説明

メントール有り無しのニコチン溶解フィルム

ヒトの口腔中に置かれる速溶解フィルムには、喫煙が可能でない時間の間の一時的なニコチン渇望を抑える目的で、又は治療目的のために、口腔粘膜を介してヒトの血流へ直接吸収され得るニコチン又はニコチン類似体がメントール又はメントール類似体の有り無しで含まれ、このフィルムは、薄くて、水和したときに溶解する、低水分で非粘着性の材料から作製されて、その基質をヒトの口腔に入れることができるような大きさである。0.1mg〜10mgのニコチン又はニコチン類似体をメントール又はメントール類似体の有り無しでその基質へ加えてから、これを平らな密封容器に包装する。喫煙者は、これをポケットの中へ目立たずに入れることができて、それによって該容器は、喫煙者にとって容易にアクセス可能になる。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0001】
[0001] 本発明は、空港のような制限区域又は公共交通機関において喫煙することが許容されない能動喫煙者のためのニコチンの口腔粘膜送達についての新たな方法に関する。現在、米国では、2,200以上の地方自治体で喫煙制限がある。このうち461では、民間の職場、政府の建物、レストラン、及び/又はバーで喫煙が全面的に禁止されている。例えば、カリフォルニア州バーモント市では、集合住宅に暮らす住民にその家庭で喫煙することが許可されていない。これらの制限は、現在喫煙していて、禁煙する動機もない6000万の米国喫煙者に強い影響を及ぼしている。
【0002】
[0002] 喫煙し始めた人は、自覚する前にニコチン中毒になっている。このことは、2つの問題を提起する。第一に、ニコチン嗜癖は、克服することがきわめて困難である。喫煙者をそのニコチン中毒から解放すると期待されている数多くの治療法、処方箋、及び他の方法がこの事実を立証している。しかしながら、奏効するものはほとんどないので、多くの喫煙者は、喫煙習慣を終わらせようと繰り返し試みたことがあるという事実にかかわらず、その習慣を続けるものである。
【0003】
[0003] 能動喫煙者が遭遇する第二の問題は、再発性のニコチン渇望である。通常の状況で、これは、喫煙者がもう1本のタバコに火をつけてそのニコチン渇望を満足させる瞬間である。しかしながら、時折これは、するのが困難であるか又は不可能である。例えば、喫煙は、電車、飛行機、等のような公共の乗り物において、並びに多くの建物、環境において、あるいは、単にその面前での喫煙に立腹する非喫煙者の集団の間にいるときも、厳しく禁止される。そのような短期間のニコチン渇望を克服するために喫煙者が現在なし得ることは、可能であれば、喫煙が許可されていない空間から外に移動すること、又は喫煙が再び可能になるまでそのニコチン渇望を耐え忍ぶこと以外にほとんどない。
【0004】
[0004] 従って、本発明は、喫煙者が喫煙し得ないときにニコチン渇望の鋭さを和らげるための代替手段を提供する。慣用の禁煙治療は、完全な禁煙へ特異的に向けられて、普通のタバコから得られるより多い量のニコチンの用量をしばしば含有する、ニコチンガム、ロゼンジ、又は皮膚パッチ剤の使用を頻繁に伴う。このような禁煙用製品では、タバコを吸うこと、又はあらゆる種類のタバコ製品を使用することからの絶対的な節制が要求される。従って、それらは、禁煙を望まないが、一時的なニコチン渇望の時間にわたってそれを凌ぐことに役立つものを願望する人々には適していない。
【0005】
[0005] さらに、先行技術の禁煙製品には、本発明にはない、処分や不便さの課題がある。ニコチンガム、パッチ剤、及びロゼンジは、(消費されなければ)子供やペットを潜在的に毒するのに十分な残留ニコチンを含有するので、適切に処分されなければならない。ニコチンガムの使用者は、ガムを噛んでは歯肉線に沿って止める、噛んで止める、噛んで止めるというパターンに30分間、又はニコチンが血流へ吸収されるまで従わなければならない。ニコチンガムを噛むことはまた、噛むという行為の故に、口、歯、顎の問題を引き起こす可能性がある。ニコチンのロゼンジを舐めることは、使用者の周囲にいる人々の気を散らせる可能性がある一方で、ニコチンガム又はロゼンジの使用は、ある社会状況では許容されない可能性がある。ガム又はロゼンジにはかなりの量のニコチンがあるので、1個より多いガム又はロゼンジを同時に噛むか又は消費すれば、又は多くの個数を立て続けに噛むか又は消費すれば、ニコチンの過量服用が起こり得る。ニコチンパッチ剤の使用者は、パッチ剤中の接着剤又は他の皮膚感覚により、皮膚のパッチ部位に刺激を経験する場合がある。本発明は、上記のニコチン含有製品で遭遇する欠点を克服する。代わりに、本発明は、使用するのが簡便であり、社会的に許容されて、論争となる処分の課題もない、薄くて口内で溶解可能なニコチン含有ストリップを利用する。
【0006】
[0006] 有効であるために、本発明に従って組み立てられるニコチン含有フィルム又はストリップは、粘膜を介した患者の血流へのニコチンの吸収を促進するためにメントールを含めてよく、いつでも、及び/又はどこでも使用し得るように即座に利用可能で携帯が容易でなければならず、そしてそれは、ニコチンブリッジ(nicotine bridge)の必要が生じたならば喫煙者がすぐ手を伸ばすことができる、喫煙者の衣服のポケット、鞄、サイフ、等の中にそのストリップが喫煙者によって携帯され得るように、十分に目立たずにかさばらないものでなければならない。このように、本発明によれば、ニコチンは、外の視界からは有効に隠れたままでいながら、経口で服用することができる、平板な薄型のフィルム又はストリップに含有される。
【0007】
[0007] ニコチンは、タバコのようなイヌホウズキ科の植物(ナス科)に見出されるアルカロイドである。低い濃度(通常のタバコは、10mgのニコチンを含有して、そのうち1〜2mgだけが肺を通して血流へ吸収される)では、ニコチンは、刺激薬として作用して、喫煙者がタバコに中毒になる主たる理由の1つとなる。米国立薬物乱用研究所[NIDA]による諸研究は、ニコチンが報酬経路(愉悦及び多幸の感覚を調節する脳内の回路)を活性化することを示した。
【0008】
[0008] 本発明は、喫煙者が一時的に喫煙を妨げられるときのニコチン渇望に伴う不快感を鎮めることを企図している。これは、比較的低用量のニコチンを含有する、口当たりよく、速やかに溶解するフィルムからなる。このフィルムは、舌の裏側に、又は口蓋に接触して置かれる。数秒以内にこのフィルムは溶解して、ニコチンが血流へ吸収される。ニコチンは、血流に入って数秒のうちに脳に達する。ニコチンへの渇望が始まって火を点けることができない喫煙者にとって、本発明は、即座の(渇望)軽減を提供する。喫煙者はまた、連続数のニコチン溶解フィルムを自身のニーズに従って消費することによって、ニコチンの量を調節することができる。
【0009】
[0009] ニコチン溶解フィルムの別の利点は、それがタバコに見出される発癌物質と、肺へ吸入される微粒子の傷害効果を欠くことである。
[0010] 探索研究はまた、パーキンソン病、アルツハイマー病、統合失調症、及び注意欠陥多動性障害のような広範囲の疾患及び精神病に罹患している患者に対して治療上有用であり得て、減量を促進する食欲制限の手段にもなり得ることを観測した。
【0010】
[0011] 研究はまた、メントールを薬物送達系へ加えると、該薬物の血流への吸収が促進されることを示した。メントールは、合成的に作られるか又はペパーミントや他のミント油より入手される有機化合物である。それは、色が無色又は白色で、辛味、ロウ様、結晶性の物質である。メントールには、局所の麻酔及び反対刺激特性、並びに、局所の血管拡張特性がある。鼻及び喉の粘膜に速やかに浸透するその能力の故に、メントールは、鼻づまり薬として、並びに軽度咽頭痛の治療薬として広く使用されている。メントールの局所の血管拡張特性は、イブプロフェン、ニトログリセリン、及び他の薬理学的に有効な成分の迅速な送達に有効であると示されてきた。臨床研究は、メントールが医薬品及び/又はハーブサプリメントの経皮送達を劇的に高めることができることを示した。本発明のニコチン供給ストリップ又はフィルムにおいて、メントールは、ニコチンの口腔粘膜を通した血流への迅速な吸収を可能にする血管拡張薬として作用して、それによって喫煙者が1本のタバコの効果をより低いニコチン含量で、より速い速度で得ることを可能にする。
【0011】
[0012] 医薬品又は薬物を皮膚又は口腔を通してヒトの器官系へ送達するための先行技術の方法は、口臭清涼剤のための速溶解性経口フィルム、チューイングガム又はロゼンジ、飲用飲料、又はゲル又は軟膏組成物の皮膚への適用を明らかにする。
【0012】
[0013] 従って、Leung et al. による米国特許第6,923,981及び6,596,298号は、脱口臭剤、抗微生物剤、及び唾液刺激薬を口腔へ送達するために使用される速溶解性の経口消耗フィルムを開示する。このフィルムはまた、医薬活性剤を送達するために使用し得る。Leung は、先行技術のフィルムの改善点、並びにそれらを作製するための方法を開示する。
【0013】
[0014] Pinney による米国特許第6,893,654号は、渇望抑制物質を口内粘膜組織を通して送達するためにチューイングガム又はロゼンジの形態で提供される2段階の経粘膜医薬品送達系を開示する。この系及び装置は、ニコチン、アルコール、食物及び薬物(コカイン、オピエート、等のような)への渇望を抑えるように適応することができる。同様に、Cherukuri et al.による 米国特許第6,344,222号は、ニコチン、ガム基剤、及び緩衝系を含む、ニコチンの放出速度が改善されたチューイングガム送達系について記載する。
【0014】
[0015] Busiashvili による米国特許第6,559,180号は、ニトログリセリンの投与量に対するメントールの効果を明らかにする。メントールと組み合わせて使用するとき、ニトログリセリンの投与量は、効能を犠牲にすることなく下げることができて、頭痛や失神のような、ニトログリセリン服用でよくある副作用が抑えられる。
【0015】
[0016] 米国特許第6,479,076号は、ゲル剤、軟膏剤、溶液剤、懸濁液剤、又はフィルム剤の形態の水溶性ビニルピロリドンコポリマーを皮膚へ適用することによる、使用者の皮膚を通したニコチン送達系について記載する。
【0016】
[0017] Thompson による米国特許第6,268,386号は、流体の経口消費を通したニコチンの送達について教示する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
[0018] 今日市販されているニコチン送達系は、喫煙者が喫煙を止めるのに役立つように設計されている。ニコチンパッチ剤、ニコチンガム、及びニコチンのロゼンジは、いずれも禁煙プログラムの一環であるように設計されている。本発明は、喫煙の儀式を楽しんで、禁煙することを望まない喫煙者に対して向けられる。それ自体は明白な儀式ではないが、本発明は、喫煙機会間のニコチン渇望の軽減を喫煙愛好家にもたらす。この特徴によって、本発明のニコチン溶解フィルム又はストリップは、今日市販されている他のすべてのニコチン送達系から区別される。
【0018】
[0019] 本発明は、喫煙者が喫煙し得ないときのニコチンへの渇望を一時的に抑える目的のために、タバコを噛むこと、又はスヌース(上唇の下に長時間の間置くことによって消費される潤性粉末タバコ製品)の使用に付随した発癌リスクを伴うことなく、ニコチン又はニコチン類似体(本発明の文脈において、ニコチン類似体は、純粋なニコチンに類似した構造であり、ある種の成分に関して純粋なニコチンとは異なるものの、代謝的には同様に作用する化合物である)を、メントール有り無しの速溶解フィルムにおいてそれが送達するという点で、先行技術に優る改良品である。先行技術に優る本発明の利点には、簡便性、目立たないこと、処分の課題に関する懸念のないこと、及びニコチンへの渇望を軽減する一方で、より健全な喫煙代用品であることが含まれる。
【0019】
[0020] 故に、本発明の目的は、使用者の口中の口腔粘膜を通して少量のニコチンを送達する、社会的に許容される仕組みを提供することである。本発明の重要な特徴は、このニコチン溶解フィルム送達系を喫煙者が何時でもどこでも目立たずに使用し得ることである。送達されるニコチンの量は正確であり、喫煙者によって容易に制御される。
【0020】
[0021] 本発明は、水分が低く、表面組織及び実質が非粘着性であり、組成により速やかに溶解可能である消耗性フィルムの独自の特徴を利用する。乾燥プロセスの前に、0.1mg〜10mgの純粋なニコチン又はニコチン類似体を1〜10重量%のメントール又はメントール類似体(代謝的に類似の作用を有する、メントールに類似した化学化合物)の有り無しで該フィルムへ混合又は注入する。次いで、ニコチン注入フィルムのロールを機械によって切断するまで保護ラッパー中に保存して、商業使用のために個別のホイルラッパーに包装するか又はカセットに束ねることができる。ニコチン注入フィルムのロールと個別ホイル包装ニコチンストリップは、ともに室温で保存することができる。
【0021】
[0022] もう1つの利点は、本発明が特別な取扱いも保存も必要としないことである。本発明の好ましい個別ホイルラップ包装は、このニコチン送達系へ安定性と鮮度を提供する。この口当たりがよいフィルムの副次利益は、ひどい口臭の改善である。
【0022】
[0023] 本発明は、喫煙し得ない時間の間の一時的なニコチン渇望を満足させるのに有効で簡便なやり方を喫煙者に提供するだけでなく、それはまた、そのフィルムを何時でもどこでもすぐに使用に供する一方で使用者の口腔へ即座に入れることができるように、このニコチン含有ストリップを携帯することによって、ニコチン追加の適用を容易にする簡便で目立たないやり方を提供する。本発明のニコチン含有フィルムは、平らである密封容器に(ニコチン及び/又はメントールの散逸を防ぐために)包装されるので、それはポケット、サイフ、鞄、札入れ、等の中に、又は自らの傍らに容易に、かつ目立たずに入れることができる。好ましくは、このストリップは、市場で広く入手可能である剥離パッケージにおいて個別にラップされる。加えて、及び/又はあるいは、このパッケージは、多数のニコチンフィルム携帯パッケージを保持する取出し容器に入れることができる、及び/又はそれらは、適正に組み立てられた取出し容器の中へ直接入れることができる。
【0023】
[0024] 通常、少なくとも1枚、そして典型的には数枚のニコチン含有フィルムを身につけて(例えば、そのポケットの中に)携帯する。ニコチン渇望が生じるとき、時と所にかかわらず、喫煙者は、例えば、そのポケットへ単に手を伸ばし、そこからそのパッケージを目立たずに取り出し、密封カバーを引き剥がしてから、フィルムの溶解のためにそのフィルムを自らの口腔に入れて、ニコチン渇望を満足させる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】[0025] 図1は、ニコチン含有フィルムへのアクセスを提供する引き剥がしシートを有する、該フィルムを密封保存するための平型容器の透視正面立面図である。
【図2】[0026] 図2は、本発明に従って組み立てられた、数枚のニコチン含有フィルムを保持するための容器の断面の側面立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[0027] 図面を参照すると、本発明は、喫煙者がタバコを吸えないときに、ニコチンへの渇望の軽減を彼らへ提供する。喫煙者は、いくつか挙げれば、公共交通機関、公共の建物、レストラン、又はバーにおいて、喫煙が可能でないときに、自らのニコチンへの渇望を満足させることがますます難しくなっていることに気づいている。本発明は、使用者が例えばタバコ、パイプ、又は噛みタバコを味わうことを妨げられるときにそのニコチン渇望を軽減するために、溶解フィルム技術を純粋なニコチン又はニコチン類似体の送達系としてメントール又はメントール類似体の有り無しで活用する、ニコチン含有フィルム又はストリップを利用する。本発明は、禁煙をさせるために設計されていないし、禁煙させるものではないが、本発明のニコチン含有フィルムは、喫煙機会の間のニコチン渇望の軽減を提供する。
【0026】
[0028] このニコチン溶解フィルム又はストリップは、禁煙補助の手段として設計及び使用されて、一時的なニコチン渇望をただ一時的に満足させるものではない、ニコチンパッチ剤、ニコチンガム、又はニコチンのロゼンジのような現行のニコチン送達系に優る利点を有する、喫煙者へニコチンを送達する簡便なやり方である。本フィルムによって喫煙者へ送達されるニコチンの量は、典型的には、タバコを吸入することより送達される量より少ない。典型的なタバコは、概ね10mgのニコチンを含有して、そのうち1〜2mgだけが吸入の間に血流へ吸収される。本発明の溶解性ニコチン含有フィルムは、使用者の舌又は口蓋の上で速やかに崩壊し、ニコチンが粘膜を介して血流へ速やかに吸収されることを可能にし、それによってニコチン渇望喫煙者へ即時の渇望軽減を提供する。この溶解フィルムは、喫煙者が捨てなければならない残留物を何も残さず、これはニコチンガム、パッチ剤、又はロゼンジに優る顕著な利点である。
【0027】
[0029] 本発明のその現行で好ましい態様では、即時溶解フィルムと、メントール又はメントール類似体の有り無しでの純粋なニコチン又はニコチン類似体の組合せによって、ニコチンが使用者の血流へ送達される。この溶解フィルムは、水分が低く、表面組織が非粘着性であり、喫煙者の口中の水分と接触するときに迅速に溶解するように設計される。この溶解フィルムは、製造プロセスの間に、厚さ1.5〜3ミリで形状が方形又は矩形で約0.5〜約2平方インチの表面積のストリップとして切断される。好ましい態様の大きさは、幅0.8インチ、長さ1.25インチ、重さ55mgのストリップである。このストリップのニコチン含量は、企図される製品の使用に依存して、約0.1〜約10mgである。本発明のニコチン含有フィルムを喫煙機会の間のブリッジ(bridge)として使用するとき、このフィルムは、典型的には、約0.5mg〜約1.2mgの純粋なニコチン又はニコチン類似体と5〜7重量%の間のメントール又はメントール類似体を有する。ある症例では、この溶解フィルム送達系中のより高いレベルのニコチン含量を、外傷後ストレス障害、双極性障害、大うつ病、及び統合失調症が含まれる他の精神病の患者にとっての症状軽減といった治療目的に使用することができる。
【0028】
[0030] この溶解フィルムは、溶解フィルムの構成成分と有効成分(即ち、ニコチン又はニコチン類似体と、所望されるならば、メントール又はメントール類似体)のいずれも含有する水溶液においてこの諸成分を徹底的に混合する方法によって作製する。次いで、この水溶液を適正な温度で、必要とされる時間間隔にわたって乾燥させて、所望されるフィルム厚と成分組成を達成する。次いで、この乾燥したフィルムを、有効成分の適正な投与量を含有する所望のストリップサイズの寸法へ切断する。
【0029】
[0031] 好ましい態様において、この溶解フィルムは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶性セルロース、カラゲナン、α−ビサボロール、ポリソルベート80、グリセリン、人工甘味料、着香料、食用着色料を、純粋なニコチン又はニコチン類似体の有効成分とメントール又はメントール類似体有り無しで組み合わせて含有することができる。このヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶性セルロース、カラゲナン、α−ビサボロール、グリセリン、及びポリソルベート80は、本溶解フィルムのベース基質を構成する。この基質は、菜食主義ベースであり、喫煙集団による可能な限り広い使用を可能にする。加えて、スクラロースのような人工甘味料の使用は、糖尿病の喫煙者が本発明を安全に使用することを可能にする。このニコチン溶解フィルムの着香料は、純粋なニコチン又はニコチン類似体の味を偽装するか又はマスクするように設計される。好ましい態様では、ペパーミント着香料を使用するが、ニコチンの味を隠すのに他のどの強いミント又は天然着香料も使用してよい。本発明の好ましい態様において、本フィルムの構成成分は菜食主義ベースであるが、動物産物ベースの基質を使用して、本フィルムの製造の間に、メントール又はメントール類似体有り無しの純粋なニコチン又はニコチン類似体だけでなく、人工甘味料、適正な着香料、食用着色料、等を加えることも可能である。
【0030】
[0032] 本発明の最終のニコチン含有フィルムは、吸湿性であり、適切に包装されなければ、経時的にその製品を劣化させ得る、成分のオフ・ガス(off-gassing)を蒙る可能性がある。1つの包装オプションは、例えば、24枚までのニコチン含有フィルムを保持し得るプラスチックカセットの使用である。このカセットは、そのフィルム束よりよりごくわずかに大きくて、カセット中の空気量を最小にすべきである。次いで、このカセットを、ブリスターパックに包装するが、その片側はプラスチックで、カセットとブリスターパックの厚紙の裏打ちの間にはホイルシールがある。この包装は、カセットをブリスターパックから取り出すまでは、気密状態にある。しかしながら、いったんカセットをブリスターパックより取り出して、一枚目のニコチン含有フィルムを取り出したならば、残りのフィルムは、そのストリップがあまりに多量の水分を吸収して劣化しないうちに、比較的短い期間で消費すべきである。しかしながら、そのような包装は、2枚以上のストリップが水分吸収のために一緒に固着し始めるときにそれらを同時に取り出して、望まれるか又は予期されるより多い用量のニコチンを使用者が服用する原因になるリスクを伴う。
【0031】
[0033] 図1を参照すると、上記に記載のように本明細書に従って組み立てたニコチン含有フィルム(2)は、矩形の輪郭を有して薄い(好ましくは、約1.5〜3ミリの間の範囲にある)ので、柔軟であり、ヒトの口腔に容易に入れることができる。このフィルムは、例えば、包装用に使用される多種多様なプラスチック又はホイルのいずれか1つのような、ガス不透過性の材料より構築される容器の内側に入って、1つのフィルムを容易に収容するのに十分な深さ(図1には、特に示していない)を有する。容器の上面(6)が開いていて、容器の内側にあるフィルムを囲む、外側へ広がるフランジ(8)を有して、容器の外側フランジ(8)へ封止式に固定される(例えば、結合される)引き剥がしシート又は膜(10)が含まれる。この柔軟な膜の結合により、容器の内側が外側から密封されて、それによってフィルムの成分の脱気、及び/又はその汚染が妨げられるが、その一方でこの結合は、十分に弱いので、この膜は容易に引き剥がされて、容器からの取り出しのためにフィルムを曝露する。この膜の引き剥がしを容易にするために、これにタブ(12)を含めてよく、ここで膜は、容器のフランジからそれを引き離すのにしっかりつかむことができる。この容器の厚さは、それをポケット等に入れて携帯することが容易であるほどに薄く保たれる。その厚さは、フィルムの厚さ+容器中のストリップの上及び下の容器壁の厚さを収容するのに、1〜3mmほどの狭さであり得る。
【0032】
[0034] 使用時に、喫煙者は、1以上の密封容器(4)を例えばポケットの中へ入れて、必要とされるときはそのストリップが利用可能であるように、そのストリップをいつでも携帯する。例えば、ニコチン渇望を経験して、喫煙する(又はタバコを噛む)状況にないとき、使用者は、ポケット又は鞄の中へ手を入れて、膜(10)を容器(4)より引き剥がしてから、そのフィルムを開いた容器の外へ指でスライドさせる。フィルムに触れる前に指を軽く湿らすことによって、フィルムは使用者の指へ付着して、それによりフィルムを口腔に入れることが容易になる。
【0033】
[0035] 例えば、国際線のフライト途上にあるときのように、ニコチン渇望を満足させるのに、喫煙することができない長期の時間が使用者に予期されるときにニコチン含有フィルムの余剰供給を提供するために、図2に例示されるように、多数のニコチン含有フィルムをマルチフィルム保持カートリッジ(14)の中へ入れることができる。このカートリッジの一端(16)が開いていて、この開いたカートリッジエンドを閉じるのにカバー(18)が提供される。カートリッジへのカバーを確実にして、使用後のカートリッジの密閉を容易にするのに、回転軸(20)を提供することができる。
【0034】
[0036] 先に述べたように、多数のニコチン含有フィルムをカートリッジへ直接入れることができる。そのような場合、カートリッジ又はカセットは、例えば、空気不透過性のパウチ、ブリスターパッケージ、等の内側にそれを包むことによって密封される。この配置の欠点は、カートリッジの内側にあるフィルムの全供給量を、その経時的な劣化を防ぐために、ある限られた期間で使い尽くすことが典型的には必要となることである。
【0035】
[0037] あるいは、カートリッジの内側に入れる複数のフィルムは、それ自体で図1に例示する密封容器(4)の中へ包装することができて、それぞれ1枚のニコチン含有フィルムを保持する、複数のそのような容器をカートリッジの内側に入れる。ストリップを必要とするとき、使用者は、カバー(18)を開き、パッケージの1つをスライドさせて外に出してから、上記に記載のように、容器上の密封膜(10)を開ける。
【0036】
[0038] 図2に示すカートリッジ(14)の厚さは、好ましくは、使用者がそのカートリッジをいつでも携帯して、必要とされる時と所でその利用可能性を確実にすることができるように、所望される枚数のフィルムを保持するのに可能な限り薄いものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトの口腔に受容される大きさで、粘膜との接触時に速やかに溶ける低水分で非粘着性の材料から作られる薄い基質と、0.1mg〜10mgのニコチン又はニコチン類似体を含んでなり、それにより該基質の溶解時にニコチンがヒトの粘膜を通して血流へ入る、所望の物質をヒトの血流へ粘膜を介して送達するための薄型フィルム。
【請求項2】
基質に存在するニコチンが純粋なニコチン又はニコチン類似体である、請求項1に記載の薄型フィルム。
【請求項3】
1重量%と10重量%の間のメントール又はメントール類似体が基質に含まれる、請求項1に記載の薄型フィルム。
【請求項4】
基質が植物成分から作られる、請求項1に記載の薄型フィルム。
【請求項5】
基質にいくらかの動物副産物が含まれる、請求項1に記載の薄型フィルム。
【請求項6】
基質に人工甘味料が含まれる、請求項1に記載の薄型フィルム。
【請求項7】
基質に香味物質が含まれる、請求項1に記載の薄型フィルム。
【請求項8】
該フィルムを環境から密封するホイルラップ外部カバーが含まれる、請求項1に記載の薄型フィルム。
【請求項9】
該フィルムの厚さよりごくわずかに大きい厚さを有する容器と、該容器の上に配置されて該容器中の該フィルムをその外部から密封する除去可能カバーが含まれる、請求項1に記載の薄型フィルム。
【請求項10】
喫煙者が喫煙し得ない時間の間、該喫煙者に一時的なニコチンブリッジを提供する方法であって、
水和したときに溶解する、低水分含量で非粘着性の材料から作られて、ヒトの口腔中に置くことができるような大きさである薄い基質を提供すること、
該基質へ0.1mg〜10mgのニコチン又はニコチン類似体を加えること、
喫煙者が遭遇するニコチン渇望の時間の間に、ニコチン又はニコチン類似体が含まれる該基質を該喫煙者の口腔中の粘膜に接触させて置くこと、及び
該基質が粘膜と接触している間にそれを溶解させて、それによりニコチン又はニコチン類似体を該基質より解放して、ニコチン又はニコチン類似体が粘膜を介して該喫煙者の血流に入ることを可能にすることを含んでなる、前記方法。
【請求項11】
喫煙が可能でない時間と場所と、喫煙者が再び喫煙し得る時間の間のニコチン渇望を一時的にブリッジすることを喫煙者に可能にする方法であって、
水和したときに溶解する、低水分で非粘着性の材料から作られて、ヒトの口腔中に置くことができるような大きさである薄い基質を提供すること、
該基質へ0.1mg〜10mgのニコチン又はニコチン類似体を加えること、
該基質を平らな容器に包装すること、
容易に除去可能な密封膜を該容器上に適用して、該基質を環境より密封すること、
該密封容器を喫煙者が携帯するポケットの中へ目立たずに入れて、該容器が喫煙者に容易にアクセス可能であるようにすること、
喫煙が可能でない、喫煙者が遭遇するニコチン渇望の時間の間に、該基質を該容器より取り出すこと、
該基質を該喫煙者の口腔中へ置いて、該基質を該喫煙者の口腔中の粘膜と接触させて、それによって該基質を水和させること、及び
溶解中の基質より解放されるニコチンが粘膜を介して該喫煙者の血流に入るのを待って、それによって該喫煙者のニコチン渇望を一時的に満足させることを含んでなる、前記方法。
【請求項12】
該基質を取り出すことが、その膜を該容器から少なくとも一部引き離して、その後で該基質を該容器より取り出すことを含む、請求項11に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−522785(P2012−522785A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503593(P2012−503593)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【国際出願番号】PCT/US2010/029152
【国際公開番号】WO2010/114816
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(512031275)インフィニット・フィナンシャル・ソリューションズ・インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】