説明

モータ

【課題】ブラケット、ロータコア、永久磁石を一体成型する構造において、永久磁石を挿入または、接着剤等による固定や金型内での装置が必要である。また、回転方向の位置決めは目視で行うため回転方向の位置精度が悪くなるという課題があった。
【解決手段】上記課題を解決するために本発明は、永久磁石2挿入の孔部以外に孔部5または切りかけ6を有し、成型金型8に設けた凸部10を挿入して一体成型して、永久磁石2挿入用の孔部の軸方向のどちらか一方の端面側に孔部または孔部の内側にはり出した形状の永久磁石止め11を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータコアと永久磁石を一体成型するロータを搭載するモータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のロータを図4に示す。内側ロータ3に永久磁石2を挿入する場合と外側ロータ4に永久磁石2を挿入する場合、成型金型内にて挿入もしくは成型金型に載せるまでに治具などで固定子していた。また、回転方向の位置決めは目視にて行い一体成型されていた。(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】特表2005−521378号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の構成では、一体成型を行うときに永久磁石を挿入または、接着剤等による固定や金型内での装置が必要である。また、回転方向の位置決めは目視で行うため回転方向の位置精度が悪くなるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決するために本発明は、永久磁石挿入の孔部以外に孔部または切りかけを有し、成型金型に設けた凸部を挿入して一体成型して、永久磁石挿入用の孔部軸方向のどちらか一方の端面側に孔部または孔部の内側にはり出した形状を設けた。
【発明の効果】
【0005】
ロータコアに永久磁石を金型内にて挿入する必要がなくなり、接着剤等による固定も不要となる。また、回転方向の位置決めを金型の凸部にて行うため目視確認が不要となる。よって、材料費や工数が低減されモータを低コスト化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
請求項1に記載の発明は、略環状のヨークと、前記ヨークに設けた複数のティースとからなるステータコアの前記ヨークに、3相スターもしくはデルタ状に結線されトロイダル巻線を施した複数のコイルを有するステータと、前記ステータに対して回転自在に保持されたロータとからなり、前記ロータは、ステータの内径側に対向する内側ロータと、外径側に対向する外側ロータとで構成され、前記ティースは、前記ヨークから外周方向に突出した外側ティースと、前記外側ティースと同数で前記ヨークから内周方向に突出した内側ティースからなり、前記内側ロータと前記外側ロータには永久磁石挿入の孔部が設けられており、前記孔部に収納保持された複数の内側ロータ永久磁石と外側ロータ永久磁石を備え、前記内側ロータ永久磁石と外側ロータ永久磁石の形状が長方形であるモータのロータにおいて、永久磁石挿入の孔部以外に孔部または切りかけを有することで、磁石の加工コストを低減し、さらに切りかけと孔を活用することによりモータの精度を向上することができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記永久磁石挿入用以外の孔部または切りかけに成型金型に設けた凸部を挿入して一体成形することにより、回転方向の位置決めを金型の凸部にて行うことができる。
【0008】
請求項3に記載の発明は、前記永久磁石挿入用の孔部軸方向のどちらか一方の端面側に孔部または孔部の内側にはり出した形状を設けることにより、接着剤を不要とし、成型ま
での時間を短縮することができる。
【実施例1】
【0009】
以下、本発明の実施例について、図面を用いて説明する。
【0010】
(実施例1)
図1は、内側ロータ3と外側ロータ4に永久磁石2を埋め込んで樹脂成型する時の状態を示したものである。樹脂が切りかけ6から流れることにより主流路となり切りかけ6を中心に反ゲート方向に波紋状に広がり、圧力により永久磁石2とロータコア1が金型8の方向に押し出されて、モータの組立時のステータ側との隙間が均一になる。また、永久磁石2を埋め込むことにより、リラクタンストルクを補助的に活用することが可能であり、モータの小型化やそれに伴う低コスト化を実現できる。
【0011】
(実施例2)
図2は、内側ロータ3と外側ロータ4に永久磁石2を樹脂成型する前に、ロータコア1の永久磁石2を挿入する孔部以外の孔に成型金型の凸部10を挿入することにより位置決めを行う状態を示したものである。回転方向の動きを抑制することにより、成型後のロータとステータとの位置関係が均一となり、モータ特性のばらつきを低減することが可能となる。そのため、不良率が低減され低コスト化を実現できる。
【0012】
(実施例3)
図3は、内側ロータ3と外側ロータ4において、永久磁石2を挿入する孔部に永久磁石2を固定する状態を示したものである。永久磁石2がロータコア1から抜け落ちないため、成型金型装着までの間の輸送が可能となり、接着剤等で固定する必要がないため材料費や工数が低減されモータを低コスト化できる。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明のモータは、洗濯機等に用いられるモータとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施例のロータと金型を示す部分正面図
【図2】(a)は本発明の第2の実施例のロータと金型を示す部分正面図、(b)は同金型を示す部分正面図
【図3】(a)は本発明の第3の実施例のロータにおける永久磁石挿入部の永久磁石挿入側を示す部分拡大図、(b)は同永久磁石反挿入側を示す部分拡大図
【図4】本発明の成型後のロータを示す斜視図
【図5】従来のロータと金型を示す部分正面図
【符号の説明】
【0015】
1 ロータコア
2 永久磁石
3 内側ロータ
4 外側ロータ
5 孔部
6 切りかけ
7 成型樹脂
8 金型
9 樹脂の流路
10 凸部
11 永久磁石止め

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略環状のヨークと、前記ヨークに設けた複数のティースとからなるステータコアの前記ヨークに、3相スターもしくはデルタ状に結線されトロイダル巻線を施した複数のコイルを有するステータと、前記ステータに対して回転自在に保持されたロータとからなり、前記ロータは、ステータの内径側に対向する内側ロータと、外径側に対向する外側ロータとで構成され、前記ティースは、前記ヨークから外周方向に突出した外側ティースと、前記外側ティースと同数で前記ヨークから内周方向に突出した内側ティースからなり、前記内側ロータと前記外側ロータには永久磁石挿入の孔部が設けられており、前記孔部に収納保持された複数の内側ロータ永久磁石と外側ロータ永久磁石を備え、前記内側ロータ永久磁石と外側ロータ永久磁石の形状が長方形であるモータのロータにおいて、永久磁石挿入の孔部以外に孔部または切りかけを有することを特徴とするモータ。
【請求項2】
前記永久磁石挿入用以外の孔部または切りかけに成型金型に設けた凸部を挿入して一体成形することを特徴とする請求項1記載のモータ。
【請求項3】
前記永久磁石挿入用の孔部軸方向のどちらか一方の端面側に孔部または孔部の内側にはり出した形状を設けたことを特徴とする請求項1記載のモータ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−61436(P2008−61436A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−237233(P2006−237233)
【出願日】平成18年9月1日(2006.9.1)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】