説明

メール同期システム、通信端末、およびメール同期方法

【課題】通信端末に備わっている基本的な通信機能を利用して、通信端末同士で保有メールを同期させる。
【解決手段】マスタ端末10Mで、マスタ保有メールのうちメール同期対象となるメールのメール識別情報からなる対象リストを対象リストメールでスレーブ端末10Sへ通知し、スレーブ端末10Sで、対象リストメールに応じて、当該対象リストにあるメール識別情報のうち、スレーブ保有メールにないメール識別情報からなる差分リストを差分リストメールでマスタ端末10Mへ通知し、マスタ端末10Mで、差分リストメールに応じて、当該差分リストにあるメール識別情報と対応するメールをマスタ保有メールから選択して、差分添付メールでスレーブ端末10Sへ通知し、スレーブ端末10Sで、差分添付メールに応じて、当該添付メールを復元してスレーブ保有メールへ追加保存する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メール送受信技術に関し、特に複数の端末間で保有メールを同期させるメール同期技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電子メールサービスの拡大に伴い、利用者が、その使用状況に応じて複数のメールアカウントを使い分けるという利用方法が広く普及している。例えば、パーソナルコンピュータでは仕事用の会社のメールアカウント、自宅ではISP(Internet Service Provider)のメールアカウント、また携帯電話では事業者のメールアカウントなど、複数のメールアカウントを保有することがある。さらに、これらメールアカウントは、それぞれ異なる通信端末で使用される傾向がある。
【0003】
したがって、このような利用形態では、メールで受信した必要な情報を、異なる通信端末でばらばらに保有することが多く、外出時等、必要なときに必要な情報が自宅のPCのメールにしかない、ということもしばしば発生する。
このため、複数の通信端末間で、それぞれが保有するメールを同期させて、いずれの通信端末であっても、必要な情報が得られる状況を確立したいという要求が発生する。
【0004】
このようなメール同期技術として、メールサーバに配信通知機能を持たせて、パーソナルコンピュータのメールアカウントへ届いたメールを、携帯電話機のメールアカウントへ配信する技術が提案されている(例えば、特許文献1など参照)。しかしながら、このような関連技術によれば、メールサーバの機能を変更して、新たなメールサービス機能として対応することになるため、利用者ベースで容易に実現することができない。
これに対して、通信端末同士を接続して、直接、データ通信を行うことによりそれぞれが保有しているメールを同期する技術が提案されている(例えば、特許文献2など参照)。この技術によれば、メールサーバの機能を変更することなく、利用者ベースで実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−333095号公報
【特許文献2】特開2006−164067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような関連技術では、メール同期を行う際、例えば同期ケーブル等により通信端末同士を接続して、これら通信端末間で、直接、データ通信を行う必要があるため、利便性が悪いという問題点があった。また、遠隔地の通信端末との間でメール同期を行う場合、通信ネットワークを介して通信端末間で、直接、データ通信を行うことになるため、特定の通信プロトコルを利用可能なツールを導入したり、メール同期処理のタイミングを合わせたりする必要があるため、汎用性が低く、通信端末によっては特定の通信プロトコルやツールを導入できない場合もあるという問題点があった。
【0007】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、通信端末に備わっている基本的な通信機能を利用して、通信端末同士で保有メールを同期させることができる保有メール同期技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的を達成するために、本発明にかかるメール同期システムは、通信ネットワークを介したメールの送受信機能を持つ通信端末からなるマスタ端末およびスレーブ端末を含み、マスタ端末で受信して保有するマスタ保有メールのうち、スレーブ端末で受信して保有するスレーブ保有メールに存在しないメールを、マスタ端末からスレーブ端末へ通知することにより、マスタ保有メールにスレーブ保有メールを同期させるメール同期システムであって、マスタ端末に、マスタ保有メールのうちメール同期の対象となるメールのメール識別情報を記述した対象リストを作成し、この対象リストを含む対象リストメールをスレーブ端末へ通知する対象リストメール通知部と、スレーブ端末からの差分リストメールの通知に応じて、当該差分リストメール内の差分リストに記述されているメール識別情報と対応するメールをマスタ保有メールのうちから選択し、選択したメールを添付オブジェクトとして添付した差分添付メールを作成して、スレーブ端末へ通知する差分添付メール通知部とを備え、スレーブ端末に、マスタ端末からの対象リストメールの通知に応じて、当該対象リストメール内の対象リストに記述されているメール識別情報のうち、スレーブ保有メールに存在しないメールのメール識別情報を選択し、選択したメール識別情報を差分リストに記述して差分リストメールでマスタ端末へ通知する差分リストメール通知部と、マスタ端末からの差分添付メールの通知に応じて、当該差分添付メールに添付されている添付オブジェクトからメールを復元し、スレーブ保有メールとして追加保存する差分添付メール復元部とを備えている。
【0009】
また、本発明にかかる通信端末は、通信ネットワークを介してメールを送受信する機能を有するマスタ端末およびスレーブ端末を含み、マスタ端末で受信して保有するマスタ保有メールのうち、スレーブ端末で受信して保有するスレーブ保有メールに存在しないメールを、マスタ端末からスレーブ端末へ通知することにより、マスタ保有メールにスレーブ保有メールを同期させるメール同期システムで、マスタ端末およびスレーブ端末として利用される通信端末であって、自端末がマスタ端末として動作する際に、マスタ保有メールのうちメール同期の対象となるメールのメール識別情報を記述した対象リストを作成し、この対象リストを含む対象リストメールをスレーブ端末へ通知する対象リストメール通知部と、自端末がマスタ端末として動作する際に、スレーブ端末からの差分リストメールの通知に応じて、当該差分リストメール内の差分リストに記述されているメール識別情報と対応するメールをマスタ保有メールのうちから選択し、選択したメールを添付オブジェクトとして添付した差分添付メールを作成して、スレーブ端末へ通知する差分添付メール通知部と、自端末がスレーブ端末として動作する際に、マスタ端末からの対象リストメールの通知に応じて、当該対象リストメール内の対象リストに記述されているメール識別情報のうち、スレーブ保有メールに存在しないメールのメール識別情報を選択し、選択したメール識別情報を差分リストに記述して差分リストメールでマスタ端末へ通知する差分リストメール通知部と、自端末がスレーブ端末として動作する際に、マスタ端末からの差分添付メールの通知に応じて、当該差分添付メールに添付されている添付オブジェクトからメールを復元し、スレーブ保有メールとして追加保存する差分添付メール復元部とを備えている。
【0010】
また、本発明にかかるメール同期方法は、通信ネットワークを介したメールの送受信機能を持つ通信端末からなるマスタ端末およびスレーブ端末を含むメール同期システムで用いられ、マスタ端末で受信して保有するマスタ保有メールのうち、スレーブ端末で受信して保有するスレーブ保有メールに存在しないメールを、マスタ端末からスレーブ端末へ通知することにより、マスタ保有メールにスレーブ保有メールを同期させるメール同期方法であって、マスタ端末が、マスタ保有メールのうちメール同期の対象となるメールのメール識別情報を記述した対象リストを作成し、この対象リストを含む対象リストメールをスレーブ端末へ通知する対象リストメール通知ステップと、スレーブ端末が、マスタ端末からの対象リストメールの通知に応じて、当該対象リストメール内の対象リストに記述されているメール識別情報のうち、スレーブ保有メールに存在しないメールのメール識別情報を選択し、選択したメール識別情報を差分リストに記述して差分リストメールでマスタ端末へ通知する差分リストメール通知ステップと、マスタ端末が、スレーブ端末からの差分リストメールの通知に応じて、当該差分リストメール内の差分リストに記述されているメール識別情報と対応するメールをマスタ保有メールのうちから選択し、選択したメールを添付オブジェクトとして添付した差分添付メールを作成して、スレーブ端末へ通知する差分添付メール通知ステップと、スレーブ端末が、マスタ端末からの差分添付メールの通知に応じて、当該差分添付メールに添付されている添付オブジェクトからメールを復元し、スレーブ保有メールとして追加保存する差分添付メール復元ステップとを備えている。
【0011】
また、本発明にかかる他のメール同期方法は、通信ネットワークを介してメールを送受信する機能を有するマスタ端末およびスレーブ端末として利用される通信端末で用いられ、マスタ端末で受信して保有するマスタ保有メールのうち、スレーブ端末で受信して保有するスレーブ保有メールに存在しないメールを、マスタ端末からスレーブ端末へ通知することにより、マスタ保有メールにスレーブ保有メールを同期させるメール同期方法であって、自端末がマスタ端末として動作する際に、マスタ保有メールのうちメール同期の対象となるメールのメール識別情報を記述した対象リストを作成し、この対象リストを含む対象リストメールをスレーブ端末へ通知する対象リストメール通知ステップと、自端末がマスタ端末として動作する際に、スレーブ端末からの差分リストメールの通知に応じて、当該差分リストメール内の差分リストに記述されているメール識別情報と対応するメールをマスタ保有メールのうちから選択し、選択したメールを添付オブジェクトとして添付した差分添付メールを作成して、スレーブ端末へ通知する差分添付メール通知ステップと、自端末がスレーブ端末として動作する際に、マスタ端末からの対象リストメールの通知に応じて、当該対象リストメール内の対象リストに記述されているメール識別情報のうち、スレーブ保有メールに存在しないメールのメール識別情報を選択し、選択したメール識別情報を差分リストに記述して差分リストメールでマスタ端末へ通知する差分リストメール通知ステップと、自端末がスレーブ端末として動作する際に、マスタ端末からの差分添付メールの通知に応じて、当該差分添付メールに添付されている添付オブジェクトからメールを復元し、スレーブ保有メールとして追加保存する差分添付メール復元ステップとを備えている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、マスタ端末とスレーブ端末との間でメール同期処理を行う場合、これら通信端末に備わっている基本的な通信機能であるメール送受信を利用して、メール同期処理に必要な各種リストやメール自体がやり取りされる。したがって、同期ケーブル等により通信端末同士を接続する必要もない。また、通信ネットワークを介して通信端末同士で、直接、データ通信を行うために、特定の通信プロトコルを利用可能なツールを導入したり、通信端末間でメール同期処理の通信タイミングを合わせたりする必要もない。このため、利便性および汎用性に優れた保有メール同期技術を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施形態にかかる通信端末およびメール同期システムの構成を示すブロック図である。
【図2】更新データの構成例である。
【図3】設定データの構成例である。
【図4】対象リスト初回メールの構成例である。
【図5】対象リスト後続メールの構成例である。
【図6】差分リストメールの構成例である。
【図7】差分添付メールの構成例である。
【図8】第1の実施形態にかかるメール同期処理を示すシーケンス図である。
【図9】タイマ処理を示すフローチャートである。
【図10】対象リストメール通知処理を示すフローチャートである。
【図11】処理振り分け処理を示すフローチャートである。
【図12】第1の実施形態にかかる差分リストメール通知処理を示すフローチャートである。
【図13】差分添付メール通知処理を示すフローチャートである。
【図14】差分添付メール復元処理を示すフローチャートである。
【図15】第2の実施形態にかかるメール同期処理を示すシーケンス図である。
【図16】第2の実施形態にかかる差分リストメール通知処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施形態にかかる通信端末およびメール同期システムについて説明する。図1は、第1の実施形態にかかる通信端末およびメール同期システムの構成を示すブロック図である。
【0015】
この通信端末10は、パーソナルコンピュータ、携帯電話端末、PHS(Personal Handyphone System)、PDA(Personal Data Assistance,Personal Digital Assistants:個人向け携帯型情報通信機器)などの通信端末からなり、通信ネットワーク30を介して自己のメールアカウントに対応するメールサーバ20と接続することにより、メールを送受信するメール処理機能と、このメール処理機能を利用して、通信ネットワーク30に接続されている他の通信端末10との間で、互いに保有するメールの同期を行う機能を有している。
【0016】
メール同期システム1は、通信ネットワーク30を介して接続された2つの通信端末10からなる。本発明では、これら通信端末10のうち、メール同期処理のイニシアティブを持つほうをマスタ端末10Mと呼び、他方をスレーブ端末10Sと呼ぶ。すなわち、マスタ端末10Mで受信して保有するマスタ保有メールのうち、スレーブ端末10Sで受信して保有するスレーブ保有メールに存在しないメールを、マスタ端末10Mからスレーブ端末10Sへ通知することにより、マスタ保有メールとスレーブ保有メールとを同期させる。これらマスタ端末10Mとスレーブ端末10Sは、基本的には同一構成を備えていればよいが、メール同期が一定の方向で行われる場合には、それぞれマスタ端末10Mとスレーブ端末10Sとして必要となる機能のみを実装してもよい。
【0017】
本実施形態は、マスタ端末10Mで、マスタ保有メールのうちメール同期の対象となるメールのメール識別情報を記述した対象リストを作成し、この対象リストを含む対象リストメールをスレーブ端末10Sへ通知し、スレーブ端末10Sで、マスタ端末10Mからの対象リストメールの通知に応じて、当該対象リストメール内の対象リストに記述されているメール識別情報のうち、スレーブ保有メールに存在しないメールのメール識別情報を選択し、選択したメール識別情報を差分リストに記述して差分リストメールでマスタ端末10Mへ通知し、マスタ端末10Mで、スレーブ端末10Sからの差分リストメールの通知に応じて、当該差分リストメール内の差分リストに記述されているメール識別情報と対応するメールをマスタ保有メールのうちから選択し、選択したメールを添付オブジェクトとして添付した差分添付メールを作成して、スレーブ端末10Sへ通知し、スレーブ端末10Sで、マスタ端末10Mからの差分添付メールの通知に応じて、当該差分添付メールに添付されている添付オブジェクトからメールを復元し、スレーブ保有メールとして追加保存するようにしたものである。
【0018】
次に、図1を参照して、本実施形態にかかる通信端末10の構成について詳細に説明する。
この通信端末10には、主な機能部として、通信インターフェース部(以下、通信I/F部という)、操作入力部12、画面表示部13、記憶部14、および演算処理部15が設けられている。
【0019】
通信I/F部11は、専用のデータ通信回路からなり、通信ネットワーク30と接続して、メールサーバ20を用いたメール送受信などの各種データ通信を行う機能を有している。
操作入力部12は、キーボードや操作ボタンなどの操作入力装置からなり、利用者の操作を検出して演算処理部15へ出力する機能を有している。
画面表示部13は、LCDなどの画像表示装置からなり、演算処理部15の制御に応じて、メール同期処理用の操作画面や、メールの送信画面や受信画面などの各種情報を画面表示する機能を有している。
【0020】
記憶部14は、ハードディスクな半導体メモリなどの記憶装置からなり、運算処理部15で実行するメール同期処理で用いる各種処理情報やプログラム14Pを記憶する機能を有している。
プログラム14Pは、演算処理部15で実行されることにより、メール同期処理に用いる各種処理部を実現するプログラムであり、外部装置や記録媒体(ともに図示せず)から読み込んで、記憶部14に予め保存されている。
記憶部14で記憶する主な処理情報として、保有メール14A、更新データ14B、および設定データ14Cがある。
【0021】
保有メール14Aは、当該通信端末10で受信して保有するメールである。一般的には、利用者がメールの送信者や内容などに関連付けてフォルダと呼ばれる仮想的な格納場所を作成し、これら格納場所に受信したメールが保管されている。
更新データ14Bは、当該通信端末10におけるメールの送受信、保有メール14Aに関するメールの削除およびフォルダ移動、フォルダの削除および名前変更など、メールに関する各種処理の履歴を示すデータである。図2は、更新データの構成例である。ここでは、実際に実行された処理ごとに、その処理名と処理内容とが組として登録されている。処理内容には当該処理の実行日時が含まれている。
【0022】
設定データ14Cは、当該通信端末10におけるメール同期処理を規定するためのデータである。図3は、設定データの構成例である。ここでは、各種の情報要素ごとに、その設定値が登録されている。情報要素のうち「相手先メールアドレス」は、メール同期処理を行う相手通信端末10のメールアドレス情報である。「パスワード」は、メール同期処理の当事者を認証するための認証情報である。「端末種別」は、メール同期処理において当該通信端末10がマスタ端末10Mとスレーブ端末10Sのいずれで動作するかを示す動作識別情報である。「添付メール最大値」は、差分添付メールで添付可能なデータサイズの最大値を示す制限情報である。「起動時刻」は、当該通信端末10がマスタ端末10Mとして動作する際に、次回、メール同期処理を起動する時刻を示す時刻情報である。
【0023】
演算処理部15は、CPUなどのマイクロプロセッサとその周辺回路を有し、記憶部14のプログラム14Pを読み込んで実行することにより、メール同期処理に用いる各種処理部を実現する機能を有している。
演算処理部15で実現される主な処理部として、メール送信部15A、メール受信部15B、処理振り分け部15C、メール処理部15D、対象リストメール通知部15E、差分リストメール通知部15F、差分添付メール通知部15G、差分添付メール復元部15H、更新データ登録部15I、タイマ処理部15J、および設定登録部15Kがある。
【0024】
メール送信部15Aは、入力されたメールを、通信I/F部11から利用者のメールアカウントに対応するメールサーバ20にアクセスして送信する機能を有している。
メール受信部15Bは、通信I/F部11から利用者のメールアカウントに対応するメールサーバ20にアクセスして、メールサーバ20に届いたメールを受信する機能を有している。
【0025】
処理振り分け部15Cは、メール受信部15Bで受信した受信メールのメールヘッダ部のうち、「Subject」欄にメール同期処理のためのキーワードを含むかチェックする機能と、このチェック結果に基づいて、差分リストメール通知部15F、差分添付メール通知部15G、差分添付メール復元部15Hのいずれかに受信メールを振り分ける機能と、メール同期処理のためのキーワードを含まない場合に、通常のメールとしてメール処理部15Dに受信メールを渡す機能とを有している。
【0026】
メール処理部15Dは、処理振り分け部15Cから受け取った受信メールを記憶部14の保有メール14Aへ保存する機能と、操作入力部12の操作に応じて送信メールを作成してメール送信部15Aへ渡す機能と、操作入力部12の操作に応じて保有メール14Aに保存されているメールの削除およびフォルダ移動、フォルダの削除および名前変更を行う機能とを有している。
【0027】
対象リストメール通知部15Eは、当該通信端末10がマスタ端末10Mとして動作する際に、当該通信端末10で受信して保有する記憶部14の保有メール(マスタ保有メール)14Aのうち、メール同期の対象(候補)となるメールのメール識別情報を記述した対象リストを作成する機能と、この対象リストを含む対象リストメールをメール送信部15Aから送信することにより、スレーブ端末10Sへ通知する機能とを有している。
【0028】
この対象リストメールには、スレーブ端末10Sに対して初めて通知する際に用いる対象リスト初回メールと、対象リスト初回メール通知後に再び通知する際に用いる対象リスト後続メールとの2種類がある。対象リスト初回メールには、記憶部14の保有メール14Aのうちのすべてのメールがメール同期処理の対象として選択され、そのメール識別情報が対象リストとして記述されている。また、対象リスト後続メールには、記憶部14の保有メール14Aのうちメール同期処理の対象として過去に選択されていないメールがメール同期処理の対象として選択され、そのメール識別情報が対象リストとして記述されている。
【0029】
図4は、対象リスト初回メールの構成例である。対象リスト初回メールのメールヘッダ部には、「Subject」欄に、メール同期処理用のメールであることを表す「[MAIL_SYNC]」という文字列と、対象リスト初回メールであることを表す「All List」という文字列とが含まれている。同じく、「From」欄に、対象リスト初回メールの送信元アドレス「xxxxxx@xx.xx.xx」という文字列が含まれており、「Date」欄に、対象リスト初回メールを送信した年月日を表す「yyyymmdd」という文字列が含まれている。
【0030】
また、対象リスト初回メールのメール本文部には、「password」という文字列に続き、記憶部14の設定データ14Cに設定されているパスワードが記述され、その後に「list」コマンドが記述されている。また「list」コマンド以下は、当該通信端末10が保有するすべてのメールのメール識別情報が、フォルダ名、通番、受信年月日、Subject、Fromアドレス、Toアドレスの形式で、対象リストとして記述されている。また、メールの最後には、コマンドの最後であることを表す「end」コマンドが記述されている。
【0031】
図5は、対象リスト後続メールの構成例である。対象リスト後続メールのメールヘッダ部には、「Subject」欄に、メール同期処理用のメールであることを表す「[MAIL_SYNC]」という文字列と、対象リスト後続メールであることを表す「Update List」という文字列とが含まれている。同じく、「From」欄に、対象リスト後続メールの送信元アドレス「xxxxxx@xx.xx.xx」という文字列が含まれており、「Date」欄に、対象リスト後続メールを送信した年月日を表す「yyyymmdd」という文字列が含まれている。
【0032】
また、対象リスト後続メールのメール本文部には、「password」という文字列に続き、記憶部14の設定データ14Cに設定されているパスワードが記述され、その後に「list」コマンドが記述されている。また「list」コマンド以下は、当該通信端末10が保有するすべてのメールのメール識別情報が、フォルダ名、通番、受信年月日、Subject、Fromアドレス、Toアドレスの形式で、対象リストとして記述されている。また、対象リストの後に、メールの移動を表す「move」コマンド、フォルダの名前変更を表す「rename」コマンド、メール削除を表す「delete」コマンドがそれぞれ記述されている。
【0033】
この際、「move」コマンドでは、「移動元フォルダ名->移動先フォルダ名」に続き、メールの一覧が記述される。また「rename」コマンドは「変更前フォルダ名->変更後フォルダ名」の形式で記述される。また「delete」コマンドは「フォルダ名」に続きそのフォルダ内で削除を行ったメールの一覧が記述される。メールの一覧がない場合は、フォルダ自身の削除を表す。そして、メールの最後には、コマンドの最後であることを表す「end」コマンドが記述されている。
【0034】
差分リストメール通知部15Fは、当該通信端末10がスレーブ端末10Sとして動作する際に、マスタ端末10Mからの対象リストメール(対象リスト初回メールまたは対象リスト後続メール)の通知に応じて、当該対象リストメール内の対象リストに記述されているメール識別情報のうち、当該通信端末10で受信して保有する保有メール14A(スレーブ保有メール)に存在するものを削除することにより、保有メール14Aに存在しないメールのメール識別情報からなる差分リストを作成する機能と、この差分リストを含む差分リストメールをメール送信部15Aから送信することにより、マスタ端末10Mへ通知する機能と、受信した対象リストメールが対象リスト後続メールであった場合、メール本文部に記述されているフォルダ操作、メール移動、削除などのコマンド処理を行う機能とを有している。
【0035】
図6は、差分リストメールの構成例である。差分リストメールのメールヘッダ部には、「Subject」欄に、メール同期処理用のメールであることを表す「[MAIL_SYNC]」という文字列と、差分リストメールであることを表す「Get List」という文字列とが含まれている。同じく、「From」欄に、差分リストメールの送信元アドレス「xxxxxx@xx.xx.xx」という文字列が含まれており、「Date」欄に、差分リストメールを送信した年月日を表す「yyyymmdd」という文字列が含まれている。
【0036】
また、差分リストメールのメール本文部には、「password」という文字列に続き、記憶部14の設定データ14Cに設定されているパスワードが記述され、その後に当該通信端末10の保有メール14A(スレーブ保有メール)で保有していないメールのメール識別情報が、フォルダ名、通番、受信年月日、Subject、Fromアドレス、Toアドレスの形式で、差分リストとして記述されている。また、メールの最後には、コマンドの最後であることを表す「end」コマンドが記述されている。
【0037】
差分添付メール通知部15Gは、当該通信端末10がマスタ端末10Mとして動作する際に、スレーブ端末10Sからの差分リストメールの通知に応じて、当該差分リストメール内の差分リストに記述されているメール識別情報と対応するメールを、当該通信端末10の保有メール(マスタ保有メール)14Aのうちから選択する機能と、選択したメールを添付オブジェクトとして添付した差分添付メールを作成してメール送信部15Aから送信することにより、スレーブ端末10Sへ通知する機能と、添付した添付オブジェクトのデータサイズが設定データ14Cのデータサイズ最大値を超える場合には、複数の差分添付メールに分割して添付オブジェクトを通知する機能とを有している。
【0038】
図7は、差分添付メールの構成例である。差分添付メールのメールヘッダ部には、「Subject」欄に、メール同期処理用のメールであることを表す「[MAIL_SYNC]」という文字列と、差分添付メールであることを表す「Put List」という文字列と、差分添付メールの通しメール数と全メール数を示す「nn/nn」が含まれている。同じく、「From」欄に、差分添付メールの送信元アドレス「xxxxxx@xx.xx.xx」という文字列が含まれており、「Date」欄に、差分添付メールを送信した年月日を表す「yyyymmdd」という文字列が含まれている。
【0039】
また、差分添付メールのメール本文部には、差分リストメールの差分リストが記述されており、その後に、差分リストに記述されているメールが、添付オブジェクトとして添付される。添付オブジェクトの形式としては、例えばMIME(Multipurpose Internet Mail Extensions)形式など、一般的なものを用いればよい。
【0040】
差分添付メール復元部15Hは、当該通信端末10がスレーブ端末10Sとして動作する際に、マスタ端末10Mからの差分添付メールの通知に応じて、当該差分添付メールに添付されている添付オブジェクトからメールを復元する機能と、復元したメールを記憶部14の保有メール(スレーブ保有メール)14Aに追加保存する機能とを有している。
【0041】
更新データ登録部15Iは、メール処理部15Dで実行された、記憶部14の保有メール14Aに対する受信メール保存、保有メール14Aに保存されているメールの削除およびフォルダ移動、フォルダの削除および名前変更の各処理に関する履歴を、更新データ14Bへ登録する機能を有している。
【0042】
タイマ処理部15Jは、CPUや時計チップのタイマ機能を利用して計時する機能と、当該通信端末10がマスタ端末10Mとして動作する際に、記憶部14の設定データ14Cの起動時刻の到来に応じて、対象リストメール通知部15Eを起動する機能とを有している。
設定登録部15Kは、操作入力部12で検出した利用者のデータ設定操作に応じて、操作入力された各種設定値を、記憶部14の設定データ14Cに対して登録する機能を有している。
【0043】
[第1の実施形態の動作]
次に、図8を参照して、本実施形態にかかる通信端末およびメール同期システムの動作について説明する。図8は、第1の実施形態にかかるメール同期処理を示すシーケンス図である。
ここでは、本実施形態にかかる通信端末10からなるマスタ端末10Mおよびスレーブ端末10Sのうち、スレーブ端末10Sで保有しているスレーブ保有メールを、マスタ端末10Mで保有しているマスタ保有メールと同期させる場合について説明する。
【0044】
なお、マスタ端末10Mの設定データ14Cには、情報要素「端末種別」に設定値「マスタ」が設定されており、情報要素「相手先メールアドレス」に設定値としてスレーブ端末10Sのメールアドレスが設定されているものとする。また、スレーブ端末10Sの設定データ14Cには、情報要素「端末種別」に設定値「スレーブ」が設定されており、情報要素「相手先メールアドレス」に設定値としてマスタ端末10Mのメールアドレスが設定されているものとする。
【0045】
マスタ端末10Mは、起動時刻の到来に応じてタイマ処理部15Jにより、対象リストメール通知部15Eを起動して、記憶部14の保有メール(マスタ保有メール)14Aの全メールのメール識別情報からなる対象リストを含む対象リストメールを作成し(ステップ100)、通信ネットワーク30を介してスレーブ端末10Sへ通知する(ステップ101)。
【0046】
スレーブ端末10Sは、マスタ端末10Mからの対象リストメールの通知に応じて、差分リストメール通知部15Fにより、当該対象リストメール内の対象リストに記述されているメール識別情報のうち、記憶部14の保有メール(スレーブ保有メール)14Aに存在しないメールのメール識別情報を選択し、選択したメール識別情報からなる差分リストを含む差分リストメールを作成し(ステップ102)、通信ネットワーク30を介してマスタ端末10Mへ通知する(ステップ103)。
【0047】
マスタ端末10Mは、スレーブ端末10Sからの差分リストメールの通知に応じて、差分添付メール通知部15Gにより、当該差分リストメール内の差分リストに記述されているメール識別情報と対応するメールを、記憶部14の保有メール(マスタ保有メール)14Aのうちから選択して、選択したメールを添付オブジェクトとして添付した差分添付メールを作成し(ステップ104)、通信ネットワーク30を介してスレーブ端末10Sへ通知する(ステップ105)。
【0048】
スレーブ端末10Sは、マスタ端末10Mからの差分添付メールの通知に応じて、差分添付メール復元部15Hにより、当該差分添付メールに添付されている添付オブジェクトからメールを復元し、記憶部14の保有メール(スレーブ保有メール)14Aとして追加保存する(ステップ106)。
これにより、スレーブ端末10Sの保有メール(スレーブ保有メール)14Aで保有しているメールには、マスタ端末10Mの保有メール(マスタ保有メール)14Aで保有しているすべてのメールが含まれている状態となり、マスタ−スレーブ方向のメール同期が完了したことになる(ステップ107)。
【0049】
[タイマ処理]
次に、図9を参照して、本実施形態にかかる通信端末におけるタイマ処理動作について詳細に説明する。図9は、タイマ処理を示すフローチャートである。
通信端末10の演算処理部15は、タイマ処理部15Jにより、図9のタイマ処理を常時実行している。
【0050】
タイマ処理部15Jは、まず、記憶部14から設定データ14Cを取得し(ステップ110)、設定データ14Cの情報要素「端末種別」を参照して、自端末がマスタ端末か確認する(ステップ111)。
ここで、自端末がマスタ端末の場合(ステップ111:YES)、タイマ処理部15Jは、設定データ14Cの情報要素「起動時刻」を参照して現在時刻と比較することにより起動時刻の到来を確認する(ステップ112)。
【0051】
この際、起動時刻の到来が確認された場合(ステップ112:YES)、タイマ処理部15Jは、対象リストメール通知部15Eによる対象リストメール通知処理を起動し(ステップ113)、一定時間休止状態とした後(ステップ114)、ステップ110へ戻る。
また、ステップ111において、自端末がマスタ端末でない場合(ステップ111:NO)、およびステップ112において、起動時刻が到来していない場合(ステップ112:NO)、タイマ処理部15Jは、対象リストメール通知処理を起動せずに、ステップ114へ移行する。
【0052】
[対象リストメール通知処理]
次に、図10を参照して、本実施形態にかかる通信端末の対象リストメール通知処理動作について説明する。図10は、対象リストメール通知処理を示すフローチャートである。
通信端末10の演算処理部15は、タイマ処理部15Jからの起動に応じて、対象リストメール通知部15Eにより、図10の対象リストメール通知処理を実行する。
【0053】
対象リストメール通知部15Eは、まず、記憶部14から設定データ14Cを取得し(ステップ120)、記憶部14に保存されている対象リストメールの通知履歴に基づいて、今回の通知起動が初回か否か確認する(ステップ121)。
【0054】
ここで、今回の通知が初回の場合(ステップ121:YES)、対象リストメール通知部15Eは、記憶部14の保有メール14Aから、保存されているすべてのメールについてメール識別情報を取得して対象リストを作成し(ステップ122)、設定データ14Cの情報要素「相手先メールアドレス」の設定値に基づいて、この対象リストを含む対象リスト初回メールをスレーブ端末10Sへ送信する(ステップ123)。
【0055】
一方、今回の通知が2回目以降の場合(ステップ121:NO)、対象リストメール通知部15Eは、記憶部14の更新データ14Bを取得し(ステップ124)、この更新データ14Bに登録されている履歴に基づいて、保有メール14Aに保存されているメールのうち、前回通知以降に保存した各メールのメール識別情報を取得して対象リストを作成する(ステップ125)。
続いて、対象リストメール通知部15Eは、更新データ14Bに登録されている履歴をすべて削除し(ステップ126)、設定データ14Cの情報要素「相手先メールアドレス」の設定値に基づいて、この対象リストを含む対象リスト後続メールをスレーブ端末10Sへ送信する(ステップ127)。
【0056】
この際、ステップ121では、記憶部14に保存されている対象リストメールの通知履歴に基づいて、今回の通知が初回か2回目以降かを判定する場合を例として説明したが、これに限定されるものではない。例えば、更新データ14Bは、対象リストメールを通知した後、その履歴がすべて削除されることから、ステップ121において、更新データ14Bに履歴が登録されているか否かに応じて、今回の通知が初回か2回目以降かを判定するようにしてもよい。
【0057】
[処理振り分け処理]
次に、図11を参照して、本実施形態にかかる通信端末における処理振り分け動作について詳細に説明する。図11は、処理振り分け処理を示すフローチャートである。
通信端末10の演算処理部15は、メール受信部15Bでメールを受信した場合、処理振り分け部15Cにより、図11の処理振り分け処理を実行する。
【0058】
処理振り分け部15Cは、まず、メール受信部15Bから受け取った受信メールのうち、メールヘッダ部の「Subject」欄に、メール同期処理用のメールであることを表す「[MAIL_SYNC]」という識別文字列が含まれているか確認し(ステップ130)、当該識別文字列が含まれていない場合(ステップ130:NO)、処理振り分け部15Cは、メール同期処理用のメールではなく通常のメールであると判定し、当該受信メールをメール処理部15Dへ渡す(ステップ131)。
【0059】
一方、ステップ130において、上記識別文字列が含まれている場合(ステップ130:YES)、処理振り分け部15Cは、「Subject」欄に、対象リストメールであることを表す「All List」または「Update List」という識別文字列が含まれているか確認する(ステップ132)。ここで、当該識別文字列が含まれている場合(ステップ132:YES)、受信メールを差分リストメール通知部15Fへ渡して、差分リスト作成処理を起動する(ステップ133)。
【0060】
また、ステップ132において、上記識別文字列が含まれていない場合(ステップ132:NO)、処理振り分け部15Cは、「Subject」欄に、差分リストメールであることを表す「Get List」という識別文字列が含まれているか確認する(ステップ134)。ここで、当該識別文字列が含まれている場合(ステップ134:YES)、受信メールを差分添付メール通知部15Gへ渡して、差分添付メール通知処理を起動する(ステップ135)。
【0061】
また、ステップ134において、上記識別文字列が含まれていない場合(ステップ134:NO)、処理振り分け部15Cは、「Subject」欄に、差分添付メールであることを表す「Put Mail」という識別文字列が含まれているか確認する(ステップ136)。ここで、当該識別文字列が含まれている場合(ステップ136:YES)、受信メールを差分添付メール通知部15Gへ渡して、差分添付メール通知処理を起動する(ステップ137)。
一方、ステップ136において、上記識別文字列が含まれていない場合(ステップ136:NO)、一連の処理振り分け処理を終了する。
【0062】
[差分リストメール通知処理]
次に、図12を参照して、本実施形態にかかる通信端末の差分リストメール通知処理動作について説明する。図12は、第1の実施形態にかかる差分リストメール通知処理を示すフローチャートである。
通信端末10の演算処理部15は、処理振り分け部15Cからの起動に応じて、差分リストメール通知部15Fにより、図12の差分リストメール通知処理を実行する。
【0063】
差分リストメール通知部15Fは、まず、記憶部14から設定データ14Cを取得し(ステップ140)、設定データ14Cの情報要素「相手先メールアドレス」と「パスワード」を参照して、処理振り分け部15Cから受け取った受信メールのメールヘッダ部に記載されているfromアドレス(発信者アドレス)と受信メールのメール本文部に記載されているパスワードとの正当性を確認する(ステップ141)。ここで、受信メールのfromアドレスまたはパスワードのいずれかが設定データ14Cの内容と一致せず、正当性が確認できない場合(ステップ141:NO)、差分リストメール通知部15Fは、受信メールを廃棄して(ステップ142)、一連の差分リストメール通知処理を終了する。
【0064】
一方、ステップ141において、受信メールのfromアドレスおよびパスワードの正当性が確認できた場合(ステップ141:YES)、差分リストメール通知部15Fは、記憶部14の保有メール14Aを検索して、受信メールのメール本文部のうち、コマンド「List」以降の対象リストに記述されているメール識別情報と対応するメールを保有しているか確認する(ステップ143)。ここで、メール識別情報と対応するメールを1つ以上保有している場合(ステップ143:YES)、差分リストメール通知部15Fは、受信メールの対象リストのうちから該当メールに関するメール識別情報を削除する(ステップ144)。
【0065】
また、ステップ143において、メール識別情報と対応するメールを保有していない場合(ステップ143:NO)、またはステップ144の後、差分リストメール通知部15Fは、記憶部14の保有メール14Aを検索して、受信メールのメール本文部のうち、コマンド「List」以降の対象リストに記述されている指定フォルダと対応するフォルダが存在しているか確認する(ステップ145)。ここで、指定フォルダと対応するフォルダが存在していない場合(ステップ145:NO)、差分リストメール通知部15Fは、指定フォルダと同じ名前のフォルダを保有メール14A内に作成する(ステップ146)。
【0066】
また、ステップ145において、指定フォルダと対応するフォルダがすべて存在する場合(ステップ145:YES)、またはステップ146の後、差分リストメール通知部15Fは、受信メールのメール本文部に、コマンド「move」が記述されているか確認する(ステップ147)。ここで、コマンド「move」が記述されている場合(ステップ147:YES)、差分リストメール通知部15Fは、記憶部14の保有メール14Aのうちコマンド「move」で指定された該当メールを指定フォルダへ移動させ、受信メールのメール本文部から該当コマンドに関するメール識別情報を削除する(ステップ148)。
【0067】
また、ステップ147において、コマンド「move」が記述されていない場合(ステップ147:NO)、またはステップ148の後、差分リストメール通知部15Fは、受信メールのメール本文部に、コマンド「rename」が記述されているか確認する(ステップ149)。ここで、コマンド「rename」が記述されている場合(ステップ149:YES)、差分リストメール通知部15Fは、記憶部14の保有メール14Aのうちコマンド「rename」で指定された該当フォルダの名前を変更し、受信メールのメール本文部から該当コマンドに関するメール識別情報を削除する(ステップ150)。
【0068】
また、ステップ149において、コマンド「rename」が記述されていない場合(ステップ149:NO)、またはステップ150の後、差分リストメール通知部15Fは、受信メールのメール本文部に、コマンド「delete」が記述されているか確認する(ステップ151)。ここで、コマンド「delete」が記述されている場合(ステップ151:YES)、差分リストメール通知部15Fは、記憶部14の保有メール14Aのうちコマンド「delete」で指定された該当メールまたはフォルダを削除し、受信メールのメール本文部から該当コマンドに関するメール識別情報を削除する(ステップ152)。
【0069】
また、ステップ151において、コマンド「delete」が記述されていない場合(ステップ151:NO)、またはステップ152の後、差分リストメール通知部15Fは、受信メールのメール本文部の「Subject」欄のうち、対象リストメールであることを表す「All List」または「Update List」を、差分リストメールであることを示す「Get List」に変更するとともに、fromアドレスを自スレーブ端末10Sのメールアドレスに変更することにより、受信メールを利用して差分リストメールを作成し(ステップ153)、作成した差分リストメールをメール送信部15Aからマスタ端末10Mへ通知し(ステップ154)、一連の差分リストメール通知処理を終了する。
【0070】
[差分添付メール通知処理]
次に、図13を参照して、本実施形態にかかる通信端末の差分添付メール通知処理動作について説明する。図13は、差分添付メール通知処理を示すフローチャートである。
通信端末10の演算処理部15は、処理振り分け部15Cからの起動に応じて、差分添付メール通知部15Gにより、図13の差分添付メール通知処理を実行する。
【0071】
差分添付メール通知部15Gは、まず、記憶部14から設定データ14Cを取得し(ステップ160)、設定データ14Cの情報要素「相手先メールアドレス」と「パスワード」を参照して、処理振り分け部15Cから受け取った受信メールのメールヘッダ部に記載されているfromアドレス(発信者アドレス)と受信メールのメール本文部に記載されているパスワードとの正当性を確認する(ステップ161)。ここで、受信メールのfromアドレスまたはパスワードのいずれかが設定データ14Cの内容と一致せず、正当性が確認できない場合(ステップ161:NO)、差分添付メール通知部15Gは、受信メールを廃棄して(ステップ162)、一連の差分添付メール通知処理を終了する。
【0072】
一方、ステップ161において、受信メールのfromアドレスおよびパスワードの正当性が確認できた場合(ステップ161:YES)、差分添付メール通知部15Gは、受信メールのメール本文部のうち、コマンド「List」以降の差分リストに記述されているメール識別情報のうち未処理のメール識別情報を1つ選択し、この識別情報と対応するメールを記憶部14の保有メール14Aから取得して、受信メールに添付オブジェクトとして添付する(ステップ163)。
【0073】
次に、差分添付メール通知部15Gは、ステップ163で差分リストから選択したメール識別情報の次行にコマンド「end」が記載されているか確認し(ステップ164)、コマンド「end」が記載されていない場合(ステップ164:NO)、差分添付メール通知部15Gは、添付した添付オブジェクトのデータサイズが、設定データ14Cの情報要素「データサイズ最大値」の設定値を上回っているか確認する(ステップ165)。
【0074】
ここで、添付オブジェクトのデータサイズが、設定値を上回っている場合(ステップ165:YES)、差分添付メール通知部15Gは、受信メールのメール本文部の「Subject」欄のうち、差分リストメールであることを表す「Get List」を、差分添付メールであることを示す「Put Mail」に変更するとともに、fromアドレスを自マスタ端末10Mのメールアドレスに変更することにより、受信メールを利用して差分添付メールを作成して、作成した差分添付メールをメール送信部15Aからスレーブ端末10Sへ通知する(ステップ166)。
【0075】
ステップ166の後、またはステップ165で、添付オブジェクトのデータサイズが、設定値を上回っていない場合(ステップ165:NO)、差分添付メール通知部15Gは、処理振り分け部15Cから受け取った元の受信メールのうち、メール本文部の差分リストから、ステップ166で送信した添付オブジェクトのメールに関するメール識別情報を削除し(ステップ167)、ステップ163へ戻る。
【0076】
また、ステップ164において、差分リストの後にコマンド「end」が記載されている場合(ステップ164:YES)、差分添付メール通知部15Gは、受信メールのメール本文部の「Subject」欄のうち、差分リストメールであることを表す「Get List」を、差分添付メールであることを示す「Put Mail」に変更するとともに、fromアドレスを自マスタ端末10Mのメールアドレスに変更することにより、受信メールを利用して差分添付メールを作成して、作成した差分添付メールをメール送信部15Aからスレーブ端末10Sへ通知し(ステップ168)、一連の差分添付メール通知処理を終了する。
【0077】
[差分添付メール復元処理]
次に、図14を参照して、本実施形態にかかる通信端末の差分添付メール復元処理動作について説明する。図14は、差分添付メール復元処理を示すフローチャートである。
通信端末10の演算処理部15は、処理振り分け部15Cからの起動に応じて、差分添付メール復元部15Hにより、図14の差分添付メール復元処理を実行する。
【0078】
差分添付メール復元部15Hは、まず、記憶部14から設定データ14Cを取得し(ステップ170)、設定データ14Cの情報要素「相手先メールアドレス」と「パスワード」を参照して、処理振り分け部15Cから受け取った受信メールのメールヘッダ部に記載されているfromアドレス(発信者アドレス)と受信メールのメール本文部に記載されているパスワードとの正当性を確認する(ステップ171)。ここで、受信メールのfromアドレスまたはパスワードのいずれかが設定データ14Cの内容と一致せず、正当性が確認できない場合(ステップ171:NO)、差分添付メール復元部15Hは、受信メールを廃棄して(ステップ172)、一連の差分添付メール復元処理を終了する。
【0079】
一方、ステップ161において、受信メールのfromアドレスおよびパスワードの正当性が確認できた場合(ステップ171:YES)、差分添付メール復元部15Hは、受信メールのメール本文部のうち、コマンド「List」以降の差分リストに記述されているメール識別情報のうち未処理のメール識別情報を1つ選択し、受信メールに添付されている添付オブジェクトのうち、この識別情報と対応するメールの添付オブジェクトからメールを復元し(ステップ173)、復元により得られたメールを記憶部14の保有メール14Aのうち該当するフォルダへ追加保存する(ステップ174)。
【0080】
次に、差分添付メール復元部15Hは、ステップ173で差分リストから選択したメール識別情報の次行にコマンド「end」が記載されているか確認し(ステップ175)、コマンド「end」が記載されていない場合(ステップ175:NO)、差分添付メール復元部15Hは、ステップ175へ戻る。
一方、コマンド「end」が記載されている場合(ステップ175:YES)、差分添付メール復元部15Hは、一連の差分添付メール復元処理を終了する。
【0081】
[第1の実施形態の効果]
このように、本実施形態は、マスタ端末10Mで、当該自端末で受信して保有するマスタ保有メールのうち、メール同期の対象となるメールのメール識別情報を記述した対象リストを作成し、この対象リストを含む対象リストメールをスレーブ端末10Sへ通知し、スレーブ端末10Sで、マスタ端末10Mからの対象リストメールの通知に応じて、当該対象リストメール内の対象リストに記述されているメール識別情報のうち、当該自端末で受信して保有するスレーブ保有メールに存在しないメール識別情報を選択し、選択したメール識別情報を差分リストに記述して差分リストメールでマスタ端末10Mへ通知し、マスタ端末10Mで、スレーブ端末10Sからの差分リストメールの通知に応じて、当該差分リストメール内の差分リストに記述されているメール識別情報と対応するメールをマスタ保有メールのうちから選択し、選択したメールを添付オブジェクトとして添付した差分添付メールを作成して、スレーブ端末10Sへ通知し、スレーブ端末10Sで、マスタ端末10Mからの差分添付メールの通知に応じて、当該差分添付メールに添付されている添付オブジェクトからメールを復元し、スレーブ保有メールとして保存するようにしたものである。
【0082】
これにより、マスタ端末とスレーブ端末との間でメール同期処理を行う場合、通信端末に備わっている基本的な通信機能であるメール送受信を利用して、メール同期処理に必要な各種リストやメール自体がやり取りされる。したがって、同期ケーブル等により通信端末同士を接続する必要もない。また、通信ネットワークを介して通信端末同士で、直接、データ通信を行うために、特定の通信プロトコルを利用可能なツールを導入したり、通信端末間でメール同期処理の通信タイミングを合わせたりする必要もない。このため、利便性および汎用性に優れた保有メール同期技術を実現することができる。
【0083】
また、本実施形態では、マスタ端末10Mにおいて、更新データ登録部15Iで、少なくともマスタ保有メールへのメール保存に応じて、当該保存処理の履歴を更新データとして登録し、対象リストメール通知部15Eで、スレーブ端末10Sに対してメール同期処理開始後に対象リストメールを初めて通知する際、マスタ保有メール内のすべてのメールをメール同期の対象とした対象リストを作成して対象リストメールで通知し、対象リストメール通知後に新たな対象リストメールを通知する際、更新データを参照して、マスタ保有メールのうちから直前に通知した対象リストメール以降にマスタ保有メールへ保存されたメールをメール同期の対象とした対象リストを作成して対象リストメールで通知するようにしたので、メール同期済みのメールに関する重複同期処理を回避することができ、対象リストメールのデータサイズさらにはスレーブ端末10Sでの差分リストメール通知時の処理負担を削減できる。
【0084】
また、本実施形態では、マスタ−スレーブ方向のメール同期処理を例として説明したが、マスタ端末10Mとスレーブ端末10Sの双方に同一構成を設けて、マスタ−スレーブ方向のメール同期処理が終了した後、マスタ端末10Mとスレーブ端末10Sの設定を入れ替えて、マスタ−スレーブ方向のメール同期処理を実行するようにしてもよい。これにより、設定入れ替え前のマスタ端末10Mとスレーブ端末10Sについて、スレーブ−マスタ方向のメール同期処理を実行したことになり、マスタ端末とスレーブ端末との保有メールを完全に同期させることが可能となる。
【0085】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態にかかる通信端末について説明する。
第1の実施形態では、2つの通信端末10のうち、スレーブ端末10Sで保有するスレーブ保有メールを、マスタ端末10Mで保有するマスタ保有メールと同期させる、マスタ−スレーブ方向のメール同期処理を例として説明した。
本実施形態では、マスタ−スレーブ方向のメール同期処理が開始された時点で、スレーブ−マスタ方向のメール同期処理を並列して開始する場合を例として説明する。
【0086】
本実施形態にかかる通信端末10の差分リストメール通知部15Fは、当該通信端末10がスレーブ端末10Sとして動作する際に、マスタ端末10Mからの対象リストメール(対象リスト初回メールまたは対象リスト後続メール)の通知に応じて、当該受信メールを対象リストメール通知部15Eでの対象リストメール通知処理を起動する機能を有している。本実施形態にかかる通信端末10の他の構成については、第1の実施形態と同様であり、ここでの詳細な説明を省略する。
【0087】
[第2の実施形態の動作]
次に、図15を参照して、本実施形態にかかる通信端末およびメール同期システムの動作について説明する。図15は、第2の実施形態にかかるメール同期処理を示すシーケンス図であり、前述した図8と同じまたは同等部分には同一符号を付してある。
ここでは、本実施形態にかかる通信端末10からなるマスタ端末10Mおよびスレーブ端末10Sのうち、マスタ−スレーブ方向のメール同期処理の際に、これと並行して、スレーブ−マスタ方向のメール同期処理を実行する場合について説明する。
【0088】
なお、マスタ端末10Mの設定データ14Cには、情報要素「端末種別」に設定値「マスタ」が設定されており、情報要素「相手先メールアドレス」に設定値としてスレーブ端末10Sのメールアドレスが設定されているものとする。また、スレーブ端末10Sの設定データ14Cには、情報要素「端末種別」に設定値「スレーブ」が設定されており、情報要素「相手先メールアドレス」に設定値としてマスタ端末10Mのメールアドレスが設定されているものとする。
【0089】
マスタ端末10Mは、起動時刻の到来に応じてタイマ処理部15Jにより、対象リストメール通知部15Eを起動して、記憶部14の保有メール(マスタ保有メール)14Aの全メールのメール識別情報からなる対象リストを含む対象リストメールを作成し(ステップ100)、通信ネットワーク30を介してスレーブ端末10Sへ通知する(ステップ101)。
【0090】
スレーブ端末10Sは、マスタ端末10Mからの対象リストメールの通知に応じて、差分リストメール通知部15Fにより、当該対象リストメール内の対象リストに記述されているメール識別情報のうち、記憶部14の保有メール(スレーブ保有メール)14Aに存在しないメール識別情報を選択し、選択したメール識別情報からなる差分リストを含む差分リストメールを作成し(ステップ102)、通信ネットワーク30を介してマスタ端末10Mへ通知する(ステップ103)。
【0091】
この際、スレーブ端末10Sは、上記差分リストメールを通知処理と並行して、記憶部14の保有メールに関する対象リストメールを作成し(ステップ200)、対象リストメールを通知する(ステップ201)。
【0092】
マスタ端末10Mは、スレーブ端末10Sからの差分リストメールの通知に応じて、差分添付メール通知部15Gにより、当該差分リストメール内の差分リストに記述されているメール識別情報と対応するメールを、記憶部14の保有メール(マスタ保有メール)14Aのうちから選択して、選択したメールを添付オブジェクトとして添付した差分添付メールを作成し(ステップ104)、通信ネットワーク30を介してスレーブ端末10Sへ通知する(ステップ105)。
【0093】
また、マスタ端末10Mは、スレーブ端末10Sからの対象リストメールの通知に応じて、差分リストメール通知部15Fにより、当該対象リストメール内の対象リストに記述されているメール識別情報に基づき、記憶部14の保有メール(マスタ保有メール)14Aに存在しないメール識別情報を選択し、選択したメール識別情報からなる差分リストを含む差分リストメールを作成し(ステップ202)、通信ネットワーク30を介してスレーブ端末10Sへ通知する(ステップ203)。
【0094】
スレーブ端末10Sは、マスタ端末10Mからの差分添付メールの通知に応じて、差分添付メール復元部15Hにより、当該差分添付メールに添付されている添付オブジェクトからメールを復元し、記憶部14の保有メール(スレーブ保有メール)14Aとして保存する(ステップ106)。
これにより、スレーブ端末10Sの保有メール(マスタ保有メール)14Aで保有しているメールには、マスタ端末10Mの保有メール(マスタ保有メール)14Aで保有しているすべてのメールが含まれている状態となり、マスタ−スレーブ方向のメール同期が完了したことになる(ステップ107)。
【0095】
また、スレーブ端末10Sは、マスタ端末10Mからの差分リストメールの通知に応じて、差分添付メール通知部15Gにより、当該差分リストメール内の差分リストに記述されているメール識別情報と対応するメールを、記憶部14の保有メール(スレーブ保有メール)14Aのうちから選択して、選択したメールを添付オブジェクトとして添付した差分添付メールを作成し(ステップ204)、通信ネットワーク30を介してマスタ端末10Mへ通知する(ステップ205)。
【0096】
この後、マスタ端末10Mは、スレーブ端末10Sからの差分添付メールの通知に応じて、差分添付メール復元部15Hにより、当該差分添付メールに添付されている添付オブジェクトからメールを復元し、記憶部14の保有メール(マスタ保有メール)14Aとして保存する(ステップ206)。
これにより、マスタ端末10Mの保有メール(マスタ保有メール)14Aで保有しているメールには、スレーブ端末10Sの保有メール(スレーブ保有メール)14Aで保有しているすべてのメールが含まれている状態となり、マスタ−スレーブ方向のメール同期が完了したことになる(ステップ207)。
【0097】
[差分リストメール通知処理]
次に、図16を参照して、本実施形態にかかる通信端末の差分リストメール通知処理動作について説明する。図16は、第2の実施形態にかかる差分リストメール通知処理を示すフローチャートであり、前述した図12と同じまたは同等部分には同一符号を付してある。
通信端末10の演算処理部15は、処理振り分け部15Cからの起動に応じて、差分リストメール通知部15Fにより、図16の差分リストメール通知処理を実行する。
【0098】
差分リストメール通知部15Fは、まず、記憶部14から設定データ14Cを取得し(ステップ140)、設定データ14Cの情報要素「相手先メールアドレス」と「パスワード」を参照して、処理振り分け部15Cから受け取った受信メールのメールヘッダ部に記載されているfromアドレス(発信者アドレス)と受信メールのメール本文部に記載されているパスワードとの正当性を確認する(ステップ141)。ここで、受信メールのfromアドレスまたはパスワードのいずれかが設定データ14Cの内容と一致せず、正当性が確認できない場合(ステップ141:NO)、差分リストメール通知部15Fは、受信メールを廃棄して(ステップ142)、一連の差分リストメール通知処理を終了する。
【0099】
一方、ステップ141において、受信メールのfromアドレスおよびパスワードの正当性が確認できた場合(ステップ141:YES)、差分リストメール通知部15Fは、設定データ14Cの情報要素「端末種別」を参照して、自端末がマスタ端末か確認する(ステップ210)。
ここで、自端末がスレーブ端末の場合(ステップ210:YES)、差分リストメール通知部15Fは、対象リストメール通知部15Eでの対象リストメール通知処理を起動する(ステップ211)。
【0100】
この後、差分リストメール通知部15Fは、ステップ210において、自端末がスレーブ端末でない場合(ステップ210:NO)、またはステップ211の後、ステップ143へ移行する。これ以降における差分リストメール通知処理は、前述の図12と同様であり、ここでの説明は省略する。
【0101】
これにより、スレーブ端末10Sでは、対象リストメール通知部15Eにより、メール同期処理の進捗に応じて、対象リスト初回メールまたは対象リスト後続メールが作成されてマスタ端末10Mへ通知される。これ以降、前述したマスタ−スレーブ方向のメール同期処理のうち、マスタ端末10Mとスレーブ端末10Sとが入れ替わった状態で、スレーブ−マスタ方向のメール同期処理が並列実行される。
【0102】
[第2の実施形態の効果]
このように、本実施形態では、スレーブ端末の差分リストメール通知部15Fにより、マスタ端末からの対象リストメールの通知に応じて、対象リストメール通知部15Eでの対象リストメール通知処理を起動するようにしたので、マスタ−スレーブ方向のメール同期処理が開始された時点で、スレーブ−マスタ方向のメール同期処理が並列して開始される。
これにより、マスタ−スレーブ方向のメール同期処理とスレーブ−マスタ方向のメール同期処理とを別個に実行する場合と比較して、短い期間でマスタ端末とスレーブ端末との保有メールを完全に同期させることが可能となる。
【0103】
また、本実施形態において、図15のステップ200で、スレーブ端末10Sの対象リストメール通知部15Eにより、対象リストメールを作成する処理は、前述した図8のステップ100と同様の処理、すなわち図10で説明した対象リストメール通知処理と同様である。すなわち、スレーブ端末10Sの対象リストメール通知部15Eは、マスタ端末10Mとの間で初めてメール同期処理を行う際には対象リスト初回メールを作成し、その後のメール同期処理を行う際には対象リスト後続メールを作成する。
【0104】
この場合、スレーブ端末10Sの対象リストメール通知部15Eで対象リストメールを作成する際、マスタ端末10Mから対象リストメールが届いていることから、この対象リストメールが対象リスト初回メールの場合、マスタ端末10Mで保有するマスタ保有メールのすべてのメールをスレーブ端末10Sで把握していることになる。このため、この対象リスト初回メールの対象リストのメール識別情報と、自端末のスレーブ保有メールのメール識別情報とを比較することにより、スレーブ保有メールに存在しているメールのうち、マスタ保有メールにないメールを抽出できる。
【0105】
したがって、スレーブ端末10Sにおいて、差分リストメール通知部15Fからの起動に応じて、対象リストメール通知部15Eで、スレーブ保有メール14Aのうちから、対象リスト初回メール内の対象リストに記述されているメール識別情報と対応しないメールを選択し、選択したメールのメール識別情報を対象リストに記述して対象リスト初回メールでマスタ端末10Mへ通知するようにしてもよい。
これにより、スレーブ−マスタ方向のメール同期処理において、対象リスト初回メールのデータサイズを大幅に削減できるとともに、マスタ端末10Mにおける差分リストメール作成時の処理負担を軽減できる。
【0106】
[実施形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0107】
パーソナルコンピュータ、携帯電話端末、PHS、PDA等の通信端末など、通信ネットワークを介して電子メールの送受信が可能な端末装置において、好適である。
【符号の説明】
【0108】
1…メール同期システム、10…通信端末、10M…マスタ端末、10S…スレーブ端末、11…通信I/F部、12…操作入力部、13…画面表示部、14…記憶部、14A…保有メール、14B…更新データ、14C…設定データ、14P…プログラム、15…演算処理部、15A…メール送信部、15B…メール受信部、15C…処理振り分け部、15D…メール処理部、15E…対象リストメール通知部、15F…差分リストメール通知部、15G…差分添付メール通知部、15H…差分添付メール復元部、15I…更新データ登録部、15J…タイマ処理部、15K…設定登録部、20…メールサーバ、30…通信ネットワーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークを介したメールの送受信機能を持つ通信端末からなるマスタ端末およびスレーブ端末を含み、前記マスタ端末で受信して保有するマスタ保有メールのうち、前記スレーブ端末で受信して保有するスレーブ保有メールに存在しないメールを、前記マスタ端末から前記スレーブ端末へ通知することにより、前記マスタ保有メールに前記スレーブ保有メールを同期させるメール同期システムであって、
前記マスタ端末は、
前記マスタ保有メールのうちメール同期の対象となるメールのメール識別情報を記述した対象リストを作成し、この対象リストを含む対象リストメールを前記スレーブ端末へ通知する対象リストメール通知部と、
前記スレーブ端末からの差分リストメールの通知に応じて、当該差分リストメール内の差分リストに記述されているメール識別情報と対応するメールを前記マスタ保有メールのうちから選択し、選択したメールを添付オブジェクトとして添付した差分添付メールを作成して、前記スレーブ端末へ通知する差分添付メール通知部と
を備え、
前記スレーブ端末は、
前記マスタ端末からの前記対象リストメールの通知に応じて、当該対象リストメール内の前記対象リストに記述されているメール識別情報のうち、前記スレーブ保有メールに存在しないメールのメール識別情報を選択し、選択したメール識別情報を前記差分リストに記述して前記差分リストメールで前記マスタ端末へ通知する差分リストメール通知部と、
前記マスタ端末からの差分添付メールの通知に応じて、当該差分添付メールに添付されている添付オブジェクトからメールを復元し、前記スレーブ保有メールとして追加保存する差分添付メール復元部と
を備える
ことを特徴とするメール同期システム。
【請求項2】
請求項1に記載のメール同期システムにおいて、
前記マスタ端末は、少なくとも前記マスタ保有メールへのメール保存に応じて、当該保存処理の履歴を更新データとして登録する更新データ登録部をさらに備え、
前記マスタ端末の前記対象リストメール通知部は、前記スレーブ端末に対してメール同期処理開始後に前記対象リストメールを初めて通知する際、前記マスタ保有メール内のすべてのメールをメール同期の対象とした対象リストを作成して前記対象リストメールで通知し、前記対象リストメール通知後に新たな対象リストメールを通知する際、前記更新データを参照して、前記マスタ保有メールのうちから直前に通知した前記対象リストメール以降に前記マスタ保有メールへ保存されたメールをメール同期の対象とした対象リストを作成して前記対象リストメールで通知する
ことを特徴とするメール同期システム。
【請求項3】
請求項1に記載のメール同期システムにおいて、
前記スレーブ端末は、
前記スレーブ保有メールのうちメール同期の対象となるメールのメール識別情報を記述した対象リストを作成し、この対象リストを含む対象リストメールを前記マスタ端末へ通知する対象リストメール通知部と、
前記マスタ端末からの差分リストメールの通知に応じて、当該差分リストメール内の差分リストに記述されているメール識別情報と対応するメールを前記スレーブ保有メールのうちから選択し、選択したメールを添付オブジェクトとして添付した差分添付メールを作成して、前記マスタ端末へ通知する差分添付メール通知部と
をさらに備え、
前記マスタ端末は、
前記スレーブ端末からの前記対象リストメールの通知に応じて、当該対象リストメール内の前記対象リストに記述されているメール識別情報のうち、前記マスタ保有メールに存在しないメールのメール識別情報を選択し、選択したメール識別情報を前記差分リストに記述して前記差分リストメールで前記スレーブ端末へ通知する差分リストメール通知部と、
前記スレーブ端末からの差分添付メールの通知に応じて、当該差分添付メールに添付されている添付オブジェクトからメールを復元し、前記マスタ保有メールとして追加保存する差分添付メール復元部と
をさらに備える
ことを特徴とするメール同期システム。
【請求項4】
請求項3に記載のメール同期システムにおいて、
前記スレーブ端末の差分リストメール通知部は、前記マスタ端末からの前記対象リストメールの通知に応じて、当該自端末の前記対象リストメール通知部を起動することを特徴とするメール同期システム。
【請求項5】
通信ネットワークを介してメールを送受信する機能を有するマスタ端末およびスレーブ端末を含み、前記マスタ端末で受信して保有するマスタ保有メールのうち、前記スレーブ端末で受信して保有するスレーブ保有メールに存在しないメールを、前記マスタ端末から前記スレーブ端末へ通知することにより、前記マスタ保有メールに前記スレーブ保有メールを同期させるメール同期システムで、前記マスタ端末および前記スレーブ端末として利用される通信端末であって、
自端末が前記マスタ端末として動作する際に、前記マスタ保有メールのうちメール同期の対象となるメールのメール識別情報を記述した対象リストを作成し、この対象リストを含む対象リストメールを前記スレーブ端末へ通知する対象リストメール通知部と、
自端末が前記マスタ端末として動作する際に、前記スレーブ端末からの差分リストメールの通知に応じて、当該差分リストメール内の差分リストに記述されているメール識別情報と対応するメールを前記マスタ保有メールのうちから選択し、選択したメールを添付オブジェクトとして添付した差分添付メールを作成して、前記スレーブ端末へ通知する差分添付メール通知部と、
自端末が前記スレーブ端末として動作する際に、前記マスタ端末からの前記対象リストメールの通知に応じて、当該対象リストメール内の前記対象リストに記述されているメール識別情報のうち、前記スレーブ保有メールに存在しないメールのメール識別情報を選択し、選択したメール識別情報を前記差分リストに記述して前記差分リストメールで前記マスタ端末へ通知する差分リストメール通知部と、
自端末が前記スレーブ端末として動作する際に、前記マスタ端末からの差分添付メールの通知に応じて、当該差分添付メールに添付されている添付オブジェクトからメールを復元し、前記スレーブ保有メールとして追加保存する差分添付メール復元部と
を備えることを特徴とする通信端末。
【請求項6】
請求項5に記載の通信端末において、
自端末が前記マスタ端末として動作する際に、少なくとも前記マスタ保有メールへのメール保存に応じて、当該保存処理の履歴を更新データとして登録する更新データ登録部をさらに備え、
前記対象リストメール通知部は、前記スレーブ端末に対してメール同期処理開始後に前記対象リストメールを初めて通知する際、前記マスタ保有メール内のすべてのメールをメール同期の対象とした対象リストを作成して前記対象リストメールで通知し、前記対象リストメール通知後に新たな対象リストメールを通知する際、前記更新データを参照して、前記マスタ保有メールのうちから直前に通知した前記対象リストメール以降に前記マスタ保有メールへ保存されたメールをメール同期の対象とした対象リストを作成して前記対象リストメールで通知する
ことを特徴とする通信端末。
【請求項7】
請求項5に記載の通信端末において、
前記対象リストメール通知部は、自端末が前記スレーブ端末として動作する際に、前記スレーブ保有メールのうちメール同期の対象となるメールのメール識別情報を記述した対象リストを作成し、この対象リストを含む対象リストメールを前記マスタ端末へ通知し、
前記差分添付メール通知部は、自端末が前記スレーブ端末として動作する際に、前記マスタ端末からの差分リストメールの通知に応じて、当該差分リストメール内の差分リストに記述されているメール識別情報と対応するメールを前記スレーブ保有メールのうちから選択し、選択したメールを添付オブジェクトとして添付した差分添付メールを作成して、前記マスタ端末へ通知し、
前記差分リストメール通知部は、自端末が前記マスタ端末として動作する際に、前記スレーブ端末からの前記対象リストメールの通知に応じて、当該対象リストメール内の前記対象リストに記述されているメール識別情報のうち、前記マスタ保有メールに存在しないメールのメール識別情報を選択し、選択したメール識別情報を前記差分リストに記述して前記差分リストメールで前記スレーブ端末へ通知し、
前記差分添付メール復元部は、自端末が前記マスタ端末として動作する際に、前記スレーブ端末からの差分添付メールの通知に応じて、当該差分添付メールに添付されている添付オブジェクトからメールを復元し、前記マスタ保有メールとして追加保存する
ことを特徴とする通信端末。
【請求項8】
請求項7に記載の通信端末において、
前記差分リストメール通知部は、自端末が前記スレーブ端末として動作する際に、前記マスタ端末からの前記対象リストメールの通知に応じて、当該自端末の前記対象リストメール通知部を起動することを特徴とする通信端末。
【請求項9】
通信ネットワークを介したメールの送受信機能を持つ通信端末からなるマスタ端末およびスレーブ端末を含むメール同期システムで用いられ、前記マスタ端末で受信して保有するマスタ保有メールのうち、前記スレーブ端末で受信して保有するスレーブ保有メールに存在しないメールを、前記マスタ端末から前記スレーブ端末へ通知することにより、前記マスタ保有メールに前記スレーブ保有メールを同期させるメール同期方法であって、
前記マスタ端末が、前記マスタ保有メールのうちメール同期の対象となるメールのメール識別情報を記述した対象リストを作成し、この対象リストを含む対象リストメールを前記スレーブ端末へ通知する対象リストメール通知ステップと、
前記スレーブ端末が、前記マスタ端末からの前記対象リストメールの通知に応じて、当該対象リストメール内の前記対象リストに記述されているメール識別情報のうち、前記スレーブ保有メールに存在しないメールのメール識別情報を選択し、選択したメール識別情報を前記差分リストに記述して前記差分リストメールで前記マスタ端末へ通知する差分リストメール通知ステップと、
前記マスタ端末が、前記スレーブ端末からの差分リストメールの通知に応じて、当該差分リストメール内の差分リストに記述されているメール識別情報と対応するメールを前記マスタ保有メールのうちから選択し、選択したメールを添付オブジェクトとして添付した差分添付メールを作成して、前記スレーブ端末へ通知する差分添付メール通知ステップと、
前記スレーブ端末が、前記マスタ端末からの差分添付メールの通知に応じて、当該差分添付メールに添付されている添付オブジェクトからメールを復元し、前記スレーブ保有メールとして追加保存する差分添付メール復元ステップと
を備えることを特徴とするメール同期方法。
【請求項10】
通信ネットワークを介してメールを送受信する機能を有するマスタ端末およびスレーブ端末として利用される通信端末で用いられ、前記マスタ端末で受信して保有するマスタ保有メールのうち、前記スレーブ端末で受信して保有するスレーブ保有メールに存在しないメールを、前記マスタ端末から前記スレーブ端末へ通知することにより、前記マスタ保有メールに前記スレーブ保有メールを同期させるメール同期方法であって、
自端末が前記マスタ端末として動作する際に、前記マスタ保有メールのうちメール同期の対象となるメールのメール識別情報を記述した対象リストを作成し、この対象リストを含む対象リストメールを前記スレーブ端末へ通知する対象リストメール通知ステップと、
自端末が前記マスタ端末として動作する際に、前記スレーブ端末からの差分リストメールの通知に応じて、当該差分リストメール内の差分リストに記述されているメール識別情報と対応するメールを前記マスタ保有メールのうちから選択し、選択したメールを添付オブジェクトとして添付した差分添付メールを作成して、前記スレーブ端末へ通知する差分添付メール通知ステップと、
自端末が前記スレーブ端末として動作する際に、前記マスタ端末からの前記対象リストメールの通知に応じて、当該対象リストメール内の前記対象リストに記述されているメール識別情報のうち、前記スレーブ保有メールに存在しないメールのメール識別情報を選択し、選択したメール識別情報を前記差分リストに記述して前記差分リストメールで前記マスタ端末へ通知する差分リストメール通知ステップと、
自端末が前記スレーブ端末として動作する際に、前記マスタ端末からの差分添付メールの通知に応じて、当該差分添付メールに添付されている添付オブジェクトからメールを復元し、前記スレーブ保有メールとして追加保存する差分添付メール復元ステップと
を備えることを特徴とするメール同期方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−138327(P2011−138327A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298131(P2009−298131)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】