説明

メラトニン−日用量ユニット

本発明は、局所的に有効な用量に相当するが、しかし、体系的な作用を引き起こさない、メラトニンまたはメラトニン誘導体の単独用量を有する、局所的適用時の医薬品または化粧薬品のための使い捨て容器に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、局所的に有効な用量に相当するが、しかし、体系的な作用を引き起こさない、メラトニンまたはメラトニン誘導体の単独用量を有する、局所的適用時の医薬品または化粧薬品のための使い捨て容器に関する。
【0002】
メラトニン含有薬品は、異なる医学的使用目的および化粧術的使用目的に使用されることができる。ドイツ連邦共和国特許出願第10110418.9号には、例えば皮膚上および毛髪中への局所的使用のためのメラトニン含有組成物が開示されている。
【0003】
本発明の対象は、局所的に有効な用量に相当するが、しかし、体系的な作用を引き起こさない、メラトニンまたはメラトニン誘導体の単独用量を有する、局所的適用時の医薬品または化粧薬品のための使い捨て容器に関する。
【0004】
本発明による使い捨て容器は、局所的に作用するが、しかし、標準のメラトニン血漿濃度の望ましくない変化を引き起こさない、メラトニンまたはメラトニン誘導体の用量の適用を可能にする。本発明により適用される、メラトニンまたはメラトニン誘導体の単独用量は、例えばメラトニン血漿濃度の重大な上昇を引き起こさない。
【0005】
本発明の範囲内で使用される”メラトニンまたはメラトニン誘導体”の概念は、メラトニンまたは/およびメラトニン誘導体ならびにその塩、エステルまたは複合体化合物を含む。好ましいメラトニン誘導体は、例えば5−メトキシトリプタミン、5−メトキシトリプトファン、5−メトキシトリプトフォール(5-Methoxytryptophol)、5−メトキシインドール−酢酸および6−ヒドロキシメラトニンを含む。
【0006】
本発明による単独用量は、プラスの化粧術的作用または/および治療的作用を血漿濃度の重大な変化なしに可能にする用量である。本発明によれば、好ましいのは、メラトニン約0.001〜約1.0mgの単独用量、よりいっそう好ましいのは、メラトニン約0.01〜約0.2mgの単独用量である。薬品の使用範囲または使用目的に応じて、毎日1回またはそれ以上単独用量を適用することができる。1つの好ましい実施態様において、単独用量は、日用量に相当し、特に好ましくは、夕方に使用することができる日用量に相当する。
【0007】
医薬品または化粧薬品は、好ましくは液状調製物として存在する。薬品の局所的投与には、例えば溶液、懸濁液、乳濁液、マイクロエマルジョン、ナノ系、クリーム剤、ゲル剤、ローション、スプレー剤、フォーム剤または軟膏が適しており、ならびに局所的に投与されることができる別の調製物も適している。特に好ましいのは、化粧液の形の薬品である。
【0008】
本発明による使い捨て容器中に含まれている医薬品または化粧薬品は、使用目的に応じて、メラトニンまたはメラトニン誘導体の種々の濃度を有することができる。好ましくは、この薬品は、メラトニンまたはメラトニン誘導体約0.001〜約0.01%(質量)、よりいっそう好ましくは約0.003〜0.004%(質量)の濃度を有する。特に好ましい濃度は、約0.0033%(質量)である。
【0009】
1つの好ましい実施態様において、治療的薬品または化粧薬品は、メラトニンまたはメラトニン誘導体を唯一の作用物質として含有する。しかし、さらにこの薬品は、付加的に1つ以上の他の作用物質、例えばビタミンA、ビタミンA−酸またはビタミンAの別の誘導体、ビオチンまたは/およびイチョウを含有することができる。
【0010】
1つの好ましい実施態様において、医薬品または化粧薬品は、作用物質としてメラトニンまたはメラトニン誘導体とビオチンまたは/およびイチョウとの組合せ物を含有する。この実施態様における作用物質は、種々の用量で存在することができる。この組合せ物の特に好ましい用量は、メラトニンまたはメラトニン誘導体約0.05〜約0.2mg、特に有利に約0.1mg、ビオチン約0.2〜約0.4mg、特に有利に約0.3mgおよびイチョウ約1.3〜約1.7mg、特に有利に約1.5mgである。この場合、イチョウは、例えば抽出物、例えば乾燥抽出物として含有されていてもよいかまたは/および1つ以上の内容物質の形で含有されていてもよい。
【0011】
更に、好ましい実施態様において、薬品は、作用物質としてメラトニンまたはメラトニン誘導体とビタミンA、ビタミンA−酸またはビタミンAの別の誘導体との組合せ物を含有する。この好ましい作用物質の組合せ物において、メラトニンまたはメラトニン誘導体の用量は、メラトニン約0.05〜0.2mg、特に有利に約0.1mgである。
【0012】
更に、医薬品または化粧薬品は、1つ以上の化粧術的助剤または添加剤または/および製薬学的助剤または添加剤、例えば濃稠化剤、鉱物または芳香剤を含有することができる。
【0013】
本発明による組成物は、毛髪の成長の促進のため、殊に男性または女性の場合の脱毛症の予防または/および治療のために使用されることができる。特に好ましい適用症は、男性のタイプのアンドロゲン性脱毛症、女性のタイプのアンドロゲン性脱毛症、男性のタイプの広汎性脱毛症および女性のタイプの広汎性脱毛症である。
【0014】
本発明による使い捨て容器は、意図される適用または使用目的に応じて医薬品または化粧薬品の異なる容量を有することができる。1つの好ましい実施態様において、使い捨て容器は、薬品約2.5〜約3.5ml、有利に約2.9〜約3.2mlを有する。特に好ましい容量は、約3.0mlである。
【0015】
治療的薬品または化粧薬品は、公知技術水準である公知である全ての適当な方法によって注入されることができる。好ましくは、この薬品は、GMP条件下で注入されている。それによって、この薬品は、滅菌されており、薬品の適用の際に、例えば細菌による汚染に関連する問題を全く生じないことが保証されうる。
【0016】
本発明による使い捨て容器は、本質的に全ての任意の材料、殊に食品および製薬学的製品の包装に許容することができる材料からなることができる。好ましい材料は、例えばプラスチックまたはプラスチックからの混合物である。特に好ましいプラスチックは、例えばポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリシクロオレフィンまたはこれらの混合物もしくはコポリマーであり、特に好ましいのは、ポリエチレンまたはポリシクロオレフィンである。
【0017】
前記の使い捨て容器は、望ましい目視的外観に応じて、透明、非透明、無色または有色であることができる。プラスチックには、有色の容器を得るために、例えば任意の着色剤が混入されていてよい。非透明の容器は、有利に薬品が感光性物質を含有する場合に使用される。それというのも、その上、非透明の容器により光安定性を達成させることができるからである。
【0018】
本発明による使い捨て容器は、本質的に任意の形を有することができる。好ましい容器のための例は、図1および2に示されている。有利に、適当な使い捨て容器は、薬品を含有する部分と破壊予定位置によって下部と結合されている使い捨て容器蓋とを有する。
【0019】
好ましくは、前記容器を使用する場合の簡単で確実な取り扱いは、容器が有利に回転によって開放することができる使い捨て容器蓋を頭部に有することによって保証される。それによって、前記の容器は、簡単に開放することができる。更に、前記薬品は、開放後に使用の場合にのみ圧力によって流出しうる。この圧力は、例えば使用の際に手で加えることができる。この性質は、使用者に薬品を意図的に位置決めし、良好に計量供給することを可能にする。前記薬品を頭皮または毛髪上に適用する場合には、開放した容器を櫛のように直接毛髪に導通させることができる。これは、容器の簡単で確実な取り扱いならびに薬品の正確な計量供給を可能にする。
【0020】
前記の使い捨て容器には、使用目的に応じて刻印または印刷によって説明されているかまたは/およびラベルが貼られている。
【0021】
更に、2個以上の使い捨て容器は、互いに分離可能であるように結合されていてよい。好ましくは、5個または10個の容器が互いに結合されており、1つのユニットを形成している。更に、1つの容器または容器のユニットは、好ましくは遮光性の包装品、特に有利に例えばアルミニウム袋中に包装されていてよい。
【0022】
本明細書中で使用されるような”アルミニウム袋”の概念には、アルミニウムからなる袋ならびに例えば外面または内面がアルミニウムで被覆されている袋が含まれる。例えば、プラスチックおよび/または紙の1つ以上の層からなる袋は、アルミニウムで被覆されていてよい。好ましい袋は、例えばアルミニウムを有する貼り合わせフィルムを有し、このフィルムは、付加的にポリエチレン、ポリエステルまたは/および紙を有する。
【0023】
包装品、殊に遮光性の包装品は、薬品の作用の損失なしに、長時間に亘って貯蔵を可能にする。更に、このような包装品は、ガス損失からの保護を提供することができる。
【0024】
1つ以上の使い捨て容器が包装されているアルミニウム袋は、使用目的に応じて、印刷がなされていてよいかまたは/およびラベルが貼られていてよい。
【0025】
更に、本発明の実施態様において、使い捨て容器の多数のユニットを含む包装品ユニットが提供される。
【0026】
更に、本発明は、図1および2ならびに実施例の記載により詳説される。
【0027】
実施例
例1:作用物質メラトニン、イチョウおよびビオチンを有する本発明による調製物の組成物。
【0028】
この組成物は、イチョウの乾燥抽出物0.05質量%、ビオチン0.01質量%、メラトニン0.0033質量%ならびに他の添加剤、水およびエタノールを含有する。この組成物のpH値は、3.5〜4である。
【0029】
例2:臨床的研究
例1に記載された組成物を確率化された二重空試験においてプラシーボ対照と交叉試験計画法で8人の健康な女性の患者について試験した。日用量は、メラトニン0.1mgであり(組成物3ml)、これは、14日間毎日、就寝前に頭皮に塗布された。
【0030】
患者の尿および血液を捕集し、メラトニンまたは代謝産物6−ヒドロキシメラトニンスルフェートを測定した。
【0031】
メラトニンまたはプラシーボで処置された女性患者のメラトニン血漿プロフィールが内因性メラトニンのための刊行物に記載の濃度−時間−プロフィールに相当することを見出した。これは、メラトニン含有組成物の局所的適用により、14日間、内因性メラトニン分泌が変化しないことを証明する。
【0032】
前記組成物の14日間の投与は、血漿中のメラトニン濃度の上昇を全く生じないかまたは生理的濃度を超えるような尿中の6−ヒドロキシメラトニンスルフェートの濃度の上昇を全く生じない。メラトニン含有組成物の局所的適用は、副作用と関連していなかった。また、反応時間または皮質性の興奮パラメーターに対する作用は、全く見出されなかった。
【0033】
総じて、前記組成物の投与により、体系的な作用は誘発されないことを確認することができた。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】1つの好ましい形状を有する、5個の分離可能に結合された使い捨て容器のユニットを示す略図。1Aは、正面図を示し、1Bは、平面図を示し、1Cは、側面図を示し、1Dは、上方から斜めに見た斜視図を示す。
【図2】好ましい形状を有する個々の使い捨て容器を示す正面図。2Bは、10個の分離可能に結合された使い捨て容器のユニットを示す正面図であり、2Cは、側面図を示し、2Dは、同じユニットを示す平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
局所的に有効な用量に相当するが、しかし、体系的な作用を引き起こさない、メラトニンまたはメラトニン誘導体の単独用量を含有する局所的適用のための医薬品または化粧薬品のための使い捨て容器。
【請求項2】
メラトニンまたはメラトニン誘導体の単独用量が、0.001〜1.0mgである、請求項1記載の容器。
【請求項3】
メラトニンまたはメラトニン誘導体の単独用量が、0.01〜0.2mgである、請求項1または2記載の容器。
【請求項4】
単独用量が日用量に相応する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の容器。
【請求項5】
薬品が液状調製物として存在する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の容器。
【請求項6】
液状調製物がメラトニン0.001〜0.01%(質量)の濃度を有する、請求項5記載の容器。
【請求項7】
液状調製物がメラトニン0.003〜0.004%(質量)の濃度を有する、請求項6記載の容器。
【請求項8】
薬品が唯一の作用物質としてメラトニンまたはメラトニン誘導体を含有する、請求項1から7までのいずれか1項に記載の容器。
【請求項9】
薬品が作用物質としてメラトニンまたはメラトニン誘導体とビオチンまたは/およびイチョウとの組合せ物を含有する、請求項1から7までのいずれか1項に記載の容器。
【請求項10】
薬品が作用物質としてメラトニンまたはメラトニン誘導体とビタミンA、ビタミンA−酸またはビタミンAの別の誘導体との組合せ物を含有する、請求項1から7までのいずれか1項に記載の容器。
【請求項11】
容器が薬品2.5〜3.5mlを有する、請求項1から10までのいずれか1項に記載の容器。
【請求項12】
容器が薬品2.9〜3.2mlを有する、請求項11記載の容器。
【請求項13】
薬品がGMP条件下で注入されている、請求項1から12までのいずれか1項に記載の容器。
【請求項14】
容器がプラスチックからなる、請求項1から13までのいずれか1項に記載の容器。
【請求項15】
容器がポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンまたはこれらの混合物からなる、請求項14記載の容器。
【請求項16】
容器が無色である、請求項1から15までのいずれか1項に記載の容器。
【請求項17】
容器が有色である、請求項1から15までのいずれか1項に記載の容器。
【請求項18】
容器が透明である、請求項1から17までのいずれか1項に記載の容器。
【請求項19】
容器が非透明である、請求項1から17までのいずれか1項に記載の容器。
【請求項20】
容器が回転によって開放することができる使い捨て栓を頭部に有する、請求項1から19までのいずれか1項に記載の容器。
【請求項21】
開放後に薬品が使用の場合にのみ圧力によって流出する、請求項1から20までのいずれか1項に記載の容器。
【請求項22】
容器が印刷または刻印によって説明されているかまたは/およびラベルが貼られている、請求項1から21までのいずれか1項に記載の容器。
【請求項23】
請求項1から22までのいずれか1項に記載の互いに分離可能に結合されている多数の容器を備えたユニット。
【請求項24】
5個の容器が互いに分離可能に結合されている、請求項23記載のユニット。
【請求項25】
10個の容器が互いに分離可能に結合されている、請求項23記載のユニット。
【請求項26】
ユニットがアルミニウム袋中に包装されている、請求項23から25までのいずれか1項に記載のユニット。
【請求項27】
前記袋がアルミニウムを含有する貼り合わせフィルムからなり、付加的にポリエチレン、ポリエステルまたは/および紙を含む、請求項26記載のユニット。
【請求項28】
アルミニウム袋に印刷がなされているかまたは/およびラベルが貼られている、請求項26または27記載のユニット。
【請求項29】
請求項23から28までのいずれか1項に記載の多数のユニットを含む包装品ユニット。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−510556(P2006−510556A)
【公表日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−501815(P2005−501815)
【出願日】平成15年10月30日(2003.10.30)
【国際出願番号】PCT/EP2003/012099
【国際公開番号】WO2004/039369
【国際公開日】平成16年5月13日(2004.5.13)
【出願人】(399131611)アサト アクチェンゲゼルシャフト アプライド サイエンス アンド テクノロジー (2)
【氏名又は名称原語表記】ASAT AG Applied Science & Technology
【住所又は居所原語表記】Grienbachstrasse 17,CH−6300 Zug,Switzerland
【Fターム(参考)】