説明

モノエチレン性不飽和モノカルボン酸及びジカルボン酸からカルボキシラート−リッチの共重合体を製造する方法、及び中和度の低いカルボキシラート−リッチの共重合体

モノエチレン性不飽和モノカルボン酸及びジカルボン酸から、少なくとも20.1質量%のジカルボン酸及び少なくとも3000g/モルの平均分子量Mwを有するカルボキシラート−リッチの共重合体を、上記モノカルボン酸及びジカルボン酸の全COOH基量に対して2〜19.9モル%の少なくとも1種のアミンの存在下に、130℃未満の温度でフリーラジカル重合することにより製造する方法。上記方法により得られる中和度の低いカルボキシラート−リッチの共重合体;及びこのような共重合体を表面処理のために使用する方法、並びに繊維結合のためにバインダとして使用する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モノエチレン性不飽和モノカルボン酸及びジカルボン酸から、少なくとも3000g/モルの平均分子量Mwを有し、少なくとも20.01質量%のジカルボン酸を含むカルボキシラート−リッチの共重合体を製造するために、上記モノカルボン酸及びジカルボン酸の全COOH基量に対して2〜19.9モル当量の有機アミンの存在下に、130℃未満の温度でフリーラジカル重合を行うことを特徴とする製造方法に関する。さらに、本発明は、上記方法により得られる中和度の低いカルボキシラート−リッチの共重合体、及びこのような共重合体を表面処理のために使用する方法、さらにまた繊維結合用バインダとして使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モノエチレン性不飽和モノカルボン酸及びジカルボン酸のカルボキシラート−リッチ共重合体(例、アクリル酸−マレイン酸共重合体)及びこのような共重合体の製造方法は、原則として公知である。例えば、特許文献1(EP−A075820)、特許文献2(EP−A106110)、特許文献3(EP−A451508)、特許文献4(DE−A4004953)、特許文献5(EP−A279892)、特許文献6(EP−A398724)、特許文献7(EP−A942015)及び特許文献8(WO99/26988)を参照することができる。この種の共重合体は、ポリアクリル酸より大きいCOOH濃度を有し、広範な種類の最終用途(例、皮張り防止剤、洗剤の成分及びクリーニング組成物、或いは液体吸収剤)に使用されている。
【0003】
このような共重合体を、金属表面処理方法のための組成物の構成成分として使用することが、未公開の出願PCT/EP/04/001590に開示されている。
【0004】
このような重合体を、繊維結合用バインダの成分として(例えば不織布を結合するために)使用することも可能である。これは、例えば特許文献9(WO97/31059)に開示されている。この出願では、重合体は、通常適当な架橋剤と混合され、不織布はその調製物で処理され、硬化される。使用することができる架橋剤は、加熱時に重合体のCOOH基とエステル化により反応するポリアルコールが好ましい。
【0005】
モノエチレン性不飽和ジカルボン酸は、通常、フリーラジカル重合の途中で、(メタ)アクリル酸等のモノカルボン酸より反応が極端に遅くなる。これは、イタコン酸又はメチレンマロン酸等のジカルボン酸でさえ事実である。特に、カルボキシル基が2重結合の両側に存在する、マレイン酸、フマル酸及び類似のジカルボン酸は反応が遅い。このため、モノエチレン性不飽和モノカルボン酸及びジカルボン酸の共重合体は、共重合されていないジカルボン酸を多かれ少なかれ含んでいることが屡々である。
【0006】
ジカルボン酸の残留量が高いと、多くの用途にとって望ましいことではない。重合体を繊維結合に使用する場合、このような残留量が結合生成物の機械強度を低下させる。これらを金属表面処理に使用した場合、望ましくない灰色の曇りが屡々現れる。さらに、遊離の残留ジカルボン酸は、再び浸出する。
【0007】
理論的には、重合体を製造後に不純物を除去することは可能である。しかしながら、このような除去は不便であり、非経済的である。
【0008】
重合中に、塩基を用いてモノマーのCOOH基を全部又は部分的に中和する方法は知られている。これにより、未共重合のジカルボン酸の割合を低下させることが可能である。
【0009】
特許文献1(EP−A075820)には、40〜90質量%のモノエチレン性不飽和モノカルボン酸及び10〜60質量%のモノエチレン性不飽和ジカルボン酸から共重合体を製造する方法が開示されている。重合は、水溶液中で60〜150℃において行われ、モノマーのCOOH基は、例えばNaOH、KOH、NH3又は有機アミンを用いて20〜80%程度中和する。その実施例には、水酸化ナトリウム溶液の使用が記載されている。20%未満の中和度(中和の程度)で、残留ジカルボン酸含有量が顕著に増加しており、また80%を超える中和度でも同じである。その枠内においてのみ、1.5質量%未満の残留ジカルボン酸含有量が得られる。
【0010】
特許文献2(EP−A106110)及び特許文献6(EP−A398724)にも、同様に中和度が20〜80%である類似の方法が開示されている。
【0011】
特許文献3(EP−A451508)には、中和度が52〜70%である、エチレン性不飽和ジカルボン酸と種々のエチレン性不飽和モノカルボン酸から共重合体を製造する方法が開示されている。
【0012】
特許文献8(WO99/26988)には、アクリル酸とアクリル酸誘導体、特にアクリルアミドからポリマー(重合体)を製造する方法で、第1段階で重合を行い、第2段階にて120〜240℃、好ましくは140〜180℃で後反応して残存モノマー含有量を低下させる製造方法が開示されている。モノマーの中和度は10〜100%である。提案されている塩基は、NH3及び有機アミンである。アクリル酸−マレイン酸共重合体は開示されていない。
【0013】
特許文献7(EP−A942015)には、(メタ)アクリル酸−マレイン酸共重合体を含むポリマー組成物が開示されている。共重合体はクレーを分散する能力を有する。実施例には、塩基としてNaOHの存在下に15.2質量%のマレイン酸含有量を有し、中和度が12.5%、25%及び50%の共重合体の製造方法が記載されている。製造後、(共)重合体は完全に中和される。
【0014】
中和度が大きかろうと小さかろうと、示された技術では、それぞれ、全体又は少なくとも部分的に中和された共重合体がもたらされる。しかしながら、多くの用途では、中和されていないCOOH基を極めて高い割合で有するポリマーが必要とされる。さらに、極めて高いCOOH基密度を得るために、極めて高いジカルボン酸の割合が求められる。
【0015】
しかしながら、上述で引用した先行技術には、中和度を20%未満に後退させると、生成物中の重合されないジカルボン酸の割合が増加する。当然、重合されないジカルボン酸の残留割合は、使用されるジカルボン酸の割合が増加すればするほど大きくなる。これは、例えば、特許文献1(EP−A075820)の実施例1及び7に示されている。しかしながら、これらの実施例でも、温度を上昇させると、共重合体の分子量の顕著な低下を伴うことが示されている。
【0016】
【特許文献1】EP−A075820
【特許文献2】EP−A106110
【特許文献3】EP−A451508
【特許文献4】DE−A4004953
【特許文献5】EP−A279892
【特許文献6】EP−A398724
【特許文献7】EP−A942015
【特許文献8】WO99/26988
【特許文献9】WO97/31059
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、エチレン性不飽和モノカルボン酸及び反応の遅いエチレン性不飽和ジカルボン酸から共重合体を製造する方法であって、共重合体が20質量%を超えるジカルボン酸を含むが、それにもかかわらず、20%未満の低い中和度を示し、残留するジカルボン酸モノマー含有量が低く、さらに少なくとも3000g/モルの平均分子量Mwを有するものである製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
従って、本発明は、
モノエチレン性不飽和モノカルボン酸及びジカルボン酸から、少なくとも3000g/モルの平均分子量Mwを有するカルボキシラート−リッチの共重合体を製造する方法であって、
下記のモノマー:
(A)30〜79.99質量%の、少なくとも1種のモノエチレン性不飽和モノカルボン酸、
(B)20.01〜70質量%の、下記の一般式:
(HOOC)R1C=CR2(COOH) (I)
及び/又は
12C=C(−(CH2n−COOH)(COOH) (II)

[但し、R1及びR2が、相互に独立して、H、又は直鎖若しくは分岐の、置換されていても良い炭素原子数1〜20個のアルキル基を表し、或いは(I)の場合、R1及びR2が、合体して置換されていても良い炭素原子数3〜20個のアルキレン基を表し、そしてnが0〜5の整数を表す。]
で表される少なくとも1種のモノエチレン性不飽和ジカルボン酸、又は対応する無水物及び/又は他の加水分解性誘導体、
及び
(C)0〜40質量%の、(A)及び(B)とは異なる、少なくとも1種の別のエチレン性不飽和コモノマー、
[上記の各量は、使用される全モノマーの総量に対する値である]
をその水溶液中でフリーラジカル重合し、
且つその重合を、上記モノカルボン酸及びジカルボン酸の全COOH基の総量に対して2〜19.9モル%の少なくとも1種のアミンの存在下に、130℃未満の温度で行うことを特徴とする方法にある。
【0019】
本発明の第2の側面は、
上述の方法により得られ、且つ
少なくとも3000g/モルの平均分子量Mwを有し、そして
モノマー単位として、
(A)30〜79.99質量%の、少なくとも1種のモノエチレン性不飽和モノカルボン酸、
(B)20.01〜70質量%の、下記の一般式:
(HOOC)R1C=CR2(COOH) (I)
及び/又は
12C=C(−(CH2n−COOH)(COOH) (II)

[但し、R1及びR2が、相互に独立して、H、又は直鎖若しくは分岐の、置換されていても良い炭素原子数1〜20個のアルキル基を表し、或いは(I)の場合、R1及びR2が、合体して置換されていても良い炭素原子数3〜20個のアルキレン基を表し、そしてnが0〜5の整数を表す。]
で表される少なくとも1種のモノエチレン性不飽和ジカルボン酸、
及び
(C)0〜40質量%の、少なくとも1種の別のエチレン性不飽和コモノマー、
を含む、カルボキシラート−リッチの共重合体にある。
【0020】
本発明の第3の側面は、このような共重合体を表面処理のために使用する方法にもある。これらは金属の表面処理、特に金属の不動態化、とりわけ亜鉛、アルミニウム及び亜鉛めっき及びアルミニウムめっきされた表面の不動態化に特に適当である。
【0021】
本発明の共重合体はさらに繊維状基板又は粒状基板のバインダとして好適である。
【0022】
驚くべきことに、塩基として上述の量のアミンを使用することにより、中和度が低いけれども、未重合のジカルボン酸の残留割合も同様に低い共重合体を得ることができることが見いだされた。これはまた、アンモニアの使用は有利な結果をもたらさないとの事実を考慮すると驚くべきことである。共重合されたジカルボン酸の割合が極めて高く、にもかかわらず比較的高い分子量を有する共重合体を得ることができる。
【0023】
本発明の重合体(ポリマー)は、顕著に改善された性能特性を示す。
【0024】
金属を不動態化する用途においては、他の塩基で製造された中和度の高い共重合体を用いた場合より、はるかに優れた腐食制御を達成することができる。繊維状基材又は粒状基材の用途のバインダにおいても、遙かに高い結合力及び低減された浸出損失が達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の詳細は下記の通りである。
【0026】
本発明の製造方法のために、モノマー(A)及び(B)が使用される。モノマー(A)及び(B)と異なるモノマー(C)を使用することも可能である。
【0027】
モノマー(A)は、少なくとも1種のモノエチレン性不飽和モノカルボン酸である。勿論、2種以上の異なるエチレン性不飽和モノカルボン酸を使用することも可能である。
【0028】
好適なモノエチレン性不飽和モノカルボン酸(A)の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ビニル酢酸、或いはモノエチレン性不飽和ジカルボン酸のC1〜C4モノエステルを挙げることができる。アクリル酸及びメタクリル酸が好ましく、アクリル酸が特に好ましい。
【0029】
本発明の製造方法で使用される全モノマーの総量に対して30〜79.99質量%、特に30〜79.9質量%のモノマー(A)が使用される。モノマー(A)を、40〜78質量%、さらに45〜77質量%、特に55〜76質量%で使用することが好ましい。
【0030】
モノマー(B)は、下記の一般式:
(HOOC)R1C=CR2(COOH) (I)
及び/又は
12C=C(−(CH2n−COOH)(COOH) (II)
で表される少なくとも1種のモノエチレン性不飽和ジカルボン酸である。
【0031】
2種以上の異なるモノマー(B)を使用することも可能である。(I)の場合、問題のモノマーは、それぞれシス(cis)形及び/又はトランス(trans) 形であり得る。これらのモノマーもまた、対応するカルボン酸無水物及び/又は他の加水分解性カルボン酸誘導体の形で使用することもできる。COOH基がシス形で位置する場合、環状無水物を使用することが特に有利である。
【0032】
1及びR2は、相互に独立して、H、又は直鎖若しくは分岐の、置換されていても良い炭素原子数1〜20個のアルキル基を表す。アルキル基の炭素原子数は1〜4個が好ましい。さらに好ましいR1及び/又はR2は、H及び/又はメチル基である。アルキル基は、重合体又は製造方法の性能特性に悪影響をもたらさない限り、さらに別の置換基を有していても良い。
【0033】
式(I)の場合、R1及びR2は、合体して置換されていても良い炭素原子数3〜20個のアルキレン基であることも可能である。2重結合とアルキレン基とから形成される環は5又は6個の炭素原子を有することが好ましい。アルキレン基の例としては、特に1,3−プロピレン又は1,4−ブチレンが好ましく、これらは別のアルキル置換基を有していても良い。nは0〜5の整数、好ましくは0〜3の整数、極めて好ましくは0又は1を表す。
【0034】
式(I)の好適なモノマー(B)の例としては、マレイン酸、フマル酸、メチルフマル酸、メチルマレイン酸、ジメチルマレイン酸、及び適宜対応する環状無水物を挙げることができる。式(II)の例としては、メチレンマロン酸及びイタコン酸を挙げることができる。式(I)のモノマーを用いることが好ましく、特にマレイン酸、無水マレイン酸が好ましい。
【0035】
本発明の製造方法で使用される全モノマーの総量に対して20.01〜70質量%、特に20.1〜70質量%のモノマー(B)が使用される。モノマー(B)を、22〜60質量%、さらに23〜55質量%、特に25〜45質量%で使用することが好ましい。
【0036】
モノマー(A)及び(B)以外に、任意に、1種以上のエチレン性不飽和モノマー(C)をさらに使用することもできる。これら以外には、他のモノマーは使用されない。
【0037】
モノマー(C)は、共重合体の特性を微調整する機能を有する。勿論、2種以上のモノマー(C)を使用することもできる。これらは、共重合体に所望する特性に従い熟練技術者によって選択される。モノマー(C)は、同様にフリーラジカル重合性である。
【0038】
これらは、同様に、モノエチレン性不飽和モノマーであることが好ましい。しかしながら、特別な場合、2個以上の重合性基を有するモノマーを少量使用することもできる。これにより、共重合体を少し架橋させることができる。
【0039】
モノマー(C)は、酸性モノマー及び/又は塩基性モノマー及び/又は中性モノマーであり得る。これらは、中性モノマー及び/又は酸性モノマーであることが好ましい。
【0040】
適当なモノマー(C)の例としては、リン酸基及び/又はホスホン酸基を有する特定のモノマーを挙げることができる。ここでは、特に、ビニルホスホン酸、モノビニルホスファート、アリルホスホン酸、モノアリルホスファート、3−ブテニルホスホン酸、モノ−3−ブテニルホスファート、モノ(4−ビニルオキシブチル)ホスファート、ホスホノキシエチルアクリラート、ホスホノキシエチルメタクリラート、モノ(2−ヒドロキシ−3−ビニルオキシプロピル)ホスファート、モノ(1−ホスホノキシメチル−2−ビニルエチル)ホスファート、モノ(3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)ホスファート、モノ(2−アリルオキシ−1−ホスホノキシメチルエチル)ホスファート、2−ヒドロキシ−4−ビニルオキシメチル−1,3,2−ジオキサホスホール、及び2−ヒドロキシ−4−アリルオキシメチル−1,3,2−ジオキサホスホールを挙げることができる。リン酸の、塩及び/又はエステル、特にC1〜C8モノアルキル、ジアルキル、及び適宜トリアルキルエステル、及び/又はリン酸基を有するモノマーも使用可能である。
【0041】
スルホン酸基を有するモノマー(例えばアリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホナート、ビニルスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸又は2−(メタクリロイル)エチルスルホン酸及び/又はこれらの塩及び/又はエステル)も適当である。
【0042】
別の酸性モノマーとして、例えばマレイン酸モノアミドを挙げることができる。
【0043】
実質的に中性のモノマー(C)の例としては、(メタ)アクリル酸のC1〜C18アルキルエステル又はC1〜C4ヒドロキシアルキルエステル、例えば、メチル(メタ)アクリラート、エチル(メタ)アクリラート、プロピル(メタ)アクリラート、イソプロピル(メタ)アクリラート、ブチル(メタ)アクリラート、ヘキシル(メタ)アクリラート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリラート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリラート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート、又はブタン−1,4−ジオール(メタ)アクリラート、(メチル)スチレン、マレイミド又はN−アルキルマレイミドを挙げることができる。
【0044】
ビニルエーテル又はアリルエーテル、例えばメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、2−(ジエチルアミノ)エチルビニルエーテル、2−(ジ−n−ブチルアミノ)エチルビニルエーテル、又はメチルジグリコールビニルエーテル、及び対応するアリル化合物も適当である。ビニルエステル、例えば酢酸ビニル又はプロピオン酸ビニルを使用することも同様に可能である。
【0045】
塩基性モノマーの例としては、アクリルアミド及びアルキル置換アクリルアミド、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド又はN−メチル(メタ)アクリルアミドを挙げることができる。
【0046】
アルコキシ化モノマー、特にエトキシ化モノマーを使用することも可能である。特に、アクリル酸又はメタクリル酸から誘導され、且つ下記の一般式(III):
【0047】
【化1】

【0048】
[但し、
3が、水素又はメチルを表し;
4が、−(CH2x−O−、−CH2−NR7−、−CH2−O−CH2−NR89−CH2−O−、又は−CONH−;COO−(エステル)を表し;
5が、同一でも異なっていても良く、ブロック又はランダムに配置されていても良いC2〜C4アルキレンを表し、且つエチレン基の割合が少なくとも50モル%であり;
6が、水素、C1〜C4アルキル、−SO3M又は−PO32を表し;
7が、水素又は−CH2−CR1=CH2を表し;
8が、−O−[R5−O]n−R6{基−[R5−O]n−は式IIIに存在する他の基−[R5−O]n−と異なっていても良い}を表し;
9が、水素又はエチルを表し;
Mが、アルカリ金属又は水素、好ましくは水素を表し;
mが、1〜250、好ましくは2〜50、さらに好ましくは3〜10の範囲であり;そして
xが0又は1である。]
を有するアルコキシ化モノマーが好適である。
【0049】
架橋性モノマーの例としては、2個以上のエチレン性不飽和基を有する分子、例えばジ(メタ)アクリラート(例、エチレングリコールジ(メタ)アクリラート又はブタン−1,4−ジオールジ(メタ)アクリラート)、又はポリ(メタ)アクリラート(例、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリラート)、或いはオリゴアルキレン又はポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリラート(例、ジ−、トリ−又はテトラ−エチレングリコールジ(メタ)アクリラート)を挙げることができる。さらなる例として、ビニル(メタ)アクリラート又はブタンジオールジビニルエーテルを挙げることができる。
【0050】
熟練技術者により、重合体の所望の特性及び重合体の所望の用途に従って上記モノマー(C)から適宜選択され得る。
【0051】
金属表面処理に使用するために、モノマー(C)として、ホスホン酸基及び/又はリン酸基を有するモノマー、特にビニルホスホン酸又はその塩及び/又はそのC1〜C8エステルを使用することが好ましい。特に好ましいモノマー(C)は、ビニルホスホン酸又はその塩及び/又はそのC1〜C8エステルである。
【0052】
繊維の結合に使用するために、特に好適なモノマー(C)は、(メタ)アクリル酸エステル、例えばメチル(メタ)アクリラート、エチル(メタ)アクリラート、プロピル(メタ)アクリラート、又はブチル(メタ)アクリラートである。
【0053】
使用される全てのモノマー(C)の量は、本方法に使用される全モノマーの総量に対して、0〜40質量%、特に0〜30質量%に達する。その量は、0〜20質量%、さらに1〜15質量%、とりわけ2〜10質量%であることが好ましい。架橋性モノマー(C)を使用する場合、その量は、本方法に使用される全モノマーの総量に対して、一般に5質量%以下、好ましくは2質量%以下とすべきである。その量は、例えば10ppm〜1質量%とすることができる。
【0054】
ホスホン酸基及び/又はリン酸基を有するモノマー(C)(特に、ビニルホスホン酸又はその塩及び/又はそのC1〜C8エステル)は、比較的大量に使用することも有利であり得る。このようなモノマー(C)を使用する場合、その量は5〜40質量%、さらに10〜30質量%、特に15〜28質量%、とりわけ20〜25質量%が好ましい。
【0055】
使用されるモノマーは、水溶液中でフリーラジカル重合される。
【0056】
用語「水溶液」は、使用される溶剤又は希釈剤が、主構成成分として水を含んでいることを意味する。しかしながら、さらに、水混和性有機溶剤の部分も、また適宜少量の乳化剤も存在し得る。これは、反応媒体中で、あるモノマー、特にモノマー(C)の溶解性を改良するために、有利である。
【0057】
従って、使用される溶剤又は希釈剤は、溶剤の総量に対して、少なくとも50質量%の水を含んでいる。さらに、1種以上の水混和性溶剤を使用することも可能である。ここでは、特にアルコール、例えばモノアルコール(例、エタノール、プロパノール又はイソプロパノール)、ジアルコール(例、グリコール、ジエチレングリコール又はポリアルキレングリコール)、及びこれらの誘導体を挙げることができる。好ましいアルコールはプロパノール及びイソプロパノールである。水の割合は、少なくとも70質量%、さらに少なくとも80質量%、特に少なくとも90質量%であることが好ましい。水だけを使用することが極めて好ましい。
【0058】
使用されるモノマーのそれぞれの量は、モノマーが使用される特定の溶剤又は希釈剤に溶解するように、熟練技術者により選択される。従って、比較的低溶解性のモノマーは、それらが溶解できる程度までのみ熟練技術者により使用される。適宜、溶解性を向上させるために少量の乳化剤を添加することが可能である。
【0059】
本発明によれば、重合は2〜19.9モル%の少なくとも1種のアミンの存在下に行われる。この範囲は、モノカルボン酸(A)及びジカルボン酸(B)の全COOH基の総量に対する値である。存在し得る他の酸性基は無視される。言い換えれば、COOH基は部分的に中和される。勿論、2種以上の有機アミンの混合物を使用することも可能である。
【0060】
使用されるアミンは、1種以上の、1級及び/又は2級及び/又は3級アミノ基、及び対応する数の有機基を有することができる。有機基は、アルキル、アラルキル、アリール又はアルキルアリール基であり得るが、直鎖又は分岐のアルキル基が好ましい。アミンは、さらに別の官能基を有していても良い。このような官能基好ましい例としては、OH基及び/又はエーテル基を挙げることができる。それ自体容易に水に溶けないアミンを使用することも可能である。なぜなら、酸性モノマーとの接触においてアンモニウムイオンが形成され、これが有利にも水溶解度を向上させるためである。アミンはまたエトキシ化することもできる。
【0061】
適当なアミンの例としては、直鎖、環式及び/又は分岐のC1〜C8モノ−、ジ−及びトリアルキルアミン、直鎖又は分岐のC1〜C8モノ−、ジ−及びトリアルカノールアミン、特にモノ−、ジ−及びトリアルカノールアミン、直鎖又は分岐のC1〜C8モノ−、ジ−及びトリアルカノールアミンの直鎖又は分岐のC1〜C8アルキルエーテル、及びオリゴアミン、及びポリアミン(例、ジエチレントリアミン)を挙げることができる。
【0062】
アミンは、ヘテロ環アミン、例えば、モルホリン、ピペラジン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール及びピペラジンであり得る。耐食抑制特性を有するヘテロ環を使用することが、特に有利であり得る。例えば、ベンズトリアゾール及び/又はトリトリアゾールを挙げることができる。この組合せにより、さらに耐食防止特性を改善することが可能である。
【0063】
さらに、エチレン性不飽和基を有するアミン(特に、モノエチレン性アミン)を用いることも可能である。この種のアミンは、中和アミンとして及びモノマー(C)としての2つの機能を発揮する。例えば、アリルアミンを使用することができる。
【0064】
熟練技術者は、上記アミンから適宜選択することができる。
【0065】
1個のアミノ基のみ有するアミンが好ましい。直鎖又は分岐のC1〜C8モノ−、ジ−及びトリアルカノールアミンが好ましく、特にモノ−、ジ−及びトリエタノールアミン及び/又は対応するエトキシ化生成物が好ましい。
【0066】
使用されるアミンの量は、2〜18モル%、さらに3〜16モル%、及び特に4〜14モル%が好ましい。とりわけ、5〜7モル%及び11〜14モル%が好ましい。
【0067】
アミンは、重合前、又は重合中に添加することができる。重合の開始前、遅くとも重合を開始する時に添加することが好ましい。塩基は、一度に全て、或いは最大で全反応期間に対応する期間に亘って添加することができる。アミンは、導入されたモノマー、即ちモノカルボン酸若しくはジカルボン酸、又はその両方に対して、添加することができ、そしてそれらと共に計量、導入することができる。従って、言い換えれば、カルボン酸は、一部分は、対応するアンモニウム塩の形で計量導入される。アミンは初期充填物に直接計量導入することが好ましい。重合を行うために、ジカルボン酸、或いは適宜、その環状無水物を初期充填物に含ませ、その後アミンを計量導入し、次いで別のモノマー及び/又は開始剤を計量導入することが適当であることが分かっている。しかしながら、このような手順は本発明を限定するものではない。
【0068】
フリーラジカル重合は、適当な熱活性化可能な重合開始剤を用いることにより開始することが好ましい。或いは、例えば、適当な放射線により引き起こす(トリガーする)ことができる。フリーラジカル開始剤は反応溶剤に溶解、好ましくは水溶性であるべきである。
【0069】
熱活性化可能な重合開始剤の中で、30〜150℃、特に50〜120℃の範囲に分解温度を有する開始剤が好ましい。この温度範囲は、通常10時間半減期に基づいている。
【0070】
重合条件下でラジカルに分裂する全ての化合物を開始剤として使用することができ、例えば、無機ペルオキソ化合物(例、ペルオキソジスルファート、特にアンモニウムペルオキソジスルファート、カリウムペルオキソジスルファート、好ましくはナトリウムペルオキソジスルファート)、ヒドロペルオキシド、ペルオキソスルファート、ペルカーボナート及び過酸化水素、及びレドックス開始剤と呼ばれているものを挙げることができる。水溶性開始剤を用いることが好ましい。多くの場合、異種の開始剤の混合物、例えば過酸化水素とナトリウムペルオキソジスルファート又はカリウムペルオキソジスルファートとの混合物、を使用することが有利である。過酸化水素とナトリウムペルオキソジスルファートの混合物は、任意の比率で使用することができる。
【0071】
適当な有機ペルオキソ化合物は、ジアセチルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、ジアミルペルオキシド、ジオクタノイルペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、ビス(o−トリル)ペルオキシド、スクシニルペルオキシド、tert−ブチルペルアセタート、tert−ブチルペルマレアート、tert−ブチルペルイソブチラート、tert−ブチルペルピバラート、tert−ブチルペルオクトアート、tert−ブチルペルネオデカノアート、tert−ブチルペルベンゾアート、tert−ブチルペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、tert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノアート、及びジイソプロピルペルオキシジカルバマートである。
【0072】
また、開始剤としてアゾ化合物も好ましい。これらは有機溶剤に溶解することができるものであり得る。その場合、例えば2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレノニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオナート)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1−[シアノ−1−メチルエチル]アゾ]ホルムアミド、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、及び2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)を挙げることができる。水溶性化合物、例えば2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジスルファートジヒドラート、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]テトラヒドラート、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]及び2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}を用いることが好ましい。
【0073】
加えて、好ましい開始剤はレドックス開始剤である。レドックス開始剤は、酸化成分として、少なくとも1種の上述のペルオキソ化合物、及び還元成分として、例えばアスコルビン酸、グルコース、ソルボース、アンモニウム又はアルカリ金属水素スルフィット、スルフィット、チオスルファート、ヒポスルフィット、ピロスルフィット又はスルフィド、又はナトリウムヒドロキシメチルスルホキシラートを含んでいる。レドックス触媒の還元成分としては、アスコルビン酸又はナトリウムピロスルフィットの使用が好ましい。重合に使用されるモノマーの量に対して、例えば1×10-5〜1モル%の量でレドックス触媒の還元成分が使用される。
【0074】
開始剤及び/又はレドックス開始剤組成物の組合せで、遷移金属触媒、例えば鉄、コバルト、ニッケル、銅、バナジウム及びマンガンの塩をさらに用いることが可能である。適当な塩としては、例えば、硫酸鉄(II)、塩化コバルト(II)、硫酸ニッケル(II)及び塩化銅(I)を挙げることができる。還元作用を有する遷移金属塩は、通常、モノマーの総量に対して0.1〜1000ppmの量で使用される。例えば、過酸化水素と鉄(II)塩との組合せ、例えば、モノマーの総量に対して、0.5〜30質量%の過酸化水素と0.1〜500ppmのFeSO4×7H2Oの組合せが、特に有利である。
【0075】
適当な光開始剤の例としては、アセトフェノン、ベンゾインエーテル、ベンジルジアルキルケトン及びこれらの誘導体を挙げることができる。
【0076】
熱開始剤を用いることが好ましく、水溶性アゾ化合物及び水溶性ペルオキソ化合物が好ましい。無機ペルオキソ化合物、特に過酸化水素、及び中でもナトリウムペルオキソジスルファート又はこれらの混合物を、任意に0.1〜500ppmのFeSO4×7H2Oと組合せて使用することがとりわけ好ましい。過酸化水素が極めて好ましい。
【0077】
勿論、異なる開始剤の混合物でも、それらが相互に悪影響を及ぼさない限り、使用することも可能である。その量は、所望の共重合体に応じて、熟練技術者により決定される。一般的に言えば、全モノマーの総量に対して、0.05〜30質量%、好ましくは0.1〜15質量%、さらに好ましくは0.2〜8質量%の開始剤が使用される。
【0078】
さらに、一般に公知の方法では、適当な調節剤、例えばメルカプタンを使用することも可能である。調節剤は使用しないことが好ましい。
【0079】
本発明によれば、重合は130℃未満の温度で行われる。これにより、重合体が満足な分子量Mw、しかし少なくとも3000g/モルのMwを有することが保証される。
【0080】
これとは別に、温度は、熟練技術者によりモノマーの性質及び所望の共重合体に応じて広範囲で変更することができる。ここで適当であると分かっている最低の温度は約60℃である。温度は重合中一定にすることができ、そうでなければ温度プロファイル(profile)を実行することができる。
【0081】
重合温度は、75〜125℃、さらに80〜120℃、特に90〜110℃、そして例えば95〜105℃であることが好ましい
重合は、フリーラジカル重合用の慣用の装置で行うことができる。水又は水と別の溶剤との混合物の沸騰温度を超えて操作する場合、適当な圧力容器が使用される;そうでなければ重合は加圧しないで操作される。
【0082】
重合中には、水溶液の形態で初期充填物中にジカルボン酸及び/又は対応する無水物を含んでいることが通常適当であることが分かっている。その後、アミンを、適宜、水溶液の形態で添加することができる。水溶液中で、特にアミンの存在下に、無水カルボン酸を、多少迅速に加水分解させ、対応するジカルボン酸を形成する。その後、モノカルボン酸、適宜別のモノマー(C)及び開始剤を、水溶液の形態で、適宜同様に、計量導入することが可能である。適当と分かっている導入時間は、一般に0.5〜24時間、好ましくは1〜12時間、さらに好ましくは2〜8時間である。このように、水溶液中でより容易に反応するモノカルボン酸の濃度は、比較的低く保持される。これにより、モノカルボン酸のそれ自身と反応する傾向を抑えることができ、結果として得られるジカルボン酸単位の共重合体への導入がさらに均一となる。モノマーの全ての導入に続いて、例えば、0.5〜3時間の後反応時間を行っても良い。これにより、重合反応は可能な限り、完結するまで進行することが保証される。また、完結は、重合開始剤を再び計量導入することにより達成することができる。
【0083】
しかしながら、熟練技術者は、勿論別の方法で重合を行うことができる。
【0084】
カルボン酸無水物のみならず、加水分解性基(例、エステル基)を有する他のモノマーも、ある環境下で、重合条件に依存して、完全又は部分的加水分解を受ける。その時、共重合体は加水分解によりもたらされる酸性基を有するモノマーを共重合された形で含んでいるか、或いは加水分解されていない基と加水分解された基とを相互に並んで含んでいる。
【0085】
合成された共重合体は、熟練技術者に公知の慣用な方法(例えば、溶液の濃縮(evaporating)、噴霧乾燥、凍結乾燥又は沈殿)により、水溶液から単離され得る。勿論、重合体は、熟練技術者に公知の精製方法(例えば、限外ろ過)により、精製することもできる。
【0086】
しかしながら、共重合体は、重合後、水溶液から全く単離されることなく、精製されないことが、特に好ましい。すなわち、その代わりに、得られた共重合体用液は、そのまま使用される。
【0087】
このような直接的な継続使用を容易にするために、水溶性溶剤の量は、開始時から、溶剤中の重合体濃度がその用途のために適当であるようにするべきである。特に好適と分かっている濃度は、全成分の総量に対して、一般に15〜70質量%、好ましくは20〜65質量%、さらに好ましくは25〜60質量%、そして例えば45〜55質量%である。
【0088】
本発明の方法によれば、部分的に中和された、カルボキシラート−リッチ共重合体を得ることが可能である。
【0089】
共重合体の組成は、実質的に、使用されるモノマー(A)、(B)及び、任意に使用される(C)の比率に対応している。このため、一般原則として、共重合体は、30〜79.99質量%の少なくとも1種のモノエチレン性不飽和モノカルボン酸、20.01〜70質量%の、下記の一般式:
(HOOC)R1C=CR2(COOH) (I)
及び/又は
12C=C(−(CH2n−COOH)(COOH) (II)
で表される少なくとも1種のモノエチレン性不飽和ジカルボン酸、及び、適宜、0〜30質量%の別のエチレン性不飽和コモノマーを含んでいる(R1及びR2は前記定義されたとおりである)。
【0090】
モノマー(B)の加水分解可能な誘導体を使用した場合、重合体は、加水分解速度及びその条件により、加水分解されないモノマーの部分を含んでいても良い。
【0091】
少量の塩基にも拘わらず、本発明の方法により、共重合化されないジカルボン酸をほんの少量しか含んでいない共重合体が得られる。
【0092】
生成物中の共重合されないジカルボン酸の残留割合は、他の塩基を使用した場合より低い。
【0093】
比較的高いジカルボン酸含有量を有する重合体の場合でさえ、残留含有量が共重合体に対して一般に2質量%以下である。
【0094】
モノカルボン酸(A)の残留量も同様に低く、一般に共重合体に対して0.1質量%以下である。
【0095】
一般に、共重合体では、モノカルボン酸及び/又はジカルボン酸単位の全てのCOOH基の総量に対して、全てのモノカルボン酸及びジカルボン酸単位のCOOH基の中和度が2〜19.9モル%である。一般に、中和度は始めに添加されたアミン量の簡単な生成物である。しかしながら、アミンの性質、特にその揮発度及び塩基性度に応じて、少量のアミンが、重合中及び/又は後処理中に失われる可能性がある。塩基性モノマー(C)を用いた場合、中和度が、ある環境下では、アミン量から明らかな中和度より高いことがあり得る。生成物の中に、アミンは一般にアンモニウムイオンの形で存在し、塩基性度に依存するが、アミンの一部がその生成物に非プロトンの形で存在する可能性もある
本発明の共重合体が、水、又は少なくとも50質量%の水を含む水溶性溶剤に、可溶又は少なくとも分散可能であり、その際熟練技術者はCOOH−リッチポリマーの溶解性はpHに強く依存し得ることに注意をしている。用語”水に分散可能”とは、溶液は完全には透明ではないが、重合体がその中に均一に分散しており、沈殿しないことを意味する。本発明の共重合体は水可溶性であることが好ましい。
【0096】
重合体のpHは一般に5未満であり、好ましくは4未満、さらに好ましくは3未満である。
【0097】
本発明の共重合体の分子量Mw(重量平均)は、少なくとも3000g/モル、好ましくは少なくとも5000g/モル、さらに好ましくは少なくとも8000g/モル、特に好ましくは少なくとも15000g/モルである。1000000g/モルを超える分子量を得ることも可能である。通常、Mwは、3000〜1500000g/モル、好ましくは5000〜1000000g/モル、さらに好ましくは8000〜750000g/モル、例えば好ましくは15000〜500000g/モルである。分子量は、所望の用途に従って熟練技術者によって決定される。
【0098】
好ましい共重合体は、モノマーとしてアクリル酸及びマレイン酸を含み、さらに、適宜別のモノマー(C)を含んでいる。好ましい別のモノマーとしては、リン酸基又はホスホン酸基を有するモノマー、例えばビニルホスホン酸、又は(メタ)アクリル酸エステル、例えばメチル(メタ)アクリラート、エチル(メタ)アクリラート、プロピル(メタ)アクリラート又はブチル(メタ)アクリラートを挙げることができる。
【0099】
特に、アクリル酸、マレイン酸、及び5〜40質量%のリン酸基又はホスホン酸基を有するモノマー(C)を含む共重合体が好ましい。モノマー(C)は、ビニルホスホン酸又はその塩及び/又はそのC1〜C8エステルが好ましく、さらにビニルホスホン酸が好ましい。
【0100】
本発明の別の側面は、本発明の共重合体を表面処理のために使用する方法にある。その例としては、金属表面、又は繊維材料又は織物材料の表面を挙げることができる。中和されていないCOOH基が高密度であるので、共重合体の表面との特に良好な接着性が得られる。
【0101】
本発明の重合体は、特に、金属表面処理に使用することができる。このため、本発明の重合体は、対応する調製物の成分として;例えば洗浄剤、酸洗い溶液、耐蝕防止剤及び/又は不動態化用調製物の成分として、使用することができる。
【0102】
本発明の共重合体は、金属表面の不動態化、又は金属上の不動態化層の形成に特に有利に使用することができる。用語”不動態化層”の代わりに、用語”化成被覆”が屡々同意語として使用され、時々、用語”前処理層”又は”後処理層”も、不動態化処理を行う段階に従って使用される。
【0103】
所望のどのような表面でも、本発明の重合体を用いて、処理、特に不動態化を行うことができる。しかしながら、本発明における表面は、Zn、Zn合金、Al又はAl合金の表面であることが好ましい。これらは、全てが上記金属及び/又は合金からなる構造体又はワークピースの表面であり得る。或いは、Zn、Zn合金、Al又はAl合金で被覆された構造体の表面でも良く、その場合、構造体は他の材料:他の金属、合金、ポリマー又は複合材料から構成されることも可能である。本発明における表面は、特に、亜鉛めっき鉄、又は亜鉛めっきされた若しくはされていないスチールの表面であり得る。スチールは、高合金又は低合金スチールであることも可能である。この処理の特別の一態様においては、それは、ストリップ金属の表面、特に電解亜鉛めっきスチール又は溶融亜鉛めっきスチールの表面である。さらに好ましい態様では自動車の車体である。
【0104】
Zn合金及びAl合金は熟練技術者に公知である。熟練技術者は、所望の最終用途に従って合金構成成分の種類及び量を選択する。溶融法の亜鉛合金の代表的構成成分としては、特にAl、Pb、Si、Mg、Sn、Cu又はCdを挙げることができる。電解めっきされる亜鉛合金の代表的構成成分としては、Ni、Fe、Co及びMnを挙げることができる。アルミニウム合金の代表的な構成成分としては、特に、Mg、Mn、Si、Zn、Cr、Zr、Cu又はTiを挙げることができる。本発明における合金はAl/Zn合金(AlとZnがほぼ等しい量で存在)であり得る。このような亜鉛合金が被覆されたスチールは市販されている。
【0105】
金属表面処理のために、マレイン酸含有量が20.01〜40質量%、例えば25〜40質量%であるアクリル酸−マレイン酸共重合体を使用することが好ましい。さらに、55〜78質量%、好ましくは65〜78質量%、さらに好ましくは65〜75質量%のアクリル酸、20.01〜34質量%、好ましくは21〜34質量%、さらに好ましくは22〜30質量%のマレイン酸、及び1〜24.99質量%、好ましくは2〜24質量%、さらに好ましくは5〜22質量%のビニルホスホン酸(ある環境ではそのエステルの形で一部存在しても良い)の三元重合体(ターポリマー)が好ましい。
【0106】
例えば、71〜73質量%のアクリル酸、23〜25質量%のマレイン酸、及び3〜5質量%のビニルホスホン酸の三元重合体を使用することが可能である。
【0107】
さらに、例えば、55〜62質量%のアクリル酸、20.01〜22質量%のマレイン酸、及び16〜24質量%のビニルホスホン酸の三元重合体、及び65〜70質量%のアクリル酸、21〜25質量%のマレイン酸、及び6〜12質量%のビニルホスホン酸の三元重合体を挙げることができる。
【0108】
比較的高い分子量Mwを有する共重合体を金属表面に処理に使用することが好ましく;特に、5000〜1500000g/モル、好ましくは10000〜1000000g/モル、さらに好ましくは20000〜800000g/モル、極めて好ましくは50000〜500000g/モルのMwを有する共重合体が好ましい。
【0109】
アクリル酸/マレイン酸/ビニルホスホン酸の三元重合体においては、10000〜100000g/モル、好ましくは15000〜80000g/モル、さらに好ましくは20000〜50000g/モル、例えば20000〜30000g/モルのMwを有する重合体が好ましい。
【0110】
本発明の共重合体は、適当な調製物の形態で金属表面処理に使用されることが好ましい。使用される調製物は、
本発明の1種以上の共重合体、
水、又は少なくとも50質量%の水を含む水性溶剤混合物、及び
任意に別の成分
を含んでいる。
【0111】
溶剤として水のみ使用することが好ましい。混合物の別の成分は、水混和性溶剤である。例えば、モノアルコール、例えばメタノール、エタノール又はプロパノール、高級アルコール、例えばエチレングリコール又はポリエーテルポリオール、及びエーテルアルコール、例えばブチルグリコール又はメトキシプロパノールを挙げることができる。水溶性混合物を使用する場合、その混合物は少なくとも65質量%、さらに少なくとも80質量%、特に少なくとも95質量%の水を含むことが好ましい。これらの量は是尿剤の総量に対する値である。
【0112】
重合から即座に得られる重合体−含有溶液を使用することが特に好ましい。適宜に、それらはさらに希釈することもでき、及び/又は別の成分を添加することができる。
【0113】
調製物中の本発明の共重合体の濃度は、所望の最終用途に従って、熟練技術者により決定される。例えば、不動態化層の厚さは、その用途で選択される処理技術、さらには、例えば、不動態化に使用される組成物の粘度、に依存して変化する。一般に、適当であると分かっている濃度は、0.01〜500g/L(リットル)、好ましくは0.1〜200g/L、さらに好ましくは0.5〜100g/Lである。上述の濃度は、直ぐに使用できる形態の調製物に基づいている。一般に、まず、現場でのみ、水又は任意に他の溶剤混合物で希釈して所望の濃度にする、濃縮物を作製することができる。0.1〜100g/Lの濃度が、ディッピング法には好適であることが分かっている。比較的高い濃度、特に150〜300g/Lの調製物が、過剰の調製物が別の方法で圧搾されるか、除去される方法で使用することが好適であることが分かっている。
【0114】
本発明に従い使用される調製物は、酸性である。調製物は、一般に0.5〜6のpHを有する。調製物は、狭いpH範囲を基材及び用途の種類に従って、さらには表面を調製物に曝す時間に従って、選択することが可能である。例えば、pHは、アルミニウム表面を処理するためには1〜4の範囲に、亜鉛スチール又は亜鉛メッキスチールを処理する場合は1〜5の範囲に調節することが好ましい。
【0115】
調製物のpHは、本発明の共重合体の性質及び濃度によって制御されるので、自動的に決まる。
【0116】
或いは、選択肢として、調製物は、さらに少なくとも1種の有機酸又は無機酸或いはこれらの混合物を含むことができる。適当な酸の例としては、リンの酸、イオウの酸、又は窒素の酸、例えばリン酸、ホスホン酸、硫酸、スルホン酸(例、メタンスルホン酸、アミドスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、m−ニトロベンゼンスルホン酸及びこれらの誘導体)、硝酸、フッ化水素酸、塩酸、ギ酸又は酢酸を挙げることができる。好ましい酸は、HNO3、H2SO4、H3PO4、ギ酸又は酢酸から選択される。H3PO4及び/又はHNO3が特に好ましい。異種の酸の混合物を使用することも勿論好ましい。ホスホン酸の例としては、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸(PBTC)、アミノトリ(メチレンホスホン酸)(ATMP)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(EDTMP)、又はジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(DTPMP)を挙げることができる。
【0117】
調製物の酸の性質及び濃度は、所望の最終用途及びpHに従って熟練技術者により決定される。適当と分かっている濃度は、一般に、0.01〜30g/L、好ましくは0.05〜3g/L、さらに好ましくは0.1〜5g/Lである。
【0118】
上述の成分とは別に、調製物は、任意に、別の成分も含むことができる。
【0119】
その任意成分としては、例えば、遷移金属イオン及び遷移金属化合物(例、Ce、Ni、Co、V、Fe、Zn、Zr、Ca、Mn、Mo、W、Ti、Zr、Hf、Bi、Crのイオン及び化合物、及び/又はランタニドのイオン及び化合物)を挙げることができる。これらはまた、主族元素、例えばSi及び/又はAlの化合物でもあり得る。これらの化合物は、例えば、それぞれアクア錯体の形で使用され得る。或いは、これらは、他のリガンドとの錯体、例えばTi(IV)、Zr(IV)又はSi(IV)のフッ化物錯体、又はオキソメタラート、例えばMoO42-又はWO42-であっても良い。これらはまた酸化物、例えばZnOであっても良い。さらに、錯体を典型的なキレート形成リガンド、例えばエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、ヒドロキシエチレンジアミントリ酢酸(HEDTA)、ニトリロトリ酢酸(NTA)又はメチルグリシンジ酢酸(MGDA)と共に使用することも可能である。
【0120】
追加成分は、好ましくは、Zn2+、Mg2+又はCa2+から選択される溶解した金属イオンであり得る。これらのイオンは、水和金属イオンの形であるか、或いは溶解した化合物、例えば錯体化合物でもあり得る。特に、イオンは、重合体の酸性基と錯体結合を有することができる。好ましくは、そのイオンの種類はZn2+又はMg2+であり、特にZn2+である。調製物は、これ以外の別の金属イオンを含まない方が好ましい。
【0121】
しかしながら、別の金属イオン又は金属化合物が存在する場合、その調製物はクロム化合物を含まない調製物であることが好ましい。さらに、好ましくは、フッ化金属又はフッ化錯金属(complex metal fluoride)は存在すべきでない。このため、本発明の重合体を用いる不動態化は、クロム非含有不動態化、さらにクロム非含有及びフッ化物非含有不動態化であることが好ましい。
【0122】
本発明の使用において、亜鉛イオン及び鉄イオン以外の重金属イオンはどれも使用しないことがさらに好ましく、特に、ニッケルイオン、マンガンイオン及びコバルトイオンを使用しないことが好ましい。
【0123】
存在する場合、Zn2+、Mg2+又はCa2+から選択される金属イオンの量は、0.01〜25%、さらに0.5〜20%、特に1〜15%、とりわけ3〜12%であることが好ましい。これらの量は、調製物中の全重合体の総量に対する値である。
【0124】
Zn2+、Mg2+又はCa2+から選択される金属イオンは、ホスファートとして使用することが好ましい。そのホスファートは、どのような種類のホスファートであっても良い。例えば、オルトホスファート又はジホスファートであっても良い。熟練技術者にとっては、pH及び濃度に依存して変化する溶液において、イオンの種々の解離状態の間における平衡が存在し得ることは明らかである。好適な化合物の例としては、Zn3(PO42、ZnH2PO4、Mg3(PO42又はCa(H2PO42、或いはその対応する水和物を挙げることができる。
【0125】
或いは、亜鉛イオン及びホスファートイオンは、互いに別々に添加することができる。例えば、金属イオンを、対応するニトラートの形で使用することが可能であり、ホスファートはリン酸の形で使用することができる。不溶性又は余り溶解しない化合物、例えば対応する炭酸塩、酸化物、酸化物水和物、又は水酸化物(これらは酸の影響下で溶解する)を使用することも可能である。
【0126】
存在する場合、ホスファートの量は、0.01〜25%、さらに0.5〜25%、特に1〜25%、とりわけ5〜25%(オルトリン酸換算値である)であることが好ましい。これらの量は、調製物中の全重合体の総量に対する値である。
【0127】
さらに任意成分として、表面活性化合物、防蝕剤、代表的な電気メッキ助剤、或いは本発明の重合体と異種の他の重合体を挙げることができる。
【0128】
熟練技術者により、所望の用途に従って、一般にあり得る任意の成分の間から適当に選択され、及びその量が選択される。
【0129】
別の耐蝕剤としては、ブチンジオール、プロパギルアルコール、及びこれらのエトキシ化誘導体、及びヘテロ環(例、ベンゾトリアゾール及びトリルトリアゾール)を挙げることができる。後者の化合物は共重合体の実際の合成中に塩基として使用することが特に有利であり得る。
【0130】
別の成分の例としては、アミン(例、ヒドロキシルアミン、アルキルアミン、及びアルカノールアミン)、或いは塩(例、亜硝酸塩、硝酸塩(ニトラート))を挙げることができる。
【0131】
別の重合体は、層の特性を微調整するために使用することができる。本発明では、特に、酸性基含有重合体、中でもCOOH基含有重合体を使用することが可能である。このような重合体の例として、種々の分子量のポリアクリル酸、或いはアクリル酸と他の酸性モノマーとの共重合体を挙げることができる。これらの中には、本発明の共重合体とモノマー含有量の点においてのみ異なるアクリル酸/マレイン酸共重合体も含まれる。
【0132】
このような副次的重合体の量は、全重合体の量に対して50質量%を一般に超えるべきでない。その量は、0〜30質量%、さらに0〜20質量%、特に0〜10質量%であることが好ましい。
【0133】
金属表面の不動態化のために、金属表面は、例えば噴霧、ディッピング法、又はロール(ロール塗布)法により調製物で処理される。ディッピング操作の後、過剰の処理溶液は、ワークピースをドリップ乾燥させて除去することができる;或いは、金属シート、金属フォイル等の場合、過剰の処理溶液は、圧搾又はスキージにより除去することができる。この処理の間に、調製物の重合体及び別の成分の少なくとも一部が、金属表面に吸着され、及び/又は表面と反応し、これにより固体結合が表面と成分との間に生ずる。調製物での処理は、一般に室温で行われる。しかしながら、これは、一般に、より高い温度での可能性を排除するものではない。処理は、一般に20〜90℃、好ましくは25〜80℃、さらに好ましくは30〜60℃で行われる。このため、処方(調製物)で満たした浴を加熱し、そうでなければ加熱金属を浴に浸漬することにより、自動的に高温がもたらされるかもしれない。
【0134】
不動態化は、実質的にクロムを含まない不動態化であることが好ましい。これは、不動態化層の特性を微調整するために、多くとも少量のクロム化合物を添加することを意味することを意図している。そのクロム量は、組成物の全構成成分に対して、一般に2質量%を超えない、好ましくは1質量%を超えない、さらに好ましくは0.5質量%を超えない量であるべきである。クロム化合物を使用する場合、Cr(III)化合物を使用することが好ましい。しかしながら、不動態化金属のCr(VI)含有量は、いずれの場合でも、1mg/m2を超えないように低く保持されるべきである。
【0135】
特に好ましい態様では、不動態化はクロム非含有不動態化である;即ち、使用される調製物は、Cr化合物を、それがどんなものであれ、含んでいない。しかしながら、用語”クロム非含有”は、少量のクロムが本発明の方法に間接的或いは知らない内に同伴することを排除するものではない。例えば、合金構成成分としてクロムを含む合金(例えば、Cr−含有スチール)を、本発明の方法を用いて不動態化した場合、処理される金属に含まれる少量のクロムが本方法に使用される調製物によって溶解し、このため調製物中に知らない内に混入するかもしれない。このような成り行きで、金属を用いた場合であっても、本方法はなお”クロム非含有”と見なすべきである。
【0136】
本発明の処理は、”無洗浄(no-rinse)”操作である。この場合、処理溶液は乾燥機で直接乾燥され、その直後に洗浄(リンス)することなく処理(塗布)される。しかしながら、その後、表面から使用した調製物を除去するために、洗浄液、特に水を用いて表面を洗浄(リンス)することも可能である。
【0137】
金属表面の調製物による処理は、非連続的又は連続的に行うことができるが連続的が好ましい。連続法は、金属ストリップ(strip)を処理するのに特に好適である。この場合の金属ストリップは、噴霧液を有するトラフ(trough)又は噴霧装置、そして、任意に、別の前処理又は後処理ステーションを通過する。スチールストリップを製造する連続法は、例えば、亜鉛メッキステーション、続いて調製物で不動態化するための装置を含むことができる。
【0138】
この処理の時間は、処理に使用される組成物の所望の特性の層及び技術的境界条件に従って、熟練技術者により決定される。それは、実質的に1秒未満又は2分以上ではない。連続法の場合、表面と調製物との接触を、1〜60秒とすることが特に適当であることが分かっている。
【0139】
この処理の後、使用された溶剤を除去する。その除去は、室温の空気中での簡単な蒸発(evaporation)により、室温で行うことができる。
【0140】
そうでなければ、溶剤の除去を、適当な補助手段:例えば、処理表面上への、加熱により及び/又は蒸気流入、特に空気流により、助力することができる。溶剤の蒸発は、例えばIR放出器、或いは乾燥トンネル中での乾燥により助力することができる。乾燥に適当と分かっている温度は、30〜120℃、さらに40〜120℃、特に40〜80℃であり、好ましい。これは、金属に見られるピーク温度(ピーク金属温度(PMT))を参考にしている。ピーク温度は、熟練技術者が良く知っている方法(例、接触の少ない赤外線測定、又は接着結合試験ストリップによる温度測定)により測定することができる。乾燥機温度は適宜より高く設定しなければならず、従って熟練技術者により選択される。
【0141】
本発明の方法は、任意に、1以上の前処理工程も含むことができる。例えば、本発明に従い使用される調製物による不動態化に先立って、グリース又は油を除去するために、金属表面を洗浄することができる。付着酸化物、酸化膜(scale)、一時的な腐食保護等を除去するために、不動態化の前に、金属表面を酸洗いすることもできる。さらにその表面は、このような前処理の後又は間に、洗浄(リンス)溶液又は酸洗い液の残さを除去するために、適宜、水でさらに洗浄(リンス)しても良い。
【0142】
不動態化層はまた、さらに架橋されても良い。このために、架橋剤を調製物に混合することができる。他の選択肢として、まず金属を調製物で処理し、その後好適な架橋剤で層を処理する(例、架橋剤溶液をそれに噴霧する)ことが挙げられる。
【0143】
好適な架橋剤は水溶性であるか、或いは水性溶剤混合物に少なくとも溶解性であるべきである。好適な架橋剤の例としては、特に、アジラン(azirane)基、オキシラン基及びチイラン基から選択される少なくとも2個の架橋基を有するものを挙げることができる。さらに好適な架橋剤としては、本出願人の無公開の特許出願DE10349728.5に開示されており、この点について参照により明確に取り込まれている。
【0144】
本発明の方法により、不動態化層は、特に、Zn、Zn合金、Al又はAl合金上で得ることができる。このような処理の途中で、保護されるべき金属の一部が溶解し、即座に、金属表面の酸化物膜に再合体される。不動態化層の正確な構造及び組成は、発明者等には知られていない。しかしながら、アルミニウム又は亜鉛、適宜別の金属における通常のアモルファス酸化物と同様に、不動態化層は、調製物の重合体及び適宜架橋剤及び/又は別の成分の反応生成物も含んでいる。不動態化層の組成は一般に均質ではなく;成分は濃度勾配を示すと考えられる。
【0145】
高いCOOH基含有量及び低い中和度の組合せにより、特定の酸性重合体が得られ、その結果、上述の金属表面の”初期溶解”が進んで、特に良好な効果をもたらし、優れた防蝕性が得られる。
【0146】
不動態化層の厚さはその層の所望の特性に従って熟練技術者により調整される。その厚さは、一般に0.01〜3μm、好ましくは0.1〜2.5μm、さらに好ましくは0.2〜2μm、特に好ましくは0.3〜1.5μmであり、例えば1〜2μmである。厚さは、例えば、使用された成分の性質及び量及びその曝露(塗布)時間により影響を受け得る。加えて、厚さに影響する方法の技術的パラメータを使用することも、例えば、ローラ又はスキージを用いて過剰の処理溶液を除去することにより、可能である。
【0147】
層の厚さは、本発明に従い使用される組成物に金属表面を曝露させる前又は後に、層の比重が1kg/Lを持つとの想定の基に、微分計量(differential weighing)により確定される。以下では、”層厚”は、層の実際の比重に関係なく、常にこのように決定された変数を参照している。これらの薄い層で、顕著な防食性を得るためには十分である。この種の薄層は、不動態化ワークピースの寸法を維持することを保証するものである。
【0148】
本明細書では、さらに、本発明の不動態化層を含む金属表面も提供する。不動態化層は実際の金属表面に直接施される(例、塗布される)。一好適態様において、金属表面は、Zn又はZn合金の被膜を含み、その被膜の上に本発明の不動態化層が塗布された、スチール製のストリップ金属の表面である。本発明の不動態化層で被覆された自動車車体でもあり得る。
【0149】
不動態化層を有する金属表面は、一般に、一層以上の着色又は効果的な塗膜で公知の方法により被覆されて得る。代表的な塗料、その組成、及び2層以上の塗膜の場合の代表的な層順序は、一般に熟練技術者には公知である。本発明では、本発明の不動態化により塗料の接着性が改善され、下部(層)移行に対して保護機能が生ずる。
【0150】
本発明の重合体を用いた不動態化は、プロセスの種々の段階で使用することができる。これは、例えば、鉄鋼メーカーの構内で行うことができる。スチールストリップを連続法で亜鉛メッキした場合、亜鉛メッキ直後に、本発明で使用される調製物で処理して不動態化され得る。この段階での不動態化は、熟練技術者により、屡々”後処理”といわれる。
【0151】
不動態化は、単に、貯蔵中及び搬送中及び/又は別の加工工程中における防蝕の機能を有する一時的な不動態化でも良く、それは永久防蝕を付与する前に再び除去される。酸性共重合体は、アルカリ性水溶液で洗浄することにより再び表面から除去することができる。
【0152】
或いは、防蝕処理は、コイル形状又は最終形状のワークピースに残る永久処理であっても良く、さらなる塗膜が設けられる。この段階での不動態化は熟練技術者により屡々”前処理”といわれる。
【0153】
不動態化され、適宜塗膜が付与された金属シート、ストリップ又は他の半完成金属生成物は、さらに加工され、金属ワークピース、例えば自動車車体とすることができる。一般に、これは、少なくとも一つの別の工程及び成形工程が必要となる。より大きなコンポーネントは、その後、個々の部品から組み立てられる。成形は、材料の形状の変化を含んでおり、一般に工具との接触により変化する。この成形の例としては、圧縮成形(例、ローリング又はエンボス)、引張圧縮成形(例、低温延伸、深絞り、プランジャー成形(plunging)又は曲げ(bending))、引張成形(例、長さ方向又は幅方向に引張)、屈曲成形(例、曲げ、ロール−曲げ、又は端部−曲げ)、及び剪断成形(例、ねじり又は転位)を挙げることができる。
【0154】
低い中和度を有する本発明の共重合体を用いることにより、高い中和度のアクリル酸及び/又はマレイン酸の公知の単独重合体又は共重合体を用いた場合より、顕著に向上した防蝕性を有する不動態化層を得ることができる。
【0155】
金属ストリップの本発明の処理による別の優位性は、ストリップを、塗膜の無い状態でも白錆の形成から保護し、クロマート−含有薬剤又はヘキサフルオロメタラートを使用する必要がない。ヘキサフルオロメタラートは、錯体組成物の混合物においてのみ活性であり、その組成物は操作中は連続して試験されなければならず、そして次の個々の成分の計量導入により狭い範囲内に保持されなければならない。このように続いて行われる計量導入は、本発明の方法では、省略することができる。
【0156】
本発明の別の側面は、基材を結合するために、特に繊維及び/又は粒状基材を結合するために、本発明の共重合体を使用する方法にある。このような基材の例としては、種々の天然及び/又は合成材料の繊維、スリバー(sliver)又はチップ(chip)を挙げることができる。
【0157】
基材結合のために、マレイン酸含有量が25〜50質量%、例えば25質量%、30質量%、50質量%のアクリル酸−マレイン酸共重合体を好ましく使用することができる。
【0158】
基材結合のために、余り高くない分子量Mwを有する共重合体、特に、Mwが3000〜500000(g/モル)、好ましくは5000〜250000(g/モル)、さらに好ましくは8000〜120000(g/モル)、とりわけ10000〜100000(g/モル)を有する共重合体を使用することが好ましい。
【0159】
基材の結合のために、本発明の共重合体が、バインダ調製物(処方)(特に熱硬化性バインダ調製物)の成分として使用することが好ましい。そのバインダ調製物は、
少なくとも、
1種以上の本発明の共重合体、
1種以上の架橋剤、及び
任意に、適当な溶剤又は溶剤混合物、及び/又は
別の成分
を含んでいる。
【0160】
結合は、例えば、チップ、スリバー等をバインダ調製物(処方)と混合し、シート等の成形品を形成することにより起こり得る。成形品は造形及び硬化されている。成形品をまず造形し、その後それらをバインダ調製物で処理し硬化させることも可能である。このような一例は、バインダ調製物を用いて機械的に補強された、繊維材料(例、不織布、織布又はマット(敷物))の成形品である。
【0161】
調製物の溶剤は、水又は水性溶剤混合物であることが好ましい。特に水性溶剤混合物は、前記で規定したように少なくも50質量%の水を含んでいる。
【0162】
特別の優位性として、さらなる仕上げ及び/又は精製することなく、本発明の共重合体溶液を、重合から直接得られたままで使用することができる。それらは、適宜、さらに希釈するか、及び/又は別の成分を添加することもできる。
【0163】
その適性が一般に知られている架橋剤は、本発明の共重合体と反応することができる少なくとも2個の官能基を有する化合物である。溶剤を使用する場合、架橋剤は溶剤又は溶剤混合物に可溶でなければならない。使用される好ましい架橋剤は水溶性である。一般に、架橋剤は高温でのみ本発明の共重合体と反応するものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。勿論、2種以上の異種の架橋剤の混合物を使用することも可能である。
【0164】
好適な架橋剤の例としては、少なくとも2個のOH基を有する化合物を特に挙げることができる。これらは、本発明で使用される共重合体のCOOH基と高温で反応し、エステル化が起こる。別のCOOH基のH+イオンはエステル化触媒として働く。本発明で使用される共重合体の高いCOOH基含有量及び低い中和度の結果として、有利なことに、酸性触媒が特に有効に生ずる。比較的穏和な条件でさえ、高い架橋度が得られる。
【0165】
少なくとも2個のOH基を有する化合物の例としては、単純なポリアルコール、例えばトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール、グルコース、ソルビトール、ヘキサンジオール、グリセロール又はポリビニルアルコールを挙げることができる。アルカノールを基礎とする架橋剤の詳細は、例えばWO97/31059に開示されている。
【0166】
少なくとも2個のOH基を有する化合物は、別の官能基を含むことができる。特にアミノ基を挙げることができる。このような架橋剤の例としては、ジ−又はトリ−アルカノールアミン、例えばジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、メチルジエタノールアミン、ブチルジエタノールアミン、又はメチルジイソプロパノールアミンを挙げることができる。トリエタノールアミンが特に好ましい。
【0167】
追加の塩基性基を有するこの種の架橋剤の特に有利な点は、それらが共重合体の製造過程で既に塩基として有利に使用され得ることである。この場合、製造された共重合体は、既に架橋剤全て又は架橋剤の少なくとも一部を既に含んでいる。
【0168】
他の官能基(例、1級アミノ基)を有する架橋剤を使用することもできる。例えば、ポリアミン或いはリシン等のアミノ酸を挙げることができる。勿論、異種の架橋剤の混合物を使用することも可能である。
【0169】
本発明の共重合体及び架橋剤は、使用される本発明の共重合体のカルボキシル基の、架橋剤の架橋基(即ちOH基)に対するモル比が、例えば20:1〜1:1、好ましくは8:1〜5:1、さらに好ましくは5:1〜1.7:1となるように、通常使用される。
【0170】
塩基性基を有する架橋剤を使用する場合、それらの量を、架橋剤の添加後でさえ、本発明で使用される重合体の中和度(中和に等しい度合い)がCOOH基に対して19.9モル%を超えないように制限することが特に好ましいことが分かっている。但し、本発明はこれに限定されるものではない。このようにして、強度が特に良好な不織布が得られる。
【0171】
バインダ調製物(処方)は、例えば、架橋剤を、本発明の共重合体又は本発明の共重合体の水溶液と単に混合することにより製造することができる。特に好適な水溶液は、重合により得られる共重合体溶液である。
【0172】
架橋剤を重合終了直後ぐらいに早く添加し、この混合物を直ぐに使用できようにされる。或いは、架橋剤を、使用前、できるだけ遅い時点まで、添加しないこともできる。アミノ基を有する架橋剤(例、トリエタノールアミン)を使用する場合、その添加は、実際の重合途中で添加することが有利である。この場合、この架橋剤は、架橋剤及び重合中のアミンとしての2重の機能を実現する。
【0173】
バインダ調製物は、任意に別の成分を含むことができる。このような成分の身元(種類)及び量は、それぞれの末端用途によって定められる。
【0174】
例えば、反応促進剤、特にリン系反応促進剤を使用することが可能である。さらに、このような促進剤の詳細は、WO97/21059、11頁に開示されている。リン系反応促進剤は存在しない方が好ましい。
【0175】
加えて、エステル化触媒、例えば硫酸又はp−トルエンスルホン酸を使用することが可能である。さらなる酸性エステル化触媒は存在しない方が好ましい。
【0176】
別の成分の例としては、染料、顔料、殺生物剤、可塑剤、増粘剤又は接着促進剤(例、アルコキシシラン、例えばγ−アミノプロピルトリエトキシシラン)、還元剤及びトランスエステル化触媒、又は難燃剤(例、ケイ酸アルミニウム、水酸化アルミニウム又はホウ酸塩)、又はイオン性乳化剤若しくは非イオン性乳化剤、疎水化剤(例、シリコーン)、又は保持剤等を挙げることができる。
【0177】
本発明の重合体と異なる追加の重合体を使用することも可能である。本発明では、酸性基を有する重合体、極めて好ましくはCOOH基を有する重合体を使用することが特に可能である。このような重合体の例としては、種々の分子量のポリアクリル酸、或いはアクリル酸と他の酸性モノマーとの共重合体を挙げることができる。これらは、本発明の共重合体とモノマー含有量の点においてのみ異なるアクリル酸/マレイン酸共重合体であり得る。しかしながら、他の重合体、例えば、分散体(アクリレート分散体、スチレン−ブタジエン分散体)、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、又はメラミン/ホルムアルデヒド樹脂等を使用することも可能である。
【0178】
このような副次的重合体の量は、使用される全ての重合体の量に対して、一般に50質量%を超えるべきではない。その量は、0〜30質量%、さらに0〜20質量%、特に0〜10質量%であることが好ましい。
【0179】
本発明の共重合体のバインダ調製物は、繊維布(ウェブ)を製造するために使用することができる。このような材料の例としては、セルロース、セルロースアセタート、セルロースのエステル及びエーテル、綿、麻、サイザル麻、ジュート、亜麻、ココナッツ繊維、又はバナナ繊維、コルク、動物繊維(例、羊毛又は髪)、特に合成繊維又は無機繊維の不織布(例、アラミド繊維、炭素繊維、ポリアクリロニトリル繊維、ポリエステル繊維、PVC繊維又は鉱物繊維(ガラス繊維及び岩綿))を挙げることができる。結合されていない繊維布(未処理繊維布)を結合させる;即ち使用される本発明のバインダ調製物によって固めるか、或いは機械的に強化される。鉱物繊維布及び天然繊維布が好ましい。
【0180】
繊維布(fiber web)としての使用においては、調製物は、特に、次の添加剤:ケイ酸塩、シリコーン、ホウ素化合物、滑剤及び湿潤剤を含むことができる。
【0181】
バインダ調製物は、被覆(coat)、噴霧、含浸又は浸漬により未処理繊維布に適用される。適用量は、未処理繊維布の、バインダ調製物の成分に対する質量比が、溶剤量を考慮しないで、25:1〜1:1、好ましくは20:1〜3:1の範囲となるように設定されるのが有利である。
【0182】
バインダ調製物の未処理繊維布への適用に続いて、好ましくは100〜400℃、特に130〜280℃、とりわけ130〜230℃において、好ましくは10秒〜10分、特に10秒〜3分の間で乾燥が行われる。
【0183】
本発明の共重合体を用いて結合されて得られる繊維布は、従来のカルボキシラート−含有バインダに比較して、乾燥及びウエット状態で屈曲強度が増大している。高いCOOH密度のため、重合体は、未処理布に極めて良く接着している。比較的低い残留モノマー含有量のために、布の製造及び使用中において、放出がより低いレベルでしか起こらないし、布の臭気も低い。ウエット状態で使用中における溶出損失は低く、このため結合した布に常に高い強度をもたらす。
【0184】
結合された繊維布、特に鉱物繊維布は、ルーフィングメンブレイン(roofing membrane)として、壁紙材料として、又はインライナー(inliner)又は床(例えばPVC製の床)を被覆する基本材料としての使用に好適である。ルーフィングメンブレインの使用では、結合された繊維布は、一般にビチューメン(瀝青)で被覆されている。
【0185】
本発明の共重合体を有するバインダ調製物を、上述の繊維(特に、無機繊維、例えば鉱物繊維(ガラス綿又は岩綿))製の絶縁体のためのバインダとして追加的に使用することができる。絶縁体用繊維は、対応する原材料の鉱物材料の溶融物を紡糸することにより大部分は工業的に製造されている;例えばEP−A−567480に記載されている。絶縁体に使用される鉱物繊維又はガラス繊維の大部分は、0.5μmと20μmの間の直径、0.5cmと10cmの間の長さを有する。
【0186】
この実用(utility)において、水溶液を使用することが有利である。この用途において、バインダ調製物の追加成分の例としては、疎水化剤、例えばシリコーンオイル、アルコキシシラン、例えば3−アミノプロピルトリエトキシシラン(カップリング剤としての)、可溶性オイル又は乳化オイル(滑剤としての)、及びダストバインダ、さらに湿潤助剤を挙げることができる。
【0187】
水溶性調製物は、絶縁体の製造途中で、まだ熱い新しく製造された繊維に直接噴霧することにより施される(塗布される)ことが好ましい。水が、優先的に蒸発し、バインダ調製物が、実質的に硬化していない形で残存し、繊維に粘チョウな”ハイソリッド”材料として接着する。これらのバインダ含有繊維マットは、適当なコンベアベルトにより硬化オーブンまで搬送される。そこで、樹脂は約150〜350℃のオーブン温度で硬化する。硬化オーブンの後、絶縁体マットは、最終用途処理が適宜行われる;即ち最終ユーザに適した形状に切断される。
【0188】
バインダ調製物は、研磨パッド、例えば結合した繊維布を基礎とするパンクリーナ(pan cleaner)又は研磨剤、を製造するためにも好適である。本発明で使用される繊維は、特に、天然繊維及び合成繊維、例えばポリアミドを挙げることができる。パンクリーナ又は研磨剤の場合、繊維布は、好ましくは噴霧法により、固化される。
【0189】
バインダ調製物は木材ベース材料、例えばチップボード及び繊維ボードの製造にも好適であり、これらは木材チップ及び木材繊維を接着することにより製造することができる(参照、Ullmanns Encyclopaedie der technishen Chemie, 第4版, 1976, 第12巻, 709-727頁)。
【0190】
木材ベース材料の耐水性は、バインダ調製物に市販の通常のパラフィン水性分散体又は他の疎水化剤を添加することにより、或いはこのような疎水化剤を、予め又は後で、繊維、チップ又は削り屑に添加することにより向上させることができる。
【0191】
チップボードの製造法は一般に知られており、たとえば、H.J. Deppe, K. Emst Taschenbuch der Spanplattentechnik, 第2版, Verlag Leinfelden 1982に記載されている。さらに、製造の詳細法は、WO97/31059、13頁、29行〜14頁、27行にも開示されている。
【0192】
バインダ調製物は、さらに、周知の製造方法に従い合板及び木工板を製造するために適当である。
【0193】
他の天然繊維、例えばサイザル麻、ジュート、麻、亜麻、ココナッツ繊維、バナナ繊維、及び他の天然繊維も、本発明の共重合体を含むバインダ調製物で処理して、ボード及び成形物を形成することができる。天然繊維は、合成繊維、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド又はポリアクリロニトリルとの混合物で使用することもできる。この場合、これらの合成繊維は、本発明の共重合体と一緒にコバインダ(cobinder)としても機能し得る。合成繊維の割合は、全てのチップ、削り屑又は繊維に対して、50質量%未満、特に30質量%未満、とりわけ10質量%未満であることが好ましい。繊維を、木材のファイバーボード(繊維板)に使用される方法により処理することができる。或いは、予備成形された天然繊維マットに、調製物を含浸させ、又は湿潤助剤を添加した調製物を含浸させることができる。含浸マットは、その後、バインダ−湿気のある状態で、或いは予備乾燥状態で、100℃と250℃との間の温度、10バールと100バールとの間の圧力で、圧縮され、ボード又は成形部品を形成する。
【0194】
本発明の共重合体の別の用途は、研磨材料、特に研磨紙、織布研磨生地、研磨パッド又は他の研磨品の製造における使用である。本発明では、慣用の研磨粒は、例えば、コランダム、水晶、ガーネット、軽石、トリペル(tripel)、炭化ケイ素、金剛砂、アルミナ、ジルコニア、珪藻土、砂、石膏、炭化ホウ素、ホウ化物、炭化物、硝化物、酸化セリウム又はケイ酸塩を基本に使用される。研磨材料は、例えば、まず、バインダの調製物を適当な支持体に施し(塗布し)、その後、選択された粒を添加し、最後に、別量の重合体水溶液(必要によりサイズコートと呼ばれる分散体で変性された溶液)を添加することにより製造することができる。
【0195】
本発明の共重合体の別の使用法は、フィルタ材料、特にろ紙又はろ過布を製造するために使用する方法である。織布材料としては、例えば、セルロース、綿、ポリエステル、ポリアミド、PE、PP、ガラス布及びガラスウールを挙げることができる。本発明で使用されるバインダ調製物の、フィルタ材料(即ち、ろ紙又はろ過布)への使用は、特に含浸又は噴霧により行うことが好ましい。続いて、これらの材料を、100〜250℃の温度、特に110〜220℃の温度で0.1〜60分間、特に1〜60分間、加熱(即ち硬化)させることが望ましい。
【0196】
共重合体の本発明の別の使用法は、コルク:例えばコルク布、コルクマット、コルクブロック又はコルクボードのためのバインダとして使用する方法である。
【0197】
以下の実施例により本発明をより詳細に説明する。
【実施例】
【0198】
測定方法:
K値は、H. Fikentscher, Cellulose-Chemie, 第13巻, pp.58-64 & 71-74 (1932)の方法により、1質量%濃度水溶液中にて25℃で測定した。Mw値はゲル・パーミエーション・クロマトグラフィにより測定した。
【0199】
パートA: 本発明の共重合体の作製
A1)防蝕性用重合体
[実施例1]
ブレード撹拌機及び内部温度計を備えた撹拌容器において、121.6gの無水マレイン酸を190gの脱イオン水に溶解し、得られた溶液を穏やかに還流しながら窒素雰囲気下に1時間撹拌する。5.62mgの硫酸鉄(II)・7水和物を1回で添加し、そして50.0gの脱イオン水に86.2gのトリエタノールアミンを溶解した供給流1を5分間に亘って計量導入する。これは6.8モル%の中和相当度(中和に相当する度合い)に当たる。次いで、336.0gの脱イオン水に431.3gのアクリル酸を溶解した供給流2を、4時間に亘って、そして57.6gの過酸化水素(30%濃度)及び112.0gの脱イオン水からなる供給流3を、5時間に亘って、添加する。添加終了後、撹拌を、還流条件下で2時間続け、溶液を室温に冷却する。
【0200】
これにより、淡黄色の、透明重合体溶液を得る。この溶液は44.8質量%の固体含有量、30.7のK値、及び0.27%の残留マレイン酸含有量(得られた固体重合体に対して)を有する。
【0201】
実験条件及び得られた結果を表1にまとめて示す。
【0202】
[実施例2〜9、比較例1〜5]
実施例1と同様の手順を用いて、共重合体は、塩基の種類及び量を変えることにより、及びモノマーの種類及び量を変えることにより作製した。実験条件及び得られた結果を表1にまとめて示す。
【0203】
[実施例10]
ブレード撹拌機及び内部温度計を備えた160L容量のタンクにおいて、8.067kgの無水マレイン酸及び4.007kgのビニルホスホン酸(95%濃度)を12kgの脱イオン水に溶解し、得られた溶液を穏やかに還流しながら窒素ガス供給下に1時間撹拌する。1.49kgの脱イオン水に溶解した46.639gの硫酸鉄(II)・7水和物を1回で添加し、そして5.0kgの脱イオン水に5.732kgのトリエタノールアミンを溶解した供給流1を5分間に亘って計量導入する。これは6.8モル%の中和相当度(全COOHに対する)に等しい。次いで、28.607kgのアクリル酸からなる供給流2を、5時間に亘って、そして2.455kgのナトリウムペルオキソジスルファート及び32.6kgの脱イオン水からなる供給流3を、6時間に亘って、添加する。添加終了後、供給流2を5kgの脱イオン水と共にタンクに一度に入れ、撹拌を還流条件下に2時間続け、そして溶液を室温に冷却する。
【0204】
これにより、透明重合体溶液を得る。この溶液は46.2質量%の固体含有量、19.7のK値、及び0.98%の残留マレイン酸含有量(得られた固体重合体に対して)を有する。
【0205】
実験条件及び得られた結果を表1にまとめて示す。
【0206】
[実施例11]
ブレード撹拌機及び内部温度計を備えた160L容量のタンクにおいて、7.161kgの無水マレイン酸及び8.951kgのビニルホスホン酸(95%濃度)を12kgの脱イオン水に溶解し、得られた溶液を穏やかに還流しながら窒素ガス供給下に1時間撹拌する。740gの脱イオン水に溶解した41.4gの硫酸鉄(II)・7水和物を1回で添加し、そして5.0kgの脱イオン水に5.088kgのトリエタノールアミンを溶解した供給流1を5分間に亘って計量導入する。これは6.8モル%の中和相当度(全COOHに対する)に等しい。次いで、25.322kgのアクリル酸からなる供給流2を、5時間に亘って、そして2.497kgのナトリウムペルオキソジスルファート及び33.2kgの脱イオン水からなる供給流3を、6時間に亘って、添加する。添加終了後、供給流2を5kgの脱イオン水と共にタンクに一度に入れ、撹拌を還流条件下に2時間続け、そして溶液を室温に冷却する。
【0207】
これにより、透明重合体溶液を得る。この溶液は46.4質量%の固体含有量、18.4のK値、及び2.18%の残留マレイン酸含有量(得られた固体重合体に対して)を有する。
【0208】
実験条件及び得られた結果を表1にまとめて示す。
【0209】
A2)繊維結合用重合体
[実施例12]
撹拌機、窒素供給部(feed)、還流冷却器及び計量導入機を備えた反応器において、336.9gの蒸留水、6.7mgのFeSO4×7H2O及び150.4gの無水マレイン酸を、窒素雰囲気下、撹拌しながら内部温度80℃まで加熱する。その後、218.6gのトリエタノールアミンを15分間に亘って連続的に計量導入し、この間に内部温度が99℃まで上昇する。その後、2つの分離供給部(feed)において、連続的に、550.5gのアクリル酸及び383.0gの蒸留水の混合物を、4時間に亘って、そして36.46gの過酸化水素水溶液(30質量%濃度)及び42.82gの蒸留水の混合物を、5時間に亘って、添加する。次いで99℃で2時間撹拌した後、生成物を冷却した。
【0210】
繊維結合に使用するために、175.6gの蒸留水を添加した。これにより、49.4質量%の固体含有量、3.15のpH及び35.6のK値を有する重合体溶液を得た。
【0211】
そのデータを表2に集めて示す。
【0212】
[実施例13]
実施例12の反応器において、267.6gの蒸留水、6.7mgのFeSO4×7H2O及び171.1gの無水マレイン酸を、窒素雰囲気下、撹拌しながら内部温度80℃まで加熱する。その後、202.5gのトリエタノールアミンを15分間に亘って連続的に計量導入し、この間に内部温度が99℃まで上昇する。その後、2つの分離供給部(feed)において、連続的に、472.5gのアクリル酸及び236.4gの蒸留水の混合物を、4時間に亘って、そして67.5gの過酸化水素水溶液(30質量%濃度)及び135.0gの蒸留水の混合物を、5時間に亘って、添加する。次いで99℃で2時間撹拌した後、生成物を冷却した。
【0213】
繊維結合に使用するために、202.5gの蒸留水を添加した。これにより、49.4%の固体含有量、3.04のpH及び25.5のK値を有する重合体溶液を得た。
【0214】
[実施例14]
実施例12の反応器において、267.6gの蒸留水、6.7mgのFeSO4×7H2O及び171.1gの無水マレイン酸を、窒素雰囲気下、撹拌しながら内部温度80℃まで加熱する。その後、135.0gのトリエタノールアミンを15分間に亘って連続的に計量導入し、この間に内部温度が99℃まで上昇する。その後、2つの分離供給部(feed)において、連続的に、472.5gのアクリル酸及び236.4gの蒸留水の混合物を、4時間に亘って、そして67.5gの過酸化水素水溶液(30質量%濃度)及び135.0gの蒸留水の混合物を、5時間に亘って、添加する。次いで99℃で2時間撹拌した後、生成物を冷却した。
【0215】
繊維結合に使用するために、202.5gの蒸留水及び架橋剤として67.5gのトリエタノールアミンを添加した。これにより、49.3質量%の固体含有量、3.10のpH及び26.1のK値を有する重合体溶液を得た。
【0216】
[実施例15]
実施例12の反応器において、267.6gの蒸留水、6.7mgのFeSO4×7H2O及び171.1gの無水マレイン酸を、窒素雰囲気下、撹拌しながら内部温度80℃まで加熱する。その後、67.5gのトリエタノールアミンを15分間に亘って連続的に計量導入し、この間に内部温度が99℃まで上昇する。その後、2つの分離供給部(feed)において、連続的に、472.5gのアクリル酸及び236.4gの蒸留水の混合物を、4時間に亘って、そして67.5gの過酸化水素水溶液(30質量%濃度)及び135.0gの蒸留水の混合物を、5時間に亘って、添加する。次いで99℃で2時間撹拌した後、生成物を冷却した。
【0217】
繊維結合に使用するために、202.5gの蒸留水及び架橋剤として135.0gのトリエタノールアミンを添加した。これにより、49.4質量%の固体含有量、3.06のpH及び28.7のK値を有する重合体溶液を得た。
【0218】
[実施例16]
実施例12の反応器において、267.6gの蒸留水、6.7mgのFeSO4×7H2O及び171.1gの無水マレイン酸を、窒素雰囲気下、撹拌しながら内部温度80℃まで加熱する。その後、50.6gのトリエタノールアミンを15分間に亘って連続的に計量導入し、この間に内部温度が99℃まで上昇する。その後、2つの分離供給部(feed)において、連続的に、472.5gのアクリル酸及び236.4gの蒸留水の混合物を、4時間に亘って、そして67.5gの過酸化水素水溶液(30質量%濃度)及び135.0gの蒸留水の混合物を、5時間に亘って、添加する。次いで99℃で2時間撹拌した後、生成物を冷却した。
【0219】
繊維結合に使用するために、202.5gの蒸留水及び架橋剤として151.9gのトリエタノールアミンを添加した。これにより、49.1質量%の固体含有量、3.03のpH及び30.8のK値を有する重合体溶液を得た。
【0220】
[実施例17]
実施例12の反応器において、267.6gの蒸留水、6.7mgのFeSO4×7H2O及び228.1gの無水マレイン酸を、窒素雰囲気下、撹拌しながら内部温度80℃まで加熱する。その後、202.5gのトリエタノールアミンを15分間に亘って連続的に計量導入し、この間に内部温度が99℃まで上昇する。その後、2つの分離供給部(feed)において、連続的に、405.0gのアクリル酸及び236.4gの蒸留水の混合物を、4時間に亘って、そして67.5gの過酸化水素水溶液(30質量%濃度)及び135.0gの蒸留水の混合物を、5時間に亘って、添加する。次いで99℃で2時間撹拌した後、生成物を冷却した。
【0221】
繊維結合に使用するために、202.5gの蒸留水を添加した。これにより、49.1質量%の固体含有量、2.95のpH及び18.6のK値を有する重合体溶液を得た。
【0222】
[実施例18]
実施例12の反応器において、237.0gの蒸留水、6.7mgのFeSO4×7H2O及び276.9gの無水マレイン酸を、窒素雰囲気下、撹拌しながら内部温度80℃まで加熱する。その後、199.5gのトリエタノールアミンを15分間に亘って連続的に計量導入し、この間に内部温度が99℃まで上昇する。その後、2つの分離供給部(feed)において、連続的に、335.4gのアクリル酸及び236.7gの蒸留水の混合物を、4.5時間に亘って、そして154.7gの過酸化水素水溶液(30質量%濃度)を、6時間に亘って、添加する。次いで99℃で2時間撹拌した後、生成物を冷却した。
【0223】
繊維結合に使用するために、284.9gの蒸留水を添加した。これにより、48.2質量%の固体含有量、2.80のpH及び14.3のK値を有する重合体溶液を得た。
【0224】
[実施例19]
実施例12の反応器において、237.0gの蒸留水、6.7mgのFeSO4×7H2O及び276.9gの無水マレイン酸を、窒素雰囲気下、撹拌しながら内部温度80℃まで加熱する。その後、99.8gのトリエタノールアミンを15分間に亘って連続的に計量導入し、この間に内部温度が99℃まで上昇する。その後、2つの分離供給部(feed)において、連続的に、335.4gのアクリル酸及び236.7gの蒸留水の混合物を、4.5時間に亘って、そして154.7gの過酸化水素水溶液(30質量%濃度)を、6時間に亘って、添加する。次いで99℃で2時間撹拌した後、生成物を冷却した。
【0225】
繊維結合に使用するために、284.9gの蒸留水及び架橋剤として99.8gのトリエタノールアミンを添加した。これにより、48.1質量%の固体含有量、2.80のpH及び14.1のK値を有する重合体溶液を得た。
【0226】
[実施例20]
実施例12の反応器において、237.0gの蒸留水、6.7mgのFeSO4×7H2O及び276.9gの無水マレイン酸を、窒素雰囲気下、撹拌しながら内部温度80℃まで加熱する。その後、49.9gのトリエタノールアミンを15分間に亘って連続的に計量導入し、この間に内部温度が99℃まで上昇する。その後、2つの分離供給部(feed)において、連続的に、335.4gのアクリル酸及び236.7gの蒸留水の混合物を、4.5時間に亘って、そして154.7gの過酸化水素水溶液(30質量%濃度)を、6時間に亘って、添加する。次いで99℃で2時間撹拌した後、生成物を冷却した。
【0227】
繊維結合に使用するために、284.9gの蒸留水及び架橋剤として149.6gのトリエタノールアミンを添加した。これにより、48.0質量%の固体含有量、2.80のpH及び15.6のK値を有する重合体溶液を得た。
【0228】
[比較例6]
重合中の塩基無し
撹拌機、窒素供給部(feed)及び計量導入機を備えた圧力反応器において、336.9gの蒸留水、6.7mgのFeSO4×7H2O及び150.4gの無水マレイン酸を、窒素雰囲気下、撹拌しながら内部温度110℃まで加熱する。その後、2つの分離供給部(feed)において、連続的に、550.5gのアクリル酸及び383.0gの蒸留水の混合物を、4時間に亘って、そして36.46gの過酸化水素水溶液(30質量%濃度)及び42.82gの蒸留水の混合物を、5時間に亘って、添加する。次いで110℃で2時間撹拌した後、生成物を冷却した。
【0229】
繊維結合に使用するために、175.6gの蒸留水及び架橋剤として218.6gのトリエタノールアミンを添加した。これにより、49.6質量%の固体含有量、3.01のpH及び30.6のK値を有する重合体溶液を得た。
【0230】
[比較例7]
重合中の塩基無し
撹拌機、窒素供給部(feed)、還流冷却器及び計量導入機を備えた反応器において、267.6gの蒸留水、6.7mgのFeSO4×7H2O及び171.1gの無水マレイン酸を、窒素雰囲気下、撹拌しながら内部温度99℃まで加熱する。その後、2つの分離供給部(feed)において、連続的に、472.5gのアクリル酸及び236.4gの蒸留水の混合物を、4時間に亘って添加し、そして67.5gの過酸化水素水溶液(30質量%濃度)及び135.0gの蒸留水の混合物を、5時間に亘って添加した。次いで99℃で2時間撹拌した後、生成物を冷却した。
【0231】
繊維結合に使用するために、202.5gの蒸留水及び架橋剤として202.5gのトリエタノールアミンを添加した。これにより、49.2質量%の固体含有量、2.83のpH及び28.4のK値を有する重合体溶液を得た。
【0232】
[比較例8]
重合中の塩基無し
撹拌機、窒素供給部(feed)及び計量導入機を備えた圧力反応器において、267.6gの蒸留水、6.7mgのFeSO4×7H2O及び171.1gの無水マレイン酸を、窒素雰囲気下、撹拌しながら内部温度135℃まで加熱する。その後、2つの分離供給部(feed)において、連続的に、472.5gのアクリル酸及び236.4gの蒸留水の混合物を、4時間に亘って添加し、そして67.5gの過酸化水素水溶液(30質量%濃度)及び135.0gの蒸留水の混合物を、5時間に亘って添加した。次いで135℃で2時間撹拌した後、生成物を冷却した。
【0233】
繊維結合に使用するために、202.5gの蒸留水及び架橋剤として202.5gのトリエタノールアミンを添加した。これにより、48.2質量%の固体含有量、2.67のpH及び15.0のK値を有する重合体溶液を得た。
【0234】
[比較例9]
重合中の塩基無し
撹拌機、窒素供給部(feed)、還流冷却器及び計量導入機を備えた圧力反応器において、237.0gの蒸留水、6.7mgのFeSO4×7H2O及び276.9gの無水マレイン酸を、窒素雰囲気下、撹拌しながら内部温度99℃まで加熱する。その後、2つの分離供給部(feed)において、連続的に、335.4gのアクリル酸及び236.7gの蒸留水の混合物を、4.5時間に亘って添加し、そして154.7gの過酸化水素水溶液(30質量%濃度)を、6時間に亘って添加した。次いで99℃で2時間撹拌した後、生成物を冷却した。
【0235】
繊維結合に使用するために、284.9gの蒸留水及び架橋剤として199.5gのトリエタノールアミンを添加した。これにより、47.1質量%の固体含有量、2.20のpH及び13.8のK値を有する重合体溶液を得た。
【0236】
[比較例10]
重合中の塩基無し
撹拌機、窒素供給部(feed)及び計量導入機を備えた圧力反応器において、237.0gの蒸留水、6.7mgのFeSO4×7H2O及び276.9gの無水マレイン酸を、窒素雰囲気下、撹拌しながら内部温度130℃まで加熱する。その後、2つの分離供給部(feed)において、連続的に、335.4gのアクリル酸及び236.7gの蒸留水の混合物を、4.5時間に亘って添加し、そして154.7gの過酸化水素水溶液(30質量%濃度)を、6時間に亘って添加した。次いで130℃で2時間撹拌した後、生成物を冷却した。
【0237】
繊維結合に使用するために、284.9gの蒸留水及び架橋剤として199.5gのトリエタノールアミンを添加した。これにより、47.3質量%の固体含有量、2.18のpH及び10.8のK値を有する重合体溶液を得た。
【0238】
[比較例11]
水、6.7mgのFeSO4×7H2O及び171.1gの無水マレイン酸を、窒素雰囲気下、撹拌しながら内部温度80℃まで加熱する。その後、202.5gのトリエタノールアミンを15分間に亘って連続的に計量導入し、この間に内部温度が99℃まで上昇する。その後、2つの分離供給部(feed)において、連続的に、472.5gのアクリル酸及び236.4gの蒸留水の混合物を、4時間に亘って添加し、そして67.5gの過酸化水素水溶液(30質量%濃度)及び135.0gの蒸留水の混合物を、5時間に亘って添加した。次いで99℃で2時間撹拌した後、生成物を冷却した。
【0239】
繊維結合に使用するために、202.5gの蒸留水を添加した。これにより、49.4質量%の固体含有量、3.06のpH及び25.6のK値を有する重合体溶液を得た。次いで、297.6gのトリエタノールアミンを及び270.0gの蒸留水を添加した(pH:4.3)。
【0240】
[比較例12]
塩基 NaOH
撹拌機、窒素供給(feed)及び計量導入機を備えた圧力反応器において、439.0gの蒸留水、6.7mgのFeSO4×7H2O及び154.7gの無水マレイン酸を、窒素雰囲気下、撹拌しながら導入する。その後、230.5gの水酸化ナトリウム溶液(50質量%)を計量導入し、その後内部温度を115℃まで上昇させる。その後、2つの分離供給部(feed)において、連続的に、468.4gのアクリル酸及び311.1gの蒸留水の混合物を、3.5時間に亘って添加し、そして27.5gの過酸化水素水溶液(50質量%濃度)を、3.5時間に亘って添加した。9.2gの別の過酸化水素水溶液(50質量%濃度)を115℃で1時間に亘って添加し、次いでそのバッチを80℃に冷却し、397.7gの50質量%水酸化ナトリウム溶液を2時間に亘って添加した。
【0241】
これにより、41.2質量%の固体含有量、7.7のpH及び60.2のK値を有する重合体溶液を得た。195.2gのトリエタノールアミンを架橋剤として添加した。
【0242】
パートB: 本発明の重合体の特性試験
B1)腐食防止のための使用
本発明の実施例と比較例のために、亜鉛メッキされたスチール(片側に20μmの亜鉛付加)のテストパネル、特に、アルカリ性で亜鉛メッキされたシート及び溶融法(ホット・ディップ)で亜鉛メッキされたシートを用いた。
【0243】
実施例、比較例において、金属シートは以下のように前処理した:
不動態化されていないアルカリ性で亜鉛メッキされたスチールシートを、0.5%のHCl及び0.1%のエチレンオキシド単位を10個有するアルキルフェノールエトキシラートからなる洗浄溶液に10秒間浸漬し、直ぐに水ですすぎ(洗浄し)、その後風乾した。不動態化されていない溶融法で亜鉛メッキされたスチールシートをアルカリ性脱脂剤に50℃で120秒間浸漬し、直ぐに脱イオン水ですすぎ、風乾する。
【0244】
不動態化用調製物の作製:
使用される重合体のそれぞれの5%濃度水溶液を均質化し、ディッピング浴に導入した。予備洗浄された金属シートを、50℃に保持されたその溶液に30秒間浸漬し、室温で乾燥した。最後に、不動態化シートの端部のマスクを除去し、エッジ効果を取り除く。
【0245】
金属シートは、以下のように不動態化された。
【0246】
不動態化層の厚さは、金属表面を本発明で使用される組成物に曝す前及び後に、差動計量(differential weighing)により測定された。その際、層の比重は1kg/Lと想定した。層の実際の比重に関係なく、このようにして決定されたパラメータが、以下、”層厚”で意味されるものである。
【0247】
金属シートの1バッチに市販の慣用塗料が塗られる。塗られたシートを、DIN−ISO−2409に従いクロスカット試験により塗料接着性について試験した。塗料接着性は、リン酸塩化金属シートへの接着性に対応し、譜代化されていないシートとの接着性より良好である。塗料の乾燥後、その塗料には金属に至る印(傷)が付けられ、DIN50021に従う塩水噴霧試験に付される。不動態化されていないシートとリン酸塩化されたシートとを比較すると、本発明の不動態化は、サブフィルム(下塗層)への移動において、50%を超える量でその減少を可能にしていることが分かる。
【0248】
腐食の程度は、金属シートの外観に基づいて評価した。このため、処理された金属シートの外観を、DIN50021の標準損傷画像と比較した。それぞれ、塩水噴霧試験の28時間後及び50時間後について行い、標準により規定された評価に従い10〜1で段階付けした。ここで、10は最良の結果を示し、その評価として腐食増加の程度が低下する。1は最悪の結果を示す。
【0249】
本発明及び比較の実験結果を表3にまとめる。
【0250】
B2)ガラス繊維布(web)を結合するための使用
調製物の作製:
実験を実施するために、実施例8〜16及び比較例6〜12で得られた共重合体溶液を、固体含有量49〜50質量%の濃度に調整した。調整は、既に記載したように、蒸留水を用いて行い、適宜、架橋剤として追加のトリエタノールアミンを、溶液中のトリエタノールアミンの総量が重合体に対して30質量%をとなるように添加した。重合中に既に使用されているトリエタノールアミンは考慮した。さらに、溶剤以外の全成分の合計に対して約1質量%のγ−アミノプロピルトリエトキシシランを溶液に加えて撹拌した。
【0251】
調製物のpHは表3に示す。
【0252】
布(web)の処理:
未処理のガラス繊維布(約50g/m2)を32cmの長さ及び28cmの幅で使用した。
【0253】
布は、連続PESスクリーンベルト上を長さ方向に案内され、20%バインダ液を通り、次いで吸引装置を通る。ベルト速度は0.6m/分である。湿気(wet)の追加は、調節可能な吸引長さにより制御される。約100%の湿気追加の場合、濃度20%のバインダ液を用いる乾燥追加(dry add-on)は、20%±2%である。
【0254】
上記含浸した布を、マチス(mathis)乾燥機内でPESネット支持体上において180℃で2分間硬化させた。
【0255】
屈曲剛性の試験:
試験サンプルの作製:
長さ方向の屈曲剛性を試験するための6個の試験サンプルを、布から切り取った。屈曲剛性試験用布のサイズは70×30mmである。
【0256】
試験手順:
試験ストリップを、クランプにより固定し、ホルダーを用いて10mmの距離で20°の角度で屈曲させる。試験ストリップの高さは30mmである。測定された力は屈曲剛性を表す。合計で6個の試験サンプルを、それぞれ、表側及び裏側から測定し、その平均値を決定する。
【0257】
その結果を表4に示す。
【0258】
【表1】

【0259】
【表2】

【0260】
【表3】

【0261】
【表4】

【0262】
実施例及び比較例から、本発明の方法により、カルボキシラート−リッチ共重合体がモノエチレン性不飽和モノカルボン酸及び少なくとも20.1%のモノエチレン性不飽和ジカルボン酸から得られ、且つこれらの共重合体は低い中和度にも拘わらず、低い、残留未重合ジカルボン酸含有量を有していることが分かる。極めて高い割合のジカルボン酸を有し、なお比較的高い分子量を有する共重合体を得ることも可能である。本発明に従い使用されるアミンは、低い中和度において、水酸化ナトリウム溶液又はアンモニアよりも一層有効である。
【0263】
本発明に従い得られた共重合体を用いた性能実験では、共重合体が遙かに優れた性能特性が示されている。
【0264】
本発明の重合体を用いて得られる不動態化層は、中和度の高い慣用の共重合体のそれよりも、かなり優れた防蝕性を示す。
本発明の共重合体により作製され、繊維結合に使用されるバインダ調製物は、比較的融和度の高い慣用の共重合体よりも遙かに布を強化する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノエチレン性不飽和モノカルボン酸及びジカルボン酸から、少なくとも3000g/モルの平均分子量Mwを有するカルボキシラート−リッチの共重合体を製造する方法であって、
下記のモノマー:
(A)30〜79.99質量%の、少なくとも1種のモノエチレン性不飽和モノカルボン酸、
(B)20.01〜70質量%の、下記の一般式:
(HOOC)R1C=CR2(COOH) (I)
及び/又は
12C=C(−(CH2n−COOH)(COOH) (II)

[但し、R1及びR2が、相互に独立して、H、又は直鎖若しくは分岐の、置換されていても良い炭素原子数1〜20個のアルキル基を表し、或いは(I)の場合、R1及びR2が、合体して置換されていても良い炭素原子数3〜20個のアルキレン基を表し、そしてnが0〜5の整数を表す。]
で表される少なくとも1種のモノエチレン性不飽和ジカルボン酸、又は対応する無水物及び/又は他の加水分解性誘導体
及び
(C)0〜40質量%の、(A)及び(B)とは異なる、少なくとも1種の別のエチレン性不飽和コモノマー、
[上記の各量は、使用される全モノマーの総量に対する値である]
をその水溶液中でフリーラジカル重合し、
且つその重合を、上記モノカルボン酸及びジカルボン酸の全COOH基の総量に対して2〜19.9モル%の少なくとも1種のアミンの存在下に、130℃未満の温度で行うことを特徴とする方法。
【請求項2】
1及びR2がH及び/又はメチルを表す請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ジカルボン酸/無水物が、マレイン酸/無水物である請求項1に記載の方法。
【請求項4】
モノカルボン酸が、(メタ)アクリル酸である請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
塩基の量が2〜10モル%である請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
塩基が、モノ−、ジ−又はトリ−エタノールアミン、及び/又は対応するエトキシ化生成物から選択される少なくとも1種である請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
重合中の温度が、80℃以上130℃未満である請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
カルボキシラート−リッチの共重合体が、ホスホン酸基及び/又はリン酸基を有するモノマー(C)を5〜40質量%含んでいる請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の方法により得られ、且つ
少なくとも3000g/モルの平均分子量Mwを有し、そして
モノマー単位として、
(A)30〜79.99質量%の、モノエチレン性不飽和モノカルボン酸、
(B)20.01〜70質量%の、下記の一般式:
(HOOC)R1C=CR2(COOH) (I)
及び/又は
12C=C(−(CH2n−COOH)(COOH) (II)

[但し、R1及びR2が、相互に独立して、H、又は直鎖若しくは分岐の、置換されていても良い炭素原子数1〜20個のアルキル基を表し、或いは(I)の場合、R1及びR2が、合体して置換されていても良い炭素原子数3〜20個のアルキレン基を表し、そしてnが0〜5の整数を表す。]
で表されるモノエチレン性不飽和ジカルボン酸、
及び
(C)0〜40質量%の、別のエチレン性不飽和コモノマー、
を含む、部分的に中和されたカルボキシラート−リッチの共重合体。
【請求項10】
1及びR2がH及び/又はメチルを表す請求項9に記載の共重合体。
【請求項11】
ジカルボン酸が、マレイン酸である請求項10に記載の共重合体。
【請求項12】
モノカルボン酸が、(メタ)アクリル酸である請求項9〜11のいずれか1項に記載の共重合体。
【請求項13】
ジカルボン酸含有量が、22〜60質量%である請求項9〜12のいずれか1項に記載の共重合体。
【請求項14】
共重合体が、ホスホン酸基及び/又はリン酸基を有するモノマー(C)を5〜40質量%含んでいる請求項9〜12のいずれか1項に記載の共重合体。
【請求項15】
モノマー(C)がビニルホスホン酸である請求項14に記載の共重合体。
【請求項16】
分子量Mwが少なくとも5000g/モルである請求項9〜15のいずれか1項に記載の共重合体。
【請求項17】
請求項9〜16のいずれか1項に記載の共重合体を表面処理のために使用する方法。
【請求項18】
請求項9〜16のいずれか1項に記載の共重合体を金属表面の処理のために使用する方法。
【請求項19】
少なくとも、
請求項9〜16のいずれか1項に記載の1種以上の共重合体、及び
任意に、適当な溶剤又は溶剤混合物、及び/又は別の成分
を含む調製物を用いて、金属表面を処理し、その際調製物を金属表面に接触させる請求項18に記載の使用方法。
【請求項20】
調製物がさらにベンゾトリアゾール及び/又はトリルトリアゾールを含んでいる請求項19に記載の使用方法。
【請求項21】
処理が不動態化処理である請求項18〜20のいずれか1項に記載の使用方法。
【請求項22】
金属表面が、金属ストリップの表面であり、処理が連続法により行われる請求項18〜20のいずれか1項に記載の使用方法。
【請求項23】
調製物で処理された表面を、さらに1つ以上の塗料層で被覆する請求項18〜22のいずれか1項に記載の使用方法。
【請求項24】
繊維基材及び/又は粒状基材を結合させるために請求項9〜13のいずれか1項に記載の共重合体を使用する方法。
【請求項25】
上記結合を、少なくとも、
請求項9〜13のいずれか1項に記載の1種以上の共重合体、
1種以上の架橋剤、及び
任意に、適当な溶剤又は溶剤混合物、及び/又は別の成分
を含む調製物を用いて行い、その際調製物を基材表面に接触させる請求項24に記載の使用方法。
【請求項26】
接触させる調製物を熱により硬化させる請求項25に記載の使用方法。
【請求項27】
架橋剤として、少なくとも2個のOH基及び少なくとも1個のアミノ基を有する化合物を使用する請求項25又は26に記載の使用方法。
【請求項28】
重合中に、架橋剤の全てが或いはその一部が、中和のために既に使用されている請求項27に記載の使用方法。
【請求項29】
請求項25〜28のいずれか1項に記載の使用方法により得られる結合された基材。
【請求項30】
少なくとも、
請求項9〜16のいずれか1項に記載の1種以上の共重合体、及び
溶剤又は溶剤混合物
を含む金属表面処理用調製物。
【請求項31】
少なくとも、
請求項9〜13のいずれか1項に記載の1種以上の共重合体、
1種以上の架橋剤、及び
溶剤又は溶剤混合物
を含む繊維及び/又は粒状物質を結合するための調製物。

【公表番号】特表2008−510864(P2008−510864A)
【公表日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−528659(P2007−528659)
【出願日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【国際出願番号】PCT/EP2005/008444
【国際公開番号】WO2006/021308
【国際公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】