説明

モータ搭載バルブ

【課題】駆動モータの直動軸の原点位置と弁体の全閉位置とを整合させるように、弁体を弁軸に簡便に組み付けるのに有利な構造をもつモータ搭載バルブを提供する。
【解決手段】バルブ1は、弁口23をもつボディ2と、ストッパ面42をもつと共に開弁方向に直動する直動軸41を有する駆動モータ4と、ストッパ面42に突き当て可能な被当接部51をもつ弁軸5と、弁軸5の被当接部51を直動軸41のストッパ面42に突き当てるバネ部材6と、弁軸5の先端部53に嵌合される嵌合部90をもち且つボディ2の弁座24に着座可能な弁体9とをもつ。固定要素7は、弁軸5の先端部53と弁体9の嵌合部90とが嵌合された状態で、且つ、ボディ2の弁座24に弁体9が着座した状態で、弁体9を弁軸5の先端部53に固定させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はステッピングモータ等の駆動モータを搭載するモータ搭載バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
モータ搭載バルブとして、弁口を形成する弁座をもつボディと、ボディに搭載され直動軸を有する駆動モータと、弁軸と、弁軸を閉弁方向に付勢させるバネ部材と、弁軸に保持された弁体とを有する構造のものが知られている(特許文献1,2)。
【特許文献1】特開平11−313459号公報
【特許文献2】特開2007−46700号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記した技術によれば、駆動モータの直動軸の原点位置と弁体の全閉位置とを整合させるように、弁体を弁軸に簡便に組み付けるのは、必ずしも容易ではなかった。
【0004】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、駆動モータの直動軸の原点位置と弁体の全閉位置とを整合させるように、弁体を弁軸に簡便に組み付けるのに有利な構造をもつモータ搭載バルブを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のモータ搭載バルブは、弁口を形成する弁座をもつボディと、(i)ボディに搭載され軸長方向のストッパ面をもつと共に開弁方向および閉弁方向に直動するための直動軸を有する駆動モータと、(ii)駆動モータの直動軸と別体をなし、直動軸の軸芯の延長線に沿って配置され直動軸のストッパ面に突き当て可能な被当接部をもつ弁軸と、(iii)弁軸の被当接部を直動軸のストッパ面に突き当てる付勢力を発揮させるバネ部材と、(iv)弁軸の軸長方向において移動可能に弁軸の先端部に嵌合される嵌合部をもち、且つ、ボディの弁座に着座可能であり、着座に伴い前記弁口を閉鎖させる弁体と、(v)組付時において、弁軸の先端部と弁体の嵌合部とが嵌合された状態で、且つ、ボディの弁座に弁体が着座し弁体の開度が0となる状態で、弁体を弁軸の先端部に固定させる固定要素とを具備することを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、組付時には、駆動モータの直動軸の直動位置が直動軸の原点位置に設定されている状態において、バネ部材の付勢力により、弁軸の被当接部が直動軸のストッパ面に突き当てられ、接触される。これにより駆動モータの直動軸の原点位置に整合するように、弁軸がこれの軸長方向において初期位置として位置決めされる。
【0007】
この状態で、弁軸の先端部と弁体の嵌合部とが嵌合され、且つ、弁体がボディの弁座に着座される。このように弁体がボディの弁座に着座された状態で、すなわち、弁体の開度が0の状態で、固定要素により弁体は弁軸の先端部に固定される。このため駆動モータの直動軸の原点位置に整合するように、弁体が全閉状態に設定される。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように本発明によれば、バネ部材の付勢力により、弁軸の被当接部が直動軸のストッパ面に突き当てられ、駆動モータの直動軸の原点位置に整合するように、弁軸がこれの軸長方向において位置決めされる。そして、ボディの弁座に弁体が着座された状態で、固定要素により弁体は弁軸の先端部に固定される。このように本発明によれば、駆動モータの直動軸の原点位置に整合するように、弁体が全閉状態に設定される。
【0009】
このような本発明によれば、駆動モータの直動軸の原点位置と弁体の全閉位置とを整合させるように、弁体を弁軸に簡便に組み付けるのに有利な構造をもつモータ搭載バルブを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
弁軸の先端部と弁体の嵌合部とが嵌合される。弁体の嵌合部は凹状でも良いし、凸状でも良い。弁体の嵌合部が凹状であれば、弁軸の先端部は嵌合部と嵌合する凸状部分となる。弁体の嵌合部が凸状であれば、弁軸の先端部には、嵌合部と嵌合する凹状部分が形成されている。
【0011】
駆動モータはボディに搭載されており、開弁方向に直動するための直動軸を有する。駆動モータはリニアモータでも良いし、回転モータでも良い。回転モータの場合には、回転モータの回転子の回転を直動軸の直動運動として変換させる運動変換機構が設けられていることが好ましい。直動軸は軸長方向のストッパ面をもつ。バルブの組付時において、固定要素は、弁軸の先端部と弁体の嵌合部とが嵌合された状態で、且つ、ボディの弁座に弁体が着座した状態で、即ち弁体の開度が0の状態で、弁体を弁軸の先端部に固定させるものとして定義される。嵌合部は、雌螺子部が形成されている孔でも良いし、雌螺子部が形成されていない孔でも良い。
【0012】
本発明の一視点によれば、固定要素は、弁軸の先端部に設けられた雄螺子部と、弁体の嵌合部に設けられ雄螺子部と螺合可能な雌螺子部とを有しており、組付時において、弁軸の雄螺子部と弁体の雌螺子部とを互いに螺合させることにより、弁体の開度が0となるように弁体を弁軸に位置決めさせた状態で弁軸の先端部に固定させる(請求項2)。この場合、弁軸の雄螺子部と弁体の雌螺子部とを互いに螺合させることにより、弁体は弁軸の先端部に固定される。
【0013】
また本発明の一視点によれば、固定要素は、弁軸の先端部に設けられた雄螺子部と、弁体の嵌合部に設けられ雄螺子部と螺合可能な雌螺子部と、弁体の雌螺子部と弁軸の雄螺子部との間に介在すると共に両者を接着させる接着材層とを有しており、組付時において、弁軸の雄螺子部と弁体の雌螺子部との間に接着材層を介在させた状態で、弁軸の雄螺子部と弁体の雌螺子部とを互いに螺合させることにより、弁体の開度が0となるように弁体を弁軸に位置決めさせた状態で弁軸の先端部に固定させる(請求項3)。この場合、弁軸の雄螺子部と弁体の雌螺子部とを互いに螺合させることにより、弁体は弁軸の先端部に固定される。更に、接着材層が弁軸の雄螺子部と弁体の雌螺子部とを接着させるため、固定性が向上し、弁体の位置が弁軸の軸長方向にずれることが抑制される。
【0014】
また本発明の一視点によれば、固定要素は、弁軸の先端部に設けられた雄螺子部と、弁体の嵌合部に設けられ雄螺子部と螺合可能な雌螺子部と、弁体の雄螺子部のうち弁体の雌螺子部から突出する雄螺子部分に螺合するための第2雌螺子部をもつ袋ナットとを有しており、組付時において、弁軸の雄螺子部と弁体の雌螺子部とを互いに螺合させることにより、弁体を弁座に着座させ弁体の開度を0とした状態で弁体を弁軸の先端部に仮固定し、更に、仮固定されている弁体の雌螺子部から突出する雄螺子部分に袋ナットの第2雌螺子部を螺合させることにより、弁体の開度が0となるように弁体を弁軸に位置決めした状態で弁軸の先端部に本固定させる(請求項4)。この場合、弁軸の雄螺子部と弁体の雌螺子部とを互いに螺合させることにより、弁体は弁軸の先端部に仮固定される。更に、仮固定されている弁体の雌螺子部から突出する雄螺子部分に袋ナットの第2雌螺子部が螺合されることにより、弁体は弁軸に位置決めされた状態で弁軸の先端部に袋ナットにより本固定される。この結果、弁体の位置が弁軸の軸長方向にずれることが袋ナットにより抑制される。
【0015】
また本発明の一視点によれば、固定要素は、弁軸の先端部の外周面と弁体の嵌合部の内周面との間に介在する接着材層とを有しており、組付時において、弁軸の先端部の外周面と弁体の嵌合部の内周面との間に接着材層を介在させた状態で、弁体の開度が0となるように弁体を弁軸に位置決めさせた状態で弁軸の先端部に固定させる(請求項5)。
【0016】
ところで、組付時において、弁軸の雄螺子部と弁体の雌螺子部とを互いに螺合させるとき、条件によっては、弁軸がこれの軸芯回りで空転するおそれがある。この場合、弁軸の雄螺子部と弁体の雌螺子部との螺合が良好に実施されにくい。そこで本発明の一視点によれば、弁軸は、弁軸の雄螺子部と弁体の雌螺子部とを互いに螺合させるとき、弁軸がこれの軸芯回りで空転することを抑える第1工具または作業者の指先が係合するための第1係合部を有する(請求項6)。この場合、弁軸の雄螺子部と弁体の雌螺子部との螺合が良好に実施される。
【0017】
また組付時において、袋ナットの第2雌螺子部と弁体の雌螺子部とを互いに螺合させるとき、条件によっては、弁体が空転するおそれがある。この場合、袋ナットの第2雌螺子部と弁体の雌螺子部との螺合が良好に実施されにくい。そこで本発明の一視点によれば、弁体は、袋ナットの第2雌螺子部と弁体の雌螺子部分とを互いに螺合させるとき、弁体がこれの軸芯回りで空転することを抑える第2工具または作業者の指先が係合するための第2係合部を有する(請求項7)。
【実施例1】
【0018】
以下、本発明の実施例1について図1〜図3を参照して説明する。本実施例では、駆動モータはステッピングモータ4とされている。モータ搭載バルブ1は流量制御弁であり、ボディ2と、ステッピングモータ4と、弁軸5と、バネ部材6と、弁体9とを有する。ボディ2は、高圧側の一次通路21と、一次通路21に連通する低圧側の二次通路22と、一次通路21および二次通路22の間に形成された弁口23と、弁口23を形成する弁座24とをもつ。
【0019】
ステッピングモータ4は、ボディ2のモータ取付穴25にシール部材28mを介して気密に嵌め込まれたモータ嵌合部40をもち、ボディ2に搭載されており、開弁方向(矢印Y1方向)および閉弁方向(矢印Y2方向)に直動するための直動軸41を有する。直動軸41は軸芯P1をもつ。ステッピングモータ4では、これに内蔵されている回転子の回転を直動軸41の直動運動として変換させる運動変換機構が内蔵されている。なお、図1に示すように、ステッピングモータ4は直動軸41の上側に配置されることができるが、これに限定されるものではない。
【0020】
直動軸41の先端の軸端面は、軸直角方向に平坦面をもつストッパ面42とされている。弁軸5は、ステッピングモータ4の直動軸41と別体をなしており、直動軸41の軸芯の延長線に沿って配置されている。弁軸5は、ボディ2のボス部29のボス孔30eに移動可能に嵌合されている。ボス孔30eには、弁軸5を直動方向に案内させるための筒形状の軸受27が嵌合されている。ボス孔30eはシール部材28で気密にシールされている。シール部材28は弁軸5の外周面とボス孔30eの内周面との間に介在している。なお、図1によれば、直動軸41および弁軸5は上下方向に沿って延設されているが、これに限らず、要するに弁口23に向かう方向に延設されていれば良い。
【0021】
弁軸5の基端部50(上端部)には、ストッパ面42に突き当て可能な被当接部51が形成されている。被当接部51は、直動軸41に向けて突出する半球状をなす球状面52を有する。バネ部材6は弁軸5の外周側を包囲するコイルバネである。バネ部材6の一端部60は、弁軸5の端部に形成されている鍔状の着座部59に着座する。バネ部材6の他端部61は、ボディ2のボス部29の外周側の着座部31に着座する。バネ部材6は、弁軸5の被当接部51を直動軸41のストッパ面42に突き当てる付勢力を発揮させる。すなわち、バネ部材6の付勢力により、弁軸5は弁体9の閉弁方向(矢印Y2方向)に付勢されており、結果として、図1に示すように、弁軸5の被当接部51の球状面52は、直動軸41のストッパ面42に突き当てられて、転動可能に接触される。また弁軸5の先端部53の外周部には雄螺子部70が形成されている。雄螺子部70は後述する第1係合部81よりも先方(下方)に形成されている。
【0022】
図1に示すように、弁体9は、弁軸5の先端部53に嵌合される嵌合部として機能する嵌合孔90をもつ。嵌合孔90は、弁軸5の先端部53を嵌合できるように弁体9を貫通する。弁体9の嵌合孔90の内周部には、雄螺子部70に螺合可能な雌螺子部72が形成されている。弁体9は、ボディ2の弁座24に着座可能であり、着座に伴い弁口23を閉鎖させる。雌螺子部72および雄螺子部70は、固定要素7を構成する。バルブ1の組付時において、固定要素7は、弁軸5の先端部53と弁体9の嵌合孔90とが嵌合された状態で、且つ、ボディ2の弁座24に弁体9が着座した状態(弁体9の開度が0の状態)で、弁体9を弁軸5の先端部53に固定させる。
【0023】
次にバルブ1の組付形態について説明する。先ず、ステッピングモータ4が適宜の励磁方式で駆動され、ステッピングモータ4の直動軸41がこれの軸芯P1に沿って移動し、直動軸41の軸長方向において、直動軸41のストッパ面42の位置は、直動軸41の原点位置(直動軸41の引き込み側の原点位置)に設定される。この状態において、図1に示すように、バネ部材6の付勢力により弁軸5が直動軸41に向けて閉弁方向(矢印Y2方向)に付勢されており、弁軸5の被当接部51の球状面52は直動軸41のストッパ面42に突き当てられて、転動可能に接触されている。このようにステッピングモータ4の直動軸41の原点位置に設定されているストッパ面42に、弁軸5が当接されており、結果として、弁軸5はこれの軸長方向において弁軸5の初期位置(開度0の位置)に位置決めされる。
【0024】
この状態では、図1に示すように、弁軸5の先端部53の雄螺子部70はボディ2の弁口23を通過しており、雄螺子部70の先端70aは、弁口23の位置から遠ざかるように1次通路21内にて突き出している。なお、雄螺子部70の軸長は寸法L1で示される。この状態で、作業者またはロボット等により、弁体9が弁軸5の軸芯回りで矢印A1方向に回転操作され、弁軸5の雄螺子部70に弁体9の雌螺子部72が螺合される。これにより図2に示すように、弁軸5の先端部53(凸状部分)と弁体9の嵌合孔90(凹状部分)とが嵌合された状態で、弁体9の閉鎖部9cがボディ2の弁座24に着座され、弁口23が全閉される。このとき、図2に示すように弁口23が弁体9で全閉されるように、すなわち、弁体9の開度が0となるように、弁体9が弁軸5に位置決めされた状態で仮固定される。なお、図2に示すように、弁軸5の雄螺子部70の始端側には係合部5xが形成されている。係合部5xは段状をなす。上記した仮固定状態(後述する本固定状態)においては、図2に示すように、弁体9は、弁軸5の雄螺子部70の始端側の係合部5xに接近しつつも、係合部5xには非接触である。その理由としては、弁体9を係合部5xよりも弁座24に接触させて着座させることを優先しているためである。
【0025】
上記したように弁体9が仮固定されている状態では、弁軸5の雄螺子部70と弁体9の雌螺子部72とが互いに螺合されていると共に、弁体9は弁座24に着座されている(図2参照)。ここで、弁体9が仮固定された状態では、図2に示すように、弁体9の雄螺子部70のうち弁体9の雌螺子部72から雄螺子部分70eが突出量L2で突出している。この状態で、作業者またはロボット等により、袋ナット74が弁軸5の軸芯の回りで矢印B1方向に回転操作される。これにより袋ナット74の第2雌螺子部72が、突出状態の雄螺子部分70eに螺合し(図3参照)、弁体9は袋ナット74により本固定される。袋ナット74により螺子緩みは抑えられる。
【0026】
上記したように弁体9が本固定されている状態では、袋ナット74の有底状をなす閉鎖壁76が一次通路21に対面しつつ、閉鎖壁76により雄螺子部分70eは隠蔽されている。従って、高圧側の一次通路21の流体が、雄螺子部70と雌螺子部72との螺子隙間に進入することが抑えられる。このように弁体9が弁座24に着座しつつ弁軸5に位置決めされた状態で、弁体9は弁軸5の先端部53に本固定される。なお、流体としては気体でも液体でも良い。気体としては空気、酸素ガス、水素ガス、窒素ガス、アルゴンガスが例示される。液体としては水、オイルが例示される。
【0027】
このような本実施例によれば、固定要素7は、弁軸5の先端部53に設けられた雄螺子部70と、弁体9の嵌合孔90に設けられ雄螺子部70と螺合可能な雌螺子部72と、弁体9の雄螺子部70のうち弁体9の雌螺子部72から突出する雄螺子部分70eに螺合するための第2雌螺子部72をもつ袋ナット74とを有することになる。なお、組付終了状態では、弁体9の軸芯および袋ナット74の軸芯は、直動軸41の軸芯P1と同軸となることが好ましい。
【0028】
このような本実施例によれば、組付時において、ステッピングモータ4の直動軸41の原点位置に整合するように、弁体9を弁軸5に取り付けることができる。すなわち、ステッピングモータ4の直動軸41の原点位置が弁体9の全閉位置(弁体9の開度:0)として設定される。このように組付時において、ステッピングモータ4の直動軸41の原点位置と弁体9の全閉位置(弁体9の開度:0)とが高精度に整合することができる。このため、ステッピングモータ4を駆動させて弁体9の開閉動作を実施するにあたり、ステッピングモータ4の制御量に基づいて弁体9の開度を設定させるオープン制御を実施するのに有利となる。但し本実施例によれば、オープン制御に限定されず、場合によってはフィードバック制御を実施させることにしても良い。
【0029】
さて本実施例によれば、上記したバルブ1の組付時には、次のように空転抑制操作が実施されることが好ましい。図1に示す状態において、作業者またはロボット等により、弁軸5の雄螺子部70と弁体9の雌螺子部72とが互いに螺合される操作が実施されるとき、条件によっては、弁軸5がこれの軸芯回りで空転するおそれがある。弁軸5の球状面52と直動軸41のストッパ面42との摩擦が少ない等の理由による。この場合、弁軸5の雄螺子部70と弁体9の雌螺子部72との良好なる螺合操作が実施されにくいおそれがある。そこで本実施例によれば、弁軸5は第1係合部81を有する。第1係合部81は、いわゆる二面幅構造を有しており、横断面において、互いに背向する2個の第1平坦面81c(図1参照)を有する。そして、雄螺子部70と弁体9の雌螺子部72とが互いに螺合される操作が実施されるとき、作業者またはロボット等により、第1工具85が1次通路21または2次通路22から挿入され、第1工具85が弁軸5の第1係合部81に差し込まれる。これにより弁軸5がこれの軸芯の回りで空転しないように、第1工具85により弁軸5は拘束される。
【0030】
このように弁軸5が第1工具85で拘束された状態で、作業者またはロボット等により、弁体9が弁軸5の軸芯回りで回転され、弁体9の雌螺子部72が弁軸5の雄螺子部70に良好に螺合される。すなわち、第1工具85により弁軸5がこれの軸芯の回りで空転することが抑えられる。この結果、弁軸5の雄螺子部70と弁体9の雌螺子部72とが互いに良好に且つ短時間に螺合される。
【0031】
また、図2に示す状態において、作業者またはロボット等により、袋ナット74の第2雌螺子部72と弁体9の雌螺子部72とが互いに螺合される操作が実施されるとき、条件によっては、弁体9が空転するおそれがある。この場合、袋ナット74の第2雌螺子部72と弁体9の雌螺子部72との良好なる螺合操作が実施されにくいおそれがある。
【0032】
そこで実施例によれば、弁体9は第2係合部82を有する。第2係合部82は、いわゆる二面幅構造を有しており、横断面において、互いに背向する2個の第2平坦面82cを有する。そして、弁軸5の雄螺子部70と袋ナット74の第2雌螺子部72とが互いに螺合される操作が実施されるとき、図2に示すように、第2工具86が1次通路21から挿入され、第2工具86が袋ナット74の第2係合部82に差し込まれ、弁体9がこれの軸芯の回りで空転しないように拘束される。この状態で、作業者またはロボット等により、袋ナット74が弁軸5の軸芯回りで回転され、袋ナット74の第2雌螺子部72が弁軸5の雄螺子部分70eに良好に螺合され、弁体9は本固定される。この場合、第2工具86により拘束された弁体9は、これの軸芯の回りで空転することが抑えられている。このため、弁軸5の雄螺子部分70eと袋ナット74の第2雌螺子部72とが互いに良好に且つ短時間に螺合される。なお上記した工具に代えて、作業者の指先を第1係合部81および/または第2係合部82に係合させることにより、空転抑えを実施しても良い。
【0033】
組付後のバルブ1の使用形態について説明する。弁体9が全閉状態(開度=0)のときには、直動軸41のストッパ面42が原点位置とされている。そして原点位置のストッパ面42に突き当たる弁軸5は、初期位置とされている。全閉状態の弁体9が開弁するときには、ステッピングモータ4が励磁されて一方向に駆動され、直動軸41の原点位置から直動軸41がこれの開弁方向(矢印Y1方向)に移動する。この結果、弁軸5がこれの初期位置から開弁方向(矢印Y1方向)に移動する。このため、弁体9が開弁方向(矢印Y1方向)に移動し、弁口23が開放される。
【0034】
これに対して、所定の開度で開放されている弁体9が閉弁するときには、ステッピングモータ4が励磁されて逆方向に駆動され、直動軸41が閉弁方向(矢印Y2方向)に移動し、弁体9が閉弁方向に移動し、弁口23が閉鎖される。
【0035】
なお本実施例によれば、第1係合部81は、組付時において弁軸5の空転を抑えるものであり、弁軸5の空転が少量しないとき、あるいは、空転しても支障がないとき等には、第1係合部81を弁軸5に形成せずとも良い。更に、第2係合部82は、組付時において弁体9の空転を抑えるものであり、弁体9の空転が少量しないとき、あるいは、空転しても支障がないとき等には、第2係合部82を弁体9に形成せずとも良い。
【0036】
本実施例においても、バルブ1の組付時において、必要に応じて、弁体9の雌螺子部72および弁軸5の雄螺子部70のうちの一方または双方に、接着材層73が塗布されても良い。この場合、接着材層73により雌螺子部72および雄螺子部70が接着され、螺子緩みが抑えられる。
【0037】
接着材層73が設けられている場合、固定要素7は、弁軸5の先端部53に設けられた雄螺子部70と、弁体9の嵌合孔90に設けられ雄螺子部70と螺合可能な雌螺子部72と、弁体9の雌螺子部72と弁軸5の雄螺子部70との間に介在する接着材層73とを有することになる。この場合、更に接着材層73により雌螺子部72と雌螺子部72との間の微小な螺子隙間が気密にシールされる。従って本実施例において、組付後において、弁体9の雌螺子部72と弁軸5の雄螺子部70との間に、接着材層73が形成されている方式を必要に応じて採用しても良い。勿論、接着材層73が塗布されていなくても良い。
【実施例2】
【0038】
図4は実施例2を示す。本実施例は前記した実施例1と基本的には同様の構成および作用効果を示す。以下、相違する部分を中心として説明する。本実施例によれば、図4に示すように、袋ナット74は設けられていない。但し、バルブ1の組付時において、弁体9の雌螺子部72および弁軸5の雄螺子部70のうちの一方または双方に、接着材層73が塗布される。従って、組付後において、接着材層73が固化して接着力を発揮すると、弁体9の雌螺子部72と弁軸5の雄螺子部70とが接着される。このように接着材層73により弁体9の雌螺子部72が弁軸5の雄螺子部70から緩まないように、弁体9が弁軸5に固定される。従って本実施例によれば、固定要素7Bは、弁軸5の先端部53に設けられた雄螺子部70と、弁体9の嵌合孔90に設けられ雄螺子部70と螺合可能な雌螺子部72と、弁体9の雌螺子部72と弁軸5の雄螺子部70との間に介在する接着材層73とを有する。
【0039】
ここで、接着材層73として、通常の接着材層で形成されていても良いし、接着性およびシール性が高いテープ材で形成されていても良い。接着材層73は有機系でも良いし、無機系でも良いし、有機および無機の混合系でも良い。なお、図4に示すように、弁体9は疑似袋ナット状とされており、弁軸5の雄螺子部70の先端部53を覆う有底形状の閉鎖壁76を有する。この場合、閉鎖壁76は一次通路21に対面するため、一次通路21と雌螺子部72とは非対向となる。この、雌螺子部72と雄螺子部70との間における微小な螺子隙間に、一次通路21の高圧の流体が進入することが抑えられる。
【0040】
以上説明したように本実施例においても、実施例1と同様に、ステッピングモータ4の直動軸41の原点位置(弁軸5の初期位置)と弁体9の全閉位置とが整合するように、弁体9を弁軸5に取り付けることができる。すなわち、ステッピングモータ4の直動軸41の原点位置(弁軸5の初期位置)が弁体9の全閉位置(弁体9の開度:0)として設定される。
【実施例3】
【0041】
図5は実施例3を示す。本実施例は前記した実施例1と基本的には同様の構成および作用効果を示す。以下、相違する部分を中心として説明する。本実施例によれば、弁体9の嵌合部として機能する嵌合孔90は、弁体9に対して未貫通状態とされており、閉鎖壁76をもつ。すなわち、弁体9は疑似袋ナット状とされており、弁軸5の雄螺子部70の先端部53を覆う閉鎖壁76を有する。この場合、雌螺子部72と雄螺子部70との間における微小な螺子隙間に流体(ガス等)が洩れることが抑えられる。
【0042】
本実施例によれば、固定要素7Cは、前記弁軸5の先端部53に設けられた雄螺子部70と、弁体9の嵌合孔90に設けられ雄螺子部70と螺合可能な雌螺子部72とを有する。
【0043】
場合によっては、バルブ1の組付時において、弁体9の雌螺子部72および弁軸5の雄螺子部70のうちの一方または双方に、接着材層73が塗布されていても良い。従って、組付後において、弁体9の雌螺子部72と弁軸5の雄螺子部70とが、接着材層73により接着される。この場合には、固定要素7Cは、弁軸5の先端部53に設けられた雄螺子部70と、弁体9の嵌合孔90に設けられ雄螺子部70と螺合可能な雌螺子部72と、弁体9の雌螺子部72と弁軸5の雄螺子部70との間に介在する接着材層73とを有することになる。
【0044】
本実施例においても、実施例1と同様に、ステッピングモータ4の直動軸41の原点位置(弁軸5の初期位置)と弁体9の全閉位置とが整合するように、弁体9を弁軸5に取り付けることができる。すなわち、ステッピングモータ4の直動軸41の原点位置(弁軸5の初期位置)が弁体9の全閉位置(弁体9の開度:0)として設定される。
【実施例4】
【0045】
図6は実施例4を示す。本実施例は前記した実施例1と基本的には同様の構成および作用効果を示す。共通機能を奏する部分には、共通の符号を付する。本実施例によれば、図6に示すように、モータ搭載バルブ1は、ボディ2と、ステッピングモータ4と、弁軸5と、バネ部材6と、弁体9とを有する。ボディ2は、高圧側の一次通路21と、低圧側の二次通路22と、一次通路21および二次通路22の間に形成された弁口23と、弁口23を形成する弁座24とをもつ。
【0046】
ステッピングモータ4はボディ2に搭載されており、開弁方向(矢印Y1方向)および閉弁方向(矢印Y2方向)に直動するための直動軸41と、固定子44と、回転軸45と、回転軸45の回転を直動軸41の直動に変換させる変更機構46と、第1軸受27fと、第2軸受27sとを有する。直動軸41の先端の軸端面は、軸直角方向に平坦面をもつストッパ面42とされている。弁軸5は、ステッピングモータ4の直動軸41と別体をなしており、直動軸41の軸芯の延長線に沿って配置されている。弁軸5は、ボディ2のボス部29のボス孔30eに移動可能に嵌合されている。
【0047】
弁軸5は、先端部53に設けられストッパ面42に突き当て可能な被当接部51と、径外方向に延設された鍔状のフランジ部58とをもつ。バネ部材6は、弁軸5の被当接部51を直動軸41のストッパ面42に突き当てる付勢力を発揮させる。バネ部材6は弁軸5を同軸的に包囲するコイルバネである。バネ部材6の一端部60は、弁軸5の端部に形成されているフランジ部58に着座する。バネ部材6の他端部61は、ボディ2のボス部29に着座する。バネ部材6の付勢力により、弁軸5の被当接部51は閉弁方向(矢印Y2方向)に移動し、直動軸41のストッパ面42に突き当てられて接触する。この結果、弁軸5はこれの初期位置に設定される。
【0048】
弁体9は、弁軸5の先端部53に嵌合される嵌合孔90をもつ。弁体9は、ボディ2の弁座24に着座可能であり、着座に伴い弁口23を閉鎖させる。なお、実施例1と異なり、弁軸5の先端部53には雄螺子部70が形成されていない。弁体9の嵌合孔90の内周部には雌螺子部72が形成されていない。
【0049】
次に組付形態について説明する。組付は図6(a)、図6(b)、図6(c)の順に実施される。先ず、ステッピングモータ4が適宜の励磁方式により駆動され、ステッピングモータ4の直動軸41がこれの軸芯に沿って移動し、直動軸41のストッパ面42の直動位置は、弁軸5の軸長方向において、直動軸41の原点位置に設定される。この状態では、図6(a)に示すように、バネ部材6の閉弁方向へ付勢する付勢力により、弁軸5の被当接部51は、直動軸41のストッパ面42に突き当てられている。これによりステッピングモータ4の直動軸41のストッパ面42の原点位置に整合するように、弁軸5がこれの軸長方向(矢印Y1,Y2方向)において位置決めされる。この状態では、弁軸5はこれの初期位置となる。
【0050】
この状態では、図6(a)および図6(b)に示すように、弁軸5の先端部53は、ボディ2の弁口23を通過しており、ボス部29よりも弁口23の位置および弁座24の位置よりも遠ざかるように、1次通路21に向けて突き出している。この状態で、図6(c)に示すように、作業者またはロボット等により、弁体9がこれの軸芯に沿って直動操作され(積極的な回転操作は特に必要とされない)、弁軸5の先端部53と弁体9の嵌合孔90とが互いに嵌合される。
【0051】
この場合、弁軸5の先端部53の外周面および弁体9の嵌合孔90の内周面のうちの一方および双方には、接着材層73が塗布されている。その後、図6(c)に示すように、弁軸5の先端部53と弁体9の嵌合孔90とが嵌合状態に嵌合される。この場合、弁体9がボディ2の弁座24に接触して着座されている。これにより弁体9が弁軸5に位置決めされた状態で、接着材層73が固化し、弁軸5の先端部53の外周面と弁体9の嵌合孔90の内周面とが接着材層73により接着され、弁体9が弁軸5の先端部53に固定される。なお、接着材層73の接着力が高くなるまで、弁体9をボディ2の弁座24に接触させて着座(弁体9の開度=0)状態に維持させることが好ましい。
【0052】
このように本実施例においても、図6(C)に示すように、弁体9がボディ2の弁座24に着座された状態(弁体9の開度:0)で、固定要素7を構成する接着材層73により、弁体9は弁軸5の先端部53に固定される。このためステッピングモータ4の直動軸41の原点位置に整合するように、弁体9が全閉状態に設定される。この場合、弁軸5の先端部53と弁体9の嵌合孔90とが互いに嵌合されることにより、弁体9は弁軸5の先端部53に固定されている。
【0053】
本実施例によれば、固定要素7Dは、弁体9の先端部53の外周面と弁軸5の嵌合孔90の内周面との間に介在する接着材層73とを有する。本実施例においても、実施例1と同様に、ステッピングモータ4の直動軸41の原点位置に整合するように弁体9を弁軸5に取り付けることができる。すなわち、ステッピングモータ4の直動軸41の原点位置が弁体9の全閉位置(弁体9の開度:0)として設定される。
【0054】
このように組付時において、ステッピングモータ4の直動軸41の原点位置と弁体9の全閉位置(弁体9の開度:0)とが高精度に整合することができる。このため、ステッピングモータ4を駆動させて弁体9の開閉動作を実施するにあたり、ステッピングモータ4の制御量に基づいて弁体9の開度を設定させるオープン制御を実施するのに有利となる。但し本実施例によれば、オープン制御に限定されず、場合によってはフィードバック制御を実施させることにしても良い。
【0055】
図6(d)に示すように、弁体9が開弁するときには、ステッピングモータ4が励磁されて一方向に駆動され、直動軸41が開弁方向(矢印Y2方向)に移動し、弁体9が開弁方向(矢印Y1方向)に弁座24から移動し、弁口23が開放される。
【0056】
なお本実施例によれば、弁体9を回転操作させることなく、弁体9を弁軸5に向けて直動させ、弁体9の嵌合孔90を弁軸5の先端部53に嵌合させれば良い。このため実施例1において必要とされている弁軸5の第1係合部81および弁体9の第2係合部82を廃止することができる。
【実施例5】
【0057】
図7は実施例5を示す。本実施例は実施例4と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有する。但し、弁軸5の先端部53の外周部には雄螺子部70が形成されている。弁体9は、弁軸5の先端部53に嵌合される嵌合孔90をもつ。弁体9の嵌合孔90の内周部には、雄螺子部70に螺合可能な雌螺子部72が形成されている。
【0058】
次に組付形態について説明する。組付は図7(a)、図7(b)、図7(c)の順に実施される。実施例1と同様に、先ず、ステッピングモータ4が適宜の励磁方式で駆動され、ステッピングモータ4の直動軸41が軸芯に沿って原点位置に移動し、直動軸41のストッパ面42の直動位置は、直動軸41の原点位置に設定される。この状態では、バネ部材6の付勢力により、弁軸5の被当接部51の球状面52が直動軸41のストッパ面42に突き当てられている。これによりステッピングモータ4の直動軸41のストッパ面42の原点位置に整合するように、弁軸5がこれの軸長方向において弁軸5の初期位置として位置決めされる。この状態では、図7(a)および図7(b)に示すように、弁軸5の先端部53の雄螺子部70は、ボディ2のボス部29よりも弁口23から1次通路21に向けて突き出している。この状態で、作業者またはロボット等により、弁体9が弁軸5の軸芯回りで回転操作され、弁軸5の雄螺子部70と弁体9の雌螺子部72とが互いに螺合される。これにより図7(c)に示すように、弁軸5の先端部53と弁体9の嵌合孔90とが螺合しつつ嵌合された状態で、弁体9がボディ2の弁座24に着座される。これにより弁体9が弁軸5に位置決めされた状態で、弁軸5の先端部53に固定される。
【0059】
本実施例においても、実施例1と同様に、ステッピングモータ4の直動軸41の原点位置に整合するように弁体9を弁軸5に取り付けることができる。すなわち、ステッピングモータ4の直動軸41の原点位置が弁体9の全閉位置(弁体9の開度:0)として設定される。
【0060】
バルブ1の組付時において、弁体9の雌螺子部72および弁軸5の雄螺子部70のうちの一方または双方に、接着材層73が塗布される。従って、組付後において、弁体9の雌螺子部72と弁軸5の雄螺子部70は、接着材層73で接着され、且つシールされる。故に、接着材層73により弁体9の雌螺子部72が弁軸5の雄螺子部70から緩まないように、弁体9が弁軸5に固定される。従って本実施例によれば、固定要素7Eは、弁軸5の先端部53に設けられた雄螺子部70と、弁体9の嵌合孔90に設けられ雄螺子部70と螺合可能な雌螺子部72と、弁体9の雌螺子部72と弁軸5の雄螺子部70との間に介在する接着材層73とを有する。弁軸5の雄螺子部70は一次通路21に対面するが、接着材層73がシール作用を発揮するため、雌螺子部72と雄螺子部70との間の微小の螺子隙間に高圧側の一次通路21の流体が進入することが抑えられている。なお、場合によっては、接着材層73を廃止しても良い。
【0061】
(他の実施例)
上記した実施例1では、弁軸5の先端部53(凸状部分)と弁体9の嵌合孔90(凹状部分)とが嵌合された状態で、弁体9の閉鎖部9cがボディ2の弁座24に着座され、弁口23が全閉される形態が採用されている。これに限らず、弁軸5の先端部53に形成された凹状部分と弁体9の突起状の嵌合部(凸状部分)とが嵌合された状態で、弁体9の閉鎖部9cがボディ2の弁座24に着座され、弁口23が全閉される形態としても良い。
【0062】
上記した各実施例によれば、ステッピングモータ4が採用されているが、場合によっては、直動軸41を直動させるリニアモータとしても良い。第1係合部81は、横断面において、互いに背向する2個の第1平坦面81cを有するが、これに限らず、凹または凸等でも良い。また第2係合部82は、横断面において、互いに背向する2個の第2平坦面82cを有するが、これに限らず、凹または凸等でも良い。その他、本発明は上記した実施形態および実施例のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施可能である。ある実施形態および実施例に特有の構造および機能は他の実施形態および実施例についても適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明はステッピングモータ等の駆動モータを搭載するバルブとして利用することができる。本発明は燃料電池システム等の流体システムのバルブとして利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】実施例1に係り、バルブの組付途中を示し、バルブのモータのストッパ面に弁軸が当接している状態を示す断面図である。
【図2】実施例1に係り、バルブの組付途中を示し、バルブのモータのストッパ面に当接している弁軸に弁体を取り付け、且つ弁体を弁座に着座させている状態を示す断面図である。
【図3】実施例1に係り、バルブの組付終了状態を示し、バルブのモータのストッパ面に当接している弁軸に弁体を取り付け、袋ナットを弁軸に取り付けた状態を示す断面図である。
【図4】実施例2に係り、バルブの組付終了状態を示し、バルブのモータのストッパ面に当接している弁軸に弁体を取り付けた状態を示す断面図である。
【図5】実施例3に係り、バルブの組付終了状態を示し、バルブのモータのストッパ面に当接している弁軸に弁体を取り付けた状態を示す断面図である。
【図6】実施例4に係り、バルブの組付過程を示す断面図である。
【図7】実施例5に係り、バルブの組付過程を示す断面図である。
【符号の説明】
【0065】
1はバルブ、2はボディ、21は一次通路、22は二次通路、23は弁口、4はステッピングモータ(駆動モータ)、41は直動軸、42はストッパ面、5は弁軸、51は被当接部、52は球状面、6はバネ部材、9は弁体、90嵌合孔(嵌合部)、7は固定要素、70は雄螺子部、70eは雄螺子部分、72は雌螺子部、73は接着材層、74は袋ナット、76は閉鎖壁、81は第1係合部、82は第2係合部を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁口を形成する弁座をもつボディと、
前記ボディに搭載され軸長方向のストッパ面をもつと共に開弁方向および閉弁方向に直動するための直動軸を有する駆動モータと、
前記駆動モータの前記直動軸と別体をなし、前記直動軸の軸芯の延長線に沿って配置され前記直動軸の前記ストッパ面に突き当て可能な被当接部をもつ弁軸と、
前記弁軸の前記被当接部を前記直動軸の前記ストッパ面に突き当てる付勢力を発揮させるバネ部材と、
前記弁軸の軸長方向において移動可能に前記弁軸の先端部に嵌合される嵌合部をもち、且つ、前記ボディの前記弁座に着座可能であり、着座に伴い前記弁口を閉鎖させる弁体と、
組付時において、前記弁軸の先端部と前記弁体の前記嵌合部とが嵌合された状態で、且つ、前記ボディの前記弁座に前記弁体が着座し前記弁体の開度が0となる状態で、前記弁体を前記弁軸の先端部に固定させる固定要素とを具備することを特徴とするモータ搭載バルブ。
【請求項2】
請求項1において、前記固定要素は、前記弁軸の先端部に設けられた雄螺子部と、前記弁体の前記嵌合部に設けられ前記雄螺子部と螺合可能な雌螺子部とを有しており、組付時において、前記弁軸の前記雄螺子部と前記弁体の前記雌螺子部とを互いに螺合させることにより、前記弁体の開度が0となるように前記弁体を前記弁軸に位置決めさせた状態で前記弁軸の先端部に固定させることを特徴とするモータ搭載バルブ。
【請求項3】
請求項1において、前記固定要素は、前記弁軸の先端部に設けられた雄螺子部と、前記弁体の前記嵌合部に設けられ前記雄螺子部と螺合可能な雌螺子部と、前記弁体の前記雌螺子部と前記弁軸の前記雄螺子部との間に介在すると共に両者を接着させる接着材層とを有しており、
組付時において、前記弁軸の前記雄螺子部と前記弁体の前記雌螺子部との間に前記接着材層を介在させた状態で、前記弁軸の前記雄螺子部と前記弁体の前記雌螺子部とを互いに螺合させることにより、前記弁体の開度が0となるように前記弁体を前記弁軸に位置決めさせた状態で前記弁軸の先端部に固定させることを特徴とするモータ搭載バルブ。
【請求項4】
請求項1において、前記固定要素は、前記弁軸の先端部に設けられた前記雄螺子部と、前記弁体の前記嵌合部に設けられ前記雄螺子部と螺合可能な雌螺子部と、前記弁体の前記雄螺子部のうち前記弁体の前記雌螺子部から突出する雄螺子部分に螺合するための第2雌螺子部をもつ袋ナットとを有しており、
組付時において、前記弁軸の前記雄螺子部と前記弁体の前記雌螺子部とを互いに螺合させることにより、前記弁体を前記弁座に着座させ前記弁体の開度を0とした状態で前記弁体を前記弁軸の先端部に仮固定し、更に、仮固定されている前記弁体の前記雌螺子部から突出する雄螺子部分に前記袋ナットの前記第2雌螺子部を螺合させることにより、前記弁体の開度が0となるように前記弁体を前記弁軸に位置決めした状態で前記弁軸の先端部に本固定させることを特徴とするモータ搭載バルブ。
【請求項5】
請求項1において、前記固定要素は、前記弁軸の先端部の外周面と前記弁体の前記嵌合部の内周面との間に介在する接着材層とを有しており、組付時において、前記弁軸の先端部の外周面と前記弁体の前記嵌合部の内周面との間に接着材層を介在させた状態で、前記弁体の開度が0となるように前記弁体を前記弁軸に位置決めさせた状態で前記弁軸の先端部に固定させることを特徴とするモータ搭載バルブ。
【請求項6】
請求項2〜5のうちの一項において、前記弁軸は、前記弁軸の前記雄螺子部と前記弁体の前記雌螺子部とを互いに螺合させるとき、前記弁軸がこれの軸芯回りで空転することを抑える第1工具または作業者の指先が係合するための第1係合部を有することを特徴とするモータ搭載バルブ。
【請求項7】
請求項2〜6のうちの一項において、前記弁体は、前記袋ナットの前記第2雌螺子部と前記弁体の前記雌螺子部分とを互いに螺合させるとき、前記弁体がこれの軸芯回りで空転することを抑える第2工具または作業者の指先が係合するための第2係合部を有することを特徴とするモータ搭載バルブ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−138941(P2010−138941A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−313450(P2008−313450)
【出願日】平成20年12月9日(2008.12.9)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】