説明

メータシステムおよび流量計

【課題】被測流体の逆流が生じた場合に、流量計側で積算流量の補正を行い、該補正をユーザに通知する。
【解決手段】メータシステムを構成する流量計1は、回転方向判別部61において被測流体の流れ方向が順流から逆流に変化したと判別された際の流量算出部62における積算流量を記憶するメモリ部63と流量算出部62の積算流量が、メモリ部65に記憶された積算流量以上である場合に、パルス信号を出力するパルス信号出力部66と、該パルス信号出力部66がパルス信号の出力を停止している場合に、表示部7に該停止を示す表示を行う表示制御部67を備え、カウンタ2はパルス信号出力部66が出力するパルス信号に基づき被測流体の流量積算値を算出して表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、水道メータ、ガスメータ、あるいは電力メータなどの被測流体の流量を計測するメータシステムおよびその流量計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子式のガスメータあるいは水道メータ、電力メータなどの流量計では、回転子軸や回転子から歯車などによって回転を伝達された軸に永久磁石や共振コイルを取り付け、回転を磁気センサで検出して計量パルスを発生させて、当該計量パルスに基づき流体の使用量を算出している。流量計には表示機能を有するカウンタが有線あるいは無線による通信回線を介して接続され、当該カウンタはパルス信号を受け取ると、パルス数に応じて使用量の積算値を表示する。このようなシステムにおいて、流量計側で表示する流体の積算流量とカウンタ側における流量積算値との間に誤差が発生する。
【0003】
この対策として、特許文献1に開示されたメータシステムでは、流体が順方向に流れている場合は正転パルス信号をカウンタに供給し、逆方向に流れている場合は逆転パルス信号を供給し、カウンタにおいて、正転パルス信号が供給されると流量積算値の加算処理を行い、逆転パルス信号が供給されると流量積算値の減算処理を行う。これにより、流量計側で表示する流体の積算流量とカウンタ側における流量積算値とを一致させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−221439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のメータシステムでは、流量計側から正転パルス信号と逆転パルス信号を出力しているため、カウンタ側においてパルス信号の正逆を判断し、流量積算値の加算処理あるいは減算処理を行う必要があった。さらに、流量計の不具合などによりカウンタ側へ逆転パルス信号を出力できない場合に、カウンタ側の故障と誤認されるとういう課題があった。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、被測流体の逆流が生じた場合にも、カウンタ側において流量積算値の減算処理を行うことなく、正確な流量積算値を提示すると共に、流量計側において積算流量の補正を行っている旨をユーザに通知するメータシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の請求項1に係るメータシステムは、被測流体の流量に応じた検出信号を出力する検出部と、検出部から出力される検出信号に基づき、被測流体の流れ方向を判別する方向判別部と、検出部から出力される検出信号および方向判別部の判別結果に基づき、加減算処理を行い被測流体の積算流量を算出する流量算出部と、方向判別部において、被測流体の流れ方向が、あらかじめ設定された方向に流れる順流から該順流方向と逆方向に流れる逆流に変化した際に流量算出部で算出された積算流量を記憶するメモリ部と、流量算出部で算出された積算流量がメモリ部に記憶された積算流量以上である場合にパルス信号を出力し、流量算出部で算出された積算流量がメモリ部に記憶された積算流量未満である場合に、パルス信号の出力を停止するパルス信号出力部と、流量算出部で算出された積算流量の表示制御およびパルス信号出力部がパルス信号の出力を停止している場合に、当該停止を示す表示制御を行う表示制御部と、表示制御部の表示制御に基づき、積算流量の表示およびパルス信号の停止を示す表示を行う表示部とを備えた流量計と、パルス信号出力部が出力するパルス信号に基づき被測流体の流量積算値を算出して表示するカウンタとを備えるものである。
【0008】
この発明の請求項2に係るメータシステムは、被測流体の流量に応じて回転する回転子を備え、方向判別部が回転子の回転方向により被測流体の流れ方向を判別するものである。
【0009】
この発明の請求項3に係るメータシステムは、パルス信号出力部のパルス信号出力停止時間を表示部に表示する表示制御部を備えるものである。
【0010】
この発明の請求項4に係るメータシステムは、被測流体の逆流量を表示部に表示する表示制御部を備えるものである。
【0011】
この発明の請求項5に係るメータシステムは、表示部の積算流量と、メモリ部に記憶された積算流量との差分を表示部に表示する表示制御部を備えるものである。
【0012】
この発明の請求項6に係る流量計は、被測流体の流量に応じた検出信号を出力する検出部と、検出部から出力される検出信号に基づき、被測流体の流れ方向を判別する方向判別部と、検出部から出力される検出信号および方向判別部の判別結果に基づき、加減算処理を行い被測流体の積算流量を算出する流量算出部と、方向判別部において、被測流体の流れ方向が、あらかじめ設定された方向に流れる順流から該順流方向と逆方向に流れる逆流に変化した際に流量算出部で算出された積算流量を記憶するメモリ部と、流量算出部で算出された積算流量がメモリ部に記憶された積算流量以上である場合にパルス信号を出力し、流量算出部で算出された積算流量がメモリ部に記憶された積算流量未満である場合に、パルス信号の出力を停止するパルス信号出力部と、流量算出部で算出された積算流量の表示制御およびパルス信号出力部がパルス信号の出力を停止している場合に、当該停止を示す表示制御を行う表示制御部と、表示制御部の表示制御に基づき、積算流量の表示およびパルス信号の停止を示す表示を行う表示部とを備えた流量計。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、パルス信号出力部がパルス信号の出力を停止している場合に、表示部に当該停止を示す表示を行うように構成したので、流量計に表示される積算流量とカウンタに表示される流量積算値が相違している要因をユーザに通知することができる。これによりユーザは、機器の再設定あるいは故障判断を行う必要がなく、被測流体の使用量の計測を効率的に行うことができる。
【0014】
また、この発明によれば、パルス信号の出力を停止している時間を表示部に表示するように構成したので、パルス信号の出力停止状況を具体的に把握することができる。
【0015】
また、この発明によれば、被測流体の逆流量を表示部に表示するように構成したので、パルス信号の出力停止状況を具体的に把握することができる。
【0016】
また、この発明によれば、表示部の積算流量とメモリ部に記憶された積算流量との差分を表示部に表示するように構成したので、パルス信号の出力停止状況を具体的に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施の形態1によるメータシステムの構成を示す図である。
【図2】実施の形態1によるメータシステムの動作を示すフローチャートである。
【図3】実施の形態1によるメータシステムの動作を示す一例である。
【図4】図3のメータシステムにおける流量計の表示例を示す図である。
【図5】実施の形態1によるメータシステムの他の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1によるメータシステムの構成を示すブロック図である。図1に示すメータシステムは、例えば電子式の水道メータなどで構成されるパルス信号を出力可能な流量計1と、当該流量計1とメータからのパルス信号線や通信回線などを介して接続されたカウンタ2で構成されている。
流量計1は、回転子3、永久磁石4、検出部5、制御部6および表示部7で構成されている。被測流体の使用量に応じて回転する回転子3に連動して永久磁石4が回転し、当該永久磁石4の回転により磁界の変化が生じる。検出部5の磁気センサ51は、当該磁界の変化を検出し、検出回路52において増幅および波長形成を行い検出信号を生成する。
【0019】
制御部6は、回転方向判別部61、流量算出部62、メモリ部63、表示制御部64およびパルス信号出力部65で構成されている。
回転方向判別部61は、検出部5から得られる検出信号に基づき、回転子3の回転方向があらかじめ設定された回転方向に対して正転であるか逆転であるかを判別する。流量算出部62は、検出部5から得られる検出信号の信号処理を行い、回転方向判別部61において判別された正転逆転判定に基づき被測流体の加減算処理を行い、被測流体の流量を算出する。メモリ部63は、回転方向判別部61の判別結果が正転から逆転に移行した際に、流量算出部62において算出された被測流体の積算流量を記憶する。
【0020】
表示制御部64は、流量算出部62において算出された被測流体の流量を表示部7に表示する。パルス信号出力部65は、流量算出部62において算出された被測流体の流量に基づき、カウンタ2にパルス信号を出力する。さらにパルス信号出力部65は、流量算出部62において算出された積算流量とメモリ部63に記憶された積算流量とを参照し、流量算出部62において算出された積算流量がメモリ部63に記憶された積算流量以上である場合に、パルス信号をカウンタ2に出力する。これに伴い表示制御部64は、パルス信号出力部65のパルス信号出力状態を参照し、パルス信号の出力が停止している場合には、表示部7に、パルス信号の出力を停止して流量計1側で積算流量の補正を行っている旨を表示する。さらに、表示制御部64は回転方向判別部61の判別結果を参照し、回転子3が逆転している場合には、当該逆転を示す表示を行うように構成してもよい。
【0021】
カウンタ2は、パルス入力部21、積算部22および表示部23で構成されている。
パルス入力部21は、制御部6のパルス信号出力部65から供給されるパルス信号の入力を受け付ける。積算部22は、パルス入力部21を介して入力されたパルス信号に基づいて被測流体の流量積算値を加算する処理を行う。表示部23は、積算部22により加算処理された被測流体の流量積算値を表示する。
【0022】
このように、表示部7に表示された積算流量がメモリ部63に記憶された積算流量未満であり、カウンタ2へのパルス信号の出力が停止している場合には、カウンタ2の表示部23は、回転子3の逆転が発生した時点でのカウンタ値で停止する。このカウンタ2の表示部23のカウンタ値と、流量計1の表示部7の積算流量とが異なっている要因が、回転子3の回転方向の逆転、すなわち被測流体の流路(図示せず)の逆流であることをユーザに通知するために、表示部7に積算流量を補正中であることを表示する。
【0023】
次に、実施の形態1によるメータシステムの動作について説明を行う。図2は、実施の形態1によるメータシステムの動作を示すフローチャートであり、検出部5から検出信号が入力された際の制御部6の動作を示している。
制御部6は、検出部5から検出信号が入力されると(ステップST1)、回転方向判別部61で、検出部5から得られる検出信号に基づき回転子3の回転方向が正転であるか、あるいは逆転であるか判別を行う(ステップST2)。さらに流量算出部62は検出信号の信号処理を行い、ステップST2において回転子3の回転方向が正転の場合には加算処理、回転子3の回転方向が逆転の場合には減算処理を行って被測流体の積算流量を算出し、表示制御部64を介して表示部7に出力する(ステップST3)。
【0024】
さらに流量算出部62は、回転方向判別部61の判別結果を算出して回転子3の回転方向が正転であるか逆転であるか判定を行う(ステップST4)。ステップST4において回転子3の回転方向が正転であった場合には、ステップST6の処理に進む。一方、ステップST4において回転子3の回転方向が逆転であった場合には、流量算出部62は被測流体の積算流量をメモリ部63に記憶させる(ステップST5)。
【0025】
次に、パルス信号出力部65において、流量算出部62において算出された現在の積算流量が、メモリ部63に記憶された積算流量以上であるか否か判定を行う(ステップST6)。ステップST6において、流量算出部62において算出された現在の流量がメモリ部63に記憶された積算流量未満であると判定された場合には、表示制御部64が流量計1側で積算流量の補正を行っている旨を表示部7に表示する(ステップST7)。その後、フローはステップST1の処理に戻る。
【0026】
一方、ステップST6において、表示部7に表示された現在の流量がメモリ部63に記憶された積算流量以上であると判定された場合には、パルス信号出力部65がパルス信号をカウンタ2に出力する(ステップST8)。さらに、表示制御部64が流量計1側で積算流量の補正を行っている旨を表示部7に表示する制御を行っている場合には、当該表示を解除するように表示部7に指示する(ステップST9)。その後、フローはステップST1の処理に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0027】
次に、図3および図4の具体例を参照しながら、流量計1側での積算流量の補正について説明を行う。図3は、実施の形態1によるメータシステムにおいて、逆流が発生した際の流量の補正を示す説明図であり、図4はその際の流量計の表示部における表示例を示している。なお、図3の具体例では流体流量10Lあたり1パルスを出力するものとする。つまり、回転子3が正転している場合、1パルス出力するとカウンタ2の積算部22において流量10Lが加算される。
【0028】
図3(a)では、回転子3が正転し、被測流体が流路(図示せず)を順方向に流れている状態を示している。現在の積算流量が340Lであり、パルス信号出力部65がカウンタ2にパルス信号を出力している。図3(a)における流量計1の表示部7の表示例を図4(a)に示している。被測流体は流路を順方向に流れ、流量計1側での積算流量の補正が行われておらずカウンタ2側にパルス信号が出力されているため、表示部7には積算流量7a(この場合、「340」が表示される)とパイロットランプ7bのみが表示される。
【0029】
図3(b)では、積算流量が340Lとなった時点で、被測流体の逆流が発生し、積算流量が150Lまで減算された場合を示している。回転方向判別部61において回転子3の逆転が判別されると、流量算出部62において算出された積算流量(ここでは340L)をメモリ部63に記憶させる。また、パルス信号出力部65において、流量算出部62の現在の積算流量がメモリ部63に記憶された積算流量未満であると判定される範囲ではパルス信号の出力は行われず、表示制御部64が積算流量補正を示すマークを表示部7に表示させる。
【0030】
あるいはパルス信号出力部65において、逆転した量(ここでは340Lから逆転が終わった150Lの差分の190L)をメモリ部63に記録する。メモリ部63に記録した量と同じ量だけ正転するまでパルス信号の出力は行わず、表示制御部64が積算流量補正を示すマークを表示部7に表示させる方法でも良い。
【0031】
あるいはパルス信号出力部65において、逆転した検出信号数をメモリ部63に記録する。メモリ部63に記録した検出信号数と同じだけ正転するまでパルス信号の出力は行わず、表示制御部64が積算流量補正を示すマークを表示部7に表示させる方法でも良い。
【0032】
また、表示制御部64は、回転子3が逆転している場合に、被測流体の逆流を示すマークを表示させるように構成してもよい。なお、流量算出部62は検出部5から入力される検出信号に基づき積算流量の減算を行い、表示部7の積算流量7aの値(例えば、150Lなど)を表示する。
【0033】
図3(b)における流量計1の表示部7の表示例を図4(b)に示している。被測流体は流路を逆方向に流れ、さらに流量計1側で積算流量の補正(積算流量の減算)が行われているため、表示部7には積算流量7a、パイロットランプ7b、積算流量補正マーク7cおよび逆流アラーム7dが表示される。
【0034】
図3(c)では、積算流量が150Lまで減算された時点で、被測流体が流路を順方向に流れ、回転子3の逆転が発生した時点での流量「340L」を超えて被測流体が順方向に流れる場合を示している。回転方向判別部61において流体が順方向に流れていると判定され、表示制御部64は被測流体の逆流を示すマークの表示を解除する。さらにパルス信号出力部65において、表示部7の現在の積算流量がメモリ部63に記憶された積算流量未満であると判定される範囲(ここでは150Lから340L未満の範囲)ではパルス信号の出力は行われず、表示部7の現在の積算流量がメモリ部63に記憶された積算流量未満であると判定される範囲(340L以上)ではパルス信号の出力が行われる。なお、図3の例では流体流量10Lあたり1パルスを出力するため、積算流量が350Lとなった時点で1パルスのパルス信号がカウンタ2へ出力される。
【0035】
図3(c)における流量計1の表示部7の表示例(積算流量150Lから340L未満の範囲)を図4(c)に示している。積算流量150Lから340L未満の範囲では、被測流体は流路を順方向に流れているものの、積算流量が340以上となるまでは積算流量の補正(メモリ部63に記憶された積算流量(340L)までの加算)が必要となるため、表示部7には積算流量7a、パイロットランプ7bおよび積算流量補正マーク7cが表示される。
一方、積算流量が350L以上では、積算流量補正マーク7cの表示が解除され、上述した図4(a)の表示に復帰する。
【0036】
このように、被測流体が流路の順方向に流れている場合には、パルス信号をカウンタ2に供給して表示部23のカウント値の加算を行う。一方、被測流体の逆流が発生した場合には、その時点での流量算出部62の積算流量をメモリ部63に記憶させ、流量算出部62の積算流量がメモリ部63に記憶させた積算流量に復帰するまではパルス信号の出力を停止させてカウンタ2の表示部23のカウント値の加算を停止する。これにより、流量計1の表示部7の積算流量とカウンタ2の表示部23のカウント値が相違するが、表示部7に積算流量補正マーク7cや逆流アラーム7dを表示させることにより、値が相違することの要因をユーザに通知する。
【0037】
次に、図5に表示部7の他の表示例を示している。図5(a)は積算流量補正時の表示例を示し、図5(b)は積算流量非補正時の表示例を示している。この表示例では、上述したパイロットランプの形状を積算流量補正時(7c´)と非補正時(7b)とで変化させることにより、補正の有無を通知する。また、図5(c)は積算流量補正時の表示例を示し、逆流アラームの表示を省略し、積算流量補正マーク7cのみを表示する構成を示している。図5(d)では積算流量補正時の積算流量補正マークの異なる形状(7c´´)を示している。また、図5(e)は一般的に使用されているパイロットランプ(7b´)を積算流量補正時は流量に応じた点滅を行わず、常時点灯あるいは常時消灯することで積算流量補正マークとして代用することもできる。このように、積算流量補正マークは、積算流量の補正をユーザが認知できる表示方法であれば適宜変更可能である。
【0038】
以上のように、この実施の形態1によれば、回転子3の回転方向を判別する回転方向判別部61と、回転子の回転方向に基づき被測流体の加減算処理を行い、被測流体の流量を算出する流量算出部62と、回転子3の回転方向が正転から逆転に移行した際の積算流量の値を記憶するメモリ部63と、流量算出部62において算出された積算流量がメモリ部63に記憶された積算流量以上である場合にカウンタ2側にパルス信号を出力するパルス信号出力部65と、パルス信号出力部65がパルス信号の出力を停止している場合に所定のマークを表示する表示制御部64を備えるように構成したので、流量計1の表示部7とカウンタ2の表示部23の表示値が相違している要因をユーザに認知させることができる。これにより、表示値が相違している場合であっても、流量計1側における積算流量の補正によりカウンタ2側にパルス信号が出力されていないことが明確となり、流量計1あるいはカウンタ2の故障と区別することができる。さらには、流量計1やカウンタ2の再設定あるいは故障判断を行う必要がなく、効率よく被測流体の使用量を確認することができる。
【0039】
また、この実施の形態1によれば、流量算出部62の積算流量がメモリ部63に記憶された積算流量以上である場合にのみ、カウンタ2側にパルス信号を出力するように構成したので、パルス信号出力は1つのみであり、正転あるいは逆転の判別を行う必要がない。また、被測流体の逆流時に何らかの原因でカウンタ2側にパルス信号の出力ができなかった場合にも、カウンタ値を補正する必要がない。これらにより、流量計1あるいはメータシステムの使用がより効率的となる。
【0040】
なお、上述した実施の形態1では、表示部7に積算流量7a、パイロットランプ7b、積算流量補正マーク7cおよび逆流アラーム7dを表示する構成を示したが、表示部7の表示項目は追加あるいは変更してもよい。例えば、積算流量を補正していた時間、即ちパルス信号出力を停止していた時間、被測流体の逆流量、メモリ部63に記憶された積算流量と表示部7に表示された積算流量との差分のいずれか、あるいは複数を合せて表示するように構成する。また、積算流量の補正状況を補充する内容であれば、上述した以外にも表示可能である。
これにより、ユーザは被測流体の逆流が発生した状況を具体的に把握することができ、流量計1の表示部7の値とカウンタ2の表示部23の値が一致しない要因を具体的に確認することができる。これにより、流路への逆流防止弁設置の必要性の判断や、流量計1あるいはカウンタ2の故障であるか否かの判断を効率よく行うことができる。
【0041】
なお、上述した実施の形態1では、回転方向判別部61が回転子3の回転方向を判別して、被測流体が流路内をあらかじめ設定された方向に対して順方向に流れているか、あるいは逆方向に流れているかを判別する構成を示したが、被測流体の流れ方向を判別可能な構成であれば、回転子3の回転方向に基づいて判別する構成に限定されず、適宜変更可能である。
また、その他の構成要素についても本願発明の範囲内において変形もしくは省略が可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 流量計
2 カウンタ
3 回転子
4 永久磁石
5 検出部
6 制御部
7 表示部
7a 積算流量
7b,7b´ パイロットランプ
7c,7c´,7c´´ 積算流量補正マーク
7d 逆流アラーム
21 パルス入力部
22 積算部
23 表示部
51 磁気センサ
52 検出回路
61 回転方向判別部
62 流量算出部
63 メモリ部
64 表示制御部
65 パルス信号出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測流体の流量に応じた検出信号を出力する検出部と、
前記検出部から出力される検出信号に基づき、前記被測流体の流れ方向を判別する方向判別部と、
前記検出部から出力される検出信号および前記方向判別部の判別結果に基づき、加減算処理を行い前記被測流体の積算流量を算出する流量算出部と、
前記方向判別部において、被測流体の流れ方向が、あらかじめ設定された方向に流れる順流から該順流方向と逆方向に流れる逆流に変化した際に前記流量算出部で算出された積算流量を記憶するメモリ部と、
前記流量算出部で算出された積算流量が前記メモリ部に記憶された積算流量以上である場合にパルス信号を出力し、前記流量算出部で算出された積算流量が前記メモリ部に記憶された積算流量未満である場合に、前記パルス信号の出力を停止するパルス信号出力部と、
前記流量算出部で算出された積算流量の表示制御および前記パルス信号出力部が前記パルス信号の出力を停止している場合に、当該停止を示す表示制御を行う表示制御部と、
前記表示制御部の表示制御に基づき、前記積算流量の表示および前記パルス信号の停止を示す表示を行う表示部とを備えた流量計と、
前記パルス信号出力部が出力するパルス信号に基づき被測流体の流量積算値を算出して表示するカウンタとを備えたメータシステム。
【請求項2】
前記被測流体の流量に応じて回転する回転子を備え、
前記方向判別部は、前記回転子の回転方向により前記被測流体の流れ方向を判別することを特徴とする請求項1記載のメータシステム。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記パルス信号出力部のパルス信号出力停止時間を前記表示部に表示することを特徴とする請求項1または請求項2記載のメータシステム。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記被測流体の逆流量を前記表示部に表示することを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載のメータシステム。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記流量算出部で算出された積算流量と、前記メモリ部に記憶された積算流量との差分を前記表示部に表示することを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載のメータシステム。
【請求項6】
被測流体の流量に応じた検出信号を出力する検出部と、
前記検出部から出力される検出信号に基づき、前記被測流体の流れ方向を判別する方向判別部と、
前記検出部から出力される検出信号および前記方向判別部の判別結果に基づき、加減算処理を行い前記被測流体の積算流量を算出する流量算出部と、
前記方向判別部において、被測流体の流れ方向が、あらかじめ設定された方向に流れる順流から該順流方向と逆方向に流れる逆流に変化した際に前記流量算出部で算出された積算流量を記憶するメモリ部と、
前記流量算出部で算出された積算流量が前記メモリ部に記憶された積算流量以上である場合にパルス信号を出力し、前記流量算出部で算出された積算流量が前記メモリ部に記憶された積算流量未満である場合に、前記パルス信号の出力を停止するパルス信号出力部と、
前記流量算出部で算出された積算流量の表示制御および前記パルス信号出力部が前記パルス信号の出力を停止している場合に、当該停止を示す表示制御を行う表示制御部と、
前記表示制御部の表示制御に基づき、前記積算流量の表示および前記パルス信号の停止を示す表示を行う表示部とを備えた流量計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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