図12(B)は図11において右目及び左目に見えるローテーションパターンの説明図。
【図13】第1の実施形態における駆動装置の処理例のフロー図。
【図14】第1の実施形態におけるマルチプレクス制御信号生成部の構成例を示す図。
【図15】図15(A)、図15(B)は図14の構成による第1の駆動例の説明図。
【図16】図14の構成による第2の駆動例の説明図。
【図17】図14の構成による第2の駆動例の説明図。
【図18】図14の構成による第3の駆動例の説明図。
【図19】図14の構成による第3の駆動例の説明図。
【図20】第2の実施形態におけるマルチプレクス制御信号生成部の構成例を示す図。
【図21】図20の構成による第3の駆動例の説明図。
【図22】第3の実施形態におけるマルチプレクス制御信号生成部の構成例を示す図。
【図23】図22の構成による第3の駆動例の説明図。
【図24】第4の実施形態におけるマルチプレクス制御信号生成部の構成例を示す図。
【図25】図24の構成による第3の駆動例の説明図。
【図26】第5の実施形態における駆動モードの説明図。
【図27】第5の実施形態における駆動モードのタイミングの一例を示す図。
【図28】第5の実施形態におけるマルチプレクス制御信号生成部の構成例を示す図。
【図29】本発明に係る液晶表示装置が適用されるプロジェクターシステムの構成の概要を示す図。
【図30】図29の光学系の構成の概要を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成のすべてが本発明の課題を解決するために必須の構成要件であるとは限らない。
【0034】
〔第1の実施形態〕
図1に、本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置の構成の概要を示す。
液晶表示装置(広義には、電気光学装置)10は、液晶パネル(表示パネル、電気光学パネル)12と、駆動装置50とを備えている。駆動装置50は、ソースドライバー20と、ゲートドライバー40とを備えている。液晶表示装置10の外部には、電源回路60と、表示コントローラー70とが設けられている。なお、液晶表示装置10は、図1の構成に限定されず、電源回路60又は表示コントローラー70の少なくとも一部の機能を内蔵してもよい。
【0035】
液晶パネル12は、例えばアクティブマトリクス型の液晶パネルにより構成される。液晶パネル12を構成する液晶基板には、図1のY方向に複数配列され、それぞれX方向に伸びるゲート線G1〜GM(Mは2以上の自然数)が配置される。また、この液晶基板には、X方向に複数配列され、それぞれY方向に伸びるソース線(データ線)S01〜S71、S02〜S72、・・・、S0N〜S7N(Nは2以上の自然数)が配置される。更に、この液晶基板には、ソース信号供給線S1〜SN(ソース電圧供給線)が設けられ、各ソース信号供給線に対応してデマルチプレクサーDMUX1〜DMUXNが設けられる。なお、デマルチプレクサーDMUX1〜DMUXNは、ソースドライバー20に内蔵されていてもよい。
【0036】
この液晶基板には、ゲート線(走査線)G1〜GMとソース線S01〜S71、S02〜S72、・・・、S0N〜S7Nとの交差点に対応する位置に、薄膜トランジスターが設けられる。例えば、ゲート線Gj(jはM以下の自然数)とソース線S0k(kはN以下の自然数)との交差点に対応する位置に、薄膜トランジスターTjk−0が設けられる。薄膜トランジスターTjk−0は、ゲート電極がゲート線Gjに接続され、ソース電極がソース線S0kに接続され、ドレイン電極が画素電極PEjk−0に接続される。この画素電極PEjk−0と対向電極CE(共通電極、コモン電極)との間には、液晶容量CLjk−0(液晶素子、広義には電気光学素子)が形成される。
【0037】
デマルチプレクサーDMUX1〜DMUXNは、ソース信号供給線に供給された時分割のソース電圧をソース線に分割(分離、デマルチプレクス)して供給する。具体的には、デマルチプレクサーDMUXkは、各ソース線に対応するスイッチ素子(複数のデマルチプレクス用スイッチング素子)を備える。そして、ソースドライバー20からのマルチプレクス制御信号SEL0〜SEL7によってスイッチ素子がオン・オフ制御され、ソース信号供給線Skに供給されたソース電圧がソース線S0k〜S7kに分割して供給される。
【0038】
なお、図1では、説明を簡単にするために、ソース信号供給線Skに対応するデマルチプレクサーDMUXk及びソース線S0k〜S7kのみを図示している。また、ソース線S0k〜S7kとゲート線Gjとの交差点に対応する位置に設けられた薄膜トランジスターのみを図示している。他のソース信号供給線に対応するデマルチプレクサー及びソース線、他のソース線とゲート線との交差点に対応する位置に設けられる薄膜トランジスターについても同様である。
【0039】
ソースドライバー20は、画像データ(階調データ)に基づいて時分割されたソース電圧をソース信号供給線S1〜SNに出力し、ソース信号供給線S1〜SNを駆動する。一方、ゲートドライバー40は、液晶パネル12のゲート線G1〜GMを走査(順次駆動)する。
【0040】
電源回路60は、外部から供給される基準電圧(電源電圧)に基づいて、液晶パネル12の駆動に必要な各種の電圧レベル(例えば、階調電圧生成用の基準電圧)や、対向電極CEの対向電極電圧VCOMの電圧レベルを生成する。
【0041】
表示コントローラー70は、ソースドライバー20、ゲートドライバー40及び電源回路60を制御する。例えば、表示コントローラー70は、ソースドライバー20及びゲートドライバー40に対して、動作モードの設定や内部で生成した垂直同期信号、水平同期信号の供給を行う。表示コントローラー70は、例えば図示しない中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)を備えるホストにより設定された内容に従って、これらの制御を行う。
【0042】
なお、図1では、1本のソース信号供給線から8本のソース線にソース電圧が供給される場合を例に説明したが、1本のソース信号供給線から他の本数のソース線にソース電圧が供給されてもよい。以下では、1本のソース信号供給線から8本のソース線にソース電圧が供給される例について説明する。
【0043】
図2に、図1のソースドライバー20の構成例のブロック図を示す。
ソースドライバー20は、シフトレジスター22と、ラインラッチ24、26と、多重化回路28とを備えている。またソースドライバー20は、基準電圧発生回路(階調電圧発生回路)30と、DAC(Digital-to-Analog Converter)32と、ソース線駆動回路(ソース線駆動部)34と、駆動制御部36と、プリチャージ電圧発生回路38とを備える。
【0044】
シフトレジスター22は、各ソース線に対応して設けられ、順次接続された複数のフリップフロップを備えている。このシフトレジスター22は、画素クロックCLKに同期して動作し、先頭のフリップフロップがイネーブル入出力信号EIOを保持すると、順次隣接するフリップフロップにイネーブル入出力信号EIOをシフトする。画素クロックCLK、イネーブル入出力信号EIOは、例えば表示コントローラー70から供給される。
【0045】
ラインラッチ24には、画像データDIOが入力される。ラインラッチ24は、シフトレジスター22からの順次シフトされたイネーブル入出力信号EIOに同期して、この画像データDIOをラッチする。
【0046】
ラインラッチ26は、表示用の水平同期信号であるラッチパルスLPに同期して、ラインラッチ24でラッチされた1水平走査単位の画像データをラッチする。ラッチパルスLPは、ソースドライバー20で生成されるものとして図示するが、表示コントローラー70から供給されてもよい。この場合、ラッチパルスLPは、表示コントローラー70からの水平同期信号HSYNCとすることができる。
【0047】
多重化回路28は、ラインラッチ26にラッチされた各ソース線に対応する画像データを受け、8本分のソース線に対応する画像データを時分割多重し、各ソース信号供給線に対応する時分割多重された画像データを出力する。多重化回路28は、駆動制御部36からのマルチプレクス制御信号SEL0〜SEL7に基づいて、画像データを多重化する。
【0048】
基準電圧発生回路30は、複数の基準電圧(階調電圧)を生成し、DAC32に供給する。基準電圧発生回路30は、例えば電源回路60から供給される電圧レベルに基づいて、複数の基準電圧を生成する。
【0049】
DAC32は、デジタルの画像データに基づいて、各ソース線に供給すべきアナログの階調電圧を生成する。具体的には、DAC32は、多重化回路28からの時分割多重された画像データと、基準電圧発生回路30からの複数の基準電圧を受けて、時分割多重された画像データに対応する時分割多重された階調電圧を生成する。
【0050】
ソース線駆動回路34は、DAC32からの階調電圧をバッファリング(広義にはインピーダンス変換)してソース信号供給線S1〜SNにソース電圧を出力し、ソース線S01〜S71、S02〜S72、・・・、S0N〜S7Nを駆動する。例えば、ソース線駆動回路34は、各ソース信号供給線に設けられたボルテージフォロワー接続の演算増幅器により、階調電圧をバッファリングする。このようなソース線駆動回路34は、階調電圧に基づくソース線の駆動前にソース線のプリチャージを行うことができる。
【0051】
駆動制御部36は、所与の極性反転周期で液晶パネル12の液晶素子への印加電圧の極性が反転するように、ソースドライバー20を構成する各部を制御する。駆動制御部36は、例えばラッチパルスLP、ソース電圧の時分割タイミングを規定するマルチプレクス制御信号SEL0〜SEL7、プリチャージ制御信号を生成する。具体的には、駆動制御部36は、表示コントローラー70からの水平同期信号HSYNCに対応して、表示用のタイミングに応じてラッチパルスLPを生成し、例えばラインラッチ26に出力する。
【0052】
また、駆動制御部36は、マルチプレクス制御信号生成部37を備えている。マルチプレクス制御信号生成部37は、ソース線の駆動タイミングに応じてマルチプレクス制御信号SEL0〜SEL7を生成し、多重化回路28及びデマルチプレクサーDMUX1〜DMUXNに出力する。3D表示用の右目用画像及び左目用画像を表示する際、マルチプレクス制御信号生成部37は、縞模様が拡散して見えないようにマルチプレクス駆動の駆動順序が所与の変更タイミングで変更されたマルチプレクス制御信号SEL0〜SEL7を生成する。具体的には、駆動制御部36は、右目用画像及び左目用画像の各々の最初の水平走査期間における複数のソース線の駆動順序を、2×n(nは自然数)垂直走査期間毎に変更するようにマルチプレクス制御信号SEL0〜SEL7を生成する。そして、駆動制御部36は、各垂直走査期間において、この駆動順序から順番に1水平走査期間毎に直前の水平走査期間における駆動順序を変更するようにマルチプレクス制御信号SEL0〜SEL7を生成する。各水平走査期間では、直前の水平走査期間における駆動順序とまったく異なる駆動順序となり、駆動順序が分散される。
【0053】
更に、駆動制御部36は、ソース線のプリチャージ制御を行うためのプリチャージ制御信号を生成する。このプリチャージ制御信号により、プリチャージ制御のイネーブル制御やディセーブル制御も行うことができるようになっている。
【0054】
プリチャージ電圧発生回路38は、正極性及び負極性のそれぞれの極性について、1又は複数のプリチャージ電圧を生成し、ソース線駆動回路34に出力する。プリチャージ電圧発生回路38は、プリチャージ制御信号により指定されたプリチャージ電圧を、該プリチャージ制御信号により指定されたタイミングでソース線駆動回路34に供給する。プリチャージ電圧発生回路38は、例えば電源回路60から供給される電圧レベルに基づいて、1又は複数のプリチャージ電圧を生成する。
【0055】
ここで、第1の実施形態におけるマルチプレクス駆動について、ソース信号供給線Skに着目して説明する。
【0056】
図3に、図2の多重化回路28の動作説明図を示す。図3では、ソース線S0k〜S7k用の画像データGD0〜GD7がラインラッチ26にラッチされたものとする。
多重化回路28は、マルチプレクス制御信号SEL0がHレベルのとき、ソース線S0k用の画像データGD0を選択出力し、マルチプレクス制御信号SEL1がHレベルのとき、ソース線S1k用の画像データGD1を選択出力する。同様に、多重化回路28は、マルチプレクス制御信号SEL2〜SEL7のそれぞれがHレベルのとき、対応するソース線用の画像データを選択出力する。これにより、多重化回路28は、1水平走査期間内に1度ずつHレベルとなるマルチプレクス制御信号SEL0〜SEL7に基づいて、画像データGD0〜GD7が時分割多重化された多重化データを生成する。
【0057】
DAC32は、時分割多重化された画像データGD0〜GD7を受けて、各画像データに対応する階調電圧を複数の基準電圧の中から選択して出力し、時分割多重化された階調電圧を出力する。
【0058】
図4に、デマルチプレクサーDMUXkの動作説明図を示す。図4は、デマルチプレクサーDMUXkの動作説明図を示すが、他のデマルチプレクサーも同様である。
ソースドライバー20のソース線駆動回路34は、DAC32からの多重化された階調電圧を受けて、多重化されたソース電圧V0〜V7を1水平走査期間内に出力する。デマルチプレクサーDMUXkには、マルチプレクス制御信号SEL0〜SEL7がデマルチプレクス用スイッチ信号として供給される。デマルチプレクサーDMUXkは、マルチプレクス制御信号SEL0がHレベルのとき、ソース電圧V0をソース線S0kに出力し、マルチプレクス制御信号SEL1がHレベルのとき、ソース電圧V1をソース線S1kに出力する。同様に、デマルチプレクサーDMUXkは、マルチプレクス制御信号SEL2〜SEL7のそれぞれがHレベルのとき、対応するソース電圧を、対応するソース線に出力する。
【0059】
このようにして、デマルチプレクサーDMUXkは、ソース信号供給線Skに供給される多重化されたソース電圧V0〜V7を分離して、ソース線S0k〜S7kに出力する。
【0060】
ところで、マルチプレクス駆動におけるソース線の駆動順序は、次のような構成によりローテーションパターンをシフトさせることにより変更することができる。ローテーションパターンは、ソース線の駆動順序に対応しており、該ローテーションパターンに基づいてマルチプレクス制御信号SEL0〜SEL7を生成することで、マルチプレクス駆動におけるソース線の駆動順序を変更することができる。
【0061】
図5に、第1の実施形態の比較例におけるマルチプレクス制御信号生成部の構成例を示す。本比較例におけるマルチプレクス制御信号生成部80は、図2のマルチプレクス制御信号生成部37に代えて駆動制御部36に適用される。
このマルチプレクス制御信号生成部80は、VSYNCローテーションカウンター100と、HSYNCローテーションカウンター110と、マルチプレクスカウンター120とを備えている。また、マルチプレクス制御信号生成部80は、マルチプレクス駆動タイミング生成部130と、マルチプレクスデコーダー140と、加算器132、134とを備えている。
【0062】
マルチプレクス制御信号生成部80には、表示コントローラー70からの垂直同期信号VSYNC、水平同期信号HSYNCが入力される。VSYNCローテーションカウンター100は、垂直同期信号VSYNCに基づいて1垂直走査期間毎にカウント値をカウントアップ(広義には、更新。以下同様)する3ビットカウンターである。HSYNCローテーションカウンター110は、垂直同期信号VSYNCによりカウント値が初期化され、水平同期信号HSYNCに基づいて1水平走査期間毎にカウント値をカウントアップする3ビットカウンターである。マルチプレクスカウンター120は、水平同期信号HSYNCに基づいてカウント値が初期化され、マルチプレクス駆動タイミング生成部130によって生成されたマルチプレクス駆動タイミングに応じてカウント値をカウントアップする3ビットカウンターである。マルチプレクス駆動タイミング生成部130は、例えば表示コントローラー70からの画素クロックCLKに同期して、1水平走査期間内でマルチプレクス制御信号SEL0〜SEL7のいずれかがアクティブなるタイミングを示すタイミング信号を生成する。マルチプレクスカウンター120は、このタイミング信号の立ち上がり等に同期してカウント値を更新する。
【0063】
加算器132は、VSYNCローテーションカウンター100のカウント値と、HSYNCローテーションカウンター110のカウント値とを加算する3ビット加算器である。加算器134は、加算器132の加算結果と、マルチプレクスカウンター120のカウント値とを加算する3ビット加算器である。なお、加算器132、134を1つの加算器で実現してもよい。マルチプレクスデコーダー140は、加算器134の3ビットの加算結果に対応したデコード処理を行い、マルチプレクス制御信号SEL0〜SEL7を生成する。
【0064】
図6に、図5のマルチプレクスデコーダー140の動作説明図を示す。図6は、横軸に時間軸をとり、加算器134の3ビットの加算結果、マルチプレクス制御信号SEL0〜SEL7の一例を表す。
マルチプレクスデコーダー140は、加算器134の3ビットの加算結果をデコードし、いずれか1つがHレベルのマルチプレクス制御信号SEL0〜SEL7、又はすべてがHレベル又はLレベルのマルチプレクス制御信号SEL0〜SEL7を出力する。具体的には、加算結果が“0”のとき、マルチプレクスデコーダー140は、マルチプレクス制御信号SEL0をHレベル、マルチプレクス制御信号SEL1〜SEL7をLレベルとする。加算結果が“1”のとき、マルチプレクスデコーダー140は、マルチプレクス制御信号SEL1をHレベル、マルチプレクス制御信号SEL0、SEL2〜SEL7をLレベルとする。同様に、加算結果が“7”のとき、マルチプレクスデコーダー140は、マルチプレクス制御信号SEL7をHレベル、マルチプレクス制御信号SEL0〜SEL6をLレベルとする。なお、プリチャージ制御がイネーブル制御されたときのプリチャージ期間において、マルチプレクス制御信号SEL0〜SEL7はすべてがHレベルになる。
【0065】
このようなマルチプレクス制御信号生成部80によれば、VSYNCローテーションカウンター100のカウント値に対応した駆動順序を基準に、駆動順序に対応したカウント値が1水平走査期間毎に1つずつインクリメントされる加算器132の出力が得られる。従って、駆動順序が1水平走査期間毎に1つずつシフトされる出力が得られる。これに、マルチプレクスカウンター120のカウント値を加算することで、ローテーションに対応したマルチプレクス制御信号SEL0〜SEL7を生成することができる。
【0066】
ところが、2D表示のときはそれぞれのソース線に接続される画素が均一に見えていたが、このローテーション機能をそのまま3D表示に適用すると、以下のような問題がある。なお、以下では、説明の便宜上、各垂直走査期間の先頭の水平走査期間におけるローテーションパターン(開始ローテーションパターン)のみを図示するが、実際には、各垂直走査期間において1水平走査期間毎にローテーションパターンが変更される。
【0067】
図7に、3D表示の際の図5の構成による第1の駆動例の説明図を示す。第1の駆動例では、1垂直走査期間毎に右目用画像及び左目用画像を交互に駆動する。図7は、アクティブシャッター方式で3D映像を見る例を表しており、シャッターについては、画像が右目用のときは右目用のシャッターの制御例を表し、画像が左目用のときは左目用のシャッターの制御例を表す。また、図7におけるVSYNCカウント値は、垂直同期信号VSYNCのカウント値を3ビットで表現したものである。
【0068】
右目用画像の最初の水平走査期間(最初の垂直走査期間における先頭の水平走査期間)におけるローテーションパターン(開始ローテーションパターン)が“01234567”のとき、マルチプレクス制御信号SEL0〜SEL7が順番にHレベルとなる。これは、VSYNCカウント値が“0”の垂直走査期間における最初の水平走査期間におけるローテーションパターンを示している。この垂直走査期間では、次の水平走査期間において、このローテーションパターンを基準に例えば“04261537”に変更され、これ以降、順次、直前の水平走査期間における駆動順序を基準に後続の水平走査期間で分散される。このとき、右目用画像を表示し、右目用のシャッターが、クロストークを低減するために当該垂直走査期間の後半から開く。次の垂直走査期間では、開始ローテーションパターンが“01234567”から1つシフトされ“12345670”となり、マルチプレクス制御信号SEL1〜SEL7、SEL0が順番にHレベルとなる。この垂直走査期間でも、開始ローテーションパターン“12345670”を基準に1水平走査期間毎に分散される。このとき、左目用画像を表示し、左目用のシャッターが、クロストークを低減するために当該垂直走査期間の後半から開く。左目用画像を表示する垂直走査期間においても、同様に、1水平走査期間毎にローテーションパターンが変更される。
【0069】
図8(A)、図8(B)に、図7において右目及び左目に見えるローテーションパターンの説明図を示す。図8(A)は、図7に示すローテーションパターンのうち右目用のシャッターが開く右目用画像を表示するときのローテーションパターンと、左目用のシャッターが開く左目用画像を表示するときのローテーションパターンとを表す。図8(B)は、右目に見えるローテーションパターン、左目に見えるローテーションパターンを表す。
【0070】
図7に示すローテーションパターンのうち、原則として、右目用画像を表示しているとき左目には見えず、左目用画像を表示しているとき右目には見えない。そのため、実際に右目及び左目に各画像が見えるときのローテーションパターンをまとめると、図8(A)のようになる。これは、結局、図8(B)に示すように、右目及び左目には、それぞれ4パターンしか見えないことを意味する。即ち、右目及び左目でローテーションパターンが固定されてしまい、縞模様が十分に拡散されない事態となる。
【0071】
次に、3D表示の際に、クロストークを防止するために、連続して右目用画像を表示した後、連続して左目用画像を表示する第2の駆動例を考える。
【0072】
図9に、3D表示の際の図5の構成による第2の駆動例の説明図を示す。図9は、アクティブシャッター方式で3D映像を見る例を表しており、シャッターについては、画像が右目用のときは右目用のシャッターの制御例を表し、画像が左目用のときは左目用のシャッターの制御例を表す。また、図9におけるVSYNCカウント値は、垂直同期信号VSYNCのカウント値を3ビットで表現したものである。
【0073】
右目用画像のVSYNCカウント値が“0”の最初の水平走査期間における開始ローテーションパターンが“01234567”のとき、マルチプレクス制御信号SEL0〜SEL7が順番にHレベルとなる。その後、このローテーションパターンを基準に、1水平走査期間毎に分散される。このとき、右目用画像を表示し、右目用のシャッターは閉じたままである。次の垂直走査期間では、開始ローテーションパターンが1つシフトし、マルチプレクス制御信号SEL1〜SEL7、SEL0が順番にHレベルとなる。その後、このローテーションパターンを基準に、1水平走査期間毎に分散される。このときも右目用画像を表示し、右目用のシャッターが開く。左目用画像についても同様である。
【0074】
図10(A)、図10(B)に、図9において右目及び左目に見えるローテーションパターンの説明図を示す。図10(A)は、図9に示すローテーションパターンのうち右目用のシャッターが開く右目用画像を表示するときのローテーションパターンと、左目用のシャッターが開く左目用画像を表示するときのローテーションパターンとを表す。図10(B)は、右目に見えるローテーションパターン、左目に見えるローテーションパターンを表す。
【0075】
実際に右目及び左目に各画像が見えるときのローテーションパターンをまとめると、図10(A)のようになる。これは、結局、図10(B)に示すように、右目及び左目には、それぞれ2パターンしか見えないことを意味する。即ち、クロストークを防止することができるものの、右目及び左目でローテーションパターンが固定されてしまい、縞模様が十分に拡散されない事態となる。
【0076】
次に、3D表示の際に、クロストークを防止し、且つ、縞模様の拡散を図る第3の駆動例を考える。第3の駆動例では、3種類の駆動モードで駆動し、連続して高い表示周波数で2フレーム分の右目用画像を表示した後、低い表示周波数で1フレーム分の右目用画像を表示する。続く左目用画像についても同様である。
【0077】
図11に、3D表示の際の図5の構成による第3の駆動例の説明図を示す。図11は、アクティブシャッター方式で3D映像を見る例を表しており、シャッターについては、画像が右目用のときは右目用のシャッターの制御例を表し、画像が左目用のときは左目用のシャッターの制御例を表す。また、図11におけるVSYNCカウント値は、垂直同期信号VSYNCのカウント値を3ビットで表現したものである。
【0078】
右目用画像のVSYNCカウント値が“0”の最初の水平走査期間における開始ローテーションパターンが“01234567”のとき、マルチプレクス制御信号SEL0〜SEL7が順番にHレベルとなる。その後、このローテーションパターンを基準に、1水平走査期間毎に分散される。このとき、右目用画像を高い表示周波数で表示し、右目用のシャッターは閉じたままである。次の垂直走査期間では、開始ローテーションパターンが1つシフトし、マルチプレクス制御信号SEL1〜SEL7、SEL0が順番にHレベルとなり、この開始ローテーションパターンを基準に1水平走査期間毎に分散される。このときも右目用画像を高い表示周波数で表示し、右目用のシャッターが例えば開く。更に、次の垂直走査期間では、開始ローテーションパターンが1つシフトし、マルチプレクス制御信号SEL2〜SEL7、SEL0、SEL1が順番にHレベルとなり、この開始ローテーションパターンを基準に1水平走査期間毎に分散される。このときは右目用画像を低い表示周波数で表示し、右目用のシャッターが開く。左目用画像についても同様である。
【0079】
図12(A)、図12(B)に、図11において右目及び左目に見えるローテーションパターンの説明図を示す。図12(A)は、図11に示すローテーションパターンのうち右目用のシャッターが開く右目用画像を表示するときのローテーションパターンと、左目用のシャッターが開く左目用画像を表示するときのローテーションパターンとを表す。図12(B)は、右目に見えるローテーションパターン、左目に見えるローテーションパターンを表す。
【0080】
実際に右目及び左目に各画像が見えるときのローテーションパターンをまとめると、図12(A)のようになる。これは、結局、図12(B)に示すように、右目及び左目には、それぞれ4パターンしか見えないことを意味する。即ち、クロストークを防止することができるものの、右目及び左目でローテーションパターンが固定されてしまい、縞模様が十分に拡散されない事態となる。
【0081】
以上のように、単純にローテーション機能を3D表示に用いても、ローテーションパターンが固定されてしまうという問題がある。そこで、第1の実施形態では、次のようにローテーションパターンを変更し、3D表示のための右目用画像及び左目用画像を表示する。
【0082】
図13に、第1の実施形態における駆動装置50の処理例のフロー図を示す。
まず、駆動装置50は、駆動制御部36のマルチプレクス制御信号生成部37において、所与の駆動順序に対応したローテーションパターン(開始ローテーションパターン)を初期値として設定する(ステップST10)。
【0083】
次に、駆動装置50は、液晶パネル12のゲート線を走査しながら、ステップST10で設定された駆動順序に対応したマルチプレクス駆動により、右目用画像の右目用画像データに基づいて複数のソース線を駆動する(ステップST12、右目用駆動ステップ)。ステップST12では、各垂直走査期間において、ステップST10で設定された駆動順序から順番に1水平走査期間毎に直前の水平走査期間における駆動順序を変更する。このようなステップST12では、1又は複数の垂直走査期間にわたって、上記のマルチプレクス駆動により右目用画像データに基づいて複数のソース線が駆動される。
【0084】
更に、駆動装置50は、液晶パネル12のゲート線を走査しながら、ステップST10で設定された駆動順序に対応したマルチプレクス駆動により、左目用画像の左目用画像データに基づいて複数のソース線を駆動する(ステップST14、左目用駆動ステップ)。ステップST14では、各垂直走査期間において、ステップST10で設定された駆動順序から順番に1水平走査期間毎に直前の水平走査期間における駆動順序を変更する。このようなステップST14では、1又は複数の垂直走査期間にわたって、上記のマルチプレクス駆動により左目用画像データに基づいて複数のソース線が駆動される。このステップST12及びステップST14により、駆動ステップが構成される。
【0085】
ここで、3D表示が終了のとき(ステップST16:Y)、駆動装置50は、一連の処理を終了する(エンド)。一方、3D表示が終了ではないとき(ステップST16:N)、駆動装置50は、右目用画像又は左目用画像の最初の水平走査期間における複数のソース線の駆動順序を変更する(ステップST18、駆動順序変更ステップ)。具体的には、2×n垂直走査期間毎に、右目用画像及び左目用画像の最初の水平走査期間における複数のソース線の駆動順序を変更する。その後、ステップST12に戻る。ステップST12では、駆動装置50は、液晶パネル12のゲート線を走査しながら、ステップST18で設定された駆動順序に対応したマルチプレクス駆動により、左目用画像の左目用画像データに基づいて複数のソース線を駆動する(ステップST12)。このとき、各垂直走査期間において、ステップST18で設定された駆動順序から順番に1水平走査期間毎に直前の水平走査期間における駆動順序を変更する。
【0086】
図14に、第1の実施形態におけるマルチプレクス制御信号生成部37の構成例を示す。図14において、図5と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
マルチプレクス制御信号生成部37は、VSYNCローテーションカウンター(第1のカウンター)100と、HSYNCローテーションカウンター(第2のカウンター)110と、マルチプレクスカウンター(第3のカウンター)120とを備えている。また、マルチプレクス制御信号生成部37は、マルチプレクス駆動タイミング生成部130と、マルチプレクスデコーダー140と、分周回路142と、加算器132、134とを備えている。
【0087】
マルチプレクス制御信号生成部37には、表示コントローラー70からの垂直同期信号VSYNC、水平同期信号HSYNCが入力される。分周回路142は、垂直同期信号VSYNCを分周する。例えば上記の第1の駆動例のように、右目用画像及び左目用画像を1垂直走査期間毎に交互に表示する場合、分周回路142は、垂直同期信号VSYNCを2分周する。例えば上記の第2の駆動例のように、3D表示の際に、クロストークを防止するために、連続して右目用画像を表示した後、連続して左目用画像を表示する場合、分周回路142は、垂直同期信号VSYNCを4分周する。例えば上記の第3の駆動例のように、連続して高い表示周波数で2フレームの右目用画像を表示した後、低い表示周波数で1フレームの右目用画像を表示する場合、分周回路142は、垂直同期信号VSYNCを6分周する。
【0088】
VSYNCローテーションカウンター100は、分周回路142の出力に基づいて2×n垂直走査期間毎にカウント値をカウントアップ(広義には、更新)する3ビットカウンターである。HSYNCローテーションカウンター110は、垂直同期信号VSYNCによりカウント値が初期化され、水平同期信号HSYNCに基づいて1水平走査期間毎にカウント値をカウントアップする3ビットカウンターである。マルチプレクスカウンター120は、水平同期信号HSYNCに基づいてカウント値が初期化され、マルチプレクス駆動タイミング生成部130によって生成されたマルチプレクス駆動タイミングに応じてカウント値をカウントアップする3ビットカウンターである。マルチプレクス駆動タイミング生成部130は、例えば表示コントローラー70からの画素クロックCLKに同期して、1水平走査期間内でマルチプレクス制御信号SEL0〜SEL7のいずれかがアクティブになるタイミングを示すタイミング信号を生成する。マルチプレクスカウンター120は、このタイミング信号の立ち上がり等に同期してカウント値を更新する。
【0089】
加算器132、134は、図5と同様である。マルチプレクスデコーダー140は、図6に示すように、加算器134の3ビットの加算結果に対応したデコード処理を行い、マルチプレクス制御信号SEL0〜SEL7を生成する。
【0090】
図15(A)、図15(B)に、図14の構成による第1の駆動例の説明図を示す。図15(A)は、アクティブシャッター方式で3D映像を見る例を表しており、シャッターについては、画像が右目用のときは右目用のシャッターの制御例を表し、画像が左目用のときは左目用のシャッターの制御例を表す。図15(B)は、図15(A)において右目及び左目に見えるローテーションパターンの説明図を示す。また、図15(A)又は図15(B)におけるVSYNCカウント値は、垂直同期信号VSYNCのカウント値を3ビットで表現したものである。
【0091】
右目用画像のVSYNCカウント値が“0”の最初の水平走査期間における開始ローテーションパターンが“01234567”のとき、マルチプレクス制御信号SEL0〜SEL7が順番にHレベルとなる。これは、VSYNCカウント値が“0”の垂直走査期間における最初の水平走査期間におけるローテーションパターンを示している。この垂直走査期間では、次の水平走査期間において、このローテーションパターンを基準に例えば“04261537”に変更され、これ以降、順次、直前の水平走査期間における駆動順序を基準に後続の水平走査期間で分散される。このとき、右目用画像を表示し、右目用のシャッターが、クロストークを低減するために当該垂直走査期間の後半から開く。次の垂直走査期間では、開始ローテーションパターンが変更されることなく“01234567”のままとなり、マルチプレクス制御信号SEL0〜SEL7が順番にHレベルとなる。この垂直走査期間では、開始ローテーションパターン“12345670”を基準に1水平走査期間毎に分散される。このとき、左目用画像を表示し、左目用のシャッターが、クロストークを低減するために当該垂直走査期間の後半から開く。左目用画像を表示する垂直走査期間においても、同様に、1水平走査期間毎にローテーションパターンが変更される。
【0092】
そのため、第1の駆動例において実際に右目及び左目に各画像が見えるときのローテーションパターンをまとめると、図15(B)のようになる。これは、右目及び左目には、それぞれ8パターンで見えることを意味し、右目及び左目でローテーションパターンが固定されることなく、縞模様が十分に拡散されることを示す。
【0093】
次に、3D表示の際に、クロストークを防止するために、連続して右目用画像を表示した後、連続して左目用画像を表示する第2の駆動例を考える。
【0094】
図16、図17に、3D表示の際の図14の構成による第2の駆動例の説明図を示す。図16は、アクティブシャッター方式で3D映像を見る例を表しており、シャッターについては、画像が右目用のときは右目用のシャッターの制御例を表し、画像が左目用のときは左目用のシャッターの制御例を表す。図17は、図16において右目及び左目に見えるローテーションパターンの説明図を示す。また、図16又は図17におけるVSYNCカウント値は、垂直同期信号VSYNCのカウント値を3ビットで表現したものである。
【0095】
右目用画像のVSYNCカウント値が“0”の最初の水平走査期間における開始ローテーションパターンが“01234567”のとき、マルチプレクス制御信号SEL0〜SEL7が順番にHレベルとなる。この垂直走査期間では、次の水平走査期間において、このローテーションパターンを基準に例えば“04261537”に変更され、これ以降、順次、直前の水平走査期間における駆動順序を基準に後続の水平走査期間で分散される。このとき、右目用画像を表示し、右目用のシャッターは閉じたままである。次の垂直走査期間では、開始ローテーションパターンが変更されることなくそのままの状態で、マルチプレクス制御信号SEL0〜SEL7が順番にHレベルとなり、この開始ローテーションパターンを基準に1水平走査期間毎に分散される。このときも右目用画像を表示し、右目用のシャッターが開く。
【0096】
続く左目用画像については、開始ローテーションパターンが“01234567”のままで、マルチプレクス制御信号SEL0〜SEL7が順番にHレベルとなり、この開始ローテーションパターンを基準に1水平走査期間毎に分散される。このとき、左目用画像を表示し、左目用のシャッターは閉じたままである。次の垂直走査期間でも、開始ローテーションパターンが変更されることなくそのままの状態で、マルチプレクス制御信号SEL0〜SEL7が順番にHレベルとなり、この開始ローテーションパターンを基準に1水平走査期間毎に分散される。このときも左目用画像を表示し、左目用のシャッターが開く。
【0097】
そして、次の右目用画像のときに、開始ローテーションパターンが1つシフトして“12345670”となり、このローテーションパターンを基準に、上記のように右目用画像及び左目用画像の表示駆動が行われる。
【0098】
そのため、第2の駆動例において実際に右目及び左目に各画像が見えるときのローテーションパターンをまとめると、図17のようになる。これは、結局、図17に示すように、右目及び左目には、それぞれ8パターンで見えることを意味し、クロストークを防止する上に、右目及び左目でローテーションパターンが固定されることなく、縞模様が十分に拡散されることを示す。
【0099】
次に、3D表示の際に、クロストークを防止し、且つ、縞模様の拡散を図る第3の駆動例を考える。
【0100】
図18、図19に、3D表示の際の図14の構成による第3の駆動例の説明図を示す。図18は、アクティブシャッター方式で3D映像を見る例を表しており、シャッターについては、画像が右目用のときは右目用のシャッターの制御例を表し、画像が左目用のときは左目用のシャッターの制御例を表す。図19は、図18において右目及び左目に見えるローテーションパターンの説明図を示す。また、図18及び図19におけるVSYNCカウント値は、垂直同期信号VSYNCのカウント値を3ビットで表現したものである。
【0101】
右目用画像のVSYNCカウント値が“0”の最初の水平走査期間における開始ローテーションパターンが“01234567”のとき、マルチプレクス制御信号SEL0〜SEL7が順番にHレベルとなる。この垂直走査期間では、この開始ローテーションパターンを基準に1水平走査期間毎に分散される。このとき、右目用画像を高い表示周波数で表示し、右目用のシャッターは閉じたままである。次の垂直走査期間では、開始ローテーションパターンが変更されることなくそのままの状態で、マルチプレクス制御信号SEL0〜SEL7が順番にHレベルとなり、この開始ローテーションパターンを基準に1水平走査期間毎に分散される。このときも右目用画像を高い表示周波数で表示し、右目用のシャッターが例えば開く。更に、次の垂直走査期間では、開始ローテーションパターンが変更されることなくそのままの状態で、マルチプレクス制御信号SEL0〜SEL7が順番にHレベルとなり、この開始ローテーションパターンを基準に1水平走査期間毎に分散される。このときは右目用画像を低い表示周波数で表示し、右目用のシャッターが開く。
【0102】
続く左目用画像については、開始ローテーションパターンが“01234567”のままで、マルチプレクス制御信号SEL0〜SEL7が順番にHレベルとなる。この垂直走査期間では、この開始ローテーションパターンを基準に1水平走査期間毎に分散される。このとき、左目用画像を高い表示周波数で表示し、左目用のシャッターは閉じたままである。次の垂直走査期間では、開始ローテーションパターンが変更されることなくそのままの状態で、マルチプレクス制御信号SEL0〜SEL7が順番にHレベルとなり、この開始ローテーションパターンを基準に1水平走査期間毎に分散される。このときも左目用画像を高い表示周波数で表示し、右目用のシャッターが例えば開く。更に、次の垂直走査期間では、開始ローテーションパターンが変更されることなくそのままの状態で、マルチプレクス制御信号SEL0〜SEL7が順番にHレベルとなり、この開始ローテーションパターンを基準に1水平走査期間毎に分散される。このときは左目用画像を低い表示周波数で表示し、左目用のシャッターが開く。
【0103】
そのため、第3の駆動例において実際に右目及び左目に各画像が見えるときのローテーションパターンをまとめると、図19のようになる。これは、結局、図19に示すように、右目及び左目には、それぞれ8パターンで見えることを意味し、クロストークを防止する上に、右目及び左目でローテーションパターンが固定されることなく、縞模様が十分に拡散されることを示す。
【0104】
以上のように、第1の実施形態においては、2×n垂直走査期間毎に、右目用画像及び左目用画像の各々の最初の水平走査期間におけるマルチプレクス駆動の駆動順序を変更する。こうすることで、3D表示のための1組の右目用画像及び左目用画像を単位でローテーションパターンが変更され、右目及び左目でローテーションパターンが固定されることなく、縞模様が十分に拡散させることができるようになる。
【0105】
〔第2の実施形態〕
第1の実施形態では、右目用画像と対応する左目用画像とを同じ駆動順序で駆動される例を説明したが、右目用画像と対応する左目用画像とが互いに異なる駆動順序で駆動されることが望ましい。第2の実施形態は、第1の実施形態とほぼ同様の構成で実現でき、以下では第1の実施形態と異なる点のみ説明する。
【0106】
図20に、本発明の第2の実施形態に係るマルチプレクス制御信号生成部の構成例を示す。第2の実施形態におけるマルチプレクス制御信号生成部37aは、図2のマルチプレクス制御信号生成部37に代えて駆動制御部36に適用することができる。図20において、図14と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0107】
マルチプレクス制御信号生成部37aは、VSYNCローテーションカウンター100と、HSYNCローテーションカウンター110と、マルチプレクスカウンター120とを備えている。また、マルチプレクス制御信号生成部37aは、マルチプレクス駆動タイミング生成部130と、マルチプレクスデコーダー140と、分周回路142と、加算器132、134とを備えている。更に、マルチプレクス制御信号生成部37aは、オフセットレジスター143と、セレクター148と、加算器150とを備えている。オフセットレジスター143は、右目用オフセットレジスター144と、左目用オフセットレジスター146とを有する。
【0108】
オフセットレジスター143には、右目用画像における最初の水平走査期間の駆動順序を基準として、左目用画像の最初の水平走査期間の駆動順序のシフト数に対応したオフセットが、表示コントローラー70によって設定される。なお、左目用画像における最初の水平走査期間の駆動順序を基準として、右目用画像の最初の水平走査期間の駆動順序のシフト数に対応したオフセットが設定されてもよい。
【0109】
なお、第2の実施形態では、右目用画像に対するオフセットと左目用画像に対するオフセットが独立して設定できるように、オフセットレジスター143には、右目用オフセットレジスター144と左目用オフセットレジスター146とが設けられる。これにより、オフセットの設定の自由度をより一層向上させることができるようになる。右目用オフセットレジスター144及び左目用オフセットレジスター146には、表示コントローラー70により、オフセット数に対応した3ビットのデータが設定される。
【0110】
セレクター148は、分周回路142の出力の例えば下位1ビットに基づいて、右目用オフセットレジスター144のオフセット又は左目用オフセットレジスター146のオフセットを選択出力する。加算器150は、セレクター148の出力と、加算器134の加算結果を加算して3ビットの加算結果をマルチプレクスデコーダー140に出力する。即ち、マルチプレクスデコーダー140は、VSYNローテーションカウンター100、HSYNCローテーションカウンター110及びマルチプレクスカウンター120の各カウント値とオフセットとに基づいてマルチプレクス制御信号SEL0〜SEL7を生成する。
【0111】
図21に、図20の構成による第3の駆動例の説明図を示す。図21は、右目用画像の駆動順序を基準として、左目用画像の駆動順序としてオフセット数“4”のときに右目及び左目に見えるローテーションパターンの説明図を示す。また、図21におけるVSYNCカウント値は、垂直同期信号VSYNCのカウント値を3ビットで表現したものである。
【0112】
VSYNCカウント値が“0”の最初の水平走査期間では、右目用画像の開始ローテーションパターンが“01234567”で始まり、この右目用画像に対応する左目用画像の開始ローテーションパターンが“45670123”で始まる。即ち、左目用画像の最初の水平走査期間の駆動順序が、右目用画像の最初の水平走査期間の駆動順序を基準にシフトしている。これ以降、第1の実施形態における第3の駆動例と同様に、右目用画像及び左目用画像それぞれについて開始ローテーションパターンが変更されていく。
【0113】
そのため、第3の駆動例において実際に右目及び左目に各画像が見えるときのローテーションパターンをまとめると、右目及び左目にはそれぞれ8パターンで見える。そのため、クロストークを防止する上に、右目及び左目でローテーションパターンが固定されることなく、縞模様が十分に拡散される。
【0114】
図21の例では、例えば右目用オフセットレジスター144にオフセット数“0”、左目用オフセットレジスター146にオフセット数“4”が設定される。なお、図21ではオフセット数が“4”である例を説明したが、オフセット数が“4”を除く“7”以下であってもよい。また、図21では、上記の第3の駆動例を例に説明したが、第1の駆動例又は第2の駆動例についても同様である。
【0115】
以上説明したように、第2の実施形態では、駆動順序を変更するのに先立ち、右目用画像の最初の水平走査期間の駆動順序を基準として、左目用画像の最初の水平走査期間の駆動順序のシフト数に対応したオフセットを設定するオフセット設定ステップを含むことができる。このとき、左目用画像については、左目用画像の最初の水平走査期間において、右目用画像の最初の水平走査期間の駆動順序を基準にオフセットに対応したシフト数分だけシフトした駆動順序で、複数のソース線を駆動する。
【0116】
〔第3の実施形態〕
第1の実施形態又は第2の実施形態では、右目用画像で用いる開始ローテーションパターンは左目用画像で用いる開始ローテーションパターンと一致するもの、又はシフトしたものであったが、これらに限定されるものではない。第3の実施形態では、右目用画像で用いる開始ローテーションパターンと左目用画像で用いる開始ローテーションパターンとがそれぞれ別個に設定される。第3の実施形態は、第1の実施形態とほぼ同様の構成で実現でき、以下では第1の実施形態と異なる点のみ説明する。
【0117】
図22に、本発明の第3の実施形態に係るマルチプレクス制御信号生成部の構成例を示す。第3の実施形態におけるマルチプレクス制御信号生成部37bは、図2のマルチプレクス制御信号生成部37に代えて駆動制御部36に適用することができる。図22において、図14と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0118】
マルチプレクス制御信号生成部37bは、VSYNCローテーションカウンター100と、HSYNCローテーションカウンター110と、マルチプレクスカウンター120とを備えている。また、マルチプレクス制御信号生成部37bは、マルチプレクス駆動タイミング生成部130と、マルチプレクスデコーダー140と、分周回路142と、加算器132、134とを備えている。更に、マルチプレクス制御信号生成部37bは、右目用ローテーションパターンレジスター152と、左目用ローテーションパターンレジスター154と、セレクター156と、加算器158とを備えている。
【0119】
右目用ローテーションパターンレジスター(第1のパターンレジスター)152には、表示コントローラー70により、右目用画像の最初の水平走査期間の駆動順序に対応した開始ローテーションパターンが設定される。左目用ローテーションパターンレジスター(第2のパターンレジスター)154には、表示コントローラー70により、左目用画像の最初の水平走査期間の駆動順序に対応した開始ローテーションパターンが設定される。
【0120】
セレクター156は、分周回路142の出力の例えば下位1ビットに基づいて、右目用ローテーションパターンレジスター152のローテーションパターン又は左目用ローテーションパターンレジスター154のローテーションパターンを選択出力する。加算器158は、セレクター156の出力と、加算器134の加算結果を加算して3ビットの加算結果をマルチプレクスデコーダー140に出力する。即ち、マルチプレクスデコーダー140は、右目用ローテーションパターンレジスター152に設定されたローテーションパターンに基づいて右目用のマルチプレクス制御信号SEL0〜SEL7を生成する。またマルチプレクスデコーダー140は、左目用ローテーションパターンレジスター154に設定されたローテーションパターンに基づいて左目用のマルチプレクス制御信号SEL0〜SEL7を生成する。
【0121】
図23に、図22の構成による第3の駆動例の説明図を示す。図23は、右目用ローテーションパターンレジスター152に“01234567”のローテーションパターンが設定され、左目用ローテーションパターンレジスター154に“02461357”が設定された場合を表す。また、図23におけるVSYNCカウント値は、垂直同期信号VSYNCのカウント値を3ビットで表現したものである。
【0122】
VSYNCカウント値が“0”の最初の水平走査期間では、右目用画像の開始ローテーションパターンが“01234567”で始まる。その後、VSYNCカウント値が“2”になるまで同じローテーションパターンで右目用画像を表示する。このとき、右目用ローテーションパターンレジスター152に設定された“01234567”から順番に1水平走査期間毎に駆動順序をシフトしたマルチプレクス駆動により、右目用画像データに基づいて複数のソース線が駆動される。
【0123】
次に、この右目用画像に対応する左目用画像の開始ローテーションパターンが“02461357”で始まる。その後、VSYNCカウント値が“5”になるまで同じローテーションパターンで左目用画像を表示する。このとき、左目用ローテーションパターンレジスター154に設定された“02461357”から順番に1水平走査期間毎に駆動順序をシフトしたマルチプレクス駆動により、左目用画像データに基づいて複数のソース線が駆動される。
【0124】
そのため、第3の駆動例において実際に右目及び左目に各画像が見えるときのローテーションパターンをまとめると、右目及び左目には、それぞれ8パターンで見える。そのため、クロストークを防止する上に、右目及び左目でローテーションパターンが固定されることなく、縞模様が十分に拡散される。
【0125】
なお、右目用ローテーションパターンレジスター152及び左目用ローテーションパターンレジスター154にそれぞれ設定されるパターンが図23で説明したものに限定されない。図23では、上記の第3の駆動例を例に説明したが、第1の駆動例又は第2の駆動例についても同様である。また、第3の実施形態において第2の実施形態を適用してもよい。
【0126】
以上説明したように、第3の実施形態では、駆動順序を変更するのに先立ち、右目用画像の最初の水平走査期間の駆動順序を設定する右目用駆動順序設定ステップと、左目用画像の最初の水平走査期間の駆動順序を設定する左目用駆動順序設定ステップとを含むことができる。そして、右目用画像については、各垂直走査期間において、右目用駆動順序設定ステップにおいて設定された駆動順序から順番に1水平走査期間毎に駆動順序をシフトしたマルチプレクス駆動により、右目用画像データに基づいて複数のソース線が駆動される。また、左目用画像については、各垂直走査期間において、左目用駆動順序設定ステップにおいて設定された駆動順序から順番に1水平走査期間毎に駆動順序をシフトしたマルチプレクス駆動により、左目用画像データに基づいて複数のソース線が駆動される。
【0127】
〔第4の実施形態〕
第1の実施形態ではVSYNCローテーションカウンター100が1つの3ビットカウンターで構成されるものとして説明したが、これに限定されるものではない。第4の実施形態では、VSYNCローテーションカウンター100が、右目用と左目用とに別個に設けられる。第4の実施形態は、第1の実施形態とほぼ同様の構成で実現でき、以下では第1の実施形態と異なる点のみ説明する。
【0128】
図24に、本発明の第4の実施形態に係るマルチプレクス制御信号生成部の構成例を示す。第4の実施形態におけるマルチプレクス制御信号生成部37cは、図2のマルチプレクス制御信号生成部37に代えて駆動制御部36に適用することができる。図24において、図14と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0129】
マルチプレクス制御信号生成部37cは、VSYNCローテーションカウンター100と、HSYNCローテーションカウンター110と、マルチプレクスカウンター120とを備えている。また、マルチプレクス制御信号生成部37cは、マルチプレクス駆動タイミング生成部130と、マルチプレクスデコーダー140と、分周回路160と、加算器162、164、168と、セレクター166とを備えている。VSYNCローテーションカウンター100は、右目用VSYNCローテーションカウンター(第4のカウンター)102と、左目用VSYNCローテーションカウンター(第5のカウンター)104とを有する。
【0130】
分周回路160は、D型フリップフロップを有し、D型フリップフロップのクロック端子Cに垂直同期信号VSYNCが入力され、データ入力端子Dが反転出力端子XQに接続される。D型フリップフロップの出力端子Qの出力信号が、右目用VSYNCローテーションカウンター102及びセレクター166に入力される。D型フリップフロップの反転出力端子XQの出力信号が、左目用VSYNCローテーションカウンター104に入力される。
【0131】
右目用VSYNCローテーションカウンター102は、D型フリップフロップの出力端子Qの出力信号に基づいてカウントアップする3ビットカウンターである。左目用VSYNCローテーションカウンター104は、D型フリップフロップの反転出力端子XQの出力信号に基づいてカウントアップする3ビットカウンターである。加算器162は、右目用VSYNCローテーションカウンター102のカウント値とHSYNCローテーションカウンター110のカウント値とを加算する3ビット加算器である。加算器164は、左目用VSYNCローテーションカウンター104のカウント値とHSYNCローテーションカウンター110のカウント値とを加算する3ビット加算器である。セレクター166は、D型フリップフロップの反転出力端子XQの出力信号に基づいて、加算器162の加算結果又は加算器164の加算結果を選択出力する。加算器168は、セレクター166の出力とマルチプレクスカウンター120のカウント値とを加算する3ビット加算器であり、加算結果をマルチプレクスデコーダー140に出力する。
【0132】
マルチプレクスデコーダー140は、分周回路160の出力に応じて、右目用画像に対して、右目用VSYNCローテーションカウンター102のカウント値を用いて、マルチプレクス制御信号SEL0〜SEL7を生成する。また、マルチプレクスデコーダー140は、分周回路160の出力に応じて、左目用画像に対して、左目用VSYNCローテーションカウンター104のカウント値を用いて、マルチプレクス制御信号SEL0〜SEL7を生成する。以上のような構成により、第1の実施形態と同様のマルチプレクス制御信号SEL0〜SEL7を生成することができる。
【0133】
図25に、図24の構成による第3の駆動例の説明図を示す。図25におけるVSYNCカウント値は、垂直同期信号VSYNCのカウント値を3ビットで表現したものである。
【0134】
図25に示すように、第3の駆動例において実際に右目及び左目に各画像が見えるときのローテーションパターンをまとめると、右目及び左目にはそれぞれ8パターンで見える。そのため、クロストークを防止する上に、右目及び左目でローテーションパターンが固定されることなく、縞模様が十分に拡散される。図25は、第3の駆動例を表すが、第1の駆動例又は第2の駆動例についても同様である。また、第4の実施形態において第2の実施形態又は第3の実施形態を適用してもよい。
【0135】
以上説明したように、第4の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができるようになる。
【0136】
〔第5の実施形態〕
第1の実施形態〜第4の実施形態では、第3の駆動例において、右目用画像及び左目用画像それぞれについて、駆動モードにかかわらず開始ローテーションパターンを固定していたが、これに限定されるものではない。第5の実施形態では、右目用画像及び左目用画像それぞれについて、駆動モードに応じて開始ローテーションパターンを変更する。第5の実施形態は、第1の実施形態とほぼ同様の構成で実現でき、以下では第1の実施形態と異なる点のみ説明する。
【0137】
図26に、第5の実施形態における駆動モードの説明図を示す。
図27に、第5の実施形態における駆動モードのタイミングの一例を示す。
第5の実施形態では、右目用画像について3種類の駆動モードで駆動された後、左目用画像について3種類の駆動モードで駆動される。以降、同様の駆動を繰り返す。ここで、3種類の駆動モードのそれぞれを第1の駆動モード、第2の駆動モード、第3の駆動モードとする。第1の駆動モード及び第2の駆動モードは、表示周波数が480ヘルツで、ソース線を駆動する前にソース線のプリチャージを省略することで、高速な表示周波数での駆動において画素への書き込み時間を確保する(図27参照)。なお、第2の駆動モードで、プリチャージを行ってもよい。第3の駆動モードは、表示周波数が240ヘルツで、プリチャージを行った後にソース線のマルチプレクス駆動を行う(図27参照)。シャッターについては、第2の駆動モード中に開く。左目用画像については、右目用画像と同様である。
【0138】
第5の実施形態では、上記のような第1の駆動モード〜第3の駆動モードのいずれで開始ローテーションパターンを変更するかを設定することができるようになっている。
【0139】
図28に、本発明の第5の実施形態に係るマルチプレクス制御信号生成部の構成例を示す。第5の実施形態におけるマルチプレクス制御信号生成部37dは、図2のマルチプレクス制御信号生成部37に代えて駆動制御部36に適用することができる。図28において、図14と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0140】
マルチプレクス制御信号生成部37dは、VSYNCローテーションカウンター100と、HSYNCローテーションカウンター110と、マルチプレクスカウンター120とを備えている。また、マルチプレクス制御信号生成部37dは、マルチプレクス駆動タイミング生成部130と、マルチプレクスデコーダー140と、分周回路142と、加算器132、134とを備えている。更にまた、マルチプレクス制御信号生成部37dは、駆動モードVSYNC選択レジスター180と、VSYNC選択回路(垂直同期信号選択回路)182とを備えている。
【0141】
駆動モードVSYNC選択レジスター180には、VSYNC選択回路182の出力を指定する設定情報が表示コントローラー70により設定される。VSYNC選択回路182には、垂直同期信号VSYNCと駆動モード信号とが入力されており、駆動モードVSYNC選択レジスター180の設定情報に応じた出力を行う。駆動モード信号は、当該垂直走査期間における駆動モードが上記の第1の駆動モード〜第3の駆動モードのいずれであるかを示す信号である。例えば設定情報が“0000”のとき、VSYNC選択回路182は、出力をディセーブルにする。例えば設定情報が“0001”のとき、VSYNC選択回路182は、駆動モード信号により第1の駆動モードを示すときの垂直同期信号VSYNCを出力する。このようなVSYNC選択回路182の出力は、分周回路142に入力される。
【0142】
これにより、駆動モードに応じて、分周回路142及びVSYNCローテーションカウンター100に供給する垂直同期信号を異ならせることできる。従って、加算器134の加算結果やその変化タイミングも異ならせて、ローテーションパターンの変更タイミングも調整することができるようになる。
【0143】
〔電子機器〕
上記のいずれかの実施形態におけるマルチプレクス制御信号生成部を備える駆動装置又は該駆動装置を有する液晶表示装置は、次のような電子機器に適用することができる。以下、上記のいずれかの実施形態における液晶表示装置が、電子機器としての液晶プロジェクターに適用される例を説明する。
【0144】
図29に、上記のいずれかの実施形態における液晶表示装置が適用されるプロジェクターシステムの構成の概要を示す。図29は、液晶シャッターめがねを利用したプロジェクターシステムの構成の概要を表す。
図30に、図29の光学系の構成の概要を示す。図30では、図29のプロジェクターが、いわゆる3板式の液晶プロジェクターにより構成されるものとして説明するが、これに限定されるものではない。なお、図30において図29と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0145】
プロジェクターシステム200は、液晶プロジェクター210と、液晶シャッターめがね250と、スクリーン260とを備えている。液晶プロジェクター210は、液晶パネル制御部220と、タイミング生成部230と、赤外線送信部240と、光学系300とを備えている。
【0146】
光学系300は、光源装置310と、画像形成ユニット320と、投射光学系340とを備えている。光源装置310は、光源312と、一対のレンズアレイ314と、重畳レンズ316とを含んで構成される。画像形成ユニット320は、ダイクロイックミラー322、324、反射ミラー326、328、330、リレーレンズ332、334、光変調装置としての液晶装置336R、336G、336B、クロスダイクロイックプリズム338を含む。液晶装置336R、336G、336Bのそれぞれは、図1の液晶パネル12を含んで構成される液晶表示装置10と同様の構成を有する透過型の液晶表示装置であり、入射された光を変調する。ダイクロイックミラー322は、光源装置310からの光を、赤色光(R)とそれ以外の色成分の光(緑色光(G)及び青色光(B))とに分離する。ダイクロイックミラー322によって分離された赤色光は、反射ミラー326によって液晶装置336Rに入射面に導かれる。ダイクロイックミラー322によって分離された緑色光及び青色光は、ダイクロイックミラー324によって緑色光と青色光とに分離される。ダイクロイックミラー324によって分離された緑色光は、液晶装置336Gの入射面に入射される。ダイクロイックミラー324によって分離された青色光は、リレーレンズ332、334を介して、反射ミラー328、330によって液晶装置336Bの入射面に導かれる。
【0147】
液晶装置336Rは、赤色光を変調する。液晶装置336Gは、緑色光を変調する。液晶装置336Bは、青色光を変調する。これらの液晶装置336R、336G、336Bによって変調される各色光は、クロスダイクロイックプリズム338によって合成される。
【0148】
投射光学系340は、クロスダイクロイックプリズム338によって合成された光により形成される画像を拡大してスクリーン上で結像する。
【0149】
液晶パネル制御部220は、赤色光(R)、緑色光(G)及び青色光(B)の各色光毎に、対応する液晶装置を駆動制御し、色光毎に変調する制御を行う。タイミング生成部230は、液晶パネル制御部220の駆動タイミングに対応した液晶シャッタータイミングを生成する。赤外線送信部240は、タイミング生成部230によって生成された液晶シャッタータイミングを、液晶シャッターめがね250に送信する。
【0150】
液晶シャッターめがね250は、赤外線受信部252と、液晶シャッター制御部254と、液晶シャッター部256とを備えている。赤外線受信部252は、赤外線送信部240によって送信された液晶シャッタータイミングを受信すると、該タイミングを液晶シャッター制御部254に通知する。液晶シャッター制御部254は、このタイミングに同期して、液晶シャッター部256のシャッター制御を行う。
【0151】
このようなプロジェクターシステム200において、液晶プロジェクター210は、右目用画像の各色成分の画像に対応した画像データに基づいて、液晶装置336R、336G、336Bが一斉に駆動される。その後、左目用画像の各色成分の画像に対応した画像データに基づいて、液晶装置336R、336G、336Bが一斉に駆動される。即ち、液晶プロジェクター210は、右目用画像と左目用画像とを時分割でスクリーン260に投射する。液晶シャッターめがね250は、原則として、液晶プロジェクター210と同期して、右目用画像が表示されているときは左目を遮光し、左目用画像が表示されているときは右目を遮光するようにシャッター制御を行う。
【0152】
上記のいずれかの実施形態における液晶表示装置が適用されたプロジェクターシステム200によれば、右目及び左目のローテーションパターンが固定されることなく縞模様が十分に拡散され、非常に高精細な3D表示が可能となる。
【0153】
以上、本発明に係るマルチプレクス駆動、駆動装置、電気光学装置及び電子機器等を上記のいずれかの実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記のいずれかの実施形態に限定されるものではない。例えば、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、次のような変形も可能である。
【0154】
(1)上記のいずれかの実施形態では、液晶表示装置10の構成を図1に示す構成を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。また、上記のいずれかの実施形態では、駆動装置50の構成を図2に示す構成を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。更に、上記のいずれかの実施形態では、マルチプレクス制御信号生成部を図14、図20、図22、図24、又は図28に示す構成を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0155】
(2)上記のいずれかの実施形態において、第1の駆動例、第2の駆動例、第3の駆動例を適用した場合について説明したが、本発明は駆動の内容に限定されるものではなく、マルチプレクス駆動を行うもの全般に適用できることは言うまでもない。
【0156】
(3)上記のいずれかの実施形態において、「右目」を「左目」に、且つ、「左目」を「右目」に置き換えて説明することができるのは言うまでもない。
【0157】
(4)上記の実施形態では、プロジェクターシステムが、リア投写型のシステムを例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明に係るプロジェクターシステムが、フロント投写型のシステムであってもよい。
【0158】
(5)上記のいずれかの実施形態における液晶表示装置等が適用される電子機器として、図29に示すものに限定されるものではない。例えば、携帯電話機、パーソナルコンピューター、情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、POS(Point of sale system)端末、プリンター、スキャナー、複写機、ビデオプレーヤー、タッチパネルを備えた機器等が挙げられる。
【0159】
(6)上記のいずれかの実施形態において、本発明をマルチプレクス駆動方法、駆動装置、電気光学装置及び電子機器等として説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、上記のいずれかの実施形態における画像表示方法等であってもよい。
【符号の説明】
【0160】
10…液晶表示装置、 12…液晶パネル、 20…ソースドライバー、
22…シフトレジスター、 24,26…ラインラッチ、 28…多重化回路、
30…基準電圧発生回路、 32…DAC、 34…ソース線駆動回路、
36…駆動制御部、 37,37a,37b,37c,37d,80…マルチプレクス制御信号生成部、 38…プリチャージ電圧発生回路、 40…ゲートドライバー、
50…駆動装置、 60…電源回路、 70…表示コントローラー、
80…マルチプレクス制御信号生成部、
100…VSYNCローテーションカウンター(第1のカウンター)、
102…右目用VSYNCローテーションカウンター(第4のカウンター)、
104…左目用VSYNCローテーションカウンター(第5のカウンター)、
110…HSYNCローテーションカウンター(第2のカウンター)、
120…マルチプレクスカウンター(第3のカウンター)、
130…マルチプレクス駆動タイミング生成部、
132,134,150,158,162,164,168…加算器、
140…マルチプレクスデコーダー、 142,160…分周回路、
143…オフセットレジスター、 144…右目用オフセットレジスター、
146…左目用オフセットレジスター、148,156,166…セレクター、
152…右目用ローテーションパターンレジスター、
154…左目用ローテーションパターンレジスター、
180…駆動モードVSYNC選択レジスター、 182…VSYNC選択回路、
HSYNC 水平同期信号、 SEL0〜SEL7…マルチプレクス制御信号、
VSYNC…垂直同期信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続する右目用画像及び左目用画像にそれぞれ対応した右目用画像データ及び左目用画像データに基づいて、1ソース出力を表示パネルの複数のソース線に分割して各ソース線を駆動するマルチプレクス駆動方法であって、
前記右目用画像及び前記左目用画像の各々の最初の水平走査期間における駆動順序を、2×n(nは自然数)垂直走査期間毎に変更する駆動順序変更ステップと、
前記駆動順序変更ステップにおいて変更された前記駆動順序に対応したマルチプレクス駆動により、前記右目用画像データに基づいて前記複数のソース線を駆動する右目用駆動ステップと、
前記駆動順序変更ステップにおいて変更された前記駆動順序に対応したマルチプレクス駆動により、前記左目用画像データに基づいて前記複数のソース線を駆動する左目用駆動ステップとを含み、
前記右目用駆動ステップ及び前記左目用駆動ステップの各々では、
各垂直走査期間において、前記駆動順序変更ステップにおいて変更された前記駆動順序から順番に1水平走査期間毎に直前の水平走査期間における駆動順序を変更して前記複数のソース線を駆動することを特徴とするマルチプレクス駆動方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記左目用画像の最初の水平走査期間の駆動順序が、前記右目用画像の最初の水平走査期間の駆動順序を基準にシフトしていることを特徴とするマルチプレクス駆動方法。
【請求項3】
請求項2において、
前記右目用画像の最初の水平走査期間の駆動順序を基準として、前記左目用画像の最初の水平走査期間の駆動順序のシフト数に対応したオフセットを設定するオフセット設定ステップを含み、
前記左目用駆動ステップでは、
前記左目用画像の最初の水平走査期間において、前記右目用駆動ステップにおける最初の水平走査期間の駆動順序を基準に前記オフセットに対応したシフト数分だけシフトした駆動順序で、前記複数のソース線を駆動することを特徴とするマルチプレクス駆動方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記右目用駆動ステップ及び前記左目用駆動ステップの各々では、
前記表示パネルのソース線の駆動モードに応じて前記駆動順序を変更することを特徴とするマルチプレクス駆動方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、
前記右目用画像の最初の水平走査期間の駆動順序を設定する右目用駆動順序設定ステップと、
前記左目用画像の最初の水平走査期間の駆動順序を設定する左目用駆動順序設定ステップとを含み、
前記右目用駆動ステップでは、
各垂直走査期間において、前記右目用駆動順序設定ステップにおいて設定された駆動順序から順番に1水平走査期間毎に駆動順序をシフトしたマルチプレクス駆動により、前記右目用画像データに基づいて前記複数のソース線を駆動し、
前記左目用駆動ステップでは、
各垂直走査期間において、前記左目用駆動順序設定ステップにおいて設定された駆動順序から順番に1水平走査期間毎に駆動順序をシフトしたマルチプレクス駆動により、前記左目用画像データに基づいて前記複数のソース線を駆動することを特徴とするマルチプレクス駆動方法。
【請求項6】
連続する右目用画像及び左目用画像にそれぞれ対応した右目用画像データ及び左目用画像データに基づいて、1ソース出力を表示パネルの複数のソース線に分割して各ソース線を駆動する駆動装置であって、
2×n(nは自然数)垂直走査期間毎にカウント値を更新する第1のカウンターと、
垂直同期信号により初期化され、1水平走査期間毎にカウント値を更新する第2のカウンターと、
水平同期信号により初期化され、1水平走査期間内のマルチプレクス駆動タイミングに対応したカウント値を更新する第3のカウンターと、
前記第1のカウンターのカウント値と、前記第2のカウンターのカウント値と、前記第3のカウンターのカウント値とに基づいて、マルチプレクス制御信号を生成するマルチプレクスデコーダーと、
前記マルチプレクス制御信号に基づいて、マルチプレクス駆動により前記複数のソース線のいずれかに供給するソース線駆動部とを含むことを特徴とする駆動装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記右目用画像における最初の水平走査期間の駆動順序を基準として、前記左目用画像の最初の水平走査期間の駆動順序のシフト数に対応したオフセットが設定されるオフセットレジスターを含み、
前記マルチプレクスデコーダーは、
前記第1のカウンターのカウント値と、前記第2のカウンターのカウント値と、前記第3のカウンターのカウント値と、前記オフセットに基づいて、前記マルチプレクス制御信号を生成することを特徴とする駆動装置。
【請求項8】
請求項6又は7において、
前記右目用画像の最初の水平走査期間の駆動順序に対応したパターンが設定される第1のパターンレジスターと、
前記左目用画像の最初の水平走査期間の駆動順序に対応したパターンが設定される第2のパターンレジスターとを含み、
前記マルチプレクスデコーダーは、
前記第1のパターンレジスターに設定されたパターンに基づいて右目用のマルチプレクス制御信号を生成し、前記第2のパターンレジスターに設定されたパターンに基づいて左目用のマルチプレクス制御信号を生成することを特徴とする駆動装置。
【請求項9】
請求項6乃至8のいずれかにおいて、
駆動モードに応じて前記第1のカウンターに供給する垂直同期信号を異ならせる垂直同期信号選択回路を含むことを特徴とする駆動装置。
【請求項10】
請求項6乃至9のいずれかにおいて、
前記第1のカウンターは、
右目用画像における垂直走査期間毎にカウント値を更新する第4のカウンターと、
左目用画像における垂直走査期間毎にカウント値を更新する第5のカウンターとを含み、
前記マルチプレクスデコーダーは、
前記右目用画像に対して、前記第4のカウンターのカウント値を用いて前記マルチプレクス制御信号を生成し、
前記左目用画像に対して、前記第5のカウンターのカウント値を用いて前記マルチプレクス制御信号を生成することを特徴とする駆動装置。
【請求項11】
前記表示パネルと、
前記表示パネルのソース線を駆動する請求項6乃至10のいずれか記載の駆動装置とを含むことを特徴とする電気光学装置。
【請求項12】
請求項6乃至10のいずれか記載の駆動装置を含むことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2012−159565(P2012−159565A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17639(P2011−17639)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】