説明

モルタル湿式壁の目地部施工構造

【課題】硬化したモルタルを壊すことなく、塗設されたモルタルとサッシ枠との取り合い部分に、シーリング目地部を容易に形成できるモルタル湿式壁の目地部施工構造を提供する。
【解決手段】モルタル12とサッシ枠11との取り合い部分20に、サッシ枠11の側面部11aに沿って目地役物15を取り付けた後に、モルタル12を塗設することによって構成される。目地役物15は、モルタル12の塗設端面に沿って配置される端面仕切り片16と、端面仕切り片16から垂直に突出して突出先端部をサッシ枠11の側面部11aに当接させるスペーサ片17とを備える。端面仕切り片16は、スペーサ片17との接合基端部分において、易折れ線18を介して折り離し可能となっている。塗設したモルタル12が硬化した後に、端面仕切り片16の易折れ線18よりも外側部分16aを折り離して、シーリング材13が取り付けられるシーリング目地部14を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モルタル湿式壁に塗設されるモルタルと、サッシ枠等の壁取付け部材との取り合い部分に、シーリング目地部を形成するためのモルタル湿式壁の目地部施工構造及び目地役物に関する。
【背景技術】
【0002】
モルタル湿式壁は、壁下地材の表面に、必要に応じて防水シートやラス網等を適宜取り付けた後に、壁下地材を覆って10〜30mm程度の塗厚でモルタルを塗設して硬化させることにより、硬化したモルタルによって表面仕上げ層が形成された壁体であり、建物の外壁や仕切り壁等として用いられている。
【0003】
モルタル湿式壁には、例えば窓用や出入り口用の開口部や、各種の部材取付け用の開口部が設けられることが多く、これらの開口部の周縁部から壁面の外側に突出して、サッシ枠、建具枠、部材取付枠等の壁取付け部材が設置される場合がある。また、これらの壁取付け部材と塗設されたモルタルとの取り合わせ部分には、シーリング目地部を形成して、シーリング材(コーキング材)を取り付けることで、これらの取り合い部分における十分なシール性を確保すると共に、強固な水密性や気密性を保持できるようにする必要を生じる場合がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
そして、壁下地材の表面に塗設されるモルタルと、サッシ枠等の壁取付け部材との取り合い部分にシーリング目地部を形成する一般な方法として、モルタルを塗設するのに先立って、シーリング目地部の所定の断面形状と同様の断面形状を有する目地棒を、壁取付け部材の側面部に沿って箱抜き部材として取り付けておき、モルタルを塗設して硬化させた後に、目地棒を取り除くことで、シーリング目地部を形成する方法が採用されている(図4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−232430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の目地棒を箱抜き部材として用いてシーリング目地部を形成する方法によれば、取り付けた目地棒を取り除く際に、これの周囲の硬化したモルタルを、特に角部分において壊してしまう場合があり、壊れたモルタルの補修作業に多くの手間と時間を要することになる。
【0007】
本発明は、硬化したモルタルを壊すことなく、塗設されたモルタルとサッシ枠等の壁取付け部材との取り合い部分に、簡易な構成によってシーリング目地部を容易に形成することのできるモルタル湿式壁の目地部施工構造及び目地役物を提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、モルタル湿式壁に塗設されたモルタルと、サッシ枠等の壁取付け部材との取り合い部分に、シーリング目地部を形成するためのモルタル湿式壁の目地部施工構造であって、前記取り合い部分に、前記壁取付け部材の側面部に沿って、前記モルタルの塗設端面と前記壁取付け部材の側面部との間に目地間隔を保持する目地役物を取り付けた後に、前記モルタルを塗設することによって構成され、前記目地役物は、前記モルタルの塗設端面に沿って配置される端面仕切り片と、該端面仕切り片から垂直又は略垂直に突出して、突出先端部を前記壁取付け部材の側面部に当接させて配置されるスペーサ片とを備えると共に、前記端面仕切り片は、前記スペーサ片との接合基端部分において、易折れ線を介して折り離し可能となっており、前記端面仕切り片まで塗設された前記モルタルが硬化した後に、前記易折れ線を介して前記端面仕切り片の前記易折れ線よりも外側部分を折り離すことで、前記モルタルと前記壁取付け部材との前記取り合い部分に、シーリング材が取り付けられる前記シーリング目地部が形成されるモルタル湿式壁の目地部施工構造を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0009】
そして、本発明のモルタル湿式壁の目地部施工構造は、前記端面仕切り片が、これの先端を前記モルタルの塗厚表面の高さ位置に合わせて設置され、前記端面仕切り片を塗厚定木として、前記モルタルが塗設されるようになっていることが好ましい。
【0010】
また、本発明のモルタル湿式壁の目地部施工構造は、前記スペーサ片の外側表面が、前記シーリング材と接着しないか又は接着しずらい樹脂材料によって形成されていることで、ボンドブレーカーとして機能するようになっていることが好ましい。
【0011】
さらに、本発明のモルタル湿式壁の目地部施工構造は、前記スペーサ片が、前記端面仕切り片の高さ方向中間部分からから垂直又は略垂直に突出して設けられていることで、前記シーリング材の厚さを調整するためのバックアップ材として機能するようになっていることが好ましい。
【0012】
さらにまた、本発明のモルタル湿式壁の目地部施工構造は、前記端面仕切り片の内側端部から垂直又は略垂直に突出して設けられた底部接着片を備えており、該底部接着片を接着させて、前記取り合い部分に前記目地役物が設置されるようになっていることが好ましい。
【0013】
また、本発明は、上記モルタル湿式壁の目地部施工構造に用いる目地役物であって、前記モルタルの塗設端面に沿って配置される端面仕切り片と、該端面仕切り片の高さ方向中間部分から垂直又は略垂直に突出して設けられたスペーサ片と、前記端面仕切り片の一端部から垂直又は略垂直に突出して設けられた底部接着片とを備えており、前記端面仕切り片は、前記スペーサ片との接合基端部分において、易折れ線を介して折り離し可能となっている目地役物を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明のモルタル湿式壁の目地部施工構造又は目地役物によれば、硬化したモルタルを壊すことなく、塗設されたモルタルとサッシ枠等の壁取付け部材との取り合い部分に、簡易な構成によってシーリング目地部を容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の好ましい一実施形態に係るモルタル湿式壁の目地部施工構造を説明する、端面仕切り片の外側部分を折り離す前の状態の断面図である。
【図2】本発明の好ましい一実施形態に係るモルタル湿式壁の目地部施工構造を説明する、端面仕切り片の外側部分を折り離す状態の断面図である。
【図3】本発明の好ましい一実施形態に係るモルタル湿式壁の目地部施工構造を説明する、形成されたシーリング目地部にシーリング材を取り付けた状態の断面図である。
【図4】シーリング目地部を形成する従来の方法を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1〜図3に示す本発明の好ましい一実施形態に係るモルタル湿式壁の目地部施工構造10は、例えば木造住宅建築物において、外壁を構成するモルタル湿式壁30に設置された窓用のサッシ枠11を壁取付け部材として、このサッシ枠11と塗設されたモルタル12との取り合い部分20に、シーリング材13が取り付けられるシーリング目地部14(図3参照)を、簡易な構成によって、良好な周囲の仕上げ精度を保持した状態で容易に形成できるようにする施工構造として採用されたものである。
【0017】
すなわち、本実施形態の目地部施工構造10は、従来の、モルタル湿式壁に塗設されたモルタルとサッシ枠との取り合い部分にシーリング目地部を形成するための方法では、例えば図4に示すように、モルタル50を塗設するのに先立って、シーリング目地部51と同様の断面形状を有する目地棒52を、サッシ枠(壁取付け部材)53の側面部53aに沿って取り付けておき、モルタル50を塗設して硬化させた後に、目地棒52を取り除くことでシーリング目地部51を形成するようになっていたが、このような方法では、目地棒52を取り除く際に、硬化したモルタル50の特に角部分50aが壊され易く、仕上げ精度の良好なシーリング目地部51を形成できなくなると共に、補修作業に多くの手間と時間を要することになるといった技術的課題があったことを鑑みてなされたものである。
【0018】
そして、本実施形態のモルタル湿式壁の目地部施工構造10は、図1に示すように、モルタル湿式壁30に塗設されたモルタル12と、サッシ枠(壁取付け部材)11との取り合い部分20に、シーリング目地部14(図3参照)を形成するためのモルタル湿式壁の施工構造であって、モルタル12とサッシ枠11との取り合い部分20に、サッシ枠11の側面部11aに沿って、モルタル12の塗設端面とサッシ枠11の側面部11aとの間に目地間隔を保持する目地役物15を取り付けた後に、モルタル12を塗設することによって構成される。目地役物15は、モルタル12の塗設端面に沿って配置される端面仕切り片16と、この端面仕切り片16から垂直又は略垂直に突出して、突出先端部をサッシ枠11の側面部11aに当接させて配置されるスペーサ片17とを備えると共に、端面仕切り片16は、スペーサ片17との接合基端部分において、易折れ線18を介して折り離し可能となっている。端面仕切り片16まで塗設されたモルタル12が硬化した後に、図2に示すように、易折れ線18を介して端面仕切り片16の易折れ線18よりも外側部分16aを折り離すことで、モルタル12とサッシ枠11との取り合い部分20に、シーリング材13(図3桟方)が取り付けられるシーリング目地部14が形成されるようになっている。
【0019】
また、本実施形態では、端面仕切り片16の内側端部から、スペーサ片17とは反対側に垂直又は略垂直にL字形状に突出して設けられた底部接着片19を備えており、この底部接着片19を、例えば壁下地材21の表面に沿って配置されるサッシ枠11の張出し接合片11bに接着させて、モルタル12とサッシ枠11との取り合い部分20に目地役物15が設置されるようになっている。
【0020】
本実施形態では、モルタル湿式壁30は、木造住宅建築物の外壁を構成するようになっており、例えば縦枠や横枠、合板等による壁下地材21の外側の表面に、防水シート22やラス網23等を適宜取り付けた後に、これらを覆って10〜30mm程度の塗厚でモルタル12を表面仕上げ層として塗設すると共に、塗設したモルタル12を硬化させることによって形成される。また、壁下地材21には、矩形形状の窓用開口が設けられており、この窓用開口に嵌め込むようにして、窓用のサッシ枠11が、これの張出し接合片11bを窓用開口の周囲の壁下地材21に接合固定することによって取り付けられる。
【0021】
窓用のサッシ枠11は、例えばアルミサッシからなる公知のもので、工場等において所定の形状となるように予め加工形成される。サッシ枠11は、窓用開口に嵌め込むことが可能な矩形枠形状を備えており、上述のように、これの張出し接合片11bを窓用開口の周囲の壁下地材21に接合固定することによって、これの外側部分を、窓用開口の周縁部からモルタル湿式壁30による外壁面から突出させた状態で取り付けられる。サッシ枠11の内側には、例えば窓ガラスが、開閉可能に配設される。サッシ枠11の側面部11aには、壁下地材21の表面にモルタル12を塗設する作業に先立って、当該側面部11aに沿って、目地役物15が、これの全周に亘って連続して取り付けられる。
【0022】
本実施形態では、目地役物15は、例えば塩化ビ二ル、ポリスチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂を用いて、直線状に加工形成された棒状の成形品である。目地役物15は、モルタル12とサッシ枠11との取り合い部分20に設置された際に、モルタル12の塗設端面に沿って配置される端面仕切り片16と、この端面仕切り片16の高さ方向中間部分から垂直又は略垂直に突出して設けられたスペーサ片17と、端面仕切り片16の一端部からスペーサ片17とは反対側に垂直又は略垂直に突出して設けられた底部接着片19とを備えており、端面仕切り片16は、スペーサ片17との接合基端部分において、易折れ線19を介して折り離し可能となっている。
【0023】
ここで、端面仕切り片16を、スペーサ片17との接合基端部分において折り離し可能とする易折れ線19は、例えば当該接合基端部分に沿って切り込みを形成することで薄肉線とすること等によって、容易に設けることができる。
【0024】
そして、本実施形態では、目地役物15は、例えば底部接着片19の底面部を、接着剤や接着テープ等を用いて、窓用開口の周囲の壁下地材21に接合固定されたサッシ枠11の張出し接合片11bの外側面に接着固定することによって、モルタル12とサッシ枠11との取り合い部分20に容易に取り付けることができる。これによって、目地役物15は、壁下地材21の表面及び張出し接合片11bに対して、端面仕切り片16を垂直又は略垂直に立設させると共に、スペーサ片17の突出先端部をサッシ枠11の側面部11aに当接させた状態で、サッシ枠11の側面部11aに沿って、これの全周に亘って設置されることになる。
【0025】
また、本実施形態では、目地役物15の端面仕切り片16は、目地役物15がサッシ枠11の側面部11aに沿って取り付けられた際に、これの外側の先端をモルタル12の塗厚表面の高さ位置に合わせて設置されるように設定されている。これによって、端面仕切り片16を塗厚定木として用いることが可能になり、端面仕切り片16をガイドとして、目地役物15の周囲のモルタル12を、これの表面が端面仕切り片16の先端の高さとなるように仕上げることで、モルタル12の塗厚を精度良く管理することが可能になる。
【0026】
さらに、本実施形態では、目地役物15のスペーサ片17は、これの外側表面が、シーリング材13と接着しないか又は接着しずらい樹脂材料によって形成されている。これによって、スペーサ片17を、シーリング材13の底部においてシーリング材13の変形を妨げないボンドブレーカーとして機能させることが可能になると共に、シーリング材13の両側面13aのみをシーリング目地部14の内側に接着させ、残る一面(底面)をフリー面とした2面接着とすることで(図3参照)、シーリング材13を動き易くして、シーリング目地部14に取り付けられたシーリング材13を収縮に対して強くすることが可能になる。またこのような2面接着によって、シーリング材13によるシーリングの品質を向上させて、安定したシーリング性能を確保することが可能になる。
【0027】
ここで、スペーサ片17の外側表面は、スペーサ片17を、シーリング材13と接着しないか又は接着しずらい樹脂材料によって形成したり、当該外側表面に、シーリング材13と接着しないか又は接着しずらいシート状の樹脂材料を貼り付けたり、シーリング材13と接着しないか又は接着しずらい樹脂材料を塗布したりすること等によって、シーリング材13と接着しないか又は接着しずらい状態とすることができる。
【0028】
さらにまた、本実施形態では、スペーサ片17は、端面仕切り片16の高さ方向中間部分から垂直又は略垂直に突出して設けられている。これによって、スペーサ片17を、形成されるシーリング目地部14の底部を嵩上げするバックアップ材として機能させることが可能になると共に、シーリング材13の厚さを調整可能として、シーリング材13の充填を確実なものとすることが可能になる。ここで、端面仕切り片16から突出させるスペーサ片17の高さ位置は、シーリング材13の種類や止水性能等を鑑みて、適宜設定することができる。
【0029】
そして、本実施形態では、目地役物15をサッシ枠11の側面部11aに沿って全周に亘って取り付けた後に、上述のように、壁下地材21の外側の表面に、モルタル12を、端面仕切り片16を端部型枠として利用して塗設することによって、モルタル湿式壁30が形成される。
【0030】
塗設したモルタル12の所定の養生期間が経過して、モルタル12が硬化したら、図2に示すように、易折れ線18を介して、目地役物15の他の部分を残したまま、端面仕切り片16の易折れ線18よりも外側部分16aを折り離すことで、硬化したモルタル12とサッシ枠11との取り合い部分20に、シーリング目地部14が容易に形成されることになる。
【0031】
また、形成されたシーリング目地部14には、図3に示すように、公知の方法によって、シーリング材13が、好ましくは目地役物15のスペーサ片17をボンドブレーカー及びバックアップ材として機能させて、両側面13aのみをシーリング目地部14の内側に接着させた2面接着状態で容易に取り付けられることになる。
【0032】
ここで、シーリング目地部14に取り付けられるシーリング材13としては、例えばシリコーン系、変成シリコーン系、ポリサルファイド系、ウレタン系、ブチレン系、SBR系、ブチルゴム系等の、公知の各種のシーリング材を用いることができる。
【0033】
そして、上述の構成を備える本実施形態のモルタル湿式壁の目地部施工構造10によれば、硬化したモルタル12を壊すことなく、塗設されたモルタル12とサッシ枠11との取り合い部分20に、簡易な構成によってシーリング目地部14を容易に形成することができる。
【0034】
すなわち、本実施形態によれば、モルタル12を塗設する作業に先立って、端面仕切り片16とスペーサ片17とからなる目地役物15をサッシ枠11の側面部11aに沿って取り付け、塗設したモルタル12が硬化した後に、易折れ線18を介して端面仕切り片16の易折れ線18よりも外側部分16aを折り離すだけの簡易な構成及び方法によって、モルタル12とサッシ枠11との取り合い部分20にシーリング目地部14を容易に形成することが可能になると共に、端面仕切り片16の外側部分16aは、易折れ線18を中心としてモルタル12とは反対側に折り曲げるだけの操作によって、簡易に且つ容易に折り離すことができるので、硬化したモルタル12の特に角部分を壊したり傷つけたりすることなく、シーリング目地部14を容易に形成することが可能になる。
【0035】
また、本実施形態によれば、モルタル12が塗設される前の、目地役物15がサッシ枠11の側面部11aに沿って取り付けられた状態では、スペーサ片17によって、端面仕切り片16とサッシ枠11の側面部11aとの間には相当の間隔が保持されるので、モルタル12を塗設する際にサッシ枠11を汚す恐れが少なくなり、サッシ廻りの養生を簡易なものとすることが可能になると共に、塗設したモルタル12が硬化した後に、サッシ廻りを刷毛によって容易に清掃することが可能になる。
【0036】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、端面仕切り片の先端を、モルタルの塗厚表面の高さ位置に合わせて設置する必要は必ずしも無く、スペーサ片の外側表面を、シーリング材と接着しないか又は接着しずらい樹脂材料によって形成する必要は必ずしも無い。また、目地役物のスペーサ片は、端面仕切り片の高さ方向中間部分からから突出させて設ける必要は必ずしも無く、端面仕切り片の下端から垂直又は略垂直にL字形状に突出させて設けることもできる。この場合には、スペーサ片は、底部接着片を兼ねることもできる。さらに、底部接着片は、端面仕切り片からスペーサ片と同じ方向に突出させて設けることもでき、目地役物は、底部接着片を備えていなくても良い。さらにまた、モルタル湿式壁は、木造住宅建築物の外壁である必要は必ずしも無い。窓用のサッシ枠以外の、その他の壁取付け部材と塗設されるモルタルとの取り合い部分に、本発明の目地部施工構造を採用することもできる。
【符号の説明】
【0037】
10 目地部施工構造
11 サッシ枠(壁取付け部材)
11a 側面部
11b 張出し接合片
12 モルタル
13 シーリング材
14 シーリング目地部
14a 両側面
15 目地役物
16 端面仕切り片
16a 易折れ線よりも外側部分
17 スペーサ片
18 易折れ線
19 底部接着片
20 モルタルとサッシ枠との取り合い部分
21 壁下地材
30 モルタル湿式壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モルタル湿式壁に塗設されたモルタルと、サッシ枠等の壁取付け部材との取り合い部分に、シーリング目地部を形成するためのモルタル湿式壁の目地部施工構造であって、
前記取り合い部分に、前記壁取付け部材の側面部に沿って、前記モルタルの塗設端面と前記壁取付け部材の側面部との間に目地間隔を保持する目地役物を取り付けた後に、前記モルタルを塗設することによって構成され、
前記目地役物は、前記モルタルの塗設端面に沿って配置される端面仕切り片と、該端面仕切り片から垂直又は略垂直に突出して、突出先端部を前記壁取付け部材の側面部に当接させて配置されるスペーサ片とを備えると共に、前記端面仕切り片は、前記スペーサ片との接合基端部分において、易折れ線を介して折り離し可能となっており、
前記端面仕切り片まで塗設された前記モルタルが硬化した後に、前記易折れ線を介して前記端面仕切り片の前記易折れ線よりも外側部分を折り離すことで、前記モルタルと前記壁取付け部材との前記取り合い部分に、シーリング材が取り付けられる前記シーリング目地部が形成されるモルタル湿式壁の目地部施工構造。
【請求項2】
前記端面仕切り片は、これの先端を前記モルタルの塗厚表面の高さ位置に合わせて設置され、前記端面仕切り片を塗厚定木として、前記モルタルが塗設される請求項1記載のモルタル湿式壁の目地部施工構造。
【請求項3】
前記スペーサ片の外側表面は、前記シーリング材と接着しないか又は接着しずらい樹脂材料によって形成されていることで、ボンドブレーカーとして機能する請求項1又は2記載のモルタル湿式壁の目地部施工構造。
【請求項4】
前記スペーサ片は、前記端面仕切り片の高さ方向中間部分からから垂直又は略垂直に突出して設けられていることで、前記シーリング材の厚さを調整するためのバックアップ材として機能する請求項1〜3のいずれか1項記載のモルタル湿式壁の目地部施工構造。
【請求項5】
前記端面仕切り片の内側端部から垂直又は略垂直に突出して設けられた底部接着片を備えており、該底部接着片を接着させて、前記取り合い部分に前記目地役物が設置される請求項1〜4のいずれか1項記載のモルタル湿式壁の目地部施工構造。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項記載のモルタル湿式壁の目地部施工構造に用いる目地役物であって、
前記モルタルの塗設端面に沿って配置される端面仕切り片と、該端面仕切り片の高さ方向中間部分から垂直又は略垂直に突出して設けられたスペーサ片と、前記端面仕切り片の一端部から垂直又は略垂直に突出して設けられた底部接着片とを備えており、前記端面仕切り片は、前記スペーサ片との接合基端部分において、易折れ線を介して折り離し可能となっている目地役物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−207441(P2012−207441A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73786(P2011−73786)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000183428)住友林業株式会社 (540)
【Fターム(参考)】