説明

モジュラジャックコンセント

【課題】造営面の裏側においてモジュラプラグが成端された信号線を接続可能で、且つ、取付枠に取付可能な個数を増やしたモジュラジャックコンセントを提供する。
【解決手段】モジュラジャックコンセント1は、埋込形配線器具用の取付枠を用いて、施工面に開口する埋込孔に後部が収納された状態で施工面に取り付けられる器体2を備えている。器体2において埋込孔内に収納される部位には、施工面の裏側に配線された第1信号線に成端されているモジュラプラグが差込接続される第1接続口8が設けられている。この第1接続口8は、第1接続口8に接続されるモジュラプラグが取付枠をスイッチボックスに固定するための固定ネジに干渉しないように、器体2において左右方向の中央位置から端にずらして設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モジュラプラグが着脱自在に接続されるモジュラジャックコンセントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、埋込形配線器具用に規格化された取付枠を用いて後部を造営面に埋め込んだ状態で設置され、電気信号を伝送する信号線を中継するために用いられるモジュラジャックコンセントが提供されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1に開示されたモジュラジャックコンセントは、信号線に結線されたモジュラプラグが着脱自在に接続される接続口を前面に備えている。またモジュラジャックコンセントは、造営面に埋め込まれた埋込ボックス内に収納される後部に、造営面の裏側に配線された多芯の信号線の心線がそれぞれ圧接接続される圧接型のコンタクトが複数配置されている。したがって、このモジュラジャックコンセントに造営面の裏側に配線されている多芯の信号線を接続する際には、現場で信号線を適当な長さ切断して、この信号線の各芯線を対応するコンタクトにそれぞれ接続する作業が必要になる。
【0004】
近年、一部の住宅会社では、建築現場での電気工事を出来るだけ少なくしたいという要望があり、モジュラプラグが予め成端されている信号線の採用が増加してきている。ここで、造営面の裏側に配線される先行配線に、モジュラジャックが予め成端された信号線を採用する場合、埋込ボックス内で先行配線が接続される接続部をモジュラジャックで構成したモジュラジャックコンセントが採用されている(例えば、特許文献2参照)。図9は上記のモジュラジャックコンセントの外観斜視図であり、器体60の前面側にプラグの接続口61が設けられるとともに、埋込ボックス内に収納される器体60の後部にも、信号線に成端されたモジュラプラグが接続される接続口62が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−48897号公報
【特許文献2】特開2004−171883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、一般家庭において従来はパーソナルコンピュータやルータなどの通信機器しかLANに接続されていなかったのが、ネットワーク通信機能を備えたテレビなどのAV機器の普及が進み、今後はLANに接続される機器の台数が増加すると見込まれている。そのため、各部屋に設置されるモジュラジャックコンセントの個数も増加することが予想される。
【0007】
上記特許文献2に開示されたモジュラジャックコンセントでは、埋込ボックスに収納される部位に設けられた接続口62が上側に開口し、この接続口62に対して後斜め上方からモジュラプラグが差込接続されるようになっている。また、この接続口62は器体60の左右方向略中央に位置している。このモジュラジャックコンセントを造営面に取り付ける際に用いる1連の取付枠には、単位寸法の埋込形配線器具が最大3個まで取付可能であり、長手方向の両端部に設けた挿通孔に通した固定ネジにより埋込ボックスにネジ固定されている。この取付枠が長手方向を上下方向として埋込ボックスに取り付けられる場合に、取付枠の上側にある取付位置に上記のモジュラジャックコンセントが取り付けられた場合、取付枠を固定する固定ネジにプラグが干渉するため、接続口62にプラグを接続することができなかった。そのため、取付枠に対してモジュラジャックコンセントを3個取り付けることができず、1連の取付枠に取付可能な個数が少なくなってしまうという問題があった。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、造営面の裏側においてモジュラプラグが成端された信号線を接続可能で、且つ、取付枠に取付可能な個数を増やしたモジュラジャックコンセントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のモジュラジャックコンセントは、埋込形配線器具用の取付枠を用いて、施工面に開口する埋込孔に後部が収納された状態で施工面に取り付けられる器体を備えている。この器体において埋込孔内に収納される部位には、施工面の裏側に配線された第1信号線に成端されているモジュラプラグが差込接続される第1接続口が設けられている。この第1接続口は、器体において左右方向の中央位置から端にずらして設けられたことを特徴とする。
【0010】
このモジュラジャックコンセントにおいて、器体の前面に第2接続口が設けられるとともに、器体の内部に導電部材が設けられることも好ましい。第2接続口には、第2信号線に成端されたモジュラプラグが差込接続される。導電部材は、第1接続口に差込接続されたモジュラプラグと第2接続口に差込接続されたモジュラプラグの間を電気的に接続する。
【0011】
このモジュラジャックコンセントにおいて、施工面に取付枠を介して器体が取り付けられた状態で、第1接続口は、後斜め下方からモジュラプラグが差込接続される向きに設けられることも好ましい。
【0012】
このモジュラジャックコンセントにおいて、第1接続口と第2接続口とが、前後方向から見て互いに重ならないように左右方向にずらして配置されることも好ましい。
【0013】
このモジュラジャックコンセントにおいて、施工面に取付枠を介して器体が取り付けられた状態で、第1接続口へのプラグ接続方向の水平方向に対する傾斜角が25度以上且つ40度以下であることも好ましい。
【0014】
このモジュラジャックコンセントにおいて、器体において埋込孔内に収納される部位に、第1接続口に接続される第1信号線の外被を引っ掛ける引掛部が設けられることも好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、造営面の裏側においてモジュラプラグが成端された信号線を接続可能で、且つ、取付枠に取付可能な個数を増やしたモジュラジャックコンセントを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態のモジュラジャックコンセントを示し、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は背面図、(d)は下面図である。
【図2】(a)は同上を前方から見た外観斜視図、(b)は同上を後方から見た外観斜視図である。
【図3】同上にモジュラプラグが接続された状態を示し、(a)は側面図、(b)は一部破断せる側面図である。
【図4】同上にモジュラプラグが接続された状態を後方から見た外観斜視図である。
【図5】同上を構成するプリント配線板を模式的に示した斜視図である。
【図6】同上を施工面に取り付ける前の状態を示した斜視図である。
【図7】同上を取付枠に取り付けた状態の背面図である。
【図8】同上の他の形態を後方から見た外観斜視図である。
【図9】従来のモジュラジャックコンセントの外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本実施形態のモジュラジャックコンセントについて図1〜図8を参照して説明する。尚、以下の説明では特に断りがないかぎり、図1(a)に示す向きにおいて上下左右の方向を規定し(施工面に取り付けられた状態での上下左右と同じ)、図1(b)の左側を前側、右側を後側として説明を行う。
【0018】
本実施形態のモジュラジャックコンセント1は、後述する埋込形配線器具用の取付枠30(例えばJIS C 8375で規格化された大角形連用配線器具の取付枠)を用いて施工面(例えば壁面)に設置される。
【0019】
このモジュラジャックコンセント1の器体2は合成樹脂成形品からなり、例えば前後方向において2つの部品に分割されており、これら2つの部品を結合することによって構成されている。
【0020】
器体2の前面は略矩形状に形成されている。器体2の前面には直方体状のボス部3が一体に設けられ、ボス部3は左右両側の段部4,4よりも前方に突出している。各段部4の側縁には、側方に向かって突出する一対の突起5がそれぞれ設けられている。また各段部4には、側方に開口する溝穴6がそれぞれ形成されている。ここにおいて、突起5は合成樹脂製の取付枠30に器体2を取り付けるために用いられ、溝穴6は金属製の取付枠(図示せず)に器体2を取り付けるために用いられる。
【0021】
器体2の後部下側には傾斜面7が設けられ、この傾斜面7の右側寄りに、造営面の裏側に先行配線された第1信号線20(例えば4対8芯のツイストペア線からなる)に成端されたモジュラプラグ21が差込接続される接続口8が開口している。この接続口8の内部には、モジュラプラグ21のコンタクピンにそれぞれ弾接する複数極(例えば8極)の第1コンタクトピン9が配置されている。ここで、モジュラジャックコンセント1が取付枠30を用いて施工面に取り付けられた状態で、接続口8は、後斜め下方からモジュラプラグ21が差込接続される向きに設けられている。そして、接続口8へのモジュラプラグ21の接続方向L2の水平方向L1に対する傾斜角θは25度以上且つ40度以下となっている(図3参照)。
【0022】
ボス部3の前面略中央には、室内側の第2信号線22(例えば4対8芯のツイストペア線からなる)に成端されたモジュラプラグ23が差込接続される接続口10が開口する。この接続口10の内部にも、モジュラプラグ23のコンタクトピンにそれぞれ弾接する複数極(例えば8極)の第2コンタクトピン11が配置されている。尚、図1では図示を省略してあるが、器体2には、接続口10を開閉自在に覆う扉が設けられている。このような扉には、例えば特開2000−48897号公報に開示されている従来周知の構成を採用すればよく、その説明は省略する。
【0023】
器体2の内部には、各8極の第1コンタクトピン9と第2コンタクトピン11とがそれぞれ実装されたプリント配線板12が収納されている(図3(b)及び図5参照)。このプリント配線板12は、器体2の内部において接続口8,10の上側に配置されている。プリント配線板12の下側面には、接続口8に対応する部位に第1コンタクトピン9が実装され、接続口10に対応する部位に8極の第2コンタクトピン11が実装されている。尚、接続口8に接続されたモジュラプラグ21のコンタクトピンと、接続口10に接続されたモジュラプラグ23のコンタクトピンとは高さ位置が異なっているため、プリント配線板12には高さの違いを吸収するために台座13,14が設けられている。そして、一方の台座13に第1コンタクトピン9が実装され、他方の台座14に第2コンタクトピン11が実装されている。また、上述のように接続口10へのモジュラプラグ23の接続方向に対して、接続口8へのモジュラプラグ21の接続方向は角度θだけ傾斜している。したがって、第1コンタクトピン9が実装される台座13の表面は、第2コンタクトピン11が実装される台座14の表面に対して角度θだけ傾斜している。このプリント配線板12には、8極の第1コンタクトピン9の各々を対応する第2コンタクトピン11に電気的に接続する導電パターンが形成されている。ここにおいて、プリント配線板12に形成された導電パターンと第1、第2コンタクトピン9,11とで、第1接続口8に接続されたモジュラプラグ21と第2接続口10に接続されたモジュラプラグ23との間を電気的に接続する導電部材が構成されている。
【0024】
本実施形態のモジュラジャックコンセント1は、図6に示すように、施工面(例えば壁面)に設けた埋込孔に埋め込まれたスイッチボックス50に取付枠30を介して取り付けられる。図示する取付枠30は、埋込形配線器具である大角型連用配線器具を施工面に取り付ける場合に用いられる3個用(1連タイプ)のものである。この取付枠30は合成樹脂製であって、左右の側辺32a,32bと、両側辺32a,32bの上端間を連結する上側辺35aと、両側辺32a,32bの下端間を連結する下側辺35bとで矩形枠状に形成されている。左右の両側辺32a,32bには、器体2の両側縁に2個ずつ突設された突起5と係合する2個で1組の係合孔33が3組ずつ設けられ、一方の側辺32aには他方の側辺32bとの間の距離を変えるように撓むことのできる撓み片34が形成されている。
【0025】
この取付枠30にモジュラジャックコンセント1を取り付ける際は、取付枠30の後方から、一方(左側)の側辺32bの係合孔33に、器体2の片側(左側)にある突起5を挿入する。片側の突起5が側辺32bの係合孔33に挿入された状態で、器体2の反対側(右側)を前方へ押すと、器体2の反対側にある突起5に押されて撓み片34が撓むことによって、器体2の反対側にある突起5が他方(右側)の側辺32aの係合孔33に係合する。これにより、器体2の両側に2個ずつ設けられた突起5がそれぞれ側辺32a,32bの各一対の係合孔33に係合して、モジュラジャックコンセント1の器体2が取付枠30に取り付けられる。この取り付け状態においては、側辺32a,32bと上側辺35aと下側片35bとで囲まれた開口31から器体2のボス部3が前方に突出している。
【0026】
一方、モジュラジャックコンセント1を取付枠30から取り外す際は、撓み片34と側辺32aとの間に前方から挿入した工具で撓み片34をこじて、撓み片34を撓ませると、係合孔33と突起5との係合状態が外れるので、器体2を容易に取り外すことができる。
【0027】
尚、金属製の取付枠(図示せず)にモジュラジャックコンセント1を取り付ける場合は、金属製の取付枠に設けられた保持爪を、器体2の両側にある溝穴6に嵌合させることによって、器体2が取付枠に取り付けられる。
【0028】
ここにおいて、突起5及び溝穴6の取付寸法は、それぞれ、大角型連用配線器具の取付枠30に3個まで取り付け可能な単位寸法の配線器具と略等しい取付寸法に形成されている。また、器体2の外形寸法も大角形連用配線器具の単位寸法(1個モジュール寸法)と略同じ大きさに形成されている。したがって、複数のモジュラジャックコンセント1を取付枠30に並設したり、モジュラジャックコンセント1を他の配線器具と共に取付枠30に並設することができる。なお、突起5及び溝穴6の取付寸法や器体2の外形寸法は上記の寸法に限定されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0029】
両側辺32a,32bの上端間、及び、下端間をそれぞれ連結する上側辺35a及び下側辺35bには、スイッチボックス50に取付枠30を結合する固定ネジ38を通すための長孔36が設けられている。また上側辺35a及び下側辺35bには、取付枠30の前面を覆う化粧プレート40を結合するプレートねじ39がねじ込まれるネジ孔37が設けられている。
【0030】
この取付枠30が取り付けられるスイッチボックス50は、例えばJIS規格(JIS C 8340等参照)で規格化された1個用(1連の取付枠30が1個取り付けられるもの)のものであり、施工面に設けられた埋込孔内に埋設されている。このスイッチボックス50は鋼板製であって前面が開口した略箱状に形成されており、その周面には電線導入用の孔51が複数箇所に設けられている。また、一方の側面には上方及び下方にそれぞれ延出する固定片52,52が設けられており、各固定片52には固定ねじ56を挿入するための挿通孔53が設けられている。また、スイッチボックス50の上側壁及び下側壁の前縁中央には、それぞれ、固定ネジ38がねじ込まれるネジ孔55が設けられたリブ54が設けられている。
【0031】
而して、モジュラジャックコンセント1が取り付けられた取付枠30の長孔36に固定ネジ38を挿入し、この固定ネジ38をネジ孔55にねじ込むことによって、施工面に埋設されたスイッチボックス50に取付枠30を固定することができる。
【0032】
化粧プレート40には、プレートねじ39を挿入する挿通孔42が設けられるとともに、器体2のボス部3を露出する窓孔41が形成されている。この化粧プレート40は、挿通孔42に通したプレートねじ39を取付枠30のネジ孔37にねじ込むことによって、取付枠30の前面側に固定される。
【0033】
尚、本実施形態において、図8に示すように、スイッチボックス50内(すなわち施工面に設けた埋込孔内)に収納される器体2の部位(例えば器体2の背面)に、第1接続口8に接続される第1信号線20の外被を引っ掛けるフック15(引掛部)を設けてもよい。フック15は略L形に形成され、器体2の背面と平行する挟持片15aの先端には、器体2の背面に向かって突出する爪15bが形成されている。而して、器体2の背面と、フック15の挟持片15aとの間に第1信号線20の外被を挿入すると、挟持片15aによって第1信号線20の外被が保持される。この時、爪15bが第1信号線20の外被に当接することで、第1信号線20の外被が抜けにくくなっている。尚、図示例ではフック15が器体2と一体に形成されているが、フック15は器体2と別体に形成されて、器体2に取り付けられるものでもよい。
【0034】
ここで、ツイストペア線からなる第1信号線20では、無理な張力による被覆の劣化・破損にともなう伝送特性の悪化防止のため、第1信号線20の曲げ半径を外径Rの4倍以上とすることが要求されている。ここで、第1信号線20の外径Rが5.5mmの場合、第1信号線20の外被においてモジュラプラグ21の後端から約36〜40mmのところよりも遠い位置でフック15に引っ掛けるようにすれば、第1信号線20の曲げ半径を約4Rに保つことができる。したがって、第1信号線20の曲げ半径を許容最小曲げ半径よりも大きくでき、第1信号線20が無理に曲げられる可能性を低減できる。
【0035】
以上説明したように、本実施形態のモジュラジャックコンセント1は、埋込形配線器具用の取付枠30を用いて、施工面に開口する埋込孔(すなわちスイッチボックス50の内部)に後部が収納された状態で、施工面に取り付けられる器体2を備えている。器体2において埋込孔内に収納される部位には、施工面の裏側に配線された第1信号線20に成端されているモジュラプラグ21が差込接続される第1接続口8が設けられている。この第1接続口8は、器体2において左右方向の中央位置から端(本実施形態では後側から見て右端)にずらして設けられている。
【0036】
これにより、取付枠30に対してモジュラジャックコンセント1が3個並設された場合でも、下側に配置されたモジュラジャックコンセント1の第1接続口8に接続されたモジュラプラグ21が取付枠30を固定するための固定ネジ38に干渉するのを抑制できる。また、上側に配置されたモジュラジャックコンセント1の第1接続口8は、器体2の下側に位置し、この第1接続口8に接続されたモジュラプラグ21は下斜め後方に突出するから、上側にある固定ネジ38に干渉することはない。よって、取付枠30に3箇所ある取付位置の何れにもモジュラジャックコンセント1を取り付けることができ、1連の取付枠30に取付可能なモジュラジャックコンセント1の個数を増やすことができる。したがって、造営面の裏側においてモジュラプラグが成端された信号線を接続可能で、且つ、取付枠30に取付可能な個数を増やしたモジュラジャックコンセント1を実現でき、多数のモジュラジャックコンセント1を設置す場合にも必要な取付枠30の個数を少なくできるから、取付枠30を設置するスペースを小さくできる。
【0037】
また本実施形態では、器体2の前面に、第2信号線22に成端されたモジュラプラグ23が差込接続される第2接続口10が設けられている。そして、器体2の内部には、第1接続口8に差込接続されたモジュラプラグ21と第2接続口10に差込接続されたモジュラプラグ23の間を電気的に接続する導電部材(プリント配線板12及び第1、第2コンタクトピン9,11からなる)が設けられている。
【0038】
これにより、第1接続口8に接続されたモジュラプラグ21と、第2接続口10に接続されたモジュラプラグ23の間を電気的に接続することができる。
【0039】
また本実施形態では、施工面に取付枠30を介して器体2が取り付けられた状態で、第1接続口8は、後斜め下方からモジュラプラグ21が差込接続される向きに設けられている。
【0040】
これにより、第1接続口8に接続されるモジュラプラグ21は先端が上側を向くので、結露などによる水滴が第1信号線20を伝って落ちてきたとしても、第1接続口8の内部に水滴が浸入する可能性を低減できる。したがって、器体2の内部に浸入する水滴によってプリント配線板12の導電パターンやコンタクトピン9などに錆が発生したり、ショートしたりする可能性を低減できる。
【0041】
また本実施形態では、図1(c)に示すように第1接続口8と第2接続口10とが、前後方向から見て互いに重ならないように左右方向にずらして配置されている。
【0042】
ここで、第1接続口8と第2接続口10とが、前後方向から見て、その一部或いは全部が互いに重なっている場合、第1接続口8に接続されるモジュラプラグ21と、第2接続口10に接続されるモジュラプラグ23とが前後方向において干渉しないように、両接続口8,10を互い離して設ける必要があり、その分奥行き寸法D1が大きくなる。それに対して、本実施形態では、第1接続口8と第2接続口10とが、前後方向から見て互いに重ならないように左右方向にずらして配置されるので、第1接続口8に接続されるモジュラプラグ21と、第2接続口10に接続されるモジュラプラグ23とが前後方向において重なるように両接続口8,10を設けることができ、その分、奥行き寸法D1(図1(b)参照)を小さくできる。
【0043】
また本実施形態では、第1接続口8へのプラグ接続方向の水平方向に対する傾斜角θが25度以上且つ40度以下に設定されている。
【0044】
このように、上記の傾斜角θが25度以上に設定されているから、傾斜角θが0度以上且つ25度未満である場合に比べて、第1接続口8に接続されたモジュラプラグ21の後端までの距離D2(図3(b)参照)を短くできる。したがって、モジュラプラグ21及び第1信号線20を収めるスペースが小さくて済み、浅型のスイッチボックスにも収納することが可能になる。また上記の傾斜角θが40度より大きくなると、複数のモジュラジャックコンセント1を取付枠30に並設した場合に、第1接続口8に接続されたモジュラプラグ21が隣接する(下側の)モジュラジャックコンセント1に干渉する可能性がある。それに対して、本実施形態では傾斜角θが40度以下に設定されているので、複数のモジュラジャックコンセント1が上下に近接して取り付けられた場合でも、第1接続口8に接続されたモジュラプラグ21が、隣接する(下段の)モジュラジャックコンセント1に干渉することがなく、取付枠30に対して複数のモジュラジャックコンセント1を並べて取り付けることができる。
【0045】
なお本実施形態では、第1接続口8と第2接続口10とが、前後方向から見て互いに重ならないように左右方向にずらして配置されるとともに、第1接続口8へのプラグ接続方向の水平方向に対する傾斜角θが25度以上且つ40度以下に設定されている。
【0046】
これにより、取付枠30に対して複数のモジュラジャックコンセント1を並べて取り付けることができるとともに、モジュラプラグ21及び第1信号線20を収めるスペースが小さくて済み、浅型のスイッチボックスにも収納することが可能になる。
【0047】
また、モジュラジャックコンセント1の器体2において、埋込孔内に収納される部位に、第1接続口8に接続される第1信号線20の外被を引っ掛ける引掛部が設けられることも好ましい。
【0048】
これにより、第1信号線20の外被において、端末に接続されたモジュラプラグ21から所定の長さのところを引掛部に引っ掛けることで、第1信号線20の曲げ半径を所定値以上に管理でき、第1信号線20の曲げ半径が許容曲げ半径よりも小さくなることで、伝送特性が悪化するのを抑制できる。
【符号の説明】
【0049】
1 モジュラジャックコンセント
2 器体
3 ボス部
7 傾斜面
8 第1接続口
9 第1コンタクトピン
10 第2接続口
11 第2コンタクトピン
20 第1信号線
22 第2信号線
21,23 モジュラプラグ
30 取付枠
50 スイッチボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋込形配線器具用の取付枠を用いて、施工面に開口する埋込孔に後部が収納された状態で前記施工面に取り付けられる器体を備え、前記器体において前記埋込孔内に収納される部位に、前記施工面の裏側に配線された第1信号線に成端されているモジュラプラグが差込接続される第1接続口が設けられ、この第1接続口は、前記器体において左右方向の中央位置から端にずらして設けられたことを特徴とするモジュラジャックコンセント。
【請求項2】
前記器体の前面には、第2信号線に成端されたモジュラプラグが差込接続される第2接続口が設けられ、前記器体の内部には、前記第1接続口に差込接続されたモジュラプラグと前記第2接続口に差込接続されたモジュラプラグの間を電気的に接続する導電部材が設けられたことを特徴とする請求項1記載のモジュラジャックコンセント。
【請求項3】
施工面に前記取付枠を介して前記器体が取り付けられた状態で、前記第1接続口は、後斜め下方からモジュラプラグが差込接続される向きに設けられたことを特徴とする請求項1又は2の何れかに記載のモジュラジャックコンセント。
【請求項4】
前記第1接続口と前記第2接続口とが、前後方向から見て互いに重ならないように左右方向にずらして配置されたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1つに記載のモジュラジャックコンセント。
【請求項5】
施工面に前記取付枠を介して前記器体が取り付けられた状態で、前記第1接続口へのプラグ接続方向の水平方向に対する傾斜角が25度以上且つ40度以下であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1つに記載のモジュラジャックコンセント。
【請求項6】
前記器体において前記埋込孔内に収納される部位に、前記第1接続口に接続される前記第1信号線の外被を引っ掛ける引掛部が設けられたことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1つに記載のモジュラジャックコンセント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−157112(P2012−157112A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−12535(P2011−12535)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】