説明

ミッドレンジ・アルコキシレートを含む洗浄用組成物

ミッドレンジ・アルコキシレート界面活性剤又はアルコキシレート界面活性剤のブレンドを含む洗浄用組成物、並びにトリグリセリド及び架橋トリグリセリド用の洗浄剤、配合物安定剤、超濃縮洗浄用配合物用の助剤、予洗染み抜き液、洗剤、農業用補助剤、硬表面洗浄及び乳化剤としてのそれらの使用を記載している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄用組成物(cleaning composition)及び界面活性剤の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、易生分解性で且つ環境に適合し得る界面活性剤に対する強い市場嗜好がある。アルキルフェノールエトキシレート(APE)は、洗濯、硬質表面洗浄、ペイント及びコーティング、乳化並びに農業用補助剤を含む幅広い種類の用途において傑出した界面活性剤として広く認められているが、それらの環境適合性に関する公共認識は乏しい。
【0003】
これまで企図されたAPE代替界面活性剤は、一般に、選ばれた少数の用途では良好な性能プロフィールを有しているかもしれないが、幅広い種類の用途では良好とは言えない。例えば生分解性直鎖C12〜C16第一アルコールエトキシレートは洗濯においては有効に働くが、硬質表面洗浄又はペイント及びコーティングの凍結融解安定化のような他の用途では有効には働かない。検討すべき課題の1つは、環境に適合し得る界面活性剤の多くが、トリグリセリド及び酸化的に架橋されたトリグリセリドの汚れ、特に平鍋(パン)、フード、オーブン表面及び食品調理面に硬質ワニスを形成するおそれがある、洗浄しにくい特殊な一連の汚れには効果がないことである。また、これまで企図されたAPE代替界面活性剤の多くは生分解性であるが、環境に適合できず、逆も同様である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、効果的で生分解性で且つ環境に適合し得る洗浄用APE代替品となる界面活性剤が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様において、本発明は、式(I):
1−O−[(CH2CH(R2)−O)x(CH2CH2O)yz−H (I)
[式中、xは、それぞれ独立に、0又は約1〜約11の実数であるが、xの少なくとも1つは0より大きく;yは、それぞれ独立に、0又は約1〜約20の実数であるが、yの少なくとも1つは0より大きく;zは1〜50の整数であり;R1はC6〜C10分岐鎖又は直鎖アルキルであり;R2はCH3又はCH2CH3である]
によって表される少なくとも1種のノニオン界面活性剤を含んでなる洗浄用組成物を提供する。
【0006】
別の態様において、本発明は、本発明の洗浄用組成物を表面に適用することを含んでなる、表面からの架橋トリグリセリドの除去方法を提供する。
【0007】
更に別の態様において、本発明は、エチレンを1−オクテンと反応させた後の未反応内部オクテンを調達し;前記内部オクテンをアルコールに転化させ;そして前記アルコールをプロピレンオキシド又はブチレンオキシドのブロック、続いてエチレンオキシドのブロックと反応させ;それによって式(II):
1−O−(CH2CH(R2)−O)x(CH2CH2O)y−H (II)
[式中、xは約1〜約11の実数であり;yは約1〜約20の実数であり;R1はC6〜C10分岐鎖又は直鎖アルキルであり;R2は、それぞれ独立に、CH3又はCH2CH3である]
で表されるノニオン界面活性剤を形成することを含んでなる、オクテンパージ流からのノニオン界面活性剤の製造方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
一態様において、本発明は、ミッドレンジ(mid-range)アルコキシレート界面活性剤又はアルコキシレート界面活性剤のブレンドを含んでなる洗浄用組成物並びにトリグリセリド及び架橋トリグリセリド用の洗浄剤、配合物安定剤(formula stabilization agent)、超濃縮洗浄用配合物用の助剤、予洗染み抜き液、洗剤、農業用補助剤、硬質表面洗浄及び乳化剤としてのそれらの使用を提供する。
【0009】
一態様において、本発明は、式(I):
1−O−[(CH2CH(R2)−O)x(CH2CH2O)yz−H (I)
[式中、xは、それぞれ独立に、0又は約1〜約11の実数であるが、xの少なくとも1つは0より大きく;yは、それぞれ独立に、0又は約1〜約20の実数であるが、yの少なくとも1つは0より大きく;zは1〜50の整数であり;R1はC6〜C10分岐鎖又は直鎖アルキルであり;R2は、それぞれ独立に、CH3又はCH2CH3である]
によって表される少なくとも1種のノニオン界面活性剤を含んでなる洗浄用組成物を提供する。
【0010】
「x」及び「y」は、それぞれ、平均プロポキシル化度及び/又は平均ブトキシル化度(R2がいずれであるかによる)並びに平均エトキシル化度を表すことがわかる。従って、x及びyは整数である必要はなく、「約」を用いて示すものとする。総合すれば、x及びyは、オリゴマー分布におけるアルコキシル化度を規定する。x及びyの順序はブロック又はランダムであり、xは最初及び/又は最後のブロックであることが明らかであろう。
【0011】
同様に、「z」は、式の反復回数を表すので、整数である。例えばPOx−EOy−BOxオリゴマーの場合は、zは2であり、2番目のyはゼロであろう。EOy−BOx−POxオリゴマーの場合は、zは3であり、1番目のxと2番目及び3番目のyはゼロであろう。
【0012】
1は、対応する分岐鎖又は直鎖アルコール化合物をアルコキシル化する場合に得られる分岐鎖又は直鎖アルキルである。アルコールのアルコキシル化による本発明のノニオン界面活性剤の製造方法については以下に記載する。R1は、任意のC6〜C10分岐鎖又は直鎖アルキルであることができる。
【0013】
前記組成物は、補助配合剤(co-formulation additive)、例えば水、共界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アミンオキシド、アルキルアミンオキシド、溶剤、キレート化剤、塩基(例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム又は他の塩基)及び他の従来の配合成分を更に含むことができる。
【0014】
好ましい態様において、ノニオン界面活性剤は、式(II):
1−O−(CH2CH(R2)−O)x(CH2CH2O)y−H (II)
[式中、xは約1〜約11の実数であり;yは約1〜約20の実数であり;R1はC6〜C10分岐鎖又は直鎖アルキルであり;R2はCH3又はCH2CH3である]
で表される。
【0015】
一態様において、xは好ましくは約4、5又は6,最も好ましくは約5である。
【0016】
一態様において、yは好ましくは約3、6、9又は11、最も好ましくは約6である。
【0017】
1は、任意のC6〜C10分岐鎖又は直鎖アルキルであることができるが、好ましい態様ではR1はC8〜C9分岐鎖アルキルである。一態様において、R1は2−エチルヘキシル又は2−プロピルヘキシル、好ましくは2−エチルヘキシルである。
【0018】
一態様において、R1は内部オクテン(internal octenes)から生成されるアルコールに由来する。「内部オクテン」は、エチレンと1−オクテンとを反応させてエチレン/1−オクテンコポリマー(「EOC」)を生成させる場合に後に残される、未反応残留物又は副生成物を意味する。このような内部オクテンは、このプロセスからパージ流として得ることができ、次に、後述するような方法によってアルコールに転化することができる。内部オクテンから生成されるアルコールは、1−ノナノール、2−メチル−1−オクタノール、2−エチル−1−セプタノール(septanol)、2−プロピル−1−ヘキサノール、3−メチル−4−ヒドロキシメチルセプタン(septane)、3−メチル−3−ヒドロキシメチル−セプタン又は2−ヒドロキシメチル−3−メチルセプタンの少なくとも1種を含み、通常は1−オクテンの供給源に応じたブレンドである。
【0019】
一態様において、R2はCH3であり、従ってプロピレンオキシドを表す。他の態様において、R2はCH2CH3であり、従ってブチレンオキシドを表す。
【0020】
式IIの好ましい界面活性剤は、xが約4、5又は6であり;yが約3、6、9又は11であり;R1がC8〜C9分岐鎖アルキルであり;且つR2がCH3であるものである。式IIの最も好ましい界面活性剤は、xが5であり;yが6であり;R1が2−エチルヘキシルであり;且つR2がCH3であるものである。好ましくはPO又はBO部分及びEO部分は、ブロック供給材料から得られるものである。
【0021】
発明者らは、意外にも、前記界面活性剤がAPE(即ちノニルフェノキシ(ポリオキシエチレン−9)(NP−9))と同様に架橋トリグリセリドの洗浄能力を示すことを発見した。更に、本発明の界面活性剤は、OECD 301シリーズの基準に従って易生分解性と見なされ且つまた10mg/L超の水生毒性(aquatic toxicity)を有するので、許容され得る環境プロフィールも有する。
【0022】
製造方法
アルコールは、”Nonionic Surfactants”,Martin,J.Schick,Editor,1967,Marcel Dekker,Inc.又は米国特許出願公開公報(USPAP)第2005/0170991A1号(これらを引用することによって本明細書中に組み入れる)に記載されたような方法によって、アルコールアルコキシレートに転化させることができる。脂肪酸アルコールは、米国特許番号(USP)第6,429,342号に記載されたものを含む(これに限定するものではないが)金属シアン化物触媒を用いてアルコキシル化することもできる。
【0023】
アルコキシル化方法は酸性又はアルカリ性触媒の存在下で実施できる。NaOH、KOH、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド及びカリウムエトキシドを含むナトリウム又はカリウムの水酸化物又はアルコレートのようなアルカリ性触媒を用いるのが好ましい。塩基触媒は、通常、出発原料に基づき、0.05〜約5重量%、好ましくは約0.1〜約1重量%の濃度で使用する。非限定的な一態様においては、C8オレフィン混合物を最初に前述のようにしてアルコールに転化させ、続いて約2モル超〜約5モルのプロピレンオキシド及び約1モル超〜約10モルのエチレンオキシドを用いたアルコキシル化によって転化させてノニオン界面活性剤を形成する。
【0024】
非限定的な一態様において、アルキレンオキシドの添加は、オートクレーブ中で約10〜約200psig、好ましくは約60〜約100psigの圧力下で実施することができる。アルコキシル化の温度は約30〜約200℃、好ましくは約100〜約160℃の範囲であることができる。酸化物の供給完了後、生成物は、典型的には、残留酸化物が約10ppm未満となるまで反応させる。反応器を約20〜130℃の範囲の適当な温度まで冷却後、残留触媒は中和させないままでもよいし、酢酸、プロピオン酸又はクエン酸のような有機酸で中和させてもよい。或いは、生成物を、リン酸又は二酸化炭素のような無機酸で中和させてもよい。残留触媒はイオン交換又は珪藻土のような吸着媒体を用いて除去することもできる。多くの非限定的態様において、得られるアルコキシル化物質は効果的な界面活性剤であることができる。
【0025】
本発明の最終的なポリ(アルキレンオキシド)でキャップされた、ポリ(アルキレンオキシド)鎖延長直鎖又は分岐鎖アルコールは、配合物及び組成物中に任意の所望の量で使用できる。一方、当業者には、多くの従来の用途における界面活性剤のレベルが、総配合物に基づき、約0.05〜約90重量%、より多くの場合には約0.1〜約30重量%、一部の用途では約0.5〜約20重量%の範囲であることができることが知られている。当業者ならば、当該分野の一般知識を組合せ且つ、必要に応じて、ルーチン実験を行うことによって、使用量を決定できるであろう。
【0026】
生分解性及び環境適合性
界面活性剤の好気的生分解の世界標準スクリーニングテストは、Organization for Economic Cooperation and Development(OECD)301の修正Sturm試験(試験期間28日)に基づく。この試験は、「易生分解性」(≧60%が生分解)、「本質的に生分解性」(≧20%であって60%未満が生分解)又は「非生分解性」(<20%が生分解)として結果を示す。世界的法規制への準拠に関しては、開発されて商品化された、任意の新しい界面活性剤は、OECD 301シリーズの好気的試験を用いて、「易生分解性(readily biodegradable)」の分類に適合する必要があることが広く認識されている。
【0027】
「易生分解性」の状態に適合する他に、界面活性剤は許容され得る水生毒性を有する必要もある。Design for the Environment(DfE)によって規定されたガイドラインは、界面活性剤がDfE適合と分類される10mg/リットル超の水生毒性を有することを要求している。
【0028】
硬質表面洗浄において一般に用いられる短鎖界面活性剤、例えばウンデカノール系のNEODOL(登録商標)1−5若しくは1−9、又は2−プロピルヘプタノール系のLUTENSOL(登録商標)XP−若しくはXL−シリーズは、トリグリセリド又は架橋トリグリセリドの洗浄においてはAPEほど効果的でなく、場合によってはDfE基準にも合格しない。
【0029】
より長鎖の高度分岐界面活性剤、例えばTERGITOL(登録商標)トリメチルノナノール−6(TMN−6)は、トリグリセリド又は架橋トリグリセリドの洗浄において良好な性能を示すが、このようなより長鎖の高度分岐界面活性剤は生分解性でない。
【0030】
一態様において、界面活性剤はOECD 301F試験法を用いて易生分解性(60%超の生分解と規定されている)であり、下記試験:Organization for Economic Cooperation and Development(OECD):OECD Guidelines for the Testing of Chemicals,”Freshwater Alga and Cyanobacteria,Growth Inhibition Test”,Procedure 201(2006年3月23日採択);European Economic Community(EEC):1992年7月31日のCommission directive 92/69/EEC,Methods for the determination of ecotoxicity,C.3.,”Algal Inhibition Test”に従ってミジンコ(Daphnia)及び藻類に対して10mg/L超の水生毒性を示す。
【0031】
配合物安定性
架橋トリグリセリド洗浄用の効果的なAPE代替物がないことの他に、界面活性剤業界が直面しているもう1つの問題は配合物安定性である。
【0032】
界面活性剤、溶剤、ビルダー(例えばクエン酸ナトリウム)、キレート化剤及び他の成分を含む濃縮配合物は安定でないことが多く、時間の経過と共に分離する。場合によっては、相分離によって濁った溶液が形成される。相分離は、頂部層及び底部層のような複数の液相を形成させることもある。相分離された生成物の性能は多くの場合、均質生成物ほど良質でないので、相分離は消費者にとって重要な問題であると考えられる。相分離が起こると、配合物を均質な状態に戻すことが困難か又は不可能であることが多い。
【0033】
配合物は、典型的には、ヒドロトロープ、例えばキシレンスルホン酸ナトリウム(SXS)又はエトキシル化クレジル酸のリン酸エステル若しくはエトキシル化アルコールのリン酸エステルの添加によって、或いは他のヒドロトロープの添加によって安定化させる。ヒドロトロープは典型的には、成分の安定化及び相分離の防止以外の他の機能を配合物に加えることはない。詳細には、ヒドロトロープは、表面張力をそれほど低下させないので、効果的な界面活性剤ではない。
【0034】
「多機能性」化合物の概念は、配合成分が配合物内においていくつかの機能を示すものである。「界面活性ヒドロトロープ」は、ヒドロトロープ及び界面活性剤の両者として作用する化合物である。この型の多機能性化合物により、配合者は、ヒドロトロープを添加せずに安定な配合物を生成でき、従って安定な配合物の生成を大いに簡略化できるであろう。
【0035】
本発明者らは、意外にも、本発明の界面活性剤がヒドロトロープ剤(hydrotroping agent)として作用し且つヒドロトロープの不存在下で配合物を安定化できることを発見した。これらのC6〜C10アルコキシレートは多官能性であり、界面活性剤及びヒドロトロープの両機能を果たす。
【0036】
濃縮物(Concentrate)
最近の動向が、水をほとんど又は全く含まない超濃縮配合物又は系の製造を推進している。このような配合物又は濃縮物は最終使用顧客の手に届いてから、最終使用顧客が濃縮物を水で稀釈して、最終使用液を作成する。濃縮物を使用する者は、水の輸送に付随するコストが排除され且つ包装の資材要件が低減されるので、これを環境に優しい方法と考える。ノニオン界面活性剤は全ての他の界面活性剤タイプ(例えばアニオン、カチオン及び両性イオン界面活性剤)と相溶性であるので、濃縮物は典型的には1種又はそれ以上のノニオン界面活性剤を含むことができる。更に、ノニオン界面活性剤は硬水による沈殿に耐え、優れたオイルグリース洗浄のメリットを提供する。
【0037】
超濃縮物を使用する家庭用途及び工業用途としては、洗濯洗剤、硬質表面洗浄剤、自動食器洗い機用洗剤、すすぎ助剤、乳化用パッケージ(例えば農業用乳化剤)及び浮遊システム(例えば紙の脱インキ及び浮遊選鉱のような用途のための)が挙げられる。
【0038】
石けん及び洗剤の製造業者者は、用語「稀釈」を固形分の溶解と液体濃度の低下の両方の意味で用いる。例えば液体洗濯洗剤は洗濯槽の水で稀釈することができる。同様に、洗濯槽の水に溶解される粉末状又はブロック状洗濯洗剤も「稀釈される」と表現されるであろう。
【0039】
界面活性剤を含む濃縮配合物に多く見られる問題は、固体又は液体界面活性剤が水で稀釈されるとゲルを形成することである。例えば主としてノニルフェノールの9モルエトキシレート(例えばTERGITOL(登録商標)NP−9)からなる配合物又は濃縮物は、水と混合すると、弾力性のある、溶解の遅いゲルを形成する。最終使用顧客(特に家庭顧客)にとっては、このような溶解の遅いゲルには徹底的な混合が必要であり、それが最終使用又は稀釈配合物の利便性及び有効性の妨げになり得る。
【0040】
当業界が界面活性剤のゲル化傾向を表す方法の1つは、「ゲル範囲(gel range)」である。典型的なゲル範囲は、それぞれ漸増界面活性剤濃度を有する一定数のサンプルのうち、ゲルを形成するサンプルの百分率を示す。例えば20%未満のゲル範囲は、10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、80重量%及び90重量%(各重量百分率(重量%)は界面活性剤と脱イオン水の総合重量に基づく)の界面活性剤濃度を有する9個のサンプルのうち2個未満のサンプルがゲルを形成することを示す。容器を180°反転させることによって容器の開口した注ぎ口又は口が下向きになった場合に23℃において少なくとも5秒間流出できないと、サンプルはゲルを形成する。多くの用途に関して、界面活性剤はゲル範囲を有さない、即ち水との混合時にゲルを形成しないのが理想的である。
【0041】
場合によっては、ゲル形成傾向は、配合物に溶剤又はポリグリコールのようなゲル化防止剤を添加することによって克服することができる。例えばノニルフェノールの9モルエトキシレート(Tergitol(登録商標)NP−9)20重量%及びプロピレングリコール80重量%(重量%はいずれも配合物重量に基づく)を含む単純な配合物は、水による稀釈時にゲルを形成しないであろう。しかし、ゲル化防止剤の添加は、配合物のコスト及び複雑さを全体的に増加させる傾向があるので、望ましくないであろう。
【0042】
一態様において、本発明の界面活性剤は、水とのブレンド時に、0%〜100%の範囲のゲル範囲が20%未満である。
【0043】
ゲル形成傾向の他に、界面活性剤の選択に用いる考慮すべき重要な物理的性質は、温度の低下又は減少につれて粘度増加する傾向である。界面活性剤ユーザーは、典型的には、低い温度の下での純粋な界面活性剤の取扱適性の一般的指標として「流動点」又は「流動点温度」を選択する。界面活性剤ユーザーは、流動点を、その温度未満では液体界面活性剤が容器から流出できない温度と見なす。
【0044】
石油又は天然ガスに由来する直鎖アルコールの比較的短鎖のアルコキシレート、例えばTRITON(登録商標)XL−80N(アルコールのC8〜C10ブレンドのアルコキシレートを基材とする)、PLURAFAC(登録商標)SLF−62(C6〜C10アルコキシレートブレンドを基材とする)、ALFONIC(登録商標)810−60(C8〜C10エトキシレート)及びSURFONIC(登録商標)JL−80X(C8〜C10アルコキシレート)は狭いゲル範囲を示すが、トリグリセリド及び架橋トリグリセリド汚れの洗浄用のAPE代替品としては充分に機能しない。
【0045】
サステイナビリティ(Sustainability)
副生成物からの有用化学物質の製造には常に関心が集まっている。前述のように、一態様では、R1はエチレンと1−オクテンとの反応後に残される未反応残留物又は副生成物である内部オクテンから生成されたアルコールに由来するアルキルである。
【0046】
一態様において、本発明は、エチレンを1−オクテンと反応させた後の未反応内部オクテンを調達し;前記内部オクテンをアルコールに転化させ;そして前記アルコールをプロピレンオキシド又はブチレンオキシドのブロック、続いてエチレンオキシドのブロックと反応させ;それによって式(II):
1−O−(CH2CH(R2)−O)x(CH2CH2O)y−H (II)
[式中、xは約1〜約11の実数であり;yは約1〜約20の実数であり;R1はC6〜C10分岐鎖又は直鎖アルキルであり;R2はCH3又はCH2CH3である]
で表されるノニオン界面活性剤を形成することを含んでなる、オクテンパージ流からのノニオン界面活性剤の製造方法を提供する。
【0047】
適当なノナノールは、混合物をヒドロホルミル化によって処理するOXO法によって、オクテンのブレンドから得ることができる。1−オクテンと内部オクテンとのブレンドは、世界中のプラスチック製造業者によって実施されているエチレン−オクテン共重合法の一般的な副生成物である。ヒドロホルミル化は、二重結合に水素と一酸化炭素を付加してアルデヒド生成物を生成することを含む反応と定義される。副生成物混合物の特にこの官能基化において、OXO法と称するヒドロホルミル化の下位範疇は、ロジウム又はコバルト、プラチナ、パラジウム若しくはルテニウムのような別の遷移金属を基材とする触媒の存在下で副生成物混合物を水素と一酸化炭素の組合せで処理することを含む。ヒドロホルミル化触媒は、均一型又は不均一型のいずれでもよい。このような触媒は、当業界でよく知られた方法によって製造できる。一部の態様において、このヒドロホルミル化用の触媒は金属配位子錯体触媒である。
【0048】
一部の態様において、金属配位子錯体触媒に含まれる金属としては、ロジウム(Rh)、コバルト(Co)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、プラチナ(Pt)、オスミウム(Os)及びそれらの混合物から選ばれた第8族、第9族及び第10族の金属が挙げられ、好ましい金属はパラジウム、ロジウム、コバルト、イリジウム及びルテニウムであり、より好ましいのはパラジウム、ロジウム、コバルト及びルテニウム、一部の特定の非限定的態様ではパラジウムである。配位子としては、例えば有機リン、有機ヒ素及び有機アンチモン配位子並びにそれらの混合物が挙げられ、一部の非限定的態様においては、有機リン配位子を選択できる。有機リン配位子としては、有機ホスフィン、例えばモノ−、ジ−、トリ−及びポリ−(有機ホスフィン)、並びに有機ホスファイト、例えばモノ−、ジ−、トリ−及びポリ−(有機ホスファイト)が挙げられる。他の適当な有機リン配位子としては、例えば有機ホスホナイト、有機ホスフィナイト、アミノホスフィンなどが挙げられる。他の適当な配位子には、例えばヘテロ原子含有配位子、例えば2,2’−ビピリジルなどがある。一部の非限定的態様においては、リン系配位子又は配位子混合物を使用するロジウム系金属配位子錯体触媒を選択できる。他の非限定的態様においては、このような触媒の混合物を選択できる。
【0049】
ヒドロホルミル化反応において一般的な錯形成配位子(complexed ligand)、金属及び触媒の濃度は、選択成分、反応条件及び使用溶媒によって異なるであろう。例えば一部の態様において、錯形成配位子の濃度は、反応混合物の総重量に基づき、約0.005〜約25重量%の範囲であることができる。他の特定の非限定的態様においては、錯形成配位子の濃度は、反応混合物の総重量に基づき、約0.01〜約15重量%、好ましくは約0.05〜約10重量%の範囲であることができる。一般に、金属濃度は、反応混合物の重量に基づき、数重量ppm〜約2000重量ppm又はそれ以上であることができる。一部の特定の非限定的態様において、金属濃度は、反応混合物の重量に基づき、約50〜約1500重量ppmの範囲であることができ、より好ましくは反応混合物の重量に基づき、約70〜約1200重量ppmである。従って、錯形成配位子:金属のモル比は、実際には約0.5:1〜約1000:1の範囲であることができる。一部の非限定的態様において、反応混合物の触媒総濃度は、反応混合物の重量に基づき、数ppm〜数%の範囲であることができる。
【0050】
金属配位子錯体触媒の他に、遊離配位子(即ち金属と錯形成していない配位子)もまた、ヒドロホルミル化反応混合物中に存在できる。遊離配位子は、例えばここで使用できるものとして前述した配位子のいずれかに相当することができる。一部の態様においては、遊離配位子は、使用する金属配位子錯体触媒の配位子と同一であるのが好ましいが、必要ではない。ヒドロホルミル化反応は、ヒドロホルミル化反応混合物中に金属モル当たり100モル以下又はそれ以上の遊離配位子を含むことができる。好ましくは、ヒドロホルミル化反応は、反応媒体中に存在する金属モル当たり約0.25〜約50モル、より好ましくは約0.5〜約10モルの配位可能なリンの存在下で実施する。配位可能なリンの量は、存在するパラジウム金属に結合した(パラジウム金属と錯形成した)配位可能なリンの量と存在する遊離している(錯形成していない)配位可能なリンの量の和である。所望ならば、補給のための又は追加の配位可能なリンを、例えば反応混合物中の遊離配位子を所定レベルに保持するために、任意の時点で任意の適当な方法で反応混合物に供給できる。
【0051】
OXO法は、一部の非限定的態様においては、比較的高圧下(減圧〜約100気圧)で約40℃〜約300℃の温度において効果的に実施できるが、所望の最終結果が達成されるならば、約10℃〜約400℃のより広い温度範囲及び約10psig〜約3000psigのより広い圧力範囲も使用できる。結果として、アルデヒドの混合物が生成される。各アルデヒドは、アルデヒドの製造原料である個々のC10〜C20オレフィンよりも炭素数が1つ多い。
【0052】
生成物アルデヒドは、蒸発又は蒸留のような常法によってヒドロホルミル化混合物から分離できる。アルデヒド生成物は、ヒドロホルミル化触媒から相分離によって分離することもできる。この例では、リン系配位子が、極性相又は水性極性相中に優先的に相分離するように設計されており、その結果として金属(例えばロジウム)及び配位子成分を比較的無極性のアルデヒド生成物混合物から容易に回収できる。このようなアルデヒドは、界面活性剤自体として又はそのための疎水性物質として有用であることもできるし、或いは以下に記載するように、誘導体を生成するための更なる処理に供することもできる。
【0053】
このような更なる処理は、適当な水素化触媒上でアルデヒドの混合物を水素で処理して対応するアルコールを形成することを含むことができる。供給材料はオレフィンの混合物を含むので、得られるのはアルコールの混合物となる。この水素化は、種々の既知水素化触媒を常用量で用いて実施できる。このような触媒は均一型又は不均一型のいずれでもよく、種々の金属、パラジウム、ルテニウム、プラチナ、ロジウム、銅クロマイト、ニッケル、銅、コバルト、他の第8族、第9族及び第10族金属、酸化クロム、種々の金属窒化物及び炭化物、それらの組合せなど(これらに限定するものではないが)を含むことができる。これらの金属触媒は、種々の担体、チタニア、珪酸マグネシウム、酸化ランタン、セリア(酸化セリウム)、炭化珪素、珪酸マグネシウム、アルミナ、シリカ−アルミナ、バナジア(五酸化バナジウム)、それらの組合せなどに担持させることができる。触媒は追加金属又は他の添加剤、バリウム、マンガン、ジルコニウム、セレン、カルシウム、モリブデン、コバルト、他の第8族、第9族及び第10族金属、銅、鉄、亜鉛、それらの組合せなど(これらに限定するものではないが)によって更に促進することができる。例えばロジウム、ルテニウム、コバルト、ニッケルなどを含む種々の均一触媒も使用できる。このような触媒は、アミン、ホスフィン、ホスファイト、それらの組合せ(これらに限定するものではないが)のような窒素若しくは燐含有物質及び同様な物質を含む種々の配位子によって促進又は安定化させることができる。当業者ならば、以下の望ましい結果を生じるのに充分な触媒活性を有すると判断される任意の触媒が含まれることを意図しているのがこれによってわかるであろう。
【0054】
水素化は、任意の既知のプロトコール及び方法に従い、従来の装置を用いて実施できる。例えば管型又は撹拌槽型反応器中で実施できる。有効反応温度は、約1時間又はそれ以下〜約4時間又はそれ以上にわたって、約50℃〜約400℃又はそれ以上、好ましくは約100℃〜約300℃の範囲であることができ、一部の態様においてはこれより長い時間をこれより低い温度と共に使用できる。反応圧力は15psig〜約3000psig又はそれ以上の範囲であることができる。一部の好ましい非限定的態様においては、許容可能な触媒性能及び寿命並びに製品安定性の促進に、穏やかな温度と低い圧力が一般に望ましいと考えられるであろう。使用する水素化触媒の量は、使用する個々の水素化触媒によって異なり、一部の非限定的態様においては、出発原料の総重量に基づき、約0.01重量%又はそれ以下〜約10重量%又はそれ以上の範囲であることができる。
【0055】
用途
本発明の出願は、種々の配合物及び生成物を含むことができる。これらには、台所用洗浄剤;トリグリセリド、架橋トリグリセリド若しくはそれらの混合物のための洗浄剤;鉱油型汚れ用の洗浄剤;配合物安定化用のヒドロトロープ;超濃縮配合物用界面活性剤;界面活性剤活性を有する、配合物安定化を増大させるためのセルフヒドロトロープ界面活性剤;一般的な洗浄剤;予洗染み抜き剤;予洗濃縮物;洗剤;硬質表面洗浄用配合物が含まれるが、これらに限定するものではない。
【0056】
別の態様において、式(I)及び(II)の界面活性剤はポリウレタン、エポキシ樹脂、熱可塑性樹脂、ペイント、ペイント及びコーティング用エマルジョン(例えばポリ(アクリレート))、コーティング、金属製品、除草剤及び殺虫剤を含む農業用製品、鉱業製品、パルプ及び紙製品、繊維製品、水処理製品、床用製品、インキ、着色剤、医薬品、パーソナルケア製品、潤滑剤並びにこれらの組合せに用いられる。
【0057】
これら及び他の型の配合物及び製品の製造において、アルコールアルコキシレートは、界面活性力、洗浄力、湿潤、再湿潤、発泡減少、添加剤安定化、ラッテクス安定化(エステル形成若しくはウレタン形成を含む反応の中間体として)、薬物送達能、乳化、すすぎ、可塑化、反応性希釈、レオロジー改質、懸濁液、擬似塑性化、増粘化、硬化、耐衝撃性改良、潤滑、乳化及びミクロ乳化、それらの組合せなどのような望ましい性質に寄与するか又はそのような望ましい性質を向上させることができる。
【0058】
これらの用途の例には、界面活性剤全般;家庭用及び業務用洗浄用の界面活性剤;トリグリセリド若しくは架橋トリグリセリド汚れ洗浄用の界面活性剤;配合物安定性を向上させるためのヒドロトロープ;配合物からヒドロトロープを排除又は減少させるためのセルフヒドロトロープ界面活性剤、予洗染み抜き液、ランドリー、超濃縮洗濯配合物、超濃縮硬質表面洗浄用配合物、稀釈可能な超濃縮界面活性剤;ペイント及びコーティングに凍結融解安定性を与えるための界面活性剤;顔料分散液に凍結融解安定性を与えるための界面活性剤;機械洗浄プロセスにおける界面活性剤;台所又は産業用厨房用の界面活性剤;グリル、台所用品、レンジ及び壁のような、架橋トリグリセリド付着部分を洗浄するための界面活性剤;キャスティング、封入、床仕上、注型封入、接着剤、積層品、強化プラスチック及びフィラメント巻きにおける反応性希釈剤;コーティング;湿潤剤;すすぎ助剤;脱泡剤/低起泡剤(low foam agent);スプレー洗浄剤;除草剤及び殺虫剤用乳化剤;金属洗浄剤;ペンキ及びコーティング用の懸濁助剤及び乳化剤;農業用展着剤及び農作物育成剤(crop growth agent)用の、極性及び無極性分散媒中有機化合物のミクロ不均一混合物の調製における混合増強剤;農業用補助剤用の界面活性剤;ラッテクス用安定剤;パルプ及び紙製品用のミクロ乳化剤などとしての、式(I)及び(II)の組成物の有用性がある。非限定的な一態様において、アルコキシレートを利用する組成物としては、有機合成及び/若しくは洗浄、無機及び有機粒子の形成、重合並びに生物有機処理及び合成、更にそれらの組合せに使用されるミクロエマルジョンが挙げられる。他の非限定的態様において、本明細書中に記載したアルコキシレートは、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF及びノボラックを基材とするより高粘度のエポキシ樹脂並びに他の熱可塑性及び熱硬化性ポリマー、例えばポリウレタン及びアクリル樹脂の稀釈に役立つことができる。これらは、インキ、エマルジョン、ペンキ及び顔料懸濁液のような液体系のレオロジー改質にも使用でき、その場合には、例えば生分解性、擬似塑性又はチキソトローブ流れ特性を向上させるためにも使用できる。これら及び他の用途において、アルコキシレートは良好な、場合によっては優れた性能と比較的低いコストを提供することができる。
【0059】
前述のように、本発明の界面活性剤は、農業用補助剤として有用である。詳細には、本発明の界面活性剤は、幅広い種類の雑草に対してさまざまな異なる種類の除草剤の活性を高めることができる。このような除草剤の非限定的例としては、グリホサート(例えばグリホサートイソプロピルアミン);オーキシン及びピリジン類(例えば2,4−ジクロロフェノキシ酢酸(2,4−D)、クロピラリド、ピクロラムなど);シハロホップ、ハロキシホップ及び他のホップ類並びにシクロヘキサンジオン類;スルホンアミド類、スルホニル尿素類、イミダゾリノン類;更にHPPD阻害剤(例えばメソトリオン)が挙げられる。
【0060】
このような成分によって提供される望ましい性質の達成に有効な前記任意成分の量は当業者ならば容易に決定できる。
【実施例】
【0061】
以下の実施例は説明のみを目的として記載するのであって、本発明の範囲を限定することを目的としない。
【0062】
実施例1
本発明の代表的な界面活性剤は、以下のプロトコールによって製造できる:アルコキシル化供給及び蒸解工程は全て、約130℃で行う。アルコキシル化は全て、約5.0g/分の概算酸化物供給速度で行い、その後の蒸解/クックアウト時間(各工程について)は少なくとも4時間とする。
【0063】
2−エチルヘキサノール(2EH)アルコキシレートは、2−エチルヘキサノールを入手し、フレークg(85%)KOHで触媒し、100℃において5mmHgの真空下で約30分又は水分レベルが1000ppm未満となるまで乾燥させることによって製造できる。材料を、オートクレーブ中にプロピレンオキシドを供給することによってアルコキシル化して、中間体2EH(PO)xアルコキシレートを生成させる。130℃における適当なクックアウトの後、続いてこの中間体を、エチレンオキシドを供給することによってエトキシル化して、中間体2EH(PO)x(EO)yを生成させる。130℃における適当なクックアウトの後、材料を反応器から取り出し、酢酸(10%水溶液として)で4〜8のpH範囲まで中和させて、生成物を得る。
【0064】
前記プロトコールに実質的に従って製造される界面活性剤の製造を、2−エチルヘキサノール813gを取り、フレーク(85%)KOH2.07gで触媒し、100℃において5mmHgの真空下で30分時間又は水分レベルが1000ppm未満となるまで乾燥させることによって、行った。材料を、オートクレーブ中にプロピレンオキシド725gを供給することによってアルコキシル化して、中間体2EH(PO)2アルコキシレートを生成させた。130℃における適当なクックアウトの後、続いてこの材料を、エチレンオキシド1100gを供給することによってエトキシル化して、中間体2EH(PO)2(EO)4を生成させた。130℃における適当なクックアウトの後、材料を反応器から取り出し、酢酸(10%水溶液として)で4〜8のpH範囲まで中和させた。
【0065】
実施例2〜8
実施例1において前述したプロトコールに実質的に従って製造される界面活性剤を製造し、表Iに列挙した。
【0066】
【表1】

【0067】
実施例9
the Dow Chemical CompanyポリオレフィンR&Dグループから、10ガロンの混合内部オクテン/オクタン流を入手した。この流れの組成はおおよそ以下の通りであった:
1−オクテン: 21.2%
トランス−3−me−3−ヘプテン: 1.3%
トランス−4−オクテン: 1.7%
(トランス−3−オクテン,シス−3−me−ヘプテン,トランス−3−me−2−ヘプテン,シス−3−オクテン,シス−4−オクテン): 13.6%
トランス−2−オクテン: 6.3%
シス−3−me−2−ヘプテン: 2.6%
シス−2−オクテン: 4.1%
Isopar−E(イソオクタンアルカン): 49%
【0068】
C8オレフィン流のヒドロホルミル化−C9アルデヒドを生成させるための2ガロン反応器ラン
ヒドロホルミル化ランの例
触媒装入材料/反応混合物を調製し、窒素雰囲気下に移した。オクテン/Isopar(登録商標)E混合物を、使用前に〜15分間窒素でスパージした。触媒装入材料は、Rh(CO)2(acac)3.2727g、Deverphos 161.4g及びオクテン/Isopar(登録商標)E,D−621(ID#283256)2606gから調製した。
【0069】
2ガロンの反応器を窒素で不活性化し(inerted)、この反応器に前記触媒溶液を2769g及びオクテン/Isopar(登録商標)Eを更に1812g装入した。この反応器を1:1のH2/COで75psigまで2回加圧/ガス抜きし、次いで90℃まで加熱した。60℃に達したら、反応器を1:1のH2/COで500psigまで加圧し、次いでランの間中、圧力を1:1のH2/COで500psigに保持した。
【0070】
8時間の反応後、反応器を冷却し、合成ガス雰囲気下に一晩放置した。
【0071】
混合C9アルデヒド/Isopar混合物の水素化
約13kgの粗製混合C9アルデヒド/Isoparを水素化させて、混合C9アルコール/Isopar(登録商標)にした。液相水素化は、Engelhard(登録商標)Ni−3288E 1/16 X3F触媒を用いた連続固定床操作によって3日間にわたって行った。供給タンク装入材料は、3回の2ガロン・ヒドロホルミル化バッチランの混合物である。合計12,707gを供給タンクに装入した。粗製混合C9アルデヒド/Isopar(登録商標)は、オクテン/Isopar(登録商標)パージ流のヒドロホルミル化において使用されたRh/Doverphosを除去することなく、水素化に直接供給した。
【0072】
水素化反応器は、供給材料予熱器と、液体を連続相とし且つアルデヒドを限定反応体とする上向流式充填床カラム(upflow, packed-bed column)として設定された1”×4ftの反応管(400cc)によって構成し、水素ガスで飽和させた。反応器への触媒装入材料は、ニッケル3288E,1/16×3F Engelhard(登録商標)ロット番号DM00431 309gであった。触媒は還元され且つ安定化された形態であった。1mmのガラスビーズを、管型反応器の入口と出口に用い、ガラスビーズをグラスウールで覆った。
【0073】
アルデヒド/Isopar(登録商標)を約730g/時で供給し、水素流を36リットル/時に保持し、水素をモル過剰に保った。反応器用予熱器は90℃に設定し、反応器用加熱器は100℃に設定した。反応器管の典型的又は平均温度上昇は、90〜120℃であった。アルデヒド/アルコール/Isopar(登録商標)のポンプ輸送を、循還方式で36時間(約2.2パス)継続し、次いで反応器の生成物を、最終パスのために生成物タンクに移した。最終パスには17.2時間を要した。反応器の総パスは約3であった。
【0074】
精製(粗製ノナノール/オクタン流の後水素化)
Buchii(登録商標)R−220 3ガロン・ロータリーエバポレーター蒸留フラスコに、残留ヒドロホルミル化配位子を含む、C9アルコールのIsopar(登録商標)E中粗製約50/50重量%溶液6.0Lを加えた。蒸留フラスコの回転を89RPM及び560バールで開始した。水浴を80℃に加熱した。水浴が所望の温度に達したら、圧力を100バール刻みで50バールまで低下させて、Isopar(登録商標)Eを約3.0L除去した。次いで、500mlのバッチ中の残留ヒドロホルミル化配位子から、1〜5トルの真空において残留C9アルコールを留去した。
【0075】
アルコールのアルコキシル化によるC9(BO)1(EO)7の生成
アルコキシル化供給及び蒸解工程は全て130℃で行った。アルコキシル化は全て5.0g/分の概算酸化物供給速度を用いて行い、その後の蒸解/クックアウト時間(各工程について)は少なくとも4時間とした。精製ノナノール(前記から)1364gを取り、フレーク(85%)KOH 3.35gで触媒し、100℃において5mmHgの真空下で30分間、水分レベルが1000ppm未満となるまで乾燥させることによって、アルコキシレートを製造した。この材料を、オートクレーブ中にブチレンオキシド690gを供給することによってアルコキシル化して、中間体C9(BO)1アルコキシレートを生成させた。フラッシュ及びサンプリング後に、3193gが反応器中に残った。続いて、この材料を、エチレンオキシド1255gを供給することによってエトキシル化して、10℃未満の曇り点を有する中間体C9(BO)1(EO)3を生成させた。フラッシュ及びサンプリング後に、3409gが反応器中に残った。この材料をエチレンオキシド400gで更にエトキシル化して、10℃未満の曇り点を有する中間体C9(BO)1(EO)4を生成させた。フラッシ及びサンプリング後に、3674gが反応器中に残った。この材料を、エチレンオキシド380gで更にエトキシル化して、21.4℃の曇り点を有する中間体C9(BO)1(EO)5を生成させた。フラッシュ及びサンプリング後に、3674gが反応器中に残った。エチレンオキシド260gを用いた更なるエトキシル化により、38.5℃の曇り点を有するC9(BO)1(EO)6を生成した。フラッシュ及びサンプリング後に、3197gが反応器中に残った(この材料704.1gを、その後の性能試験のために取り去った)。残りの材料をエチレンオキシド285gでエトキシル化して、53.9℃の曇り点を有するC9(BO)1(EO)7が約3482g得られた。この材料を反応器から取り出し、酢酸(10%水溶液として)で4〜8のpH範囲まで中和した。
【0076】
実施例10:C9(PO)4(EO)8
実施例9において製造したC9アルコールを出発アルコールとして用いた。
アルコキシル化供給及び蒸解工程は全て、130℃で行った。アルコキシル化は全て約5.0g/分の酸化物供給速度を用いて行い、その後の蒸解/クックアウト時間(各工程について)は少なくとも4時間とした。精製ノナノール(前記から)500.2gを取り、フレーク(85%)KOH2.64gで触媒し、100℃において5mmHgの真空下で30分間又は水分レベルが1000ppm未満となるまで乾燥させることによって、アルコキシレートを製造した。フラッシュ及びサンプリング後のアルコールの質量は472.15gであった。触媒添加アルコールに新鮮な乾燥C9アルコール301.9gを加え、触媒検定のためにサンプリングした。サンプル抽出後の最終アルコール重量は752gであった。続いて、このアルコールをPO 1220gでプロポキシル化した。この材料を次に、EO 1265gでエトキシル化して、31.0℃の曇り点を有するC9(PO)4(EO)5.5を生成させた。試験のために反応器から61.1gのサンプルを取り去った。残りの材料をEO 290gでエトキシル化して、43.0℃の曇り点を有するC9(PO)4(EO)6.8を生成させた。分析のために反応器から167gのサンプルを取り去った。残りの材料をEO 265gでエトキシル化して、3565gの質量及び55.3℃の曇り点を有する最終C9(PO)4(EO)8が得られた。この材料を反応器から取り出し、酢酸(10%水溶液として)で4〜8のpH範囲まで中和した。
【0077】
実施例11:C9(PO)4(EO)6
実施例10において製造したC9アルコールを出発アルコールとして用いた。アルコキシル化条件は、反応体のモル比を、C9アルコール1モル、PO 4モル及びEO 6モルとし且つ触媒(KOH,s)レベルを約0.5重量%とした以外は、実施例10で用いたのと同様とした。
【0078】
実施例12−試験
架橋トリグリセリドの洗浄
トリグリセリドと架橋トリグリセリドの混合物をコーティングした試験パネルを作成し、以下の手順を用いて評価した。触媒としてナフテン酸コバルトを用いて植物油の酸化を促進して、硬質ワニスを生成させた。洗浄によって表面から架橋トリグリセリドを除去する能力の目視比較を簡単にできるように、このワニスにはカーボンブラックを加えてある。
【0079】
基材パネル: 白色ビニルフロアタイル: Tarket Corporation Azrock(登録商標)VS304−3(6913)を4 1/4×4 1/4インチにカットした(Gardner Linear Motion Scrubberに合わせるため)。
【0080】
汚れ配合物: 菜種油(食品等級,100%,Kroger Co.(Cincinnati,OH 45202))100g;アセチレンカーボンブラック(カタログ番号39724,Alfa Aesar;表面積=74m2/g)2g;乾燥剤20g;ナフテン酸コバルト溶液(Aldrich カタログ番号54,457−4,CAS#61789−51−3)(石油溶媒中6%溶液として販売されている);オーブン:対流式オーブンを160°Fに設定。
【0081】
スクラビングテスター:Gardco洗浄性及び摩耗試験機;直線運動試験装置;モデルD12−V カタログ番号WA−2164(Paul N. Cardner Company,Inc.(316N.E.First Street,Pompano,Beach,FL 33060))。
【0082】
スポンジ: ”Do−It”セルローススポンジ,厚さ1〜5/8インチ,3”×4”にカット。HWI(Fort Wayne,IN 46801)に代わってBloch/New Englandによって製造。
【0083】
ペイントブラシ: 1インチ・エコノミーチップブラシ(www.lgsourcing.com)モデル番号0106;商品番号103407。Lowes,Inc. L.G.Sourcing,Inc.(P.O.Box 1535 North Wilkseboro,NC 28659)から入手。
【0084】
反射率計: Hunter Lab ColorQuest XE。
【0085】
手順
菜種油(食品等級)98gをアセチレン系カーボンブラック(カタログ番号39724,Alfa Aesar;表面積=74m2/g)2.0gと混合することよって原液を調製する。分散機を用いて2000rpmにおいて15分間混合する(本発明者らは、0.50分散ブレードを有するCaframo Model BDC 3030を使用した)。
【0086】
ナフテン酸コバルト溶液20.0gを加え、よく混合する(手動で、ガラス撹拌棒を用いて)。
【0087】
タイル4×4インチ当たり、汚れ(soil)1.6gを載せる。
【0088】
清浄な1インチ・エコノミーブラシを用いて薄膜に塗る。むらなくコーティングするために数ストロークで行う。適用毎に清浄な乾燥ブラシを用いる。(適用後、各ブラシはアセトン洗浄及び乾燥の後に再使用できる)。
【0089】
160°Fに設定した対流式オーブン中に16時間入れる。本発明者らは、4:00p.m.にパネルをオーブンに入れ、次いで翌朝8:00a.m.にパネルを取り出す。パネルを1時間冷ます。
【0090】
パネルは10日間以内に使用する。
【0091】
パネルをGardnerスクラバーに入れる。
【0092】
界面活性剤の1%水溶液500mLを調製する。(本発明者らは界面活性剤5.0gを水500mLに稀釈して用いる)。
【0093】
スポンジを、冷水道水中で数回すすぐことよって準備する。スポンジを手で絞りきる。
【0094】
スポンジは、50回超に及ぶ試験に使用することができ、或いはスポンジがその弾力性を失うまで(スポンジが、絞った後に原形を回復しなくなる時点まで)使用できる。各試験後、スポンジを、目に見てわかる界面活性剤溶液が残らなくなるまで(通常は、泡がないことによって示される)15〜20回洗浄する(収着と絞りを繰り返すことによって)。
【0095】
ビーカーに界面活性剤溶液500mLを注ぐ。
【0096】
スポンジをビーカーに入れる−可能な限り多くの界面活性剤を吸収させる。
【0097】
スポンジをGardenerスクラバー中に入れる。
【0098】
残りの液体(約400mL)をスクラバー中の試験パネル上に注ぎかける。液体は、試験パネルをかろうじて覆う量でなければならない。
【0099】
スクラーバーを120回の往復ストローク(合計240回の直線ストローク)を行うようにプログラムする。本発明者らは、各往復ストロークを「1ストローク」と定義する。
【0100】
水道水でパネルすすぎ液を除去する。
【0101】
Gardnerスクラバーを、水道水ですすぐことによって清浄にする。
【0102】
スポンジを、清浄になるまで水道水下で20〜30回絞ることによって清浄にする。
【0103】
可能な限り多くの液体を絞り出すことによって、スポンジから過剰の水を除去する。
【0104】
パネルを乾燥後、写真を撮る(洗浄の目視比較のために)か、又はHunter ColorimeterのXyyモードを用いて反射率を測定する。或いは、タイルの写真を撮ってから、ImageJ(登録商標)ソフトウェア(the National Institute of Health(nih.gov)から無償で配布されている)を用いてコンピューター画像を処理することよって、平均グレー値を得ることができる。
【0105】
表IIは、前述の手順に従って1.0%水溶液と120回の往復ストロークを用いた架橋トリグリセリドの洗浄を示す。比較として、いくつかの競合オフセット(competitive offset)を用いた。データは、2EH(PO)5(EO)6(実施例7)がNP−9と同程度によく機能し、他の界面活性剤はそれほど効果がないことを示している。任意グレー値(arbitrary gray value)が高いほど、洗浄が良好であることに留意されたい。
【0106】
【表2】

【0107】
表IIIは、前述の手順に従って0.5%水溶液と120回の往復ストロークを用いた架橋トリグリセリドの洗浄を示す。比較として、いくつかの競合オフセットを用いた。データは、2EH(PO)5(EO)6がNP−9と同程度によく機能し、他の市販の界面活性剤はそれほどよく機能しないことを示している。任意グレー値が高いほど、洗浄が良好であることに留意されたい。
【0108】
【表3】

【0109】
架橋石油グリースの洗浄
菜種油の代わりに1−オクタデセンを用いた以外は、架橋トリグリセリドに関して前記で用いたのと同一の手順を用いた。
【0110】
表IVは、2EH(PO)5(EO)8を用いた架橋1−オクタデセンの洗浄を、NP−9及びLutensol(登録商標)XP−70に対比して示す。データは、2EHアルコキシレートが、架橋鉱油の洗浄においてTergitol NP−9と同等であることを示している。
【0111】
【表4】

【0112】
生分解
本発明に係るアルコキシレートの生分解性は、標準OECD 301 F法を用いて、好気的静止暴露条件下で、都市下水処理プラントから得られた活性汚泥に由来する微生物にアルコキシレートを暴露することによって、試験する。OECD 301 Fは、Organization for Economic Cooperation and Development Guidelines for the Testing of Chemicals,”Ready Biodegradability:Manometric Respirometry Test”,Procedure 301F(1992年7月17日採択)(引用することによってその全体を本明細書中に組み入れる)を意味する。
【0113】
水生毒性(Aquatic Toxicity)
研究手順及び試験方法は、以下のガイドラインの推奨基準に基づいた:
Organization for Economic Cooperation and Development(OECD):OECD Guidelines for the Testing of Chemicals,”Freshwater Alga and Cyanobacteria,Growth Inhibition Test”,Procedure 201(2006年3月23日採択);European Economic Community(EEC):1992年7月31日のCommission directive 92/69/EEC,Methods for the determination of ecotoxicity,C.3.,”Algal Inhibition Test”。
【0114】
OECD Guidelines for the Testing of Chemicals,”Freshwater Alga and Cyanobacteria,Growth Inhibition Test”,Procedure 201(2006年3月23日採択);European Economic Community(EEC):1992年7月31日のCommission directive 92/69/EEC,Methods for the determination of ecotoxicity,C.3.,”Algal Inhibition Test”。
【0115】
生分解試験及び水生毒性試験からデータを表Vに示す。
【0116】
【表5】

【0117】
配合物安定性
水中でドデシルベンゼンスルホン酸(ナトリウム塩)及びクエン酸ナトリウムとの混合時に、本発明の界面活性剤は、従来の界面活性剤に比較して増大した配合物安定性を示す。このことは、表VI(LAS(ドデシルベンゼンスルホン酸、ナトリウム塩)、クエン酸ナトリウム及び水を含む配合物との混合時における本発明の界面活性剤の安定性)に示す。表VIは、実施例5の界面活性剤が洗浄用配合物中において従来の界面活性剤に比較して安定であることを示している:
【0118】
【表6】

【0119】
基本的な界面活性剤特性
A)Ross−Miles泡高試験:この試験は、ASTM D1173のプロトコールに従って実施する。
【0120】
B)表面張力及び臨界ミセル濃度(CMC)測定。この試験の関しては、界面活性剤水溶液の表面張力を、脱イオン水に界面活性剤をインクレメント的に添加しながら測定する。結果は、Wilhemlyプレートを用いてダイン/cmで測定する。結果を、界面活性剤濃度に対して記録する。臨界ミセル濃度は、界面活性剤濃度の増加がもはや表面張力の変化を生じない点である。
【0121】
C)流動点試験:この試験は、ASTM試験D97のプロトコールに従って実施する。
【0122】
D)ゲル範囲:10種の界面活性剤溶液を、0%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%の水を用いて調製する。得られた溶液がゲルを形成し且つ流出しない場合に、それらを「ゲル」と見なす。試験は23℃で行う。
【0123】
表VIIは、本発明の界面活性剤のゲル範囲及び流動点を、他のベンチマーク界面活性剤と比較して示す:
【0124】
【表7】

【0125】
表VIIIは、一連の2−エチルヘキサノールアルコキシレートに関する臨界ミセル濃度対プロポキシル化度を示す。一般に、CMCが低いほど良好な界面活性剤効果が得られる。PO約5.5モルを超えるプロポキシル化では、生分解できない生成物が生じる。低CMCと生分解性との臨界バランスは、プロポキシル化度5.5(又は約4〜5.5)で得られる。
【0126】
表VIIIは、一連の2−エチルヘキサノールアルコキシレートに関する表面張力(0.1重量%水溶液)対プロポキシル化度を示す。一般に、表面張力が低いほど良好な界面活性剤効果が得られる。PO約5.5モルを超えるプロポキシル化では、生分解できない生成物が生じる。低表面張力と生分解性との臨界バランスは、プロポキシル化度5.5(又は約4〜5.5)で得られる。
【0127】
【表8】

【0128】
表IXは、本発明のRoss−Miles泡(0秒,360秒)を、従来の界面活性剤に比較して示す。
【0129】
【表9】

【0130】
農業用途における効果
除草剤配合物における補助剤としての実施例7及び8の効果を、商業的に入手可能な除草剤パッケージと比較する。温室フィールド試験を行う。補助剤を含まないグリホサートイソプロピルアミンの480g ae/L(酸当量/リットル)配合物を噴霧バイアルに加える。これらのアリコートを水道水で最終容量60mlに稀釈し、この噴霧溶液に適当な量の補助剤を加える。実施例7及び8の系を、最終噴霧溶液中0.25%v/vで試験する。処理比率は200、400及び600g ae/ha(haはヘクタールを意味する)であり、各処理を3回反復する。処理は、トラック噴霧機を用いて行う。噴霧機は、8002E噴霧ノズル、圧力262kPaの噴霧圧及び2.2mphの速度を用いて、140L/Haを送出する。ノズルの高さはポットの上方46cmである。目視損害%の評価を、18DAA(適用後の日数)において未処理対照植物に比較して0〜100%の尺度で行う(0は損害がないことに相当し、100は植物が完全に枯れたことに相当する)。結果を表Xに、グリホサートを用いてSicklepod(夷草)の%対照として、市販除草剤と比較して示す。
【0131】
【表10】

【0132】
本発明は、本明細書中に具体的に開示及び例示した態様に限定されるものでないことがわかる。当業者には、本発明の種々の修正形態が明白であろう。添付した特許請求の範囲の範囲から逸脱しなければ、このような変更形態及び修正形態が可能である。
【0133】
更に、列挙した範囲はいずれも、範囲の組合せ及び下位組合せ全て並びにそこに含まれる具体的な数字を含む。更に、本明細書中に引用又は記載した各特許、特許出願及び出版物の開示は、引用することによってその全体を明細書に組み入れる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
1−O−[(CH2CH(R2)−O)x(CH2CH2O)yz−H (I)
(式中、xは、それぞれ独立に、0又は約1〜約11の実数であるが、xの少なくとも1つは0より大きく;
yは、それぞれ独立に、0又は約1〜約20の実数であるが、yの少なくとも1つは0より大きく;
zは1〜50の整数であり;
1はC6〜C10分岐鎖又は直鎖アルキルであり;そして
2は、それぞれ独立に、CH3又はCH2CH3である)
によって表される少なくとも1種のノニオン界面活性剤を含んでなる洗浄用組成物。
【請求項2】
前記ノニオン界面活性剤が式(II):
1−O−(CH2CH(R2)−O)x(CH2CH2O)y−H (II)
[式中、xは約1〜約11の実数であり;
yは約1〜約20の実数であり;
1はC6〜C10分岐鎖又は直鎖アルキルであり;そして
2はCH3又はCH2CH3である]
で表される請求項1に記載の洗浄用組成物。
【請求項3】
xが約4〜6である請求項2に記載の洗浄用組成物。
【請求項4】
xが約5である請求項2に記載の洗浄用組成物。
【請求項5】
yが約3、6、9又は11である請求項2に記載の洗浄用組成物。
【請求項6】
yが約6である請求項2に記載の洗浄用組成物。
【請求項7】
1が2−エチルヘキサノール又は2−プロピルヘキサノールである請求項2に記載の洗浄用組成物。
【請求項8】
1が2−エチルヘキサノールである請求項2に記載の洗浄用組成物。
【請求項9】
1が1−ノナノール、2−メチル−1−オクタノール、2−エチル−1−セプタノール、2−プロピル−1−ヘキサノール、3−メチル−4−ヒドロキシメチルセプタン、3−メチル−3−ヒドロキシメチル−セプタン又は2−ヒドロキシメチル−3−メチルセプタンの少なくとも1種を含む内部オクテンから生成されるアルコールから得られるアルキルである請求項2に記載の洗浄用組成物。
【請求項10】
2がCH3である請求項2に記載の洗浄用組成物。
【請求項11】
xが約5であり;yが約6であり;R1が2−エチルヘキサノールであり;且つR2がCH3である請求項2に記載の洗浄用組成物。
【請求項12】
前記界面活性剤の0.1%水溶液の表面張力が32ダイン/cm以下である請求項1又は2に記載の洗浄用組成物。
【請求項13】
前記界面活性剤の臨界ミセル濃度が約200〜2500である請求項1又は2に記載の洗浄用組成物。
【請求項14】
前記界面活性剤がヒドロトロープとして作用する請求項1又は2に記載の洗浄用組成物。
【請求項15】
前記界面活性剤が、25℃において15%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム及び水と混合した場合に、安定で透明な、相分離しない配合物を形成する請求項1又は2に記載の洗浄用組成物。
【請求項16】
前記界面活性剤が25℃において360秒後に50mm未満のRoss-Miles泡を有する請求項1又は2に記載の洗浄用組成物。
【請求項17】
請求項1に記載の組成物を表面に適用することを含んでなる、前記表面からの架橋トリグリセリドの除去方法。
【請求項18】
前記表面がテキスタイルである請求項17に記載の方法。
【請求項19】
式(II):
1−O−(CH2CH(R2)−O)x(CH2CH2O)y−H (II)
[式中、xは約1〜約11の実数であり;
yは約1〜約20の実数であり;
1はC6〜C10分岐鎖又は直鎖アルキルであり;そして
2はCH3又はCH2CH3である]
で表されるノニオン界面活性剤の農業用補助剤としての使用。

【公表番号】特表2011−524940(P2011−524940A)
【公表日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514705(P2011−514705)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【国際出願番号】PCT/US2009/046916
【国際公開番号】WO2009/155187
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】