説明

メモリ用アドレスマッピング方法、それを適用したメモリデバイス

【課題】 メモリ管理が容易で部品点数や実装面積を増大させずにブートローダ領域を適確に格納できると共に、メモリデバイスにおけるメモリ領域を連続した1つの領域として確保できるメモリ用アドレスマッピング方法を提供すること。
【解決手段】 メモリデバイス101において、システムメモリ空間における通常アドレスマッピングの通常領域103に対するものとは別のアドレスとして、容量の一部101′を外部のCPUにおける実行開始プログラム領域のブートローダ領域102に割り当てて追加アドレスマッピングして格納する。即ち、ここではMIPS系CPUの実行開始アドレスが0x1FC00000であるため、その領域をメモリデバイス101の最上位側に容量の一部101′として割り当てた上、追加アドレスマッピングの場所としてブートローダ領域102を格納するため、連続した1つの大きい領域をメモリ領域として確保できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主としてフラッシュメモリ等の不揮発性メモリデバイスのアドレスマッピングに関し、詳しくはデバイスの一部を複数領域にアドレスマッピングして複数用途メモリとして使用できる機能を持たせるメモリ用アドレスマッピング方法、それを適用したメモリデバイス、メモリマップ制御回路、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般にフラッシュメモリ等の再プログラムを行うことが可能な不揮発性メモリデバイスは、その組み込み系情報処理装置の起動時にCPUにおける実行開始プログラム領域(ブートローダ領域等)の記憶場所として利用されている。こうしたプログラムの実行開始アドレスは、CPUの種類によって異なっており、例えばX86系CPUであれば、最後のアドレス付近(0xFFFFFFF0)となっている。フラッシュメモリの場合にはトップ/ボトムブート領域を有するものがあり、デバイスのトップ又はボトムの部分を実行開始プログラム領域(ブートローダ領域)として使用し、誤って再プログラムされたり、或いは消去されるのを低減化する仕組みがある。
【0003】
因みに、メモリデバイスのアドレスマッピングに関連する周知技術としては、例えばセクタアドレス変換回路が外部からのセクタアドレスを内部アドレスのセクタアドレスに変換し、アドレスデコーダ回路を介してメモリデバイスにアクセスする技術(特許文献1参照)、チップセレクト信号線CS1とチップセレクト信号線CS2とに同じ種類の素子を接続しておき、チップセレクト信号線CS1の素子に異常が発生した場合にプログラマブルデコードRAMのデータを書き替えることにより、チップセレクト信号線CS1とチップセレクト信号線CS2とを同じアドレス空間に配置し直す技術(特許文献2参照)、オペレーティングシステムが0x00000000からの下位アドレスに物理メモリを予想し、マイクロプロセッサが0x1FC00000にブートコードを見つけるように予想し、両者の要望を508MBのメモリを使用するか、又は小さなメモリを0x1FC00000に追加することによって満たすようにした技術(特許文献3参照)等が挙げられる。
【0004】
【特許文献1】特開2002−222084号公報(第4頁段落[0036])
【特許文献2】特開昭63−257044号公報(第2頁右下欄第1行乃至同頁同欄第5行)
【特許文献3】特開平11−15687号公報(第9頁段落[0053]、図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したメモリデバイスのアドレスマッピングに関連する周知技術(特許文献1〜3に係るメモリ用アドレスマッピング方法を含む)の場合、何れを適用した場合にもCPUの種類によっては実行開始アドレスがデバイスの最上位側又は最下位側の領域以外にあるものが存在する(例えばMIPS系CPUの場合には0x1FC00000である)ことにより、こうした場合にはメモリデバイス(フラッシュメモリ)のブートブロックを使用できないという問題がある他、メモリデバイスをフラッシュメモリとした場合の組み込み系情報処理装置ではファイルシステムとしても使用されるが、例えばMIPS系CPUの場合には実行開始アドレス領域がシステムメモリ空間領域の中間領域に当たることにより、フラッシュメモリにおける残メモリ領域を分断してしまい、メモリ領域として連続した1つの領域を確保できないという問題がある。
【0006】
図9は、周知技術に係るメモリ用アドレスマッピング方法における問題点を説明するために示した32MBメモリデバイスを使用した場合のアドレスマッピングの模式図である。ここでは、メモリデバイス701を使用するMIPS系CPUのシステムにおいて、そのブートローダ領域702のアドレスがシステムメモリ空間領域のほぼ中間に存在しているのに対し、一般的な市販品のメモリデバイス701のブートブロックがフラッシュメモリの場合にはデバイスの最上位又は最下位側に配置されていることにより、システムがブートローダ領域702をメモリデバイス701のブートブロックにアドレスマッピングすることができないこと、更にはメモリデバイス701のメモリ領域の中間部分をブートローダ領域702として使用すると、現在市販されているメモリデバイス701ではメモリ領域が上位側,下位側の2つに分断されてしまい、連続した1つの領域として確保できなくなることを示している。
【0007】
因みに、一般的にパーソナルコンピュータ(PC)のBIOS書き換えの場合のようにユーザがフラッシュメモリの内容を書き換える機会があると、そうした使用法を考慮して誤書き換えを低減化するためにブートローダ領域についてはメモリデバイスのブートブロックに格納することが適当であるが、上記理由によりそのままではブートブロックに格納することができない。
【0008】
そこで、こうした場合の対策として、例えば図10に示すようにブートローダ領域802を格納するためのブートブロック(ブートローダ用)に見立てた小容量のメモリデバイス1(801a)と、ファイルシステム用のメモリデバイス2(801b)との2つのデバイスを用意することにより、誤書き換えを低減化させることも技術的には可能であるが、こうした場合には部品点数や実装面積が増大してしまうというデメリットを生じるため、実際には適用すべき好ましい手法とは言い難い。
【0009】
本発明は、このような問題点を解決すべくなされたもので、その技術的課題は、メモリ管理が容易で部品点数や実装面積を増大させずにブートローダ領域を適確に格納できると共に、メモリデバイスにおけるメモリ領域を連続した1つの領域として確保できるメモリ用アドレスマッピング方法、及びそれを適用したメモリデバイス、メモリマップ制御回路、情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、不揮発性のメモリデバイスのアドレスマッピング時にデバイスの一部を複数領域にアドレスマッピングして複数用途メモリとして使用可能とするため、該デバイスの一部を外部のCPUにおける実行開始プログラム領域として参照できるように追加アドレスマッピングするメモリ用アドレスマッピング方法が得られる。
【0011】
又、本発明によれば、上記メモリ用アドレスマッピング方法において、追加アドレスマッピングは、CPUから参照する任意のアドレス位置を実デバイス上の最上位側又は最下位側に配置するようにし、該CPUの種類に依存せずに適用可能としたメモリ用アドレスマッピング方法が得られる。
【0012】
更に、本発明によれば、上記メモリ用アドレスマッピング方法において、追加アドレスマッピングにおける任意のアドレス位置の配置を不揮発性レジスタを用いて設定し、且つ実行開始プログラム領域となるブートローダ領域の開始アドレスと容量とを該不揮発性レジスタを用いて設定するメモリ用アドレスマッピング方法が得られる。
【0013】
加えて、本発明によれば、上記メモリ用アドレスマッピング方法において、システムメモリマップの末端以外にブートローダ領域をアドレスマッピングする必要があるシステムであっても、デバイスの末端にアドレスマッピングできるブートブロックに対して該ブートローダ領域を格納させるメモリ用アドレスマッピング方法が得られる。
【0014】
又、本発明によれば、上記何れかのメモリ用アドレスマッピング方法において、物理的にデバイスの末端にブートローダ領域がアドレスマッピングされることにより該末端以外のその他の領域を1つの連続した領域として確保するメモリ用アドレスマッピング方法が得られる。
【0015】
一方、本発明によれば、不揮発性デバイス向けのアドレスマッピング時に一部が複数領域にアドレスマッピングされ、且つ該一部が外部のCPUにおける実行開始プログラム領域の参照として追加アドレスマッピングされることにより複数用途メモリとして使用されるメモリデバイスが得られる。
【0016】
他方、本発明によれば、上記メモリデバイスをメモリデバイス部として備えたメモリマップ制御回路であって、CPUからの指令信号に従って該メモリデバイス部に対するアドレスマッピングを行い、且つ追加アドレスマッピングについては該CPUから参照する任意のアドレス位置を実デバイス上の最上位側又は最下位側に配置させて該CPUの種類に依存せずに適用可能とするマップデコード部を備えたメモリマップ制御回路が得られる。
【0017】
又、本発明によれば、上記メモリマップ制御回路において、マップデコード部は、追加アドレスマッピングに際して任意のアドレス位置の配置を設定し、且つ実行開始プログラム領域となるブートローダ領域の開始アドレスと容量とを設定するための不揮発性レジスタを備えたメモリマップ制御回路が得られる。
【0018】
更に、本発明によれば、上記メモリマップ制御回路において、マップデコード部は、システムメモリマップの末端以外にブートローダ領域をアドレスマッピングする必要があるシステムであっても、デバイスの末端にアドレスマッピングできるブートブロックに対して該ブートローダ領域を格納させるメモリマップ制御回路が得られる。
【0019】
加えて、本発明によれば、上記何れかのメモリマップ制御回路において、マップデコード部は、物理的にデバイスの末端にブートローダ領域をアドレスマッピングすることにより該末端以外のその他の領域を1つの連続した領域として確保するメモリマップ制御回路が得られる。
【0020】
又、本発明によれば、上記何れかの一つのメモリマップ制御回路を備えた情報処理装置であって、ブートローダ領域とメモリデバイス部としてのフラッシュメモリとを備えた情報処理装置が得られる。
【0021】
更に、本発明によれば、上記情報処理装置において、フラッシュメモリは、連続して大きい容量を持つ情報処理装置が得られる。
【0022】
加えて、本発明によれば、上記何れかの情報処理装置において、CPUとして、ブートローダ領域の実行開始アドレスがシステムメモリのトップ又はボトムに該当しないタイプのものを備えた情報処理装置が得られる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の場合、MIPS系CPUを適用しても、1つのメモリデバイスにおいてブートローダ領域をブートブロックへ格納し、ファイルシステム等で共用する多用途メモリ(例えばブートローダ用,ファイルシステム用)として使用可能となり、しかもメモリ管理用のソフトウェアがメモリ領域についてブートローダ領域以外のその他の領域を連続した1つの領域として確保できるため、結果として、メモリ管理が容易で部品点数や実装面積を増大させずに低コストでブートローダ領域を適確に格納できると共に、メモリデバイスにおけるメモリ領域を連続した1つの領域として確保できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の最良の形態に係るメモリ用アドレスマッピング方法は、不揮発性のメモリデバイスのアドレスマッピング時にデバイスの一部を複数領域にアドレスマッピングして複数用途メモリとして使用可能とするため、デバイスの一部を外部のCPUにおける実行開始プログラム領域として参照できるように追加アドレスマッピングするものである。但し、ここでの追加アドレスマッピングは、CPUから参照する任意のアドレス位置を実デバイス上の最上位側又は最下位側に配置するようにし、CPUの種類に依存せずに適用可能とすることが好ましい。
【0025】
図1は、本発明の最良の形態に係るメモリ用アドレスマッピング方法を説明するために示した32MBメモリデバイスを使用した場合のアドレスマッピングの模式図である。
【0026】
ここでは、メモリデバイス101において、システムメモリ空間における通常アドレスマッピングの通常領域103に対するものとは別のアドレスとして、容量の一部101′を外部のCPUにおける実行開始プログラム領域のブートローダ領域102に割り当てて追加アドレスマッピングして格納する様子を示している。即ち、ここではMIPS系CPUの実行開始アドレスが0x1FC00000であるため、その領域をメモリデバイス101の最上位側に容量の一部101′として割り当てた上、追加アドレスマッピングの場所としてブートローダ領域102を格納するものである。但し、メモリデバイス101における容量の一部101′は、メモリデバイス101における最下位側の末端領域に配置するようにしても良い。
【0027】
何れにしても、メモリ管理するソフトウェアでは、分割された2領域の何れかにブートローダ領域102を格納するよりも、末端領域に追加アドレスマッピングして連続した1つの大きい領域をメモリ領域として確保するようにして管理を行う方が取り扱いが容易である。尚、ここでの追加アドレスマッピングに供されるブートローダ領域102は、1領域である場合を説明しているが、その他の追加領域を加えた場合でも同様な方法で割り当てを実現できる。
【0028】
又、本発明のメモリ用アドレスマッピング方法の場合、追加アドレスマッピングにおける任意のアドレス位置の配置を不揮発性レジスタを用いて設定し、且つ実行開始プログラム領域となるブートローダ領域の開始アドレスと容量とを不揮発性レジスタを用いて設定することが好ましい。更に、システムメモリマップの末端以外にブートローダ領域をアドレスマッピングする必要があるシステムであっても、デバイスの末端にアドレスマッピングできるブートブロックに対してブートローダ領域を格納させること、或いは物理的にデバイスの末端にブートローダ領域がアドレスマッピングされることにより末端以外のその他の領域を1つの連続した領域として確保することが好ましい。
【0029】
以下は、本発明のメモリ用アドレスマッピング方法を適用したメモリデバイス、及びそれを備えたメモリマップ制御回路の幾つかの実施例について、図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0030】
図2は、本発明の実施例1に係るメモリデバイスを備えたメモリマップ制御回路の基本構成を示したブロック図である。このメモリマップ制御回路は、アドレスマッピング時に一部が複数領域にアドレスマッピングされ、且つ一部が外部のCPUにおける実行開始プログラム領域の参照として追加アドレスマッピングされることにより複数用途メモリとして使用される不揮発性のメモリデバイス部201と、CPUからの指令信号に従ってメモリデバイス部201に対するアドレスマッピングを行い、且つ追加アドレスマッピングについてはCPUから参照する任意のアドレス位置を実デバイス上の最上位側(又は最下位側としても良い)に配置させてCPUの種類に依存せずに適用可能とするマップデコード部202とを備えている。
【0031】
このうち、マップデコード部202は、追加アドレスマッピングに際してブートローダ領域のアドレスをメモリデバイス部201内のどこにマッピングするかを設定する不揮発性レジスタ1(203)と、ブートローダ領域の容量をメモリデバイス部201内でどの位にしてマッピングするのかを設定(換言すればメモリデバイス部201のどこから終端までを使用するかを指定)する不揮発性レジスタ2(204)とを備えている。従って、これらのレジスタ1(203),2(204)は、合わせて追加アドレスマッピング時に任意のアドレス位置の配置を設定し、且つ実行開始プログラム領域となるブートローダ領域の開始アドレスと容量とを設定するように機能する。
【0032】
32MBのメモリデバイス部201をアドレスマッピング(追加アドレスマッピング)するときのレジスタ値の設定例を示せば、この場合、最下位ビットをbit0とすると、レジスタ1(203)にはアドレスのbit24〜17の8bitを設定し、レジスタ2(204)にはアドレスのbit24〜bit17の8bitを設定する。ここでは、レジスタ1(203),2(204)が8bitとしたが、アドレスマッピング(追加アドレスマッピング)する際のアドレス境界を細かく(大きく)したい場合には下位ビットへシフト(例えばbit4〜bit11)させたり、或いは上位ビットへシフト(上記の逆のbit11〜bit4)させるように設定すれば良い。
【0033】
メモリデバイス部201の種類は、通常アドレスマッピングできるFlashROMとする。この場合、マップデコード部202は、ブードローダ領域102に対しての追加アドレスマッピングを可能とするようにアドレスをデコードする機能を持つ。即ち、マップデコード部202は、メモリアクセスが通常領域103へのアクセスの場合にはアドレスをそのまま変換しないでメモリデバイス部201へ渡し、メモリアクセスがブートローダ領域102の場合にはアドレスを変換してメモリデバイス部201へ渡す。但し、ここでマップデコード部202がアドレスを変換する際、レジスタ1(203),2(204)の値から参照してメモリデバイス部201へのアドレスを生成する。
【0034】
図3は、マップデコード部202における追加アドレスマッピング論理例を示したものである。又、図4は、メモリデバイス部201のアドレスが0x1C000000であり、32MBアドレスマッピングの場合のマップデコード部202のレジスタ1(203)の設定例を示したものである。更に、図5は、マップデコード部202のレジスタビット割り当て(メモリデバイス部201が32MBメモリデバイス[n=24]の場合)を例示したものである。加えて、図6は、マップデコード部202のレジスタ2(204)の値とブロートローダ開始アドレスとを例示(メモリデバイス部201が32MBメモリデバイスの場合)したものである。
【0035】
但し、ここでは信号線の表現として、A[n]はアドレス信号線のAnのことを示し、A[n:0]はアドレス線の信号束名称An〜A0を示すものとする。例えばA[23]はA23アドレス信号線、A[23:0]はA23〜A0のアドレス信号線束を意味する。通常領域103に対するアドレスマッピング(通常アドレスマッピング)のアクセス時には、アドレスは変換しないためにその説明は省略する。尚、図3,図4中で示されるreg1はレジスタ1(203)、reg2はレジスタ2(204)を示すものである。
【0036】
図3中の例では、A[n+1]=0で通常アドレスマッピング、A[n:0]_out=A[n:0]_in …で通常アドレスマッピング、A[n+1]=1且つ(A[n:0]_in AND reg2(<<0x17)) XOR reg1=0でアドレスデコード有り、A[n:0]_out=A[n:0]_in OR (reg2<<17) …でブートローダ領域を示す。
【0037】
例えばn=24の場合、(32MB 単位メモリ境界)アクセスがアドレスの該当ビット(reg2指定のA24〜A17)がreg1と同じであるかを判定(ブートローダ領域にヒットしたかを判別)する。レジスタ1(203)についてのレジスタ設定一覧については図4に例示した通りであり、例えば0x1fc00000にブートローダ設定を行う場合にはreg1を11100000(0xE0)とする。レジスタ2(204)についてのレジスタビット割り当ては図6中に例示した通りである。レジスタビット割り当てに際してのメモリマップ上の見え方は図7に示す模式図のようになる。
【0038】
次に、メモリマップ制御回路(マップデコード部202)の基本動作を説明する。尚、メモリマップ制御回路は、上述したMIPS系CPU等、所定の規格のCPUと組み合わされて組み込み系情報処理装置として構成されるが、こうした場合のシステム起動前に管理者がROMライタ等で予めマップデコード部202におけるレジスタ1(203)に対する実行開始アドレス、レジスタ2(204)に対する実行開始プログラム容量をそれぞれ起動前に設定しておく。
【0039】
マップデコード部202は、上述した不揮発性のレジスタ1(203),レジスタ2(204)の他、アドレスデコーダ(アドレス変換、デバイスセレクト生成)機能の回路を有して構成される。例えば0x1c000000〜1fffffffにROMをアドレスマッピングし、そのうちの0x1fc00000〜1fcfffffを通常のアドレスマッピングする場合、レジスタ1(203)の値は0xE0、レジスタ2(204)の値は0xF8となる。即ち、マップデコード部202は、図1中のメモリシステム空間で通常領域103の範囲内をアドレスマッピング時にアクセスしている場合、A25(アドレスのbit25)=0であるため、アドレスデコーダ機能は特に起動しないが、ブートローダ領域102を追加アドレスマッピングしてアクセスした場合、A25(アドレスのbit25)=1で与えられたアドレスに応じてアドレスデコーダ機能が起動して内部においてアドレス並びにセレクト信号を生成する。
【0040】
具体的に例示すれば、レジスタ1(203)のブートアドレス設定が0x1FC00000では0xE0、レジスタ2(204)の設定が1MBでは0xF8であるとき、メモリマップ0x1FC00000へのアクセスはA25が1となってデコードが有効となり、図3に示されるように内部アドレスA[n:0]_out=A[n:0]_in OR (reg2<<17)、即ち、0x1F00000となる。
【実施例2】
【0041】
図8は、本発明の実施例2に係るメモリデバイスを備えたメモリマップ制御回路の基本構成を示したブロック図である。このメモリマップ制御回路の場合、基本構成上では実施例1の場合と同様にメモリデバイス部601及びマップデコード部602を備えた点を共通しているが、ここではマップデコード部602に必要な不揮発性レジスタの機能を外部から設定されるように専用の入力端子603,604をマップデコード部602へ設けるようにすることにより、レジスタ1,2を不要にした点が相違している。因みに、入力端子603は、先の実施例1の場合のレジスタ1(203)機能に相当してブートローダ格納先頭アドレスを入力設定するためのもので、入力端子604は、先の実施例1の場合のレジスタ2(204)機能に相当してブート領域の容量を入力設定するためのものとなっている。
【0042】
このメモリマップ制御回路では、先の実施例1の場合のようなレジスタ1(203),2(204)を設ける代わりに外部から入力設定によりブートアドレス/容量を設定する構成としているため、マップデコード部602においてレジスタ機能を追加することなく、デコード機能の回路を持つ構成とするだけで先の実施例1の場合と同様な機能が得られるものとなる。
【0043】
ところで、実施例1,2で説明したような構成のメモリマップ制御回路は、所定の規格のCPUと組み合わせることにより、様々なタイプの組み込み系情報処理装置として構成することができる。このような情報処理装置としては、例えばブートローダ領域とメモリデバイス部としてのフラッシュメモリとを備えた構成のもの、フラッシュメモリとして連続して大きい容量を持つ構成のもの(例えばファイルシステムシステム)、CPUとしてブートローダ領域の実行開始アドレスがシステムメモリの末端(トップ又はボトム)に該当しないタイプのもの(例えばMIPS)を備えた構成のもの等が挙げられる。何れにしても、メモリマップ制御回路におけるマップデコード部がシステムメモリマップの末端以外にブートローダ領域をアドレスマッピングする必要があるシステムであっても、デバイスの末端にアドレスマッピングできるブートブロックに対してブートローダ領域を格納させれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の最良の形態に係るメモリ用アドレスマッピング方法を説明するために示した32MBメモリデバイスを使用した場合のアドレスマッピングの模式図である。
【図2】本発明の実施例1に係るメモリデバイスを備えたメモリマップ制御回路の基本構成を示したブロック図である。
【図3】図2に示すメモリマップ制御回路に備えられるマップデコード部における追加アドレスマッピング論理例を示した図である。
【図4】図2に示すメモリマップ制御回路に備えられるマップデコード部のレジスタ1の設定例を示した図である。
【図5】図2に示すメモリマップ制御回路に備えられるマップデコード部のレジスタビット割り当てを例示した図である。
【図6】図2に示すメモリマップ制御回路に備えられるマップデコード部のレジスタ2の値とブロートローダ開始アドレスとを例示した図である。
【図7】図2に示すメモリマップ制御回路に備えられるマップデコード部のレジスタビット割り当てに際してのメモリマップ上の見え方を示した模式図である。
【図8】本発明の実施例2に係るメモリデバイスを備えたメモリマップ制御回路の基本構成を示したブロック図である。
【図9】周知技術に係るメモリ用アドレスマッピング方法における問題点を説明するために示した32MBメモリデバイスを使用した場合のアドレスマッピングの模式図である。
【図10】図9に示す問題点を対策した2つのメモリデバイスを用意した場合のブートブロックへの格納を説明するために示した模式図である。
【符号の説明】
【0045】
101,701,801a,801b メモリデバイス
101′ 容量の一部
102,702,802 ブートローダ領域
103 通常領域
201,601 メモリデバイス部
202,602 マップデコード部
203 レジスタ1
204 レジスタ2
603,604 入力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不揮発性メモリデバイスのアドレスマッピング時にデバイスの一部を複数領域にアドレスマッピングして複数用途メモリとして使用可能とするため、該デバイスの一部を外部のCPUにおける実行開始プログラム領域として参照できるように追加アドレスマッピングすることを特徴とするメモリ用アドレスマッピング方法。
【請求項2】
請求項1記載のメモリ用アドレスマッピング方法において、前記追加アドレスマッピングは、前記CPUから参照する任意のアドレス位置を実デバイス上の最上位側又は最下位側に配置するようにし、該CPUの種類に依存せずに適用可能としたことを特徴とするメモリ用アドレスマッピング方法。
【請求項3】
請求項2記載のメモリ用アドレスマッピング方法において、前記追加アドレスマッピングにおける前記任意のアドレス位置の配置を不揮発性レジスタを用いて設定し、且つ前記実行開始プログラム領域となるブートローダ領域の開始アドレスと容量とを該不揮発性レジスタを用いて設定することを特徴とするメモリ用アドレスマッピング方法。
【請求項4】
請求項3記載のメモリ用アドレスマッピング方法において、システムメモリマップの末端以外に前記ブートローダ領域をアドレスマッピングする必要があるシステムであっても、デバイスの末端にアドレスマッピングできるブートブロックに対して該ブートローダ領域を格納させることを特徴とするメモリ用アドレスマッピング方法。
【請求項5】
請求項3又は4記載のメモリ用アドレスマッピング方法において、物理的にデバイスの末端に前記ブートローダ領域がアドレスマッピングされることにより該末端以外のその他の領域を1つの連続した領域として確保することを特徴とするメモリ用アドレスマッピング方法。
【請求項6】
不揮発性デバイス向けのアドレスマッピング時に一部が複数領域にアドレスマッピングされ、且つ該一部が外部のCPUにおける実行開始プログラム領域の参照として追加アドレスマッピングされることにより複数用途メモリとして使用されることを特徴とするメモリデバイス。
【請求項7】
請求項6記載のメモリデバイスをメモリデバイス部として備えたメモリマップ制御回路であって、前記CPUからの指令信号に従って該メモリデバイス部に対する前記アドレスマッピングを行い、且つ前記追加アドレスマッピングについては該CPUから参照する任意のアドレス位置を実デバイス上の最上位側又は最下位側に配置させて該CPUの種類に依存せずに適用可能とするマップデコード部を備えたことを特徴とするメモリマップ制御回路。
【請求項8】
請求項7記載のメモリマップ制御回路において、前記マップデコード部は、前記追加アドレスマッピングに際して前記任意のアドレス位置の配置を設定し、且つ前記実行開始プログラム領域となるブートローダ領域の開始アドレスと容量とを設定するための不揮発性レジスタを備えたことを特徴とするメモリマップ制御回路。
【請求項9】
請求項8記載のメモリマップ制御回路において、前記マップデコード部は、システムメモリマップの末端以外に前記ブートローダ領域をアドレスマッピングする必要があるシステムであっても、デバイスの末端にアドレスマッピングできるブートブロックに対して該ブートローダ領域を格納させることを特徴とするメモリマップ制御回路。
【請求項10】
請求項8又は9記載のメモリマップ制御回路において、前記マップデコード部は、物理的にデバイスの末端に前記ブートローダ領域をアドレスマッピングすることにより該末端以外のその他の領域を1つの連続した領域として確保することを特徴とするメモリマップ制御回路。
【請求項11】
請求項8〜10の何れか一つに記載のメモリマップ制御回路を備えた情報処理装置であって、前記ブートローダ領域と前記メモリデバイス部としてのフラッシュメモリとを備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項12】
請求項11記載の情報処理装置において、前記フラッシュメモリは、連続して大きい容量を持つことを特徴とする情報処理装置。
【請求項13】
請求項11又は12記載の情報処理装置において、前記CPUとして、前記ブートローダ領域の実行開始アドレスがシステムメモリのトップ又はボトムに該当しないタイプのものを備えたことを特徴とする情報処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2008−158964(P2008−158964A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−349853(P2006−349853)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】