説明

ユーザ情報統合装置及び方法

【課題】複数のユーザIDの管理を容易にし、その財産的な価値を損なうことのないユーザ情報統合装置及び方法を提供すること。
【解決手段】ユーザ情報統合装置(1)は、複数のユーザIDを対応するパスワードともに受け付ける統合対象受付手段(111)と、受け付けたユーザIDとパスワードとの組み合わせの正当性を各々認証する認証手段(112)と、正当性が認証されることを条件に、複数のユーザIDにそれぞれ付随する付随情報を抽出する付随情報抽出手段(113)と、抽出した付随情報に含まれる項目のうち、内容が互いに異なる項目を判定する項目判定手段(121)と、異なると判定された項目について、いずれの内容に統合するかについての選択情報を前記ユーザ端末から受け付ける選択受付手段(122)と、受け付けた選択情報に基づいて、付随情報を統合処理する統合処理手段(123)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターネット上のサービスでユーザに付与されるユーザ識別情報を統合するユーザ情報統合装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネット上では、ユーザに個々のユーザ識別情報を付与し、この識別情報に紐づいた様々な情報に基づいて、ユーザごとに個別のサービスの提供を行うことが一般的に行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、オークションサイトにおいてオークション取引が成立すると、出品者と落札者とがそれぞれ相手の取引態度に対して評価を行い、その評価情報をオークションサイトにて公開することで、取引相手が信用できる人物(企業・商店)であるかどうかを判断可能にし、優良なユーザの取り引きを促進するオークションシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−26570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ユーザ識別情報に紐づいたこのような情報には、様々な付加価値が生じ、そのユーザ識別情報自体に財産的な価値が生じ得る。例えば、インターネット上に店舗を出店する事業を営むユーザにとってみれば、インターネット上における評価はユーザの信頼度を示すものであり、出店する店舗にユーザを吸引する要因となる。
【0006】
このようなユーザ識別情報を用いたサービスは、2000年代初めに誕生したものであり、歴史が浅く未だ発展途上である。一方で、インターネット上の事業は、日々行われており、近い将来、事業の譲渡や相続が発生することが予測される。インターネット上の事業の譲渡や相続が行われた場合、ユーザ識別情報に財産的な価値が生じる以上、ユーザ識別情報自体も譲渡や相続の対象になる。しかしながら、ユーザ識別情報を譲り受けた場合、譲り受ける前に自己が有していたユーザ識別情報に加え、譲り受けたユーザ識別情報を有することになるため、複数のユーザ識別情報を有することになり、管理が煩雑となったり、その財産的な価値が分散してしまうおそれがある。
【0007】
このような複数のユーザ識別情報を有することによる弊害は、これまで注目されておらず何らの措置もとられてこなかったが、今後のインターネットの発展を考慮すると複数のユーザ識別情報の管理に関するニーズが高まるものと予想される。
【0008】
そこで、本発明は、複数のユーザ識別情報の管理を容易にし、その財産的な価値を損なうことのないユーザ情報統合装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) ユーザ端末から、統合を希望する複数のユーザ識別情報、当該複数のユーザ識別情報にそれぞれ対応する認証情報及び統合後に残すユーザ識別情報の選択を受け付ける統合対象受付手段と、受け付けた前記複数のユーザ識別情報及びそれぞれ対応する前記認証情報の組み合わせの正当性を各々認証する認証手段と、前記認証手段により正当性が認証されることを条件に、前記複数のユーザ識別情報にそれぞれ付随する付随情報を抽出する付随情報抽出手段と、前記付随情報抽出手段が抽出した前記複数のユーザ識別情報にそれぞれ付随する前記付随情報に含まれる項目のうち、内容が互いに異なる項目を判定する項目判定手段と、前記項目判定手段により異なると判定された項目について、いずれの内容に統合するかについての選択情報を前記ユーザ端末から受け付ける選択受付手段と、受け付けた前記選択情報に基づいて、前記付随情報を統合処理する統合処理手段と、を備えるユーザ情報統合装置。
【0010】
(1)のユーザ情報統合装置によれば、統合処理手段は、認証情報との認証が行われたユーザ識別情報に付随する付随情報を統合処理する。このとき、複数のユーザ識別情報に含まれる項目のうち内容が互いに異なる項目については、ユーザの選択によりいずれの内容に統合するか決定されるため、複数のユーザ識別情報を適切に統合することができる。これにより、複数のユーザ識別情報の管理を容易にすると共に、ユーザ端末からの選択情報に基づいてその財産的な価値を適切に1つに統合することができる。
【0011】
(2) 前記付随情報抽出手段が抽出した前記付随情報に含まれる項目の内容が基数を示す数値情報である場合に、前記統合処理手段は当該項目の内容を加算して統合する情報加算手段を更に備える(1)に記載のユーザ情報統合装置。
【0012】
(2)のユーザ情報統合装置によれば、複数のユーザ識別情報の統合に際し、基数を示す数値情報については加算する。そのため、例えば、ユーザ評価の得票数やショッピングポイントなどのような財産的な価値を有する基数を示す数値情報を加算し統合することができ、その財産的な価値を分散することなく管理することができる。
【0013】
(3) 前記付随情報抽出手段が抽出した前記付随情報に含まれる項目の内容が前記ユーザ端末に対する非開示情報である場合に、当該項目の内容が所定の類似度以下の関係にあるか否かを判定する類似度判定手段と、前記類似度判定手段により所定の類似度以下の関係にあると判定された場合に、前記内容のうち少なくとも一方を削除して統合する情報削除手段と、を更に備える(1)又は(2)に記載のユーザ情報統合装置。
【0014】
(3)のユーザ情報統合装置によれば、サービス提供者が設定した行動ターゲティング情報のようなユーザに対して非開示の情報については、複数のユーザ識別情報の間で所定の類似度以上類似する内容のみを統合し、その他のものを削除する。これにより、サービス提供者は、統合した後であっても当該ユーザに対して、統合する前のユーザ識別情報に対応付けられていた非開示情報に基づく様々なサービスを提供できる。
【0015】
(4) 統合対象のユーザ識別情報の関係を判定する統合対象判定手段、を備え、前記所定の類似度は、前記統合対象判定手段により判定された関係に基づいて予め設定される、(3)に記載のユーザ情報統合装置。
【0016】
(4)のユーザ情報統合装置によれば、非開示情報を統合対象のユーザの関係により異なる類似度で統合することができる。例えば、同一人が有する複数のユーザ識別情報を統合する場合には、所定の類似度を低くし、複数のユーザ識別情報に対応付けられた非開示情報の多くを統合することとしてもよく、複数人が有する複数のユーザ識別情報を統合する場合には、所定の類似度を高くし、複数のユーザ識別情報に対応付けられた非開示情報をあまり統合しないこととしてもよい。
【0017】
(5) コンピュータが実行する、ユーザ端末から、統合を希望する複数のユーザ識別情報、当該複数のユーザ識別情報にそれぞれ対応する認証情報及び統合後に残すユーザ識別情報の選択を受け付けるステップと、受け付けた前記複数のユーザ識別情報及びそれぞれ対応する前記認証情報の組み合わせの正当性を各々認証するステップと、正当性が認証されることを条件に、前記複数のユーザ識別情報にそれぞれ付随する付随情報を抽出するステップと、抽出した前記複数のユーザ識別情報にそれぞれ付随する前記付随情報に含まれる項目のうち、内容が互いに異なる項目を判定するステップと、異なると判定された項目について、いずれの内容に統合するかについての選択情報を前記ユーザ端末から受け付けるステップと、受け付けた前記選択情報に基づいて、前記付随情報を統合処理するステップと、を含む方法。
【0018】
(5)の方法によれば、(1)のユーザ情報統合装置と同様の効果を奏する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、複数のユーザ識別情報の管理を容易にし、その財産的な価値を損なうことなく1つに統合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明のユーザ情報統合装置の機能構成を示す図である。
【図2】統合するユーザIDを受け付けるユーザ情報統合画面を示す図である。
【図3】ユーザ情報DBを示す図である。
【図4】ユーザ情報統合装置の動作の流れを示す図である。
【図5】ユーザ情報統合装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】ユーザ情報統合装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】ユーザ情報統合装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】ユーザ情報統合装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0022】
[ユーザ情報統合装置1の構成]
初めに、図1を参照して、ユーザ情報統合装置1の構成について説明する。
ユーザ情報統合装置1は、統合前処理部11と、統合処理部12と、統合後処理部13と、ユーザ情報DB14と、を含んで構成される。
【0023】
統合前処理部11は、統合対象の複数のユーザID(ユーザ識別情報)のそれぞれに付随する付随情報を抽出するため、統合対象受付手段111と、認証手段112と、付随情報抽出手段113と、を含んで構成される。
【0024】
統合対象受付手段111は、ユーザ端末2から、ユーザが統合を希望する複数のユーザID、これらのユーザIDにそれぞれ対応するパスワード(認証情報)及び統合後に残すユーザIDの選択を受け付ける。
ここで、ユーザID及び対応するパスワードの受け付けは、任意に行うことができ、例えば、図2に示す方法で行うことができる。図2(1)に示すユーザ情報統合画面は、統合を希望する複数のユーザID及びそれぞれに対応するパスワードを入力欄111A,111B,111Cで受け付けるものであり、図2(2)に示すユーザ情報統合画面は、インターネット上のサービスにログインした状態で、このログインしているユーザIDと統合する複数のユーザID及びそれぞれに対応するパスワードを入力欄111D,111E,111Fで受け付けるものである。
【0025】
認証手段112は、統合対象受付手段111が受け付けた複数のユーザID及びそれぞれに対応するパスワードの組み合わせの正当性を、ユーザ情報DB14を参照して各々認証する。
ここで、ユーザ情報DB14は、図3(1)に示すようにユーザIDに対応付けて、パスワード及び付随情報を記憶する。
認証手段112は、ユーザIDに対応付けて受け付けたパスワードが、ユーザ情報DB14に記憶されているパスワードと一致するか否かを判別することで、ユーザIDとパスワードとの組み合わせの正当性を認証する。このとき、認証手段112により正当性が認証されない場合には、ユーザIDの統合処理は行われない。
【0026】
付随情報抽出手段113は、認証手段112により正当性が認証されることを条件に、統合対象受付手段111が受け付けた複数のユーザIDに付随する付随情報をユーザ情報DB14から抽出する。
ここで、図3(1)を参照して、ユーザ情報DB14に記憶される付随情報には、開示情報及び非開示情報が含まれる。開示情報は、ユーザに対して開示されている情報(ユーザが希望することで確認可能な情報)であり、ユーザのメールアドレス、ユーザのオークション上の評価、ユーザに付与されたポイント、ユーザが出展するインターネット上の店舗のランキング、及びユーザの住所などの様々な情報を含む。また、非開示情報は、インターネット上のサービス提供者がユーザに対して適宜設定するユーザには非開示の情報であり、ユーザごとに固有のサービスを提供するための指針(例えば、表示する広告の傾向などのための指針)となる行動ターゲティング情報などを含む。そのため、ユーザIDに対応付けられた付随情報には、文字情報(例えば、メールアドレスや住所など)、順序を示す序数情報(例えば、ランキングなど)、順序以外の基数を示す数値情報(例えば、オークション評価やポイントなど)、及び非開示情報(例えば、行動ターゲティング情報など)が含まれる。
後述するように、統合処理部12では、ユーザIDの統合に際し、文字情報及び序数情報と、基数を示す数値情報と、行動ターゲティング情報と、を異なる方法で統合する。そのため、付随情報抽出手段113は、抽出した付随情報を、文字情報及び序数情報と、基数を示す数値情報と、行動ターゲティング情報と、に分け統合処理部12へ提供する。なお、文字情報、序数情報、基数を示す数値情報及び行動ターゲティング情報に対応する項目は、ユーザ情報DB14において予め設定しておくことができる。
【0027】
統合処理部12は、統合対象の複数のユーザIDを統合、具体的には、統合前処理部11(付随情報抽出手段113)から提供された文字情報及び序数情報の統合(選択統合)、基数を示す数値情報の統合(数値統合)、及びユーザに非開示の行動ターゲティング情報の統合(行動ターゲティング統合)を行う。
【0028】
[選択統合]
複数のユーザIDを統合する場合、ユーザIDに対応付けられた情報によっては、ユーザからの選択を受け付けた上で統合することが好ましい場合がある。例えば、メールアドレスや住所などの文字情報やランキングなどの序数情報は、ユーザから選択された情報以外を削除し、選択された情報に統合することが好ましい場合がある。
そのため、統合処理部12は、選択統合を行うため、項目判定手段121と、選択受付手段122と、統合処理手段123と、を含む。
【0029】
項目判定手段121は、付随情報抽出手段113から提供された付随情報に含まれる項目のうち、内容が互いに異なる項目を判定する。例えば、図3(1)を参照して、付随情報抽出手段113から提供された文字情報である項目「住所」は、「東京都・・・」と「大阪府・・・」とでその内容が互いに異なる。そのため、項目判定手段121は、項目「住所」を内容が互いに項目であると判定する。
【0030】
選択受付手段122は、項目判定手段121により異なると判定された項目について、いずれの内容に統合するかについての選択情報をユーザ端末2から受け付ける。
なお、統合処理部12は、文字情報及び序数情報について選択統合を行うところ、序数情報については、ユーザからの選択を受け付けることなく統合後のユーザにとって有利な順序に自動的に統合することとしてもよい。すなわち、ユーザにとって有利な順序については、統合するユーザIDのうち最も高い順序に統合し、ユーザにとって不利な順序については、統合するユーザIDのうち最も低い順序に統合することとしてもよい。
また、文字情報のうちユーザIDとの対応関係が強固なものについても、ユーザからの選択を受け付けることなく、統合後のユーザIDと対応する文字情報に自動的に統合することとしてもよい。ユーザIDとの対応関係が強固なものは、予め設定しておくことができ、例えば、住所、生年月日及び電話番号などが挙げられる。このようなユーザIDとの対応関係が強固な文字情報については、統合対象のユーザIDのうち統合後に残すユーザIDに対応する文字情報に自動的に統合することとしてもよい。
【0031】
統合処理手段123は、選択受付手段122が受け付けた選択情報に基づいて、ユーザにより選択された文字情報及び序数情報のみを残し、他の文字情報及び序数情報を削除することで、文字情報及び序数情報の選択統合を行う。
【0032】
[数値統合]
続いて、統合処理部12は、複数のユーザIDを統合に際し、例えば、オークション評価などのような加算可能な基数を示す数値情報を統合するため、情報加算手段124を含む。
情報加算手段124は、付随情報抽出手段113から提供された統合対象の複数のユーザIDのそれぞれに対応付けられた数値情報を加算し、統合する。
【0033】
[行動ターゲティング統合]
続いて、統合処理部12は、ユーザに非開示の行動ターゲティング情報を統合するため、類似度判定手段126と、情報削除手段127と、を含んで構成される。なお、後述するように、行動ターゲティング情報の統合に際し、統合対象判定手段125を更に含むこととしてもよい。
【0034】
類似度判定手段126は、付随情報抽出手段113から提供された統合対象の複数のユーザIDのそれぞれに対応付けられた行動ターゲティング情報の内容が所定の類似度以下の関係にあるか否かを判定する。ここで、所定の類似度は、管理者が任意に設定することができ、一例としては、「そば」と「うどん」とは所定の類似度を満たす関係にある一方で、「そば」と「フレンチ」とは所定の類似度以下の関係にあると設定することができる。
【0035】
情報削除手段127は、行動ターゲティング情報の統合に際し、類似度判定手段126により所定の類似度の関係にあると判定された行動ターゲティング情報の内容は削除することなく両方を残す一方で、類似度判定手段126により所定の類似度以下の関係にあると判定された行動ターゲティング情報の内容は少なくとも一方を削除する。ここで、削除する少なくとも一方については、任意に選択することができ(ただし、ユーザに非開示の情報であるため、ユーザに知られること無く選択することが好ましい)、本実施形態では、後述するように統合後に残すユーザIDに対応付けられていた行動ターゲティング情報の内容を残し、統合後に残らないユーザIDに対応付けられていた行動ターゲティング情報の内容を削除する。
【0036】
なお、複数のユーザIDの統合では、インターネット上の事業の譲渡や相続により取得した他人のユーザIDとの統合に加え、自己が有していた複数のユーザIDを統合する同一人のユーザIDの統合が想定される。そして、他人のユーザIDとの統合と同一人のユーザIDの統合とでは、所定の類似度を異ならせることが好ましい場合がある。そのため、統合処理部12は、行動ターゲティング情報の統合に際し、統合対象判定手段125を含むこととしてもよい。
【0037】
このとき、統合対象判定手段125は、統合対象のユーザIDの関係を判定する。統合対象のユーザIDの関係の判定は、任意に行うことができ、一例としては、図2に示すようにユーザ情報統合画面において同一人であるか他人であるかをユーザから受け付けることとしてもよく、また、統合対象のユーザIDに対応付けられた付随情報のうち、対応関係が強固なもの(住所、生年月日、電話番号など)の同一性に基づいて判定することとしてもよい。
【0038】
そして、類似度判定手段126は、統合対象判定手段125により判定されたユーザID間の関係ごとに予め設定された所定の類似度に基づいて、行動ターゲティング情報の内容の類似度を判定する。
ユーザID間の関係ごとの所定の類似度は、任意に設定することができ、例えば、同一人である場合には、所定の類似度を低くし、複数のユーザIDに対応付けられた行動ターゲティング情報の多くを削除することなく残すこととしてもよく、他人同士である場合には、所定の類似度を高くし、他人のユーザIDに対応付けられた行動ターゲティング情報をあまり残さず削除することとしてもよい。無論、他人同士のユーザIDの統合が、事業の譲渡や相続である可能性があるため、事業の継続性を考慮し、他人同士のユーザIDの統合の際に複数のユーザIDに対応付けられた行動ターゲティング情報の多くを削除することなく残すこととしてもよい。
【0039】
続いて、統合後処理部13は、統合処理部12による統合結果を反映するため、統合決定受付手段131と、統合完了手段132と、を含んで構成される。
【0040】
統合決定受付手段131は、統合処理部12で統合された付随情報に含まれる開示情報をユーザに対し提示し、提示した内容で統合処理を確定してよいか否かについての決定情報をユーザ(ユーザ端末2)から受け付ける。
【0041】
統合完了手段132は、統合決定受付手段131が、統合処理を確定してよいという決定情報をユーザ端末2から受け付けることを条件に、統合処理部12による統合結果に基づいてユーザ情報DB14を更新、すなわち、統合結果をユーザ情報DB14に反映する。
【0042】
[ユーザ情報統合装置1のハードウェア構成]
以上説明したユーザ情報統合装置1のハードウェアは、1又は複数の一般的なコンピュータによって構成することができる。一般的なコンピュータは、例えば、制御部として、中央処理装置(CPU)を備える他、記憶部として、メモリ(RAM、ROM)、ハードディスク(HDD)及び光ディスク(CD、DVDなど)を、ネットワーク通信装置として、各種有線及び無線LAN装置を、表示装置として、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどの各種ディスプレイを、入力装置として、例えば、キーボード及びポインティング・デバイス(マウス、トラッキングボールなど)を適宜備え、これらは、バスラインにより接続されている。このような一般的なコンピュータにおいて、CPUは、ユーザ情報統合装置1を統括的に制御し、各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、上述したハードウェアと協働し、本発明に係る各種機能を実現している。
【0043】
[ユーザ情報統合装置1の動作]
続いて、図4を参照して、ユーザ情報統合装置1の動作について説明する。
【0044】
初めに、図4(1)を参照して、統合前処理部11の統合対象受付手段111は、複数のユーザIDの統合を希望するユーザのユーザ端末2に対して、ユーザ情報統合画面を提示し、当該ユーザ情報統合画面の入力欄111A,111B,111Cに対するユーザID及びパスワードの入力や所定のクリック操作を受け付ける。ここで、統合対象受付手段111は、入力欄111Aに入力されたユーザIDを統合後に残すユーザID(以下、「主ユーザID」とする)として受け付け、入力欄111B,111Cに入力されたユーザIDを統合後に残らないユーザID(以下、「従ユーザID」とする)として受け付ける。なお、図2(2)に示すユーザ情報統合画面からユーザIDの受け付けを行った場合には、ログイン表示欄111Gに表示されたユーザIDを主IDとし、入力欄111D,111E,111Fに入力されたユーザIDを従ユーザIDとしてもよい。また、統合するユーザIDのうち主ユーザIDとするユーザIDの選択をユーザ(ユーザ端末2)から受け付けることとしてもよい。
また、統合対象受付手段111は、ユーザ情報統合画面における関係選択部111H,111Iに対するチェック(クリック)操作を受け付ける。統合対象受付手段111は、主ユーザIDと従ユーザIDとの関係として、関係選択部111H,111Iにより選択された関係を受け付ける。そして、統合対象受付手段111が統合対象のユーザIDを受け付けると、認証手段112は、受け付けた複数のユーザIDのそれぞれについてパスワードとの正当性を認証する。
その後、受け付けた複数のユーザIDの全てについてパスワードとの正当性が認証されると、付随情報抽出手段113は、ユーザ情報DB14から統合対象のユーザIDに対応する付随情報を抽出し、文字情報及び序数情報と、基数を示す数値情報と、行動ターゲティング情報と、に分け統合処理部12へ提供する。
【0045】
続いて、図4(2)を参照して、統合処理部12では、付随情報抽出手段113から提供された文字情報及び序数情報に対して選択統合を行い、基数を示す数値情報に対して数値統合を行い、行動ターゲティング情報に対して行動ターゲティング統合を行う。
【0046】
選択統合に際し、統合処理部12の項目判定手段121は、提供された文字情報及び序数情報に含まれる項目のうち、内容が互いに異なる項目を判定する。インターネット上のサービスでは、ユーザIDごとにメールアドレスを付与することがあり、例えば、統合するユーザIDの文字情報のうち項目「メールアドレス」は内容が互いに異なる場合がある。
そして、項目判定手段121により内容が異なると判定された項目について、選択受付手段122は、いずれのないように統合するかについての選択情報をユーザ端末2から受け付ける。例えば、項目判定手段121は、図4(2)に示す付随情報選択画面をユーザ端末2に対し提示し、選択チェック欄122Aに対するチェック操作を受け付けることで、統合後のユーザIDに対応付ける内容の選択を受け付ける。なお、選択受付手段122は、所定の項目については、統合後にいずれの内容も残すようにユーザ(ユーザ端末2)からのチェック操作を受け付けることとしてもよい。例えば、項目「メールアドレス」などでは、統合後であっても複数のメールアドレスを使用するニーズが考えられるためである。
その後、統合処理手段123は、選択受付手段122が受け付けた選択情報に基づいて、文字情報及び序数情報の統合処理を行う。すなわち、統合処理手段123は、ユーザにより選択された文字情報及び序数情報のみを残し、他の文字情報及び序数情報を削除する。
【0047】
また、数値統合に際し、統合処理部12の情報加算手段124は、付随情報抽出手段113から提供された統合対象の複数のユーザIDのそれぞれに対応付けられた数値情報を加算し、統合する。
【0048】
また、行動ターゲティング統合に際し、統合処理部12の統合対象判定手段125は、統合対象受付手段111が関係選択部111H,111Iに対するチェック操作に基づいて受け付けた主ユーザIDと従ユーザIDとの関係を判定する。
続いて、類似度判定手段126は、図示しない記憶部に予め記憶されている主ユーザIDと従ユーザIDとの関係ごとに設けられた所定の類似度に基づいて、付随情報抽出手段113から提供された主ユーザIDと従ユーザIDとの行動ターゲティング情報の類似度を判定する。
その後、情報削除手段127は、従ユーザIDに対応する行動ターゲティング情報のうち、主ユーザIDに対応する行動ターゲティング情報と所定の類似度以下の関係にあるものを削除し、所定の類似度の関係を満たすものを残すことで、行動ターゲティング統合を行う。なお、情報削除手段127は、主ユーザIDに対応する行動ターゲティング情報については、削除しない。
【0049】
続いて、図4(3)を参照して、統合後処理部13の統合決定受付手段131は、統合後のユーザID及びこのユーザIDに対応付けられた付随情報(開示情報)を表示する統合情報表示部131Aを備える統合確認画面をユーザ端末2に対して提示し、ユーザ(ユーザ端末2)から提示した内容で統合処理を確定してよいか否かについての決定情報を受け付ける。
統合決定受付手段131がユーザから統合処理を確定してよいとする決定情報を受け付けると、統合完了手段132は、統合結果をユーザ情報DB14に反映する。その結果、例えば、図3(1)に示すユーザ情報DB14が、図3(2)に示すユーザ情報DB14に更新される。
【0050】
以上のようなユーザ情報統合装置1によれば、パスワードとの正当性が認証されることを条件に、ユーザが統合を望む複数のユーザIDに付随する付随情報を統合処理する。これにより、複数のユーザIDの管理を容易にすると共に、その財産的な価値を適切に1つに統合することができる。
このとき、複数のユーザIDに付随する文字情報及び序数情報のうち、複数のユーザID間で互いに異なる文字情報及び序数情報については、ユーザの選択によりいずれの内容に統合するか決定されるため、複数のユーザIDを適切に統合することができる。
また、複数のユーザIDに付随する基数を示す数値情報についてはそれぞれを加算して統合するため、例えば、ユーザ評価の得票数やショッピングポイントなどのような財産的な価値を統合でき、分散することなく管理することができる。
また、サービス提供者が設定した行動ターゲティング情報のようなユーザに対して非開示の情報については、複数のユーザIDの間で所定の類似度以上類似する内容のみを統合し、その他のものを削除する。これにより、サービス提供者は、統合した後であってもユーザに対して、統合する前のユーザIDに対応付けられていた非開示情報に基づく様々なサービスを提供できる。このとき、ユーザ情報統合装置1では、所定の類似度の関係を統合する複数のユーザID間の関係により異ならせることもできる。
【0051】
[ユーザ情報統合装置1の処理]
続いて、図5〜図8を参照して、ユーザ情報統合装置1の処理について説明する。
【0052】
[統合処理]
初めに、図5を参照して、ユーザ情報統合装置1による統合処理について説明する。
S1:統合対象受付手段111は、ユーザ端末2に対してユーザ情報統合画面を提示し、ユーザが統合を希望する複数のユーザID、及びこれらのユーザIDにそれぞれ対応するパスワードなどを受け付ける。
S2:続いて、認証手段112は、受け付けた複数のユーザID及びそれぞれに対応するパスワードの組み合わせの正当性を認証する。
S3:S2において正当性が認証された場合には、付随情報抽出手段113は、統合対象の複数のユーザIDに付随する付随情報をユーザ情報DB14から抽出する。
【0053】
S4〜S6:続いて、統合処理部12は、S3で抽出した付随情報の統合処理を行う。具体的には、図6で後述する選択統合処理(S4)、図7で後述する数値統合処理(S5)及び図8で後述する行動ターゲティング情報統合処理(S6)を行う。
S7:統合処理部12による統合処理が終了すると、統合決定受付手段131は、統合確認画面をユーザ端末2に対して提示し、提示した内容で統合処理を確定してよいか否かについての決定情報をユーザ端末2から受け付ける。
S8:そして、ユーザ端末2から統合処理の確定についての決定情報を受け付けると、統合完了手段132は、統合結果をユーザ情報DB14に反映し、処理を終了する。
【0054】
[選択統合処理]
続いて、図6を参照して、ユーザ情報統合装置1による選択統合処理について説明する。
S41:初めに、項目判定手段121は、S3で抽出した付随情報(文字情報及び序数情報)のうち、内容が互いに異なる項目を判定する。
S42:続いて、選択受付手段122は、S41で異なる内容であると判定された項目について、付随情報選択画面をユーザ端末2に対して提示し、ユーザ端末2から統合後にいずれの内容に統合するかについての選択情報を受け付ける。
S43:そして、統合処理手段123は、ユーザ端末2から受け付けた選択情報に基づいて、文字情報及び序数情報を統合し、図5のS5に処理を移す。
【0055】
[数値統合処理]
続いて、図7を参照して、ユーザ情報統合装置1による数値統合処理について説明する。
S51:情報加算手段124は、S3で抽出した付随情報(基数を示す数値情報)をそれぞれ加算し、オークション評価などのような加算可能な財産的な価値の統合を行い、図5のS6に処理を移す。
【0056】
[行動ターゲティング情報統合処理]
続いて、図8を参照して、ユーザ情報統合装置1による行動ターゲティング情報統合処理について説明する。
S61、S62:初めに、統合対象判定手段125は、S1で受け付けたチェック操作に基づいて、主ユーザIDと従ユーザIDとの関係を判定し(S61)、判定した関係に対応する類似度を決定する(S62)。
S63:続いて、類似度判定手段126は、複数のユーザID間の行動ターゲティング情報がこの類似度を満たすか否かを判定する。
S64、S65:その後、情報削除手段127は、S63で類似度を満たすと判定された行動ターゲティング情報については、いずれの情報も残し、統合処理を行い(S64)、S63で類似度を満たさないと判定された行動ターゲティング情報については、主ユーザIDに対応する行動ターゲティング情報を残し、従ユーザIDに対応する行動ターゲティング情報を削除することで、統合処理を行い(S65)、図5のS7に処理を移す。
【0057】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0058】
本実施形態では、統合対象受付手段111は、統合を希望する複数のユーザIDと同時に、認証情報の一例としてそれぞれに対応するパスワードを受け付けることとしている。しかしながら、故人が有していたユーザIDとの統合を希望した場合などのようにパスワードを入手困難な場合もあるため、認証情報としてパスワードに代替する情報(例えば、住民票など)を受け付けることとしてもよい。この場合において、認証手段112は、受け付けた認証情報に応じて適切な認証処理を行うことが好ましい。
【符号の説明】
【0059】
1 ユーザ情報統合装置
11 統合前処理部
111 統合対象受付手段
112 認証手段
113 付随情報抽出手段
12 統合処理部
121 項目判定手段
122 選択受付手段
123 統合処理手段
124 情報加算手段
125 統合対象判定手段
126 類似度判定手段
127 情報削除手段
13 統合後処理部
131 統合決定受付手段
132 統合完了手段
14 ユーザ情報DB
2 ユーザ端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末から、統合を希望する複数のユーザ識別情報、当該複数のユーザ識別情報にそれぞれ対応する認証情報及び統合後に残すユーザ識別情報の選択を受け付ける統合対象受付手段と、
受け付けた前記複数のユーザ識別情報及びそれぞれ対応する前記認証情報の組み合わせの正当性を各々認証する認証手段と、
前記認証手段により正当性が認証されることを条件に、前記複数のユーザ識別情報にそれぞれ付随する付随情報を抽出する付随情報抽出手段と、
前記付随情報抽出手段が抽出した前記複数のユーザ識別情報にそれぞれ付随する前記付随情報に含まれる項目のうち、内容が互いに異なる項目を判定する項目判定手段と、
前記項目判定手段により異なると判定された項目について、いずれの内容に統合するかについての選択情報を前記ユーザ端末から受け付ける選択受付手段と、
受け付けた前記選択情報に基づいて、前記付随情報を統合処理する統合処理手段と、
を備えるユーザ情報統合装置。
【請求項2】
前記付随情報抽出手段が抽出した前記付随情報に含まれる項目の内容が基数を示す数値情報である場合に、前記統合処理手段は当該項目の内容を加算して統合する情報加算手段、
を更に備える請求項1に記載のユーザ情報統合装置。
【請求項3】
前記付随情報抽出手段が抽出した前記付随情報に含まれる項目の内容が前記ユーザ端末に対する非開示情報である場合に、当該項目の内容が所定の類似度以下の関係にあるか否かを判定する類似度判定手段と、
前記類似度判定手段により所定の類似度以下の関係にあると判定された場合に、前記内容のうち少なくとも一方を削除して統合する情報削除手段と、
を更に備える請求項1又は2に記載のユーザ情報統合装置。
【請求項4】
統合対象のユーザ識別情報の関係を判定する統合対象判定手段、を備え、
前記所定の類似度は、前記統合対象判定手段により判定された関係に基づいて予め設定される、請求項3に記載のユーザ情報統合装置。
【請求項5】
コンピュータが実行する、
ユーザ端末から、統合を希望する複数のユーザ識別情報、当該複数のユーザ識別情報にそれぞれ対応する認証情報及び統合後に残すユーザ識別情報の選択を受け付けるステップと、
受け付けた前記複数のユーザ識別情報及びそれぞれ対応する前記認証情報の組み合わせの正当性を各々認証するステップと、
正当性が認証されることを条件に、前記複数のユーザ識別情報にそれぞれ付随する付随情報を抽出するステップと、
抽出した前記複数のユーザ識別情報にそれぞれ付随する前記付随情報に含まれる項目のうち、内容が互いに異なる項目を判定するステップと、
異なると判定された項目について、いずれの内容に統合するかについての選択情報を前記ユーザ端末から受け付けるステップと、
受け付けた前記選択情報に基づいて、前記付随情報を統合処理するステップと、
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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