説明

モーア

【課題】 回転刈り刃によって発生した風によって刈り草を刈りハウジング横一端部の刈り草排出口から排出しながら、風による草の倒伏を発生しにくくする。
【解決手段】 前バッフルプレート40のうち、刈り草排出口23に最も近い最排出口側刈り刃22Rの回転域22RAと、最排出口側刈り刃22Rに隣り合った隣り刈り刃22Cの回転域22CAとの前方に位置するプレート部44を、隣り刈り刃22Cの回転域22CAの前方に配置した屈曲点48で刈り刃ハウジング前後方向に屈曲した屈曲プレート部に構成してある。プレート部44の屈曲点48よりも流動案内方向下手側に位置する下手側プレート部分43を、この下手側プレート部分43の流動案内終点43aと屈曲点48とを通る直線Lよりも刈り刃ハウジング前方側に配置してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈り刃ハウジングの内部に刈り刃ハウジング横方向に並んで位置するとともに刈り刃ハウジング上下向き軸芯まわりで回転自在な複数の回転刈り刃と、前記刈り刃ハウジングの横一端部に位置した刈り草排出口と、前記各回転刈り刃からの刈り草を前記刈り草排出口に流動案内するよう、前記刈り刃ハウジングの内部の前記各回転刈り刃の回転域の前方に位置した前バッフルプレートとを備えたモーアに関する。
【背景技術】
【0002】
上記したモーアは、回転刈り刃によって切断処理された刈り草を、各回転刈り刃の回転によって発生し、前バッフルプレートに案内されて刈り刃ハウジング内を刈りハウジングの横一端側に向けて流動する風によって搬送し、刈り草排出口から刈り刃ハウジング外に排出する。
【0003】
この種のモーアとして、従来、たとえば特許文献1に示されるものがあった。特許文献1に示されるものは、モーアデッキ(刈り刃ハウジングに相当)と、3枚の回転ブレード(回転刈り刃に相当)と、刈り草排出口と、前部バッフル(前バッフルプレートに相当)とを備えている。前部バッフルは、刈り草搬送方向での最下手の回転ブレード(刈り草排出口に最も近い最排出口側刈り刃に相当)の回転域と、刈り草搬送方向での中央の回転ブレード(最排出口側刈り刃に隣り合った隣り刈り刃に相当)の回転域との前方に位置するプレート部を備えている。このプレート部は、中央の回転ブレードの回転域に沿った湾曲形の上手側プレート部分と、最下手の回転ブレードの回転域の前方に位置した下手側プレート部分とを備えている。下手側プレート部分は、刈り草排出口に近い直線状の案内終端側部分と、この案内終端側部分と前記湾曲プレート部分とにわたっている案内始端側部分とを備えている。前記案内始端側部分は、波形になり、中央の回転ブレードの回転域と最下手の回転ブレードの回転域とに比較的近く位置している。
【0004】
【特許文献1】特開2004−41060号公報(段落〔0027〕−〔0029〕、図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種のモーアは、隣り刈り刃からの風と最排出口側刈り刃からの風とが、隣り刈り刃の回転域と最排出口側刈り刃の回転域との間やこの付近で合流し、合流した風が前バッフルプレートに案内されて刈り草排出口に向けて流動する。上記した従来の前バッフルプレートに関する技術を採用した場合、隣り刈り刃からの風と最排出口側刈り刃からの風とが合流する部位およびこの付近において、速度の速い空気の流れや刈り刃ハウジング下方向きの強い風が発生し、草の倒伏が発生することがあった。このため、最排出口側刈り刃や隣り刈り刃による刈り跡に切断不足や刈残しの草が発生する場合があるなど、良好な刈跡を得にくくなる場合があった。
【0006】
本発明の目的は、上記したトラブル発生を回避しやすいモーアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本第1発明は、刈り刃ハウジングの内部に刈り刃ハウジング横方向に並んで位置するとともに刈り刃ハウジング上下向き軸芯まわりで回転自在な複数の回転刈り刃と、前記刈り刃ハウジングの横一端部に位置した刈り草排出口と、前記各回転刈り刃からの刈り草を前記刈り草排出口に流動案内するよう、前記刈り刃ハウジングの内部の前記各回転刈り刃の回転域の前方に位置した前バッフルプレートとを備えたモーアにおいて、
前記前バッフルプレートのうち、前記複数の回転刈り刃のうちの前記刈り草排出口に最も近い最排出口側刈り刃の回転域と、前記最排出口側刈り刃に隣り合った隣り刈り刃の回転域との前方に位置するプレート部を、前記隣り刈り刃の回転域の前方に配置した屈曲点で刈り刃ハウジング前後方向に屈曲した屈曲プレート部に構成し、
前記プレート部の前記屈曲点よりも流動案内方向下手側に位置する下手側プレート部分を、この下手側プレート部分の流動案内終点と前記屈曲点とを通る直線よりも刈り刃ハウジング前方側に配置してある。
【0008】
本第1発明の構成によると、隣り刈り刃からの風と最排出口側刈り刃からの風とが、隣り刈り刃の回転域と最排出口側刈り刃の回転域との間やこの付近で合流し、前バッフルプレートに案内されて刈り草排出口に向けて流動する。プレート部の屈曲点による屈曲、屈曲点の配置、下手側プレート部分の配置のために合流部位の広さも、合流部位から刈り草排出口に至る風路の広さも適切な広さになり、急速なあるいは強い空気流れや吹き降ろし風が発生しにくく、風による草倒伏を発生しにくくしながら刈り草排出を行わせることができる。
【0009】
従って、刈り草を回転刈り刃によって発生した風によって刈り刃ハウジングの横外側に排出するものでありながら、草の風による倒伏に起因した切断不足や刈り残しなどが発生しにくい良好な仕上がり状態に草刈り作業を行うことができる。
【0010】
本第2発明は、本第1発明の構成において、前記屈曲点は、前記隣り刈り刃の回転域のうちの隣り刈り刃の回転軸芯に対して前記刈り草排出口が位置する側に寄って位置している。
【0011】
本第2発明の構成によると、前バッフルプレートの隣り刈り刃に対応するプレート部分の長さを適切な長さにし、隣り刈り刃からの風に対する前バッフルプレートによる流動案内を適切に行わせることができる。
【0012】
従って、刈り草が刈り草排出口にスムーズに流動案内され、刈り草を刈り刃ハウジング内に滞留しにくいように円滑に排出させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、乗用型草刈機の全体側面図である。図2は、乗用型草刈機の全体平面図である。これらの図に示すように、乗用型草刈機は、左右一対の前車輪1,1と左右一対の後車輪2,2とを有した自走車体と、この自走車体の車体フレーム3の前輪1と後輪2との間にリンク機構4を介して装着された本発明の実施例に係るモーア20とを備えている。
【0014】
この乗用型草刈機は、草刈りや芝刈り作業を行うものである。
すなわち、リンク機構4の左右一対の後揺動リンク4b,4bを一体揺動自在に支持している支軸4dに連結された昇降シリンダ14を操作すると、リンク機構4が昇降シリンダ14によって車体フレーム3に対して上下に揺動操作され、モーア20をゲージ輪25が地面に接地した下降作業状態と、ゲージ輪25が地面から上昇した上昇非作業状態とに昇降操作する。モーア20を下降作業状態にして自走車体を走行させると、モーア20は、刈り刃ハウジング21の内部に位置する3枚の回転刈り刃22L,22C,22R(図3参照)によって草や芝の刈り処理を行い、刈り草や刈り草(以下、これらを刈り草と称する。)を各回転刈り刃22L,22C,22Rの回転によって発生した風によって刈り刃ハウジング21の内部を刈り刃ハウジング21の横一端部に位置する刈り草排出口23(図3参照)に搬送し、この刈り草排出口23から放出ガイド24によって案内させながら自走車体横外側に放出する。
【0015】
自走車体について詳述する。
自走車体は、前記左右一対の前車輪1,1と前記左右一対の後車輪2,2とを備える他、車体後部に設けたエンジン5を有した原動部と、運転座席6及び左右一対の操縦レバー7,7を有した運転部と、運転座席6の後側近くに位置した転倒保護枠8と、前記左右の後車輪2,2を支持する伝動装置9と、伝動装置9の前部に位置する動力取り出し軸10の駆動力をモーア20の刈り刃駆動機構20Dに伝達する回転軸11とを備えている。左右の前車輪1は、車体フレーム3の前部に連結された前輪支持フレーム12の端部に前輪支持フォーク13を介して遊転自在に支持されている。左右の前車輪1は、前輪支持フォーク13と共に前輪支持フレーム12に対して揺動操向する。左右の後車輪2,2は、伝動装置9が備える一対の静油圧式無段変速装置(図示せず)によって各別に駆動され、前記左右一対の操縦レバー7,7による一対の静油圧式無段変速装置の各別な変速操作によって各別に前進側及び後進側に変速され、かつ停止操作される。
【0016】
次に、リンク機構4について詳述する。
リンク機構4は、車体フレーム3とモーア20の刈り刃ハウジング21の前端側とにわたって連結されて、モーア20の前端側を車体フレーム3に昇降自在に連結している左右一対の前揺動リンク4a,4aと、車体フレーム3と前記刈り刃ハウジング21の後端側とにわたって連結されて、モーア20の後端側を車体フレーム3に昇降自在に連結している左右一対の後揺動リンク4b,4bと、左右両側において前揺動リンク4aと後揺動リンク4bとにわたって連結された連動リンク4cとを備えている。
【0017】
次に、モーア20について詳述する。図3は、モーア20の底面図である。図4は、モーア20の底面側からの斜視図である。
これらの図に示すように、モーア20は、前記刈り刃ハウジング21と、前記3枚の回転刈り刃22L,22R,22Cと、前記刈り草排出口23と、前記ゲージ輪25とを備える他、刈り刃ハウジング21の内部に各回転刈り刃22L,22R,22Cよりも前側に配置して設けた前バッフルプレート40と、刈り刃ハウジング21の内部に各回転刈り刃22L,22R,22Cよりも後側に配置して設けた後バッフルプレート50とを備えている。
【0018】
刈り刃ハウジング21は、天板21aと、この天板21aの山形の前縁部から刈り刃ハウジング下方向きに延出した前縦壁21bと、天板21aの後縁部から刈り刃ハウジング下向きに延出した後縦壁21cと、天板21aの横端部から刈り刃ハウジング下向きに延出した横縦壁21dとによって構成され、自走機体下方向きに開口した容器形になっている。後縦壁21cは、この後縦壁21cの刈り刃ハウジング横方向での両端部に位置するとともに刈り刃ハウジング上下方向視で円弧形になった円弧形端部壁31と、前記一対の円弧形端部壁31,31の間に位置するとともに刈り刃ハウジング上下方向視で直線形になった直線形中間部壁32と備えている。刈り刃ハウジング21の前記刈り草排出口23は、天板21aと前縦壁21bと後縦壁21cとの端部によって形成されている。
【0019】
図3,4に示すように、前記後縦壁21cは、この後縦壁21cの刈り刃ハウジング横幅方向での中央部に位置する部位としての前記直線形中間壁部32の中央部位に設けた通気口33と、この通気口33の両横側に配置して前記直線形中間壁部32に設けた第二通気口34とを備えている。前記各第二通気口34と前記通気口33とは、前記通気口33を挿通させて前記後バッフルプレート50の中央刈り刃対応部52と前記直線形中間壁部32とにわたって連結された左右一対の板金製の支持部材60,60のうちの第二通気口34に近い方の支持部材60を挟んだ位置関係になっている。前記各第二通気口34は、前記通気口33とで挟んでいる前記支持部材60の近くに配置されている。
【0020】
図3,4に示すように、前記3枚の回転刈り刃22L,22R,22Cは、刈り刃ハウジング横方向に並んでいる。3枚の回転刈り刃22L,22R,22Cのうち、刈り刃ハウジング横方向での中央に位置する中央回転刈り刃22C(以下、中央刈り刃22Cと略称する。)は、刈り草排出口23から最も離れて存在し、かつ、刈り草流動方向での最上手に位置した最上手回転刈り刃22L(以下、最上手刈り刃22Lと略称する。)と、刈り草流動方向での最上手に位置し、かつ、刈り草排出口23の最も近くに位置した最排出口側回転刈り刃22R(以下、最排出口側刈り刃22Rと略称する。)とに対して若干刈り刃ハウジング前方側に位置ずれしている。各回転刈り刃22L,22R,22Cは、刈り刃ハウジング21の天板21aにベアリング支持ケースで成る支持部材26を介して回転自在に支持された刈り刃駆動軸27の下端部に一体回転自在に支持されている。これにより、各回転刈り刃22L,22C,22Rは、刈り刃駆動軸27が備える刈り刃ハウジング上下向き軸芯Xのまわりで刈り刃駆動軸27と共に回転する。各回転刈り刃22L,22R,22Cは、回転刈り刃22L,22R,22Cの両端部に設けた切断刃28と、各切断刃28の背後側に設けた起風羽根29とを備えている。
【0021】
前バッフルプレート40は、前記最上手刈り刃22Lの回転域22LAの前方に位置した最上手刈り刃用プレート部41と、この最上手刈り刃用プレート部41と前記刈り草排出口23との間に位置した排出側プレート部44とを備えている。前記排出側プレート部44は、中央刈り刃22Cの回転域22CAの前方に位置した中央刈り刃用プレート部42と、最排出口側刈り刃22Rの回転域22RAの前方に位置した最排出口側刈り刃用プレート部43とを備えている。前バッフルプレート40は、前バッフルプレート40の長手方向での複数箇所に連結された取り付けロッド45によって刈り刃ハウジング21の天板21aに連結されている。前バッフルプレート40は、前バッフルプレート40の長手方向に並べて連結ネジ46によって連結された3枚の分割帯板によって構成してある。
【0022】
前記最上手刈り刃用プレート部41は、最上手刈り刃22Lの回転域22LAに面した凹入湾曲案内面41a(図6参照)を備え、最上手刈り刃22Lが起風羽根29の回転によって回転域22LAに発生させた風を中央刈り刃22Cの回転域22CAに向けて流動するよう凹入湾曲案内面41aによって流動案内する。最上手刈り刃22Lから回転域22CAに流動案内される風は、最上手刈り刃22Lの切断刃28によって切断処理された刈り草を中央刈り刃22Cの回転域22CAに搬送する。
【0023】
前記中央刈り刃用プレート部42は、中央刈り刃22Cの回転域22CAに面した凹入湾曲案内面42a(図6参照)を備え、中央刈り刃22Cが起風羽根29の回転によって回転域22CAに発生させた風と、最上手刈り刃22Lから回転域22CAに流入した風とを刈り草排出口23に向けて流動するよう凹入湾曲案内面42aによって流動案内する。回転域22CAから刈り草排出口23に流動案内される風は、最上手刈り刃22Lから回転域22Cに流入した刈り草と、中央刈り刃22Cの切断刃28によって切断処理された刈り草とを刈り草排出口23に搬送する。
【0024】
図6は、モーア20の横一端部(刈り草排出口23が位置する側とは反対側の横端部)での横断平面図である。前バッフルプレート40の最上手刈り刃用プレート部41と中央刈り刃用プレート部42とを備えるプレート部分を図6に示す如く構成してある。すなわち、前バッフルプレート40の最上手刈り刃用プレート部41と中央刈り刃用プレート部42とを備えるプレート部分に、前記回転域22CAの前方に中央刈り刃22Cの回転軸芯Xに対して最上手刈り刃22Lが位置する側に寄せて配置した境界47を備えてある。この境界47は、最上手刈り刃用プレート部41と中央刈り刃用プレート部42との境界である。この境界47は、前バッフルプレート40を構成している屈曲帯板の屈曲点によって構成してある。前バッフルプレート40の最上手刈り刃用プレート部41と中央刈り刃用プレート部42とを備える部分は、前記境界47と最上手刈り刃22Lの回転域2LAとの間隔D1が、前記境界47と中央刈り刃22Cの回転域22CAとの間隔D2よりも大になるよう構成してある。前バッフルプレート40の最上手刈り刃用プレート部41と中央刈り刃用プレート部42とを備える部分は、最上手刈り刃用プレート部41の前記境界47が位置する側の領域での最上手刈り刃用プレート部41の凹入湾曲案内面41と、最上手刈り刃22Lの回転域22LAとの間隔D3が、前記境界47に至るほど大になるよう構成してある。最上手刈り刃用プレート部41の凹入湾曲案内面41に沿った状態で前記境界47から延出する延長線Sが、中央刈り刃22Cの回転軸芯Xを通る状態で中央刈り刃22Cの回転域22CAを通ることになるよう最上手刈り刃用プレート部41を構成してある。
これにより、最上手刈り刃用プレート部41は、回転域22LAと22CAとの間に適切な広さおよび適切な形状の風流路を形成し、最上手刈り刃22Lからの風が前記風流路で中央刈り刃22Cからの風と合流しながら回転域22CAに流入する際、前記風流路に乱気流や強い刈り刃ハウジング下方向き風を発生しにくくしている。
【0025】
図7は、モーア20の横他端部(刈り草排出口23が位置する側の横端部)での横断平面図である。この図に示すように、前バッフルプレート40の前記排出側プレート部44は、前記回転域22CAの前方に中央刈り刃22Cの回転軸芯Xに対して刈り草排出口23が位置する側に寄せて配置した屈曲点48を備えている。この屈曲点48は、排出側プレート部44を中央刈り刃用プレート部42と最排出口側刈り刃用プレート部43との間で刈り刃ハウジング前後方向に屈曲させている屈曲点である。排出側プレート部44の前記屈曲点48よりも流動案内方向での下手側に位置する下手側プレート部分としての最排出側刈り刃用プレート部43を、この最排出側刈り刃用プレート部43の流動案内終点43aと前記屈曲点48とを通る直線Lよりも刈り刃ハウジング前方側に配置してある。
これにより、排出側プレート部44は、回転域22CAと22RAの間と、その付近とにわたって適切な広さの合流空間を形成し、かつ、この合流空間と刈り草排出口23との間に適切な広さの風流路を形成し、中央刈り刃22Cからの風と最排出口側刈り刃22Rからの風とが前記合流空間で合流し、前記風流路を最排出口側刈り刃用プレート部43に案内されて刈り草排出口23に流動する際、前記合流空間や前記風流路に速度が速いあるいは強い空気流れや刈り刃ハウジング下方向き風を発生しにくくしている。
【0026】
後バッフルプレート50は、前記最上手刈り刃22Lに対応した最上手刈り刃対応部51と、前記中央刈り刃22Cに対応した前記中央刈り刃対応部52と、前記最排出口側刈り刃22Rに対応した最排出口側刈り刃対応部53とを備えている。前記最上手刈り刃対応部51は、刈り刃ハウジング上下方向視で最上手刈り刃22Lの回転域22LAに沿った円弧形になっている。この最上手刈り刃対応部51の一部は、前記円弧形端部壁31によって構成してある。前記中央刈り刃対応部52は、刈り刃ハウジング上下方向視で中央刈り刃22Cの回転域22CAに沿った円弧形になっている。前記最排出口側刈り刃対応部53は、刈り刃ハウジング上下方向視で最排出口側刈り刃22Rの回転域22RAに沿った円弧形になっている。この最排出口側刈り刃対応部53の一部は、前記円弧形端部壁31によって構成してある。
【0027】
つまり、エンジン5からの駆動力を回転軸11によって刈り刃駆動機構20Dに伝達し、この刈り刃駆動機構20Dによって各刈り刃駆動軸27を駆動することにより、各回転刈り刃22L,22R,22Cを刈り刃駆動軸27が有する刈り刃ハウジング上下向きの軸芯Xまわりで図3に示す回転方向Aに駆動する。すると、最上手刈り刃22Lと最排出口側刈り刃22Rとは、起風羽根29の起風作用により、刈り刃ハウジング21の外部の空気を刈り刃ハウジング21の前縦壁21b、横縦壁21d、後縦壁21cの下方から回転域22LA,22RAに導入して空気流を発生させ、芝、草を空気流によって起立させながら切断刃28によって切断処理する。中央刈り刃22Cは、起風羽根29の起風作用により、刈り刃ハウジング21の外部の空気を刈り刃ハウジング21の前縦壁21bの下方から、さらに後縦壁21cの下方と通気口33と各第二通気口34とから後バッフルプレート50の下方を通してそれぞれ回転域22CAに導入して空気流を発生させ、芝、草を空気流によって起立させながら切断刃28によって切断処理する。各ゲージ輪25が地面に接地して刈り刃ハウジング21を接地支持し、各回転刈り刃22L,22R,22Cを設定刈り高さとしての設定対地高さに維持していることにより、各回転刈り刃22L,22R,22Cによる刈り高さが設定刈り高さになる。各回転刈り刃22L,22R,22Cによって切断処理された刈り草を各回転刈り刃22L,22R,22Cの起風羽根29によって発生した風により、後バッフルプレート50と前バッフルプレート40とに案内させて刈り刃ハウジング21の内部を刈り草排出口23が位置する横一端側に搬送し、刈り草排出口23から刈り刃ハウジング21の横外側に放出する。
【0028】
図3に示すように、モーア20は、刈り刃ハウジング21の刈り刃ハウジング横方向での中央部の前側と後側とに刈り刃ハウジング横方向に並べて設けた一対の接地ローラ61,61,62,62を備えている。
【0029】
前側の左右一対の接地ローラ61,61は、刈り刃ハウジング21の前縦壁21bに連結された左右一対の支持部材63に支軸64を介して遊転自在に支持されている。前側の左右一対の接地ローラ61,61は、地面に隆起部などの障害物があると、この障害物に乗り上がって刈り刃ハウジング21の前端側を障害物に突っ込まないように接地支持しながら障害物を乗り越えていく。
【0030】
図3,4,5に示すように、後側の左右一対の接地ローラ62,62は、前記後バッフルプレート50と直線形中間壁部32とにわたって連結された前記左右一対の支持部材60,60の前記通気口33から後方に突出した部位に支軸65を介して遊転自在に支持されている。後側の左右一対の接地ローラ62,62は、地面に隆起部などの障害物があると、この障害物に乗り上がって刈り刃ハウジング21の後端側を障害物に突っ込まないように接地支持しながら障害物を乗り越えていく。この左右一対の接地ローラ62,62は、通気口33の通気障害になりにくいように接地ローラ62の全体が通気口33から後方に突出した配置で支持されている。
【0031】
〔別実施例〕
本発明は、上記実施例の如く3枚の回転刈り刃を備えたモーアの他、2枚の回転刈り刃を備えたモーアにも、4枚以上の回転刈り刃を備えたモーアにも適応できる。従って、中央刈り刃22Cを、最排出側刈り刃に隣り合った隣り刈り刃と呼称する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】乗用型草刈機全体の側面図
【図2】乗用型草刈機全体の平面図
【図3】モーアの底面図
【図4】モーアの斜視図
【図5】モーアの縦断側面図
【図6】モーアの横一端部での横断平面図
【図7】モーアの横他端部での横断平面図
【符号の説明】
【0033】
21 刈り刃ハウジング
22L,22C,22R 回転刈り刃
22LA,22CA,22RA 回転域
40 前バッフルプレート
43 下手側プレート部分
43a 流動案内終点
44 プレート部
48 屈曲点
L 直線
X 軸芯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈り刃ハウジングの内部に刈り刃ハウジング横方向に並んで位置するとともに刈り刃ハウジング上下向き軸芯まわりで回転自在な複数の回転刈り刃と、前記刈り刃ハウジングの横一端部に位置した刈り草排出口と、前記各回転刈り刃からの刈り草を前記刈り草排出口に流動案内するよう、前記刈り刃ハウジングの内部の前記各回転刈り刃の回転域の前方に位置した前バッフルプレートとを備えたモーアであって、
前記前バッフルプレートのうち、前記複数の回転刈り刃のうちの前記刈り草排出口に最も近い最排出口側刈り刃の回転域と、前記最排出口側刈り刃に隣り合った隣り刈り刃の回転域との前方に位置するプレート部を、前記隣り刈り刃の回転域の前方に配置した屈曲点で刈り刃ハウジング前後方向に屈曲した屈曲プレート部に構成し、
前記プレート部の前記屈曲点よりも流動案内方向下手側に位置する下手側プレート部分を、この下手側プレート部分の流動案内終点と前記屈曲点とを通る直線よりも刈り刃ハウジング前方側に配置してあるモーア。
【請求項2】
前記屈曲点は、前記隣り刈り刃の回転域のうちの隣り刈り刃の回転軸芯に対して前記刈り草排出口が位置する側に寄って位置している請求項1記載のモーア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−72960(P2008−72960A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−256043(P2006−256043)
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】