説明

マンコンベア

【課題】衣服がビスに一旦引っ掛かったり、スカートガードと踏段との間に吸い込まれたりしても外れるマンコンベアを得る。
【解決手段】マンコンベアは、無端状に連結されて循環移動する複数の踏段と、上記踏段の両側の側面に近接し互いに対向するとともに送風穴が開けられたスカートガードと、上記送風穴に空気を送る送風ホースと、を備えるマンコンベアにおいて、上記送風穴は山形の線上に開けられるとともに上り線分上に開けられる上記送風穴の中心軸は上記スカートガードの厚み方向からマイナス方向且つ上記踏段の移動方向に傾き、下り線分上に開けられる上記送風穴の中心軸は上記スカートガードの厚み方向からプラス方向且つ上記踏段の移動と反対方向に傾いている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、マンコンベアに関し、特に乗客の衣服の裾等が踏段とスカートガードとの間に挟まれることを抑止することができるマンコンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のマンコンベアは、移動経路を形成する一対の対向するスカートガードと、一対のスカートガード内の移動経路に設けられ、無端状に連結されて循環移動する複数の踏段と、各スカートガードの上方に設置されたデッキとを備えている。各デッキの踏段側の側面には複数の孔が設けられており、各デッキの内部には各孔に連通する一対の流路がそれぞれ設けられている。さらに、各流路に気体を送って各デッキの孔から気体を噴出させる送風手段が設置されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−176282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、各デッキの孔から一定方向に気体を噴出させても飾り金などのビスに衣服が引っ掛かると簡単には外れないという問題があり、また、裾の長いスカートやパンツの裾がスカートガードと踏段との間に吸い込まれるとそのまま引きずられるという問題がある。
【0005】
この発明は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、衣服がビスに一旦引っ掛かったり、スカートガードと踏段との間に吸い込まれたりしても外れるマンコンベアを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るマンコンベアは、無端状に連結されて循環移動する複数の踏段と、上記踏段の両側の側面に近接し互いに対向するとともに送風穴が開けられたスカートガードと、上記送風穴に空気を送る送風ホースと、を備えるマンコンベアにおいて、上記送風穴は山形の線上に開けられるとともに上り線分上に開けられる上記送風穴の中心軸は上記スカートガードの厚み方向からマイナス方向且つ上記踏段の移動方向に傾き、下り線分上に開けられる上記送風穴の中心軸は上記スカートガードの厚み方向からプラス方向且つ上記踏段の移動と反対方向に傾いている。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係るマンコンベアは、山形の線上に送風穴が開けられるとともに上り線分上に開けられる送風穴の中心軸はスカートガードの厚み方向からマイナス方向且つ踏段の移動方向に傾き、下り線分上に開けられる送風穴の中心軸はスカートガードの厚み方向からプラス方向且つ踏段の移動と反対方向に傾いているので、送風穴から吹き出される風により内側板やスカートガードの付近の気流の流れが一方向ではなく、衣服がビスに一旦引っ掛かったり、スカートガードと踏段との間に吸い込まれたりしても、簡単に外れる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明に係るマンコンベアの横断面図である。
【図2】この発明に係るスカートガードと内側板の正面図である。
【図3】スカートガードの上り線分上に開けられた送風穴の断面図である。
【図4】スカートガードの下り線分上に開けられた送風穴の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のマンコンベアの好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
図1は、この発明に係るマンコンベアの横断面図である。図2は、この発明に係るスカートガードと内側板の正面図である。図3は、スカートガードの上り線分上に開けられた送風穴の断面図である。図3(a)では、スカートガードの縦断面図である。図3(b)は、スカートガードの横断面図である。図4は、スカートガードの下り線分上に開けられた送風穴の断面図である。図4(a)では、スカートガードの縦断面図である。図4(b)は、スカートガードの横断面図である。
【0010】
この発明に係るマンコンベア1は、図1に示すように、無端状に連結されて循環移動する複数の踏段3と、踏段3の両側の側面にそれぞれ近接し互いに対向するとともに送風穴5が開けられたスカートガード7と、スカートガード7の上方に設置されるとともに送風穴9が開けられた内側板11と、送風穴5と送風穴9に空気を送る送風ホース13と、を備える。
【0011】
以下の説明においてスカートガード7や内側板11に開けられる送風穴5、9の位置を説明するときに使用する線を定義する。この送風穴5、9は線上に所定の距離だけ離間して開けられている。踏板とライザの交わる点をスカートガード7に水平に投影した点が踏段3の移動にともなって描く軌跡を基準線21と称す。そして、基準線21上の所定の間隔だけ離間した点から基準線21に対して垂直に伸びる線を垂線23と称す。
また、垂線23が基準線21から内側板11に向かう方向をプラス方向、内側板11から基準線21に向かう方向をマイナス方向と称す。
【0012】
スカートガード7には、所定の間隔だけ離間した点をそれぞれ出発点とし、踏段3が移動する方向に徐々に基準線21から離れ、隣接する点との距離の半分のところで逆に徐々に基準線21に近づく山形の線上に送風穴5は多数開けられている。送風穴5は直径1mmである。そして、踏段3の移動方向に進むに連れて基準線21から離れていく線分を上り線分、基準線21に近づいていく線分を下り線分と称すると、上り線分に開けられている送風穴5の中心軸はスカートガード7の厚み方向からマイナス方向にθ且つ踏段3の移動方向にθ傾いている。逆に、下り線分に開けられている送風穴5の中心軸はスカートガード7の厚み方向からプラス方向にθ且つ踏段3の移動と反対方向にθ傾いている。
【0013】
内側板11にも、基準線21と平行な第2の基準線25が設定されている。そして、第2の基準線25に垂線23を外挿して交わった点を設定している。内側板11には、スカートガード7と同様に、山形の線上に送風穴9が開けられている。送風穴9は直径1mmである。踏段3の移動方向に進むに連れて第2の基準線25から離れていく線分を上り線分、第2の基準線25に近づいていく線分を下り線分と称すると、上り線分に開けられている送風穴9の中心軸は内側板11の厚み方向からマイナス方向に且つ踏段3の移動方向に傾き、下り線分に開けられている送風穴9の中心軸は内側板11の厚み方向からプラス方向に且つ踏段3の移動と反対方向に傾いている。
なお、送風穴9は、脹ら脛の少し上までに風が当たるように設けられる。
【0014】
なお、送風穴5、9の中心軸のマイナス方向またはプラス方向への傾きは、15°以上75°以下が好ましく、30°以上45°以下がより好ましい。
また、送風穴5、9の中心軸の踏段3の移動方向または反対方向への傾きは、5°以上60°以下が好ましい。
【0015】
送風ホース13は、スカートガード7と内側板11の踏段3の反対側に配設され、スカートガード7と内側板11に開けられた送風穴5、9に対応する箇所に開口が設けられ、開口がスカートガード7と内側板11に開けられた送風穴5、9を含んで送風穴5、9の周囲で密閉されている。送風ホース13に空気を流すと開口を介して送風穴5、9から踏段3側に吹き出す。送風ホース13には、マンコンベア1が動作しているときに空気を流し、送風穴5、9からは10〜30メートル/秒程度の風速の風を起こす。
【0016】
このように山形の線上に送風穴5、9が開けられるとともに上り線分上には送風穴5、9の中心軸がマイナス方向且つ踏段3の移動方向に傾き、下り線分上には送風穴5、9の中心軸がプラス方向且つ踏段3の移動と反対方向に傾いているので、送風穴5、9から吹き出される風により内側板11やスカートガード7の付近の気流の流れが一方向ではなく、衣服がビスに一旦引っ掛かったり、スカートガード7と踏段3との間に吸い込まれたりしても、簡単に外れる。
【0017】
また、スカートガード7と内側板11との間に配設された飾り金のビスに衣服が引っ掛かってもスカートガード7と内側板11の両方の送風穴5、9から風が吹き出されるので、簡単に衣服をビスから自然に外れる。
【符号の説明】
【0018】
1 マンコンベア、3 踏段、5 送風穴、7 スカートガード、9 送風穴、11 内側板、13 送風ホース、21 基準線、23 垂線、25 第2の基準線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端状に連結されて循環移動する複数の踏段と、上記踏段の両側の側面に近接し互いに対向するとともに送風穴が開けられたスカートガードと、上記送風穴に空気を送る送風ホースと、を備えるマンコンベアにおいて、
上記送風穴は山形の線上に開けられるとともに上り線分上に開けられる上記送風穴の中心軸は上記スカートガードの厚み方向からマイナス方向且つ上記踏段の移動方向に傾き、下り線分上に開けられる上記送風穴の中心軸は上記スカートガードの厚み方向からプラス方向且つ上記踏段の移動と反対方向に傾いていることを特徴とするマンコンベア。
【請求項2】
上記スカートガードの上方に設置されるとともに上記送風穴が開けられた内側板を備えることを特徴とする請求項1に記載のマンコンベア。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate