説明

ミキサー

【課題】本発明の課題は、果実、野菜などの調理物の繊維質を良好に切削することができるミキサーを提供することである。
【解決手段】本発明のミキサー100は、回転駆動機構210と、刃部310と、容器400とを備える。刃部310は、回転駆動機構210によって回転する。容器400は、刃部310を囲う。刃部310は、複数の羽根320〜350を有する。複数の羽根320〜350は、容器400に向かって、それぞれ異なる方向に延びる。容器400は、複数のリブ410〜450を有する。複数のリブ410〜450は、容器400の内面470に形成される。1つの羽根320が、羽根320の近傍にあるリブ410に対して最短距離の位置にあるとき、その他の少なくとも1つの羽根330〜350は、羽根330〜350の近傍にあるリブ420〜450に対して最短距離の位置以外の位置にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミキサーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ミキサーの切削性を向上させる研究が行われている。例えば、特許文献1には、両端が上方に向かって屈曲されている上カッターと、一端が下方に向かって屈曲され、他端が下カッターの一端と上カッターとの間に位置されている下カッターとを備えるミキサーが開示されている。この特許文献1に記載のミキサーでは、上カッターおよび下カッターが適宜屈曲されていることで、切削性が向上している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−13734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このミキサーを用いて果実、野菜などの調理物を切削してジュースを作ったとき、ミキサーの切削性が不十分なために、なめらかなジュースが得られない場合がある。「なめらかなジュース」とは、2.0mm以上の大きさである繊維質の粒の割合が小さく、かつ、1.0mm超2.0mm未満の大きさである繊維質の粒の割合が大きく、飲んだときの舌触りが良好なジュースである。
【0005】
本発明の課題は、果実、野菜などの調理物の繊維質を良好に切削することができるミキサーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)
本発明のミキサーは、回転駆動機構と、刃部と、容器とを備える。刃部は、回転駆動機構によって回転する。容器は、刃部を囲う。刃部は、複数の羽根を有する。複数の羽根は、容器に向かって、それぞれ異なる方向に延びる。容器は、複数のリブを有する。複数のリブは、容器の内面に形成される。1つの羽根が、該羽根の近傍にあるリブに対して最短距離の位置にあるとき、その他の少なくとも1つの羽根は、該羽根の近傍にあるリブに対して最短距離の位置以外の位置にある。
【0007】
従来のミキサーでは、1つの羽根が、該羽根の近傍にあるリブに対して最短距離の位置にあるとき、その他の全ての羽根も、該羽根の近傍にあるリブに対して最短距離の位置にある。そのため、回転する刃部への抵抗が大きくなり、回転駆動機構の負荷が大きくなる。これにより、従来のミキサーでは、消費電力が増大すると共に、モーターロックが発生しやすくなり、回転駆動機構の耐久性が低下する。「モーターロック」とは、一時的に回転駆動機構に大きい負荷がかかることにより、回転駆動機構が止まる現象である。また、刃部の回転数が低下すると、果物、野菜などの調理物の繊維質が切削されにくくなるため、なめらかなジュースが得られにくい。「なめらかなジュース」とは、2.0mm以上の大きさである繊維質の粒の割合が小さく、かつ、1.0mm超2.0mm未満の大きさである繊維質の粒の割合が大きく、飲んだときの舌触りが良好なジュースである。
【0008】
ところが、本発明のミキサーでは、1つの羽根が、該羽根の近傍にあるリブに対して最短距離の位置にあるとき、その他の少なくとも1つの羽根は、該羽根の近傍にあるリブに対して最短距離の位置以外の位置にある。そのため、従来のミキサーよりも回転する刃部への抵抗が小さくなり、回転駆動機構の負荷が小さくなる。これにより、本発明のミキサーでは、消費電力が低減されると共に、モーターロックが発生しにくくなり、回転駆動機構の耐久性が向上する。また、刃部の回転数が低下しにくくなるため、調理物の繊維質が切削されやすくなり、なめらかなジュースが得られる。
【0009】
(2)
本発明のミキサーは、回転駆動機構と、刃部と、容器とを備える。刃部は、回転駆動機構によって回転する。容器は、刃部を囲う。刃部は、複数の羽根を有する。複数の羽根は、容器に向かって、それぞれ異なる方向に延びる。容器は、複数のリブを有する。複数のリブは、容器の内面に形成される。1つの羽根が、該羽根の近傍にあるリブと対向するとき、その他の少なくとも1つの羽根は、該羽根の近傍にあるリブと対向しない。
【0010】
従来のミキサーでは、1つの羽根が、該羽根の近傍にあるリブと対向するとき、その他の全ての羽根も、該羽根の近傍にあるリブと対向する。そのため、回転する刃部への抵抗が大きくなり、回転駆動機構の負荷が大きくなる。これにより、従来のミキサーでは、消費電力が大きくなると共に、モーターロックが発生しやすくなり、回転駆動機構の耐久性が低下する。また、従来のミキサーでは、刃部の回転数が低下して、調理物の繊維質が切削されにくくなるため、なめらかなジュースを得られにくい。
【0011】
ところが、本発明のミキサーでは、1つの羽根が、該羽根の近傍にあるリブと対向するとき、その他の少なくとも1つの羽根は、該羽根の近傍にあるリブと対向しない。そのため、回転する刃部への抵抗が小さくなり、回転駆動機構の負荷が小さくなる。これにより、本発明のミキサーでは、消費電力が低減されると共に、モーターロックが発生しにくくなり、回転駆動機構の耐久性が向上する。また、刃部の回転数が低下しにくくなるため、調理物の繊維質が切削されやすくなり、なめらかなジュースが得られる。
【0012】
(3)
上述(1)または(2)のミキサーでは、リブは、第1の面と、第2の面とを有することが好ましい。第1の面は、内面から立ち上がる。第2の面は、第1の面に接する。平面視において、内面は円形であり、第1の面および第2の面は内方に向かうに従って刃部の回転方向に傾斜する。また、平面視において、内面と第1の面との接点における法線と、第1の面とがなす第1の角度は、法線と第2の面とがなす第2の角度よりも小さい。
【0013】
第1の面は、刃部の回転によって発生する水流が当たることで、水の流れを乱しやすい。この水流の乱れにより、調理物は、第2の面に沿って容器の中心に向かう方向に向かって流されやすくなり、回転する刃部と接触しやすくなる。そのため、調理物は刃部で切削されやすくなり、なめらかなジュースが得られる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るミキサーは、果実、野菜などの調理物の繊維質を良好に切削することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るミキサーの正面図である。
【図2】図1に示したミキサーのA−A線断面図である。
【図3】図1に示したミキサーの蓋を外した状態の平面図である。
【図4】図3に示したミキサーのB部分の拡大図である。
【図5】従来のミキサーのリブの拡大図である。
【図6】実施例1に係る本発明のミキサーを用いて得られたジュース中の繊維の粒径分布のグラフである。
【図7】比較例1に係る従来のミキサーを用いて得られたジュース中の繊維の粒径分布のグラフである。
【図8】実施例2に係る本発明のミキサーを用いて得られたジュース中の繊維の粒径分布のグラフである。
【図9】実施例3に係る本発明のミキサーを用いて得られたジュース中の繊維の粒径分布のグラフである。
【図10】本発明の一実施形態の変形例(A)に係るミキサーの蓋を外した状態の平面図である。
【図11】図10に示したミキサーのC部分の拡大図である。
【図12】本発明の一実施形態の変形例(B)に係るミキサーの蓋を外した状態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1〜3に示されるように、本実施形態に係るミキサー100は、本体200と、容器台300と、容器400とを備える。容器台300は、容器400の下方に取り付けられており、容器400は、容器台300を介して本体200に着脱自在に取り付けられる。
【0017】
<本体>
本体200は、回転駆動機構210と、駆動軸220と、複数のスイッチ230とを有する。回転駆動機構210は、駆動軸220を回転させるためのモーター等であり、本体200に内蔵される。各スイッチ230は、ミキサー100の電源のON・OFF、後述する刃部310の回転速度の調整などを行う際に用いられる。
【0018】
<容器台>
容器台300は、刃部310と、従動軸360とを有する。刃部310は、2枚の上羽根320,330と、2枚の下羽根340,350とを持ち、従動軸360に固定される。上羽根320,330は、側面視において斜め上方に向かって曲げられた形状であり、下羽根340,350は、側面視において斜め下方に向かって曲げられた形状である(図2参照)。
【0019】
羽根320〜350は、平面視において、容器400に向かって、それぞれ異なる方向に延びる。上羽根320、下羽根340、上羽根330、下羽根350は、平面視において、この順で時計周りに、90°間隔で配置される(図3参照)。なお、羽根320〜350は、平面視において、上記以外の順で配置されてもよい。また、羽根320〜350は、90°間隔以外の間隔で配置されてもよい。そして、羽根320〜350の間隔は、全て同じであってもよいし、一部同じであってもよいし、全て異なっていてもよい。
【0020】
従動軸360は、容器400が本体200に取り付けられたとき、駆動軸220に連結される。そして、従動軸360は、回転駆動機構210によって回転する駆動軸220に連動して回転する。この従動軸360の回転によって、刃部310は回転する。
【0021】
<容器>
容器400は、内面470に形成される複数のリブ410,420,430,440,450と、容器400の開口を開閉する蓋460とを有する。また、容器400は、平面視において刃部310を囲う(図3参照)。容器400の材料は、ミキサー100で果実、野菜などの調理物を切削したときに傷がつきにくい素材であればよく、例えばガラス等が用いられる。
【0022】
容器400の内面470は、下方から上方に向かうに従って次第に内径が大きくなるように形成される。また、容器400の内面470は、平面視において円形である(図3参照)。なお、容器400の内面470は、平面視において楕円形であってもよい。
【0023】
リブ410〜450は、平面視において等間隔で配置され、側面視において上下方向に延びている(図2参照)。なお、リブ410〜450は、側面視において、下方から斜め上方に延びていてもよい。また、リブ410〜450の形状は、全て同じであってもよいし、一部同じであってもよいし、全て異なっていてもよい。
【0024】
上羽根320が、その近傍にあるリブ410に対して最短距離の位置にあるとき、上羽根330は、近傍にあるリブ430(またはリブ440)に対して最短距離の位置以外の位置にある(図3参照)。同時に、下羽根340は、近傍にあるリブ420に対して最短距離の位置以外の位置にあり、かつ、下羽根350は、近傍にあるリブ450に対して最短距離の位置以外の位置にある。すなわち、上羽根320が、その近傍にあるリブ410に対して最短距離の位置にあるとき、羽根330〜350は、それぞれの近傍にあるリブ420〜450に対して、最短距離の位置以外の位置にある。また、近傍にあるリブ410に対して最短距離の位置にある上羽根320の場合について説明を行ったが、近傍にあるリブ420〜450に対して最短距離の位置にある羽根330〜350のそれぞれの場合についても同様である。
【0025】
上羽根320とリブ410とが「最短距離」であるときとは、平面視において、羽根320の最も外方にある部分と、リブ410の最も内方にある部分とが最短距離であるときをいう。なお、上羽根320が、その近傍にあるリブ410に対して最短距離の位置にあるとき、羽根330〜350の一部は、それぞれの近傍にあるリブ420〜450に対して、最短距離の位置にあってもよい。
【0026】
また、上羽根320が、その近傍にあるリブ410と対向するとき、上羽根330は、近傍にあるリブ430(またはリブ440)と対向しない。同時に、下羽根340は、近傍にあるリブ420と対向せず、かつ、下羽根350は、近傍にあるリブ450と対向しない。すなわち、上羽根320が、その近傍にあるリブ410と対向するとき、羽根330〜350は、それぞれの近傍にあるリブ420〜450と対向しない。また、近傍にあるリブ410と対向する上羽根320の場合について説明を行ったが、近傍にあるリブ420〜450と対向する羽根330〜350のそれぞれの場合についても同様である。なお、上羽根320が、その近傍にあるリブ410と対向するとき、羽根330〜350の一部は、それぞれの近傍にあるリブ420〜450と対向してもよい。
【0027】
なお、ミキサー100において、リブの数、羽根の数は、それぞれ2つ以上であればよい。また、平面視において、リブおよび羽根がそれぞれ等間隔で配置される場合、上記のリブと羽根との最短距離の関係、およびリブと羽根との対向関係の少なくとも一方が容易に成立するように、羽根の数がn、リブの数が(n+1)であることが好ましい。
【0028】
また、刃部310は、側面視において、リブ410〜450のいずれとも対向しない羽根を有することが好ましい。この羽根を有するミキサー100は、調理物の繊維質がより切削されやすくなり、なめらかなジュースが得られる。
【0029】
図4を用いて、平面視におけるリブ410の形状について説明する。リブ410は、平面視において略六角形の形状であり、第1の面411と、第2の面412と、第3の面413と、第4の面414と、第5の面415とを有する。なお、リブ410は、平面視において、4つ以上の辺を有する略多角形の形状であればよい。
【0030】
第1の面411、第5の面415は、内面470から立ち上がる。そして、第1の面411は、後述する水の流れを乱しやすい水流a3を発生させやすい。第2の面412は、第1の面411と第3の面413とに接する。第4の面414は、第3の面413と第5の面415とに接する。
【0031】
第1の面411および第2の面412は、平面視において、内方に向かうに従って刃部310の回転方向a1に傾斜する。また、第1の面411および第2の面412は、刃部310の回転方向a1に対向する面である。
【0032】
第3の面413、第4の面414、第5の面415は、平面視において、刃部310の回転方向a1に対向しない面である。なお、第3の面413、第4の面414、第5の面415の形状は、特に限定されないが、リブ410の強度などを考慮して適宜調整される。
【0033】
第1の角度αは、平面視において、内面470と第1の面411との接点における法線Lと、第1の面411とがなす角度である。第2の角度βは、平面視において、法線Lと、第2の面412とがなす角度である。そして、第1の角度αは、第2の角度βよりも小さい。さらに、第1の角度αは0°超20°以下であることが好ましく、第2の角度βは70°以上90°未満であることが好ましく、第1の角度αと第2の角度βとの差は50°以上70°以下であることが好ましい。なお、リブ410は、平面視において、内方に向かうに従って刃部310の回転方向a1に傾斜すると共に、回転方向a1に対向する面を、第2の面412と第3の面413との間に1つ以上有していてもよい。
【0034】
次に、図4を用いて、ミキサー100内の調理物の流れについて説明する。まず、刃部310の回転によって、調理物は切削されて流動体となり、刃部310の回転方向a1と同じ方向に流れる水流a2が発生する。この水流a2が第1の面411に当たることで、水流a3が乱れる。この水流a3の乱れにより、流動体である調理物は、第2の面412に沿いつつ容器400の中心に向かう方向に流れる水流a4によって流され、回転する刃部310と接触しやすくなる。そのため、本発明のミキサー100では、調理物は、刃部310で切削されやすくなるので、なめらかなジュースとなりやすい。「なめらかなジュース」とは、2.0mm以上の大きさである繊維質の粒の割合が小さく、かつ、1.0mm超2.0mm未満の大きさである繊維質の粒の割合が大きく、飲んだときの舌触りが良好なジュースである。
【0035】
これに対して、図5を用いて、従来のミキサーに係る平面視における容器500のリブ510の形状、および、従来のミキサー内の調理物の流れについて説明する。リブ510は、平面視において略三角形の形状であり、内面570から立ち上がる面511,512を有する。面511は、面512に接している。刃部310の回転によって調理物は切削されて流動体となり、刃部310の回転方向a1と同じ方向に流れる水流a2が発生する。この水流a2によって流される調理物は、面511に沿う方向に概ね流れる水流a5によって流される。この水流a5は、上記の水流a4に比べて、容器500の中心に向かう方向に流れる勢いが弱い。そのため、従来のミキサーで切削される調理物は、本発明のミキサー100で切削される調理物よりも、容器500の中心に向かう方向に向かって流されにくいので、回転する刃部310と接触しにくい。
【実施例】
【0036】
本発明のミキサー100に係る実施例と、比較例とについて説明する。なお、これら実施例によって本発明は何ら限定されるものではない。
【0037】
(実施例1)
調理物である2cmの輪切りにした後に4等分にカットしたにんじん100gと、水180mlとをミキサー100に入れ、100Vで刃部310を1分間回転させてジュースを得た。このとき、ミキサー100の消費電力は、121Wであった。得られたジュースを、目開きが2.0mmのふるい、目開きが1.0mmのふるいの順に通過させた。そして、目開きが2.0mmのふるいに残ったジュース中の繊維と、目開きが1.0mmのふるいに残ったジュース中の繊維と、上記2つのふるいを通過したジュース中の繊維とについて、それぞれの重さを測定した。
【0038】
次に、各ふるいに残ったジュース中の繊維の重さ、および、上記2つのふるいを通過したジュース中の繊維の重さを、ジュース中の繊維の合計の重さでそれぞれ割って、ジュース中の繊維質の粒径分布を算出した。その結果、2.0mm以上の大きさである繊維質の粒の割合が6%、1.0mm超2.0mm未満の大きさである繊維質の粒の割合が43%、1.0mm以下の大きさである繊維質の粒の割合が51%であった。図6は、上記の値をグラフ化したものである。
【0039】
(比較例1)
従来のミキサーを用いた以外は、実施例1と同様にしてジュースを得た。特に、従来のミキサーに係る羽根とリブとの最短距離の条件は、実施例1のミキサーに係る羽根とリブとの最短距離の条件と同様である。なお、従来のミキサーでは、1つの羽根が該羽根の近傍にあるリブと対向するとき、その他の全ての羽根も、該羽根の近傍にあるリブと対向していた。また、従来のミキサーでは、1つの羽根が該羽根の近傍にあるリブに対して最短距離の位置にあるとき、その他の全ての羽根も、該羽根の近傍にあるリブに対して最短距離の位置にあった。そして、リブの形状が平面視において略三角形であった。
【0040】
実施例1と同様にして、ジュース中の繊維質の粒径分布を算出した。その結果、2.0mm以上の大きさである繊維質の粒の割合が51%、1.0mm超2.0mm未満の大きさである繊維質の粒の割合が12%、1.0mm以下の大きさである繊維質の粒の割合が37%であった。図7は、上記の値をグラフ化したものである。
【0041】
2.0mm以上の大きさである繊維質の粒の割合について、実施例1のジュースは比較例1のジュースより小さかった。また、1.0mm超2.0mm未満の大きさである繊維質の粒の割合について、実施例1のジュースは比較例1のジュースより大きかった。実施例1に係るジュースと、比較例1に係るジュースとを実際に飲んで官能試験を行ったところ、実施例1に係るジュースは、比較例1に係るジュースよりも、なめらかなジュースであった。
【0042】
(実施例2)
下記以外については、実施例1と同様にして、ジュースを得た。まず、電圧を50Vで印加し、3秒間に1Vの割合で95Vまで電圧を上げた後、95Vで電圧を維持させた。95Vで電圧を維持させているときのミキサー100の消費電力は、110Wであった。ジュースが出来上がるまでのモーターロックの発生回数を数えたところ、モーターロックの発生回数は8回であった。「モーターロック」とは、一時的に回転駆動機構210へ大きい負荷がかかることにより、回転駆動機構210が止まる現象である。
【0043】
実施例1と同様にして、ジュース中の繊維質の粒径分布を算出した。その結果、2.0mm以上の大きさである繊維質の粒の割合が11%、1.0mm超2.0mm未満の大きさである繊維質の粒の割合が34%、1.0mm以下の大きさである繊維質の粒の割合が55%であった。図8は、上記の値をグラフ化したものである。
【0044】
(実施例3)
下記以外については、実施例1と同様にして、ジュースを得た。まず、電圧を50Vで印加し、3秒間に1Vの割合で100Vまで電圧を上げた後、100Vで電圧を維持させた。100Vで電圧を維持させているときのミキサー100の消費電力は、120Wであった。ジュースが出来上がるまでのモーターロックの発生回数を数えたところ、モーターロックの発生回数は3回であった。
【0045】
実施例1と同様にして、ジュース中の繊維質の粒径分布を算出した。その結果、2.0mm以上の大きさである繊維質の粒の割合が7%、1.0mm超2.0mm未満の大きさである繊維質の粒の割合が41%、1.0mm以下の大きさである繊維質の粒の割合が52%であった。図9は、上記の値をグラフ化したものである。
【0046】
(比較例2)
下記以外は、比較例1と同様にして、ジュースを得た。まず、電圧を50Vで印加し、3秒間に1Vの割合で100Vまで電圧を上げた後、100Vで電圧を維持させた。100Vで電圧を維持させているときのミキサー100の消費電力は、130Wであった。なお、電圧を95Vで印加しても、刃部310は回転しなかった。ジュースが出来上がるまでのモーターロックの発生回数を数えたところ、モーターロックの発生回数は71回であった。また、モーターロックによって回転駆動機構210から発煙が3回発生した。モーターロックによる発煙発生後は、回転駆動機構210を冷却して温度を下げてから、100Vの電圧を印加して刃部310の回転を再開させた。
【0047】
実施例2では、実施例3の100Vより低い電圧である95Vで、刃部310を回転させた。しかし、実施例2に係るジュース中の繊維質の粒径分布は、実施例3に係るジュース中の繊維質の粒径分布と大きく変わらなかった。そのため、本発明のミキサー100は、電圧が100Vよりも低い場合でも、性能が極端に低下することなく、なめらかなジュースを得ることができた。
【0048】
実施例2では、95Vの電圧で刃部310が回転したが、比較例2では、95Vの電圧で刃部310が回転しなかった。そのため、本発明のミキサー100は、電圧が100Vより低い場合でも、刃部310を回転させることができた。
【0049】
モーターロックの発生回数は、実施例2では8回、実施例3では3回、比較例2では71回であった。そのため、本発明のミキサー100は、従来のミキサーよりもモーターロックの発生を抑制することができた。
【0050】
刃部310の回転時の消費電力は、実施例2では110W、実施例3では121W、比較例2では130Wであった。そのため、本発明のミキサー100では、従来のミキサーより、刃部310の回転時の消費電力が低減された。
【0051】
<本実施形態における効果>
従来のミキサーでは、1つの羽根が、該羽根の近傍にあるリブに対して最短距離の位置にあるとき、その他の全ての羽根も、該羽根の近傍にあるリブに対して最短距離の位置にある。そのため、回転する刃部への抵抗が大きくなり、回転駆動機構の負荷が大きくなる。これにより、従来のミキサーでは、消費電力が大きくなると共に、モーターロックが発生しやすくなり、回転駆動機構の耐久性が低下する。また、刃部の回転数が低下して、調理物の繊維質が切削されにくくなるため、なめらかなジュースが得られにくい。
【0052】
ところが、本発明のミキサー100では、上羽根320が、その近傍にあるリブ410に対して最短距離の位置にあるとき、羽根330〜350は、それぞれの近傍にあるリブ420〜450に対して最短距離の位置以外の位置にある。そのため、回転する刃部310への抵抗が小さくなり、回転駆動機構210の負荷が小さくなる。これにより、本発明のミキサー100では、消費電力が低減されると共に、モーターロックが発生しにくくなり、回転駆動機構210の耐久性が向上する。また、刃部310の回転数が低下しにくくなるため、調理物の繊維質が切削されやすくなり、なめらかなジュースが得られる。
【0053】
従来のミキサーでは、1つの羽根が、該羽根の近傍にあるリブと対向するとき、その他の全ての羽根も、該羽根の近傍にあるリブと対向する。そのため、回転する刃部への抵抗が大きくなり、回転駆動機構の負荷が大きくなる。これにより、従来のミキサーでは、消費電力が大きくなると共に、モーターロックが発生しやすくなり、回転駆動機構の耐久性が低下する。また、従来のミキサーでは、刃部の回転数が低下して、調理物の繊維質が切削しにくくなるため、なめらかなジュースを得られにくい。
【0054】
ところが、本発明のミキサー100では、上羽根320が、その近傍にあるリブ410と対向するとき、羽根330〜350は、それぞれの近傍にあるリブ420〜450と対向しない。そのため、回転する刃部310への抵抗が小さくなり、回転駆動機構210の負荷が小さくなる。これにより、本発明のミキサー100では、消費電力が低減されると共に、モーターロックが発生しにくくなり、回転駆動機構210の耐久性が向上する。また、刃部310の回転数が低下しにくくなるため、調理物の繊維質が切削されやすくなり、なめらかなジュースが得られる。
【0055】
第1の面411は、刃部310の回転によって発生する水流a2が当たることで、水流a3が乱れる。この水流a3の乱れにより、調理物は、第2の面412に沿って容器400の中心に向かう方向に向かって流されやすくなり、回転する刃部310と接触しやすくなる。そのため、調理物は刃部310で切削されやすくなり、なめらかなジュースが得られる。
【0056】
<変形例>
(A)
図10、11に示されるように、ミキサー100aの容器400aにおいて、リブ410aは、平面視において、内面470と第1の面411との間に形成される繋ぎ部416を有してもよい。繋ぎ部416は、平面視において、水流a2の当たる面が凹状の曲線である。また、リブ410aは、平面視において、内面470と第5の面415との間に形成される繋ぎ部417を有する。リブ420a,430a,440a,450aは、リブ410aと同様に繋ぎ部416,417を有する。
【0057】
図11に示されるように、繋ぎ部416によって、水流a2が第1の面411に滑らかに当たることで、リブ410aは、水流a3をより発生させやすい。そのため、この水流a3により、調理物は、第2の面412に沿って容器400aの中心に向かう方向a4に向かって流され、回転する刃部310とより接触しやすくなる。よって、調理物は刃部310でより切削されやすくなり、なめらかなジュースが得られる。
【0058】
(B)
図12に示されるように、ミキサー100bの容器400bは、上リブ410b,440bと、下リブ420b,430bとを有してもよい。上リブ410b,440bは、側面視において、刃部310が回転しているとき、上羽根320,330と対向し、かつ、下羽根340,350と対向しない上方の位置に形成される。下リブ420b,430bは、側面視において、刃部310が回転しているとき、下羽根340,350と対向し、かつ、上羽根320,330と対向しない下方の位置に形成される。
【0059】
ミキサー100bでは、側面視において、上羽根320が、その近傍にある上リブ440bと対向するとき、上羽根330は、近傍にある下リブ420bと対向しない。同時に、下羽根350は、近傍にあるリブ430bと対向するが、下羽根340は、近傍にある上リブ410bと対向しない。そのため、回転する刃部310への抵抗が小さくなり、回転駆動機構210の負荷が小さくなる。これにより、本発明のミキサー100bでは、消費電力が低減されると共に、モーターロックが発生しにくくなり、回転駆動機構210の耐久性が向上する。また、刃部310の回転数が低下しにくくなるため、調理物の繊維質が切削されやすくなり、なめらかなジュースが得られる。
【0060】
なお、羽根320〜350、リブ410b〜440bの配置は、側面視において、1つの羽根が、該羽根の近傍にあるリブと対向するとき、その他の少なくとも1つの羽根は、該羽根の近傍にあるリブと対向しないのであれば、適宜変更されてもよい。
【符号の説明】
【0061】
100,100a,100b ミキサー
210 回転駆動機構
310 刃部
320,330 上羽根(羽根)
340,350 下羽根(羽根)
400,400a,400b 容器
410,410a,420,420a,430,430a,440,440a,450,450a リブ
410b,440b 上リブ(リブ)
420b,430b 下リブ(リブ)
411 第1の面
412 第2の面
470 内面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動機構と、
前記回転駆動機構によって回転する刃部と、
前記刃部を囲う容器とを備え、
前記刃部は、前記容器に向かって、それぞれ異なる方向に延びる複数の羽根を有し、
前記容器は、前記内面に形成される複数のリブを有し、
1つの前記羽根が、該羽根の近傍にある前記リブに対して最短距離の位置にあるとき、その他の少なくとも1つの前記羽根は、該羽根の近傍にある前記リブに対して最短距離の位置以外の位置にあるミキサー。
【請求項2】
回転駆動機構と、
前記回転駆動機構によって回転する刃部と、
前記刃部を囲う容器とを備え、
前記刃部は、前記容器に向かって、それぞれ異なる方向に延びる複数の羽根を有し、
前記容器は、前記内面に形成される複数のリブを有し、
1つの前記羽根が、該羽根の近傍にある前記リブと対向するとき、その他の少なくとも1つの前記羽根は、該羽根の近傍にある前記リブと対向しないミキサー。
【請求項3】
前記リブは、前記内面から立ち上がる第1の面と、前記第1の面に接する第2の面とを有し、
平面視において、前記内面は円形であり、前記第1の面および前記第2の面は内方に向かうに従って前記刃部の回転方向に傾斜し、
平面視において、前記内面と前記第1の面との接点における法線と、前記第1の面とがなす第1の角度は、前記法線と前記第2の面とがなす第2の角度よりも小さい請求項1または2に記載のミキサー。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2013−22286(P2013−22286A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160619(P2011−160619)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000003702)タイガー魔法瓶株式会社 (509)
【Fターム(参考)】