説明

メッシュフェンス

【課題】傾斜面に対応させて階段状に設置するいわゆる斜張りを行うことでき、しかも組み立てが容易なメッシュフェンスを提供する
【解決手段】平面視で凸状となるように折り曲げられた複数段の柱横線材31と、柱横線材31の内側に内接された3本以上の柱縦線材32を有する支柱3と、網縦線材42と網横線材41とを格子状に固着させた格子金網4とを備え、格子金網4は、その網横線材41が支柱3の2本の柱縦線材32に当接され、柱横線材31の両端を当該当接された柱縦線材32と網縦線材42の間に嵌め込ませてなるとともに、上下2本組の柱横線材41の両端が更に網横線材41により挟み込まれ又はこれを挟み込むように嵌め込まれることにより、支柱3に取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、網縦線材と網横線材とを格子状に固着させた略長方形状の格子金網を有するメッシュフェンスに関し、特に傾斜面に対応させて階段状に設置する、いわゆる斜張りを行うことができ、しかも組み立てが容易なメッシュフェンスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、道路との境界、敷地同士の境界等を仕切るフェンスとして、支柱と格子金網を組み合わせたメッシュフェンスが用いられている。このメッシュフェンスは、一般に多数の縦方向に配置した縦線材と横方向に配置した横線材との各交差箇所を、いずれも直交させて格子状の網の目状に組み合せ、長方形状に配置して各交点を溶接等により接合した格子金網を使用する。このとき、格子金網は、縦線材又は横線材に屈曲箇所を設け、そのフェンス面に多数の屈曲箇所を配置してこれを支柱としての機能を持たせる場合もある。
【0003】
例えば、特許文献1の開示技術では、格子金網の少なくとも一方の端部を水平断面が凸形となる屈曲部に形成し、当該屈曲部の断面に対応して屈曲させた支持金具にフェンス下端を連結固定したメッシュフェンスが開示されている。この開示技術によれば、支柱等の枠部材が不要となることから施工労力の低減に寄与させることが可能となり、製造工程の簡略化も図ることが可能となるとされている。
【0004】
しかしながら、このような特許文献1の開示技術は、あくまで格子金網に対して支柱の高さが固定されている。このため、格子金網に対する支柱の高さを自在に可変できないことから、メッシュフェンス傾斜面に対応させて階段状に設置する、いわゆる斜張りに対して適用することができないという問題点があった。また、支柱間隔も固定され、地勢に合わせて支柱を任意の場所に設けることができなかった。
【0005】
また、特許文献2には、格子金網の端部に柱縦線材と横環とからなる筒型格子支柱を形成させ、この筒型格子支柱を隣接する他の格子金網の線材突出部と接続することにより、フェンスを構築する技術が開示されている。また特許文献3には、格子金網の両端部を正逆のL形、コ形又は半円形を形成させてこれを支柱としての機能を担わせる技術が開示されている。
【0006】
しかしながら、これら特許文献2、3の開示技術についても、傾斜面に対応させて階段状に設置する斜張りを目的としたものではなく、また支柱と格子金網の互いの高さが固定されていることから、斜張りに対応することができないという問題点があった。
【0007】
これに加えて、従来のメッシュフェンスは、組み立て時に工具や金具を必要とする場合が多いため、これらが不要でしかも誰もが容易に組み立てをおこなうことが可能な構成とすることが望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開平6−32632号公報
【特許文献2】特開平01−223275号公報
【特許文献3】実開昭55−113452号のマイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、傾斜面に対応させて階段状に設置するいわゆる斜張りを行うことでき、しかも組み立てが容易なメッシュフェンスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上述した課題を解決するために、平面視で凸状となるように折り曲げられた複数段の柱横線材と、上記柱横線材に溶接された3本以上の柱縦線材を有する支柱と、網縦線材と網横線材とを格子状に溶接させた格子金網からなるメッシュフェンスを発明した。そして、格子金網は、その網横線材が上記支柱の2本の柱縦線材に当接され、上記網横線材に当接された柱縦線材と上記網縦線材との間に、上記柱横線材の両端を嵌め込ませてなるとともに、上下2本組の上記柱横線材の両端が更に上記網横線材により挟み込まれ又はこれを挟み込むように嵌め込まれることにより、上記支柱に取り付けられる形態とした。
【0011】
即ち、第1の発明は、平面視で凸状となるように折り曲げられた線材からなる柱横線材が上下方向に間隔をおいて複数配置され、上記複数の柱横線材に溶接された3本以上の柱縦線材を有する支柱と、網縦線材と網横線材とを格子状に溶接させた格子金網とを備え、上記格子金網は、その網横線材が上記支柱の2本の柱縦線材に当接され、上記網横線材に当接された柱縦線材と上記網縦線材との間に、上記柱横線材の両端を嵌め込ませてなるとともに、上下2本組の上記柱横線材の両端が更に上記網横線材により挟み込まれ又はこれを挟み込むように嵌め込まれることにより、上記支柱に取り付けられていることを特徴とするメッシュフェンスである。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、上記支柱は、更に上記柱縦線材に外接するように巻き回された補強部材を更に備えることを特徴とする。
【0013】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、上記網縦線材は、上記網横線材の表裏に2本以上の組で交互に取り付けられていることを特徴とする。
【0014】
第4の発明は、第1〜3のうち何れか1の発明において、上記網縦線材は2本組からなり、その上端が互いに連結されている1本の線材で構成されていることを特徴とする。
【0015】
第5の発明は、第1〜4のうち何れか1の発明において、2本組の上記網横線材は、その端部が互いに連結されている1本の線材で構成されていることを特徴とする。
【0016】
第6の発明は、第1〜5のうち何れか1の発明において、上記網横線材は、その断面形状が扁平状とされていることを特徴とする。
【0017】
第7の発明は、第1〜6のうち何れか1の発明において、上記格子金網には、調整パネルが配設され、上記調整パネルは、横方向へ突出させた複数本のパネル横線材を備え、上下2本組の上記パネル横線材が上記網横線材により挟み込まれ又はこれを挟み込むように嵌め込まれてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
上述した構成からなる本発明によれば、柱横線材の両端を、網縦線材の間に嵌め込ませて構成され、上下2本組の柱横線材の各両端が上下方向から網横線材により挟み込まれるようにして嵌め込まれている。これにより格子金網は、上下方向から挟み込まれる網横線材により、支柱に対して上下方向にずれてしまうのを強固に防止することができる。また、格子金網は、横方向から挟み込まれる網縦線材により、支柱に対して横方向にずれてしまうのを強固に防止することが可能となる。
【0019】
また、上述した構成からなる本発明によれば、設置面が傾斜状に配設されている場合においても、支柱に対する格子金網の高さを自在に調整することができる。具体的には、上下2本組の柱横線材の両端の格子金網上の網横線材の嵌合位置を自在にシフトさせることにより高さ調整を実現することができる。また、地勢によっては支柱を一定の位置に設けることができない場合でも地勢に合せて任意の位置に支柱を設けることができる。
【0020】
また、支柱と格子金網とを互いに取り付ける際には、支柱における2本の柱縦線材に、格子金網の網横線材を当接させ、更に柱横線材の両端を、柱縦線材と網縦線材の間に嵌め込ませて固定すればよいため、特に金具や工具を一切必要としない。このため、メッシュフェンスを組み立てる工程が簡略化され、誰もが容易に組み立てが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】平面状の設置面に対応させて設置する例を示す図である。
【図2】傾斜状の設置面に対応させて階段状に設置する、いわゆる斜張りを行う例を示す図である。
【図3】本発明を適用したメッシュフェンスの支柱付近における部分拡大斜視図である。
【図4】支柱に対して格子金網が取り付けられた状態の平面図である。
【図5】支柱に対して格子金網が取り付けられた状態の正面図である。
【図6】本発明を適用したメッシュフェンスを構成する支柱の平面図である。
【図7】本発明を適用したメッシュフェンスの支柱付近における他の部分拡大斜視図である。
【図8】中段にある網横線材を飛び越すようにして格子金網が取り付けられた形態を示す平面図である。
【図9】中段にある網横線材を飛び越すようにして格子金網が取り付けられた形態を示す他の平面図である。
【図10】柱縦線材に外接するように巻き回された補強部材を示す図である。
【図11】網縦線材を、網横線材の表裏に2本組で交互に取り付けた例を示す図である。
【図12】網横線材の断面形状を扁平状に形成した例を示す図である。
【図13】格子金網に調整パネルを配設した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0023】
本発明を適用したメッシュフェンス1は、図1、2に示すように、設置面2上に固定される支柱3と、この支柱3に対して取り付けられる略長方形状の格子金網4とを備えている。ちなみに図1の形態では平面状の設置面2に設置する形態であり、図2は、傾斜状の設置面2に対応させて階段状に設置する、いわゆる斜張りを行うよう形態である。図3は、本発明を適用したメッシュフェンス1の支柱3付近における部分拡大斜視図であり、図4は、メッシュフェンス1の部分平面図を、図5はメッシュフェンス1の部分正面図を示している。また図6は、支柱3のみの平面図を示している。
【0024】
支柱3は、柱横線材31と柱縦線材32とが設けられてなる。柱横線材31と柱縦線材32とは互いに直交するように配設されるものである。柱横線材31と柱縦線材32とは互いに溶接により固着されてなる。
【0025】
柱横線材31は、真上から見た状態(平面視)で凸状となるように折り曲げられた線材からなり、互いに上下方向に間隔をおいて複数配置されている。この柱横線材31は、図6に示すようにA方向に向けて突出されている。このとき柱横線材31は、平面視で略台形状となるように折り曲げられていてもよいし、平面視で長方形状となるように折り曲げられていてもよい。また柱横線材31は、三角形状、五角形状、六角形状、多角形状で構成されていてもよいし、角形状に限らず、丸みを帯びるようにして、折り曲げ角を形成させることなく曲率を有するように折り曲げられていてもよい。ちなみに図6は、この柱横線材31が略台形状となるように折り曲げられている例である。なお、この柱横線材31は、いかなる形状に折り曲げられるものであっても、その両端が基準線Bの方向に向けて延長されていることが必須となる。
【0026】
また、柱縦線材32は、柱横線材31に内接され、3本以上に亘り設けられている。図6の例では、柱横線材31を略台形状となるように折り曲げられている場合に、柱縦線材32a〜32dの4本を内接させた場合を示している。平面視で、柱横線材31におけるA方向の側面31aと、基準線Bとが略同一となるように調整されているものとしたとき、基準線Bに対して2本の柱縦線材32a、32bが接するものとしている。即ち、この柱縦線材32a、32bの側面と、柱横線材31の側面31aとは基準線B上に位置することが望ましい。なお、この柱縦線材32は、柱横線材31に内接される場合に限定されるものではなく、外接されるものであってもよい。また、柱横線材31と柱縦線材32は、互いに溶接されている。
【0027】
格子金網4は、網縦線材42と網横線材41とを格子状に固着させてメッシュ状に構成されている。この網縦線材42は、隣接する他の網縦線材42との間で所定間隔をおいて設けられている。また網横線材41は、隣接する他の網横線材41との間で所定間隔をおいて配設されている。この網縦線材42と網横線材41とは、互いに略直交する関係にあり、長方形状又は正方形状の格子模様を形成するものである。この格子金網4において、図4に示すように、支柱3が取り付けられる方向がA方向であるとした場合に、網縦線材42は、網横線材41を介してA方向側に設けられる。
【0028】
支柱3に対して、このような格子金網4を取り付ける際には、先ず支柱3における2本の柱縦線材32a、32bに、格子金網4の網横線材41を当接させる。これと共に柱横線材31の両端を、当該当接された柱縦線材32a、32bと網縦線材42の間に嵌め込ませて固定する。この柱横線材31の両端は、横方向に延長されていることから、この網縦線材42よりも内側において挿入させ、網縦線材42に係止させることを実際には行っている。
【0029】
上述したように柱縦線材32a、32bの側面と、柱横線材31の側面31aとは基準線B上に位置させているため、柱縦線材32a、32bを網横線材41に当接させたときに、図4に示すように、柱縦線材32a、32bと、網横線材41上のA方向側に取り付けた網縦線材42とが基準線B上において揃うことになり、また柱横線材31の側面31aが網縦線材42と基準線B上において揃うことになる。その結果、上述した所期の形態で柱横線材31の両端の嵌合を行うことが可能となる。
【0030】
また支柱3に対して、このような格子金網4を取り付ける際には、図5に示すように更に上下2本組の柱横線材31_1、31_2のそれぞれの両端が上下方向から網横線材41_1、41_2により挟み込まれるようにして嵌め込まれている。即ち、支柱3は、この柱横線材31_1、31_2の両端が、網縦線材42により両横方向から挟み込まれることで嵌合され、網縦線材41により上下方向から挟み込まれることで嵌合される。柱縦線材32a、32bの側面と、柱横線材31の側面31aとは基準線B上に位置させているため、柱縦線材32a、32bを網横線材41に当接させたときに、平面視で見た場合に図4に示すように柱横線材31の両端は、網横線材41と重なることになる。このため、柱横線材31_1、31_2の両端は、網縦線材41により上下から押さえ込むことが可能となる。
【0031】
図7は、上下2本組の柱横線材31_1、31_2の各両端により、格子金網4における網横線材41_1、41_2を挟み込んだ例を示している。即ち、支柱3は、この柱横線材31_1、31_2の両端が、網縦線材42により両横方向から挟み込まれることで嵌合され、網縦線材41を上下方向から挟み込むことで嵌合される。
【0032】
ちなみに、この上下2本組の柱横線材31_1、31_2の各両端が、上下に隣接する網横線材41_1、41_2により上下方向から挟み込まれ又はこれを挟み込むように嵌め込まれる場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図8に示すように、上下2本組の柱横線材31_1、31_2の各両端が、網横線材41_1、41_3により上下方向から挟み込まれるものであってもよい。この網横線材41_3は、網横線材41_2よりもう一段下段に位置する網横線材41である。この上下2本組の柱横線材31_1、31_2の各両端が、網横線材41_1、41_3により上下方向から挟み込まれる場合には、その中段にある網横線材41_2を飛び越す形態となる。
【0033】
同様に図9に示すように、上下2本組の柱横線材31_1、31_2の各両端が、網横線材41_1、41_3を上下方向から挟み込むものであってもよい。この上下2本組の柱横線材31_1、31_2の各両端が、網横線材41_1、41_3を上下方向から挟み込む場合には、その中段にある網横線材41_2を飛び越す形態となる。
【0034】
なお、図8、9の例では、あくまで網横線材41_1、41_3を嵌合対象としたものであるが、これに限定されるものではなく、網横線材41_1、41_3以外のいかなる網横線材41をその嵌合対象としてもよい。
【0035】
上述した構成からなる本発明によれば、柱横線材31の両端を、網縦線材42の間に嵌め込ませて構成され、上下2本組の柱横線材31_1、31_2の各両端が上下方向から網横線材41により挟み込まれるようにして嵌め込まれている。これにより格子金網4は、上下方向から挟み込まれる網横線材41により、支柱3に対して上下方向にずれてしまうのを強固に防止することができる。また、格子金網は、横方向から挟み込まれる網縦線材42により、支柱3に対して横方向にずれてしまうのを強固に防止することが可能となる。
【0036】
また、上述した構成からなる本発明によれば、例えば図2に示すように設置面2が傾斜状に配設されている場合においても、支柱3に対する格子金網4の高さを自在に調整することができる。具体的には、上下2本組の柱横線材31の両端の格子金網4上の網横線材41の嵌合位置を自在にシフトさせることにより高さ調整を実現することができる。また、設置面2が傾斜状ではなく階段状のものであっても、同様に支柱3に対する格子金網4の高さを自在に調整することができる。
【0037】
また、本発明によれば隣接する支柱3間の間隔も自在に設定することが可能となる。即ち、上下2本組の柱横線材31の両端の格子金網4上の網横線材41の嵌合位置を横方向にシフトさせることにより、その支柱3の横方向の取り付け位置をも自由に設定することが可能となる。
【0038】
更に、本発明によれば、格子金網4と支柱3との間で一体感が生まれ、デザイン的にも優れたものとして構成することが可能となる。この一体感は、格子金網4における網横線材41と、支柱3における柱横線材31の間隔がほぼ同一で構成されている点等から生まれるものであって、これを外側から視認した場合に違和感を起こさせない。
【0039】
また、支柱3と格子金網4とを互いに取り付ける際には、支柱3における2本の柱縦線材32a、32bに、格子金網4の網横線材41を当接させ、更に柱横線材31の両端を、柱縦線材32a、32bと網縦線材42の間に嵌め込ませて固定すればよいため、特に金具や工具を一切必要としない。このため、メッシュフェンス1を組み立てる工程が簡略化され、誰もが容易に組み立てが可能となる。
【0040】
なお、本発明を適用したメッシュフェンス1は、上述した構成に限定されるものではない。例えば図10に示すように、支柱3は、柱縦線材32に外接するように巻き回された補強部材45をさらに備えるようにしてもよい。図10の例では、4本の柱縦線材32a〜32dの周囲に略台形状の環を構成するように補強部材45を巻回したものである。補強部材45は、金属製の線材で構成されている。この補強部材45は、4本の柱縦線材32a〜32dを複数周回に亘り巻回したものであってもよい。また、この補強部材45は、完全に環状に構成する場合のみならず、複数本の柱縦線材32のうち一部のみに取り付けられるものであってもよい。このような補強部材45を取り付けることにより、支柱3の強度、安定性をより向上させることが可能となる。
【0041】
また、本発明を適用したメッシュフェンス1は、例えば図11(a),(b)に示すように、網縦線材42を、網横線材41の表裏に2本組で交互に取り付けられるものであってもよい。即ち網縦線材42は、2本組で配設されてなり、網横線材41に対して図11(a)中、A方向とC方向に向けて交互に取り付けられている。これにより、メッシュフェンス1は、表裏の概念が無くなることから、施工時に表側か裏側に注意する必要も無くなり、施工効率を向上させることが可能となる。ちなみに、この網縦線材42は、2本組で構成される場合に限定されるものではなく、2本以上で1つの組を作るものであればいかなるものであってもよい。また、このように網縦線材42を、網横線材41の表裏に2本組で交互に取り付けることにより、格子金網4自体の強度を向上させることが可能となる。そして、この格子金網4自体の強度を向上させることができることから、格子金網4の上端に胴縁を設ける必要性も無くなる。その結果、格子金網4自体を90°に折り曲げる際にかかる同縁が障害になることも無くなり、格子金網4によりコーナー部を形成する際においても好適なものとなる。
【0042】
また、本発明では、このように格子金網4自体の機械的強度を向上させることができるため、支柱3の上端を格子金網4の上端から突き出させ、又はそれと同程度の高さまで合わせる必要も無くなる。例えば図1、2に示すように、支柱3の上端じゃ、格子金網4の中段程度の位置に合わせるものであってもよい。格子金網4自体の強度が高いものであることから、支柱3の上端を格子金網4の上端まで合わせる必要が無くなる。
【0043】
また、本発明を適用したメッスフェンス1は、図11(b)に示すように、この2本組で配設される網縦線材42の上端が互いに連結されている1本の線材で構成されていてもよい。即ち、この網縦線材42は、1本の線材を折曲げ、かかる折曲げ部を上端として2本組となるように形成したものである。これにより、格子金網4の上端に線材の鋭利な端面が現れるのを防止することができ、安全性を向上させることができ、施工時の取扱性も改善することが可能となる。
【0044】
同様に図11(b)に示すように、2本組の網横線材41の端部が互いに連結されている1本の線材で構成されていてもよい。これにより、格子金網4の左右端に線材の鋭利な端面が現れるのを防止することができ、安全性を向上させることができ、施工時の取扱性も改善することが可能となる。
【0045】
また本発明では、図12に示すように網横線材41の断面形状を扁平状に形成させるようにしてもよい。これにより、格子金網4全体を面としてとらえたときの面強度を向上させることが可能となる。
【0046】
更に上述した格子金網4は、例えば図13(a)に示すように、調整パネル6が配設されていてもよい。この調整パネル6は、例えば隣接する2つの格子金網4間に中途半端な間隔が残ってしまった場合において、その間隔を埋めるべく配設されるものである。
【0047】
調整パネル6は、パネル縦線材62とパネル横線材61とを格子状に固着させてメッシュ状に構成されている。このパネル縦線材62は、隣接する他のパネル縦線材62との間で所定間隔をおいて設けられている。またパネル横線材61は、隣接する他のパネル横線材61との間で所定間隔をおいて配設されている。このパネル縦線材62とパネル横線材61とは、互いに略直交する関係にあり、長方形状又は正方形状の格子模様を形成するものである。この調整パネル6において、上下2本組とされたパネル横線材61の間隔は、網横線材41の間隔に応じたものとなっている。
【0048】
図13(b)は、この調整パネル6を実際に格子金網4に配設した状態を示している。このとき、上下2本組のパネル横線材61が網横線材41により挟み込まれるようにして嵌め込まれることになる。このとき、上下2本組のパネル横線材61が網横線材41を挟み込むようにして嵌め込まれるものであってもよい。
【0049】
これにより、特に金具や工具を一切必要とせずに調整パネル6を格子金網4に配設することが可能となり、作業工程をより簡略化させることが可能となる。
【0050】
ちなみに、この調整パネル6は、パネル縦線材62の構成は必須とならず、その代替として板材等、いかなる部材を用いてパネル横線材61が取り付けられるものであってもよい。またパネル横線材61の構成としては、横方向へ突出させた複数本で構成されていればいかなるものであってもよい。また、図13に示すように上下2本組のパネル横線材61の先端が互いに接続された1本の線材で構成されている場合に限定されるものではなく、互いにその先端が接続されていない形態で構成されていてもよい。また、このパネル横線材61は、両横方向から突出されている場合のみならず、何れか一の横方向から突出されていればよい。
【符号の説明】
【0051】
1 メッシュフェンス
2 設置面
3 支柱
4 格子金網
31 柱横線材
32 柱縦線材
41 網横線材
42 網縦線材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視で凸状となるように折り曲げられた線材からなる柱横線材が上下方向に間隔をおいて複数配置され、上記複数の柱横線材に溶接された3本以上の柱縦線材を有する支柱と、
網縦線材と網横線材とを格子状に溶接させた格子金網とを備え、
上記格子金網は、その網横線材が上記支柱の2本の柱縦線材に当接され、上記網横線材に当接された柱縦線材と上記網縦線材との間に、上記柱横線材の両端を嵌め込ませてなるとともに、上下2本組の上記柱横線材の両端が更に上記網横線材により挟み込まれ又はこれを挟み込むように嵌め込まれることにより、上記支柱に取り付けられていること
を特徴とするメッシュフェンス。
【請求項2】
上記支柱は、更に上記柱縦線材に外接するように巻き回された補強部材を更に備えること
を特徴とする請求項1記載のメッシュフェンス。
【請求項3】
上記網縦線材は、上記網横線材の表裏に2本以上の組で交互に取り付けられていること
を特徴とする請求項1又は2記載のメッシュフェンス。
【請求項4】
上記網縦線材は2本組からなり、その上端が互いに連結されている1本の線材で構成されていること
を特徴とする請求項1〜3のうち何れか1項記載のメッシュフェンス。
【請求項5】
2本組の上記網横線材は、その端部が互いに連結されている1本の線材で構成されていること
を特徴とする請求項1〜4のうち何れか1項記載のメッシュフェンス。
【請求項6】
上記網横線材は、その断面形状が扁平状とされていること
を特徴とする請求項1〜5のうち何れか1項記載のメッシュフェンス。
【請求項7】
上記格子金網には、調整パネルが配設され、
上記調整パネルは、横方向へ突出させた複数本のパネル横線材を備え、上下2本組の上記パネル横線材が上記網横線材により挟み込まれ又はこれを挟み込むように嵌め込まれてなること
を特徴とする請求項1〜6のうち何れか1項記載のメッシュフェンス。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2012−62703(P2012−62703A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−208552(P2010−208552)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(593211636)株式会社ニッケンフェンスアンドメタル (26)
【出願人】(000006839)日鐵住金建材株式会社 (371)
【Fターム(参考)】