説明

ヨードトリフルオロメタンを含む組成物およびそれらの使用

ヨードトリフルオロメタンと、固定式エアコンもしくは冷凍システム、フラデッドエバポレーター冷却装置または直接膨張式冷却装置で、冷媒を含む、伝熱流体として有用である他の化合物とを含む組成物が開示される。かかる機器で冷却を行う方法およびR22、R407C、R410A、R404AまたはR507Aを置き換える方法もまた開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヨードトリフルオロメタンを含む低GWP冷媒組成物の分野に関する。これらの組成物は、固定式エアコンもしくは冷凍システム、フラデッドエバポレーター(flooded evaporator)冷却装置または直接膨張式冷却装置を含む、R22、R407C、R410A、R404AまたはR507Aのためにデザインされた機器で低GWP代替品として有用である。
【背景技術】
【0002】
たとえあったとしても環境影響の小さい、様々な用途向けの作動流体が捜し求められている。クロロフルオロカーボンの代替品として採用されたハイドロフルオロカーボン作動流体は、オゾン層破壊係数を全く持たないが、地球温暖化に寄与することが分かっている。
【0003】
それ故、冷媒、伝熱流体、クリーニング溶剤、エアゾール噴射剤、発泡剤および消火剤または火炎抑制剤として現在使用中のハイドロフルオロカーボンの代替品が捜し求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既存機器で一時的に代替品として役立つために、代替品は、それ用に機器がデザインされた元の作動流体の特性に近いかまたはそれにマッチしなければならない。既存冷媒の代替と、類似の用途向けにデザインされた新規機器で冷媒としてもまた役立つこととを可能にする特性のバランスを提供する組成物を特定することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、特定のヨードトリフルオロメタン組成物が低い地球温暖化係数(GWP)と、置き換えられる冷媒に似たエネルギー効率および冷凍能力とを有する、特定のヨードトリフルオロメタン組成物、特に、R22、R407C、R410A、R404AまたはR507Aを置き換えるための冷媒を提供する。加えて、本発明は、グライド(glide)をうまく利用するために最適化されている熱交換器(すなわち、エバポレーターまたは凝縮器)付き伝熱システムのために、グライドが低いまたは一定量の冷媒を提供する。
【0006】
特に、本明細書に開示される組成物は、固定式エアコンもしくは固定式冷凍システムで作動流体としてR22、R404A、R407C、R410A、もしくはR507Aを置き換えるために、またはフラデッドエバポレーター冷却装置もしくは直接膨張式(DX)冷却装置でR22、R407CもしくはR410Aを置き換えるために有用であり得る。本明細書に開示されるような組成物は、新規のまたは既存の機器で有用であり得る。
【0007】
本発明によれば、ヨードトリフルオロメタン、ジフルオロメタンならびにペンタン、ブタン、イソブタン、プロピレン、シクロプロピレンおよびプロパンからなる群から選択される追加の化合物を含む組成物が提供される。
【0008】
特定の実施形態では、追加の化合物はプロパンである。この実施形態では、組成物はペンタフルオロエタンをさらに含んでもよい。
【0009】
さらに本発明に従って、ヨードトリフルオロメタンおよび1,1,1,2−テトラフルオロエタン;またはヨードトリフルオロメタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよびジフルオロメタン;またはヨードトリフルオロメタンおよびペンタフルオロエタン;またはヨードトリフルオロメタン、ジフルオロメタン、ペンタフルオロエタンおよび1,1,1,2−テトラフルオロエタンのどれかから本質的になる組成物が提供される。
【0010】
さらに本発明に従って、約0.01〜約67.25質量%のジフルオロメタンおよび約32.75〜約99.99質量%のヨードトリフルオロメタンから本質的になる組成物が提供される。
【0011】
また本発明に従って、フラデッドエバポレーター冷却装置、直接膨張式冷却装置または固定式エアコンシステムもしくは固定式冷凍システムでR22、R407C、R−410A、R404AまたはR507Aを置き換える方法が提供される。本方法は、冷媒である上記の組成物のいずれかを固定式エアコンシステムもしくは固定式冷凍システムに提供する工程を含む。この方法によれば、R22、R404A、R407C、R410AまたはR507Aは、固定式エアコンもしくは固定式冷凍システムで上記の組成物のいずれかで置き換えられ、R22、R407CまたはR410Aは、フラデッドエバポレーター冷却装置または直接膨張式冷却装置で上記の組成物のいずれかで置き換えられる。
【0012】
さらに本発明に従って、固定式エアコンシステムもしくは固定式冷凍システム、フラデッドエバポレーターまたは直接膨張式冷却装置のどれかで冷却を行う方法が提供される。本方法は、冷媒液体である上記の組成物のいずれかを蒸発させて蒸気冷媒を形成する工程と、冷媒蒸気を凝縮させて冷媒液体を形成する工程と、冷媒液体をエバポレーターに戻す工程とを含む。
【0013】
一実施形態では、冷却を行う方法は、固定式冷凍もしくは固定式エアコンシステムで冷却を行う工程を含む。
【0014】
別の実施形態によれば、冷却を行う方法は、フラデッドエバポレーター冷却装置で冷却を行うことを含む。この方法では、第1冷却媒体がエバポレーターの入口を通り、エバポレーターのコイルを通って、エバポレーターの出口に循環し、それによって第1冷却媒体がエバポレーターの入口から出口まで通過するときにその温度を下げる。第1冷却媒体は次に、冷却される本体に通され、それによって冷却を行う。本発明の方法のこの実施形態は、フラデッドエバポレーター冷却装置で行われてもよい。
【0015】
さらに別の実施形態によれば、冷却を行う方法は、直接膨張式冷却装置で冷却を行うことを含む。この方法では、冷媒組成物を蒸発させる工程は、冷媒組成物を、エバポレーターの入口を通して、エバポレーターのコイルを通して、エバポレーターの出口を通して循環させ、それによってエバポレーター内にある第1液体冷却媒体の温度を下げることを含む。第1液体冷却媒体は次に、エバポレーターから冷却される本体に通され、それによって冷却を行う。本発明の方法のこの実施形態は、直接膨張式冷却装置で行われてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の冷媒組成物を利用する固定式エアコンもしくは固定式冷凍システムの略図である。
【図2】本発明の冷媒組成物を利用するフラデッドエバポレーター冷却装置の略図である。
【図3】本発明の冷媒組成物を利用する直接膨張式冷却装置の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に説明される実施形態の詳細を述べる前に、幾つかの用語が定義されるかまたは明確にされる。
【0018】
地球温暖化係数(GWP)は、二酸化炭素の1キログラムの排出と比較して特定の温室効果ガスの1キログラムの大気排出による相対的な地球温暖化寄与を推定するための指数である。GWPは、所与のガスに関する大気寿命の影響を示して異なる対象期間について計算することができる。100年対象期間についてのGWPは一般に参考値である。混合物については、加重平均は、各成分についての個々のGWPに基づいて計算することができる。
【0019】
冷凍能力(冷却能力と称される場合もある)は、循環される冷媒の1ポンド当たりのエバポレーターにおける冷媒のエンタルピーの変化、すなわち、所与の時間当たりエバポレーターで冷媒によって除去される熱を定義するための用語である。冷凍能力は、冷媒または伝熱組成物が冷却を行う能力の尺度である。それ故、この能力が高ければ高いほど、行うことができる冷却は大きい。
【0020】
性能係数(COP)は、サイクルを運転するために入力される必要エネルギーで割った除熱量である。COPが高ければ高いほど、エネルギー効率は高い。COPは、エネルギー効率比(EER)、すなわち、内温および外温の特有のセットでの冷凍またはエアコン機器についての効率格付けに直接関係する。
【0021】
グライド(また温度グライドと称される場合もある)は、いかなるサブクーリング、または過熱も除いて冷凍もしくはエアコンシステムの構成要素内の冷媒による相変化過程の開始温度と終了温度との差の絶対値と定義される。この用語は通常、共沸混合物の凝縮または蒸発を説明する。具体的には、凝縮器での冷媒グライドは、凝縮圧力での露点温度と沸点温度との差であるが、エバポレーターでは、それは蒸発圧力での入口温度と飽和蒸気温度との差である。純化合物冷媒は、特有の温度および圧力で共沸混合物組成物がそうであるようにゼログライドを有する。共沸混合物と同様に挙動する擬共沸混合物(共沸混合物様と称される場合もある)組成物は低いグライドを有するであろう。非共沸混合物(すなわち不共沸混合物)である組成物は、かなり高いグライドを有するかもしれない。平均グライドは、エバポレーターでのグライドと凝縮器でのグライドとの平均を意味することが意図される。
【0022】
用語「サブクーリング」は、所与の圧力に対する当該蒸気の飽和点より下への蒸気の温度の低下を意味する。飽和点は、蒸気が通常液体に凝縮するであろう温度であるが、サブクーリングは、所与の圧力でより低い温度の蒸気をもたらす。蒸気を飽和点より下に冷却することによって、正味の冷凍能力を高めることができる。サブクーリングはそれによって、(冷凍もしくはエアコンシステムを意味する)蒸気圧縮伝熱システムなどの、システムの冷凍能力およびエネルギー効率を向上させる。過熱は、蒸気組成物がその飽和蒸気温度よりどれくらい上に加熱されるかを定義する用語である。
【0023】
本明細書で用いるところでは、非共沸組成物は、共沸ではないおよびまた擬共沸ではないものを含み、それは成分の単純混合物として挙動し、従って蒸発またはボイリングオフ中に分別蒸留するであろうことを意味する。伝熱システムからの漏洩中に、この分別蒸留は、より低い沸騰(より高い蒸気圧)成分を先ず装置から漏洩させるであろう。こうして、伝熱システム内に残る伝熱組成物の蒸気圧は低下するであろう。この圧力降下は測定することができ、漏洩の早期指標として用いることができる。
【0024】
本明細書で用いるところでは、共沸組成物は、単一物質として挙動する2つ以上の物質の定沸点混合物を含む。共沸組成物を特徴づける一方法は、液体の部分蒸発または蒸留によって生み出された蒸気が、それがそれから蒸発するまたは蒸留される液体と同じ組成を有する、すなわち、混合物が組成変化なしに蒸留される/還流することである。定沸点組成物は、同じ化合物の非共沸混合物のそれと比べて、それらが最高沸点か最低沸点かのどちらかを示すので、共沸として特徴づけられる。共沸組成物は、システムの効率を低下させるかもしれない、運転中に伝熱システム内で分別蒸留しないであろう。さらに、共沸組成物は伝熱システムからの漏洩時に分別蒸留しないであろう。
【0025】
本明細書で用いるところでは、擬共沸組成物(一般に「共沸様組成物」とも称される)は、本質的に単一物質として挙動する2つ以上の物質の実質的に定沸点の液体混合物を含む。擬共沸組成物を特徴づける一方法は、液体の部分蒸発または蒸留によって生み出された蒸気が、それがそれから蒸発したまたは蒸留された液体と実質的に同じ組成を有する、すなわち、混合物が実質的な組成変化なしに蒸留される/還流することである。擬共沸組成物を特徴づける別の方法は、ある特定の温度での組成物のバブルポイント蒸気圧および露点蒸気圧が実質的に同じものであることである。本明細書では、組成物の50質量パーセントが蒸発またはボイリングオフなどによって除去された後に、元の組成物と元の組成物の50質量パーセントが除去された後に残る組成物との間の蒸気圧の差が約10パーセント未満である場合に組成物は擬共沸である。
【0026】
本明細書で用いるところでは、伝熱システムは、伝熱組成物を利用する任意の冷凍システム、冷蔵庫、エアコンシステム、エアコン、ヒートポンプ、フラデッドエバポレーター冷却装置、直接膨張式冷却装置などであってもよい。
【0027】
本明細書で用いるところでは、伝熱組成物は、熱を熱源からヒートシンクに運ぶために使用される組成物を含む。
【0028】
本明細書で用いるところでは、冷媒は、液体から気体へおよび気体から液体への相変化を受ける伝熱組成物として、サイクルで機能する化合物または化合物の混合物を含む。
【0029】
本明細書で用いるところでは、用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含まれる(includes)」、「を含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」またはそれらの任意の他の変形は、非排他的な包含を網羅することが意図される。例えば、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、もしくは装置は、それらの要素のみに必ずしも限定されず、明確にリストされないか、またはかかるプロセス、方法、物品、もしくは装置に固有である他の要素を含んでもよい。さらに、相反する記載がない限り、「または」は、包含的なまたはを意味し、排他的なまたはを意味しない。例えば、条件AまたはBは、次のいずれか1つで満たされる:Aは真であり(または存在し)かつBは偽である(または存在しない)、Aは偽であり(または存在せず)かつBは真である(または存在する)、ならびにAおよびBの両方とも真である(または存在する)。
【0030】
同様に、「a」または「an」の使用は、本明細書に記載される要素および成分を記載するために用いられる。これは、便宜上および本発明の範囲の一般的な意味を与えるために行われるにすぎない。この記載は、1つまたは少なくとも1つを包含すると読まれるべきであり、そして単数はまた、それが複数ではないことを意味することが明確でない限り複数を包含する。元素の周期表内の列に対応する族番号は、CRC Handbook of Chemistry and Physics、第81版(2000−2001年)に見られるような「新規表示法」規約を用いる。
【0031】
特に明確にされない限り、本明細書に用いられるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものに類似のまたは等価の方法および材料を本発明の実施形態の実施または試験に用いることができるが、好適な方法および材料は以下に記載される。本明細書に言及されるすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、特に節が言及されない限り、全体が参照により援用される。矛盾が生じた場合には、定義をはじめとして、本明細書が優先される。加えて、材料、方法、および実施例は例示的であるにすぎず、限定的であることは意図されない。
【0032】
組成物
本開示は一般に、ヨードトリフルオロメタン(CFI)を含む組成物に関する。ヨードトリフルオロメタンは、様々な製造業者から商業的に入手可能であるか、または当該技術分野で公知の方法によって製造されてもよい。
【0033】
一実施形態によれば、本発明の組成物は、ヨードトリフルオロメタン(CFI)、ジフルオロメタン(R−32)および少なくとも1種の炭化水素を含む。この実施形態の組成物は本明細書では以下、グループAの組成物と称される。追加の炭化水素は表1に示される。
【0034】
【表1】

【0035】
表1の炭化水素は、当該技術分野で公知の方法によって製造されてもよいし、または商業的に入手可能である。
【0036】
特定の一実施形態によれば、追加の炭化水素は特にプロパンを含んでもよい。この実施形態では、本発明の組成物はペンタフルオロエタンをさらに含んでもよい。
【0037】
あるいはまた、本発明の組成物は、ヨードトリフルオロメタン(CFI)、および少なくとも1種のハイドロフルオロカーボンから本質的になってもよい。これらのハイドロフルオロカーボンは表2に示される。この実施形態に従った組成物は、表2にリストされる1種以上のハイドロフルオロカーボンを含んでもよい。
【0038】
【表2】

【0039】
一実施形態では、本発明の組成物は、ヨードトリフルオロメタンおよび1,1,1,2−テトラフルオロエタンから本質的になる。
【0040】
別の実施形態では、本発明の組成物は、ヨードトリフルオロメタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよびジフルオロメタンから本質的になる。
【0041】
別の実施形態では、本発明の組成物は、ヨードトリフルオロメタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、ジフルオロメタンおよびペンタフルオロエタンから本質的になる。
【0042】
別の実施形態では、本発明の組成物は、ヨードトリフルオロメタンおよびペンタフルオロエタンから本質的になる。
【0043】
表3の「組成物」という表題の列にリストされる組成物はいずれも、本明細書では以下グループBの組成物と称される。本発明のグループBの組成物についての具体的な質量パーセント範囲は、表3に示される。下に示されるいずれかの範囲内に含まれるそれらの範囲を含むことは本発明の範囲内である。
【0044】
【表3】

【0045】
本発明の組成物は、表3に示されるような所望量の個々の成分を組み合わせるための任意の便利な方法によって調製されてもよい。好ましい方法は、所望成分量を秤量し、その後成分を適切な容器で組み合わせることである。必要ならば、かき混ぜてもよい。
【0046】
さらに本発明に従って、約0.01〜約67.25質量パーセントのジフルオロメタンおよび約32.75〜約99.99質量パーセントのヨードトリフルオロメタンから本質的になる組成物が提供される。この実施形態の組成物は、本明細書では以下グループCの組成物と称される。
【0047】
本発明は、ゼロのまたは低いオゾン層破壊係数および低い地球温暖化係数(GWP)を有する組成物を提供する。本明細書に開示されるような組成物は、現在使用中の多くのハイドロフルオロカーボン冷媒よりも小さい地球温暖化係数を有する。本発明の一態様は、1000未満、500未満、および幾つかの場合には350未満、またはそれどころか150未満、または100未満、または50未満の地球温暖化係数の冷媒を提供することである。
【0048】
加えて、不燃性および低GWPは両方とも、冷媒として使用されるときに組成物にとって望ましい特性である。R32およびプロパン(R290)は両方とも可燃性化合物であることが知られている。一実施態様では、これらの可燃性化合物を含有する表2の代替品範囲Aに提供されるそれらの組成物は、不燃性であるかまたは可燃性が少ないと予期される。別の実施形態では、表2の代替品範囲Bに提供されるそれらの組成物は不燃性であると予期される。全体として、表2に記載されるような組成物は、既存の冷媒化合物またはブレンドより低いGWPを有し、それらは、置き換わることが意図される(本明細書の実施例1および2を参照されたい)。
【0049】
本明細書に開示されるような本発明の組成物は、冷凍、エアコン、またはヒートポンプシステムで湿気の除去に役立つための乾燥剤と組み合わせて使用されてもよい。乾燥剤は、活性アルミナ、シリカゲル、またはゼオライト−ベースのモレキュラーシーブからなってもよい。代表的なモレキュラーシーブには、MOLSIV XH−7、XH−6、XH−9およびXH−11(UOP LLC(Des Plaines,IL))が含まれる。HFC−32などの小分子サイズの冷媒のためには、XH−11乾燥剤が好ましい。
【0050】
本発明の組成物は、ポリアルキレングリコール、ポリオールエステル、ポリビニルエーテル、鉱油、アルキルベンゼン、合成パラフィン、合成ナフテン、およびポリ(アルファ)オレフィンからなる群から選択された少なくとも1つの潤滑油をさらに含んでもよい。
【0051】
本発明の組成物と一緒に使用するための潤滑油は、冷凍またはエアコン装置での使用に好適なものを含む。これらの潤滑油の中には、クロロフルオロカーボン冷媒を利用する蒸気圧縮冷凍装置に通常使用されるものがある。かかる潤滑油およびそれらの特性は、参照により本明細書に援用される、1990年ASHRAE Handbook、Refrigeration Systems and Applications、「Lubricants in Refrigeration Systems」という表題の、第8章、8.1〜8.21ページに議論されている。本発明の組成物と一緒に使用するために好適な潤滑油は、圧縮冷凍潤滑の分野で「鉱油」として一般に知られるものを含んでもよい。鉱油はパラフィン(すなわち、直鎖および分岐鎖炭素鎖、飽和炭化水素)、ナフテン(すなわち、環式パラフィン)ならびに芳香族化合物(すなわち、交互二重結合によって特徴づけられる1つまたは複数の環を含有する不飽和の環式炭化水素)を含む。本発明の組成物と一緒に使用するために好適な潤滑油は、圧縮冷凍潤滑の分野で「合成油」として一般に知られるものをさらに含む。合成油はアルキルアリール(すなわち線状および分岐アルキルのアルキルベンゼン)、合成パラフィンおよびナフテン、ならびにポリ(アルファオレフィン)を含む。本発明の組成物と一緒に使用するために好適な代表的な従来型潤滑油は、商業的に入手可能なBVM 100N(BVA Oilsによって販売されるパラフィン系鉱油)、商標Suniso(登録商標)3GSおよびSuniso(登録商標)5GSでCrompton Co.から商業的に入手可能なナフテン系鉱油、商標Sontex(登録商標)372LTでPennzoilから商業的に入手可能なナフテン系鉱油、商標Calumet(登録商標)RO−30でCalumet Lubricantsから商業的に入手可能なナフテン系鉱油、商標Zerol(登録商標)75、Zerol(登録商標)150およびZerol(登録商標)500でShrieve Chemicalsから商業的に入手可能な線状アルキルベンゼン、ならびにHAB22(新日本石油株式会社によって販売される分岐アルキルベンゼン)である。
【0052】
本発明の組成物と一緒に使用するために好適な潤滑油は、ハイドロフルオロカーボン冷媒と一緒の使用をデザインされたものをさらに含んでもよく、圧縮冷凍およびエアコン装置の運転条件下で本発明の冷媒と混和性である。かかる潤滑油およびそれらの特性は、「Synthetic Lubricants and High−Performance Fluids」、R.L.Shubkin編、Marcel Dekker、1993年に議論されている。かかる潤滑油には、Castrol(登録商標)100(Castrol(United Kingdom))などのポリオールエステル(POE)、Dow(Dow Chemical(Midland,Michigan))製のRL−488Aなどのポリアルキレングリコール(PAG)、ポリビニルエーテル(PVE)ならびにポリカーボネート(PC)が含まれるが、それらに限定されない。
【0053】
本発明の組成物と共に用いられる潤滑油は、所与の圧縮機の要件および潤滑油が曝されるであろう環境を考慮することによって選択される。
【0054】
炭化水素を含有する本明細書に記載される本発明の組成物は、鉱油などの、従来型冷凍潤滑油との向上した混和性を提供するかもしれない。従って、既存機器の改造のためのこれらの炭化水素含有組成物の使用は、コストのかかる、時間を消費する潤滑油交換プロセスを必要としないであろう。
【0055】
本発明の組成物は、相溶化剤、UV染料、可溶化剤、トレーサー、安定剤、パーフルオロポリエーテル(PFPE)、および官能化パーフルオロポリエーテルからなる群から選択された添加剤をさらに含んでもよい。
【0056】
本発明の組成物は、約0.01質量パーセント〜約5質量パーセントの安定剤、フリーラジカル捕捉剤または酸化防止剤をさらに含んでもよい。かかる他の添加剤には、ニトロメタン,ヒンダードフェノール、ヒドロキシルアミン、チオール、ホスファイト、またはラクトンが含まれるが、それらに限定されない。単一の添加剤または組み合わせが使用されてもよい。
【0057】
場合により、ある種の冷凍またはエアコンシステム添加剤が、性能およびシステム安定性を高めるために本発明の組成物に、要望通り、添加されてもよい。これらの添加剤は、冷凍およびエアコンの分野で公知であり、摩耗防止剤、極圧潤滑油、腐食および酸化防止剤、金属表面不活性化剤、フリーラジカル捕捉剤、および泡制御剤を含むが、それらに限定されない。一般に、これらの添加剤は、全体組成物に対して少量で本発明組成物中に存在してもよい。典型的には、約0.1質量パーセント未満から約3質量パーセントほどに多い濃度の各添加剤が使用される。これらの添加剤は、個々のシステム要件に基づいて選択される。これらの添加剤には、トリアリールホスフェートの系統、ブチル化トリフェニルホスフェート(BTPP)、または他のアルキル化トリアリールホスフェートエステル、例えば、Akzo Chemicals製のSyn−0−Ad 8478、トリクレジルホスフェートおよび関連化合物などの、EP(極圧)潤滑性添加剤の系統が含まれる。さらに、金属ジアルキルジチオホスフェート(例えばジチオリン酸ジアルキル亜鉛またはZDDP、リューブリゾール(Lubrizol)1375)およびこの族の化学薬品の他のメンバーが本発明の組成物に使用されてもよい。他の耐摩耗性添加剤には、天然物油、およびシナーゴル(Synergol)TMS(インターナショナル・リューブリカンツ(International Lubricants))などの非対称ポリヒドロキシル潤滑添加剤が含まれる。同様に、酸化防止剤、フリーラジカル捕捉剤、および水捕捉剤などの安定剤が用いられてもよい。このカテゴリーの化合物には、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、エポキシドおよびそれらの混合物が含まれ得るが、それらに限定されない。腐食防止剤には、ドデシルコハク酸(DDSA)、アミンホスフェート(AP)、オレイルサルコシン、イミダゾン誘導体および置換スルホネートが含まれる。金属表面不活性化剤には、アレオキサリル(areoxalyl)ビス(ベンジリデン)ヒドラジド(CAS登録番号6629−10−3)、N,N’−ビス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナモイルヒドラジン(CAS登録番号32687−78−8)、2,2’−オキサミドビス−エチル−(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート(CAS登録番号70331−94−1)、N,N’−(ジサリシリデン)−1,2−ジアミノプロパン(CAS登録番号94−91−7)ならびにエチレンジアミン四酢酸(CAS登録番号60−00−4)およびその塩、ならびにそれの混合物が含まれる。
【0058】
追加の添加剤には、ヒンダードフェノール、チオホスフェート、ブチル化トリフェニルホスホロチオネート、オルガノホスフェート、またはホスファイト、アリールアルキルエーテル、テルペン、テルペノイド、エポキシド、フッ素化エポキシド、オキセタン、アスコルビン酸、チオール、ラクトン、チオエーテル、アミン、ニトロメタン、アルキルシラン、ベンゾフェノン誘導体、アリールスルフィド、ジビニルテレフタル酸、ジフェニルテレフタル酸、イオン液体、およびそれらの混合物からなる群から選択された少なくとも1つの化合物を含む安定剤が含まれる。2007年3月26日に出願された国際特許出願PCT/US07/07477号明細書に開示されているように、代表的な安定剤化合物には、トコフェロール;ヒドロキノン;t−ブチルヒドロキノン;モノチオホスフェート;および、商標Irgalube(登録商標)63でCiba Specialty Chemicals(Basel,Switzerland)、本明細書では以下「Ciba」から商業的に入手可能な、ジチオホスフェート;それぞれ、商標Irgalube(登録商標)353およびIrgalube(登録商標)350でCibaから商業的に入手可能な、ジアルキルチオホスフェートエステル;商標Irgalube(登録商標)232でCibaから商業的に入手可能な、ブチル化トリフェニルホスホロチオネート;商標Irgalube(登録商標)349(Ciba)でCibaから商業的に入手可能な、アミンホスフェート;Irgafos(登録商標)168としてCibaから商業的に入手可能な、ヒンダードホスファイト;商標Irgafos(登録商標)OPHでCibaから商業的に入手可能な、トリス−(ジ−第三ブチルフェニル)などのホスフェート;(ジ−n−オクチルホスファイト);および商標Irgafos(登録商標)DDPPでCibaから商業的に入手可能な、イソ−デシルジフェニルホスファイト;アニソール;1,4−dジメトキシベンゼン;1,4−ジエトキシベンゼン;1,3,5−トリメトキシベンゼン;d−リモネン;レチナール;ピネン;メントール;ビタミンA;テルピネン;ジペンテン;リコピン;ベータカロテン;ボルナン;1,2−プロピレンオキシド;1,2−ブチレンオキシド;n−ブチルグリシジルエーテル;トリフルオロメチルオキシラン;1,1−ビス(トリフルオロメチル)オキシラン;OXT−101(東亜合成株式会社)などの、3−エチル−3−ヒドロキシメチル−オキセタン;OXT−211(東亞合成株式会社)などの、3−エチル−3−((フェノキシ)メチル)−オキセタン;OXT−212(東亞合成株式会社)などの、3−エチル−3−((2−エチル−ヘキシルオキシ)メチル)−オキセタン;アスコルビン酸;メタンチオール(メチルメルカプタン);エタンチオール(エチルメルカプタン);補酵素A;ジメルカプトコハク酸(DMSA);グレープフルーツメルカプタン((R)−2−(4−メチル−3−シクロヘキセニル)プロパン−2−チオール));システイン((R)−2−アミノ−3−スルファニル−プロパン酸);リポアミド(1,2−ジチオラン−3−ペンタンアミド);商標Irganox(登録商標)HP−136でCibaから商業的に入手可能な、5,7−ビス(1,1−ジメチルエチル)−3−[2,3(または3,4)−ジメチルフェニル]−2(3H)−ベンゾフラノン;ベンジルフェニルスルフィド;ジフェニルスルフィド;ジイソプロピルアミン;商標Irganox(登録商標)PS 802(Ciba)でCibaから商業的に入手可能な、ジオクタデシル3,3’−チオジプロピオネート;商標Irganox(登録商標)PS 800でCibaから商業的に入手可能な、ジドデシル3,3’−チオジプロピオネート;商標Tinuvin(登録商標)770でCibaから商業的に入手可能な、ジ−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート;商標Tinuvin(登録商標)622LD(Ciba)でCibaから商業的に入手可能な、ポリ(N−ヒドロキシエチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシ−ピペリジルスクシネート;メチルビスタローアミン;ビスタローアミン;フェノール−アルファ−ナフチルアミン;ビス(ジメチルアミノ)メチルシラン(DMAMS);トリス(トリメチルシリル)シラン(TTMSS);ビニルトリエトキシシラン;ビニルトリメトキシシラン;2,5−ジフルオロベンゾフェノン;2’,5’−ジヒドロキシアセトフェノン;2−アミノベンゾフェノン;2−クロロベンゾフェノン;ベンジルフェニルスルフィド;ジフェニルスルフィド;ジベンジルスルフィド;イオン液体などが含まれるが、それらに限定されない。
【0059】
イオン液体安定剤は、少なくとも1つのイオン液体を含む。イオン液体は、室温(おおよそ25℃)で液体である有機塩である。別の実施形態では、イオン液体安定剤は、ピリジニウム、ピリダジニウム、ピリミジニウム、ピラジニウム、イミダゾリウム、ピラゾリウム、チアゾリウム、オキサゾリウムおよびトリアゾリウムからなる群から選択された陽イオンと;[BF、[PF、[SbF、[CFSO、[HCFCFSO、[CFHFCCFSO、[HCClFCFSO、[(CFSON]、[(CFCFSON]、[(CFSOC]、[CFCO、およびFからなる群から選択された陰イオンとを含有する塩を含む。代表的なイオン液体安定剤には、それらのすべてがFluka(Sigma−Aldrich)から入手可能である、emim BF(1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート);bmim BF(1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート);emim PF(1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート);およびbmim PF(1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート)が含まれる。
【0060】
本発明の組成物はまた、ハイドロフルオロカーボン冷媒または伝熱流体と混和性であるパーフルオロポリエーテルを添加物として含んでもよい。パーフルオロポリエーテルの共通の特性は、パーフルオロアルキルエーテル部分の存在である。パーフルオロポリエーテルは、パーフルオロポリアルキルエーテルと同義語である。頻繁に用いられる他の同義語には、「PFPE」、「PFAE」、「PFPEオイル」、「PFPE流体」、および「PFPAE」が含まれる。例えば、DuPontから入手可能な、Krytox(登録商標)は、CF−(CF−O−[CF(CF)−CF−O]j’−R’fの式を有するパーフルオロポリエーテルである。この式中、j’は、2〜100(両端を含む)であり、R’fはCFCF、C3〜C6パーフルオロアルキル基であるか、またはそれらの組み合わせである。
【0061】
Ausimont(Milan,Italy)から入手可能な、パーフルオロオレフィン光酸化によって製造される、商標Fomblin(登録商標)およびGalden(登録商標)で販売されるPFPE流体を含む、他のPFPEもまた使用することができる。Fomblin(登録商標)−Yは、CFO(CFCF(CF)−O−)m’(CF−O−)n’−R1fの式を有することができる。CFO[CFCF(CF)O]m’(CFCFO)o’(CFO)n’−R1fもまた好適である。この式中、R1fはCF、C、C、またはそれらの2つ以上の組み合わせであり;(m’+n’)は、8〜45(両端を含む)であり;m/nは、20〜1000(両端を含む)であり;o’は1であり;(m’+n’+o’)は、8〜45(両端を含む)であり;m’/n’は、20〜1000(両端を含む)である。
【0062】
Fomblin(登録商標)−Zは、CFO(CFCF−O−)p’(CF−O)q’CF(式中、(p’+q’)は40〜180であり、p’/q’は0.5〜2(両端を含む)である)の式を有することができる。
【0063】
商標DemnumTMで、ダイキン工業株式会社(日本)から入手可能な、別の系統のPFPE流体もまた添加物として使用することができる。かかるPFPE流体は、2,2,3,3−テトラフルオロオキセタンの順次オリゴマー化およびフッ素化によって製造することができ、F−[(CF−O]t’−R2f(式中、R2fはCF、C、またはそれらの組み合わせであり、t’は、2〜200(両端を含む)である)の式をもたらす。
【0064】
パーフルオロポリエーテルの2つの末端基は、独立して、官能化されているかまたは官能化されていないものであることができる。官能化されていないパーフルオロポリエーテルでは、末端基は、分岐鎖かまたは直鎖のパーフルオロアルキルラジカル末端基であることができる。かかるパーフルオロポリエーテルの例は、Cr’(2r’+1)−A−Cr’(2r’+1)(式中、各r’は独立して3〜6であり;Aは、O−(CF(CF)CF−O)w’、O−(CF−O)x’(CFCF−O)y’、O−(C−O)w’、O−(C−O)x’(C−O)y’、O−(CF(CF)CF−O)x’(CF−O)y’、O−(CFCFCF−O)w’、O−(CF(CF)CF−O)x’(CFCF−O)y’−(CF−O)z’、またはそれらの2つ以上の組み合わせであることができ;好ましくはAはO−(CF(CF)CF−O)w’、O−(C−O)w’、O−(C−O)x’(C−O)y’、O−(CFCFCF−O)w’、またはそれらの2つ以上の組み合わせであり;w’は4〜100であり;x’およびy’はそれぞれ独立して1〜100である)の式を有することができる。具体的な例には、F(CF(CF)−CF−O)−CFCF、F(CF(CF)−CF−O)−CF(CF、およびそれらの組み合わせが含まれるが、それらに限定されない。かかるPFPEでは、30%以下のハロゲン原子は、例えば、塩素原子などの、フッ素以外のハロゲンであることができる。
【0065】
パーフルオロポリエーテルの2つの末端基はまた、独立して、官能化されていることができる。典型的な官能化末端基は、エステル、ヒドロキシル、アミン、アミド、シアノ、カルボン酸およびスルホン酸からなる群から選択することができる。
【0066】
代表的なエステル末端基には、−COOCH、−COOCHCH、−CFCOOCH、−CFCOOCHCH、−CFCFCOOCH、−CFCFCOOCHCH、−CFCHCOOCH、−CFCFCHCOOCH、−CFCHCHCOOCH、−CFCFCHCHCOOCHが含まれる。
【0067】
代表的なヒドロキシル末端基には、−CFOH、−CFCFOH、−CFCHOH、−CFCFCHOH、−CFCHCHOH、−CFCFCHCHOHが含まれる。
【0068】
代表的なアミン末端基には、−CFNR、−CFCFNR、−CFCHNR、−CFCFCHNR、−CFCHCHNR、−CFCFCHCHNR(式中、RおよびRは独立して、H、CH、またはCHCHである)が含まれる。
【0069】
代表的なアミド末端基には、−CFC(O)NR、−CFCFC(O)NR、−CFCHC(O)NR、−CFCFCHC(O)NR、−CFCHCHC(O)NR、−CFCFCHCHC(O)NR(式中、RおよびRは独立して、H、CH、またはCHCHである)が含まれる。
【0070】
代表的なシアノ末端基には、−CFCN、−CFCFCN、−CFCHCN、−CFCFCHCN、−CFCHCHCN、−CFCFCHCHCNが含まれる。
【0071】
代表的なカルボン酸末端基には、−CFCOOH、−CFCFCOOH、−CFCHCOOH、−CFCFCHCOOH、−CFCHCHCOOH、−CFCFCHCHCOOHが含まれる。
【0072】
代表的なスルホン酸末端基には、−S(O)(O)OR、−S(O)(O)R、−CFOS(O)(O)OR、−CFCFOS(O)(O)OR、−CFCHOS(O)(O)OR、−CFCFCHOS(O)(O)OR、−CFCHCHOS(O)(O)OR、−CFCFCHCHOS(O)(O)OR、−CFS(O)(O)OR、−CFCFS(O)(O)OR、−CFCHS(O)(O)OR、−CFCFCHS(O)(O)OR、−CFCHCHS(O)(O)OR、−CFCFCHCHS(O)(O)OR、−CFOS(O)(O)R、−CFCFOS(O)(O)R、−CFCHOS(O)(O)R、−CFCFCHOS(O)(O)R、−CFCHCHOS(O)(O)R、−CFCFCHCHOS(O)(O)R(式中、RはH、CH、CHCH、CHCF、CF、またはCFCFであり、RはCH、CHCH、CHCF、CF、またはCFCFである)が含まれる。
【0073】
一実施形態では、本発明の組成物(グループA、BおよびCの組成物を意味する)は、発泡体の製造に使用するための発泡剤として使用されてもよい。このように、本発明によれば、かかる発泡剤から製造された発泡体、好ましくはポリウレタンおよびポリイソシアネート発泡体、ならびにかかる発泡体の製造方法が提供される。かかる発泡体の実施形態では、本発明の組成物の1つ以上が発泡剤として含められ、発泡性組成物に加えられ、この発泡性組成物を、発泡体を形成するために有効な条件下で反応させる。かかる条件は、適切な条件下に反応し、発泡して発泡体または多孔質構造体を形成することができる1つ以上の追加の成分の使用を含んでもよい。「Polyurethanes Chemistry and Technology」、第IおよびII巻、Saunders and Frisch、1962年、John Wiley and Sons、New York、N.Y.に記載されているものなどの、当該技術分野で周知の方法のいずれかが用いられてもよいし、または本発明の発泡体実施形態に従って用いるために改良されてもよい。
【0074】
別の実施形態では、本発明の組成物は、スプレー可能な組成物での噴射剤として使用されてもよい。この実施形態では、本発明は、本発明の組成物を含むスプレー可能な組成物に関する。この実施形態では、スプレー可能な組成物は、不活性成分と一緒にスプレーされる活性成分、溶剤および他の材料をさらに含んでもよい。スプレー可能な組成物はエアゾールであってもよい。スプレーされる好適な活性成分には、限定されないが、抗喘息および抗口臭薬剤などの医薬物質だけでなく脱臭剤、香料、ヘアスプレー、クリーナー、および艶出剤などの化粧品物質が含まれる。
【0075】
本開示はまた、噴射剤として機能する、本発明の組成物をエアゾール容器中の活性成分に加える工程を含むエアゾール製品の製造方法を提供する。
【0076】
一実施形態では、滅菌剤は、エチレンオキシドとグループA、グループBまたはグループCの組成物とを含む共沸混合物または共沸混合物様組成物である。別の実施形態では、滅菌剤混合物は、エチレンオキシドとグループA、グループBまたはグループCの組成物とを含む非共沸混合物(または不共沸混合物)組成物である。
【0077】
別の実施形態では、本発明の組成物は滅菌剤として使用されてもよい。滅菌剤は、診断内視鏡、注射器などのプラスチック商品、手袋、試験管、培養器およびペースメーカーなどの、医療機器および医療材料;チューブ材料、カテーテルおよびシート材料などのゴム製品;針、外科用メスおよび酸素試験具などの器具;ならびに拡張器、ポンプ、モーターおよび眼内レンズなどの他の品目を含むが、それらに限定されない、非常に多数の物品を滅菌するために使用されてもよい。別の実施形態では、本発明の滅菌剤は、種などの、ある種の食料品と、毛皮製品、寝具類、紙商品、ならびに飛行機、列車、および船の積み荷領域などの輸送機器などの他の品目とを含むがそれらに限定されない医療分野以外の品目のための燻蒸剤として使用されてもよい。本滅菌剤は、すべての形態の生物、特に望ましくない昆虫、細菌、ウィルス、かび、真菌類、および他の微生物に対して有効であり得る。
【0078】
一実施形態では、滅菌剤は、エチレンオキシドと本発明の組成物とを含む共沸混合物または共沸混合物様組成物である。別の実施形態では、滅菌剤は、エチレンオキシドと本発明の組成物とを含む非共沸混合物(または不共沸混合物)組成物である。
【0079】
本発明はまた、エチレンオキシドと本発明の組成物とを含む滅菌剤と物品を接触させる工程を含む物品の滅菌方法を提供する。一実施態様では、物品の滅菌方法は、所望の程度の滅菌を達成するのに有効であるような条件下および期間、滅菌される物品を本滅菌剤に接触させる工程を含む、当該技術分野で公知の任意の方法で成し遂げられてもよい。別の実施形態では、本方法は、滅菌される物品を容器中に入れ、容器から空気を排気し、容器を加湿し、物品を本滅菌剤混合物に有効な期間接触させることによって達成される。一実施態様では、加湿は、約30〜約80パーセントの容器内の相対湿度を生み出す。滅菌のための有効な期間は、用いられる温度、圧力、相対湿度、具体的な滅菌剤および滅菌中の材料を含む多数の要因に依存するであろう。あるいはまた、幾つかの多孔性物品は、ポリエチレン袋に密封された物品が必要とするより短い接触時間を必要とするかもしれない。さらに、別の実施形態では、ある種の細菌は特に耐性があり、従って滅菌のためにより長い接触時間を必要とするかもしれない。
【0080】
本発明の組成物(グループA、BおよびCの組成物を意味する)は、冷媒として特に有用である。冷却システムでのおよび冷却を行う方法でのかかる冷媒の使用は以下に記載される。
【0081】
冷却システム
図1は、本発明の組成物を用いる固定式冷凍もしくは固定式冷凍システムの略図である。このシステムでは、液体冷媒は膨張弁212を通って流れ、冷媒は一部液体および一部蒸気としてこの膨張弁から出て、入口および出口を有するエバポレーター214へ入る。液体冷媒は、エバポレーターで蒸発し、蒸気として出て、吸引ライン240に入る。冷媒蒸気は次に連結圧縮機250に吸い込まれ、圧縮機は冷媒蒸気の圧力および温度を上げる。圧縮機は、冷媒蒸気がエバポレーターから出たときの冷媒蒸気の圧力および温度よりも高い圧力および温度でそれが凝縮できるようにこの蒸気を圧縮する。冷媒蒸気体は、圧縮機から連結ホットガスライン260へと流れ、次に凝縮器270に流れ込み、それによって冷媒蒸気は凝縮し、液相に戻る。液体冷媒ライン280は液体冷媒を膨張弁に戻し、このサイクルが繰り返される。
【0082】
本発明の組成物はまた、5〜10kW未満の冷却能力を有する小さいクーラーなどの、他のエアコン/冷凍システムで、または一段で冷却効果をおよび異なる段階で加熱効果を生み出すための多段で冷媒を再使用する、閉ループ式伝熱システムで有用であり得る。かかるシステムは典型的には移動式エアコンシステムで使用される。本明細書で用いるところでは、移動式エアコンシステムは、道路、鉄道、海また空用の輸送ユニット中へ組み込まれた任意の冷凍またはエアコン装置を意味する。
【0083】
別の実施態様では、本発明の組成物は、冷却装置で冷媒として使用されてもよい。冷却装置は、エアコン/冷凍装置のタイプである。2つのタイプの水冷式却装置、蒸気圧縮冷却装置および吸収冷却装置が入手可能である。本開示は、蒸気圧縮冷却装置に関する。かかる蒸気圧縮冷却装置は、図2に示されるフラデッドエバポレーター冷却装置、または図3に示される直接膨張式冷却装置のどちらかであってもよい。フラデッドエバポレーター冷却装置または直接膨張式冷却装置の両方とも、空冷式かまたは水冷式であってもよい。冷却装置が水冷式である実施形態では、かかる冷却装置は、システムからの放熱のための冷却塔と一般に関係がある。冷却装置が空冷式である実施形態では、冷却装置は、システムから熱を放出するための冷媒−空気フィン付き−チューブ(refrigerant−to−air finned−tube)凝縮器コイルおよびファンを備え付けている。空冷式冷却装置システムは一般に、冷却塔と水ポンプとを含む等価能力の水冷式冷却装置システムよりコストがかからない。しかしながら、水冷システムは、凝縮温度がより低いために、多くの運転条件下でより効率的であり得る。
【0084】
フラデッドエバポレーター冷却装置および直接膨張式冷却装置の両方を含む冷却装置は、ホテル、オフィスビル、ショッピングセンター、病院、大学などを含む大きな商業ビルに快適な空調(空気の冷却および除湿)を提供するために、空気処理および分配システムと結合されてもよい。別の実施形態では、冷却装置、最も可能性が高い空冷式の直接膨張式冷却装置は、海軍潜水艦および水上艦で追加の実用性を見いだしてきた。
【0085】
冷却装置の運転方法を例示するために、図を参照する。水冷式フラデッドエバポレーター冷却装置が図2に例示される。この冷却装置では、暖かい第1液体冷却媒体液(通常は水、しかし、グリコールなどの添加物が入っていてもよい)が、入口および出口を有するエバポレーター6のコイル9を通って、矢印3で入るように示される、ビル冷却システムなどの冷却システムから冷却装置に入る。暖かい第1液体冷却媒体はエバポレーターに送られ、エバポレーターでそれは、エバポレーターの下方部分に示される液体冷媒によって冷却される。液体冷媒は、コイル9を通って流れる暖かい第1液体冷却媒体よりも低い温度で蒸発する。冷却された第1液体冷却媒体は、コイル9のリターン部分を経て矢印4で示されるように、ビル冷却システムへ逆再循環する。図2のエバポレーター6の下方部分に示される液体冷媒は、蒸発し、圧縮機7に吸い込まれ、圧縮機は冷媒蒸気の圧力および温度を上げる。圧縮機は、冷媒蒸気がエバポレーターから出たときの冷媒蒸気の圧力および温度よりも高い圧力および温度でそれが凝縮器5で凝縮できるようにこの蒸気を圧縮する。水冷式冷却装置の場合に液体である、第2冷却媒体は、冷却塔から凝縮器5のコイル10を経て図2の矢印1で凝縮器に入る。第2冷却媒体はこのプロセスで暖められ、コイル10のリターンループおよび矢印2を経て冷却塔に戻される。この第2冷却媒体は、凝縮器で蒸気を冷却し、蒸気を液体冷媒に変化させ、その結果図2に示されるように凝縮器の下方部分には液体冷媒がある。凝縮器中の凝縮した液体冷媒は、膨張デバイスまたはオリフィス8を通ってエバポレーターへ逆流し、このサイクルが繰り返される。オリフィス8は液体冷媒の圧力を低下させ、液体冷媒を部分的に蒸気に変換する、すなわち、液体冷媒は、圧力が凝縮器とエバポレーターとの間に降下するにつれて蒸気に部分的に変わる(フラッシュする)。フラッシングは、液体および蒸気の両方の冷媒をエバポレーター圧力での飽和温度に冷却し、その結果、液体冷媒および冷媒蒸気の両方がエバポレーターに存在する。
【0086】
単一成分冷媒組成物については、エバポレーターでの蒸気冷媒の組成は、エバポレーターでの液体冷媒の組成と同じものであることが指摘されるべきである。この場合には、蒸発は一定温度で起こるであろう。しかしながら、本発明の組成物の場合のように、冷媒ブレンドが使用される場合、エバポレーターでの(または凝縮器での)液体冷媒および冷媒蒸気は異なる組成を有するかもしれない。かかる組成は、沸点、構造および共沸混合物を形成する能力等々の成分の特性に依存する。
【0087】
700kWより上の能力の冷却装置は一般に、冷媒がエバポレーターおよび凝縮器に(すなわち、シェル側に)含有されるフラデッドエバポレーターを用いる。フラデッドエバポレーターは、冷媒をより多く装填する必要があるが、より近いアプローチ温度およびより高い効率を可能にする。700kWより下の能力の冷却装置は普通、冷媒がチューブの内側を流れるエバポレーターと、エバポレーターおよび凝縮器に、すなわち、シェル側に、冷却された冷却媒体とを用いる。かかる冷却装置は直接膨張式(DX)冷却装置と呼ばれる。水冷式の直接膨張式冷却装置は図3に例示される。図3に例示されるような冷却装置では、暖水などの、暖かい液体である、第1冷却媒体は入口14でエバポレーター6’に入る。ほとんど液体の冷媒が矢印3’でエバポレーターのコイル9’に入り、蒸発する。結果として、第1液体冷却媒体はエバポレーターで冷却され、冷却された第1液体冷却媒体は出口16でエバポレーターを出て、ビルなどの、冷却される本体に送られる。図3のこの実施形態では、この第1液体冷却媒体が冷却を行う作動流体である。冷媒蒸気は、矢印4’でエバポレーターを出て、圧縮機7’に吸い込まれ、そこでそれは圧縮され、高温、高圧蒸気として出る。この冷媒蒸気は1’で凝縮器コイルを通って凝縮器に入る。冷媒蒸気は、凝縮器で第2液体冷却媒体によって冷却され、液体になる。第2液体冷却媒体は、凝縮器冷却媒体入口20を通って凝縮器に入り、それは凝縮した冷媒蒸気から熱を抽出し、凝縮した冷媒蒸気は冷却媒体を加熱する。第2液体冷却媒体は、凝縮器冷却媒体出口18を通って出る。凝縮した冷媒液体は凝縮器を出て、液体冷媒の圧力を低下させる膨張弁12を通って流れる。膨張の結果として生成した、少量の冷媒蒸気は、液体冷媒と共にエバポレーターに入り、このサイクルが繰り返される。
【0088】
蒸気−圧縮冷却装置は、それらが用いる圧縮機のタイプによって特定される。一実施態様では、本発明の組成物は、以下に記載されるような、遠心圧縮機を利用する冷却装置で有用である。別の実施形態では本発明の組成物は、容積式圧縮機、すなわち、往復式圧縮機、スクリュー圧縮機、またはスクロール圧縮機のどれかを利用する冷却装置で有用である。
【0089】
遠心圧縮機は、冷媒を放射状に加速するための回転要素を用い、典型的にはケーシングに格納された羽根車および拡散器を含む。遠心圧縮機は通常、流体を羽根車アイか、または循環羽根車の中心入口で取り込み、それを外側へ放射状に加速させる。幾らかの静圧上昇が羽根車で起こるが、圧力上昇のほとんどは、速度が静圧に変換されるケーシングの拡散器部分で起こる。各羽根車−拡散器一式は圧縮機の1段階である。遠心圧縮機は、所望の最終圧力および処理される冷媒の容積に依存して、1〜12以上の段階で構築される。
【0090】
圧縮機の圧力比、または圧縮比は、絶対吐出圧力対絶対入口圧力の比である。遠心圧縮機によって供給される圧力は、比較的広範囲の能力にわたって実質的に一定である。遠心圧縮機が生み出すことができる圧力は、羽根車の先端速度に依存する。先端速度は、その先端で測定される羽根車の速度であり、羽根車の直径およびその回転数毎分に関係する。遠心圧縮機の能力は、羽根車の通過のサイズによって決定される。これは、圧縮機のサイズを能力よりも所要圧力に依存するようにする。
【0091】
容積式圧縮機は、蒸気をチャンバーへ吸い込み、チャンバーは容積が減少して蒸気を圧縮する。圧縮された後、蒸気は、チャンバーの容積をゼロまたはほぼゼロにさらに減少させることによってチャンバーから押し進められる。
【0092】
往復式圧縮機は、クランクシャフトによって駆動されるピストンを使用する。それらは、固定式または携帯式のどちらかであることができ、単段式または多段式であることができ、電気モーターまたは内燃エンジンによって駆動されることができる。5〜30馬力の小さい往復式圧縮機は、自動車用途に見られ、典型的には断続使用向けである。100馬力以下のより大きい往復式圧縮機は、大工業用途に見いだされる。吐出圧力は、低い圧力
から非常に高い圧力(5000psiまたは35MPa超)までに及ぶことができる。
【0093】
スクリュー圧縮機は、ガスをより小さい空間へ推し進めるために2つのかみ合わせた回転容積式らせんスクリューを使用する。スクリュー圧縮機は通常、商業および工業用途で連続運転向けであり、固定式または携帯式のどちらかであってもよい。それらの用途は、5馬力(3.7kW)〜500馬力(375kW)超および低い圧力から非常に高い圧力(1200psiまたは8.3MPa超)までであることができる。
【0094】
スクロール圧縮機はスクリュー圧縮機に似ており、ガスを圧縮するための2つの交互渦巻き形状のスクロールを含む。出力は、回転スクリュー圧縮機のそれよりも脈動する。
【0095】
スクロール圧縮機または往復式圧縮機を使用する冷却装置については、150kWより下の能力のろう付けプレート熱交換器が普通は、より大きい冷却装置で用いられるシェルアンドチューブ熱交換器の代わりにエバポレーターのために使用される。ろう付けプレート熱交換器は、システム容積および冷媒装填を減少させる。
【0096】
方法
本発明の別の態様によれば、本発明の組成物(グループA、BおよびCの組成物を意味する)は、冷却を行う方法に有用である。これらの方法では、本発明の組成物は冷媒である。
【0097】
図1〜3に関連して例示されたような実施形態のすべてにおいて、冷媒である、グループA、BまたはCのいずれかの組成物をエバポレーターで蒸発させて蒸気冷媒を形成する工程と、蒸気冷媒を凝縮させて冷媒液体を形成する工程と、冷媒液体をエバポレーターに戻す工程とを含む、冷却を行う方法が提供される。実施形態のすべてにおいて、冷媒蒸気は、それが凝縮される前にその温度および圧力を上げるために圧縮されてもよい。
【0098】
一実施形態では、冷却を行う方法は、上の図1に関連して記載されたような固定式冷凍もしくは固定式エアコンシステムで冷却を行うことを含む。この方法は、本発明の冷媒組成物をエバポレーターで蒸発させて冷媒蒸気を形成し、それによって冷却を行う工程を含む。冷媒蒸気はエバポレーターを出て、圧縮機に送られ、圧縮機は、冷媒蒸気の圧力および温度を上げる。冷媒組成物はその後、液体冷媒に凝縮され、エバポレーターに戻される。
【0099】
別の実施形態では、冷却を行う方法は、図2に関連して上に記載されたようなフラデッドエバポレーター冷却装置で冷却を行うことを含む。この方法では、本発明の冷媒組成物は、エバポレーターで蒸発させられて冷媒蒸気を形成する。暖かい液体である第1冷却媒体は、冷却システムからエバポレーターに運ばれ、エバポレーターの入口を通って、エバポレーターのコイルを通って、エバポレーターの出口に循環させられ、それによって冷却媒体がエバポレーターの入口から出口まで通過するときにその温度を下げる。暖かい第1冷却媒体はエバポレーターで冷却され、ビルなどの、冷却される本体に通され、それによって冷却を行う。冷媒蒸気はエバポレーターを出て、圧縮機に送られ、圧縮機は、冷媒蒸気の圧力および温度を上げる。冷媒組成物を次に凝縮器で凝縮させる。冷却された液体、または空気である第2冷却媒体は、冷却塔から凝縮器へ運ばれる。第2冷却媒体は、凝縮器で冷媒蒸気を冷却し、凝縮器は冷媒蒸気を液体冷媒に凝縮させる。液体媒体は、エバポレーターへ逆送され、このサイクルが次に繰り返される。
【0100】
別の実施形態では、冷却を行う方法は、図3に関連して上に記載されたような直接膨張式冷却装置で冷却を行うことを含む。この方法では、本発明の冷媒組成物を、エバポレーターで蒸発させる。冷媒組成物を蒸発させる工程は、冷媒組成物を、エバポレーターの入口を通って、エバポレーターのコイルを通って、エバポレーターの出口を通って循環させ、それによってエバポレーター内にある第1液体冷却媒体の温度を下げることを含む。第1液体冷却媒体は次に、エバポレーターから冷却される本体に通され、それによって冷却を行う。冷媒蒸気は圧縮機に吸い込まれ、圧縮機は、冷媒蒸気が凝縮器で凝縮させる前にその圧力および温度を上げる。第2液体冷却媒体は、凝縮器の入口を通って、凝縮器のコイルを通って、凝縮器の出口を通って循環する。第2液体冷却媒体の温度は、それが凝縮器の入口から出口まで通過するときに上げられる。第2液体冷却媒体は次に、凝縮器の出口から冷却塔に送られる。凝縮器で冷媒蒸気は冷媒液体に凝縮させられ、膨張弁を通ってエバポレーターに戻される。このサイクルが次に繰り返される。
【0101】
上に指摘されたように、本発明の組成物は、現在使用中の多くのハイドロフルオロカーボン冷媒より小さい地球温暖化係数を有する。本発明の組成物は、かかる現在使用中の炭化水素冷媒と比べて低いオゾン層破壊係数および低下した低い地球温暖化係数(GWP)を有する。高GWP冷媒は、約1000以上の100年対象期間でのGWPを有する冷媒または伝熱流体として機能することができる任意の化合物であろう。本発明の一態様は、より高い地球温暖化係数冷媒に置き換わるために使用することができる、1000未満、500未満、幾つかの場合には350未満、またはそれどころか150未満、または100未満、または50未満の地球温暖化係数の冷媒を提供することである。
【0102】
Intergovernmental Panel on Climate Change)(IPCC)、Third Assessment Report(気候変動に関する政府間パネル(IPCC)、第3評価報告書)によって公表されたGWP計算に基づき、本発明の組成物は、固定式エアコンシステムもしくは固定式冷凍システムを含む、固定式伝熱システムでの作動流体としてR22、R404A、R407C、R410AもしくはR507Aに置き換わるために、またはフラデッドエバポレーター冷却装置もしくは直接膨張式冷却装置でR22、R407CもしくはR410Aに置き換わるために特に有用である。
【0103】
それ故、本発明に従って、固定式エアコンもしくは冷凍システムでR22、R404A、R407C、R410AまたはR507Aを置き換える方法が提供される。本方法は、R22、R404A、R407C、R410AまたはR507Aの代わりに、本発明の冷媒組成物を固定式エアコンもしくは冷凍システムに提供する工程を含む。
【0104】
加えて、本発明に従って、フラデッドエバポレーター冷却装置または直接膨張式冷却装置でR−22、R407CまたはR410Aを置き換える方法が提供される。本方法は、R22、R407CまたはR410Aの代わりに、本発明の冷媒組成物をフラデッドエバポレーター冷却装置または直接膨張式冷却装置に提供する工程を含む。
【0105】
この方法の一実施形態では、本発明の組成物は、R22、R407CまたはR410Aで運転するために元々デザインされ、製造された可能性がある、遠心圧縮機を有するフラデッドエバポレーター冷却装置で有用である。別の実施形態では、本発明の組成物は、R22、R407CまたはR410Aで運転するために元々デザインされ、製造された可能性がある、往復式圧縮機、スクリュー圧縮機またはスクロール圧縮機を用いる直接膨張式冷却装置で有用である。
【0106】
あるいはまた、本明細書に開示されるような本発明の組成物は、新規固定式エアコンもしくは冷凍システム、新規フラデッドエバポレーター冷却装置または新規直接膨張式冷却装置などの、新規機器で有用であり得る。かかる新規機器で、遠心圧縮機または、往復式圧縮機、スクリュー圧縮機もしくはスクロール圧縮機を含む、容積式圧縮機のどちらか、およびそれと一緒に用いられる熱交換器は、本発明の組成物での使用をデザインすることができよう。
【実施例】
【0107】
サンプル組成物は、表4に示されるような成分の濃度を有する。
【0108】
【表4】

【0109】
実施例1
冷凍性能データ
表5は、低温および中温冷凍システム用のR507AおよびR22(HCFC−22)と比べて本明細書に記載される組成物についてエネルギー効率(COP)、冷却能力(Cool Cap)、圧縮機吐出圧力(Dis Press)、圧縮機吸引圧力(Suct Press)、および圧縮機吐出温度(Dis T)として、冷却性能を示す。さらに、平均温度グライド(エバポレーターおよび圧縮機についての平均グライドである、Avg glide)も含まれる。最後に、GWP値は、100年対象期間値について個々の成分についてのGWP値から計算した。
【0110】
本組成物についてのデータは、R507A(50質量%のR125および50質量%のR143a(1,1,1−トリフルオロエタン)のブレンド)、R404A(44質量%のR125、52質量%のR143a、および4.0質量%のR134aのブレンド)、ならびにR22(クロロジフルオロメタン、CHFCl)と比べて提供される。
【0111】
性能データは次の条件に基づいている:
エバポレーター温度 −17.8℃
凝縮器温度 46.1℃
サブクール温度 5.5℃
リターンガス温度 15.6℃
圧縮機効率 70%。
【0112】
【表5】

【0113】
多くの組成物は、より低い吐出圧力および温度を維持しながらR22、R404AまたはR507Aと比べて同様なエネルギー効率(COP)を有する。表5にリストされる組成物の幾つかについての冷凍能力もまた、R22、R404AまたはR507Aと同様であり、これらの組成物が固定式エアコンもしくは固定式冷凍システムでR22、R404AまたはR507Aの代替冷媒であり得ることが示唆される。
【0114】
実施例2
エアコン性能データ
表6は、固定式エアコンシステム用のR410AおよびR22(HCFC−22)と比べて本明細書に記載される組成物についてエネルギー効率(COP)、冷却能力(Cool Cap)、圧縮機吐出圧力(Dis Press)、圧縮機吸引圧力(Suction Press)、および圧縮機吐出温度(Dis T)として、冷却性能を示す。さらに、平均温度グライド(エバポレーターおよび圧縮機についての平均グライドである、Avg glide)も含まれる。最後に、GWP値は、100年対象期間値について個々の成分についてのGWP値から計算した。
【0115】
本組成物についてのデータは、R410A(50質量%のR125および50質量%のR32のブレンド)、R407C(25質量%のR125、23質量%のR32、および52質量%のR134aのブレンド)、ならびにR22(クロロジフルオロメタン、CHFCl)と比べて提供される。
【0116】
性能データは次の条件に基づいている:
エバポレーター温度 4℃
凝縮器温度 43℃
サブクール温度 6℃
リターンガス温度 18℃
圧縮機効率は 70%である。
【0117】
【表6】

【0118】
多くの組成物は、より低い吐出圧力および温度を維持しながらR22、R407CまたはR410Aと比べて同様なエネルギー効率(COP)を有する。表6にリストされる組成物の幾つかについての冷凍能力もまた、R22、R407CまたはR410Aと同様であり、これらの組成物がエアコンおよび冷却装置システムでR22、R410AまたはR407Cの代替冷媒であり得ることが示唆される。さらに、組成物の幾つかは低い平均グライドを有し、従ってフラデッドエバポレーター型冷却装置での使用を可能にする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヨードトリフルオロメタン、ジフルオロメタン、ならびにペンタン、ブタン、イソブタン、プロピレン、シクロプロピレンおよびプロパンからなる群から選択される少なくとも1つの炭化水素を含む組成物。
【請求項2】
炭化水素がプロパンを含み、そしてここで組成物がペンタフルオロエタンをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ヨードトリフルオロメタンおよび1,1,1,2−テトラフルオロエタン;
ヨードトリフルオロメタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよびジフルオロメタン;
ヨードトリフルオロメタンおよびペンタフルオロエタン;ならびに
ヨードトリフルオロメタン、ジフルオロメタン;ペンタフルオロエタンおよび1,1,1,2−テトラフルオロエタン
から本質的になる組成物。
【請求項4】
約0.01〜約67.25質量%のジフルオロメタンおよび約32.75〜約99.99%のヨードトリフルオロメタンから本質的になる組成物。
【請求項5】
35%のヨードトリフルオロメタン、55%のジフルオロメタン、5%のペンタフルオロエタンおよび5%のプロパン;または
35%のヨードトリフルオロメタン、60%のジフルオロメタン、2.5%のペンタフルオロエタンおよび2.5%のプロパン
を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
30〜50質量パーセントのヨードトリフルオロメタンおよび50〜70質量パーセントの1,1,1,2−テトラフルオロエタン;
5〜35質量パーセントのヨードトリフルオロメタン、5〜40質量パーセントの1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよび33〜70質量パーセントのジフルオロメタン;または
25〜50質量パーセントのヨードトリフルオロメタン、40〜60質量パーセントのジフルオロメタン、0〜50質量パーセントのペンタフルオロエタンおよび5〜50質量パーセントの1,1,1,2−テトラフルオロエタン
から本質的になる、請求項3に記載の組成物。
【請求項7】
ポリアルキレングリコール、ポリオールエステル、ポリビニルエーテル、鉱油、アルキルベンゼン、合成パラフィン、合成ナフテン、またはポリ(アルファ)オレフィンからなる群から選択される潤滑油をさらに含む、請求項1、3または4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
相溶化剤、UV染料、可溶化剤、トレーサー、安定剤、パーフルオロポリエーテルおよび官能化パーフルオロポリエーテルからなる群から選択された少なくとも1つの添加剤をさらに含む、請求項1、3または4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
冷媒である、請求項1、3または4のいずれか一項に記載の組成物をエバポレーターで蒸発させて蒸気冷媒を形成する工程と、蒸気冷媒を凝縮させて液体冷媒を形成する工程と、液体冷媒をエバポレーターに戻す工程とを含む、冷却を生じさせる方法。
【請求項10】
冷媒蒸気を、凝縮させる前に圧縮する工程をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
冷却を固定式エアコンまたは固定式冷凍システムで生じさせる、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
第1の冷却媒体を、エバポレーターの入口に通し、エバポレーターのコイルを通してエバポレーターの出口に循環させ、それによって第1の冷却媒体がエバポレーターの入口から出口に通過するときに第1の冷却媒体の温度を下げる工程と、その第1の冷却媒体を冷却しようとする本体に通し、それによって冷却を生じさせる工程とをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
冷却をフラデッドエバポレーター冷却装置で生じさせる、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
冷媒組成物を蒸発させる工程が、冷却組成物を、エバポレーターの入口を通し、エバポレーターのコイルを通し、エバポレーターの出口を通して循環させ、それによってエバポレーター内にある第1の液体冷却媒体の温度を下げる工程と、その第1の冷却媒体をエバポレーターから冷却しようとする本体に通し、それによって冷却を生じさせる工程とを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
冷却を直接膨張式冷却装置で生じさせる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
フラデッドエバポレーター冷却装置、直接膨張式冷却装置または固定式エアコンシステムもしくは固定式冷凍システムでR22、R407C、R−410A、R404AまたはR507Aを置き換える方法であって、冷媒を含む、請求項1、3または4のいずれか一項に記載の組成物を、上記フラデッドエバポレーター冷却装置、直接膨張式冷却装置または固定式エアコンもしくは冷凍システムに供する工程を含む方法。
【請求項17】
冷媒組成物を、R22、R404A、R407C、R410AまたはR507Aの代わりに固定式エアコンシステムまたは固定式冷凍システムに供する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
冷媒組成物を、R22、R407CまたはR410Aの代わりにフラデッドエバポレーター冷却装置または直接膨張式冷却装置に供する、請求項16に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−502207(P2011−502207A)
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532270(P2010−532270)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【国際出願番号】PCT/US2008/081955
【国際公開番号】WO2009/059106
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】