説明

メタロール共重合体

【課題】有機溶剤に可溶で製膜性に優れたメタロール共重合体を提供する。
【解決手段】下記の繰り返し単位(1)と


下記の繰り返し単位(2)とからなることを特徴とするメタロール共重合体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子供与性に優れ、発光材料、電子機能材料および光機能材料として適用可能なメタロール共重合体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シクロペンタジエン構造中にSiを有するシロール(シラシクロペンタジエン)誘導体は電子受容性や蛍光を示すことが知られており、機能性材料としての有用性が着目され、その合成方法にも検討が加えられている。
【0003】
例えば、非特許文献1には、2位と5位にフェニル基を有するシロール誘導体を、1,4−ジリチオ−1,3−ブタジエンとケイ素化合物から得る方法が記載されている(下式参照)。
【0004】
【化1】

【0005】
また、特許文献1には、テルロフェンとリチウム試薬を作用させ、続いてシラン誘導体を反応させて2,5−ジ置換シラシクロペンタジエン(シロール)を得る方法が開示されている。
【0006】
これらの文献に開示される方法はいずれもアルカリ金属化合物を用いており、これらは空気中の酸素・二酸化炭素・水分等と高い反応性を有しているため、製造工程が煩雑になったり、特殊な製造装置を用いなければならない。その上、特許文献1の方法では、−78℃という低温で反応させているため、反応環境のコントロールが難しいという問題があった。
【0007】
上記問題に鑑み、本願発明者等は、ジイン化合物とモノイン化合物から[2+2+2]付加環化反応を利用してベンゾメタロールを容易に得る方法や、ジイン化合物と有機金属化合物からトランス付加環化反応を利用して、2,5−二置換メタロールを容易に得る方法を見出し、既に出願している(特願2006−66496号、特願2007−20053号)。
【0008】
しかし、メタロール環含有化合物を有機EL(エレクトロルミネッセンス)等の機能性材料として工業的に使用するには、塗膜を形成できることが望ましく、塗膜化の一手段として、低コスト化にもつながる高分子量化が求められている。
【0009】
このような観点から、メタロール環含有化合物の重合体を得る方法がいくつか検討されている(例えば、特許文献2〜6)。しかし、これらの従来技術においては、単量体であるメタロール環含有化合物が、それぞれ、特殊な合成方法に起因して特殊な構造であったり、重合方法に起因して得られる重合体が特殊な構造となったりして、メタロール重合体の構造上の自由度が少ない。
【非特許文献1】「ケミカル レビュー」、90巻、p.215〜263,1990年発行(Chem. Rev., 90, 215-263(1990))
【特許文献1】特開平11−246567号公報
【特許文献2】特開平6−100669号公報
【特許文献3】特開平7−300489号公報
【特許文献4】特開平10−310590号公報
【特許文献5】特開平11−255779号公報
【特許文献6】特開2003−231741号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで本発明では、メタロール環含有化合物の構造上の自由度が大きく、溶剤に対する溶解性を自由にコントロールできるメタロール共重合体を提供することを課題として掲げた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のメタロール共重合体は、下記の繰り返し単位(1)と
【0012】
【化2】

【0013】
[式(1)中、2つのH(D)は、それぞれ独立に水素または重水素を意味し、MはSiまたはGeを意味し、R1、R2は、それぞれ同一もしくは異なって、ハロゲン、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキニル基、アルケニル基、アミノ基またはシリル基を意味する。また、R1とR2は共同して、ヘテロ原子を介し/または介さずに、単環状/または縮合環状に結合していてもよい。ここで、上記単環状または縮合環状に結合した基は、さらに、置換基を有していてもよい、アルキレン基、アリーレン基、アルキレンオキシ基、アリーレンオキシ基、SiおよびGeのいずれかを介し/または介さずに、水素、ハロゲン、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキニル基、アルケニル基、パーフルオロアルキル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、ニトロ基、ニトロソ基、アゾ基、スルファニル基、スルホニル基、スルフィニル基、ホスファニル基、ホスフィニル基、ホスホリル基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、カルバモイル基、ホルミル基、ホルミルオキシ基、シリル基、スタンニル基、ボリル基またはヘテロ環基を、置換基として有していてもよい。R3〜R10は、それぞれ同一もしくは異なって、置換基を有していてもよい、アルキレン基、アリーレン基、アルキレンオキシ基、アリーレンオキシ基、SiおよびGeのいずれかを介した/または介さない、水素、ハロゲン、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキニル基、アルケニル基、パーフルオロアルキル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、ニトロ基、ニトロソ基、アゾ基、スルファニル基、スルホニル基、スルフィニル基、ホスファニル基、ホスフィニル基、ホスホリル基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、カルバモイル基、ホルミル基、ホルミルオキシ基、シリル基、スタンニル基、ボリル基またはヘテロ環基を意味する。なお、R3〜R10は、それぞれのベンゼン環におけるどの位置の置換基であっても構わない。]
下記の繰り返し単位(2)とを有するものである。
【0014】
【化3】

【0015】
[式(2)中、Arは、置換基を有していてもよい、アルキレン基、アリーレン基、アルキレンオキシ基、アリーレンオキシ基、SiおよびGeのいずれかを介し/または介さずに、水素、ハロゲン、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキニル基、アルケニル基、パーフルオロアルキル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、ニトロ基、ニトロソ基、アゾ基、スルファニル基、スルホニル基、スルフィニル基、ホスファニル基、ホスフィニル基、ホスホリル基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、カルバモイル基、ホルミル基、ホルミルオキシ基、シリル基、スタンニル基、ボリル基またはヘテロ環基を、置換基として有していてもよい2価の芳香環基または複素環基を意味する。]
【0016】
上記繰り返し単位(1)と上記繰り返し単位(2)とが交互に結合してなるものであることが好ましく、上記繰り返し単位(2)のArが、上記置換基を有していてもよいフェニレン基またはチオフェン由来の基であると、より好ましい。
本発明のメタロール共重合体は、下記式で表されるものが好ましい。
【0017】
【化4】

【0018】
[上記式中、H(D)、M、R1〜R10、Arは上記と同じ意味であり、nは2以上の整数である。]
または、
【0019】
【化5】

【0020】
[上記式中、H(D)、M、R1〜R10、Arは上記と同じ意味であり、nは2以上の整数である。]
【発明の効果】
【0021】
本発明のメタロール共重合体は、テトラヒドロフラン等の汎用の有機溶剤に溶解するため、この共重合体溶液を用いることで、塗膜の形成が容易である。また、メタロール環含有化合物や、共重合相手の芳香環または複素環化合物には、多くの置換基を付けることができるので、得られる共重合体の物性を自由にコントロールすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の新規なメタロール共重合体は、上記式(1)で表される繰り返し単位(1)と、上記式(2)で表される繰り返し単位(2)とを有するものである。以下、説明の便宜上、繰り返し単位(1)をメタロール単位(1)と、繰り返し単位(2)をアリーレン単位(2)ということとする。
【0023】
メタロール単位(1)を構成するメタロール単量体の一例としては、以下のメタロール化合物(1−1)が挙げられる。
【0024】
【化6】

【0025】
[式(1−1)中、2つのH(D)は、それぞれ独立に水素または重水素を意味し、MはSiまたはGeを意味し、R1、R2は、それぞれ同一もしくは異なって、ハロゲン(−F,−Cl,−Br,−I)、アルキル基(−R)、アリール基(−Ar’)、アルコキシ基(−OR)、アリールオキシ基(−OAr’)、アルキニル基(−C≡C)、アルケニル基(−C=C)、アミノ基(−NH2)またはシリル(Si)基を意味する。また、R1とR2は共同して、ヘテロ原子を介し/または介さずに、単環状/または縮合環状に結合していてもよい。ここで、上記単環状または縮合環状に結合した基は、さらに、置換基を有していてもよい、アルキレン基(−R−)、アリーレン基(−Ar’−)、アルキレンオキシ基(−OR−)、アリーレンオキシ基(−OAr’−)、SiおよびGeのいずれかを介し/または介さずに、水素、ハロゲン、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキニル基、アルケニル基、パーフルオロアルキル基(−Rf)、アルキルカルボニル基(−C(=O)R)、アリールカルボニル基(−C(=O)Ar’)、アルキルカルボニルオキシ基(−OC(=O)R)、アリールカルボニルオキシ基(−OC(=O)Ar’)、アルキルオキシカルボニルオキシ基(−OC(=O)OR)、アリールオキシカルボニルオキシ基(−OC(=O)OAr’)、アミノ基(−NH2)、ニトロ基(−NO2)、ニトロソ基(−NO)、アゾ基(−N=NH)、スルファニル基(−SR)、スルホニル基(−SO2R)、スルフィニル基(−S(=O)R)、ホスファニル基(−PR2)、ホスフィニル基(−P(=O)R2)、ホスホリル基(−P(=O)(OR)2)、シアノ基(−CN)、イソシアノ基(−NC)、シアナト基(−OCN)、イソシアナト基(−NCO)、チオシアナト基(−SCN)、カルバモイル基(−C(=O)NH2)、ホルミル基(−CHO)、ホルミルオキシ基(−OC(=O)H)、シリル(Si)基、スタンニル(Sn)基、ボリル(B)基またはヘテロ環基を、置換基として有していてもよい。なお、アルキレン基(−R−)、アリーレン基(−Ar’−)、アルキレンオキシ基(−OR−)およびアリーレンオキシ基(−OAr’−)が有していてもよい置換基は、上記置換基のいずれか1種以上である。
【0026】
上記例示において、Rは、炭素数1〜18程度までのアルキル基を意味し、直鎖状、分岐したもの、脂環構造を有するものの、いずれも含まれる。具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等である。この定義は、以下においても同様である。また、Ar’は、芳香族性を有する5員環以上の環式化合物であって、ベンゼン、ナフタレン等の炭素環(ビフェニル等も含む)、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、セレン等のへテロ原子等を含む複素環等を意味する。
【0027】
3〜R10は、上記R1とR2が単環状/または縮合環状に結合した場合に置換基として有していてもよい基と同じである。もちろん、それぞれ同一でも、異なっていてもよい。
【0028】
11とR12は、いずれもがハロゲンであるか、いずれもがボロン酸(B(OH)2)基またはそのエステル基である。これらにより、鈴木−宮浦カップリング反応によってメタロール共重合体を合成する。ボロン酸エステル基は、ROH(Rは前記定義と同じ)で表されるアルコールとの環状エステルが好ましい。なお、以下、ボロン酸基またはそのエステル基を、単にボロン酸エステル基という。R11とR12がハロゲンである場合は、臭素であることが好ましい。R11とR12はメタロール単量体に必須の置換基であるが、R11とR12以外のR3〜R10は、水素であっても前記した置換基であってもよい。これらのR3〜R10を適宜選択することによって、得られるメタロール共重合体の溶解性、塗膜物性、エネルギー準位等を変更することができる。
【0029】
また、上記メタロール化合物(1−1)におけるR11とR12の位置が異なる下記メタロール化合物(1−2)も、メタロール単位(1)を構成するための単量体として用いることができる。
【0030】
【化7】

[H(D)、M、R1〜R12は上記と同じ意味である。]
【0031】
図示しないが、上記メタロール化合物(1−1)や(1−2)におけるR11とR12の位置がさらに異なるメタロール化合物も、単量体として使用可能である。メタロール単量体は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0032】
メタロール単位(1)を構成するための単量体の具体例としては、2,5-ビス(3-ブロモフェニル)-1,1-ジフェニルシロール、2,5-ビス(3-ブロモフェニル)-1,1-ジフェニルゲルモール、2,5-ビス(4-ブロモフェニル)-1,1-ジフェニルシロール、2,5-ビス(4-ブロモフェニル)-1,1-ジフェニルゲルモール、2,5-ビス[3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]シロール、2,5-ビス[3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]ゲルモール、2,5-ビス[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]シロール、2,5-ビス[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]ゲルモール、2',5'-ビス[3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]スピロ[9-シラフルオレン-9,1'-シロール]等が挙げられる。
【0033】
また、1,1,2,5-テトラフェニルシロール、1,1,2,5-テトラフェニル-3,4-d2-シロール、2,5-ビス(4-メチルフェニル)-1,1-ジフェニルシロール、2,5-ジ(2-ナフチル)-1,1-ジフェニルシロール、2,5-ビス(4-フルオロフェニル)-1,1-ジフェニルシロール、2,5-ビス(4-ブロモフェニル)-1,1-ジフェニルシロール、2,5-ビス(4-ニトロフェニル)-1,1-ジフェニルシロール、2,5-ビス(4-メトキシフェニル)-1,1-ジフェニルシロール、1,1-ジフェニル-2,5-ジ(3-チエニル)シロール、2,5-ビス(4-トリメチルシリルフェニル)-1,1-ジフェニルシロール、1,1,2-トリフェニル-5-(4-ビニルフェニル)シロール、2',5'-ジフェニルスピロ[9-シラフルオレン-9,1'-シロール]、2',5'-ビス(4-メチルフェニル)スピロ[9-シラフルオレン-9,1'-シロール]、2',5'-ジ(2-ナフチル)スピロ[9-シラフルオレン-9,1'-シロール]、2',5'-ビス[4-(トリメチルシリル)フェニル]スピロ[9-シラフルオレン-9,1'-シロール]、2',5'-ビス(4-フルオロフェニル)スピロ[9-シラフルオレン-9,1'-シロール]、2',5'-ビス(4-ブロモフェニル)スピロ[9-シラフルオレン-9,1'-シロール]、2',5'-ビス(4-ニトロフェニル)スピロ[9-シラフルオレン-9,1'-シロール]、2',5'-ビス(4-メトキシフェニル)スピロ[9-シラフルオレン-9,1'-シロール]、2',5'-ジ(3-チエニル)スピロ[9-シラフルオレン-9,1'-シロール]、2',5'-ビス[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]スピロ[9-シラフルオレン-9,1'-シロール]、2'-(4-メトキシフェニル)-5'-フェニルスピロ[9-シラフルオレン-9,1'-シロール]、2'-フェニル-5'-(4-ビニルフェニル)スピロ[9-シラフルオレン-9,1'-シロール]、1,1,2,5-テトラフェニルゲルモール、2,5-ビス(4-メチルフェニル)-1,1-ジフェニルゲルモール、2,5-ジ(2-ナフチル)-1,1-ジフェニルゲルモール、2,5-ビス(4-フルオロフェニル)-1,1-ジフェニルゲルモール、2,5-ビス(4-ブロモフェニル)-1,1-ジフェニルゲルモール、2,5-ビス(4-ニトロフェニル)-1,1-ジフェニルゲルモール、2,5-ビス(4-メトキシフェニル)-1,1-ジフェニルゲルモール、1,1-ジフェニル-2,5-ジ(3-チエニル)ゲルモール、2,5-ビス(4-トリメチルシリルフェニル)-1,1-ジフェニルゲルモール、1,1-ジフェニル-2,5-ジ(3-ピリジル)ゲルモール、2,5-ビス[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]-1,1-ジフェニルゲルモール、1,1,2-トリフェニル-5-(4-メトキシフェニル)ゲルモール、2-(4-シアノフェニル)-1,1,5-トリフェニルゲルモール、1,1,2-トリフェニル-5-(4-ビニルフェニル)ゲルモール、1,3-ビス(1,1,5-トリフェニル-1-ゲルマ-2,4-シクロペンタジエン-2-イル)ベンゼンといったシロールやゲルモールも、芳香環の水素を、ハロゲンか、ボロン酸エステル基と後述する方法で置換することにより、上記R11とR12を有するメタロール化合物となるので、単量体として使用可能である。それぞれの芳香環におけるR11とR12の位置は、上述の通り、特に限定されないが、位置を適当に選択することで、得られる共重合体の共役鎖長を長くするか短くするかのコントロールが可能となり、電子機能材料に適用する際に、バンドギャップやエネルギー準位をコントロールすることができる。具体的には、R11とR12が、2,4,6位のいずれかにあれば共役鎖を長くでき、バンドギャップが狭くなる。R11とR12が、3位と5位にあれば共役鎖は途切れることになり、バンドギャップは広くなる。
【0034】
メタロール単量体との共重合相手となり、上記アリーレン単位(2)を構成する単量体の一例としては、下記アリーレン化合物が挙げられる。
【0035】
【化8】

【0036】
[上記式中、Arは前記と同じ意味、R13とR14は、メタロール単量体のR11とR12がハロゲンのときは、いずれもがボロン酸エステル基であり、メタロール単量体のR11とR12がボロン酸エステル基のときは、いずれもがハロゲン(特に臭素が好ましい)である。]
【0037】
すなわち、上記アリーレン化合物は、R13とR14とを必須的に有する複素環化合物か、ベンゼン、ナフタレン等の炭素環化合物(ビフェニル等の他、フルオレン等の縮合環も含む)である。これらは前記した置換基を有していてもよい。複素環化合物に含まれているヘテロ原子としては、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、セレン等が挙げられ、複素環化合物の具体例としては、フラン、チオフェン、ピロール、シロール、ゲルモール等の5員環や、ピリジン、ピリミジン等の6員環が挙げられる。
【0038】
アリーレン化合物におけるR13とR14の結合位置は特に限定されないが、位置を適当に選択することで、得られる共重合体の共役鎖長を長くするか短くするかのコントロールが可能となり、電子機能材料に適用する際に、バンドギャップやエネルギー準位をコントロールすることができる。具体的には、R13とR14が、チオフェン等の5員環であれば2位と5位に、ベンゼン環等の6員環であればオルト位またはパラ位に結合していれば、共役鎖を長くでき、バンドギャップが狭くなる。それ以外の位置にR13とR14が結合した場合は、共役鎖は途切れることになり、バンドギャップは広くなる。また、R13とR14以外の置換基を適宜選択することによって、得られるメタロール共重合体の溶解性、塗膜物性、エネルギー準位等を調整できるので、有機溶剤に対する溶解性を高めるためには、アルキル基やアルコキシル基をアリーレン化合物に導入しておくことが好ましい。アリーレン化合物は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0039】
アリーレン化合物の具体例としては、2,5-ジブロモ-3-ヘキシルチオフェン、1,4-ジブロモ-2,5-ビス(デシルオキシ)ベンゼン、2,2'-(9,9-ジヘキシル-9H-フルオレン-2,7-ジイル)ビス(1,3,2-ジオキサボリナン)、2,5-ジブロモピリジン、2,6-ジブロモピリジン、2,7-ジブロモフルオレン等が挙げられる。
【0040】
本発明の共重合体は、上記メタロール単量体と上記アリーレン化合物とを、鈴木−宮浦カップリング反応させることによって得ることができる。生成する共重合体は、メタロール単位(1)とアリーレン単位(2)が交互に連結して、その単位個数が略同一のものとなる。鈴木−宮浦カップリング反応(例えば、Chem.Rev.,95,2457-2483(1995)参照)は、炭素原子同士を直接結合させる反応として有名な反応である。後述する実施例のスキームにもあるように、ボロン酸エステル基を2個有するメタロール単量体またはアリーレン化合物(ジボロン酸エステル体)と、ハロゲンを2個有するアリーレン化合物またはメタロール単量体(ジハロゲン体)とをカップリング反応させることで、ボロン酸エステル基が結合していた炭素とハロゲンが結合していた炭素とが直接結合する。このカップリング反応が連続していくことで、メタロール単位(1)とアリーレン単位(2)とが交互に連結した共重合体が得られるのである。
【0041】
鈴木−宮浦カップリング反応においては、触媒として、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、酢酸パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等のパラジウム系触媒を用いることが好ましい。上記反応は、トルエン、テトラヒドロフラン等の有機溶媒中、不活性ガス雰囲気下、70〜120℃程度で1〜200時間行うとよい。HBrスカベンジャーとして、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化バリウム等の無機塩基、トリエチルアミン等の有機塩基等を、必要に応じて水と共に、反応原料(単量体)に対して当量以上添加するとよい。反応後期に、カップリング反応を終了させるため、モノブロモ体やモノボロン酸エステル体を添加してもよい。これらのモノ体を添加すると、共重合体の末端構造を制御できる。反応終了後は、再沈操作、抽出操作、カラム等によって、精製を行うことが好ましい。
【0042】
例えば、メタロール単量体として前記したメタロール化合物(1−1)のみを用いると、得られる共重合体は下記構造となる。
【0043】
【化9】

[上記式中、H(D)、M、R1〜R10、Arは上記と同じ意味であり、nは2以上の整数である。]
【0044】
また、メタロール単量体として前記したメタロール化合物(1−2)のみを用いると、得られる共重合体は下記構造となる。
【0045】
【化10】

[上記式中、H(D)、M、R1〜R10、Arは上記と同じ意味であり、nは2以上の整数である。]
【0046】
本発明のメタロール共重合体の重量平均分子量(Mw)は、1000以上が好ましく、2000以上がより好ましい。上限は特に限定されないが、100万以下が好ましい。なお、Mwは、GPCを用いて測定されたポリスチレン換算値を採用する。
【0047】
共重合体の原料となるジボロン酸エステル体を得るには、ボロン酸エステル基を導入したいところが水素である出発原料に、N−ブロモスクシンイミド(NBS)等のような臭素化剤を反応させてジブロモ体を得て、n−BuLiの存在下、B(OCH3)3を反応させればジボロン酸体を得ることができ、さらに、アルコールを反応させればジボロン酸エステル体を得ることができる。ジハロゲン体のうち、例えばジブロモ体は、Brを導入したいところが水素である出発原料に、上記NBSを反応させれば得ることができる。なお、出発原料としてのメタロール化合物は、特願2006−224656号に記載した方法で合成可能である。
【0048】
本発明のメタロール共重合体は、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、クロロベンゼン、ベンゼン、N−メチルピロリドン等の有機溶剤に溶解する。
【0049】
本発明の共重合体を上記有機溶剤の1種または2種以上の混合溶媒に溶解させて溶液を作れば、溶液塗布法、すなわち、スピンコート法、キャスト法、ロールコート法、スプレーコート法、バーコート法、ディップコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、インクジェットプリント法等の公知の方法を用いて、簡単に塗布層を形成することができる。中でもスピンコート法が容易である。
【0050】
溶液濃度は所望膜厚に応じて適宜変更可能である。ピンホールの発生を抑制するためには、膜厚は0.5nm以上、より好ましくは1nm以上とすることが推奨される。膜厚の上限は特に限定されないが10μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましい。これらの厚みの膜を溶液塗布法で製造する場合は、溶液濃度は0.01〜10質量%程度が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましい。例えば、スピンコート法で膜を形成する場合には、室温付近で、基材を100〜8000rpmで3秒以上回転させながら、溶媒を乾燥させるのが好ましい。スピンコート後、必要に応じて、減圧乾燥や20〜200℃の加熱処理を行ってもよい。
【実施例】
【0051】
以下実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の実施例で用いた測定装置および測定条件は、次の通りである。また、式中、Phはフェニル基を表す。
【0052】
1HNMR]
重クロロホルム(CDCl3)を用いて、バリアン社製の「Gemini 2000」により測定した。化学シフトは、テトラメチルシラン(SiMe4)から低磁場側での100万分の1(ppm;δスケール)として記録し、NMR溶媒(CDCl3:δ7.26)中の残留水素核を参照とした。
【0053】
実施例1
【0054】
【化11】

【0055】
アルゴンガス雰囲気下、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)[Pd(PPh3)4]2.3mg含むテトラヒドロフラン溶液2.4mLに、メタロール化合物としての2',5'-ビス[3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]スピロ[9-シラフルオレン-9,1'-シロール]59.9mgと、アリーレン化合物としての2,5-ジブロモ-3-ヘキシルチオフェン30.7mgを順次添加し、室温(23℃)で30分撹拌した。その後、炭酸カリウム39.0mgと脱気した蒸留水を0.16mL加え、80℃で24時間撹拌した。反応終了後、室温まで冷却し、過剰のメタノールを加えた。この混合物にさらに過剰量のクロロホルムを加え、不溶物をグラスフィルターで濾別した。溶出液を濃縮した後、クロロホルムを加え、水洗した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、濾過し、揮発性物質を減圧留去して、黄褐色の物質50.2mgを得た。
【0056】
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)を測定した。GPC装置は、東ソー社製の「8020シリーズ」、カラムは昭和電工社製の「Shodex GPC K−805L」と「Shodex GPC K−804L」を用いた。カラム温度は40℃、溶離液はクロロホルムとした。上記物質のMwは4670であった。
1HNMR(CDCl3)の結果
δ 0.72−1.00(br,3H),1.15−1.44(br,4H),1.50−1.80(br,4H),2.58−2.67(br,2H),6.61−7.68(br,10H),7.30−7.87(br,9H)
【0057】
実施例2
【0058】
【化12】

【0059】
アルゴンガス雰囲気下、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)[Pd(PPh3)4]2.3mg含むトルエン溶液0.5mLに、メタロール化合物としての2',5'-ビス[3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]スピロ[9-シラフルオレン-9,1'-シロール]63.6mgと、アリーレン化合物としての1,4-ジブロモ-2,5-ビス(デシルオキシ)ベンゼン54.8mg、炭酸カリウム41.5mg、脱気した蒸留水0.03mLを順次添加し、110℃で48時間撹拌した。反応終了後、室温まで冷却し、過剰のメタノールを加えた。この混合物にさらに過剰量のクロロホルムを加え、不溶物をグラスフィルターで濾別した。溶出液を濃縮した後、クロロホルムを加え、水洗した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、濾過し、揮発性物質を減圧留去して、黄褐色の物質72.8mgを得た。この共重合体のMwは2490であった。
1HNMR(CDCl3)の結果
δ 0.83−0.86(br,6H),1.20−1.35(br,28H),1.60−1.83(br,4H),3.84−4.01(br,4H),6.68−7.15(br,10H),7.30−7.87(br,10H)
【0060】
実施例3
【0061】
【化13】

【0062】
アルゴンガス雰囲気下、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)[Pd(PPh3)4]3.9mg含むトルエン溶液0.42mLに、メタロール化合物としての2,5-ビス(3-ブロモフェニル)-1,1-ジフェニルゲルモール50.0mgと、アリーレン化合物としての2,2'-(9,9-ジヘキシル-9H-フルオレン-2,7-ジイル)ビス(1,3,2-ジオキサボリナン)42.6mg、炭酸カリウム35.2mg、脱気した蒸留水0.03mLを順次添加し、110℃で48時間撹拌した。反応終了後、室温まで冷却し、過剰のメタノールを加えた。この混合物にさらに過剰量のクロロホルムを加え、不溶物をグラスフィルターで濾別した。溶出液を濃縮した後、クロロホルムを加え、水洗した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、濾過し、揮発性物質を減圧留去して、黄褐色の物質46.7mgを得た。この共重合体のMwは2150であった。
1HNMR(CDCl3)の結果
δ 0.55−0.75(br,6H),0.85−1.20(br,10H),1.85−2.15(br,6H),4.19(t、J=5.3Hz,4H),7.04−7.29(br,6H),7.32−7.53(br,10H),7.55−7.75(br,10H)
【0063】
実施例4
【0064】
【化14】

【0065】
アルゴンガス雰囲気下、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)[Pd(PPh3)4]3.3mg含むテトラヒドロフラン溶液3.6mLに、メタロール化合物としての2,5-ビス[3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]-1,1-ジフェニルゲルモール97.6mgと、アリーレン化合物としての2,5-ジブロモ-3-ヘキシルチオフェン46.6mgを順次添加し、室温で30分撹拌した。その後、炭酸カリウム59.3mgと、脱気した蒸留水を0.24mL添加し、80℃で24時間撹拌した。反応終了後、室温まで冷却し、過剰のメタノールを加えた。この混合物にさらに過剰量のクロロホルムを加え、不溶物をグラスフィルターで濾別した。溶出液を濃縮した後、クロロホルムを加え、水洗した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、濾過し、揮発性物質を減圧留去して、褐色の物質72.9mgを得た。この共重合体のMwは1160であった。
【0066】
実施例5
【0067】
【化15】

【0068】
アルゴンガス雰囲気下、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)[Pd(PPh3)4]3.8mg含むトルエン溶液0.8mLに、メタロール化合物としての2,5-ビス[3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]-1,1-ジフェニルゲルモール113.2mgと、アリーレン化合物としての1,4-ジブロモ-2,5-ビス(デシルオキシ)ベンゼン91.0mg、炭酸カリウム68.8mg、脱気した蒸留水0.06mLを順次添加し、110℃で48時間撹拌した。反応終了後、室温まで冷却し、過剰のメタノールを加えた。この混合物にさらに過剰量のクロロホルムを加え、不溶物をグラスフィルターで濾別した。溶出液を濃縮した後、クロロホルムを加え、水洗した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、濾過し、揮発性物質を減圧留去して、黄褐色の物質72.8mgを得た。この共重合体のMwは1170であった。
1HNMR(CDCl3)の結果
δ 0.85−0.89(br,6H),1.23−1.47(br,28H),1.71−1.81(br,4H),3.85−3.96(br,4H),6.78−6.80(br,2H),7.08−7.70(br,18H),8.03(s,2H)
【0069】
実施例6
【0070】
【化16】

【0071】
アルゴンガス雰囲気下、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)[Pd(PPh3)4]1.3mg含むトルエン溶液0.60mLに、メタロール化合物としての2',5'-ビス[3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]スピロ[9-シラフルオレン-9,1'-シロール]74.0mgと、アリーレン化合物としての1,4-ジブロモ-2,5-ビス(デシルオキシ)ベンゼン63.8mg、炭酸カリウム48.1mg、アルゴン脱気を施した蒸留水0.04mLを順次添加し、110℃で7日間撹拌した。反応終了後、室温まで冷却し、過剰のメタノールを加えた。析出した固体をグラスフィルターを用いて濾取した。得られた固体を、水、メタノールで順次洗浄した後、減圧乾燥することで、黒色の物質89.6mgを得た。この共重合体のMwは16600であった。
1HNMR(CDCl3)の結果
δ 0.78−0.91(br,6H),1.03−1.30(br,24H),1.32−1.46(br,4H),1.61−1.78(br,4H),3.74−4.05(br,4H),6.58−6.63(br,1H),6.68−6.80(br,2H),6.94−7.10(br,4H),7.15−7.24(br,1H),7.30−7.57(br,10H),7.64−7.74(br,2H)
【0072】
実施例7
【0073】
【化17】

【0074】
アルゴンガス雰囲気下、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)[Pd(PPh3)4]1.4mg含むトルエン溶液0.30mLに、メタロール化合物としての2,5-ビス[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]-1,1-ジフェニルゲルモール40.0mgと、アリーレン化合物としての1,4-ジブロモ-2,5-ビス(デシルオキシ)ベンゼン34.1mg、炭酸カリウム24.5mg、アルゴン脱気を施した蒸留水0.02mLを順次添加し、110℃で24時間撹拌した。反応終了後、室温まで冷却し、過剰のメタノールを加えた。この混合液にさらに過剰のクロロホルムを加え、残存する固体成分をグラスフィルターで濾過した。得られた溶液を減圧濃縮後、クロロホルムを加え、水洗した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、濾過し、揮発性物質を減圧留去して、黄褐色の物質46.7mgを得た。この共重合体のMwは1650であった。
1HNMR(CDCl3)の結果
δ 0.84−0.92(br,6H),1.20−1.55(br,28H),1.72−1.88(br,4H),3.88−4.00(br,4H),6.75−6.94(br,1H),7.09(s,2H),7.14−7.24(br,2H),7.27−7.52(br,9H),7.54−7.73(br,5H),7.85−8.13(br,3H)
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明のメタロール共重合体は、単量体であるメタロール環含有化合物の構造上の自由度が大きく、溶剤に対する溶解性を自由にコントロールできる。また、有機溶媒に可溶なメタロール共重合体の合成も可能であるため、共重合体溶液を用いれば塗布層を容易に形成することができる。得られる塗布層は、メタロール環由来の電子物性も併せ持つ。よって、本発明のメタロール共重合体は、電子機器、例えば有機EL素子、太陽電池、コンデンサ、燃料電池、二次電池、センサー、ディテクター、光回路、光導波路、トランジスタ、電気回路などの構成部材、有機EL素子の中間層(正孔輸送層または電子輸送層等)、太陽電池の光電変換層等の電気・光機能材料として適用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の繰り返し単位(1)と、
【化1】

[式(1)中、2つのH(D)は、それぞれ独立に水素または重水素を意味し、MはSiまたはGeを意味し、R1、R2は、それぞれ同一もしくは異なって、ハロゲン、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキニル基、アルケニル基、アミノ基またはシリル基を意味する。また、R1とR2は共同して、ヘテロ原子を介し/または介さずに、単環状/または縮合環状に結合していてもよい。ここで、上記単環状または縮合環状に結合した基は、さらに、置換基を有していてもよい、アルキレン基、アリーレン基、アルキレンオキシ基、アリーレンオキシ基、SiおよびGeのいずれかを介し/または介さずに、水素、ハロゲン、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキニル基、アルケニル基、パーフルオロアルキル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、ニトロ基、ニトロソ基、アゾ基、スルファニル基、スルホニル基、スルフィニル基、ホスファニル基、ホスフィニル基、ホスホリル基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、カルバモイル基、ホルミル基、ホルミルオキシ基、シリル基、スタンニル基、ボリル基またはヘテロ環基を、置換基として有していてもよい。R3〜R10は、それぞれ同一もしくは異なって、置換基を有していてもよい、アルキレン基、アリーレン基、アルキレンオキシ基、アリーレンオキシ基、SiおよびGeのいずれかを介した/または介さない、水素、ハロゲン、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキニル基、アルケニル基、パーフルオロアルキル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、ニトロ基、ニトロソ基、アゾ基、スルファニル基、スルホニル基、スルフィニル基、ホスファニル基、ホスフィニル基、ホスホリル基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、カルバモイル基、ホルミル基、ホルミルオキシ基、シリル基、スタンニル基、ボリル基またはヘテロ環基を意味する。]
下記の繰り返し単位(2)とを有することを特徴とするメタロール共重合体。
【化2】

[式(2)中、Arは、置換基を有していてもよい、アルキレン基、アリーレン基、アルキレンオキシ基、アリーレンオキシ基、SiおよびGeのいずれかを介し/または介さずに、水素、ハロゲン、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキニル基、アルケニル基、パーフルオロアルキル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、ニトロ基、ニトロソ基、アゾ基、スルファニル基、スルホニル基、スルフィニル基、ホスファニル基、ホスフィニル基、ホスホリル基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、カルバモイル基、ホルミル基、ホルミルオキシ基、シリル基、スタンニル基、ボリル基またはヘテロ環基を、置換基として有していてもよい2価の芳香環基または複素環基を意味する。]
【請求項2】
上記繰り返し単位(1)と上記繰り返し単位(2)とが交互に結合してなる請求項1に記載のメタロール共重合体。
【請求項3】
上記繰り返し単位(2)のArが、上記置換基を有していてもよいフェニレン基またはチオフェン由来の基である請求項1または2に記載のメタロール共重合体。
【請求項4】
下記式で表される請求項1〜3のいずれか1項に記載のメタロール共重合体。
【化3】

[上記式中、H(D)、M、R1〜R10、Arは上記と同じ意味であり、nは2以上の整数である。]
または、
【化4】

[上記式中、H(D)、M、R1〜R10、Arは上記と同じ意味であり、nは2以上の整数である。]

【公開番号】特開2008−189769(P2008−189769A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−24556(P2007−24556)
【出願日】平成19年2月2日(2007.2.2)
【出願人】(504132272)国立大学法人京都大学 (1,269)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】