モールド台車の移送方法およびその装置
【課題】安価な空圧シリンダとオイルクッション付き空圧シリンダとを用いても、直列状に配置された複数のモールド台車を、１個のモールド台車のピッチで間歇的に移動させて、複数の前記モールド台車のそれぞれを所定位置に移送することができる方法を提供する。
【解決手段】直列状に配置された複数のモールド台車を、１個のモールド台車のピッチで間歇的に移動させて複数の前記モールド台車のそれぞれを所定位置に移送する方法でおいて、複数のモールド台車を速度制御された空圧シリンダの伸長作動により押動するとともにオイルクッション付き空圧シリンダによって受けて、複数のモールド台車を、１個のモールド台車の長さよりも若干長い距離移動させてモールド台車のそれぞれを所定位置を通過させたのち、当該複数のモールド台車のそれぞれを所定位置まで後退させることを特徴とする。
【解決手段】直列状に配置された複数のモールド台車を、１個のモールド台車のピッチで間歇的に移動させて複数の前記モールド台車のそれぞれを所定位置に移送する方法でおいて、複数のモールド台車を速度制御された空圧シリンダの伸長作動により押動するとともにオイルクッション付き空圧シリンダによって受けて、複数のモールド台車を、１個のモールド台車の長さよりも若干長い距離移動させてモールド台車のそれぞれを所定位置を通過させたのち、当該複数のモールド台車のそれぞれを所定位置まで後退させることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、直列状に配置された複数のモールド台車を、１個のモールド台車のピッチで間歇的に移動させて複数の前記モールド台車のそれぞれを所定位置に移送する方法およびその装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
鋳型を載せた複数のモールド台車を直列状に配置し、これら複数のモールド台車を空圧シリンダとクッションシリンダとで挟み込み、１個のモールド台車のピッチで間歇的に移送する装置は公知である。
【特許文献１】実公昭６２−４６６６５号公報
【特許文献２】特開２００４−４２０７３号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
ところで、薄肉高密度鋳物を高速で鋳造すべく、上記の実公昭６２−４６６６５号公報に記載の装置を用いて鋳型を載せた複数のモールド台車を移送すると、送り始めにおけるモールド台車間の隙間を解消するための寄せ、および送り完了後におけるクランプ閉じ時の衝撃により、鋳型の破損、中子の倒れ、モールド台車上の鋳型の位置ずれなどが発生する問題があった。
そのため、上記の特開２００４−４２０７３号公報に記載の装置を用いて複数のモールド台車を移送することも試みられているが、この方法では、高価な電動シリンダや油圧比例制御弁を用いるため設備費が嵩むなどの問題があった。
【０００４】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、安価な空圧シリンダとオイルクッション付き空圧シリンダとを用いて、直列状に配置された複数のモールド台車を、１個のモールド台車のピッチで間歇的に移動させて、複数の前記モールド台車のそれぞれを所定位置に移送することができる方法およびその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
上記の問題を解消するために請求項１におけるモールド台車の移送方法は、直列状に配置された複数のモールド台車を、１個のモールド台車のピッチで間歇的に移動させて複数の前記モールド台車のそれぞれを所定位置に移送する方法であって、前記複数のモールド台車を速度制御された空圧シリンダの伸長作動により押動するとともにオイルクッション付き空圧シリンダによって受けて、前記複数のモールド台車を、１個のモールド台車の長さよりも若干長い距離移動させて前記モールド台車のそれぞれを前記所定位置を通過させたのち、当該複数のモールド台車のそれぞれを所定位置まで後退させることを特徴とする。
【０００６】
また、請求項２におけるモールド台車の移送装置は、直列状に配置された複数のモールド台車を、１個のモールド台車のピッチで間歇的に移動させて複数の前記モールド台車のそれぞれを所定位置に移送する装置であって、前記複数のモールド台車を直列状に配置させて移送するレールと、このレールにおける前記モールド台車の搬入側に配設されて前記複数のモールド台車を前記レールの延びる方向へ押動させる空圧シリンダと、前記レールにおける前記モールド台車の搬出側に配設されて押動された前記複数のモールド台車を受けるオイルクッション付き空圧シリンダと、前記レールにおける前記所定位置の近傍に配設されて所定位置から若干長い距離の位置まで移動した複数のモールド台車を所定位置まで戻す空圧シリンダ付き戻し装置と、前記空圧シリンダによって押動された前記複数のモールド台車を通過させ、また前記空圧シリンダ付き戻し装置によって戻された前記モールド台車を前記所定位置で停止させるウエイト式ストッパと、を備えたことを特徴とする。
【０００７】
このように構成されたものは、速度制御された空圧シリンダを伸長作動して複数のモールド台車を押動するとともにオイルクッション付き空圧シリンダによって受けて、複数のモールド台車を、１個のモールド台車の長さよりも若干長い距離移送し、続いて、空圧シリンダを収縮作動するとともに空圧シリンダ付き戻し装置を作動して、複数のモールド台車を戻すとともにウエイト式ストッパによって停止させて所定位置に位置決めする。
【発明の効果】
【０００８】
上記の説明から明らかなように請求項１は、直列状に配置された複数のモールド台車を、１個のモールド台車のピッチで間歇的に移動させて複数の前記モールド台車のそれぞれを所定位置に移送する方法であって、前記複数のモールド台車を速度制御された空圧シリンダの伸長作動により押動するとともにオイルクッション付き空圧シリンダによって受けて、前記複数のモールド台車を、１個のモールド台車の長さよりも若干長い距離移動させて前記モールド台車のそれぞれを前記所定位置を通過させたのち、当該複数のモールド台車のそれぞれを所定位置まで後退させるから、安価な空圧シリンダとオイルクッション付き空圧シリンダとを用いても、直列状に配置された複数のモールド台車のそれぞれを、１個のモールド台車のピッチで間歇的に移動させて、複数の前記モールド台車のそれぞれを適確に所定位置に移送することができるなどの優れた実用的効果を奏する。
【０００９】
また、請求項２は、直列状に配置された複数のモールド台車を、１個のモールド台車のピッチで間歇的に移送する装置であって、前記複数のモールド台車を直列状に配置させて移送するレールと、このレールにおける前記モールド台車の搬入側に配設されて前記複数のモールド台車を押動させる空圧シリンダと、前記レールにおける前記モールド台車の搬出側に配設されて前記複数のモールド台車を移動を受けるオイルクッション付き空圧シリンダと、前記レールにおける前記所定位置の近傍に配設されて所定位置から若干長い距離の位置まで移動した複数のモールド台車を所定位置まで戻す空圧シリンダ付き戻し装置と、前記空圧シリンダによって押動された前記複数のモールド台車を通過させ、また前記空圧シリンダ付き戻し装置によって戻された前記モールド台車を前記所定位置で停止させるウエイト式ストッパと、を備えたから、安価な空圧シリンダとオイルクッション付き空圧シリンダとを用いても、直列状に配置された複数のモールド台車のそれぞれを、１個のモールド台車のピッチで間歇的に移動させて、複数の前記モールド台車のそれぞれを適確に所定位置に移送することができるなどの優れた実用的効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１０】
本発明を適用したモールド台車の移送装置の一実施例について図１〜図９に基づき詳細に説明する。図１に示すように、高架状に敷設した左右方向へ延びるレール１の左端にはモールド台車搬入用トラバーサ２が、また、前記レール１の右端にはモールド台車搬出用トラバーサ３がそれぞれ配設してある。前記モールド台車搬入用トラバーサ２の左側にはプッシャ装置としての空圧シリンダ４が、また、前記モールド台車搬出用トラバーサ３の右側にはクッション装置としてのオイルクッション付き空圧シリンダ５がそれぞれ隣接して配設してある。そして、前記レール１上には鋳型を載せた複数のモールド台車６・６が直列状に載置してあり、さらに、前記レール１の中間位置の上方にはジャケット移換装置７および重錘移換装置８が並べてそれぞれ配設してある。なお、前記モールド台車６の下面には移送方向へ延びる溝９が設けてある（図２参照）。
【００１１】
また、図１に示すように、前記レール１の下流における前記ジャケット移換装置７の搬入側近傍には、モールド台車６を位置決めするウエイト式ストッパ１０が配設してあり、ウエイト式ストッパ１０は、図２に示すように、支持台１１と、支持台１１に右上部にて上下回動自在に枢支されかつ支持台１１に当接可能な突起部１２を設けたストッパ１３とで構成してある。ストッパ１３は、前記モールド台車６の溝９の側面と係合可能な爪１４を上部右端に有しかつ下半分が錘部を形成していて、爪１４が通常錘部の重力で上を向いているが、前記モールド台車６が進行方向である右方へ移動する際には、爪１４が右方へ傾動して逃げ、また前記モールド台車６が進行方向とは逆行する際には、図３に示すように、爪１４が前記モールド台車６の溝９の側面と係合するとともに、前記突起部１２が前記支持台１１に係合して前記モールド台車６の逆行を阻止するとともにモールド台車６を位置決めするようになっている。
【００１２】
また、図１に示すように、前記レール１の下流における前記重錘移換装置８の近傍には、前記モールド台車６を進行方向とは逆の左方へ戻す空圧シリンダ付き戻し装置１５が配設してあり、空圧シリンダ付き戻し装置１５は、図２に示すように、別途枢支して配設された横向きのシリンダ１６と、中央近傍にて上下回動自在に枢支して配設され下端が前記シリンダ１６のピストンロッドの先端にピン連結され、上端には前記モールド台車６の溝９の側面と係合可能なボルト１７を螺着したアーム１８とで構成してある。そして、図３に示すように、前記シリンダ１６の伸長作動により、前記アーム１８を反時計回り方向へ回動させると、前記ボルト１７の頭部が前記モールド台車６の溝９の側面と係合して前記モールド台車６を進行方向とは逆の左方へ戻すことができるようになっている。
【００１３】
また、図１に示すように、前記レール１の下流における前記モールド台車搬出用トラバーサ３の近傍にも、前記空圧シリンダ付き戻し装置１５と同じ構造の空圧シリンダ付き戻し装置１９が別途配設してあって、図４に示すように、前記モールド台車６・６群を進行方向とは逆の左方へ戻すことにより、前記レール１上の前記モールド台車６・６群と前記モールド台車搬出用トラバーサ３の前記モールド台車６との間に隙間を設けることができるようになっている。
【００１４】
また、図５に示すように、前記空圧シリンダ４の空圧回路２０には、アウト絞りのスピードコントローラ２１・２１が設けてあり、さらに前記空圧シリンダ４の伸長作動の速度（そのピストンロッドの伸長速度）を制御するイン絞りのスピードコントローラ２２が増設してある。この増設したスピードコントローラ２２で圧縮空気の供給量を制御して前記空圧シリンダ４のピストンロッドの伸長作動時の速度を制御することにより、電磁弁２３の切換え直後に前記空圧シリンダ４におけるヘッド側とロッド側の面積差による推力の差で生じる、前記空圧シリンダ４のピストンダロッドの飛出しを防いだり、前記モールド台車６を押出す際に、前記モールド台車搬入用トラバーサ２の前記モールド台車６と前記レール１上の前記モールド台車６・６群との隙間から生じる、前記空圧シリンダ４のピストンロッドの前記モールド台車６への衝撃を緩和することができる（図６参照）。
【００１５】
また、図７に示すように、前記オイルクッション付き空圧シリンダ５の空圧回路２４には、アウト絞りのスピードコントローラ２５・２５と、イン絞りのスピードコントローラ２６・２６が併設してあって、前記空圧シリンダ５のピストンロッドの伸縮作動時の速度制御を容易に行うことができるようになっている。
また、前記空圧回路２４に設けたセンターオープンの３ポジション型電磁弁２７を切り替えて前記空圧シリンダ５を収縮作動することにより、オイルクッションのピストンロッド２８を戻すことができるようになっている。
【００１６】
また、図８に示すように、前記空圧シリンダ付き戻し装置１５の空圧回路２９においては、前記空圧シリンダ１６に収縮作動用の圧縮空気を供給する配管３０に、アウト絞りのスピードコントローラ３１と、カットバルブ３２および高速用スピードコントローラ３３を直列に設けたバイバス回路３４とが並列的に設けてあって、前記モールド台車６を進行方向と逆方向へ移送する際には、前記カットバルブ３２の切換えにより、前記空圧シリンダ１６からの排気量を増大させて前記空圧シリンダ付き戻し装置１５のアーム１８を高速度で反時計回り方向へ回動させ、モールド台車６の溝９の側面に当たる手前で、減速する事により、モールド台車６への衝撃を緩和できる（図３参照）。
【００１７】
このように構成したものは、図１に示す状態から、鋳型を載せた複数のモールド台車６・６を矢印方向へ移送するには、図９に示すように、空圧回路２０のスピードコントローラ２１・２２によって速度制御されたシリンダ４を伸長作動して複数のモールド台車６・６を右方へ押動するとともにオイルクッション付き空圧シリンダ５によって受けて、複数のモールド台車６・６を、１個のモールド台車６の長さよりも若干長い距離右方へ移動させて右端のモールド台車６をモールド台車搬出用トラバーサ３上に移す。次いで、空圧シリンダ４を収縮作動し、かつ空圧シリンダ付き戻し装置１５・１９の空圧シリンダ１６・１６をそれぞれ伸長作動してアーム１８・１８をそれぞれ反時計回り方向へ回動させ、ウエイト式ストッパ１０と空圧シリンダ付き戻し装置１５との間に位置する複数のモールド台車６・６を戻しウエイト式ストッパ１０によって停止させて位置決めするとともに、モールド台車搬出用トラバーサ３上のモールド台車６から引き離す。
【図面の簡単な説明】
【００１８】
【図１】本発明を採用したモールド台車移送装置の一実施例を正面図である。
【図２】図１における主要部の拡大詳細図である。
【図３】図２の作動説明図である。
【図４】図１の部分的な作動説明図である。
【図５】空圧シリンダ４の空圧回路を示す回路図である。
【図６】図１の部分的な作動説明図である。
【図７】オイルクッション付き空圧シリンダ５の空圧回路を示す回路図である。
【図８】空圧シリンダ付き戻し装置１５、１９の空圧回路を示す回路図である。
【図９】図１の部分的な作動説明図である。
【符号の説明】
【００１９】
１ レール
４ 空圧シリンダ
５ オイルクッション付き空圧シリンダ
６ モールド台車
１５；１９ 空圧シリンダ付き戻し装置
【技術分野】
【０００１】
本発明は、直列状に配置された複数のモールド台車を、１個のモールド台車のピッチで間歇的に移動させて複数の前記モールド台車のそれぞれを所定位置に移送する方法およびその装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
鋳型を載せた複数のモールド台車を直列状に配置し、これら複数のモールド台車を空圧シリンダとクッションシリンダとで挟み込み、１個のモールド台車のピッチで間歇的に移送する装置は公知である。
【特許文献１】実公昭６２−４６６６５号公報
【特許文献２】特開２００４−４２０７３号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
ところで、薄肉高密度鋳物を高速で鋳造すべく、上記の実公昭６２−４６６６５号公報に記載の装置を用いて鋳型を載せた複数のモールド台車を移送すると、送り始めにおけるモールド台車間の隙間を解消するための寄せ、および送り完了後におけるクランプ閉じ時の衝撃により、鋳型の破損、中子の倒れ、モールド台車上の鋳型の位置ずれなどが発生する問題があった。
そのため、上記の特開２００４−４２０７３号公報に記載の装置を用いて複数のモールド台車を移送することも試みられているが、この方法では、高価な電動シリンダや油圧比例制御弁を用いるため設備費が嵩むなどの問題があった。
【０００４】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、安価な空圧シリンダとオイルクッション付き空圧シリンダとを用いて、直列状に配置された複数のモールド台車を、１個のモールド台車のピッチで間歇的に移動させて、複数の前記モールド台車のそれぞれを所定位置に移送することができる方法およびその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
上記の問題を解消するために請求項１におけるモールド台車の移送方法は、直列状に配置された複数のモールド台車を、１個のモールド台車のピッチで間歇的に移動させて複数の前記モールド台車のそれぞれを所定位置に移送する方法であって、前記複数のモールド台車を速度制御された空圧シリンダの伸長作動により押動するとともにオイルクッション付き空圧シリンダによって受けて、前記複数のモールド台車を、１個のモールド台車の長さよりも若干長い距離移動させて前記モールド台車のそれぞれを前記所定位置を通過させたのち、当該複数のモールド台車のそれぞれを所定位置まで後退させることを特徴とする。
【０００６】
また、請求項２におけるモールド台車の移送装置は、直列状に配置された複数のモールド台車を、１個のモールド台車のピッチで間歇的に移動させて複数の前記モールド台車のそれぞれを所定位置に移送する装置であって、前記複数のモールド台車を直列状に配置させて移送するレールと、このレールにおける前記モールド台車の搬入側に配設されて前記複数のモールド台車を前記レールの延びる方向へ押動させる空圧シリンダと、前記レールにおける前記モールド台車の搬出側に配設されて押動された前記複数のモールド台車を受けるオイルクッション付き空圧シリンダと、前記レールにおける前記所定位置の近傍に配設されて所定位置から若干長い距離の位置まで移動した複数のモールド台車を所定位置まで戻す空圧シリンダ付き戻し装置と、前記空圧シリンダによって押動された前記複数のモールド台車を通過させ、また前記空圧シリンダ付き戻し装置によって戻された前記モールド台車を前記所定位置で停止させるウエイト式ストッパと、を備えたことを特徴とする。
【０００７】
このように構成されたものは、速度制御された空圧シリンダを伸長作動して複数のモールド台車を押動するとともにオイルクッション付き空圧シリンダによって受けて、複数のモールド台車を、１個のモールド台車の長さよりも若干長い距離移送し、続いて、空圧シリンダを収縮作動するとともに空圧シリンダ付き戻し装置を作動して、複数のモールド台車を戻すとともにウエイト式ストッパによって停止させて所定位置に位置決めする。
【発明の効果】
【０００８】
上記の説明から明らかなように請求項１は、直列状に配置された複数のモールド台車を、１個のモールド台車のピッチで間歇的に移動させて複数の前記モールド台車のそれぞれを所定位置に移送する方法であって、前記複数のモールド台車を速度制御された空圧シリンダの伸長作動により押動するとともにオイルクッション付き空圧シリンダによって受けて、前記複数のモールド台車を、１個のモールド台車の長さよりも若干長い距離移動させて前記モールド台車のそれぞれを前記所定位置を通過させたのち、当該複数のモールド台車のそれぞれを所定位置まで後退させるから、安価な空圧シリンダとオイルクッション付き空圧シリンダとを用いても、直列状に配置された複数のモールド台車のそれぞれを、１個のモールド台車のピッチで間歇的に移動させて、複数の前記モールド台車のそれぞれを適確に所定位置に移送することができるなどの優れた実用的効果を奏する。
【０００９】
また、請求項２は、直列状に配置された複数のモールド台車を、１個のモールド台車のピッチで間歇的に移送する装置であって、前記複数のモールド台車を直列状に配置させて移送するレールと、このレールにおける前記モールド台車の搬入側に配設されて前記複数のモールド台車を押動させる空圧シリンダと、前記レールにおける前記モールド台車の搬出側に配設されて前記複数のモールド台車を移動を受けるオイルクッション付き空圧シリンダと、前記レールにおける前記所定位置の近傍に配設されて所定位置から若干長い距離の位置まで移動した複数のモールド台車を所定位置まで戻す空圧シリンダ付き戻し装置と、前記空圧シリンダによって押動された前記複数のモールド台車を通過させ、また前記空圧シリンダ付き戻し装置によって戻された前記モールド台車を前記所定位置で停止させるウエイト式ストッパと、を備えたから、安価な空圧シリンダとオイルクッション付き空圧シリンダとを用いても、直列状に配置された複数のモールド台車のそれぞれを、１個のモールド台車のピッチで間歇的に移動させて、複数の前記モールド台車のそれぞれを適確に所定位置に移送することができるなどの優れた実用的効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１０】
本発明を適用したモールド台車の移送装置の一実施例について図１〜図９に基づき詳細に説明する。図１に示すように、高架状に敷設した左右方向へ延びるレール１の左端にはモールド台車搬入用トラバーサ２が、また、前記レール１の右端にはモールド台車搬出用トラバーサ３がそれぞれ配設してある。前記モールド台車搬入用トラバーサ２の左側にはプッシャ装置としての空圧シリンダ４が、また、前記モールド台車搬出用トラバーサ３の右側にはクッション装置としてのオイルクッション付き空圧シリンダ５がそれぞれ隣接して配設してある。そして、前記レール１上には鋳型を載せた複数のモールド台車６・６が直列状に載置してあり、さらに、前記レール１の中間位置の上方にはジャケット移換装置７および重錘移換装置８が並べてそれぞれ配設してある。なお、前記モールド台車６の下面には移送方向へ延びる溝９が設けてある（図２参照）。
【００１１】
また、図１に示すように、前記レール１の下流における前記ジャケット移換装置７の搬入側近傍には、モールド台車６を位置決めするウエイト式ストッパ１０が配設してあり、ウエイト式ストッパ１０は、図２に示すように、支持台１１と、支持台１１に右上部にて上下回動自在に枢支されかつ支持台１１に当接可能な突起部１２を設けたストッパ１３とで構成してある。ストッパ１３は、前記モールド台車６の溝９の側面と係合可能な爪１４を上部右端に有しかつ下半分が錘部を形成していて、爪１４が通常錘部の重力で上を向いているが、前記モールド台車６が進行方向である右方へ移動する際には、爪１４が右方へ傾動して逃げ、また前記モールド台車６が進行方向とは逆行する際には、図３に示すように、爪１４が前記モールド台車６の溝９の側面と係合するとともに、前記突起部１２が前記支持台１１に係合して前記モールド台車６の逆行を阻止するとともにモールド台車６を位置決めするようになっている。
【００１２】
また、図１に示すように、前記レール１の下流における前記重錘移換装置８の近傍には、前記モールド台車６を進行方向とは逆の左方へ戻す空圧シリンダ付き戻し装置１５が配設してあり、空圧シリンダ付き戻し装置１５は、図２に示すように、別途枢支して配設された横向きのシリンダ１６と、中央近傍にて上下回動自在に枢支して配設され下端が前記シリンダ１６のピストンロッドの先端にピン連結され、上端には前記モールド台車６の溝９の側面と係合可能なボルト１７を螺着したアーム１８とで構成してある。そして、図３に示すように、前記シリンダ１６の伸長作動により、前記アーム１８を反時計回り方向へ回動させると、前記ボルト１７の頭部が前記モールド台車６の溝９の側面と係合して前記モールド台車６を進行方向とは逆の左方へ戻すことができるようになっている。
【００１３】
また、図１に示すように、前記レール１の下流における前記モールド台車搬出用トラバーサ３の近傍にも、前記空圧シリンダ付き戻し装置１５と同じ構造の空圧シリンダ付き戻し装置１９が別途配設してあって、図４に示すように、前記モールド台車６・６群を進行方向とは逆の左方へ戻すことにより、前記レール１上の前記モールド台車６・６群と前記モールド台車搬出用トラバーサ３の前記モールド台車６との間に隙間を設けることができるようになっている。
【００１４】
また、図５に示すように、前記空圧シリンダ４の空圧回路２０には、アウト絞りのスピードコントローラ２１・２１が設けてあり、さらに前記空圧シリンダ４の伸長作動の速度（そのピストンロッドの伸長速度）を制御するイン絞りのスピードコントローラ２２が増設してある。この増設したスピードコントローラ２２で圧縮空気の供給量を制御して前記空圧シリンダ４のピストンロッドの伸長作動時の速度を制御することにより、電磁弁２３の切換え直後に前記空圧シリンダ４におけるヘッド側とロッド側の面積差による推力の差で生じる、前記空圧シリンダ４のピストンダロッドの飛出しを防いだり、前記モールド台車６を押出す際に、前記モールド台車搬入用トラバーサ２の前記モールド台車６と前記レール１上の前記モールド台車６・６群との隙間から生じる、前記空圧シリンダ４のピストンロッドの前記モールド台車６への衝撃を緩和することができる（図６参照）。
【００１５】
また、図７に示すように、前記オイルクッション付き空圧シリンダ５の空圧回路２４には、アウト絞りのスピードコントローラ２５・２５と、イン絞りのスピードコントローラ２６・２６が併設してあって、前記空圧シリンダ５のピストンロッドの伸縮作動時の速度制御を容易に行うことができるようになっている。
また、前記空圧回路２４に設けたセンターオープンの３ポジション型電磁弁２７を切り替えて前記空圧シリンダ５を収縮作動することにより、オイルクッションのピストンロッド２８を戻すことができるようになっている。
【００１６】
また、図８に示すように、前記空圧シリンダ付き戻し装置１５の空圧回路２９においては、前記空圧シリンダ１６に収縮作動用の圧縮空気を供給する配管３０に、アウト絞りのスピードコントローラ３１と、カットバルブ３２および高速用スピードコントローラ３３を直列に設けたバイバス回路３４とが並列的に設けてあって、前記モールド台車６を進行方向と逆方向へ移送する際には、前記カットバルブ３２の切換えにより、前記空圧シリンダ１６からの排気量を増大させて前記空圧シリンダ付き戻し装置１５のアーム１８を高速度で反時計回り方向へ回動させ、モールド台車６の溝９の側面に当たる手前で、減速する事により、モールド台車６への衝撃を緩和できる（図３参照）。
【００１７】
このように構成したものは、図１に示す状態から、鋳型を載せた複数のモールド台車６・６を矢印方向へ移送するには、図９に示すように、空圧回路２０のスピードコントローラ２１・２２によって速度制御されたシリンダ４を伸長作動して複数のモールド台車６・６を右方へ押動するとともにオイルクッション付き空圧シリンダ５によって受けて、複数のモールド台車６・６を、１個のモールド台車６の長さよりも若干長い距離右方へ移動させて右端のモールド台車６をモールド台車搬出用トラバーサ３上に移す。次いで、空圧シリンダ４を収縮作動し、かつ空圧シリンダ付き戻し装置１５・１９の空圧シリンダ１６・１６をそれぞれ伸長作動してアーム１８・１８をそれぞれ反時計回り方向へ回動させ、ウエイト式ストッパ１０と空圧シリンダ付き戻し装置１５との間に位置する複数のモールド台車６・６を戻しウエイト式ストッパ１０によって停止させて位置決めするとともに、モールド台車搬出用トラバーサ３上のモールド台車６から引き離す。
【図面の簡単な説明】
【００１８】
【図１】本発明を採用したモールド台車移送装置の一実施例を正面図である。
【図２】図１における主要部の拡大詳細図である。
【図３】図２の作動説明図である。
【図４】図１の部分的な作動説明図である。
【図５】空圧シリンダ４の空圧回路を示す回路図である。
【図６】図１の部分的な作動説明図である。
【図７】オイルクッション付き空圧シリンダ５の空圧回路を示す回路図である。
【図８】空圧シリンダ付き戻し装置１５、１９の空圧回路を示す回路図である。
【図９】図１の部分的な作動説明図である。
【符号の説明】
【００１９】
１ レール
４ 空圧シリンダ
５ オイルクッション付き空圧シリンダ
６ モールド台車
１５；１９ 空圧シリンダ付き戻し装置
【特許請求の範囲】
【請求項１】
直列状に配置された複数のモールド台車を、１個のモールド台車のピッチで間歇的に移動させて複数の前記モールド台車のそれぞれを所定位置に移送する方法であって、
前記複数のモールド台車を速度制御された空圧シリンダの伸長作動により押動するとともにオイルクッション付き空圧シリンダによって受けて、前記複数のモールド台車を、１個のモールド台車の長さよりも若干長い距離移動させて前記モールド台車のそれぞれを前記所定位置を通過させたのち、当該複数のモールド台車のそれぞれを所定位置まで後退させることを特徴とするモールド台車の移送方法。
【請求項２】
直列状に配置された複数のモールド台車を、１個のモールド台車のピッチで間歇的に移動させて複数の前記モールド台車のそれぞれを所定位置に移送する装置であって、
前記複数のモールド台車を直列状に配置させて移送するレールと、
このレールにおける前記モールド台車の搬入側に配設されて前記複数のモールド台車を前記レールの延びる方向へ押動させる空圧シリンダと、
前記レールにおける前記モールド台車の搬出側に配設されて押動された前記複数のモールド台車を受けるオイルクッション付き空圧シリンダと、
前記レールにおける前記所定位置の近傍に配設されて所定位置から若干長い距離の位置まで移動した複数のモールド台車を所定位置まで戻す空圧シリンダ付き戻し装置と、
前記空圧シリンダによって押動された前記複数のモールド台車を通過させ、また前記空圧シリンダ付き戻し装置によって戻された前記モールド台車を前記所定位置で停止させるウエイト式ストッパと、
を備えたことを特徴とするモールド台車の移送装置。
【請求項３】
請求項２に記載のモールド台車の移送装置において、
前記空圧シリンダの空圧回路に、この空圧シリンダのピストンロッドの伸長速度を制御するイン絞り型のスピードコントローラを設けたことを特徴とするモールド台車の移送装置。
【請求項４】
請求項２または３に記載のモールド台車の移送装置において、
前記オイルクッション付き空圧シリンダの空圧回路に、センターオープンの３ポジション型電磁弁を設けたことを特徴とするモールド台車の移送装置。
【請求項５】
請求項２〜４のうちいずれか１項に記載のモールド台車の移送装置において、
前記空圧シリンダ付き戻し装置の空圧シリンダの空圧回路に、前記モールド台車を所定位置まで後退させるように作動する前記空圧シリンダのピストンロッドの速度を速くすべく、空圧シリンダからの排気量を増大させるバイパス回路を設けたことを特徴とするモールド台車の移送装置。
【請求項１】
直列状に配置された複数のモールド台車を、１個のモールド台車のピッチで間歇的に移動させて複数の前記モールド台車のそれぞれを所定位置に移送する方法であって、
前記複数のモールド台車を速度制御された空圧シリンダの伸長作動により押動するとともにオイルクッション付き空圧シリンダによって受けて、前記複数のモールド台車を、１個のモールド台車の長さよりも若干長い距離移動させて前記モールド台車のそれぞれを前記所定位置を通過させたのち、当該複数のモールド台車のそれぞれを所定位置まで後退させることを特徴とするモールド台車の移送方法。
【請求項２】
直列状に配置された複数のモールド台車を、１個のモールド台車のピッチで間歇的に移動させて複数の前記モールド台車のそれぞれを所定位置に移送する装置であって、
前記複数のモールド台車を直列状に配置させて移送するレールと、
このレールにおける前記モールド台車の搬入側に配設されて前記複数のモールド台車を前記レールの延びる方向へ押動させる空圧シリンダと、
前記レールにおける前記モールド台車の搬出側に配設されて押動された前記複数のモールド台車を受けるオイルクッション付き空圧シリンダと、
前記レールにおける前記所定位置の近傍に配設されて所定位置から若干長い距離の位置まで移動した複数のモールド台車を所定位置まで戻す空圧シリンダ付き戻し装置と、
前記空圧シリンダによって押動された前記複数のモールド台車を通過させ、また前記空圧シリンダ付き戻し装置によって戻された前記モールド台車を前記所定位置で停止させるウエイト式ストッパと、
を備えたことを特徴とするモールド台車の移送装置。
【請求項３】
請求項２に記載のモールド台車の移送装置において、
前記空圧シリンダの空圧回路に、この空圧シリンダのピストンロッドの伸長速度を制御するイン絞り型のスピードコントローラを設けたことを特徴とするモールド台車の移送装置。
【請求項４】
請求項２または３に記載のモールド台車の移送装置において、
前記オイルクッション付き空圧シリンダの空圧回路に、センターオープンの３ポジション型電磁弁を設けたことを特徴とするモールド台車の移送装置。
【請求項５】
請求項２〜４のうちいずれか１項に記載のモールド台車の移送装置において、
前記空圧シリンダ付き戻し装置の空圧シリンダの空圧回路に、前記モールド台車を所定位置まで後退させるように作動する前記空圧シリンダのピストンロッドの速度を速くすべく、空圧シリンダからの排気量を増大させるバイパス回路を設けたことを特徴とするモールド台車の移送装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【公開番号】特開２００７−１５２３６５（Ｐ２００７−１５２３６５Ａ）
【公開日】平成１９年６月２１日（２００７．６．２１）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００５−３４７４７５（Ｐ２００５−３４７４７５）
【出願日】平成１７年１２月１日（２００５．１２．１）
【出願人】（０００１９１００９）新東工業株式会社 (474)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１９年６月２１日（２００７．６．２１）
【国際特許分類】
【出願日】平成１７年１２月１日（２００５．１２．１）
【出願人】（０００１９１００９）新東工業株式会社 (474)
【Ｆターム（参考）】
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