説明

メタノールおよびアンモニアの同時製造のためのプロセス

本発明は、メタノールおよびアンモニアの同時製造のためのプロセスであって、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)および水素(H2)から実質的になる合成ガス混合物を、最初に、メタノール貫流式反応装置内である程度反応させ、未反応の合成ガスを第1と第2の流れに分割し、第1の流れを精製しアンモニア合成区画に供給し、第2の流れをメタノール合成・精製区画に供給する各工程を有してなるプロセスに関する。このプロセスにより、現行の実際的生産能力の限界を超えずに、単位操作を適用して、統合単一プロセスにおいて非常に高い容量でメタノールとアンモニアを製造することができる。例えば、このプロセスにより、天然ガスと空気から出発して、8000mtpdのメタノールおよび2000mtpdのアンモニアを製造することができる。このプロセスはさらに、アンモニアと二酸化炭素のバランスのとれた製造を示し、それゆえ、尿素の同時製造も統合することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成ガスからメタノールおよびアンモニアを同時製造するための統合プロセスに関し、より詳しくは、炭化水素供給原料および空気からメタノールおよびアンモニアを同時製造するためのプロセスに関する。本発明はさらに、メタノールおよび尿素を同時製造するための統合プロセスに関し、より詳しくは、炭化水素供給原料および空気からメタノールおよび尿素を同時製造するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
そのようなプロセスが特許文献1から公知である。この文献には、天然ガスおよび空気からメタノールおよびアンモニアを同時に製造するためのプロセスであって、
i. 空気を空気分離区画に供給して、酸素(O2)流および窒素(N2)流を製造し、
ii. 複合改質区画において、脱硫天然ガスをO2流および水蒸気により改質して、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)および水素(H2)を含む合成ガス混合物を製造し、
iii. 合成ガス混合物を第1と第2の合成ガス流に分割し、
iv. 第1の合成ガス流を合成ガス精製区画に供給して、CO2流およびH2流を製造し、
v. H2流を第1と第2の流れに分割し、
vi. 第1のH2流をN2流で精製して、純粋なH2/N2流を製造し、
vii. H2/N2流をアンモニア合成区画に供給して、アンモニア流を製造し、
viii. 第2のH2流および第2の合成ガス流をメタノールループ式反応装置に供給して、メタノール含有混合物を製造し、
ix. メタノール含有混合物から粗製メタノールを分離し、残りのガスをメタノールループ式反応装置に再循環させ、
x. 粗製メタノールをメタノール精製区画に供給して、メタノール流を得る、
各工程を有してなるプロセスが記載されている。
【0003】
このプロセスにより、4000mtpd(一日当たりのメートルトン)までのアンモニアと組み合わされた5000mtpdまでのメタノールの製造が可能になることが示されている。このプロセスはさらに、形成されたCO2およびN2を反応させて、6800mtpdまでの尿素を得る工程を含んでもよい。
【0004】
メタノールは、最も重要な化学原料の内の1つである。製造されるメタノールのほとんどは、合成のための出発材料または溶媒として使用されるが、燃料およびエネルギー部門におけるその使用が著しく増加することが予測されている。1960年代から、無硫黄合成ガスからのCu系触媒によるメタノール合成が、かなり穏やかな反応条件下で動作できるので、主要な経路となってきた。メタノールプロセスの概要が、例えば、非特許文献1に見つかる。
【0005】
アンモニアは、尿素および他の肥料、並びにカプロラクタムやメラミンなどの様々な化学物質を製造するために使用される別の主要な化学原料である。アンモニアは、窒素と水素から世界的に生産され、典型的に、水素は、天然ガス(または他の炭化水素供給原料)の水蒸気改質を通じて得られる。アンモニアプロセスの概要が、例えば、非特許文献2に見つかる。
【0006】
メタノールとアンモニアの製造の両方について、経済的観点から、できるだけ高い容量を有する単一ラインプラントを開発することが有益である。各関連反応または分離工程についてたった1つの動作ユニットまたはデバイスを含む単一ラインプラントの生産力は一般に、技術的および経済的な理由のために、1つ以上のそれらのユニットの最大容量により制限される。全てのユニットの信頼性は、停止時間を最少にすることが経済的運転のために必須条件であるので、最優先事項である。例えば、単一の最新式空気分離ユニット(ASUと略記される)が、多くとも約4000mtpd(または5200キロモル/h)の酸素を生成すると考えられる。そのようなASUは、その後、反応体として酸素を使用する反応装置、例えば、天然ガス、水蒸気および酸素から合成ガスを製造する自熱改質(ATR)ユニット(ATRは、基本的に、水蒸気メタン改質装置(SMR)および部分酸化(POX)反応装置の組合せである)の生産力を制限する。他方で、SMRユニットの最大サイズにおける制限は、反応管の数にある。約1000本の管が、単一ユニット動作にとって最大であると考えられており、そうでなければ、ガスの均一な分布、それゆえ、全ての管への熱伝達を制御することが可能ではないであろう。さらに、管に伝達され得るエネルギーの特定の最大量から、容量制限が生じる。それゆえ、最大容量の技術的かつ経済的に実現可能なSMR反応装置は、約1150GJ/hの最大改質熱負荷により現在特徴付けられていると予測される。合成ガスのメタノールへの転化率は比較的低いので、メタノールは一般に、いわゆるループ式反応装置において大規模に生産される。このことは、莫大な容積のガスを取り扱い、再循環させる必要があることを意味する。この理由のために、メタノールループ式反応装置は、現在、5000〜6000mtpdのメタノールの最大容量を有する。
【0007】
メタノールプラントとアンモニアプラントの統合は、ユニット動作を共有し、材料流を内部で再循環させ、エネルギー(熱)を再利用することによって、コストを減少させ、容量を引き上げるさらに別のオプションを提示する。旧来のプロセスにおいて、炭素酸化物(COおよびCO2)、水素および窒素を含有する合成ガスが製造され、メタノールループ式反応装置内でメタノールにある程度転化され、メタノールが排出流から分離され、未反応ガスが精製され、次いで、下流にあるアンモニア反応装置に供給される。その例が、特許文献2に与えられており、この文献は、水が存在する段階と、しない段階の二段階でメタノール合成を実施することによって、供給物として炭素酸化物、水素および窒素を含有する合成ガスを使用するそのような連続メタノールおよびアンモニア同時製造の改善を提案している。特許文献3において、メタンおよび空気からメタノールおよびアンモニアの連続同時製造が記載されており、ここで、水素/窒素アンモニア合成ガス流が、メタノールループ式反応装置の排出流から分離された過剰の水素を空気と反応させることによって、製造される。
【0008】
メタノールおよびアンモニアを同時製造するための統合プロセスが特許文献4に記載されており、そのプロセスは、
i. 第1と第2の改質装置内で脱硫炭化水素を水蒸気および空気により改質して、合成ガス混合物を製造し、
ii. 合成ガス混合物を第1と第2の合成ガス流に分割し、
iii. 第1の合成ガス流を冷却して、水流を除去し、残りの合成ガスをメタノール貫流式反応装置に供給して、メタノール含有混合物を製造し、
iv. メタノール含有混合物を粗製メタノールとメタノール不含有ガスに分離し、
v. 第2の合成ガス流を高温CO転化装置に供給し、
vi. 高温CO転化装置の排出流、メタノール不含有ガスおよび水流を低温CO転化装置に供給し、
vii. 低温CO転化装置の排出流をアンモニア合成区画に供給して、アンモニアを製造する、
各工程を含む。
【0009】
特許文献5にも、炭化水素供給原料および空気からメタノールおよびアンモニアを同時製造するための統合プロセスが記載されており、このプロセスは、
i. 空気を実質的に純粋なO2流およびN2流に分離し、
ii. 複合改質区画において、脱硫炭化水素を水蒸気およびO2で改質して、メタノール合成ガス流を製造し、
iii. メタノール合成ガス流をメタノールループ式反応装置に供給して、メタノール含有混合物を製造し、
iv. メタノール含有混合物から粗製メタノールを分離し、残りのガスの第1の部分をメタノールループ式反応装置に再循環させ、
v. 残りのガスの第2の部分を精製し、それをN2と混合して、アンモニア合成ガス流を製造し、
vi. アンモニア合成ガス流をアンモニア合成区画に供給して、アンモニアを製造する、
各工程を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第7521483B2号明細書
【特許文献2】米国特許第4367206号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第3336649A1号明細書
【特許文献4】米国特許第6333014B1号明細書
【特許文献5】米国特許第5180570号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】“Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology”における章 “Methanol”(Wiley InterScience; 2005/02/18にオンラインで掲示, available via DOI: 10.1002/0471238961.1305200805140712.a01.pub2)
【非特許文献2】“Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology”における章 “Ammonia”(Wiley InterScience; 2001/10/18にオンラインで掲示, available via DOI: 10.1002/0471238961.0113131503262116.a01.pub2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
燃料とエネルギーの高まる需要を考慮すると、さらに大きく、より効率的なメタノールとアンモニアのプラントが業界において必要とされている。炭化水素供給原料からメタノールおよびアンモニアを製造するための現在動作されている統合製造プロセスでは一般に、約5000mtpdの最大容量を有するメタノールループ式反応装置が使用されており、排出ガスを再循環するために、約5倍ほど多くのガス容積を取り扱う必要がある。
【0013】
現行の実用容量の制限(先に記載したような)を超えないユニット動作を適用して、メタノールおよびアンモニアを効率的かつ経済的な様式で製造するために単一ラインプロセスが業界で継続的に必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この課題は、説明と特許請求の範囲に定義された本発明によって達成され、より詳しくは、メタノールおよびアンモニアを同時製造するためのプロセスであって、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)および水素(H2)から実質的になる合成ガス混合物を、最初に、メタノール貫流式反応装置内である程度反応させ、未反応の合成ガスを第1と第2の流れに分割し、第1の流れを精製しアンモニア合成区画に供給し、第2の流れをメタノール合成・精製区画に供給する各工程を有してなるプロセスにより達成される。
【0015】
本発明のプロセスにより、統合単一プロセスにおいて非常に高い容量でメタノールとアンモニアを製造することができる。例えば、このプロセスにより、天然ガスと空気から出発し、メタノールループ式反応装置を現行の最大容量の制限未満で適用して、8000mtpdのメタノールおよび2000mtpdのアンモニアを製造することができる。このプロセスはさらに、アンモニアと二酸化炭素のバランスのとれた製造を示し、それゆえ、尿素の同時製造も統合することができる。
【0016】
メタノールおよびアンモニアを同時製造するための本発明のプロセスにおいて、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)および水素(H2)から実質的になる合成ガス混合物を最初にある程度反応させてメタノールを得る。合成ガスは、炭化水素供給原料を改質することによって製造されるガス状混合物として一般に定義され、水素(H2)および一酸化炭素(CO)と、必要に応じて、二酸化炭素(CO2)、水(H2O)、メタン(CH4)、および窒素(N2)などの他のガス成分とを含有する。本発明に関して、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)および水素(H2)から実質的になる合成ガス混合物は、他の成分を微量しか、すなわち、メタノール合成反応が悪影響を受けないようなレベルでしか含有しないと理解される。例えば、含水量は、メタノール製造のための供給物中に一般に許容される最大量未満である。典型的に、改質区画から得られる合成ガスは、冷却され、凝縮されて、存在する水が実質的に除去される。合成ガスの窒素含有量は、先の改質プロセス中に空気が加えられないことが好ましいので、少なく、むしろ、水蒸気と酸素のみである。
【0017】
合成ガスの組成、それゆえ、例えば、メタノール製造に使用するための適性は、主に、水素と一酸化炭素の含有量により特徴付けられ、これは、
SN=([H2]−[CO2])/([CO]+[CO2])
と定義される、いわゆる化学量論数(SN)により一般に表され、ここで、各成分の濃度は体積%またはモル%で表される。
【0018】
SNの値は、合成ガスを製造するために使用される供給原料および改質プロセスに依存する。異なる適切な改質技術およびその利点と制限の概要が、例えば、P. F. van den Oosterkampにより、“Encyclopedia of Catalysis”の章“Synthesis Gas Generation: Industrial”(John Wiley & Sons; 2002/12/13にオンラインで掲示, available via DOI: 10.1002/0471227617.eoc196)に与えられている。
【0019】
メタノール合成について、好ましくは1.9〜2.5のSNを有する合成ガス混合物が使用され、SNが1.9〜2.3、2.0〜2.2または2.0〜2.1であることがより好ましい。メタノールおよびアンモニアを同時製造するために、合成ガスのSNは、メタノールのみを製造する場合よりもいくぶん高いであろうし、アンモニア合成区画において過剰の水素が使用されるが、組成が、メタノール転化のために最適化されることが好ましい。
【0020】
本発明のプロセスにおいて、合成ガス混合物は、合成ガスの所望の組成および量が得られるどのような公知のプロセスにより製造されていても、製造されても差し支えない。複合改質プロセスにより、すなわち、異なる改質反応装置の組合せが使用されるプロセスにより製造されることが好ましい。一般に、改質反応装置は、以下のタイプの内の一方に分類される。従来は、メタンの豊富な供給原料の改質は、最初に、供給原料を水蒸気と混合し、次いで、燃焼型(焼成型とも呼ばれる)反応装置に供給することによって、水蒸気メタン改質装置(以後、SMRと略記される)内で行われる。第2のタイプは、プロセスのどこかで生成された高温ガスにより加熱される熱交換器型水蒸気改質反応装置(ガス加熱改質装置とも呼ばれる;以後、GHRと略記される)である。自熱改質装置(ATRと略記される)は、ガスが、水蒸気とのさらに別の反応に加え、実質的に断熱条件下で酸素との(触媒)部分酸化反応を経験する改質ユニットであり、発熱酸化反応により生じる過剰の熱が、吸熱水蒸気改質反応のための熱を供給するために使用される。部分酸化反応装置(POX)において、供給原料は、熱部分酸化および水蒸気改質によって、主に改質される。ナフサなどの高級炭化水素が豊富な供給原料を使用する場合、供給物中の重質炭化水素をメタン、水素および炭素酸化物に転化するために、いわゆる予備改質工程において、典型的に、供給原料を最初に処理する。そのような予備改質装置は、典型的に、断熱状態で動作され、一般に、断熱式予備改質装置(APR)と称される。
【0021】
改質プロセスの適切な例が、例えば、上述した文献から、国際公開第2008/122399A1号パンフレットから、その中に挙げられた文献から公知である。
【0022】
本発明のプロセスが、脱硫炭化水素供給原料が酸素と水蒸気により改質される、複合改質区画を含むことが好ましい。本発明のプロセスは、特に、特定の組成物により製造される合成ガスの全てが最初にメタノール反応装置に供給されるという点で、従来技術のプロセスとは区別される。
【0023】
本発明のプロセスを動作させる好ましい様式において、合成ガスは、国際公開第2008/122399A1号パンフレットに記載されたような複合改質プロセスにより製造され、ここで、脱硫されたメタンの豊富な供給原料が水蒸気と混合され、断熱式予備改質装置(APR)に通され、APRからの予備改質ガスが3つの流れに分割され、それらが水蒸気メタン改質装置(SMR)、ガス加熱改質装置(GHR)および酸素と共に自熱改質装置(ATR)に供給され、これら3つの改質装置は並列に運転される。
【0024】
本発明のプロセスを動作させる好ましい様式において、合成ガスは、
脱硫されたガス状炭化水素供給原料からの複合改質プロセスにより製造され、ここで、供給原料が第1と第2の供給原料流に分割され、第1の供給原料流が水蒸気と混合され、直列に運転されたガス加熱改質装置(GHR)および水蒸気メタン改質装置(SMR)に供給され、第2の供給原料流が、SMRから来る改質ガスと混合され、次いで、酸素と共に、部分酸化改質装置(POX)に供給される。
【0025】
メタノールへと部分反応されるための供給物として使用される合成ガスは窒素を低レベルでしか含有しないので、改質プロセス中の部分酸化のために酸素を使用することが好ましい。この理由のために、本発明のプロセスは、純粋な酸素流と窒素流が空気から分離されることにより製造される、空気分離区画をさら含むことが好ましく、その酸素と窒素は、それぞれ、プロセスにおいて合成ガスおよびアンモニアを製造するために適用される。所要の量を送達できるどのような従来の空気分離ユニット(ASU)を本発明のプロセスに適用しても差し支えない。
【0026】
本発明のプロセスにおいて、約2から4のH/C比を有する炭化水素混合物などの、改質条件でガス状であるどのような炭化水素供給原料を使用しても差し支えない。適切な例としては、メタン、エタン、メタンの豊富な混合物、または軽質ナフサ(主にC5〜C9パラフィン化合物の混合物)などの炭化水素が挙げられる。
【0027】
メタンの豊富な供給原料の適切な例としては、ガス田または油田から得られるような、天然ガスである。天然ガスの主成分はメタンであり、これは一般に、80から97モル%の量で存在する。天然ガスは、典型的に約3から15モル%のエタン、プロパン、ブタンおよび少量の高級炭化水素(一般に、合計で5モル%未満)などの他のガス状炭化水素、並びに、様々な量での硫化水素などの硫黄含有ガスも含有する。さらに、ごく少量(または微量)の窒素、ヘリウム、二酸化炭素、水、臭気物質、および水銀などの金属も存在し得る。天然ガスの正確な組成は、その供給源により様々である。
【0028】
有機−硫黄化合物および硫化水素(H2S)は、天然供給源からの炭化水素の一般的な混入物であり、これは、改質触媒の触媒毒を避けるために、本プロセスにおける供給原料として炭化水素ガスを使用する前に除去すべきである。従来の技法によって、脱硫を行うことができる。適切なプロセスにおいて、供給原料中の有機−硫黄化合物が、水素の豊富な流れ(例えば、メタノール合成ループからのパージ流)によりH2Sに転化され、これは、その後、適切な吸着剤に通過させられることによって、実質的に除去されて、脱硫ガス状供給物の硫黄含有量が典型的に1ppm未満になる。
【0029】
本発明によるプロセスにおける脱硫された炭化水素供給原料は、少なくとも75モル%のメタン(供給原料の全炭化水素含有量に基づく)、より好ましくは少なくとも80、85、90、92、94、さらには少なくとも96モル%のメタンを含有する、メタンの豊富な供給原料であることが好ましい。
【0030】
メタノールおよびアンモニアを同時製造するための本発明のプロセスにおいて、合成ガス混合物を、最初にメタノール貫流式反応装置内で反応させる。本発明に関して、「メタノール貫流式反応装置」は、合成ガスがメタノールへとある程度反応させられ、未反応の排出流(合成ガス)は反応装置に再循環されない反応区画を意味することと理解される。それゆえ、そのような反応装置は、供給ガスがメタノールへとある程度反応させられ、未反応の排出流が連続的に分離され反応装置に再循環される反応区画である、「メタノールループ式反応装置」とは異なる。ループ式反応区画において、それゆえ、相当大きい容量のガス、例えば、貫流式反応装置と比べて、約4〜6倍大きいガス流量を取り扱う必要があり、したがって、より大きい反応装置および関連する設備(熱交換器、分離装置、圧縮装置など)が必要である。それゆえ、貫流式メタノール反応装置システムの投資コストと運転コストは、同量の供給ガスを取り扱うメタノールループ式反応装置に関するものより著しく低い。本発明のプロセスは、下流にメタノールループ式反応区画を適用するが、比較的小さいサイズのものである。
【0031】
本発明によるプロセスのさらに別の利点は、炭素酸化物の濃度が合成ガス供給物中において比較的高く、メタノールの転化率が比較的高くなることである。貫流式メタノール反応装置におけるメタノールへの合成ガス転化率は、本発明のプロセスにおいて、15、20、25、30、35、40、45または50%ほども高いであろう。
【0032】
本発明によるプロセスにおいて、合成ガスを、最初に、メタノール貫流式反応装置内である程度反応させ、その後、未反応の合成ガスを第1と第2の流れに分割し、次いで、第1の流れを精製しアンモニア合成区画に供給し、第2の流れをメタノール合成・精製区画に供給する。アンモニア合成区画、およびメタノール合成・精製区画は、典型的に、ループ式反応装置およびそれぞれアンモニア分離装置およびメタノール分離装置を適用し、例えば、先に挙げた一般的な文献からの、当業者に公知の条件で動作される、どのような従来のシステムであっても差し支えない。
【0033】
未反応合成ガスの第2の流れに対する第1の流れの体積比は、メタノールへの転化率、合成ガスの初期組成および製造すべきメタノールとアンモニアの所望の量に依存し、約50/50から約80/20まで様々であり得る。第1と第2の流れは、好ましくは約55/45から77/23または約60/40から75/25、より好ましくは65/35から73/27の比率で分割される。好ましい実施の形態において、その比率は約70/30である。
【0034】
本発明は、より詳しくは、メタノールおよびアンモニアを同時製造するためのプロセスであって、
a) CO、CO2およびH2から実質的になる合成ガス混合物をメタノール貫流式反応装置に供給して、メタノール/合成ガス混合物を製造する工程、
b) 工程a)の混合物を粗製メタノールおよび未反応合成ガスに分離する工程、
c) 工程b)の未反応合成ガスを第1と第2の流れに分割する工程、
d) 工程c)の第1の流れを合成ガス精製区画に供給して、CO流、CO2流およびH2流を製造する工程、
e) 工程d)からのH2流をN2流と共にアンモニア合成区画に供給して、アンモニア流を製造する工程、
f) 工程c)からの第2の流れおよび工程d)からのCO流をメタノールループ式反応装置に供給して、メタノール含有混合物を製造する工程、
g) メタノール含有混合物からの粗製メタノールを分離し、残りのガスを工程f)に再循環する工程、および
h) 工程b)からと工程g)からの粗製メタノールをメタノール精製区画に供給して、メタノール流を得る工程、
を有してなるプロセスに関する。
【0035】
本発明によるプロセスが、メタンの豊富な供給原料および空気からメタノールおよびアンモニアを同時製造し、
a”) 空気を空気分離区画に供給して、O2流およびN2流を製造する工程、
a’) 複合改質区画において、脱硫炭化水素供給原料を工程a”)からのO2および水蒸気により改質して、CO、CO2およびH2から実質的になる合成ガス混合物を製造する工程、
a) 工程a’)の合成ガス混合物をメタノール貫流式反応装置に供給して、メタノール/合成ガス混合物を製造する工程、
b) 工程a)の混合物を粗製メタノールおよび未反応合成ガスに分離する工程、
c) 工程b)の未反応合成ガスを第1と第2の流れに分割する工程、
d) 工程c)の第1の流れを合成ガス精製区画に供給して、CO流、CO2流およびH2流を製造する工程、
e) 工程d)からのH2流を工程a”)のN2流と共にアンモニア合成区画に供給して、アンモニア流を製造する工程、
f) 工程c)からの第2の流れおよび工程d)からのCO流をメタノールループ式反応装置に供給して、メタノール含有混合物を製造する工程、
g) メタノール含有混合物からの粗製メタノールを分離し、残りのガスを工程f)に再循環する工程、および
h) 工程b)からと工程g)からの粗製メタノールをメタノール精製区画に供給して、メタノール流を得る工程、
を有してなることが好ましい。
【0036】
本発明はさらに、記載したプロセスにしたがって、そのプロセスにおいて形成されたCO2およびNH3から尿素合成区画において尿素を製造するその後の工程をさらに含む、メタノールおよび尿素を同時製造するための統合プロセスに関する。尿素合成区画として、当該技術分野に公知のどのような尿素製造技術、設備およびプロセス条件を使用しても差し支えない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明による実施の形態の単純化されたブロック図
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明によるこれらのプロセスにおいて、好ましい工程およびオプションは、先に既に記載したものである。本発明のプロセスが、図1に記載したような単純化されたブロック図により表された実施の形態を使用して、より詳しく論じる。この図と以下において、ブロック内の記号は、以下の意味を有する:
ASU 空気分離ユニット
SG 合成ガス生成区画
M1 メタノール貫流式反応区画
CS 二酸化炭素分離ユニット
DR 乾燥ユニット
HS 水素分離ユニット
ME メタン化ユニット
AL アンモニア合成区画
ML メタノールループ式反応区画
DS メタノール蒸留ユニット
UR 尿素合成区画
C1〜C5 圧縮ユニット1〜5
【0039】
様々なプロセス流に使用した数は、以下の本文においてさらに解説されている。示された圧力および温度は、この実施の形態に関する推定値であり、代わりのスキームおよび条件を同様に適用してよいので、制限するものではない。
【0040】
このスキームにおいて、周囲空気供給流3が、ASUにおいて、実質的に純粋な酸素流4(少なくとも99.8%の純度;典型的に例えば、3〜5MPaに圧縮された)、実質的に純粋な窒素流5(O2およびArなどの不純物が5ppm未満;大気圧)、および特に窒素およびアルゴンを含有するパージ流6に分離される。窒素流5は、C2において、アンモニア区画に使用するための流れ27(約4〜6MPa;140〜170℃)に圧縮される。
【0041】
炭化水素流1は、複合改質区画SGにおいて、酸素流4および水蒸気(図示せず)により合成ガス混合物に改質され、これは冷却され、凝縮され、水が除去される。これにより得られた流れ2(約3〜4MPa;35〜45℃)はC1において合成ガス流7(約7〜9MPa;90〜120℃)に圧縮される。次いで、合成ガス流7の全量が、7〜8MPaおよび約220〜250℃の温度で運転されているM1に供給される。この反応装置を通過した後、粗製メタノールが除去され、ユニットDSにおいて精製するために流れ9(約3〜4MPa;40〜50℃)として供給される。この構成により、約3000〜5000mtpdのメタノールが区画M1において製造される。
【0042】
次いで、残りの未反応ガス流8(7に対して約40〜45%減少した体積)は約70/30の比率であるが、所望のアンモニア/メタノール製造分布に応じて、さらなるメタノールおよびアンモニアの製造のために流れ10および流れ11(両方とも約6〜8MPa;45〜55℃)に分割される。
【0043】
流れ11は、深冷水素分離ユニットHSからのCOの豊富な流れ30(約6〜7MPa;20〜30℃)と混合されて、混合流21(約6〜7MPa;40〜45℃)を製造し、さらにC4において、流れ22(約9〜11MPa;80〜100℃)に圧縮され、これは、約8〜10MPaおよび220〜250℃で運転されている従来のサイズのメタノールループ式反応装置MLに供給される。次いで、MLからの凝縮された粗製メタノール流24(約3〜4MPa;40〜45℃)が、流れ9と共に、メタノール蒸留ユニットDSにおける精製のために送られる。高圧の粗製メタノール流9および24のフラッシングから生じた、ユニットDSからの少量のパージガス流は、このスキームに示されていない。未反応ガスは、再度圧縮され、ループ式反応装置MLに再循環される(図示せず)。パージ流23(約0.3〜0.5MPa;40〜50℃)が、プロセス内の燃料として使用される。メタノール生成物は流れ26として得られ、流れ25は廃水を表す。
【0044】
このスキームを単純化するために、ユニットM1およびMLにおける、水によりメタノールからの未反応ガスを除去するのに使用されるガス洗浄水流は図示されていない。
【0045】
他の分割された流れ10はアンモニア合成のためにさらに処理される。最初に、二酸化炭素含量が、例えば、MDEA、MEA、Benfield、CatacarbまたはRectisolユニットであって差し支えない従来のCO2分離区画CS内で減少させられ、実質的にCO2を含まない流れ12(約7〜8MPa;40〜45℃)およびCO2流13(大気圧)が得られる。流れ12は、その後、約6.5〜7.5MPaで分子篩乾燥ユニットDRに通されて、約4〜5MPaの圧力まで膨張させることによって、約−205から−210℃で深冷運転されている、水素分離ユニットHSに入る前に、CO2とH2Oを実質的に含まない流れ14(約6.5〜7.5MPa;40〜50℃)が得られる。得られた水素流15(約4〜5MPa;20〜30℃)は、また約1体積%のCOを含有し、次いで、約2.5〜5.0MPaおよび275〜375℃で運転されているメタン化ユニットMEに通過させられて、10ppm未満しか炭素酸化物を含有しない流れ16(約4〜4.5MPa;90〜100℃)が得られる。流れ30として分離されたCOは、流れ11と混合することによって、メタノールの量を増加させるために使用されることが好ましい。
【0046】
流れ16は要求される量の窒素流27と混合されて、水素と窒素を3/1の比率で含有する混合流17(約4〜5MPa;105〜115℃)が得られ、これは、C3において圧縮されて、流れ18(約15〜16MPa;110〜130℃)が得られる。次いで、流れ18が補給ガスとしてループ式アンモニア合成区画ALに供給される。この反応装置は、約15〜20MPaおよび350〜450℃で運転されている。少量のパージ流19(約0.3〜0.5MPa;20〜30℃)がこのプロセス内において燃料として使用される。アンモニア生成物が、典型的に2〜3MPaおよび40〜50℃で流れ20として得られる。
【0047】
さらに好ましい実施の形態において、CO2流13が、ユニットC5において約16〜20MPaおよび100〜150℃に圧縮された後、流れ20を通じて所望の量のアンモニアと共に、尿素合成区画URに送られ、尿素生成物29(小球または顆粒形状で)が得られる。
【0048】
したがって、本発明は、本発明のプロセスにより合成ガスからメタノールおよびアンモニアを製造するのに適した統合製造プラントであって、メタノール貫流式反応装置、メタノールループ式反応装置、メタノール精製区画、合成ガス精製区画、およびアンモニア合成区画を備えたプラントに関する。
【0049】
本発明はさらに、本発明のプロセスによって、メタンの豊富な供給原料および水からメタノールおよびアンモニアを製造するのに適した統合製造プラントであって、複合改質区画、空気分離区画、メタノール貫流式反応装置、メタノールループ式反応装置、メタノール精製区画、合成ガス精製区画、およびアンモニア合成区画を備えたプラントに関する。
【0050】
本発明はさらに、本発明のプロセスを適用した、合成ガスからメタノールおよび尿素を製造するのに適した統合製造プラントであって、メタノール貫流式反応装置、メタノールループ式反応装置、メタノール精製区画、合成ガス精製区画、アンモニア合成区画、および尿素合成区画を備えたプラント;並びに本発明のプロセスを適用した、メタンの豊富な供給原料および水からメタノールおよび尿素を製造するのに適した統合製造プラントであって、複合改質区画、空気分離区画、メタノール貫流式反応装置、メタノールループ式反応装置、メタノール精製区画、合成ガス精製区画、アンモニア合成区画、および尿素合成区画を備えたプラントに関する。
【実施例】
【0051】
ここで、図1の流れ図において具体化され、先に説明された本発明のプロセスによる、合成ガス混合物からのメタノール、アンモニアおよび尿素の製造を、国際公開第2008/122399A1号パンフレットに記載されているような複合改質プロセスへのASUからの5208キロモル/hの酸素の最大入力を境界条件として、標準的なシミュレーション・パッケージPro−IIを使用して、さらに説明する。
【0052】
表1において、図1の番号付けにしたがって、各プロセス工程または流れについて、条件(温度および圧力)、並びにキロモル/hで表された計算した物質収支が与えられている。
【0053】
このシミュレーションから、本発明によるプロセスにより、例えば、約8000mtpdのメタノールおよび約2000mtpdのアンモニアを同時製造することが実現可能であると結論付けられる。このプロセス内で入手可能な二酸化炭素を使用して、アンモニアを3500mtpdの尿素に転化してもよい。
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタノールおよびアンモニアを同時製造するためのプロセスであって、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)および水素(H2)から実質的になる合成ガス混合物を、最初に、メタノール貫流式反応装置内である程度反応させ、未反応の合成ガスを第1と第2の流れに分割し、該第1の流れを精製しアンモニア合成区画に供給し、該第2の流れをメタノール合成・精製区画に供給する各工程を有してなるプロセス。
【請求項2】
a) CO、CO2およびH2から実質的になる合成ガス混合物をメタノール貫流式反応装置に供給して、メタノール/合成ガス混合物を製造する工程、
b) 工程a)の前記混合物を粗製メタノールおよび未反応合成ガスに分離する工程、
c) 工程b)の前記未反応合成ガスを第1と第2の流れに分割する工程、
d) 工程c)の前記第1の流れを合成ガス精製区画に供給して、CO流、CO2流およびH2流を製造する工程、
e) 工程d)からの前記H2流をN2流と共にアンモニア合成区画に供給して、アンモニア流を製造する工程、
f) 工程c)からの前記第2の流れおよび工程d)からの前記CO流をメタノールループ式反応装置に供給して、メタノール含有混合物を製造する工程、
g) 前記メタノール含有混合物からの粗製メタノールを分離し、残りのガスを工程f)に再循環する工程、および
h) 工程b)からと工程g)からの前記粗製メタノールをメタノール精製区画に供給して、メタノール流を得る工程、
を有してなることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項3】
a”) 空気を空気分離区画に供給して、O2流およびN2流を製造する工程、
a’) 複合改質区画において、脱硫炭化水素供給原料を工程a”)からのO2および水蒸気により改質して、CO、CO2およびH2から実質的になる合成ガス混合物を製造する工程、
a) 工程a’)の前記合成ガス混合物をメタノール貫流式反応装置に供給して、メタノール/合成ガス混合物を製造する工程、
b) 工程a)の前記混合物を粗製メタノールおよび未反応合成ガスに分離する工程、
c) 工程b)の前記未反応合成ガスを第1と第2の流れに分割する工程、
d) 工程c)の前記第1の流れを合成ガス精製区画に供給して、CO流、CO2流およびH2流を製造する工程、
e) 工程d)からの前記H2流を工程a”)の前記N2流と共にアンモニア合成区画に供給して、アンモニア流を製造する工程、
f) 工程c)からの前記第2の流れおよび工程d)からの前記CO流をメタノールループ式反応装置に供給して、メタノール含有混合物を製造する工程、
g) 前記メタノール含有混合物からの粗製メタノールを分離し、残りのガスを工程f)に再循環する工程、および
h) 工程b)からと工程g)からの前記粗製メタノールをメタノール精製区画に供給して、メタノール流を得る工程、
を有してなることを特徴とする請求項1または2記載のプロセス。
【請求項4】
前記合成ガス混合物が1.9から2.3の化学量論数SNを有することを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載のプロセス。
【請求項5】
メタンの豊富な供給原料を水蒸気と混合し、断熱性予備改質装置(APR)に通過させ、該APRからの予備改質されたガスを、並列で運転されている、水蒸気メタン改質装置(SMR)、ガス加熱改質装置(GHR)、および前記酸素と共に自熱改質装置(ATR)に供給される3つの流れに分割することを特徴とする請求項3記載のプロセス。
【請求項6】
前記炭化水素供給原料が、少なくとも75モル%のメタンを含有するメタンの豊富な供給原料であることを特徴とする請求項1から5いずれか1項記載のプロセス。
【請求項7】
前記未反応合成ガスの第1と第2の流れが50/50から80/20の比率で分割されることを特徴とする請求項1から6いずれか1項記載のプロセス。
【請求項8】
前記第1の流れの前記第2の流れに対する比率が70/30であることを特徴とする請求項7記載のプロセス。
【請求項9】
請求項1から8いずれか1項記載のプロセス、および尿素合成区画において、該プロセスにおいて形成されたCO2およびNH3から尿素を製造するその後の工程を含む、メタノールおよび尿素を同時製造するためのプロセス。
【請求項10】
請求項1から9いずれか1項記載のプロセスにしたがって、合成ガスからメタノールおよびアンモニアを製造するための製造プラントであって、メタノール貫流式反応装置、メタノールループ式反応装置、メタノール精製区画、合成ガス生成区画、およびアンモニア合成区画を備えることを特徴とする製造プラント。

【図1】
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【公表番号】特表2013−502390(P2013−502390A)
【公表日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−525091(P2012−525091)
【出願日】平成22年8月17日(2010.8.17)
【国際出願番号】PCT/EP2010/005114
【国際公開番号】WO2011/020618
【国際公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(502132128)サウディ ベーシック インダストリーズ コーポレイション (109)
【Fターム(参考)】