説明

ヨーグルト用あんの製造方法

【課題】あん原料を煮沸又は蒸煮し,次いで,潰砕するか潰砕しないで,これに砂糖を加えて加熱・沸騰にて煮詰める工程を経て製造される「あん」を,これに酸を添加することで,ヨーグルトと一緒に,互いの風味を損なうことなく食することができるようにする。
【解決手段】前記煮詰める工程における途中の時期で,且つ,前記煮詰める工程が完了する前の時期に,食品添加物として使用できる有機酸又は無機酸を添加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,ヨーグルトと一緒に,又は,ヨーグルトに混ぜる等してヨーグルトと一緒に食されるようにした「あん」を製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に,ヨーグルトは,健康食品として優れていることは周知のとおりであるが,このヨーグルトに「あん」を混ぜる等して一緒に食するときには,ヨーグルトに存在していないポリフェノール,食物繊維及び鉄分等を「あん」によって補うことができ,また,前記「あん」に存在しない栄養素を前記ヨーグルトによって補うことができるし,前記ヨーグルト及び「あん」の各々における消費増大を推進することにもなり得る。
【0003】
しかし,ヨーグルトは,そのpH値が約3.0〜4.5の比較的強い酸性を呈しているが,「あん」は,一般的に言って,豆類等の原料を煮沸又は蒸煮し,次いで,潰砕するか潰砕しないで砂糖を加えたのち加熱・沸騰にて目標とする粘度及び糖度にまで煮詰めて成るもので,そのpH値が,前記ヨーグルトよりも遥かに高いので,この「あん」を,前記ヨーグルトに混ぜる等してヨーグルトと一緒に食べるときには,その両方の各々における風味が互いに損なわれてしまうことになる。
【0004】
そこで,前記「あん」を,ヨーグルトに混ぜる等してヨーグルトと一緒に食べるようにするためには,これに適宜の酸を添加することによって,そのpH値を,前記ヨーグルトにおけるpH値と同じにするか,又は近づけるようにすることが必要であるとともに,前記「あん」を,前記ヨーグルトに対して容易に混ぜ合わせることができる状態にすることが必要である。
【0005】
先行技術としての特許文献1及び特許文献2は,「生あん」に対して,フィチン酸等のような酸を添加することを提案している。
【特許文献1】特公昭49−8269号公報
【特許文献2】特開昭53−62869号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記した両特許文献は,豆類等の原料を煮沸又は蒸煮し,次いで潰砕工程,水による晒し工程及び水切り工程を経て得た「生あん」に,フィチン酸等のような酸を添加することで,「生あん」の保存性を向上でき,且つ,「生あん」としての明度を向上できるとしており,この酸の添加により,前記「生あん」におけるpH値を低くできるから,この「生あん」を原料として,これに砂糖を加えたのち加熱・沸騰にて目標とする粘度及び糖度にまで煮詰めることで製品の「あん」にした場合に,この「あん」におけるpH値を,前記ヨーグルトにおけるpH値と同じにできるか,近づけることができる。
【0007】
しかし,「あん」は,前記した「生あん」に砂糖を加え,次いで,加熱・沸騰にて目標とする粘度及び糖度にまで煮詰めるか,或いは,豆類等の原料を煮沸又は蒸煮したものに,これに潰砕すことなく砂糖を加え,次いで,加熱・沸騰にて目標とする粘度及び糖度にまで煮詰めることで製造されるものであることにより,これらの「あん」を製造する工程における途中のうち,少なくとも,砂糖を加えて煮詰める工程の前に,これに,前記両特許文献が示唆しているように,フィチン酸等のような酸を添加し,その後において,砂糖を加えて目標とする粘度及び糖度まで煮詰めるようにした場合には,以下の実施の形態において詳しく説明するように,煮詰め後における製品としての「あん」の粘度が,目標とする粘度を越えて著しく高くなり,ヨーグルトに混ぜることが容易にできない状態になるという問題があった。
【0008】
つまり,砂糖を加えて煮詰める工程の前において,フィチン酸等のような酸を添加すると,酸をあん粒子の内部にまで十分に浸透することができるものの,その反面,前記目標とする粘度及び糖度までの煮詰める工程の全てが,前記酸が存在する酸性の状態のもとで行われることになるので,この煮詰める工程中において,あん粒子が酸による損傷の影響を長い時間にわたって受けることで破壊して,その内部の澱粉が糊状化して粘度が上昇する。
【0009】
この粘度の上昇に伴い,あん粒子への砂糖の浸透が遅くなり煮詰める工程に要する時間を延長しなければならず,この煮詰める工程の時間の延長によって,粘度が更に高くなるという悪循環を繰り返して,その結果として,煮詰めた後における製品としての「あん」の粘度が,その目標とする粘度を越えて著しく高くなるのであった。
【0010】
本発明は,この問題を解消した製造方法を提供することを技術的課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この技術的課題を達成するため本発明は,請求項1に記載したように,
「あん原料を煮沸又は蒸煮し,次いで,潰砕するか潰砕しないで,これに砂糖を加えて加熱・沸騰にて煮詰める工程を備えて成るあんの製造方法において,
前記煮詰める工程における途中の時期で,且つ,前記煮詰める工程が完了する前の時期に,食品添加物として使用できる有機酸又は無機酸を添加する。」
ことを特徴としている。
【0012】
前記したあん原料としては,小豆,赤色豆又は白色豆等の豆類を使用することは勿論であるが,この豆類に代えて,さつまいも又はカボチャ等のその他のあん原料を使用することもできる。
【0013】
前記有機酸としては,クエン酸,リンゴ酸,乳酸,フィチン酸,アジピン酸,グルコン酸,コハク酸,酢酸,酒石酸,フマル酸及びイタコン酸等が使用でき,また,前記無機酸としては,リン酸等が使用できる。
【発明の効果】
【0014】
前記したように,有機酸又は無機酸を添加することにより,煮詰めを完了した製品としての「あん」におけるpH値を,前記ヨーグルトにおけるpH値と同じにすることができるか,近づけることができる。
【0015】
そして,前記有機酸又は無機酸の添加を,煮詰める工程における途中の時期において行うことにより,前記有機酸又は無機酸が存在する状態のもとで加熱・沸騰による煮詰めを行う時間を,前記有機酸又は無機酸をこの煮詰める工程の前に添加する場合よりも,煮詰める工程における途中の時期,つまり,煮詰める工程の開始から時間的に遅らせて行う分だけ,短縮することができるから,煮詰めを完了した製品としての「あん」における粘度を,目標とする粘度に近づけるように低く,ひいては,ヨーグルトに対して混ぜ合わせ易い状態にすることができるのである。
【0016】
その一方で,前記有機酸又は無機酸の添加を,前記煮詰める工程が完了する前の時期において行うことにより,前記有機酸又は無機酸のあん粒子内部への浸透を確保することができるのである。
【0017】
つまり,本発明によると,「あん」におけるpH値を,有機酸又は無機酸によって,ヨーグルトにおけるpH値と同じにすることができるか,近づけることができるものでありながら,前記有機酸又は無機酸のあん粒子内部への浸透を確保することができる状態のもとで,その粘度を低くして前記ヨーグルトに対して混ぜ合わせ易くすることができる。
【0018】
この場合,後述する実施例の実験によると,前記有機酸又は無機酸を添加する時期は,請求項3に記載したように,煮詰めを完了した「あん」におけるpH値に反比例して遅らせるようにすることが好ましい。
【0019】
更に,具体的には,請求項4に記載したように,前記有機酸又は無機酸の添加を,前記煮詰める工程を完了したあんにおけるpH値を4.0にするときには前記煮詰める工程に要する時間のうち8分の7の時期から少なくとも前記煮詰める工程を完了する前3分以上の時期までの間において,前記煮詰める工程を完了したあんにおけるpH値を3.5にするときには前記煮詰める工程に要する時間のうち8分の4の時期から少なくとも前記煮詰める工程を完了する前3分以上の時期までの間において,前記煮詰める工程を完了したあんにおけるpH値を3.0にするときには前記煮詰める工程に要する時間のうち8分の3の時期から少なくとも前記煮詰める工程を完了する前3分以上の時期までの間において行うようにすることが,最も好ましいのであった。
【0020】
また,請求項5に記載したように,前記砂糖を加えるとき又はその後に,食品添加物として使用できる甘味料を添加することにより,ヨーグルトと一緒に食するときにヨーグルトにおける酸味を和らげることができる利点がある。
【0021】
この場合,前記甘味料としては,ステビア抽出物,甘草抽出物,ラカンカ抽出物,甘茶抽出物又はクルクリン等の天然甘味料が使用できるほか,スクラロース,アスパルテーム,アセスルファムカリウム,キシロース,ソルビトール又はサッカリン等の合成甘味料が使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下,本発明の実施の形態について説明する。
【0023】
先ず,原料の小豆約56Kgを,110リットルの水に入れ,適宜差し水を行いながら煮沸し,その途中で一旦煮沸を止めて,水切りしたのち,再び170リットルの水に入れて煮沸し,次いで,すり潰し(潰砕),裏ごしすることで表皮と生あん汁とに分離し,得られた生あん汁を,水を加えて攪拌することで晒したのち,自然沈殿したものを脱水分離することにより,90Kgの「赤生あん」を得た。
【0024】
次いで,前記「赤生あん」90Kgのうち135gを1リットルのビーカーに取り,グラニュー糖158gと水を加えて,加熱・沸騰するという煮詰める工程を,糖度がBrixで55%になるまで約80分間にわたって行うことにより,[比較例]としての「こしあん」を得て,この[比較例]としての「こしあん」における温度25℃での粘度を,ブルックフィールド粘度計(B形粘度計,試料を円筒容器に入れ,内筒等のロータを一定速度で回転し,そのロータが受ける力を測定することによるもの)にて測定したところ,5.4 ×105 cpであり,ヨーグルトに対して容易に混ぜ合わせることができた。
[第1実施例]
前記「赤生あん」90Kgのうち135gを1リットルのビーカーに取り,グラニュー糖158gと水を加えて,釜に入れ,加熱・沸騰するという煮詰める工程を,糖度がBrixで55%になるまで約80分間にわたって行う場合,この煮詰める工程における途中の時期で,且つ,当該煮詰める工程を完了する前の時期に,フィチン酸を,煮詰める工程後の「こしあん」におけるpH値が4.5になるように添加するときにおいて,前記フィチン酸の添加から前記煮詰め工程完了までの時間を,5分,10分,20分,30分,40分及び60分に設定し,この六つの場合について得た各「こしあん」における温度25℃での粘度を,ブルックフィールド粘度計にて測定した結果を第1表に示す。
[第2実施例]
前記「赤生あん」90Kgのうち135gを1リットルのビーカーに取り,グラニュー糖158gと水を加えて,釜に入れ,加熱・沸騰するという煮詰める工程を,糖度がBrixで55%になるまで約80分間にわたって行う場合,この煮詰める工程における途中の時期で,且つ,当該煮詰める工程を完了する前の時期に,フィチン酸を,煮詰める工程後の「こしあん」におけるpH値が4.0になるように添加するときにおいて,前記フィチン酸の添加から前記煮詰め工程完了までの時間を,5分,10分,20分,30分,40分及び60分に設定し,この六つの場合について得た各「こしあん」における温度25℃での粘度を,ブルックフィールド粘度計にて測定した結果を第1表に示す。
[第3実施例]
前記「赤生あん」90Kgのうち135gを1リットルのビーカーに取り,グラニュー糖158gと水を加えて,釜に入れ,加熱・沸騰するという煮詰める工程を,糖度がBrixで55%になるまで約80分間にわたって行う場合,この煮詰める工程における途中の時期で,且つ,当該煮詰める工程を完了する前の時期に,フィチン酸を,煮詰める工程後の「こしあん」におけるpH値が3.5になるように添加するときにおいて,前記フィチン酸の添加から前記煮詰め工程完了までの時間を,5分,10分,20分,30分,40分及び60分に設定し,この六つの場合について得た各「こしあん」における温度25℃での粘度を,ブルックフィード粘度計にて測定した結果を第1表に示す。
[第4実施例]
前記「赤生あん」90Kgのうち135gを1リットルのビーカーに取り,グラニュー糖158gと水を加えて,釜に入れ,加熱・沸騰するという煮詰める工程を,糖度がBrixで55%になるまで約80分間にわたって行う場合,この煮詰める工程における途中の時期で,且つ,当該煮詰める工程を完了する前の時期に,フィチン酸を,煮詰める工程後の「こしあん」におけるpH値が3.0になるように添加するときにおいて,前記フィチン酸の添加から前記煮詰め工程完了までの時間を,5分,10分,20分,30分,40分及び60分に設定し,この六つの場合について得た各「こしあん」における温度25℃での粘度を,ブルックフィールド粘度計にて測定した結果を第1表に示す。
【第1表】
【0025】

【0026】
但し,この第1表において80分は,煮詰める工程の前の時期においてフィチン酸を添加した場合,つまり,フィチン酸を添加したあとにおいて,80分にわたる煮詰める工程を実行した場合である。
【0027】
この第1表を折れ線グラフにしたのが図1であり,この図1において,第1実施例の場合を実線で,第2実施例の場合を一点鎖線で,第3実施例の場合を二点鎖線で,そして,第4実施例の場合を点線で示す。
【0028】
これらの結果より明らかなように,煮詰める工程の途中の時期にフィチン酸を添加することにより,前記フィチン酸が存在する状態のもとで加熱・沸騰による煮詰めを行う時間を,前記フィチン酸をこの煮詰める工程の前に添加する場合によりも短縮することができるから,煮詰めを完了した製品としての「こしあん」における粘度を,前記[比較例]のようにフィチン酸を添加しない場合に目標とする粘度に近づけるように低く,ひいては,ヨーグルトに対して混ぜ合わせ易い状態にすることができる。
【0029】
また,これらの結果より明らかなように,前記フィチン酸を添加する時期,つまり,煮詰める工程に有する時間から前記酸添加後における加熱・沸騰時間を差し引いた時間は,煮詰める工程を完了した「こしあん」におけるpH値が高いときには,煮詰める工程を開始するときに近づけるように早くしても良いが,煮詰める工程を完了した「あん」におけるpH値が低いときには,煮詰める工程を開始するときから遠ざけるように遅くするというように,煮詰める工程を完了した「こしあん」におけるpH値に反比例して遅らせることが好ましい。
【0030】
その一方で,前記フィチン酸の添加を,前記煮詰める工程が完了する前の時期において行うことにより,前記フィチン酸のあん粒子内部への浸透を確保することができる。
【0031】
つまり,前記した結果より明らかなように,煮詰める工程を完了した「こしあん」におけるpH値を3.0〜4.5にする場合,前記フィチン酸の添加は,前記煮詰める工程を完了する前,少なくとも,3分以上の時期までに完了すべきであり,これにより,前記フィチン酸のあん粒子内部への浸透を確保することができるのであった。
【0032】
特に,前記した実施の形態における実験によると,「こしあん」のヨーグルトに対する混ぜ合わせが良好であったのは,煮詰めを完了した「こしあん」の25℃における粘度が約30.0×105 cp程度以下の場合であった。
【0033】
このことから,前記フィチン酸の添加を,前記「こしあん」におけるpH値を4.0(第2実施例の場合)にするときには,前記煮詰める工程に要する時間のうち8分の7の時期から少なくとも前記煮詰める工程を完了する前3分以上の時期までの間において,前記「こしあん」におけるpH値を3.5(第3実施例の場合)にするときには,前記煮詰める工程に要する時間のうち8分の4の時期から少なくとも前記煮詰める工程を完了する前3分以上の時期までの間において,前記「こしあん」におけるpH値を3.0(第4実施例の場合)にするときには,前記煮詰める工程に要する時間のうち8分の3の時期から少なくとも前記煮詰める工程を完了する前3分以上の時期までの間において行うことが好ましい。
【0034】
また,前記フィチン酸を添加する時期を,前記した各pH値,つまり,4,5(第1実施例),4.0(第2実施例),3,5(第3実施例)及び3.0(第4実施例)の全てについて良好に適合するには,当該フィチン酸の添加を,前記煮詰める工程に要する時間のうち8分の7の時期から少なくとも前記煮詰める工程を完了する前3分以上の時期までの間において行うようにすべきである。
【0035】
更にまた,前記した実施の形態における実験によると,前記煮詰める工程を完了した「こしあん」は,煮詰める工程において短い時間のうちに冷却することが好ましかった。
【0036】
すなわち,通常の「こしあん」(酸を添加しない)の製造に際しては,前記煮詰める工程を完了したときから容器等に詰めるときの温度である約50℃位になるまで,或いは,前記煮詰める工程を完了後容器等に詰めた状態で約50℃位になるまでを,約3〜5時間程度をかけて自然冷却にて徐冷するようにしているが,この自然冷却による徐冷をそのまま,酸を添加する場合に適用したときには,「あん」における粘度が,比較的緩やかではあるが時間の経過につれて上昇する傾向が認められたが,前記煮詰める工程を完了したときから約50℃になるまでを,例えば,約1時間以内で冷却するというように,強制的に急冷することにより,前記煮詰める工程を完了した後における粘度の緩やかな上昇を確実に抑制することができるのであった。
【0037】
なお,前記した強制的な急冷には,例えば,前記煮詰める工程を行った釜内に入れたままの状態で真空冷却するという方法とか,前記煮詰める工程を完了した時点で袋等の適宜の容器に取り出し,この状態で冷却するという方法を採用することができることはいうまでもない。
【0038】
そして,これらのことは,前記フィチン酸を使用した場合に限らず,前記列挙した各種の有機酸又は無機酸を使用した場合についても同様であり,また,小豆を原料とする場合に限らず,小豆以外の豆類とか,さつまいも又はカボチャ等のその他のあん原料を使用した場合においても同様であった。
【0039】
また,前記したことは,前記実施の形態のように「生あん」を経て「こしあん」を製造する場合に限らず,原料の煮沸又は蒸煮後における潰砕,裏ごし及び水晒しを省略することで「つぶあん」を製造する場合においても適用できることは勿論である。
【0040】
次に,本発明においては,砂糖を加えるとき,又はその前後,或いはその後において,前記した各種の甘味料を添加することができる。
【0041】
この甘味料の添加により,ヨーグルトと一緒に食するときにヨーグルトにおける酸味を和らげることができる。但し,この甘味料の添加は,当該甘味料のあん粒子への浸透を確保するために,前記煮詰める工程の途中の時期から少なくとも前記煮詰める工程を完了する前3分以上までの間の時期において行うべきである。
【0042】
また,本発明においては,砂糖を加えるとき,又はその前後,或いはその後において,鶏卵の黄身,柚子皮,栗の破砕片又は抹茶等の副資材を添加することにより,製品としての「あん」に任意の風味を付与することができるのであり,この場合においても,前記副資材の添加は,当該副資材のあん粒子への浸透を確保するために,前記煮詰める工程の途中の時期から少なくとも前記煮詰める工程を完了する前3分以上までの間の時期において行うべきであることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】酸添加後における加熱・沸騰時間とあんの粘度との関係を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
あん原料を煮沸又は蒸煮し,次いで,潰砕するか潰砕しないで,これに砂糖を加えて加熱・沸騰にて煮詰める工程を備えて成るあんの製造方法において,
前記煮詰める工程における途中の時期で,且つ,前記煮詰める工程が完了する前の時期に,食品添加物として使用できる有機酸又は無機酸を添加することを特徴とするヨーグルト用あんの製造方法。
【請求項2】
前記請求項1の記載において,前記煮詰める工程が完了する前の時期が,少なくとも,3分以上であることを特徴とするヨーグルト用あんの製造方法。
【請求項3】
前記請求項1又は2の記載において,前記有機酸又は無機酸を添加する時期を,前記煮詰める工程を完了したあんにおけるpH値に反比例して遅らせることを特徴とするヨーグルト用あんの製造方法。
【請求項4】
前記請求項1〜3のいずれかの記載において,前記有機酸又は無機酸の添加を,前記煮詰める工程を完了したあんにおけるpH値を4.0にするときには前記煮詰める工程に要する時間のうち8分の7の時期から少なくとも前記煮詰める工程を完了する前3分以上の時期までの間において,前記煮詰める工程を完了したあんにおけるpH値を3.5にするときには前記煮詰める工程に要する時間のうち8分の4の時期から少なくとも前記煮詰める工程を完了する前3分以上の時期までの間において,前記煮詰める工程を完了したあんにおけるpH値を3.0にするときには前記煮詰める工程に要する時間のうち8分の3の時期から少なくとも前記煮詰める工程を完了する前3分以上の時期までの間において行うことを特徴とするヨーグルト用あんの製造方法。
【請求項5】
前記請求項1〜4のいずれかの記載において,前記砂糖を加えるとき又はその後に,食品添加物として使用できる甘味料を添加することを特徴とするヨーグルト用あんの製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2008−86262(P2008−86262A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−270963(P2006−270963)
【出願日】平成18年10月2日(2006.10.2)
【出願人】(592164203)株式会社北條製▲餡▼所 (1)
【Fターム(参考)】