説明

マルチメディアシステム

【課題】DVD等の再生操作制限がなされている部分の再生中には、他のソースの画面及び音声出力を行うことによって利用者の不快感を無くすマルチメディアシステムとする。
【解決手段】 利用者の操作を制限する操作制限データが一部に書き込まれるソースの再生出力を行う第1ソース出力部11と、他のソースの出力を行う第2ソース出力部12と、いずれかのソース出力部を選択して外部に出力する出力切替部45を備え、第1ソース出力部11には再生するソースに書き込まれた操作制限を検出する操作制限検出部33と、利用者による操作指示を更新しながら記憶する操作指示記憶部31を備え、操作制限検出部33で利用者による操作指示が操作制限されたものであることを検出したとき、出力切替部45は第2ソース出力部12側を選択して外部に出力し、その後操作制限されていないことを検出したとき、先の操作指示の作動による第1ソース出力部の再生出力を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DVD(Digital Versatile Disk)プレーヤ、ハードディスク(HDD)プレーヤ、ビデオプレーヤ、CDプレーヤ等の各種のメディアソースを関連して再生することができるようにしたマルチメディアシステムに関し、特にDVDプレーヤ等の再生時にスキップ等の操作が制限されているとき、他のメディアの出力に切り替えることができるようにしたマルチメディアシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在は例えばHDD付DVDレコードプレーヤのように、オーディオビジュアルのメディアが多様化し、且つ複合化して用いられるようになっている。また、車両に搭載する機器においても、ナビゲーション装置の普及に伴ってモニター画面にテレビ受信を表示し、或いはビデオ機器を接続してその再生画面を表示することも行われるようになっている。特に近年はナビゲーション装置の地図記録媒体としてDVDが使用されるようになり、その再生処理機能を利用して一般のDVDの再生を可能とし、DVDプレーヤとして用いられるようにもなっている。
【0003】
更に、近年は家庭用ビデオレコーダとしてHDDとDVDを用いるHDD付DVDレコードプレーヤも普及し、その再生に際してはHDDの再生とDVDの再生を容易に切り替えることができる。また、ナビゲーション装置におけるHDDの利用とも関連して、今後は車両搭載機器としてHDD及びDVDを搭載して、ナビゲーション装置を含めて、それらのソースを任意に切り替えて使用することも可能となっている。このような移動体用マルチメディアシステムにおけるソース切替装置としては、例えば下記特許文献1が存在する。
【0004】
一方、例えばDVDにおいては種々の態様で再生を行うことができるようにデータの記録がされており、DVDプレーヤにおいてはそれらのデータを用いて利用者の指示にしたがった再生を行うことができる。したがって例えば特定のチャプターの再生中に早送りを行い、或いは次のチャプターにスキップすることができる。
【特許文献1】特開2000−261731号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようなDVDプレーヤにおいては、特定のチャプターを再生中に他のチャプターにスキップ操作を行おうとしたとき、通常の再生画面のチャプターでは、所定のスキップ作動によって所望のチャプターに進むことができるものであるが、例えばディスク再生初期部分にそのDVDの配布元、或いはDVDのコンテンツ製作会社等のコマーシャルを挿入することがある。
【0006】
このようなコマーシャルは多くの利用者にとっては意味のないものであるため、これをスキップして所望のコンテンツを含むチャプターに進む操作を行うことが多い。このような操作が行われると、上記のようなコマーシャル画面はほとんどの人が見ることが無くなり、コマーシャルとしての効果が無くなるため、DVDの配布元或いはDVDのコンテンツ製作会社はこのコマーシャル部分がスキップされないように、DVDデータ中にスキップを受け付けない信号を記録することが行われる。
【0007】
それにより、上記のようなコマーシャル画面の再生中に利用者がスキップ操作を行うと、例えば図5の画面例で示すように「現在その操作はできません」のように表示し、実際にスキップ操作を受け付けないようにしている。このような処理は、例えば図6のフローに示すように行われる。
【0008】
即ち、例えばチャプター「2」の再生中に(ステップS31)、利用者によってチャプター「5」へスキップする操作が行われたときには、このDVDプレーヤはチャプター「2」の管理データ中に再生操作制限はあるか否かを検出し、再生操作制限があることを検出するとその再生操作制限によって利用者の操作指示であるスキップ操作を受け付けないようにしている(ステップS33)。また、前記ステップS32において再生操作制限はないことを検出したときには、利用者の操作指示に従ってチャプター「5」にスキップを行うようにしている(ステップS34)。
【0009】
前記のようなDVDプレーヤにおける利用者の操作に対して機能制限を行う手段はユーザ・オペレーション・コントロール(UOP)と称され、上記のようなスキップの制限のほか、早送り、停止の制限、或いはメニュー呼び出し制限等が行われる。このような操作の制限が行われるときには、次の操作を行いたいと思っている利用者にとっては極めて不快なことが多く、例えば前記のようなコマーシャルの画面を見ているくらいならば、目をそらしているか一時的に別の画面にするか、或いは画面を消した方がよいと考えることすらある。
【0010】
しかしながらその画面から目をそらし、または別の画面にし、或いは画面を消す場合には、現在再生操作制限がなされているチャプターがいつ終了し、次の再生操作制限がなされないチャプターになったのかがわからないため、次の操作を行うタイミングがわからず、再生操作制限がなされているチャプターの再生中にもかかわらず画面が変わるたびに操作が無効のスキップ操作をしていらいらし、そのような操作を繰り返すのがいやな場合には過剰の待ち時間をもって操作を行うこととなる。
【0011】
このような再生操作制限は上記のようなDVDの再生に限らず、特にデジタルコンテンツの分野においては同様に行われ、今後普及が予想されるブルーレイディスク等、各種多様なデジタルコンテンツにおいて同様な問題を生じることとなる。
【0012】
したがって本発明は、再生操作制限がなされている第1のソース出力手段での再生中には、その部分の画面及び音声の出力を行うことによる利用者の不快感を無くすため第2のソース出力手段から出力を行うことができるようにし、また再生操作制限がなされている部分の再生終了時には自動的に元の第1ソース出力手段における先の操作指示による再生出力をすることができるマルチメディアシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によるマルチメディアシステムは、上記課題を解決するため、利用者の操作を制限する操作制限データが一部に書き込まれるソースの再生出力を行う第1ソース出力手段と、他のソースの出力を行う第2ソース出力手段と、いずれかのソース出力手段を選択して外部に出力する出力切替手段を備えたマルチメディアシステムにおいて、第1ソース出力手段には再生するソースに書き込まれた操作制限を検出する操作制限検出手段と、利用者による操作指示を更新しながら記憶する操作指示記憶手段とを備え、前記操作制限検出手段で利用者による操作指示が操作制限されたものであることを検出したとき、前記出力切替手段は前記第2ソース出力手段を選択して外部に出力し、その後操作制限されていないことを検出したとき、前記操作指示記憶手段に記憶した操作指示の操作を行うと共に、前記出力切替手段では第1ソース出力手段を選択して外部に出力を行うようにしたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明による他のマルチメディアシステムは、上記マルチメディアシステムにおいて、前記操作制限検出手段で利用者による操作指示が操作制限されたものであることを検出したとき、前記出力切替手段に切り替え用の信号を出力するソース切替信号出力手段と、第2ソース出力手段の作動を行わせる作動手段とを備えたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明による他のマルチメディアシステムは、上記マルチメディアシステムにおいて、前記第1ソース出力手段はDVDプレーヤであり、第2ソース出力手段はハードディスクプレーヤ、テレビ、ビデオプレーヤ、ナビゲーション装置、第1ソース出力手段のDVDプレーヤにおける第2のソース出力部、第1ソース出力手段に備えているメモリのいずれかであることを特徴とする。
【0016】
また、本発明による他のマルチメディアシステムは、上記マルチメディアシステムにおいて、前記第1ソース出力手段はDVDプレーヤであり、第2ソース出力手段はCDプレーヤ、MDプレーヤ、ラジオのいずれかであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明は上記のように構成したので、第1のソース出力手段での再生中に利用者による再生操作指示があったとき、その操作指示が制限されたものである際には第2のソース出力手段の作動に切り替えて出力することによって、第1のソース出力手段を再生出力することによる利用者の不快感を無くすことができる。更に、その後第1のソース出力手段における前記操作制限が無くなったときには、自動的に元の第1ソース出力手段における先の操作指示による再生出力を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、DVD等の再生操作制限がなされている部分の再生中には、その部分の画面及び音声の出力を行うことによる利用者の不快感を無くことができるようにし、またそのような再生操作制限がなされているチャプターの再生終了時には自動的に先の操作指示に従った再生出力することができるようにするため、利用者の操作を制限する操作制限データが一部に書き込まれるソースの再生出力を行う第1ソース出力手段と、他のソースの出力を行う第2ソース出力手段と、いずれかのソース出力手段を選択して外部に出力する出力切替手段を備えたマルチメディアシステムにおいて、第1ソース出力手段には再生するソースに書き込まれた操作制限を検出する操作制限検出手段と、利用者による操作指示を更新しながら記憶する操作指示記憶手段とを備え、前記操作制限検出手段で利用者による操作指示が操作制限されたものであることを検出したとき、前記出力切替手段は前記第2ソース出力手段を選択して外部に出力し、その後操作制限されていないことを検出したとき、前記操作指示記憶手段に記憶した操作指示の操作を行うと共に、前記出力切替手段では第1ソース出力手段を選択して外部に出力を行うようにしたものである。
【実施例1】
【0019】
本発明の実施例を図面に沿って説明する。図1は本発明によるマルチメディアシステムにおいて、第1のソース出力部としてのDVDを再生する際に、その再生に対する利用者の再生操作が制限されたときに、第2のソース出力部を前記第1のソース出力部の出力に代えて再生出力し、引き続き再生を継続している第1のソース出力部における再生操作制限が解除されたときには第1のソース出力部にすることができるようにした実施例の機能ブロックとそれらの相互の関係を示す機能ブロック図である。なお、同図における各機能部は、それぞれ各機能を行う手段ということもできる。
【0020】
図1に示した実施例においては、第1ソース出力部としてのDVDプレーヤ11と、このDVDプレーヤ以外のソース出力部である第2ソース出力部としての他のソース出力部12と、各種のソース出力部を選択してモニター14やスピーカ15に出力するヘッドユニット13を備え、これらの機器構成からなるマルチメディアシステムには、利用者がDVDプレーヤを含め各種機器に対する操作指示を行う操作部16を備えている。
【0021】
第1ソース出力部としてのDVDプレーヤ11においては、通常この種のプレーヤと同様に、DVDビデオディスク21はスピンドルモータ23により回転するテーブル22に固定され、所定の速度で回転制御されている。このDVDビデオディスク21に対して、図中の実施例においてはディスクの下面に形成した記録層に対向して光学ピックアップ24を配置しており、光学ピックアップ24から対物レンズを通して所定位置に焦点を結ぶ半導体レーザ光を照射し、ディジタルディスクから反射してくるレーザ光を再び対物レンズを通してフォトダイオードで受光し、それによりディスクに記録されたRF信号を再生している。
【0022】
このRF信号はRFアンプ25で増幅されてDVDデータプロセッサ26に入り、このDVDデータプロセッサ26ではMPEGデータを復調するとともに、誤り訂正処理、MPEGビデオデータとオーディオデータ、サブピクチャデータとの分離処理、ユーザ操作制御情報等の各種管理情報、アドレス情報の抽出処理等のディジタル信号処理を行う。DVDデータプロセッサ26で分離されたMPEGビデオデータに基づいて再生処理部27中のMPEGビデオデコーダがMPEG2の画像データを復号化し、また、サブピクチャデータはサブピクチャデコーダで複合化される。
【0023】
復号化された映像データとサブピクチャデータは再生処理部27中のビデオプロセッサに入力され、2つのデータを合成した画像データを生成して、ビデオエンコーダによって映像信号が作られる。DVDデータプロセッサ26で分離されたオーディオデータはオーディオデコーダにより復号化し、この復号化されたオーディオデータは、ディジタル−アナログ(D/A)変換器を通すことによって、アナログの音楽信号に変換される。これらの画像データ及びオーディオデータは、出力部28からヘッドユニット13の出力切替部45に出力している。
【0024】
DVDビデオディスク21に記録されたデータは、所定のフォーマット基準に沿ってフォーマットされており、例えば図4に示すようにフォーマットされる。即ち、図4(a)にはこのディスクにおける記録順のデータ構成を示しており、このうち主たるデータ記録領域であるDVD−VIDEO領域は、同図(b)に示すように全体の管理情報領域としてのVMGと、99個まで分割可能なVTSとから構成されている。このVTSは同図(c)に示すように、このディスクの主たる管理領域としてのVMGIと、タイトル・メニュー用VOBSと、VMGIのバックアップから構成されている。このうちVMGIは、同図(d)に示すような種々のデータが記録されている。
【0025】
また、図4(b)の各VTSは、同図(e)に示すように管理情報領域としてのVTSIと、そのほか図示するようなデータが記録されている。各VTSIについては同図(f)に示すような種々のデータが記録されており、このうち特にタイトル再生用PGC情報テーブルの中には、ユーザーによるSTOP、FF、FSKIP等の操作を有効にするか否かの情報が記録され、本発明においてはこの情報を読み取り、後述するような作動を行うこととなる。
【0026】
このDVDビデオディスクに記録されているデータが映画である場合は、この映画を再生するための情報がVTSIに記録され、1作品となるビデオ、オーディオ等の情報がビデオ・オブジェクト・セット(VOBS)に記録される。このVOBSは1群の記録データとして管理される複数のビデオオブジェクト(VOB)からなる。このVOBは映画では1シーンや1カット等の単位となるセル(Cell)の集合で構成され、このCellの再生時間は数分から十数分程度となっている。
【0027】
各Cellは複数のビデオオブジェクトユニット(VOBU)によって構成され、このVOBUは全再生時間が0.4秒から1.2秒単位のデータが記録される。このVOBUの中には、MPEG2のフォーマットにおける複数のグループオブピクチャーが含まれる。このVOBUは、VOBUを管理する情報を記録したナビゲーションパック(NVパック:NV−PCK)と、主映像を記録したビデオパック(Vパック:V−PCK)と、音声データを記録したオーディオパック(Aパック:A−PCK)と、字幕等の副映像データを記録したサブピクチャーパック(SPパック:SP−PCK)とにより構成されている。
【0028】
各VOBUは前記NVパックと呼ばれる管理パック内のデータに基づき管理される。このNVパックには、VOBU全体の管理データとして、このVOBUの再生時間が記録され、また、NVパックにより再生が制御される主映像を記録したVパックのサイズが記録されている。そのほか、このNVパックには、このNVパックのアドレス、カテゴリー、ユーザ操作の制御情報が記録され、そのほか、このVOBUが含まれているCellの先頭からの経過時間等、種々の管理データが記録されている。
【0029】
このNVパックのデータ構成としては、映像データ表示の制御情報であるプレゼンテーション・コントロール・インフォメーション(PCI)と、各データのサーチ情報であるデータ・サーチ・インフォメーション(DSI)とを備えている。また、前記PCIには、このPCI全体の管理情報と、ノンシームレスの場合のアングル切換情報と、副映像等を表示する際に所定領域にハイライト表示をするための情報と、主映像データ、副映像データ、音声データのレコーディング情報等が記録されている。また、前記DSIには、このDSI全体の管理情報(DSI GI)と、シームレスの場合の再生管理情報(SML PBI)と、シームレスの場合のアングル情報(SML AGLI)と、VOBU間の時間間隔等のVOBU検索情報(VOBU SRI)と、音声データ及び副映像データと時間的な一致を示すシンクロ情報(SYNCI)等が記録されている。
【0030】
更に、前記DSIの管理情報(DSI GI)には、このNVパックのシステムクロック基準(NV PGK SCR)、このNVパックのアドレス(NV PCK LBN)、このVOBUのエンドアドレス(VOBU EA)、VOBUに関するユーザ操作制限情報等の各種データ群、及びこのVOBUが含まれているセルの先頭からの経過時間(C ELTM)等が記録されている。
【0031】
上記のようなDVDビデオディスクのデータ構成により、各ディスク毎にディスクの読み込み開始部にディスク固有の識別記号が記録され、また、例えば図4のVTS#1のタイトル用VOBSを映画の本編とし、VTS#2のタイトル用VBSを映画製作会社、ソフトメーカー等の宣伝用映像に設定するとともに、この部分を自動再生時の最初に再生する映像に設定することができる。また、この宣伝用映像の再生に必要な前記VTSI、及びこの映像を記録したビデオオブジェクト(VOB)中の各ビデオオブジェクトユニット(VOBU)のNVパックには、ユーザ操作情報としての停止(Stop)操作、あるいは早送り(FF)操作、あるいは前方へのスキップ(F−Skip)操作を無効とするデータ等の制御情報、即ちユーザ操作制限情報を任意に書き込むことができる。したがって、各DVDビデオディスクによって、前方へのスキップ操作を禁止し、また、停止操作及び早送り操作を全て禁止するように設定したもの、また、停止操作のみを禁止するように設定したもの等種々のものが存在することとなる。
【0032】
図1のDVDプレーヤ11においては、DVDデータプロセッサ26で得られた上記のような操作制限情報を含むディスク管理データを、ディスク管理データ取込部32に出力する。操作制限検出部33ではディスク管理データ取込部32に取り込まれたデータの中から利用者の操作を制限している操作制限データを取り込み、操作指示入力部30で入力した操作部16からの利用者の操作指示信号が操作制限されているか否かを検出する。操作指示器億部31においては、上記のようにして操作指示入力部30に入力した利用者の操作指示信号を更新しながら記憶している。
【0033】
操作制限検出部33において、利用者が指示した操作が制限されている操作であることを検出したときには、他のソース出力部作動部35にその信号を出力し、他のソース出力部作動部35においては操作制限時の他ソース切替設定部36に予め設定している所定の他のソースを選択し、そのソースに対して作動信号を出力する。また、操作制限検出部33においては同時にソース切替信号出力部にその検出信号を送り、ソース切替信号出力部34ではヘッドユニット13の出力切替部45に対して、モニター14及びスピーカ15に対してDVDプレーヤ11からの出力を用いず、後述するような他のソース出力部12からの出力を用いるようにする。
【0034】
操作制限検出部33は更に、操作制限をしているチャプターの再生が終了し、先に操作者が指示した操作が可能となったことを検出し、その際には他のソース出力部作動部35に対して作動停止信号を出力し、同時にソース切替信号出力部34からヘッドユニット13の出力切替部45に対して再びDVDプレーヤ11の出力部28からの信号をモニター14及びスピーカ15から出力するように指示する。
【0035】
他のソース出力部としては図示するように、ハードディスク、テレビ、ビデオ等の映像と音声が出力されるソースのほか、車両用機器においてはナビゲーション装置を用いることもでき、更には近年のDVD技術の発達により、1台のDVDプレーヤで実質的にほぼ同時に2つのチャプターを再生することができるようにしているものにおいては、同一のDVDプレーヤ内における第2出力部を利用することもできる。更に、別途メモリを設けて特定の映像や音声を記憶しておく場合には、上記操作制限検出時に記憶していた映像や音声を出力するようにしても良い。また、必ずしも映像を出力する必要はなく、CD、MD、更にはラジオを用いても良い。
【0036】
上記のような各種のソース出力部が使用可能であるので、前記操作制限時の他ソース切替設定部36において予め例えばラジオ等の特定のソース出力部を設定しておくことにより、図1における他のソース出力部12の操作指示入力部41に対して他の出力ソース作動部35から作動開始信号を設定されている例えばラジオに対して出力する。
【0037】
この場合、他のソース出力部としてのラジオにおいては、予め操作指示入力部41において通常の操作部16からの信号を入力するほか、前記DVDプレーヤ11の他のソース出力部作動部35からの信号も入力できるようにしておき、作動信号の入力時には操作部16から電源ON及び特定受信局の受信が行えるようにし、作動停止信号の入力時には電源のOFF作動を行えるようにしておく。なお、図示実施例においては、DVDプレーヤ11から直接作動信号を入力するようにした例を示しているが、例えば車両搭載機器においてヘッドユニットを用いた場合に、そのヘッドユニット13を介して作動信号、及び作動停止信号を入力する等、種々の方式のよって作動させることができる。
【0038】
第2ソース出力部としての他のソース出力部12における出力信号処理部42においては、操作指示入力部41に前記のような作動開始信号が入力したとき、ハードディスク、ビデオ、CD、MD等の場合はそれらの再生処理を行い、テレビ、ラジオの場合は受信信号の処理、ナビゲーション装置の場合は通常の作動処理を行う。その処理信号は出力部43からヘッドユニット13の出力切替部45に出力し、前記のようにソース切替信号出力部34から切替信号が出力されたときにはこれをモニター14及びスピーカ15に出力し、また、その後DVDプレーヤの出力に切り替えることができるようにする。
【0039】
上記のような機能ブロックからなる実施例のマルチメディアシステムにおいては、例えば図2に示すような作動フローに従って順に作動させることができる。図2に示す作動フローにおいてはDVDプレーヤ等の第1ソース出力部での再生中において、利用者の操作指示はあったか否かの判別を行い(ステップS1)、操作指示がなかったときにはその判別を繰り返し、操作指示があったときには指示された操作は操作制限されているか否かを判別する(ステップS2)。この作動は図1の例においては操作制限検出部33において行う。
【0040】
このステップS2において指示された操作は操作制限されていると判別したときには、図2に示す例においては例えばラジオ等の予め設定された第2ソース出力部の電源が入っていることにより出力可能な状態になっているか否かを判別し(ステップS3)、未だ出力可能の状態になっていないときには、その電源をONする等によって出力可能の状態にする(ステップS4)。ステップS3において既に第2ソース出力部の電源が入っている等により出力可能な状態になっていると判別したとき、及びステップS4で第2ソース出力部を出力可能な状態にしたときには、第2ソース出力部の出力に切り替える(ステップS5)。これは図1の例においては他のソース出力部作動部35が他のソース出力部12の操作指示入力部41に作動開始信号を出力することにより行われる。
【0041】
次いで第1ソース出力部での再生を継続した状態で先に指示された第1ソース出力部の操作指示を記憶する(ステップS6)。これは図1の例においては、操作指示記憶部31に記憶される。その後再生中の第1ソース出力部において、操作制限は解除されたか否かを判別する(ステップS7)。ここで未だ解除されていないと判別したときには、操作制限が解除されるまでこの作動を繰り返す。
【0042】
ステップS7において操作制限が解除されたと判別したときには、第1ソース出力部の出力に切り替え(ステップS8)、先に記憶した利用者の操作指示に従って操作を実行する(ステップS9)。これは図1の例においては操作制限検出部33がディスク管理データ取込部32で取り込まれた管理データ中に、操作指示記憶部31に記憶された操作指示が制限されているかを検出し、その制限が無くなったことを検出したときにDVDプレーヤの操作指示入力部にその信号を出力することによって行うことができる。
【0043】
次いで図2の例においては第1ソース出力部の電源のOFFの指示入力があったか否かを検出し(ステップS10)、その指示信号がないときには再びステップS1に戻り、前記作動を繰り返す。その後ステップS10で第1ソース出力部の電源のOFFの指示があったと判別したときには第1ソース出力部の電源をOFFしてこの作動を終了する(ステップS11)。前記ステップS2において利用者によって指示された操作が操作制限されていない指示であると判別したときには、ステップS10に進んで、以降は電源がOFFされるまでステップS1以降の作動を繰り返す。
【0044】
図2の作動フローは、本発明を種々の態様で実施するために一般化して示したものであるが、第1ソース出力部としてDVDプレーヤを用い、チャプター2の再生中にチャプター5にスキップしたいと利用者が操作指示したときの、具体的な態様の作動フローを図3に示している。図3に示す例においてはチャプター「2」の再生中において(ステップS21)、利用者によってチャプター「5」へのスキップ操作が行われると、ステップS22においてそのチャプター「5」へのスキップ操作は再生操作制限されているものであるか否かを判別する。
【0045】
ステップS22の判別の結果、チャプター「5」へのスキップ操作は操作制限がされたものであると判別されたときには、チャプター「5」にスキップするという利用者操作の保存を行い(ステップS23)、次いでラジオ等の他のソースへソース切替を行う(ステップS24)。その後、未だ再生操作制限はあるか否かの判別を行い(ステップS25)、未だその再生操作制限があると判別したときにその判別を繰り返し、再生操作制限が無くなったと判別されたときには元のソースへの復帰、保存しておいた前記チャプター「5」にスキップするというユーザ操作を実行する。その結果チャプター「5」の再生がなされる(ステップS28)。前記ステップS22において、再生操作制限がないと判別したときには、そのままステップS28に進み、利用者の操作指示であるチャプター「5」の再生を行う。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明によるマルチメディアシステムは、一般家庭用の各種映像機器、オーディオ機器を関連して作動するマルチメディアシステムとして用いることができ、更に、各種のAV機器を搭載した車両用のマルチメディアシステムとしても有効に利用することができる。また、DVDプレーヤにおいて同時に複数の再生出力を行う機能を備えたものにおいては、1台のDVDプレーヤで本発明を利用することもできる。更に、1つのプレーヤに特定の映像や音声を別途メモリ等に記憶している場合には、前記再生操作制限時にこのメモリに記憶された映像や音声を出力することにより、1つのプレーヤで本発明を実施することもできる等、広範囲のマルチメディアシステムとして利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施例の機能ブロック図である。
【図2】本発明を各種の態様で実施する際の作動フロー図である。
【図3】本発明の第1ソース出力部としてDVDを用いた際の、実例に則した作動フロー図である。
【図4】DVDのディスクに記録されるデータ例を示す図である。
【図5】従来のDVDプレーヤにおける作動制限時の画面表示例を示す図である。
【図6】従来のDVDプレーヤにおける作動制限関連部分の作動フロー図である。
【符号の説明】
【0048】
11 DVDプレーヤ(第1ソース出力部)
12 他のソース出力部(第2ソース出力部)
13 ヘッドユニット
16 操作部
21 DVDディスク
26 DVDデータプロセッサ
27 再生処理部
28 出力部
30 操作指示入力部
31 操作指示記憶部
32 ディスク管理データ取込部
33 操作制限検出部
34 ソース切替信号出力部
35 他の出力ソース作動部
36 操作制限時の他ソース切替設定部
41 操作指示入力部
42 出力信号処理部
43 出力部
45 出力切替部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の操作を制限する操作制限データが一部に書き込まれるソースの再生出力を行う第1ソース出力手段と、他のソースの出力を行う第2ソース出力手段と、いずれかのソース出力手段を選択して外部に出力する出力切替手段を備えたマルチメディアシステムにおいて、
第1ソース出力手段には再生するソースに書き込まれた操作制限を検出する操作制限検出手段と、利用者による操作指示を更新しながら記憶する操作指示記憶手段とを備え、
前記操作制限検出手段で利用者による操作指示が操作制限されたものであることを検出したとき、前記出力切替手段は前記第2ソース出力手段を選択して外部に出力し、その後操作制限されていないことを検出したとき、前記操作指示記憶手段に記憶した操作指示の操作を行うと共に、前記出力切替手段では第1ソース出力手段を選択して外部に出力を行うようにしたことを特徴とするマルチメディアシステム。
【請求項2】
前記操作制限検出手段で利用者による操作指示が操作制限されたものであることを検出したとき、前記出力切替手段に切り替え用の信号を出力するソース切替信号出力手段と、第2ソース出力手段の作動を行わせる作動手段とを備えたことを特徴とする請求項1記載のマルチメディアシステム。
【請求項3】
前記第1ソース出力手段はDVDプレーヤであり、第2ソース出力手段はハードディスクプレーヤ、テレビ、ビデオプレーヤ、ナビゲーション装置、第1ソース出力手段のDVDプレーヤにおける第2のソース出力部、第1ソース出力手段に備えているメモリのいずれかであることを特徴とする請求項1記載のマルチメディアシステム。
【請求項4】
前記第1ソース出力手段はDVDプレーヤであり、第2ソース出力手段はCDプレーヤ、MDプレーヤ、ラジオのいずれかであることを特徴とする請求項1記載のマルチメディアシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−54680(P2006−54680A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−234913(P2004−234913)
【出願日】平成16年8月11日(2004.8.11)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】