説明

ミシンコントローラおよびミシン

【課題】何らかの要因(例えば、ユーザまたは第3者の身体、他の物体が操作部に接触する等)で操作部が誤って操作されてしまう不具合を解消させるのに有利なミシンコントローラおよびミシンを提供する。
【解決手段】ミシンに装備されるミシンコントローラ3は、縫製に関連する信号を出力させるようにユーザ操作により所定の操作方向に移動される操作部15と、操作部15の操作方向への移動を制限させるロック位置を規定するロック部12bと、ロック部12bによるロックを解除させ且つ操作方向に対して非同一の方向であるロック解除方向に操作部を移動させるユーザ操作を可能とさせるロック解除部と、操作部15に対するユーザ操作が解除されると操作部15をロック位置に自動的に復帰させる付勢力を発揮させるロックバネ8とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はユーザが操作できる操作部を備えるミシンコントローラおよびミシンに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1によれば、ユーザが指先で操作可能な操作スイッチを有する指輪形状のコントローラが開示されている。このものによれば、裁縫時はユーザが両手で布送りながら動作/停止の操作が可能である。ユーザが指にコントローラを嵌めた時、コントローラが空回りしたりきつく嵌められることを防止するため、指輪部を弾性体にしている。
【0003】
特許文献2によれば、無線式コントローラを搭載したミシンにおいて誤作動を防ぎ、ユーザを保護する安全装置が開示されている。このものによれば、無線式コントローラからの指令信号を無効にすることが可能な無効/有効切り替え装置をミシン本体に設け、ミシンが動作して欲しくないときには、ユーザが無効/有効切り替え装置を無効側に切替える。
【0004】
特許文献3によれば、動作・停止信号発生手段がモータ動作ポジションに設定されている状態でユーザにより電源スイッチが投入されたとしても、モータの駆動を抑えてユーザを守るミシンの安全制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-28390号公報
【特許文献2】特許第4571832号公報
【特許文献3】特開2004-275388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1によれば、縫製作業準備中等、ユーザにミシンを動作させる意思が無いにもかかわらず、何らかの要因(例えば、ユーザまたは第3者の身体、他の物体がミシンコントローラの操作部に接触する等)で操作部が誤って操作されてしまうるおそれがある。この場合、ユーザの意思に拘わらず、ミシンコントローラが誤操作され、ミシンが突然動作してしまい、ユーザに驚きを与える要因となり得る。
【0007】
特許文献2によれば、ユーザが無効/有効切り替え装置を操作する仕様であるため、ユーザが操作を忘れた場合には、安全装置として機能ではない。また、ユーザが無効/有効切り替え装置を無効側にしたまましばらくの間放置した場合、次回の使用時においてコントローラまたはミシンが故障したとユーザが勘違いする可能性がある。
【0008】
特許文献3によれば、コントローラが操作された状態で電源投入時の誤作動を防ぐ効果が得られる。しかしながら、縫製作業準備中等において、ユーザにミシンを動作させる意思が無いにも拘わらず、何らかの要因(例えば、ユーザまたは第3者の身体、他の物体が操作部に接触する等)で操作部が誤って操作されてしまうおそれがある。この場合、ユーザの意思に拘わらず、ミシンが突然動作してしまい、ユーザに驚きを与える要因となり得る。
【0009】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、ユーザにミシンを動作させる意思が無いにも拘わらず、何らかの要因(例えば、ユーザまたは第3者の身体、他の物体が操作部に接触する等)で操作部が誤って操作されてしまう不具合を解消させるのに有利なミシンコントローラおよびミシンを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明の様相1に係るミシンコントローラは、縫製に関連する信号を出力させるようにユーザにより操作されるミシンコントローラであって、(i)基体と、(ii)ユーザが操作できるように少なくとも一部が基体から露出するように基体に設けられ、縫製に関連する信号を直接的または間接的に出力させるようにユーザ操作により所定の操作方向に移動され、且つ、操作方向に対して非同一な方向であるロック方向およびロック解除方向に移動可能な操作部と、(iii)基体に設けられ、操作部の操作方向への移動を制限させるロック位置を規定するロック部と、(iv)基体に設けられ、ロック部によるロックを解除させ且つ操作方向に対して非同一の方向であるロック解除方向に操作部を移動させるユーザ操作を可能とさせるロック解除部と、(v)基体に設けられ、操作部に対するユーザ操作が解除されると、操作部をロック位置に自動的に復帰させる付勢力を発揮させるロックバネとを具備することを特徴とする。
【0011】
ロック部は、操作部の操作方向への移動を制限させるロック位置を規定する。このため、何らかの要因(例えば、ユーザまたは第3者の身体、他の物体が操作部に接触する等)で操作部が誤って操作されてしまうときであっても、操作部はロック位置にロックされているため、操作部は、縫製に関連する信号をミシン側に出力させることができない。従って、従来技術とは異なり、ユーザの意思に拘わらず、ミシンが突然動作してしまいことが抑えられ、ユーザに驚きを与えることが抑えられる。
【0012】
しかしながら、ユーザの積極的な意思に基づいて、ユーザが操作部の操作方向に対して非同一の方向であるロック解除方向に操作部を移動させると、操作部はロック解除される。操作部がロック解除された状態では、ユーザにより操作部が操作方向に操作されると、縫製に関連する信号が直接的または間接的にミシン側に出力される。
【0013】
操作部に対するユーザ操作が解除されると、ロックバネは操作部をロック位置に自動的に復帰させる。このとき、操作部は操作方向に移動できない。この場合、何らかの要因(例えば、ユーザまたは第3者の身体、他の物体が操作部に接触する等)で操作部が誤って操作されてしまうときであっても、操作部はロック位置に復帰されてロックされているため、縫製に関連する信号が出力されない。従って、従来技術とは異なり、ユーザの意思に拘わらず、ミシンが突然動作してしまいことが抑えられ、ユーザに驚きを与えることが抑えられる。
【0014】
(2)本発明の様相2に係るミシンコントローラによれば、上記様相において、ロックバネは、操作部に対するユーザ操作が解除されると操作部をロック位置に自動的に復帰させる第1付勢力と、操作部を操作方向の反対方向に付勢させることにより、ユーザ操作される前の操作部の初期位置に操作部を自動的に復帰させる第2付勢力とを備えることを特徴とする。この場合、操作部に対するユーザ操作が解除されると、ロックバネの第1付勢力により操作部をロック位置に自動的に復帰させる。また、ロックバネの第2付勢力により、操作部をユーザの操作方向の反対方向に付勢させることにより、ユーザ操作される前の操作部の初期位置に操作部を自動的に復帰させることができる。
【0015】
(3)本発明の様相3に係るミシンコントローラによれば、上記様相において、ロックバネは、コイル線材をコイル状を巻回して形成され且つ隣接するコイル線材間に隙間が形成され軸長方向において圧縮可能なコイルバネ部と、コイルバネ部の一端部から延設された第1腕部と、コイルバネ部の他端部から延設された第2腕部とを備えており、コイルバネ部は第1付勢力を発揮し、第1腕部および第2腕部は第2付勢力を発揮することを特徴とする。本様相によれば、ロックバネは単数部品であるにも拘わらず、ロックバネのコイルバネ部は第1付勢力を発揮し、ロックバネの第1腕部および第2腕部は第2付勢力を発揮することができ、部品点数の削減、コスト低減、少スペース化を図り得る。
【0016】
(4)本発明の様相4に係るミシンコントローラによれば、上記様相において、操作部が操作方向に操作されるとき操作部によって押し込まれる可動レバーと、可動レバーの可動位置を検知することにより操作部の操作方向への操作量に応じた信号をミシン側に出力するスイッチをもつスイッチベースとが基体に設けられており、操作部の操作が解除されたとき可動レバーをこれの初期位置に復帰させるレバー戻しバネが設けられていることを特徴とする。本様相によれば、操作部が操作方向に操作されるとき、可動レバーが操作部によって押し込まれ、可動レバーは、操作部の操作量に応じて可動する。スイッチは、可動レバーの可動位置を検知することにより操作部の操作方向への操作量に応じた信号をミシン側に出力する。
【0017】
操作部は、操作方向のみならず、操作方向に非同一の方向であるロック解除方向およびロック方向に移動可能である。操作部をこれの初期位置に復帰させるにあたり、可動レバーもこれの初期位置に復帰させることが好ましい。しかし操作部は複数の方向に移動するため、操作部および可動レバーの双方を同一のバネで復帰させると、操作部をロック方向に移動させるとき、可動レバーも同方向に連動し、可動レバーとスイッチとの関係に影響を与え、信号の出力に影響を与えるおそれがある。そこで、操作部の操作が解除されたとき、可動レバーを操作部の移動から独立させて可動レバーをこれの初期位置に復帰させるためのレバー戻しバネが、ロックバネとは別に設けられている。
【0018】
(5)本発明の様相5に係るミシンコントローラによれば、上記様相において、操作部を有する基体を収容する収容室を形成すると共に相対的に移動可能な第1ハウジング部および第2ハウジング部を有すると共にユーザの足で踏み込み可能なハウジングと、第1ハウジング部または第2ハウジング部に形成されハウジングの収容室に基体が収容されている状態において基体の操作部をロック解除方向に移動させる移動子とを具備しており、第1ハウジング部および第2ハウジング部の相対移動により操作部を操作方向に移動させ、縫製に関連する信号をミシン側に出力させることを特徴とする。
【0019】
本様相によれば、第1ハウジング部または第2ハウジング部に形成されている移動子は、ハウジングの収容室に基体が収容されている状態において、基体の操作部をロック解除方向に移動させてロック解除させる。このため、第1ハウジング部および第2ハウジング部が相対移動すれば、操作部を操作方向に移動させ、ミシンコントローラは、縫製に関連する信号を出力させることができる。第1ハウジング部および第2ハウジング部の相対移動とは、第1ハウジング部および第2ハウジング部のうちの少なくとも一つが移動すれば良い。第1ハウジング部および第2ハウジング部の相対移動は、ユーザの手によって行っても良いし、あるいは、ユーザの足踏みで行っても良い。後者の場合には、ユーザの足の踏み込みによって操作されるフットコントローラが形成される。
【0020】
(6)本発明の様相6に係るミシンは、ミシン本体と、縫製に関連する信号をミシン本体に出力させるようにユーザにより操作されるミシンコントローラとを具備するミシンであって、ミシンコントローラは、(i)基体と、(ii)ユーザが操作できるように少なくとも一部が基体から露出するように基体に設けられ、縫製に関連する信号を直接的または間接的に出力させるようにユーザ操作により所定の操作方向に移動され、且つ、操作方向に対して非同一な方向であるロック方向およびロック解除方向に移動可能な操作部と、(iii)基体に設けられ、操作部の操作方向への移動を制限させるロック位置を規定するロック部と、(iv)基体に設けられ、ロック部によるロックを解除させ且つ操作方向に対して非同一の方向であるロック解除方向に操作部を移動させるユーザ操作を可能とさせるロック解除部と、(v)基体に設けられ、操作部に対するユーザ操作が解除されると、操作部をロック位置に自動的に復帰させる付勢力を発揮させるロックバネとを具備することを特徴とする。本様相に係るミシンによれば、様相1に係るミシンコントローラと同様の作用効果が得られる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように本発明によれば、ユーザにミシンを動作させる意思が無いにも拘わらず、何らかの要因(例えば、ユーザまたは第3者の身体、他の物体が操作部に接触する等)で操作部が誤って操作されてしまう不具合を解消させるのに有利なミシンコントローラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施形態1に係り、ミシンの斜視図である。
【図2】ハンドコントローラの分解斜視図である。
【図3】ハンドコントローラの内部構造を示す図である。
【図4】操作部がロックされているハンドコントローラの内部を示す断面図である。
【図5】操作部がロック解除されているハンドコントローラの内部を示す断面図である。
【図6】操作部がロックされているハンドコントローラの要部を示す斜視図である。
【図7】操作部がロック解除されているハンドコントローラの内部を示す斜視図である。
【図8】ハウジングにハンドコントローラを収容する前の状態を示す斜視図である。
【図9】ハウジングにハンドコントローラを収容してフットコントローラとして使用する状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
基体は、操作部、ロック部、ロック解除部、ロックバネを搭載するものであり、箱状でも、非箱状でも良い。操作部は、ユーザが操作できるように少なくとも一部が基体から露出するように基体に設けられている。操作部は、縫製に関連する信号を直接的または間接的に出力させるようにユーザ操作により所定の操作方向に移動される。信号を直接的に出力させるとは、操作部の移動で信号が出力される形態をいう。信号を間接的に出力させるとは、操作部の移動で他の部材が移動し、スイッチから信号が出力される形態をいう。ロック部は、操作部の操作方向への移動を制限させるロック位置を規定する。ロック解除部は、ロック部によるロックを解除させ且つ操作方向に対して非同一の方向であるロック解除方向に操作部を移動させるユーザ操作を可能とさせるものをいう。ロック解除部は、操作部を操作方向に回動させつつ、操作方向に対して交差する方向にスライドさせ得る回動軸と回動軸を嵌合させる回動孔とを有する構造が例示される。
【0024】
操作方向に対して非同一の方向とは、操作部の操作方向に対して異なる方向を意味する。例えば、操作部の操作方向に対して角度θ傾斜している方向を意味する。角度θとは、20〜330°の範囲内の任意値にできる。具体的には30〜180°、60〜150°、90°が例示される。ロックバネは、操作部に対するユーザ操作が解除されると、操作部をロック位置に自動的に復帰させる付勢力を発揮させる付勢部材をいう。捻りコイルバネ、コイルバネ、板バネ等の公知のバネを例示できる。
【0025】
(実施形態1)
図1は実施形態1の概念を示す。図1は本実施形態のミシン使用状態を示す。本実施形態によれば、ユーザがリング状の刺繍枠4を手で自由に移動させるフリーハンド刺繍機能付のミシンにおいて、ミシンコントローラとして機能するハンドコントローラ3が設けられている。ハンドコントローラ3はユーザが手で操作するコントローラであり、縫い速度や縫い幅等縫製に関する信号をミシン本体1の制御部に出力し、ミシンの可変機構の調整操作を行う際に使用される。刺繍をスムーズに行うため、ミシン本体1には拡張テーブル2を装着することが望ましい。ミシン本体1は、ベッド部1c、縦アーム部1d、横アーム部1e、昇降可能な押さえ棒1f、昇降可能な針1hを有する。
【0026】
図1に示すように、ハンドコントローラ3は、刺繍枠4に対して取付台6を介して間接的に刺繍枠4に一体化されている。場合によっては、ハンドコントローラ3は、刺繍枠4に直接的に一体化されている構造でも良い。刺繍枠4は、内輪と外輪とで加工布(縫製物)を挟む。加工布は内輪と外輪とにより張った状態で挟まれ、固定ねじ(図省略)により固定される。よって、刺繍時は加工布を送るために拡張テーブル2上で刺繍枠4を手で保持して動かすと、刺繍枠4に接続されているハンドコントローラ3が同時に同方向に動く。場合によっては、刺繍枠4に対して分離させた状態でハンドコントローラ3を使用しても良い。
【0027】
図1に示すように、ハンドコントローラ3とミシン本体1のコントローラジャック1aはハーネス(接続線)5で電気的に接続される。ユーザがハンドコントローラ3の操作部15を手で操作方向(矢印C1方向)に押し込み操作させると、操作に応じて、縫いの開始/停止および、縫い速度や縫い幅の調整操作は、信号化されてハンドコントローラ3からハーネス5を介してミシン本体1の制御部に向けて出力され、制御部のマイコンによりミシン本体1は制御される。なお、本実施形態ではハンドコントローラ3とミシン本体1とを接続する接続線であるハーネス5を使用しているが、ハンドコントローラ3が出力する信号を無線による伝達手段でミシン本体1に伝達させることにしても良い。
【0028】
ハンドコントローラ3の操作部15が操作方向(矢印C1方向)に押し込み操作されていない状態では、後述するように、操作部15がロック位置に自動的にロックされている。このように操作部15がロックされている場合には、何らかの要因(例えば、ユーザまたは第3者の身体、他の物体が操作部15に接触する等)で、操作部15が操作方向(矢印C1方向)に向けて誤って押し込み操作されてしまうときであっても、操作部15はロック位置にロックされているため、操作部15は操作方向(矢印C1方向)に移動できず、従って、ハンドコントローラ3は、縫製に関連する信号をミシン本体1に出力させることができない。従って、従来技術とは異なり、ユーザの意思に拘わらずミシンが突然動作してしまいことが抑えられ、ユーザに驚きを与えることが抑えられる。
【0029】
図2は基体としてのケーシング7の分解図を示す。図2に示すように、ケーシング7は第1ケーシング71と第2ケーシング72とを備えている。第2ケーシング72に各種部品が組付けられた後、取付ねじ19を用いて第1ケーシング71および第2ケーシング72は一体的に合体され、ケーシング7が形成される。
【0030】
図2から理解できるように、ケーシング7内には、操作部15のほかに、スイッチベース12、抵抗基板16、可動レバー14が搭載される。操作部15は、回動支点を形成する回動孔15aをもつ回動軸15cと、ベース15eと、ベース15eに一体的に形成されユーザが指先で操作する操作面15fを有する操作突起15hとをもつ。スイッチベース12はケーシング7内に固定されるものであり、操作部15の操作量に応じた信号をミシン本体1の制御部に出力させる。スイッチベース12は、回動軸12aおよびロックピン12b(ロック部)をもつベース12cを備えている。
【0031】
可動レバー14は、ケーシング7内において操作部15の操作方向(矢印C1方向)の操作に連動して回動可能に設けられるものである。可動レバー14の回動支点14aとなる回動孔14bには、スイッチベース12の回動軸12aは回動可能に組付けられる。これによりスイッチベース12の回動軸12aに対して可動レバー14は矢印C1,C2方向に回動可能とされている。また、スイッチベース12には抵抗基板16が取付ねじ25により固定される。可動レバー14は、スイッチベース12に対してレバー戻しばね17の付勢力により上向き(矢印U方向)に常時付勢されており、スイッチベース12のストッパ(図省略)が機能する停止位置に保持される。このように可動レバー14がレバー戻しばね17の付勢力により上向き(図2に示す矢印U方向)に常時付勢されていると、可動レバー14の上側に位置する操作部15は、同方向に付勢される。この場合、レバー戻しばね17による付勢力より大きい押込み力を、可動レバー14に下向き(図2に示す矢印D方向)に与えると、可動レバー14は、回動支点14aを中心として下方(矢印D方向)に回動する。但し、その力を取り除くと、レバー戻しばね17の付勢力により可動レバー14および操作部15は上方(矢印U方向)に回動し、元の位置に復帰する。
【0032】
図2から理解できるように、上記部品(可動レバー14等)を組付けたスイッチベース12は、取付ねじ18により第2ケーシング72に固定される。また、コネクタ10も複数の止めねじ11により、第2ケーシング72に固定される。このときコネクタ10および抵抗基板16はハーネス24(図4参照)により電気的に接続される。
【0033】
図2から理解できるように、上記部品を組付けた第2ケーシング72の回動軸7c(係合部)には、操作部15の回動中心を形成する回動孔15a(被係合部)が回動可能に枢支される。これにより操作部15はケーシング7に対して矢印C1方向(操作方向,下方向),矢印C2方向(操作方向と反対方向,上方向)に回動可能とされている。更に、操作部15は、ケーシング7に対して横方向(回動軸7cの軸長方向)に沿って、すなわち、図5に示す矢印B1方向(ロック解除方向),矢印B2方向(ロック方向)に沿ってスライド可能とされている。従って、第2ケーシング72の回動軸7cと操作部15の回動孔15aとは、操作部15を操作方向(矢印C1方向)に回動させつつ、操作方向(矢印C1方向)に対して交差する方向(非同一方向,矢印B1方向(ロック解除方向),B2方向(ロック方向))にスライドさせ得るロック解除部を構成する。
【0034】
図2に示すように、ロックバネ8は、コイルバネ部80と、コイルバネ部80の一端部から延設された第1腕部81と、コイルバネ部80の他端部から延設された第2腕部82とを備えている。図3に示すように、第1腕部81は操作部15の部位15rに当接しており、第2腕部82はケーシング7の部位7rに当接する。これにより操作部15は常時に矢印C2方向(操作方向である矢印C1方向の反対方向)に付勢されている。このようにロックバネ8の第1腕部81および第2腕部82により操作部15は矢印C2方向に沿ってこれの初期位置F1(図3参照)に向けて付勢されている。この場合、図3に示すように、操作部15のベース15eの係合部15wはケーシング7のストッパ7sに当接するため、操作部15は初期位置F1(操作部15が矢印C2方向に最も突出した位置)に維持されている(図3参照)。このとき、前述したようにレバー戻しバネ17の付勢力により、可動レバー14は上方(矢印U方向)に常時に付勢されているため、可動レバー14の上面部14uが操作部15のベース15eの下面の凸状の接触部15iに接触する(図3参照)。このようにロックバネ8の上向きの付勢力とレバー戻しバネ17の上向きの付勢力により、操作部15はこれの初期位置F1(矢印C1方向への操作量=0)に確実に維持されている。
【0035】
更に説明を加える。本実施形態によれば、上記したようにロックバネ8の第1腕部81および第2腕部82に起因するねじりコイルばね効果(第2付勢力)により、操作部15は、上向き(矢印C2方向,矢印U方向)に付勢されている。更に、図4および図5に示すように、ロックバネ8のコイルバネ部80は、コイル線材をコイル状に巻回して形成されており、且つ、隣接するコイル線材間に隙間84(図4参照)が形成されている。隙間84の隙間幅を調整できるように軸長方向(矢印E1,E2方向)においてコイルバネ部80は、圧縮可能とされている。このため図4に示すように、ロックバネ8のコイルバネ部80の圧縮ばね効果(第1付勢力)により、操作部15の着座部15yは、第2ケーシング72側に向けて矢印E2方向(ロック方向)に常時に付勢されている。但し、図5から理解できるように、ユーザが手で操作部15を矢印B1方向(ロック解除方向)に移動させれば、この操作部15の着座部15yはコイルバネ部80をこれの軸長方向に沿って圧縮変形させつつ矢印E1方向(ロック解除方向)に移動させることができる。この場合、コイルバネ部80の隙間84の隙間幅は狭くなり、コイルバネ部80は圧縮荷重(矢印E2方向に向かう付勢力)を蓄積させる。この点は従来技術との相違点の一つである。
【0036】
換言すると、ロックバネ8は、物理的には単数であるが、コイルバネ部80に基づくこれの軸長方向(矢印E2方向)における圧縮ばね効果と、第1腕部81および第2腕部82に基づく捻りコイルばね効果とを併有する。このような圧縮ばね効果により、ロックバネ8のコイルバネ部80の隙間84の隙間幅を変動できるため、操作部15は矢印E1方向(ロック解除方向),矢印E2方向(ロック方向)に沿ってスライド可能とされ、ロック位置およびロック解除位置にそれぞれに移動できる。この点は従来技術との相違点の一つである。矢印E1,E2方向はケーシング7の厚み方向を意味する。
【0037】
すなわち本実施形態によれば、ロックバネ8のコイルバネ部80は、操作部15に対する矢印C1方向のユーザによる押し込み操作が解除されると、ロックバネ8の第1腕部81および第2腕部82は、操作部15を操作方向(矢印C1方向)と反対方向(矢印C2方向)に付勢させることにより、ユーザが操作部15を操作させる前の操作部15の初期位置F1に操作部15を自動的に復帰させる第2付勢力を発揮することができる。更に、ロックバネ8のコイルバネ部80は、操作部15を矢印E2方向(ロック方向)に移動させてロック位置に自動的に復帰させる第1付勢力を発揮する。このようにロックバネ8の第1腕部81および第2腕部82に基づく第2付勢力により、操作部15をユーザの操作方向と反対方向(矢印C2方向)に付勢させ、これにより、ユーザが操作させる前の操作部15の初期位置F1に操作部15を自動的に且つ容易に復帰させることができる。
【0038】
このようにロックバネ8は単数部品であるにも拘わらず、ロックバネ8の第1腕部81および第2腕部82は操作部15をこれの初期位置F1に復帰させる第2付勢力を発揮し、且つ、ロックバネ8のコイルバネ部80は操作部15をロック方向(矢印E2方向,矢印B2方向)に移動させる第1付勢力を発揮することができる。このようにロックバネ8は、単数でありながらも、2種類のバネを兼用でき、部品点数の削減、コスト低減、少スペース化を図り得る。なお、図2において、第2ケーシング72に設けられた取付台孔7aおよび取付台孔7bは、ハンドコントローラ3用の取付台6を固定させるためのものである。
【0039】
本実施形態によれば、図3に示すように、ユーザの操作部15の押し込み操作方向(矢印C1方向)の操作量をセンシングするためのスイッチとして機能できる抵抗23が用いられている。抵抗23は抵抗基板16に設けられている。抵抗23は、抵抗パターン16aと、複数の抵抗が直列に並設された抵抗パターン16bとを有する。可動レバー14に設けられている接点金具13の接点13aは、抵抗パターン16a,16bを短絡している。ここで、ユーザが操作部15を操作方向(矢印C1方向)に押し込み操作させると、操作部15の操作動作は操作部15の接触部15iおよび上面14u(図3参照)を介して可動レバー14に伝達される。ひいては可動レバー14は、スイッチベース12の回動軸12aを回転中心として下方向(矢印D方向)に押し込み操作される。この場合、操作部15の押し込み操作量に応じて、操作部15に接触している可動レバー14も同方向(矢印D方向)に回動する。これにより抵抗パターン16a,16b上における接点金具13の接点13aの短絡位置が変化する。このため、抵抗基板16の抵抗23における内部抵抗値を変化させる。この結果、ユーザが操作部15を操作方向(矢印C1方向)に押し込み操作させると、操作部15の押し込み操作量に基づいて、縫いの開始/停止および、縫い速度や縫い幅の調整操作は信号化されてハーネス5(図1参照)を介してミシン本体1の制御部に向けて出力され、ミシン内蔵のマイコンにより制御が実行される。なお、抵抗23を用いた実施形態に限らず、他のセンサを用いることにより、ユーザの操作方向(矢印C1方向)への操作部15の操作方向への押込み量をセンシングしても良い。
【0040】
上記における操作部15をロック位置から操作させる手順について更に説明を加える。図4および図6に示すように、通常状態においては、即ち、操作部15が操作方向(矢印C1方向)に何ら押し込み操作されていない状態では、図4および図6に示すように、操作部15のベース15e側のピン接触部15uがスイッチベース12のロックピン12b(ロック部)に距離Aで接触している。ロックピン12bはスイッチベース12に固定されている。この場合、ロックピン12bは、操作部15の操作方向(矢印C1方向)の移動を制限させるロック部として機能する。従って、操作部15がロックピン12bによりロックされているとき、ユーザが手で操作部15を操作方向(矢印C1方向)に押し込み操作したとしても、あるいは、他の物体が操作部15に当たったとしても、操作部15は操作方向(矢印C1方向)にそれ以上回動されない。従ってハンドコントローラ3は、縫製に関する信号をミシン本体1に出力せず、ミシンは動作しない。即ち、操作部15はロック位置にロックされている状態とされている。
【0041】
しかしながら、図5および図7に示すように、ユーザが手で操作部15を距離Aの長さ以上ぶん、矢印B1方向(ロック解除方向,ロックピン12bの軸長方向)にスライドさせれば、操作部15のベース15eの下面のピン接触部15uとスイッチベース12のロックピン12bとの接触(ロック)は、解除される。即ち、操作部15はロック位置からロック解除される。このように操作部15がロック解除された状態から、ユーザが手で操作部15を操作方向(矢印C1方向)に更に押し込み操作させることが可能となる。従って、ユーザは、操作部15を操作方向(矢印C1方向)に更に押し込み操作することにより、可動レバー14を同方向に押込み、前述したように、抵抗パターン16a,16b上における接点金具13の接点13aの短絡位置を変化させる。このため、前述したように、抵抗基板16の抵抗23における内部抵抗値を変化させる。このようにロック解除させた操作部15をユーザが操作方向(矢印C1方向)に押し込み操作させると、操作部15の押し込み操作量に基づいて、縫いの開始/停止および、縫い速度や縫い幅の調整操作は信号化されてハーネス5(図1参照)を介してミシン本体1の制御部に向けて出力され、ミシン内蔵のマイコンによりミシンを動作させることが可能となる。この点は従来技術との相違点の一つである。
【0042】
なお、ユーザが操作部15を矢印C1方向に押し込んだ後において、ユーザが操作部15から指を離した場合には、ロックバネ8の第1腕部81および第2腕部82の付勢力により、操作部15は操作方向の反対方向(矢印C2方向)に上昇され、その後、ロックバネ8のコイルバネ部80のロック方向(矢印E2方向)への付勢力により、操作部15はロック方向(矢印B2方向)に動き、操作部15はロック位置に自動復帰し、操作部15はロック状態に維持される(図4参照)。このように操作部15がロック位置にロックされた状態では、操作部15は操作方向(矢印C1方向)に移動できない。この場合、何らかの要因(例えば、ユーザまたは第3者の身体、他の物体が操作部15に接触する等)で操作部15が操作方向(矢印C1方向)に向けて誤って操作されてしまうときであっても、操作部15はロック位置にロックされているため、操作部15は移動できず、従って、ハンドコントローラ3は縫製に関連する信号をミシン本体1に出力させることができない。従って、従来技術とは異なり、ユーザの意思に拘わらず、ミシンが突然動作してしまいことが抑えられ、ユーザに驚きを与えることが抑えられる。
【0043】
本実施形態によれば、前述したように、操作部15が操作方向(矢印C1方向)に操作されるとき操作部15によって押し込まれる可動レバー14と、可動レバー14の可動位置を検知することにより操作部15の操作方向(矢印C1方向)への操作量に応じた信号をミシン側に出力する抵抗23(スイッチ)をもつスイッチベース12とがハンドコントローラ3に設けられている。更に、操作部15の操作が解除されたとき可動レバー14をこれの初期位置F2に復帰させるレバー戻しバネ17が設けられている。本実施形態によれば、操作部15が操作方向(矢印C1方向)に操作されるとき、可動レバー14が操作部15によって押し込まれ、可動レバー14は、操作部15の操作量に応じて可動する。抵抗23(スイッチ)は、可動レバー14の可動位置を検知することにより操作部15の操作方向(矢印C1方向)への操作量に応じた信号をミシン本体1の制御部側に出力する。
【0044】
本実施形態によれば、操作部15は、操作方向(矢印C1方向)のみならず、操作方向に非同一の方向であるロック解除方向(矢印B1方向,矢印E1方向)およびロック方向(矢印B2方向,矢印E2方向)に移動可能である。このため操作部15をこれの初期位置F1(図4参照)に復帰させるにあたり、可動レバー14もこれの初期位置F2(図4参照)に復帰させることが好ましい。しかし前述したように操作部15は操作方向に対して交差する方向にもスライド移動するものである。このため、操作部15および可動レバー14の双方を同一のバネで復帰させると、操作部15をロック方向(矢印B2方向,矢印E2方向)に移動させるとき、可動レバー14も同方向に連動してしまう不具合がある。この場合、可動レバー14の接点13aと抵抗23との摺動の強弱に影響を与えるおそれがある。そこで、操作部15の操作方向への操作が解除されたとき、可動レバー14をこれの初期位置F2に復帰させるためのレバー戻しバネ17が、ロックバネ8とは別に設けられている。レバー戻しバネ17は可動レバー14専用のバネである。ロックバネ8は操作部15専用のバネである。
【0045】
(実施形態2)
図8および図9は実施形態2を示す。本実施形態は前記した実施形態と基本的には同一の構成および同一の作用効果を有するため、図1〜図7を準用する。ハンドコントローラ3を収容する箱形状のハウジング100が設けられている。ハウジング100は第1ハウジング部101および第2ハウジング部102を有する。第1ハウジング部101は、底壁101a、側面壁101b、側面壁101cを有する。第2ハウジング部102は、天井壁102a、側面壁102b、側面壁102cを有する。ハウジング100は箱状をなしており、ハンドコントローラ3を着脱可能に収容する収容室104を形成する。第1ハウジング部101および第2ハウジング部102の一端部101e,102eには、これらを回動させる枢支部105が形成されている。第1ハウジング部101および第2ハウジング部102の他端部101f,102fは、枢支部105を介して相対的に回動されて開放可能(移動可能)とされている。第1ハウジング部101は下ケースを形成する。第2ハウジング部102は蓋を形成する。図9に示すように、第2ハウジング部102の天井壁102aには移動子110が、第1ハウジング部101の底壁101aに向けて形成されている。移動子110は、ハウジング100が閉鎖されている状態において鉛直線に対して傾斜するカム面111と、鉛直方向に延びる第1面112と、水平方向に延びる第2面113とをもつ。
【0046】
図8から理解できるように、使用時には、ハンドコントローラ3をハウジング100の収容室104に着脱可能に収容させる。この場合、第1ハウジング部101の位置決め部107によりハンドコントローラ3をハウジング100の収容室104に位置決めさせた状態において収容させる。この状態では、図9に示すように、位置決め部107の位置決め面107cはハンドコントローラ3の側面7sに当たり、これの位置を規制する。位置決め部107の上面107uよりも、ハンドコントローラ3の操作部15は上方に突出する。但しこれに限定されない。更に、操作部15の操作面15fは、第2ハウジング部102の天井壁102aに対面する。
【0047】
第1ハウジング部101および第2ハウジング部102を閉鎖させて収容室104を閉鎖空間とさせると、図9から理解できるように、第2ハウジング部102の移動子110は矢印D5方向に下降し、移動子110は、ハンドコントローラ3の操作部15を矢印B1方向(ロック解除方向)にスライドさせ、その後、ハンドコントローラ3の操作部15を操作方向(矢印C1方向)に移動させる。この場合、移動子110は傾斜状のカム面111を有するため、カム面111が操作部15を押し込みすると、操作部15を矢印B1方向(ロック解除方向)に自動的に移動させることができる。このためハンドコントローラ3において操作部15はロック位置からロック解除方向(矢印B1方向)に自動的に移動する。このように操作部15がロック解除された状態では、操作部15の側面15sが移動子110の第1面112に対面するため、操作部15は矢印B2方向(ロック方向)に移動できない。更に、操作部15の上面の操作面15fが移動子111の第2面113に対面するため、操作部15は第2ハウジング部102により矢印C1方向(操作方向)に押し込み操作可能となる。この状態で、ユーザが手や足等で第2ハウジング部102を操作方向(矢印C1方向)に押し込み操作すれば、ハンドコントローラ3の操作部15は連動して動作する。このため前記した実施形態1において述べたように、ハンドコントローラ3から、縫いの開始/停止および、縫い速度や縫い幅の調整操作は信号化されて、ハーネスまたは無線によりミシン本体1に向けて出力される。従って、ミシン内蔵のマイコンにより制御が実行される。
【0048】
第1ハウジング部101に対して第2ハウジング部102を互いに離間させる方向に移動させれば、即ち、第1ハウジング部101および第2ハウジング部102を開放させれば、移動子110のカム面111と操作部15の操作面15fとが互いに離間するため、操作部15は矢印B2方向(ロック方向)に移動して自動的にロック位置に復帰し、ロックされる。なお、第1ハウジング部101および第2ハウジング部102の相対移動とは、第1ハウジング部101および第2ハウジング部102のうちの少なくとも一つが移動すれば良い。
【0049】
ハンドコントローラ3の使用時において、第1ハウジング部101および第2ハウジング部102の相対移動は、ユーザの手によって行っても良い。あるいは、足踏み等のようにユーザの足を利用して行っても良い。後者の場合には、ユーザの足によって踏み込み操作されるフットコントローラ3Fが形成される。
【0050】
かかる構造を備えるフットコントローラ3Fが使用されるときには、第2ハウジング部102の移動子110により操作部15のロックが常時解除された状態になり、足踏み式のフットコントローラとしても使用可能になる。このため、ユーザは二種類のコントローラを所有する場合と比較して、安価な箱状のハウジング100を所有すれば、安価にそれぞれの機能を入手できる利点が得られる。
【0051】
本実施形態においても、縫製作業準備中等において、ユーザにミシンを動かす意思が無いときに何らかの要因(例えば、ユーザや第3者の身体や他の物体の接触等)で操作部15に力が働いたとしても、操作部15はロックされており、ミシンを動作させる信号を出力させないため、ユーザにとって安全である。ユーザが操作部15から手を離したときには、操作部15が自動的にロックされる状態まで自動復帰するため、ユーザに特別な操作を要求せず、安全機能が確実に作動できる。
【0052】
(その他)上記した実施形態では、操作部15および可動レバー14は別体とされているが、可動レバー14の可動位置を検知するためのスイッチの構造によっては、操作部15および可動レバー14は互いに一体化されていても良い。この場合、ロックバネ8の付勢力を利用するため、レバー戻しバネ17を廃止することもできる。ユーザは手指で操作部15を矢印B1方向に移動させてロッ解除させた後に矢印C1方向に移動させることにしているが、これに限らず、操作部15を矢印C1方向に少し移動させた後、矢印B1方向に移動させてロック解除させ、その後に、矢印C1方向に移動させることにしても良い。ユーザは、手指で操作部15を矢印B1方向および矢印C1方向の合成方向に操作させることにしても良い。本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0053】
図中、7はケーシング(基体)、7cは回動軸(ロック解除部)、71は第1ケーシング、72は第2ケーシング、12はスイッチベース、12aは回動軸、12bはロックピン(ロック部)、12cはベース、14は可動レバー、14aは回動支点、14bは回動孔、15は操作部、15aは回動孔(ロック解除部)、15fは操作面、15cは回動軸、17はレバー戻しバネ、23は抵抗(スイッチ)、3はハンドコントローラ、8はロックバネ、80はコイルバネ部、81は第1腕部、82は第2腕部、84は隙間、100はハウジング、101は第1ハウジング部、102は第2ハウジング部、104は収容室、107は位置決め部、110は移動子、111はカム面を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縫製に関連する信号を出力させるようにユーザにより操作されるミシンコントローラであって、
基体と、
ユーザが操作できるように少なくとも一部が前記基体から露出するように前記基体に設けられ、縫製に関連する信号を直接的または間接的に出力させるようにユーザ操作により所定の操作方向に移動され、且つ、前記操作方向に対して非同一な方向であるロック方向およびロック解除方向に移動可能な操作部と、
前記基体に設けられ、前記操作部の前記操作方向への移動を制限させるロック位置を規定するロック部と、
前記基体に設けられ、前記ロック部によるロックを解除させ且つ前記操作方向に対して非同一の方向であるロック解除方向に前記操作部を移動させるユーザ操作を可能とさせるロック解除部と、
前記基体に設けられ、前記操作部に対するユーザ操作が解除されると、前記操作部をロック位置に自動的に復帰させる付勢力を発揮させるロックバネとを具備することを特徴とするミシンコントローラ。
【請求項2】
請求項1において、前記ロックバネは、前記操作部に対するユーザ操作が解除されると前記操作部を前記ロック位置に自動的に復帰させる第1付勢力と、前記操作部を前記操作方向と反対方向に付勢させることにより、ユーザ操作される前の前記操作部の初期位置に前記操作部を自動的に復帰させる第2付勢力とを備えることを特徴とするミシンコントローラ。
【請求項3】
請求項2において、前記ロックバネは、コイル線材をコイル状を巻回して形成され且つ隣接するコイル線材間に隙間が形成され軸長方向において圧縮可能なコイルバネ部と、前記コイルバネ部の一端部から延設された第1腕部と、前記コイルバネ部の他端部から延設された第2腕部とを備えており、
前記コイルバネ部は前記第1付勢力を発揮し、前記第1腕部および前記第2腕部は前記第2付勢力を発揮することを特徴とするミシンコントローラ。
【請求項4】
請求項1〜3のうちの一項において、前記操作部が前記操作方向に操作されるとき前記操作部によって押し込まれる可動レバーと、前記可動レバーの可動位置を検知することにより前記操作部の前記操作方向への操作量に応じた信号をミシン側に出力するスイッチをもつスイッチベースとが前記基体に設けられており、
前記操作部の操作が解除されたとき前記可動レバーをこれの初期位置に復帰させるレバー戻しバネが設けられていることを特徴とするミシンコントローラ。
【請求項5】
請求項1〜4のうちの一項において、前記操作部を有する前記基体を収容する収容室を形成すると共に相対的に移動可能な第1ハウジング部および第2ハウジング部を有すると共にユーザの足で踏み込み可能なハウジングと、前記第1ハウジング部または前記第2ハウジング部に形成され前記ハウジングの前記収容室に前記基体が収容されている状態において前記基体の前記操作部を前記ロックバネの付勢力に抗してロック解除方向に移動させる移動子とを具備しており、
前記第1ハウジング部および前記第2ハウジング部の相対移動により前記操作部を前記操作方向に移動させ、縫製に関連する信号をミシン側に出力させることを特徴とするミシンコントローラ。
【請求項6】
ミシン本体と、縫製に関連する信号を前記ミシン本体に出力させるようにユーザにより操作されるミシンコントローラとを具備するミシンであって、
前記ミシンコントローラは、基体と、
ユーザが操作できるように少なくとも一部が前記基体から露出するように前記基体に設けられ、縫製に関連する信号を直接的または間接的に出力させるようにユーザ操作により所定の操作方向に移動され、且つ、前記操作方向に対して非同一な方向であるロック方向およびロック解除方向に移動可能な操作部と、
前記基体に設けられ、前記操作部の操作方向への移動を制限させるロック位置を規定するロック部と、
前記基体に設けられ、前記ロック部によるロックを解除させ且つ前記操作方向に対して非同一の方向であるロック解除方向に前記操作部を移動させるユーザ操作を可能とさせるロック解除部と、
前記基体に設けられ、前記操作部に対するユーザ操作が解除されると、前記操作部をロック位置に自動的に復帰させる付勢力を発揮させるロックバネとを具備することを特徴とするミシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−239680(P2012−239680A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113187(P2011−113187)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】