マルチポート・バルブ
【課題】マルチポート・バルブを提供する。
【解決手段】バルブ本体と方向性部品とエラストメリック・シールとを有し、前記バルブ本体は、環状円筒部で形成され、外周面から延びる複数のポートを有しており、内周面は、さらに、キャビティを規定している。前記方向性部品は、外周壁にチャネルを規定し、そのチャネルは、前記キャビティ内の前記方向性部品の角度位置に応じて、前記複数のポートのうちの2以上のポートからなる複数の組合せの各々のポート間で流体連通を実現する。前記エラストメリック・シールは、前記方向性部品と前記バルブ本体の内周面との間に配置されるとともに、前記複数のポートと位置合わせされる複数の開口部を規定し、それにより、前記チャネルと前記複数のポートとの間での流体連通を実現する。前記エラストメリック・シールは、前記方向性部品と前記バルブ本体の内周面との間で流体シール部および低摩擦境界面を実現する。
【解決手段】バルブ本体と方向性部品とエラストメリック・シールとを有し、前記バルブ本体は、環状円筒部で形成され、外周面から延びる複数のポートを有しており、内周面は、さらに、キャビティを規定している。前記方向性部品は、外周壁にチャネルを規定し、そのチャネルは、前記キャビティ内の前記方向性部品の角度位置に応じて、前記複数のポートのうちの2以上のポートからなる複数の組合せの各々のポート間で流体連通を実現する。前記エラストメリック・シールは、前記方向性部品と前記バルブ本体の内周面との間に配置されるとともに、前記複数のポートと位置合わせされる複数の開口部を規定し、それにより、前記チャネルと前記複数のポートとの間での流体連通を実現する。前記エラストメリック・シールは、前記方向性部品と前記バルブ本体の内周面との間で流体シール部および低摩擦境界面を実現する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略的には、バルブに関し、より具体的には、マルチポート・マニホールド・バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
2個より多い数のポートを有する一般的なバルブは、あるポートを別のポートに接続する回転式ブッシュを通過する通路を含むように構成される。その回転式ブッシュは、前記バルブ内において、他の複数のポート間における漏れを防止するシール部としても作用する。しかし、2個より多い数のポートへの流体メディアの通路を有することが必要である場合には、この必要に応えるため、一般的な設計構造により、回転式ブッシュに、そのブッシュを通過する数本の通路が形成される。低圧または少量のストップ・コックまたはプラグ・バルブの一般的な設計構造は、圧入式のブッシュすなわちプラグを含むように構成され、その圧入式のブッシュすなわちプラグは、モールドされた本体の内部に収容され、その本体は、2個から4個までの流体入口ポートまたは流体出口ポートを有する。潤滑剤が使用されることはほとんどないが、時々、前記プラグの回転を容易にするために、潤滑剤の使用が必要である。いくつかの用途においては、前記ストップ・コックを通過する流体メディアが、潤滑剤によっても他の外部流体によっても汚染されてはいけない。しかし、この種の多ポート・プラグのための多くの現在の設計構造は、前記プラグを回転させるのに必要な力が大きいという理由のため、そのような用途に用いることができない。
【0003】
本明細書のこの「背景技術」の欄に存在する情報であって、本明細書に引用されているすべての文献およびそれら文献についての説明のすべてを含むものは、技術的な参照のみを目的としており、本発明の範囲が拘束されるべき主題であると考えるべきではない。
【発明の開示】
【0004】
マルチポート・バルブの新規設計構造が本明細書に開示されている。当該バルブは、2個の主要部品、すなわち、バルブ本体と方向性部品とを含むように構成されている。一実施態様においては、そのバルブ本体は、短い壁を有する環状円筒部であり、その環状円筒部は、コポリマまたは他の適当なプラスチック材料によって形成される。2つ、3つ、4つまたはそれより多い数のインレット用またはアウトレット用のポートは、前記環状円筒部の外側壁から、半径方向、接線方向、または、前記環状円筒部の弦を外向きに投影したものとして、延びるものとしてもよい。別のエラストマ材料またはゴム材料が、前記中空円筒部(環状円筒部)の中央穴内にモールドされるとともに、前記環状円筒部の内側壁に固着されている。前記ゴム材料または前記エラストマ材料は、前記バルブ本体を形成するために、前記環状円筒部内にモールドしてもよい。そのモールド工程中、複数の開口部を、前記エラストマ材料のオーバモールド部内に、バルブを形成する円筒状本体部(バルブ本体)の内側壁内の複数の穴部と一致するように、形成してもよい。それら複数の穴部は、前記インレット・ポートおよび前記アウトレット・ポート内に形成される複数の内部通路の内側穴部である。
【0005】
前記方向性部品は、前記バルブ本体の内側において回転する円筒状部品である。その方向性部品は、モータに連結されたシャフトによって駆動してもよく、または、その方向性部品は、シャフトに固定されたハンドルもしくはレバーによって手動で駆動してもよい。前記シャフトは、前記方向性部品の中央穴であって当該シャフトを収容するものを通過するように嵌合される。
【0006】
チャネルが、前記方向性部品の外周面内に形成される。そのチャネルは、前記方向性部品の外面のうちの一部を、あるパターンで包囲し、そのパターンは、前記インレット・ポートおよび前記アウトレット・ポートのうちの2以上のものを、それらポートの組合せが互いに異なるように、互いに接続するように設計されている。前記方向性部品が前記バルブ本体の内側において回転するにつれて、前記チャネルが、エラストマ製のシール部内の複数の開口部に正対し、それにより、流体メディアが、2以上のポートを同時に流れることが可能となり、前記複数の開口部は、前記複数のポートの前記複数の内部通路にそれぞれ対応する。前記バルブ本体上のエラストマ製のオーバモールド部は、前記バルブ本体と前記方向性部品との間におけるシール境界部を実現し、そのシール境界部は、前記流体メディアが前記バルブ組立体から放散することも漏れ出すことも阻止する。
【0007】
この「発明の概要」の欄は、選択された複数の概念を単純な形式で紹介するために設けられており、それら概念は、発明の詳細な説明の欄において後に詳述される。この発明の概要の欄は、特許請求の範囲に記載されている主題の重要な特徴についても本質的な特徴についても、特定することを意図しておらず、特許請求の範囲に記載されている主題の範囲を限定するために用いられることも意図していない。本発明の特徴、詳細、実用性および効果についてのより広範な説明は、本発明の種々の実施形態についての、後述の、より具体的な文章による説明において行われ、添付された図面において図示され、そして、後続するクレームにおいて定義される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、マルチポート・バルブの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示すマルチポート・バルブのうちの方向性部品を示す斜視図である。
【図3】図3は、図1に示すマルチポート・バルブにおける前記方向性部品を側方から見た斜視図である。
【図4】図4は、前記方向性部品を側方から見た別の斜視図であり、前記方向性部品の後面を示す。
【図5】図5は、図1に示すマルチポート・バルブのうちのバルブ本体を示す斜視図である。
【図6】図6は、図5に示すバルブ本体の、図5における線6−6に沿って取られた断面図である。
【図7A】図7Aは、図1に示すマルチポート・バルブを示す部分断面図であり、前記方向性部品におけるチャネルの位置を見せるために前記バルブ本体を断面図で示している。その方向性部品は、第1位置にあり、第2ポートおよび第3ポートが、流体的に互いに連通している。
【図7B】図7Bは、図1に示すマルチポート・バルブを示す部分断面図であり、前記方向性部品におけるチャネルの位置を見せるために前記バルブ本体を断面図で示している。その方向性部品は、第2位置にあり、第2ポート、第3ポートおよび第4ポートが、流体的に互いに連通している。
【図7C】図7Cは、図1に示すマルチポート・バルブを示す部分断面図であり、前記方向性部品におけるチャネルの位置を見せるために前記バルブ本体を断面図で示している。その方向性部品は、第3位置にあり、第3ポートおよび第4ポートが、流体的に互いに連通している。
【図7D】図7Dは、図1に示すマルチポート・バルブを示す部分断面図であり、前記方向性部品におけるチャネルの位置を見せるために前記バルブ本体を断面図で示している。その方向性部品は、第4位置にあり、第2ポートおよび第4ポートが、流体的に互いに連通している。
【図7E】図7Eは、図1に示すマルチポート・バルブを示す部分断面図であり、前記方向性部品におけるチャネルの位置を見せるために前記バルブ本体を断面図で示している。その方向性部品は、第5位置にあり、第1ポートおよび第3ポートが、流体的に互いに連通している。
【図7F】図7Fは、図1に示すマルチポート・バルブを示す部分断面図であり、前記方向性部品におけるチャネルの位置を見せるために前記バルブ本体を断面図で示している。その方向性部品は、第6位置にあり、第1ポートおよび第4ポートが、流体的に互いに連通している。
【図7G】図7Gは、図1に示すマルチポート・バルブを示す部分断面図であり、前記方向性部品におけるチャネルの位置を見せるために前記バルブ本体を断面図で示している。その方向性部品は、第7位置にあり、第1ポートおよび第2ポートが、流体的に互いに連通している。
【図8】図8は、マルチポート・マニホールド・バルブの一実施形態を示す斜視図である。
【図9】図9は、図8に示すマルチポート・マニホールド・バルブを示す分解図である。
【図10A】図10Aは、前記マルチポート・マニホールド・バルブをオフ位置にある状態で示す平面図である。
【図10B】図10Bは、図11Bと同様に、前記方向性部品を示す断面図であるが、その方向性部品は、すべてのポートがインレットから遮断されているオフ位置にある。
【図11A】図11Aは、前記マルチポート・マニホールド・バルブを第2位置にある状態で示す平面図である。
【図11B】図11Bは、前記方向性部品の、図8における線11B−11Bに沿って取られた断面図である。その方向性部品は、前記第1ポートが開いている前記第2位置にある。
【図12A】図12Aは、前記マルチポート・マニホールド・バルブを第3位置にある状態で示す平面図である。
【図12B】図12Bは、図11Bと同様に、前記方向性部品を示す断面図であるが、その方向性部品は、すべてのポートが開いている前記第3位置にある。
【図13A】図13Aは、図8に示すマルチポート・マニホールド・バルブのための方向性部品の別の実施態様を示す斜視図である。
【図13B】図13Bは、図13Aに示す方向性部品を示す斜視図である。
【図14】図14は、マルチポート・マニホールド・バルブの別の実施形態を示す斜視図である。
【図15】図15は、図14に示すマルチポート・マニホールド・バルブを示す分解図である。
【図15A】図15Aは、図15に示すマルチポート・マニホールド・バルブのためのノブの別の実施態様を示す斜視図であり、この実施態様においては、ローテータの構造物が前記ノブと一体的に形成されている。
【図16】図16は、図14に示すマルチポート・マニホールド・バルブの、図14における線16−16に沿って取られた断面図である。前記方向性部品は、第1位置にあり、前記第1、第2および第3ポートは、前記インレットに流体的に連通している。
【図17】図17は、前記マルチポート・マニホールド・バルブを、図16と同様に示す断面図であるが、前記方向性部品が第2位置にあり、すべてのポートが前記インレットに流体的に連通している点で、図16とは異なる。
【図18】図18は、前記マルチポート・マニホールド・バルブを、図16と同様に示す断面図であるが、前記方向性部品が第3位置にあり、前記第4、第5、第6および第7ポートが前記インレットに流体的に連通している点で、図16とは異なる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、マルチポート・バルブ2の一実施形態を示し、そのマルチポート・バルブ2は、各々、2以上のポートから成る複数の組合せの各々に属するポート間における流体流れを選択的に変更する。このマルチポート・バルブ2は、2つの主要部品、すなわち、バルブ本体4と方向性部品(向きを有する部品)6とを含むように構成される。バルブ本体4も、同様に、2つの主要部品、すなわち、バルブ外殻8とエラストメリック・シール(エラストマ製のシール)10とを含むように構成される。方向性部品6の構造は、図2ないし図4に詳細に示され、また、バルブ本体4の構造は、図5および図6に詳細に示されている。
【0010】
マルチポート・バルブ2についての本実施形態においては、バルブ本体4が、インレット用またはアウトレット用の4つのポート12aないし12dを含むように構成され、それらポート12aないし12dは、バルブ本体4の外壁面から突出している。さらに、バルブ外殻8の中央構造部は、中空円筒部として形成されており、その中空円筒部は、当該中空円筒部の厚さより大きい外径を有している。エラストメリック・シール10は、バルブ本体4の内側壁36に対面するように形成されている。エラストメリック・シール10は、バルブ外殻8の内側においてリングとして形成されている。方向性部品6は、エラストメリック・シール10の内側壁36によって画定されるキャビティ内の、軸方向における中心位置に位置させられている。この方向性部品6は、軸方向において、エラストメリック・シール10内の穴部内に位置し、かつ、エラストメリック・シール10の内側壁36に対面するように着座している。エラストメリック・シール10と方向性部品6との間における内側面は、流体密シール部を形成する。
【0011】
図2、図3および図4に、方向性部品6を形成する複数の特徴部がさらに詳細に示されている。例示的な本実施形態に示すように、方向性部品6は、車輪に似た構造物として形成されており、その構造物は、スムーズな係合を行うシール面28と、狭い側壁29とを有する。シャフト受け部24が、方向性部品6の穴部内の、軸方向における中心位置に位置させられている。シャフト受け部24は、方向性部品6がバルブ本体4の内側に装着された状態で、方向性部品6を回転させるために、シャフト(図示しない)を受容するための規則的または不規則的な形状として形成することが可能である。シャフト受け部24は、それら図において、補完的に係止(キー止め)されるシャフトを受容するための正方形穴の形状を有する。マルチポート・バルブ2と共に使用されるシャフトは、制御システムによって制御されるモータ駆動式とすることが可能であり、または、これに代えて、バルブ本体4の内側において方向性部品6を手動で回転させるための外部レバーもしくは外部ハンドルを有するように形成することが可能である。
【0012】
シャフト受け部24は、半径方向に延びる多数本のスポーク26により、方向性部品6内の、軸方向における中心位置に位置させられるとともに、所定位置に保持されることが可能であり、それらスポーク26は、クモの巣に似た構造物を有し、その構造物は、シャフト受け部24の外壁面から延びるとともに、方向性部品6の内側の側壁に取り付けられる。シャフト受け部24は、本実施形態においては、正方形として図示されているが、三角形、六角形、八角形、長円形、ギザギザ付き形状、溝付き形状、または、補完的に係止(キー止め)される他のいかなる形状であってもよく、それにより、補完的形状を有するシャフト受け部24に係合することが可能であるとともに、バルブ外殻8の内側において方向性部品6を回転させることが可能である。シャフト受け部24は、これに代えて、シャフトとの圧入を実現するために、円形であるとともにその圧入に必要なサイズを有するものとしたり、他の方法でシャフトに固着するものとすることが可能である。
【0013】
流体チャネル30が、方向性部品6の、周方向に延びるシール面28内に形成されている。流体チャネル30は、周方向側壁(シール面)28内において溝(凹み)として形成されている。本実施形態においては、流体チャネル30は、連続した1本のチャネルであって、方向性部品6の周面の約半分を横切るように形成されている。流体チャネル30の深さは、方向性部品6の、周方向に延びるシール面28を形成する側壁の厚さを超えるように半径方向に延びており、それにより、流体チャネル30の外面がスポーク26と交差する。シャフト受け部24は、方向性部品6の前面からも後面からも見えるが、スポーク26の幅寸法を横切るウエブ(図においては見えない)が、方向性部品6の前面と後面との間における、スポーク26の領域内において、壁として作用することが可能である。
【0014】
それら図における本実施形態においては、流体チャネル30が2つの部分、すなわち、直線部42とC字状部44とから構成されると考えることが可能である。流体チャネル30の幅寸法および深さ寸法は、マルチポート・バルブ2を通過する流体の流れを十分でありかつ変化しないものとするか、または、他の機能的な要件を満足させるために、選択することが可能である。C字状部44の上端カーブおよび下端カーブの、長さ方向における幅寸法は、流体チャネル30の、横方向における幅寸法の2倍にすることが可能である。方向性部品6の、周方向に延びるシール面28は、流体チャネル30のうち、最も幅広の部分より幅寸法が広くなっており、それにより、エラストメリック・シール10に接するための支持面およびシール面を実現する。それら図に示されている流体チャネル30の形状は、方向性部品6内の流体チャネル30の形状がとり得る一具体例にすぎないということを理解すべきである。より多いかもしくはより少ない数のインレット/アウトレット用の複数のポート、ポート間の流体的連通についての他の複数の組合せ、またはそれらの双方に適合するために、他の構成を採り得る。
【0015】
図1、図5および図6に、バルブ本体4がさらに詳細に示されている。前述のように、インレット用およびアウトレット用の4つのポート12aないし12dは、バルブ外殻8の外壁面から外向きに延びている。以下、区別の便宜上、それらインレット/アウトレット用のポート12aないし12dを、第1ポート12a、第2ポート12b、第3ポート12cおよび第4ポート12dと称する。それらポート12aないし12dは、多数の配列態様のうちのいずれで配列することも可能である。図1および図5に示す本実施形態においては、それらポート12bないし12dの3つが、バルブ外殻8の外側壁から半径方向に延びている。第1ポート12aは、バルブ外殻8の側壁から、そのバルブ外殻8の内側壁上の2点間に引かれた弦を投影したものとして、延びている。これに代えて、ポートの一例は、バルブ外殻8の外側壁から接線方向に、または、いかなる他の所望の角度で延びることが可能である。バルブ外殻8は、実質的に硬質であるポリマ、コポリマまたは他の合成樹脂で形成することが可能である。
【0016】
ポート12aないし12dのそれぞれの内部通路40を通過する中心軸線は、同一平面内にある。各ポート12a−12dは、直線シャフト14によって形成されるとともに、マルチポート・バルブ2に対する流体の供給・排出を行うための配管を受容するとともに保持することを補助するために、直線シャフト14の遠位端に位置する突起16によって形成されている。
【0017】
エラストメリック・シール10は、バルブ外殻8の内側壁に接着されるかまたは固着されるオーバモールド面として形成することが可能である。繰り返すが、エラストメリック・シール10は、方向性部品6の、周方向に延びるシール面28に対向するシール部を形成する。エラストメリック・シール10は、対向面に対するシール部を形成するために、ゴムまたは他の適当なエラストメリックなポリマ材料(「エラストメリック材料」と総称する)によって形成することが可能である。エラストメリック・シール10は、例えば、バルブ外殻8の内周面上に、射出によってオーバモールドするかまたは圧縮によってオーバモールドすることによって形成することが可能であり、それらオーバモールドは、例えば、圧入のために、2段階プロセスの一部として行ったり、エラストメリック・シール10を別にモールドすることによって行う。
【0018】
エラストメリック・シール10および方向性部品6のそれぞれの材料は、低摩擦境界面を実現してバルブ本体4内において方向性部品6が容易に回転する一方、同時に、それら2つの表面間における流体密シール部を実現するために、選択される。エラストメリック・シール10と方向性部品6との間におけるシール部は、低摩擦境界面を形成するように設計することが可能であるが、いくつかの実施態様においては、潤滑剤を用いることも可能である。エラストメリックなポリマが用いられるいくつかの実施態様においては、テフロン(登録商標)のような潤滑剤を前記エラストメリックなポリマに混入させて摩擦係数を低下させることが可能である。エラストメリック・シール10の内側壁36内において、それぞれの開口部38が、各ポート12a−12dの内部通路40と位置合わせされた状態で形成されており、それにより、ポート12aないし12dの内部通路40と、方向性部品6内の流体チャネル30とが流体的に結合される。他のいくつかの実施態様においては、前記エラストメリック材料を、方向性部品6上にモールド(オーバモールドの場合)したり嵌め込んだり(圧縮モールドの場合)して、同じシール効果が方向性部品6とバルブ外殻8との間において達成されるようにすることも可能である。
【0019】
他のいくつかの実施形態(図示しない)においては、ポート12aないし12dの開口部38を、方向性部品6内に画定された流体チャネル30に流体的に直接連通させるために、エラストメリック・シール10を、エッジシールとして形成することが可能であるとともに、方向性部品6を、バルブ外殻8の内壁に直接的に係合させることが可能である。例えば、エラストメリック・シール10(エッジシール)を、方向性部品6およびバルブ外殻8のそれぞれのエッジ内に形成されたそれぞれの周方向溝(凹み)内に嵌め込み、それにより、方向性部品6とバルブ外殻8との間における流体漏れを防止することが可能である。
【0020】
図1、図5および図6には、バルブ本体4の他の特徴部が示されている。本実施形態においては、一対の三角形状の重合用突出部18が、バルブ外殻8の外側壁から、互いにちょうど逆向きに延びている。一方の重合用突出部18の側においては、凹みまたは穴34が形成されている。反対側の重合用突出部18においては、重合用ピン20が、この重合用突出部18の表面より上方に延びている。複数本の重合用ピン20は、バルブ外殻8の両側において、重合用の複数の穴34に係合し、それにより、複数のマルチポート・バルブ2を、それぞれのシャフト受け部24に挿入される1本のシャフトを用いて、梱包のためや、多数のマルチポート・バルブ2を制御するために、互いに上方に、かつ、位置合わせされた状態で、積み重ねることが可能となる。
【0021】
本実施形態においては、係止(キー止め)構造物22が設けられており、これにより、バルブ本体4がハウジングまたは他のモジュール内に収容される場合に、マルチポート・バルブ2の位置合わせおよび方向合わせが容易となる。さらに、多数の小さなチャネル32が、バルブ本体4の側壁上に、バルブ本体4の両方の側において、かつ、エラストメリック・シール10の厚さとバルブ外殻8の壁の厚さとの双方を横切るように、形成されている。それらチャネル32は、エラストメリック・シール10の内側エッジからバルブ外殻8の外側エッジまでの半径方向に、幅が最小値から最大値まで変化するテーパ形状を有することが可能である。それらチャネル32は、流体ベントとして設けられており、その流体ベントは、複数のマルチポート・バルブ2が重ね合わせられて使用されるときに、方向性部品6とエラストメリック・シール10との間の境界面に沿って漏れるかもしれないいなかる流体も、シャフト受け部24およびスポーク26に向かって内側に誘導するのではなく、半径方向外側に誘導するために設けられている。
【0022】
図7Aないし図7Gには、マルチポート・バルブ2について開示された実施形態についての一連の作動位置が示されており、その一連の作動位置は、方向性部品6のそれぞれの角度位置に基づいている。図7Aには、バルブ本体4の内側にある方向性部品6の第1位置が示されている。バルブ本体4は、断面図で示される一方、方向性部品6は、その方向性部品6の流体チャネル30とインレット/アウトレット用の複数のポート12aないし12dとの間における位置合わせを容易に図示するために、その全体が示されている。第1位置においては、方向性部品6が回転して、流体チャネル30と、第2ポート12bおよび第3ポート12cについてのそれぞれのシール用の開口部38との間における流体連通を実現する。図示のように、第1ポート12aおよび第4ポート12dについてのそれぞれの内部通路40に至る流体の開口部38は、流体チャネル30のうちのいずれの部分とも正対しておらず、その代わり、方向性部品6の、スムーズな、周方向に延びるシール面28のうちのいくつかの部分に隣接するように位置しており、これにより、流体が第1ポート12aおよび第4ポート12dへ流入することが阻止される。
【0023】
図7Bには、方向性部品6が、第2位置に回転した状態で示されている。第2位置においては、第2ポート12b、第3ポート12cおよび第4ポート12dのそれぞれに至るシール用の開口部38は、すべて、流体チャネル30のうちの直線部42に流体的に連通する状態にある。しかし、第1ポート12aについての内部通路40を通過する流体の流れは存在せず、なぜなら、エラストメリック・シール10内の、対応する開口部38が、周方向に延びるシール面28のうちの実在部に対面しているからである。したがって、図7Bにおいては、第2ポート12b、第3ポート12cまたは第4ポート12dのいずれかが、インレット流れのための通路として作用する一方、残りの2つのポートは、流体チャネル30と流体的に連通していて、アウトレット用ポートとして作用するであろう。
【0024】
図7Cには、マルチポート・バルブ2が、作動位置としての第3位置にある状態で示されている。第3位置においては、第3ポート12cおよび第4ポート12dが、流体チャネル30に流体的に連通している。この第3位置においても、第1ポート12aが、エラストメリック・シール10と、方向性部品6の、周方向に延びるシール面28との間の境界面において、密閉されている。同様に、第2ポート12bも、対応する開口部38において密閉されており、その開口部38は、周方向に延びるシール面28であって、流体チャネル30のうちのC字状部44の内側の部分を形成するものに対面している。
【0025】
図7Dには、マルチポート・バルブ2のバルブ本体4内の方向性部品6の第4位置が示されている。この第4位置においては、第2ポート12bおよび第4ポート12dが、流体チャネル30に流体的に連通しており、それにより、両者が流体的に互いに連通している。この第4位置においても、第1ポート12aが、方向性部品6の、周方向に延びるシール面28に対面する位置において、密閉されている。さらに、この第4位置においては、第3ポート12cが、周方向に延びるシール面28であって、流体チャネル30のうちのC字状部44の内側の部分を形成するものに対面する位置において、密閉されている。
【0026】
図7Eには、バルブ本体4内の方向性部品6の第5位置が示されており、その第5位置においては、第1ポート12aと第3ポート12cとが流体的に互いに連通する。図示のように、シール用の開口部38であって、第1ポート12aと第3ポート12cとのそれぞれの内部通路40に対応するものは、流体チャネル30に隣接するとともに、その流体チャネル30に流体的に連通している。この第5位置においては、第2ポート12bが、方向性部品6の、周方向に延びるシール面28によって密閉され、また、第4ポート12dが、周方向に延びるシール面28であって、流体チャネル30のうちのC字状部44の内側の部分を形成するものに対面する位置において、密閉されている。
【0027】
図7Fには、マルチポート・バルブ2のバルブ本体4内の方向性部品6の第6位置が示されている。この第6位置においては、第1ポート12aおよび第4ポート12dが、流体チャネル30に流体的に連通しており、それにより、両者が流体的に互いに連通している。シール用の開口部38であって、第1ポート12aの内部通路40に対応するものは、流体チャネル30のうちの直線部42内に位置する一方、第4ポート12dの内部通路40についてのシール用の開口部38は、流体チャネル30のうちのC字状部44の末端部に位置している。第2ポート12bと第3ポート12cとの双方は、エラストメリック・シール10と、周方向に延びるシール面28との間の境界面において、密閉されている。
【0028】
図7Gには、マルチポート・バルブ2のバルブ本体4内の方向性部品6の第7位置が示されている。この第7位置においては、第1ポート12aおよび第2ポート12bが、流体チャネル30に流体的に連通しており、それにより、両者が流体的に互いに連通している。シール用の開口部38であって、第1ポート12aの内部通路40に対応するものは、流体チャネル30のうちのC字状部44の末端部に位置している。第2ポート12bの内部通路40についてのシール用の開口部38は、流体チャネル30のうちの直線部42内に位置している。第3ポート12cと第4ポート12dとの双方は、エラストメリック・シール10と、周方向に延びるシール面28との間の境界面において、密閉されている。
【0029】
このように、マルチポート・バルブ2のこの具体的な実施態様においては、流体流れに関する7つの異なる位置は、インレット/アウトレット用のポート12aないし12dのうちの2つまたは3つからの組合せに属するポート間を、ポートの組合せが互いに異なるように接続するが、それら位置は、バルブ本体4内において方向性部品6を回転させることによって取り得る。別の実施態様において、方向性部品6における流体チャネル30を、別のパターンで形成し、それにより、インレット/アウトレット用のポート12aないし12d間における互いに異なる複数の流体流れの組合せを実現してもよい。さらに、別の実施態様において、より多いかまたはより少ない数のポートを、マルチポート・バルブ2のバルブ外殻8上に配置してもよい。
【0030】
図8および図9には、マルチポート・マニホールド・バルブ50の一実施形態が示されており、そのマルチポート・マニホールド・バルブ50は、2以上のアウトレット・ポートと、インレット・ポートとの間における流体流れを選択的に変更する。マルチポート・マニホールド・バルブ50は、セレクタすなわちノブ56と、方向性部品70と、位置決めピン68と、バルブ組立体57とを含む。そのバルブ組立体57は、外殻52と、その外殻52から放射状に延びるアウトレット・ポート58aないし58gと、インレット・ポート54と、エラストメリック・シール80とを含むように構成されている。外殻52は、実質的に中空である円筒部として形成されるとともに、アウトレット・ポート58aないし58gおよびインレット・ポート54を支持している。外殻52は、さらに、複数のリブ84と、内壁82とを含む。それらリブ84および内壁82は、軽量化されたマルチポート・マニホールド・バルブ50が望ましい実施態様において使用することが可能であり、なぜなら、外殻52に必要な材料の量が削減されるからである。しかし、他の実施態様において、外殻52を内壁82まで中実化してもよい。外殻52は、実質的に硬いプラスチックまたはそれと同様なものによって形成される。
【0031】
アウトレット・ポート58aないし58gはそれぞれ、突部または他の保持部を含み、それにより、アウトレット・ポート58aないし58gが、チューブまたは他の導管を受容して保持することが可能である。同様に、インレット・ポート54も、自身の遠位部(先端部)において突部または他の保持部を含み、それにより、インレット・ポート54が、チューブまたは他の導管を受容して保持することが可能である。注目すべきことは、インレット・ポート54はインレットとして設計されているが、いくつかの実施態様においては、前述の先の実施形態における前記ポート12aないし12dと同様に、アウトレット・ポート58aないし58gおよびインレット・ポート54が、双方向に流れるポートとして機能するようにしてもよいということである。
【0032】
エラスメトリック・シール80は、外殻52の内壁82に沿ったリングとして形成されるとともに、外殻52の中空円筒部によって形成されるキャビティ内に配置されている。エラスメトリック・シール80の内面は、(図5における、シール用の複数の開口部38と同様な)接続用の複数の開口部86を有する。接続用の複数の開口部86は、アウトレット・ポート58aないし58gおよびインレット・ポート54に対して位置合わせされている。接続用の複数の開口部86は、内面78と、ポート54、58aないし58gとを流体的に互いに接続する。図1に示すエラスメトリック・シール10と同様に、エラスメトリック・シール80は、外殻52の内壁82に接着されるかまたは固着されるオーバモールド面として形成されるとともに、エラスメトリック・シール10と同様な材料および/または製法によって形成される。
【0033】
方向性部品70は、エラスメトリック・シール80内に嵌り入るとともに、エラスメトリック・シール80と共同して流体密シール部を形成する。方向性部品70は、外殻52の円筒部内に形成されるキャビティ内において回転する。方向性部品70は、凹部72を有し、その凹部72は、エラスメトリック・シール80と共同して、マルチポート・マニホールド・バルブ50内の流体チャネルを形成するように作用する。方向性部品70は、さらに、シール面74を有する。シール面74は、接続用の複数の開口部86を、エラスメトリック・シール80と凹部72との間に形成された流体チャネルから遮断する。図1における方向性部品6と同様に、本実施形態における方向性部品70は、凹部72およびシール面74についての別の形状および/またはサイズを有するように変更してもよい(例えば、図15の実施形態において示される方向性部品120)。
【0034】
さらに、上述のように、別の実施態様(図示しない)において、エラスメトリック・シール80を、エッジシールとして形成することが可能であるとともに、方向性部品70を、外殻52の内壁82に直接的に係合し、それにより、ポート54および58aないし58gの開口部86を、方向性部品70内に画定された流体チャネルに流体的に直接連通するようにすることが可能である。例えば、エラストメリック・シール80(エッジシール)を、方向性部品70および外殻52のそれぞれのエッジ内に形成されたそれぞれの周方向溝(凹み)内に嵌め込み、それにより、方向性部品70と外殻52との間における流体漏れを防止することが可能である。
【0035】
ノブ56は、カバー60とシャフト62とを含むように形成されており、そのシャフト62は、位置決めピン68を固定するためのチューブ64を有している。ノブ56は、ユーザ(または機械)が保持することを可能にする表面を有しており、それにより、方向性部品70を回転させることが可能となる。シャフト62は、方向性部品70の中央穴部の内側に、外殻52のベース壁53内の、小径の穴部55を通過するように、挿入され、その穴部55は、シャフト62の外径部にがたなく嵌合する。保持リング76が、シャフト62の先端部上の円環溝63内に配置され、そのシャフト62は、ベース壁53の下方まで延びている。保持リング76は、ベース壁53に対してぴったりと取り付けられ、それにより、ノブ56を、バルブ組立体57に対して、かつ、外殻52内において保持することが可能となる。シャフト62および方向性部品70は互いに係止(キー止め)され、それにより、シャフト62が回転するにつれて方向性部品70も回転する。
【0036】
さらに、ノブ56は、位置決めピン68を有しており、その位置決めピン68は、スプリング66に作動的に連結されている。ノブ56が回転するにつれて、位置決めピン68は、別の位置に、ベース壁53に沿って移動する。ベース壁53の内面が、複数の凹部92を有しており(図10B参照)、位置決めピン68が各凹部92上を移動するにつれて、スプリング66が位置決めピン68を各凹部92内に押し込む。本実施形態においては、ユーザが、位置決めピン68が別の位置に移動するごとにその位置決めピン68のクリック動作を触覚的および/または聴覚的に知覚することが可能である。さらに、スプリング66は、ノブ56の位置ひいては方向性部品70の位置を変更するために打ち勝つことが必要であるバイアス力を付与する。
【0037】
図10Aおよび図10Bを参照するに、ノブ56(ひいては方向性部品70)は、第1位置にある。この第1位置においては、すべてのアウトレット・ポート58aないし58gが、インレット・ポート54から流体的に遮断されている。換言するに、マルチポート・マニホールド・バルブ50が、閉位置にあるのである。この第1位置においては、アウトレット・ポート58aないし58gのついての内部通路88すなわち流体導管が流体的に密閉され、それにより、インレット用の内部通路90を経由して、インレット・ポート54から流入する流体に接続されることが阻止される。この第1位置においては、シール面74が、エラストメリック・シール80内の接続用の複数の開口部86を覆っている。シール面74が接続用の複数の開口部86を覆っているため、凹部72すなわち流体チャネル内を流れる流体が、アウトレット・ポート58aないし58gの内部通路88に到達することが実質的に阻止される。
【0038】
図11Aおよび図11Bに示すように、方向性部品70は、第2位置にある。この第2位置においては、第1ポート58aは開いているが、他のポート58bないし58gは閉じている。この第2位置においては、シール面74が、アウトレット・ポート58bないし58gの前方に位置する、接続用の複数の開口部86を覆っており、また、凹部72が、第1アウトレット・ポート58aのための接続用の開口部86の前方に位置しており、それにより、凹部72を経由して、インレット用の内部通路90からアウトレット用の内部通路88まで流体が流れることが可能となり、これにより、流体用のインレット・ポート54と、流体用の第1アウトレット・ポート58aとが流体的に互いに連通する。
【0039】
図12Aおよび図12Bには、方向性部品70の第3位置が示されている。この第3位置においては、すべてのアウトレット・ポート58aないし58gが、インレット・ポート54に流体的に連通している。この第3位置においては、接続用の複数の開口部86のすべてが開放されており、それにより、流体がインレット用の内部通路90からアウトレット用の内部通路88まで、凹部72によって形成される流体チャネルに沿って流れることが可能となる。明らかであることは、ノブ56、ひいては方向性部品70を、8つの位置(7つの開位置と、1つの閉位置)のうちのいずれかまで回転させることが可能であるということである。ノブ56が第2位置から時計方向に1つずつ進むと、第1および第2ポート58aおよび58bが開く。続いて、第1、第2および第3ポート58aないし58cが、次回の増加動作を伴って、開き、同様なことが、図12Bの第3位置に到達して7つのポート58aないし58gのすべてが開くまで連続する。
【0040】
図13Aおよび図13Bには、図8のマルチポート・マニホールド・バルブ50と共に使用される方向性部品71の別の実施形態が示されている。本実施形態においては、方向性部品71が、凹部75を有し、その凹部75は、方向性部品71の上端リムに向かって垂直に延びる1本のブランチ77を有している。本実施形態においては、方向性部品71が、一度に、ポート58aないし58gのうちの1つだけを開くために使用される。例えば、方向性部品71がノブ56によって回転させられると、ブランチ77が一度に、1つのポート58のみに位置合わせされ(正対し)、それにより、残りのポート58が、シール面73に正対して、流体的に密閉され、それにより、インレット用の内部通路90を経由して、インレット・ポート54から流入する流体に接続されることが阻止される。第1位置においては、方向性部品71が第1ポート58aを開き、第2位置においては、方向性部品71が第1ポート58aを閉じて第2ポート58bを開き、同様なことが連続し、その結果、すべてのアウトレット・ポート58aないし58gがそれぞれ選択されるが、アウトレット・ポート58aないし58gのうち一度に開くのは1つのみである。
【0041】
図14Aおよび図14Bには、マルチポート・マニホールド・バルブ100の別の実施形態が示されている。本実施形態においては、方向性部品120が、異なる形状を有する凹部75と、異なる形状を有するシール面122とを有しており、さらに、マルチポート・マニホールド・バルブ100が、複数のアウトレット・ポート106aないし106gを、外殻102の周りに分散的に間隔をあけた状態で有し、これは、図8ないし図12Bに示されているアウトレット・ポート58aないし58gのように集中しているのとは異なる。さらに、ローテータ112が、方向性部品120の回転を支援するために使用される。ローテータ112は、方向性部品120の中央部に挿入され、その後、シャフト110を有するノブ104が、ローテータ112の中央キャビティ内に挿入される。シャフト110は、円環溝111を規定し、その円環溝111は、後に詳述する保持具130を収容する。
【0042】
ローテータ112は、概して円筒状を成すとともに、補完的な係止面114、116を有し、それら係止面114、116は、方向性部品120の内側部分上の位置合わせ面126、128に対応している。係止面114、116および位置合わせ面126,128は、補完し合っており、それにより、ローテータ112および方向性部品120が互いに係止され、それにより、ローテータ112が回転するにつれて、ローテータ112が方向性部品120を回転させることが可能である。ローテータ112は、複数のリブ118を有しており、それらリブ118は、小径である内側の円筒壁であってシャフト110を支持するものを支持する。ノブ104も、係止(キー止め)特徴部(図示しない)を有しており、その係止(キー止め)特徴部は、ローテータ112内の係止通路119と係合する。本実施形態においては、ノブ104を回転させると、方向性部品120が回転する。
【0043】
図15Aには、ノブ104’の別の実施形態が示されており、そのノブ104’には、ローテータ112’の構造物が一体的に形成されている。ローテータ112’は、概して円筒状を成すとともに、補完的な係止面114’、116’を有し、それら係止面114’、116’は、方向性部品120の内側部分上の位置合わせ面126、128に対応している。係止面114’、116’および位置合わせ面126,128は、補完し合っており、それにより、ローテータ112’および方向性部品120が互いに係止され、それにより、ノブ104’およびローテータ112’が回転するにつれて、ローテータ112’が方向性部品120を回転させることが可能である。ローテータ112’は、複数のリブ118’を有しており、それらリブ118’は、シャフト110’を支持する。関連する前記実施形態と同様に、シャフト110’は、円環溝111’を規定し、その円環溝111’は、後に詳述する保持具130を収容する。さらに、スリーブ113’が、位置決めピン68を収容するために、ローテータ120’の一部として形成されている。
【0044】
方向性部品120は、前述の実施形態における方向性部品6,70,71と似ているが、異なる点は、方向性部品120が環状凹部124aを含み、その環状凹部124aは、方向性部品120の外壁の下部の周りを延びており、方向性部品120はさらに、分離された複数の凹状切欠き124bをシール面122上に有しており、それら凹状切欠き124bは、環状凹部124aと連通するとともに、その環状凹部124aから方向性部品120の上部まで延びている点である(すなわち、シール面と流体チャネルのそれぞれの形状およびサイズは、前記他の方向性部品6,70,71とは異なる)。前述のように、方向性部品6,70,71に関して、凹部124の形状およびサイズを、位置およびサイズに基づいて異なるポート開口部を収容するように変更することが可能である。
【0045】
方向性部品120は、エラストメリック・シール132と外殻102との組合せによって形成されるキャビティ内に挿入される。この方向性部品120のシール面122とエラストメリック・シール132とが、流体密シール部を形成する。方向性部品120の凹部(環状凹部124aおよび凹状切欠き124b)が回転するにつれて、接続用の開口部140がインレット・ポート108から流入する流体の流れに、流体的に接続される。シャフト110は、外殻102のベース壁103内の穴部105内の所定位置に、保持リング130によって保持され、その保持リング130は、円環溝111に係合するとともに、ベース壁103の外面に接触する。本実施形態においては、ベース壁103の内面が、さらに、複数の凹面を有し、それら凹面は、位置決めピン68が各位置にカチッと止まることを可能にし、このことは、図9に関連して前述されている。
【0046】
外殻102は、図8および図9に示されている前記実施形態における外殻52と類似する。外殻102は、複数のアウトレット・ポート106aないし106gを有しており、それらアウトレット・ポート106aないし106gは、外殻102の外壁から外向きに放射状に延びている。それらアウトレット・ポート106aないし106gは、外殻102上に位置するインレット・ポート108に選択的に接続される。エラストメリック・シール132は、内壁134上にオーバモールドされるか、または、内壁134に固着される。アウトレット・ポート106aないし106gは、外殻102の外壁を通過して延びるとともに、エラストメリック・シール132内の、接続用の複数の開口部140に対して位置合わせされる。
【0047】
図16には、方向性部品120が第1位置にある状態で示されている。この第1位置においては、アウトレット・ポート106aないし106gがインレット・ポート108に流体的に接続されている。図16から分かるように、各アウトレット・ポート106aないし106gは、内部通路144すなわち開放された導管を有しており、その内部通路144は、アウトレット・ポート106aないし106gを、外殻102の外壁から内壁まで、連通させる。この第1位置においては、方向性部品120が、凹部124がアウトレット・ポート106eないし106gに正対し、それにより、それらアウトレット・ポート106eないし106gをインレット・ポート108に流体的に連通させる。残りのアウトレット・ポート106aないし106dは、シール面122に正対し、それにより、前記流体流れから遮断される。
【0048】
図17には、方向性部品120が第2位置にある状態で示されている。この第2位置においては、方向性部品120が回転し、それにより、いずれのアウトレット・ポート106aないし106gも、凹部124によって形成される流体チャネルに流体的に連通させられる。第2位置においては、アウトレット・ポート106aないし106gがすべて、インレット・ポート108に流体的に接続され、それにより、流体が、インレット・ポート108からアウトレット・ポート106aないし106gに流れる。
【0049】
図18には、方向性部品120が第3位置にある状態で示されている。この第3位置においては、方向性部品120が回転し、それにより、4つのアウトレット・ポート106aないし106dが開き、すなわち、インレット・ポート108に流体的に接続される。この第3位置においては、残りのアウトレット・ポート106eないし106gが、シール面122により、凹部124から遮断される。注目すべきことは、方向性部品のポート位置、接続用の開口部および/またはシール部/凹部を変更すると、各位置について開くポートと閉じるポートとの組合せを変更することが可能であるということである。さらに、それら列挙した特徴を変更することにより、より多い数の位置および/またはより多い数のポート組合せを実施することが可能である。
【0050】
方向についてのすべての言及(例えば、近位、遠位、上側、下側、内側、外側、上方向、下方向、左方向、右方向、横方向、前側、後側、上端、下端、上方に、下方に、垂直、水平、時計方向および反時計方向)は、読者が本発明を理解することを助けるために、区別という目的においてのみ使用され、本発明を、特に、位置、向きまたは使用法に関して本発明を限定することはない。接続に関する言及(例えば、装着、連結、接続および接合)は、広く解釈すべきであり、特記されない限り、集まった複数の要素間に介在する中間部材、および複数の要素間の相対運動を含むことが可能である。したがって、接続に関する言及は、2つの要素が直接的に接続されるとともに互いに一体的であることを必ずしも意味しない。例示的な前述の図面は、説明のみを目的としており、また、本明細書に添付されている図面上に反映されている寸法、位置、順序および相対的なサイズは、変更され得る。
【0051】
前述の仕様、例およびデータにより、本発明の例示的な実施形態の構造および使用法についての完全な説明が行われる。以上、本発明の種々の実施形態を、ある程度の具体性を有するか、または、少なくとも一つの個別の実施形態を参照しながら、説明してきたが、当業者であれば、本発明の主旨からも範囲からも逸脱することなく、前述の開示された実施形態に対して多くの変更を加えることが可能である。特に、上述の技術は、パーソナル・コンピュータから独立して採用することが可能であることを理解すべきである。したがって、他の実施形態が考慮される。上述の説明に含まれるとともに本明細書に添付された添付図面に図示されたすべての事項は、具体的な複数の実施形態のみについての説明であると解釈すべきであって、限定するものではないことを意図する。細部または構造における変更を、後続する特許請求の範囲の欄において定義される本発明の基本的要素から逸脱することなく、行うことが可能である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略的には、バルブに関し、より具体的には、マルチポート・マニホールド・バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
2個より多い数のポートを有する一般的なバルブは、あるポートを別のポートに接続する回転式ブッシュを通過する通路を含むように構成される。その回転式ブッシュは、前記バルブ内において、他の複数のポート間における漏れを防止するシール部としても作用する。しかし、2個より多い数のポートへの流体メディアの通路を有することが必要である場合には、この必要に応えるため、一般的な設計構造により、回転式ブッシュに、そのブッシュを通過する数本の通路が形成される。低圧または少量のストップ・コックまたはプラグ・バルブの一般的な設計構造は、圧入式のブッシュすなわちプラグを含むように構成され、その圧入式のブッシュすなわちプラグは、モールドされた本体の内部に収容され、その本体は、2個から4個までの流体入口ポートまたは流体出口ポートを有する。潤滑剤が使用されることはほとんどないが、時々、前記プラグの回転を容易にするために、潤滑剤の使用が必要である。いくつかの用途においては、前記ストップ・コックを通過する流体メディアが、潤滑剤によっても他の外部流体によっても汚染されてはいけない。しかし、この種の多ポート・プラグのための多くの現在の設計構造は、前記プラグを回転させるのに必要な力が大きいという理由のため、そのような用途に用いることができない。
【0003】
本明細書のこの「背景技術」の欄に存在する情報であって、本明細書に引用されているすべての文献およびそれら文献についての説明のすべてを含むものは、技術的な参照のみを目的としており、本発明の範囲が拘束されるべき主題であると考えるべきではない。
【発明の開示】
【0004】
マルチポート・バルブの新規設計構造が本明細書に開示されている。当該バルブは、2個の主要部品、すなわち、バルブ本体と方向性部品とを含むように構成されている。一実施態様においては、そのバルブ本体は、短い壁を有する環状円筒部であり、その環状円筒部は、コポリマまたは他の適当なプラスチック材料によって形成される。2つ、3つ、4つまたはそれより多い数のインレット用またはアウトレット用のポートは、前記環状円筒部の外側壁から、半径方向、接線方向、または、前記環状円筒部の弦を外向きに投影したものとして、延びるものとしてもよい。別のエラストマ材料またはゴム材料が、前記中空円筒部(環状円筒部)の中央穴内にモールドされるとともに、前記環状円筒部の内側壁に固着されている。前記ゴム材料または前記エラストマ材料は、前記バルブ本体を形成するために、前記環状円筒部内にモールドしてもよい。そのモールド工程中、複数の開口部を、前記エラストマ材料のオーバモールド部内に、バルブを形成する円筒状本体部(バルブ本体)の内側壁内の複数の穴部と一致するように、形成してもよい。それら複数の穴部は、前記インレット・ポートおよび前記アウトレット・ポート内に形成される複数の内部通路の内側穴部である。
【0005】
前記方向性部品は、前記バルブ本体の内側において回転する円筒状部品である。その方向性部品は、モータに連結されたシャフトによって駆動してもよく、または、その方向性部品は、シャフトに固定されたハンドルもしくはレバーによって手動で駆動してもよい。前記シャフトは、前記方向性部品の中央穴であって当該シャフトを収容するものを通過するように嵌合される。
【0006】
チャネルが、前記方向性部品の外周面内に形成される。そのチャネルは、前記方向性部品の外面のうちの一部を、あるパターンで包囲し、そのパターンは、前記インレット・ポートおよび前記アウトレット・ポートのうちの2以上のものを、それらポートの組合せが互いに異なるように、互いに接続するように設計されている。前記方向性部品が前記バルブ本体の内側において回転するにつれて、前記チャネルが、エラストマ製のシール部内の複数の開口部に正対し、それにより、流体メディアが、2以上のポートを同時に流れることが可能となり、前記複数の開口部は、前記複数のポートの前記複数の内部通路にそれぞれ対応する。前記バルブ本体上のエラストマ製のオーバモールド部は、前記バルブ本体と前記方向性部品との間におけるシール境界部を実現し、そのシール境界部は、前記流体メディアが前記バルブ組立体から放散することも漏れ出すことも阻止する。
【0007】
この「発明の概要」の欄は、選択された複数の概念を単純な形式で紹介するために設けられており、それら概念は、発明の詳細な説明の欄において後に詳述される。この発明の概要の欄は、特許請求の範囲に記載されている主題の重要な特徴についても本質的な特徴についても、特定することを意図しておらず、特許請求の範囲に記載されている主題の範囲を限定するために用いられることも意図していない。本発明の特徴、詳細、実用性および効果についてのより広範な説明は、本発明の種々の実施形態についての、後述の、より具体的な文章による説明において行われ、添付された図面において図示され、そして、後続するクレームにおいて定義される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、マルチポート・バルブの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示すマルチポート・バルブのうちの方向性部品を示す斜視図である。
【図3】図3は、図1に示すマルチポート・バルブにおける前記方向性部品を側方から見た斜視図である。
【図4】図4は、前記方向性部品を側方から見た別の斜視図であり、前記方向性部品の後面を示す。
【図5】図5は、図1に示すマルチポート・バルブのうちのバルブ本体を示す斜視図である。
【図6】図6は、図5に示すバルブ本体の、図5における線6−6に沿って取られた断面図である。
【図7A】図7Aは、図1に示すマルチポート・バルブを示す部分断面図であり、前記方向性部品におけるチャネルの位置を見せるために前記バルブ本体を断面図で示している。その方向性部品は、第1位置にあり、第2ポートおよび第3ポートが、流体的に互いに連通している。
【図7B】図7Bは、図1に示すマルチポート・バルブを示す部分断面図であり、前記方向性部品におけるチャネルの位置を見せるために前記バルブ本体を断面図で示している。その方向性部品は、第2位置にあり、第2ポート、第3ポートおよび第4ポートが、流体的に互いに連通している。
【図7C】図7Cは、図1に示すマルチポート・バルブを示す部分断面図であり、前記方向性部品におけるチャネルの位置を見せるために前記バルブ本体を断面図で示している。その方向性部品は、第3位置にあり、第3ポートおよび第4ポートが、流体的に互いに連通している。
【図7D】図7Dは、図1に示すマルチポート・バルブを示す部分断面図であり、前記方向性部品におけるチャネルの位置を見せるために前記バルブ本体を断面図で示している。その方向性部品は、第4位置にあり、第2ポートおよび第4ポートが、流体的に互いに連通している。
【図7E】図7Eは、図1に示すマルチポート・バルブを示す部分断面図であり、前記方向性部品におけるチャネルの位置を見せるために前記バルブ本体を断面図で示している。その方向性部品は、第5位置にあり、第1ポートおよび第3ポートが、流体的に互いに連通している。
【図7F】図7Fは、図1に示すマルチポート・バルブを示す部分断面図であり、前記方向性部品におけるチャネルの位置を見せるために前記バルブ本体を断面図で示している。その方向性部品は、第6位置にあり、第1ポートおよび第4ポートが、流体的に互いに連通している。
【図7G】図7Gは、図1に示すマルチポート・バルブを示す部分断面図であり、前記方向性部品におけるチャネルの位置を見せるために前記バルブ本体を断面図で示している。その方向性部品は、第7位置にあり、第1ポートおよび第2ポートが、流体的に互いに連通している。
【図8】図8は、マルチポート・マニホールド・バルブの一実施形態を示す斜視図である。
【図9】図9は、図8に示すマルチポート・マニホールド・バルブを示す分解図である。
【図10A】図10Aは、前記マルチポート・マニホールド・バルブをオフ位置にある状態で示す平面図である。
【図10B】図10Bは、図11Bと同様に、前記方向性部品を示す断面図であるが、その方向性部品は、すべてのポートがインレットから遮断されているオフ位置にある。
【図11A】図11Aは、前記マルチポート・マニホールド・バルブを第2位置にある状態で示す平面図である。
【図11B】図11Bは、前記方向性部品の、図8における線11B−11Bに沿って取られた断面図である。その方向性部品は、前記第1ポートが開いている前記第2位置にある。
【図12A】図12Aは、前記マルチポート・マニホールド・バルブを第3位置にある状態で示す平面図である。
【図12B】図12Bは、図11Bと同様に、前記方向性部品を示す断面図であるが、その方向性部品は、すべてのポートが開いている前記第3位置にある。
【図13A】図13Aは、図8に示すマルチポート・マニホールド・バルブのための方向性部品の別の実施態様を示す斜視図である。
【図13B】図13Bは、図13Aに示す方向性部品を示す斜視図である。
【図14】図14は、マルチポート・マニホールド・バルブの別の実施形態を示す斜視図である。
【図15】図15は、図14に示すマルチポート・マニホールド・バルブを示す分解図である。
【図15A】図15Aは、図15に示すマルチポート・マニホールド・バルブのためのノブの別の実施態様を示す斜視図であり、この実施態様においては、ローテータの構造物が前記ノブと一体的に形成されている。
【図16】図16は、図14に示すマルチポート・マニホールド・バルブの、図14における線16−16に沿って取られた断面図である。前記方向性部品は、第1位置にあり、前記第1、第2および第3ポートは、前記インレットに流体的に連通している。
【図17】図17は、前記マルチポート・マニホールド・バルブを、図16と同様に示す断面図であるが、前記方向性部品が第2位置にあり、すべてのポートが前記インレットに流体的に連通している点で、図16とは異なる。
【図18】図18は、前記マルチポート・マニホールド・バルブを、図16と同様に示す断面図であるが、前記方向性部品が第3位置にあり、前記第4、第5、第6および第7ポートが前記インレットに流体的に連通している点で、図16とは異なる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、マルチポート・バルブ2の一実施形態を示し、そのマルチポート・バルブ2は、各々、2以上のポートから成る複数の組合せの各々に属するポート間における流体流れを選択的に変更する。このマルチポート・バルブ2は、2つの主要部品、すなわち、バルブ本体4と方向性部品(向きを有する部品)6とを含むように構成される。バルブ本体4も、同様に、2つの主要部品、すなわち、バルブ外殻8とエラストメリック・シール(エラストマ製のシール)10とを含むように構成される。方向性部品6の構造は、図2ないし図4に詳細に示され、また、バルブ本体4の構造は、図5および図6に詳細に示されている。
【0010】
マルチポート・バルブ2についての本実施形態においては、バルブ本体4が、インレット用またはアウトレット用の4つのポート12aないし12dを含むように構成され、それらポート12aないし12dは、バルブ本体4の外壁面から突出している。さらに、バルブ外殻8の中央構造部は、中空円筒部として形成されており、その中空円筒部は、当該中空円筒部の厚さより大きい外径を有している。エラストメリック・シール10は、バルブ本体4の内側壁36に対面するように形成されている。エラストメリック・シール10は、バルブ外殻8の内側においてリングとして形成されている。方向性部品6は、エラストメリック・シール10の内側壁36によって画定されるキャビティ内の、軸方向における中心位置に位置させられている。この方向性部品6は、軸方向において、エラストメリック・シール10内の穴部内に位置し、かつ、エラストメリック・シール10の内側壁36に対面するように着座している。エラストメリック・シール10と方向性部品6との間における内側面は、流体密シール部を形成する。
【0011】
図2、図3および図4に、方向性部品6を形成する複数の特徴部がさらに詳細に示されている。例示的な本実施形態に示すように、方向性部品6は、車輪に似た構造物として形成されており、その構造物は、スムーズな係合を行うシール面28と、狭い側壁29とを有する。シャフト受け部24が、方向性部品6の穴部内の、軸方向における中心位置に位置させられている。シャフト受け部24は、方向性部品6がバルブ本体4の内側に装着された状態で、方向性部品6を回転させるために、シャフト(図示しない)を受容するための規則的または不規則的な形状として形成することが可能である。シャフト受け部24は、それら図において、補完的に係止(キー止め)されるシャフトを受容するための正方形穴の形状を有する。マルチポート・バルブ2と共に使用されるシャフトは、制御システムによって制御されるモータ駆動式とすることが可能であり、または、これに代えて、バルブ本体4の内側において方向性部品6を手動で回転させるための外部レバーもしくは外部ハンドルを有するように形成することが可能である。
【0012】
シャフト受け部24は、半径方向に延びる多数本のスポーク26により、方向性部品6内の、軸方向における中心位置に位置させられるとともに、所定位置に保持されることが可能であり、それらスポーク26は、クモの巣に似た構造物を有し、その構造物は、シャフト受け部24の外壁面から延びるとともに、方向性部品6の内側の側壁に取り付けられる。シャフト受け部24は、本実施形態においては、正方形として図示されているが、三角形、六角形、八角形、長円形、ギザギザ付き形状、溝付き形状、または、補完的に係止(キー止め)される他のいかなる形状であってもよく、それにより、補完的形状を有するシャフト受け部24に係合することが可能であるとともに、バルブ外殻8の内側において方向性部品6を回転させることが可能である。シャフト受け部24は、これに代えて、シャフトとの圧入を実現するために、円形であるとともにその圧入に必要なサイズを有するものとしたり、他の方法でシャフトに固着するものとすることが可能である。
【0013】
流体チャネル30が、方向性部品6の、周方向に延びるシール面28内に形成されている。流体チャネル30は、周方向側壁(シール面)28内において溝(凹み)として形成されている。本実施形態においては、流体チャネル30は、連続した1本のチャネルであって、方向性部品6の周面の約半分を横切るように形成されている。流体チャネル30の深さは、方向性部品6の、周方向に延びるシール面28を形成する側壁の厚さを超えるように半径方向に延びており、それにより、流体チャネル30の外面がスポーク26と交差する。シャフト受け部24は、方向性部品6の前面からも後面からも見えるが、スポーク26の幅寸法を横切るウエブ(図においては見えない)が、方向性部品6の前面と後面との間における、スポーク26の領域内において、壁として作用することが可能である。
【0014】
それら図における本実施形態においては、流体チャネル30が2つの部分、すなわち、直線部42とC字状部44とから構成されると考えることが可能である。流体チャネル30の幅寸法および深さ寸法は、マルチポート・バルブ2を通過する流体の流れを十分でありかつ変化しないものとするか、または、他の機能的な要件を満足させるために、選択することが可能である。C字状部44の上端カーブおよび下端カーブの、長さ方向における幅寸法は、流体チャネル30の、横方向における幅寸法の2倍にすることが可能である。方向性部品6の、周方向に延びるシール面28は、流体チャネル30のうち、最も幅広の部分より幅寸法が広くなっており、それにより、エラストメリック・シール10に接するための支持面およびシール面を実現する。それら図に示されている流体チャネル30の形状は、方向性部品6内の流体チャネル30の形状がとり得る一具体例にすぎないということを理解すべきである。より多いかもしくはより少ない数のインレット/アウトレット用の複数のポート、ポート間の流体的連通についての他の複数の組合せ、またはそれらの双方に適合するために、他の構成を採り得る。
【0015】
図1、図5および図6に、バルブ本体4がさらに詳細に示されている。前述のように、インレット用およびアウトレット用の4つのポート12aないし12dは、バルブ外殻8の外壁面から外向きに延びている。以下、区別の便宜上、それらインレット/アウトレット用のポート12aないし12dを、第1ポート12a、第2ポート12b、第3ポート12cおよび第4ポート12dと称する。それらポート12aないし12dは、多数の配列態様のうちのいずれで配列することも可能である。図1および図5に示す本実施形態においては、それらポート12bないし12dの3つが、バルブ外殻8の外側壁から半径方向に延びている。第1ポート12aは、バルブ外殻8の側壁から、そのバルブ外殻8の内側壁上の2点間に引かれた弦を投影したものとして、延びている。これに代えて、ポートの一例は、バルブ外殻8の外側壁から接線方向に、または、いかなる他の所望の角度で延びることが可能である。バルブ外殻8は、実質的に硬質であるポリマ、コポリマまたは他の合成樹脂で形成することが可能である。
【0016】
ポート12aないし12dのそれぞれの内部通路40を通過する中心軸線は、同一平面内にある。各ポート12a−12dは、直線シャフト14によって形成されるとともに、マルチポート・バルブ2に対する流体の供給・排出を行うための配管を受容するとともに保持することを補助するために、直線シャフト14の遠位端に位置する突起16によって形成されている。
【0017】
エラストメリック・シール10は、バルブ外殻8の内側壁に接着されるかまたは固着されるオーバモールド面として形成することが可能である。繰り返すが、エラストメリック・シール10は、方向性部品6の、周方向に延びるシール面28に対向するシール部を形成する。エラストメリック・シール10は、対向面に対するシール部を形成するために、ゴムまたは他の適当なエラストメリックなポリマ材料(「エラストメリック材料」と総称する)によって形成することが可能である。エラストメリック・シール10は、例えば、バルブ外殻8の内周面上に、射出によってオーバモールドするかまたは圧縮によってオーバモールドすることによって形成することが可能であり、それらオーバモールドは、例えば、圧入のために、2段階プロセスの一部として行ったり、エラストメリック・シール10を別にモールドすることによって行う。
【0018】
エラストメリック・シール10および方向性部品6のそれぞれの材料は、低摩擦境界面を実現してバルブ本体4内において方向性部品6が容易に回転する一方、同時に、それら2つの表面間における流体密シール部を実現するために、選択される。エラストメリック・シール10と方向性部品6との間におけるシール部は、低摩擦境界面を形成するように設計することが可能であるが、いくつかの実施態様においては、潤滑剤を用いることも可能である。エラストメリックなポリマが用いられるいくつかの実施態様においては、テフロン(登録商標)のような潤滑剤を前記エラストメリックなポリマに混入させて摩擦係数を低下させることが可能である。エラストメリック・シール10の内側壁36内において、それぞれの開口部38が、各ポート12a−12dの内部通路40と位置合わせされた状態で形成されており、それにより、ポート12aないし12dの内部通路40と、方向性部品6内の流体チャネル30とが流体的に結合される。他のいくつかの実施態様においては、前記エラストメリック材料を、方向性部品6上にモールド(オーバモールドの場合)したり嵌め込んだり(圧縮モールドの場合)して、同じシール効果が方向性部品6とバルブ外殻8との間において達成されるようにすることも可能である。
【0019】
他のいくつかの実施形態(図示しない)においては、ポート12aないし12dの開口部38を、方向性部品6内に画定された流体チャネル30に流体的に直接連通させるために、エラストメリック・シール10を、エッジシールとして形成することが可能であるとともに、方向性部品6を、バルブ外殻8の内壁に直接的に係合させることが可能である。例えば、エラストメリック・シール10(エッジシール)を、方向性部品6およびバルブ外殻8のそれぞれのエッジ内に形成されたそれぞれの周方向溝(凹み)内に嵌め込み、それにより、方向性部品6とバルブ外殻8との間における流体漏れを防止することが可能である。
【0020】
図1、図5および図6には、バルブ本体4の他の特徴部が示されている。本実施形態においては、一対の三角形状の重合用突出部18が、バルブ外殻8の外側壁から、互いにちょうど逆向きに延びている。一方の重合用突出部18の側においては、凹みまたは穴34が形成されている。反対側の重合用突出部18においては、重合用ピン20が、この重合用突出部18の表面より上方に延びている。複数本の重合用ピン20は、バルブ外殻8の両側において、重合用の複数の穴34に係合し、それにより、複数のマルチポート・バルブ2を、それぞれのシャフト受け部24に挿入される1本のシャフトを用いて、梱包のためや、多数のマルチポート・バルブ2を制御するために、互いに上方に、かつ、位置合わせされた状態で、積み重ねることが可能となる。
【0021】
本実施形態においては、係止(キー止め)構造物22が設けられており、これにより、バルブ本体4がハウジングまたは他のモジュール内に収容される場合に、マルチポート・バルブ2の位置合わせおよび方向合わせが容易となる。さらに、多数の小さなチャネル32が、バルブ本体4の側壁上に、バルブ本体4の両方の側において、かつ、エラストメリック・シール10の厚さとバルブ外殻8の壁の厚さとの双方を横切るように、形成されている。それらチャネル32は、エラストメリック・シール10の内側エッジからバルブ外殻8の外側エッジまでの半径方向に、幅が最小値から最大値まで変化するテーパ形状を有することが可能である。それらチャネル32は、流体ベントとして設けられており、その流体ベントは、複数のマルチポート・バルブ2が重ね合わせられて使用されるときに、方向性部品6とエラストメリック・シール10との間の境界面に沿って漏れるかもしれないいなかる流体も、シャフト受け部24およびスポーク26に向かって内側に誘導するのではなく、半径方向外側に誘導するために設けられている。
【0022】
図7Aないし図7Gには、マルチポート・バルブ2について開示された実施形態についての一連の作動位置が示されており、その一連の作動位置は、方向性部品6のそれぞれの角度位置に基づいている。図7Aには、バルブ本体4の内側にある方向性部品6の第1位置が示されている。バルブ本体4は、断面図で示される一方、方向性部品6は、その方向性部品6の流体チャネル30とインレット/アウトレット用の複数のポート12aないし12dとの間における位置合わせを容易に図示するために、その全体が示されている。第1位置においては、方向性部品6が回転して、流体チャネル30と、第2ポート12bおよび第3ポート12cについてのそれぞれのシール用の開口部38との間における流体連通を実現する。図示のように、第1ポート12aおよび第4ポート12dについてのそれぞれの内部通路40に至る流体の開口部38は、流体チャネル30のうちのいずれの部分とも正対しておらず、その代わり、方向性部品6の、スムーズな、周方向に延びるシール面28のうちのいくつかの部分に隣接するように位置しており、これにより、流体が第1ポート12aおよび第4ポート12dへ流入することが阻止される。
【0023】
図7Bには、方向性部品6が、第2位置に回転した状態で示されている。第2位置においては、第2ポート12b、第3ポート12cおよび第4ポート12dのそれぞれに至るシール用の開口部38は、すべて、流体チャネル30のうちの直線部42に流体的に連通する状態にある。しかし、第1ポート12aについての内部通路40を通過する流体の流れは存在せず、なぜなら、エラストメリック・シール10内の、対応する開口部38が、周方向に延びるシール面28のうちの実在部に対面しているからである。したがって、図7Bにおいては、第2ポート12b、第3ポート12cまたは第4ポート12dのいずれかが、インレット流れのための通路として作用する一方、残りの2つのポートは、流体チャネル30と流体的に連通していて、アウトレット用ポートとして作用するであろう。
【0024】
図7Cには、マルチポート・バルブ2が、作動位置としての第3位置にある状態で示されている。第3位置においては、第3ポート12cおよび第4ポート12dが、流体チャネル30に流体的に連通している。この第3位置においても、第1ポート12aが、エラストメリック・シール10と、方向性部品6の、周方向に延びるシール面28との間の境界面において、密閉されている。同様に、第2ポート12bも、対応する開口部38において密閉されており、その開口部38は、周方向に延びるシール面28であって、流体チャネル30のうちのC字状部44の内側の部分を形成するものに対面している。
【0025】
図7Dには、マルチポート・バルブ2のバルブ本体4内の方向性部品6の第4位置が示されている。この第4位置においては、第2ポート12bおよび第4ポート12dが、流体チャネル30に流体的に連通しており、それにより、両者が流体的に互いに連通している。この第4位置においても、第1ポート12aが、方向性部品6の、周方向に延びるシール面28に対面する位置において、密閉されている。さらに、この第4位置においては、第3ポート12cが、周方向に延びるシール面28であって、流体チャネル30のうちのC字状部44の内側の部分を形成するものに対面する位置において、密閉されている。
【0026】
図7Eには、バルブ本体4内の方向性部品6の第5位置が示されており、その第5位置においては、第1ポート12aと第3ポート12cとが流体的に互いに連通する。図示のように、シール用の開口部38であって、第1ポート12aと第3ポート12cとのそれぞれの内部通路40に対応するものは、流体チャネル30に隣接するとともに、その流体チャネル30に流体的に連通している。この第5位置においては、第2ポート12bが、方向性部品6の、周方向に延びるシール面28によって密閉され、また、第4ポート12dが、周方向に延びるシール面28であって、流体チャネル30のうちのC字状部44の内側の部分を形成するものに対面する位置において、密閉されている。
【0027】
図7Fには、マルチポート・バルブ2のバルブ本体4内の方向性部品6の第6位置が示されている。この第6位置においては、第1ポート12aおよび第4ポート12dが、流体チャネル30に流体的に連通しており、それにより、両者が流体的に互いに連通している。シール用の開口部38であって、第1ポート12aの内部通路40に対応するものは、流体チャネル30のうちの直線部42内に位置する一方、第4ポート12dの内部通路40についてのシール用の開口部38は、流体チャネル30のうちのC字状部44の末端部に位置している。第2ポート12bと第3ポート12cとの双方は、エラストメリック・シール10と、周方向に延びるシール面28との間の境界面において、密閉されている。
【0028】
図7Gには、マルチポート・バルブ2のバルブ本体4内の方向性部品6の第7位置が示されている。この第7位置においては、第1ポート12aおよび第2ポート12bが、流体チャネル30に流体的に連通しており、それにより、両者が流体的に互いに連通している。シール用の開口部38であって、第1ポート12aの内部通路40に対応するものは、流体チャネル30のうちのC字状部44の末端部に位置している。第2ポート12bの内部通路40についてのシール用の開口部38は、流体チャネル30のうちの直線部42内に位置している。第3ポート12cと第4ポート12dとの双方は、エラストメリック・シール10と、周方向に延びるシール面28との間の境界面において、密閉されている。
【0029】
このように、マルチポート・バルブ2のこの具体的な実施態様においては、流体流れに関する7つの異なる位置は、インレット/アウトレット用のポート12aないし12dのうちの2つまたは3つからの組合せに属するポート間を、ポートの組合せが互いに異なるように接続するが、それら位置は、バルブ本体4内において方向性部品6を回転させることによって取り得る。別の実施態様において、方向性部品6における流体チャネル30を、別のパターンで形成し、それにより、インレット/アウトレット用のポート12aないし12d間における互いに異なる複数の流体流れの組合せを実現してもよい。さらに、別の実施態様において、より多いかまたはより少ない数のポートを、マルチポート・バルブ2のバルブ外殻8上に配置してもよい。
【0030】
図8および図9には、マルチポート・マニホールド・バルブ50の一実施形態が示されており、そのマルチポート・マニホールド・バルブ50は、2以上のアウトレット・ポートと、インレット・ポートとの間における流体流れを選択的に変更する。マルチポート・マニホールド・バルブ50は、セレクタすなわちノブ56と、方向性部品70と、位置決めピン68と、バルブ組立体57とを含む。そのバルブ組立体57は、外殻52と、その外殻52から放射状に延びるアウトレット・ポート58aないし58gと、インレット・ポート54と、エラストメリック・シール80とを含むように構成されている。外殻52は、実質的に中空である円筒部として形成されるとともに、アウトレット・ポート58aないし58gおよびインレット・ポート54を支持している。外殻52は、さらに、複数のリブ84と、内壁82とを含む。それらリブ84および内壁82は、軽量化されたマルチポート・マニホールド・バルブ50が望ましい実施態様において使用することが可能であり、なぜなら、外殻52に必要な材料の量が削減されるからである。しかし、他の実施態様において、外殻52を内壁82まで中実化してもよい。外殻52は、実質的に硬いプラスチックまたはそれと同様なものによって形成される。
【0031】
アウトレット・ポート58aないし58gはそれぞれ、突部または他の保持部を含み、それにより、アウトレット・ポート58aないし58gが、チューブまたは他の導管を受容して保持することが可能である。同様に、インレット・ポート54も、自身の遠位部(先端部)において突部または他の保持部を含み、それにより、インレット・ポート54が、チューブまたは他の導管を受容して保持することが可能である。注目すべきことは、インレット・ポート54はインレットとして設計されているが、いくつかの実施態様においては、前述の先の実施形態における前記ポート12aないし12dと同様に、アウトレット・ポート58aないし58gおよびインレット・ポート54が、双方向に流れるポートとして機能するようにしてもよいということである。
【0032】
エラスメトリック・シール80は、外殻52の内壁82に沿ったリングとして形成されるとともに、外殻52の中空円筒部によって形成されるキャビティ内に配置されている。エラスメトリック・シール80の内面は、(図5における、シール用の複数の開口部38と同様な)接続用の複数の開口部86を有する。接続用の複数の開口部86は、アウトレット・ポート58aないし58gおよびインレット・ポート54に対して位置合わせされている。接続用の複数の開口部86は、内面78と、ポート54、58aないし58gとを流体的に互いに接続する。図1に示すエラスメトリック・シール10と同様に、エラスメトリック・シール80は、外殻52の内壁82に接着されるかまたは固着されるオーバモールド面として形成されるとともに、エラスメトリック・シール10と同様な材料および/または製法によって形成される。
【0033】
方向性部品70は、エラスメトリック・シール80内に嵌り入るとともに、エラスメトリック・シール80と共同して流体密シール部を形成する。方向性部品70は、外殻52の円筒部内に形成されるキャビティ内において回転する。方向性部品70は、凹部72を有し、その凹部72は、エラスメトリック・シール80と共同して、マルチポート・マニホールド・バルブ50内の流体チャネルを形成するように作用する。方向性部品70は、さらに、シール面74を有する。シール面74は、接続用の複数の開口部86を、エラスメトリック・シール80と凹部72との間に形成された流体チャネルから遮断する。図1における方向性部品6と同様に、本実施形態における方向性部品70は、凹部72およびシール面74についての別の形状および/またはサイズを有するように変更してもよい(例えば、図15の実施形態において示される方向性部品120)。
【0034】
さらに、上述のように、別の実施態様(図示しない)において、エラスメトリック・シール80を、エッジシールとして形成することが可能であるとともに、方向性部品70を、外殻52の内壁82に直接的に係合し、それにより、ポート54および58aないし58gの開口部86を、方向性部品70内に画定された流体チャネルに流体的に直接連通するようにすることが可能である。例えば、エラストメリック・シール80(エッジシール)を、方向性部品70および外殻52のそれぞれのエッジ内に形成されたそれぞれの周方向溝(凹み)内に嵌め込み、それにより、方向性部品70と外殻52との間における流体漏れを防止することが可能である。
【0035】
ノブ56は、カバー60とシャフト62とを含むように形成されており、そのシャフト62は、位置決めピン68を固定するためのチューブ64を有している。ノブ56は、ユーザ(または機械)が保持することを可能にする表面を有しており、それにより、方向性部品70を回転させることが可能となる。シャフト62は、方向性部品70の中央穴部の内側に、外殻52のベース壁53内の、小径の穴部55を通過するように、挿入され、その穴部55は、シャフト62の外径部にがたなく嵌合する。保持リング76が、シャフト62の先端部上の円環溝63内に配置され、そのシャフト62は、ベース壁53の下方まで延びている。保持リング76は、ベース壁53に対してぴったりと取り付けられ、それにより、ノブ56を、バルブ組立体57に対して、かつ、外殻52内において保持することが可能となる。シャフト62および方向性部品70は互いに係止(キー止め)され、それにより、シャフト62が回転するにつれて方向性部品70も回転する。
【0036】
さらに、ノブ56は、位置決めピン68を有しており、その位置決めピン68は、スプリング66に作動的に連結されている。ノブ56が回転するにつれて、位置決めピン68は、別の位置に、ベース壁53に沿って移動する。ベース壁53の内面が、複数の凹部92を有しており(図10B参照)、位置決めピン68が各凹部92上を移動するにつれて、スプリング66が位置決めピン68を各凹部92内に押し込む。本実施形態においては、ユーザが、位置決めピン68が別の位置に移動するごとにその位置決めピン68のクリック動作を触覚的および/または聴覚的に知覚することが可能である。さらに、スプリング66は、ノブ56の位置ひいては方向性部品70の位置を変更するために打ち勝つことが必要であるバイアス力を付与する。
【0037】
図10Aおよび図10Bを参照するに、ノブ56(ひいては方向性部品70)は、第1位置にある。この第1位置においては、すべてのアウトレット・ポート58aないし58gが、インレット・ポート54から流体的に遮断されている。換言するに、マルチポート・マニホールド・バルブ50が、閉位置にあるのである。この第1位置においては、アウトレット・ポート58aないし58gのついての内部通路88すなわち流体導管が流体的に密閉され、それにより、インレット用の内部通路90を経由して、インレット・ポート54から流入する流体に接続されることが阻止される。この第1位置においては、シール面74が、エラストメリック・シール80内の接続用の複数の開口部86を覆っている。シール面74が接続用の複数の開口部86を覆っているため、凹部72すなわち流体チャネル内を流れる流体が、アウトレット・ポート58aないし58gの内部通路88に到達することが実質的に阻止される。
【0038】
図11Aおよび図11Bに示すように、方向性部品70は、第2位置にある。この第2位置においては、第1ポート58aは開いているが、他のポート58bないし58gは閉じている。この第2位置においては、シール面74が、アウトレット・ポート58bないし58gの前方に位置する、接続用の複数の開口部86を覆っており、また、凹部72が、第1アウトレット・ポート58aのための接続用の開口部86の前方に位置しており、それにより、凹部72を経由して、インレット用の内部通路90からアウトレット用の内部通路88まで流体が流れることが可能となり、これにより、流体用のインレット・ポート54と、流体用の第1アウトレット・ポート58aとが流体的に互いに連通する。
【0039】
図12Aおよび図12Bには、方向性部品70の第3位置が示されている。この第3位置においては、すべてのアウトレット・ポート58aないし58gが、インレット・ポート54に流体的に連通している。この第3位置においては、接続用の複数の開口部86のすべてが開放されており、それにより、流体がインレット用の内部通路90からアウトレット用の内部通路88まで、凹部72によって形成される流体チャネルに沿って流れることが可能となる。明らかであることは、ノブ56、ひいては方向性部品70を、8つの位置(7つの開位置と、1つの閉位置)のうちのいずれかまで回転させることが可能であるということである。ノブ56が第2位置から時計方向に1つずつ進むと、第1および第2ポート58aおよび58bが開く。続いて、第1、第2および第3ポート58aないし58cが、次回の増加動作を伴って、開き、同様なことが、図12Bの第3位置に到達して7つのポート58aないし58gのすべてが開くまで連続する。
【0040】
図13Aおよび図13Bには、図8のマルチポート・マニホールド・バルブ50と共に使用される方向性部品71の別の実施形態が示されている。本実施形態においては、方向性部品71が、凹部75を有し、その凹部75は、方向性部品71の上端リムに向かって垂直に延びる1本のブランチ77を有している。本実施形態においては、方向性部品71が、一度に、ポート58aないし58gのうちの1つだけを開くために使用される。例えば、方向性部品71がノブ56によって回転させられると、ブランチ77が一度に、1つのポート58のみに位置合わせされ(正対し)、それにより、残りのポート58が、シール面73に正対して、流体的に密閉され、それにより、インレット用の内部通路90を経由して、インレット・ポート54から流入する流体に接続されることが阻止される。第1位置においては、方向性部品71が第1ポート58aを開き、第2位置においては、方向性部品71が第1ポート58aを閉じて第2ポート58bを開き、同様なことが連続し、その結果、すべてのアウトレット・ポート58aないし58gがそれぞれ選択されるが、アウトレット・ポート58aないし58gのうち一度に開くのは1つのみである。
【0041】
図14Aおよび図14Bには、マルチポート・マニホールド・バルブ100の別の実施形態が示されている。本実施形態においては、方向性部品120が、異なる形状を有する凹部75と、異なる形状を有するシール面122とを有しており、さらに、マルチポート・マニホールド・バルブ100が、複数のアウトレット・ポート106aないし106gを、外殻102の周りに分散的に間隔をあけた状態で有し、これは、図8ないし図12Bに示されているアウトレット・ポート58aないし58gのように集中しているのとは異なる。さらに、ローテータ112が、方向性部品120の回転を支援するために使用される。ローテータ112は、方向性部品120の中央部に挿入され、その後、シャフト110を有するノブ104が、ローテータ112の中央キャビティ内に挿入される。シャフト110は、円環溝111を規定し、その円環溝111は、後に詳述する保持具130を収容する。
【0042】
ローテータ112は、概して円筒状を成すとともに、補完的な係止面114、116を有し、それら係止面114、116は、方向性部品120の内側部分上の位置合わせ面126、128に対応している。係止面114、116および位置合わせ面126,128は、補完し合っており、それにより、ローテータ112および方向性部品120が互いに係止され、それにより、ローテータ112が回転するにつれて、ローテータ112が方向性部品120を回転させることが可能である。ローテータ112は、複数のリブ118を有しており、それらリブ118は、小径である内側の円筒壁であってシャフト110を支持するものを支持する。ノブ104も、係止(キー止め)特徴部(図示しない)を有しており、その係止(キー止め)特徴部は、ローテータ112内の係止通路119と係合する。本実施形態においては、ノブ104を回転させると、方向性部品120が回転する。
【0043】
図15Aには、ノブ104’の別の実施形態が示されており、そのノブ104’には、ローテータ112’の構造物が一体的に形成されている。ローテータ112’は、概して円筒状を成すとともに、補完的な係止面114’、116’を有し、それら係止面114’、116’は、方向性部品120の内側部分上の位置合わせ面126、128に対応している。係止面114’、116’および位置合わせ面126,128は、補完し合っており、それにより、ローテータ112’および方向性部品120が互いに係止され、それにより、ノブ104’およびローテータ112’が回転するにつれて、ローテータ112’が方向性部品120を回転させることが可能である。ローテータ112’は、複数のリブ118’を有しており、それらリブ118’は、シャフト110’を支持する。関連する前記実施形態と同様に、シャフト110’は、円環溝111’を規定し、その円環溝111’は、後に詳述する保持具130を収容する。さらに、スリーブ113’が、位置決めピン68を収容するために、ローテータ120’の一部として形成されている。
【0044】
方向性部品120は、前述の実施形態における方向性部品6,70,71と似ているが、異なる点は、方向性部品120が環状凹部124aを含み、その環状凹部124aは、方向性部品120の外壁の下部の周りを延びており、方向性部品120はさらに、分離された複数の凹状切欠き124bをシール面122上に有しており、それら凹状切欠き124bは、環状凹部124aと連通するとともに、その環状凹部124aから方向性部品120の上部まで延びている点である(すなわち、シール面と流体チャネルのそれぞれの形状およびサイズは、前記他の方向性部品6,70,71とは異なる)。前述のように、方向性部品6,70,71に関して、凹部124の形状およびサイズを、位置およびサイズに基づいて異なるポート開口部を収容するように変更することが可能である。
【0045】
方向性部品120は、エラストメリック・シール132と外殻102との組合せによって形成されるキャビティ内に挿入される。この方向性部品120のシール面122とエラストメリック・シール132とが、流体密シール部を形成する。方向性部品120の凹部(環状凹部124aおよび凹状切欠き124b)が回転するにつれて、接続用の開口部140がインレット・ポート108から流入する流体の流れに、流体的に接続される。シャフト110は、外殻102のベース壁103内の穴部105内の所定位置に、保持リング130によって保持され、その保持リング130は、円環溝111に係合するとともに、ベース壁103の外面に接触する。本実施形態においては、ベース壁103の内面が、さらに、複数の凹面を有し、それら凹面は、位置決めピン68が各位置にカチッと止まることを可能にし、このことは、図9に関連して前述されている。
【0046】
外殻102は、図8および図9に示されている前記実施形態における外殻52と類似する。外殻102は、複数のアウトレット・ポート106aないし106gを有しており、それらアウトレット・ポート106aないし106gは、外殻102の外壁から外向きに放射状に延びている。それらアウトレット・ポート106aないし106gは、外殻102上に位置するインレット・ポート108に選択的に接続される。エラストメリック・シール132は、内壁134上にオーバモールドされるか、または、内壁134に固着される。アウトレット・ポート106aないし106gは、外殻102の外壁を通過して延びるとともに、エラストメリック・シール132内の、接続用の複数の開口部140に対して位置合わせされる。
【0047】
図16には、方向性部品120が第1位置にある状態で示されている。この第1位置においては、アウトレット・ポート106aないし106gがインレット・ポート108に流体的に接続されている。図16から分かるように、各アウトレット・ポート106aないし106gは、内部通路144すなわち開放された導管を有しており、その内部通路144は、アウトレット・ポート106aないし106gを、外殻102の外壁から内壁まで、連通させる。この第1位置においては、方向性部品120が、凹部124がアウトレット・ポート106eないし106gに正対し、それにより、それらアウトレット・ポート106eないし106gをインレット・ポート108に流体的に連通させる。残りのアウトレット・ポート106aないし106dは、シール面122に正対し、それにより、前記流体流れから遮断される。
【0048】
図17には、方向性部品120が第2位置にある状態で示されている。この第2位置においては、方向性部品120が回転し、それにより、いずれのアウトレット・ポート106aないし106gも、凹部124によって形成される流体チャネルに流体的に連通させられる。第2位置においては、アウトレット・ポート106aないし106gがすべて、インレット・ポート108に流体的に接続され、それにより、流体が、インレット・ポート108からアウトレット・ポート106aないし106gに流れる。
【0049】
図18には、方向性部品120が第3位置にある状態で示されている。この第3位置においては、方向性部品120が回転し、それにより、4つのアウトレット・ポート106aないし106dが開き、すなわち、インレット・ポート108に流体的に接続される。この第3位置においては、残りのアウトレット・ポート106eないし106gが、シール面122により、凹部124から遮断される。注目すべきことは、方向性部品のポート位置、接続用の開口部および/またはシール部/凹部を変更すると、各位置について開くポートと閉じるポートとの組合せを変更することが可能であるということである。さらに、それら列挙した特徴を変更することにより、より多い数の位置および/またはより多い数のポート組合せを実施することが可能である。
【0050】
方向についてのすべての言及(例えば、近位、遠位、上側、下側、内側、外側、上方向、下方向、左方向、右方向、横方向、前側、後側、上端、下端、上方に、下方に、垂直、水平、時計方向および反時計方向)は、読者が本発明を理解することを助けるために、区別という目的においてのみ使用され、本発明を、特に、位置、向きまたは使用法に関して本発明を限定することはない。接続に関する言及(例えば、装着、連結、接続および接合)は、広く解釈すべきであり、特記されない限り、集まった複数の要素間に介在する中間部材、および複数の要素間の相対運動を含むことが可能である。したがって、接続に関する言及は、2つの要素が直接的に接続されるとともに互いに一体的であることを必ずしも意味しない。例示的な前述の図面は、説明のみを目的としており、また、本明細書に添付されている図面上に反映されている寸法、位置、順序および相対的なサイズは、変更され得る。
【0051】
前述の仕様、例およびデータにより、本発明の例示的な実施形態の構造および使用法についての完全な説明が行われる。以上、本発明の種々の実施形態を、ある程度の具体性を有するか、または、少なくとも一つの個別の実施形態を参照しながら、説明してきたが、当業者であれば、本発明の主旨からも範囲からも逸脱することなく、前述の開示された実施形態に対して多くの変更を加えることが可能である。特に、上述の技術は、パーソナル・コンピュータから独立して採用することが可能であることを理解すべきである。したがって、他の実施形態が考慮される。上述の説明に含まれるとともに本明細書に添付された添付図面に図示されたすべての事項は、具体的な複数の実施形態のみについての説明であると解釈すべきであって、限定するものではないことを意図する。細部または構造における変更を、後続する特許請求の範囲の欄において定義される本発明の基本的要素から逸脱することなく、行うことが可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチポート・マニホールド・バルブであって、
バルブ本体と、
方向性部品と、
エラストメリック・シールと
を含み、
前記バルブ本体は、
外壁部と、
その外壁部によって画定される、内側にある円筒状のキャビティと、
複数のポートと
を含み、
それらポートは、前記外壁部から延びるとともに、前記外壁部内の複数の穴部と、前記複数のポートの遠位端内の複数の穴部との間を延びる複数の導管をそれぞれ規定し、
前記方向性部品は、前記キャビティ内に配置され、
その方向性部品は、当該方向性部品の外周面内において流体通路を規定し、
その流体通路は、各々、前記複数のポートのうちの少なくとも2つから成る複数の組合せの各々に属するポート間における流体連通を、前記キャビティ内における前記方向性部品の角度的向きに応じて選択的に実現し、
前記エラストメリック・シールは、前記方向性部品と前記バルブ本体の前記外壁部との間に配置されたマルチポート・マニホールド・バルブ。
【請求項2】
前記エラストメリック・シールは、前記バルブ本体の前記外壁部内の前記複数の穴部とそれぞれ位置合わせされた複数の開口部を規定し、それにより、前記複数のポートの前記複数の導管と前記流体通路との間における流体連通を実現する請求項1に記載のマルチポート・マニホールド・バルブ。
【請求項3】
前記エラストメリック・シールは、前記方向性部品と前記バルブ本体の前記外壁部との間における流体密シール部を実現し、および/または、
前記エラストメリック・シールは、ゴム材料、弾性ポリマもしくは弾性コポリマであり、および/または、
前記エラストメリック・シールは、前記方向性部品と前記バルブ本体の前記外壁部との間における低摩擦境界面を実現し、および/または、
前記エラストメリック・シールは、前記バルブ本体の内周面上のオーバモールド表面であり、または、
前記エラストメリック・シールは、前記バルブ本体の内周面上の圧縮モールド圧入部であり、または、
前記エラストメリック・シールは、前記方向性部品の外周面上のオーバモールド表面であり、または、
前記エラストメリック・シールは、前記方向性部品の外周面上の圧縮モールド圧入部である請求項1に記載のマルチポート・マニホールド・バルブ。
【請求項4】
前記複数のポートのうちの少なくとも1つは、前記バルブ本体の外周面から半径方向に外向きを向いており、および/または、
前記複数のポートのうちの少なくとも1つは、前記バルブ本体の外周面から、前記バルブ本体の環状円筒部の弦を投影したものとして、外向きを向いており、および/または、
前記複数のポートのうちの少なくとも1つは、前記バルブ本体の外周面から接線方向に外向きを向いており、および/または、
前記複数のポートの内部通路の各々の軸線は、共通の平面上に位置する請求項1に記載のマルチポート・マニホールド・バルブ。
【請求項5】
前記複数のポートのそれぞれは、各ポートの遠位端に隣接した位置に、円周状の突起構造部を形成する請求項1に記載のマルチポート・マニホールド・バルブ。
【請求項6】
前記流体通路は、前記方向性部品の外周面内におけるチャネルとして形成される請求項1に記載のマルチポート・マニホールド・バルブ。
【請求項7】
前記チャネルは、直線状の第1部分がC字状の第2部分に連結されて構成されている請求項6に記載のマルチポート・マニホールド・バルブ。
【請求項8】
前記複数のポートは、第1ポート、第2ポート、第3ポートおよび第4ポートを、前記バルブ本体の外周面の周りを、周方向に並ぶ順序で有しており、
前記方向性部品の第1位置は、前記チャネルを、前記第2ポートおよび前記第3ポートに流体的に連通させる状態にし、
前記方向性部品の第2位置は、前記チャネルを、前記第2ポート、前記第3ポートおよび前記第4ポートに流体的に連通させる状態にし、
前記方向性部品の第3位置は、前記チャネルを、前記第3ポートおよび前記第4ポートに流体的に連通させる状態にし、
前記方向性部品の第4位置は、前記チャネルを、前記第2ポートおよび前記第4ポートに流体的に連通させる状態にし、
前記方向性部品の第5位置は、前記チャネルを、前記第1ポートおよび前記第3ポートに流体的に連通させる状態にし、
前記方向性部品の第6位置は、前記チャネルを、前記第1ポートおよび前記第4ポートに流体的に連通させる状態にし、
前記方向性部品の第7位置は、前記チャネルを、前記第1ポートおよび前記第2ポートに流体的に連通させる状態にする請求項7に記載のマルチポート・マニホールド・バルブ。
【請求項9】
前記流体通路は、前記方向性部品の外周面内に、シール面と、そのシール面に対して凹んだ凹面との組合せによって形成される請求項1に記載のマルチポート・マニホールド・バルブ。
【請求項10】
前記凹面は、前記方向性部品のうち、前記シール面より大きい面積を有するエリアを覆い、および/または、
前記凹面は、複数のブランチによって形成され、それらブランチは、前記シール面のうち、当該複数のブランチを部分的に包囲するエリアによって規定される請求項9に記載のマルチポート・マニホールド・バルブ。
【請求項11】
前記複数のポートのうちの少なくとも1つは、アウトレット・ポートであり、
前記複数のポートのうちの少なくとも1つは、インレット・ポートである請求項1,6または9に記載のマルチポート・マニホールド・バルブ。
【請求項12】
前記複数のポートは、インレット・ポートと、複数のアウトレット・ポートとを含み、
前記方向性部品の各位置は、各位置ごとに、前記インレット・ポートを、前記複数のアウトレット・ポートのうちの一つに接続する請求項1,6または9に記載のマルチポート・マニホールド・バルブ。
【請求項13】
さらに、シャフトを有するノブを含み、
前記シャフトは、前記ノブを回転させると前記方向性部品も回転するように、前記方向性部品に作動的に接続されている請求項1,6または9に記載のマルチポート・マニホールド・バルブ。
【請求項14】
さらに、ローテータを含み、
そのローテータは、前記ノブを回転させると前記ローテータおよび前記方向性部品が回転するように、前記ノブと前記方向性部品とに作動的に接続されている請求項13に記載のマルチポート・マニホールド・バルブ。
【請求項15】
前記ローテータは、さらに、第1の係止構造物および/または第2の係止構造物を含み、
前記ノブは、さらに、第1の補完的係止構造物であって、前記第1の係止構造物に係合するように構成されたものを含み、および/または、
前記方向性部品は、さらに、第2の補完的係止構造物であって、前記第2の係止構造物に係合するように構成されたものを含む請求項14に記載のマルチポート・マニホールド・バルブ。
【請求項1】
マルチポート・マニホールド・バルブであって、
バルブ本体と、
方向性部品と、
エラストメリック・シールと
を含み、
前記バルブ本体は、
外壁部と、
その外壁部によって画定される、内側にある円筒状のキャビティと、
複数のポートと
を含み、
それらポートは、前記外壁部から延びるとともに、前記外壁部内の複数の穴部と、前記複数のポートの遠位端内の複数の穴部との間を延びる複数の導管をそれぞれ規定し、
前記方向性部品は、前記キャビティ内に配置され、
その方向性部品は、当該方向性部品の外周面内において流体通路を規定し、
その流体通路は、各々、前記複数のポートのうちの少なくとも2つから成る複数の組合せの各々に属するポート間における流体連通を、前記キャビティ内における前記方向性部品の角度的向きに応じて選択的に実現し、
前記エラストメリック・シールは、前記方向性部品と前記バルブ本体の前記外壁部との間に配置されたマルチポート・マニホールド・バルブ。
【請求項2】
前記エラストメリック・シールは、前記バルブ本体の前記外壁部内の前記複数の穴部とそれぞれ位置合わせされた複数の開口部を規定し、それにより、前記複数のポートの前記複数の導管と前記流体通路との間における流体連通を実現する請求項1に記載のマルチポート・マニホールド・バルブ。
【請求項3】
前記エラストメリック・シールは、前記方向性部品と前記バルブ本体の前記外壁部との間における流体密シール部を実現し、および/または、
前記エラストメリック・シールは、ゴム材料、弾性ポリマもしくは弾性コポリマであり、および/または、
前記エラストメリック・シールは、前記方向性部品と前記バルブ本体の前記外壁部との間における低摩擦境界面を実現し、および/または、
前記エラストメリック・シールは、前記バルブ本体の内周面上のオーバモールド表面であり、または、
前記エラストメリック・シールは、前記バルブ本体の内周面上の圧縮モールド圧入部であり、または、
前記エラストメリック・シールは、前記方向性部品の外周面上のオーバモールド表面であり、または、
前記エラストメリック・シールは、前記方向性部品の外周面上の圧縮モールド圧入部である請求項1に記載のマルチポート・マニホールド・バルブ。
【請求項4】
前記複数のポートのうちの少なくとも1つは、前記バルブ本体の外周面から半径方向に外向きを向いており、および/または、
前記複数のポートのうちの少なくとも1つは、前記バルブ本体の外周面から、前記バルブ本体の環状円筒部の弦を投影したものとして、外向きを向いており、および/または、
前記複数のポートのうちの少なくとも1つは、前記バルブ本体の外周面から接線方向に外向きを向いており、および/または、
前記複数のポートの内部通路の各々の軸線は、共通の平面上に位置する請求項1に記載のマルチポート・マニホールド・バルブ。
【請求項5】
前記複数のポートのそれぞれは、各ポートの遠位端に隣接した位置に、円周状の突起構造部を形成する請求項1に記載のマルチポート・マニホールド・バルブ。
【請求項6】
前記流体通路は、前記方向性部品の外周面内におけるチャネルとして形成される請求項1に記載のマルチポート・マニホールド・バルブ。
【請求項7】
前記チャネルは、直線状の第1部分がC字状の第2部分に連結されて構成されている請求項6に記載のマルチポート・マニホールド・バルブ。
【請求項8】
前記複数のポートは、第1ポート、第2ポート、第3ポートおよび第4ポートを、前記バルブ本体の外周面の周りを、周方向に並ぶ順序で有しており、
前記方向性部品の第1位置は、前記チャネルを、前記第2ポートおよび前記第3ポートに流体的に連通させる状態にし、
前記方向性部品の第2位置は、前記チャネルを、前記第2ポート、前記第3ポートおよび前記第4ポートに流体的に連通させる状態にし、
前記方向性部品の第3位置は、前記チャネルを、前記第3ポートおよび前記第4ポートに流体的に連通させる状態にし、
前記方向性部品の第4位置は、前記チャネルを、前記第2ポートおよび前記第4ポートに流体的に連通させる状態にし、
前記方向性部品の第5位置は、前記チャネルを、前記第1ポートおよび前記第3ポートに流体的に連通させる状態にし、
前記方向性部品の第6位置は、前記チャネルを、前記第1ポートおよび前記第4ポートに流体的に連通させる状態にし、
前記方向性部品の第7位置は、前記チャネルを、前記第1ポートおよび前記第2ポートに流体的に連通させる状態にする請求項7に記載のマルチポート・マニホールド・バルブ。
【請求項9】
前記流体通路は、前記方向性部品の外周面内に、シール面と、そのシール面に対して凹んだ凹面との組合せによって形成される請求項1に記載のマルチポート・マニホールド・バルブ。
【請求項10】
前記凹面は、前記方向性部品のうち、前記シール面より大きい面積を有するエリアを覆い、および/または、
前記凹面は、複数のブランチによって形成され、それらブランチは、前記シール面のうち、当該複数のブランチを部分的に包囲するエリアによって規定される請求項9に記載のマルチポート・マニホールド・バルブ。
【請求項11】
前記複数のポートのうちの少なくとも1つは、アウトレット・ポートであり、
前記複数のポートのうちの少なくとも1つは、インレット・ポートである請求項1,6または9に記載のマルチポート・マニホールド・バルブ。
【請求項12】
前記複数のポートは、インレット・ポートと、複数のアウトレット・ポートとを含み、
前記方向性部品の各位置は、各位置ごとに、前記インレット・ポートを、前記複数のアウトレット・ポートのうちの一つに接続する請求項1,6または9に記載のマルチポート・マニホールド・バルブ。
【請求項13】
さらに、シャフトを有するノブを含み、
前記シャフトは、前記ノブを回転させると前記方向性部品も回転するように、前記方向性部品に作動的に接続されている請求項1,6または9に記載のマルチポート・マニホールド・バルブ。
【請求項14】
さらに、ローテータを含み、
そのローテータは、前記ノブを回転させると前記ローテータおよび前記方向性部品が回転するように、前記ノブと前記方向性部品とに作動的に接続されている請求項13に記載のマルチポート・マニホールド・バルブ。
【請求項15】
前記ローテータは、さらに、第1の係止構造物および/または第2の係止構造物を含み、
前記ノブは、さらに、第1の補完的係止構造物であって、前記第1の係止構造物に係合するように構成されたものを含み、および/または、
前記方向性部品は、さらに、第2の補完的係止構造物であって、前記第2の係止構造物に係合するように構成されたものを含む請求項14に記載のマルチポート・マニホールド・バルブ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図7G】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【図15A】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図7G】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【図15A】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−7328(P2011−7328A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−141273(P2010−141273)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【出願人】(510159263)バリュー・プラスティックス,インク. (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−141273(P2010−141273)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【出願人】(510159263)バリュー・プラスティックス,インク. (1)
【Fターム(参考)】
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