説明

ミクロ流体回路のドロップを処理する方法

【課題】 ミクロ流体回路のドロップを処理する方法を提供することである。
【解決手段】 本発明は、ミクロ流体回路のドロップを処理する方法に関し、ドロップが流れる少なくとも1つのマイクロチャネル(12)を具備し、レーザー(26)が移送液体(F3)の前記ドロップのインターフェースに、または、前記ドロップのインターフェースに向けられ、ドロップの選別、より大きいドロップからナノドロップを形成、またはコンタクトのドロップ(60、64)を融合させ、および、前記ドロップに含まれる流体の間の反応を起こすことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体、および、第1の流体に含まれる第2の流体のドロップを含む少なくとも1つのマイクロチャネルを具備するミクロ流体回路のドロップを処理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ミクロ流体回路は、本願出願人の特許出願FR―A―2 873 171より知られている。そして、それは、一般的に約100μmの幅、および、50μmの深さを有しているマイクロチャネルを有するPDMS(ポリ-ジメチルシロキサン:poly-dimethylsiloxane)のような適切な材料に提供される。そこにおいて、空気、水、油、試薬などのような流体の非常に小さい流量は流れることができる。波長が回路の構成材料によって吸収されないレーザー光線は、マイクロチャネルの第1の流体流れ、および、少なくとも近くにある第2の流体のインターフェースに焦点を合わされ、このマイクロチャネルの第1の流体の流れを強制し、又は、止めるように、ドロップにそれを断片化し、それと第2の流体等を混ぜ合わせる。流体インターフェース上のレーザー光線の集束(focusing)は、このインターフェースに沿って温度勾配を生成し、流体の毛管の熱対流動きを起こす。
【発明の概要】
【0003】
本発明はその従来の文献に記載されている技術の開発、および、特殊用途に関する。
【0004】
本発明は、第1の流体、および、第1の流体中に含まれる第2の流体のドロップを含む少なくとも1つのマイクロチャネルを具備しているミクロ流体回路のドロップを処理する方法を提案する。この方法は、レーザー光線を前記ドロップの、および、第1の流体のインターフェースに焦点を合わせるステップを具備している。そこにおいて、ドロップのインターフェース上のレーザービームの集束からもたらされる前記流体の表面張力の熱感度は、それらのドロップを選別(sort)し、若しくは、それらのドロップをナノドロップに細分(fractionate)し、または、それらが異なって流体を含むときにそれらのドロップを融合させるのに使用される。レーザービームの波長は、それぞれ、この波長を透過するマイクロチャネルの第1の流体、および、構成する材料で、ドロップに含まれる第2の流体によってか、または、ドロップに含まれる異なる流体によって吸収されるように選ばれる。
【0005】
レーザービームを流体ドロップのインターフェースに焦点に合わすことによって、単純な、および、効果的な方法で提供される作業で、本発明が可能となる。そして、それは従来の技術では可能でなく、または、扱いにくく、および、複雑な方法の使用を必要とする。方法は:
-ドロップ認識の、および、回路に植設される電極の制御のコンピュータループによってあらかじめ可能となるだけの、異なる性質のドロップの選別をすることと、
-従来の技術の手段で可能でなかった液体が他のものに、または、他のものによって反応するときに、ナノドロップを形成し、および、異なる流体を含むドロップを融合し、一連のマイクロリアクタを形成することと、を具備する。
【0006】
本発明の別の特徴によれば、第1の流体にある第2の流体のドロップを選別するために、この方法も、Y字型の管から上流のレーザービームの焦点を合わせることと、上流に向けられた先端(tip)を具備する頂点(crest)と、この先端の端部とドロップの偏差方向(deviation direction)の反対側のマイクロチャネルの壁との間に位置づけられているレーザービームの焦点とから成る。
【0007】
方法は、また、第1の流体の異なる流体のドロップを選別するために、それらの異なる流体の表面張力の熱感度によって、それらのドロップを外れるように、又は、そうでないように、レーザービームによってドロップのインターフェースに伝えられるパワーをセットすることから成る。
【0008】
例えば、レーザービームは使用されることができ、水と空気とのインターフェース上で表面張力勾配を作成するために十分であるパワーは、水流中に含まれる気泡は偏差される。しかしながら、レーザービームのパワーはとても低く、液体−液体インターフェースの十分な表面張力勾配を作成することはできない。
【0009】
液体に適切な表面活性プロダクトを加えることによって、液体−液体ドロップインターフェースに向けられるレーザービームを持ってくるために、液体の表面張力を修正することは、また、可能であり、例えば偏差のない気体泡で液体ドロップを偏差させる。
【0010】
本発明の代わりにおいて、マイクロチャネルの表面にレーザービームを吸収する材料の点を堆積させ、ドロップが流れを選別されるときに、この方法も、この点上にレーザービームを向ける。
【0011】
その場合において、選別は、有効で、および、レーザービームの適切な制御を必要とする。
【0012】
別の本発明の特徴において、ナノドロップを1つのドロップに細分するために、方法は、レーザービームを、表面活性プロダクトを含んでいる第1の流体の流れのその下流のインターフェースに焦点に合わせることによって、ドロップを固定することと、および、この流体の流れによって上述したドロップのナノドロップを分離することとを具備する。
【0013】
本当の1つの通知、非常に薄い先端、この先端の第1の流体の流れの十分な速度勾配があるときに、下流に向けられて、および、イジェクトされることができるナノドロップがレーザービームによって固定されるドロップの上に形成される。作成されるナノドロップは、第1の流体によって沿って運ばれて、および、それで後方にある解析または使用のために別のマイクロチャネルに向けられることができる。例えば遠心で、ナノドロップ、および、他のドロップの大きなサイズの違いは、沈降によってマイクロチャネルの外でナノドロップを分離するために使用することができる。
【0014】
実際的には、細分されるドロップは、表面活性プロダクトを含む流体の流れによって、第1のマイクロチャネルに移送されることができ、および、レーザービームの焦点は、それで、このマイクロチャネルの、および、ナノドロップが偏差される別のマイクロチャネルの分岐のすぐ近くに位置づけられる。
【0015】
代わりの実施形態において、細分されるドロップは、形成されることができて、および、第2の流体を含んでいるマイクロチャネルの、および、少なくとも表面活性プロダクトを含んでいる流体が流れるマイクロチャネルのが接合するところで固定されることができる。
【0016】
別の本発明の特徴によれば、異なる流体を含んでいる2つのドロップを融合させるために、この方法は、第1の流体の流れの中で互いにドロップを接触することと、そうすると、レーザービームを2つのドロップのインターフェースに焦点を合わせることとを具備する。異なる流体は、異なる溶液であることができて、それは、同じ溶媒に含まれる異なる溶質で作成される。
【0017】
たとえば、上述したマイクロチャネルの第1のドロップの移送は、レーザービームをこのドロップの、および、第1のドロップのそれと異なる流体を含んでいる第2のドロップの到着までの第1の流体の下流のインターフェースに焦点を合わせることによってブロックされることができ、そうすると、それらを融合させるためにレーザービームを2つのドロップのインターフェースに焦点を合わせる。
【0018】
それらのドロップに含まれる流体は混和性を有し、および、レーザービームをドロップのインターフェースに焦点に合わせることはそれらの流体の混合を提供する。
【0019】
特に興味深い本発明の態様によれば、ドロップに含まれる流体は、互いに反応する。そして、融合するドロップがマイクロリアクタを形成する。
【0020】
ドロップが融合するときに、混合される試薬の量を変化するために融合するドロップのサイズを変化することができる。
【0021】
さらに、融合する少なくとも1つのドロップは、少なくとも異なる2つの流体を含むことができ、それは、レーザービームがこのドロップのインターフェースに焦点を合わせるるときに、互いに混合される流体を含むことができる。
【0022】
融合されるドロップに含まれる流体の反応は、ドロップのインターフェースに焦点を合わされるレーザービームによって起こされることができる。
【0023】
融合されるドロップにおける処理中の反応は、モニタされることができ、連続であるか不連続な方法で、ミクロ流体回路のドロップによって導かれる経路の少なくとも一部が最顕微鏡で、調べられる。
【0024】
本発明は、次の明細書を読み、添付の図面を参照し実施例として与えられるときに、より完全に理解され、他の特徴、詳細、および、その利点はより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係るミクロ流体回路のドロップの選別を概略的に示す図である。
【図2】本発明に係るミクロ流体回路のナノドロップの生成を概略的に示す図である。
【図3】本発明に係るミクロ流体回路のナノドロップの生成を概略的に示す図である。
【図4】本発明に係るミクロ流体回路のナノドロップの生成を概略的に示す図である。
【図5a】本発明に係る異なるミクロ流体回路のドロップ融合の相を概略的に示す図である。
【図5b】本発明に係る異なるミクロ流体回路のドロップ融合の相を概略的に示す図である。
【図5c】本発明に係る異なるミクロ流体回路のドロップ融合の相を概略的に示す図である。
【図5d】本発明に係る異なるミクロ流体回路のドロップ融合の相を概略的に示す図である。
【図5e】本発明に係る異なるミクロ流体回路のドロップ融合の相を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本願出願人の従来の特許出願FR―A―2 873 171において言及されるように、本発明で使用するミクロ流体回路は、例えばフレキシブルなリソグラフィの現在の技術を用いて、ポリジメチルシロキサン(poly―dimethylsiloxane(PDMS))型のポリマーのような適切な材料のプレート10から作成される。
【0027】
マイクロチャネル12は、顕微鏡のガラススライドが接着されるプレート10の表面で形成されることができる。一般的に、マイクロチャネル12は、約100μmの幅、および、50μmの深さを有する。それでも、それらのディメンションは、ナノメトリックなスケールと、ミリメトリックなスケールとの間で極めて広く可変的であることができる。
【0028】
図1において、ミクロ流体回路の示された部分は、マイクロチャネル12を具備する。それは、流体の流れ14、例えば水、油、反応性の液体などを通し、他のものからより容易に区別されるために、異なる方法で、一方はハッチングで、他方は点線で示される、第2の流体のドロップまたは泡16、および、第3の流体のドロップまたは泡18を含み、流れる。
【0029】
流れ14の中のドロップ16、および、18を選別するために、マイクロチャネル12はY字型の管を形成し、下流に2つのマイクロチャネル20、22に分けられ、上流に向けられた先端24を有することができる頂点(crest)が流れ14の反対方向のマイクロチャネル12の中央に実質的に延びる。この先端24は、臨界的(critical)なものでなくて、ドロップの偏差をより容易にさせる。
【0030】
選別は、ドロップ16または18の、および、流れ14を形成する流体のインターフェース上に適切なレーザービーム26の焦点を合わせることによって提供される。たとえばこのレーザービームは、約1kHzより高い繰返し数を有する連続であるかパルス化されたイオン化アルゴンジェネレータによって、たとえば、514nmの波長および10〜50mWの間に含まれるパワーを有して、生成されている。たとえば、1つとして、レーザーダイオードまたはYAG型レーザーを同様に使用することができる。
【0031】
たとえば、ドロップ16または18のインターフェース上のこのビームの衝撃に対応するレーザービーム26の点(spot)は、5〜15μmのオーダーの直径を有する。
【0032】
レーザービームの波長は、ミクロ流体回路の構成材料によって、流れ14を形成する流体によって、および、ドロップまたは泡18を構成している流体によって、吸収されないように選ばれる。この波長は、しかしながら、泡またはドロップ16を形成している流体によって吸収される。
【0033】
レーザービームは、マイクロチャネル20、および、22を分離している先端24の端部から上流で、泡またはドロップ16を偏差を要するマイクロチャネル20の方向と反対のマイクロチャネル12側に位置づけられるポイントに焦点を合われる。
【0034】
ドロップまたは泡の16の、および、流れ14を形成する流体のインターフェース上のこのポイントへのレーザービーム26の焦点は、このインターフェースに沿って温度勾配を作成し、泡またはドロップ16を形成する流体の毛管の熱対流動きが生じ、マイクロチャネル20への泡またはドロップ16に偏差させる。この偏差は先端24によって容易にされている。
【0035】
他の流体の泡またはドロップ18は、レーザービームを透過して、そして、偏差されない。結果として、それらは、マイクロチャネル22の流れ14によって移送される。
【0036】
約514nmの波長を有するレーザービームを使用することは、たとえば、この波長を吸収するフルオレセイン(fluorescein)を含むドロップと、この波長を透過する純水(pure water)ドロップとを選別することを可能にする。それらのドロップの経路に焦点に合わされるレーザービームは、フルオレセインを含むものを偏差させ、そして、それらは通常従っていく以外のマイクロチャネルにそれらを送ることを可能にする。
【0037】
1480nmのオーダーの波長を有するレーザーを用いて、水ドロップは偏差され、油ドロップは流れることが可能にされる。
【0038】
空気泡は、また、それらを流れから除去するために選別されることができ、たとえば、窒素によって吸収される波長のレーザービームを用いられる。
【0039】
別の形態として、レーザービームの波長を吸収する材料の点(spot)は、この流体がレーザービームの波長を吸収しない場合であっても、このマイクロチャネルを流れる流体に局所的に加熱することで、マイクロチャネル12の表面に堆積させることができる。泡またはドロップがこの点に到着するときに、いくらかのドロップまたは泡は、それで、吸収材料の点上にレーザービームを向けることにより、偏差されることができる。それゆえに、レーザージェネレータは、また、意図された時間に、スイッチがONおよびOFFされることができる。
【0040】
流体の表面張力の熱感度によってそれら流体を選別するために、使用するレーザービームのパワーは、2つの流体の間のインターフェース上の表面張力勾配を作成するようにセットされ、それは、それらの2つの流体の一方に含まれる1つの泡または1つのドロップを選別するのには十分であり、および、2つの他の流体の間のインターフェースの偏差を作成するには低すぎる。たとえば、液体流れに含まれる空気泡は、レーザービームを用いて偏差されることができ、そのパワーは、液体−気体インタフェースの意図されたレベルの表面張力勾配を作成するために十分であり、液体−液体インタフェース上への偏差の効果を予定しない。
【0041】
適切な表面活性プロダクトは、それらが液体−液体インタフェース上へのレーザービームによって、液体ドロップを偏差するように働くことを可能にし、空気泡無しで、液体に加えられることもできる。
【0042】
図2は、回路10のマイクロチャネル12の流体F1の流れからのナノドロップの生成モードを示す。それは、それの各辺上のマイクロチャネル12と位置合わせされ直角をなす2つのマイクロチャネル30の別の流体F2の流れの方法によってなされる。流体F2は、表面活性プロダクトを含んでおり、および、流体F1と混和性(miscible)を有さない。
【0043】
レーザービーム26は、その波長がミクロ流体回路によって、および、流体F2によって吸収されず、および、流体F1によって吸収される。そのレーザービーム26は、上述した交差から下流のマイクロチャネル12の流体F1をブロックするためにマイクロチャネル30との交差からすぐ下流に位置づけられるマイクロチャネル12の中心ポイントに焦点を合わさられる。
【0044】
流体F1は、マイクロチャネル12、および、30が交差する所で実質的にドロップ32を生成する。そして、このドロップは、このドロップと、流体F2との間の下流のインターフェースに焦点を合わされるレーザービーム26によって保持される。このドロップ上の流体F2の流れは、非常に薄い先端34および流体F2の効果に沿って運搬によって分離されるごくわずかなドロップ36を生成する。一般的に先端34のサイズに等しいサイズを有するそれら少量のドロップ36は、すなわちドロップ32のそれより著しく小さいディメンションである。一般的に、それら少量のドロップ36は、ドロップ32のそれより100倍小さいサイズしか有さず、そして、ナノドロップと呼ばれている。
【0045】
実施形態の実施例において、流体F1が水であり、流体F2は、デノミネイションスパン80として知られているような表面活性の少量(2重量%)を含んでいる油である。ドロップ32をブロックするために使用するレーザービーム26は、20〜50mWのオーダーのパワーを有する。マイクロチャネル12の水流量は、0.2マイクロリットル(microliter)/分のオーダーであり、マイクロチャネル30の油および表面活性の流量は、0.9マイクロリットル/分のオーダーである。作成されたナノドロップ36は、1,000nmのオーダーのサイズを有する。
【0046】
図3の代わりの実施形態において、流体F1、および、流体F2は、2つの位置合わせされたマイクロチャネル12、30に、お互いに対向する方向において流れる。それは第3の直角をなすマイクロチャネル40によって、それらの接合で連通する。レーザービーム26は、マイクロチャネル12の出口端で生成され、レーザービームによって保持される流体F1のドロップ42のインターフェースに焦点を合わされる。
【0047】
あらかじめ、マイクロチャネル40の下流に向けられる非常に薄い先端44、および、表面活性プロダクトを含んでいる流体フローF2によって分離されるナノドロップ46は、ドロップ42のインターフェースに生成される。
【0048】
図4の別の実施形態において、流体F1のドロップ48は、マイクロチャネル12を流れる流体F2の流れに含まれる。そして、それはマイクロチャネル12と直角をなす互いに対向する2つのマイクロチャネル50の下流へそれ自体分かれる。流体F1のドロップ48は、マイクロチャネル50の一方へ偏差される。それは、マイクロチャネル50の他方に位置づけられる側で、流体F2とのそのインターフェースのポイントにレーザービーム26の焦点を合わせることによってなされる。この他方のマイクロチャネル50から下流に向きを定められる非常に薄い先端52、および、流体F2の流れによって分離されるナノドロップ54は、レーザービーム26の衝撃ポイントで生成される。
【0049】
流体F2のドロップにできた試料に問題があり、または別の使用のために、例えば化学反応を目的とするときに、ナノドロップ36、46、および、54は、表面活性プロダクトによってコーティングされ、および、分析されることをたとえば目的とされ、それで生成されることができる。
【0050】
図5において略図で例示されるように、適切な波長を有するレーザービームを2つのドロップのインターフェースに焦点を合うようにすることによってそれらの2つのドロップが更に融合することを可能にする。
【0051】
通常、従来の技術において、異なる流体を含むドロップを融合させ、第3の流体によって移送されるのは、困難であり、可能でさえない。それは、3つの流体の流れが動的な方法で(in a dynamic manner)相互に作用しないだけでなく、第3の流体が、更に、第1および第2の流体を含むドロップ間にセパレーション膜を生成するためである。
【0052】
本発明によれば、2つのドロップ間のインターフェースにレーザービームの焦点を合わせることは、2つのドロップを分離する第3の流体膜の流れを生成し、および、それでそれらが融合することを可能にする。
【0053】
図5の典型的な実施形態において、第1の流体F1は、マイクロチャネル12の流体F3の流れによって移送されるドロップ60に含まれる。マイクロチャネル62は、流体F3の流れによって、広げられて、更に流され、別の流体F2のドロップ64を含み(代わりとして、流体F2の流れは、また、マイクロチャネル62の中を流れることが可能である)、流体F1、および、F2は混和性を有する。
【0054】
図5aにおいて、レーザービーム26を、第1のマイクロチャネル12のこのマイクロチャネルの出口端から少し下流のマイクロチャネル62から出ている流体F2のドロップ64のインターフェースに焦点に合わせることは、ドロップ64が流体F1のドロップ60の到着までブロックされることを可能にする。
【0055】
図5bに示すように、このドロップ60がマイクロチャネル12に位置づけられる流体F2のドロップ64の部分を打つときに、図5cに示すように、それらのコンタクトインターフェースがレーザービーム26を通過するまで、2つのドロップ60、および、64は、マイクロチャネル12を共に進行し始める。
【0056】
この時に、流れるレーザービームでインターフェースを加熱することによって導き入れる流れは、図5dに図示したように、2つのドロップをこの単一のドロップ66に融合させ、この単一のドロップ内に流体F1、および、F2が融合する。
【0057】
それで、図5eにて図示したように、単一のドロップ66は、流体F3の流れと並んで、マイクロチャネル12で運ばれる。
【0058】
混合された流体F1、および、F2が互いに反応するときに、この単一ドロップ66はマイクロリアクタを生成する。
【0059】
反応は、マイクロチャネル12のその経路に沿って、顕微鏡でドロップ66を調べることによってモニタされることができる。結局、この撮像部域において、通常の間隔で、ドロップ66が顕微鏡の撮像部域にとどまるかまたは再び通過するために、この経路は決定されることができる。
【0060】
流体F1およびF2を含むドロップ60、および、64は、要求されるように、サイズを変化することができ、そうすると、要求されるように、単一のドロップ66の互いに反応するそれらの流体の量を変化することができることが理解される。それは、反応性のプロダクトの可変濃度で反応が実行される非常に急速なシリーズを可能にする。
【0061】
ドロップ66内のレーザービーム26のアクションによって、流体F1と、F2との間の反応を熱的に起こされることが可能である。このアクションによっても、単一のドロップ66内のそれらの流体の混合の生成が生じる。
【0062】
ドロップ60および64の1つは、1つの流体に含まれるだけでなく、それらを含むドロップに用いたレーザービーム26によって混合されることができる異なる2つの流体に含まれることを提供することもできる。
【0063】
マイクロリアクタを生成するドロップ66は、一般的に1つのナノリットルの、または、ピコリットルのオーダーのボリュームであっても有する。
【0064】
通常、流体ドロップまたは泡のインターフェースに働くレーザービームは、実質的に多くの機能を提供するスマートなアクチュエータとして使用でき、例えばドロップをブロックすること、ドロップを偏差すること、ナノドロップを作成すること、ドロップを別のドロップと融合させること、流体またはドロップに含まれる流体を混合すること、および、ドロップの化学反応をトリガーオフとすること、を示すことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の流体と、前記第1の流体に含まれる少なくとも第2の流体のドロップとを含んでいる少なくとも1つのマイクロチャネルを具備し、レーザービームを前記ドロップのインターフェース、および、前記第1の流体のドロップのインターフェースに焦点を合わせることによってミクロ流体回路のドロップを処理する方法であって、
この方法は、
前記インターフェース上のレーザービームの焦点を合わせることによる前記流体の表面張力の熱感度を使用して、それらが異なる流体を含むときに、それらのドロップを選別し、それらをナノドロップに細分し、それらを融合することを具備し、
選択されたレーザービームの波長が前記ドロップに含まれる前記第2の流体によって、または、前記第1の流体、および、この波長を透過するマイクロチャネルの構成材料のそれぞれのドロップに含まれる異なる流体によって吸収される、方法。
【請求項2】
前記第1の流体にある前記第2の流体のドロップを選別するために、前記レーザービームをY字型の管の上流に向けられた先端を具備する頂点から上流に焦点を合わせる際に、レーザービームの焦点が、この先端の端部と、前記ドロップの前記偏差の方向の反対側の前記マイクロチャネルの壁との間に位置づけらる、請求項1に係る方法。
【請求項3】
前記レーザービームによって前記ドロップのインターフェースに伝えられるパワーをセットすることによって、前記第1の流体にある異なる流体のドロップを選別することを具備する請求項1又は2に係る方法。
【請求項4】
適切な表面活性プロダクトをそれらの流体に加えることによって前記流体の表面張力を修正することを具備する請求項1〜3のいずれか1項に係る方法。
【請求項5】
前記マイクロチャネルの表面上に前記レーザービームを吸収する材料の点を堆積させ、前記ドロップが選別されて流れるときに、この点上に前記レーザービームを向けることを具備する先行する請求項のいずれか1項に係る方法。
【請求項6】
1つのドロップをナノドロップに細分するために、前記レーザービームを表面活性プロダクトを含んでいる他の流体の流れのその下流のインターフェースに焦点を合わせることによって前記ドロップを固定することと、
この流体の流れによって前記ドロップをナノドロップに分離することとを具備する請求項1に係る方法。
【請求項7】
前記細分されるドロップは、表面活性プロダクトを含む前記流体の流れによって、マイクロチャネルに移送され、
前記レーザービームの焦点は、このマイクロチャネルの、および、ナノドロップが偏差された別のマイクロチャネルの接合のすぐ近くに位置づけられている請求項6に係る方法。
【請求項8】
前記ドロップを生成する流体を含んでいるマイクロチャネルの、および、少なくとも表面活性プロダクトを含む流体が流れるマイクロチャネルの接合するところに、細分されるドロップを形成し、および、固定することとを具備する請求項6または7に係る方法。
【請求項9】
異なる流体を含んでいる2つのドロップを融合させるために、別の流体の流れにおいて互いにドロップを接触させ、そして、前記レーザービームをドロップのインターフェースに焦点を合わせることを具備する請求項1に係る方法。
【請求項10】
前記マイクロチャネルのドロップの移送を、このドロップの下流のインターフェースに前記レーザービームの焦点に合わせることによって、ブロックすることと、
第1のドロップの異なる流体を含んでいる別のドロップの到着まで、移送するドロップをブロックすることと、そして、
前記レーザービームを2つのドロップのインターフェースに焦点を合わせることとを具備する請求項9に係る方法。
【請求項11】
前記ドロップに含まれる流体は、混和性を有する請求項9または10に係る方法。
【請求項12】
前記ドロップに含まれる流体は、融合されたドロップがマイクロリアクタを形成するように、互いに反応する請求項9〜11のいずれか1項に係る方法。
【請求項13】
ドロップが融合するときに、混合された試薬の量を変えるために、融合されるドロップのサイズを変化することを具備する請求項12に係る方法。
【請求項14】
融合されるドロップのうちの少なくとも1つは、少なくとも2つの異なる流体を含み、前記レーザービームがドロップに焦点に合わせるときに、互いに混合される請求項9〜13のいずれか1項に係る方法。
【請求項15】
2つの融合されるドロップに含まれる流体の反応は、それらのドロップに焦点に合われるレーザービームによって起こされる請求項12〜14のいずれか1項に係る方法。
【請求項16】
融合するドロップの流体の反応をモニタリングすることであって、連続であるか不連続な方法で、顕微鏡でそれらのドロップを調査することによって、少なくともミクロ流体回路のそれらのドロップによって導かれる経路の部分を、モニタリングすることを具備する請求項12〜15のいずれか1項に係る方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図5d】
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【図5e】
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【公表番号】特表2009−538731(P2009−538731A)
【公表日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512633(P2009−512633)
【出願日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【国際出願番号】PCT/FR2007/000838
【国際公開番号】WO2007/138178
【国際公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(500174661)サントル・ナショナル・ドゥ・ラ・レシェルシュ・サイエンティフィーク−セ・エン・エール・エス− (54)
【出願人】(503378028)エコール・ポリテクニク(イーピー) (12)
【Fターム(参考)】