説明

ミルナシプランのパルス型放出組成物

間隔を空けた「パルス」の状態で薬物を放出する、1日1回の経口ミルナシプランパルス型放出処方物が開発された。この投薬形態は、第一投薬単位、第二投薬単位、および必要に応じて第三投薬単位からなり、各投薬単位は、異なる薬物放出プロフィールを有する。この投薬形態は、Cmax約3000ng/mL未満、好ましくは2000ng/mL未満、最も好ましくは1000ng/mL未満を特徴とするインビボ薬物血漿レベルをもたらす。これらのレベルは、CNSに対するコリン作動性作用の刺激を回避することに役立つ。この組成物は、患者に投与した場合に、約24時間にわたってミルナシプランを送達することを可能にし、それによって、一般的なミルナシプラン副作用の発生の減少または強度の減少を生じる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、一般に、ミルナシプランパルス型放出組成物に関する。
【0002】
本出願は、2002年10月25日に出願された米国特許出願第60/421640号;2002年12月5日に出願された米国特許出願第60/431626号;2002年12月5日に出願された米国特許出願第60/431627号;2002年12月9日に出願された米国特許出願第60/431906号;2002年12月9日に出願された米国特許出願第60/431861号;2003年1月29日に出願された米国特許出願第60/443618号;2003年3月28日に出願された米国特許出願第60/459061号;2003年3月28日に出願された米国特許出願第60/458994号;2003年3月28日に出願された米国特許出願第60/458995号についての優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
有効性および許容性は、精神的抑うつ症、および機能的身体障害(Functional Somatic Disorders)を含む他の精神的障害の治療薬を選択する際の重要な要素である。三環系抗うつ薬(TCA)から選択的セロトニン再取込み阻害剤(SSRI)への移行は、TCAの有害副作用に関与する直接受容体相互作用の減少だけでなく、ノルエピネフリンの再取込みを阻害する能力にも関係していた。1つの神経伝達物質セロトニンについての選択性は、特に、より重症のうつ病において、SSRIがTCAより有効性が低い傾向を有する理由を説明し得る(Lopez−Ibor J.ら、1996,Int.Clin.Psychopharm.,11:41−46)。より古いTCAは、重大な行動毒性、特に、精神運動障害および認知障害および鎮静を伴う。SSRIはこれらの作用をほとんど有さないが、吐き気および消化不良のような胃腸障害がこの薬剤に一般的である(Hindmarch I.,1997,Human Psychopharmacology,12:115−119)。例えば、広く処方されているSSRIセルトラリン(Zoloft(登録商標)、Pfizer)について、治療中止に結びつく3つの最も有害な事象は、吐き気、不眠およ下痢であった(Physician’s Desk Reference、第57版、2003,Thomson Medical)。
【0004】
抗うつ薬を改良する努力は、うつ病におけるモノアミン機能を強化する治療可能性を裏づける神経化学的および臨床的研究からの累積証拠によって導かれている。デュロキセチン、ヴェンラファキシンおよびミルナシプランを包含する多くの抗うつ薬、セロトニンおよびノルエピネフリン再取込み阻害剤(SNRI)は、セロトニン(5−HT)およびノルエピネフリン(NE)受容体の両方との相互作用に基づいて開発されている。ミルナシプランは、ノルエピフェフリン(NE)/セロトニン(5−HT)の比率が2:1であるので、ノルエピネフリンおよびセロトニン再取込み阻害剤(NSRI)と称するのがより適切である(Moretら、1985,Neuropharmacology,24:1211−1219;Palmierら、1989,Eur.J.Clin.Pharmacol.,37:235−238)。現在の臨床証拠は、この新しい薬剤が、SSRIと比較して、向上した有効性および/またはより速い作用の開始を与え得ることを示している(Tran P.V.ら、2003、J.Clin.Psychopharmacol.,23:78−86)。NSRIミルナシプランに関する最近の試験は、この化合物が、うつ病に関係した痛み、およびうつ病に関係しない痛みの両方を軽減するのに有効であることを示している(Briley M.,2003,Curr.Opin.Investig.Drugs,4:42−45;Cypress Bioscience Inc.,Cypress Bioscience Inc.Announces Final Results of Milnacipran Phase II Clinical Trial in Fibromyalgia,Media Release,March 21,2003,URL:http://www.cypressbio.comから入手可能)。
【0005】
残念なことに、これらのSNRIおよびNSRI化合物は、ヒト臨床試験において多くの副作用が示されている。
【0006】
例えば、デュロキセチン(Cymbalta(登録商標)、Eli Lilly and Company)の安全性および許容性が、デュロキセチン(40〜120mg/日)で治療した患者1032人および偽薬で治療した患者732人を含む7つの二重盲式試験のプール分析(pooled analysis)において評価された。デュロキセチンについて5%より高い比率で発生した有害事象は、吐き気、口乾燥、疲労、めまい感、便秘、傾眠、食欲減退および発汗であった。治療を中止させた有害事象は、吐き気、めまい感、傾眠、皮膚炎、不眠、頭痛および疲労であった。吐き気およびめまい感は、偽薬と比較して顕著に多くデュロキセチンで治療した患者の治療を中止させた(Mallinckrodt C.ら、American Psychiatric Association 2002 Annual Meeting,New Research Abstracts,119,May 18,2002;Detke M.J.ら、American Psychiatric Association 2002 Annual Meeting,New Research Abstracts,33−34,May 18,2002)。吐き気は、中止の理由として報告された唯一の有害事象であった(Eli Lilly and Company,New Research Shows Cymbalta Reduces Anxiety Symptoms Associated With Depression,Media Release:September 18,2003,URL:から入手可能)。
【0007】
SNRI系に包含されるヴェンラファキシン(Effexor(登録商標)、Wyeth−Ayerst)について、報告されている主な副作用は、胃腸系に影響を及ぼす副作用である。4〜8週間の偽薬対照臨床試験において、Effexor(登録商標)対偽薬(n=1,033対609)についての、治療によって発現した主要胃腸有害事象発生率は以下の通りであった:吐き気(37%対11%)、便秘(15%対7%)、食欲不振(11%対2%)、嘔吐(6%対2%)。同じ臨床試験において、治療によって発現した主要中枢神経系有害事象発生率は以下の通りであった:眠け(23%対9%)、乾燥口(22%対11%)、めまい感(19%対7%)、不眠(18%対10%)、神経質(13%対6%)、不安(6%対3%)、震え(5%対1%)。重要なことに、吐き気は、最も一般的に報告される副作用である(前記参照)ことに加えて、二相および三相層抑うつ試験におけるヴェンラファキシン患者が治療を中止した最大の理由である:治療を中止した患者のほぼ32%が、吐き気によって治療を中止した(Physician’s Desk Reference、第57版、2003,Thomson Medical)。
【0008】
ミルナシプラン(Ixel(登録商標)、Pierre Fabre)は、ヒト臨床試験において多くの有害反応を示し、用量の増加と共に許容性が減少する(Puech Aら、1997,Int.Clin.Psychopharm.,12:99−108)。二重盲式、無作為化、複数の医療機関にまたがった(multicenter)臨床試験において、100mg/日ミルナシプラン(1日2回)について最も頻繁な自己報告有害事象は以下の通りであった:腹痛(13%)、便秘(10%)および頭痛(9%)。興味深いことに、同じ試験において、ミルナシプランを200mg/日(1日2回)で与えた場合、痛みに関係した有害作用は減少した(頭痛は8%、腹痛は7%に減少)が、吐き気および嘔吐は、より顕著な副作用であり、7%の患者によって報告された(Guelfi J.D.,1998,Int.Clin.Psychopharm.,13:121−128)。219人の高齢うつ病患者に関する二重盲式比較試験において、ミルナシプラン受容者について、TCAイミプラミン受容者より頻繁に報告された1つの有害事象は、吐き気であった。ミルナシプランまたはイミプラミン75〜100mg/日(1日2回)を8週間、患者に投与した(Tignol J.ら、1998,Acta Psychiatrica Scandinavica,95:157−165)。ミルナシプランを10人の患者に静脈投与した場合、そのうちの5人が一過性の吐き気を報告したことも分かった。吐き気は、ミルナシプラン血漿レベルのピーク時に主に報告された(Caron J.ら、1993,Eur.Neuropsychopharmacol.,3:493−500)。この試験は、吐き気が、ミルナシプラン血漿濃度に直接的に関係していることを示す。さらに、この試験において薬物を静脈投与したので、吐き気が中枢神経媒介性副作用であり得ることを強く示唆している。他の試験のデータは、ミルナシプランが、胃腸刺激によって局所的に仲介された吐き気も誘発し得ることを示している(ピーク血漿レベルに達する前でも、吐き気の急速開始が観察された)。
【0009】
偽薬対照臨床試験における、自己報告ミルナシプラン有害事象の発生を表1に示す(有害作用は、ミルナシプラン100mg/日のグループにおいて頻度が2%より高い場合に記載した)。表1に示したデータから明らかなように、吐き気、嘔吐、発汗、顔面潮紅、動悸、振せん、不安、排尿障害および不眠を含むいくつかの有害事象の発生は、用量と共に増加する。
【0010】
(表1.偽薬対照臨床試験における自己報告ミルナシプラン有害事象の発生)
【0011】
【表1】

初期うつ病試験の1つにおいて、副作用を減少させるために使用した1週間のミルナシプラン用量の段階的増加後でさえ、有害作用による治療中止の最も一般的に報告された理由は、吐き気および嘔吐であったことを認識することが重要である(Leinonen E.,1997,Acta Psychiatr.Scand.,96:497−504)。ミルナシプラン副作用を減少させ、患者の耐性を増加させるために実施した長い用量段階的増加期間(4週間)での最近の線維筋痛症臨床試験において、患者によって報告された最も一般的な用量相関副作用は、吐き気であった(Cypress Bioscience Inc.,Cypress Bioscience Inc.Announces Final Results of Milnacipran Phase II Clinical Trial in Fibromyalgia,Media Release,March 21,2003)。
【0012】
表1に示したデータは、現在入手可能なミルナシプランの即時放出処方物が、低い患者許容度を生じる治療発現副作用の高発生の故に、1日1回または1日2回で投与される100mg/日またはそれ以上のミルナシプラン用量を必要とする健康状態の治療に理想的でないことを示している。より多い用量が、重度うつ病および他の関連疾患の治療に必要とされる。初期抗うつ薬臨床試験の1つにおいて示されるように、200mg/日のミルナシプラン用量が、それより少ない用量より優れていた(Von Frenckell Rら、1990,Int.Clin.Psychopharmacology 5:49−56)。1日に100〜250mgのミルナシプラン投与計画が、線維筋痛症の治療について最近報告された(米国特許第6602911号)。用量に関係した治療発現副作用、および必要用量に達するために長期間にわたる滴定が必要である故に、現在入手可能な処方物を使用して用量範囲の上限に達することは極めて困難であると考えられる。
【0013】
さらに、ミルナシプランの即時放出処方物は、ミルナシプランの相対的に短い(約8時間)の半減期の故に、うつ病治療の1日1回の投与計画に適さないと考えられる(Ansseau M.ら、1994,Psychopharmacology 114:131−137)。ミルナシプランの半減期は、線維筋痛症試験における即時放出処方物の1日2回(1日1回に対する)の投与が偽薬治療より統計的に優れた痛みの改善を生じたことにも関与していると考えられる(Cypress Bioscience Inc.,Cypress Bioscience Inc.Announces Final Results of Milnacipran Phase II Clinical Trial in Fibromyalgia,Media Release,March 21,2003)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、本発明の目的は、特により多い投薬について、副作用の発生および強度を低下させ、そして、投与頻度、およびこれらの疾患の治療に必要な治療用量レベルを得るために薬物をゆっくり滴定する必要性を、低下または減少させるミルナシプラン処方物を提供することである。
【0015】
従って、本発明の目的は、必要とする患者に投与した場合に約24時間にわたって治療効果を発揮するミルナシプラン処方物を提供することであり、この処方物の放出速度および用量は、即時放出処方物について報告されている一般的なミルナシプラン副作用の発生の減少および強度の減少を伴って、下記からなる群から選択される少なくとも1つの疾患を軽減するのに有効である:うつ病、線維筋痛症候群、慢性疲労症候群、痛み、注意欠陥/過活動性障害、および内臓痛症候群(VPS)、例えば過敏性腸症候群(IBS)、非心臓性胸痛(NCCP)、機能性消化不良、間質性膀胱炎、本能性外陰病変、尿道神経症、精巣痛、および情動障害[抑うつ障害(大うつ病性障害、気分変調、非定型うつ病)および不安障害(全身性不安障害、恐怖症、強迫性障害、恐慌性障害、心的外傷後ストレス障害)を包含する]、月経前不快気分障害、側頭下顎障害、非定型顔面痛、偏頭痛、および緊張性頭痛。
【0016】
本発明のさらなる目的は、好ましくない副作用、および所望治療用量に達するために用量をゆっくり増加(滴定)する現在の必要性を、除去するかまたは減少させる選択的薬物動態学放出プロフィールを与える処方物を提供することである。
【0017】
本発明のさらに別の目的は、朝または晩の投与に柔軟性を与える単位用量25〜500mgを与える処方物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
(発明の要旨)
1日1回の経口ミルナシプランパルス型放出組成物を開発した。このパルス型組成物は、経口投与した場合、間隔を空けた「パルス」の状態で薬物を放出する。この送達プロフィールは、薬物物質への内部粘膜表面の曝露を最小限にし、したがって、ミルナシプランの胃腸管系副作用(例えば、吐き気および嘔吐)を軽減する一方、治療用ミルナシプラン血漿レベルを維持する。さらにこのパルス型組成物は、1日2回のミルナシプラン投与が、1日1回の投与に比べて治療反応の増強をもたらすことが示されたことから、理想的に、ミルナシプランの送達に適する。この投薬形態は、Cmax約3000ng/mL未満、好ましくは2000ng/mL未満、最も好ましくは1000ng/mL未満を特徴とするインビボ薬物血漿レベルをもたらす。これらのレベルは、CNSにおけるコリン作動性作用の刺激を回避するのを助ける。この組成物は、約24時間にわたってミルナシプランを送達し、それによって、吐き気、嘔吐、睡眠障害、頭痛、震え、不安、パニック発作、動悸、尿貯留、起立性低血圧、発汗、胸痛、発疹、体重増加、背部痛、便秘、めまい、発汗増加、心的動揺、顔面潮紅、振せん、疲労、傾眠、消化不良、排尿障害、神経質、乾燥口、腹痛、被刺激性および不眠のような一般的なミルナシプラン副作用の発生の減少および強度の減少を生じる。
【0019】
(発明の詳細な説明)
(パルス型放出ミルナシプラン処方物)
この組成物は、治療有効用量のミルナシプランの初期の急速な放出と、それに続く、いわゆる「遅延放出」パルス(したがって、第二および必要に応じて第三の遅延用量の活性薬剤がこの投薬形態から放出される)をもたらす。活性薬剤の即時放出投薬単位および一以上の遅延放出投薬単位の両方を取り入れることによって、この投薬形態は、投与を繰り返すことなく(すなわち、1日に単回投与のみで)複数回投薬プロフィールを模倣する。例えば、この投薬形態が即時放出投薬単位および1つの遅延投薬単位の両方を含む場合、この投薬形態は、1日2回の投薬プロフィールを提供する。あるいは、この投薬形態は、この投薬形態が即時放出投薬単位および2つの遅延投薬単位の両方を含む場合、この投薬形態は、1日3回の投薬プロフィールを提供する。
【0020】
この処方物は、ミルナシプランの投与に反応する状態を処置するためのパルス型放出投薬形態を提供する。ここで、この投薬形態は、即時放出投薬単位、遅延投薬単位、および任意の第二遅延投薬単位を含有する。即時放出投薬単位は、患者へのこの投薬形態の経口投与の実質的に直後に放出される、第一用量の活性薬剤を含有する。遅延放出投薬単位は、第二用量の活性薬剤、およびこの投薬形態の経口投与後約3時間〜14時間未満までこの第二用量の放出を遅延するための手段を含む。この第二遅延投薬単位は、存在する場合、第三用量の活性薬剤、およびこの投薬形態の経口投与後少なくとも5時間〜約18時間までこの第三用量の放出を遅延するための手段を含む。
【0021】
各投薬形態は、治療有効量の活性薬剤を含有する。1日2回の投薬プロフィールを模倣する投薬形態については、この投薬形態の活性薬剤の総量の約30重量%〜70重量%、好ましくは40重量%〜60重量%が、初期パルスで放出され、そして対応する、この投薬形態の活性薬剤の総量の約70重量%〜30重量%、好ましくは60重量%〜40重量%が、第二パルスで放出される。1日2回の投薬プロフィールを模倣する投薬形態については、第二パルスは、好ましくは投与後約3時間〜14時間未満で、最も好ましくは約5時間〜12時間で放出される。
【0022】
1日3回の投薬プロフィールを模倣する投薬形態については、この投薬形態の活性薬剤の総量の約25重量%〜40重量%が、初期パルスで放出され、そしてこの投薬形態の活性薬剤の総量の約25重量%〜40重量%が、第二パルスおよび第三パルスの各々で放出される。1日3回の投薬プロフィールを模倣する投薬形態については、第二パルスの放出は、好ましくは経口投与後約3時間〜10時間、最も好ましくは約4時間〜9時間で起こる。第三パルスの放出は、第二パルス後約2時間〜約8時間、そして代表的には、経口投与後約5時間〜約18時間で起こる。
【0023】
1つの局面において、閉じたカプセルを包含する投薬形態が使用される。このカプセルは、少なくとも2種類の薬物を含有する投薬単位を内蔵する。各投薬単位は、2以上の圧縮錠を包含するか、または複数のビーズ、顆粒もしくは粒子からなり得、各投薬単位は、異なる薬物放出プロファイルを提供する。即時放出投薬単位は、経口投与の実質的に直後に薬物を放出し、初期用量を提供する。遅延放出投薬単位は、経口投与後約3時間〜14時間で薬物を放出し、第二用量を提供する。最後に、任意の第二遅延放出投薬単位は、第二用量の放出後約2時間〜8時間で薬物を放出し、そしてこれは代表的に、経口投与後5時間〜18時間である。
【0024】
別の投薬形態は、薬物を含有する即時放出投薬単位、遅延放出投薬単位、および任意の第二遅延放出投薬単位を有する圧縮錠を包含する。この投薬形態では、即時放出投薬形態は、経口投与の実質的に直後に薬物を放出して初期用量を提供する、複数のビーズ、顆粒もしくは粒子を含む。遅延放出投薬単位は、複数の被覆されたビーズもしくは顆粒を含有し、これらは、経口投与後約3時間〜14時間で薬物を放出し、第二用量を提供する。
【0025】
任意の第二遅延放出投薬単位は、最初の遅延放出用量後約2時間〜8時間、代表的に経口投与後5時間〜8時間で薬物を放出する被覆されたビーズもしくは顆粒を含有する。遅延放出投薬単位はにおけるビーズもしくは顆粒は、生物侵食性(bioerodible)ポリマー材料で被覆される。この被覆は、適切な時間(すなわち、遅延放出投薬単位については経口投与後約3時間〜14時間未満、および任意の第二遅延放出投薬単位については少なくとも経口投与後5時間〜約18時間)まで薬物が放出されるのを防ぐ。この投薬形態においては、化合物は、錠剤に混合され得るか、積み重ねられて、または層状の錠剤を形成する。
【0026】
別の投薬形態は、薬物を含有する即時放出投薬単位、遅延放出投薬単位、および任意の第二遅延放出投薬単位を有する錠剤であって、この即時放出投薬単位は、経口投与の実質的に直後に薬物を放出する外層を含む。しかし、残りの遅延放出投薬単位の配置は、投薬形態が1日2回の投与を模倣するために設計されるか、または1日3回の投与を模倣するために設計されるかに依存する。
【0027】
1日2回の投与を模倣する投薬形態において、遅延放出投薬単位は、生物侵食性ポリマー材料で被覆された内側の核を含む。この被覆は、薬物の放出が、経口投与後約3時間〜14時間未満で起きるように適用される。この形態では、外層は、内側の核を完全に取り巻く。
【0028】
1日3回の投与を模倣する投薬形態において、(第一)遅延放出用量は、経口投与後約3時間〜14時間未満に薬物を放出する内層を含む。この内層は、外層に囲まれる。第二遅延放出投薬単位は、経口投与後少なくとも5時間〜約18時間に薬物を放出する内側の核を含む。したがって、この錠剤の層は(外部表面から始まり)、外層、内層および内側の核を含む。この内側の核は、遅延放出ビーズもしくは遅延放出顆粒を含む。さらに、内層は、生物侵食性ポリマー材料で被覆される薬物を含む。あるいは、1日3回の投与を模倣する特定の投薬形態において、遅延放出投薬形態および第二遅延放出投薬形態の両方は、内層に囲まれる。この内層は、活性薬剤を含まない。したがって、この錠剤の層は(外部表面から始まり)、外層、内層および遅延放出投薬単位の混合物を含む。第一遅延放出パルスは、内層が実質的に侵食された場合に生じ、これによって遅延放出投薬単位の混合物が放出する。(第一)遅延放出投薬単位に対応する用量は、内層が適切な時間(例えば、約3時間〜10時間)この用量への接近を防止した直後に放出される。しかし、第二遅延放出用量は、経口投与後、少なくとも5時間〜約18時間、放出を有効に遅延するよう処方される。
【0029】
1日2回の投与を模倣する処方物については、遅延放出用量が、経口投与後約3時間〜14時間未満、最も好ましくは約5時間〜12時間で放出されることが好ましい。1日3回の投与を模倣する投薬形態については、(第一)遅延放出用量が、経口投与後約3時間〜10時間未満、好ましくは4時間〜9時間で放出されることが好ましい。第三用量(すなわち、第二遅延放出用量)は、経口投与後少なくとも5時間〜約18時間で放出される。
【0030】
これらの薬物投薬形態は、経口的に投与されて、以下の処置に使用され得る:
うつ病、線維筋痛症候群、慢性疲労症候群、痛み、注意欠陥/過活動性障害、および内臓痛症候群(VPS)、例えば過敏性腸症候群(IBS)、非心臓性胸痛(NCCP)、機能性消化不良、間質性膀胱炎、本能性外陰病変、尿道神経症、精巣痛、および情動障害[抑うつ障害(大うつ病性障害、気分変調、非定型うつ病)および不安障害(全身性不安障害、恐怖症、強迫性障害、恐慌性障害、心的外傷後ストレス障害)を含む]、月経前不快気分障害、側頭下顎障害、非定型顔面痛、偏頭痛、および緊張性頭痛。
【0031】
他に示されない限り、この処方物およびその使用方法は変動し得るものとして、特定の薬学的担体もしくは特定の投与レジメンに限定されない。本明細書において使用される用語法が特定の実施形態を記載する目的のためだけのものであり、制限することを意図されないことを、また理解すべきである。
【0032】
明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」が、文脈が明らかに他を指示しない限り、複数の対象を包含することに注意しなければならない。したがって、例えば、「活性薬剤」への言及は、一つの活性薬剤および種々の活性薬剤の組み合わせを包含し、「薬学的担体」への言及は、一つの薬学的担体および2以上の担体の組み合わせを包含し、「圧縮錠」への言及は、一つおよび複数の圧縮錠を包含し、「即時放出投薬形態」への言及は、2以上の即時放出投薬形態の軍に加えて、単一の即時放出投薬形態を包含し、「遅延放出被覆」のような「被覆」は、単一の被覆および2以上の被覆などを包含する。
【0033】
「任意の」または「必要に応じて」とは、その後に記載された状況が、起こり得るかまたはは起こらない可能性があることを意味し、したがって、この記載は、この状況が起こる場合の例および起こらない場合の例を包含する。例えば、「任意の第二遅延放出投薬単位」が投薬形態の記載に現れる場合、「任意の第二遅延放出投薬単位」とは、第二遅延放出投薬単位が、存在してもしなくともよいことを意味する。したがって、この記載は、投薬単位を包含する。第二遅延放出投薬単位が存在する投薬単位および第二遅延放出投薬単位が存在しない投薬単位を含む。本明細書において使用される場合、「約」とは、およそプラスもしくはマイナス10%を意味する。
【0034】
ミルナシプラン組成物は、ミルナシプランを投与するためのパルス型送達投薬形態を提供し、1日2回もしくは3回のミルナシプランの投与を模倣する。すなわち、この組成物は、即時用量と、それに続く、この投薬形態の摂取の数時間後での1以上のパルス型用量を提供する。
【0035】
必要に応じて、10%未満のみの第一パルス放出は、実質的にこの投薬形態の摂取直後に放出される。第一パルスの90%以上は、処方物が胃を通過して小腸に入った後に利用可能になる。この組成物は、この投薬形態の摂取数時間後に、第二薬物用量、および必要に応じて第三薬物用量をさらに提供する。ミルナシプランは、胃腸管障害を引き起こすことが公知であるため、第一用量の遅延は、薬物に対する胃粘膜の曝露を実質的に軽減し、ゆえにミルナシプランの局所作用(例えば、吐き気および嘔吐)を減少する。
【0036】
これらの処方物の予測される治療的利点は、Cypress Bioscience,Inc.によって第41回 Annual Meeting of American College of Neuropsychopharmacology,San Juan,Puerto Rico(Gendreau R.M.ら、2002年12月9日、Poster presentation,Paster#85「Development of milnacipran,a dual reuptake inhibitor for treatment of chronic pain associated with fibromyalgia」)において示された線維筋痛症候群(FMS)と診断された患者においてミルナシプランを評価した12週間の無作為化二重盲式偽薬対照段階的用量増加単一療法試験の結果によってさらに裏付けられる。
【0037】
Cypress Bioscienceによって行なわれたFMS試験において、25mg/日から、50mg/日、100mg/日、そして最後に200mg/日、または用量限定毒性が明らかになるまで、4週間にわたって全ての患者に週に1度の段階的用量増加で投与した。この試験において、現在入手可能な即時放出(IR)ミルナシプラン処方物が唯一のミルナシプラン投薬形態として使用された。次に、200mg/日に到達できた患者を、さらに8週間にわたって、その用量で治療した。あらゆる所定用量レベルにおいて、ミルナシプラン1日1回(QD−IR)の患者は、朝に即時放出ミルナシプランの総用量を投与され、夜に偽薬を投与されたことを強調することが重要である。ミルナシプラン1日2回(BID−IR)の患者は、同じ総量を、朝と夜に投与される分割用量で投与された。
【0038】
Cypress Bioscienceによって使用された一次終点(primary endpoint)は、患者電子日記(electronic diary)に収集された疼痛評点に基づく、基準線から終点の疼痛評点の変化として定義された。終点は、単一数値(例えば、臨床測定値)または日記に基づく結果についての第11週および第12週における評点の平均値での評価のための第12週として定義された。ミルナシプランが線維筋痛症候群に関連した痛みを効果的に治療し、さらにFMSを有するうつ病患者の気分を改善したことが示された。200mg/日の用量に達した際に、試験参加者によって報告された疼痛評点の向上は、うつ病治療に一般に使用される用量よりかなり高いこの用量が、疼痛の軽減に必要であることを示す。分析時に終点に達した全ての患者についての全体的疼痛の1〜7の尺度(1はかなり高い改善、4は変化なし、7は極めて低い改善である)において、ミルナシプラン患者の平均値は2.3であったが、偽薬患者の平均値は4.3であった(ミルナシプラン群と偽薬との差は、p=0.0001の統計的有意である)。重要なことに、ミルナシプラン群において、1日2回投与は1日1回投与より疼痛減少おいて顕著に高い有効性であった。1日2回の投与計画は、より高い治療有効性であることに加えて、より少ない用量関連有害事象も示し、1日1回の投与計画より低い比率の用量不耐性を生じた(QD−IRグループの患者の19%が段階的用量増加に失敗したのに対して、BID−IRグループでは6%にすぎなかった)。偽薬群においては、段階的用量増加の失敗は記録されなかったことを認識すべきである。
【0039】
これらのQD−IRとBID−IRとの臨床的差異は、これら2つの投与計画が裏付ける薬物血漿レベル(特にCmax)の明確な違いによる可能性が極めて高い。BID−IR投与計画は、24時間にわたってQD−IRより低いCmaxおよび低い薬物血漿レベル変動を特徴とする薬物血漿レベルを裏付ける。日用量をQD−IRで投与した場合、Cmaxは、BID−IR投与計画より約2倍高い。より高いCmaxは、有害副作用の重症度を増加させ(これは、患者による客観的疼痛レベル自己評価も妨げ得る)、より低い薬物耐性および患者コンプライアンスを生じる。従って、薬物をBID−IRで投与した場合に観察される優れたミルナシプラン性能は、24時間にわたるより「持続された」薬物血漿レベルによるものと考えられる。
【0040】
Cypress Bioscienceによって得られ示された臨床試験データによると、ミルナシプランをBID−IRで投与した場合に、たとえ僅かにしても睡眠の質が向上する。これは、より「持続された」薬物血漿レベルを24時間にわたって与える処方物が、標準即時放出処方物と比較して優れた性能を示し、そして、重要なことに、より少ない不眠を生じることをさらに示すものであると理解し得る。
【0041】
(定義)
遅延放出投薬形態:遅延放出投薬形態は、投与後すぐではなく、所定の時機に、薬物を放出する投薬形態である。
【0042】
パルス型放出投薬形態:パルス型出投薬形態は、投与を繰り返すことなく複数用量プロフィールを模倣する投薬形態であり、従来の投薬形態(例えば、溶液、または即時に薬物を放出する従来の固体投薬形態)として存在する薬物と比較して、投与頻度を少なくとも2倍減少し得る投薬形態である。パルス型放出プロフィールは、放出のない期間(遅延時間)に続く急速な薬物放出によって特徴付けられる。
【0043】
(ミルナシプラン)
ミルナシプランおよびその合成方法は、米国特許第4478836号に開示されている。ミルナシプラン(ミダルシプラン、ミダシプラン、F 2207)は、ノルエピフェフリン(NE)およびセロトニン(5−HT)の取込みを、NE/5−HT比率2:1で阻害する(Noretら、1985,Neuropharmacology,24:1211−1219;Palmierら、1989,Eur.J.Clin.Pharmacol.,37:235−238)が、ドパミンの取込みには作用しない。ミルナシプランは、αまたはβアドレナリン作用性受容体、ムスカリン性受容体、ヒスタミン作用性受容体、およびドパミン作用性受容体に対する親和性を有さない。これは、ミルナシプランが抗コリン作用性作用、鎮静作用および興奮性作用を生じる可能性が低いことを示唆する。ミルナシプランは、慢性投与後に、ラット皮質における多くのβアドレナリン作用性受容体に影響を与えない(Briley Mら、Int.Clin.Psychopharmac.,1996,11:10−14)。ミルナシプランに関する他の情報は、Merck Index、第12版、エントリ6281に見出し得る。
【0044】
本明細書において使用される「ミルナシプラン」は、特に記載がなければ、ミルナシプランの個々の鏡像異性体の両方(右旋性および左旋性鏡像異性体)およびそれらの薬学的に許容される塩、ミルナシプラン鏡像異性体およびそれらの薬学的に許容される塩の混合物、およびミルナシプランの活性代謝産物およびそれらの薬学的に許容される塩を包含するミルナシプランの薬理学的に活性な誘導体も含む。ある場合には、鏡像異性体、誘導体および代謝産物の投与量を、ミルナシプランのラセミ混合物の相対活性に基づいて調節する必要があるものと理解される。
【0045】
本明細書に使用される「薬学的に許容される塩」は、親化合物がその酸性塩または塩基性塩の生成によって修飾されている開示化合物の誘導体を意味する。薬学的に許容される塩の例は、アミンのような塩基性残基の無機または有機酸性塩:カルボン酸のような酸性残基のアルカリまたは有機塩であるがそれらに限定されない。薬学的に許容される塩は、例えば非毒性無機または有機酸から生成される、親化合物の一般的な非毒性塩または第四アンモニウム塩を包含する。例えば、そのような一般的な非毒性塩は、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、燐酸、硝酸等から誘導される塩;および、有機酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、琥珀酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、蓚酸およびイセチオン酸から誘導される塩である。
【0046】
化合物の薬学的に許容される塩は、一般的な化学法によって、塩基性または酸性成分を含有する親化合物から合成することができる。一般に、そのような塩は、水または有機溶媒、またはその2つの混合(一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールまたはアセトニトリルのような非水性媒質が好ましい)中で、これらの化合物の遊離酸または塩基形態を、理論量の適切な塩基または酸と反応させることによって生成することができる。好適な塩の列記が、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第20版、Lippincott Williams & Wilkins,Baltimore,MD,2000,p.704に見出される。
【0047】
本明細書に使用される「薬学的に許容される」という語句は、正当な医学的判断の範囲において、穏当なベネフィット/リスク比に釣り合って、過度の毒性、刺激、アレルギー反応または他の問題または合併症を生じずに、ヒトおよび動物の組織に接触させて使用するのに好適な化合物、物質、組成物および/または投薬形態を意味する。
【0048】
本明細書に使用される「立体異性体」という用語は、同じ結合によって結合した同じ原子から構成されているが、互換性でない異なる空間構造を有する化合物を意味する。三次元構造は、立体配置と呼ばれる。本明細書において使用される「鏡像異性体」という用語は、それらの分子が相互に重ね合わすことができない鏡像である2つの立体異性体を意味する。本明細書において使用される「光学異性体」という用語は、「鏡像異性体」という用語と同意義である。「ラセミ化合物」、「ラセミ混合物」または「ラセミ修飾」という用語は、同量の鏡像異性体の混合物を意味する。「キラル中心」という用語は、4個の異なる基が結合している炭素原子を意味する。本明細書に使用される「鏡像異性体豊富」という用語は、1つの鏡像異性体のもう一方と比較した量の増加を意味する。鏡像異性体豊富は、標準的方法および手順、例えば、キラルカラムでのガスまたは高性能液体クロマトグラフィーを使用して当業者によって容易に決定される。J.Jacquesら、「Enantiomers,Racemates,and Resolutions」、John Wiley and Sons,Inc.,1981に記載のような当分野で周知の標準的方法を使用して、鏡像異性体対の分離を行なうのに必要な適切なキラルカラム、溶離剤および条件の選択は、充分に当業者の知識の範囲内である。分割の例は、ジアステレオマー塩/誘導体の再結晶または分取キラルクロマトグラフィーである。
【0049】
(他の活性化合物との組合せ)
ミルナシプランは、他の活性化合物、例えば、鎮痛薬、抗炎症薬、解熱薬、抗うつ薬、抗痙攣薬、抗ヒスタミン薬、抗片頭痛薬、抗ムスカリン薬、抗不安薬、鎮静薬、催眠薬、抗精神病薬、気管支拡張薬、喘息治療薬、心臓血管薬、コルチコステロイド、ドパミン作用薬、電解質、胃腸薬、筋弛緩薬、栄養剤、ビタミン、副交感神経作用薬、興奮薬、食欲抑制薬および抗睡眠発作薬を補助的に使用して、投与することができる。
【0050】
ミルナシプランと共に補助的に投与することができる化合物の特定の例は、下記の化合物であるがこれらに限定されない:アセクロフェナク、アセトアミノフェン、アドメキセチン、アルモトリプタン、アルプラゾラム、アマンタジン、アムシノニド、アミノシクロプロパン、アミトリプチリン、アモロジピン、アモキサピン、アンフェタミン、アリピプラゾール、アスピリン、アトモキセチン、アザセトロン、アザタジン、ベクロメタゾン、ベナクチジン、ベノキサプロフェン、ベルモプロフェン、ベタメタゾン、ビシファジン、ブロモクリプチン、ブデソニド、ブプレノルフィン、ブプロピオン、ブスピロン、ブトルファノール、ブトリプチリン、カフェイン、カルバマゼピン、カルビドパ、カリソプロドール、セレコキシブ、クロルジアゼポキシド、クロルプロマジン、サリチル酸コリン、シタロプラム、クロミプラミン、クロナゼパム、クロニジン、クロニタゼン、クロラゼペート、クロチアゼパム、クロキサゾラム、クロザピン、コデイン、コルチコステロン、コルチゾン、シクロベンザプリン、シクロヘプタジン、デメキシプチリン、デシプラミン、デソモルフィン、デキサメタゾン、デキサナビノール、硫酸デキストロアンフェタミン、デキストロモルアミド、デキストロプロポキシフェン、デゾシン、ジアゼパム、ジベンゼピン、ジクロフェナクナトリウム、ジフルニサル、ジヒドロコデイン、ジヒドロエルゴタミン、ジヒドロモルフィン、ジメタクリン、ジバルプロックス、ジザトリプタン、ドラセトロン、ドネペジル、ドチエピン、ドキセピン、ダロキセチン、エルゴタミン、エスシタロプラム、エスタゾラム、エトスクシミド、エトドラク、フェモキセチン、フェナメート、フェノプロフェン、フェンタニル、フルジアゼパム、フルオキセチン、フルフェナジン、フルラゼパム、フルルビプロフェン、フルタゾラム、フルボキサミン、フロバトリプタン、ガバペンチン、ガランタミン、ジェピロン、イチョウ、グラニセトロン、ハロペリドール、フペルジンA、ヒドロコドン、ヒドロコルチゾン、ヒドロモルホン、ヒドロキシジン、イブプロフェン、イミプラミン、インジプロン、インドメタシン、インドプロフェン、イプリンドール、イプサピロン、ケタセリン、ケトプロフェン、ケトロラク、レソピトロン、レボドパ、リパーゼ、ロフェプラミン、ロラゼパム、ロクサピン、マプロチリン、マチンドール、メフェナム酸、メラトニン、メリトラセン、メマンチン、メペリジン、メプロバメート、メサラミン、メタプラミン、メタキサロン、メタドン、メタドン、メタンフェタミン、メトカルバモール、メチルドパ、メチルフェニデート、メチルサリチレート、メチセルジド、メトクロプラミド、ミアンセリン、ミフェプリストン、ミルナシプラン、ミナプリン、ミルタザピン、モクロベミド、モダフィニル(抗睡眠発作)、モリンドン、モルフィネ、塩酸モルフィネ、ナブメトン、ナドロール、ナプロキセン、ナラトリプタン、ネファゾドン、ニューロンチン、ノミフェンシン、ノルトリプチリン、オランザピン、オルサラジン、オンダンセトロン、オピプラモール、オルフェナドリン、オキサフロザン、オキサプラジン、オキサゼパム、オキシトリプタン、オキシコドン、オキシモルフォン、パンクレリパーゼ、パレコキシブ、パロキセチン、ペモリン、ペンタゾシン、ペプシン、ペルフェナジン、フェナセチン、フェンジメトラジン、フェンメトラジン、フェニルブタゾン、フェニトイン、ホスファチジルセリン、ピモジド、ピルリンドール、ピロキシカム、ピゾチフェン、ピゾチリン、プラミペキソール、プレドニゾロン、プレドニゾン、プレガバリン、プロパノロール、プロピゼピン、プロポキシフェン、プロトリプチリン、クアゼパム、キヌプラミン、レボキシチン、レセルピン、リスペリドン、リタンセリン、リバスチグミン、リザトリプタン、ロフェコキシブ、ロピニロ−ル、ロチゴチン、サルサレート、セルトラリン、シブトラミン、シルデナフィル、スルファサラジン、スリンダク、スマトリプタン、タクリン、テマゼパム、テトラベノジン、チアジド、チオリダジン、チオチキセン、チアプリド、チアシピロン、チザニジン、トフェナシン、トルメチン、トロキサトン、トピラメート、トラマドール、トラゾドン、トリアゾラム、トリフルオペラジン、トリメトベンズアミド、トリミプラミン、トロピセトロン、バルデコキシブ、パルプロ酸、ベンラファキシン、ビロキサジン、ビタミンE、ジメルジン、ジプラシドン、ゾルミトリプタン、ゾルピデム、ゾピクロン、およびそれらの異性体、塩および組合せ。
【0051】
補助投与とは、同じ投薬形態における化合物の同時投与、分離投薬形態における同時投与、および化合物の分離投与を意味する。
【0052】
(処方物)
安全かつ有効であると考えられ、望ましくない生物学的副作用または好ましくない相互作用を生じずに個体に投与しされ得る材料からなる薬学的に許容される「担体」を使用して、処方物を調製する。「担体」は、薬学的処方物中に存在する活性成分以外の全ての成分である。「担体」という用語は、希釈剤、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、充填剤および被覆組成物を包含するがそれらに限定されない。
【0053】
「担体」としてはまた、可塑剤、顔料、着色剤、安定剤およびグリダント(glidants)を含有し得る被覆組成物の全ての成分が挙げられる。遅延放出投与処方物は、下記のような文献に記載のように調製され得る:「Pharmaceutical dosage form tablets」、Libermanら編(New York,Marcel Dekker,Inc.,1989)、「Remington − The science and practice of pharmacy」、第20版、Lippincott Williams & Wilkins,Baltimore,MD,2000、および「Pharmaceutical dosage forms and drug delivery systems」、第6版、Anselら(Media,PA:Williams & Wilkins,1995)(これは、錠剤およびカプセル剤、ならびに錠剤、カプセル剤および顆粒剤の遅延放出および/またはパルス型放出の投薬形態の製造用の、担体、材料、装置および方法に関する情報を提供している)。
【0054】
好適な被覆材料の例としては、セルロースポリマー、例えば、酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート;酢酸フタル酸ポリビニル、アクリル酸ポリマーおよびコポリマー、およびメタクリル樹脂(商品名Eudragit(登録商標)(Roth Pharma,Westerstadt,Germany)の下で市販されている)、ゼイン、シェラックおよび多糖類が挙げられるがそれらに限定されない。使用され得る他のポリマーとしては、ポリヒドロキシ酸様ポリ(乳酸−グリコール酸)および他の承認された加水分解可能なポリマーまたは酵素分解可能なポリマーのような生物分解可能なポリマーが挙げられる。
【0055】
さらに、被覆材料は、従来の担体(例えば、可塑剤、顔料、着色剤、グリダント、安定剤、気孔形成剤(pore formers)および界面活性剤)も含有し得る。
【0056】
薬物を含有する錠剤、ビーズ、顆粒または粒子に存在する任意の薬学的に許容される賦形剤としては、希釈剤、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、着色剤、安定剤および界面活性剤が挙げられるがそれらに限定されない。「充填剤」とも称される希釈剤は、錠剤の圧縮またはビーズおよび顆粒の形成のために実用的な大きさを与えるために、固体投薬形態の嵩を増すのに一般に必要である。好適な希釈剤としては、例えば、ジカルシウムホスフェートジハイドレート、硫酸カルシウム、ラクトース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロース、微結晶性セルロース、カオリン、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、加水分解デンプン、事前ゼラチン化デンプン、二酸化珪素、酸化チタン、珪酸アルミニウムマグネシウムおよび粉糖が挙げられるがそれらに限定されない。
【0057】
結合剤は、固体投与処方物に粘着性を付与するのに使用され、それによって、投薬形態の形成後に、錠剤またはビーズまたは顆粒が損なわれずに維持されることを確実にする。好適な結合剤材料としては、デンプン、事前ゼラチン化デンプン、ゼラチン、糖類(スクロース、グルコース、デキストロース、ラクトースおよびソルビトールを包含する)、ポリエチレングリコール、蝋、天然ゴムおよび合成ゴム(例えば、アラビアゴム、トラガカントゴム)、アルギン酸ナトリウム、セルロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロースが挙げられる)、およびビーガム、ならびに合成ポリマー(例えば、アクリル酸とメタクリル酸とのコポリマー、メタクリル酸コポリマー、メチルメタクリレートコポリマー、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリアクリル酸/ポリメタクリル酸およびポリビニルピロリドン)が挙げられるがそれらに限定されない。
【0058】
潤滑剤は、錠剤製造を容易にするために使用される。好適な潤滑剤の例としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセロール、ポリエチレングリコール、タルクおよび鉱油が挙げられるがそれらに限定されない。
【0059】
崩壊剤は、投与後に、投薬形態の崩壊または「分解」を促進するために使用され、デンプン、ナトリウムデンプングリコレート、ナトリウムカルボキシメチルデンプン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、事前ゼラチン化デンプン、クレー、セルロース、アルギニン、ゴムまたは架橋ポリマー(例えば架橋PVP(GAF Chemical Corp.からのPolyplasdone XL))が一般に挙げられるがそれらに限定されない。
【0060】
安定剤は、薬物分解反応(例えば酸化反応が挙げられる)を、阻害するかまたは遅延させるために使用される。
【0061】
界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、両性、またはノニオン性の界面活性剤が使用され得る。好適なアニオン界面活性剤としては、カルボン酸、スルホン酸および硫酸イオンを含有する界面活性剤が挙げられるがそれらに限定されない。アニオン界面活性剤の例としては、長鎖アルキルスルホン酸およびアルキルアリールスルホン酸のナトリウム、カリウム、アンモニウム(例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム);ジアルキルナトリウムスルホスクシネート(例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム);ジアルキルナトリウムスルホスクシネート(例えばナトリウムビス−(2−エチルチオキシ)−スルホスクシネート);および硫酸アルキル(例えばラウリル硫酸ナトリウム)であるがそれらに限定されない。カチオン界面活性剤としては、第四アンモニウム化合物(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、臭化セトリモニウム、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ポリオキシエチレンおよびココナツアミン)が挙げられるがそれらに限定されない。ノニオン界面活性剤の例としては、エチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールミリステート、グリセリルモノステアレート、グリセリルステアレート、ポリグリセリル−4−オレエート、ソルビタンアクリレート、スクロースアクリレート、PEG−150ラウレート、PEG−400モノラウレート、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリソルベート、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、PEG−1000セチルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリプロピレングリコールブチルエーテル、Poloxamer(登録商標)401、ステアロイルモノイソプロパノールアミド、およびポリオキシエチレン水素添加タローアミドが挙げられる。両性界面活性剤の例としては、ナトリウムN−ドデシル−β−アラニン、ナトリウムN−ラウリル−β−イミノジプロピオネート、ミリストアンホアセテート、ラウリルベタインおよびラウリルスルホベタインが挙げられる。
【0062】
所望される場合、錠剤、ビーズ、顆粒または粒子はまた、少量の非毒性補助材料(例えば、湿潤または乳化剤、染料、pH緩衝剤および防腐剤)をも含有してもよい。
【0063】
各用量において放出される活性剤の量は、治療有効量である。ミルナシプランの場合、投薬形態における総量は約25〜500mgの範囲である。
【0064】
薬学的投薬形態は、ミルナシプランのパルス型送達を提供する。「パルス型」は、複数の薬物用量が時間間隔を空けて放出されることである。一般に、この投薬形態の経口摂取において、最初の用量の放出は、実質的に即時のものであり、つまり、この第一の薬物は、経口摂取の約1時間以内に生じる「パルス」を放出する。この最初のパルスに第一期間隔(遅延時間)が続き、この間に非常にわずかな薬物しかこの投薬形態から放出されないか、または全く放出されず、その後、次いで第二用量が、放出される。同様に、第二薬物の放出のパルスと第三薬物の放出のパルスとの間の、薬物をほぼ放出しない第二の間隔が設計され得る。この薬物をほぼ放出しない間隔の期間は、投薬形態の設計(例えば、1日2回の投薬プロフィール、1日3回の投薬プロフィールなど)に依存して変化する。1日2回の投薬プロフィールを提供する投薬形態については、この薬物をほぼ放出しない間隔は、第一用量と第二用量との間に、およそ3時間〜14時間の期間を有する。1日3回のプロフィールを提供する投薬形態については、この薬物をほぼ放出しない間隔は、各3回の用量の間でおよそ2時間〜8時間の持続期間を有する。
【0065】
一つの実施形態において、このパルス型放出プロフィールは、少なくとも二つの薬物含有「投薬単位」を収容するための閉じられたカプセルおよび好ましくは密封されたカプセルである投薬形態により達成され、このカプセル内の各投薬単位は、異なる薬物放出プロフィールを提供する。遅延放出投薬単位の制御は、この投薬単位を被膜する制御放出ポリマーまたは制御ポリマーマトリックスへの活性因子の組み込みにより達成される。各投薬単位は、圧縮された錠剤または成形された錠剤を含み得、このカプセル内の各錠剤は、異なる薬物放出プロフィールを提供する。1日2回の投薬プロフィールを模倣する投薬形態については、第一の錠剤は、この投薬形態の摂取の直後に実質的に薬物を放出するが、第二の錠剤は、この投薬形態の摂取後およそ3時間〜14時間未満で薬物を放出する。1日3回の投薬プロフィールを模倣する投薬形態については、第一の錠剤は、この投薬形態の摂取の直後実質的に薬物を放出し、第二の錠剤は、この投薬形態の摂取後およそ3時間〜10時間未満で薬物を放出し、そしてこの第三の錠剤は、この投薬形態の摂取後少なくとも5時間〜およそ18時間で薬物を放出する。この投薬形態が、三つ以上の錠剤を含み得る。この投薬形態は、一般に三種以上の錠剤は含まないが、三つ以上の錠剤を収容する投薬形態は利用され得る。
【0066】
あるいは、このカプセル内の各投薬単位は、複数の薬物含有ビーズ、顆粒、または粒子を含み得る。当該分野において公知であるように、薬物含有「ビーズ」は、薬物と一以上の賦形剤またはポリマーとを用いて生成されたビーズをいう。薬物含有ビーズは、薬物を不活性の支持体(例えば、薬物により被膜された不活性の糖ビーズ)に適用するか、または薬物および一以上の賦形剤の両者を含む「核」を生成することにより製造され得る。また公知であるように、薬物含有「顆粒」および「粒子」は、薬物粒子を含み、この薬物粒子は、一以上のさらなる賦形剤またはポリマーを含んでも含まなくても良い。薬物含有ビーズとは対照的に、顆粒および粒子は、不活性の支持体を含まない。一般に顆粒は、薬物粒子を含みかつさらなる加工を必要とする。一般に、粒子は、顆粒よりも小さくかつさらなる加工をされない。ビーズ、顆粒および粒子は、即時の放出を提供するために処方され得るが、ビーズおよび粒子は一般に、遅延式の放出を提供するために使用される。
【0067】
1日2回の投薬プロフィールを模倣する投薬形態について、第一群のビーズ、顆粒または粒子は、この投薬形態の摂取の直後実質的に薬物を放出し、一方第二群のビーズまたは顆粒は好ましくは、この投薬形態の摂取後およそ3時間〜14時間未満で薬物を放出する。1日3回の投薬プロフィールを模倣する投薬形態について、第一群のビーズ、顆粒または粒子は、この投薬形態の摂取直後実質的に薬物を放出し、第二群のビーズまたは顆粒は好ましくは、この投薬形態の摂取後およそ3時間〜10時間で薬物を放出し、そして第三群のビーズ、顆粒または粒子は、この投薬形態の摂取後少なくとも5時間〜およそ18時間で薬物を放出する。異なる薬物放出のプロフィール(例えば、即時の放出プロフィールおよび遅延放出プロフィール)の上記の錠剤、ビーズ、顆粒または粒子は、混合され、そしてカプセル、錠剤またはマトリックス内に含有され、望ましい放出プロフィールを有するパルス型投薬形態を提供し得る。
【0068】
別の実施形態において、この個々の投薬単位は、単一の錠剤内に圧縮され、そしてその複合的ではあるが別々のセグメント(例えば、層)をなすかまたは、単なる混合物として存在し得る。例えば、異なる薬物放出プロフィール(例えば、即時の放出プロフィールおよび遅延放出プロフィール)を有する薬物含有ビーズ、顆粒または粒子は、従来の錠剤形成方法を使用して単一の錠剤へ一緒に圧縮され得る。
【0069】
さらに代替的な実施形態において、投薬形態は、不活性の薬物含有核およびこの内側の核の周囲を取り巻く少なくとも一つの薬物含有層を含んで提供される。この投薬形態の外層は、最初の、薬物の即時放出投用量を含む。1日2回の投薬を模倣する投薬形態について、この投薬形態は、経口投与の実質的に直後に薬物を放出する外層および、この投薬単位の摂取の後、好ましくは、およそ3時間〜14時間未満でこの活性因子を放出するポリマーの被膜を有する内側の核を有する。1日3回の投薬を模倣する投薬形態について、この投薬形態は、経口投与の実質的に直後、薬物を放出する外層、経口投与の後、好ましくは少なくとも5時間〜18時間で薬物を放出する内側の核、および内側の核と外側との間に介在する層を有し、この投薬形態の摂取後好ましくはおよそ3時間〜10時間で薬物を放出する外層を有する。1日3回の投薬を模倣する投薬形態の内側の核は、圧縮された遅延放出のビーズまたは顆粒として処方され得る。
【0070】
あるいは、一日3回の投薬を模倣する投薬形態について、この投薬形態は、外層および薬物のない内層を有する。この外層は、経口投与の実質的直後に薬物を放出し、かつこの内層を完全に取り巻く。この内層は、第二用量および第三用量の両方を取り囲みかつ、好ましくは、経口投与の後、およそ3時間〜10時間、これら用量の放出を阻止する。一旦放出されると、この第二用量は、直ちに利用可能となるが、この第三用量は、第三用量の放出が、その後およそ2時間〜8時間でもたらされ、この投薬形態の摂取の後少なくとも5時間〜およそ18時間で第三用量の放出を効果的に生じるように遅延放出のビーズまたは顆粒として処方される。この第二用量および第三用量は、即時放出および遅延放出のビーズ、顆粒または粒子を混合し、そして、この混合物を圧縮して第二用量および第三用量を含有する核を形成し、続いてポリマー被膜して所望の一日3回の投薬プロフィールを達成することにより処方され得る。
【0071】
また別の実施形態においては、投薬形態は、被膜された核型送達系を含み、この外層は、この中の活性剤が、経口投与後直ちに放出されるような即時放出投用量単位、核を取り巻くその下の中間層および核から構成され、そしてこの核は、この第二用量が即時の放出のビーズまたは顆粒により提供されそして第三用量が遅延放出のビーズまたは顆粒により提供されるような、即時放出のビーズまたは顆粒および遅延放出のビーズまたは顆粒から構成される。当業者により評価されかつ、適切な教本および文献に記載されるように、多数の方法が、種々の薬物放出プロフィールを提供する、薬物を含有する錠剤、ビーズ、顆粒、または粒子を製造するために利用可能である。このような方法は、以下を包含し得るがこれらに限定されない:適切な被膜材料により薬物または薬物含有組成物を被膜する工程(ポリマー材料の組み込みは、代表的であるが必ずしも必要ではない);薬物粒子の大きさを増大させる工程;マトリックス内にこの薬物を配置する工程;および適切な錯化剤を用いてこの薬物の複合体を形成する工程。
【0072】
上の実施形態のいずれかにおける投薬単位の遅延放出は、例えば、薬物または薬物含有組成物を、選択した被膜材料を用いて被膜することにより製造され得る。この薬物含有組成物は、例えば、カプセルへの組み込みのための錠剤、「被膜された核」投薬形態において内側の核として使用するための錠剤、または錠剤またはカプセルのいずれかへの組み込みのための複数の薬物含有ビーズ、粒子もしくは顆粒であり得る。好ましい被膜材料は、生物侵食性ポリマー、徐々に加水分解可能なポリマー、徐々に水に溶解可能なポリマー、および/または酵素的に分解可能なポリマーより構成され、そして従来の「腸溶性の」ポリマーであり得る。当業者により理解されるような腸溶性ポリマーは、下部消化管の高pH環境において可溶性となるか、またはこの投薬形態が消化管を通過しながらゆっくりと侵食されるが、酵素的に分解可能なポリマーは、下部消化管(特に結腸)に存在する細菌性酵素により分解される。遅延放出をもたらす適切な被膜材料としては、セルロースポリマー(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート、メチルセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートフタラート、セルロースアセテートトリミリテートおよびカルボキシメチルセルロースナトリウム);アクリル酸ポリマーおよびコポリマー(好ましくはアクリル酸、メタクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレートおよび/またはエチルメタクリレートと、他のメタクリル樹脂(商品名Eudragit.RTM.(Rohm Pharma;Westerstadt,Germany)の下で市販される(Eudragit.RTM.L30D−55およびL100−55(pH 5.5および上で可溶)、Eudragit.RTM.L−100(pH 6.0および上で可溶)、Eudragit.RTM.S(pH 7.0および上で可溶、高度にエステル化を生じる)およびEudragits.RTM.NE、RLおよびRS(異なる程度の透過性および拡張性を有する水不溶性ポリマー)が挙げられる)から形成される);ビニルポリマーおよびコポリマー(ポリビニルピロリドン、ビニルアセテート、ビニルアセテートフタラート、ビニルアセテートクロトン酸コポリマー、およびエチレン−ビニルアセテートコポリマー);酵素的に分解可能なポリマー(アゾポリマー、ペクチン、キトサン、アミロースおよびグアールゴム;およびシェラックが挙げられるがこれらに限定されない。異なる被膜材料の組み合わせもまた使用され得る。異なるポリマーを使用する多層被膜もまた適用され得る。
【0073】
特定被覆材料に対する好ましい被覆重量は、種々の量の種々の被覆材料で調製したタブレット、ビーズおよび顆粒に対する各放出プロフィールを評価することによって、当業者によって容易に決定され得る。臨床試験だけから決定し得る所望の放出特性を生じるのは、材料、方法および適用形態の組合せである。
【0074】
被覆組成物は、従来の添加剤、例えば、可塑剤、顔料、着色剤、安定剤、グリダントなどを含有し得る。可塑剤は、被覆物の脆弱性を減少させるために通常存在し、ポリマーの乾燥重量に対して一般に約10重量%〜50重量%で存在する。代表的な可塑剤の例は、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリアセチン、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、トリエチルアセチルシトレート、ヒマシ油およびアセチル化モノグリセリドであるであるが、これらに限定されない。安定剤は、好ましくは、分散液中の粒子を安定化させるのに使用される。代表的な安定剤は、ノニオン乳化剤、例えば、ソルビタンエステル、ポリソルベートおよびポリビニルピロリドンである。グリダントは、皮膜形成および乾燥の間の粘着作用を減少させるのに推奨され、被覆溶液中のポリマー重量の約25重量%〜100重量%で一般に存在する。1つの有効なグリダントはタルクである。ステアリン酸マグネシウムおよびグリセロールモノステアレートのような他のグリダントも使用し得る。二酸化チタンのような顔料も使用し得る。少量の消泡剤、例えばシリコーン(例えばシメチコン)も被覆組成物に添加し得る。
【0075】
遅延放出投薬形態ユニットは、従来の技術(例えば、被覆パン(coating pan)、無気吹付法、流動床被覆装置(Wursrar挿入部を備えるかまたは備えない)など)を使用する遅延放出ポリマー被覆により被覆され得る。錠剤および遅延放出投薬を調製するための材料、装置およびプロセスに関する詳細な情報については、薬学的投薬形態に対して言及がなされ得る:Tablets、Liebermanら編(New York:Marcel Dekker、Inc.、1989)およびAnselら、Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems、6補遺版、編(Media、PA:Williams & Wilkins、1995)。
【0076】
あるいは、遅延放出錠剤は、薬物を、適切な材料(例えば、親水性ポリマーまたは脂肪化合物)のマトリックス内に分散させることによって処方され得る。親水性ポリマーは、ポリマーまたはセルロース、セルロースエステル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、およびビニルもしくは酵素的に分解され得るポリマーのコポリマー、または上記のコポリマーから構成され得る。これらの親水性ポリマーは、遅延放出マトリックスを提供するのに特に有用である。マトリックス材料として使用するための脂肪化合物としては、ワックス(例えば、カルナバワックス)およびトリステアリン酸グリセロールが挙げられるが、これらに限定されない。一旦有効成分がマトリックス材料と混合されると、その混合物は、錠剤中に圧縮され得る。
【0077】
この投薬形態の即時放出投薬単位、すなわち錠剤、複数の薬物含有ビーズ、顆粒もしくは粒子、または被覆された核の投薬形態の外層は、従来の薬学的賦形剤を含む治療的有効量の活性物質を含有する。即時放出投薬単位は、被覆されてもされなくてもよく、そして、遅延放出投薬単位または(顆粒、粒子、またはビーズを含有するカプセル化された即時放出薬物および顆粒またはビーズを含有する遅延放出薬物の混合物としての)複数の単位と混合されてもよく、またされなくてもよい。即時放出錠剤(例えば、カプセルに組み込まれたものとして)を調製するための好ましい方法は、薬物含有ブレンド(例えば、直接ブレンド、湿式粒状化プロセス(wet−granulation)または乾式粒状化プロセス(dry−granulation process)を使用して調製された顆粒のブレンド)を圧縮することによる。即時放出錠剤はまた、圧縮ではなく、好適な水溶性潤滑剤を含有する湿った物質で開始して成形され得る。しかし、本明細書中の好ましい錠剤は、成形ではなく圧縮を用いて製造される。長時間放出薬剤含有ブレンドを形成するための好ましい方法は、薬物粒子を、1つ以上の賦形剤、例えば、希釈剤(または充填剤)、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、グリダントおよび着色剤と直接的に混合する方法である。直接ブレンドする工程に代わる方法として、薬物含有ブレンドを、湿式粒状化プロセスまたは乾式粒状化プロセスによって調製し得る。有効成分を含有するビーズも、多くの従来技術のいずれか1つによって、代表的には、分散液から開始して調製し得る。例えば、薬物含有ビーズを調製するための代表的な方法は、有効成分を、従来の薬学的賦形剤(例えば、微結晶性セルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、タルク、金属ステアリン酸塩、二酸化珪素など)とブレンドする工程を包含する。この混合物を使用して、ビーズ核(例えば、約20〜60メッシュの大きさを有する糖球(すなわち、いわゆる「非−パレイル(non−pareil)」))を被覆する。
【0078】
薬物ビーズを調製するための代替手順は、薬物を1つ以上の薬学的に受容可能な賦形剤(例えば、微結晶性セルロース、ラクトース、セルロース、ポリビニルピロリドン、タルク、ステアリン酸マグネシウム、崩壊剤など)とブレンドし、ブレンドを押出し、押出物を球状化し、乾燥し、必要に応じて被覆して、即時放出ビーズを形成する工程による。
【0079】
任意の薬学的に受容可能な賦形剤は、薬物含有錠剤、ビーズ、顆粒または粒子中に存在し、それらとしては、希釈剤、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、顔料、安定剤、界面活性剤などが挙げられるが、これらに限定されない。希釈剤はまた、「充填剤」とも称され、代表的に、錠剤の圧縮またはビーズおよび顆粒の形成のための粒子サイズを提供するために固体投薬形態のバルクを増加させるために必要である。好適な希釈剤としては、例えば、ジカルシウムホスフェートジハイドレート、硫酸カルシウム、ラクトース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロース、微結晶性セルロース、カオリン、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、加水分解デンプン、事前ゼラチン化デンプン、二酸化珪素、酸化チタン、珪酸アルミニウムマグネシウムおよび粉糖が挙げられるがこれらに限定されない。結合剤は、固体投薬処方物に粘着性を付与するために使用され、それによって、投薬形態の形成後に、錠剤またはビーズまたは顆粒がインタクトなままであることを保証する。好適な結合剤物質としては、デンプン、事前ゼラチン化デンプン、ゼラチン、糖類(スクロース、グルコース、デキストロース、ラクトースおよびソルビトールを含む)、ポリエチレングリコール、蝋、天然および合成ゴム(例えば、アラビアゴム、トラガカントゴム)、アルギン酸ナトリウム、セルロースおよびビーガム、ならびに合成ポリマー(例えば、アクリル酸とメタクリル酸とのコポリマー、メタクリル酸コポリマー、メチルメタクリレートコポリマー、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリアクリル酸/ポリメタクリル酸およびポリビニルピロリドンが挙げられるがこれらに限定されない。潤滑剤は、錠剤製造を容易にするために使用される。好適な潤滑剤の例としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセロール、およびポリエチレングリコール、タルクおよび鉱油が挙げられるがこれらに限定されない。崩壊剤は、投与後に、投薬形態の崩壊または「分解」を容易にするために使用され、一般的に、デンプン、ナトリウムデンプングリコレート、ナトリウムカルボキシメチルデンプン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、事前ゼラチン化デンプン、クレー、セルロース、アルギニン、ゴムまたは架橋ポリマー、例えば架橋PVP(GAF Chemical Corp.からのPolyplasdone XL)である。安定剤は、例えば酸化反応による薬剤分解反応を、阻害するかまたは遅延させるために使用される。界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、両性、またはノニオン性界面活性剤であり得る。好適なアニオン界面活性剤としては、カルボン酸、スルホン酸および硫酸イオンを含有する界面活性剤が挙げられるがこれらに限定されない。アニオン界面活性剤の例は、長鎖アルキルスルホン酸およびアルキルアリールスルホン酸のナトリウム、カリウム、アンモニウム(例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム);ジアルキルナトリウムスルホスクシネート(例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム);ジアルキルスルホスクシネートナトリウム(例えば、ビス−(2−エチルチオキシル)スルホスクシネートナトリウム);および硫酸アルキル(例えばラウリル硫酸ナトリウム)が挙げられるがこれらに限定されない。カチオン界面活性剤としては、第四アンモニウム化合物、例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、臭化セトリモニウム、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ポリオキシエチレン(15)およびココナツアミンが挙げられるがこれらに限定されない。ノニオン界面活性剤の例は、エチレングリコールモノステアレート、プロピレングリコールミリステート、グリセリルモノステアレート、グリセリルステアレート、ポリグリセリル−4−オレエート、ソルビタンアクリレート、スクロースアクリレート、PEG−150ラウレート、PEG−400モノラウレート、ポリオキシエチレン(8)モノラウレート、ポリソルベート、ポリオキシエチレン(9)オクチルフェニルエーテル、PEG−1000セチルエーテル、ポリオキシエチレン(3)トリデシルエーテル、ポリプロピレングリコール(18)ブチルエーテル、Poloxamer401、ステアロイルモノイソプロパノールアミド、およびポリオキシエチレン(5)水素添加タローアミドであるが、これらに限定されない。両性界面活性剤の例は、ナトリウムN−ドデシル−β−アラニン、ナトリウムN−ラウリル−β−イミノジプロピオネート、ミリストアンホアセテート、ラウリルベタインおよびラウリルスルホベタインであるが、これらに限定されない。所望の場合、錠剤、ビーズまたは粒子は、少量の無毒性補助物質、例えば、湿潤剤または乳化剤、染料、pH緩衝剤および防腐剤なども含有し得る。
【0080】
各用量において放出される活性剤の量は、治療的有効量である。ミルナシプランの場合、投薬形態における総量は約25〜500mgの範囲内である。代表的に、活性薬剤の投薬形態における総量は、その投薬形態に含まれる各パルスの間で、均等に分配される。1日に2回のプロフィールを模倣する投薬形態については、即時放出形態中の活性薬剤は、一般的に、一投薬形態中の総活性薬剤の約30重量%〜70重量%、好ましくは、40重量%〜60重量%を示すのに対して、遅延放出形態中の活性薬剤は、同様に、一般的に、一投薬形態中の総活性薬剤の約70重量%〜30重量%、好ましくは、60重量%〜40重量%を示す。同様に、1日に3回の投薬プロフィールを模倣する投薬形態については、即時放出ユニット中の活性薬剤および二つの遅延放出ユニットのそれぞれは、一投薬形態中の総活性薬剤の約20重量%〜50重量%、好ましくは、25重量%〜40重量%を示す。
【0081】
本明細書で言及する全ての出版物は、その全体が参考として援用される。
【0082】
(パルス型放出処方物を含むキット)
より少ない用量で用量滴定を好都合に開始する(例えば、25mgで開始して、3日〜16週間で50mg、75mg、100mg、200mg、400mg、500mgに徐々に増加する)方法を提供するために、1日1回のパルス型放出投与形態をパッケージングしたキットを提供する。このキットにおいて、パッケージング材料は、箱、ビン、ブリスターパッケージ、トレーまたはカードであり得る。このキットは、特定の時機に特定用量を摂取するように患者に指示する(例えば、維持用量に達するまで、1日目に第一用量、2日目に、より多い第二用量、3日目に、より多い第三用量など)パッケージ挿入物を含む。
【0083】
(製造法)
当業者に理解され、関連する図書および文献に記載されているように、種々の薬物放出プロフィールを提供する薬物含有錠剤、ビーズ、顆粒または粒子を調製するために、多くの方法が利用可能である。このような方法としては、以下の方法が挙げられるがこれらに限定されない:薬物または薬物含有組成物を適切な被覆材料で被覆し、必ずしも必要ではないが代表的にポリマー物質を組み込み、薬物粒子サイズを増加させ、薬物をマトリックス内に入れ、そして、薬物と好適な錯生成剤との錯体を生成する。
【0084】
パルス型放出投与単位は、従来技術、例えば、従来の被覆パン、無気吹付法、流動床被覆装置(Wursterインサートを使用または不使用)などを使用して、遅延放出ポリマー被覆物で被覆し得る。錠剤および遅延放出投与形態を調製するための材料、装置およびプロセスに関する詳細な情報についは、Pharmaceutical Dosage Forms:Tables,Liebermanら編(New York:Marcel Dekker,Inc.,1989)、およびAnselら、Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems、第6補遺版、(Media,PA:Williams & Wilkins,1995)を参照のこと。
【0085】
(ミルナシプラン処方物の投与)
処方物は、それを必要とするいかなる患者にも投与され得る。好ましい患者はヒトであるが、イヌ、ネコおよびウマのような家畜を含む任意の哺乳動物も処置され得る。
【0086】
投与される有効成分の量は、症状を緩和するかまたは疾患を処置するような処置を必要とする患者に所望用量を提供する量に基づいて、選択される。
【0087】
ミルナシプランは、約400,000人の患者において抗うつ薬として使用されており、ヒトにおいて非毒性であることが知られている。薬物動態学研究は、経口用量のミルナシプランがすばやく吸収され、1〜2時間以内に体内に広範囲に分散されることを示した。最大血漿レベルにすぐに達し、ヒトにおける半減期は約8時間である。肝臓における代謝は、化学的に同定されている10の代謝産物の形成を生じるが、これらの代謝産物は、親薬物の濃度の約10%にすぎない。ヒトにおいて、親薬物の90%は、変化せずに腎臓を経て排泄される。この薬物動態プロフィールは、ミルナシプランに、いくつかの薬物動態利益、例えば、血漿レベルにおける低い個体間変化、低い薬剤相互作用可能性、および肝臓シトクロムP−450系への限定された影響を与える。これらの薬物動態特性は、ミルナシプランを他の大部分の抗うつ薬から区別し、ミルナシプランの優れた安全性プロフィールに寄与している(Puozzo Cら、1996,Int.Clin.Psychopharmacol.,11:15−27;Caccia S.,1998,Clin.Pharmacokinet.,34:281−302;Puozzo C.ら、1998,Eur.J.Drug Metab.Pharmacokinet.,23:280−286)。
【0088】
ミルナシプランは、以下の処置のために投与され得る:うつ病、線維筋痛症候群、慢性疲労症候群、痛み、注意欠陥/過活動性障害、および内臓痛症候群(VPS)、例えば過敏性腸症候群(IBS)、非心臓性胸痛(NCCP)、機能性消化不良、間質性膀胱炎、本能性外陰病変、尿道神経症、精巣痛、および情動障害[抑うつ障害(大うつ病性障害、気分変調、非定型うつ病)および不安障害(全身性不安障害、恐怖症、強迫性障害、恐慌性障害、心的外傷後ストレス障害)を包含する]、月経前不快気分障害、側頭下顎障害、非定型顔面痛、偏頭痛、および緊張性頭痛。
【0089】
ミルナシプランの経口投与に対する有害反応は、代表的に、以下の少なくとも1つを含む:吐き気、嘔吐、頭痛、消化不良、腹痛、不眠、震え、不安、パニック発作、動悸、尿貯留、起立性低血圧、発汗、胸痛、発疹、体重増加、背部痛、便秘、めまい、発汗増加、心的動揺、顔面潮紅、振せん、疲労、傾眠、排尿障害、神経質、乾燥口および被刺激性。
【0090】
嘔吐反射は、腸管の収縮および拡張の両方ならびに物理的損傷によって活性化される上部胃腸管における化学受容器および胃腸管壁における機械的受容器の刺激によって誘発される。中枢神経系における協調中枢は、催吐反応を制御している。その中枢は、脳の外側延髄領域における小細胞毛様体に存在する。嘔吐中枢への求心性神経は、腹部内臓神経および迷走神経、前庭−迷路受容器、大脳皮質および化学受容器引き金点(CTZ)から生じる。CTZは、最後野に近接して存在し、血液および脳脊髄液の両方をサンプリングする(sample)化学受容器を含有している。催吐中枢とCTZの間に直接結合が存在する。CTZは、内因性起源の催吐性刺激、および薬物のような外因性起源の刺激に暴露される。脳神経V、VIIおよびIXの遠心性枝ならびに迷走神経および交感神経幹は、筋肉収縮、心臓血管反応、および嘔吐の特徴である逆ぜん動の複合協調セット(set)を生じる。最後野は、ドパミン受容体ならびに5−ヒドロキシトリプタミン(5HT)受容体が豊富である。
【0091】
経口投与した場合、この処方物は、即時用量に続いて投薬形態の摂取数時間後の一つ以上のパルス型用量を提供する。ミルナシプランの薬学的組成物は、経口投与後約0.05〜約3時間以内(第一のTmax)に生じる3000ng/ml以下、好ましくは、2000ng/ml以下、そしてモットも好ましくは1000ng/ml以下の第一の最初のピーク血漿濃度(Cmax)によって特徴付けられるインビボの薬物血漿レベルを提供する。第二のインビボ血漿濃度ピークは、経口投与後約3時間〜約14時間以内に生じ(第二のTmax)、3000ng/ml以下、好ましくは、2000ng/ml以下、最も好ましくは、1000ng/ml以下のCmaxによって特徴付けられる。第三の随意的なインビボ血漿濃度ピークは、経口投与後約5時間〜約18時間以内に生じ(第三のTmax)、3000ng/ml以下、好ましくは、2000ng/ml以下、最も好ましくは1000ng/ml以下のCmaxによって特徴付けられる。
【0092】
腸溶性被覆が上記の処方物に添加される場合、経口投与語の処方物は、第一の「パルス」ミルナシプラン用量の約10%未満を放出して最初に胃を通過し、次いで、腸に入り、そこで第一の「パルス」の残りの部分を放出する。この放出プロフィールは、0.05〜4時間の遅延時間により特徴付けられ、その間に第一の「パルス」の約10%未満が放出され、その後、第一の「パルス」が完全に放出される。腸溶性コーティングは、胃の粘膜との直接的なミルナシプラン相互作用を最小化し、それによってさらに、一般的なミルナシプラン副作用の発生率を減少させ、その強度を低減させる。腸溶性被覆処方物は、非被覆処方物と類似したインビボ血漿Cmaxレベルを示すが、第一のパルスに対するTmaxは、0.05〜4時間増加する。第二および第三(必要に応じて)のパルスに対するTmaxは、処方物成分を所望の放出プロフィールを満たすように調整することにより非被覆処方物に対して同等に維持され得る。
【0093】
この投薬形態は、即時放出送達系と比較した場合、多数の利点(例えば、ピーク−底値の変動の最小化、好ましくない副作用の回避および/またはそれらの強度/重篤度の低減、投与の頻度の低下、および改善された患者の適応性)を提供する。
【0094】
この処方物は、それを必要とする患者に1日1回投与するように設計され、それによって、吐き気、嘔吐、頭痛、震え、不安、パニック発作、動悸、尿貯留、起立性低血圧、発汗、胸痛、発疹、体重増加、背部痛、便秘、めまい、発汗増加、心的動揺、顔面潮紅、振せん、疲労、傾眠、消化不良、排尿障害、神経質、乾燥口、腹痛、被刺激性および不眠のような一般的なミルナシプラン副作用の1つまたはそれ以上の発生の減少および強度の減少を伴って、ミルナシプランは、約24時間にわたって送達される。
【実施例】
【0095】
下記の非限定的実施例を参照して、本発明がさらに深く理解される。
【0096】
(実施例1:パルス型放出ミルナシプラン処方物の即時放出部分の製造)
パルス型放出ミルナシプラン薬学的組成物の即時放出部分についての、成分、製造法および錠剤パラメータ(ロット番号1)。
【0097】
【表2】

この処方物を、湿式粒状化工程のために水溶性媒体を用いて調製した。即時放出錠剤を製造するため、重量を測った塩酸ミルナシプラン、微結晶性セルロース、および事前ゼラチン化デンプンを混合した。精製水を、混合しながらゆっくりと加えた。湿った全体を、12番メッシュスクリーンに通した。得られた湿った顆粒を、トレイドライヤー上で50℃にて乾燥させ、次いで、30番メッシュスクリーンを通した。最後に、乾燥した顆粒をステアリン酸マグネシウムと混合することによって潤滑し、次いで、この混合物を、16ステーションシングル回転圧縮機上で圧縮した。
【0098】
【表3】

(実施例2:パルス型放出ミルナシプラン処方物の代替的即時放出部分の製造)
パルス型放出ミルナシプラン薬学的組成物の代替的即時放出部分についての、成分、製造法および錠剤パラメータ(ロット番号2)。
【0099】
【表4】

この処方物を、上述のように製造した。
【0100】
【表5】

(実施例3:パルス型放出ミルナシプラン処方物の腸溶性被膜部分の製造)
パルス型放出ミルナシプラン薬学的組成物の腸溶性被膜部分についての、成分、製造法およびインビトロ溶解データ。
【0101】
ロット番号1(即時放出錠剤)を、腸溶性被膜投薬形態の製造に使用した。製造過程は、水溶性腸溶性被膜懸濁物をGPCG−1(Glatt Air Techniques,Inc.)中に流動化した即時放出錠剤上に噴霧する工程からなる。ロット番号3について、20%の被膜重量の獲得を達成した。プロセスパラメータを、よい品質の被膜を達成するように調整した。水溶性腸溶性被膜懸濁物の成分を、以下に示す。
【0102】
【表6】

ロット番号3腸溶性被膜錠剤のインビトロ溶解データを、以下に示す。インビトロ薬物放出研究を、USP溶解装置II(paddles)を50rpmで用いて行った。実験を、溶解媒体(37.0±0.5℃)中で、最初の2時間は0.1N塩酸中で、続いて1.5時間をpH6.8のリン酸緩衝液中で行った(叙法性物質についてはUSP 26<724>方法Bを参照)。0.1N塩酸中での2時間後、そしてpH6.8緩衝液中で15分、30分、45分および90分後、サンプルアリコートを採取し、HPLC法を用いて分析した。
【0103】
【表7】

NS−1%未満しか検出されなかった
NA−適用不可能
(実施例4:パルス型放出ミルナシプラン処方物の遅延放出部分の製造)
パルス型放出ミルナシプラン薬学的組成物の即時放出部分についての、成分、製造法およびインビトロ溶解データ。
【0104】
ロット番号2(即時放出錠剤)を、遅延放出投薬形態の製造に使用した。製造過程は、水溶性被膜懸濁物をGPCG−1(Glatt Air Techniques,Inc.)中に流動化した即時放出錠剤上に噴霧する工程からなる。ロット番号4について、30%の被膜重量の獲得を達成した。プロセスパラメータを、よい品質の被膜を達成するように調整した。被膜プロセスの終了後、錠剤をGPCG−1中で40℃にて30分間さらに乾かし、次いで、オーブンドライヤー内で30℃にて60時間、「硬化」を行った。「硬化」時間を、乾燥温度を上げることによって短くし得る(例えば、50℃では6時間の乾燥のみが必要である)。水溶性腸溶性被膜懸濁物の成分を、以下に示す。
【0105】
【表8】

このサンプルを、最終投薬形態が経口で投与された場合(すなわち、胃において酸性pHで約2時間に次いで、腸において中性pHで数時間)(Multiparticulate Oral Drug Delivery,1994,Ghebre−Sellassie I.,編集,Marcel Dekker,Inc.;WildingI.R.,2001,Adv.DrugDeliv.Rev.,46:103−124)に曝されるインビボの条件を模倣する、インビトロ溶解試験に供した。インビトロ薬物放出研究を、USP溶解装置II(paddles)を50rpmで用いて行った。実験を、溶解媒体(37.0±0.5℃)中で、最初の2時間は0.1N塩酸中で、続いて0.5時間をpH6.0のリン酸緩衝液中で、4時間をpH6.5のリン酸緩衝液中で、そして最後に、4時間をpH7.2のリン酸緩衝液中で行った。サンプルを採取し、UV法を用いて分析した(別の実験において、UV法は、HPLC法と実質的に同じ結果を与えることが示された)。
【0106】
【表9】

(実施例5:パルス型放出ミルナシプラン処方物の製造)
ミルナシプランのパルス型送達のための最終形態を、実施例1または実施例2の即時放出部分と実施例4の遅延放出部分とを所望の割合で合わせることにより、製造した。異なった大きさのカプセルを、必要な日用量に依存して製造し得た。
【0107】
(実施例6:代替的パルス型放出ミルナシプラン処方物の製造)
ミルナシプランのパルス型送達のための最終形態を、実施例3の腸溶性被膜部分と実施例4の遅延放出部分とを所望の割合で合わせることにより、製造した。異なった大きさのカプセルを、必要な日用量に依存して製造し得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
必要とする患者に投与した場合に、1種以上の即時放出ミルナシプラン副作用の発生の減少および強度の減少を伴って、約24時間にわたって治療効果を発揮するミルナシプランのパルス型放出を与える、ミルナシプラン処方物。
【請求項2】
前記副作用が吐き気である、請求項1に記載のミルナシプラン処方物。
【請求項3】
前記副作用が、嘔吐、頭痛、震え、不安、パニック発作、動悸、尿貯留、起立性低血圧、発汗、胸痛、発疹、体重増加、背部痛、便秘、めまい、発汗増加、心的動揺、顔面潮紅、振せん、疲労、傾眠、消化不良、排尿障害、神経質、乾燥口、腹痛、被刺激性および不眠からなる群から選択される、請求項1に記載のミルナシプラン処方物。
【請求項4】
請求項1に記載のミルナシプラン処方物であって、以下:
(a)第一用量の活性薬剤を含有する即時放出投薬単位であって、該第一用量の活性薬剤が患者への経口投薬形態での投与の実質的に直後に放出されて、経口投与後約0.05時間〜3時間未満で第一の血漿レベルのピークに達する、即時放出投薬単位;
(b)第二用量の活性薬剤を含有する遅延放出投薬単位、および経口投薬形態での投与後約3時間〜14時間未満で第二の血漿レベルのピークに達する該第二用量の遅延型放出のための手段;ならびに、必要に応じて
(c)第三用量の活性薬剤を含有する第二の遅延放出投薬単位、および経口投薬形態での投与後約5時間〜18時間未満で第三の血漿レベルのピークに達する該第三用量の遅延型放出のための手段、
を含有する、ミルナシプラン処方物。
【請求項5】
請求項4に記載のミルナシプラン処方物であって、ここで、腸溶性被覆が該処方物に添加され、そして前記放出プロフィールが0.05時間〜4時間の遅延時間によってさらに特徴付けられ、該遅延時間の間、少なくとも約10%の第一「パルス」ミルナシプラン用量が放出され、続いて該第一「パルス」が完全に放出される、ミルナシプラン処方物。
【請求項6】
約3000ng/ml未満のCmaxを特徴とするミルナシプラン血漿レベルを与える、請求項1に記載のミルナシプラン処方物。
【請求項7】
約2000ng/ml未満のCmaxを特徴とするミルナシプラン血漿レベルを与える、請求項6に記載のミルナシプラン処方物。
【請求項8】
約1000ng/ml未満のCmaxを特徴とするミルナシプラン血漿レベルを与える、請求項6に記載のミルナシプラン処方物。
【請求項9】
鎮痛薬、抗炎症薬、解熱薬、抗うつ薬、抗痙攣薬、抗ヒスタミン薬、抗片頭痛薬、抗ムスカリン薬、抗不安薬、鎮静薬、催眠薬、抗精神病薬、気管支拡張薬、喘息治療薬、心臓血管薬、コルチコステロイド、ドパミン作用薬、電解質、胃腸薬、筋弛緩薬、栄養剤、ビタミン、副交感神経作用薬、興奮薬、食欲抑制薬および抗睡眠発作薬からなる群から選択される少なくとも1つの他の活性化合物をさらに含む、請求項1に記載のミルナシプラン処方物。
【請求項10】
以下:アセクロフェナク、アセトアミノフェン、アドメキセチン、アルモトリプタン、アルプラゾラム、アマンタジン、アムシノニド、アミノシクロプロパン、アミトリプチリン、アモロジピン、アモキサピン、アンフェタミン、アリピプラゾール、アスピリン、アトモキセチン、アザセトロン、アザタジン、ベクロメタゾン、ベナクチジン、ベノキサプロフェン、ベルモプロフェン、ベタメタゾン、ビシファジン、ブロモクリプチン、ブデソニド、ブプレノルフィン、ブプロピオン、ブスピロン、ブトルファノール、ブトリプチリン、カフェイン、カルバマゼピン、カルビドパ、カリソプロドール、セレコキシブ、クロルジアゼポキシド、クロルプロマジン、サリチル酸コリン、シタロプラム、クロミプラミン、クロナゼパム、クロニジン、クロニタゼン、クロラゼペート、クロチアゼパム、クロキサゾラム、クロザピン、コデイン、コルチコステロン、コルチゾン、シクロベンザプリン、シクロヘプタジン、デメキシプチリン、デシプラミン、デソモルフィン、デキサメタゾン、デキサナビノール、硫酸デキストロアンフェタミン、デキストロモルアミド、デキストロプロポキシフェン、デゾシン、ジアゼパム、ジベンゼピン、ジクロフェナクナトリウム、ジフルニサル、ジヒドロコデイン、ジヒドロエルゴタミン、ジヒドロモルフィン、ジメタクリン、ジバルプロックス、ジザトリプタン、ドラセトロン、ドネペジル、ドチエピン、ドキセピン、ダロキセチン、エルゴタミン、エスシタロプラム、エスタゾラム、エトスクシミド、エトドラク、フェモキセチン、フェナメート、フェノプロフェン、フェンタニル、フルジアゼパム、フルオキセチン、フルフェナジン、フルラゼパム、フルルビプロフェン、フルタゾラム、フルボキサミン、フロバトリプタン、ガバペンチン、ガランタミン、ジェピロン、イチョウ、グラニセトロン、ハロペリドール、フペルジンA、ヒドロコドン、ヒドロコルチゾン、ヒドロモルホン、ヒドロキシジン、イブプロフェン、イミプラミン、インジプロン、インドメタシン、インドプロフェン、イプリンドール、イプサピロン、ケタセリン、ケトプロフェン、ケトロラク、レソピトロン、レボドパ、リパーゼ、ロフェプラミン、ロラゼパム、ロクサピン、マプロチリン、マチンドール、メフェナム酸、メラトニン、メリトラセン、メマンチン、メペリジン、メプロバメート、メサラミン、メタプラミン、メタキサロン、メタドン、メタドン、メタンフェタミン、メトカルバモール、メチルドパ、メチルフェニデート、メチルサリチレート、メチセルジド、メトクロプラミド、ミアンセリン、ミフェプリストン、ミルナシプラン、ミナプリン、ミルタザピン、モクロベミド、モダフィニル、モリンドン、モルフィネ、塩酸モルフィネ、ナブメトン、ナドロール、ナプロキセン、ナラトリプタン、ネファゾドン、ニューロンチン、ノミフェンシン、ノルトリプチリン、オランザピン、オルサラジン、オンダンセトロン、オピプラモール、オルフェナドリン、オキサフロザン、オキサプラジン、オキサゼパム、オキシトリプタン、オキシコドン、オキシモルフォン、パンクレリパーゼ、パレコキシブ、パロキセチン、ペモリン、ペンタゾシン、ペプシン、ペルフェナジン、フェナセチン、フェンジメトラジン、フェンメトラジン、フェニルブタゾン、フェニトイン、ホスファチジルセリン、ピモジド、ピルリンドール、ピロキシカム、ピゾチフェン、ピゾチリン、プラミペキソール、プレドニゾロン、プレドニゾン、プレガバリン、プロパノロール、プロピゼピン、プロポキシフェン、プロトリプチリン、クアゼパム、キヌプラミン、レボキシチン、レセルピン、リスペリドン、リタンセリン、リバスチグミン、リザトリプタン、ロフェコキシブ、ロピニロ−ル、ロチゴチン、サルサレート、セルトラリン、シブトラミン、シルデナフィル、スルファサラジン、スリンダク、スマトリプタン、タクリン、テマゼパム、テトラベノジン、チアジド、チオリダジン、チオチキセン、チアプリド、チアシピロン、チザニジン、トフェナシン、トルメチン、トロキサトン、トピラメート、トラマドール、トラゾドン、トリアゾラム、トリフルオペラジン、トリメトベンズアミド、トリミプラミン、トロピセトロン、バルデコキシブ、パルプロ酸、ベンラファキシン、ビロキサジン、ビタミンE、ジメルジン、ジプラシドン、ゾルミトリプタン、ゾルピデム、ゾピクロン、ならびにそれらの異性体、塩および組合せからなる群から選択される化合物を含む、請求項9に記載のミルナシプラン処方物。
【請求項11】
前記ミルナシプランが、ミルナシプランの右旋性または左旋性鏡像異性体またはその薬学的に受容される塩の、治療相当用量の形態である、請求項1に記載のミルナシプラン処方物。
【請求項12】
前記ミルナシプランが、ミルナシプラン鏡像異性体またはその薬学的に受容される塩の混合物の、治療相当用量の形態である、請求項1に記載のミルナシプラン処方物。
【請求項13】
前記ミルナシプランが、ミルナシプランの活性代謝産物またはその薬学的に受容される塩の、治療相当用量の形態である、請求項1に記載のミルナシプラン処方物。
【請求項14】
前記ミルナシプランが、パラヒドロキシ−ミルナシプラン(F2782)またはその薬学的に受容される塩の治療相当用量の形態である、請求項1に記載のミルナシプラン処方物。
【請求項15】
腸溶性被覆を含む、請求項1に記載のミルナシプラン処方物。
【請求項16】
投与可能なミルナシプラン単位用量が25〜500mgである請求項1に記載のミルナシプラン処方物。
【請求項17】
投与可能なミルナシプラン単位用量が200〜500mgである請求項1に記載のミルナシプラン処方物。
【請求項18】
ミルナシプラン25〜500mgおよびモダフィニル100〜600mgを含有する、請求項9に記載のミルナシプラン処方物。
【請求項19】
異なる時間に薬物を放出するビーズまたは粒子の混合物を含有する、請求項1に記載のミルナシプラン処方物。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか一項に記載のミルナシプラン処方物を含む、キット。
【請求項21】
投薬量の段階的増加を可能にする種々の投薬単位を含む、請求項20に記載のキット。
【請求項22】
1日1回、就寝前に処方物を摂取することについての使用説明書を含む、請求項20に記載のキット。
【請求項23】
請求項1〜19のいずれか一項に記載の処方物を提供する工程を包含する、ミルナシプラン処方物を製造する方法。
【請求項24】
治療用量のミルナシプランを、開始用量として、それらを必要とする患者に送達するための方法であって、一般的ミルナシプラン副作用の発生の減少または強度の減少を伴い、該方法は、請求項1〜19のいずれか一項に記載のミルナシプラン処方物または請求項20〜22に記載のキットを、それらを必要とする患者に投与する工程を包含する、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミルナシプラン処方物であって、必要とする患者に投与した場合に、1種以上の即時放出ミルナシプラン副作用の発生の減少または強度の減少を伴って、約24時間にわたって治療効果を発揮するミルナシプランのパルス型放出を提供する、ミルナシプラン処方物。
【請求項2】
前記副作用が吐き気である、請求項1に記載のミルナシプラン処方物。
【請求項3】
前記副作用が、嘔吐、頭痛、震え、不安、パニック発作、動悸、尿貯留、起立性低血圧、発汗、胸痛、発疹、体重増加、背部痛、便秘、めまい、発汗増加、心的動揺、顔面潮紅、振せん、疲労、傾眠、消化不良、排尿障害、神経質、乾燥口、腹痛、被刺激性および不眠からなる群から選択される、請求項1に記載のミルナシプラン処方物。
【請求項4】
請求項1に記載のミルナシプラン処方物であって、以下:
(a)第一用量の活性薬剤を含有する即時放出投薬単位であって、該第一用量の活性薬剤が患者への経口投薬形態での投与の実質的に直後に放出されて、経口投与後約0.05時間〜3時間未満で第一の血漿レベルのピークに達する、即時放出投薬単位;
(b)第二用量の活性薬剤、および経口投薬形態での投与後約3時間〜14時間未満で第二の血漿レベルのピークに達する該第二用量の遅延型放出のための手段を含有する、遅延放出投薬単位;ならびに、必要に応じて
(c)第三用量の活性薬剤、および経口投薬形態での投与後約5時間〜18時間未満で第三の血漿レベルのピークに達する該第三用量の遅延型放出のための手段を含有する、第二の遅延放出投薬単位、
を含有する、ミルナシプラン処方物。
【請求項5】
請求項4に記載のミルナシプラン処方物であって、ここで、腸溶性被覆が該処方物に添加され、そして前記放出プロフィールが0.05時間〜4時間の遅延時間によってさらに特徴付けられ、該遅延時間の間、約10%未満の第一「パルス」ミルナシプラン用量が放出され、続いて該第一「パルス」が完全に放出される、ミルナシプラン処方物。
【請求項6】
約3000ng/ml未満のCmaxを特徴とするミルナシプラン血漿レベルを与える、請求項1に記載のミルナシプラン処方物。
【請求項7】
約2000ng/ml未満のCmaxを特徴とするミルナシプラン血漿レベルを与える、請求項6に記載のミルナシプラン処方物。
【請求項8】
約1000ng/ml未満のCmaxを特徴とするミルナシプラン血漿レベルを与える、請求項6に記載のミルナシプラン処方物。
【請求項9】
鎮痛薬、抗炎症薬、解熱薬、抗うつ薬、抗痙攣薬、抗ヒスタミン薬、抗片頭痛薬、抗ムスカリン薬、抗不安薬、鎮静薬、催眠薬、抗精神病薬、気管支拡張薬、喘息治療薬、心臓血管薬、コルチコステロイド、ドパミン作用薬、電解質、胃腸薬、筋弛緩薬、栄養剤、ビタミン、副交感神経作用薬、興奮薬、食欲抑制薬および抗睡眠発作薬からなる群から選択される少なくとも1つの他の活性化合物をさらに含む、請求項1に記載のミルナシプラン処方物。
【請求項10】
前記ミルナシプランが、ミルナシプランの右旋性または左旋性鏡像異性体またはその薬学的に受容される塩の、治療相当用量の形態である、請求項1に記載のミルナシプラン処方物。
【請求項11】
前記ミルナシプランが、ミルナシプラン鏡像異性体またはその薬学的に受容される塩の混合物の、治療相当用量の形態である、請求項1に記載のミルナシプラン処方物。
【請求項12】
前記ミルナシプランが、ミルナシプランの活性代謝産物またはその薬学的に受容される塩の、治療相当用量の形態である、請求項1に記載のミルナシプラン処方物。
【請求項13】
前記ミルナシプランが、パラヒドロキシ−ミルナシプラン(F2782)またはその薬学的に受容される塩の治療相当用量の形態である、請求項1に記載のミルナシプラン処方物。
【請求項14】
腸溶性被覆を含む、請求項1に記載のミルナシプラン処方物。
【請求項15】
投与可能なミルナシプラン単位用量が25〜500mgである請求項1に記載のミルナシプラン処方物。
【請求項16】
投与可能なミルナシプラン単位用量が200〜500mgである請求項1に記載のミルナシプラン処方物。
【請求項17】
ミルナシプラン25〜500mgおよびモダフィニル100〜600mgを含有する、請求項9に記載のミルナシプラン処方物。
【請求項18】
異なる時間に薬物を放出するビーズまたは粒子の混合物を含有する、請求項1に記載のミルナシプラン処方物。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれかに記載のミルナシプラン処方物を含む、キット。
【請求項20】
投薬量の段階的増加を可能にする種々の投薬単位を含む、請求項19に記載のキット。
【請求項21】
1日1回、就寝前に処方物を摂取することについての使用説明書を含む、請求項19に記載のキット。
【請求項22】
請求項1〜18のいずれかに記載の処方物を提供する工程を包含する、ミルナシプラン処方物を製造する方法。
【請求項23】
治療用量のミルナシプランを、開始用量として、それらを必要とする患者に送達するための方法であって、一般的ミルナシプラン副作用の発生の減少または強度の減少を伴い、該方法は、請求項1〜18のいずれかに記載のミルナシプラン処方物または請求項19〜21に記載のキットを、それらを必要とする患者に投与する工程を包含する、方法。
【請求項24】
少なくとも2つの薬物を含有する投薬単位を含み、各投薬単位が、異なる薬物放出プロフィールを提供する、請求項4に記載のミルナシプラン処方物。
【請求項25】
各投薬単位が、2以上の圧縮錠、または複数のビーズ、顆粒もしくは粒子を含む、請求項24に記載のミルナシプラン処方物。
【請求項26】
圧縮錠もしくはカプセルの形態である請求項4に記載のミルナシプラン処方物であって、前記即時放出投薬形態が、複数のビーズ、顆粒もしくは粒子であり;前記遅延放出投薬単位が、複数の被覆されたビーズ、顆粒もしくは粒子を含有し;そして必要に応じて、第二の遅延放出投薬単位が、複数の被覆されたビーズ、顆粒もしくは粒子を含有する、ミルナシプラン処方物。
【請求項27】
1日に2回投与される薬物の濃度を模倣する投薬形態である請求項4に記載のミルナシプラン処方物であって、前記即時放出投薬単位が外層を含み、そして前記遅延放出投薬単位が、生物侵食性ポリマー材料で被覆される内側の核を含み、該外層が該内側の核を完全に包む、ミルナシプラン処方物。
【請求項28】
1日に3回投与される薬物の濃度を模倣する投薬形態である請求項4に記載のミルナシプラン処方物であって、前記即時放出投薬単位が外層を含み、そして前記第1の遅延放出投薬単位が内層を含み、そして前記第2の遅延放出投薬単位が、遅延放出ビーズを含む内側の核を含み、該内層が、該外層と該内側の核との間に存在する、ミルナシプラン処方物。

【公表番号】特表2006−506461(P2006−506461A)
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−501896(P2005−501896)
【出願日】平成15年10月22日(2003.10.22)
【国際出願番号】PCT/US2003/033685
【国際公開番号】WO2004/039361
【国際公開日】平成16年5月13日(2004.5.13)
【出願人】(505080909)コルジウム ファーマシューティカル, インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】