説明

マンホール蓋の取替え工法

【課題】マンホールの取替え工事が、簡単な工法でかつ短時間で済むマンホール蓋の取り替え工法を提供すること。
【解決手段】新規なマンホール蓋の取替え工法である。当該工法は、
(a)路面をはつ(削)って、既設材を除去するとともに新蓋枠体セット面25を形成する既設材除去工程、
(b)斜壁管13の内側に充填空間28を形成する補強部形成枠27をセットする補強部形成枠セット工程、
(c)新蓋枠体セット面25に新蓋枠体33セットする新蓋枠体セット工程、
(d)新蓋枠体33の外周から流動硬化性のモルタルMを充填空間28等に充填する補強部形成工程、
(e)新蓋枠体33の周囲残空間を表層舗装材で充填する舗装表層形成工程。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンホール蓋の取替え工法に関する。本発明のマンホール蓋の取替え工法は、特に、既設マンホール蓋を、蓋枠体(受け枠)が高さの異なる新蓋枠体への取り替えを行う場合に好適なものである。ここで、マンホール蓋とは、蓋本体と蓋枠体とからなる合成物をいう。また、マンホールとは、コンクリートやアスファルトの路面下に形成される、上下水道、ガス、電気、電信等の暗渠用のマンホールを意味する。
【背景技術】
【0002】
マンホール施工後10〜20年経過すると、通常、取り替える必要がある。マンホール蓋(通常、鋳鉄製)の腐食や劣化、表面柄の擦り減りによる耐スリップ性能の低下等の理由による。そして、マンホール蓋の取り替えに際しては、従来、歩道に使用されていた蓋枠体(受け枠)高さ60mmのものも、従来車道用に使用されていた蓋受け枠高さ110mmのものに、設計変更する指示が施工主(国や地方自治体)から指示されることがほとんどである。歩道が車道に変更された場合でも、対応できるとともに、耐圧性等の機能向上の見地からである。
【0003】
ここで、一般的なマンホールは、上・下水管等の暗渠に、1個又は複数個の要素からなる直壁管11を連結させ、マンホールの最上段管を斜壁管13とし、該斜壁管13の上端に載置固定される蓋枠体(蓋受け枠)15で形成され、該蓋枠体15にはマンホール蓋17を着脱可能に嵌合させる(図1参照)。ここで、最上段管を斜壁管13とするのは、マンホール蓋17を介してのマンホール管に対する負荷荷重(圧縮荷重)を最小とするために、上端は人が出入りできる最小の口径(例えば600mmφ)とし、その下側の暗渠に連結する部分は、作業に支障をきたさない見地から、作業者(人)が自由に動ける口径(例えば900mmφ)としてある。なお、図例中、19は舗装表層、21は舗装基層、23は路盤(砕石部)である。
【0004】
そして、マンホール蓋を、蓋枠体(受け枠)の高いものに取り替えようとしたとき、蓋枠体をマンホールの最上段管の上面に調整リングや調整コンクリート(5〜10cm)(以下「調整リング等」という。)を介する構成の場合は、スペーサリング等を除去することにより、マンホール(蓋枠体)を路面から突出させずに取付け可能である。
【0005】
しかし、スペーサリング等を介在させずに蓋枠体を取付けている構成の場合、背の高い蓋枠体に取り替えようとしたとき、下記のような取替え工法では、マンホール蓋蓋枠体)が路面(表層舗装面)から突出してしまう。
【0006】
例えば、特許文献1・2に、下記構成のマンホール蓋の取替え工法が記載されている(図1〜5及び段落0022、平成15年10月15日付け補正の請求項1等参照)。
【0007】
マンホール蓋のある路面に、最上段管の略上面位置又は若干下側まで、削(ハツ)って、マンホール蓋と舗装材(路盤材、表層材)を除去する。該既設材除去工程後、最上段管の上面に施工した高さ調整部付きアンカーボルト(後施工型アンカーボルト)に蓋枠体を浮かしてセットする。そして、該蓋枠体と最上段管の上面との隙間を補強部形成枠で塞いだ後、自硬性で高流動性の無収縮性モルタル類を路盤材として充填する。そして、路盤材を養生後、舗装表層材を充填後、養生を経て実作業を終了する。
【0008】
このとき、スペーサリングを用いずにマンホール蓋(蓋枠体)を取付けている場合、マンホールの最上段管を蓋枠体の高さ増大分、はつ(削)ることが考えられる。しかし、最上段管の上面をはつると、最上段管の上端部強度に問題が発生し易い。特に、下水用マンホールのような場合、下水管内で発生する硫化水素や雨水中の硫黄酸化物でコンクリート製の内壁面が腐食していることが多い。
【0009】
そのように内壁面が腐食した最上段管の上面をはつると、最上段管の内壁面が同時に欠損する。このため、従来は最上段管の上面のはつりは、躊躇されていた。また、最上段管が斜壁管の場合特に上端開口部に、脆性破損しやすい鋭角状のひさし(庇)部が発生してその傾向が顕著となる。
【0010】
これらの理由のため、施工後10〜20年経過したマンホールのマンホール蓋の取り替え(特に別規格への)は、最上段管(斜壁管)ごと取り替えることが多かった。最上段管を取り替えるために、直壁管の内径900mmの場合、約1500mmの大きな大きさの孔を掘り、さらに、土を取り出した後、新しい斜壁管及び蓋枠体(受け枠)をセット固定し、最後に土を埋め戻し、コンクリート(アスファルト)等の打設が必要であった。
【0011】
これらの事情により、マンホール蓋の取替え工事は、多大な工数を必要とした。そして、昨今の交通事情にかんがみて、マンホール蓋の取替え工事は、工期短縮化の要請が増大しつつある。
【0012】
なお、腐食したマンホールの内壁面の補修工法として、特許文献3にプラスチック製のマンホール内面形成材(補強部形成枠)をマンホール内に配置し、その後、該内面形成材とマンホールの間にセメント系グラウト材(ポリマー混和型)を充填して硬化させる方法が記載されている(特許請求の範囲等参照)。この方法は、マンホール内壁面の補修を目的としており、マンホール蓋に対する重力(垂直)荷重に対する補強を意図したものではない。
【特許文献1】特開2004−3309号公報
【特許文献2】特開2004−68596号公報
【特許文献3】特開2001−248177号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は上記にかんがみて、マンホールの取替え工事が、簡単な工法でかつ短時間で済むマンホール蓋の取替え工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意開発に努力をした結果、下記構成のマンホール蓋の取替え工法に想到した。
【0015】
下記工程を含むことを特徴とするマンホール蓋の取替え工法。
【0016】
(a)路面から新蓋枠体を収納可能な高さまで削(ハツ)って、既設材を除去するとともにマンホールの最上段管の上端部に新蓋枠体セット面を形成する既設材除去工程、
(b)前記最上段管の新蓋枠体セット面に連続する内側に充填空間を形成する補強部形成枠をセットする補強部形成枠セット工程、
(c)前記新蓋枠体セット面に新蓋枠体を浮かしてセットする新蓋枠体セット工程、
(d)前記新蓋枠体の外周から流動硬化性の1種以上の補強性充填材を前記充填空間及び舗装基層形成部に充填する補強部/舗装基層形成工程、
(e)新蓋枠体の周囲の残空間を表層舗装材で充填する舗装表層形成工程、
上記構成とすることにより、新蓋枠体の下面と最上段管の上端面(ハツリ面を含む。)との隙間を介して、最上段管の上面に連続して開口部内側に補強部形成枠(強固に最上段管の内壁に結合されている。)で支持された充填補強部が形成されるため、最上段管の断面積が増大して、その耐荷重性の増大が期待できる。
【0017】
上記構成において、路面から新蓋枠体が収納可能なはつり深さが、マンホールの最上段管の上面に食い込むものである構成に適用することが本発明の効果が顕著となる。即ち、最上段管の上面を削っても、上記の如く、はつり部分が上面とともに内側を含めて囲繞補強されるため、最上段管の上面のはつりによる強度低下を補って余りある。
【0018】
さらに、最上段管が斜壁管である場合には、既設材除去工程と新蓋枠体セット工程との間に、最上段管の上端部内周部に充填溝を複数個形成する充填溝形成工程を加えることが望ましい。補強部を形成する充填空間への補強性充填材の注入(充填)を円滑に行うことができる。
【0019】
上記既設材除去工程を、マンホールと同心円状で、深さ方向に縮径する断面湾曲状又はテーパ状の切れ込みを入れて行うことが望ましい。形成路盤面の沈降を阻止でき路盤面形成に際して、転圧が不要となる。
【0020】
前記補強部形成枠として、ばね弾性板状材で形成された割り筒体を使用することが望ましい。最上段管が斜壁管であっても、割り筒体を巻き込んでマンホール内に挿入でき、補強部形成枠セット工程の工数短縮が可能となる。
【0021】
そして、上記補強性充填材としては、速硬性で高流動性の無収縮モルタルを使用することが望ましい。上記各構成と相まって、マンホール蓋の取替え工法の工期短縮をより促進できる。
【0022】
さらに、前記補強部形成枠枠セット工程の施工は、マンホールの前記最上段管の下側に位置するマンホール形成管位置まで延設させて施工することが好ましい。
【0023】
マンホール形成管の内壁が腐食している場合に、該内壁の補修も同時に可能となる。
【0024】
なお、本発明のマンホール蓋の取替え工法は、前記工法において、補強形成工程と路盤部形成工程とに分割し、その間に新蓋枠体セット工程を入れ込む、下記構成の方法としてもよい。作用・効果は前記方法と実質的に同様である。
【0025】
下記工程を含むことを特徴とするマンホール蓋の取替え工法。
【0026】
(a)路面から新蓋枠体が収納可能な高さまではつ(削)って、既設材を除去するとともにマンホールの最上段管の上端部に新蓋枠体セット面を形成する既設材除去工程、
(b)該新蓋枠体セット面に連続する前記最上段管の内側に充填空間を形成する補強部形成枠をセットする補強部形成枠セット工程、
(C)前記補強部形成枠の内側の充填空間に補強性充填材を充填する補強部形成工程
(d)前記新蓋枠体セット面に新蓋枠体をセットする新蓋枠体セット工程、
(e)前記新蓋枠体の外周から舗装基層材を舗装基層形成部に充填する舗装基層形成工程、
(f)新蓋枠体の周囲の残空間を舗装表層材で充填する表層舗装工程。
【0027】
また、本発明のマンホール蓋の取替え工法で形成したマンホール蓋枠体の取付け構造は、下記のような構成となる。
【0028】
既設マンホールの最上段管の上面に新蓋枠体が取付けられているマンホール蓋枠体の取付け構造において、
前記既設最上段管の内側に、最上段管の上面と連続して補強部が形成され、該補強部は既設マンホール形成管の壁面に固着された補強部形成枠に補強性充填材が充填されて形成されていることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の一実施形態を、図例に基づいて詳細に説明する。ここでは、斜壁管が断面両テーパのものを例に採り説明するが、断面片テーパの場合でも同様である。ここでは既設マンホール仕様が、マンホール径:600mm、斜壁管の上端フランジ径:1500mm、斜壁管高さ:450mm、直壁管内径:900mm、管平均肉厚:80mmにおいて、蓋受け枠高さ:60mmのものを、蓋受け枠高さ:110mmに変更する場合を例に採り説明する。
【0030】
(1)第1工程(既設材除去工程):図2参照
マンホール蓋を取り外した状態で、路面側から蓋受け枠の取付けフランジ径より大きな面積の路面の切断を行って、斜壁管の蓋受け枠取付け壁のフランジ部内側を、新蓋枠体(取替え蓋受け枠)をセット(据付)可能な新蓋枠体セット面(新据付凹部)25を形成する。
【0031】
このとき、路面切断は、特許文献1・2に記載の如く、マンホールと同心円上(平面円形状)で深さ方向に縮径する断面湾曲状(円弧状又は球面状)又はテーパ状に切れ込み25aを入れることが望ましい。平面矩形状とする場合に比して、切断面積を可及的に小さくできる。また、断面切断形状がテーパ状又は湾曲状であるため、垂直である場合に比して、既存の路盤で支持作用を分担するため、埋め戻し路面(表層舗装面)の経時沈降を抑制できる。結果的に路盤面形成工程において、路盤面の転圧が不完全な場合でも路面問題点が発生し難い。
【0032】
なお、水平方向の切断は、通常、はつりやサンダーにより行う。なお、この作業と同時、又は、前後工程として、マンホール内壁面11a、13aのケレン作業を、少なくとも補強層形成部位、即ち、斜壁管内壁面13aに対して行っておく。ここで、「ケレン」とは、既設マンホールのコンクリート面の、グラインダー等で汚れ(腐食層)除去とともに、粗面化処することをいう。「ケレン」作業は、後打ちモルタルとの密着性を確保するためである。
【0033】
(2)第2工程(補強部形成枠セット工程):図3参照
そして、補強部形成枠27を最上段管(斜壁管)13の内側にセットする。こうして、新蓋枠体セット面25に連続する内側に充填空間28を形成する。
【0034】
ここで、使用する補強部形成枠27は、現場施工でもよいが、通常、可能な限り工場生産したプレハブ(組立て)方式が望ましい。
【0035】
本実施形態では、FRP(繊維強化プラスチック)製の、逆漏斗状の割筒体27で形成する。より、具体的には、小径の上リング部27aと大径の下リング部27bとが本体テーパ部27cで連結されたものである。なお、本体テーパ部は蛇腹状としてもよい。蛇腹状としたときは、斜壁管の高さに応じて、補強部形成枠をそれぞれ別個に用意する必要がない。また、母線方向で等分割(3〜4分割)したものを組立て可能としてもよい。
【0036】
そして、FRPは割り円状とし、かつ、ばね弾性を有するため、ばね力に抗して縮径させることにより、マンホールの斜壁管内へ挿入可能である。なお、この割円状の補強部形成枠27の肉厚は1mm前後とする。なお、FRP材料としては、不飽和ポリエステル系、ポリフェノール系等を好適にしようできる。
【0037】
上記補強部形成枠27は、マンホールの内壁(斜壁管又は直壁管の)11a、13aに上・下リング部27a、27bの各周方向の等分割位置(通常、3〜4箇所)でアンカーボルト29A、29Bを用いて固定する。
【0038】
このとき、補強部形成枠27の割り円接合部27d及び下面隙間は、シーリング材(シーラント)で閉じておく。なお、補強部形成枠27の下端に予め弾性変形可能なシール部を外周に予め形成しておいてもよい。なお、補強部形成枠27とマンホール内壁面11a、13aとの間に形成される隙間は、例えば、20〜100mmの間で適宜設定する。
【0039】
(3)第3工程(充填溝形成工程):図4参照
斜壁管に形成した新蓋枠体セット面25の内周側に、周方向等分割の複数位置(図例では4箇所)に充填溝(モルタル充填口)31を形成する。この充填溝31の穿孔は、通常、コンクリート用ドリルで行う。なお、この工程は、上記第2工程(補強部形成枠セット工程)の前工程、すなわち、第1工程の後工程として行っても勿論よい。
【0040】
充填溝31の口径及び数は、補強性充填材(モルタル)の充填が円滑に行え、かつ、新蓋枠体セット面25の強度低下を招かない範囲なら特に限定されない。例えば、5〜15cmで、2〜6個とする。
【0041】
(4)第4工程(新蓋枠体セット工程):図5参照
新蓋枠体33を蓋体35とともに、新蓋枠体セット面25に高さ調節ボルト・ナット37を介してセットする。このとき、新蓋枠体セット面25と新蓋枠体33との間には隙間(10mm前後)Sが形成される。なお、高さ調節ボルト・ナットを使用しないときは、新蓋枠体セット面と受け枠フランジ面との間にスペーサ(10mm前後)を複数箇所(3箇所以上)介して、受け枠をセットする。
【0042】
(5)第5工程(補強部/路盤部形成工程):図6参照
次に、新蓋枠体25の周囲から、無収縮モルタルを、マンホール管(斜壁管)13の上端位置の高さまで打設する。ここで、無収縮モルタルとしては、速硬性無収縮モルタルが、交通遮断時間を短くできて望ましい。ここで、速効無収縮モルタルとしては、セメントモルタル(セメント:砂(細骨材)=1:1〜3)において、カルシア(酸化カルシウム、CaO)、アルミナ(Al2O3)及び三酸化硫黄(SO2)等を相対的に多量に含んで、無収縮性と速硬性とを付与し、少量の水(材料の1/4〜1/6)で高流動性を示すものが望ましい。より具体的には、「ネオフィット」の商品名(登録商標)で「セーブマシン株式会社」から販売されているもの等を使用可能である。
【0043】
ここで、新蓋枠体33の周囲に投入された無収縮性モルタルMは、新蓋枠体33のフランジ部33aと新蓋枠体セット面25との隙間から、(モルタル)充填溝31を経て、補強部形成枠とマンホール内壁面(斜壁筒内壁面)13aとの充填空間28及び新蓋枠体33の外周部の舗装基層形成部25bを充填する。充填後の無収縮性モルタルMは、養生工程を経て硬化する。このとき、例えば、上記「ネオフィット」は、充填完了後、1hで31N/mm2(試験条件20℃)の強度が得られる(「ネオフィット」パンフレット、2004.5.10発行参照)。
【0044】
なお、無収縮性モルタルの代わりに、充填剤として、樹脂混和モルタル(ポリマーエマルション混和セメント)や、無機充填剤を配合して無収縮性としたエポキシ樹脂等の架橋性樹脂や、未硬化のFRP樹脂材料を充填・硬化させてもよい。この場合は、補強部を形成後の舗装基層形成部25bは、やはり無収縮モルタルで形成し、二段打設とする。
【0045】
(6)第6工程(舗装表層形成工程):図7参照
上記無収縮モルタルMを養生後、該無収縮モルタルの上面、即ち、舗装基層21Aの上面に舗装表層19Aを形成する。即ち、新蓋枠体33の周囲の残空間を表層舗装材で充填硬化させて舗装表層19Aを形成する。このとき、周囲舗装面同じ材料でもよいが、通常、衝撃吸収性を有するアスファルトで形成するする。この舗装表層19Aの厚さは、通常、50mm前後である。
【0046】
こうして、既設マンホールの斜壁管(上端管)13の内周壁に強固な補強部が形成されるとともに、蓋枠体33は強固に安定保持された取付け構造となる。即ち、既設最上段管13の内側に、最上段管13の上面と連続して補強部39が形成され、該補強部39は既設マンホール形成管11、13の壁面に固着された補強部形成枠27に補強性充填材(モルタル)Mが充填されて形成されている。
【実施例】
【0047】
上記実施形態における工程において、直壁管(内径:900mmφ)11上に接続させた斜壁管(前述仕様と同じ)の上端を切断径D:840mmφ、はつり深さh1:60mmの設定ではつって新蓋枠体セット面25を形成した(図3参照)。そして、ガラス繊維強化FRP(ポリエステル系)製の下記仕様の補強部形成枠27を、アンカーボルトで4箇所ずつ取付るとともに、固定新蓋枠体セット面25の上端内周部に充填溝(100mmφ)31を形成した(図4参照)。
【0048】
このとき、補強部形成枠27としては、肉厚:16mm、上部内径:600mmφ、下部内径:870mmφ、上リング部高さ100mm、下リング部高さ:30mm、全高:430mmのものを使用した。
【0049】
その後、新蓋枠体セット面25にマンホール蓋(600mmφ、蓋枠体高さ110mm)の新蓋枠体をセット後、外周部から水で流動性を付与した高流動性無収縮モルタルを、斜壁管の上端位置(高さh2:60mm)まで流し込み、養生硬化させた(図6参照)。
【0050】
そして、マンホール蓋荷重試験(財団法人日本下水道規格「下水道用レジンコンクリート製マンホール JSWAS K−10に準じて)を行ったところ、安全率2倍(設計荷重150KN)の300kNの耐荷重性を示した。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明のマンホール蓋の取替え工法を適用するマンホールにおける既設マンホールのモデル断面図である。
【図2】本発明のマンホール蓋の取替え工法における既設材除去工程(第1工程)を示すモデル断面図である。
【図3】同じく補強部形成枠セット工程(第2工程)を示すモデル断面図である。
【図4】同じく補強性充填材の充填口形成工程(第3工程)を示すモデル断面図及び部分上面図である。
【図5】同じく新蓋枠体セット工程(第4工程)を示すモデル断面図及び要部拡大図である。
【図6】同じく補強部/舗装基層形成工程(第5工程)を示すモデル断面図及び要部拡大図である。
【図7】同じく舗装表層形成工程(第6工程)を示すモデル断面図である。
【符号の説明】
【0052】
25・・・新蓋枠体セット面
27・・・補強部形成枠
31・・・充填溝
33・・・新蓋枠体
35・・・新蓋体
39・・・補強部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記工程を含むことを特徴とするマンホール蓋の取替え工法。
(a)路面から新蓋枠体が収納可能な高さまではつ(削)って、既設材を除去するとともにマンホールの最上段管の上端部に新蓋枠体セット面を形成する既設材除去工程、
(b)前記最上段管の前記新蓋枠体セット面に連続する内側に充填空間を形成する補強部形成枠をセットする補強部形成枠セット工程、
(c)前記新蓋枠体セット面に新蓋枠体を浮かしてセットする新蓋枠体セット工程、
(d)前記新蓋枠体の外周から流動硬化性の1種以上の補強性充填材を前記充填空間及び舗装基層形成部に充填する補強部/舗装基層形成工程、
(e)新蓋枠体の周囲の残空間を表層舗装材で充填する舗装表層形成工程。
【請求項2】
前記路面から新蓋枠体が収納可能な深さが、前記マンホールの最上段管の既設上端面に食い込むものであることを特徴とする請求項1記載のマンホール蓋の取替え工法。
【請求項3】
前記最上段管が斜壁管であり、前記既設材除去工程と前記新蓋枠体セット工程との間に、前記最上段管の上端面内周部に充填溝を複数個形成する充填溝形成工程を加えることを特徴とする請求項2記載のマンホール蓋の取替え工法。
【請求項4】
前記既設材除去工程をマンホールと同心円で、深さ方向に径が狭まる断面湾曲状又はテーパ状の切れこみを入れて行うことを特徴とする請求項1、2又は3記載のマンホール蓋の取替え工法。
【請求項5】
前記補強部形成枠として、ばね弾性板状材で形成された割り筒体を使用することを特徴とする請求項1〜4いずれか記載のマンホール蓋の取替え工法。
【請求項6】
前記補強材として速硬性で高流動性の無収縮モルタルを使用することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のマンホール蓋の取替え工法。
【請求項7】
前記補強部形成枠セット工程において、前記補強部形成枠を、マンホールの最上段管の下側に位置するマンホール形成管の位置まで延設することを特徴とする請求項1〜6記載のいずれかに記載のマンホール蓋の取替え工法。
【請求項8】
下記工程を含むことを特徴とするマンホール蓋の取替え工法。
(a)路面から新蓋枠体が収納可能な高さまではつ(削)って、既設材を除去するとともにマンホールの最上段管の上端部に新蓋枠体セット面を形成する既設材除去工程、
(b)該新蓋枠体セット面に連続する前記最上段管の内側に充填空間を形成する補強部形成枠をセットする補強部形成枠セット工程、
(C)前記補強部形成枠の内側の充填空間に補強部形成充填材を充填する補強部形成工程
(d)前記新蓋枠体セット面に新蓋枠体をセットする新蓋枠体セット工程、
(e)前記新蓋枠体の外周から路盤材を路盤形成部に充填する路盤部形成工程、
(f)新蓋枠体の周囲の残空間を舗装表層材で充填する表層舗装工程。
【請求項9】
既設マンホールの最上段管の上面に新蓋枠体が取付けられているマンホール蓋の取替え構造において、
前記既設最上段管の内側に、最上段管の上面と連続して補強部が形成され、該補強部は既設マンホール形成管の壁面に固着された補強部形成枠に補強性充填材が充填されて形成されていることを特徴とするマンホール蓋の取替え構造。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−45764(P2006−45764A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−223667(P2004−223667)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(593107421)株式会社ナカケン (8)
【出願人】(000214696)長島鋳物株式会社 (38)
【Fターム(参考)】