説明

マルチラテレーションシステム、マルチラテレーション受信局の信号処理方法、及びその処理プログラム

【課題】複数の航空機の位置情報を抽出するマルチラテレーションシステムにあって、各モードA/C機からの応答情報を不規則に選択処理しシステム負荷の軽減を図ること。
【解決手段】航空機(目標物)が搭載するトラスポンダからのスキッタ信号若しくはSSR応答信号を受信する複数の受信局1,2,…と、この受信された各信号の到達時間差から目標物の三次元位置情報を算出し且つ目標物の識別情報を得る位置情報算出手段(センタ局)120とを備え、各受信局1,2,…は、受信したSSR応答信号を情報分析するSSR応答デコード手段12と、ここで得られたモードSスキッタ,モードS応答,及びモードA/C等のメッセージに編集してセンタ局へ出力するメッセージ生成手段13とを備え、モードA/Cを経時的に不規則に選択して前記メッセージ生成手段13に送り込むモードA/C信号間引手段14を設けたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の受信局を備えた航空管制用のマルチラテレーションシステムにおける受信局に係り、特に受信局の出力の出力であるモードA応答,及びモードC応答を間引く(選択抽出する)ことによりシステムの処理負荷を軽減すると共に、受信局とセンタ局間の回線容量が各受信局のSSR受信情報全てを送るのに十分でない場合でも、モードS受信情報については回線による損失を少なくするようにしたマルチラテレーション用受信局、受信信号処理方法、およびその処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
航空管制システムにおける航空機監視用センサーシステムとして、従来より航空管制用レーダ装置が用いられている。
この航空管制用レーダは、通常、一次監視レーダ装置(PSR:Primary Surveillance Rader)と二次監視レーダ装置(SSR:Secondary Surveillance Rader)とを備えて構成されている。
【0003】
この内、一次監視レーダ装置は、地上から放射されるRF信号(Radio Frequency信号:無線信号)に対する航空機からの反射信号に基づいて航空機の探知及び位置情報の抽出を行うものである。又、二次監視レーダ装置は、自身の質問信号に対する航空機の応答から航空機の探知および位置情報の抽出のほか、各航空機の識別情報であるモードA,や航空機に搭載された気圧高度計による高度情報であるモードC,を抽出して管制機関に提供し得るように構成されている。
【0004】
二次監視レーダ装置にはモードS機能を含むものがある。このモードS機能は、各航空機に付与されたID(24ビットアドレス)による個別選択呼出し機能であって、上述したモードAにおける識別情報及びモードCにおける高度情報に加えて、進路情報や速度情報等も得ることを、その内容とする実行機能である。
【0005】
このような二次監視レーダ装置では、モードSアドレスと呼ばれる識別情報による航空機への個別質問が可能になっているほか、データリンク機能によって地上/航空機間の情報のやりとりが可能になっている。
【0006】
又、二次監視レーダ装置の上記モードS機能を有効にするために、航空機側では、モードSトランスポンダを実装する必要があり、自身のモードSコードでの個別質問に対して応答するほか、トランスポンダによっては衝突防止装置のアラーム情報、航空機の飛行パラメータなどを、データリンク機能を用いて地上に送信できる機能を有している。
【0007】
更に、上記モードSトランスポンダにかかるシステムにあっては、地上からの質問によらず定期的にモードSアドレスを放送する機能を有している。この定期的に放送される情報はモードSスキッタと呼ばれている。
【0008】
航空管制の分野では、モードSスキッタやモードS機能をもつSSR地上局(以下「モードS地上局」と呼ぶ)からの質問に対するモードS応答を、複数の受信局で同時受信する際の時刻差を利用して航空機の三次元位置を特定すると共に、モードS応答に含まれる識別情報で当該航空機を特定し、この情報を用いて航空管制を行うマルチラテレーション(Multilateration)システムと呼ばれるシステムが開発されている。
【0009】
このマルチラテレーションシステムでは、モードSトランスポンダを搭載していない航空機についても、SSR地上局からの質問に対するモードA応答及びモードC応答(以下、モードA/C応答という)を用いて、現在位置の特定を行っている。
【0010】
図4(A)(B)に、従来より知られているマルチラテレーションシステムの基本的な構成を示す。この図4(A)において、マルチラテレーションシステムは、複数の受信局101,102,…,10Nを備えている。
この複数の各受信局101,102,…,10Nは、それぞれL帯の無指向性アンテナ101a,102a,…,10Naを有し、更に、航空機から送られるモードSスキッタ,モードS応答,及びモードA/C応答に対するデコード機能をも備えている。
【0011】
又、この各受信局101,102,…,10Nは、当該各受信局101,102,…,10Nで受信される情報を、精度の高い受信時刻情報と共にそれぞれ個別に伝送手段D(D1,D2,…,Dn)を介して、位置情報抽出手段120に伝送する機能を備えている。
【0012】
この位置情報算出手段120は、各受信局101,102,…,10Nから送られてくるモードSスキッタ,モードS応答,及びモードA/C応答の受信時刻の差を用いて航空機の三次元位置を算出する三次元位置算出機能を有し、各応答信号に含まれる識別情報と共にそれらの情報を管制支援手段130に送出するようになっている。
【0013】
この図4において、符号130は位置情報算出手段120から送られた情報を管制用表示装置などに表示する管制支援手段を示す。
ここで、上記複数の受信局101,102,…,10Nは目的とする捜索領域に応じてそれぞれ異なった場所に配置されており、これら受信局101,102,…,10Nの厳密な測位情報は、予め位置情報算出手段120に格納されている。
【0014】
図4(B)に、上記受信局101の基本構成図を示す。
この図4(B)において、符号101Aは前述したL帯の無指向性アンテナを示す。この受信局101は、無指向性アンテナ101Aで捕捉されたモードSスキッタ,モードS応答,及びモードA/C応答を受信し検波する受信・検波手段112と、この受信され検波されて得られるビデオ信号から航空機からの情報を解読するSSR応答デコード手段113とを備えている。
【0015】
この受信局101は、更に、デコードされた(解読後の)モードSスキッタ又はモードS応答を伝送回線115を介して受信するメッセージ生成手段117を備えている。このメッセージ生成手段117は、同じくデコードされた(解読後の)モードA/C応答を伝送回線116を介して受信する機能を備えている。
【0016】
上記メッセージ生成手段117は、モードSスキッタ又はモードS応答及びモードA/C応答を、受信時刻情報を含んだメッセージに編集する機能を備えている。符号118はメッセージ生成手段117で形成されたメッセージを図4(A)の位置情報算出手段120に伝送するためのインタフェース手段を示す。このインタフェース手段118は、図4(A)に開示した伝送手段D1,D2,…,Dnとの整合用として置かれるインタフェースを示す。
他の受信局102,103,…,10Nも、上述した受信局101と同等に構成されている。
【0017】
今、或る1機の航空機に搭載されたモードSトランスポンダから定期的に放送されるモードSスキッタ或いはモードS地上局のロールコールに対するモードS応答を例にとると、図4(A)(B)に示したマルチラテレーションシステムの基本的な動作は次のようになる。
【0018】
即ち、航空機を個別に特定できるモードSアドレスを有するモードSスキッタ或いはモードS応答は、図4に示した構成から成る複数の受信局101,102,…,10Nで受信される。その後、この受信された複数の受信信号は、各受信局101,102,…,10Nでデコード処理されモードSコードが抽出される。このモードSコード情報と精度の高い受信時刻を含むモードSスキッタ或いはモードS応答情報は、受信メッセージとして各受信局101,102,…,10Nから位置情報算出手段120に送られる。
【0019】
位置情報算出手段120ではモードSアドレスにより各受信局101,102,…,10Nから送られてくる受信メッセージを容易に対応づけることができるため、各受信局101,102,…,10Nの精密な設置位置情報に基づいて、同一モードSスキッタの4箇所以上の受信局101,102,…,10Nでの受信時刻差から、当該航空機の現在位置における三次元位置を算出することができる。
【0020】
このように、マルチラテレーションシステムでは、モードSトランスポンダを有する航空機(以下「モードS機」という)が、主要な捜索の対象機となる。
一方、実際には、全ての航空機がモードSトランスポンダを搭載しているわけではないため、隣接するSSR地上局からのモードA/C質問に対応した航空機からのモードA/C応答から航空機位置を特定することも、航空管制の運用面からは求められる。
【0021】
但し、自らモードA/C質問をしない受信局では、受信したモードA/C応答から単純に航空機を識別することができない。このため、位置情報算出手段120において、例えば全ての応答をモードA応答として取扱うと共に、一致がとれる受信メッセージの組だけについて三次元位置算出を行う、といったモードS応答とは異なった処理を追加する必要がある。
かかる場合、一般的に、モードA/C応答による位置算出は、モードS応答の場合に比べ位置情報算出のための処理量が多くなる。
【0022】
上述したマルチラテレーションシステムに関連する技術として、以下に示す特許文献1乃至3が知られている。
【0023】
特許文献1に記載には、従来からあるATCRBSトラスポンダを搭載する航空機とモードSトラスポンダを搭載する航空機とが混在する監視空域を監視する二次監視レーダ装置に関するもので、特に、モードS専用オールコールに対するATCRBSトラスポンダの誤応答を確実に除去し得るようにしたものであり、これにより、モードSトラスポンダを搭載した航空機の安全運行に寄与し得るようにした発明が開示されている。
【0024】
又、特許文献2には、二次監視レーダ装置に関するものであり、特に、各繰り返し周期内においてモードS一括質問/応答、及びモードA/C一括質問/応答の両方の処理ができ、且つモードS一括質問信号に誤応答する航空機搭載トラスポンダを検知しないようにし、これによってモードS一括質問信号に対する誤応答の弊害を有効に排除し、これにより、モードSトラスポンダを搭載した航空機の安全運行に寄与し得るようにした発明が開示されている。
【0025】
更に、特許文献3には、空港面探知レーダ(ASDE)を用いて空港面を走査し、空港面上にある目標の位置情報を算出して表示する空港面監視装置に関するもので、特に、ASDEでは位置検出に困難を伴う低空域における航空機の位置の検出に対して、マルチラテレーションの情報を統合することによって補完し、これによって効率的で安全な航空管制の実現可能とした空港面監視システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0026】
【特許文献1】特開2005−083815号公報
【特許文献2】特開2006−029872号公報
【特許文献3】特開2007−333427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
航空機のSSRトランスポンダの応答を無指向性のアンテナを持つ複数の受信局で受信するこのようなマルチラテレーションシステムにあっては、モードS機とモードA/C機が混在した状態にあっては、モードS機の応答数に比べてモードA/C機の応答数が多くなり、システム動作に影響を与える場合が生じる。
【0028】
ここで、モードS機の応答数とモードA/C機の応答数をある条件で比較すると、次のようになる。
【0029】
今、マルチラテレーションシステムの覆域内のモードS機1機を考えると、モードSスキッタはSSR地上局の有無に関係なく約1秒に1回、モードS応答については空港監視用のモードS地上局(アンテナ回転周期は約4秒)K局(Kは整数)が隣接しているとすると、ロールコールへの応答として約4秒にK回受信局で受信される。従って、実際のモードS機がL機(Lは整数)とすると、モードSスキッタ及びモードS応答受信総数は、およそ4秒当たりL×(K+4)となる。
【0030】
一方、モードA/C機については、SSR(二次監視レーダ)地上局のアンテナビームが当該航空機を向いている間、応答が受信されると考えられるので、SSR地上局のアンテナビーム幅を2.5度、質問の繰り返し周期を1.4(ミリ秒)とすると、SSR地上局1局の質問への応答として1機当たり約20回程度トランスポンダからの応答があることになる。
【0031】
隣接する空港監視用のSSR地上局(モードA/C質問)がMサイト(Mは整数)、モードA/C機がN機(Nは整数)とすると、4秒当たりのモードA/C応答数は、およそ20×M×Nとなる。
仮に、モードS及びモードA/C地上局数K,及びMサイト(Mは整数)をそれぞれ4局、モードS機及びモードA/C機がそれぞれ30機存在していた場合の試算をすると、4秒当たりのモードS応答数240に対し、モードA/C応答は2400とモードS応答の10倍になる。
【0032】
隣接するモードA/CのSSRサイト数やモードA/C機が更に増えると、モードS応答数とモードA/C応答数の差はより大きくなる。従って、このような環境下でマルチラテレーションシステムを運用しようとすると、次のような問題が生じる。
【0033】
即ち、図4(A)の受信局101〜10Nから位置情報算出手段120に受信情報を伝送する伝送手段D1〜Dnの伝送容量が、受信局101〜10Nで受信する全応答情報を伝送するのに十分でない場合、モードA/C応答が多い状況では、各応答の受信のタイミングによってモードSスキッタ或いはモードS応答情報を送れなくなる場合が出てくる。
【0034】
このため、これを放置しておくと、モードSアドレスによって航空機を特定でき確実に位置情報算出に用いられるモードSスキッタ或いはモードS応答情報であっても伝送上に欠落が発生した場合には、システムの検出性能の劣化につながるという課題がある。
【0035】
更に、位置情報算出手段120に多くのモードA/C応答情報が送られると、位置情報算出手段120の処理容量によっては、処理負荷の高いモードA/C応答での位置情報算出処理のため、モードSスキッタやモードS応答による位置情報抽出処理が制限されてしまう場合が出てくるという課題もある。
【0036】
〔発明の目的〕
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、特定のモードA/C応答の受信が除去されることなく各受信局を介して取り込まれるモードA/C応答情報を全体的に減少させると共に、これによりモードA/C応答情報によってモードSスキッタやモードS応答にかかる情報が除去されることを有効に抑制してなるマルチラテレーションシステム、マルチラテレーション受信局の信号処理方法、およびその信号処理プログラムを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0037】
上記目的を達成するため、本発明にかかるマルチラテレーションシステムは、相互に所定間隔を隔てて地上局として設置され航空機などの目標物が搭載するトラスポンダから送信されるスキッタ信号若しくはSSR応答信号を受信する複数の受信局と、この複数の受信局で受信された各受信信号の到達時間差から目標物の三次元位置情報を算出すると共に前記受信信号から対応する目標物からの識別情報を得るようにした目標処理装置としてのセンタ局とを備えたマルチラテレーションシステムにあって、
【0038】
前記各受信局は、受信し取り出された前記SSR応答信号をデコードして航空機からの情報を分析するSSR応答デコード手段と、このSSR応答デコード手段でデコードされたモードSスキッタ,モードS応答,およびモードA/Cを含む情報を受信時刻情報と共にメッセージに編集して前記センタ局へ出力するメッセージ生成手段とを備え、
このSSR応答デコード手段と前記メッセージ生成手段との間に、前記SSR応答デコード手段より出力される受信信号から前述したモードA/Cを経時的に不規則に間引いて前記メッセージ生成手段に送り込むモードA/C信号間引手段を介装したことを特徴とする。
【0039】
上記目的を達成するため、本発明にかかるマルチラテレーション受信局の信号処理方法は、相互に所定間隔を隔てて地上局として設置され航空機などの目標物が搭載するトラスポンダから送信されるスキッタ信号若しくはSSR応答信号を受信する複数の受信局と、この複数の受信局で受信された各受信信号の到達時間差から目標物の三次元位置情報を算出すると共に前記受信信号から対応する目標物からの識別情報を得るようにした目標処理装置としてのセンタ局とを備えたマルチラテレーションシステムにあって、
【0040】
前記各受信局の内の一の受信局で受信し取り出された前記SSR応答信号を、SSR応答デコード手段がデコードして航空機からの情報を分析し、
このSSR応答デコード手段でデコードされ分析されて得られたモードSスキッタ,モードS応答,およびモードA/Cを含む情報の内の前記モードSスキッタ及びモードS応答を含む情報を、SSR応答デコード手段がメッセージ生成手段へ転送すると共に、前記モードA/Cについてはこれを、モードA/C信号間引手段が経時的に不規則に間引いて前記メッセージ生成手段に転送する構成とし、
【0041】
このSSR応答デコード手段から直接送り込まれるモードSスキッタ及びモードS応答を含む情報と前記モードA/C信号間引手段から送り込まれる経時的に不規則に間引枯れたモードA/C信号とを、前記メッセージ生成手段がメッセージに編集して前記センタ局へ出力する構成としたことを特徴とする。
【0042】
上記目的を達成するため、本発明にかかるマルチラテレーション受信局用信号処理プログラムは、相互に所定間隔を隔てて地上局として設置され航空機などの目標物が搭載するトラスポンダから送信されるスキッタ信号若しくはSSR応答信号を受信する複数の受信局と、この複数の受信局で受信された各受信信号の到達時間差から目標物の三次元位置情報を算出すると共に前記受信信号から対応する目標物からの識別情報を得るようにした目標処理装置としてのセンタ局とを備えたマルチラテレーションシステムにあって、
【0043】
前記各受信局の内の一の受信局で受信し取り出された前記SSR応答信号をデコードして航空機からの情報を分析するSSR応答信号分析処理機能、
このデコードされ分析されて得られたモードSスキッタ,モードS応答,およびモードA/Cを含む情報の内の前記モードSスキッタ及びモードS応答を含む情報を、メッセージ生成手段へ転送処理すると共に、前記モードA/Cについてはこれを経時的に不規則に間引いて前記メッセージ生成手段に転送する情報転送処理機能、
【0044】
および前記SSR応答デコード手段から直接送り込まれるモードSスキッタ及びモードS応答を含む情報と経時的に不規則に間引かれて送り込まれるモードA/C信号とを、メッセージの形態に編集して前記センタ局へ出力するメッセージ生成出力処理機能、
をコンピュータに実現させるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0045】
本発明は上記のように構成したので、これによると、前記各受信局は、航空機からの信号を受信し取り出された前記SSR応答信号の情報を分析しモードSスキッタ,モードS応答,およびモードA/Cを含む情報を受信時刻情報をメッセージに編集して前記センタ局へ出力するに際し、特にモードA/Cを経時的に不規則に間引いて前記メッセージ生成手段に送り込むようにしたので、特定のモードA/C応答の受信が除去されることなく各受信局を介して取り込まれるモードA/C応答情報を全体的に減少させることができ、これによりモードA/C応答情報によってモードSスキッタやモードS応答にかかる情報が除去されることを有効に抑制することができるという他に類例のない優れたマルチラテレーションシステム、マルチラテレーション受信局の信号処理方法、およびその信号処理プログラム、を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明にかかるマルチラテレーションシステムの一実施形態における受信局の一例を示すブロック図である。
【図2】図1に開示した実施形態の受信局を含むマルチラテレーションシステム全体を示すブロック図である。
【図3】図1に開示した実施形態の動作を示すタイミングチャートである。
【図4】関連技術におけるマルチラテレーションシステムの例を示す図で、図4(A)はその受信局を含むマルチラテレーションシステム全体を示すブロック図、図4(B)はその受信局の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、本発明の一実施形態を、図1乃至図3に基づいて説明する。
最初に、基本的な内容について説明し、その後に具体的な内容について説明する。
【0048】
図1乃至図2において、マルチラテレーションシステムは、相互に所定間隔を隔てて地上局として設置され航空機(目標物)60,70が搭載するトラスポンダから送信されるスキッタ信号若しくはSSR応答信号等の信号62,63を受信する複数の受信局1,2,…,Nと、この複数の受信局1,2,…,Nで受信された各受信信号62,63のそれぞれの到達時間差から目標物の三次元位置情報を算出すると共に前記受信信号62,63から対応する目標物からの識別情報を得るようにした目標処理装置としての位置情報算出手段(センタ局)120とを備えている。
【0049】
上記各受信局1,2,…,Nの内、受信局1は、図1に示すように、航空機(目標物)60,70からの信号をアンテナ1aを介して受信し検波してSSR応答信号等を取り出す受信・検波手段11と、この受信・検波手段11で取り出されたSSR応答信号等をデコードして航空機60,70からの情報を分析するSSR応答デコード手段12と、このSSR応答デコード手段12でデコードされたモードSスキッタ,モードS応答,およびモードA/Cを含む情報を受信時刻情報と共にメッセージに編集して前記位置情報算出手段(センタ局)120へ出力するメッセージ生成手段13とを備えている。
【0050】
このSSR応答デコード手段12と前記メッセージ生成手段13との間には、前記SSR応答デコード手段12より出力される受信信号から前記モードA/Cをを対象としてこれを経時的に不規則に間引いて前記メッセージ生成手段13に送り込むモードA/C信号間引手段14が介装されている。
これにより、航空機60,70からの多量のモードA/C信号が適度に間引かれてメッセージ生成手段13に取り込まれるようになっている。
【0051】
ここで、前述したSSR応答デコード手段12とメッセージ生成手段13との間には、モードS応答にかかる信号を伝送する一方の伝送回路12Aと、この一方の伝送回路12Aに併設して前記モードA/C応答にかかる信号を伝送する他方の伝送回路12Bとが配設されている。そして、前述したモードA/C信号間引手段14は、他方の伝送回路12B側に配置されている。
【0052】
又、上記SSR応答デコード手段12は、モードS応答にかかる信号とモードA/C応答にかかる信号とを混在することなく分けてメッセージ生成手段14へ送信する信号振り分け送信機能を備えている。これにより、モードS応答にかかる信号及びモードA/C応答にかかる信号に対するその後の各信号処理が円滑に成されるようになっている。
【0053】
前述したモードA/C信号間引手段14は、当該モードA/C信号間引手段14で実行される前記モードA/C応答にかかる信号の間引き処理を、外部入力され且つ経時的に不規則に変化する間引き用のランダムタイミングゲート信号RTに基づいて実行するようになっている。
【0054】
このモードA/C信号間引手段14には、実際には前記間引き用のランダムタイミングゲート信号RTを生成する疑似ランダムタイミングゲート信号発生手段15が併設されている。更に、この疑似ランダムタイミングゲート信号発生手段15には、前述したランダムタイミングゲート信号生成用で繰り返しの規則的な基準ゲート信号を生成する基準信号生成手段16が併設されている。そして、この繰り返しの規則的な基準ゲート信号を繰り返しが不規則な信号へ前述した疑似ランダムタイミングゲート信号発生手段が変換(生成)するように構成されている。
【0055】
ここで、前記基準信号生成手段16は、GPS信号を受信するGPS受信アンテナ16Aと、このGPS受信アンテナ16Aで受信されるGPS正秒を抽出するGPS受信・時刻情報抽出手段16Bとを備えて構成されている。そして、このGPS受信・時刻情報抽出手段16Bが、前記GPS正秒に基づいて前記ランダムタイミングゲート信号生成用の基準ゲート信号を生成する基準ゲート信号生成機能を備えている。
【0056】
符号18はメッセージ生成手段13で形成されたメッセージを図2の位置情報算出手段120に伝送するためのインタフェース手段を示す。このインタフェース手段18は、図2に開示した伝送手段D1,D2,…,Dnとの整合用として置かれるインタフェースを示す。他の受信局2,3,…Nも、上述した受信局101と同等に構成されている。
【0057】
〔具体的内容〕
次に、上記実施形態の内容を、更に具体的に説明する。
本実施形態は、前述した目的を達成するため、上述したように、マルチラテレーション受信局1にて捕捉されたモードA/C応答を不規則のタイミングで間引きして送り出すモードA/C応答間引手段14と、このモードA/C応答間引手段14の動作を規制する不規則な擬似ランダムタイミングのゲート信号(モードA/C応答を抽出するためのゲート信号)を発生させる擬似ランダムタイミングゲート発生手段15とを備えている。
【0058】
又、GPS信号のタイミングに基づいてモードA/C応答間引き用のゲート信号の元になる基準ゲート信号を生成する基準信号生成手段(GPS受信・時刻抽出手段)16を設け、この基準ゲート信号に基づいて前述した擬似ランダムタイミングゲート信号RTを形成するように構成されている。
【0059】
ここで、擬似ランダムタイミングゲート発生手段15は、例えばGPS受信機から毎秒1回の時刻タイミング信号(1PPS信号:時刻信号)を受け、モードA/C応答を抽出するための時間幅Tacのゲート信号Gt を発生する(図3参照)。このゲート信号Gt の発生タイミングは1PPS信号を受信してからTd時間だけ遅らせるものとし、この遅延時間を1PPS信号の受信ごとに1−Tac時間の間で不規則に変化させる。
【0060】
近接するSSR地上局の回転周期が整数秒に近い場合には、1PPSに同期したゲート信号Gt を発生すると特定の領域の航空機からのモードA/C応答が除去されてしまう場合があるが、ゲート信号Gt を1PPS信号に対し不規則なタイミングで発生させることにより、特定の領域の航空機からのモードA/C応答が除去されることを防ぎつつ各受信局からのモードA/C応答出力を間引くことができる。
【0061】
これを更に詳述する。
図1に示すように、GPS時刻同期システムであるGPS受信・時刻抽出手段16Bは、GPSアンテナ16Aを介してGPS信号を受信し、精度の高い時刻信号(例えば1PPS信号)を出力する機能を備えている。
【0062】
又、擬似ランダムタイミングゲート発生手段15は、構成としてカウンタ,擬似ランダムデータ発生器(乱数発生器),比較器,及びフリップフロップ回路などを含み、1PPS信号でクリアされたカウンタの出力が乱数発生器の値と一致した時にゲート信号を立上げ、所定の時間(Td)継続した後にそれを立ち下げる働きをする。
【0063】
遅延時間に相当する擬似ランダムデータは、遅延時間が「1−Tac」時間の間に収まるように設定され、前述した各受信局1,2,3,…,Nが同じ値を使えるように予めスケジューリングされている。
【0064】
モードA/C応答間引手段14は、ANDゲートであり、当該モードA/C応答抽出ゲート14がアクティブな時にモードA/C応答をメッセージ生成手段13に出力する。即ち、間引いて(選択し抽出して)得られたモードA/C応答をメッセージ生成手段13に出力する。
その他の基本的な構成は、前述した図4に開示した内容と同一となっている。
【0065】
〔動作説明〕
次に、上記実施形態の全体的な動作を、図3のタイムチャートに基づいて説明する。
まず、前述した図2はマルチラテレーションシステムの動作環境を示す系統図でもある。この図2では、図1に示す受信局1の基本構成図にあって、隣接するSSRサイト50、モードA/C機60、モードA/C質問・応答信号61、モードSスキッタ又はモードS応答信号62、モードA/C応答信号63、モードS機70を加えたものである。
【0066】
実際の環境では、隣接SSRサイト50、モードA/C機60、モードS機70とも複数であるが、説明を簡単にするためにそれぞれ1サイト及び1機ずつとしている。
この図2において、各受信局1,2,…,Nでは、モードS機70からのモードS応答に加えて隣接SSRサイト50からの質問に応答するモードA/C機からの応答信号が、例えば受信局Nでは符号63で表すように受信される。
【0067】
又、図3に示すタイムチャートにおいて、符号S1は隣接SSRサイト50のノースタイミング信号を示し、符号S2はモードA/C機60からのモードA/C応答を受信・検波手段12で受信検波しSSR応答デコード手段12でデコードして得られる信号(モードA/C応答データ)を示す。
又、符号S3はGPS受信・時刻抽出手段16Bで抽出されたGPSの1PPS信号(時刻信号)を示し、符号S4は符号S3に同期したタイミングで生成され出力されるモードA/C抽出ゲート信号(基準ゲート信号)の一例を示す。
【0068】
更に、符号S5は擬似ランダムデータを用いて発生タイミングを不規則にさせたモードA/C抽出ゲート信号RTで、擬似ランダムタイミングゲート発生手段15で生成され出力される不規則ゲート信号の例を示す。
【0069】
即ち、記号T6,T7,T8は、記号S2のSSR応答が継続的にモードA/C抽出ゲートに入らないタイミングであることを示す矢印である。また、記号T9は、記号S2のSSR応答がモードA/C抽出ゲートに入るタイミングがあることを示す矢印である。
【0070】
この図3において、受信局1からのモードA/C応答を間引く(抽出する)ために1秒当たりTac時間幅のモードA/C抽出ゲートRT(不規則な抽出ゲート信号)を発生し、この時間だけモードA/C応答を受信局1から位置情報算出手段120に出力する。
【0071】
実際の環境として、複数の航空機や複数のSSR地上局を考えると、S2に示すような応答が全ての時間帯にわたって受信局に入力されることになる。しかしながら、ここでは説明を簡単にするためにモードA/C機1機からの応答を表示している。
【0072】
この符号S5に示すように、抽出タイミングをGPS正秒に対し擬似ランダムにずらせているため、間引かれるモードA/C応答があるものの、タイミングT9に示すように何処かのタイミングの抽出ゲートでピックアップされることから、常に規則的に特定のモードA/C応答が除去されるという不都合はない。
【0073】
今、仮に、GPS正秒に同期した抽出ゲートS4を適用することを想定する。そして、隣接SSRサイト50のアンテナ回転数が1秒の整数倍に近い値とすると、タイミングT6〜T8に示すように、信号S4は信号S1に対して、常に同じように、モードA/C抽出ゲートに入らないタイミングで出力される事態が発生する。
【0074】
この場合、隣接SSRサイト50のモードA/C応答について適用すると、ほとんど常にある方位範囲のモードA/C応答が除去されることになる。従って、モードA/C抽出ゲート信号でモードA/C応答を間引くためには、ゲート信号発生の擬似ランダム性が必要になる。ここで、間引くとは、本実施形態では、この時間だけモードA/C応答を特定し受信局1から位置情報算出手段120に伝送することを意味する。上述した各内容説明にあっても同様である。
【0075】
〔実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態にあっては、各受信局1,2,…Nで多量に受信されるモードA/C応答について、各受信局1,2,…Nが、GPS正秒に対し予め定められた擬似的にランダムなタイミングで発生させたモードA/C抽出ゲート信号によりモードA/C応答を選択的に抽出(間引いたモードA/Cゲート信号を伝送)することにより、特定の航空機からのモードA/C応答を連続的に削除することなくそれぞれの受信局からのモードA/C応答数を削減することができるという特長を有している。
【0076】
上述した実施形態については、その新規な技術的な内容の要点をまとめると、以下のようになる。尚、本発明は必ずしもこれに限定するものではない。
【0077】
(付記1)
相互に所定間隔を隔てて地上局として設置され航空機などの目標物が搭載するトラスポンダから送信されるスキッタ信号若しくはSSR応答信号を受信する複数の受信局と、この複数の受信局で受信された各受信信号の到達時間差から目標物の三次元位置情報を算出すると共に前記受信信号から対応する目標物からの識別情報を得るようにした目標処理装置としてのセンタ局とを備えたマルチラテレーションシステムにあって、
前記各受信局は、受信し取り出された前記SSR応答信号をデコードして航空機からの情報を分析するSSR応答デコード手段と、このSSR応答デコード手段でデコードされたモードSスキッタ,モードS応答,およびモードA/Cを含む情報を受信時刻情報と共にメッセージに編集して前記センタ局へ出力するメッセージ生成手段とを備え、
このSSR応答デコード手段と前記メッセージ生成手段との間に、前記SSR応答デコード手段より出力される受信信号から前記モードA/Cを経時的に不規則に間引いて前記メッセージ生成手段に送り込むモードA/C信号間引手段を介装したことを特徴とするマルチラテレーションシステム。
【0078】
(付記2)
付記1に記載のマルチラテレーションシステムにおいて、
前記SSR応答デコード手段と前記メッセージ生成手段との間に、モードS応答にかかる信号を伝送する一方の伝送回路と、この一方の伝送回路に併設して前記モードA/C応答にかかる信号を伝送する他方の伝送回路とを配設し、
前記モードA/C信号間引手段を前記他方の伝送回路側に配置したことを特徴とするマルチラテレーションシステム。
【0079】
(付記3)
付記2に記載のマルチラテレーションシステムにおいて、
前記モードA/C信号間引手段は、当該モードA/C信号間引手段で実行される前記モードA/C信号の間引き処理を、外部入力され且つ経時的に不規則に変化する間引き用のランダムタイミングゲート信号に基づいて実行するようにしたことを特徴とするマルチラテレーションシステム。
【0080】
(付記4)
付記3に記載のマルチラテレーションシステムにおいて、
前記モードA/C信号間引手段に、前記間引き用のランダムタイミングゲート信号を生成する疑似ランダムタイミングゲート信号発生手段を併設すると共に、
この疑似ランダムタイミングゲート信号発生手段に、前記ランダムタイミングゲート信号生成用の基準ゲート信号を生成する基準信号生成手段を併設したことを特徴とするマルチラテレーションシステム。
【0081】
(付記5)
付記4に記載のマルチラテレーションシステムにおいて、
前記基準信号生成手段を、GPS信号を受信するGPS受信アンテナと、この受信されたGPS正秒を抽出するGPS受信・時刻情報抽出手段とを備えた構成とすると共に、
前記GPS受信・時刻情報抽出手段が、前記GPS正秒に基づいて前記ランダムタイミングゲート信号生成用の基準ゲート信号を生成する基準ゲート信号生成機能を備えていることを特徴としたマルチラテレーションシステム。
【0082】
(付記6)
相互に所定間隔を隔てて地上局として設置され航空機などの目標物が搭載するトラスポンダから送信されるスキッタ信号若しくはSSR応答信号を受信する複数の受信局と、この複数の受信局で受信された各受信信号の到達時間差から目標物の三次元位置情報を算出すると共に前記受信信号から対応する目標物からの識別情報を得るようにした目標処理装置としてのセンタ局とを備えたマルチラテレーションシステムにあって、
前記各受信局の内の一の受信局で受信し取り出された前記SSR応答信号を、SSR応答デコード手段がデコードして航空機からの情報を分析し、
このSSR応答デコード手段でデコードされ分析されて得られたモードSスキッタ,モードS応答,およびモードA/Cを含む情報の内の前記モードSスキッタ及びモードS応答を含む情報を、SSR応答デコード手段がメッセージ生成手段へ転送すると共に、前記モードA/Cについてはこれを、モードA/C信号間引手段が経時的に不規則に間引いて前記メッセージ生成手段に転送する構成とし、
このSSR応答デコード手段から直接送り込まれるモードSスキッタ及びモードS応答を含む情報と前記モードA/C信号間引手段から送り込まれる経時的に不規則に間引枯れたモードA/C信号とを、前記メッセージ生成手段がメッセージに編集して前記センタ局へ出力する構成としたことを特徴としたマルチラテレーション受信局の信号処理方法。
【0083】
(付記7)
付記6に記載のマルチラテレーションシステム受信局の信号処理方法において、
前記モードA/C信号間引手段で実行される前記モードA/C信号の間引き処理は、前記モードA/C信号間引手段に外部入力され且つ経時的に不規則に変化する間引き用のランダムタイミングゲート信号に基づいて実行するようにしたことを特徴とするマルチラテレーション受信局の信号処理方法。
【0084】
(付記8)
付記7に記載のマルチラテレーションシステム受信局の信号処理方法において、
間引き用のランダムタイミングゲート信号は、基準信号生成手段がGPS信号を受信すると共に当該受信したGPS信号のタイミングに基づいてモードA/C信号捕捉用の基準ゲート信号を生成し、
この生成された基準ゲート信号を構成する各ゲートパルスの出力タイミングを、疑似ランダムタイミングゲート信号発生手段が不規則に変化させるように出力制御することにより生成したことを特徴とするマルチラテレーション受信局の信号処理方法。
【0085】
(付記9)
相互に所定間隔を隔てて地上局として設置され航空機などの目標物が搭載するトラスポンダから送信されるスキッタ信号若しくはSSR応答信号を受信する複数の受信局と、この複数の受信局で受信された各受信信号の到達時間差から目標物の三次元位置情報を算出すると共に前記受信信号から対応する目標物からの識別情報を得るようにした目標処理装置としてのセンタ局とを備えたマルチラテレーションシステムにあって、
前記各受信局の内の一の受信局で受信し取り出された前記SSR応答信号をデコードして航空機からの情報を分析するSSR応答信号分析処理機能、
このデコードされ分析されて得られたモードSスキッタ,モードS応答,およびモードA/Cを含む情報の内の前記モードSスキッタ及びモードS応答を含む情報を、メッセージ生成手段へ転送処理すると共に、前記モードA/Cについてはこれを経時的に不規則に間引いて前記メッセージ生成手段に転送する情報転送処理機能、
及び前記SSR応答デコード手段から直接送り込まれるモードSスキッタ及びモードS応答を含む情報と経時的に不規則に間引かれて送り込まれるモードA/C信号とを、メッセージの形態に編集して前記センタ局へ出力するメッセージ生成出力処理機能、
をコンピュータに実現させるようにしたことを特徴とするマルチラテレーション受信局用信号処理プログラム。
【0086】
(付記10)
付記9に記載のマルチラテレーションシステム受信局用信号処理プログラムにおいて、
前記モードA/C信号の間引き処理を、外部入力され且つ経時的に不規則に変化する間引き用のランダムタイミングゲート信号に基づいて実行する間引き処理実行機能を設け、 これを前記コンピュータに実現させるようにしたことを特徴とするマルチラテレーション受信局用信号処理プログラム。
【産業上の利用可能性】
【0087】
一定周期で複数の情報が複数箇所から同時に連続して送られてくる信号集中受信局の信号処理に好適な手法である。
【符号の説明】
【0088】
1,2,…N 受信局
1a,2a,…Na L帯無指向性アンテナ
11 受信・検波手段
12 SSR応答デコード手段
12A 一方の伝送回路
12B 他方の伝送回路
13 メッセージ生成手段
14 モードA/C信号間引き手段(モードA/C信号選択抽出手段)
15 擬似ランダムゲート発生手段
16 基準信号生成手段
16A GPSアンテナ
16B GPS受信・時刻抽出手段
60 モードA/C機
61 モードA/C質問及び応答
62 モードS応答
63 モードA/C応答
70 モードS機
120 位置情報抽出手段
130 管制支援手段
S1 隣接SSRサイトのノース信号タイミング
S2 隣接SSRサイトからの質問に対するモードA/C応答例
S3 GPSからの時刻信号(1PPS信号)
S4 1PPS信号に同期したモードA/C抽出用のゲート信号
S5 ランダムなタイミングで発生させたモードA/C抽出用のゲート信号
Td GPS正秒からの遅延時間
Tac モードA/C抽出用ゲート信号の時間幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に所定間隔を隔てて地上局として設置され航空機などの目標物が搭載するトラスポンダから送信されるスキッタ信号若しくはSSR応答信号を受信する複数の受信局と、この複数の受信局で受信された各受信信号の到達時間差から目標物の三次元位置情報を算出すると共に前記受信信号から対応する目標物からの識別情報を得るようにした目標処理装置としてのセンタ局とを備えたマルチラテレーションシステムにあって、
前記各受信局は、受信し取り出された前記SSR応答信号をデコードして航空機からの情報を分析するSSR応答デコード手段と、このSSR応答デコード手段でデコードされたモードSスキッタ,モードS応答,およびモードA/Cを含む情報を受信時刻情報と共にメッセージに編集して前記センタ局へ出力するメッセージ生成手段とを備え、
このSSR応答デコード手段と前記メッセージ生成手段との間に、前記SSR応答デコード手段より出力される受信信号から前記モードA/Cを経時的に不規則に間引いて前記メッセージ生成手段に送り込むモードA/C信号間引手段を介装したことを特徴とするマルチラテレーションシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のマルチラテレーションシステムにおいて、
前記SSR応答デコード手段と前記メッセージ生成手段との間に、モードS応答にかかる信号を伝送する一方の伝送回路と、この一方の伝送回路に併設して前記モードA/C応答にかかる信号を伝送する他方の伝送回路とを配設し、
前記モードA/C信号間引手段を前記他方の伝送回路側に配置したことを特徴とするマルチラテレーションシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のマルチラテレーションシステムにおいて、
前記モードA/C信号間引手段は、当該モードA/C信号間引手段で実行される前記モードA/C信号の間引き処理を、外部入力され且つ経時的に不規則に変化する間引き用のランダムタイミングゲート信号に基づいて実行するようにしたことを特徴とするマルチラテレーションシステム。
【請求項4】
請求項3に記載のマルチラテレーションシステムにおいて、
前記モードA/C信号間引手段に、前記間引き用のランダムタイミングゲート信号を生成する疑似ランダムタイミングゲート信号発生手段を併設すると共に、
この疑似ランダムタイミングゲート信号発生手段に、前記ランダムタイミングゲート信号生成用の基準ゲート信号を生成する基準信号生成手段を併設したことを特徴とするマルチラテレーションシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のマルチラテレーションシステムにおいて、
前記基準信号生成手段を、GPS信号を受信するGPS受信アンテナと、この受信されたGPS正秒を抽出するGPS受信・時刻情報抽出手段とを備えた構成とすると共に、
前記GPS受信・時刻情報抽出手段が、前記GPS正秒に基づいて前記ランダムタイミングゲート信号生成用の基準ゲート信号を生成する基準ゲート信号生成機能を備えていることを特徴としたマルチラテレーションシステム。
【請求項6】
相互に所定間隔を隔てて地上局として設置され航空機などの目標物が搭載するトラスポンダから送信されるスキッタ信号若しくはSSR応答信号を受信する複数の受信局と、この複数の受信局で受信された各受信信号の到達時間差から目標物の三次元位置情報を算出すると共に前記受信信号から対応する目標物からの識別情報を得るようにした目標処理装置としてのセンタ局とを備えたマルチラテレーションシステムにあって、
前記各受信局の内の一の受信局で受信し取り出された前記SSR応答信号を、SSR応答デコード手段がデコードして航空機からの情報を分析し、
このSSR応答デコード手段でデコードされ分析されて得られたモードSスキッタ,モードS応答,およびモードA/Cを含む情報の内の前記モードSスキッタ及びモードS応答を含む情報を、SSR応答デコード手段がメッセージ生成手段へ転送すると共に、前記モードA/Cについてはこれを、モードA/C信号間引手段が経時的に不規則に間引いて前記メッセージ生成手段に転送する構成とし、
このSSR応答デコード手段から直接送り込まれるモードSスキッタ及びモードS応答を含む情報と前記モードA/C信号間引手段から送り込まれる経時的に不規則に間引枯れたモードA/C信号とを、前記メッセージ生成手段がメッセージに編集して前記センタ局へ出力する構成としたことを特徴としたマルチラテレーション受信局の信号処理方法。
【請求項7】
請求項6に記載のマルチラテレーションシステム受信局の信号処理方法において、
前記モードA/C信号間引手段で実行される前記モードA/C信号の間引き処理は、前記モードA/C信号間引手段に外部入力され且つ経時的に不規則に変化する間引き用のランダムタイミングゲート信号に基づいて実行するようにしたことを特徴とするマルチラテレーション受信局の信号処理方法。
【請求項8】
請求項7に記載のマルチラテレーションシステム受信局の信号処理方法において、
間引き用のランダムタイミングゲート信号は、基準信号生成手段がGPS信号を受信すると共に当該受信したGPS信号のタイミングに基づいてモードA/C信号捕捉用の基準ゲート信号を生成し、
この生成された基準ゲート信号を構成する各ゲートパルスの出力タイミングを、疑似ランダムタイミングゲート信号発生手段が不規則に変化させるように出力制御することにより生成したことを特徴とするマルチラテレーション受信局の信号処理方法。
【請求項9】
相互に所定間隔を隔てて地上局として設置され航空機などの目標物が搭載するトラスポンダから送信されるスキッタ信号若しくはSSR応答信号を受信する複数の受信局と、この複数の受信局で受信された各受信信号の到達時間差から目標物の三次元位置情報を算出すると共に前記受信信号から対応する目標物からの識別情報を得るようにした目標処理装置としてのセンタ局とを備えたマルチラテレーションシステムにあって、
前記各受信局の内の一の受信局で受信し取り出された前記SSR応答信号をデコードして航空機からの情報を分析するSSR応答信号分析処理機能、
このデコードされ分析されて得られたモードSスキッタ,モードS応答,およびモードA/Cを含む情報の内の前記モードSスキッタ及びモードS応答を含む情報を、メッセージ生成手段へ転送処理すると共に、前記モードA/Cについてはこれを経時的に不規則に間引いて前記メッセージ生成手段に転送する情報転送処理機能、
及び前記SSR応答デコード手段から直接送り込まれるモードSスキッタ及びモードS応答を含む情報と経時的に不規則に間引かれて送り込まれるモードA/C信号とを、メッセージの形態に編集して前記センタ局へ出力するメッセージ生成出力処理機能、
をコンピュータに実現させるようにしたことを特徴とするマルチラテレーション受信局用信号処理プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のマルチラテレーションシステム受信局用信号処理プログラムにおいて、
前記モードA/C信号の間引き処理を、外部入力され且つ経時的に不規則に変化する間引き用のランダムタイミングゲート信号に基づいて実行する間引き処理実行機能を設け、 これを前記コンピュータに実現させるようにしたことを特徴とするマルチラテレーション受信局用信号処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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