説明

メルトブロー用ヘッド

この発明は、ノズルバー内に直線状に配列された1列のノズル孔を有するメルトブロー用ヘッドに関する。該ノズル孔は、溶融物からなる継目のないフィラメントを生成するように働く。該ノズル孔は、長手方向のスロットの形を取り、かつ、ノズル孔に対して或る角度で吹出し空気を供給するための2枚のスロットプレートからなる吹出しスロットに関連付けられる。このノズル孔に、メルトブロー用ヘッド内の1つ以上の分配器を介して溶融物が供給される。1つまたは複数の分配器に、供給管を介して溶融物が供給される。メルトブロー用ヘッド内の供給管は、側方の入口から、実質的に垂直方向への方向切換手段を介して分配器まで延び、該入口は、取外し可能なコネクタを介して溶融物の管に接続される。ノズルバーは、スロットプレートを基準として規定された位置に固定され、スロットプレートからほぼ垂直方向に取外すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ノズルバーに直線状に配列された1列のノズル孔を有するメルトブロー用ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
該ノズル孔は、溶融物からなる継目のないフィラメントを生成するように働く。該ノズル孔は、長手方向のスロットの形を取り、かつ、ノズル孔に対して或る角度で吹出し空気を供給するための2枚のスロットプレートからなる吹出しスロットに関連付けられる。このノズル孔に、メルトブロー用ヘッド内の1つ以上の分配器を介して溶融物が供給される。1つまたは複数の分配器に、供給管を介して溶融物が供給される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このようなメルトブロー用ヘッドは、欧州特許明細書0 625 939 B1(DE
693 19 582 T2参照)に記載および提示されている。この公知の装置は、この装置から放出された継目のないフィラメントから、回転式ベルト上に、絡み合ったフィラメントを生成するように働く。それにより、該絡み合ったフィラメントは、公知の不織布として使用され得る。この発明に従った、以下に記載するメルトブロー用ヘッドは、有利にも、同じ態様で使用することができる。公知の装置では、ノズルバーをスロットプレートにねじ締めすることによってノズルバーが1つのユニットを形成する。このユニットは、清掃または整備用に筐体から長手方向に取外すことができる。継目のないフィラメントは、メルトブロー用ヘッドから放出されて垂直方向に加圧された後に冷却部を通過し、その後、絡み合った状態でコンベアベルトに堆積される。該コンベアベルトは、絡み合った継目のないフィラメントからなる、不織布の形をとった形成物を運んでいく。継目のないフィラメントの生成に必要とされる溶融物は、筐体を介して上方からメルトブロー用ヘッド内に垂直方向に導入され、吹出し空気が空気チャンバを介して両側から供給される。そして、この両側から吹出し空気が吹出しスロットに方向付けられる。溶融物の送りが筐体から垂直な上方に突出していることにより、筐体からメルトブロー用ヘッドが側方に取外される。1列に並んだノズル孔の方向にメルトブロー用ヘッドを取外すことにより、少なくともメルトブロー用ヘッドの長さに相当するかなりの空間が必要になる。このことは、不織布を生成するためのこのような構成体を統合する上で問題となることが多い。なぜなら、構造上の理由から、このような空間が容易に得られないためである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明の目的は、メルトブロー用ヘッドの整備または清掃のために、周辺環境に対するメルトブロー用ヘッドの適合性を高めることである。この発明の目的は、メルトブロー用ヘッド内の供給管を、側方の入口から、実質的に垂直方向への方向切換手段を介して分配器に通すことと、該入口が、取外し可能なコネクタを介して溶融物の管に接続されることと、ノズルバーが、スロットプレートを基準として規定された位置に固定されて、スロットプレートからほぼ垂直方向に取外しが可能であることとによって達成される。
【0005】
ノズルバー内で溶融物用の供給管の方向を切換えることにより、溶融物はノズルバー内で、側方の入口から、実質的に垂直方向への方向切換手段を介して分配器に供給され、ノズルバー上方の空間が供給管により遮断されない。その結果、スロットプレートからノズルバーを垂直方向に持上げることができ、そのように持上げるために、ノズルバーは、スロットプレート上に取外し可能な態様で固定される。一般に、ノズルバー上方の空間がどのような構成要素または構成部品によっても遮断されないため、ノズルバーの垂直方向の
着脱可能性により、問題なく清掃および/または整備を行なうことができる。
【0006】
この発明に従ったメルトブロー用ヘッドの設計では、ノズルバーをスロットプレートに自動的にアライメントすることもさらに可能である。なぜなら、ノズルバーが、水平方向および垂直方向の壁面を有する空気供給ブロックにより側方から封止されているためである。該空気供給ブロックは、1列のノズル孔に対して平行に配置され、該空気供給ブロックには、水平方向および垂直方向の脚部を有するステップを備えたノズルバーが接触する。スロットプレートは、ストップに接した状態で各空気供給ブロックに接触し、長手方向のスロットに吹出し空気を供給するための空気供給ブロックに対して空間をあける。
【0007】
ステップの2つの脚部の各々が、空気供給ブロックと確実かつ密接に接触しているため、ノズルバーは、垂直および水平方向において定位置に正確に保持される。各スロットプレートがストップに接した状態で空気供給ブロックと部分的に接触することは、各スロットプレートの位置もまた正確に維持されることを意味する。ノズルバーおよびスロットプレートを分離した後に再び組立てると、ノズルバーおよびスロットプレートはいずれも、正確にアライメントされてそれぞれの定位置に戻る。その結果、このように再度組立てる作業の間に、ノズルバーを基準とした特別な調整を行なう必要がなくなる。この正確な位置決めは、メルトブロー用ヘッドが正確に機能するために極めて重要なものである。
【0008】
ノズルバーがスロットプレートから取外されているときに溶融物がさらに流入しないようにするために、溶融物の管には、有利にも、コネクタの領域に遮断弁が設けられる。
【0009】
したがって、ノズルブロックが持上げられる際に、取外される溶融物の管はこの動作を妨げず、溶融物の管が、そのコネクタとともに移動可能であることは有利であり、溶融物の管は取外されると入口に関連して移動し得る。溶融物の管のこの特別な可動性の代わりに、コネクタに変形可能なシールを設けることもでき、このシールは、その変形能の範囲内でコネクタと入口との間に空間を設ける。その結果、遮断されることなくノズルバーを溶融物の管から持上げることができる。
【0010】
経験により、吹出しスロットの裏側の、吹出し空気の流れの方向に空気の渦が形成されることが示されており、該空気の渦が、一定の条件下において、継目のない個々のフィラメントを早々に接触させてしまい、フィラメント同士を付着させることが考えられる。気流を均等にすることによってこのことを防止するために、ノズルバーと反対のスロットプレートの側面が、有利にも丸みのついた凹状の断面をとる。これにより、吹出し空気に混入する周囲空気において乱気流が広範囲に生じないことが保証される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
この発明の例示的な実施例を図面に示す。
【0012】
図1は、ノズルバー1と、2枚のスロットプレート2および3とを有するメルトブロー用ヘッドを示す斜視図である。該メルトブロー用ヘッドは、空気供給ブロック4および5により側方から封止される。ノズルバー1は、ブロックを形成するための2つ以上の部品から構成されてもよい(ここでは一体化された設計として図示)。2つの空気供給ブロック4および5は、2本の空気管6および7によって公知の態様で供給を受ける。スロットプレート2および3は、吹出し空気を供給するために長手方向のスロットを形成し、このスロットは、ノズル孔8に隣接してノズルバーの長さの全体にわたって延びる。これに関しては、図2を参照してより詳細に論じる。
【0013】
ノズルバー1内において、溶融物を供給するために供給管9が延びる。この供給管9は、ノズルバー内において方向切換手段10を介して入口11まで延び、この入口11にお
いて、コネクタ12を介して溶融物の管13への接続が生じる。上述のように、このようなノズルバーは通常、2つ以上のプレートまたは部品で構成される。図1を参照すると、図示される構成体は4つのメルトポンプ14、15、16、および17を有し、これらのポンプは溶融物の管13と接続していることが示され、ノズルバー1内のそれぞれのノズル孔に対して確実に供給を行なう。メルトポンプ14、15、16、および17と、関連付けられた溶融物の管13とは、加熱箱18に収容される。この加熱箱18において、収容されている溶融物が融解温度に保持される。
【0014】
図1はさらに、加熱プレート19、20および21を示し、これに関しては、図2を参照してより詳細に論じる。図1はさらに、1列のねじの頭部22および23を示し、これについてもまた同様に、図2を参照してより詳細に論じる。
【0015】
図2は、図1に従った構成体を側面から見た断面図である。ノズルバー1は供給管9および方向切換手段10を含むブロックを形成し、このブロック内で、供給された溶融物がノズルバー1内の分配器24(図1参照)によって個々のノズル孔8間に分配される。
【0016】
ノズル孔8の端部ならびにスロットプレート2および3の隣接する端部の設計を図2aに示す。図2aは、図2から得られた、対応する部分の拡大図である。
【0017】
2枚のスロットプレート2および3の各々は、ノズル孔8の端部に対して長手方向のスロット25および26を開口しており、このスロットから吹出し空気が吹出され、ノズル孔8から放出された溶融物を冷却して運び去る。長手方向のスロット25および26には、管27および28を介して空気管6および7から吹出し空気が供給される。これらの管は、空気供給ブロック4および5の内部に延び、一方ではスロットプレート2および3と、ノズルバー1ならびに空気供給ブロック4および5との間の空間29および30において終端をなす。
【0018】
長手方向のスロット25および26を有するノズル孔8の端部の上述の設計および効果は公知であり、最初に述べた文献にほぼ提示されている。
【0019】
供給管9は、方向切換手段10を介して側方の入口11に至り、側方の入口11は変形可能なシール45を有するコネクタ12に接続される。コネクタ12の前面に遮断弁31が位置付けられる。この遮断弁31は、ノズルバー1が以下に述べる態様で取外される際に、メルトポンプ14から溶融物がさらに流出することを防止するためのものである。溶融物の管13の端部において、溶融物の管はベローズ32を介して延び、これによってコネクタ12と溶融物の管13との間に或る一定の可撓性が確実に生じるようにする。
【0020】
ノズルバー1は、ステップ33および34を有し、その各々は、水平方向および垂直方向の脚部35および36(ステップ33に関する参照符号のみを図示)を有する。該脚部35および36は、空気供給ブロック4および5の対応する壁面の部分に接触する。空気供給ブロック4および5は、水平方向および垂直方向に延びることから、ステップ33および34との嵌合が可能になる。ノズルバー1の、空気供給ブロック4および5への接続は、水平方向のねじ37および38(ねじの頭部22を有する水平方向のねじ37については図1を参照)ならびに垂直方向のねじ39および40(垂直方向のねじ39のねじの頭部23については図1を参照)によって行なわれる。これらのねじを締めると、ノズルバー1と2枚のスロットプレート2および3とを含む堅固なユニットが生じ、このことによってノズル孔8とスロット25および26との正確なアライメントが保証される。スロットプレート2および3には、ノズル孔8の方向に以下のように特定の配向が与えられる。すなわち、スロットプレート2および3の端部が長手方向のスロット2および3と対向した状態で、厚さが可変であってリミットストップを形成する挿入可能なスペーサ41お
よび42と接し、ねじ43および44により該スペーサ41および42に固定される。空気供給ブロック4および5に対するスロットプレート2および3の加圧は、ねじ45および46により達成される。
【0021】
何らかの理由、たとえば清掃および整備のためにノズルバー1を取外さなければならない場合、水平方向のねじ37および38ならびに垂直方向のねじ39および40を取外してコネクタ12の接続を解除する必要がある。その結果、ノズルバー1をスロットプレート2および3から上方に持上げることができ、構成体から取外すことができる。ノズルバー1は反対方向に再び挿入され、2つの空気供給ブロック4と5との間にノズルバー1を単に摺動させて再度挿入し、以前に取外したねじを締めることのみが必要とされる。ノズルバー1は、ステップ33および34によって規定された位置をとる。たとえば、空気供給ブロック4がさらに別の外部の構造上のユニットによって規定された位置を有する場合、内蔵されかつ規定された位置にあるノズルバー1、空気供給ブロック5、ならびにスロットプレート2および3を含むユニットの、さらに別の構成要素を生じる。そのため、結果的に、長手方向のスロット25および26に対してノズル孔8を後で特別に調整する必要はない。
【0022】
図2に示す構成体の設計のさらなる利点は、上述のユニットの分解および組立に必要なねじ37、38、39、および40のそれぞれが、単に、ねじを回すのに十分な空間が通常存在する側面および上方からユニットに取付けられるという点を含む。
【0023】
図2は、図面を参照して既に言及した加熱プレート19、20および21を示し、該加熱プレートは、空気供給ブロック4および5と共にノズルバー1を必要な態様で加熱する。
【0024】
図3は、スロットプレートの設計を除いて図2に示す構成体と全く同じ構成体を示す。図3に示すスロットプレート45および46には、空気供給ブロック4および5ならびにノズルバー1とは反対側に、丸みのついた凹状の断面が設けられる。その結果、周囲環境からの通過空気が、長手方向のスロット25および26から放出される気流による乱気流を伴わずに均一かつ広範囲に取込まれ、このことは、ノズル孔8から放出された継目のないフィラメントが渦を巻くことを広範囲にわたって防止する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】加熱箱を有するメルトブロー用ヘッドの斜視図である。
【図2】同じ構成体の部分側面図である。
【図2a】図2からの長手方向のスロット25および26の領域の拡大図である。
【図3】丸みのついたスロットプレートを有する図2の構成体を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルバー(1)に直線状に配列された1列のノズル孔(8)を有するメルトブロー用ヘッドであって、前記ノズル孔(8)は、溶融物からなる継目のないフィラメントを生成するように働き、前記ノズル孔(8)は、長手方向のスロット(25,26)の形をとり、かつ、ノズル孔(8)に対して或る角度で吹出し空気を供給するための2枚のスロットプレート(2,3)からなる吹出しスロットに関連付けられ、このノズル孔(8)に、メルトブロー用ヘッド内の1つ以上の分配器(24)を介して溶融物が供給され、1つまたは複数の分配器(24)に、供給管(7)を介して溶融物が供給され、メルトブロー用ヘッド内の供給管(9)は、側方の入口(11)から、実質的に垂直方向への方向切換手段(10)を介して分配器(24)まで延び、前記入口(11)は、取外し可能なコネクタ(12)を介して溶融物の管(13)に接続され、ノズルバー(1)は、スロットプレート(2,3)を基準として規定された位置に固定され、スロットプレートからほぼ垂直方向に取外しが可能であることを特徴とする、メルトブロー用ヘッド。
【請求項2】
ノズルバー(1)は、水平方向および垂直方向の壁面を有する空気供給ブロック(4,5)により側方から封止され、前記空気供給ブロック(4,5)は、1列のノズル孔(8)に対して平行に配置され、前記空気供給ブロック(4,5)には、水平方向および垂直方向の脚部(35,36)を有するステップ(33,34)を備えたノズルバー(1)が接触し、スロットプレート(2,3)は、ストップ(41,42)に接した状態で各空気供給ブロック(4,5)に接触し、長手方向のスロット(25,26)に吹出し空気を供給するための空気供給ブロック(4,5)に対して空間(29,30)を空けることを特徴とする、請求項1に記載のメルトブロー用ヘッド。
【請求項3】
溶融物の管(13)には、コネクタ(12)の領域に遮断弁(31)が設けられることを特徴とする、請求項1または2に記載のメルトブロー用ヘッド。
【請求項4】
溶融物の管(13)は、そのコネクタ(12)とともに移動可能であり、溶融物の管は取外されると入口(11)に関連して移動し得ることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載のメルトブロー用ヘッド。
【請求項5】
コネクタ(12)は、変形可能なシール(45)を有することを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載のメルトブロー用ヘッド。
【請求項6】
スロットプレート(2,3)は、ノズルバー(1)とは反対側において丸みのある凹状の断面をとって延びることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載のメルトブロー用ヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−509920(P2006−509920A)
【公表日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−558027(P2004−558027)
【出願日】平成15年12月8日(2003.12.8)
【国際出願番号】PCT/EP2003/013900
【国際公開番号】WO2004/052617
【国際公開日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(594143628)リーター・アウトマーティク・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (9)
【氏名又は名称原語表記】RIETER AUTOMATIK GMBH
【Fターム(参考)】