説明

ミラー支持部材

【課題】強度的に支障がなく、かつ支持面の大きさを確保する。
【解決手段】車両に固定されたベース部材に取付けられる取付部11と、取付部11における上面11aに立設され、ミラーを備える電動ミラー装置本体を回動可能に支持する軸部12と、取付部11の上面11aの上であって上記軸部12の外周りに、電動ミラー装置本体の底面を支持する上面14aを有し、互いに隣り合うものどうしの間に周方向へ間隔をあけて設けられた複数の支持部14と、隣り合う上記支持部14どうしの間であって上記軸部12の付け根部分に形成された補強部15とを具備し、その補強部15は、軸部12から取付部11の上面11aに至るまで外径が連続的に増大する形状に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に固定されたベース部材に取付けられ、電動ミラー装置を格納可能に支持するミラー支持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
上述した電動ミラー装置は、車両に固設されるベース部材の上側に固定されるミラー支持部材と、そのミラー支持部材に回動可能に取付けられる電動ミラー装置本体と、電動ミラー装置本体に上下左右方向の首振り可能に取付けられるミラーとを有して構成される。
【0003】
上記電動ミラー装置本体は、ミラー支持部材の回りを電動モータにより一定角度範囲で回動し、車両の外側へ大きく突出した使用状態と、突出量が小さい格納状態とに切り替え可能になっており、更に、使用状態において強い外力を受けた場合に、その外力の作用方向、例えば前方向または後方向に電動ミラー装置本体を可倒できるように構成されている(例えば、特許文献1等参照)。
【0004】
上述したミラー支持部材の具体的な構成は、以下のようになっている。図9に示すミラー支持部材100は、下側の取付部101と上側の軸部102とを有し、取付部101は上記ベース部材に取付けられる。軸部102は円筒状に形成され、この軸部102は電動ミラー装置本体の底部に設けられた取付穴に挿入され、これに伴い、軸部102の外側であって取付部101の上面101aに上側へ突出形成された環状支持部103が電動ミラー装置本体の底面と当接する状態で、軸部102の回りを電動ミラー装置本体が回動する。よって、上記環状支持部103の上面は、電動ミラー装置本体の底面と当接する平坦な面であって、電動ミラー装置本体を支持する支持面として機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−193818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、車両の軽量化を図るべく、電動ミラー装置においても軽量化が推進されていて、ミラー支持部材100をそれまでの重量の重い金属製から樹脂製のものに切り替えることが検討されている。
【0007】
ミラー支持部材100にあっては、電動ミラー装置本体から受ける力により軸部102の下部に大きな曲げモーメントが発生する。そのため、ミラー支持部材100を樹脂製にする場合には、上記曲げモーメントに対応するためには軸部102の下部の外径を大きくすることが求められる。
【0008】
しかしなから、限られたレイアウトスペースにより制約を受けるため、軸部102の外径を大きくすると、その径方向外側の環状支持部103の幅寸法W1を相対的に小さくする必要があり、これに伴って前記支持面が小さくなり、支持が不安定になるとい う難点がある。逆に、支持面の大きさを確保しようとすると、軸部102の外径を大きくできず、強度面で懸念がある。
【0009】
本発明は、このような従来技術の課題を解決すべくなされたもので、強度的に支障がなく、かつ支持面の大きさを確保することが可能なミラー支持部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るミラー支持部材は、車両に固定されたベース部材に取付けられる取付部と、上記取付部における上面に立設され、ミラーを備える電動ミラー装置本体を回動可能に支持する軸部と、上記取付部の上面上であって上記軸部の外周りに、電動ミラー装置本体の底面を支持する上面を有し、互いに隣り合うものどうしの間に周方向へ間隔をあけて設けられた複数の支持部と、隣り合う上記支持部どうしの間であって上記軸部の付け根部分に形成された補強部とを具備し、上記補強部は、上記軸部から上記取付部の上面に至るまで外径が連続的に増大する形状に形成されていることを特徴とする。本発明のミラー支持部材による場合には、軸部下端の付け根部分の曲げ強度の確保と支持面の幅寸法の確保との両立が可能になる。つまり、軸部の付け根部分に、相互に周方向へ間隔をおいて複数の支持部が設けられ、その支持部どうしの間に補強部が設けられており、その傾斜部が軸部から取付部の上面に至るまで外径が連続的に増大する形状に形成されていて、応力による折れが発生する起点となり難いため、その補強部によって曲げ強度を確保しながら、各支持部の幅寸法を従来同様に十分に確保できる。
【0011】
この構成において、上記補強部は、その外表面上の接線の傾きが、軸部から取付部の上面に至るまで連続的に減少する形状に形成することが好ましい。
【0012】
この構成において、更に、上記取付部の上面上であって、上記軸部を取り囲む複数の支持部および複数の補強部の外側に、一対の突出部を有する環状のクラッチ設置面を備え、上記突出部の上面と上記支持部の上面とが同じ高さ位置にあって相互に連続する構成にしてもよい。この構成にした場合には、軸部が突出部により支持部を介して更に補強される。
【0013】
この構成において、更に、前記複数の支持部の上に設けられる環状の金属カバーを備え、この金属カバーは電動ミラー装置本体の底面と周方向全域にわたって接触する上面を持つようにしてもよい。このようにした場合には、ミラー支持部材の金属カバーで覆われる部分が樹脂製であっても、その樹脂部分の摩耗が金属カバーにより防止される。
【0014】
この構成において、上記取付部の上面上であって、上記軸部を取り囲む複数の支持部および複数の補強部の外側に、一対の突出部を有する環状のクラッチ設置面が設けられ、前記金属カバーはその外側に上記一対の突出部を覆う金属製覆い部を一体的に備えるようにしてもよい。このようにした場合には、一対の突出部が樹脂製であっても金属カバーの覆い部が各突出部を覆うので、樹脂製突出部の摩耗が金属カバーの覆い部により防止される。
【0015】
この構成において、前記突出部の上面と前記支持部の上面とが同じ高さ位置にあって相互に連続するようにしてもよい。このようにした場合には、軸部が突出部により支持部を介して更に補強され、加えて、平坦な金属板から覆い部を有する金属カバーを打ち抜くことができ、金属カバーの形成を容易にできる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のミラー支持部材による場合には、軸部の下端の曲げ強度の確保と支持面の幅寸法の確保との両立が可能になる。つまり、軸部の付け根部分に、交互に周方向へ間隔をおいて複数の支持部が設けられ、その支持部どうしの間に補強部が設けられており、その傾斜部が軸部から取付部の上面に至るまで外径が連続的に増大する形状に形成されていて、応力による折れが発生する起点となり難いため、その補強部によって曲げ強度を確保しながら、各支持部の幅寸法を従来同様に十分に確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係るミラー支持部材が組み込まれた電動ミラー装置を示す分解斜視図である。
【図2】図1の電動ミラー装置を示す正面断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るミラー支持部材を示す外観斜視図である。
【図4】図3のミラー支持部材を示す図であり、(a)はその正面断面図、(b)はその部分拡大図である。
【図5】図3のミラー支持部材を示す平面図である。
【図6】図1の電動ミラー装置に備わった金属カバーを示す外観斜視図である。
【図7】図1の電動ミラー装置に備わった金属保護板を示す外観斜視図である。
【図8】金属カバーと金属保護板との近傍部分を示す正面図である。
【図9】従来のミラー支持部材の一例を示す外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の実施形態を具体的に説明する。
【0019】
図1は、本実施形態に係るミラー支持部材が組み込まれた電動ミラー装置を示す分解斜視図であり、図2はその電動ミラー装置を示す正面断面図である。
【0020】
この電動ミラー装置1は、車両に固定されたベース部材3に取付けられるミラー支持部材10と、このミラー支持部材2を回動中心として回動可能に設けられた電動ミラー装置本体20とを備える。
【0021】
ミラー支持部材10は、上記ベース部材3に取付けられる取付部11と、その取付部11における上面11aに立設された軸部12と、軸部12が挿入される環状をした金属カバー13とを有する。取付部11および軸部12は樹脂製であって、金属カバー13は例えばステンレス鋼製である。軸部12は、図示しないミラーを備える電動ミラー装置本体20を回動可能に支持する。このミラー支持部材10の構成については、後で詳述する。
【0022】
上記軸部12に回動可能に支持された電動ミラー装置本体20は、軸部12が挿入される環状の金属保護板21と、軸部12が挿入される取付孔22aを底部に有する下部ケース22と、下部ケース22の上部に、上部開口を覆うように取付けられる上部ケース32とを有する。
【0023】
下部ケース22と上部ケース32との間には、下部ケース22の内側に突出した軸部12が各々挿入される筒状のサンギア23、環状の上部クラッチ24、コイルばね25および環状のストップリング26が、下側からこの順に設けられている。ストップリング26の内周縁部分は、軸部12の上端部に設けられた環状凹部12aに嵌め込まれていて、これによりストップリング26は軸部12に抜け防止状態で取付けられている。
【0024】
また、下部ケース22と上部ケース32との間には、電動モータ26と、電動モータ26の回転軸26aに取付けられるウォームギア27と、ウォームギア27に噛み合うように回転軸28の一端側に一体的に回動するよう支持されたギア29と、回転軸28の他端側に設けられ、回転軸28と一体的に回動するプラネタリーギア30と、スイッチ31aを有する板部材31とが内蔵されている。下部ケース22と上部ケース32との間に配設された各部材は電動ミラー装置本体20を構成し、また電動ミラー装置本体20には下部ケース22に設けられたミラー取付部22bに取付けられるミラー(図示せず)や、このミラーを上下左右に駆動する駆動手段などが含まれる。
【0025】
電動モータ26の回動駆動力は、その回転軸26aに取付けられたウォームギア27に伝達され、ギア29および回転軸28を介してプラネタリーギア30に伝達される。プラネタリーギア30は前記サンギア23の下側周面に形成されたはすば歯車23aに噛み合っていて、プラネタリーギア30の回動がサンギア23に伝達される。
【0026】
サンギア23は、その上面に部分的に形成された凹部23bに、上部クラッチ24の下面に形成された凸部24aが嵌り込み、かつその上部クラッチ24を介してコイルばね25により下部ケース22側へ押圧された状態になっている。凹部23bは上側が下側よりも広く形成され、凸部24aは先端側(下端側)が基端側(上端側)よりも狭く形成されている。
【0027】
そして、電動ミラー装置本体20が、外力を受けて車両の進行方向側(前側)またはその反対側(後側)に可倒する場合に、コイルばね25の押圧付勢力に抗して、上部クラッチ24の凸部24aと凹部23bとの係合が解除されるように構成されている。
【0028】
図3は上記ミラー支持部材を示す外観斜視図であり、図4(a)はミラー支持部材の正面断面図、図4(b)はその部分拡大図、図5はミラー支持部材を示す平面図である。
【0029】
このミラー支持部材10は、上記取付部11の上面11aの上であって上記軸部12の外周りに、互いに隣り合うものどうしの間に周方向へ間隔をあけて設けられた複数の支持部14と、隣り合う支持部14どうしの間であって軸部12の付け根部分に形成された補強部15と、これら支持部14および補強部15が交互に設けられた環状領域の外側の領域に設けられた環状のクラッチ設置面17とを具備する。クラッチ設置面17には、一対の突出部16と、これら突出部16の間の凹部17aとが設けられ、凹部17aは突出部16よりも低い一定高さの底面を有する。
【0030】
補強部15は、軸部12と一体的に形成されており、かつその外径が軸部12から取付部11の上面11aに至るまで連続的に増大する形状に形成されている。この図示例では、補強部15は、その外表面上の接線の傾きが軸部12から取付部11の上面11aに至るまで連続的に減少する縦断面形状、より詳細には上記接線の傾きが軸部12での90゜から上面11aでの0゜まで連続して減少する縦断面形状に形成されている。つまり傾斜部15の上端と下端の間の中央位置の外径が、下端の外径から上端の外径を減算した値の1/2よりも小さくなった、所謂斜め下向きに窪んだ、曲率半径(R)が一定の曲線状をした縦断面形状に形成されている。ここで、上記縦断面形状は、軸部12の軸心に沿った方向の断面における形状を言う。
【0031】
一方、支持部14は、軸部12の外径を部分的に大きくして形成され、軸部12と一体的なものであって、平面視において円弧状に形成されており、各支持部14の上面14aが電動ミラー装置本体20の底面を支持する支持面として機能する。この支持面(14a)の幅寸法、つまり支持部14において軸部12の半径方向に突出した寸法W2は、従来の環状支持面の幅寸法W1と同様の値に設定されている。
【0032】
上記クラッチ設置面17の一対の突出部16は、軸部12の軸心を挟んで対称位置に配設されていて、各突出部16は、周方向に沿った断面形状が、例えば上側が下側よりも狭い台形となるように形成されている。各突出部16の上面は支持部14の上面14aと同じ高さ位置にし、かつ相互に連続するように形成されている。
【0033】
上記複数の支持部14および一対の突出部16の樹脂製部材の上側には、上記金属カバー13が載置される。この金属カバー13は、樹脂製の支持部14および両突出部16を摩耗から保護するために設けられており、下部クラッチとして機能し、図6に示すように各支持部14を覆う一定幅の環状部13aと、その環状部13aの外側に突出させて両突出部16を覆うように設けた一対の覆い部13bとを有する。
【0034】
上記覆い部13bは、その周方向の両側を下方に折り曲げて突出部16の上側3面を覆っており、突出部16の上面16aに対応する上面部13cと、突出部16の両側の傾斜面16bにそれぞれ対応する一対の傾斜面部13dとを有する(図3及び図6参照)。また、環状部13aは、その幅寸法W3を、支持部14の幅寸法W2と同一またはより大きい値に設定している。
【0035】
下部ケース22の底面には、クラッチ設置面17と対応する環状領域に前記金属保護板21が取付けられており、金属保護板21は、樹脂製の下部ケース22の底面を摩耗から保護するもので、例えばステンレス鋼製であり、下部ケース22の底面に形成された凹凸と一致する凹凸を有する。具体的には、金属保護板21は、図7に示すように環状のもので、下部ケース22の底面に下向きに突出形成された凸部(図示せず)に当接される、下側に突出した一対の凸部21aと、下部ケース22の底面と同じ高さ位置にある凹部(図示せず)に当接される一対の凹部21bと、凹部21bの上面側に上向きに突出した係止片21cと、凹部21bの外方に突出した突起21dとを有する。突起21dは、位置決め用の目印として用いられる。
【0036】
この金属保護板21は、下部ケース22の底面に形成された前記凸部(図示せず)と凸部21aとを一致させた状態で、係止片21cが前記取付孔22aの内縁部に圧入され、これにより係止片21cの弾性力により組付け後に抜け落ちない状態で下部ケース22の底面に取付けられる。
【0037】
この金属保護板21の凸部21aは、電動ミラー装置本体20の回動に伴って、前記クラッチ設置面17の凹部17aを軸部12の軸心回りに移動する。この移動において、凸部21aが凹部17aの一方の端に位置する覆い部13bの傾斜面部13dに当接することで、電動ミラー装置本体20が使用状態に位置決めされ、凸部21aが他方の端に位置する覆い部13bの傾斜面部13dに当接することで、電動ミラー装置本体20が格納状態に位置決めされるようになっている。
【0038】
上記凸部21aが、2つの覆い部13bで挟まれた凹部17aを移動する通常状態から、電動ミラー装置本体20が、外力を受けて車両の進行方向側とは反対側(後側)に可倒する場合に、コイルばね25の押圧付勢力に抗して、凸部21aが該当する傾斜面部13dをスライドして覆い部13bの高い上面部13cに乗り上げると(図8参照)、金属保護板21と金属カバー13の覆い部13bとの係合が解除されるように構成されている。
【0039】
このように金属保護板21と金属カバー13の覆い部13bとの係合が解除される場合と、前述したように上部クラッチ24の凸部24aと凹部23bとの係合が解除される場合とを除いて、サンギア23はコイルばね25による押圧付勢力で軸部12の回りを回転せずに、電動モータ26の回動駆動力を受けて電動ミラー装置本体20が使用状態と格納状態とに角度を変える。一方、電動ミラー装置本体20が外力を受け、金属保護板21と金属カバー13との係合が解除される場合や、凸部24aと凹部23bとの係合が解除される場合になると、サンギア23は軸部12の回りを回転し、電動ミラー装置本体20が前側または後側に可倒した状態になる。
【0040】
したがって、本実施形態のミラー支持部材10による場合には、軸部12の下端の付け根部分の曲げ強度の確保と、支持部14の上面14aである支持面の幅寸法W2(図3参照)の確保との両立が可能になる。つまり、軸部12の付け根部分に、相互に周方向へ間隔をおいて複数の支持部14が設けられ、その支持部14どうしの間に補強部15が設けられており、その傾斜部15が軸部12から取付部11の上面11aに至るまで外径が連続的に増大する形状に形成されていて、応力による折れが発生する起点となり難いため、その補強部15によって曲げ強度を確保しながら、各支持部14の幅寸法W2を従来同様に十分に確保できる。
【0041】
また、本実施形態にあっては、環状の金属カバー13はクラッチ設置面17の突出部16を覆う覆い部13bを一体的に備える金属製であるので、その金属カバー13が樹脂製突出部16の摩耗を防止できる。
【0042】
更に、本実施形態において、突出部16と支持部14とが、各上面を同じ高さ位置にして相互に連続するように形成されているので、軸部12が突出部16により支持部14を介して更に補強される。また、突出部16の上面16aと支持部14の上面14aが同じ高さ位置で相互に連続しているので、平坦な金属板から覆い部13bを有する金属カバー13を打ち抜くことができ、金属カバー13の形成を容易にできる。更に、突出部16の上面16aによっても金属カバー13の支持が可能になる。
【0043】
なお、上述した実施形態では、補強部15における接線の傾きが軸部12での90゜から上面11aでの0゜まで連続して減少する、斜め下向きに窪んだ曲率半径(R)が一定の曲線状をした縦断面形状に形成しているが、本発明はこれに限らない。補強部15の縦断面形状としては、曲率半径(R)が連続的に変化する曲線形状であってもよく、また、曲線状に限らず直線状であってもよい。要は、補強部15の縦断面形状は、軸部12から取付部11の上面11aに至るまで外径が連続的に増大する形状であればよい。但し、補強部15の外径が直線状に増大する場合にあっても、傾斜部15の上端部15aは、軸部12の外周部と平行になるように形成し、傾斜部15の下端部15bは取付部11の上面11aと平行になるように形成することが好ましい。このようにすることで、上端部15a及び下端部15bを起点とする折れの発生を確実に防止することが可能になる。
【0044】
また、上述した実施形態にあっては、突出部16の上面16aと支持部14の上面14aを同じ高さ位置で相互に連続するように構成しているが、本発明はこれに限らず、突出部16の上面16aと支持部14の上面14aを異なる高さ位置にしてもよい。但し、その場合は、段差部には急峻な段差に代えて、緩やかな曲線状の丸い断面形状の湾曲部を形成することが亀裂発生を防止する上で好ましい。
【0045】
更に、上述した実施形態にあっては、複数の支持部14の上に金属カバー13を配設し、支持部14の上面が電動ミラー装置本体の底面と接触して摩耗するのを防止しているが、支持部14の上面が硬質である場合には金属カバー13を省略することも可能である。
【符号の説明】
【0046】
10 ミラー支持部材
11 取付部
12 軸部
13 金属カバー
13b 覆い部
14 支持部
14a 上面
15 補強部
16 突出部
17 クラッチ設置面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に固定されたベース部材に取付けられる取付部と、
上記取付部における上面に立設され、ミラーを備える電動ミラー装置本体を回動可能に支持する軸部と、
上記取付部の上面上であって上記軸部の外周りに、電動ミラー装置本体の底面を支持する上面を有し、互いに隣り合うものどうしの間に周方向へ間隔をあけて設けられた複数の支持部と、
隣り合う上記支持部どうしの間であって上記軸部の付け根部分に形成された補強部とを具備し、
上記補強部は、上記軸部から上記取付部の上面に至るまで外径が連続的に増大する形状に形成されていることを特徴とするミラー支持部材。
【請求項2】
上記補強部は、その外表面上の接線の傾きが、上記軸部から上記取付部の上面に至るまで連続的に減少する形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のミラー支持部材。
【請求項3】
更に、上記取付部の上面上であって、上記軸部を取り囲む複数の支持部および複数の補強部の外側に、一対の突出部を有する環状のクラッチ設置面を備え、上記突出部の上面と上記支持部の上面とが同じ高さ位置にあって相互に連続することを特徴とする請求項1または2に記載のミラー支持部材。
【請求項4】
更に、前記複数の支持部の上に設けられる環状の金属カバーを備え、この金属カバーは電動ミラー装置本体の底面と周方向全域にわたって接触する上面を持つことを特徴とする請求項1または2に記載のミラー支持部材。
【請求項5】
更に、上記取付部の上面上であって、上記軸部を取り囲む複数の支持部および複数の補強部の外側に、一対の突出部を有する環状のクラッチ設置面を備え、前記金属カバーはその外側に上記一対の突出部を覆う金属製覆い部を一体的に備えることを特徴とする請求項4に記載のミラー支持部材。
【請求項6】
前記突出部の上面と前記支持部の上面とが同じ高さ位置にあって相互に連続することを特徴とする請求項5に記載のミラー支持部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−23055(P2013−23055A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159057(P2011−159057)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000147660)株式会社石▲崎▼本店 (28)
【Fターム(参考)】