説明

ミスト発生装置

【課題】ミストの噴出方向に安定した芳香を届けること。
【解決手段】美容器10には、給水タンク22から供給される水を加熱して発生させた温ミストを噴出する温ミストノズル18と、水をベンチュリ効果により冷ミスト化して噴出する冷ミストノズル19と、貯留された芳香剤を揮発させて芳香を発生する芳香発生部15とが備えられている。そして、揮発させた芳香剤を放出する芳香放出口15aは、各ミストノズル18,19より使用者側であって、且つ各ミストノズルの中間に配設されている。そして、芳香放出口15aから各ミストに向かって芳香を放出することで、各ミストと芳香とが混合されて一体となり、使用者に送出されるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の肌にミストによる刺激を与えるとともに芳香を発生可能なミスト発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、アロマオイル(精油)をキャンドルや白熱灯、ファンなどの揮発装置を用いて揮発させ、空間に芳香を発生させることでストレスを解消したり、リラックス効果を得たりするアロマテラピーが行われている。このようなアロマテラピーを取り入れつつ、空間を適当な湿度に保つために、芳香装置と加湿装置とを併設することが提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1によれば、吸着剤に吸着させたりマイクロカプセル化したりした芳香剤を、加熱コイルや送風機などを備えた香り発生手段によって揮発させて芳香(香り)を発生させる一方、加熱コイルにより液体(水)を加熱して水蒸気を発生させ、加湿を行うようになっている。
【特許文献1】特開平10−15049号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献1では、一定の体積を有する部屋を対象としていることから、香り発生手段によって発生させた芳香と、加湿装置によって発生させた水蒸気とを混合することについては、特段の配慮を必要としていない。
【0004】
一方、近年では、液体をミスト化するとともに使用者に向けて噴出させることで、使用者の肌を洗浄したり、使用者の肌に潤いを与えたりする等の美容効果を目的としたミスト発生装置が広く用いられている。このようなミスト発生装置では、ミスト発生装置の使用範囲が使用者の顔に限られるなど、比較的狭い範囲にミストが噴出されるようになっている。このため、美容効果を目的としたミスト発生装置に芳香装置を搭載する場合、ミストの噴出方向に何ら配慮することなく芳香を放出すると、使用者に芳香を安定して届けることができないという虞があった。
【0005】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、ミストの噴出方向に安定した芳香を届けることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、液体をミスト化してミスト噴出口から所定の方向へ噴出させるミスト発生手段と、芳香発生手段により発生させた芳香を放出する芳香放出口と、を備えたミスト発生装置であって、前記芳香放出口は、前記ミスト噴出口とは異なる位置に形成され、且つ前記ミスト噴出口から噴出されるミストに向かって前記芳香を放出可能に構成されていることを要旨としている。
【0007】
これによれば、ミスト噴出口とは異なる位置から、ミスト噴出口より噴出されるミストに向かって芳香が放出される。このため、噴出されたミストと芳香とが混合されるとともに一体となり、ミストの噴出方向に安定した芳香を届ける(送出する)ことができる。したがって、ミスト発生装置を使用する使用者は、ミスト噴出口から噴出されるミストを顔に当てて使用する際、安定した芳香を得ることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のミスト発生装置において、前記芳香放出口は、前記ミスト噴出口より使用者側であって、且つ前記ミスト噴出口に近接した位置に設けられていることを要旨としている。
【0009】
これによれば、使用者に向かって拡散されるように噴出されるミストに対し、拡散される前の位置、すなわちミスト噴出口に近接した位置でミストに向かって芳香を放出することができる。一般に、ミスト噴出口から噴出されるミストは、ミスト噴出口から離間するほど拡散されるように噴出される。このため、ミスト噴出口から離間した位置に芳香放出口を設け、既に拡散されたミストに向かって芳香を放出する場合と比較して、ミスト噴出口に近接した位置に芳香放出口を設け、拡散される前のミストに向かって芳香を放出するほうが、芳香とミストとが混合され易くなる。したがって、ミスト発生装置を使用する使用者は、ミスト噴出口から噴出されるミストを顔に当てて使用する際、安定した芳香を得ることができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のミスト発生装置において、前記ミスト噴出口は、複数形成されるとともに装置本体に横並びで配置されており、前記芳香放出口は、複数形成されたミスト噴出口の間に設けられていることを要旨とした。
【0011】
これによれば、複数設けられたミスト噴出口からそれぞれ噴出されるミストと芳香とを混合できるとともに、各ミスト噴出口から噴出されるミスト毎に芳香の強さが不均一となることを抑制できる。このため、使用者は、何れのミスト噴出口を使用している場合であっても、安定した芳香を得ることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のミスト発生装置において、前記ミスト発生手段は、液体を加熱して温ミストを発生する温ミスト発生部と、液体をミスト化して前記温ミストより低温の冷ミストを発生する冷ミスト発生部と、を備えるとともに、前記温ミストと、前記冷ミストとをそれぞれ異なるミスト噴出口から噴出することを要旨とした。
【0013】
これによれば、異なる噴出口からそれぞれ温ミスト及び冷ミストを噴出させるとともに、噴出される温ミスト及び冷ミストと芳香とを混合させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ミストの噴出方向に安定した芳香を届けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を美容器に具体化した一実施形態について図1〜図18を用いて説明する。
以下の説明において、「前(手前)」「後」「上」「下」「左」「右」は、美容器の使用者P(図18に示す)が、美容器を使用する際に美容器に向いた状態を基準とした場合の「前(手前)」「後」「上」「下」「左」「右」を示すものとする。
【0016】
図1及び図2に示すように、美容器10の本体(装置本体)11は、楕円形に形成された底部の全周から壁を立設し、その上端が後方から前方に向けて下方へ傾くように傾斜した有底円筒状のハウジング(筐体)11aと、ハウジング11aの上端開口部を覆って前方に傾斜するように形成された天面12とから、略円柱状に形成されている。本体11には、楕円形に形成された蓋天面13bの周囲から壁が垂下されて内部に空間を有する略御椀状に形成された本体蓋13が、本体11の後部に設けられたヒンジ部32を基点として前後方向に回動可能に取着されている。天面12の略中央には、温ミストHを噴出(噴射)する温ミスト噴出口18aを有する温ミストノズル18と、温ミストHより低温に設定される冷ミストCを噴出(発生)する冷ミスト噴出口19aを有する冷ミストノズル(冷ミスト発生部)19とが、本体11に横並びに配設されている(各ミストH,Cは、図18に示す)。各ミストノズル18,19は、略ドーム状に形成されたノズルカバー(噴出方向調整手段)20に覆われている。ノズルカバー20は、本体11に対し上下方向へ回動可能に取着されている。そして、ノズルカバー20を上下方向に回動させることで各ミストノズル18,19から噴出される各ミストH,Cの噴出方向を上下方向に調整可能となっている。ここで、各ミストH,Cの噴出方向とは、各ミスト噴出口18a,19aの中心を通る中心線に沿った方向であって、美容器10を使用する使用者Pへ向けて噴出される各ミストH,Cの進行方向をいう(図18で二点鎖線H2に示す)。なお、各ミストノズル18,19は、内側に向けて傾くように配設されている。各ミストノズル18,19の傾きは、美容器10の正面に使用者Pが位置している場合に、各ミストH,Cが使用者Pの中心(正面)に向かって噴出されるように設定されている。温ミストノズル18は、ノズルカバー20の左方に、冷ミストノズル19は、ノズルカバー20の右方に配置されている。そして、ノズルカバー20は、各ミストH,Cが使用者Pに対して上方に噴出される上限方向と、該上限方向よりも下方(天面12)側に設定され各ミストH,Cが美容器10の設置面に対して略水平に噴出される下限方向との間で各ミストH,Cの噴出方向H2を調整可能となっている。また、ノズルカバー20の下限方向は、各ミストH,Cが天面12に当らない方向となるように設定されている。
【0017】
また、ノズルカバー20の各ミストノズル18,19の周囲には、各ミスト噴出口18a,19aの中心を通る中心線に沿った方向(噴出方向H2と側面視において平行な方向)に向かって壁状に延設されたミストガイド20bが設けられている。ミストガイド20bの長さは、各ミストノズル18,19の上方側よりも下方側を長く形成してある。そして、ミストガイド20bは、各ミストノズル18,19から噴出されるミストH,Cが、各ミスト噴出口18a,19aの中心を通る中心線に沿った方向に噴出されるようにガイドするようになっている。
【0018】
また、ノズルカバー20には、保護具としてのキャップ21が上下方向に回動可能に取着されている。
本実施形態の美容器10には、所定の芳香剤を揮発させて芳香(香り)を発生させる芳香発生部(芳香発生手段)15が搭載されている(図3、図13に示す)。芳香発生部15には、揮発させる芳香剤を貯留する芳香皿(貯留手段、有底容器)121を収容する芳香容器HYが装着されている。芳香発生部15に装着された芳香容器HYは、所定の取出ボタンの操作により天面12から上方へ突出されるとともに、上方へ引き上げるようにして芳香発生部15から取出せるようになっている。換言すれば、芳香容器HYは、各ミストH,Cの噴出方向H2と交差する方向を芳香発生部15からの取出方向として取出し可能に構成されている。本実施形態の芳香発生部15は、本体11の各ミストノズル18,19とは別体に形成されているとともに、各ミストノズル18,19より前方に配設されている。芳香発生部15には、発生させた芳香を上方に向かって放出可能な芳香放出口(芳香放出手段)15aが形成されている。芳香を放出する芳香放出口15aは、各ミスト噴出口18a,19aと離間するように配置されている。また、芳香放出口15aは、各ミスト噴出口18a,19aより使用者P側(前方)であって、且つ各ミストノズル18,19と近接した位置に形成されている。また、芳香放出口15aは、温ミスト噴出口18aの中心と、冷ミスト噴出口19aの中心との間(本実施形態では、中央)に、芳香放出口15aの中心が位置するように配置されている。換言すれば、芳香放出口15aは、各ミスト噴出口18a,19aの中心と、芳香放出口15aの中心とで、芳香放出口15aが使用者P側(前方)に突出するような平面視三角形を構成するように配置されている。そして、芳香放出口15aは、正面視において各ミスト噴出口18a,19aの下方に形成されている。
【0019】
また、芳香発生部15(芳香放出口15a)は、下方に調整したノズルカバー20のミストガイド20bと平面視で重なり合う位置に配置されている(図3に示す)。このため、芳香発生部15に装着された芳香容器HYは、ノズルカバー20を下方に調整した状態のまま上方に取出そうとしても、ミストガイド20bと干渉(接触)して取出せないようになっている。すなわち、芳香発生部15の芳香容器HYは、ノズルカバー20を上方に調整した場合にのみ、取出せるようになっている。なお、芳香発生部15は、ノズルカバー20を下方に調整した場合であっても、ミストガイド20bによって芳香放出口15aが完全に覆われない位置に形成されている。すなわち、芳香発生部15は、ノズルカバー20が下方に調整されていても、芳香放出口15aから各ミストH,Cに向かって芳香を放出可能に構成されている。
【0020】
芳香発生部15の左方には、美容器10の電源をON又はOFFするための電源ボタン16が備えられている。電源ボタン16は、機械式スイッチとされている。また、芳香発生部15の右方には、芳香発生部15に備えられた芳香容器HYを取出し操作するための芳香容器取出ボタン(取出操作部材)111が配設されている。芳香容器取出ボタン111は、該芳香容器取出ボタン111を押下操作しようとする使用者Pの手が、各ミストH,Cに当らない位置に設けられている。具体的に説明すると、ノズルカバー20を下方に調整した場合であっても、各ミストH,Cは、ミストガイド20bによって芳香容器取出ボタン111に当らない方向に噴出されるようにガイドされている。また、ノズルカバー20は、芳香容器取出ボタン111に各ミストH,Cが当る位置まで下方に回動できないようになっている。
【0021】
芳香発生部15の前方には、使用者Pが美容器10を操作するための操作部14と、複数の発光体(例えば、LEDなど)の点灯パターン(点灯(点滅)/消灯)により美容器10の運転状態を使用者に報知(お知らせ)する表示部Lが配設されている。操作部14には、運転制御ボタン14b、使用コース選択ボタン14a、及び芳香制御ボタン14cが一列に横並び配置されている。運転制御ボタン14bは、美容器10の運転開始及び運転停止をする際に操作されるボタンである。使用コース選択ボタン14aは、任意の使用コースを選択する際に操作されるボタンである。本実施形態の美容器10では、温ミストHと、冷ミストCとを所定の時間毎に切替えて使用者Pに対し噴出するように設定された複数の使用コースが設定されている(例えば、クリア肌コース、ハリ弾力コース、皮脂ケアコースなど)。ここで、各使用コースは、各使用コースの目的に応じて使用者Pの肌への美容効果が最適となるように、温ミストH、及び冷ミストCの各噴出時間、及び切替え回数が設定されている。本実施形態の美容器10では、使用コース選択ボタン14aが押下操作される毎に、使用コースが順次切替わるようになっている。なお、美容器10には、冷ミストCのみを噴出させる使用コースは設けられていない。また、芳香制御ボタン14cは、芳香発生部15から放出される芳香(香り)の強さ(揮発量)を調整する際に使用されるボタンである。本実施形態の美容器10では、芳香制御ボタン14cを押下操作する毎に、芳香の強さ(濃度)として、「弱」→「中」→「強」→「OFF(芳香無し)」に、順次切替わるようになっている。各ボタン14a〜14cは、押下操作されることでそれぞれ操作信号を出力可能となっている。
【0022】
また、ノズルカバー20の後方には、各ミストノズル18,19から噴出する各ミストH,Cを発生するのに使用される液体(本実施形態では、水)を、所定量(本実施形態では、約120ml)貯蔵する給水タンク22が、本体11に収容された状態で設置されている。具体的に説明すると、給水タンク22は、本体11の天面12に開口するように形成されたタンクホルダ22aに対し、上下(垂直)方向に挿入及び取出し可能に収納されている(図3の紙面右方に示す)。また、給水タンク22は、本体蓋13を開いた状態において、プッシュ操作されると図示しない付勢手段により上方にポップアップ(排出)されるとともに、再度プッシュ操作されるとフック22dに固定される構造とされており、給水タンク22を容易に着脱可能となっている。また、図3に示すように、タンクホルダ22aの下方側面には、タンクホルダ22a内に過剰に供給された水をオーバーフローさせるオーバーフロー孔22cが設けられている。オーバーフロー孔22cには、排水パイプHPの一端が接続されている。また、排水パイプHPの他端は、本体11の後下方に設けられた排水口24(図10に示す)に接続されている。そして、オーバーフロー孔22cと排水口24とを接続する排水パイプHPにより排水経路HKが形成されており、オーバーフローさせた水を外部に排出できるようになっている。
【0023】
図1及び図2に示すように、本体11の左右両側面には、美容器10を持ち運びするための取手23が取着されている。略コ字状に形成された取手23は、その両端がハウジング11aの左右側面に対しそれぞれ回動可能に取着されて、前後方向に回動可能となっている。そして、取手23は、使用者Pが取手23を持って運搬する運搬位置(図2(d)に二点鎖線で示す)と、美容器10を使用する際の下位置(図2(d)に実線で示す)との間で、前後方向(図2(d)の矢印Y1に示す)に回動可能とされている。なお、図2(b)に示すように、取手23は、本体蓋13が開けられた状態では、本体蓋13に当接して(邪魔となって)運搬位置まで回動できないようになっている。このため、使用者Pは、取手23を持って美容器10を運搬するには、本体蓋13を閉じた状態としなければならないようになっている。
【0024】
図2に示すように、本体11の後下方(背面)には、排水口24(図10に示す)を覆うとともに、下端を回動中心として上下方向に開閉可能な排水口カバー25が設けられている。略長方形状に形成された排水口カバー25の内側には、長手方向に沿った両端に壁部25aが立設されており、排水口24から排出される水を外部に誘導するようになっている(図10に示す)。また、本体11の後下方には、電源コード26が配線されている。電源コード26は、ハウジング11aと、ハウジング11aにネジ止め固定される図示しないブッシュホルダとで挟み固定されている。電源コード26には、コードバンド27が取付けられており、美容器10を使用しない場合、電源コード26を束ねた状態で保持可能となっている(図2(c)に示す)。また、コードバンド27には、図示しない穴が形成されており、取手23の一方の端部に形成された凸部28に引っ掛けられるようになっている。このため、美容器10を使用しない場合、電源コード26を束ねた状態で凸部28に引っ掛けて保管することができる。
【0025】
また、本体11の底面には、常には本体11の底面から突出するように付勢された傾斜検知スイッチ29が設けられている。傾斜検知スイッチ29は、机等の平面上に美容器10が設置されている場合、美容器10の自重によって本体11内に収容されるとともにOFF状態となっている。そして、傾斜検知スイッチ29は、美容器10が所定の設置状態から傾いたり、持ち上げられたりしてON状態となり、美容器10が浮き上がった状態を検知するようになっている。
【0026】
次に、本体蓋13について図1〜図4に基づき説明する。
図1〜図3に示すように、本体蓋13は、天面12が露出して美容器10を使用可能な開姿勢(開かれた状態)と、天面12全体を内部に収納した閉姿勢(閉じられた状態)との間で、本体11の後方に設けられたヒンジ部32を基点に前後方向へ回動可能に構成されている。本体蓋13は、美容器10を使用する際、開姿勢を保つようになっている。また、本体蓋13が閉姿勢の場合、各ミストノズル18,19、ノズルカバー20、及びキャップ21の他、操作部14、芳香発生部15、及び給水タンク22は、本体蓋13の内部に形成された空間に収納されるようになっている。このため、美容器10を使用しない場合、本体蓋13を閉じることで各ミストノズル18,19に異物が付着することを回避し、衛生に保つことができるようになっている。また、各ミストノズル18,19に異物が付着することで、各ミストH,Cの噴出方向が変化し、使用感を損なうことを防止することができる。すなわち、各ミストH,Cが予め定めた方向以外の方向に噴出されることを抑制できる。
【0027】
また、ヒンジ部32には、磁石32aが配設されており、本体11の対応する位置に設けられたリードスイッチ式の本体蓋スイッチ32bにより本体蓋13が開姿勢(開かれた状態)にあることを検知するようになっている(図3の紙面右上方に示す)。また、本体蓋13の内側には、長手方向に沿って延びるように中央部を凹ませて形成された段状の摺動リブ13cが設けられている。摺動リブ13cは、本体蓋13が閉じられる際にキャップ21を下方側へ移動するように滑らせるようになっている。
【0028】
本体蓋13の前方には、本体蓋13を開閉動作させる開閉ボタン33が設けられている。図4に示すように、開閉ボタン33の左右両端には、凸部33aが突出形成されている。開閉ボタン33は、両端の凸部33aを本体蓋13の凹部13aに係合させることで、本体蓋13に対し凸部33aを回動中心として前後方向に回動可能に装着されている。そして、開閉ボタン33は、本体蓋13に対してネジN1にて固定されたボタンカバー34により覆われている。開閉ボタン33と本体蓋13との間には、開閉ボタン33のボス部33bで位置決めされた状態でバネB1が挟まれるように配置されている。そして、バネB1は、開閉ボタン33を前方に向かって付勢するようになっている。
【0029】
図3及び図4に示すように、開閉ボタン33の先端に設けられたフック部33cは、本体11の天面12に設けられた凹部12aに係合して、本体蓋13を閉姿勢に保つようになっている。また、使用者Pにより開閉ボタン33が押込み操作されると、開閉ボタン33が凸部33aを回動中心として前後方向に回動するとともにフック部33cと凹部12aとの係合が解除され、本体蓋13を開けることができるようになっている。
【0030】
次に、使用者Pの手が各ミストノズル18,19に接触しないように保護する可動式のキャップ21について、図5及び図6に基づき詳細に説明する。
図5に示すように、ノズルカバー20には、左右両端が下方に向かって折曲げ形成されて正面視略扇状に形成されたキャップ21が、ノズルヒンジ部35を介して取着されている。
【0031】
キャップ21の回動基端には、一対の軸部21bが対向して形成されている。ノズルヒンジ36の左右両側面には、キャップ21の軸部21bと対応する位置に、一対の軸孔36aが形成されている。キャップ21の左方(一方)の軸部21bには、ノズルヒンジ36の左側面に形成された軸孔36aに挿通させたスプリングシャフト37が固定されている。スプリングシャフト37は、軸部21bに対しスプリングシャフト37に形成された図示しない凹部を嵌合させることで固定されている。一方、キャップ21の右方(他方)の軸部21bには、ノズルヒンジ36の右側面に形成された軸孔36aを挿通させたスプリングピン39が取付けられている。
【0032】
このように構成することで、図2(b)及び図6に示すように、キャップ21は、キャップ21が上方に向けられた第1位置としての噴射姿勢(図2(b)の実線、及び図6(a)に示す)と、キャップ21が下方に向けられた第2位置としての保護姿勢(図2(b)の二点鎖線、及び図6(b)に示す)との間で、スプリングシャフト37及びスプリングピン39を回動中心として上下方向に回動可能となっている。ここで、噴射姿勢は、キャップ21によって各ミストH,Cの噴出が遮られず、使用者Pに対しミストを噴出するのに適した姿勢(位置)となっている。また、保護姿勢は、キャップ21によって各ミストノズル18,19の上方が覆われ、各ミストH,Cの噴出方向が下方に変更される位置となっている。
【0033】
また、図5に示すように、スプリングシャフト37には、捻りコイルバネB2の一端が固定されている。一方、捻りコイルバネB2の他端側は、ノズルヒンジ36に固定されている。また、ノズルヒンジ36には、取着されたスプリングシャフト37や捻りコイルバネB2などの部品を保護するシャフトカバー38がネジN2により固定されている。そして、捻りコイルバネB2は、スプリングシャフト37を介してキャップ21が噴射姿勢に保たれるように付勢している。
【0034】
また、ノズルヒンジ36の左右側面には、軸孔36aの下方に位置するようにそれぞれ凸部36bが形成されている。一部の連結部分を除いた各凸部36bの周囲には、所定の幅でノズルヒンジ36の内側と外側を連通するように形成した溝部36cが形成されている。このため、各凸部36bは、所定の負荷がかかると、溝部36cが形成されていない連結部分が撓むことでノズルヒンジ36の内側に入り込むように移動するようになっている。また、各凸部36bは、負荷がかからなくなると、ノズルヒンジ36を形成する材料の復元力によりノズルヒンジ36の側面からそれぞれ突出した位置に戻るようになっている。すなわち、各凸部36bは、溝部36cによって可撓性が与えられている。
【0035】
また、ノズルヒンジ部35は、ノズルカバー20の上部であって各ミストノズル18,19の後方に対向するように形成された凹部20aに、各凸部36bがそれぞれ係合して固定されている。なお、ノズルヒンジ部35は、各凸部36bが可撓性を有していることから、ノズルカバー20に対して着脱自在とされている。すなわち、キャップ21は、ノズルヒンジ部35がノズルカバー20に対して着脱自在に構成されることで、ノズルカバー20に対して着脱自在となっている。また、ノズルヒンジ部35は、ノズルカバー20に埋め込まれるように配設されている。このため、美容器10の全体が小型化されている。
【0036】
また、キャップ21は、本体蓋13が閉じられると、本体蓋13の閉動作に伴って摺動リブ13cを滑りながら保護姿勢(下方)側に移動し、本体蓋13に収納されるようになっている。このため、本体蓋13が閉じた状態では、キャップ21が本体蓋13内に収納されるため、美容器10の全体が小型化(コンパクト化)されている。
【0037】
次に、美容器10の本体11に内蔵される温ミスト発生機構(温ミスト発生手段)40について、図7に基づき詳細に説明する。
図7に示すように、温ミスト発生機構40は、給水タンク22から供給される水を加熱して温ミストを発生させる温ミストボイラ室(温ミスト発生部)41と、発生させた温ミストを微細化(イオン化)する放電部42と、微細化した温ミストを噴出する温ミストノズル18とから主に構成されている。
【0038】
給水タンク22をセットするタンクホルダ22aの下端に設けられた接続部22bには、給水タンク22から供給される水を、温ミスト発生機構40、冷ミスト発生機構60(図9に示す)、及び排水口24(図10に示す)へ供給可能に分岐させる分岐部Gが連設されている。分岐部Gには、耐熱性を備えた弾性材料(例えば、シリコンゴムや、フッ素ゴム)で形成された給水パイプP1の一端が接続されている。給水パイプP1の他端は、温ミストボイラ室41に接続されており、タンクホルダ22aから温ミストボイラ室41に水を供給する給水経路K1が形成されている。温ミストボイラ室41には、供給された水を加熱して温ミストを発生させる温ミストヒータ41aを備えた沸騰室41cが設けられている。沸騰室41cには、給水経路K1から側方に分岐された給水経路K2により水が供給されるようになっている。また、沸騰室41cは、水と温ミストヒータ41aとの接触面積を大きくするとともに、その内容積が小さくなるように形成されている。なお、沸騰室41cの水位は、所定の水位Wに保たれるようになっている。ここで、水位Wは、温ミストヒータ41aにより水が過剰に加熱されて突沸した場合、加熱された水が温ミストノズル18から噴出されない高さに設定されている。また、水位Wは、沸騰室41cの温ミストヒータ41aと水が接触しない状態、いわゆる空焚きとならない高さに設定されている。なお、前述したオーバーフロー孔22cは、水位Wを超えた水を外部に排出可能な高さ(位置)に形成されている。そして、沸騰室41cの水位と、タンクホルダ22aの水位とは等しくなる。温ミストヒータ41aの放熱面(水と接触しない面)には、ヒータサーミスタ41bがネジで固定されている。
【0039】
また、温ミストボイラ室41の上方には、温ミストヒータ41aにより発生した温ミストを温ミストノズル18へ誘導する温ミスト誘導部材42aが接続されている。温ミスト誘導部材42aには、弾性材料(例えば、シリコンゴム)を用いて蛇腹状に形成された蛇腹部材45の下端が接続されている。蛇腹部材45の上端には、ノズルパッキン43が取付けられたノズルホルダ44が接続されている。また、ノズルパッキン43には、温ミストノズル18が固定されている。そして、温ミスト誘導部材42a、及び蛇腹部材45によって、温ミストヒータ41aにより発生した温ミストを温ミストノズル18へ誘導する温ミスト経路M1が形成されている。
【0040】
温ミスト誘導部材42aには、温ミスト経路M1の内部に放電部42が設けられている。図8に示すように、放電部42は、放電針48を備え温ミスト誘導部材42aの内壁面の側方から突出するように形成された一対の電極部47と、両電極部47の中間に配置される中間電極部47aとから構成されている。なお、図8において、紙面下方が温ミストボイラ室41側となり、紙面上方が温ミストノズル18側となっている。また、温ミストボイラ室41で発生された温ミストは、矢印Y2に示す方向に流れるようになっている。
【0041】
電極部47を構成する各放電針48は、温ミスト誘導部材42aの内壁に基端を固定された電極ホルダ49に埋め込み固定されている。放電針48は、例えばAgPd材を直径0.5mmの針状に形成する。各放電針48は、それぞれ高圧回路基板46に接続されており、高電圧が印加されることで両放電針48の間で放電が発生され、温ミストを微細化するようになっている。
【0042】
また、各放電針48の周囲には、各放電針48の全周に亘って吸水体50が配設されている。吸水体50は、例えば不織布などの繊維材料を各放電針48に巻きつけて構成する。なお、吸水体50は、放電針48の全体が吸水体50に埋没しないように所定の長さ(例えば、0.5mm〜1.0mm)だけ各放電針48の先端部を突出させるように形成されている。また、吸水体50の表面には、吸水体50を構成する繊維材料がほつれて微細な繊維体50aが羽毛状に突出している。イオン発生電界が集中する各放電針48の先端に温ミストHが付着して結露すると、放電針48間に発生する電界分布が著しく乱れ、放電が発生しにくくなり、イオン数が低下することが知られている。本実施形態の吸水体50は、各放電針48に付着した水を吸収することで、各放電針48の先端における電界分布を安定化し、電界分布の乱れを防止するようになっている。
【0043】
また、各電極部47には、吸水体50及び電極ホルダ49の側面を覆うように、絶縁体51が配設されている。絶縁体51は、例えば、シリコンゴムやフッ素ゴム、フッ素樹脂等により形成する。
【0044】
中間電極部47aを構成する中間電極52は、温ミスト誘導部材42aに形成された凸部53に圧入して固定された中間電極保持部材54により、両放電針48の中間に位置するように保持されている。中間電極52は、例えば、Pt材を直径0.7mmの棒状に形成する。中間電極保持部材54は、例えば、ステンレス材(SUS304など)により形成する。中間電極保持部材54の固定側には、吸水体54aが配設されている。また、中間電極52の位置は、両放電針48の間の高圧放電が、中間電極保持部材54を経由することなく、中間電極52のみを経由して行われる位置に設定されている。両放電針48の間に中間電極52を設けることで、高圧放電に必要な絶縁破壊電圧を低下させ、中間電極52を設けない場合より、低い電圧で放電させることができるようになっている。
【0045】
次に、美容器10の本体11に内蔵される冷ミスト発生機構(冷ミスト発生手段)60について、図9に基づき詳細に説明する。
図9に示すように、冷ミスト発生機構60は、給水タンク22から供給される水を殺菌する加熱処理部61、加熱処理部61で殺菌した水を冷却する冷却部62、及び冷却した水をベンチュリ効果によりミスト化して噴出する冷ミストノズル19から主に構成されている。
【0046】
タンクホルダ22aに連設された分岐部Gには、弾性材料(例えば、シリコンゴム)で形成された給水パイプP2の一端が接続されている。また、給水パイプP2の他端は、加熱処理部61に接続されて給水経路K3が形成されている。
【0047】
加熱処理部61には、タンクホルダ22aと同じ水位(水位W)まで水を貯留する貯留室61aが形成されている。また、加熱処理部61には、貯留室61aに貯留された水と接触するように冷ミストヒータ64がネジ止め固定されているとともに、冷ミストヒータ64により加熱された水の対流を抑制するダンパ部65が備えられている。ダンパ部65は、下方に設けられた流入口65aと、上方に設けられた流出部65bとの間の流路を蛇行させ、流路の長さが長くなるように構成されている。具体的に説明すると、ダンパ部65には、対向する内壁から交互に水平に延設した複数の区画板65cを設け、ダンパ部65の内部を複数層に区画して流路が形成されている。本実施形態では、ダンパ部65の内部に3枚の区画板65cを設け、ダンパ部65の内部を4層に区画している。
【0048】
ここで、各区画板65cの間の距離(高さ)は、ダンパ部65の内部に形成される流路の長さを長くすることができ、且つ経路抵抗が増加して流量が低下しない距離(高さ)に設定されている。なお、流入口65aの面積は、水の流入を妨げない範囲で最小となるように設定されている。また、ダンパ部65の内容積は、ダンパ部65の内部に流入した水を冷ミストヒータ64により加熱して所定の殺菌温度(例えば、80℃)を到達するのに時間がかかり過ぎないように設定されている。
【0049】
ここで、殺菌温度について説明する。殺菌温度は、その温度を所定の時間維持することで殺菌する目標の細菌を略死滅させることができる温度である。例えば、殺菌の目標とする細菌がレジオネラ菌である場合、80℃を30秒以上継続させることで死滅率を略100%とすることができる。なお、殺菌温度を高くすると殺菌に必要な時間を短くできる一方で、加熱処理部61の内部で沸騰することにより冷ミストノズル19から蒸気が噴出されたり、タンクホルダ22aへ水が逆流したりする可能性がある。このため、殺菌温度は、加熱処理部61の内部で水が沸騰しない温度で、且つできるだけ高い温度となるように設定されている。本実施形態では、殺菌温度を80℃、加熱時間を30秒に設定している。
【0050】
貯留室61aには、ダンパ部65の内部の水温を測定する水温サーミスタ66が配設されている。水温サーミスタ66は、ダンパ部65の内部で最も水温が低くなりやすい場所に設けられている。本実施形態では、ダンパ部65の流入口65aに配設されている。また、貯留室61aの水位Wより上方には、図示しない管状部材によってタンクホルダ22aと連通された圧力開放口62bが形成されている。
【0051】
ダンパ部65の流出部65bには、気液交換部67が連設されており、流出部65bから流出した水に含まれる気泡を捕獲するようになっている。具体的に説明すると、気液交換部67には、水平方向に延びる略円柱状に形成された気液交換室67aが備えられている。気液交換室67aの一端側(上流側)の下方には、ダンパ部65の流出部65bが接続されているとともに、他端側(下流側)の下方には、水が流出する流出部67cが形成されている。そして、気液交換室67aでは、ダンパ部65から供給された水に含まれる気泡が上方に移動して捕獲され、気泡と水とが交換されるようになっている。なお、気泡は、冷ミストヒータ64により水を加熱する際や、各部品の接続部分を水が通過する際に発生し、又は混入される。また、気液交換室67aの内容積は、美容器10の使用によって発生する気泡の体積より大きくなるように設定されている。
【0052】
気液交換部67の流出部67cには、内部に給水経路K4が貫通するように形成された放熱部材68が連設されている。給水経路K4の下方側(上流側)は、気液交換部67の流出部67cと接続されている。放熱部材68は、例えば、アルミフィンからなっており、給水経路K4内に供給される水の熱を奪って放熱し、冷却するようになっている。給水経路K4の上方側(下流側)は、ノズルホルダ44aにフック固定された冷ミストノズル19に接続された給水管69に接続されている。
【0053】
冷ミストノズル19には、送風ポンプ77が接続された送風管78が接続されている。そして、冷ミストノズル19は、送風ポンプ77から送出される空気を噴出させるとともに、ベンチュリ効果によりダンパ部65の内部の加熱された水を吸引しつつミスト化して冷ミストCを噴出するように構成されている。具体的に説明すると、冷ミストノズル19の平面視中央には、送風ポンプ77から送風管78を介して搬送される空気を前方に向かって噴出させる空気噴出部19cが配設されている。また、空気噴出部19cの前方側部には、該空気噴出部19cに近接して水供給部19bが配設されている。水供給部19bは、十分小さく縮径された状態で開口されており、空気噴出部19cから空気が噴出されるのに伴って発生する負圧によって水が吸い出されるとともにミスト化されて前方に噴出されるようになっている。本実施形態において冷ミスト噴出口19aは、空気噴出部19cと、水供給部19bとから構成されている。
【0054】
また、放熱部材68の下方には、冷却用ファン70が取付けられた冷却用モータ71が配設されている。冷却用ファン70は、冷却用モータ71により回転駆動され、本体11(ハウジング11a)の底面に形成された冷却用吸入口72から、防塵フィルタ73を介して空気を吸入するようになっている。なお、防塵フィルタ73は、埃や塵を通過させないメッシュ粗さ、又は開口率に設定されている。冷却用ファン70、冷却用モータ71、及び放熱部材68(冷却部62)の周囲には、冷却用ファン70、冷却用モータ71、及び放熱部材68(冷却部62)を内側に収容する略円筒状に形成された区画部材74が配設されており、冷却用ファン70により下流側に配設された放熱部材68に向かって空気を送出するように構成されている。すなわち、放熱部材68は、冷却用ファン70により送出された空気により冷却されるようになっている。また、区画部材74の上方には、弾性材料(例えば、シリコンゴム)を蛇腹状に形成した蛇腹部材75の下端側が取付けられている。そして、蛇腹部材75の上端側は、冷ミストノズル19の周囲に、冷ミストノズル19の空気噴出部19cと正面視同心円状となるように形成された送風口76と接続されている。そして、区画部材74、及び蛇腹部材75により冷却用ファン70が送出する空気を送風口76から送出させる送風経路S1が形成されている。
【0055】
次に、美容器10の本体11の後下方(背面)に設けられた排水機構80について、図10〜図12に基づき詳細に説明する。排水機構80は、給水タンク22、タンクホルダ22a、温ミスト発生機構40、及び冷ミスト発生機構60を満たす水を本体11の外に排水するための機構である。
【0056】
図10に示すように、ハウジング11aに配設された排水部カバー82には、排水口24、及び使用者Pが排水操作する際に上下方向にスライド操作される排水ボタン81が設けられている。排水ボタン81は、排水口カバー25が閉じられると排水口24とともに内部に収納されるようになっている。
【0057】
図10及び図11に示すように、排水ボタン81には、使用者Pが排水ボタン81を操作する際に、指を掛ける指掛け部81aがハウジング11aの外側に突出するように設けられている。排水ボタン81の背面には、排水部カバー82に形成された開口部82aに係合することで排水ボタン81を排水部カバー82に対し上下方向にスライド可能に装着する一対のフック部81bが形成されている。また、両フック部81bの間には、四角柱状の凸部81cが突出形成されている。
【0058】
排水部カバー82の上端には、凸部82dが上方に向けて突出形成されている。そして、排水部カバー82は、凸部82dをハウジング11aに係止させつつ、下端部を図示しないネジで固定することで、ハウジング11aに固定されている。排水部カバー82の背面には、上下方向に沿って平行に延びる板状のガイド板82bが立設されている。一対のガイド板82bの間には、一対の係合部82cが突出形成されている。
【0059】
また、排水部カバー82の背面には、ガイド板82bの間に位置するようにガイド部材83が配設されている。ガイド部材83の略中央には、排水ボタン81の凸部81cが圧入される係合孔83bが設けられている。そして、排水部カバー82と排水ボタン81とは、フック部81bが係合部82cに係合されて固定されている。このため、ガイド部材83は、排水ボタン81が使用者Pによってスライド操作されると、排水ボタン81と一体となって排水部カバー82のガイド板82bにガイドされながら上下方向にスライド移動されるようになっている。ガイド部材83の下方には、ネジN3により排水アーム84が固定されている。排水アーム84は、側面視略L字に折り曲げ形成されており、ネジ止め固定された基端部とは反対側の先端部に係合部84aが切り欠き形成されている。排水アーム84は、ガイド部材83と一体となって、上下方向にスライド移動可能となっている。すなわち、排水ボタン81、ガイド部材83、及び排水アーム84は、排水ボタン81が使用者Pによって上下方向にスライド移動されると、一体となって上下方向に移動するようになっている。
【0060】
図12に示すように、排水口24の奥方には、分岐部Gに接続された排水パイプP3が接続された排水室85が形成されている。すなわち、排水しようとする水は、排水パイプP3から排水室85を経由し、排水室85の底部に形成された開口部85aを通って排水口24から排出されるようになっている(図12に矢印Y3で示す)。なお、排水パイプP3及び排水室85は、給水タンク22、タンクホルダ22a、温ミスト発生機構40、及び冷ミスト発生機構60などより低い位置(下方)に設けられている。
【0061】
排水室85には、排水室85の開口部85aを閉塞可能な排水パッキン86が配設されており、前述の排水ボタン81のスライド操作と連動して排水を行う開封状態と、排水を停止する閉塞状態に切り替え可能に構成されている。具体的に説明すると、排水室85の平面視略中央には、上下方向に揺動(スライド)自在に保持されたスライドバー87が備えられている。スライドバー87の下端側には、排水パッキン86の内側が取付けられる下Eリング87bが装着されている。排水パッキン86は、スライドバー87が下方に移動すると、下Eリング87bに固定された内側部分が同時に下方へ移動し、開口部85aを閉塞(シール)させるようになっている。また、排水パッキン86は、スライドバー87が上方に移動すると、下Eリング87bに固定された内側部分が同時に上方へ移動し、開口部85aの閉塞状態を解除する(開封する)ようになっている。また、排水パッキン86の外側は、排水室85の上方の内壁面に密着して配設されており、水が排水室85から本体11の内部に流出しないようになっている。
【0062】
スライドバー87の上下方向略中央には、上Eリング87aが装着されている。スライドバー87の上方に配置されているタンクホルダ22aの下部には、スライドバー87を挿通させたコイルバネ88を支持するバネ受部88aが形成されている。そして、コイルバネ88は、バネ受部88aと上Eリング87aとの間に配置されることで、スライドバー87を下方に付勢するようになっている。すなわち、バネ受部88aがコイルバネ88の上ストッパとなり、上Eリング87aが下ストッパとなっている。なお、上Eリング87aの外径は、コイルバネ88の外径よりも大きく設定されている。
【0063】
上Eリング87aの下側には、前述の排水アーム84の係合部84aが係止されている。このため、排水ボタン81が操作されていない状態では、コイルバネ88による下方への付勢力によって、スライドバー87、排水アーム84、及び排水アーム84と一体となって動作するガイド部材83及び排水ボタン81が常には下方へ移動した状態で保持されるようになっている(図12(a)の状態)。この状態では、スライドバー87が下方に移動されており、開口部85aが排水パッキン86によって閉塞(シール)されるようになっている。なお、コイルバネ88による下方への付勢力により排水パッキン86の内側部分が開口部85aの周縁部に密着され、閉塞(シール)状態が維持されるようになっている。一方、使用者Pによって排水ボタン81が上方へスライド移動されると、排水アーム84も連動して上方に移動されるとともに、上Eリング87aで係止されているスライドバー87も上方に移動される(図12(b)の状態)。この状態では、排水ボタン81の移動に伴ってスライドバー87が上方に移動するとともに開口部85aの閉塞状態(シール)が解除され、排水が行われるようになっている。
【0064】
なお、排水アーム84は、スライドバー87が最下端に移動した場合に、排水パッキン86と接触しないように構成されている。
次に、貯留された芳香剤を揮発させて芳香を発生する芳香発生部(芳香発生手段、芳香発生装置)15について、図13〜図16に基づき詳細に説明する。
【0065】
図13に示すように、芳香発生部15は、芳香剤を貯留する芳香容器HYと、揮発装置90と、芳香容器着脱機構91とから構成されている。
まず、芳香容器HYに貯留された芳香剤を揮発させる揮発装置90について説明する。図13に示すように、ハウジング11aには、天面12の略中央に開口し芳香容器HYを収納可能な収容室93aを形成する芳香ハウジング93が固定されている。収容室93aの内壁面には、上下方向に延びるようにガイドリブ93dが形成されている。ガイドリブ93dの上端には、リードスイッチ式の取出ボタンセンサ93fが配設されている。取出ボタンセンサ93fは、芳香容器HYに設けられた磁石123gによってONされることで、芳香容器HYが収容室93aに収容されていること、すなわち芳香発生部15に芳香容器HYが装着されていることを検知するようになっている。
【0066】
芳香ハウジング93の下方に形成されたモータ室93bには、芳香用モータ95が収容されている。芳香用モータ95は、下方から略円盤状に形成されたモータホルダ96がネジ止めされて芳香ハウジング93に固定されている。収容室93aの底面から上方に向かって突出するように配置される芳香用モータ95の駆動軸95aの先端には、ブッシュ95bが圧入によって固定されている。ブッシュ95bには、芳香用ファン94が圧入により固定されている。そして、芳香用モータ95により芳香用ファン94が回転駆動され、収容室93aの上方に向かって空気を搬送(送風)できるようになっている。なお、芳香ハウジング93と芳香用モータ95の間には、パッキン95cが配設されており収容室93aとモータ室93bとが連通しないように封止(シール)されている。本実施形態では、芳香用モータ95により回転駆動される芳香用ファン94が揮発手段として機能している。
【0067】
芳香ハウジング93の下方側面には、芳香用ファン94の下方に開口するパイプ状の接続ボス93cが形成されている。接続ボス93cには、弾性材料(例えば、シリコンゴム)により形成された吸気チューブ97の一端が接続されている。吸気チューブ97の他端は、ハウジング11aの底面に形成された吸気口(吸入部)99と連通するように固定されたパイプ状の接続ボス98に接続されている。なお、接続ボス98の内径と、吸気口99の直径とは略一致させてある。ハウジング11aの底部外側には、吸気口99を覆うように芳香用フィルタ100が設けられている。芳香用フィルタ100は、埃や塵を通過させないメッシュ粗さ、又は開口率に設定されている。
【0068】
そして、芳香ハウジング93の収容室93a、接続ボス93c、吸気チューブ97、及び接続ボス98から、ハウジング11aの底面と、天面12とを連通する送風経路S2が形成されている。そして、芳香用ファン94は、芳香用モータ95によって回転駆動されることによって、芳香用フィルタ100を介して空気を本体11の底面から吸入するとともに、送風経路S2内に吸入された空気を収容室93aの上方に向かって送出するようになっている。
【0069】
次に、芳香ハウジング93の収容室93aに対し、芳香容器HYを着脱自在に装着する芳香容器着脱機構91について説明する。図13及び図14に示すように、芳香容器着脱機構91は、芳香容器HYを上方に押し上げる芳香容器押上げ部101と、芳香容器HYを収容室93aに固定、及び固定の解除をする芳香容器固定部102とから構成されている。
【0070】
まず、芳香容器押上げ部101について説明する。
図13及び図14に示すように、収容室93aには、芳香用ファン94を覆うようにファンカバー103がネジN4により固定されている。また、ファンカバー103には、上下方向に延びるように複数(本実施形態では、3つ)のガイド部103bが形成されている。また、ファンカバー103には、芳香用ファン94が送出する空気が通過する複数(本実施形態では、3つ)の通風孔103aが、ガイド部103bの間に形成されている。ファンカバー103の上部には、円柱状に凹設されたバネ受部103cと、該バネ受部103cの中央から上方に突出するように形成されたボス部103dとが備えられている。バネ受部103cには、ボス部103dに挿通されるように押上バネ104が配設されている。
【0071】
ファンカバー103の上方には、ファンカバー103及び押上バネ104を覆うように天板を有する円筒状のスプリングカバー105が配設されている。スプリングカバー105の下面側には、ファンカバー103に対して上下方向に移動可能な状態でファンカバー103のボス部103dが挿入される筒状の中空ボス部105aが設けられている(図13に示す)。また、中空ボス部105aは、ボス部103dと同様に押上バネ104の内側に配設されることで、押上バネ104の伸縮動作をガイドするとともに、該押上バネ104により上方に向かって付勢されている。また、スプリングカバー105の側面には、ファンカバー103に設けられたガイド部103bと同数のフック部105bが下方に向けて延設されている。各フック部105bは、ファンカバー103のガイド部103bに係合して、スプリングカバー105がファンカバー103に対して周方向に回転しないようにガイドすると同時に、上方に抜けないようになっている。
【0072】
以上のように、ファンカバー103、押上バネ104、及びスプリングカバー105とから、芳香容器押上げ部101が構成されている。
次に、芳香容器固定部(規制手段)102について説明する。
【0073】
芳香ハウジング93の上端側方には、有底略円筒状のボタン取付部93eが側方に突出するように形成されている。ボタン取付部93eの収容室93a側には、収容室93aに連通するフック突出孔107が形成されている。ボタン取付部93eの底部には、フック突出孔107に向かって延びる板状のフックガイドレーン106が設けられている。フックガイドレーン106の上には、収容室93aに先端が突出して芳香容器HYを取出し不能に係止するフック部材108が配置されている。フック部材108の突出方向の後側、すなわち収容室93aから離間する側に設けられた凸部108aには、着脱バネ109の一端が圧入により固定されている。着脱バネ109の他端はボタン取付部93eの内壁に固定されており、フック部材108の全体が収容室93aに突出する側(収容室93a側)へ付勢されている。フック部材108の突出する方向と直交する方向の両端には、下方に向かって延設されたのち外側に向かって水平に突出形成された凸部108bがそれぞれ形成されている。また、フック部材108には、フック部材108の突出方向に沿って平行に一対の長孔108cが形成されている。長孔108cには、フック部材108の後側からフック部材108の突出する側に向かって下方に傾くように傾斜部108dが形成されている。
【0074】
フック部材108の上方には、フック部材108を上方から固定する略円筒状のボタンホルダ110が配設されている。ボタンホルダ110は、ボタン取付部93eに対して圧入されるとともに、天面12から突出しない位置に固定されている。ボタンホルダ110の側方には、下方に向かって延びる壁部110aが対向して形成されている。各壁部110aの下端には、凸部108bの上面と平行に配設されてフック部材108が上下方向に移動することを規制する下端面110bが形成されている。また、各下端面110bには、フック部材108の凸部108bが着脱バネ109の付勢力により当接されるように、突出停止壁110cが下方に向かって突出形成されている。すなわち、フック部材108は、凸部108bが突出停止壁110cに当接することで、着脱バネ109の付勢力によってフック突出孔107から収容室93aに脱落しないようになっている。ボタンホルダ110の内側に設けられるボタン収容部110dには、使用者Pにより押下操作される芳香容器取出ボタン111が装着されている。また、ボタンホルダ110の下部には、下方から上方に向かって矩形に切欠き形成した切欠部110eが対向するように設けられている。
【0075】
芳香容器取出ボタン111の下方には、フック部材108の傾斜部108dと係止する一対のリブ部111aが形成されている。各リブ部111aの下端には、傾斜部108dの傾斜面と対応する斜面が形成されている。すなわち、リブ部111aの傾斜面は、フック部材108の後側に配置される側から、突出する側に配置される側に向かって下方に傾くように形成されている。そして、芳香容器取出ボタン111は、押下操作されると、各リブ部111aの下部斜面とフック部材108の傾斜部108dとが接触した状態で滑りながら後側へ向かってフック部材108を移動させるようになっている。そして、フック部材108の先端部は、収容室93aから突出しない状態となる。なお、フック部材108は、収容室93aに突出する方向へ向かって付勢されていることから、芳香容器取出ボタン111の全体を上方に向かって付勢するようになっている。また、芳香容器取出ボタン111には、各リブ部111aの間にそれぞれ対向するようにフック部111bが形成されている。各フック部111bは、ボタンホルダ110の各切欠部110eにそれぞれ係合されており、芳香容器取出ボタン111が上下方向に摺動自在、かつ上方に抜けないようになっている。
【0076】
以上のように、フック部材108、着脱バネ109、ボタンホルダ110、及び芳香容器取出ボタン111から、芳香容器固定部102が構成されている。
次に、芳香剤を貯留する芳香容器HYについて、図13、図15〜図17に基づき詳細に説明する。
【0077】
図13及び図15に示すように、芳香容器HYは、収容室93aに配設されたスプリングカバー105の上にセットされる保持部材120、芳香剤を貯留する芳香皿(有底容器)121、及び保持部材120に装着される蓋部材123から主に構成されている。
【0078】
略円筒状に形成された保持部材120の上部には、芳香皿121の底部を下方から支持する支持部120aと、該支持部120aの周囲に形成されスプリングカバー105側と芳香皿121側とを連通する通風口(風路)120bとが設けられている。支持部120aの下面は、収容室93a内のスプリングカバー105と接触して支持されるようになっている。また、保持部材120の上部には、複数(本実施形態では、3本)のフック部120cが保持部材120の周方向に所定の間隔(本実施形態では、約120度)毎に立設されており、芳香皿121を着脱自在に嵌め込めるようになっている。本実施形態では、芳香皿121及び保持部材120が有底容器部材を構成している。また、フック部120cには、芳香皿121を嵌め込んだ状態で金属製のリング122が取着されるようになっている。また、保持部材120の上端には、該上端の一部を周方向に沿って切り欠いた2つの切欠部120dが形成されている。また、各切欠部120dには、それぞれ凹部120eが設けられている。なお、保持部材120の大きさは、芳香皿121を取付けた状態で、乳幼児等が誤って口に入れることができない大きさに形成されている。
【0079】
保持部材120には、天面12の傾斜角度と同じ傾斜角度の天板部123aを備えた円筒状の蓋部材123が着脱自在に装着されるようになっている。具体的に説明すると、蓋部材123の内側下方には、保持部材120の各凹部120eに嵌合する2つの凸部123bが対応する位置に形成されている。そして、保持部材120の各凸部123bを切欠部120dに対して上方から挿入するとともに、周方向に蓋部材123を回動させることで、各凸部123bと凹部120eとがそれぞれ嵌合されるようになっている。また、各凸部123bと凹部120eとが嵌合した状態から、蓋部材123を逆方向に回動させることで係合状態を解除することができるようになっている。保持部材120に蓋部材123が装着されると、フック部120c、嵌め込まれた芳香皿121、及びリング122が、蓋部材123に覆われるようになっている。蓋部材123の天板部123aの中央には、揮発させた芳香を放出する芳香放出口15aが形成されている。芳香放出口15aは、芳香放出口15aの上方と芳香容器HYの内部とを連通させた状態で、平面視格子状に形成されている。芳香放出口15aに形成された格子の目の大きさは、芳香用ファン94が搬送する空気の噴出を妨げない大きさで、且つ液状の芳香剤が格子構造に付着した際、表面張力により格子の目の中に保持されて通過しにくい大きさに設定されている。また、芳香放出口15aの格子の目の大きさは、使用者Pに対し、芳香放出口15aの上方から芳香皿121に芳香剤を滴下する気を起すことを抑制できる大きさ(細かさ)に設定されている。本実施形態では、格子は、□0.5〜4.0mm、好ましくは□1.8〜2.2mmに設定されている。
【0080】
また、蓋部材123の側面には、下方に向かって広がるようにハ字状に配設したリブ構造からなるガイドレーン123cが設けられている。ガイドレーン123cは、芳香容器HYを収容室93aに挿入する際、収容室93aに形成されたガイドリブ93dと係止されることで、天板部123aの傾斜と天面12(本体11)の傾斜とが一致する状態にガイドするようになっている。また、蓋部材123には、両ガイドレーン123cの間に磁石123gが配設されている。磁石123gは、芳香容器HYが収容室93aに固定された状態において、取出ボタンセンサ93fと対応する位置に配設されている。蓋部材123の下端には、周方向に延びるように風路を形成するためのツバ部123eが形成されている。蓋部材123の上部には、複数のリブ構造で仕切られたゴム設置部123fが形成されているとともに、略直方体に形成されたゴム部材125が挿入されている。ゴム部材125の下端部は、蓋部材123に形成された図示しない覗き孔から突出されており、芳香容器HYを収容室93aに挿入した状態において、収容室93aの内壁面と接触する(壁面に押されて蓋部材123に押込まれるようにへこむ)ようになっている。
【0081】
また、図13に示すように、蓋部材123の内側には、芳香用ファン94が芳香容器HYの下方から上方へ向けて搬送する空気の進行方向を、芳香皿121の略全周から芳香皿121の内部に流入する方向に変更する方向変更部126が設けられている。具体的に説明すると、方向変更部126は、蓋部材123の天板部123aの内側に形成されており、内壁面と芳香放出口15aとを断面視逆U字状となるように形成されている。
【0082】
また、蓋部材123の側面には、前述のフック部材108の先端が係止される突起部123dが突出形成されている。そして、芳香容器HYが収容室93aに挿入されると、突起部123dがフック部材108の先端に係止されることで、取出し不能な状態で固定されるようになっている。なお、突起部123dがフック部材108の先端に係止された状態で、芳香容器取出ボタン111が押下操作されてフック部材108が収容室93aから離間する側に移動すると、係止状態が解除されるとともに、スプリングカバー105が芳香容器HYを上方へ押し上げるようになっている。なお、スプリングカバー105は、使用者Pが芳香容器HYを掴むことができる高さだけ天面12から突出するように、上方に向かって押上げるようになっている。
【0083】
蓋部材123の上部には、中央に芳香が放出される孔が形成された容器カバー124が取着されている。容器カバー124の外縁には、内側に折り曲げ形成された複数(本実施形態では、4つ)の折り曲げ部124aが形成されている。容器カバー124は、各折り曲げ部124aがそれぞれ蓋部材123に係止されることで固定されている。
【0084】
次に、芳香剤を貯留する芳香皿121について、図16に基づき説明する。
図16に示すように、金属製(例えば、ステンレス材)の芳香皿121は、円形の底部の周囲から壁部(側壁)121hを立設して有底略円筒状に形成されている。芳香皿121の開口縁部には、前記有底容器の内側に向かって折り返されるように形成された折返し部121aが設けられている。折返し部121aの高さ(直径方向の長さ)は、芳香皿121を垂直(90度)に立てた状態で、芳香皿121に貯留された2滴、好ましくは10滴以上の芳香剤がこぼれない高さに設定されている。本実施形態では、芳香皿121の外径は直径28mm、折返し部121aの開口部直径は24mmとされている。なお、芳香皿121の高さは10mmとされている。
【0085】
芳香皿121の底部には、略半球形に形成された複数(本実施形態では、19個)の凹部121b(貯留部)が設けられている。また、複数形成された凹部121bの周囲には、壁部121hから凹部121bに向かって傾斜するように傾斜部121cが形成されている。傾斜部121cは、芳香皿121の底部の中心側から外側に向かって高くなるように傾斜している。凹部121b及び傾斜部121cは、芳香皿121に貯留される芳香剤と空気との接触面積(以下、「表面積」という)を調整するようになっている。一般的に、芳香剤の表面積と揮発量との間には相関関係ある。すなわち、表面積が大きいほど、芳香剤の揮発量も大きくなる一方、表面積が小さいほど、芳香剤の揮発量が小さくなる。本実施形態の凹部121b及び傾斜部121cは、芳香皿121に貯留される芳香剤の表面積を調整することで、芳香剤の揮発量を調整する調整手段として機能するようになっている。具体的に説明すると、凹部121bは、該凹部121bに滴下された芳香剤が、各凹部121bに優先的に流入することで、芳香皿121の底部のうち凹部121bが形成されていない部分に芳香剤が拡がることを抑制するようになっている。すなわち、凹部121bは、各凹部121bの容積の総和(以下、「凹部容積」と示す)を超えない量の芳香剤が滴下された場合、芳香剤の表面積を各凹部121bが形成された部分の面積に対応した面積に調整するようになっている。また、凹部容積を超える量の芳香剤が凹部121bに滴下されると、各凹部121bに貯留しきれない芳香剤は、凹部121bが形成されていない部分に拡がったのち、傾斜部121cにより滴下された芳香剤の量に応じた表面積となるように調整されるようになっている。
【0086】
また、各凹部121b及び傾斜部121cは、芳香剤の滴下量が1滴の場合と2滴の場合とで、表面積の比率が所定の比率となるように、すなわち芳香剤の滴下数と表面積との間で一定の相関があるように大きさ(直径及び深さ)が設定されている。本実施形態では、芳香剤の滴下量が1滴の場合と、2滴の場合とで、表面積の比率が1:1.3〜3.0、より好ましくは1:1.5〜2.0となるように構成されている。本実施形態では、芳香剤を凹部121bに対し1滴滴下した場合、凹部121bの略全てが芳香剤により満たされるようになっている。また、本実施形態では、芳香剤を凹部121bに対し2滴滴下した場合、芳香剤が傾斜部121cの下端(境界部分)まで拡がるようになっている。また、本実施形態では、芳香剤を凹部121bに対し3滴滴下した場合、傾斜部121cの傾斜に沿って表面積が拡大されるようになっている。
【0087】
なお、凹部121bに貯留された芳香剤は、芳香皿121を傾けても凹部121bに留められるようになっており、凹部121bが形成されていない部分に流出し難いようになっている。
【0088】
以上のように構成された芳香発生部15において、使用者Pが各ミストH,Cと混合された状態で吸入する芳香剤の濃度が所定の濃度(例えば、10ppm)を超えないように、且つ発生されたミストH,Cの進行(噴出)を妨げないように、芳香放出口15aの直径、芳香放出口15aから噴出される空気の流速、及び芳香皿121に貯留された芳香剤の表面積の組合せ条件が設定されている。組合せ条件を例示すると、例えば本実施形態では、芳香放出口15aの開口直径は19mmに設定されている。この場合、芳香放出口15aでの空気の流速は0.6m/秒以下、より好ましくは0.3m/秒以下となるように、芳香用ファン94が回転駆動されるようになっている。そして、芳香皿121の凹部121bと傾斜部121cは、芳香剤の滴下量が1滴(約0.03ml)の場合、芳香剤の表面積が100〜220mm、より好ましくは130〜190mmとなるように構成されている。また、芳香皿121の凹部121bと傾斜部121cは、芳香剤の滴下量が2滴の場合、芳香剤の表面積が220〜340mm、より好ましくは250〜310mmとなるように構成されている。
【0089】
次に、美容器10の制御部品について、図3に基づき説明する。
図3に示すように、本体11の内部には、操作部14の下方に位置するように制御回路基板31が配設されている。制御回路基板31は、美容器10の全体的な動作を制御する。また、制御回路基板31の下方には、電源回路基板30が固定されている。電源回路基板30は、制御回路基板31を含む各種モータや、各種ヒータ等に電力を供給するようになっている。
【0090】
次に、美容器10の電気的構成について、図17に基づき説明する。
まず、電源回路基板30について説明する。
電源回路基板30には、電源コード26が接続されており、商用コンセントから電力の供給を受けるようになっている。また、電源回路基板30には、電源ボタン16が接続されており、該電源ボタン16が押下操作される毎に、商用コンセントから供給される電力が遮断されるOFF状態と、美容器10が動作可能なON状態とに切替わるように構成されている。
【0091】
電源回路基板30には、芳香用モータ95、温ミストヒータ(加熱手段)41a、冷ミストヒータ64、冷却用モータ71、及び送風ポンプ77が接続されている。また、電源回路基板30には、高圧回路基板46を介して放電部42が接続されている。高圧回路基板46は、電源回路基板30から供給される電力の電圧を、放電針48から放電可能な所定電圧まで昇圧させて、放電部42に供給するようになっている。また、電源回路基板30には、制御回路基板31が接続されている。そして、電源回路基板30は、制御回路基板31の制御により電力を供給して各種モータ、及び各種ヒータ等を駆動及び停止させるようになっている。
【0092】
次に、制御回路基板31について説明する。
制御回路基板31には、美容器10の動作を制御するためのプログラムを記憶するとともに、各種の演算処理を実行するマイコン31aが搭載されている。制御回路基板31には、運転制御ボタン14b、使用コース選択ボタン14a、及び芳香制御ボタン14cが接続されており、各ボタン14a〜14cが出力する操作信号を入力可能に構成されている。
【0093】
制御回路基板31には、本体蓋スイッチ32bが接続されており、本体蓋13が開かれていることを検知して本体蓋スイッチ32bが出力するON信号を入力可能に構成されている。マイコン31aは、本体蓋スイッチ32bが出力するON信号を入力すると、運転制御ボタン14b、使用コース選択ボタン14a、及び芳香制御ボタン14cの押下操作を有効とするようになっている。一方、本体蓋スイッチ32bからON信号を入力していない状態、すなわち本体蓋13が閉じられた状態にある場合、操作部14の各ボタン14a〜14cの押下操作を無効とするようになっている。すなわち、本体蓋スイッチ32bは、安全スイッチとして機能するようになっている。
【0094】
また、制御回路基板31には、取出ボタンセンサ93fが接続されており、芳香容器HYが収容室93aに収容(固定)されていることを検知して出力するON信号を入力可能に構成されている。マイコン31aは、取出ボタンセンサ93fが出力するON信号を入力すると、運転制御ボタン14b、使用コース選択ボタン14a、及び芳香制御ボタン14cの押下操作を有効とするようになっている。一方、マイコン31aは、取出ボタンセンサ93fからON信号を入力していない場合、すなわち芳香容器HYが収容室93aに収容(固定)されていない場合、操作部14の各ボタン14a〜14cの押下操作を無効とするようになっている。すなわち、取出ボタンセンサ93fは、安全スイッチとして機能するようになっている。また、マイコン31aは、各ミストノズル18,19からミストH,Cが噴出されている状態で、取出ボタンセンサ93fからON信号を入力しなくなると、ミストH,Cの発生を停止させるように電源回路基板30を制御する。具体的に説明すると、マイコン31aは、温ミストHの発生中には、温ミストヒータ41aをOFFするように電源回路基板30を制御する。また、マイコン31aは、冷ミストCの発生中には、送風ポンプ77、冷ミストヒータ64、及び冷却用モータ71をOFFするように電源回路基板30を制御する。
【0095】
制御回路基板31には、傾斜検知スイッチ29が接続されており、傾斜検知スイッチ29が本体11の底部から突出して出力するON信号を入力可能に構成されている。マイコン31aは、本体11が倒れたり、持ち上げられたりして傾斜検知スイッチ29からON信号を入力すると、温ミストヒータ41a、冷ミストヒータ64、冷却用モータ71、送風ポンプ77、及び高圧回路基板46に対する電力の供給を停止するように電源回路基板30を制御する。すなわち、マイコン31aは、傾斜検知スイッチ29からON信号を入力すると、美容器10の全ての動作を停止させ、使用者の安全を確保するようになっている。
【0096】
制御回路基板31には、表示部Lが接続されている。そして、マイコン31aは、美容器10の制御状態に応じて所定の点灯パターンで発光体を点灯させるように制御する。
制御回路基板31には、ヒータサーミスタ41b、及び水温サーミスタ66が接続されており、それぞれ各サーミスタ41b,66が測定した温度に対応した温度検知信号を入力可能に構成されている。マイコン31aは、ヒータサーミスタ41bにより検知する温ミストヒータ41aの温度が所定の設定温度を超えると、温ミストヒータ41aに供給する電力を遮断(停止)するように電源回路基板30を制御し、温ミストヒータ41aをOFFさせるようになっている。また、マイコン31aは、水温サーミスタ66により検知する加熱処理部61の水温が、所定の殺菌温度(本実施形態では、80℃)未満になると、冷ミストヒータ64に電力を供給するように電源回路基板30を制御し、冷ミストヒータ64をONさせるようになっている。一方、マイコン31aは、水温サーミスタ66により検知する加熱処理部61の水温が所定の殺菌温度以上になると、冷ミストヒータ64に供給する電力を遮断するように電源回路基板30を制御し、冷ミストヒータ64をOFFさせるようになっている。
【0097】
制御回路基板31には、電源回路基板30が接続されており、該電源回路基板30から電力の供給を受けるようになっている。また、制御回路基板31は、電源回路基板30を制御して、電源回路基板30に接続された各種モータ、及び各種ヒータ等への電力供給を制御するようになっている。
【0098】
また、マイコン31aは、芳香制御ボタン14cの操作により使用者Pが選択した芳香濃度に応じた芳香用ファン94の回転数(回転速度)となるように、芳香用モータ95に対し電力を供給するよう電源回路基板30を制御するようになっている。マイコン31aは、選択された芳香濃度が高いほど、芳香用ファン94の回転数が多くなるように電源回路基板30を制御する。すなわち、マイコン31aは、選択された芳香濃度が高いほど、芳香用ファン94により搬送する空気の量が多くなるように電源回路基板30を制御する。また、マイコン31aは、所定の時間毎に揮発させる芳香剤の量を増減させる。
【0099】
そして、本実施形態のマイコン31aは、所定の時間毎に揮発させる芳香剤の量を増減させるように構成されている。具体的に説明すると、マイコン31aは、使用者Pが選択した芳香の強さ(濃度)に基づき、電源回路基板30に芳香用モータ95を駆動させる。さらに、マイコン31aは、芳香用モータ95の駆動開始から、所定の期間(本実施形態では、20秒間)が経過すると、芳香用モータ95を所定の期間(本実施形態では、5秒間)停止させるように電源回路基板30を制御する。このように構成することで、美容器10では、芳香の発生と停止が交互に実行されるようになっている。
【0100】
なお、本実施形態では、各種モータ、及び各種ヒータを駆動させるように電源回路基板30を制御するマイコン31aが、調整手段、制御手段を構成している。
次に、以上のように構成された美容器10の作用(動作)について説明する。
【0101】
まず、キャップ21の作用(動作)について説明する。
図6(a)に示すように、通常の使用状態においてキャップ21は、噴射姿勢を保つようになっている。そして、図6(b)に示すように、キャップ21の上方から下方へ向けて使用者Pの手PHが移動し、各ミストノズル18,19に触れようとすると、手PHの接触及び下方への移動に伴ってキャップ21は保護姿勢側へ移動される。このため、各ミストノズル18,19と手PHとの間にキャップ21が配置された状態となり、使用者Pの手PHに各ミストH,Cが直接触れることがない。換言すれば、キャップ21が保護姿勢となることで、各ミストノズル18,19と使用者Pの手PHとが、キャップ21によって物理的に隔離された状態となる。
【0102】
また、保護姿勢のキャップ21は、各ミストノズル18,19の上方を覆うため、各ミストノズル18,19から噴出されるミストH,Cの噴出方向が下方に変更され、使用者Pに向かって噴出されないようになる。
【0103】
次に、温ミスト発生機構40の作用(動作)について説明する。
図7に示すように、給水タンク22からタンクホルダ22aに供給された水は、給水経路K1及び給水経路K2を通って沸騰室41cに供給される。沸騰室41cの水位は、給水タンク22からの給水により所定の水位Wに保たれるようになっている。具体的に説明すると、沸騰室41cの水位が低下すると給水タンク22からの給水が開始されるとともに、沸騰室41cの水位が所定の高さ(水位W)を超えると給水タンク22からの給水が停止されるようになっている。沸騰室41cに供給された水は、温ミストヒータ41aにより加熱及び気化されることで、温ミスト化される。発生された温ミストは、温ミスト経路M1を通って上方に導かれるとともに、放電部42において両放電針48の間で行われる高圧放電により微細化(イオン化)される。そして、微細化された温ミストは、温ミストノズル18から前方に向けて噴出(噴射)される。なお、温ミストヒータ41aは、給水タンク22が空となった場合など、沸騰室41cの水位Wが低下して温度が上昇すると、マイコン31aの制御によりOFFされるようになっている。
【0104】
次に、冷ミスト発生機構60の作用(動作)について説明する。
図9に示すように、給水タンク22からタンクホルダ22aに供給された水は、給水経路K3を通って加熱処理部61の貯留室61aに供給される。貯留室61aに供給された水は、流入口65aからダンパ部65の内部に流入するとともに、水位Wに保たれるようになっている。ダンパ部65の内部に流入した水を含む貯留室61aの水は、冷ミストヒータ64により所定の殺菌温度(本実施形態では、80℃)まで加熱されるようになっている。
【0105】
ダンパ部65の内部では、所定の間隔で交互に配置された区画板65cによって、加熱に伴って発生する水の対流が抑制されるようになっている。また、流入口65aは、最小面積となるように形成されていることから、給水経路K3から供給された低温の水が、貯留室61aで発生する対流などによりダンパ部65の内部に流入しにくくなっている。すなわち、ダンパ部65の内部の水は、冷ミストヒータ64により安定して加熱されるとともに、低温の水が内部に流入することにより温度が低下しないようになっている。また、ダンパ部65では、冷ミストノズル19から噴出される水が、少なくとも殺菌条件を満たす期間(本実施形態では、30秒)、滞留されるようになっている。なお、本実施形態の美容器10では、使用コース中に冷ミストCのみを噴出させる使用コースが設定されていないことから、温ミストHを温ミストノズル18から噴出させている間に、ダンパ部65の水の殺菌条件を達成するようになっている。そして、温ミストHの噴出が終了すると、既に殺菌済みの水を冷ミストノズル19が冷ミスト化して、使用者Pに向かって速やかに噴出できるようになっている。
【0106】
ダンパ部65の内部で加熱及び殺菌された水は、送風ポンプ77がON(駆動)されて空気噴出部19cから空気が噴出されると、該噴出により発生する負圧によって、給水経路K4を水供給部19bに向かって吸い出されるとともに、冷ミスト化されて前方に噴出されるようになっている。
【0107】
また、ダンパ部65から吸い出された水に混入された気泡は、気液交換部67において捕獲され水と交換されるようになっている。ここで、マイコン31aは、冷ミストノズル19による冷ミスト発生開始(送風ポンプ77のON(駆動))から所定期間(本実施形態では、5秒)、送風ポンプ77が低速駆動されるように電源回路基板30を制御する。そして、マイコン31aは、所定期間の経過後、送風ポンプ77が通常の速度で駆動されるように電源回路基板30を制御する。すなわち、マイコン31aは、冷ミスト発生開始時にダンパ部65の水を気液交換室67aの内部にゆっくり流入されるように送風ポンプ77の動作を制御して、気液交換室67aの内部の空気を先に全て冷ミストノズル19から噴出させるようになっている。このため、気液交換室67aに対し急激に水が流入することで、気液交換室67aの内部に空気を残したまま冷ミストCの噴出が開始されることを抑制するようになっている。そして、給水経路K4の水が気泡によって分断され、冷ミストCの噴出が断続的になされたり、一時的に停止されてしまったりすることを防止できるようになっている。
【0108】
また、気液交換部67により気泡を除去された水は、放熱部材68の内部に形成された給水経路K4を通過する際に冷却されるようになっている。放熱部材68は、冷却用ファン70により搬送される空気によって冷却されるようになっている。なお、冷却用ファン70により搬送される空気は、送風経路S1を通って冷ミストノズル19の側方に開口する送風口76から使用者Pに向けて噴出される。送風口76から使用者Pに向かって空気を噴出することで、使用者Pの肌に付着した冷ミストCの気化を促進し、使用者Pの肌を効率よく冷却することができるようになっている。したがって、使用者Pの冷却感を更に向上させるようになっている。
【0109】
次に、芳香発生部15の作用(動作)について説明する。
図13に示すように、芳香容器取出ボタン111が押下操作されると、フック部材108が収容室93a(芳香容器HY)から離間する側に移動し、フック部材108の先端と蓋部材123の突起部123dとの係合が解除される。同時に、芳香容器HYは、押上バネ104の付勢によりスプリングカバー105によって、天面12から突出する位置へ押し上げられるとともに、本体11(収容室93a)から取出し可能な状態となる。そして、使用者Pは、天面12から突出された芳香容器HYの上端を保持し、上方に引き上げるようにして芳香発生部15(収容室93a)から芳香容器HYを取出すことができる。
【0110】
図15(a)及び図15(b)に示すように、蓋部材123は、周方向に回転させることで、蓋部材123の凸部123bと保持部材120の凹部120eとの係合を解除するとともに保持部材120から取り外すことができる。そして、使用者Pは、芳香皿121の凹部121b及び傾斜部121cに対して、好みの芳香剤を滴下することができる。この際、凹部121bと傾斜部121cにより、芳香皿121の底面に滴下された芳香剤の拡がりを調整することができる。すなわち、芳香剤の滴下数に応じた表面積となる。
【0111】
芳香皿121に芳香剤を滴下した後、芳香皿121を覆うように蓋部材123をセットするとともに周方向に回動させて、凸部123bと凹部120eとを係合させ、蓋部材123を保持部材120に装着する。
【0112】
そして、蓋部材123のガイドレーン123cと、収容室93aのガイドリブ93dの位置を合わせた状態で芳香容器HYを収容室93a(本体11)に挿入する。この際、芳香容器HYの上面(容器カバー124)を下方に押圧すると、フック部材108の先端が蓋部材123の突起部123dに押され、芳香容器HY(収容室93a)から離間する側に移動する。さらに芳香容器HYを押圧して下方に移動させると、着脱バネ109により付勢されたフック部材108が収容室93aに突出するとともに、突起部123dと係合する。そして、芳香容器HYは、収容室93a(本体11)に固定(取付)される。
【0113】
図13に示すように、電源回路基板30から芳香用モータ95に電力が供給されると、芳香用ファン94が回転駆動されるとともに、吸気口99から空気が送風経路S2に吸入される(矢印Y4)。送風経路S2に吸入された空気は、さらに芳香用ファン94により上方に向けて搬送される(矢印Y4)。芳香用ファン94が搬送する空気は、ファンカバー103の通風孔103aからスプリングカバー105の側方を通って上方に搬送され、さらに蓋部材123の内面に形成された方向変更部126によって芳香皿121の内部に流入するように進行方向が変更される。芳香皿121に流入した空気は、芳香皿121の凹部121b及び傾斜部121cに貯留された芳香剤を揮発させるとともに、再び上方に向かって搬送され芳香放出口15aから上方に向かって放出される(矢印Y4)。なお、芳香放出口15aから上方に向かって噴出される空気の流速は、各ミストノズル18,19から噴出されるミストの進行が妨げられない風速となるように設定されている。本実施形態では、最大風速として0.6m/秒とされている。
【0114】
図18(a)及び図18(b)に示すように、美容器10の使用状態において、温ミストHは、温ミストノズル18(温ミスト噴出口18a)から使用者Pの顔に向かって噴出される。また、冷ミストCは、冷ミストノズル19(冷ミスト噴出口19a)から使用者Pの顔に向かって噴出される。各ミストH,Cは、それぞれミストノズル18,19から噴出されると、前方に向かって左右上下方向に拡散しながら前進するようになっている。すなわち、各ミストH,Cは、各ミストノズル18,19から離間するほど拡散されるように噴出される。
【0115】
そして、芳香発生部15で発生された芳香は、芳香放出口15aから上方に向かって放出される(図18において矢印Aで示す)。芳香放出口15aから上方に向かって放出された芳香は、各ミストノズル18,19から噴出され、芳香放出口15aの上方を通過する各ミストH,Cと混合されるとともに、各ミストH,Cと一体となって使用者Pに向かって搬送されるようになっている。換言すれば、各ミストノズル18,19から放出されるミストの噴出方向H2と、芳香放出口15aから放出される芳香の放出方向H1とは、交差するように設定されている。
【0116】
次に、本実施形態の美容器10の使用方法について説明する。
まず、美容器10を水平な机などの上に載置し、本体蓋13を開いた状態で、電源コード26を図示しない商用コンセントに差込み、美容器10に電力を供給する。続けて、電源ボタン16を押下操作して、美容器10を動作可能な待機状態とする。次に、使用者Pは、使用コース選択ボタン14aを押下操作して、好みの使用コースを選択する。
【0117】
続けて、使用者Pは、芳香制御ボタン14cを押下操作して、好みの芳香の強さ(濃度)を選択する。美容器10では、使用コース及び芳香の強さを選択した後に、運転制御ボタン14bが押下操作されることで、使用者Pにより任意に選択された使用コース及び芳香の強さで、各ミストH,Cの噴出及び芳香の放出(発生)が実行される。
【0118】
具体的に説明すると、最初に温ミストノズル18から温ミストHが使用者Pに向かって噴出されて、使用者Pの肌に温熱を与える。温ミストHの噴出開始から所定の期間が経過すると、温ミストHの噴出が停止されるとともに、冷ミストノズル19から使用者Pに向かって冷ミストCが噴出されて、使用者Pの肌を冷却する。更に、冷ミストCの噴出開始から所定の期間が経過すると、冷ミストCの噴出が停止されるとともに、温ミストHの噴出が開始される。そして、温ミストHと冷ミストCの噴出が所定の回数だけ繰返された後に、ミストの噴出が終了される。また、各ミストH,Cの噴出中には、芳香放出口15aから選択した芳香の強さで芳香が放出(発生)される。
【0119】
なお、各ミストH,Cを噴出中であっても、使用者Pは、芳香制御ボタン14cを押下操作することで、芳香の強さ(濃度)を切替えることができる。また、各ミストH,Cを噴出中であっても、使用者Pは、電源ボタン16又は運転制御ボタン14bを押下操作することで、各ミストノズル18,19からのミストの噴出を停止させることができる。
【0120】
そして、美容器10の使用後に、本体蓋13を閉じた状態とすることで、美容器10の動作が不能な状態となる。
したがって、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
【0121】
(1)各ミストノズル18,19とは異なる位置から、各ミストH,Cに向かって芳香が放出(噴出)されるようにした。このため、各ミストノズル18,19から噴出された各ミストH,Cと芳香とが効率的に混合されるとともに一体となり、各ミストH,Cの噴出方向に安定した芳香を届ける(送出する)ことができる。したがって、美容器10の使用者Pは、各ミストノズル18,19から噴出される各ミストH,Cを顔等に当てて使用する際、安定した芳香を得ることができる。
【0122】
(2)芳香放出口15aを、各ミストノズル18,19より使用者P側であって、各ミストノズル18,19に近接した位置に形成した。このため、各ミストノズル18,19から使用者Pに向かって拡散するように噴出される各ミストH,Cに対し、拡散される前の各ミストH,Cに向かって芳香を放出することができる。したがって、各ミストノズル18,19から離間した位置に芳香放出口15aを設け、既に拡散された各ミストH,Cに向かって芳香を放出する場合と比較して、芳香と各ミストH,Cとが混合され易くなる。そして、美容器10を使用する使用者Pは、各ミストノズル18,19から噴出される各ミストH,Cを顔等に当てて使用する際、安定した芳香を得ることができる。
【0123】
(3)芳香放出口15aを、各ミストノズル18,19より使用者P側であって、温ミスト噴出口18a(温ミストノズル18)と、冷ミスト噴出口19a(冷ミストノズル19)との中央に配置した。このため、温ミストHと、冷ミストCの何れに対しても芳香放出口15aから芳香を放出することができる。したがって、各ミストノズル18,19から噴出される各ミストH,Cと、芳香とを混合して一体とさせることができるとともに、各ミストH,Cで芳香の強さ(濃度)が不均一となることを抑制することができる。そして、使用者Pは、各ミストノズル18,19の何れを使用している場合であっても、安定した芳香を得ることができる。
【0124】
(4)芳香皿121の底部に、複数の凹部121bと、傾斜部121cとを形成した。このため、凹部容積を超えない量の芳香剤を凹部121bに滴下する場合、芳香剤は、複数の凹部121bに流入するとともに貯留され、凹部121bが形成された部分より拡がらないように表面積が調整される。さらに、凹部容積を超える量の芳香剤を凹部121bに滴下する場合、芳香剤の表面積は、傾斜部121cの傾斜に沿って、滴下された芳香剤の量に応じた表面積となるように調整される。したがって、芳香皿121に滴下(貯留)された芳香剤の表面積を芳香剤の滴下量に応じた表面積に調整し、芳香剤の揮発量を調整することができる。
【0125】
(5)マイコン31aは、使用者Pが設定した芳香の強さ(濃度)に応じて、所定の回転数となるように芳香用モータ95を駆動させるように電源回路基板30を制御する。このため、所望の芳香の強さ(濃度)となるように、芳香剤の揮発量を調整することができる。さらに、芳香皿121に貯留される芳香剤の表面積が、芳香剤の滴下数に応じた所定の範囲に規定されることから、より細かな芳香の強さ(濃度)の調整をすることができる。
【0126】
(6)芳香の発生と停止とを交互に実行するようにした。一般に、人間は、一定濃度の芳香を嗅ぎ続けることでその芳香に対する嗅覚強度が低下し、芳香を感じ難くなる。本実施形態の美容器10によれば、使用者Pの芳香剤に対する嗅覚強度を定期的に回復させ、使用者Pに対し継続して芳香を感じさせることができる。
【0127】
(7)芳香皿121に貯留した芳香剤は、芳香用ファン94による送風によって揮発させるようにした。このため、芳香用モータ95の駆動開始から安定して芳香剤を揮発させることが可能であるとともに、芳香用モータ95の駆動停止により速やかに芳香剤の揮発の促進を停止することができる。したがって、温度上昇及び下降に時間が必要なヒータを用いて芳香剤を揮発させるよりも、マイコン31aによる芳香剤の揮発量の調整を応答性よく実行することができる。
【0128】
(8)芳香用ファン94が空気を吸入する吸気口99を、本体11の底面に設けた。このため、天面12に開口する芳香放出口15aから放出される芳香を再吸入することを回避し、使用者Pに確実に芳香を届けることができる。
【0129】
(9)使用者Pが各ミストH,Cと混合された状態で吸入する芳香剤の濃度が、使用者Pに悪影響を与える虞のある所定の濃度を超えないように、芳香放出口15aの直径、芳香放出口15aから噴出される空気の流速、及び芳香皿121に貯留された芳香剤の表面積を設定した。このため、使用者Pが、美容器10の使用時において使用者Pに悪影響を与える虞のある所定の濃度以上の芳香(香り)を吸入し続けることを抑制することができる。
【0130】
(10)芳香容器HY(蓋部材123)に方向変更部126を形成し、フック部120cが配設された部分を除く芳香皿121の略全周から、芳香用ファン94により搬送される空気が内部に流入するようにした。このため、芳香剤と空気との接触面(表面)の全体に対して新しい空気が満遍なく供給され、効率的に芳香剤を揮発させることができる。
【0131】
(11)芳香皿121を、フック部120cに嵌め込むとともにリング122を取着して、保持部材120に対して固定するようにした。このため、芳香皿121を保持部材120に確実に固定することができる。
【0132】
(12)芳香容器取出ボタン111を押下操作して芳香容器HYを本体11(収容室93a)から取出すと、各ミストH,Cの発生が停止されるようにした。このため、各ミストノズル18,19からミストH,Cが噴出されているにもかかわらず、本体11から突出するように押上げられた芳香容器HYを上方に取出そうとして、使用者Pが各ミストH,Cに触れてしまうことを防止できる。
【0133】
(13)各ミストノズル18,19が設けられたノズルカバー20に、キャップ21を設けた。これによれば、使用者Pの手が各ミストノズル18,19に触れる動作を規制し、使用者Pを保護することができる。
【0134】
(14)キャップ21は、キャップ21の上方から使用者Pが各ミストノズル18,19に触れようとした際に、噴射姿勢から保護姿勢側に回動(変位)して各ミストノズル18,19の上方を覆うように構成した。このため、使用者Pの手がキャップ21の上方から各ミストノズル18,19に触れようとした際、各ミストH,Cと使用者の手との間にキャップ21が位置することから、使用者Pが各ミストH,Cに直接触れることを物理的に防止することができる。
【0135】
(15)キャップ21は、ノズルカバー20(本体11)に対し着脱自在に構成した。このため、美容器10が落下したり、使用者Pによりキャップ21に無理な力をかけられたりした場合に、キャップ21がノズルヒンジ部35とともにノズルカバー20から外れることで、キャップ21の破損が抑制される。また、キャップ21が破損した場合、キャップ21のみを交換すればよく、本体11を継続して使用することで省資源化を図ることができる。
【0136】
(16)キャップ21は、本体蓋13が閉じられると、本体蓋13の閉動作に伴って摺動リブ13cを滑りながら保護姿勢(下方)側に移動し、本体蓋13に収納されるようになっている。このため、本体蓋13を大きく形成する必要がなく、本体蓋13を閉じた状態の美容器10を小型化(コンパクト化)できる。そして、小さなスペースに美容器10を収納することができる。
【0137】
(17)キャップ21は、捻りコイルバネB2の付勢力により噴射姿勢を保持するようになっている。このため、本体蓋13が開けられると、キャップ21は付勢力により噴射姿勢に復帰するようになっている。したがって、使用者Pが、ノズルカバー20にキャップ21を取付け忘れたり、噴射姿勢に回動させるのを忘れたりすることで、キャップ21が保護姿勢へ回動可能な状態、かつ噴射姿勢となった状態とならないことを確実に防止することができる。すなわち、キャップ21により、使用者Pを保護することができる。
【0138】
(18)芳香皿121は、芳香容器HYに収容された状態で、本体11に対して着脱自在に構成されている。このため、芳香剤が貯留された芳香皿121を単体で扱う必要がなくなり、使用者Pが誤って芳香剤を手に付着させてしまうことを抑制することができる。また、芳香皿121の取扱いが容易となり、使用者Pが落下させたり倒してしまったりすることを抑制することができる。そして、本体11側に芳香剤を貯留する貯留部を設けた場合と比較して、手元で芳香剤の滴下作業を行い易く、誤って芳香剤を芳香皿121の内部(凹部121b)以外の場所に滴下してしまうことを抑制できる。
【0139】
(19)芳香皿121は、芳香容器HYの保持部材120に対し着脱自在に構成した。このため、芳香皿121を使用後に保持部材120から取外すことで容易に洗浄することができる。
【0140】
(20)芳香皿121の開口縁部に、折返し部121aを形成した。このため、芳香皿121を倒した場合でも、芳香剤は折返し部121aによってせき止められ、外部に流出することが抑制される。
【0141】
(21)各ミストH,Cの噴出方向が下限方向側になるようにノズルカバー20を下方に調整した場合、芳香容器HYは、ミストガイド20bに干渉(接触)して上方(各ミストH,C側)に取出せないようにした。このため、使用者Pは、芳香容器HYを取出すためには、各ミストH,Cの噴出方向が上限方向側になるようにノズルカバー20を上方に調整しなくてはならない。したがって、使用者Pに対し、ノズルカバー20を上方に調整し、各ミストH,Cと芳香容器HYとの間に手を入れる空間を確保してから芳香容器HYを取出させるようにできる。
【0142】
(22)芳香発生部15を、温ミスト発生機構40とは別に構成した。このため、温ミスト発生機構40の温ミストヒータ41aや、温ミストHの熱によって芳香容器HYに貯留された芳香剤の揮発が促進されるなどの影響を抑制することができる。したがって、芳香用ファン94の送風や、芳香皿121による揮発量の調整が容易となる。
【0143】
(23)揮発させた芳香剤を、各ミストH,Cと混合させた状態で集中的に使用者Pに届けるようにした。このため、部屋全体に香りを発生させる場合と比較して、少量の芳香剤の揮発量で、使用者Pに芳香(香り)を感じさせることができる。したがって、芳香剤の使用量を低減し、節約することができる。
【0144】
(24)芳香剤を貯留する芳香容器HY(芳香皿121)を、各ミストH,Cが通過しない送風経路S2内に配置した。このため、芳香皿121に貯留された芳香剤と、各ミストH,Cが直接接触することで、液体の芳香剤を含んだ各ミストH,Cが使用者Pに向かって噴出されることがない。したがって、使用者Pの安全を確保することができる。
【0145】
(25)芳香容器HYには、ゴム部材125が突出して収容室93aの内壁面に接触するように配設した。このため、芳香容器HYを収容室93aから取出す際に、ゴム部材125と収容室93aの内壁面との間で摩擦が発生し、押上バネ104の付勢力によって、芳香容器HYが本体11(収容室93a)から勢いよく飛び出すことを抑制することができる。
【0146】
(26)芳香皿121を、蓋部材123と、保持部材120によって覆うとともに、芳香容器HY内において芳香皿121と各部材123,120との間に空間を設けた。このため、温ミスト発生機構40や冷ミスト発生機構60を構成する各ヒータ41a,64の熱が芳香皿121に伝達され難くなっている。したがって、芳香皿121に貯留された芳香剤が、各ヒータ41a,64の熱により揮発が促進されるなどの影響を抑制することができる。そして、芳香用ファン94の送風や、芳香皿121による揮発量の調整が容易となる。
【0147】
(27)芳香放出口15aを、液体の芳香剤が通過しにくい目の大きさの格子状に形成した。このため、使用者Pは、芳香容器HYを本体11から取出すとともに、蓋部材123を取り外さなければ、芳香皿121に対し芳香剤を滴下できない。すなわち、芳香容器HYが本体11(収容室93a)に収容された状態のまま、使用者Pにより芳香皿121に向かって芳香剤が滴下されることを防止することができる。また、芳香皿121に芳香剤を貯留した状態で芳香容器HYを倒しても、芳香剤が芳香放出口15aから外へ飛び出すことを抑制することができる。
【0148】
(28)芳香放出口15aの格子の目の大きさは、使用者Pに対し、芳香放出口15aの上方から芳香皿121に芳香剤を滴下する気を起すことを抑制できる大きさ(細かさ)とした。このため、芳香容器HYが本体11(収容室93a)に収容された状態のまま、使用者Pにより芳香皿121に向かって芳香剤が滴下されることを防止することができる。
【0149】
なお、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
○ 本実施形態において、図19に示すように、ノズルカバー20の後方を覆うようにノズルヒンジ36の左右両端から板状に延設した保持部36fを形成するとともに、各保持部36fの内側に凹部36gを形成する。そして、各凹部36gに対応するノズルカバー20の両側面に、凹部36gと係合する凸部20cを形成する。このように構成しても、板状の保持部36fが撓み易いことから、キャップ21をノズルカバー20に対して着脱自在に構成することができる。
【0150】
○ 本実施形態において、キャップ21を噴射姿勢に保つように付勢する手段として、捻りコイルバネB2以外のバネを使用してもよい。例えば、図20(a)に示すように、キャップ21に形成された係合部21cを、ノズルカバー20の上面に前後方向に延びるように形成されたガイド部20dに係合させて、キャップ21をノズルカバー20に対し前後方向(矢印Y5に示す)にスライド可能となるように構成する。そして、コイルバネB3の一端をキャップ21の後部に固定する一方、他端をノズルカバー20に固定して、キャップ21が後方側に移動されるように付勢してもよい。また、図20(b)に示すように、キャップ21とノズルカバー20との間にコイルバネB4を配設し、キャップ21が上方に移動されるように付勢してもよい。このように構成しても、キャップ21は、常にはコイルバネB3,B4の付勢力により噴射位置に保持されるとともに、使用者Pの手PHによって前方に向かって移動し保護姿勢となることができる。
【0151】
○ 本実施形態において、キャップ21には、該キャップ21の噴射姿勢から保護姿勢側への移動と連動して、温ミスト噴出口18aから噴出される温ミストHを遮蔽する遮蔽部を設けてもよい。具体的に説明すると、図21(a)に示すように、キャップ21が保護姿勢となった状態で、温ミスト噴出口18aに対し平行に配置され且つ温ミスト噴出口18aの略全面を覆うように、キャップ21の内側から下方に向けて壁状の遮蔽部F1を立設する。また、図21(b)に示すように、キャップ21が保護姿勢となった状態で、温ミスト噴出口18aに挿入されるように先端部が略円錐状に形成された遮蔽部F2を設けてもよい。なお、各遮蔽部F1,F2は、キャップ21が噴射姿勢となった場合、温ミストHの噴出を妨げないようになっている。このように構成しても、キャップ21が保護姿勢となると、各遮蔽部F1,F2により温ミストHが遮蔽され、温ミストHが温ミスト噴出口18aに近い位置で使用者Pの手PHに当ることを抑制することができる。また、温ミスト噴出口18aが各遮蔽部F1,F2によって遮蔽されることで、温ミストノズル18の内部の圧力が上昇する。そして、各遮蔽部F1,F2と温ミスト噴出口18aとの隙間から温ミストHが噴出されることで、断熱膨張により温ミストHの温度を低下させることができる。このため、使用者Pをより確実に保護することができる。
【0152】
○ 本実施形態において、芳香放出口15aは、格子状ではなく複数の丸孔により構成してもよい。この場合、芳香放出口15aに形成された各丸孔の直径は、芳香用ファン94が搬送する空気の噴出を妨げない大きさで、且つ液状の芳香剤が表面張力により丸孔の中に保持されて通過しにくい直径とする。また、芳香放出口15aの各丸孔の直径は、使用者Pが芳香放出口15aの上方から芳香皿121に芳香剤を滴下する気を起すことを抑制できる大きさ(細かさ)としてもよい。このように構成しても、芳香容器HYが本体11(収容室93a)に収容された状態のまま、使用者Pにより芳香皿121に向かって芳香剤が滴下されることを防止することができる。また、芳香容器HYを倒してしまった場合に、芳香剤が外部に飛び出してしまうことを抑制することができる。
【0153】
○ 本実施形態において、図22に示すように、蓋部材123の内部に、芳香皿121の開口の一部を覆う邪魔板123hを形成してもよい。このように構成しても、使用者Pは、芳香容器HYを本体11から取出すとともに、蓋部材123を取り外さなければ、芳香皿121に対し芳香剤を滴下できない。また、芳香放出口15aの上方から芳香容器HYの内部に収容された芳香皿121を視認することができないことから、使用者Pが芳香放出口15aの上方から芳香皿121に芳香剤を滴下する気を起すことを抑制できる。また、芳香容器HYを倒してしまった場合などに、芳香剤が外部に飛び出してしまうことを抑制することができる。
【0154】
○ 本実施形態において、凹部121bは、滴下された芳香剤の表面積を調整できる形状であれば、異なる形状としてもよい。例えば、図23(a)に示すように、芳香皿121の底部に円輪形の凸壁121eを設けて円形の凹部121bを形成してもよい。このように構成しても、凹部121bに滴下された芳香剤の表面積は、芳香剤の滴下量が凹部容積を超えない所定の量の場合、凹部121bが形成された部分の面積以上には拡がらない。さらに、凹部容積を超える量の芳香剤を滴下した場合、芳香剤の表面積は傾斜部121cによって調整される。したがって、滴下された芳香剤の表面積を調整することで芳香剤の揮発量を調整することができる。また、図23(b)に示すように、芳香皿121の底部の中央に略円錐状に突出した凸部121fを形成することにより、凸部121fの周囲に円輪状の凹部121bを形成してもよい。このように構成しても、凹部121bは、滴下された芳香剤の表面積を調整することができる。
【0155】
○ 本実施形態において、凹部121bの形状は半球状に形成することに限られず適宜変更してもよい。例えば、平面視六角形として芳香皿121の底部に隙間なく形成してもよい。このように構成しても、芳香剤の表面積を調整することができるとともに、各凹部121bを隔てる壁の厚さを薄くすることができる。
【0156】
○ 本実施形態において、美容器10の動作に係る全ての制御をマイコン31aで行わず、芳香発生部15の制御を行う芳香制御部を別途設けてもよい。
○ 本実施形態において、キャップ21が保護姿勢側に移動されたことを検知して、各ミストH,Cの発生を停止させるようにしてもよい。具体的に説明すると、図21(b)に示すように、ヒンジ部32に磁石21dを配設するとともに、ノズルカバー20の対応する位置にリードスイッチ式のキャップスイッチ129を設ける。キャップスイッチ129は、マイコン31aに接続する。そして、マイコン31aは、キャップ21が噴射姿勢から保護姿勢側に移動されたことを検知してキャップスイッチ129が出力するON信号を入力すると、各ミストH,Cの噴出(発生)を停止させるように電源回路基板30を制御する。これによれば、キャップ21が保護姿勢側に移動されると各ミストH,Cの噴出が停止され、使用者Pの手PHに各ミストH,Cが当ることを抑制することができる。また、この場合、各ミストH,Cの噴出量が減少されるように電源回路基板30を制御してもよい。なお、キャップスイッチ129は、リードスイッチ式にかえて機械式の検知スイッチとしてもよい。
【0157】
○ 本実施形態において、各ミストノズル18,19は、本体11に前後方向、あるいは上下方向に縦並びに配設してもよい。この場合、芳香放出口15aは、正面視において一直線上に配置されるように設ける。このように構成しても、芳香放出口15aから放出される芳香と、各ミストH,Cとを混合し一体とすることができる。
【0158】
○ 本実施形態において、ミストノズルを3つ以上設けてもよい。この場合、芳香放出口15aは、両端に位置する両ミストノズルの間に配置する。このように構成しても、各ミストノズルから噴出されるミストH,Cに向かって芳香を放出することができるとともに、各ミストノズルから噴出されるミストとの間の方向の強さの不均一さを抑制できる。
【0159】
○ 本実施形態において、ミストノズルを1つだけ設けるようにしてもよい。
○ 本実施形態において、ミストノズルから噴出するミストは、温ミストH及び冷ミストCのうち何れか一方のみとしてもよい。
【0160】
○ 本実施形態において、芳香放出口15aは、温ミストノズル18と冷ミストノズル19の間に位置するように、ノズルカバー20に配置してもよい。このように構成しても、芳香放出口15aから放出される芳香と、各ミストH,Cとを混合し一体とすることができる。
【0161】
○ 本実施形態において、芳香放出口15aは、温ミスト噴出口18a(温ミストノズル18)と冷ミスト噴出口19a(冷ミストノズル19)の中央に形成しなくてもよい。すなわち、芳香放出口15aは、温ミスト噴出口18a(温ミストノズル18)と冷ミスト噴出口19a(冷ミストノズル19)の間に形成されていればよい。このように構成しても、芳香放出口15aから放出される芳香と、各ミストH,Cとを混合し一体とすることができる。
【0162】
○ 本実施形態において、マイコン31aは、所定時間毎に発生させる芳香の強さ(濃度)を低減させるようにしてもよい。このように構成しても、使用者Pの芳香に対する嗅覚強度を回復させて、継続して芳香を感じさせることができる。
【0163】
○ 本実施形態において、芳香放出口15aから噴出させる空気の流速は適宜変更してもよい。
○ 本実施形態において、温ミストHと冷ミストCとを同時に噴出させてもよい。また、本実施形態において、冷ミストCのみを噴出する使用コースを設定してもよい。
【0164】
○ 本実施形態において、ゴム部材125にかえて、蓋部材123又は収容室93aに突起や、板バネを設けてもよい。このように構成しても、芳香容器HYが収容室93aから飛び出すことを防止できる。
【0165】
○ 本実施形態において、芳香皿121は、陶器製やプラスチック製としてもよい。
○ 本実施形態において、芳香皿121は金属製としたが、プラスチック製の使い捨て容器としてもよい。このように構成することで、同じ芳香皿121を何度も使用することで、芳香剤の芳香が混ざってしまうことがない。また、保持部材120と一体に芳香皿121を形成した場合と比較して、原材料の使用量、コスト、芳香皿121の保存スペース、及び環境負荷を低減することができる。
【0166】
○ 本実施形態において、凹部121bの大きさや数、傾斜部121cの角度や幅が異なる複数種類の芳香皿121を用意し、発生させる芳香の強さ(濃度)に応じて交換して使用してもよい。
【0167】
○ 本実施形態において、放熱部材68による空冷にかえて、水冷式の冷却部62にしたり、ペルチェ素子を用いて冷却したりしてもよい。このように構成しても、加熱処理部61で加熱された水を冷却することができる。
【0168】
○ 本実施形態において、マイコン31aの制御によりヒータを用いて芳香皿121に貯留された芳香剤を揮発させてもよい。この場合、ヒータが揮発手段を構成し、該ヒータの動作を制御するマイコン31aが調整手段を構成する。
【0169】
○ 本実施形態において、吸気口99を本体11の底面以外の部分に形成してもよい。すなわち、吸気口99は、芳香放出口15aから放出(噴出)された芳香を再吸入し難い場所に形成する。例えば、吸気口99を本体11の後方側面に形成する。
【0170】
○ 本実施形態において、芳香皿121を保持部材120と一体に形成してもよい。このように構成しても、芳香皿121を単体で扱うよりも取扱いが容易となる。
○ 本実施形態において、芳香皿121の形状は平面視円形でなくてもよく、例えば多角形としてもよい。
【0171】
○ 本実施形態において、芳香用ファン94が搬送する空気を芳香皿121の下方から搬送することに限られず、側方から搬送されるように構成してもよい。この場合、方向変更部126は、側方から搬送される空気が芳香皿121の略全周から内部に流入するように進路を変更可能に構成する。
【0172】
○ 本実施形態において、芳香放出口15aは、各ミスト噴出口18a,19aの間に形成されていればよく、その形状を平面視円形にすることに限られない。例えば、楕円形や、方形、多角形となるように構成してもよい。このように構成しても、温ミストHと、冷ミストCの何れに対しても芳香放出口15aから芳香を放出し、各ミストH,Cで芳香の強さ(濃度)が不均一となることを抑制することができる。
【0173】
○ 本実施形態において、超音波によって液体(水)をミスト化してミストノズルから噴出させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0174】
【図1】本実施形態の美容器の斜視図。
【図2】(a)は、本体蓋を開いた状態の美容器の正面図、(b)は、本体蓋を開いた状態の美容器の側面図、(c)は、本体蓋を閉じた状態の美容器の正面図、(d)は、本体蓋を閉じた状態の美容器の側面図。
【図3】図2(c)に示すA−A線断面図。
【図4】本体蓋の部分分解斜視図。
【図5】キャップの分解斜視図。
【図6】(a)及び(b)は、キャップの動作を説明するための断面図。
【図7】図2(a)に示すB−B線断面図。
【図8】図7に示すE−E線断面図。
【図9】(a)は、図2(a)に示すC−C線断面図、(b)は、冷ミストノズル(冷ミスト噴出口)の拡大断面図。
【図10】排水口の部分斜視図。
【図11】排水機構の部分分解斜視図。
【図12】(a)及び(b)は、図10に示すF−F線断面図。
【図13】(a)は、図2(b)及び図3に示すD−D線断面図、(b)は、(a)に示すG−G線断面図。
【図14】芳香容器着脱機構の分解斜視図。
【図15】(a)は、芳香容器の斜視図、(b)及び(c)は、芳香容器の分解斜視図。
【図16】(a)は、芳香皿の平面図、(b)は、芳香皿の側面図、(c)は、(a)のH−H線断面図。
【図17】本実施形態における美容器の電気的構成を示すブロック図。
【図18】(a)は、本実施形態における美容器の使用状態を示す模式側面図、(b)は、本実施形態における美容器の使用状態を示す模式平面図。
【図19】別例におけるキャップの分解斜視図。
【図20】(a)及び(b)は、別例におけるキャップの断面図。
【図21】(a)及び(b)は、別例におけるキャップの断面図。
【図22】別例における芳香容器(蓋部材)の断面図。
【図23】(a)及び(b)は、別例における芳香皿の断面図。
【符号の説明】
【0175】
10…美容器、11a…ハウジング、13…本体蓋、15…芳香発生部、15a…芳香放出口、18…温ミストノズル、18a…温ミスト噴出口、19…冷ミストノズル、19a…冷ミスト噴出口、20…ノズルカバー、21…キャップ、30…電源回路基板、31a…マイコン、40…温ミスト発生機構、41a…温ミストヒータ、60…冷ミスト発生機構、94…芳香用ファン、99…吸気口、102…芳香容器固定部、111…芳香容器取出ボタン、120…保持部材、121…芳香皿、121a…折返し部、121b…凹部、121c…傾斜部、121h…壁部、123…蓋部材、126…方向変更部、H…温ミスト、C…冷ミスト、P…使用者、PH…手。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体をミスト化してミスト噴出口から所定の方向へ噴出させるミスト発生手段と、
芳香発生手段により発生させた芳香を放出する芳香放出口と、を備えたミスト発生装置であって、
前記芳香放出口は、前記ミスト噴出口とは異なる位置に形成され、且つ前記ミスト噴出口から噴出されるミストに向かって前記芳香を放出可能に構成されていることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項2】
前記芳香放出口は、前記ミスト噴出口より使用者側であって、且つ前記ミスト噴出口に近接した位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のミスト発生装置。
【請求項3】
前記ミスト噴出口は、複数形成されるとともに装置本体に横並びで配置されており、
前記芳香放出口は、複数形成されたミスト噴出口の間に設けられていることを特徴とする請求項2に記載のミスト発生装置。
【請求項4】
前記ミスト発生手段は、液体を加熱して温ミストを発生する温ミスト発生部と、液体をミスト化して前記温ミストより低温の冷ミストを発生する冷ミスト発生部と、を備えるとともに、前記温ミストと、前記冷ミストとをそれぞれ異なるミスト噴出口から噴出することを特徴とする請求項3に記載のミスト発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2009−232941(P2009−232941A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−79868(P2008−79868)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】