説明

ユーザがお気に入りのメディアファイルを永続的に保持できるようにする方法

本発明により、ユーザは、顕著な使用制限を有する可能性のあるお気に入りのDRM保護されたメディアファイルを時間の制限なく再生されるメディアファイルに変換できる。これは、DRM保護されたファイルが加入サービスの一部として供給され、且つ加入が終了する際にこれらのファイルを再生する機能が終了する場合に特に有用である。この手法は、DRM保護されたメディアファイルに対する再生指標を収集し、ユーザのお気に入りを判定するためにそれらを解析し、且つこれらのお気に入りのデジタルメディアファイルの時間制限のないバージョンをユーザに提供する機能に依存する。一実施例において、音楽加入サービスが終了してもユーザのお気に入りの音楽トラックは依然として再生される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DRM(デジタル権利管理)保護されたデジタルメディアコンテンツを演算装置に提供する方法に関する。その方法により、ユーザはそのコンテンツを永続的に保持できる。
【背景技術】
【0002】
従来、消費者は、デジタルメディアファイル、特に一般に1〜3個の少数の装置に結び付けられるメディアファイルをダウンロードする合法的オプションを1つしか有しておらず、装置の種類を選択することはそれらの機能に従って更に制限され、消費者が購入したメディアはその消費者の他のメディア再生装置のうちのいずれにおいても再生できない。
【0003】
そのようなデジタル権利管理(DRM)保護は、デジタルメディアコンテンツの権利保有者が保護されることにより、関連する著作権法に従って権利保有者に権利使用料が支払われることを保証するために重要であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、消費者は古いメディア再生装置を交換し、以前に購入したDRMライセンスが上述の制限のために新しい装置上で再生できないことが分かるため、DRMは増加する消費者の反感を長い間受けてきた。DRM技術は、これらの困難のうちのいくつかを解決するようにある程度強化されるかあるいは修正されてきた。しかしながら、消費者の反感の主な問題は依然として存在する。
【0005】
消費者の利益及びDRMに対する反感を克服する機構の双方として、時間の制限なく及び/又は再生装置の特定の集合に結び付けられることなく消費者に好適なデジタルメディアコンテンツへの永続的なアクセスを提供するために、AYCE(「All You Can Eat」)音楽加入サービスモデル等のDRM保護された環境内で提供されるデジタルメディアトラックを使用するための機構を一実現例において提供することにより、本発明はこの問題を解決しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、デジタルメディアコンテンツを演算装置に提供する方法であり、
(a)ユーザのDRM保護されたデジタルメディアファイルに対する再生指標を収集する工程と、
(b)ユーザのお気に入りのメディアファイルを判定するためにこれらの再生指標を解析する工程と、
(c)これらのお気に入りのデジタルメディアファイルの時間制限のないバージョンをユーザに提供する工程とを含む。
【0007】
この方法を使用することにより、一実現例において、顕著な使用制限を有する可能性のあるユーザのお気に入りのDRM保護されたメディアファイルを時間の制限なく再生される(例えば、時間制限なく無制限に再生された)メディアファイルに実質的に変換できる。これは、DRM保護されたファイルが加入サービスの一部として供給され、且つ加入が終了する際に通常はこれらのファイルを再生する機能が終了する場合に特に有用である。本発明により、加入が終了してもユーザのお気に入りのファイルは依然として再生される。
【0008】
ファイルが再生される度にユーザにより再生されるメディアファイルが著作権保有者への支払いをトリガするため、メディアファイルの権利(通常は著作権)の所有者は依然として適切に補償される。しかし、トラックがある特定の回数以上再生される場合、権利保有者は、それらをそのトラックに対して十分に補償されたとして扱うため、そのトラックが追加の支払いなしで永続的に聴けるようにする。しかし、この手法は、DRM保護されたメディアファイルに対する再生指標を収集する機能、ユーザのお気に入りを判定するために再生指標を解析する機能及これらのお気に入りのデジタルメディアファイルの時間制限のないバージョンをユーザに提供する機能に依存する。
【0009】
実現機能は以下のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0010】
再生指標は、時間制限のないバージョンを選択できるように、事前定義された閾値を上回ってデジタルメディアコンテンツファイルが再生される回数又は事前定義された閾値を上回ってデジタルメディアコンテンツファイルが再生される頻度を測定する。
【0011】
ユーザは、再生指標を解析することにより自動的に生成されたリストから所望の時間制限のないバージョンを選択できる(例えば、お気に入りを選択する)。例えば再生指標は、トラックがお気に入りのトラックであり且つそのトラックの時間制限のないバージョンが使用可能になるべきであることを示すためにユーザが適用した特定のフラグ又は通知を検出してもよい。
時間制限のないバージョンは、完全に自動的に、例えばユーザがお気に入りを手動で選択することなく更に選択される。
【0012】
解析される再生指標は、リモートサーバにおいて又は装置において、あるいはその2つの組合せで解析される。解析は、例えばお気に入りが選択される方法の精度を向上するために種々のカスタマイズ可能な方法で実行される。
【0013】
解析される再生指標は、ユーザにより使用される単一の演算装置又はユーザにより使用される多数の演算装置に関連する。後者の場合、多数の演算装置に対する再生指標は集約される。演算装置は、デジタルメディアファイルを購入できるあらゆる演算装置であるため、移動電話、PC、MP3プレーヤ、移動装置、車両搭載型のステレオ、ウェブブラウザ、テレビ又は他のあらゆるデジタルメディア再生装置のうちのいずれかである。
【0014】
時間制限のないバージョンは、1つ以上の特定の再生装置に結び付けられる。あるいは、時間制限のないバージョンはあらゆる再生装置上で使用されてもよい。
【0015】
時間制限のないバージョンは、既に装置上に常駐するDRM保護されたデジタルメディアファイルを変更することにより取得される。これは、時間制限をなくすようにメディアファイルに適用されたDRM保護を削除するか又は変更するツールにアクセスするユーザにより実行される。
【0016】
既に装置上に常駐するDRM保護されたデジタルメディアファイルを変更するのではなく、時間制限のないバージョンは全く異なるファイルである。例えば、時間制限のないバージョンはリモートウェブサーバから取得されてもよい。
【0017】
時間制限のないバージョンは、DRM保護されるが、長期のアクセス権利オブジェクトと関連付けられる。これにより、より複雑な挙動が可能になる。例えば、音楽加入サービスを有する場合、時間制限のないバージョンの曲は以下の属性を有してもよい。
【0018】
・無制限に再生される。
【0019】
・無数のプレーヤと無制限に同期される。
【0020】
・規定の回数までCDに書き込める。
【0021】
・加入が満了した後も再生される。
【0022】
あるいは、時間制限のないバージョンは、全くDRM保護されていなくてもよい(「DRMフリー」)。
【0023】
主な実現例において、DRM保護されたメディアファイルは、制限のないダウンロード音楽加入サービスの一部として供給される。加入が終了する場合、時間制限のないバージョンは、依然として取得され且つ再生される。定数の時間制限のないバージョンは、DRMに基づいた加入サービスに対して月毎に提供される。例えば、定数の時間制限のない音楽トラック、おそらくユーザのお気に入りの10トラックが毎月提供される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、Web Locker(以下を参照)の処理論理を示す図である。
【図2】図2は、KYF(以下を参照)権利オブジェクト配信を示す図である。
【図3】図3は、登録を取り消された装置からこれまでの権利オブジェクトを消去する処理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、Keep Your Favourites(登録商標)(KYF)と呼ばれたシステムにおいて実現される。これは、個々人のユーザにより最も再生されるコンテンツに基づいて無料のデジタルメディアコンテンツ又は特典のデジタルメディアコンテンツをユーザに提供するシステムである。個々人のユーザにより最も再生されるコンテンツは、ユーザの装置から取り込まれたデータ記録の計測を介して蓄積されたようなユーザの聴き方に基づいて判定される。
【0026】
第1の工程は、一般にユーザの装置から計測データを収集することである。ある計測の手法の詳細は、PCT/GB2009/051091において示され、その内容は参考として取り入れられ、詳細は付録1において更に提供される。次に、ユーザの加入記録のデータが全てのユーザの装置を識別し且つユーザが最もアクセスした/聴いたコンテンツへの無料の長期アクセスをユーザに与えるように、KYFの割当てがレビューされる。
【0027】
KYFコンテンツは、長期アクセス権利オブジェクト(RO)を装置に送出することにより提供され、且つ/又はユーザがDRMフリーコンテンツにアクセスし及びDRMフリーコンテンツをダウンロードするウェブベースのロッカー(locker)へのアクセスをユーザに更に提供する。
【0028】
システムが再生に対して事前設定された数のトップトラックを選択できるほど十分にユーザが再生していない場合、システムは、ユーザの計測データから可能な限り多くのトラックを選択してもよいが、裁定すべき更に顕著なトラックオブジェクト/メディアオブジェクトがある場合、全体としてそのサービス上で最もアクセス/再生/閲覧されたメディア資産/メディアコンテンツから更に選択してもよく且つ裁定を生成するためにそのリストを使用してもよい。
【0029】
好適な実施形態において、全てのユーザの登録された装置、すなわちPC、移動装置、MP3プレーヤ及び車両搭載型のステレオ等からの測定データは、装置が単にチャネルメタデータの1つである再生データ記録の中央集合に集約される。それにより、メディアにアクセスするために使用された実際の装置/チャネルに関係なく、共に保持され且つレビュー/クエリ/調査される全ての再生/アクセスを記録できる。
【0030】
本発明により解決された技術的な問題は、ユーザが最も再生した音楽トラック、ビデオゲーム、映像又は他のデジタルメディアファイルを識別するためにメディア再生指標(metrics)を使用すること、異なる再生装置にわたり再生指標を集約すること、並びに、アクセスが制限されない同等のデジタルメディアファイルを提供することを含む。メディアファイルが1つ又は複数のDRM機構により保護されるか否かにしろ及び元のデジタルメディアファイル又は権利オブジェクトを変更することにより提供が行われるにしろ、新しいメディアファイル又は双方の組合せが提供される。
【0031】
従って、本発明の実現例は、メディアファイルの権利保有者が適切に補償されること及び供給されたメディアファイルが規定の期間中にユーザが最も頻繁に再生することを選択したものであることを保証しつつ、これらの装置のユーザが時間の制限なくメディアファイルを再生できるようにデジタルメディアファイルを演算装置に合法的に供給する機構である。
【0032】
従って、好適な実施形態において、本発明は3つの主な段階から構成される。
【0033】
1.ユーザのデジタルメディアファイルに対する再生指標を収集する段階
2.ユーザが最も再生したメディアファイルを判定するためにこれらの再生指標を解析する段階
3.これらのデジタルメディアファイルの時間制限のないバージョンをユーザに提供する段階
第1の段階において、クライアントメディアプレーヤは、特定のエンドユーザがその装置上で再生しているデジタルメディアファイルに関する再生指標を収集する。好適な実施形態において、再生指標は、エンドユーザに対して登録された全ての装置に対する全てのそのような再生指標が処理のために統合されるリモートサーバに送出される。別の例示的な実施形態において、再生指標は装置毎に処理され、他の実施形態の例において、クライアント装置自体上で処理され且つ処理の結果をリモートサーバに送信するだろう。
【0034】
第2の段階は、装置毎に又は好適な実施形態において全てのユーザの登録された装置にわたり全ての再生指標を集約することにより、再生指標を処理することと、ユーザが最も再生したデジタルメディアファイルを判定するために再生指標を解析することとから構成される。
【0035】
処理は、好適な実施形態においてデジタルメディアコンテンツの権利保有者とのネゴシエーションの結果である規則を実現し、段階3においてエンドユーザに提供されるデジタルメディアファイルの集合を判定する。
【0036】
一般に、そのような規則は、メディアファイルの再生回数、メディアファイルの種類(音声、映像及びゲーム等)、エンドユーザにより入力された契約の種類(例えば、ペイアズユーゴー(Pay−As−You−Go)又は加入契約は種々の規則を利用してもよい)、エンドユーザの加入期間の長さ及び他のあらゆる一致した要因に基づいて、時間制限のない再生ライセンスを提供されるデジタルメディアファイルの数を規定するだろう。
【0037】
例えば、例示的な一実施形態において、事前に許可を与えられた加入者は、6ヶ月毎に100トラックに相当する比例した割合及び6カ月毎に追加の4トラックを含む毎月16トラックの割合で音楽トラックを累積するだろう。一方、ペイアズユーゴーのユーザは、毎月10トラックの割合で音楽トラックを累積する。双方の場合、この規則の例示的な実施形態において、エンドユーザにより累積された特定のトラックは、そのユーザが毎月最も再生した(あらゆる以前に「取得されたトラック」を除外する)トラックであり、エンドユーザが累積できるほど(段階3において配信するために)十分な数の音楽トラックを再生していない場合、その加入サービス上の全てのユーザに対する全体的な再生指標に基づいて更なるトラックが追加されてもよい。
【0038】
1回の段階で再生指標の2つの処理が実行され、時間制限のない再生ライセンス(「トラック」が音楽トラック、映像、ニュース記事、機能及びコンピュータゲームを含むがそれらに限定されないあらゆるデジタルメディアファイルを示すそのユーザの「取得したトラック」)と共に、結果として得られるデジタルメディアファイルのリストがエンドユーザに提供される。ライセンスは、時間に制限されないがデジタルメディアファイルの再生を1つ又は複数の特定の装置に結び付ける明示的なDRM保護機構であってもよく、あるいはデジタルメディアファイルに適用された今までのDRM機構が削除されることによりあらゆる装置上で再生できるようになる黙示的なライセンスであってもよい。
【0039】
好適な実施形態において、そのようなあらゆる取得されたトラックは月末に計算され、その月に取得されたトラックのリストを判定する処理により、そのユーザが以前に取得したあらゆるトラックを除外し、且つその月の間ユーザの契約タイプにより判定されるユーザのnが最も再生したトラックを識別する基準を使用する。
【0040】
ユーザの加入の終了時に、好適な実施形態において、そのユーザに対して取得された全てのトラックは、ユーザが加入期間外でそのトラックを選択する場合にそのトラックに対する制限のない権利オブジェクトを配信することにより、ユーザの装置上で再生し続ける。取得されたトラックが装置上に存在しない場合、好適な実施形態において、ユーザは、その時に有効な加入を有しているかに関係なく、再生するためにそのトラックをダウンロードできる。好適な実施形態において、これは、取得されたトラックをハンドセット及びSIM識別を含むハンドセット上の別個の「地域」ドメインとして規定することにより、移動装置上で容易に行われる。好適な実施形態において、ハンドセットは、例えばエンドユーザが取得されたトラックのライセンスを確認された電子メールアドレス等の事前に登録された識別方法を使用して別のハンドセットに転送できるように、そのドメインから更に分離されてもよい。
【0041】
また、好適な実施形態において、エンドユーザは、取得した音楽トラックの各々を含む高品質MP3ファイル、あるいはビデオゲーム用の映像又は実行ファイルを含むMP4ファイル等の他の形態のデジタルメディアに対する同等の非制限ファイルをダウンロードできるオンラインリソース(「Web locker」)へのアクセスを更に提供される。好適な実施形態において、そのようなファイルは、追跡するためにユーザの情報で透かしを入れられてもよい。
【0042】
好適な実施形態において取得されたトラックを提供するために使用された機構は、制限のない権利オブジェクトを提供すること及びWeb Lockerを介してユーザが使用可能なデジタルメディアファイルの非制限バージョンを作成することによるものである。
【0043】
他の例示的な実施形態において、取得されたトラックをエンドユーザに提供する種々の機構が採用されてもよい。これらは以下を含んでもよい。
【0044】
・好適な実施形態において説明されたWeb Lockerにより、DRM保護されていない新しいファイルをユーザに提供すること。
【0045】
・時間制限をなくすように、DRM保護されたメディアファイル上のDRM保護を削除するかあるいは変更するように、ユーザにツールへのアクセスを与えること又はツールを使用すること。特に、そのツールは、DRM保護を変更するか又はメディアファイルからDRM保護を削除するソフトウェアアプリケーションであってもよく、結果として1つ以上のファイルが得られる。ツールは、ユーザにより実行されてもよく、ローカルで又はリモートで自動的に実行されてもよく、結果として得られる1つ又は複数のファイルをユーザに提供してもよい。例えばエンドユーザは、保護が削除されるか又は変更されるサーバにDRM保護されたファイルをアップロードしてもよく、その後結果として得られたファイルをダウンロードする。
【0046】
・ユーザは、DRM保護されたメディアファイルに対する新しい権利オブジェクトを提供される。これは、制限のない権利オブジェクトの好適な実施形態の利用に対して説明された通りである。
【0047】
・ユーザは、多数のメディアファイルが同様の目的を達成するために使用される場合を含む新しいメディアファイルに対する新しいDRM権利オブジェクトと共に、場合によってはDRM保護されたその新しいファイルを提供される。
【0048】
次に、図面を参照すると、図1はWeb Locker(以下を参照)の処理論理を示す。これは、確認された電子メールアドレスを使用してユーザを識別するオンライン機能を介して非制限デジタルメディアファイル、「取得されたトラック」を配信する論理フローを示す。
【0049】
図2はKYF(以下を参照)権利オブジェクト配信を示す。これは以下の処理を示す。ユーザは、権利オブジェクトが事前に取得されなかったトラックの再生を試み(1)、DRMサーバからROAP(権利オブジェクト取得プロトコル)要求(3)をトリガし、その結果、調査(4)後に制限のない権利オブジェクトが要求され且つデバイスに提供され(6)、それを受信すると(7)、トラックが再生される。
【0050】
図3は以下の処理を示す。エンドユーザにより登録を取り消された装置からこれまでの権利オブジェクトを消去し(1)、その結果、ROAPは、装置を消去し(3)且つ「取得されたトラック」ドメインから装置が分離された(4)ことを中央サーバに対して確認するようにトリガする(2)。これは、例えばエンドユーザが取得したトラックを別の装置に転送できるようにするために実行されてもよい。
【0051】
以下は、主な実現例の重要な特徴の特徴リストである。
【0052】
・1つ又は複数の装置のユーザが時間の制限なくメディアファイルを再生するためのライセンスを許可される1つ以上の演算装置に1つ以上のデジタル符号化されたメディアファイルを合法的に供給すること
・デジタル符号化されたメディアファイルはあらゆるDRMシステムにより保護される
・デジタル符号化されたメディアファイルは、いかなるDRMシステムによっても全く保護されない
・同一のメディアコンテンツ又はほぼ同一のメディアコンテンツを含み且ついかなるDRMシステムによっても保護されない第2のメディアファイルへのアクセスをユーザに提供することにより、デジタル符号化されたメディアファイルに対してライセンスが許可される
・デジタル符号化されたメディアファイルからあらゆるDRM保護を変更するツール、例えばメディアファイル用の権利オブジェクトライセンスに対するあらゆる時間制限又は他のあらゆるDRM保護へのアクセスをユーザに提供することにより、デジタル符号化されたメディアファイルに対してライセンスが許可される。ツールがデジタル符号化されたメディアファイルからあらゆるDRM保護を削除することにより、ツールを使用する結果、1つ以上のファイルが生成される。ツールは、永続的に又は一時的にメディアファイルを復号化すること、及び/あるいはあらゆるDRMシステムに対する場合によっては変更されたDRM保護又は非DRM保護を取り入れるように復号化されたメディアファイルを再符号化することを含むがそれに限定されないデジタル符号化されたメディアファイルからDRM保護を更に削除する。ツールは演算処理(又は他のあらゆる手段)であってもよい。ツールは、ユーザにより間接的にのみアクセス可能であり、例えばリモートサーバ上でデジタル符号化されたメディアファイルに適用される。ユーザは、結果として得られる1つ又は複数のメディアファイルへのアクセスを与えられる。
【0053】
・時間の制限なくデジタル符号化されたメディアファイルへのアクセスを提供するDRMシステムに対する権利オブジェクトへのアクセスをユーザに提供することにより、デジタル符号化されたメディアファイルに対してライセンスが許可される。
【0054】
・(a)同一のメディアコンテンツ又は同等のメディアコンテンツを含み且つあらゆるDRMシステムにより保護される第2のメディアファイル及び(b)時間の制限なく第2のメディアファイルへのアクセスを提供する1つ又は複数のDRMシステムに対する権利オブジェクトへのアクセスをユーザに提供することにより、デジタル符号化されたメディアファイルに対してライセンスが許可される。この第2のメディアファイルは、元のデジタル符号化されたメディアファイルの同一のメディアコンテンツ又はほぼ同一のメディアコンテンツを組み合わせて共に説明する2つ以上のメディアファイルから構成される。
【0055】
・時間制限のない1つ又は複数のファイルは、リモートサーバから転送されるか又は他のあらゆる方法により転送される。転送は、無線ネットワーク、インターネット、物理的記憶媒体を介して実行されるかあるいは他のあらゆる方法により実行される。転送は、随時自動的に発生する。
【0056】
・ライセンスは特定の期日に又は特定の期日後に提供される。期日は、固定の期日から始まる単一の期間又は再発期間、あるいは加入の開始日、加入の満了又は他のあらゆる特定の期日等の他のあらゆる同等のトリガ機構を使用して規定される。期日は、日付と時間との組合せであってもよい。
【0057】
・時間制限のないメディアファイルは、電子透かしを使用してあるいは他のあらゆる方法により、ユーザ又はユーザの演算装置と関連付けられる。
【0058】
・全てではないがいくつかのDRM保護は、時間制限のないバージョンから削除される。例えば、メディアファイルが1つ又は複数の特定の装置上でのみ再生されてもよいという制限を維持できる。
【0059】
別の手法において、システムは再生指標を実際には全く収集しない。その代わり、ユーザは、保持したい特定のメディアファイルを単に手動で選択する。従って、例えば、ユーザは毎月10個の「クレジット」を与えられるため、毎月10個の音楽トラックを選択できる。これらは、時間制限のないバージョンとしてユーザが使用できるようになるだろう(上述した同一の機構を使用して)。ユーザは、装置上の場合によっては数千のファイルのいずれかからこれらを選択する。一般的な例において、いくつかの制限されたDRMに基づいた制御は時間制限のないバージョン/音楽トラックに更に適用され、例えば規定の回数(例えば、5回)までトラックをCDに書き込める。しかし、選択されたトラックは、加入が満了した後も依然として無制限に再生され、無数のプレーヤと無制限に同期される。この変形例は、装置が最も再生されたトラックの最終候補リストを示して、ユーザが永続的に保持するトラックを手動で選択する場合である。
【0060】
付録1−計測及び報告
主な実現例において、デジタルメディアファイルは、コンピュータを用いたインフラストラクチャの多数の消費者装置に対する主な製品データベースから得られる。消費者装置は、計測データを生成するために、最終的に事前定義された範囲を超えるメディアファイルの再生回数を計測する。消費者の装置は、その計測データを再度コンピュータを用いたインフラストラクチャに自動的に報告する。全てのトラックを再生すること/聴くことは、エンジン及び全体的なインフラストラクチャを最適化するために、消費者の装置から再度サーバに報告される。更に、計測データは以下のために使用されてもよい。
【0061】
・所定のロケール(locale)に対するデジタルメディアサービス上に存在しないトラックを識別するため;
・1つ以上のトラックに対する更なるメタデータ又は更新されたメタデータを摂取する必要性を識別するか、あるいは異なるデジタルメディアファイル形式を使用してユーザに1つ以上のトラックを提供する等の更なる処理のためのトラックを識別するため。異なるデジタルメディアファイル形式は、DRM保護又は非DRM保護の形式を利用してもよい。
【0062】
・今後のデジタルメディアコンテンツを見ること、読むこと又は聴くことに対して予想されるユーザの好みに関する計算を補助するためにユーザのメディア再生の好みに関して収集された計測値が使用される場合、特定のユーザに更なるメディアコンテンツを推奨するため。
【0063】
更に、
・好適な実施形態において、計測は、種々の装置上で異なる方法で実現され、連続性に基づいて異なる規則性で報告される。
【0064】
・通常の例示的な一実施形態において、2種類以上の装置(例えば、電話及びPC)を有する消費者に対する計測データは、種々の規則及び形態を含む種々のプラットフォームから発生するが、作成され、収集され且つ統合される必要がある。
【0065】
例示的な一実施形態において、システムは、多数の地域においてレポートを要求する過度の出資者に対して複雑な金融統計及び利用統計を計算すること及び報告することを含むがそれらに限定されない多数のプラットフォーム及び報告機能にわたりコンテンツの利用計測ファイルの作成、収集、統合、並びに管理をサポートする。レポートを要求する出資者は、大手音楽レーベル、独立した音楽レーベル、コンテンツアグリゲータ、出版業界及び提携先を含む。好適な実施形態において、報告解析は、チャーン解析及び加入者の挙動報告等の非常に綿密な解析を更に提供する。
【0066】
このシステムにおける基本的な計測動作は、トラック再生の記録、あるいは映画、ゲーム、記事又はニュース記事等の何らかの他のデジタルメディアファイルの再生である。便宜上、本明細書において、全てのそのようなデジタルメディアコンテンツを「トラック」と呼び、「トラック」の規定の集合を「アルバム」又は「リリース」と呼ぶ。
【0067】
システムは、トラックのある最小部分が再生されており且つメディアの種類に基づいて構成可能であるが、音楽ファイルが一般にトラックの長さの4%〜5%又は30秒となる場合、そのトラックをクライアント装置上で再生されているものとして識別する。規定の閾値を下回るトラック再生は、そのような短時間の再生がユーザのスキップしたトラックにより生成されてもよいため、計測値又は報告のために記録されないだろう。
【0068】
トラック再生のコンテキストは計測値において更に記録される。例示的な一実施形態において、コンテキスト情報には、再生されたトラックが発信されたアルバム/リリース、再生リスト、チャート又は他のコンテキスト、並びにトラックが再生されたクライアント装置、そのトラックを再生したユーザ、実際に再生されたトラックの継続時間/割合及びトラック再生の内部セッションコンテキスト、例えばそのトラックの直前又は直後に再生されたトラックのうちの1つ以上を含むがそれらに限定されない基本情報が含まれる。
【0069】
計測情報(「指標」)は、クライアント装置上に収集され、サーバに通信される。指標をサーバに転送する頻度及び方法は、装置の種類に依存するが、好適な実施形態において一般的な例は以下を含むだろう。
【0070】
・オンライン状態にあるPC等の常時接続された高帯域幅装置は、一般に可能な限り早く指標をサーバに送出するだろう。
【0071】
・モバイルハンドセット又はローミング中の車両搭載型の音楽システム等の断続的に接続された装置又は低帯域幅装置は、一般に事前定義された期間で及び/又は「十分な帯域幅が使用可能であることをクライアント装置が検出するとすぐ」等の特定のトリガに従って指標をサーバに送出するだろう。
【0072】
好適な実施形態において、転送の方法は、推奨に対する要求又はメディアファイルに対する要求、あるいはクライアント装置の受信箱にメッセージを配信するようにサーバに要求するポーリングイベント等のあらゆる事象においてクライアント装置がサーバに送出しなければならなかった既存の通信に指標を便乗させることである。別の例示的な実施形態において、特定のメッセージを送信することで指標を配信してもよい。クライアント装置が指標を有するがある構成可能な期間(一般に、60分)を超えてサーバに送出するためにキューに入れられる他の要求がない場合、好適な実施形態においてその手法がとられてもよい。
【0073】
好適な実施形態において、サーバにより受信された指標は監査データベーステーブルに格納される。そのような指標は、ジャンル、アーティスト、年代、音楽出版社、著作権保有者、ユーザに関する人口統計の情報、ダウンロード又はストリーミングされたファイルの大きさ、その時にクライアント装置が使用可能な帯域幅及びどの報告解析が所望されるかに関するあらゆる追加の情報を含む更なるメタデータの1つ以上の項目により更に強化されてもよい。好適な実施形態において、報告のために格納された指標は、ユーザのプライバシーを保護するために匿名扱いにされる。
【0074】
指標が記録される第2の主な領域は、ユーザ加入及び購入の領域である。特に、システムは、ユーザが加入サービスに契約すること、1つ以上のデジタルメディアファイルを購入すること、加入を変更するか又は取り消すこと、あるいはトラックのプレビューを再生することのうちの1つ以上の動作を実行する際に記録される機構を提供する。好適な実施形態において、サーバへの全てのそのような要求は、後続するレポートの生成のために監査データベーステーブルに格納され、適切に匿名扱いにされる。
【0075】
監査データベーステーブルは、内的に及び音楽レーベル又は映画スタジオ等の第三者に対してレポートを生成するために使用されてもよい。
【0076】
好適な実施形態において本発明により生成された一般的なレポートは、以下のレポートを含む。
【0077】
・既定の期間にデジタルメディアサービスへの加入に契約したか加入を取り消したユーザの数を示す加入者チャーン(churn)レポート
・加入サービスに対するトラック再生及び/又はあらゆるデジタルメディアサービスに対するトラック購入に基づいて、特定の期間中の所定のメディア発行者に支払われるべき権利使用料を示す会計報告
・あらゆる所定の時点で特定のサービス上で着手される活動を示すリアルタイムレポート
・例えばある期間にわたるデジタルメディアサービスのユーザの音楽鑑賞又は映画鑑賞の好みの傾向を示す傾向レポート
・最も人気のある(例えば、トラックの再生、購入あるいはユーザ又は評論家により生成された格付けにより)デジタルメディアファイルを示すチャートレポート
・ある期間にわたる加入者によるサービスの利用を示す加入者利用レポート。例えば、これは、特定のサービス上でダウンロードされたトラックの数又は大きさ等の詳細を含んでもよい
・デジタルメディアサービスの「コミュニティ」態様を介して送出されたメッセージ、推奨及び他のあらゆる通信のボリュームを示すコミュニティ活動レポート
好適な実施形態において、レポートは、ジャンル、アダルトコンテンツの状態、年代、発行日又は他の日付、アーティスト、出版社、著作権保有者、期間、チャートのランキング、演出家、作家/作曲家、クライアント装置の種類、デジタルメディアサービス、あるいは格納された他のあらゆるメタデータの分類のうちの1つ以上により更に細分可能であってもよい。
【0078】
数値の詳細は、全体的な数値、平均値、中心値、何らかの他の統計的基準又はそれらの組合せとして表示可能であってもよい。報告期間、生成されたレポートの形態及びレポートが生成される頻度は、好適な実施形態においてさらに構成可能である。
【0079】
レポートの形態は、頻繁に更新されてもよく、一般にそれらの秒又は分数で規定された期間で更新されてもよいリアルタイムレポートに対して使用されてもよく、あるいはコンピュータ上での閲覧又は印刷を目的としたドキュメントとして生成されてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタルメディアコンテンツを演算装置に提供する方法であって、
(a)ユーザのDRM保護されたデジタルメディアファイルに対する再生指標を収集する工程と、
(b)ユーザのお気に入りのメディアファイルを判定するためにこれらの再生指標を解析する工程と、
(c)これらのお気に入りのデジタルメディアファイルの時間制限のないバージョンをユーザに提供する工程と
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記再生指標は、前記時間制限のないバージョンを選択できるようにするために、デジタルメディアコンテンツファイルが予め定められた閾値より多く何回再生されるかを測定することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記再生指標は、前記時間制限のないバージョンを選択できるようにするために、デジタルメディアコンテンツファイルが予め定められた閾値より多くどの程度の頻度で再生されるかを測定することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ユーザは、前記再生指標を解析することによって自動的に生成されたリストから、所望の前記時間制限のないバージョンを選択することができることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記再生指標は、トラックがお気に入りのトラックであり且つそのトラックの時間制限のないバージョンが使用可能になるべきであることを示すためにユーザが適用した特定のフラグ又は通知を検出することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記時間制限のないバージョンは、完全に自動的に選択されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記再生指標は、リモートサーバにおいて解析されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
再生指標は、前記装置において解析されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記再生指標を解析する工程は、種々のカスタマイズ可能な方法で実行されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
解析される前記再生指標は、前記ユーザにより使用される単一の演算装置に関連することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
解析される前記再生指標は、前記ユーザにより使用される複数の演算装置に関連することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
複数の演算装置に対する前記再生指標は、ともに集約されていることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の演算装置は、移動電話、PC、MP3プレーヤ、移動装置、車両搭載型のステレオ、テレビ、ウェブブラウザのうちの2つ以上を含むことを特徴とする請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
時間制限のないバージョンは、1つ以上の特定の再生装置に関係付けられることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
時間制限のないバージョンは、いずれの再生装置上でも使用されることができることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
時間制限のないバージョンは、前記装置上に既に常駐する前記DRM保護されたデジタルメディアファイルを変更することによって取得されることを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記装置上に既に常駐する前記DRM保護されたデジタルメディアファイルを変更する工程は、時間制限をなくすために前記メディアファイルに適用された前記DRM保護を削除するか又は変更するツールにアクセスする前記ユーザによって実行されることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記時間制限のないバージョンは、前記対応するDRM保護されたファイルと異なることを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記時間制限のないバージョンは、ウェブベースのロッカーからアクセスされることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
時間制限のないバージョンは、DRM保護されるが長期のアクセス権利オブジェクトと関連付けられることを特徴とする請求項1乃至19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
時間制限のないオブジェクトは、DRM保護されていることを特徴とする請求項1乃至19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記DRM保護されたメディアファイルは、制限のないダウンロード音楽加入サービスの一部として供給されることを特徴とする請求項1乃至21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記DRM保護されたデジタルメディアファイルは、加入の下で提供され、前記加入が終了する場合に、前記時間制限のないバージョンは依然として取得され且つ再生されることを特徴とする請求項1乃至22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
メディアコンテンツは、音楽トラック、ビデオゲーム、文字、画像、映像、若しくはそれらのいずれかの組合せであることを特徴とする請求項1乃至23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
時間制限のないバージョンの定数は、DRMに基づく加入サービスについて月毎に提供されることを特徴とする請求項1乃至24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
時間制限のない音楽トラックの定数は、DRMに基づく加入サービスについて月毎に提供されることを特徴とする請求項25に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−502384(P2012−502384A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526572(P2011−526572)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際出願番号】PCT/GB2009/051167
【国際公開番号】WO2010/029361
【国際公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(507180386)オムニフォン リミテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】OMNIFONE LIMITED
【Fターム(参考)】