説明

マルチメディアデータの伝送品質測定方法および装置

【課題】追加的な下りチャネルの資源を消耗せずにマルチメディアデータの伝送品質評価を行う。
【解決手段】本発明に係るマルチメディアデータの伝送品質測定方法は、(a)送信機がチャネルを介してマルチメディアデータを送信するステップと、(b)前記送信機からマルチメディアデータを受信した受信機が上りチャネルを介してマルチメディアデータ伝送のエラー情報を前記送信機に伝送するステップと、(c)前記送信機が前記返送されたエラー情報を用いて前記受信機からの受信データを推定するステップと、(d)前記送信機が前記推定された受信データを基準データと比較して前記受信データの伝送品質を評価するステップとを含んでなることに技術的特徴がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチメディアデータを伝送する送信側で伝送品質を測定することができるようにするマルチメディアデータの伝送品質測定方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、注文型ビデオ(VOD)や画像電話のようなマルチメディア伝送サービスが広範囲に広がるにつれて、伝送されたマルチメディアデータのエラー検出のために、従来受信機側で行われる伝送品質のモニタリングは重要な問題として浮上している。特に、エラー発生率が高い無線通信チャネルによるマルチメディアデータサービスでは、信頼性ある画像伝送サービスのために伝送品質のモニタリングを介したエラー制御が大変重要である。
【0003】
無線通信では、受信機の位置に応じて受信されたマルチメディアデータの歪みの程度およびエラー発生の程度が変わる。受信機でのマルチメディアデータの伝送品質が良くなければ消費者は満足しないため、雑音が多いチャネルを介して劣悪な品質のマルチメディアデータを続けて伝送することは無意味である。したがって、送信機からマルチメディアデータを伝送するにおいて伝送信頼性を高めるための適切な措置が要求される。
【0004】
このような画質モニター方法としては、全基準方法(full reference method)、減少基準方法(reduced reference method)、無基準方法(no reference method)などがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
全基準方法は、基準ビデオと処理ビデオとを全て用いるため、最も正確な画質測定方法として知られている。しかし、全基準方法は基準ビデオを必要とするためその応用範囲が制限される。
【0006】
減少基準方法は、基準ビデオから複数のパラメータを抽出し、抽出されたパラメータをビデオデータと共に受信機に伝送すれば、受信機では受信されたビデオデータからパラメータを抽出し、受信されたパラメータと比較することによって画質を測定する。このような減少基準方法では、追加的なパラメータが伝送されるという点で下りチャネルに追加の帯域幅を必要とするという短所がある。
【0007】
無基準方法は、MPEG−2 TS(moving picture experts group 2、transport stream)に含まれたビット列を分析してビデオ画質を推定することに用いられている。無基準方法では、基準ビデオに対する如何なる情報もなく、復号化による処理ビデオのみで画質評価がなされるため正確度が落ちるという短所がある。
【0008】
一方、通信システムにおいて、帯域幅は大変重要な通信資源であり、特に無線通信における帯域幅は、制限されていて非常に高いため、受信機でビデオ画質をモニタリングするために追加される帯域幅を最小化することが必要である。
【0009】
追加の帯域幅を最小化するために、受信機では無基準方法によって画質を評価することができるが、このような方法は基準ビデオを全く用いないため画質の評価がかなり難しくて不正確である。また、減少基準方法は追加の帯域幅を必要とするという点で制約がともなう。
【0010】
また、伝送時に発生するエラーを受信側で測定するためには、基準ビデオに対する情報を必要とするため、チャネル資源を消耗するようになるという問題点がある。
【0011】
したがって、本発明は上記のような従来の問題点を解決するためのものであって、追加的な下りチャネルの資源を消耗せずにマルチメディアデータの伝送品質評価を行うことができるようにする方法および装置を提供するのに本発明の目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の前記目的は、(a)送信機がチャネルを介してマルチメディアデータを送信するステップと、(b)前記マルチメディアデータを受信した受信機がマルチメディアデータ伝送のエラー情報を上りチャネルを介して前記送信機に伝送するステップと、(c)前記送信機が前記返送されたエラー情報を用いて前記受信機からの受信データを推定するステップと、(d)前記送信機が基準データと前記推定された受信データを比較して前記受信データの伝送品質を評価するステップとを含んでなるマルチメディアデータの伝送品質測定方法によって達成される。
【0013】
前記伝送品質測定方法は、(e)前記伝送品質の評価結果によりチャネルを介したマルチメディアデータの伝送状態を保持するか変更するステップをさらに含むことができる。
また、本発明の前記目的は、チャネルを介してマルチメディアデータを送信する送信機と、前記マルチメディアデータを受信し、前記マルチメディアデータから前記チャネルで発生したエラー情報を検出して上りチャネルを介して前記送信機に伝送する受信機とを含むマルチメディアデータの伝送品質測定装置によって達成される。
【0014】
前記送信機は、元マルチメディアデータを符号化されたマルチメディアデータに変換する符号化部と、前記返送されたエラー情報を用いて前記受信機からの受信データを推定する推定部と、基準データと前記推定受信データとを比較して前記受信データの伝送品質を評価する評価部とを含んで構成され、前記伝送品質の評価結果によりチャネルを介したマルチメディアデータの伝送状態を保持するか変更する制御部をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の伝送データ測定方法および装置によれば、送信機側でマルチメディアデータの品質評価を行うことによって、送信機側で現在の伝送状態を適切に変更することができるためマルチメディアデータ伝送の信頼性を向上させることができる。そして、伝送サービス提供者がこのような評価結果を活用してサービス利用者の状態をモニターリングすることができ、サービス利用者とのサービス契約などに活用することができるという長所がある。
【0016】
また、受信機側で伝送データの品質評価を行わないため、送信側は受信側で品質評価のためのパラメータデータを伝送する必要がないだけでなく、伝送データの品質評価のための追加的な下りチャネルの帯域幅資源が消耗しないという長所がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の好ましい実施形態に係るマルチメディアデータの伝送品質測定方法および装置の構成と作用を添付した図面を参照して詳細に説明すれば次の通りである。
【0018】
本発明において、伝送されるマルチメディアデータはビデオデータ、オーディオデータおよびテキストデータを全て含み、以下では多様なマルチメディアデータのうち、特にビデオデータの伝送を中心に実施形態を記述する。当業者であれば、以下で説明するビデオデータの画質測定は、オーディオデータおよびテキストデータの伝送品質測定にもそのまま適用される可能性があることを理解できる。
【0019】
先ず、図1は本発明に係るマルチメディアデータの伝送品質測定方法を説明するフローチャートである。
【0020】
図1に示す通り、送信機10と受信機11との間に下りチャネル(D/L)および上りチャネル(U/L)を介して行われる本発明に係るビデオの伝送品質測定方法は、先ず、送信機がチャネルを介してビデオを伝送すれば(S10ステップ)、前記ビデオを受信した受信機はビデオ伝送のエラー情報を上りチャネルを介して送信機10に伝送する(S12ステップ)。
【0021】
この時、受信機11で実際にエラーが検出された場合にのみ、エラー情報が返送されるようにすることができる。また、前記受信機11は、エラー隠匿方法によってエラーを補正することができ、この時に返送されるエラー情報にはエラー隠匿方法に対する情報も含まれる。
【0022】
また、受信機11は、送信機10でのビデオ画質評価に用いられるパラメータをエラーの影響を受けたビデオセグメントから抽出し、前記減少基準法による品質測定時に用いられるパラメータをエラー情報と共に送信機10に伝送できる。したがって、送信機10は減少基準法を用いて前記エラーがあるビデオセグメントの品質を測定できるようになる。
【0023】
次に、送信機10は、前記返送されたエラー情報を用いて受信機11での受信ビデオを推定する(S14ステップ)。受信ビデオの推定は、返送されたエラー情報と送信ビデオとを用いて行うことができる。
【0024】
そして、送信機は、基準ビデオと推定受信ビデオとを比較して受信ビデオの画質を評価し(S16ステップ)、画質評価の結果により伝送状態を保持/変更する(S18ステップ)。
【0025】
この時、S16ステップで用いられる画質測定方法としては、全基準方法、減少基準方法、無基準方法などがある。
【0026】
全基準方法は、基準(ソース)ビデオと処理ビデオとをすべて用いるため、最も正確な伝送品質測定方法であり、減少基準方法は基準ビデオから抽出したパラメータ集合と、処理ビデオから抽出したパラメータ集合とを比較することによって伝送品質を評価する方法である。そして、無基準方法は、基準ビデオなしに復号化による処理ビデオだけによって伝送品質を評価するものであり、MPEG−2 TS(moving picture experts group 2、transport stream)に含まれたビット列を分析してビデオ画質を推定するのに用いることができる。
【0027】
したがって、全基準方法は、送信機でソースビデオが利用可能な時に用いることができる。送信機でソースビデオが利用可能でなく、必要なパラメータが利用可能な場合に減少基準方法が用いられる。このような方法は、ソースビデオから抽出した圧縮ビデオデータとパラメータデータが送信機で利用可能である時に有利な方法である。無基準方法は、ソースビデオとパラメータの2つとも用いることができない場合に用いられる。しかし、大部分の場合、圧縮ビデオデータは送信機で利用可能であるため、圧縮ビデオが基準ビデオ(ソースビデオ)として用いられれば、全基準方法を用いることができる。
【0028】
本発明では、送信機側で伝送品質を評価するという点で下りチャネルの資源を消耗しない。すなわち、本発明では伝送品質測定方法として全基準方法、減少基準方法、および無基準方法のうち、いずれを選択したとしても伝送品質評価のために下りチャネルの帯域幅は消耗しない。
【0029】
一方、デジタル通信で発生できるエラーにはパケット損失、ビットエラー、時間遅延、ジッタ(jitter)などがあり、伝送過程にエラーがなければ、受信機での処理ビデオの伝送品質は送信機での伝送品質と同一である。また、送信機側でも受信機からエラーが発生していないことが通知されるか、返送されたエラーメッセージがなければ、受信機側の処理ビデオ伝送品質が送信機側から伝送した伝送品質と同一であるということが分かる。
【0030】
S18ステップでは、伝送状態の変更のために、ビデオの伝送中止、ビデオ伝送のための下りチャネルの帯域幅の増大、エラー訂正方法の適用、およびチャネルエラーに強い他のコーデックへの変更使用などを行うことができる。
【0031】
デジタル通信において、一般的にビデオは先ず符号化機を介して圧縮された後にデジタル形式によって伝送され、図2はデジタル通信の送信機側の符号化部および受信機側の復号化部を示す。
【0032】
図2に示す通り、元ビデオINは、送信機20内で符号化部22によって圧縮され、符号化されたビデオ23として通信チャネル24を介して伝送される。
【0033】
この時、圧縮して伝送されるデータ23を送信圧縮ビデオデータ(マルチメディアである場合、送信圧縮マルチメディアデータ)と称して、通信チャネル24を介して受信機に伝えられたデータ25は受信圧縮ビデオデータ(マルチメディアである場合、受信圧縮マルチメディアデータ)と称する。通信チャネル24でエラーが発生しなければ、送信圧縮ビデオデータ23と受信圧縮ビデオデータ25とは同一である。そして、送信機で送信圧縮ビデオデータ23を復号化して得たビデオ(OUT)は送信ビデオと称する。
【0034】
同様に、受信圧縮ビデオデータを復号化して得られるビデオは受信ビデオと称し、伝送過程でエラーが発生しない場合の伝送ビデオと受信ビデオとはデジタル通信で互いに同一である。
【0035】
通信チャネル24は、送信機20と受信機21とを物理的に連結する有線および/または無線伝送媒体である。有線伝送媒体には、ツイストペア(twisted pair)、同軸ケーブル、光ファイバなどによって実現することができる。また、通信チャネル24には、通信距離、ネットワーク構造に応じて、リピータ(repeater)、ルータ(router)、ゲートウェイ(gateway)などを含むことができる。
【0036】
通信チャネル24を介してビデオが伝送される間、減衰および歪みを経た信号25が受信機21に入力され、このような減衰および歪みのため受信機21でビデオを再生するにエラーが発生することができる。この時、エラー発生の頻度はビットエラー率(BER)などによって示すことができる。
【0037】
通信チャネル24は、これを構成する伝送媒体の種類に応じて光ファイバのようにビットエラー率が低い高信頼性の媒体から、無線通信のようにビットエラー率が高い低信頼性の媒体まで多様であり、ビットエラー率が高い無線通信の場合にはエラー制御を介して通信サービスの信頼性を向上させることが重要である。
【0038】
受信機21に含まれた復号化部26は、受信された圧縮ビデオデータ25を復号化して受信ビデオ(OUT)を出力する。復号化部26は、通信チャネル24で発生するビデオの劣化を最小化するために、復号化時に発生したエラーを訂正するためのエラー隠匿方法などを用いたりもする。
【0039】
図3は、送信機に含まれた本発明の好ましい一実施形態に係る伝送画質評価装置を説明するブロック図である。
【0040】
送信機において受信ビデオ推定部30は、受信ビデオ推定のために受信機から受けたエラー情報IN31と送信ビデオIN32とを用いて受信機側での受信ビデオ33を推定する。この時、送信ビデオIN32は、前述した通り送信圧縮ビデオデータを復号化して求める。この時、コーデックに対するすべての必要な情報およびパラメータは、受信ビデオ推定部30で利用可能なものと仮定し、受信ビデオ推定部30はエラー情報IN31および送信圧縮ビデオデータを用いて受信ビデオを推定することができ、これにより、圧縮ビデオ生成部と受信ビデオ推定部30は伝送品質測定装置に含まれてすべての必要な情報を共有する。
【0041】
伝送品質評価部31は、推定された受信ビデオ33と基準ビデオIN33とを比較して、エラーを含んで伝送されたビデオの伝送画質を評価する。図4および図5は、図3に示した装置の実施形態である。
【0042】
先ず、図4の受信ビデオ推定部40は、圧縮ビデオ生成部42が元ビデオIN42を用いて生成した送信ビデオ44および受信機から受けたエラー情報IN41を用いて、受信機側での受信ビデオ43を推定する。圧縮ビデオ生成部42と受信ビデオ推定部40とは、伝送品質測定装置に含まれ、コーデックに対するすべての必要な情報およびパラメータのようなすべての必要な情報を共有する。受信ビデオ推定部40は、送信圧縮ビデオデータとエラー情報とを受信ビデオの推定時に用いることができる。
【0043】
画質評価部41は、推定された受信ビデオ43と元ビデオIN42とを比較して、エラーが含まれた受信ビデオの画質を評価する。ここにおいて、圧縮ビデオ生成部42は符号化部と復号化部との連結によって得ることができる。この時、圧縮ビデオ生成部42は、受信ビデオ推定部40の一部と見なされることもできる。
【0044】
また、図5の受信ビデオ推定部50は、受信機から受けたエラー情報IN51と送信ビデオ54とを用いて、受信機側での受信ビデオ53を推定する。
【0045】
画質評価部51は、推定された受信ビデオ53と送信ビデオ54とを比較して、エラーが含まれたビデオの画質を評価する。ここにおいて、圧縮ビデオ生成部52は符号化部と復号化部との連結によって得ることができる。図5の装置は、ソースビデオが送信機で利用可能でない場合に用いることができる。
【0046】
次に、図6は、本発明の最も好ましい実施形態に係るビデオ伝送システムを説明するブロック図である。
【0047】
送信機60は、符号化部600、復号化部602、選択部604、受信ビデオ推定部606、画質評価部608および制御部610を含み、受信機61は復号化部620とエラー検出部622とを含む。
【0048】
符号化部600は元ビデオINを圧縮して符号化されたビデオデータを生成し、復号化部602は符号化されたビデオデータを復号化して送信ビデオ616を生成する。
【0049】
受信ビデオ推定部606は、エラー情報618と復号化部602からの送信ビデオ616を用いて受信機での受信ビデオを推定する。ここにおいて、受信ビデオ推定部606は、エラー情報618と送信ビデオ616とのタイミング整合のための所定のサイズのメモリを含むことができる。この時、圧縮ビデオ生成部と受信ビデオ推定部とは装置に含まれ、CODECに関する情報およびパラメータのようなすべての必要な情報は共有される。
【0050】
選択部604は、復号化部602からの送信ビデオ616と送信機60に入力された元動画像INのうち1つを選択して、画質評価のための基準ビデオ614として画質評価部608に入力するために出力する。
【0051】
一方、前記選択部604には基準ビデオ614と推定された受信ビデオ612とのタイミング整合のために、所定のサイズのメモリを含むことができ、この時、画質評価部608にはタイミング整合された画質評価用基準ビデオ614と推定された受信ビデオ612とが入力される。
【0052】
画質評価部608は、推定された受信ビデオ612と基準ビデオ614とを比較して、エラーを含んで伝送された受信ビデオの画質を評価し、画質評価方法としては全基準法、減少基準法および無基準法のうち、いずれか1つの方法を適用することができる。
【0053】
送信機60は、画質評価部608の評価結果626によりチャネルを介してビデオを伝送する現状態を保持するか変更することができ、このような措置として、伝送中止、チャネルの帯域幅の増大、エラー訂正方法の適用、および、チャネルエラーに強い他のコーデックへの変更のうち少なくとも1つ以上を行うことができる。
【0054】
前記ビデオ伝送の状態保持および変更ために、送信機60は制御部610を選択的にさらに含むことができ、制御部610はビデオ伝送状態を変更する措置として、伝送中止、チャネルの帯域幅の増大などを行うことができる。
【0055】
また、画質評価の結果626に応じて符号化部600はエラー訂正方法を適用するか、チャネルエラーに強い他のコーデックを適用して符号化を行ってビデオ伝送の信頼性を向上させるか帯域幅の浪費を防止することができるようにする。
【0056】
受信機61に含まれる復号化部620は、下りチャネルを介して伝送された符号化されたビデオデータを復号化する。
【0057】
受信機61に含まれるエラー検出部622は受信圧縮ビデオデータ624からエラーを検出し、エラー検出部622で検出されたエラー情報は上りチャネル63を介して送信機60に伝送される。前記エラー情報はパケット損失やビットエラーに対する情報を含むことができ、エラーが検出された場合にのみ返送されるだけでなく、返送に必要な帯域幅も小さいため、上りチャネルの資源消耗を最小化することができる。
【0058】
一方、復号化部620は、エラー隠匿のための手段を含むことができる。エラー隠匿のための手段は、パケット損失やビットエラーが発生して受信機で映像のいくつかのブロックを失うようになる場合、エラー隠匿方法を用いて損失されたブロックが隣接フレームである画素から損失されたブロックを部分的に復元するためのものであって、この時、返送されるエラー情報618には受信機61の復号化部620で用いられたエラー隠匿方法に対する情報も含まなければならない。
【0059】
本発明に係るマルチメディアデータの伝送品質測定方法は、コンピュータで読み込むことができる記録媒体に、コンピュータが読み込むことができるコードとして実現することが可能である。コンピュータが読み込むことができる記録媒体はコンピュータシステムによって読み込まれるプログラムやデータが格納されるすべての種類の記録装置を含む。
【0060】
コンピュータが読み込むことができる記録媒体の例としては、ROM、RAM、CD−ROM、磁気テープ、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、フラッシュメモリ、光データ格納装置などがある。ここにおいて、記録媒体に格納されるプログラムということは、特定の結果を得るためにコンピュータなどの情報処理能力を有する装置内で直接または間接的に用いられる一連の指示命令として表現されたものをいう。したがって、コンピュータという用語も実際に用いられる名称の如何にもかかわらず、メモリ、入出力装置、演算装置を備えてプログラムによって特定の機能を行うための情報処理能力を有するすべての装置を総括する意味で用いられる。
【0061】
また、本発明に係るマルチメディアデータの伝送品質測定方法は、コンピュータ上でスキーマ(schematic)または超高速集積回路ハードウェア技術言語(VHDL)などによって作成され、コンピュータに連結されてプログラム可能な集積回路、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)により得ることができる。また、前記記録媒体は、このようなプログラム可能な集積回路またはASICを含む概念である。
【0062】
本発明が属する技術分野の当業者は、本発明がその技術的思想や必須特徴を変更せずに他の具体的な形態によって実施され得るため、以上で記述した実施形態はすべての面で例示的なものであり、限定的なものではないこととして理解しなければならない。本発明の範囲は、前記詳細な説明よりは後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味および範囲、そしてその等価概念から導き出されるすべての変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれると解釈しなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】図1は、本発明に係る伝送エラー制御のためのビデオ伝送方法を説明するフローチャート図である。
【図2】図2は、デジタル通信の送信機側の符号化部および受信機側の復号化部を説明するブロック図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態にビデオ伝送装置の送信機に含まれた画質評価装置を説明するブロック図である。
【図4】図4は、図3に示した装置の実施形態である。
【図5】図5は、図3に示した装置の実施形態である。
【図6】図6は、本発明の最も好ましい実施形態に係るビデオ伝送システムを説明するブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)送信機がチャネルを介してマルチメディアデータを送信するステップと、
(b)前記送信機からマルチメディアデータを受信した受信機が、上りチャネルを介してマルチメディアデータ伝送のエラー情報を前記送信機に伝送するステップと、
(c)前記送信機が前記返送されたエラー情報を用いて前記受信機からの受信データを推定するステップと、
(d)前記送信機が前記推定された受信データを基準データと比較して前記受信データの伝送品質を評価するステップと、
を含むことを特徴とするマルチメディアデータの伝送品質測定方法。
【請求項2】
前記(b)ステップは、
マルチメディアデータ伝送のエラーが検出された場合にのみ、前記エラー情報を前記上りチャネルを介して前記送信機に伝送することを特徴とする請求項1に記載のマルチメディアデータの伝送品質測定方法。
【請求項3】
前記(b)ステップは、
前記受信されたマルチメディアデータにエラー隠匿方法を適用してエラーを補正するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載のマルチメディアデータの伝送品質測定方法。
【請求項4】
前記(b)ステップは、
前記適用されたエラー隠匿方法に対する情報とエラー情報とを前記上りチャネルを介して前記送信機に伝送することを特徴とする請求項3に記載のマルチメディアデータの伝送品質測定方法。
【請求項5】
前記(c)ステップは、
前記受信機から返送されたエラー情報と前記送信したマルチメディアデータとを用いて受信データを推定することを特徴とする請求項1に記載のマルチメディアデータの伝送品質測定方法。
【請求項6】
前記(a)ステップにおいて、前記送信機はチャネルを介して前記マルチメディアデータを符号化して伝送し、
前記(c)ステップにおいて、前記送信したマルチメディアデータは前記符号化されたマルチメディアデータを復号化して得られることを特徴とする請求項5に記載のマルチメディアデータの伝送品質測定方法。
【請求項7】
前記基準データは、前記送信したマルチメディアデータであることを特徴とする請求項1に記載のマルチメディアデータの伝送品質測定方法。
【請求項8】
前記(a)ステップにおいて、前記送信機は前記チャネルを介してマルチメディアデータを符号化して伝送し、
前記(c)ステップにおいて、前記送信したマルチメディアデータは前記符号化されたマルチメディアデータを復号化して得られることを特徴とする請求項7に記載のマルチメディアデータの伝送品質測定方法。
【請求項9】
前記(d)ステップは、
全基準方法、減少基準方法、無基準方法のうち、いずれか1つの方法によって伝送品質を評価することを特徴とする請求項1に記載のマルチメディアデータの伝送品質測定方法。
【請求項10】
前記(d)ステップ以後、
(e)前記伝送品質の評価結果によりチャネルを介したマルチメディアデータの伝送状態を保持するか変更するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のマルチメディアデータの伝送品質測定方法。
【請求項11】
前記(e)ステップは、
前記伝送状態を変更するために、前記伝送品質の評価結果によりマルチメディアデータの伝送中止、チャネルの帯域幅の増大、エラー訂正方法の適用およびチャネルエラーに強い他のコーデックへの変更中少なくとも1つ以上を行うことを特徴とする請求項10に記載のマルチメディアデータの伝送品質測定方法。
【請求項12】
チャネルを介してマルチメディアデータを送信する送信機と、
前記マルチメディアデータを受信し、前記マルチメディアデータから前記チャネルで発生したエラー情報を検出して前記エラー情報を上りチャネルを介して前記送信機に伝送する受信機を含み、
前記送信機は、
元マルチメディアデータを符号化されたマルチメディアデータに変換する符号化部と、
前記返送されたエラー情報を用いて前記受信機からの受信データを推定する推定部と、
基準データと前記推定受信データとを比較して前記受信データの伝送品質を評価する評価部と、
を含むことを特徴とするマルチメディアデータの伝送品質測定装置。
【請求項13】
前記受信機は、
前記チャネルでエラーが発生した場合にのみ、エラー情報を前記上りチャネルを介して送信機に伝送することを特徴とする請求項12に記載のマルチメディアデータの伝送品質測定装置。
【請求項14】
前記受信機は、
受信されたマルチメディアデータにエラー隠匿方法を適用してエラーを補正する手段を含むことを特徴とする請求項12に記載のマルチメディアデータの伝送品質測定装置。
【請求項15】
前記受信機は、
前記エラー隠匿方法に対する情報と前記エラー情報とを前記上りチャネルを介して送信機に伝送することを特徴とする請求項14に記載のマルチメディアデータの伝送品質測定装置。
【請求項16】
前記推定部は、
前記返送されたエラー情報と前記送信されたマルチメディアデータとを用いて前記受信データを推定することを特徴とする請求項12に記載のマルチメディアデータの伝送品質測定装置。
【請求項17】
前記送信機は、
前記符号化されたマルチメディアデータを復号化して前記送信されたマルチメディアデータを出力する復号化部をさらに含むことを特徴とする請求項16に記載のマルチメディアデータの伝送品質測定装置。
【請求項18】
前記基準データは、前記送信されたマルチメディアデータであることを特徴とする請求項12に記載のマルチメディアデータの伝送品質測定装置。
【請求項19】
前記評価部は、
全基準方法、減少基準方法、無基準方法のうち、いずれか1つの方法によって伝送品質を評価することを特徴とする請求項12に記載のマルチメディアデータの伝送品質測定装置。
【請求項20】
前記送信機は、
前記伝送品質の評価結果によりチャネルを介したマルチメディアデータの伝送状態を保持するか変更する制御部をさらに含むことを特徴とする請求項12に記載のマルチメディアデータの伝送品質測定装置。
【請求項21】
前記制御部は、
前記伝送品質の評価結果によって、伝送中止、チャネルの帯域幅の増大のうち少なくとも1つを行うことを特徴とする請求項20に記載のマルチメディアデータの伝送品質測定装置。
【請求項22】
前記符号化部は、
前記伝送品質の評価結果により、エラー訂正方法の適用、および、チャネルエラーに強い他のコーデックへの変更のうち少なくとも1つ以上を行うことを特徴とする請求項20に記載のマルチメディアデータの伝送品質測定装置。
【請求項23】
(a)送信機がチャネルを介してマルチメディアデータを送信するステップと、
(b)前記送信機から前記マルチメディアデータを受信した受信機が、マルチメディアデータ伝送過程で発生するエラーの影響を受けたビデオセグメントから抽出されるパラメータを上りチャネルを介して前記送信機に伝送するステップと、
(c)前記送信機が前記返送されたパラメータと基準データとを用いて前記受信データの伝送品質を評価するステップと、
を含むことを特徴とするマルチメディアデータの伝送品質測定方法。
【請求項24】
チャネルを介してマルチメディアデータを送信する送信機と、
前記マルチメディアデータを受信し、前記マルチメディアデータから前記チャネルで発生したエラー情報を検出し、前記エラーの影響を受けたビデオセグメントからパラメータを抽出し、これを上りチャネルを介して前記送信機に伝送する受信機を含み、
前記送信機は、
元マルチメディアデータを符号化されたマルチメディアデータに変換する符号化部と、
基準データおよび前記パラメータを用いて前記受信されたデータの伝送品質を評価する評価部とを含むことを特徴とするマルチメディアデータの伝送品質測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−524299(P2007−524299A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−550949(P2006−550949)
【出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【国際出願番号】PCT/KR2005/000254
【国際公開番号】WO2005/074175
【国際公開日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(500310672)エスケーテレコム株式会社 (107)
【氏名又は名称原語表記】SK TELECOM CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】11,Euljiro−2ga,Jung−gu,Seoul,Korea
【出願人】(500329076)ヨンセイ ユニバーシティ (4)
【氏名又は名称原語表記】YONSEI UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】134 Shinchon−dong Seodaemun−ku Seol Korea
【Fターム(参考)】