説明

メーソンリー部材用マトリックス及びその製造方法

異形メーソンリー製品を形成するためのセメント状マトリックスであって、水砕鉄高炉スラグ、空冷鉄高炉スラグ、ボトムアッシュ、粉末状燃料灰及び少なくとも1種のセメント状バインダを含んだ骨材と、バインダ及び骨材として働く粉砕した水砕鉄高炉スラグと、水とを含んだ材料の群から形成されるマトリックス。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
背景
本発明は、煉瓦(brick)及びメーソンリー部材に関し、より詳細には、軽量骨材材料を含んだセメント状マトリックスから製造される煉瓦及びメーソンリー製品に関する。
【0002】
本発明は、更には、限定はされないが、構造体における使用のためのメーソンリー部材の製造方法と、このようなメーソンリー部材を製造するためのマトリックスとに関する。より詳細には、本発明は、高炉スラグを骨材として含んだメーソンリー部材を製造するためのマトリックスに関する。本発明は、更には、このようなマトリックスから製造され、水砕鉄高炉スラグ(granulated iron blast furnace slag)と水硬性セメントとを含んだ製品に関する。
【0003】
従来技術
建設産業における水砕鉄高炉スラグの使用は、十分に確立されている。しかしながら、その使用は、超微粉末へと粉砕された場合の、補助的なセメント状用材としてが主であった。或る水砕鉄高炉スラグは、化学的耐久性及び耐火性を向上させるための通常の建設骨材の部分的な置換用に使用されていた。
【0004】
従来技術には、特定の目的を果たすように各々設計された各種セメント及びコンクリートマトリックスの開示が数多くある。
【0005】
既知のコンクリート混和物の基本的な成分であるポルトランドセメントは、コンクリートの凝結時間を調節すべく最終的な粉砕プロセスにおいて石膏が添加された、カルシウム、珪素、アルミニウム、鉄及び少量の他の成分の化学的な組み合わせ(chemical combination)である。石灰及びシリカが、質量の約85%を構成している。その製造において使用される材料の中での共通のものは、石灰石と、貝殻と、頁岩、粘土、スレート若しくは高炉スラグと結合したチョーク又は泥灰土と、ケイ砂と、鉄鉱石とである。
【0006】
ポルトランドセメントの製造における各工程は、プラント実験室における頻繁な化学的及び物理的試験によってチェックされる。最終製品も、それが全ての規格に準拠しているのを保証すべく、分析及び試験される。
【0007】
「乾式」及び「湿式」という2つの異なるプロセスが、ポルトランドセメントの製造において使用される。
【0008】
岩石が主な原材料である場合、双方のプロセスにおける採石後の第1工程は、第1砕石(crushing)である。岩石は、岩石を約150mmの最大寸法へと縮小させるクラッシャーを通して供給される。次に、岩石は、約75mmより小さく縮小させる第2クラッシャー又はハンマーミルへと進む。乾式プロセスでは、原材料は、乾燥した状態で、粉砕され、混和され、キルン(kiln)へと供給される。
【0009】
湿式プロセスでは、適切に配合された(proportioned)原材料が、次に、水によって粉砕され、入念に混和され、それを流体にするのに十分な水を含有した「スラリー」の状態でキルンの中へと供給される。他の点では、これら2つのプロセスは、本質的に似ている。
【0010】
原材料は、特定の耐火煉瓦で内張りされた円筒形の鋼製のロータリーキルンにおいて約2700°Fまで加熱される。キルンは、水平から軸を僅かに傾けて設置されている。細かく粉砕された原材料又はスラリーは、上端中へと供給される。下端では、炎の激しいブラスト(roaring blast)が、強制通風の下で、粉末石炭、油又はガスの精密に制御された燃焼によって生ずる。材料がキルン内を移動すると、或る元素は気体の状態で追い出される。残った元素は、合わさって、新たな物理的及び化学的特性を持つ新たな物質を形成する。この新たな物質は、クリンカと呼ばれ、ほぼビー玉大の欠片として形成される。クリンカは、赤熱した状態でキルンの下端から吐出され、一般には、様々なタイプの冷却器において取り扱い温度まで下げられる。
【0011】
最も一般的なコンクリート混和物の1つは、典型的には6%の空気を含有した11%の通常のポルトランドセメントと、例えばバラス又は砕石で有り得る60乃至70%までの骨材と、16%の水とを含有している。
【0012】
骨材は、砂、バラス又は砕石などの不活性な粒状物質であり、水及びポルトランドセメントと共にコンクリートにおける必須の成分である。良質なコンクリート混和物のためには、骨材は、清浄で、硬く、頑丈な粒子であって、コンクリートの劣化を起こす可能性のある吸着化学物質又は粘土及び他の細かい材料の被膜がない粒子である必要がある。コンクリートの総体積の60乃至75パーセントを占める骨材は、細(fine)と粗(coarse)との2つの別個のカテゴリーに分けられる。細骨材は、一般には、天然砂又は砕石からなり、殆どの粒子が9.5mmの篩を通り抜ける。粗骨材は、4.75mmより大きなあらゆる粒子であるが、一般には、径が9.5mm乃至37.5mmの範囲にある。バラスがコンクリートにおいて使用される粗骨材の大部分を成し、砕石が残りの殆どを成す。
【0013】
天然のバラス及び砂は、通常は、ピット、河川、湖又は海底から掘り出される又は浚渫される。粉砕骨材は、切り出した石、丸石、くり石又は大きな寸法のバラスを砕石することによってつくられる。リサイクルされたコンクリートは、骨材の有望なソースであり、粒子からなる補助基層、ソイルセメント及び新たなコンクリートにおいて申し分なく使用されている。骨材加工は、骨材の砕石と、スクリーニングと、洗浄とから構成されており、適切な清純度及び粒度を得る。必要な場合には、質を向上させるべく、ジグ選鉱又は重液選鉱などの選鉱(benefaction)プロセスを使用することができる。骨材は、コンクリートの混和時及び硬化時の特性、混和の割合及び経済性に強く影響を与える。従って、骨材の選択は、重要なプロセスである。骨材の特性に幾らかのばらつきがあることは予想されるが、骨材を選択する際に考慮される特性としては、
粒度、
耐久性、
粒子形状及びきめ(surface texture)、
磨耗及び滑り抵抗、
単位重量及び空隙、
吸収性及び表面水(surface moisture)
が挙げられる。
【0014】
粒度は、骨材の粒径分布の測定結果を意味している。粒度及び寸法は、使用される骨材の量ばかりではなく、コンクリートのセメント及び水の所要量と、ワーカビリチと、圧送性と、耐久性とにも影響を与えるので、粒度限界及び最大骨材寸法が規定されている。一般には、水−セメント比が正確に選択されるならば、強度に大きな影響を与えることなく、幅広い範囲の粒度を使用できる。混和割合の精密な制御は、偏析を避けるのに必要である。
【0015】
粒子形状及びきめは、硬化されたコンクリートの特性よりはむしろ、混和されたばかりのコンクリートの特性に影響を与える。きめが粗く、角張った細長い粒子は、実用的なコンクリートをつくるのに、滑らかで丸く、堅く締まった骨材よりも多くの水分を必要とする。結果的に、水−セメント比を維持するために、セメント含有量も増やさねばならない。一般に、平らで細長い粒子は、避けられるか、又は、総骨材の約15重量%に制限される。単位重量は、等級分けされた(graded)骨材とそれらの間の空隙とがコンクリート中で占める体積の尺度である。粒子間の空隙率(void content)は、混和物に必要とされるセメントペーストの量に影響を与える。角張った骨材は、空隙率を高める。より寸法の大きな等級の高い(well-graded)骨材及び改善された粒度は、空隙率を低める。骨材の内部構造は、固体材料と、水を含んでいてもいなくても良い空隙とから構成されているので、骨材の吸収性及び表面水が、骨材の選択の際に測定される。コンクリート混和物の水分量は、骨材の含水条件(moisture conditions)を含むように調節されなくてはならない。骨材の磨耗及び滑り抵抗は、骨材が、高耐久性(heavy-duty)フロア又は舗装などでのように絶えず磨耗に供されるコンクリートにおいて使用される場合に必須である。かなりの磨耗を受ける条件では、摩損を最小限にすべく、より硬い骨材が選択され得る。化学混合剤は、コンクリートにおける、ポルトランドセメント、水及び骨材以外のコンクリート中の成分であって、混和の直後又はその最中に混和物に添加される。製造業者は、混合剤を、主には、コンクリート施工の費用を低減させるために、硬化されたコンクリートの特性を変更するために、混和、搬送、打設及び養生中のコンクリートの質を保証するために、及びコンクリート作業中の或る緊急事態を克服するために使用している。
【0016】
混合剤の首尾よい使用は、バッチング及びコンクリート施工(concreting)の適切な方法の使用に依存する。殆どの混合剤が、直ぐ使用できる液体の状態で供給され、プラント又は現場で、コンクリートへと添加される。顔料、膨張剤及びポンプ助剤(pumping aids)などの或る混合剤は、通常は比較的少量でのみ使用され、通常、予め量りとってある(premeasured)コンテナから手でバッチングされる。
【0017】
混合剤の有効性は、セメントのタイプ及び量、水分含有量、混和時間、スランプ、並びにコンクリート及び空気の温度を含んだ幾つかの要因に依存する。時々、混合剤を添加することによって達成されるのと同様の効果が、コンクリート混和物を変更すること、水−セメント比を低めること、追加のセメントを加えること、異なるタイプのセメントを使用すること又は骨材と骨材の粒度とを変更することによって達成され得る。
【0018】
混合剤は、機能に応じて分類される。空気混入剤(air-entraining)、減水剤、遅延剤、促進剤、可塑剤(超塑性剤(superplasticizer))という化学混合剤の5つの別個の分類が存在する。他の全ての種類の混合剤は、特定のカテゴリーに分類されており、これらの機能は、腐食防止、収縮の低減、アルカリ−シリカの反応性の低減、ワーカビリチの向上、接着(bonding)、防湿及び着色を含んでいる。微小空気泡をコンクリート中に意図的に配置するのに使用される空気混入混合剤は、「Air-Entrained Concrete」においてより十分に議論されている。
【0019】
減水混合剤は、通常、コンクリート混和物に必要とされる水分含有量を、約5乃至10パーセント低減させる。結果として、減水混合剤を含有したコンクリートは、必要とされるスランプに達するのに、未処理のコンクリートよりも少量の水しか必要としない。処理されたコンクリートは、より低い水−セメント比を有することができる。これは、通常、セメントの量を増やすことなく、高強度のコンクリートをつくることができることを示している。混合剤技術における近年の進歩は、ミッドレンジ(mid-range)減水剤の開発をもたらしてきた。これら混合剤は、水分含有量を少なくとも8パーセント低減させ、より広い温度範囲に亘ってより安定な傾向にある。ミッドレンジ減水剤は、標準的な減水剤よりもよりばらつきのない凝結時間を提供する。
【0020】
コンクリートの凝結速度を遅らせる遅延混合剤は、コンクリートの凝結に対する暑中の促進効果を中和するのに使用される。高温は、しばしば、硬化速度の増加をもたらし、打設及び仕上げを難しくする。遅延剤は、打設の間、コンクリートを実用的に保ち、コンクリートの初期凝結を遅らせる。殆どの遅延剤は、減水剤としても働き、空気をコンクリート中に混入させ得る。促進用混合剤は、早期強度発現の速度を高め、適切な養生及び保護に必要とされる時間を短縮させ、仕上げ作業の開始を早める。促進用混合剤は、寒中でのコンクリートの特性を変更するのに特に有用である。可塑剤又は高性能減水剤(high-range water reducer)(HRWR)としても知られている超塑性剤は、水分含有量を12乃至30パーセント低減させ、低い乃至標準のスランプ及び水−セメント比を有するコンクリートへと添加されて、高スランプの流動性コンクリートをつくることができる。流動性コンクリートは、非常に流動性であるが、実用的なコンクリートであり、振動も圧縮も少ししか又は少しも使用せずに打設することができる。超塑性剤の効果は、種類(brand)と投与速度(dosage rate)とに依存して、30乃至60分間しか持続せず、その後、ワーカビリチが急速に低下する。スランプ低下の結果として、超塑性剤は、通常、現場においてコンクリートへと添加される。腐食防止用混合剤は、特殊混合剤のカテゴリー内に含まれており、コンクリート中の鉄筋の腐食を遅らせるのに使用される。腐食防止剤は、高濃度の塩素に曝されるであろう海洋設備、ハイウェイブリッジ及び駐車ガレージなどのコンクリート構造体の防御のための方策として使用され得る。他の特殊混合剤としては、収縮低減混合剤及びアルカリ−シリカ反応性抑制剤が挙げられる。収縮低減剤は乾燥による収縮を制御し且つクラッキングを最小限にするのに使用され、ASR抑制剤はアルカリ−シリカ反応性に付随する耐久性の問題を制御する。
【0021】
コンクリートメーソンリー部材の製造において、結合剤と骨材とを使用するのが通例である。結合剤は、大抵は、ポルトランドセメントと水とから構成されたペーストである。骨材は、一般には、天然砂及びバラスか、又は所望の寸法及び粒度へと砕石された岩石の何れかから構成されている。
【0022】
混和時及び硬化時双方のコンクリートの特性は、これら材料が配合されて混和される方法と、次に、コンクリートが打設され、仕上げされて養生される方法とに依存する。コンクリートの質及び性能は、構成材料及び特にはセメントの特性による影響を受ける。
【0023】
ポルトランドセメントの水和においては、水のセメントへの添加の直後に、アルミン酸三カルシウムが反応し始める。硫酸イオン及び水酸化物イオンは、珪酸カルシウムの続く水和を活性化させる。硫酸イオンは、ポルトランドセメントの製造の最中に、添加された石膏から提供される。この水和反応は、ポルトランダイトと呼ばれる多量の石灰、水酸化カルシウム、Ca(OH)2を遊離させる。
【0024】
普通の使用では、ポルトランダイトは、水和性(hydrating)/水和(hydrated)マトリックス内に残るか、又は、水分移動により表面へ滲出し、ここで水が蒸発し、残った固体材料が炭化して白華を形成するかの何れかである。石灰が滲出することによって生ずる空隙は、強度にも耐久性にも寄与しない。
【0025】
フライアッシュを含有したコンクリート及びモルタル、並びに、建設における使用のためのセメント及びフライアッシュを含んだ他の硬化性混和物を開示している米国特許第5624491号に記載されているものなどのように、軽量骨材は、過去に、セメント状混和物において使用されている。開示された発明は、プロジェクトを組むのに非常に重要な、このような硬化性混和物の圧縮強度を予想する方法を含んでいる。また、この特許は、セメント及びフライアッシュを含み、建設に係る期間に亘って、コンクリートのみを含有した硬化性混合物よりも高い圧縮強度を達成できる硬化性混合物も開示している。特定の実施形態では、フライアッシュを含有したコンクリートの180日の圧縮強度を的確に予想する公式が提供されている。他の特定の例では、セメントの置換として約15%乃至25%のフライアッシュを含有した、ビル及びハイウェイの建設に必要とされる設計規格に準拠することが可能なコンクリート及びモルタルが提供されている。
【0026】
他の例では、米国特許第6869473号が、ステンレス鋼スラグ及びジオポリマーを含み、従来のセメント材料の部分的又は完全なる置換として、ポルトランドセメントなどの従来のセメント組成物に添加することができるセメント状用材を開示している。このステンレス鋼スラグは、カルシウム、珪素、マグネシウム、鉄、アルミニウム、マンガン、チタン、硫黄、クロム及び/又はニッケルの珪酸塩及び/又は酸化物を含み得る。このジオポリマーは、珪酸アルミニウム及び/又は珪酸マグネシウムを含み得る。
【0027】
ポルトランドセメントは、水の添加によって化学的に反応し且つ硬化する水硬性セメントである。ポルトランドセメントは、ブレンドされ且つ約2600乃至3000°Fの温度まで加熱された石灰石、粘土、セメント岩及び鉄鉱石を含有している。次に、得られた生成物は、粉末コンシステンシー(powder consistency)へと粉砕され、凝結時間を制御するために、石膏と混和される。ポルトランドセメントは、多くの建築、メーソンリー及び建設の用途において、とりわけ、道路、滑走路、スラブ、床材、壁材、プレキャスト構造体などのためのコンクリートとして使用されている。
【0028】
石灰石、粘土、セメント岩及び鉄鉱石の入手可能性に対する依存度を低減する又はこれをなくす試みの中で、セメント系コンクリートに関する多くの実験が為されてきた。例えば、米国特許第5820668号は、このような用途のためのポルトランドセメントの部分的な置換物又は完全な代替物として使用され得る無機バインダ組成物を開示している。この無機バインダ組成物は、フライアッシュ、Al23、ポゾラン、ネフェレン(nephelene)、閃長石、珪酸アルミニウム、水酸化ナトリウム、珪酸、カリウム塩及びナトリウム塩などの材料を含んでいる。
【0029】
製造業者は、耐疲労性応力(fatigue resistance stresses)、熱的定格(thermal ratings)、酸性雨耐性及び耐久性を向上させるために、セメント系を用いた実験を絶えず行っている。セメント代替組成物(cement-alternative compositions)の成長している人気及びステンレス鋼スラグなどの製造副産物を再使用するという願望のために、製造副産物材料を含んだ、向上した特性を示すセメント状用材が非常に望ましい。
【0030】
従来技術は、ステンレス鋼スラグを含み、向上した耐久性、耐酸性を示す、費用効率が高く、環境負荷の小さいセメント状用材と、これからなる製品とを教示している。また、ポルトランドセメントコンクリートの圧縮強度は、ポルトランドセメントの水和によって生じた水酸化カルシウムと反応する反応性アモルファスシリカを約10%までコンクリート混和物中に組み込むことで高められ得ることも知られている。水酸化カルシウムとシリカとの反応は、コンクリート中の骨材粒子と互いに結合させる更なる珪酸カルシウム水和物ゲルを生成する。
【0031】
米国特許第4997484号は、フライアッシュと、水酸化ナトリウムなどのアルカリ活性化物質と、クエン酸とを組み込んで、短い養生時間で高い強度を達成するセメントを生成する方法を開示している。
【0032】
米国特許第4306912号は、短い硬化時間及び高強度の早期達成を、スルフォン化高分子電解質と、炭酸ナトリウム及び/又は水酸化ナトリウムとをセメント混和物へと添加することによって達成する方法を開示している。
【0033】
米国特許第4509985号は、粉砕した高炉スラグを、アルミノ珪酸塩酸化物と、アルカリ金属の水酸化物と、アルカリ金属のポリシリケート(polysilicate)との混和物へと添加することによって、早期の高強度を達成するプロセスを記載している。
【0034】
米国特許第5531824号は、ポルトランドセメント、水及び骨材を、反応性シリカのソースとブレンドさせ、このコンクリート混和物を型に流し込み、このコンクリートをそれが従来の28日強度に達するまで養生させ、養生したコンクリートを、3乃至14日間に亘り、60℃乃至110℃のアルカリ金属水酸化物及び硝酸アルミニウム溶液に浸漬させることによって、珪酸を多く含有した(highly siliceous)セメント系材料の密度及び強度を高める方法を開示している。コンクリートの圧縮強度及び表面硬度が高まり、コンクリート中への水の浸透速度は低下する。硬く、不浸透性の珪酸アルカリ金属アルミニウム層を、特殊配合コンクリートの細孔の中に形成させることによって、コンクリート及びモルタル又はグラウトなどの他のセメント系製品の硬度及び圧縮強度が高められる方法を提供することが知られている。フライアッシュ、細かく砕かれた高炉スラグ、メタカオリン又は他のガラス状珪酸塩などの反応性シリカのソースがコンクリート中に提供され、その後、高められた温度で、濃水酸化ナトリウム又は濃水酸化カリウム及びアルミニウムのソースと反応させられる。再結晶プロセスは、コンクリート細孔を充填し、水和セメント及び骨材の存在下で、硬く、不浸透性の表面の層を形成して、コンクリートの圧縮強度を高める。
【0035】
過去、実質的な試験がセメント系混和物に対して行われており、これら全てがマトリックスの或る特性を高めるのを目的としていることが上の例から分かり得る。
【0036】
高炉スラグは、過去、コンクリートマトリックスにおいて使用されてきてはいたが、骨材としての水砕鉄高炉スラグから主に構成された異形煉瓦及びメーソンリー製品を提供することは、今まで知られていなかった。
【0037】
ボトムアッシュは、メーソンリーユニットを製造するのに使用されてきた。煉瓦又は他の建設部材は、以前、大きな割合のボトムアッシュから製造されているわけではなかった。過去、高い鉄含有量を有する水砕鉄高炉スラグ、空冷高炉スラグ及び両者の混合物は、耐火性等級を高め、製造費用を低減させるために、メーソンリーの製造においては少量で使用されていた。
【0038】
しかしながら、水砕鉄高炉スラグは、煉瓦又はメーソンリーユニットをつくるためのセメント状骨材として主に使用されてきたわけではなかった。水砕鉄高炉スラグは、低い範囲の割合で、フィラーとして使用されてきた。
【0039】
発明
本発明は、上述の観点で、メーソンリーセメント系部材の幾つかの特性を向上させ、既知のメーソンリー部材に対する有用な代替物を提供するために開発されてきた。また、本発明は、十分に活用されていないか又は単なる廃棄製品であっただろう、豊富な資源である鉄高炉スラグをリサイクルして使用するために開発されてきた。
【0040】
本発明は、軽量骨材材料から製造された煉瓦及びメーソンリー部材を提供し、煉瓦及び建設ブロックなどのこのようなメーソンリー部材を製造する方法、及び、骨材としての水砕鉄高炉スラグと、少なくとも水硬性セメントとを含んだ、このような部材を製造するためのセメント状マトリックスを更に提供する。
【0041】
骨材としての水砕鉄高炉スラグから主に構成された異形煉瓦及びメーソンリー製品の製造は、本発明以前に知っていた出願人の知識の及ぶ限りではなかった。ここで説明されるべき異形煉瓦及びメーソンリー製品は、或る実施形態に従うと、80%までの水砕鉄高炉スラグと、10%の粉砕した水砕鉄高炉スラグと、10%のポルトランドセメント又は他の水硬性バインダとから構成され得る。
【0042】
ここで説明されるマトリックス組成物は、質量及び嵩密度が減少し、必要とされる構造的一体性を維持する異形煉瓦及びメーソンリーを生成する。また、これら製品は、音響伝送が低減され、耐火性が高められ、特にセレン(selenitic)土壌及び環境における化学的耐久性が向上された水砕鉄高炉スラグの使用に起因する特性を有し、特殊な道具を使わずに、釘打ち(nailed)、ねじ切り(screwed)及び切削(cut)が可能である。
【0043】
或る広い形態において、本発明は、
異形メーソンリー製品であって、
水砕鉄高炉スラグを具備した骨材と、
空冷鉄高炉スラグと、
ボトムアッシュと、
粉末状燃料灰(pulversed fuel ash)、及びポルトランドセメントから構成されたセメント状バインダと、
粉砕した水砕鉄高炉スラグと
を含んだ材料の群より形成される異形メーソンリー製品を含んでいる。
【0044】
他の広い形態において、本発明は、
メーソンリー製品を形成するための空練セメント状マトリックスであって、
水砕鉄高炉スラグを具備した骨材と、
空冷鉄高炉スラグと、
ボトムアッシュと、
粉末状燃料灰、及びポルトランドセメントから構成されたセメント状バインダと、
粉砕した水砕鉄高炉スラグと
を含んだ材料の群より形成される空練セメント状マトリックスを含んでいる。
【0045】
他の広い形態において、本発明は、
メーソンリー製品を形成するためのセメント状マトリックスであって、
水砕鉄高炉スラグを含んだ骨材と、
空冷鉄高炉スラグと、
ボトムアッシュと、
粉末状燃料灰、及びポルトランドセメントから構成されたセメント状バインダと、
粉砕した水砕鉄高炉スラグと、
水と
を含んだ材料の群より形成されるマトリックスを含んでいる。
【0046】
好ましくは、水砕鉄高炉スラグは、軽量骨材としてだけでなく、潜在性セメント状材料(latent cementitous material)としても使用される。
【0047】
粉砕した水砕鉄高炉スラグは、好ましくは、ポルトランドセメントの水和によって生じるポルトランダイト(水酸化カルシウム)を利用して、水和ポルトランドセメントで見られるものと同様のカルシウムの珪酸塩/アルミン酸塩の水和物を形成する補助的なセメント状材料として使用される。
【0048】
他の広い形態において、本発明は、
複数の別個の建設部材を形成するためのセメント状マトリックスであって、
少なくとも1種の骨材と、
少なくとも1種のバインダと、
少なくとも1種の混合剤と、
水と
を含んだ成分を含み、
骨材が、
(a)水砕鉄高炉スラグ、
(b)空冷鉄高炉スラグ、
(c)ボトムアッシュ、
(d)フライアッシュ
のうちの1種以上から選択されることを特徴とするマトリックス含んでいる。
【0049】
或る実施形態に従うと、ファーネスアッシュは、発電プラントのボイラから得られ得る。好ましくは、フライアッシュは、発電プラントの集塵器及びバグハウスフィルタからの粉末状フライアッシュである。
【0050】
或る非限定的な実施形態に従うと、バインダは、
(i)普通ポルトランドセメント、
(ii)粉砕した水砕鉄高炉スラグ、
(iii)フライアッシュ
のうちの1種以上から選択される。
【0051】
或る非限定的な実施形態に従うと、混合剤は、
(i)減水剤、
(ii)空気混入剤、
(iii)撥水剤、
(iv)凝結促進剤、
(v)粘度変更剤
のうちの1種以上から選択される。
【0052】
混和用の水は、従来のソースから選択されるが、
(i)工場の屋根からの雨水、
(ii)プラント洗浄用の水、
(iii)製品貯蔵&発送エリアの排水
を含み得る。
【0053】
異形煉瓦及びメーソンリー製品は、骨材として使用される水砕鉄高炉スラグの性質に固有な軽量の嵩密度を有している。
【0054】
最も広い形態において、本発明は、
複数の別個の建設部材を形成するためのセメント状マトリックスであって、
骨材であって、
i)水砕鉄高炉スラグ、
ii)空冷鉄高炉スラグ、
iii)ボトムアッシュ、
vi)フライアッシュ
のうちの1種以上から選択される骨材と、
水と
を含んだマトリックを含んでいる。
【0055】
他の広い形態において、本発明は、
メーソンリー製品であって、
i)水砕鉄高炉スラグ、
ii)空冷鉄高炉スラグ、
iii)ボトムアッシュ、
vi)フライアッシュ
のうちの1種以上から選択される骨材を含んだメーソンリー製品を含んでいる。
【0056】
他の広い形態において、本発明は、
構造体における使用のための建築部材であって、
i)水砕鉄高炉スラグ、
ii)空冷鉄高炉スラグ、
iii)ボトムアッシュ、
vi)フライアッシュ
のうちの1種以上から選択される骨材を含んだ部材を含んでいる。
【0057】
或る方法の側面に従うと、本発明は、
セメント状マトリックスから製品を製造する方法であって、
a)空練組成物を任意の順序でブレンドする工程であって、前記空練組成物は、
i)少なくとも1種の骨材であって、
水砕鉄高炉スラグ、
空冷鉄高炉スラグ、
ボトムアッシュ、
フライアッシュ
のうちの1種以上から選択される骨材と、
ii)少なくとも1種のバインダと、
iii)少なくとも1種の混合剤と
を含んでいる工程と、
b)添加材を添加する工程と
を含んだ方法を含んでいる。
【0058】
この方法は、
a)水を添加する工程と、
b)組成物を混和させる工程と、
c)所定の時間をかけて、混和物を凝結させる工程と
を更に含んでいる。
【0059】
方法の側面に従うと、本発明は、
セメント状マトリックスから製品を製造する方法であって、
a)原材料の空練組成物を、材料の導入順に、重量と割合とに従ってブレンドする工程であって、原材料の空練組成物が、
i)少なくとも1種の骨材であって、
水砕鉄高炉スラグ、
空冷鉄高炉スラグ、
ボトムアッシュ、
フライアッシュ
のうちの1種以上から選択される骨材と、
ii)少なくとも1種のバインダと、
iii)少なくとも1種の混合剤と、
を含んだ工程と、
iv)空練物を振動させる工程と、
v)水を添加して水和を生じさせる工程と、
vi)混和組成物をモールドの中に打設する工程と、
vii)所定の時間かけて、組成物を凝結させる工程と、
viii)組成物をモールドから取り出す工程と
を含んだ方法を含んでいる。
【0060】
ポルトランダイトと、水砕スラグと、粉砕した水砕鉄高炉スラグとの間の化学反応が迅速に進行するのを確実にするために、異形煉瓦及びメーソンリー製品は、65℃及び95%の相対湿度で、規定の時間に亘って養生される。
【0061】
好ましいが非限定的な実施形態に従い、添付の図面を参照しながら、本発明をより詳細に説明する。
【0062】
詳細な説明
実例の組成物を参照しながら、本発明を以下で説明するが、これら例が非限定的であることは、当業者によって認識されるであろう。
【0063】
説明から明らかであろうが、ここで具現化される発明には、数多くの置換及び組み合わせが存在する。本発明の各実施形態を特徴付けるものは、主たる骨材としての水砕鉄高炉スラグの使用である。
【0064】
マトリックス組成物は、典型的には、少なくとも一種の骨材と、少なくとも1種のバインダと、少なくとも1種の混合剤であって、混和用の水と併用される混合剤とを含むであろうし、骨材のうちの1種は、水砕鉄高炉スラグを含むであろう。
【0065】
代わりの実施形態に従うと、上述の組成物の成分に加えて、使用される追加又は代わりの骨材は、空冷鉄高炉スラグと、ボトムアッシュ(発電プラントのボイラからのファーネスアッシュ)と、フライアッシュ(発電プラントの集塵器及びバグハウスフィルタからの粉末状フライアッシュ)とを含み得る。
【0066】
この組成物用のバインダは、或る実施形態に従うと、ポルトランドセメント、粉砕した水砕鉄高炉スラグ又はフライアッシュから選択されるであろう。典型的には、コンクリート混和物は、これら組成物の製品に必要とされる特性に応じて、様々な混合剤を含む。混合剤としては、減水剤、空気混入剤又は撥水剤が挙げられる。上で説明した組成物は、空練マトリックスである。水が添加されると、常法で水和が起こる。
【0067】
混和用の水は、工場の屋根からの雨水、プラント洗浄用の水又は製品貯蔵&発送エリアの排水などの従来の水のソースから得られるであろう。
【0068】
上で示したように、水和反応は、ポルトランダイトと呼ばれる多量の石灰、水酸化カルシウム、Ca(OH)2を遊離させる。水砕高炉スラグなどの水硬活性材料の添加は、石灰を追加の接合剤へと変換させるのに使用され得る。粉砕した水砕鉄高炉スラグの使用は、ポルトランドセメントに代わるものである。粗粒度水砕高炉スラグの使用は、結果として、スラグ粒子の表面とポルトランタイドとの間に水和生成物を生成する反応性骨材をもたらす。
【0069】
この反応は、骨材粒子同士を結合させるセメント状生成物の形成と共に、マトリックスと存在する骨材との間の優れた結合の形成をもたらす。スラグの水和は、ポルトランドセメントの水和の最中に遊離する水酸化物イオンによるガラス状のスラグ構造体の分解及び溶解に大きく依存する。それ故に、スラグの水和は、水酸化カルシウムを消費するように進行及び継続し、それを追加の水和珪酸カルシウム及びカルシウムの水和珪酸塩/アルミン酸塩の形成のために使用する。
【0070】
X線回折パターンは、エトリンガイトが、早期材齢(early ages)における主な水和生成物であることを示している。セメントの水和によって生じるポルトランダイトの量は、約7日で最大値に達するようである。熟成した(mature)スラグ/セメントペーストの回折パターンは、珪酸カルシウム水和物と、アルミン酸カルシウム水和物と、水酸化カルシウムとが主に存在していることを示している。
【0071】
それ故、スラグセメントは、ポルトランドセメントよりも、より効率的にアルカリ性物質をセメントペースト中に受け入れることが可能である。アルカリ水酸化物は、単独で、即ち、ポルトランドセメントの水和からの水酸化カルシウムを用いずに、スラグを水和させて、頑丈なセメントペースト構造体を形成し得ることが示されている。
【0072】
スラグ水和物の形態は、ポルトランドセメントの水和生成物よりもゲル状であることが分かっており、このセメントペーストに緻密性を追加する。
【0073】
スラグがその最大の水硬性を発現するのを確実にするために、高炉から排出される際に、溶融スラグを迅速に冷却することが必要である。迅速な「急冷」又は冷却は、結晶化を防ぎ、溶融スラグを、水砕スラグと呼ばれる、主にアモルファス又は非晶質ガラスの砂粒大の粒子へと変換させる。セメントとしてのスラグの働きは、ガラス含有量に大きく依存することが一般的に認識されているが、他の要因も幾らか影響を有するであろう。水砕スラグの多孔質性は、水硬反応のためばかりでなく粒子密度の低減のための大きな表面積を提供する。徐冷スラグは、殆どが結晶性であり、セメントとしての特性をさほど有さない。
【0074】
フライアッシュについては、反応は、ポゾラン種(pozzolanic nature)のうちの1つである。フライアッシュのアモルファス相は、水酸化カルシウムと反応して、珪酸塩水和物を形成する。このプロセスは、石灰/水の一定の存在を必要とし、時間依存性である。粗フライアッシュ粒子の反応は、スラグほど反応性ではないが、より低い粒子密度を有し、製造される製品の質量を低めるのに貢献する。
【0075】
コンクリートが養生される温度及び相対湿度は、特に早期材齢におけるコンクリートの強度に対する大きな影響を有するであろう。
【0076】
スラグ及び/又はフライアッシュを含有したコンクリートは、高められた温度の養生条件下で非常に良好に応答することが分かっている。実際、1日の時点でのポルトランドセメントコンクリートのものを上回る強度を達成できる。
【0077】
反対に、スラグ及びフライアッシュを含有し、低温で養生されたコンクリートを用いると、早期材齢における強度減少が予想される。
【0078】
曲げ強度(破断係数)が特に重要である。スラグ及びフライアッシュが最適な割合で使用される場合、これらブレンドされたセメントは、一般には、材齢が7日を過ぎた時点で、プレーンのコンクリートよりも高い破断係数を与える。これは、コンクリート中のペーストの高められた緻密性の結果であると信じられている。
【0079】
使用されるセメント又はセメント状用材のブレンドに関わらず、その強度及び耐久性の潜在性を十分に発現すべき場合には、コンクリートは適切な水分及び温度条件に保たれねばならない。
【0080】
水和の速度及び程度が水分の低下による影響を受け、次いで、強度が低下し得ることは疑いない。この特性は、コンクリートが乾燥した時点でのペーストの成熟度に応じて変化する。
【0081】
クラックのないコンクリートについては、コンクリート中への有害物質の進入の容易さは、主に、セメントペーストの透過性に依存し、これは、更に、孔隙径分布、構造及び全孔隙率に依存する。一般には、大きな孔隙の影響及び孔隙系の連続性が、重要な要因である。
【0082】
フライアッシュ及びスラグを含有したセメントペーストの孔隙構造は、プレーンのセメントペーストのものとは多少異なる。
【0083】
スラグセメントペーストにおいて、全孔隙率はプレーンのセメントペーストのものと概して同様であるが、より粗い孔隙径範囲が著しく減少している。孔隙構造の発現の違いは、ブレンドされたセメントとプレーンのセメントとにおける水和プロセスの違いに起因していた。
【0084】
ブレンドされたセメントペーストにおけるより細かな孔隙径分布は、キャピラリーの詰まりと、珪酸カルシウム水和物の沈殿物による孔隙の充填と、ポルトランドセメントの水和からの水酸化カルシウムの低減された存在とに起因することが報告されている。
【0085】
フライアッシュセメントペーストにおいて起こるポゾラン反応は、利用可能な孔隙の空間を充填する珪酸カルシウム水和物を生成する。
【0086】
フライアッシュコンクリートの初期の研究は、28日のポルトランドセメントコンクリートがフライアッシュコンクリートよりも浸透性が低いことを示した。これは、フライアッシュペースト中の反応済みの材料が少ないことと、初期の低ポゾラン活性との複合効果によるものであった。6ヵ月後、この傾向は覆され、フライアッシュコンクリートは、浸透性がより低くなった。このときまでに、ポゾラン反応は、気孔−空隙系(pore-void system)の構造を変化させ、その浸透性を低下させた。
【0087】
フライアッシュセメントの浸透性は、養生条件に敏感である。適切な養生条件が適用されなければ、その場(insitu)での浸透性は予想よりも高いかもしれない。
【0088】
図1を参照すると、水砕鉄高炉スラグの粒径分布を示した表が示されている。
【0089】
図1の表より、篩の大きさが小さくなるにつれ、通り抜ける水砕鉄高炉スラグの質量パーセントが減少することが、目標、上限及び下限のパラメータから分かり得る。
【0090】
図2は、組成物パラメータ、特には、水砕鉄高炉スラグの元素化学についての値の最大及び最小の質量百分率を示している。密度の低い(loose)水砕鉄高炉スラグの嵩密度は、好ましくは、1m3当たり1.2トン未満である。
【0091】
図3は、空冷高炉スラグについての粒径分布を示している。
【0092】
図4は、空冷高炉スラグの化学組成を示している。この表は、ミクロンでの篩の大きさと、篩を通り抜ける質量百分率とを示している。この表は、上限及び下限と共に、最適な(目標の)値を示している。
【0093】
密度の低い空冷高炉スラグの嵩密度は、1m3当たり1.35乃至1.45トンである。
【0094】
堅く締まっている場合、嵩密度は、1m3当たり1.50乃至1.60トンである。
【0095】
粒子密度
乾燥 1m3当たり2.70乃至2.80トン
SSD 1m3当たり2.75乃至2.85トン
(i)ボトムアッシュ
ボトムアッシュの要件は、材料が10mmの篩を通り抜けることである。
【0096】
利用可能な最も低い嵩密度及び最も低い炭素含有量に基づいて選択する。
【0097】
(ii)フライアッシュ
ラン−オブ−ステーション(Run-of-station)フライアッシュが使用される。
【0098】
利用可能な最も低い嵩密度及び最も低い炭素含有量に基づいて選択する。
【0099】
バインダ
(i)ポルトランドセメント、
(ii)粉砕した水砕鉄高炉スラグ、
(iii)フライアッシュ。
【0100】
市販のバインダ及び補助材料が使用される。
【0101】
これら材料は、建設産業に関する関連規格に準拠している。
【0102】
図5は、粉砕した水砕鉄高炉スラグの化学的性質を示している。粉砕した水砕鉄高炉スラグは、図5の表に示したパラメータを有さねばならない。
【0103】
本発明に従って製造される組成物中に含まれる更なるパラメータは、
混合剤
(i)減水剤、
(ii)空気混入剤、
(iii)撥水剤、
(iv)凝結促進剤、
(v)粘度変更剤
である。
【0104】
市販のバインダ及び補助材料が使用される。
【0105】
これら材料は、建設産業に関する関連規格に準拠している。
【0106】
混和用の水。
【0107】
(i)工場の屋根からの雨水。
【0108】
(ii)プラント洗浄用の水。
【0109】
(iii)製品貯蔵&発送エリアの排水。
【0110】
カルシウム、ナトリウム及びカリウムなどのアルカリ塩を含有した水が好ましい。というのは、これら元素は、溶液中で、成核(nucleate)して、スラグ材料の水和を促進するからである。
【0111】
図6は、本発明に従う典型的な組成/配合を、乾燥ベースの質量%に従って示している。この表から、各組成物における大部分の配合物(formulation)が水砕高炉スラグであることが分かり得る。各々の場合において、最も割合の高い成分は、水砕鉄高炉スラグである。
【0112】
発明の配合
(i)煉瓦及びメーソンリーユニットの製造用の材料の配合は、Dinger-Funkの式(Formula)の修正形を使用する「粒子充填原理」による。
【0113】
修正されたDinger-Funkの法則
VPSIZE =100*((篩のサイズ、ミクロン)eq − (最小粒径、ミクロン) eq)/( (最大粒径、ミクロン) eq − (最小粒径、ミクロン) eq)
「q」は、分布の微細度の尺度であり、通常0.3に設定される。
【0114】
これは、図7に示すような粒度又は粒径分布のグラフを作成するのに使用される。
【0115】
図7は、粒度又は粒径分布のグラフを示している。
【0116】
使用されるべき材料は、Dinger-Funk関数に適合するように配合される。上限及び下限が製造の目的のために設定され、幾らかの制御変動を許容するために設定され得る。
【0117】
養生条件は、各養生チャンバにおいて特定のプロファイルに維持される。
【0118】
補助セメント状用材の水和反応が進行するには、85%より高い間隙湿度(interstitial humidity)の存在下でのナトリウム、カリウム及びカルシウムの水酸化物などのアルカリ物質が必要とされる。
【0119】
ポルトランドセメントの水和は、必要とされる水酸化カルシウムを遊離させ、それは、マトリックス混和物のスラグ成分との反応に利用可能である。65℃の温度での必要な相対湿度を提供するのに、蒸気養生が使用される。
【0120】
これら養生条件は、図8のグラフに示したように、各養生チャンバにおいて特定のプロファイルに維持される。
【0121】
図8に示されたように、この養生措置(curing regime)は、通常の養生の4日と等価な圧縮強度を提供するのに十分な反応を起こすことを確実にする。
【0122】
環境的利点
利用される大部分の材料が工業的な副産物又は副生成物であるため、温室効果ガス排出物は、製造される製品中に既に吸収されており、それは、スラグの場合は鉄であり、フライアッシュの場合は電気である
スラグ/アッシュ煉瓦 壁1m2当たり0.02186トンのCO2
【0123】
粘土煉瓦 壁1m2当たり0.03394トンのCO2
【0124】
コンクリート煉瓦 壁1m2当たり0.03765トンのCO2
【0125】
他のバインダ
骨材として及びバインダとして使用される高炉スラグは、
苛性ソーダ
消石灰
珪酸ナトリウム
炭酸ナトリウム
上述したものの様々な組み合わせ
などの多くの様々な薬品を用いて活性化され得る。
【0126】
本発明に従って製造された組成物及び製品の利点は数多い。粉砕した鉄高炉スラグは、増量剤として使用され得る。製品は、従来の骨材を使用した同様の大きさの製品の50%まで又はそれ以上軽量であり得る。製品は、凝結するのが遅く、完全な水和を確実にし、それらは水中使用に理想的である。これら組成物は、限定されないが、ブロック、スラブ、煉瓦、プレキャストパネル及び下塗り壁などの建設部材において使用され得る。後者の場合、下塗りは、粉砕した鉄高炉スラグ骨材と化学的に反応して、結合強度を化学的ばかりでなく機械的にも高める。また、これら組成物は、煉瓦化粧張り壁の建設において使用されても良いし、ねじ切りされても良く、鋸で切られ(sawed)ても良い。製品は、防音など特定の用途のための特性が達成されるように調節されても良い。例えば、無孔質で、低い又は高い密度のブロックがつくられても良い。スラグ骨材の大きさは、好ましくは、7乃至10mmの非限定的な範囲内にあるであろう。製品は、典型的には、従来の冶金学に従うモールドから製造されるであろう。未加工のスラグは、混和に先立つ空練マトリックス中への導入の前に、前準備(pre preparation)を供されるであろう。本発明は、重量比の割には高められた耐久性と高強度とを有する、従来の標準的な大きさのメーソンリー製品の製造に適用されても良い。ここで説明され、本発明の実施形態に従うマトリックを有した部材をつくることによって達成される特性は、当技術において知られているものではない。骨材としての水砕鉄高炉スラグの使用にも関わらず、製品は、好ましくない収縮によって悩まされることがなく、実際に、この骨材の使用は、従来技術の方法及び成分に従って製造された製品と比べて、収縮を著しく低減させる。
【0127】
製品は、水砕鉄高炉スラグを使用して製造された場合、酸性雨に耐えるのにより優れており、より安定であって、化学的グラウンド相互作用(chemical ground interaction)による劣化に耐えるであろうし、スラグがマトリックス中のアルカリ分を吸収した際にエフロレッセンスを起しづらい。製品は、良好な熱的及び音響的性質を有するであろう。多孔度及び浸透性は、製品が如何に軽量であるかによって大きく左右されるであろう。骨材として使用される粉砕した鉄高炉スラグは、マトリックスを接着させる「接着剤」をも形成する骨組みを形成する。スラグ粒子は、活性化されて、それら自体を結合される。
【0128】
本発明の全体的な精神及び範囲から逸脱せずに、多くの変形及び変更が、ここで概括的に記載された本発明に対して為され得ることは、当業者によって認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】図1は、水砕鉄高炉スラグの粒径分布の表を示している。
【図2】図2は、組成物パラメータ、特には、水砕鉄高炉スラグの元素化学(elementary chemistry)、質量百分率についての最大値及び最小値を示している。
【図3】図3は、空冷高炉スラグの粒径分布を示している。
【図4】図4は、空冷高炉スラグの化学組成を示している。
【図5】図5は、粉砕した水砕鉄高炉スラグの特性の化学的性質を示している。
【図6】図6は、本発明に従う典型的な組成を、乾燥ベース(dry basis)の質量%に従って示している。
【図7】図7は、粒度又は粒径分布のグラフを示している。
【図8】図8、これら養生条件は、各養生チャンバ内において特定のプロファイルに維持されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メーソンリー製品の形成において使用されるセメント状マトリックスであって、
空冷鉄高炉スラグと、
ボトムアッシュと、
粉末状燃料灰と、
粉砕した水砕鉄高炉スラグと
のうちの1種以上から選択される少なくとも1種の骨材を含んだマトリックス。
【請求項2】
請求項1記載のセメント状マトリックスであって、
少なくとも1種のバインダ
を更に含んだセメント状マトリックス。
【請求項3】
請求項2記載のマトリックスであって、水と、ポルトランドセメントを含んだセメント状バインダとを更に含んだマトリックス。
【請求項4】
請求項3記載のマトリックスであって、少なくとも1種の混合剤であるマトリックス。
【請求項5】
請求項4記載のマトリックスであって、前記少なくとも1種の混合剤は、
(i)減水剤、
(ii)空気混入剤、
(iii)撥水剤、
(iv)凝結促進剤、
(v)粘度変更剤
のうちの1種以上から選択されるマトリックス。
【請求項6】
請求項5記載のマトリックスであって、前記少なくとも1種のバインダは、
(i)普通ポルトランドセメント、
(ii)粉砕した水砕鉄高炉スラグ、
(iii)フライアッシュ
のうちの1種以上から選択されるマトリックス。
【請求項7】
請求項6記載のマトリックスであって、骨材として及びバインダとして使用される前記高炉スラグが、以下の薬品:
苛性ソーダ、
消石灰、
珪酸ナトリウム、
炭酸ナトリウム、
上述の物質の様々な組み合わせ
のうちの1種以上によって、バインダとして働くように活性化されるマトリックス。
【請求項8】
請求項7記載のマトリックスであって、前記組成物が、メーソンリー建築ブロックの製造用のモールドの中に導入されるマトリックス。
【請求項9】
請求項8記載のメーソンリーブロックであって、ポルトランドセメントが、マトリックスの水和中に、前記マトリックス混和物のスラグ成分との反応に利用可能な必要とされる水酸化カルシウムを遊離するメーソンリーブロック。
【請求項10】
請求項9記載のマトリックスであって、前記水砕鉄高炉スラグの嵩密度が、好ましくは、1m3当たり1.2トン未満であるマトリックス。
【請求項11】
請求項10記載のマトリックスであって、前記空冷高炉スラグの嵩密度が、1m3当たり1.35乃至1.45トンであるマトリックス。
【請求項12】
請求項11記載のマトリックスであって、前記空冷高炉スラグの嵩密度が、圧縮時、1m3当たり1.50乃至1.60トンであるマトリックス。
【請求項13】
請求項11記載のマトリックであって、前記マトリックスからつくられる前記メーソンリー製品は、従来の骨材を使用する同様の大きさのメーソンリー製品よりも30%乃至50%軽量であるマトリックス。
【請求項14】
請求項13記載のマトリックスであって、前記マトリックスからつくられる前記製品が、ブロック、スラブ、煉瓦、プレキャストパネル及び下塗り壁を含んでいるマトリックス。
【請求項15】
メーソンリー製品の形成において使用されるセメント状マトリックスであって、
骨材としての水砕鉄高炉スラグと、
空冷鉄高炉スラグと、
ボトムアッシュと、
粉末状燃料灰及びセメント状バインダと、
粉砕した水砕鉄高炉スラグと、
水と
を含んだマトリックス。
【請求項16】
請求項15記載のマトリックスであって、前記セメント状バインダが、ポルトランドセメント、粉砕した水砕鉄高炉スラグ又はフライアッシュのうちの1種以上から選択されるマトリックス。
【請求項17】
異形メーソンリー製品を形成するためのセメント状マトリックスであって、
少なくとも1種のバインダと、
骨材であって、
i)水砕鉄高炉スラグ、
ii)空冷鉄高炉スラグ、
iii)ボトムアッシュ、
iv)フライアッシュ
vi)粉末状燃料灰及び少なくとも1種のセメント状バインダ、並びに
v)粉砕した水砕鉄高炉スラグ
のうちの1種以上から選択される骨材と、
水と
を含んだマトリックス。
【請求項18】
請求項17記載のマトリックスであって、前記少なくとも1種のバインダが、
i)普通ポルトランドセメント、
ii)粉砕した水砕鉄高炉スラグ、
iii)フライアッシュ
のうちの1種以上から選択されるマトリックス。
【請求項19】
請求項18記載のマトリックスであって、前記粉砕した水砕鉄高炉スラグが、潜在性補助的セメント状バインダとしても働くマトリックス。
【請求項20】
請求項19記載のマトリックスであって、前記セメント状バインダが、ポルトランドセメントを含んでいるマトリックス。
【請求項21】
請求項20記載のマトリックスであって、前記粉砕した水砕鉄高炉スラグが、前記ポルトランドセメントによって生じた水酸化カルシウムと化合しているマトリックス。
【請求項22】
請求項21記載のマトリックスであって、前記粉砕した水砕鉄高炉スラグ及び水酸化カルシウムアルミネートが、化合/反応して、カルシウムの珪酸塩/アルミン酸塩の水和物を形成するマトリックス。
【請求項23】
請求項22記載のマトリックであって、水砕鉄高炉スラグが、骨材として及び前記バインダとして使用されるとき、
苛性ソーダ、
消石灰、
珪酸ナトリウム、
炭酸ナトリウム、
上述の物質の様々な組み合わせ
から選択される薬品を用いて活性化されるマトリックス。
【請求項24】
請求項23記載のマトリックスであって、少なくとも1種の混合剤を更に含んだマトリックス。
【請求項25】
請求項24記載のマトリックであって、前記少なくとも1種の混合剤が、
(i)減水剤、
(ii)空気混入剤、
(iii)撥水剤、
(iv)凝結促進剤、
(v)粘度変更剤
のうちの1種以上から選択されるマトリックス。
【請求項26】
建設部材の製造におけるモールド内での使用のためのセメント状マトリックスであって、
少なくとも1種の骨材と、
少なくとも1種のバインダと、
少なくとも1種の混合剤と、
水と
を含み、
前記骨材が、
i)水砕鉄高炉スラグ、
ii)空冷鉄高炉スラグ、
iii)ボトムアッシュ、
iv)フライアッシュ
のうちの1種以上から選択されるマトリックス。
【請求項27】
請求項26記載のマトリックスであって、前記少なくとも1種のバインダが、
i)普通ポルトランドセメント、
ii)粉砕した水砕鉄高炉スラグ、
iii)フライアッシュ
のうちの1種以上から選択されるマトリックス。
【請求項28】
請求項27記載のマトリックスであって、前記混合剤が、
(i)減水剤、
(ii)空気混入剤、
(iii)撥水剤、
(iv)凝結促進剤、
(v)粘度変更剤
のうちの1種以上から選択されるマトリックス。
【請求項29】
請求項28記載のマトリックスであって、骨材として使用される水砕鉄高炉スラグの割合が、前記メーソンリー製品の軽量嵩密度に影響を与えるマトリックス。
【請求項30】
セメント状マトリックス組成物から製造されるメーソンリーブロックであって、前記セメント状マトリックス組成物は、
骨材であって、
i)水砕鉄高炉スラグ、
ii)空冷鉄高炉スラグ、
iii)ボトムアッシュ、
iv)フライアッシュ、
v)粉砕した水砕鉄高炉スラグ、
vi)粉末状燃料灰
のうちの1種以上から選択される骨材と、
水と、
少なくとも1種のバインダと
を含んだメーソンリーブロック。
【請求項31】
請求項30記載のメーソンリーブロックであって、前記セメント状マトリックスが、少なくとも1種の混合剤を更に含んでいるメーソンリーブロック。
【請求項32】
請求項31記載のメーソンリーブロックであって、前記少なくとも1種の混合剤が、
(i)減水剤、
(ii)空気混入剤、
(iii)撥水剤、
(iv)凝結促進剤、
(v)粘度変更剤
のうちの1種以上から選択されるメーソンリーブロック。
【請求項33】
請求項32記載のメーソンリーブロックであって、前記バインダが、ポルトランドセメント、粉砕した水砕鉄高炉スラグ又はフライアッシュから選択されるメーソンリーブロック。
【請求項34】
請求項33記載のメーソンリーブロックであって、前記組成物は、前記ブロックを形成するための所定の形状のモールドの中に導入されるメーソンリーマトリックス。
【請求項35】
異形メーソンリー製品を形成するためのセメント状マトリックスであって、
骨材であって、
水砕鉄高炉スラグ、
空冷鉄高炉スラグ、
ボトムアッシュ、
粉末状燃料灰、及び少なくとも1種のセメント状バインダ
を含んだ骨材と、
バインダ及び骨材として働く粉砕した水砕鉄高炉スラグと、
水と
を含んだ材料の群から形成されるマトリックス。
【請求項36】
請求項35記載のマトリックスであって、前記少なくとも1種のバインダが、
i)普通ポルトランドセメント、
ii)粉砕した水砕鉄高炉スラグ、
iii)フライアッシュ
のうちの1種以上から選択されるマトリックス。
【請求項37】
請求項36記載のマトリックスであって、前記粉砕した水砕鉄高炉スラグも、潜在的な補助的セメント状バインダとして働くマトリックス。
【請求項38】
請求項37記載のマトリックスであって、前記セメント状バインダがポルトランドセメントを含んでいるマトリックス。
【請求項39】
請求項38記載のマトリックスであって、前記粉砕した水砕鉄高炉スラグが、前記ポルトランドセメントによって生じた水酸化カルシウムと化合するマトリックス。
【請求項40】
請求項39記載のマトリックスであって、前記粉砕した水砕鉄高炉スラグ及び水酸化カルシウムアルミネートが、化合/反応して、カルシウムの珪酸塩/アルミン酸塩の水和物を形成するマトリックス。
【請求項41】
請求項40記載のマトリックスであって、
(i)減水剤、
(ii)空気混入剤、
(iii)撥水剤、
(iv)凝結促進剤、
(v)粘度変更剤
のうちの1種以上から選択される少なくとも1種の混合剤を更に含んだマトリックス。
【請求項41】
異形建設部材の製造における使用のためのセメント状マトリックスであって、
少なくとも1種の骨材と、
少なくとも1種のバインダと、
少なくとも1種の混合剤と、
水と
を含み、
前記骨材が、
i)水砕鉄高炉スラグ、
ii)空冷鉄高炉スラグ、
iii)ボトムアッシュ、
iv)フライアッシュ
のうちの1種以上から選択され、
少なくとも1種のバインダが、
i)普通ポルトランドセメント、
ii)粉砕した水砕鉄高炉スラグ、
iii)フライアッシュ
のうちの1種以上から選択され、
混合剤が、
(i)減水剤、
(ii)空気混入剤、
(iii)撥水剤、
(iv)凝結促進剤、
(v)粘度変更剤
のうちの1種以上から選択されるマトリックス。
【請求項42】
セメント状マトリックスから異形メーソンリー製品を製造する方法であって、
a)空練組成物と水とを任意の順序でブレンドする工程であって、前記空練組成物は、
i)少なくとも1種の骨材であって、
水砕鉄高炉スラグ、
空冷鉄高炉スラグ、
ボトムアッシュ、
フライアッシュ、
粉砕した水砕鉄高炉スラグ
のうちの1種以上から選択された骨材と、
ii)少なくとも1種のバインダと、
iii)少なくとも1種の混合剤と
を含んでいる工程と、
前記マトリックスをモールドの中に導入する前に前記マトリックスを混和させる工程と、前記マトリックスを所定の時間かけて凝結させる工程と、
を含む方法。
【請求項43】
請求項42記載の方法であって、
a)原材料の空練組成物を、材料の導入順に、重量と割合とに従ってブレンドする工程であって、前記原材料の空練組成物が、
i)少なくとも1種の骨材であって、
水砕鉄高炉スラグ、
空冷鉄高炉スラグ、
ボトムアッシュ、
フライアッシュ
のうちの1種以上から選択される骨材と、
ii)少なくとも1種のバインダと、
iii)少なくとも1種の混合剤と、
を含んだ工程と、
iv)前記空練物を振動させる工程と、
v)水を添加して水和を生じさせる工程と、
vi)前記混和組成物をモールドの中に打設する工程と、
vii)所定の時間かけて、前記組成物を凝結させる工程と、
viii)前記組成物を前記モールドから取り出す工程と
を含んだ方法。
【請求項44】
請求項記載のマトリックスであって、混和時、前記マトリックスにおける水和反応が、石灰、水酸化カルシウム、Ca(OH)2、(ポルトランダイト)を遊離するマトリックス。
【請求項45】
請求項44記載のマトリックスであって、水砕鉄高炉スラグが、前記石灰を、追加の結合剤へと変換させるマトリックス。
【請求項46】
請求項45記載のマトリックスであって、粗粒度水砕高炉スラグが、結果として、前記スラグ粒子と前記ポルトランドセメントとの間の水和生成物を生成する反応性骨材となるマトリックス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−528240(P2009−528240A)
【公表日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−556613(P2008−556613)
【出願日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際出願番号】PCT/AU2007/000232
【国際公開番号】WO2007/098536
【国際公開日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(508264254)セメンテク・ピーティーワイ・リミテッド (1)
【Fターム(参考)】