説明

メモリモジュール検査システム、情報処理装置及び記憶装置

【課題】情報処理装置に装着された状態のメモリモジュールを検査できるメモリモジュール検査システム、情報処理装置、及びメモリモジュールの検査に必要なデータを記憶する記憶装置を提供する。
【解決手段】記憶装置2は、情報処理装置1で使用されるメモリモジュール4の正しい仕様を示す仕様データを仕様データ記憶部5で記憶している。情報処理装置1は、仕様データ記憶部5から仕様データを読み出し、メモリモジュール4のSPDメモリ(不揮発性メモリ)41に記憶している仕様データが正しいか否かを判定し、正しくない場合はSPDメモリ41の記憶内容を書き換える。また、記憶装置2のプログラム記憶部25は、メモリモジュール4の検査に必要なプログラムを記憶しており、情報処理装置1は、プログラム記憶部25からダウンロードしたプログラムに従ってメモリモジュール4の検査の処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置が備えるメモリモジュールを検査するメモリモジュール検査システム、情報処理装置、及びメモリモジュールの検査に必要なデータを記憶する記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ又は画像形成装置等の情報処理装置は、複数のメモリチップを含んでなるメモリモジュールを備えている。メモリモジュールの例としては、DIMM(Dual Inline Memory Module )又はSIMM(Single Inline Memory Module )がある。メモリモジュールには、記憶容量及びアクセス速度等のメモリモジュールの仕様を示す仕様データを記憶している不揮発性メモリが搭載されている。情報処理装置は、仕様データを不揮発性メモリから読み出し、読み出した仕様データに基づいてメモリモジュールを制御する。メモリモジュールに仕様データを組み込んでおく規格は、SPD(Serial Presence Detect)と呼ばれている。以下、仕様データを記憶する不揮発性メモリをSPDメモリと言う。SPDメモリとしては、通常、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory )が用いられる。
【0003】
間違った仕様データがSPDメモリに記憶されている場合は、メモリモジュールが正常に動作しないので、メモリモジュールの製造時には、正しい仕様データが記憶されるようにSPDメモリの記憶内容を管理する必要がある。また、SPDメモリとメモリチップとが別個に製造され、メモリモジュールが組み立てられる際に、SPDメモリの製造時とはメモリモジュールの仕様が変更されることがある。この場合には、SPDメモリの記憶内容を書き換える必要がある。特許文献1には、メモリモジュールに搭載されたSPDメモリの記憶内容を検査し、必要に応じてデータをSPDメモリに書き込む技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−357691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の技術では、前述のようにメモリモジュールの検査は可能であるものの、個々のメモリモジュールを装着して検査するための特別な検査装置が必要であった。このため、情報処理装置に装着された状態のメモリモジュールを検査することは困難であった。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、情報処理装置にメモリモジュールの検査の処理を実行させることにより、情報処理装置に装着された状態のメモリモジュールを検査することを可能にするメモリモジュール検査システム、情報処理装置、及びメモリモジュールの検査に必要なデータを記憶する記憶装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るメモリモジュール検査システムは、メモリモジュールを備える情報処理装置と、該情報処理装置に着脱可能であり、前記メモリモジュールを検査するためのデータを記憶する記憶装置とを含むメモリモジュール検査システムであって、前記メモリモジュールは、当該メモリモジュールの仕様を示す仕様データを記憶している書き換え可能な不揮発性メモリを有し、前記記憶装置は、前記不揮発性メモリに記憶されているべき仕様データを記憶している仕様データ記憶部を有し、前記情報処理装置は、前記記憶装置が接続された状態で、前記仕様データ記憶部から仕様データを読み出す読み出し手段と、前記不揮発性メモリに記憶している仕様データと前記読み出し手段が読みだした仕様データとが一致するか否かを判定する判定手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明に係るメモリモジュール検査システムは、前記情報処理装置は、前記不揮発性メモリに記憶している仕様データと前記読み出し手段が読みだした仕様データとが一致しないと前記判定手段が判定した場合に、前記不揮発性メモリの記憶内容を前記読み出し手段が読みだした仕様データに書き換える書き換え手段を更に備えることを特徴とする。
【0009】
本発明に係るメモリモジュール検査システムは、前記情報処理装置は、プログラムに従ったデータ処理を実行するデータ処理部を備え、前記記憶装置は、前記データ処理部に前記読み出し手段、前記判定手段及び前記書き換え手段としての処理を実行させるためのプログラムを記憶しているプログラム記憶部を更に備え、前記情報処理装置は、更に、前記記憶装置が接続された場合に、前記プログラム記憶部から前記プログラムを読み込む読み込み手段を備え、前記読み出し手段、前記判定手段及び前記書き換え手段は、前記読み込み手段が読みこんだ前記プログラムに従ったデータ処理を実行するデータ処理部を用いて構成されることを特徴とする。
【0010】
本発明に係るメモリモジュール検査システムは、前記仕様データ記憶部は、複数の仕様データを記憶してあり、前記記憶装置は、前記複数の仕様データの中から前記不揮発性メモリに記憶されているべき一つの仕様データを変更可能に設定する設定手段を更に備え、前記情報処理装置は、前記記憶装置が接続された場合に、前記設定手段で設定してある前記一つの仕様データを特定する特定手段を更に備え、前記読み出し手段は、前記複数の仕様データの内、前記特定手段が特定した仕様データを読み出す構成としてあることを特徴とする。
【0011】
本発明に係るメモリモジュール検査システムは、前記情報処理装置及び前記記憶装置は、複数の通信線を通じてデータ送受信を行うUSB(Universal Serial Bus)3.0で接続される構成となっており、前記読み込み手段は、USB2.0のプロトコルを用いて前記プログラムを読み込む構成としてあり、前記読み出し手段は、前記複数の通信線の内でUSB2.0で使用しない通信線を通じて、前記仕様データ記憶部から仕様データを読み出す構成としてあることを特徴とする。
【0012】
本発明に係るメモリモジュール検査システムは、前記仕様データ記憶部は、複数の仕様データを記憶してあり、前記記憶装置は、前記複数の仕様データの中から前記不揮発性メモリに記憶されているべき一つの仕様データを変更可能に設定する設定手段を更に備え、前記情報処理装置は、前記記憶装置が接続された場合に、前記複数の通信線の内でUSB2.0で使用しない通信線を通じて、前記設定手段で設定してある前記一つの仕様データを特定する特定手段を更に備え、前記読み出し手段は、前記複数の通信線の内でUSB2.0で使用しない通信線を通じて、前記複数の仕様データの内、前記特定手段が特定した仕様データを読み出す構成としてあることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る情報処理装置は、メモリモジュールを備える情報処理装置において、前記メモリモジュールは、当該メモリモジュールの仕様を示す書き換え可能な不揮発性メモリを有しており、外部から送信された任意の仕様データを受信する手段と、該手段が受信した仕様データと前記不揮発性メモリに記憶している仕様データとが一致するか否かを判定する手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る記憶装置は、外部の情報処理装置に着脱可能な記憶装置において、任意のメモリモジュールの仕様を示す仕様データを記憶している仕様データ記憶部と、任意のメモリモジュールを備え、該メモリモジュールの仕様を示す仕様データを記憶している情報処理装置に、該情報処理装置で記憶している仕様データと前記仕様データ記憶部で記憶している仕様データとが一致するか否かを判定する処理を実行させるためのプログラムを記憶している手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
本発明においては、情報処理装置は、接続された記憶装置からメモリモジュールの仕様データを読み出し、備えているメモリモジュール中の不揮発性メモリに記憶されている仕様データと読み出した仕様データとが一致するか否かを判定する。この処理により、情報処理装置は、備えているメモリモジュール中の不揮発性メモリに記憶されている仕様データが、メモリモジュールの正しい仕様を示す仕様データであるかを検査する。
【0016】
また本発明においては、情報処理装置は、備えているメモリモジュール中の不揮発性メモリに記憶されている仕様データと読み出した仕様データとが一致しない場合に、不揮発性メモリの記憶内容を読み出した仕様データに書き換える。必要に応じた仕様データの書き換えを情報処理装置で実行することができる。
【0017】
また本発明においては、情報処理装置は記憶装置からプログラムを読み込み、読み込んだプログラムに従ってメモリモジュールの検査の処理を実行する。
【0018】
また本発明においては、記憶装置は複数種類の仕様データを記憶しており、何れの仕様データが正しい仕様を示す仕様データであるかを設定部で設定し、情報処理装置は、設定部で設定された正当な仕様データを読み出す。設定部での設定を変更することにより、メモリモジュールの仕様を示す正当な仕様データを切り替えることができる。
【0019】
また本発明においては、記憶装置はUSB3.0のインタフェースで情報処理装置に接続され、情報処理装置は、USB2.0を利用してプログラムを読み込み、USB2.0で使用しない信号線を介して仕様データの読み出しを行う。このように、メモリモジュール検査システムは、既存のインタフェースを利用してメモリモジュールの検査の処理を実行する。
【発明の効果】
【0020】
本発明にあっては、個々のメモリモジュールを装着して検査するための特別な検査装置を必要とせずに、情報処理装置に装着された状態のメモリモジュールの検査を行うことが可能となる。また、作業者は、情報処理装置に記憶装置を接続するだけで、容易にメモリモジュールの検査を行うことができる等、本発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明のメモリモジュール検査システムの外観を示す概念図である。
【図2】メモリモジュール検査システムに含まれる情報処理装置及び記憶装置の内部の機能構成を示すブロック図である。
【図3】設定部での設定内容の例を示す概念図である。
【図4】メモリモジュール検査システムが実行するメモリモジュールの検査の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】単独の仕様データを記憶する記憶装置の内部の機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。
図1は、本発明のメモリモジュール検査システムの外観を示す概念図である。本発明のメモリモジュール検査システムは、メモリモジュールを内部に備えた情報処理装置1と、情報処理装置1に着脱可能な記憶装置2とからなる。本実施の形態では、情報処理装置1が画像形成装置である例を示す。記憶装置2は、情報処理装置1に接続された場合に情報処理装置1がメモリモジュールを検査する処理を行うために必要なデータを記憶している。メモリモジュールの検査は、情報処理装置1の製造時に行われる。情報処理装置1の販売時には、記憶装置2は販売されない。
【0023】
図2は、メモリモジュール検査システムに含まれる情報処理装置1及び記憶装置2の内部の機能構成を示すブロック図である。情報処理装置1は、記憶装置2が接続するためのコネクタであるUSB(Universal Serial Bus)3.0ソケット11を備えている。USB3.0ソケット11は、データの入出力を行うインタフェースであるUSB3.0に対応したコネクタである。USB3.0は九本の信号線を用いてデータを入出力するインタフェースであり、USB3.0ソケット11には九本の信号線が接続されている。またUSB3.0は、USB2.0と後方互換性を有している。USB2.0は、四本の信号線を用いてデータを入出力するインタフェースである。USB3.0ソケット11に接続された九本の信号線の内、USB2.0では四本の信号線が使用される。USB2.0で使用される四本の信号線は、電力線121と、二本の信号線122、123と、グラウンド線124からなる。電力線121は、USB3.0ソケット11に接続された記憶装置2へ電力を供給する電力供給部15に接続されている。また、USB3.0ソケット11に接続された九本の信号線には、USB2.0で使用されない五本の信号線131、132、133、134、135が含まれる。
【0024】
更に、情報処理装置1は、マイコン3及びメモリモジュール4を備えている。マイコン3は、任意のプログラムに従ったデータ処理を実行するデータ処理部31と、USB2.0ホストコントローラ32と、メモリコントローラ35とを含んで構成されている。メモリモジュール4は、複数の半導体メモリチップと、SPDメモリ41とを含んで構成されている。メモリモジュール4は例えばDIMMである。SPDメモリ41は、メモリモジュール4の仕様を示す仕様データを記憶している不揮発性メモリであり、EEPROMでなる。メモリモジュール4は、メモリコントローラ35に接続されている。メモリコントローラ35は、メモリモジュール4からのデータの読み出し、及びメモリモジュール4へのデータの書き込みを行う。なお、情報処理装置1は、複数のメモリモジュール4を備えていてもよい。
【0025】
また、マイコン3は、I2 Cインタフェース部33を含んでいる。I2 Cインタフェースは、メモリモジュール4上のSPDメモリ41へのアクセスを可能にする内部インタフェースである。I2 Cインタフェース部33は、信号線131、132でメモリモジュール4上のSPDメモリ41に接続されており、更にUSB3.0ソケット11に接続されている。また、マイコン3は、入力部34を含んでおり、入力部34には信号線133、134、135が接続されている。また、マイコン3は、インタフェース部36を含んでいる。インタフェース部36には、データ処理部31がデータ処理を実行するために必要なプログラムを記憶するメモリであるプログラム格納部14が接続されている。マイコン3には、データ処理部31でのデータ処理に伴う一時的なデータを記憶する図示しないメモリが含まれている。更に、マイコン3には、原稿画像を光学的に読み取って画像データを生成する画像読取部、又は画像データに基づいた画像を形成する画像形成部等、情報処理装置1が画像形成装置として必要な各種の処理を実行するための図示しない各種のデバイスが接続されている。
【0026】
記憶装置2は、USB3.0ソケット11に接続するためのコネクタであるUSB3.0プラグ21を備えている。USB3.0プラグ21は、USB3.0に対応した接続コネクタである。USB3.0プラグ21には、電力線221と、信号線222、223と、USB2.0で使用されない五本の信号線231,232,233,234,235とが接続されている。記憶装置2は、USB2.0のデバイス側の処理を行うUSB2.0コントローラ24を備え、USB2.0コントローラ24には電力線221及び信号線222、223が接続されている。またUSB2.0コントローラ24には、情報処理装置1のデータ処理部31にメモリモジュール検査のデータ処理を実行させるためのプログラムを記憶しているプログラム記憶部25が接続されている。プログラム記憶部25は不揮発性のメモリである。
【0027】
また、記憶装置2は、メモリモジュールの仕様データを記憶している仕様データ記憶部5を備えている。仕様データ記憶部5は、複数のメモリを含んでなり、夫々のメモリは、互いに記憶容量が異なるメモリモジュール用の仕様データを記憶している。図2に示した例では、仕様データ記憶部5は、256MB用の仕様データを記憶するメモリ51と、512MB用の仕様データを記憶するメモリ52と、1GB用の仕様データを記憶するメモリ53と、2GB用の仕様データを記憶するメモリ54とを含んでいる。メモリ51、52、53、54の夫々には、信号線231、232が接続されている。仕様データ記憶部5には、電力線221に接続されたDCDCコンバータ26から電力が供給される構成となっている。
【0028】
また、記憶装置2は、メモリモジュール4の正当な仕様を設定してある設定部27を備えている。図2に示す例では、設定部27は、メモリモジュールの記憶容量が256MB、512MB、1GB又は2GBの何れであるのかを設定している。設定部27には信号線233、234、235が接続されている。設定部27は、信号線233、234、235の夫々の電位をハイ又はローに定めることによってメモリモジュール4の仕様を定める構成となっている。また、設定部27は、ディップスイッチを用いて信号線233、234、235の夫々の電位をハイ又はローの一方から他方へ切り替える構成等、設定内容を変更可能な構成となっている。
【0029】
図3は、設定部27での設定内容の例を示す概念図である。信号線233の電位がハイ、信号線234の電位がロー、信号線235の電位がハイになっている状態は、メモリモジュール4の仕様が、記憶容量が256MBである仕様に設定されていることを示す。信号線233の電位がハイ、信号線234の電位がロー、信号線235の電位がローになっている状態は、記憶容量が512MBである仕様に設定されていることを示す。信号線233の電位がハイ、信号線234の電位がハイ、信号線235の電位がローになっている状態は、記憶容量が1GBである仕様に設定されていることを示す。信号線233の電位がロー、信号線234の電位がハイ、信号線235の電位がハイになっている状態は、記憶容量が2GBである仕様に設定されていることを示す。記憶装置2が情報処理装置1に接続された状態では、信号線233、234、235は信号線133、134、135に接続され、マイコン3は、入力部34に接続された信号線133、134、135を通じて信号線233、234、235の電位を検出する。情報処理装置1は、記憶装置2が接続されていない状態では信号線133、134、135の全ての電位がハイになる構成となっている。設定部27は、信号線233、234、235の全ての電位がハイになる設定にはできない構成となっている。信号線233、234、235の電位のその他の組み合わせは未使用の状態となっている。図3に示すごとき設定部27での設定とメモリモジュール4の仕様との関係を示すデータは、マイコン3に予め記憶されている。
【0030】
次に、メモリモジュール検査システムの動作を説明する。工場において情報処理装置1が製造される際、メモリモジュール4が情報処理装置1に実装された後に、メモリモジュール4の検査が行われる。設定部27では、情報処理装置1の設計に合わせたメモリモジュール4の正当な仕様が作業者の操作によって予め設定されている。作業者は、情報処理装置1の仕様書通りに正しく設定部27の設定を行っておく。
【0031】
図4は、メモリモジュール検査システムが実行するメモリモジュール4の検査の処理手順を示すフローチャートである。メモリモジュール4の検査は、情報処理装置1の製造時にメモリモジュール4が実装されたとき、情報処理装置1に記憶装置2が装着されたとき、又は作業者の操作により検査実行の指示が情報処理装置1に入力されたとき等に実行される。マイコン3のデータ処理部31は、まず、入力部34に接続された信号線133、134、135の電位を検知する(S1)。データ処理部31は、次に、電位の検知結果に基づいて、記憶装置2が情報処理装置1に装着されているか否かを判定する(S2)。ステップS2では、データ処理部31は、検知した信号線133、134、135の電位が全てハイである場合に、記憶装置2は装着されていないと判定し、電位の組み合わせがその他の組み合わせである場合に、記憶装置2が装着されていると判定する。記憶装置2が装着されていない場合は(S2:NO)、データ処理部31は、メモリモジュール4の検査の処理を終了する。
【0032】
ステップS2で記憶装置2が装着されている場合は(S2:YES)、データ処理部31は、記憶装置2のプログラム記憶部25から、メモリモジュール検査用のプログラムを読み込む(S3)。ステップS3では、データ処理部31は、USB2.0ホストコントローラ32に、プログラム送信の命令を信号線122、123を通じて出力させる。プログラム送信の命令は信号線222、223を通じてUSB2.0コントローラ24へ入力され、USB2.0コントローラ24は、プログラム記憶部25が記憶しているメモリモジュール検査用のプログラムを読み出し、信号線222、223を通じて送信する。送信されたプログラムは、信号線122、123を通じてUSB2.0ホストコントローラ32へ入力される。データ処理部31は、USB2.0ホストコントローラ32へ入力されたプログラムをインタフェース部36から出力してプログラム格納部14に記憶させる。ステップS3以降、データ処理部31は、プログラム格納部14に記憶したメモリモジュール検査用のプログラムに従ってデータ処理を実行する。
【0033】
データ処理部31は、次に、検出した信号線133、134、135の電位に基づいて、設定部27で設定されているメモリモジュール4の正当な仕様を検出する(S4)。データ処理部31は、次に、仕様データ記憶部5から、検出した正当な仕様を示す仕様データを読み出す(S5)。ステップS5では、データ処理部31は、I2 Cインタフェース部33に、仕様データ記憶部5中のメモリ51、52、53、54の内、正当な仕様を示す仕様データを記憶しているメモリから、信号線131、132及び信号線231、232を通じて仕様データを読み出させる。データ処理部31は、次に、メモリモジュール4のSPDメモリ41から仕様データを読み出す(S6)。ステップS6では、データ処理部31は、I2 Cインタフェース部33に、SPDメモリ41で記憶している仕様データを信号線131、132を通じて読み出させる。
【0034】
データ処理部31は、次に、SPDメモリ41から読み出した仕様データと仕様データ記憶部5から読み出した仕様データとが一致するか否かを判定する(S7)。仕様データが一致した場合は(S7:YES)、データ処理部31は、メモリモジュール4の検査の処理を終了する。仕様データが一致しない場合は(S7:NO)は、データ処理部31は、SPDメモリ41の記憶内容を、仕様データ記憶部5から読み出した正当な仕様データに書き換える(S8)。ステップS8では、データ処理部31は、I2 Cインタフェース部33に、信号線131、132を通じて、SPDメモリ41で記憶している仕様データを、仕様データ記憶部5から読み出した仕様データに書き換えさせる処理を行う。ステップS8が終了した後は、データ処理部31は、メモリモジュール4の検査の処理を終了する。情報処理装置1が複数のメモリモジュール4を備える形態では、データ処理部31は、個々のメモリモジュール4についてステップS1〜S8の処理を実行する。
【0035】
以上詳述した如く、本実施の形態では、情報処理装置1は、実装されているメモリモジュール4のSPDメモリ41に記憶されている仕様データが、メモリモジュール4の正しい仕様を示している正当な仕様データであるかを検査する。情報処理装置1は、メモリモジュール4のSPDメモリ41に記憶されている仕様データと接続された記憶装置2に記憶されている仕様データとを比較することにより、検査を行う。また情報処理装置1は、SPDメモリ41に記憶されている仕様データが正当な仕様データではない場合は、SPDメモリ41の記憶内容を記憶装置2に記憶されている仕様データに書き換える。このため、本発明では、個々のメモリモジュール4を装着して検査するための特別な検査装置が不必要となる。また、情報処理装置1に装着された状態のメモリモジュール4の検査を行うことが可能となる。また、作業者は、情報処理装置1の製造時に、情報処理装置1に記憶装置2を接続するだけで、容易にメモリモジュール4の検査を行うことができる。従って、本発明では、低コストでメモリモジュール4の検査を行うことが可能となる。検査を行った後は、SPDメモリ41には正しい仕様データが記憶されているので、メモリモジュール4は正常に動作することになる。
【0036】
また、本実施の形態においては、情報処理装置1は記憶装置2からプログラムを読み込み、読みこんだプログラムに従ってメモリモジュール4の検査の処理を実行する。このため、情報処理装置1は、メモリモジュール検査用のプログラムを記憶しておく必要が無く、情報処理装置1の製造コストの上昇が抑制される。また記憶装置2は複数種類の仕様データを記憶しており、何れの仕様データが正しい仕様を示す仕様データであるかは設定部27で設定される。これにより、互いに仕様の異なる複数種類の情報処理装置1が製造される場合でも、設定部27での設定を切り替えることにより、複数種類の情報処理装置1の夫々の仕様に応じたメモリモジュール4の検査が可能となる。
【0037】
また本実施の形態においては、記憶装置2はUSB3.0のインタフェースで情報処理装置1に接続され、情報処理装置1は、USB2.0で使用しない信号線を介して仕様データの読み出しを行う。メモリモジュール4の検査のために特別なインタフェースを使用せず、一般的なインタフェースを利用するので、情報処理装置1に必要な製造コストを低減することができる。また、USB2.0を利用する外部機器がUSB3.0ソケット11に接続され、情報処理装置1がこの外部機器とデータの入出力を行うことが可能であるので、情報処理装置1内に設けられた回路を有効に活用することができる。
【0038】
なお、本実施の形態においては、仕様データ記憶部5で複数の仕様データを記憶する形態を示したが、これに限るものでは無く、記憶装置2は、仕様データ記憶部5で単独の仕様データを記憶する形態であってもよい。図5は、単独の仕様データを記憶する記憶装置2の内部の機能構成を示すブロック図である。記憶装置2は、設定部27を備えておらず、仕様データ記憶部5は、単独のメモリからなり、単独の仕様データを記憶している。記憶装置2のその他の構成は、図2に示した形態と同様である。この形態の記憶装置2が情報処理装置1に接続された場合、情報処理装置1は、メモリモジュール4の検査の処理において、ステップS4の処理を実行せず、ステップS5では、仕様データ記憶部5に記憶された単独の仕様データを読み出す。この形態においても、情報処理装置1に装着された状態のメモリモジュール4を検査することが可能である。また、仕様データ記憶部5に記憶された仕様データが互いに異なる複数種類の記憶装置2を利用することにより、複数種類の情報処理装置1の夫々の仕様に応じたメモリモジュール4の検査も可能である。
【0039】
また、本実施の形態では、メモリモジュール4の仕様として記憶容量を検査する例を示したが、本発明では、アクセス速度等のメモリモジュール4のその他の仕様をも検査することが可能である。また、本実施の形態では、設定部27において信号線233、234、235の夫々の電位を定める形態を示したが、設定部27は設定内容を示すデータを記憶するメモリで構成された形態であってもよい。この形態では、より多数の仕様の中から正当な一つの仕様を設定することが可能となる。また、本実施の形態では、設定部27での設定とメモリモジュール4の仕様との関係を示すデータをマイコン3で予め記憶しておく形態を示したが、本発明は、このデータをプログラム記憶部25に記憶しておいて情報処理装置1が読み込む形態であってもよい。また、本実施の形態では、情報処理装置1に必要なデータ処理を主にマイコン3で実行する形態を示したが、情報処理装置1は、マイコン3の代わりに同等のデータ処理を分散して実行する複数の情報処理回路を備えた形態であってもよい。更に、本実施の形態では、情報処理装置1が画像形成装置である例を示したが、情報処理装置1は、コンピュータ又はゲーム機等、その他の形態であってもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 情報処理装置
11 USB3.0ソケット
2 記憶装置
21 USB3.0プラグ
25 プログラム記憶部
3 マイコン
31 データ処理部
4 メモリモジュール
41 SPDメモリ(不揮発性メモリ)
5 仕様データ記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリモジュールを備える情報処理装置と、該情報処理装置に着脱可能であり、前記メモリモジュールを検査するためのデータを記憶する記憶装置とを含むメモリモジュール検査システムであって、
前記メモリモジュールは、
当該メモリモジュールの仕様を示す仕様データを記憶している書き換え可能な不揮発性メモリを有し、
前記記憶装置は、
前記不揮発性メモリに記憶されているべき仕様データを記憶している仕様データ記憶部を有し、
前記情報処理装置は、
前記記憶装置が接続された状態で、前記仕様データ記憶部から仕様データを読み出す読み出し手段と、
前記不揮発性メモリに記憶している仕様データと前記読み出し手段が読みだした仕様データとが一致するか否かを判定する判定手段と
を備えることを特徴とするメモリモジュール検査システム。
【請求項2】
前記情報処理装置は、
前記不揮発性メモリに記憶している仕様データと前記読み出し手段が読みだした仕様データとが一致しないと前記判定手段が判定した場合に、前記不揮発性メモリの記憶内容を前記読み出し手段が読みだした仕様データに書き換える書き換え手段を更に備えること
を特徴とする請求項1に記載のメモリモジュール検査システム。
【請求項3】
前記情報処理装置は、
プログラムに従ったデータ処理を実行するデータ処理部を備え、
前記記憶装置は、
前記データ処理部に前記読み出し手段、前記判定手段及び前記書き換え手段としての処理を実行させるためのプログラムを記憶しているプログラム記憶部を更に備え、
前記情報処理装置は、更に、
前記記憶装置が接続された場合に、前記プログラム記憶部から前記プログラムを読み込む読み込み手段を備え、
前記読み出し手段、前記判定手段及び前記書き換え手段は、
前記読み込み手段が読みこんだ前記プログラムに従ったデータ処理を実行するデータ処理部を用いて構成されること
を特徴とする請求項2に記載のメモリモジュール検査システム。
【請求項4】
前記仕様データ記憶部は、複数の仕様データを記憶してあり、
前記記憶装置は、
前記複数の仕様データの中から前記不揮発性メモリに記憶されているべき一つの仕様データを変更可能に設定する設定手段を更に備え、
前記情報処理装置は、
前記記憶装置が接続された場合に、前記設定手段で設定してある前記一つの仕様データを特定する特定手段を更に備え、
前記読み出し手段は、
前記複数の仕様データの内、前記特定手段が特定した仕様データを読み出す構成としてあること
を特徴とする請求項1から3までの何れか一つに記載のメモリモジュール検査システム。
【請求項5】
前記情報処理装置及び前記記憶装置は、
複数の通信線を通じてデータ送受信を行うUSB(Universal Serial Bus)3.0で接続される構成となっており、
前記読み込み手段は、
USB2.0のプロトコルを用いて前記プログラムを読み込む構成としてあり、
前記読み出し手段は、
前記複数の通信線の内でUSB2.0で使用しない通信線を通じて、前記仕様データ記憶部から仕様データを読み出す構成としてあること
を特徴とする請求項3に記載のメモリモジュール検査システム。
【請求項6】
前記仕様データ記憶部は、複数の仕様データを記憶してあり、
前記記憶装置は、
前記複数の仕様データの中から前記不揮発性メモリに記憶されているべき一つの仕様データを変更可能に設定する設定手段を更に備え、
前記情報処理装置は、
前記記憶装置が接続された場合に、前記複数の通信線の内でUSB2.0で使用しない通信線を通じて、前記設定手段で設定してある前記一つの仕様データを特定する特定手段を更に備え、
前記読み出し手段は、
前記複数の通信線の内でUSB2.0で使用しない通信線を通じて、前記複数の仕様データの内、前記特定手段が特定した仕様データを読み出す構成としてあること
を特徴とする請求項5に記載のメモリモジュール検査システム。
【請求項7】
メモリモジュールを備える情報処理装置において、
前記メモリモジュールは、当該メモリモジュールの仕様を示す書き換え可能な不揮発性メモリを有しており、
外部から送信された任意の仕様データを受信する手段と、
該手段が受信した仕様データと前記不揮発性メモリに記憶している仕様データとが一致するか否かを判定する手段と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
外部の情報処理装置に着脱可能な記憶装置において、
任意のメモリモジュールの仕様を示す仕様データを記憶している仕様データ記憶部と、
任意のメモリモジュールを備え、該メモリモジュールの仕様を示す仕様データを記憶している情報処理装置に、該情報処理装置で記憶している仕様データと前記仕様データ記憶部で記憶している仕様データとが一致するか否かを判定する処理を実行させるためのプログラムを記憶している手段と
を備えることを特徴とする記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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