説明

メダル貸し機の不正検出装置

【課題】 内部機器にアクセスしようとする不正行為を検出して警報する。
【解決手段】 筐体2の正面に有するビルバリ扉12とホッパー扉13の裏側にマグネット14を取り付け、マグネット14と磁着する扉センサー15を筐体2側に取り付ける。扉センサー15はマグネット14から離間すると信号を出力するものである。メダルホッパー8は外部に取り出し可能に設置するとともに、設置した状態でコネクタ16と接続して通電状態にする。扉センサー15とコネクタ16は信号線25を介して不正検出装置17と接続し、不正検出装置17のプログラムは、扉センサー15からの信号を受信した場合とコネクタ16の脱離で非通電状態になった場合に警報音をスピーカー23で発音するとともに警報ランプ24を点滅するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨幣やメダルの不正な抜き取りを検出して警報するメダル貸し機の不正検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、メダル貸し機からのメダルの不正な抜き取りを検出して警報する不正検出装置が特許文献1で開示されている。この技術は、メダルを払い出し時まで貯留するメダルホッパーと、同メダルホッパーのメダルを投入金額に応じた枚数に達するまで爪式の払出しセンサーで計数しながら払い出す払出器と、メダル補給とその次のメダル補給との間における払出器の払い出し枚数が設定量より少ないと不正と判断して警報する警報手段とを備えたことを特徴としている。
【0003】
前記の技術は、爪式の払出しセンサーの不正な操作によるメダルの抜き取りを防止するものである。近年では巡回する店員や警備員の隙を突いて、筐体に備わるメンテナンス用の扉を強引にこじ開け、ビルバリの貨幣収容器から貨幣を抜き取ったりメダルホッパーを外部に引き出してメダルを抜き取るような荒々しい手口による不正行為が行われるようになってきている。このような不正行為は前記の技術では対応できなかった。
【特許文献1】特開2002−102425号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、従来のこれらの問題点を解消し、内部機器にアクセスしようとする不正行為を検出して警報するメダル貸し機の不正検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる課題を解決した本発明の構成は、
1) 内部機器にアクセスするための扉を筐体に備えたメダル貸し機において、扉の開放を検知する扉センサーを設け、同扉センサーの検知時に不正と判断して警報する警報手段を設けたことを特徴とする、メダル貸し機の不正検出装置
2) 内部機器が、投入された貨幣の真偽を識別して収容するビルバリであって、扉がビルバリの位置に備えたものである、前記1)記載のメダル貸し機の不正検出装置
3) 内部機器が、外部から供給されたメダルを払出器で払い出すまで貯留するメダルホッパーであって、扉がメダルホッパーの位置に備えたものである、前記1)又は2)記載のメダル貸し機の不正検出装置
4) メダルホッパーが筐体外に取り出し可能に設置されたものであって、設置されたメダルホッパーの取出し又は移動を検知する検知手段を設け、同検知手段の検知時に不正と判断して警報する制御を警報手段に備えた、前記3)記載のメダル貸し機の不正検出装置
5) 警報手段を筐体に一体的に設けた、前記1)〜4)いずれか記載のメダル貸し機の不正検出装置
にある。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、扉を強引にこじ開けると扉センサーが検知して警報手段が警報するから、内部機器にアクセスしようとするような不正行為に対処できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の扉センサーとしては、磁気式・光学式・マイクロスイッチ等があり、有線又は無線で警報手段に信号を送信する。メダルホッパーの検知手段としては、メダルホッパーの有無を認識するセンサーや信号線を兼ねた給電用のコネクタ等がある。警報手段は、扉センサーの検知後に扉センサーや検知手段が破壊されても警報を継続させるようにする。警報手段には警報音を発音させるスピーカーや点滅する警報ランプを備え、警報ランプは筐体の高所に取り付けて異常が発生したメダル貸し機の位置を識別し易くする。メダル貸し機の稼動時は扉を施錠するが、正規の方法で解錠した場合は、扉を開けても警報手段が作動しないように警報手段と錠を連動させるか、又は警報手段を停止するための暗号キー等による解除手段を備える。以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
【実施例1】
【0008】
図1〜4に示す実施例は、スロットマシン用のメダルを貸し出すメダル貸し機の不正検出装置の例である。図1は実施例のメダル貸し機の斜視図、図2は実施例のメダル貸し機の説明図、図3は実施例の不正検出装置の説明図、図4は実施例の不正検出装置のプログラムのフローチャートである。
【0009】
図中、1はメダル貸し機、2は筐体、3はビルバリ、4は貨幣投入口、5は貨幣収容器、6は制御部、7は補給路、8はメダルホッパー、9は払出器、10はシュート、11は受け皿、12はビルバリ扉、13はホッパー扉、14はマグネット、15は扉センサー、16はコネクタ、17は不正検出装置、18はCPU、19はRAM、20はROM、21はインターフェイス、22は警報部、23はスピーカー、24は警報ランプ、25は信号線である。
【0010】
本実施例のメダル貸し機1は、図1,2に示すように貨幣投入口4と貨幣収容器5を備えたビルバリ3と、ビルバリ3で識別した金額に応じる枚数のメダルを払い出すように制御する制御部6と、外部から補給路7で取り込まれた多数枚のメダルを払い出し時まで貯留するメダルホッパー8と、メダルホッパー8内のメダルを制御部6の制御により所定枚数払い出す払出器9と、払出器9で払い出されたメダルを排出するシュート10と、シュート10で排出されたメダルを収容する受け皿11とで構成されている。
【0011】
筐体2の正面には、ビルバリ3の前面位置に有するビルバリ扉12とメダルホッパー8の前面位置に有するホッパー扉13を備えている。ビルバリ扉12とホッパー扉13の裏側にはマグネット14を取り付け、マグネット14と磁着する磁気式の扉センサー15を筐体2側に取り付けている。扉センサー15はマグネット14から離間すると信号を出力するものである。メダルホッパー8は外部に取り出し可能に設置し、設置した状態でコネクタ16と接続している。コネクタ16は接続状態で通電するようにしている。
【0012】
不正検出装置17は、図3に示すようにCPU18・RAM19・ROM20・インターフェイス21・警報部22・スピーカー23・警報ランプ24・信号線25で構成し、扉センサー15とコネクタ16は信号線25を介して接続している。ROM20内のプログラムは、扉センサー15からの信号を受信した場合とコネクタ16の脱離で非通電状態になった場合に警報音をスピーカー23で発音させるとともに警報ランプ24を点滅させるように構成している。不正検出装置17はビルバリ3の上部に内蔵させ、スピーカー23と警報ランプ24を不正検出装置17の正面に備え、ビルバリ扉12にスピーカー23用のスリットと警報ランプ24用の窓を形成している。
【0013】
本実施例では、メダル貸し機1の稼動時はビルバリ扉12とホッパー扉13を閉止して施錠し、扉センサー15とマグネット14は磁着している。何者かが巡回する店員や警備員の隙を突いてビルバリ扉12又はホッパー扉13を強引にこじ開けると、扉センサー15がマグネット14から離間して信号が不正検出装置17に送信され、不正検出装置17はスピーカー23で警報音を発音するとともに警報ランプ24を点滅し、その警報音や点滅で店員や警備員が駆けつけて不正行為が防止される。
【0014】
メダルホッパー8からのメダルの抜き取りはメダルホッパー8を一旦外部に引き出さないと困難である場合があり、メダルホッパー8を筐体2から強引に引き出した場合はコネクタ16が脱離し、不正検出装置17がコネクタ16の非通電状態を検知して警報音を発音するとともに警報ランプ24を点滅させる。なお、ビルバリ扉12又はホッパー扉13をこじ開けようとしている際に、その衝撃で扉センサー15がマグネット14から一時的に離間して検知することがあり、開けられる前に不正行為を防止できる場合もある。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明のメダル貸し機の不正検出装置は、メダルを用いる全ての遊技設備のメダル貸し機に応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例のメダル貸し機の斜視図である。
【図2】実施例のメダル貸し機の説明図である。
【図3】実施例の不正検出装置の説明図である。
【図4】実施例の不正検出装置のプログラムのフローチャートである。
【符号の説明】
【0017】
1 メダル貸し機
2 筐体
3 ビルバリ
4 貨幣投入口
5 貨幣収容器
6 制御部
7 補給路
8 メダルホッパー
9 払出器
10 シュート
11 受け皿
12 ビルバリ扉
13 ホッパー扉
14 マグネット
15 扉センサー
16 コネクタ
17 不正検出装置
18 CPU
19 RAM
20 ROM
21 インターフェイス
22 警報部
23 スピーカー
24 警報ランプ
25 信号線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部機器にアクセスするための扉を筐体に備えたメダル貸し機において、扉の開放を検知する扉センサーを設け、同扉センサーの検知時に不正と判断して警報する警報手段を設けたことを特徴とする、メダル貸し機の不正検出装置。
【請求項2】
内部機器が、投入された貨幣の真偽を識別して収容するビルバリであって、扉がビルバリの位置に備えたものである、請求項1記載のメダル貸し機の不正検出装置。
【請求項3】
内部機器が、外部から供給されたメダルを払出器で払い出すまで貯留するメダルホッパーであって、扉がメダルホッパーの位置に備えたものである、請求項1又は2記載のメダル貸し機の不正検出装置。
【請求項4】
メダルホッパーが筐体外に取り出し可能に設置されたものであって、設置されたメダルホッパーの取出し又は移動を検知する検知手段を設け、同検知手段の検知時に不正と判断して警報する制御を警報手段に備えた、請求項3記載のメダル貸し機の不正検出装置。
【請求項5】
警報手段を筐体に一体的に設けた、請求項1〜4いずれか記載のメダル貸し機の不正検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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