説明

メモリ制御装置および画像形成システム

【課題】入力された順にデータをメモリに書き込むとともに、そのメモリに書き込まれたデータを使用する順に読み出すメモリ制御装置において、より効率的なメモリへのデータの書き込みを行う。
【解決手段】書込制御部4が、可変長制御処理を行うよう設定されているときに、次にメモリに書き込まれるべきデータが取りうる最大データ量が所定のデータ量以上である場合には、メモリを最大データ量で分割して複数の固定領域を生成し、その複数の固定領域のうち空き領域となっている固定領域がある場合にその固定領域に次にメモリに書き込まれるべきデータを書き込む固定長制御処理に設定を切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力された順にデータをメモリに書き込むとともに、そのメモリに書き込まれたデータを使用する順に読み出すメモリ制御装置およびそのメモリ制御装置を備えた画像形成システムに関するものであり、特に、入力されたデータのメモリへの書込制御に特徴を有するメモリ制御装置および画像形成システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、入力されたデータを順次受け付け、その受け付けたデータを入力された順にRAMなどのバッファメモリに書き込むとともに、そのバッファメモリに書き込まれたデータを使用する順に読み出すメモリ制御装置が提案されている。
【0003】
そして、たとえば、インクジェットプリンタなどに用いられるバッファメモリにはその記憶容量に制限があり、特に、インクジェットプリンタで用いられる画像データはそのデータ量が多いので、バッファメモリをできるだけ効率的に利用することが望ましい。
【0004】
このような要望に対し、たとえば、特許文献1には、バッファメモリを効率的に利用する方法の1つが提案されている。具体的には、特許文献1には、画像データが読み出されて削除された空き領域が隣接する場合には、その隣接する空き領域を1つの空き領域とし、その空き領域と次にバッファメモリに書き込まれるべきデータのデータ量とを比較し、空き領域が上記データ量以上ある場合にその空き領域にデータを書き込む、いわゆる可変長制御処理を利用した方法が提案されており、これにより小さい空き領域が断片化してバッファメモリの利用効率が低下するのを防止することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−207634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、たとえば、両面プリントを行うインクジェットプリンタなどにおいては、バッファメモリから画像データを読み出す順番がバッファメモリに画像データを書き込んだ順番と異なる場合があり、このような場合に、特許文献1に記載の方法を採用したとしても結合した空き領域が断片化することがあり、このような断片化が生じるとその結合空き領域よりも大きなデータ量の画像データが入力された場合に、書き込むことができない問題が生じる。そして、一般的な両面プリントのプリンタにおいては、記録用紙の両面に記録される画像データが共にバッファメモリに書き込まれるまではその記録用紙の給紙を行わないように構成されているため、画像データが読み出されて十分な空き領域が確保されるまで給紙が行われないタイミングが生じ、いわゆる息つぎを発生してしまう場合がある。このような問題が生じる一例を以下に説明する。
【0007】
たとえば、図3に示すように、インクジェットプリンタの搬送路が構成されているものとする。すなわち、矢印A方向から搬送された記録用紙をインクジェットヘッド12aまで搬送し、インクジェットヘッド12aによって画像が一方の面に形成された記録用紙を矢印B方向(上方)に搬送し、さらにその記録用紙を反転搬送路12bに向かって矢印C方向に搬送し、反転搬送路12bにおいて矢印D方向に搬送した後に逆方向の矢印E方向に向かって搬送し、まだ画像が形成されていない他方の面がインクジェットヘッド12a側に向いた状態の記録用紙を再びインクジェットヘッド12aまで搬送するように構成されており、同時に4枚の記録用紙101〜104が搬送されるように構成されているとする。このような構成の場合、各記録用紙への画像形成の順番は、まず一枚目の記録用紙101の表面、次に2枚目の記録用紙102の表面、3枚目の記録用紙103の表面、1枚目の記録用紙101の裏面、4枚目の記録用紙104の表面、2枚目の記録用紙102の裏面、3枚目の記録用紙103の裏面、最後に4枚目の記録用紙104の裏面という順番になる。
【0008】
すなわち、第1頁から第8頁の画像を4枚の記録用紙101〜104に順に両面プリントする場合、その画像形成の順番は、第1頁の画像、第3頁の画像、第5頁の画像、第2頁の画像、第7頁の画像、第4頁の画像、第6頁の画像、第8頁の画像の順になる。
【0009】
一方、バッファメモリには、第1頁の画像データから第8頁の画像データが、アドレスが小さい方から順に書き込まれる。図8(a)は第1頁の画像データから第8頁の画像データを含むプリントジョブデータが入力され、その各頁の画像データがバッファメモリに書き込まれた状態を示している。なお、図8においては、第1頁から第8頁の画像データをP1からP8で表わしている。また、図8においては、画像データのデータ量を各画像データのブロックの面積で表わしている。
【0010】
そして、図8(a)の状態から各頁の画像データが使用される順(上述した画像形成の順)に読み出されるとともに、次に入力されたプリントジョブデータの画像データが空き領域に順次書き込まれることになるが、次に入力されるプリントジョブデータが、最初のプリントジョブデータの用紙サイズよりも大きい用紙サイズのものであり、図8に示すようなデータ量(ブロックの面積)の第1頁から第4頁の画像データP1’〜P4’を含むものである場合には、図8(b)〜(e)に示すように、最初のプリントジョブデータの第2頁の画像データP2が読み出されて空き領域が結合された時点で、次のプリントジョブデータの第1頁の画像データP1’を書き込める空き領域が確保され、第1の画像データP1’と第2頁の画像データP2’が書き込まれることになる。
【0011】
そして、さらに、図8(f)〜図8(h)に示すように、最初のプリントジョブデータの第7頁の画像データP7、第4の画像データP4および第6頁の画像データP6が読み出されて空き領域が結合され、次のプリントジョブデータの第3頁の画像データP3’を書き込める空き領域が確保された時点で、第3頁の画像データP3’が書き込まれる。
【0012】
そして、次に、第8頁の画像データP8が読み出されて結合された空き領域に次ぎのジョブの第4頁の画像データP4’を書き込むことになるが、最初のプリントジョブデータの用紙サイズよりも次に入力されたプリントジョブデータの用紙サイズの方が大きく、次のプリントジョブデータの第4頁の画像データP4’のデータ量が大きい場合には、図8(i)に示すように、結合した空き領域に書き込むができないことになり、上述した息つぎを発生してしまうことになる。
【0013】
本発明は、上記の事情に鑑み、より効率よくメモリにデータを書き込むことによって、たとえば、上述したような息つぎが発生するのを防止することができるメモリ制御装置およびそのメモリ制御装置を用いた画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のメモリ制御装置は、入力されたデータを順次受け付け、その受け付けたデータを入力された順にメモリに書き込む書込制御部と、書込制御部によりメモリに書き込まれたデータを使用する順に読み出すとともに、その読み出したデータをメモリから削除する読出制御部とを備えたメモリ制御装置であって、書込制御部が、データが削除された後の空き領域が隣接する場合にはその隣接する空き領域を1つの使用空き領域として管理し、その使用空き領域および隣接する空き領域が存在しない単一空き領域と次にメモリに書き込まれるべきデータのデータ量とを比較し、使用空き領域および単一空き領域のいずれかがデータ量以上の場合に上記空き領域にデータを書き込む可変長制御処理を行うものであるとともに、可変長制御処理を行うよう設定されているときに、次にメモリに書き込まれるべきデータが取りうる最大データ量が所定のデータ量以上である場合には、メモリを最大データ量で分割して複数の固定領域を生成し、その複数の固定領域のうち空き領域となっている固定領域がある場合にその固定領域に次にメモリに書き込まれるべきデータを書き込む固定長制御処理に設定を切り替えるものであることを特徴とする。
【0015】
ここで、上記「使用空き領域」とは、データが削除された空き領域と、その空き領域に隣接する空き領域とを1つの空き領域としてみなしたものをいう。
【0016】
また、上記本発明のメモリ制御装置においては、書込制御部を、固定長制御処理を行うよう設定されているときに、次にメモリに書き込まれるべきデータが取りうる最大データ量が、現在設定されている固定領域の分割単位の最大データ量未満である場合には、固定長制御処理から可変長制御処理に設定を切り替えるものとすることができる。
【0017】
また、書込制御部を、固定長制御処理を行うよう設定されているときに、次にメモリに書き込まれるべきデータが取りうる最大データ量が現在設定されている固定長制御処理の分割単位の最大データ量よりも大きい場合には、固定領域の分割単位を、次にメモリに書き込まれるべきデータが取りうる最大データ量に変更して固定長制御処理を継続して行うものとすることができる。
【0018】
ここで、上記「次にメモリに書き込まれるべきデータが取りうる最大データ量が所定のデータ量以上である場合」とは、必ずしも最大データ量と所定のデータ量とを直接比較する場合に限らず、最大データ量を間接的に示す情報と所定のデータ量を間接的に示す情報とを比較する場合も含むものとする。また、「次にメモリに書き込まれるべきデータが取りうる最大データ量が、現在設定されている固定領域の分割単位の最大データ量未満である場合」とは、必ずしも最大データ量と分割単位の最大データ量とを直接比較する場合に限らず、最大データ量を間接的に示す情報と分割単位の最大データ量を間接的に示す情報とを比較する場合も含むものとする。
【0019】
また、上記「次にメモリに書き込まれるべきデータが取りうる最大データ量が、現在設定されている固定長制御処理の分割単位の最大データ量よりも大きい場合」とは、必ずしもデータが取りうる最大データ量と分割単位の最大データ量とを直接比較する場合に限らず、データが取りうる最大データ量を間接的に示す情報と分割単位の最大データ量を間接的に示す情報とを比較する場合も含むものとする。
【0020】
本発明の画像形成システムは、画像データと画像データを記録する記録用紙の用紙サイズを指示する情報とを含むプリントジョブデータを順次受け付け、その受け付けたプリントジョブデータの画像データを入力された順にメモリに書き込む書込制御部と、書込制御部によりメモリに書き込まれた画像データを使用する順に読み出すとともに、その読み出した画像データをメモリから削除する読出制御部とを備えたメモリ制御装置と、メモリ制御装置の読出制御部から出力された画像データに基づいて記録用紙の両面に画像を形成する画像形成装置とを備えた画像形成システムにおいて、書込制御部が、画像データが削除された後の空き領域が隣接する場合にはその隣接する空き領域を1つの使用空き領域として管理し、その使用空き領域および隣接する空き領域が存在しない単一空き領域と次にメモリに書き込まれるべき画像データのデータ量とを比較し、使用空き領域および単一空き領域のいずれかがデータ量以上の場合にその空き領域にデータを書き込む可変長制御処理を行うものであるとともに、可変長制御処理を行うよう設定されているときに、次にメモリに書き込まれるべきプリントジョブデータの用紙サイズを指示する情報の用紙サイズが所定の用紙サイズ以上である場合には、メモリを用紙サイズが記録可能な最大データ量で分割して複数の固定領域を生成し、その複数の固定領域のうち空き領域となっている固定領域がある場合にその固定領域に次にメモリに書き込まれるべきプリントジョブデータの画像データを書き込む固定長制御処理に設定を切り替えるものであることを特徴とする。
【0021】
また、上記本発明の画像形成システムにおいては、書込制御部を、固定長制御処理を行うよう設定されているときに、次にメモリに書き込まれるべきプリントジョブデータの用紙サイズを指示する情報の用紙サイズが、現在設定されている固定領域の分割単位の用紙サイズ未満である場合には、固定長制御処理から可変長制御処理に設定を切り替えるものとすることができる。
【0022】
また、書込制御部を、固定長制御処理を行うよう設定されているときに、次にメモリに書き込まれるべきプリントジョブデータの用紙サイズを指示する情報の用紙サイズが、現在設定されている固定領域の分割単位の用紙サイズよりも大きい場合には、固定領域の分割単位を、次にメモリに書き込まれるべきプリントジョブデータの用紙サイズが記録可能な最大データ量に変更して固定長制御処理を継続して行うものとすることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明のメモリ制御装置および画像形成システムによれば、可変長制御処理を行うよう設定されているときに、次にメモリに書き込まれるべきデータが取りうる最大データ量が所定のデータ量以上である場合には、メモリを最大データ量で分割して複数の固定領域を生成し、その複数の固定領域のうち空き領域となっている固定領域がある場合にその固定領域に次にメモリに書き込まれるべきデータを書き込む固定長制御処理に設定を切り替えるようにしたので、メモリへのデータの書き込みを効率良く行うことができる。具体的には、たとえば、上述したように次に入力されるプリントジョブデータの用紙サイズが、その前のプリントジョブデータの用紙サイズよりも大きいものであり、その画像データのデータ量が比較的大きい場合においても、次のプリントジョブデータの画像データを効率よくメモリに書き込むことができ、上述したような息つぎは発生するのを防止することができる。
【0024】
また、上記本発明のメモリ制御装置において、固定長制御処理を行うよう設定されているときに、次にメモリに書き込まれるべきデータが取りうる最大データ量が、現在設定されている固定領域の分割単位の最大データ量未満である場合には、固定長制御処理から可変長制御処理に設定を切り替えるようにしたり、また、固定長制御処理を行うよう設定されているときに、次にメモリに書き込まれるべきデータが取りうる最大データ量が、現在設定されている固定長制御処理の分割単位の最大データ量よりも大きい場合には、固定領域の分割単位を、次にメモリに書き込まれるべきデータが取りうる最大データ量に変更して固定長制御処理を継続して行うようにした場合には、入力されるデータのデータ量に応じて適切な制御処理を行うことができるので、より効率よくメモリへのデータの書き込みを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明のメモリ制御装置の一実施形態を用いたインクジェットプリンタの概略構成を示すブロック図
【図2】本発明のメモリ制御装置の一実施形態の概略構成を示すブロック図
【図3】図1に示すプリンタエンジンの搬送路の構成を示す図
【図4】本発明のメモリ制御装置の一実施形態の作用を説明するためのフローチャート
【図5】可変長制御処理を説明するためのフローチャート
【図6】固定長制御処理を説明するためのフローチャート
【図7】本発明のメモリ制御装置の一実施形態の作用を説明するためのメモリおよび画像データの模式図
【図8】可変長制御処理のみによって画像データを書き込んだ場合の作用を説明するためのメモリおよび画像データの模式図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明のメモリ制御装置の一実施形態を用いたインクジェットプリンタについて詳細に説明する。図1は、本実施形態のインクジェットプリンタの概略構成を示す図である。
【0027】
本実施形態のインクジェットプリンタ10は、図1に示すように、複数のコンピュータ20〜23から出力されたプリントジョブデータを順次受け付けて記憶するメモリ制御装置1を備えたプリンタコントローラ11と、プリンタコントローラ11から出力された画像データに基づいてプリントを行うプリンタエンジン12とを備えている。そして、インクジェットプリンタ10は、LANなどのネットワーク2を介して複数のコンピュータ20〜23に接続されている。
【0028】
プリンタコントローラ11のメモリ制御装置1は、図2に示すように、RAM等で構成されたメモリ3と、コンピュータ20〜23から出力されたプリントジョブデータに含まれる画像データを順次受け付け、その受け付けた画像データを入力された順にメモリ3に書き込む書込制御部4と、書込制御部4によりメモリ3に書き込まれた画像データを使用する順に読み出すとともに、その読み出した画像データをメモリ3から削除する読出制御部5とを備えている。そして、読出制御部5により読み出された画像データはプリンタエンジン12に出力される。
【0029】
そして、書込制御部4は、画像データをメモリ3に記憶する際、メモリ3に対して可変長制御処理を行う可変長制御処理部40と、メモリ3に対して固定長制御処理を行う固定長制御処理部41とを備えている。
【0030】
プリンタエンジン12は、記録用紙が設置される給紙部、記録用紙に対し、入力された画像データに基づいて画像を形成するインクジェットヘッドや記録用紙を搬送する搬送部、および記録済み記録用紙が排紙される排紙部などを備えており、両面プリントが可能なものである。両面プリントが可能なプリンタエンジンの構成は、既に公知な構成であるためその詳細な説明は省略するが、両面プリントを行うための記録用紙の搬送路の概略構成のみを説明する。
【0031】
プリンタエンジン12の搬送路は、図3に示すように、矢印A方向から搬送された記録用紙をインクジェットヘッド12aまで搬送し、インクジェットヘッド12aによって画像が一方の面に形成された記録用紙を矢印B方向(上方)に搬送し、さらにその記録用紙を反転搬送路12bに向かって矢印C方向に搬送し、反転搬送路12bにおいて矢印D方向に搬送した後に逆方向の矢印E方向に向かって搬送し、まだ画像が形成されていない他方の面がインクジェットヘッド12a側に向いた状態の記録用紙を再びインクジェットヘッド12aまで搬送するように構成されている。
【0032】
そして、プリンタエンジン12は、図3に示すように、同時に4枚の記録用紙101から104が搬送され、これらの記録用紙の両面に順次画像が形成されるよう構成されている。
【0033】
次に、本実施形態のインクジェットプリンタの作用について説明する。なお、本実施形態のインクジェットプリンタは、メモリ制御装置1に特徴を有するものであるから、メモリ制御装置1の作用を中心に説明する。
【0034】
まず、コンピュータ20〜23のいずれか1つからプリントジョブデータが出力され、インクジェットプリンタ10に入力される。なお、本実施形態においては、インクジェットプリンタ10に入力されるプリントジョブデータには、両面プリントを指示する情報と両面プリントのための画像データと記録用紙の用紙サイズを指定する情報(以下、用紙サイズ情報という)が含まれているものとする。
【0035】
そして、インクジェットプリンタ10に入力されたプリントジョブデータに含まれる画像データと記録用紙のサイズを指定する情報とがメモリ制御装置1の書込制御部4に入力される。
【0036】
そして、書込制御部4は、インクジェットプリンタ10に入力されたプリントジョブデータが、最初のプリントジョブデータ(以下、「第1のプリントジョブデータ」と呼ぶ)であり、メモリ3にまだ何も書きこまれていない場合には、第1のプリントジョブデータに含まれる画像データをメモリ3に書き込む際、メモリ3のアドレスの小さい方から入力された順番で画像データを書き込む。なお、プリントジョブデータには画像データが頁順に配列されており、書込制御部4には、頁順に画像データが入力されるものとする。
【0037】
そして、メモリ3に画像データが書き込まれると、読出制御部5がこの画像データを使用する順番で読み出してプリンタエンジン12に出力する。そして、読出制御部5によって画像データが読み出されると、その画像データはメモリ3から削除され、その画像データが削除された空き領域に次に入力されるプリントジョブデータ(以下、「第2のプリントジョブデータ」と呼ぶ)の画像データが書き込まれることになるが、このとき上述したように、第2のプリントジョブデータの用紙サイズが所定のサイズよりも大きい場合、可変長制御処理によって画像データを書き込むようにしたのでは効率よく画像データを書き込むことができない場合がある。
【0038】
そこで、本実施形態のメモリ制御装置1の書込制御部4は、図4に示すフローチャートのように書込制御を行う。
【0039】
具体的には、書込制御部4は、まず、第2のプリントジョブデータの用紙サイズ情報が、所定の用紙サイズ以上の用紙サイズを指定する情報かどうかを判断する(図4のST10)。ここで、上記判断の基準となる上記所定の用紙サイズは、予め書込制御部4に設定されるものである。なお、本実施形態では、上記所定の用紙サイズとしてB4サイズが設定されているものとする。また、上記所定の用紙サイズは、一旦設定した後でも、操作者によって任意に変更することができるものとする。本実施形態のインクジェットプリンタでは、用紙サイズとして、A3サイズ、Ledgerサイズ、B4サイズ、Legalサイズ、A4サイズなどを使用可能である。
【0040】
そして、書込制御部4は、第2のプリントジョブデータの用紙サイズ情報が、B4サイズ未満の用紙サイズ(たとえば、Legalサイズ、A4サイズなど)を指定する情報である場合には(図4のST10、NO)、可変長制御処理を行って第2のプリントジョブデータの画像データをメモリ3に書き込む。可変長制御処理は、具体的には、画像データが削除された後の空き領域が隣接する場合にはその隣接する空き領域を1つの使用空き領域として管理し、その使用空き領域および隣接する空き領域が存在しない単一空き領域と次にメモリ3に書き込まれるべき画像データのデータ量とを比較し、使用空き領域および単一空き領域のいずれかが上記データ量以上の場合に(図5のST30、YES)、その空き領域に画像データを書き込む(図5のST32)。そして、上記データ量以上の空き領域が存在しない場合には、前のプリントジョブデータ(第1のプリントジョブデータ)の画像データが読出制御部5によって順次読み出されて空き領域が確保されるまで画像データの書込みを待つ(図5のST30、YES)。
【0041】
一方、書込制御部4は、第2のプリントジョブデータの用紙サイズ情報が、B4サイズ以上の用紙サイズ(たとえば、B4サイズ、Ledgerサイズ、A3サイズなど)を指定する情報である場合には(図4のST10、YES)、可変長制御処理から固定長制御処理に切り替えて第2のプリントジョブデータの画像データをメモリ3に書き込む。なお、本実施形態のインクジェットプリンタ10は初期設定として可変長制御処理が設定されているものとする。
【0042】
固定長制御処理は、具体的には、図6のフローチャートに示すように、まず、第2のプリントジョブデータの用紙サイズが記録可能な最大データ量でメモリ3の記憶領域を分割し、複数の固定領域を生成する(図6のST40)。そして、その分割生成された複数の固定領域のうち空き領域となっている固定領域がある場合に(図6のST42、YES)、その固定領域に次にメモリ3に書き込まれるべき画像データを書き込む(図6のST44)。一方、空き領域となっている固定領域が存在しない場合には、前のプリントジョブデータ(第1のプリントジョブデータ)の画像データが読出制御部5によって順次読み出されて空き領域の固定領域が確保されるまで画像データの書込みを待つ(ST30、YES)。
【0043】
そして、上記のように固定長制御処理を行って第2のプリントジョブデータの画像データをメモリ3に書き込んだ後、固定長制御処理を行うよう設定されている状態において、次のプリントジョブデータ(以下、「第3のプリントジョブデータ」と呼ぶ)が入力された場合には、書込制御部4は、第3のプリントジョブデータの用紙サイズ情報が、現在、固定長制御処理において設定されている固定領域の分割単位の用紙サイズより大きいかどうかを判断する(図4のST18)。すなわち、本実施形態では、上述したように固定長としてB4サイズ、LedgerサイズまたはA3サイズが設定されているので、第3のプリントジョブデータの用紙サイズ情報が、固定長の用紙サイズより大きい用紙サイズを示す情報であるかどうかを判断する。
【0044】
そして、書込制御部4は、第3のプリントジョブデータの用紙サイズ情報が、現在設定されている固定長の用紙サイズよりも大きい用紙サイズを指定する情報である場合には(図4のST18、YES)、固定領域の分割単位を変更する(ST22)。具体的には、固定領域の分割単位を、第3のプリントジョブデータの用紙サイズ(たとえば、A3サイズまたはLedgerサイズ)が記録可能な最大データ量に変更する(図4のST22)。そして、第3のプリントジョブデータについて、上述した固定長制御処理を行って画像データをメモリ3に書き込む(図4のST16)。そして、第3のプリントジョブデータの画像データをメモリ3に書き込んだ後、次のプリントジョブデータが入力された場合には、再びST18からの処理が行われる。
【0045】
一方、書込制御部4は、第3のプリントジョブデータの用紙サイズ情報が、現在設定されている固定長の用紙サイズ以下の用紙サイズ(たとえば、B4サイズLegalサイズまたはA4サイズなど)を指定する情報である場合には(図4のST18、NO)、さらに第3のプリントジョブデータの用紙サイズ情報が、現在設定されている固定長の用紙サイズ未満の用紙サイズ(たとえば、LegalサイズまたはA4サイズなど)を指定する情報であるかどうかを判断する(図4のST20)。
【0046】
そして、第3のプリントジョブデータの用紙サイズ情報が現在設定されている固定長の用紙サイズ未満ではなく、その固定長の用紙サイズを指定する情報である場合には(図4のST20、NO)、第3のプリントジョブデータについては、現在設定されている固定長で固定長制御処理を行って画像データをメモリ3に書き込む(図4のST16)。
【0047】
一方、第3のプリントジョブデータの用紙サイズ情報が現在設定されている固定長の用紙サイズ未満の用紙サイズを指定する情報である場合には(図4のST20、YES)、書込制御部4は、固定長制御処理から可変長制御処理に切り替える(図4のST12)。そして、第3のプリントジョブデータについて、上述した可変長制御処理を行って画像データをメモリ3に書き込む(図4のST12)。そして、第3のプリントジョブデータの画像データをメモリ3に書き込んだ後、次のプリントジョブデータが入力された場合には、再びST10からの処理が行われる。
【0048】
上記のようにして順次入力されるプリントジョブデータの用紙サイズ情報に基づいて、可変長制御処理と固定長制御処理が切り替えられ、また固定長制御処理の固定領域の分割単位が変更され、順次入力されるプリントジョブデータの画像データの書込みが制御される。
【0049】
そして、メモリ3に書き込まれた画像データは読出制御部5によって使用する順に読み出され、プリンタエンジン12に出力される。そして、プリントジョブデータに含まれる両面プリントを指示する情報もプリンタエンジン12に出力される。
【0050】
そして、プリンタエンジン12は、入力された画像データと両面プリントを指示する情報とに基づいて記録用紙に両面プリントを行う。なお、プリンタエンジン12の作用については上述したとおりである。
【0051】
なお、上記実施形態のインクジェットプリンタにおいては、固定長制御処理を行うよう設定されているときに、次に入力されるプリントジョブデータの用紙サイズ情報が、現在設定されている固定長の用紙サイズ未満である場合に、固定長制御処理から可変長制御処理に設定を切り替えるようにしたが、これに限らず、固定長制御処理を行うよう設定されているときに、次に入力されるプリントジョブデータの用紙サイズ情報が、予め設定された所定の用紙サイズ(たとえば、上記実施形態の場合、B4サイズ)未満である場合に、固定長制御処理から可変長制御処理に設定を切り替えるようにしてもよい。
【0052】
ここで、たとえば、第1のプリントジョブデータが、A4サイズを示す用紙サイズ情報と第1頁から第8頁の画像データP1〜P8とを含むものであり、次に入力される第2のプリントジョブデータが、A3サイズを示す用紙サイズ情報と第1頁から第4頁の画像データP1’〜P4’とを含むものである場合に、上記実施形態の書込制御を行った場合の作用について以下に説明する。
【0053】
第1のプリントジョブデータが入力されると、図7(a)に示すように、メモリ3には第1頁から第8頁の画像データP1〜P8が、アドレスが小さい方から順に書き込まれる。なお、図7においては、画像データのデータ量を各画像データのブロックの面積で表わしている。
【0054】
そして、図7(a)の状態から各頁の画像データが使用される順(プリント順)に読み出されるとともに、次に入力された第2のプリントジョブデータの画像データが空き領域に順次書き込まれることになるが、上述したように第2のプリントジョブデータの用紙サイズ情報はA3サイズであるので、書込制御部4は、可変長制御処理から固定長制御処理に切り替えて第2のプリントジョブデータの画像データをメモリ3に書き込む。
【0055】
具体的には、まず、第2のプリントジョブデータの用紙サイズ、すなわちA3サイズが記録可能な最大データ量でメモリ3の記憶領域を分割し、複数の固定領域を生成する(図7(e)の点線で分割された領域)。そして、その分割生成された複数の固定領域のうち空き領域となっている固定領域がある場合に、その固定領域に次にメモリ3に書き込まれるべき画像データを書き込む。一方、空き領域となっている固定領域が存在しない場合には、第1のプリントジョブデータの画像データが読出制御部5によって順次読み出されて空き領域の固定領域が確保されるまで画像データの書込みを待つ。
【0056】
したがって、図7(b)〜(e)に示すように、第1のプリントジョブデータの第2頁の画像データP2が読み出された時点で、第2のプリントジョブデータの第1頁の画像データP1’を書き込める固定領域が確保され、第1の画像データP1’が書き込まれることになる。
【0057】
そして、さらに、図7(f)〜図7(g)に示すように、第1のプリントジョブデータの第7頁の画像データP7および第4の画像データP4が読み出された時点で、第2のプリントジョブデータの第2頁の画像データP2’を書き込める固定領域が確保され、その固定領域に第2頁の画像データP2’が書き込まれる。
【0058】
さらに、図7(g)〜図7(h)に示すように、第1のプリントジョブデータの第6頁の画像データP6が読み出された時点で、第2のプリントジョブデータの第3頁の画像データP3’を書き込める固定領域が確保され、その固定領域に第3頁の画像データP3’が書き込まれる。
【0059】
そして、最後に、第1のプリントジョブデータの第8頁の画像データP8が読み出された時点で、第2のプリントジョブデータの第4頁の画像データP4’を書き込める固定領域が確保され、その固定領域に第4頁の画像データP4’が書き込まれる。
【0060】
本実施形態のメモリ制御装置によれば、上記のように第2のプリントジョブデータの用紙サイズ情報に応じて可変長制御処理から固定長制御処理に切り替えるようにしたので、第2のプリントジョブデータの画像データを書き込む空き領域を効率的に確保することができ、図8で説明した可変長制御処理のみを行った場合のように画像データを書き込めない事態を防止することができる。
【0061】
なお、上記実施形態は、本発明のメモリ制御装置をインクジェットプリンタに適用したものであるが、これに限らず、メモリに断片的な空き領域ができるようなデータの読出しを行い、かつデータの取りうるデータ量が変化するような装置であればその他の装置に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 メモリ制御装置
3 メモリ
4 書込制御部
5 読出制御部
10 インクジェットプリンタ
11 プリンタコントローラ
12 プリンタエンジン
12a インクジェットヘッド
12b 反転搬送路
40 可変長制御処理部
41 固定長制御処理部
101〜104 記録用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力されたデータを順次受け付け、該受け付けたデータを入力された順にメモリに書き込む書込制御部と、該書込制御部により前記メモリに書き込まれたデータを使用する順に読み出すとともに、該読み出したデータを前記メモリから削除する読出制御部とを備えたメモリ制御装置であって、
前記書込制御部が、前記データが削除された後の空き領域が隣接する場合には該隣接する空き領域を1つの使用空き領域として管理し、該使用空き領域および隣接する前記空き領域が存在しない単一空き領域と次に前記メモリに書き込まれるべきデータのデータ量とを比較し、前記使用空き領域および単一空き領域のいずれかが前記データ量以上の場合に該空き領域に前記データを書き込む可変長制御処理を行うものであるとともに、
前記可変長制御処理を行うよう設定されているときに、次に前記メモリに書き込まれるべきデータが取りうる最大データ量が所定のデータ量以上である場合には、前記メモリを前記最大データ量で分割して複数の固定領域を生成し、該複数の固定領域のうち空き領域となっている固定領域がある場合に該固定領域に次にメモリに書き込まれるべきデータを書き込む固定長制御処理に設定を切り替えるものであることを特徴とするメモリ制御装置。
【請求項2】
前記書込制御部が、前記固定長制御処理を行うよう設定されているときに、次に前記メモリに書き込まれるべきデータが取りうる最大データ量が、現在設定されている固定領域の分割単位の最大データ量未満である場合には、前記固定長制御処理から前記可変長制御処理に設定を切り替えるものであることを特徴とする請求項1記載のメモリ制御装置。
【請求項3】
前記書込制御部が、前記固定長制御処理を行うよう設定されているときに、次に前記メモリに書き込まれるべきデータが取りうる最大データ量が、現在設定されている固定長制御処理の分割単位の最大データ量よりも大きい場合には、前記固定領域の分割単位を、前記次にメモリに書き込まれるべきデータが取りうる最大データ量に変更して固定長制御処理を継続して行うものであることを特徴とする請求項1または2記載のメモリ制御装置。
【請求項4】
画像データと該画像データを記録する記録用紙の用紙サイズを指示する情報とを含むプリントジョブデータを順次受け付け、該受け付けたプリントジョブデータの画像データを入力された順にメモリに書き込む書込制御部と、該書込制御部により前記メモリに書き込まれた画像データを使用する順に読み出すとともに、該読み出した画像データを前記メモリから削除する読出制御部とを備えたメモリ制御装置と、該メモリ制御装置の前記読出制御部から出力された画像データに基づいて前記記録用紙の両面に画像を形成する画像形成装置とを備えた画像形成システムにおいて、
前記書込制御部が、前記画像データが削除された後の空き領域が隣接する場合には該隣接する空き領域を1つの使用空き領域として管理し、該使用空き領域および隣接する前記空き領域が存在しない単一空き領域と次に前記メモリに書き込まれるべき画像データのデータ量とを比較し、前記使用空き領域および単一空き領域のいずれかが前記データ量以上の場合に該空き領域に前記データを書き込む可変長制御処理を行うものであるとともに、
前記可変長制御処理を行うよう設定されているときに、次に前記メモリに書き込まれるべき前記プリントジョブデータの前記用紙サイズを指示する情報の用紙サイズが所定の用紙サイズ以上である場合には、前記メモリを前記用紙サイズが記録可能な最大データ量で分割して複数の固定領域を生成し、該複数の固定領域のうち空き領域となっている固定領域がある場合に該固定領域に次にメモリに書き込まれるべきプリントジョブデータの画像データを書き込む固定長制御処理に設定を切り替えるものであることを特徴とする画像形成システム。
【請求項5】
前記書込制御部が、前記固定長制御処理を行うよう設定されているときに、次に前記メモリに書き込まれるべきプリントジョブデータの前記用紙サイズを指示する情報の用紙サイズが、現在設定されている固定領域の分割単位の用紙サイズ未満である場合には、前記固定長制御処理から前記可変長制御処理に設定を切り替えるものであることを特徴とする請求項4記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記書込制御部が、前記固定長制御処理を行うよう設定されているときに、次に前記メモリに書き込まれるべきプリントジョブデータの前記用紙サイズを指示する情報の用紙サイズが、現在設定されている固定領域の分割単位の用紙サイズよりも大きい場合には、前記固定領域の分割単位を、前記次にメモリに書き込まれるべきプリントジョブデータの前記用紙サイズが記録可能な最大データ量に変更して固定長制御処理を継続して行うものであることを特徴とする請求項4または5記載の画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−194846(P2010−194846A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−41893(P2009−41893)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【復代理人】
【識別番号】100128451
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 隆一
【Fターム(参考)】