説明

メンブレンスイッチおよびこのメンブレンスイッチを備えたキーボード

【課題】操作性を向上させることができるとともに、製造コストの低廉化および製造工程の容易化を図ることが可能なメンブレンスイッチを提供する。
【解決手段】絶縁材からなる一対のシート2、3と、両シート2、3の相互に対向する面に設けられた一対の接点5、10とを有し、両接点5、10のうち一方の接点5は、一方のシート3に設けられて、第1接点5a、第2接点5bを備え、一方のシート3のうち第2接点5bの配置位置に相当する部分にはスペーサ8が設けられ、第2接点5bは、スペーサ8を介して一方のシート3に設けられており、両シート2、3を、他方の接点10と第1接点5aとが所定の間隙をもって配置されるとともに、他方の接点10と第2接点5bとが接触した状態で貼り合わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話やデジタルカメラ、さらにはコンピュータ等の電子機器の入力装置に用いられるメンブレンスイッチ、およびこのメンブレンスイッチを備えたキーボードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯電話やデジタルカメラ、さらにはコンピュータ等の種々の電子機器におけるキーボード等の入力装置として、メンブレンスイッチが用いられており、このメンブレンスイッチとしては、例えば、特許文献1や特許文献2に示すような3層構造のメンブレンスイッチや、特許文献3に示すような2層構造のメンブレンスイッチが知られている。
【0003】
特許文献1および特許文献2に示す3層構造のメンブレンスイッチは、対向して配置される一対のシートを有しており、両シートのうち第1シートにおける第2シートに対向する対向面には、可動接点が設けられ、第2シートにおける可動接点に対向する位置には、固定接点が設けられている。両シートの間隙には、可動接点および固定接点が所定の間隙をもって配置されるように、スペーサ層が配置されている。
【0004】
特許文献1に示すメンブレンスイッチにおける可動接点および固定接点は、各シートに設けられた配線電極にそれぞれ接続されており、このメンブレンスイッチは、第1シートが第2シート側に押圧されて両接点が接触し導通することにより、スイッチのON・OFFの動作を行うようになっている。
【0005】
特許文献2に示すメンブレンスイッチにおける固定接点は、平面形状が櫛歯状に形成された第1固定接点および第2固定接点を有しており、第1固定接点および第2固定接点は、それぞれ櫛歯の部分が交互に配置されるように設けられている。この第1固定接点および第2固定接点は、第2シートに設けられた配線電極にそれぞれ接続されており、一方、可動接点は、独立して設けられている。そして、このメンブレンスイッチは、第1シートが第2シート側に押圧されて可動接点が第1固定接点および第2固定接点に同時に接触し、可動接点を介して第1固定接点および第2固定接点が導通することにより、スイッチのON・OFFの動作を行うようになっている。
【0006】
このような3層構造のメンブレンスイッチは、いずれか一方のシートにおける対向面の所定の位置にスペーサ層を位置合わせして、このスペーサ層を一方のシートに貼着した後、他方のシートにおける対向面の所定の位置にスペーサを位置合わせして、貼着材によってこのスペーサ層を他方のシートに貼着することにより、両シートを一体化するようになっている。
【0007】
さらに、特許文献3に示す2層構造のメンブレンスイッチは、対向して配置される一対のシートを有している。両シートのうち第1シートにおける第2シートに対向する面には可動接点が設けられ、第2シートにおける可動接点に対向する位置には固定接点が設けられており、両シートは、印刷によって形成されたレジスト層により一体に設けられている。固定接点および可動接点は、それぞれ各シートに設けられた配線電極に接続されており、このメンブレンスイッチは、第1シートが第2シート側に押圧されて両接点が接触して導通することにより、スイッチのON・OFFの動作を行うようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開平5−008835号公報
【特許文献2】特開平7−262875号公報
【特許文献3】特開2000−90773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、前述のように、3層構造のメンブレンスイッチは、第1シートおよび第2シートの間に配置されるスペーサ層が必要なことから、2層構造のメンブレンスイッチと比較して部品点数が多くなり、製造コストが上昇してしまっていた。また、3層構造のメンブレンスイッチは、スペーサ層を両シートに貼着するにあたって2度の位置合わせが必要であるので、メンブレンスイッチの製造工程数も多くなってしまうという問題を有していた。
【0010】
一方、前述の2層構造のメンブレンスイッチは、両シートに可動接点または固定接点の配線電極がそれぞれ形成されており、特に一方のシートに形成された配線電極を何らかの導電接続を介して他方のシートに引き回し形成するような場合、絶縁レジスト層に発生するピンホールによって両シート間の絶縁性を確保することが困難であるという問題を有していた。また、このような2層構造のメンブレンスイッチにおいて絶縁性を確保するためには、製造工程が増加し、ひいては製造コストが上昇してしまうおそれがあるという問題を有していた。
【0011】
さらに、前述の特許文献2に記載のメンブレンスイッチのように、可動接点を配線電極に接続することなく独立して形成する構成も利用されているが、可動接点を第1固定接点および第2固定接点の両接点と確実に接触させるためには、第1シートを広い範囲で第2シート側に押圧する必要があった。このため、前記メンブレンスイッチを動作させるために強い力が必要となってしまい、メンブレンスイッチの操作性が低下してしまうという問題を有していた。
【0012】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、操作性を向上させることができるとともに、製造コストの低廉化を図ることができ、さらに製造工程を容易化することが可能なメンブレンスイッチ、およびこのメンブレンスイッチを備えたキーボードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するため、本発明に係るメンブレンスイッチの第1の特徴は、対向して配置される絶縁材からなる一対のシートと、前記両シートの相互に対向する面にそれぞれ設けられた一対の接点とを有し、前記両接点のうち一方の接点は、前記両シートのうちの一方のシートに設けられて、第1接点および第2接点を備えており、前記一方のシートのうち前記第2接点の配置位置に相当する部分にはスペーサが設けられ、前記第2接点は、前記スペーサを介して前記一方のシートに設けられており、前記両シートは、前記両接点のうちの他方の接点と前記第1接点とが所定の間隙をもって配置されるとともに、前記他方の接点と前記第2接点とが接触した状態で貼り合わされている点にある。
【0014】
この本発明に係るメンブレンスイッチによれば、一方の接点における第2接点は、スペーサを介して一方のシートに配設されているので、一方の接点における第1接点および第2接点の他方のシート側の対向面を、それぞれ異なる高さに位置させて、段差を生じさせることができる。これにより、本発明に係るメンブレンスイッチは、非押圧状態(非操作状態)において、第2接点を他方の接点に接触させながら、第1接点を他方の接点から所定の間隙をもって配置させることができ、第2接点が他方の接点に予め接触しているので、メンブレンスイッチの正面側から押圧操作を行う際に、他方の接点と第1接点とを接触させることによって、他方の接点を介して第1接点および第2接点を導通させて動作することができる。また、本発明に係るメンブレンスイッチによれば、従来の3層構造のメンブレンスイッチに用いられる部品としてのスペーサ層が不要となるので、部品点数を減少させることができるとともに、両シートを貼り合わせる貼着材の量や配置面積を調整して貼着材の厚みを調整することにより、両シートの間隙寸法を調整することができる。さらに、従来の3層構造のメンブレンスイッチにおいては、前述のように両シートの間隙にスペーサ層を配置して両シートを一体に貼り合わせるにあたり2度の位置合わせが必要であったが、本発明に係るメンブレンスイッチは、両2シートを位置合わせを行いながら貼着材で貼着して一度の位置合わせで両シートを一体に貼り合わせることができる。
【0015】
本発明に係るメンブレンスイッチの第2の特徴は、前記スペーサが、印刷により形成される点にある。
【0016】
この本発明に係るメンブレンスイッチによれば、スペーサが印刷により形成されることにより、容易にスペーサを形成することができる。
【0017】
本発明に係るメンブレンスイッチの第3の特徴は、前記他方の接点に、背面側に設けられたライトユニットからの照射光を正面側に導出する導光用開口が形成されて、照光機能を備えている点にある。
【0018】
この本発明に係るメンブレンスイッチによれば、他方の接点に、導光用開口を形成することにより、導光用開口を介してライトユニットからの照射光をメンブレンスイッチの正面側へ導出することができる。
【0019】
本発明に係るメンブレンスイッチの第4の特徴は、前記スペーサが、前記照射光を透過可能な透光材料により構成されている点にある。
【0020】
この本発明に係るメンブレンスイッチによれば、スペーサを、前記照射光を透過可能な透光材料によって構成することにより、スペーサを介して、照射光をメンブレンスイッチの正面側に照射することができる。
【0021】
本発明に係るメンブレンスイッチの第5の特徴は、前記スペーサが、前記照射光を拡散する光拡散機能を備えている点にある。
【0022】
この本発明に係るメンブレンスイッチによれば、スペーサが光拡散機能を備えていることにより、ライトユニットから照射されスペーサを介してメンブレンスイッチの正面側に照射される照射光を拡散させることができ、これにより、前記照射光をメンブレンスイッチの正面側に均一でむらなく照射することができる。
【0023】
本発明に係るメンブレンスイッチの第6の特徴は、前記スペーサが、乳白色の材料によって構成されることにより光拡散機能を備えている点にある。
【0024】
この本発明に係るメンブレンスイッチによれば、スペーサを乳白色の材料によって構成することにより、スペーサを介してメンブレンスイッチの正面側に照射される照射光を拡散させることができ、これにより、前記照射光をメンブレンスイッチの正面側に均一でむらなく照射することができる。
【0025】
本発明に係るメンブレンスイッチの第7の特徴は、前記スペーサが、光拡散材が混入されることにより光拡散機能を備えている点にある。
【0026】
この本発明に係るメンブレンスイッチによれば、スペーサに光拡散材を混入させることにより、スペーサを介してメンブレンスイッチの正面側に照射される照射光を拡散させることができ、これにより、前記照射光をメンブレンスイッチの正面側に均一でむらなく照射することができる。
【0027】
本発明に係るメンブレンスイッチの第8の特徴は、前記スペーサが、前記照射光を着色する着色機能を備えている点にある。
【0028】
この本発明に係るメンブレンスイッチによれば、スペーサが着色機能を備えていることにより、ライトユニットからの照射光をスペーサを介して任意の色彩に着色して、メンブレンスイッチの正面側に照射することができる。
【0029】
さらに、本発明に係るキーボードは、前記第1乃至第8の少なくとも1つの特徴を有するメンブレンスイッチを備えている。
【発明の効果】
【0030】
以上述べたように、本発明に係るメンブレンスイッチおよびこのメンブレンスイッチを備えたキーボードによれば、広い範囲を押圧することなくスイッチを動作させることができ、操作性を向上させることができる。また、部品点数を減少させることができるので、製造コストの低廉化を図ることができるとともに、製造工程の容易化を図ることができる。さらに、1度の位置合わせで両シートを一体に貼り合わせることができるので、製造工程を減少させることができ、製造工程の容易化を一層図ることが可能となる。さらにまた、貼着材の厚みを調整することにより、両シートの間隙寸法を容易に調整することができるので、メンブレンスイッチを動作させるための操作荷重を容易に調整することができる。これにより、本発明に係るメンブレンスイッチおよびこのメンブレンスイッチを備えたキーボードによれば、さらに製造工程の容易化を図ることができる。
【0031】
さらにまた、本発明に係るメンブレンスイッチおよびこのメンブレンスイッチを備えたキーボードによれば、スペーサを印刷により形成することにより、さらにメンブレンスイッチの製造工程の容易化を図ることが可能となる。
【0032】
また、本発明に係るメンブレンスイッチおよびこのメンブレンスイッチを備えたキーボードによれば、前記他方の接点に、メンブレンスイッチの正面側へ照射光を導出する導光用開口が形成することにより、照光機能を有するメンブレンスイッチにおいて、操作性を向上させるとともに製造コストの低廉化および製造工程の容易化を図りながら、照光効果の向上を図ることが可能となる。
【0033】
さらに、本発明に係るメンブレンスイッチおよびこのメンブレンスイッチを備えたキーボードによれば、スペーサを照射光を透過可能な透光材料によって構成することにより、照光機能を有するメンブレンスイッチにおいて、操作性を向上させるとともに製造コストの低廉化および製造工程の容易化を図りながら、より一層照光効果の向上を図ることが可能となる。
【0034】
さらにまた、本発明に係るメンブレンスイッチおよびこのメンブレンスイッチを備えたキーボードによれば、スペーサが光拡散機能を備えることにより、照光機能を有するメンブレンスイッチにおいて、操作性を向上させるとともに製造コストの低廉化および製造工程の容易化を図りながら、照射光をメンブレンスイッチの正面側に均一でむらなく照射することができる。
【0035】
また、本発明に係るメンブレンスイッチおよびこのメンブレンスイッチを備えたキーボードによれば、スペーサを乳白色の材料によって構成し、またはスペーサに光拡散材を混入させることによって、スペーサが光拡散機能を備えることにより、照光機能を有するメンブレンスイッチにおいて、操作性を向上させるとともに製造コストの低廉化および製造工程の容易化を図りながら、照射光をメンブレンスイッチの正面側に均一でむらなく照射することができる。
【0036】
さらに、本発明に係るメンブレンスイッチおよびこのメンブレンスイッチを備えたキーボードによれば、スペーサが着色機能を備えることにより、照光機能を有するメンブレンスイッチにおいて、操作性を向上させるとともに製造コストの低廉化および製造工程の容易化を図りながら、スペーサによって照射光を任意の色彩に着色して、メンブレンスイッチの正面側に照射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係るメンブレンスイッチを備えたキーボードの一実施形態を示す概略断面図
【図2】図1のメンブレンスイッチにおける固定接点を示す平面図
【図3】図1のメンブレンスイッチにおける可動接点を示す平面図
【図4】図1のメンブレンスイッチにおける可動接点の他の例を示す平面図
【図5】本発明に係るメンブレンスイッチを備えたキーボードの他の実施形態を示す概略断面図
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明に係るメンブレンスイッチを備えたキーボードの一実施形態を図1乃至図4を参照して説明する。なお、本実施形態においては、照光機能を有するメンブレンスイッチを用いて説明するが、本発明に係るメンブレンスイッチは本実施形態の構成に限定されるものではなく、照光機能を有さないメンブレンスイッチに用いることもできる。また、本実施形態においてメンブレンスイッチはキーボードに用いられているが、本発明に係るメンブレンスイッチは、本実施形態に限定されず、キーボードだけでなく種々の電子機器の入力装置に用いることが可能である。
【0039】
図1は、本実施形態に係るメンブレンスイッチを備えたキーボードの要部を示す概略断面図である。
【0040】
図1に示すように、本実施形態に係るメンブレンスイッチ1を備えたキーボード18において、メンブレンスイッチ1は、対向して配置される可撓性を有する絶縁材からなる一対のシート2、3を有している。本実施形態においては、両シート2、3のうち図1における下側に配置されたシートを一方のシート(第1シート)2とし、上側に配置されたシートを他方のシート(第2シート)3として説明する。また、本実施形態においては、メンブレンスイッチ1の背面側に、図示しないライトユニットが設けられており、第1シート2および第2シート3は、前記ライトユニットからメンブレンスイッチ1の正面側に照射される照射光を透過可能な透光材料により構成されている。
【0041】
両シート2、3の相互に対向する面には、導電材料からなる一対の接点5、10がそれぞれ対向して設けられている。本実施形態においては、第1シート2に設けられた一方の接点5が固定接点とされ、第2シート3に設けられた他方の接点10が可動接点とされている。
【0042】
図2に示すように、固定接点5は、固定接点5の配置位置の中央部に配置される第1接点5aとしての中央接点5aと、この中央接点5aの周辺部に配置される第2接点5bとしての周辺接点5bとを備えており、中央接点5aおよび周辺接点5bは、それぞれ配線電極7、9に連設されている。そして、それぞれの固定接点5における中央接点5aと周辺接点5bとの間は、前記ライトユニットからの照射光を第2シート3側に導光する導光路6とされている。
【0043】
第1シート2のうち周辺接点5bの配置位置に相当する部分には、絶縁材からなるスペーサ8が配設されており、スペーサ8は、第1シート2上に樹脂材料を印刷することにより形成され、周辺接点5bは、スペーサ8を介して第1シート2に配設されている。これにより、固定接点5における中央接点5aと周辺接点5bとの第2シート3側の対向面は、相互に異なる高さに位置し、段差が生じることになる。本実施形態のような照光機能を備えたメンブレンスイッチ1においては、スペーサ8は、前記ライトユニットからの照射光を透過可能な透光材料により構成されることが好ましい。
【0044】
また、スペーサ8は、前記ライトユニットから照射される照射光を拡散する光拡散機能を備えていることが好ましい。スペーサ8は、例えば、乳白色の材料によって構成されるか、または、図示しない複数の光拡散材をスペーサ8に混入する等、種々の手段によって、光拡散機能を備えることが可能である。これにより、メンブレンスイッチ1は、前記ライトユニットから照射される照射光を、スペーサ8を介して均一でむらなくメンブレンスイッチ1の正面側に照射することが可能となる。
【0045】
さらに、スペーサ8が前記ライトユニットから照射される照射光を着色する着色機能を備えていることが好ましい。スペーサ8は、例えば、スペーサ8を任意の色彩の透光材料によって構成することによって、着色機能を備えることができる。これにより、メンブレンスイッチ1は、前記ライトユニットからの照射光を、スペーサ8を透過させてメンブレンスイッチ1の正面側に照射することにより、この照射光を任意の色彩に着色することが可能となる。
【0046】
図3に示すように、第2シート3に設けられた可動接点10は、配線に接続されずに独立して設けられている。可動接点10のうち、固定接点5の中央接点5aに対向する部分は中央接点部10aとされており、周辺接点5bに対向する部分は周辺接点部10bとされている。中央接点部10aと周辺接点部10bは、一部分において連設されているとともに、可動接点10のうち中央接点部10aと周辺接点部10bとの間であって固定接点5の導光路6に対向する部分の一部には、前記ライトユニットからの照射光をメンブレンスイッチ1の正面側に導出するための導光用開口11が形成されている。
【0047】
そして、第1シート2および第2シート3は、可動接点10の中央接点部10aと固定接点5の中央接点5aとが所定の間隙をもって配置されるとともに、可動接点10の周辺接点部10bと固定接点5の周辺接点5bとが接触した状態で、貼着材13によって貼り合わされて一体化されている。
【0048】
このメンブレンスイッチ1における第2シート3の正面側であって可動接点10および固定接点5の配設位置に相当する位置には、それぞれクリックラバー15が配設されている。そして、メンブレンスイッチ1は、クリックラバー15を介して第2シート3が第1シート2側に押圧されて、可動接点10における中央接点部10aと固定接点5における中央接点5aとが接触することにより、可動接点10を介して第1接点5aと第2接点5bとが導通し、スイッチのON・OFFの動作をするようになっている。
【0049】
また、本実施形態に係るメンブレンスイッチ1は、前記ライトユニットから照射された照射光が第1シート2を透過し、導光路6やスペーサ8、さらには導光用開口11を介して第2シート3を透過することにより、メンブレンスイッチ1の正面側に照光されるようになっている。
【0050】
次に、本実施形態に係るメンブレンスイッチ1の作用を説明する。
【0051】
本実施形態によれば、固定接点5における周辺接点5bは、スペーサ8を介して第1シート2上に配設されているので、各固定接点5における中央接点5aと周辺接点5bとの第2シート3側の対向面は、相互に異なる高さに位置し、段差が生じることとなる。これにより、本実施形態に係るメンブレンスイッチ1は、第2シート3の非押圧状態において、固定接点5の周辺接点5bを可動接点10に接触させながら、固定接点5の中央接点5aを可動接点10から所定の間隙をもって配置させることができる。
【0052】
したがって、本実施形態に係るメンブレンスイッチ1は、固定接点5の周辺接点5bが可動接点10に予め接触しており、押圧操作を行う際に、可動接点10を固定接点5の中央接点5aに接触させることによって、可動接点10を介して中央接点5aと周辺接点5bが導通してスイッチが動作するので、スイッチを動作させるにあたり広い範囲を押圧する必要がなく、操作性を向上させることができる。
【0053】
また、本実施形態に係るメンブレンスイッチ1によれば、従来の3層構造のメンブレンスイッチに用いられる部品としてのスペーサ層が不要であるので、部品点数を減少させることができ、製造コストの低廉化を図ることが可能となる。
【0054】
さらに、従来の3層構造のメンブレンスイッチにおいては、両シートの間隙にスペーサ層を配置して両シートを一体に貼り合わせるにあたり、一方のシートとスペーサ層との位置合わせと、他方のシートとスペーサ層との位置合わせという2度の位置合わせが必要であった。一方、本実施形態に係るメンブレンスイッチ1は、第1シート2および第2シート3を位置合わせを行いながら貼着材13で貼着して一体に貼り合わせることができ、位置合わせの手間を1回省略し、製造工程数を減少させることができ、製造工程の容易化を図ることができ、ひいては製造コストの低廉化を図ることが可能となる。
【0055】
さらにまた、本実施形態に係るメンブレンスイッチ1は、貼着材13によって第1シート2および第2シート3が貼り合わされており、この貼着材13の量や配置面積の大きさによって貼着材13の厚みを調整することにより、第1シート2および第2シート3の間隙寸法を容易に調整することができる。このように、本実施形態に係るメンブレンスイッチ1によれば、第1シート2および第2シート3の間隙寸法を調整することにより、メンブレンスイッチ1を動作させるために第2シート3を押圧する操作荷重を容易に調整することができ、ひいては、製造工程の容易化を図ることが可能となる。
【0056】
また、本実施形態に係るメンブレンスイッチ1によれば、可動接点10はそれぞれ独立して設けられているので、配線電極を導電接続を介して第1シート2側に引き回す必要がない。このため、本実施形態に係るメンブレンスイッチ1は、第1シート2および第2シート3の絶縁性の確保が容易となり、メンブレンスイッチ1の製造工程の容易化を一層図ることが可能となる。
【0057】
さらに、本実施形態に係るメンブレンスイッチ1によれば、可動接点10に、メンブレンスイッチ1の正面側へライトユニットからの照射光を導出する導光用開口11を形成することにより、照光機能を有するメンブレンスイッチ1において、操作性を向上させ、製造コストの低廉化および製造工程の容易化を図りながら、さらに照光効果の向上を図ることが可能となる。
【0058】
また、スペーサ8を、ライトユニットからの照射光を透過可能な透光材料によって構成することにより、照光機能を有するメンブレンスイッチ1において、操作性を向上させ、製造コストの低廉化および製造工程の容易化を図りながら、より一層照光効果の向上を図ることができる。
【0059】
さらにまた、スペーサ8を、印刷により形成することにより、容易にスペーサ8を形成することができ、メンブレンスイッチ1の製造工程の容易化を図ることができる。
【0060】
また、本実施形態に係るメンブレンスイッチ1によれば、スペーサ8が光拡散機能を備えていることにより、照光機能を有するメンブレンスイッチ1において、操作性を向上させるとともに製造コストの低廉化および製造工程の容易化を図りながら、照射光をメンブレンスイッチ1の正面側に均一でむらなく照射することができる。さらに、スペーサ8を乳白色の材料によって構成したり、またはスペーサ8に光拡散材を混入させることによって、スペーサ8が光拡散機能を備えていることにより、照光機能を有するメンブレンスイッチ1において、照射光をより確実に均一でむらなくメンブレンスイッチ1の正面側に照射することができる。
【0061】
さらに、本実施形態に係るメンブレンスイッチ1によれば、スペーサ8が着色機能を備えていることにより、照光機能を有するメンブレンスイッチ1において、操作性を向上させるとともに製造コストの低廉化および製造工程の容易化を図りながら、スペーサ8によって照射光を任意の色彩に着色して、メンブレンスイッチ1の正面側に照射することができる。
【0062】
なお、本発明に係るメンブレンスイッチ1の両接点は、本実施形態の形状に限定されるものではなく、両シートを貼り合わせた状態で他方の接点が一方の接点における第2接点と接触しており、かつメンブレンスイッチの押圧操作をした際に、他方の接点が一方の接点における第1接点と接触可能な形状であればよい。
【0063】
例えば、本発明に係るメンブレンスイッチ1における他方の接点(可動接点)10の他の実施形態として、図4に示すような、可動接点10の一部に切欠部16が形成されるような形状を挙げることができる。このように、可動接点10に切欠部16を形成することにより、本発明に係るメンブレンスイッチ1は、操作性を向上させるとともに製造コストの低廉化を図りながら、ライトユニットからの照射光を第1シート2の外側に照射する照光機能の向上を図ることが可能となる。
【0064】
また、本実施形態においては、照光機能を有するメンブレンスイッチ1を用いて説明しているが、本発明に係るメンブレンスイッチ1は、照光機能を有するメンブレンスイッチ1に限定されるものではない。ここで、本発明に係るメンブレンスイッチ1を照光機能を有さないメンブレンスイッチ1に用いる場合には、可動接点10に導光用開口11が形成されていなくてもよい。また、第1シート2や第2シート3さらにはスペーサ8を透光材料によって構成しなくてもよい。さらに、第2シート3については、照光機能を有するメンブレンスイッチ1であっても、ライトユニットの配設位置が第2シート3よりも第1シート2側に配設される場合には、透光材料によって構成しなくてもよい。
【0065】
さらに、本発明に係るメンブレンスイッチを用いたキーボードの他の実施形態として、図5に示すように、両シート20、21のうち図5における上側に配置されたシートを一方のシート(第1シート)20とし、下側に配置されたシートを他方のシート(第2シート)21とし、さらに、第1シート20に設けられた一方の接点を可動接点22とし、第2シート21に設けられた他方の接点を固定接点23としてもよい。
【0066】
この他の実施形態に係るメンブレンスイッチ19は、可動接点22が、第1接点22aおよび第2接点22bを備え、この第2接点22bが、スペーサ25を介して第1シート20上に配設されている。そして、両シート20、21は、可動接点22における第1接点22aと固定接点23とが所定の間隙をもって配置されるとともに、可動接点22における第2接点22bと固定接点23とが接触した状態で貼着材26によって貼り合わされている。さらに、このような他の実施形態に係るメンブレンスイッチ19によれば、可動接点22における第1接点22a、第2接点22bは、それぞれ図示しない配線電極に接続されるとともに、固定接点23は、独立して設けられることとなる。
【0067】
このような他の実施形態に係るメンブレンスイッチ19を用いたキーボード18によっても、前述の第1の実施形態に係るメンブレンスイッチ1を用いたキーボード18と同様に、操作性を向上させることができるとともに、製造コストの低廉化を図ることが可能となる。さらに、固定接点23に、可動接点22における両接点22a、22bの間をライトユニットからの照射光をメンブレンスイッチ19の正面側へ導出する導光路27とするとともに、固定接点23に前記照射光をメンブレンスイッチ19の正面側に導出する図示しない導光用開口を形成したり、さらには、スペーサ25を、ライトユニットからの照射光を透過可能な透光材料によって構成することにより、照射機能を備えたメンブレンスイッチ19において照光効果の向上を図ることができる。また、スペーサ25が光拡散機能を備えていることにより、照射光をメンブレンスイッチ19の正面側に均一でむらなく照射することができるとともに、スペーサ25が着色機能を備えていることにより、スペーサ25によって照射光を任意の色彩に着色して、メンブレンスイッチ19の正面側に照射することができる。
【0068】
さらにまた、前述の各実施形態においては、メンブレンスイッチ1、19の正面側にクリックラバー15が配設されており、このメンブレンスイッチ1、19は、キーボード18に用いられているが、本発明に係るメンブレンスイッチはこれに限定されるものではなく、種々の電子機器の入力装置に用いることが可能である。
【0069】
なお、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々変更することが可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 メンブレンスイッチ
2 第1シート
3 第2シート
5 固定接点
5a 中央接点(第1接点)
5b 周辺接点(第2接点)
6 導光路
8 スペーサ
10 可動接点
10a 中央接点部
10b 周辺接点部
11 導光用開口
13 貼着材
15 クリックラバー
18 キーボード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向して配置される絶縁材からなる一対のシートと、
前記両シートの相互に対向する面にそれぞれ設けられた一対の接点とを有し、
前記両接点のうち一方の接点は、前記両シートのうちの一方のシートに設けられて、第1接点および第2接点を備えており、前記一方のシートのうち前記第2接点の配置位置に相当する部分にはスペーサが設けられ、前記第2接点は、前記スペーサを介して前記一方のシートに設けられており、
前記両シートは、前記両接点のうちの他方の接点と前記第1接点とが所定の間隙をもって配置されるとともに、前記他方の接点と前記第2接点とが接触した状態で貼り合わされていることを特徴とするメンブレンスイッチ。
【請求項2】
前記スペーサが、印刷により形成されることを特徴とする請求項1に記載のメンブレンスイッチ。
【請求項3】
背面側にライトユニットが設けられ、
前記他方の接点に、前記ライトユニットからの照射光を正面側に導出する導光用開口が形成されており、照光機能を備えていることを特徴とする請求項1に記載のメンブレンスイッチ。
【請求項4】
前記スペーサが、前記照射光を透過可能な透光材料により構成されていることを特徴とする請求項3に記載のメンブレンスイッチ。
【請求項5】
前記スペーサが、前記照射光を拡散する光拡散機能を備えていることを特徴とする請求項4に記載のメンブレンスイッチ。
【請求項6】
前記スペーサが、乳白色の材料によって構成されることにより光拡散機能を備えていることを特徴とする請求項5に記載のメンブレンスイッチ。
【請求項7】
前記スペーサは、光拡散材が混入されることにより光拡散機能を備えていることを特徴とする請求項5に記載のメンブレンスイッチ。
【請求項8】
前記スペーサが、前記照射光を着色する着色機能を備えていることを特徴とする請求項4乃至請求項7のいずれか1項に記載のメンブレンスイッチ。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のメンブレンスイッチを備えたキーボード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−160422(P2012−160422A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41690(P2011−41690)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】