説明

ミスト生成器

【課題】霧化部の近傍へ液体を搬送してミストを生成するミスト生成器であって、生成されるミストの噴霧量及び噴霧高を一定に保つことを目的としたミスト生成器を提供する。
【解決手段】本発明のミスト生成器は、貯水タンクと、超音波振動子により液体を霧化する霧化部と、霧化部の駆動を制御する駆動制御部とを備えている。また液体を霧化部へ搬送するための流動経路の一部を形成する搬送部を備えている。また、貯水タンクに貯えられている液体を加圧し、搬送部を介して霧化部へ到達するように付勢する加圧部とを備えている。また、超音波振動子の振動時における周波数を検出する周波数検出部を備えている。また、周波数検出部により検出された周波数を電圧に変換する電圧変換部を備えている。加圧部は、この電圧変換部より得られる電圧を用いて、液体を付勢する圧力の調整を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等に搭載されて噴霧を行うミスト生成器に関するものであり、特に空気圧送出装置を用いて水溶液を搬送するミスト生成器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ミスト生成器において、様々な形態や特徴を備えたミスト生成器が開発されている。例えば、水や電解水等の液体からミスト(=霧)を生成し、噴霧することで車中の空気を清浄する移動体用のミスト生成器等が実用化されている。
【0003】
また例えば特許文献1には、持ち運び可能な噴霧装置(=ミスト生成器)が開示されている。この噴霧装置は、加湿用の液体を貯えるための液体貯留手段と、貯えられている液体を上方に供給する液体供給手段とを備えている。また、ハウジング内の上部に設けられ、液体供給手段から供給を受けて、液体からミストを作るミスト生成手段を備えている。
【0004】
またこの噴霧装置は、ミスト生成手段の上方に、ミスト生成手段によって生成されたミストを通す開口を備えている。また、ハウジングの上端にオン位置とオフ位置との間で回動可能に設けられる蓋と、蓋がオン位置に回動されたとき開口と連通する放出口とを備えている。これにより、ミストが開口及び放出口を通って放出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−168328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ミスト生成器は通常、稼働状態において液体を霧化部へ供給する必要があるため、液体供給装置、例えば空気圧送出装置等を動作させる必要がある。しかしながら供給時において、霧化部を構成する部材への圧力、つまり押し上げられた液体の水圧が常に一定になるとは限らない。
【0007】
例えば水溶液タンクの水溶液残存量が多い場合は水圧が低くなり、水溶液残存量が少ない場合は水圧が大きくなる傾向がある。この結果、霧化部にかかる水圧の差に起因して、吹き上げるミストの量(以下、「噴霧量」という)や吹き上げるミストの高さ(以下、「噴霧高」という)が変化し、一定に保つことができないという問題があった。
【0008】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、液体供給装置を用いて霧化部の近傍へ液体を搬送してミストを生成するミスト生成器であって、生成されるミストの噴霧量及び噴霧高を一定に保つことを目的としたミスト生成器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために本発明のミスト生成器は、内部に液体を貯える貯水タンクと、超音波振動子により液体を霧化する霧化部と、前記霧化部の駆動を制御する駆動制御部と、前記貯水タンクに貯えられている液体を前記霧化部へ搬送するための流動経路の一部を形成する搬送部と、前記貯水タンクに貯えられている液体を加圧することにより、前記液体を、前記搬送部を介して前記霧化部へ到達するように付勢する加圧部とを備えるミスト生成器であって、前記超音波振動子の振動時における周波数を検出する周波数検出部を備え、前記加圧部は、前記周波数に基づいて、該液体を付勢する圧力の調整を行うことを特徴とする。
【0010】
この構成によると、本発明のミスト生成器は、貯水タンクと、超音波振動子により液体を霧化する霧化部と、霧化部の駆動を制御する駆動制御部とを備えている。また液体を霧化部へ搬送するための流動経路の一部を形成する搬送部を備えている。また、貯水タンクに貯えられている液体を加圧し、搬送部を介して霧化部へ到達するように付勢する加圧部とを備えている。また、超音波振動子の振動時における周波数を検出する周波数検出部を備えている。加圧部は、この周波数を用いて、液体を付勢する圧力の調整を行う。
【0011】
また上記の目的を達成するために本発明のミスト生成器は、前記周波数を電圧に変換する電圧変換部を備え、前記加圧部は、前記電圧変換部より得られる電圧を用いて、前記液体を付勢する圧力の調整を行うことを特徴とする。
【0012】
この構成によると、ミスト生成器は、周波数検出部により検出された周波数を電圧に変換する電圧変換部を備えている。加圧部は、この電圧変換部より得られる電圧を用いて、液体を付勢する圧力の調整を行う。
【0013】
また上記の目的を達成するために本発明のミスト生成器が備える前記加圧部は、前記電圧変換部より得られる電圧が予め定められた範囲を上回る場合または下回る場合に、前記液体を付勢する圧力の低減または増加を行うことを特徴とする。
【0014】
この構成によると、加圧部は、電圧変換部より得られる電圧が所定範囲を上回る場合、または下回る場合に、液体を付勢する圧力の低減または増加を行う。
【0015】
また上記の目的を達成するために本発明のミスト生成器が備える前記搬送部は、鉛直上向きに前記流動経路を形成しており、前記加圧部は、前記貯水タンクの外部から前記貯水タンクの内部へ空気を送り込んで前記貯水タンク内の空気圧を増加させることにより前記貯水タンク内の液体を加圧する空気圧送出装置を備え、前記電圧変換部は、前記周波数を直流電圧に変換し、前記加圧部は、前記空気圧送出装置に対して前記直流電圧を印加することにより、前記貯水タンクの内部へ送り込む空気の量の低減または増加を行うことを特徴とする。
【0016】
この構成によると、搬送部は、鉛直上向きに流動経路を形成する構造をしている。また加圧部は、貯水タンクの外部から内部へ空気を送り込んで空気圧を増加させることにより液体を加圧する、空気圧送出装置を含んでいる。また電圧変換部は、周波数を直流電圧に変換する。また加圧部は、空気圧送出装置に対してこの直流電圧を印加することにより、貯水タンク内へ送り込む空気量の低減または増加を行う。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、霧化部に加わる水圧を超音波振動子の周波数を利用して検出し、加圧部の駆動を調整する。これにより、水溶液の残存量変化や温度変化の影響を受けることなく、噴霧量及び噴霧高をほぼ一定に保つことができる。また、霧化部に加わる水圧を測定するためのセンサ等の追加部材を必要としないため、省サイズ及び省コストの点で有利である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のミスト生成器の構成を示す上面図及び断面側面図である。
【図2】本発明のミスト生成器の霧化部の構成を示す模式図である。
【図3】本発明のミスト生成器の電気回路構成を示すブロック図である。
【図4】本発明のミスト生成器の内部構成を示す断面側面図である。
【図5】本発明のミスト生成器の内部構成を示す断面側面図である。
【図6】本発明のミスト生成器が備える電気回路を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、ここで示す実施形態は一例であり、本発明はここに示す実施形態に限定されるものではない。
〈1.内部構成について〉
図1は、本発明の一実施形態に係るミスト生成器100の内部構成を示す模式図である。ミスト生成器100は、ミスト生成器100が搭載されている車両10の車内に対してミストを生成して噴霧するための装置である。なおミスト生成器100は、車両10に着脱可能な構造となっている。またミスト生成器100の各部は、特に材質に言及していない限り、例えばプラスチック成形品として形成される。
【0020】
図1(a)は、ミスト生成器100を上面から見た上面図である。図1(b)は、ミスト生成器100を側面から見た断面側面図である。ミスト生成器100は、充電可能なバッテリ(不図示)等を電源として作動するもので、直径10cm、高さ20cm程度の円筒形状をしている。なお図1(b)においては、図中の下方向が、ミスト生成器100の下部方向を示している。
【0021】
図1に示すようにミスト生成器100は、放出板101(=霧化部)、超音波振動子102(=霧化部)、水溶液タンク103(=貯水タンク)、導水管104(=搬送部)、空気圧送出装置105(=加圧部)、及び制御基板200を備えている。
【0022】
放出板101は、ミストを放出するために微細な穴が中央部に設けられた板状部材である。超音波振動子102は、導水管104を介して押し上げられ、放出板101の下方に到達した水溶液を、高周波振動で叩いて霧状にする円盤形状の部材である。
【0023】
霧状となった水溶液、つまりミストは、放出板101を通してミスト生成器100の装置外部へ噴射される。これにより、ミストを生成して外部に放出するというミスト生成器100の主目的が達成される。
【0024】
水溶液タンク103は、上記の超音波振動子102がミスト生成に用いる水溶液を貯える。導水管104は、上下方向(鉛直方向)に伸びた略管状の部材として、ミスト生成器100のハウジングに固定されて形成されている。導水管104の上端と下端は開口されており、導水管104の下端から入った水溶液がその内部を流動し、その上端から出ることが可能となっている。
【0025】
導水管104の下端は、水溶液タンク103内へ突出するように設計されている。一方、導水管104の上端の近傍には、放出板101及び超音波振動子102が配置されている。これにより導水管104は、水溶液タンク103の内部から放出板101及び超音波振動子102へ向かうように、水溶液の流動経路を形成している。
【0026】
なお導水管104の下端は、水溶液タンク103の底から所定距離だけ離れるように設定されている。また導水管104の形状としては、上述した通り略管状が好適であるが、水溶液の流動経路を形成する限り、種々の形状が採用され得る。
【0027】
空気圧送出装置105は、空気の吸込口と吹出口を有しており、吸込口から吸い込んだ空気を、吹出口から吹き出す動作(以下、「送風動作」という)を行う。空気圧送出装置105は、吸込口がミスト生成器100の外部(大気中)に開放されるように設置されている。また、吹出口がミスト生成器100の下部に向くように設置されている。
【0028】
制御基板200は、ミスト生成器100の各部を制御する制御回路、またはマイコン等を含む基板である。制御基板200は、ミスト生成器100のハウジング(図1の例では水溶液タンク103の上方)に設けられたスペースに収納されている。制御基板200は、リード線等により超音波振動子102等と接続されている。
〈2.超音波振動子の構成について〉
図2は、本発明の一実施形態に係る超音波振動子102周辺の構成を示す模式図である。図2(a)は、超音波振動子102を斜め上方から見た状態を表している。図2(b)は、線分AA’を含む面を断面とした場合の断面図(ただし制御基板200の部分は断面図となっていない)を表している。
【0029】
図2に示すように、超音波振動子102はドーナツ型形状(断面は略長方形)をしており、外縁が円形である放出板101の上面に接着されている。放出板101は、例えばステンレスによって形成された略板状の部材であり、その中央の所定領域(超音波振動子102に囲まれた領域の一部)に、メッシュ部101aが設けられている。
【0030】
メッシュ部101aは、ミストが通過できる程度の大きさの微小孔が多数設けられたメッシュ状に形成されている。超音波振動子102は、圧電セラミックにより形成されている。超音波振動子102の表面に形成された電極膜と放出板101との間に、制御基板200に含まれる振動子駆動回路202(後述)によって所定電圧が印加されると、高周波(超音波)振動が発生する。これにより、水溶液を霧状にしてミストを生成する。
〈3.制御基板の構成について〉
図3は、本発明の一実施形態に係る制御基板200の構成、及び制御基板200に接続される部材の構成を示すブロック図である。図3に示すように、制御基板200は少なくとも、マイコン201、振動子駆動回路202(=駆動制御部、周波数検出部)、電圧変換回路203(=電圧変換部)、及び空気圧送出装置駆動回路204(=加圧部)を含むように構成されている。また、制御基板200に接続される部材として、図1に図示した部材の他に、起動スイッチ301、及び電源部302が存在する。
【0031】
マイコン201は、ミスト生成器100の各部材の駆動を有機的に制御して、ミストの生成を統括制御するものである。またマイコン201は、上記の各回路に対する駆動制御や、電源部302に対する電圧制御等を行う機能を備える。
【0032】
振動子駆動回路202は、超音波振動子102を動作させるための交流を生成する。また振動子駆動回路202は、超音波振動子102の振動時における周波数を検出する。電圧変換回路203は、上記で検出された周波数を、直流電圧に変換する。空気圧送出装置駆動回路204は、空気圧送出装置105に対する駆動電圧の制御を行う。なお振動子駆動回路202〜空気圧送出装置駆動回路204の詳細については後述する。
【0033】
起動スイッチ301は、ミスト生成器100の稼働状態のON/OFFを切換えるためのリミットスイッチである。ただし起動スイッチがOFFされている状態でも、起動スイッチ301はマイコン201対して微小電流を流す。これによりマイコン201はスタンバイ状態を維持することが可能である。
【0034】
電源部302は、外部電源(不図示)より電力の供給を受け、直流/交流の変換等を行い、ミスト生成器100の各部に対して電源電圧を与える。電源部302は例えば、外部電源より電力供給を受けるための電源コードを接続する接続端子(不図示)を備えている。
【0035】
或いは電源部302は、電源として乾電池或いは二次電池を使用することにより、外部電源から切り離された状態でミスト生成器100の駆動を可能とする形態であってもよい。二次電池としては例えば、充電式アルカリ電池やリチウムイオンバッテリ等を用いることが可能である。
〈4.ミスト生成処理について〉
次に、ミスト生成器100が実施するミスト生成処理について、図4及び図5を用いて説明する。図4は、ミスト生成器100を側面から見た断面側面図であり、送風動作が開始された直後の状態を示している。また図5は、送風動作により超音波振動子102の近傍まで水溶液が搬送され、水溶液タンク103に貯えられている水溶液が減少した状態を示している。
【0036】
マイコン201は、起動スイッチ301により電源の起動が行われた場合に、空気圧送出装置駆動回路204を介し水溶液タンク103に対して圧力を加える動作を行うよう、空気圧送出装置105を制御する。これにより、空気圧送出装置105が発生させる空気圧を利用して、導水管104を介して水溶液タンク103から水溶液を押し上げる(図4における導水管104の灰色部分)。
【0037】
なお、空気圧送出装置105が送風動作を行っていない状態では、水溶液タンク103の内部に存在している空気、及び導水管104の内部に存在している空気の圧力は、ほぼ大気圧に等しい。そのためこの状態では、水面より高い位置に設置されている超音波振動子102には、水溶液タンク103内の水溶液は供給されない。
【0038】
図4に示すように、空気圧送出装置105が送風動作を行うことにより、外部から水溶液タンク103の空気層へ空気を送り込む(図中の矢印α1)。これにより、水溶液タンク103内の空気圧は、大気圧に圧力P(送風動作によって新たに加わる圧力)の分だけ増加したものとなる。水溶液タンク103内の空気圧は、送風動作が継続されている間、この状態に維持される。
【0039】
図4においては、空気圧発生直後であるため、押し上げられた水溶液が導水管104の上端部、つまり超音波振動子102の近傍まで到達していない。この状態では、超音波振動子102に水圧がかかっていなため、超音波振動子102の周波数は一定の状態に保たれる。
【0040】
上記の状態において空気圧送出装置105を制御し、気圧を増加させると、水溶液タンク103内の水溶液が加圧される。そして水溶液の水圧が増加することにより、導水管104の内部において、水溶液タンク103内の水溶液が押し上げられる(図中の矢印α2)。この結果、図5に示す状態となり、ミストβが生成される。
【0041】
図5においては、増加した空気圧により水溶液が導水管104の上端部を経由して、放出板101及び超音波振動子102に対して所定の圧力を加えている。この状態では、超音波振動子102にかかる水圧が変化するたびに、超音波振動子102の周波数も変化する。
【0042】
なお、導水管104に存在していた空気は通気フィルタ(不図示)によりミスト生成器100の外部へ放出される。通気フィルタは、空気は通すが水溶液は通さない止水膜を含む構造をしている。これにより、送風動作により水溶液タンク103内の水溶液が押し上げられた場合に、導水管104等に存在する空気が水溶液の押し上げを阻害するのを回避する。
【0043】
また止水膜により、水溶液がミスト生成器100の外部へ漏れ出すのを防止する。このように水溶液タンク103内の水溶液は、加圧されることにより超音波振動子102の近傍へ到達するように付勢され、超音波振動子102へ継続的に供給される。
【0044】
しかしながら上記で説明したミスト生成処理においては、ミストの噴霧量や噴霧高が一定になるとは限らない。これは、水溶液タンク103から導水管104を介して上昇した水溶液の水圧が、状況に応じて変化するためである。
【0045】
例えば水溶液タンク103の水溶液残存量が多い場合は、圧力が低くなる傾向がある。逆に水溶液残存量が少ない場合は、圧力が大きくなる傾向がある。また水溶液タンク103内の温度変化によっても、圧力は変化する。圧力の変化に伴い、噴霧量や噴霧高も変化する。このため、次に説明する駆動制御処理により、噴霧量及び噴霧高の調整を行う。
〈5.噴霧調整処理について〉
次に、本発明のミスト生成器100が実施する噴霧調整処理について説明する。上述の構成では、駆動状態の超音波振動子102に圧力、つまり押し上げられた水溶液による水圧が加わり、且つ水圧が一定である場合、超音波振動子102は一定の周波数で振動する。
【0046】
しかし加わる水圧が変化すると、超音波振動子102の周波数もそれに応じて変化する。この周波数の変化を圧力変化とみなし、空気圧送出装置駆動回路204にフィードバックすることにより、空気圧送出装置105が発生させる空気圧の大きさを制御する。
【0047】
図6は、振動子駆動回路202及び電圧変換回路203の回路構成の一例を示した回路図である。図6に示すように、振動子駆動回路202は発振回路(図中の右下)を含んでいる。そして発振回路で生成される交流を用いて、超音波振動子102を振動させる。
【0048】
また振動子駆動回路202は、変化する超音波振動子102の周波数(以下、「可変周波数」という)を検出して電圧変換回路203へ送る回路構成をしている。これにより、超音波振動子102にかかる水圧によって可変周波数が変化するのを監視する。
【0049】
可変周波数を受けた電圧変換回路203は、可変周波数を直流電圧に変換する。そして直流電圧を、空気圧送出装置駆動回路204へ送る。空気圧送出装置駆動回路204は、この直流電圧を空気圧送出装置105の制御回路に加えることで、空気圧送出装置105の駆動電圧の制御を行う。
【0050】
なお、電圧変換回路203から送られてくる直流電圧の大きさと、空気圧送出装置105に印加すべき駆動電圧の大きさとの相関関係は、予めミスト生成器100の設計時等において、実験により調査しておくものとする。例えば、超音波振動子102にかかる水圧が比較的強いことを示す直流電圧の値と、超音波振動子102にかかる水圧が比較的強いことを示す直流電圧の値とを、実験により調査しておく。
【0051】
空気圧送出装置駆動回路204は、これらの実験結果に基づき、水圧が強いことを示す直流電圧の場合は駆動電圧を低下させ、水圧が弱いことを示す直流電圧の場合は駆動電圧を増加させる回路構成とする。これにより、超音波振動子102にかかる水圧をほぼ一定に保つ。この結果、噴霧量及び噴霧高もほぼ一定に保たれる。なお、以上に説明した噴霧調整処理は、ミスト生成器100の電源が起動している限り、継続的に実施する。
【0052】
以上に説明した本実施形態によれば、超音波振動子102に加わる水圧を、可変周波数を利用して検出し、空気圧送出装置105の駆動電圧を調整する。これにより、水溶液の残存量変化や温度変化の影響を受けることなく、噴霧量及び噴霧高をほぼ一定に保つことができる。また、水圧を測定するためのセンサ等の追加部材を必要としないため、省サイズ及び省コストの点で有利である。
[その他の実施の形態]
以上、好ましい実施の形態及び実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は必ずしも上記実施の形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形して実施することができる。
【0053】
従って本発明は、以下の形態にも適用可能である。
【0054】
(A)上記実施形態では、本発明の構成を実施する装置として、車載用のミスト生成器100を例に説明しているが、これ以外のミスト生成器において実施する形態でもよい。例えば、旅客機や船舶等に搭載されて使用されるミスト生成器において、本発明を実施する形態でもよい。また、持ち運んで使用する携帯用のミスト生成器において、本発明を実施する形態でもよい。
【0055】
(B)上記実施形態では、導水管104として、ミスト生成器100のハウジング内において上下方向に伸びた略管状の部材を例に説明を行っているが、これ以外の形状または組成をした構成でもよい。例えば、導水管104が流線形状をしており、ハウジングの外部を経由して水溶液の流動経路を形成する形態でもよい。また例えば、導水管104とミスト生成器のハウジングとが一体形成されている形態でもよい。
【0056】
(C)上記実施形態では、空気圧送出装置105が停止した状態において、超音波振動子102の近傍まで搬送された水溶液が水溶液タンク103へ逆流するのを防止する機構については特に明記していないが、例えば開閉弁やフィルタ等の部材を流動経路の一部に設けることにより、水溶液の逆流を防止する形態でもよい。
【0057】
(D)上記実施形態では、超音波振動子102が水溶液タンク103の上方に位置する構造を例に説明を行っているが、超音波振動子102と水溶液タンク103とが離れた位置に設けられている構造であれば、本発明を実施してその効果を得ることができる。例えば、超音波振動子102と水溶液タンク103とが水平方向に同じ高さに位置し、且つ制御基板200等を格納するスペースにより隔離されている構造のミスト生成器100において本発明を実施する形態でもよい。
【0058】
(E)上記実施形態では、超音波振動子102の周波数を検出するための回路が振動子駆動回路202に含まれている構成を例に説明を行っているが、この回路が振動子駆動回路202とは別の回路となっている回路構成により、本発明を実施する形態でもよい。
【符号の説明】
【0059】
10 車両
100 ミスト生成器
101 放出板(霧化部)
102 超音波振動子(霧化部)
103 水溶液タンク(貯水タンク)
104 導水管(搬送部)
105 空気圧送出装置(加圧部)
200 制御基板
201 マイコン
202 振動子駆動回路(駆動制御部、周波数検出部)
203 電圧変換回路(電圧変換部)
204 空気圧送出装置駆動回路(加圧部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に液体を貯える貯水タンクと、
超音波振動子により液体を霧化する霧化部と、
前記霧化部の駆動を制御する駆動制御部と、
前記貯水タンクに貯えられている液体を前記霧化部へ搬送するための流動経路の一部を形成する搬送部と、
前記貯水タンクに貯えられている液体を加圧することにより、前記液体を、前記搬送部を介して前記霧化部へ到達するように付勢する加圧部とを備えるミスト生成器において、
前記ミスト生成器は、前記超音波振動子の振動時における周波数を検出する周波数検出部を備え、
前記加圧部は、前記周波数に基づいて、該液体を付勢する圧力の調整を行うこと
を特徴とするミスト生成器。
【請求項2】
前記ミスト生成器は、前記周波数を電圧に変換する電圧変換部を備え、
前記加圧部は、前記電圧変換部より得られる電圧を用いて、前記液体を付勢する圧力の調整を行うこと
を特徴とする請求項1に記載のミスト生成器。
【請求項3】
前記加圧部は、前記電圧変換部より得られる電圧が予め定められた範囲を上回る場合または下回る場合に、前記液体を付勢する圧力の低減または増加を行うこと
を特徴とする請求項2に記載のミスト生成器。
【請求項4】
前記搬送部は、鉛直上向きに前記流動経路を形成しており、
前記加圧部は、前記貯水タンクの外部から前記貯水タンクの内部へ空気を送り込んで前記貯水タンク内の空気圧を増加させることにより前記貯水タンク内の液体を加圧する空気圧送出装置を備え、
前記電圧変換部は、前記周波数を直流電圧に変換し、
前記加圧部は、前記空気圧送出装置に対して前記直流電圧を印加することにより、前記貯水タンクの内部へ送り込む空気の量の低減または増加を行うこと
を特徴とする請求項3に記載のミスト生成器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−93033(P2012−93033A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−240871(P2010−240871)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】