説明

メゾスコピック太陽電池の製造方法

基板の表面の少なくとも一部を電極膜又は他の機能層で被覆する工程、および静水圧力を被覆された基板の表面に適用し、それにより電極膜または機能層を基板上に成形する工程を含む、色素増感太陽電池または他のメゾスコピック太陽電池の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的に色素増感太陽電池(DSSC)および量子ドット増感太陽電池のような、メゾスコピック太陽電池の製造方法に関するものである。本発明は、高分子基板を有するフレキシブルなDSSCの製造に関して具体的に説明される。しかし、本発明はこの用途に限定されるものではなく、高分子と同様に金属、セラミックおよびガラスを含む他の材質の基板を有するメゾスコピック太陽電池の製造における使用にも、適用可能であることが認められる。
【背景技術】
【0002】
色素増感太陽電池(DSSCs)または他のメゾスコピック太陽電池(例えば量子ドット増感太陽電池)は、より従来的なシリコン系の光起電装置の低コスト代替品を提供するものである。DSSC装置は、数ナノメートルから数十マイクロメートルの厚さの、種々の機能に用いられる多層の薄膜を含む。従来のDSSC装置に関して、通常ナノTiO粒子で製造される作用電極のような薄膜は、導電ガラス基板の表面に被覆され、次いで約500℃に加熱されて機械的に強固、かつ、導電性のメソ多孔性膜を形成する。フレキシブルなDSSCを製造するために高分子基板を用いる場合、約250℃でほとんどの高分子材料が不安定になるため、低温処理技術が用いられなければいけない。フレキシブルなDSSCの利点は、比較的重量が軽く、かつ、複雑な曲面を有する表面を含む様々な異なる基板の上に担持されることができることである。高分子基板上にメソ多孔性膜を成形するために、圧延および一軸プレス成形のような機械的圧縮技術が開発されてきた。圧延プレス成形の場合、電極膜を形成するための材料で被覆された高分子基板が対向するローラーの間の圧力下で圧延され、一方で、一軸プレス成形では被覆された基板は対向する剛性金型の間で圧縮される。しかし、これらの方法は、膜が薄い場合、特に膜の寸法が大きいときに、基板上での良好な膜均一性の達成に困難を有する。これは、膜がわずかに数百ナノメートルの厚さしかない可能性があるため、ローラーと金型の表面は、達成するのが困難なほど非常に高い公差を有するように製造されなければならないからである。ローラーまたは金型表面上のいかなる不整合または小さな表面欠陥によっても、使用不可能となるか、または不整合および不完全なフィルムの圧縮をもたらすであろう。さらにこれらの方法では、曲面であったりまたは複雑な形状を有する高分子基板上に、太陽電池を製造することはできない。
【0003】
作用電極膜は、感光性媒体で増感される必要がある。DSSCの場合、この媒体は感光染料である(増感量子ドットが量子ドット増感太陽電池において利用される)。
【0004】
DSSCの電極膜は、一般的に、染料分子が電極膜じゅうに分散されるようにするために、電極膜を感光染料溶液中に長い期間にわたって浸すことで増感される。この浸漬プロセスは、典型的に、約10〜12時間掛かることがある。この浸漬プロセスを除いてDSSCを製造する時間を減らし、そのようなDSSCの連続製造プロセスを容易にすることができることは有利であろう。
【0005】
DSSC装置に関する他のより一般的な課題は、感光染料が限られた光吸収域のみしか有し得ない点である。このことにより、色素増感電極膜から放出され得る電子の度合いが限定され、それによりDSSCの全般的な光電子変換効率も限定される。異なる光吸収波長を有する多数の増感剤がDSSC装置の中に導入されることが望ましいであろうが、現在の製造プロセスを用いては不可能である。
【発明の概要】
【0006】
したがって、既知の製造方法に関する問題の一つ以上を回避する、メゾスコピック太陽電池の製造方法を有することができることは有利であろう。
【0007】
このことを考慮して、本発明の一態様によれば、色素増感太陽電池または他のメゾスコピック太陽電池の製造方法であって、
a)基板の表面の少なくとも一部を電極膜または他の機能層で被覆する工程、および
b)前記被覆された基板に静水圧力を印加し、それによって前記電極膜または前記機能層を前記基板上に成形する工程
を含む、製造方法が提供される。
【0008】
機能層が色素増感電極膜である色素増感太陽電池、または機能層が量子ドット増感電極膜である量子ドット増感太陽電池を含む、様々な種類のメゾスコピック太陽電池が本発明によって製造されてもよい。
【0009】
機能層は、メゾスコピック太陽電池の対電極または他の伝導層を含んでいてもよい。
【0010】
電極膜または機能層は、TiO、炭素またはカーボンナノチューブのような材料から製造された、粒子、棒、管または板の層の形態であってよい。あるいは、電極膜または機能層は、前もって増感/染色された表面改質TiOの粒子、棒、管または板から製造されてよい。DSSC層用の前もって染色された電極膜を有する利点は、色素増感電極膜を染色するために一般的に用いられる浸漬プロセスが不要な点である。
【0011】
本発明の他の好ましい特徴によれば、それぞれの電極層が異なる色素に増感される、2つ以上の電極層が基板に担持されていてよい。この構成の利点は、単一染料のみによって増感される従来のDSSCよりも、DSSCの光吸収域が広くなり得る点である。
【0012】
従って、本発明の好ましい態様による製造方法は、第一の前記電極膜を第一の前記基板上に形成する工程、第二の前記電極膜を第二の前記基板上に形成する工程、前記第一の電極膜および前記第二の電極膜を向かい合わせで接触させる工程、前記第一の電極膜および前記第二の電極膜を静水圧力に付し、それにより前記第二の電極膜を前記第一の電極膜へ成形する工程、および前記第二の基板を前記第二の電極膜から分離する工程を含む。
【0013】
あるいは、本発明による製造方法は、第一の前記電極膜を前記基板上に形成する工程、第二の前記電極膜を粉末状で前記第一の電極膜の表面に適用する工程、および前記第一の電極膜および前記第二の電極膜上に静水圧力を印加して前記電極膜を前記第一の電極膜上に成形する工程をさらに含んでいてもよい。
【0014】
好ましくは、前記第一の電極膜が第一の増感剤で増感され、一方で前記第二の電極膜が第二の増感剤で増感される。
【0015】
前記基板は、フレキシブルな高分子材料から形成されてよい。また、前記基板は、金属、セラミックまたはガラスから形成されてもよいと考えられている。
【0016】
フレキシブルなバッグは真空バッグでよく、被覆された基板は空気を排出することによって真空バッグ内で真空密封されてよい。
【0017】
静水圧力は、全方向で均一な圧力であり、自由型(ウェットバッグ)、粗型(ダンプバッグ(damp bag))または固定型(ドライバッグ)プレス成形のいずれかで、圧力室内で被覆された基板に印加されてもよい。三種類の静水圧圧縮設備が使用できる。自由型(ウェットバッグ)設備において、被覆された基板は密封されたフレキシブルな型またはバッグの中に入れられ、次いで圧力室の中に入れられる。自由型設備において、型またはバッグは圧力室の外で取り除かれ、充填される。粗型(ダンプバッグ)設備において、型またはバッグは代わりに圧力室内に入れられるが、圧力室の外から充填される。固定型(ドライバッグ)設備において、型またはバッグは圧力室の中で収容されて充填され、これによりプロセスの自動化が容易となる。
【0018】
水または油のような液体は、ウェットバッグプレス成形において、圧力室内で圧力媒体として用いられてよい。あるいは、ドライバッグプレス成形において、圧力媒体として、圧力容器に取り付けられたエラストマー型が用いられてもよい。圧力媒体は空気のような気体状態であってもよい。好ましくは、5MPa〜2000MPaの範囲の圧力が印加されてよい。
【0019】
本発明による方法を用いる被覆された基板に対しては、少しも熱を加える必要はない。したがって、被覆された基板は、圧力室内で冷間静水圧力(CIP)に付されてよい。しかし、被覆された基板はある程度の熱に曝されてよいとも考えられている。例えば、圧力室内の圧力媒体を加熱し、それにより静水圧加圧の間に被覆された基板に熱を加えてもよい。最高加熱温度は、基板材料の熱的安定温度によって制限されるであろう。
【0020】
本発明による方法は、多孔質および高密度の両方の電極膜および機能層を製造するのに使用されてよい。電極膜または機能層は、様々な異なるパターンで基材の表面上に印刷されるかあるいは反対に堆積されてもよい。例えば、電極膜は一連の別々のストリップとして、基板表面にわたって堆積されてよい。あるいは、電極膜は、基板表面全体にわたって堆積されてよい。この膜は、オフセット印刷およびインクジェット印刷、ディップコーティング、スプレーコーティング、リール・トゥ・リール(reel to reel)印刷、スクリーン印刷またはドクターブレード法などを含む既知の印刷プロセスを用いて基板に適用されてよい。大抵のDSSCの場合のように、電極膜は、導電性メソ多孔性膜を形成し、その後色素増感されることができるナノTiO粒子の層から形成されてよい。電極膜は、増感剤または染料分子で前もって被覆されたナノTiO粒子から形成されてもよい。高密度遮断層も、冷間または温間静水圧プレスで製造されてよい。本発明による方法は、DSSCまたは他のメゾスコピック太陽電池用の電極膜を金属またはガラス基板上で固めるために用いられることができる。
【0021】
圧力室内での静水圧力の印加は、望ましい気孔率、高い強度および均一性を有する電極膜が実現できることを保証する。静水圧力は、電極膜が基板の表面に適切に接着することも保証する。
【0022】
本発明の他の側面によれば、上述の方法によって製造された色素増感太陽電池が提供される。本発明による方法は、製造されるべき曲線形状または複雑な形状で、大きな表面積を有するDSSCを用いるソーラーパネルの製造を可能にする。
【0023】
本発明は、フレキシブルなDSSCまたはメゾスコピック太陽電池を製造するのに現在使用されている、圧延および一軸プレス技術に対して数多くの利点を提供する。高い均一性を有する薄膜は、本発明の方法によって製造されることができ、これにより太陽電池効率および耐久性を向上することができる。本発明による方法は、ナノメートルからミリメートルの厚さの大型の薄膜を加工するのにもより適している。本発明による方法は、平坦でないソーラーパネルの高分子、金属またはガラス基板上での製造も容易にする。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明の好ましい態様を説明する添付図面を参照しつつ、本発明をさらに説明すると便利であろう。他の態様も可能であるため、添付図面の特徴は本発明に関する前述の説明の一般性に取って代わるものと理解されるべきではない。
【図1】本発明による圧力室内での冷間静水圧プレスを示す模式図である。
【図2】種々のTiO電極に関して得られた光電子変換効率を示す表である。
【図3】本発明による2つの異なる感光染料の入射光子電流変換効率(IPCE)、およびそれらを組み合わせたIPCEスペクトルを示すグラフである。
【図4】本発明によるDSSCを製造するのに必要な様々な工程を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(本発明の詳細な説明)
最初に図1を参照すると、圧力室1が示されており、その内部に支持されているのはフレキシブルバッグ5の中で密封された基板3である。フレキシブルDSSCの製造の場合、基板3は高分子材料(典型的にはITO−PEN膜)から作製され、TiO膜7で被覆される。被覆された基板3はフレキシブルバッグ5の中で真空密封され、次いで圧力室1内で冷間静水圧プレス(CIP)8に付される。これは液状媒体9、典型的には水または油、を圧力媒体として圧力室1の中で用いることによって達成される。約数十から数百MPaの高圧が、被覆された基板3を包含するバッグ5の周囲全方向に、液状媒体9を介して印加され、TiO膜7の基板3上への圧縮をもたらす。CIPの使用は、高い強度および均一性が容易に達成される電極膜をもたらす。同様に、曲面または複雑な形状を有するソーラーパネルも製造できるようになる。
【0026】
図2は、種々のTiO電極の光電子変換効率を比較する実験結果を示す表である。市販のペッセルペースト(Peccell paste)を除き、全ての装置においてデグッサ(Degussa)P−25のTiO粉末を用いた。本発明による方法の実現可能性を確かめるために実験を行なった
【0027】
実験を行なう上で、市販製品のデグッサP−25のTiO粉末を遊星ボールミルで5時間粉砕した。次いで、そのスラリーをITO−PENプラスチック基板上にドクターブレード法によって塗り、そして圧力室内で冷間静水圧プレス(CIP)に付した。CIP処理されたTiO電極とCIP処理されていないTiO電極の両方を用いて、太陽電池を組立てた。他の太陽電池装置を、日本のPeccell Technologies, Incから市販されている低温TiOスラリーを用いて、同じ高分子基板上に作成した。これら全てのフレキシブルDSSCの光起電力特性を比較のために試験した。6.27%の最大電力変換が、ドクターブレード法で調製したP−25スラリーをその後CIP処理することによって調製した約15ミクロンの膜厚を有する装置に関して得られた。
【0028】
一旦電極膜が支持基板の上に成形されると、その電極膜は色素増感される必要がある。このことから、染料分子が電極膜層の中に吸着されて電極膜層じゅうに分散するように、電極膜を感光染料の溶液に浸漬する製造工程が現在含まれている。この浸漬プロセスで電極膜層の中への染料の十分な吸着を達成するためには、典型的には約10〜12時間掛かり得る。
【0029】
電極膜を形成するのに使用される材料が感光染料と前もって混合されている場合、この浸漬プロセスは回避することができる。従って、基板表面を被覆する電極膜は既に色素増感されていることになり、その結果、上述のような更なる浸漬プロセスを経る必要は無くなる。
【0030】
電極出発物質は、TiOのような乾燥粉末形態であってよく、または溶液中でコロイド状であってもよい。次いで、この出発物質は増感剤と混合されて、基板表面上に被覆または印刷されることができる液体またはペーストを形成することができる。増感剤は感光染料分子であってよい。しかし、量子ドットのような他の増感剤も電極膜を増感するために用いられ得るであろう。
【0031】
上記の結果として、DSSCまたは他のメゾスコピック太陽電池を製造するための製造時間は著しく減少され得るであろう。さらに、基板表面上に電極膜(または機能層)を印刷するために印刷方法が用いられる場合は特に、製造プロセスがより容易に連続プロセスに適用され得るであろう。
【0032】
従来のDSSC装置の製造において、基板表面を被覆する材料は、最終電極膜を形成するために約500℃に加熱される必要がある。200℃を超える温度にさらされると染料が不安定になり、その結果不活性となるため、この被覆材料を前もって染めることは従って不可能である。この高温での加熱を経た後は、従って、電極膜はその色素感受性を失うであろう。CIPプロセスにおいて、電極膜および膜内に吸収された感光染料は高温にさらされず、その結果、染料はその感光性を保つであろう。
【0033】
所要の色素増感を提供するために、多数の種々の感光染料がDSSCの製造に使用可能である。これらの染料のそれぞれが、異なる光吸収域を有する。可視領域内の光をより吸収する染料もあれば、一方で、赤外領域の光をより吸収する染料もある。これらの染料のうちのいずれか一つの光吸収域は、しかしながら、比較的制限されており、従来のDSSC装置の光電子変換効率を制限する実際的な影響を有する。図3は、2つの異なる感光染料(それぞれSQ2とN719)のIPCEスペクトルを示すグラフである。
【0034】
それぞれの染料が異なる光吸収域を有する種々の感光染料の混合物を、DSSCの電極膜の中で用いることによって、光吸収域を広げるための試みがなされてきた。しかし、一方の種類の染料分子から放出された電子が、もう一方の種類の染料分子に向かって移動する傾向がある、という異なる染料分子間の相互作用があることが分かった。この2種類の染料分子の間の「抑制効果(quenching effect)」は、伝導電極への電子輸送を制限する働きをする。したがって、電極膜中に異なる染料の混合物を有することによっては、少しの利益しか得られない。
【0035】
更なる実験によって、この抑制効果が、基板に担持された2つ以上の電極膜層を、それぞれの電極膜層が異なる感光染料を担持した状態で有することによって、回避または最小化し得ることが分かった。図3は、一方の染料を担持する第一の電極膜、および第一の電極膜の上に重なるもう一方の染料を担持する第二の電極膜を有するDSSC、によって得られる、組み合わされたIPCEスペクトル(N719+SQ2)も示す。組み合わされた領域は、可視(N719から)から近赤外(SQ2から)に広がる。
【0036】
異なる染料が別々の電極膜に設置されているため、異なる種類の染料間のいかなる抑制効果も最小化または回避される。したがって、このDSSCの光吸収領域は広げられて、より広い領域を含むことができ、近赤外から赤外領域さらには可視領域に至るまで広がるのが好ましい。
【0037】
CIP法は、それぞれが異なる染料を担持する、重なった複数の電極膜層を有するDSSCの製造を容易にする。図4(a)〜図4(c)には、これがどのように達成されるか示されている。
【0038】
図4(a)には、電極材料のゆるく固められた粒子または増感された粒子11が、CIPを用いてどのように第一の基板13上に成形されて電極膜15を形成することができるのかが模式的に示されている。この方法は図1に関して前述された。図4(b)には、電極膜15を第二の基板17に移動することが可能であることが示されている。電極膜15が第二の基板17上に置かれ、CIPが、第一および第二の基板13と17ならびに電極膜15の両方に適用された。これにより電極膜15が第二の基板17上へ移動する結果となり、電極膜15は第一の基板13から分離する。
【0039】
図4(c)には、第一の増感剤で増感され、第一の基板13上に担持された第一の電極膜19が示されている。第二の増感剤で増感された第二の電極膜21は、第二の基板17上に担持された状態で示されている。第一および第二の電極膜は、それぞれの基板上に被覆された後で増感されてよく、または、前述の通り、増感された粒子から形成されてもよい。
【0040】
第一および第二の基板13と17は、次いで、向き合って直接接触する状態のそれらの電極膜19と21の両側に配置される。最後に、組立てられた第一および第二の基板は、共にCIPに付される。これにより、第一の電極膜19が第二の電極膜21の上に成形される結果となる。第二の基板13は、次いで、第一の電極膜13から分離されることができる。更なる電極膜又は他の機能層が加えられる必要がある場合、この工程は繰り返されてもよい。
【0041】
あるいは、第一の増感剤で増感された第一の電極膜層が、上述の通り、第一の基板表面上に最初に形成されてもよい。第二の増感剤で増感された電極材料のゆるく固められた増感された粒子が、次いで、第一の電極上に広げられてもよい。そして、静水圧が印加されて、第一の電極膜上にゆるく固められた材料を成形することにより、第二の電極膜を形成してもよい。更なる電極膜または他の機能層が求められる場合、このプロセスは繰り返されることができる。
【0042】
本発明によって製造されて得られたDSSCは、現在入手可能なDSSCより高い光電子変換効率を有するDSSCを潜在的にもたらすことができる、広範な光吸収領域を有する。
【0043】
当業者にとって明らかであるとみなされるであろう修正および変化は、添付の請求項に規定された本発明の範囲に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
色素増感太陽電池または他のメゾスコピック太陽電池の製造方法であって、
a)基板の表面の少なくとも一部を電極膜または他の機能層で被覆する工程、および
b)前記被覆された基板に静水圧力を印加し、それによって前記電極膜または前記機能層を前記基板上に成形する工程
を含む、製造方法。
【請求項2】
前記電極膜を形成する材料がTiOを含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記電極膜を形成する材料が炭素を含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記機能層が、対電極または伝導層を含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記電極膜の材料が増感剤と前もって混合される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記電極膜の材料が感光染料と前もって混合される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項7】
第一の前記電極膜を第一の前記基板上に形成する工程、第二の前記電極膜を第二の前記基板上に形成する工程、前記第一の電極膜および前記第二の電極膜を向かい合わせで接触させる工程、前記第一の電極膜および前記第二の電極膜を静水圧力に付し、それにより前記第二の電極膜を前記第一の電極膜へ成形する工程、および前記第二の基板を前記第二の電極膜から分離する工程を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項8】
第一の前記電極膜を前記基板上に形成する工程、第二の前記電極膜を粉末状で前記第一の電極膜の表面に適用する工程、および前記第一の電極膜および前記第二の電極膜上に静水圧力を印加して前記第二の電極膜を前記第一の電極膜上に成形する工程を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項9】
前記第一の電極膜が第一の増感剤で増感され、一方で前記第二の電極膜が第二の増感剤で増感される、請求項7または8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記基板がフレキシブルであり、高分子材料から形成される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項11】
前記基板が剛性であり、金属、セラミックまたはガラス材料から形成される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項12】
前記被覆された基板をフレキシブルな型またはバッグの中に密封し、前記静水圧力を圧力室内の前記被覆された基板に印加することによって、前記静水圧力が前記被覆された基板に印加される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項13】
前記圧力室内の圧力媒体として、液体または気体が用いられる、請求項10に記載の製造方法。
【請求項14】
前記静水圧力が、自由型、粗型、または固定型プロセスのいずれかで印加される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項15】
前記圧力媒体が加熱される、請求項11に記載の製造方法。
【請求項16】
前記電極膜または前記他の機能層が印刷プロセスを用いて適用される、請求項1〜15のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか一項に記載の製造方法で製造したメゾスコピック太陽電池。

【図1】
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【図2】
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【図4(a)】
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【図4(b)】
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【図4(c)】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−504842(P2013−504842A)
【公表日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528195(P2012−528195)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【国際出願番号】PCT/AU2010/001169
【国際公開番号】WO2011/029145
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(508109922)モナシュ、ユニバーシティ (6)
【氏名又は名称原語表記】MONASH UNIVERSITY
【出願人】(509060039)ザ ユニヴァーシティー オブ メルボルン (6)
【出願人】(508316106)コモンウェルス、サイエンティフィク、エンド、インダストリアル、リサーチ、オーガナイゼーション (2)
【氏名又は名称原語表記】COMMONWEALTH SCIENTIFIC & INDUSTRIAL RESEARCH ORGANIZATION
【出願人】(512061685)セキュアンシー、インターナショナル、プロプライエタリー、リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】SECURENCY INTERNATIONAL PTY LTD
【Fターム(参考)】